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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】水封トラップ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20240328BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
E03C1/28 A
F25D21/14 A
F25D21/14 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023076876
(22)【出願日】2023-05-08
【審査請求日】2023-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591287820
【氏名又は名称】フソー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-083058(JP,A)
【文献】特開2000-225086(JP,A)
【文献】実公昭43-013898(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0255301(US,A1)
【文献】特開2015-98702(JP,A)
【文献】特開平10-183716(JP,A)
【文献】実開昭54-134926(JP,U)
【文献】実開昭53-147570(JP,U)
【文献】特開2006-112154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/28
F25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に接続する排水入口管及び排水出口管と、
前記排水入口管と前記排水出口管の内側端に、一端をそれぞれ接続する円管状の一対の連通管と、
これらの連通管の他端を下方に折曲すると共に他端同士を下方で結合し、排水を貯留可能とする貯水部とを備えた水封トラップであって、
前記排水入口管及び前記排水出口管の中心軸線は、水平方向を向き、同軸とされており、
前記貯水部内の前記連通管同士の結合部の上縁は、前記排水出口管の下縁よりも下方に位置し、
長手方向と直交する方向に切断した前記貯水部の中央部の断面であって且つ前記上縁を含む断面は、横広の偏平形状をしており、
前記断面の面積は、前記一対の連通管の前記一端における前記長手方向と直交する方向に切断した各断面積と略同等、又は前記各断面積よりも大としたことを特徴とする水封トラップ。
【請求項2】
排水管に接続する排水入口管及び排水出口管と、
前記排水入口管と前記排水出口管の内側端に、一端をそれぞれ接続する円管状の一対の連通管と、
これらの連通管の他端同士を下方で結合し、排水を貯留可能とする貯水部とを備えた水封トラップであって、
開口する前記排水入口管の中心軸線は上方を向き、開口する前記排水出口管の中心軸線は水平方向を向いており、
前記貯水部内の前記連通管同士の結合部の上縁は、前記排水出口管の下縁よりも下方に位置し、
前記排水出口管の前記中心軸線に沿う方向と直交する方向に切断した前記貯水部の中央部の断面であって且つ前記上縁を含む断面は、横広の偏平形状をしており、
前記断面の面積は、前記排水入口管と接続する前記連通管の前記一端における前記排水入口管の前記中心軸線に沿う方向と直交する方向に切断した断面積、及び前記排水出口管と接続する前記連通管の前記一端における前記排水出口管の前記中心軸線に沿う方向と直交する方向に切断した断面積と略同等、又は前記排水入口管と接続する、又は前記排水出口管と接続する前記連通管の前記断面積よりも大としたことを特徴とする水封トラップ。
【請求項3】
前記貯水部には、前記貯水部内を清掃するための清掃管を付設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の水封トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷凍機等に接続される排出管中に配設される水封トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
業務用の冷凍機には、内部に発生する霜等が溶融した排水を、外部に排出するための排出管が延出されている。発生した水滴は排水となって、この排出管内を上方から下方へと流れて、外部の下水管等に流出される。
【0003】
このような外部の下水管などに繋がっている排出管では、接続する装置との気圧差等により下水管からの汚臭、温風が逆流して装置内に侵入する場合があるので、これらを防止するために、排出管中に水封トラップを設けることが一般に行われている。このような排水構造は、業務用の冷暖房機器等の排水が発生する装置などにおいても、適宜に設けられている。
【0004】
通常の水封トラップは、排出管中にU字状、S字状部分を設けて、上方からの排水を貯水部に貯留し溢れた水を下方に排水することにより、排水管の通気を貯水部で部分的に遮断して汚臭等の逆流を防止している。そして、この種の水封トラップとしては、台所用流し台、洗面台等の家庭用機器の排水管中にも多く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭62-21182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、装置の直下に水封トラップを配置して、上方から下方に排水することは比較的に容易であるが、業務用装置等においては、構造上、設置上の問題から、排水を水平方向に排出しなければならない場合がある。この場合には、特許文献1に記載されている図12に示すような、貯水Wを貯留する貯水部1への排水入口部2、貯水部1からの排水出口部3の中心軸を水平方向に向けた水封トラップを使用する必要がある。
