(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ハーモニカホルダー
(51)【国際特許分類】
G10G 5/00 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
G10G5/00
(21)【出願番号】P 2023134418
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2023011530の分割
【原出願日】2023-01-30
【審査請求日】2023-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522499070
【氏名又は名称】有限会社ハナブサ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝三
(72)【発明者】
【氏名】郡司 泰宏
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3161659(JP,U)
【文献】特開2021-024621(JP,A)
【文献】特開昭61-090186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0194140(US,A1)
【文献】中国実用新案第212135925(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0020148(US,A1)
【文献】米国特許第09430995(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者の首回りに吊り下げて、演奏者の口元にハーモニカを留め置くためのハーモニカホルダーであって、
演奏者の首回りに吊り下げるための吊り部品と、ハーモニカを挟持するための挟持機構を備える保持部品と、を備え、
前記吊り部品は、2本の端足を備える略U字形状であり、装着時には、前記略U字形状の頂部が演奏者の首回りに接するものであり、
前記保持部品は、門形であり、前記門形の頂部となる直線状の中央辺と、前記中央辺から延出する2本の門足とを備え、前記門形の頂部に前記挟持機構を備えるものであり、
前記吊り部品の前記端足の端部と、前記保持部品の前記門足の端部とは、前記吊り部品と前記保持部品とが回動可能となるよう連結されて連結部を構成し、
前記吊り部品の少なくとも一方の前記端足の端部又は前記保持部品の少なくとも一方の前記門足の端部には、外周面の大部分に複数の歯を備え、中央に貫通孔を有する円板形状の歯車が、前記端足の場合には円板面が前記吊り部品の両端足を含む面に垂直となるように固定され、前記門足の場合には円板面が前記保持部品の両門足を含む面に垂直となるように固定され、
前記連結部において、前記歯車が固定された、前記端足又は前記門足に対応する、前記保持部品の前記門足の端部又は前記吊り部品の前記門足の端部には、先端が二股に分かれる二股部品が、前記門足の場合には前記二股が前記保持部品の両門足を含む面に平行となるように固定され、前記端足の場合には前記二股が前記吊り部品の両端足を含む面に平行となるように固定され、
前記連結部は、前記二股部品における前記二股の間に形成された凹部の中に、前記歯車が配置され、前記歯車の前記貫通孔に挿通され、前記二股部品の前記門形の内側の股から外側の股まで到達する軸により、回動自在に軸支されることにより形成され、
前記連結部における前記二股部品の前記凹部の中には、前記歯車の前記歯に噛み合うラチェット爪が、バネ機構により前記歯側に付勢するよう回動自在に取り付けられ、前記歯と前記ラチェット爪とが噛み合っている状態においては、前記吊り部品と前記保持部品との間の角度が開く方向の動きが阻止され、
前記ラチェット爪には、前記歯車の前記歯と前記ラチェット爪との噛み合いを解除するための解除レバーが、前記ラチェット爪と一体に回動する回動軸に固定され、前記解除レバーによる前記解除により、前記吊り部品と前記保持部品との間の角度が開くものであり、
前記バネ機構は、板ばねによるものであり、
前記門足は、演奏者が前記ハーモニカホルダーを着脱するための切り離し機構を有
し、
前記歯車は、前記歯が形成されていない領域を備え、前記領域に前記歯よりも突出した突起を備え、前記突起を支えにして前記解除レバーを操作することができる、
ハーモニカホルダー。
【請求項2】
前記挟持機構は、前記中央辺と、支持板と、2個のスプリングと、を備えており、
前記支持板は、前記門足のそれぞれが貫通する二つの孔を有し、前記孔に前記門足のそれぞれが挿通されて前記中央辺に平行に移動が可能となるよう備えられ、
前記スプリングは、前記支持板の前記中央辺とは逆の側の前記門足のそれぞれに備えられ、前記スプリングの力により、前記支持板を前記中央辺の方向に付勢し、これにより、前記中央辺と前記支持板との間にハーモニカを挟持するものであり、
前記中央辺に、中央に貫通孔を有するローラーが少なくとも2個、前記貫通孔に前記中央辺が挿通され、前記ハーモニカの着脱の際に前記着脱の方向に回転するよう備えられるとともに、
前記スプリ
ングのばね定数を、55gf/mm以上65gf/mm以下とする、請求項1に記載のハーモニカホルダー。
【請求項3】
前記軸は、前記二股部品の前記門形の内側の股を貫通し、かつ前記二股部品の前記門形の外側の股を貫通していない、請求項1に記載のハーモニカホルダー。
【請求項4】
前記歯車は、前記歯車から弧状に湾曲した腕を備え、前記腕の端部に前記端足の端部が連結されるものであり、
前記腕に連結した前記端足の延長線が、前記歯車の中央部を通過しないように、前記腕が配置され、これにより、前記連結部で前記ハーモニカホルダーを折り畳んで前記吊り部品と前記保持部品とを重ねたときに、前記端足と前記門足とが干渉せず、
前記腕の弧状の前記湾曲は、前記連結部で前記ハーモニカホルダーを折り畳んで前記吊り部品と前記保持部品とを重ねたときに、前記湾曲の内部空間に、前記二股部品の前記解除レバーが格納される大きさである、請求項1に記載のハーモニカホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーモニカホルダーに関する。さらに詳しくは、演奏者が一人で、ピアノ、ギター等を演奏しつつ、同時にハーモニカを演奏する際に、演奏者の口元にハーモニカを留め置くためのハーモニカホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
一人の演奏者がギターやピアノ等を演奏しながら、同時にハーモニカの演奏を行なう際に、ハーモニカを保持して演奏者の口元に留め置くハーモニカホルダーが用いられている。
【0003】
図2は、従来の一般的なハーモニカホルダー(例えば、特許文献1参照)を示す図である。
図2は、ハーモニカホルダー50にハーモニカ51を取り付けた状態の外観図である。ハーモニカホルダー50は、演奏者の首回りに吊り下げてハーモニカホルダー50の落下を防ぐための吊り金具52と、ハーモニカ51を保持するための保持金具53とから構成され、吊り金具52と保持金具53とは、細い金属棒で製作されており、それぞれの両端部分にねじを通す小さい輪が形成されており、頭の平らなねじと蝶ナット57により連結されている。
【0004】
保持金具53は、頂部に、直線状の中央辺53aを有するとともに、支持板55を有しており、中央辺53aと支持板