【0007】
この場合においても、十分な量の貯水Wを貯留水可能な貯水部1を設置するための上下方向の空間的余裕、つまり貯水部1と排水入口部2、排水出口部3とを収納するための上下方向の距離に余裕があればよいが、この距離が得られない場合には、貯水部1の深さ寸法を短くせざるを得ず、貯水部1内に十分な量の貯水Wを貯留ができなくなる。
【0008】
従って、排水入口部2と排水出口部3間の気圧差が大きくなると、貯水部1の貯水Wが押し出されて、貯水部1により逆流を遮断できず、逆流防止等の機能不全が生ずる問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、貯水部の深さが十分に得られない場合であっても、十分な水封機能を果たし得る水封トラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る水封トラップは、排水管に接続する排水入口管及び排水出口管と、前記排水入口管と前記排水出口管の内側端に、一端をそれぞれ接続する円管状の一対の連通管と、これらの連通管の他端を下方に折曲すると共に他端同士を下方で結合し、排水を貯留可能とする貯水部とを備えた水封トラップであって、前記排水入口管及び前記排水出口管の中心軸線は、水平方向を向き、同軸とされており、前記貯水部内の前記連通管同士の結合部の上縁は、前記排水出口管の下縁よりも下方に位置し、長手方向と直交する方向に切断した前記貯水部の中央部の断面であって且つ前記上縁を含む断面は、横広の偏平形状をしており、前記断面の面積は、前記一対の連通管の前記一端における前記長手方向と直交する方向に切断した各断面積と略同等、又は前記各断面積よりも大としたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明に係る水封トラップは、排水管に接続する排水入口管及び排水出口管と、前記排水入口管と前記排水出口管の内側端に、一端をそれぞれ接続する円管状の一対の連通管と、これらの連通管の他端同士を下方で結合し、排水を貯留可能とする貯水部とを備えた水封トラップであって、開口する前記排水入口管の中心軸線は上方を向き、開口する前記排水出口管の中心軸線は水平方向を向いており、前記貯水部内の前記連通管同士の結合部の上縁は、前記排水出口管の下縁よりも下方に位置し、前記排水出口管の前記中心軸線に沿う方向と直交する方向に切断した前記貯水部の中央部の断面であって且つ前記上縁を含む断面は、横広の偏平形状をしており、前記断面の面積は、前記排水入口管と接続する前記連通管の前記一端における前記排水入口管の前記中心軸線に沿う方向と直交する方向に切断した断面積、及び前記排水出口管と接続する前記連通管の前記一端における前記排水出口管の前記中心軸線に沿う方向と直交する方向に切断した断面積と略同等、又は前記排水入口管と接続する、又は前記排水出口管と接続する前記連通管の前記断面積よりも大としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る水封トラップによれば、貯水部を水平方向に拡大してその容量を確保することにより、貯水部の貯水量を減少することなく、汚臭、温風の逆流を防止する水封効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の水封トラップの斜視図である。
図2】水封トラップの正面図である。
図3】水封トラップの平面図である。
図4】水封トラップの底面図である。
図5】水封トラップの側面図である。
図6】長手方向に沿った縦断面図である。
図7】短手方向に沿った横断面図である。
図8図2のA-A線に沿った断面図である。
図9図2のB-B線に沿った断面図である。
図10】実施例1の変形例の縦断面図である。
図11】実施例2の水封トラップの縦断面図である。
図12】従来例の水封トラップの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を図1図11に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の水封トラップの斜視図、図2は正面図、図3は平面図、図4は底面図、図5は側面図、図6は縦断面図、図7は横断面図である。水封トラップは、排水が発生する例えば冷凍機等に接続された排出管の中間位置に配置され、内部に逆流防止等のための貯水Wを貯留する貯水部11を有している。
【0015】
水封トラップは、例えば硬質の合成樹脂材で成型されており、貯水部11は排水入口管12と排水出口管13の間に配置されている。排水入口管12と排水出口管13は排水管に接続するために断面円形の管体とされ、それぞれの内側には縮径された縮径部12’、13’が付設されている。
【0016】
これらの排水入口管12と排水出口管13の中心軸線Hは水平方向を向き、同軸とされている。排水入口管12の縮径部12’、排水出口管13の縮径部13’には、円管状の連通管14a、14bの一端がそれぞれ接続されている。
【0017】
これらの連通管14a、14bの他端は、下方に折曲され、排水入口管12と排水出口管13よりも下位位置において、連通管14a、14bの他端の先端部同士を管状に結合することにより、貯水部11が形成されている。
【0018】
また、左右の連通管14a、14b同士の外側同士の間には、補強のための壁状の補強部15が形成されている。この補強部15は、貯水部11の中央部である連通管14a、14b同士の結合部の上方に形成される。
【0019】
貯水部11は本来ならば、図2に示す一点鎖線Xの位置まで、連通管14a、14bを延在して形成されていることが望ましい。しかし、水封トラップの設置空間の関係で、貯水部11をこのように深く形成できない場合には、本実施例1のように連通管14a、14bから成る貯水部11は上下方向の距離を短くすると共に、水平方向つまり長手方向及び短手方向に拡大する拡大部16を設け、断面形状を偏平としている。
【0020】
即ち、図7の横断面図に示す中央部を上下方向に切断した貯水部11の断面積Sは、図2のA-A線に沿った連通管14aの一端における図8の断面図に示す断面積S’とほぼ同等とされている。なお、連通管14bの一端も同様に断面積S’を有している。
【0021】
このように断面を横広の偏平形状とした拡大部16により、貯水部11はその深さを浅くしても、その分、水平方向の内容量が大きくなり、図2に一点鎖線Xで示す連通管14a、14b同士をそのまま接続した場合の貯水部11と、ほぼ同量の貯水Wが貯留されることになる。なお、断面積Sは各断面積S’よりも大きくすれば、貯水Wの貯水量を更に大きくすることができる。
【0022】
また、断面積Sと断面積S’とが略同等であれば、水封トラップ内での排水の流速は一定であり、排水の排出に支障は生じない。
【0023】
なお、図6に示す貯水Wの上縁つまり貯水部11の上限の水位Lは、連通管14a、14bの一端同士の結合部の下縁Yとされている。また、排水入口管12、排水出口管13同士の通気を完全に遮断するために、連通管14a、14b同士の結合部の上縁Zは水位Lの上限である下縁Yよりも十分に低位置とされている。
【0024】
このため、貯水部11内の貯水Wの蒸発により水位Lが若干低下しても、この水位Lが上縁Zよりも下位にならない限り、排水入口管12、排水出口管13同士の通気は遮断されている。
【0025】
更に、貯水部11に上述の拡大部16を設けても、排水入口管12、排水出口管13には連通管14a、14bを介して連通する貯水部11上の空気にさらされる貯水Wの水位Lにおける表面積は、図2のB-B線に沿った図9に示すように、連通管14a、14bの断面積にほぼ相当している。従って、貯水Wの蒸発量は、貯水部11が図2で示す一点鎖線Xで示す場合とほぼ同様であり、水封トラップの貯水Wの蒸発による貯水Wの量変化も同程度である。
【0026】
実施例1の水封トラップの寸法を例示すれば、例えば排水入口管12、排水出口管13の管径は48mm、連通管14a、14bの管径は38mm、排水入口管12、排水出口管13の中心位置から貯水部11の底部までの上下方向の距離は58mm、連通管14a、14b同士の結合部の上縁Zから貯水部11の底部までの距離は18mm、貯水部11の長手方向の大きさは81mm、短手方向の大きさは64mmである。
【0027】
水封トラップの使用に際しては、ほぼ水平方向に配設した排水管の間に、排水入口管12と排水出口管13をそれぞれ接続し、排水管から排水入口管12を経由して排水を水封トラップ内に導入すれば、排水の一部は貯水Wとして貯水部11に貯留されることになる。そして、貯水部11から溢れた排水は、排水出口管13を介して下水管に放出されることにより、水封トラップとして機能することになる。
【0028】
図10は実施例1の変形例の縦断面図であり、貯水部11の拡大部16から、管状の清掃管17が水封トラップの長手方向に沿って延出されており、清掃管17の先端には、密封用ゴムリングを内蔵したねじキャップ18が螺合されている。
【0029】
清掃管17は常時はねじキャップ18により封止されている。使用中に、貯水部11の底に汚泥等が堆積して水封トラップが詰まった場合には、水封トラップを排水管から取り外すことなく、清掃管17を利用して、貯水部11内の堆積物を除去することができる。
【0030】
なお、清掃管17は貯水部11等と共にブロー成型により同時に成型することができ、ねじキャップ18は既製の部品を使用すればよい。
【実施例2】
【0031】
図11は実施例2の水封トラップの縦断面図であり、実施例1と同一の符号は同じ部位を示している。
【0032】
この水封トラップは、実施例1の水封トラップのように排出出口管13は水平方向に向けることにより、上下方向に制限される狭い個所にも設置でき、その機能を発揮することになるが、排水入口管12については必ずしも水平方向である必要はない。
【0033】
実施例2の水封トラップは、大部分が実施例1とほぼ同様の形態を有しているが、排水入口管12は上方に向けて開口されている。なお、排出出口管13を水平方向に向けることは、その配置上から必然であるが、設置空間の状況によっては排水入口管12の向きは限定されることはなく、水平方向よりも上方を向いていればよい。
【0034】
従って、実施例2による水封トラップは、冷凍庫等の排水管が上方から下方に向けて配置されている場合に、好適に適用できる。また、実施例1と同様に、貯水部11に清掃管17を付設することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
11 貯水部
12 排水入口管
13 排水出口管
14a、14b 連通管
15 補強部
16 拡大部
17 清掃管
W 貯水
L 水位
S、S’ 断面積
【要約】
【課題】 狭い空間においても設置可能な水封トラップを得る。
【解決手段】 水封トラップの貯水部11は、排水入口管12と排水出口管13の間に配置されている。排水入口管12と排水出口管13は、これらの中心軸線は水平方向を向き、同軸とされている。排水入口管12と排水出口管13内側に接続した連通管14a、14bはそれぞれ下方に折曲され、排水入口管12と排水出口管13よりも下位において連通管14a、14bの先端部同士を結合して形成された貯水部11が設けられている。
設置空間の関係で、貯水部11を深くできない場合に、貯水部11の深さを浅くすると共に、貯水部11を水平方向に拡大することにより拡大部16が形成され、貯水部11は連通管14a、14b同士を結合する場合と比較して、ほぼ同量の排水を貯留できるようにされている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12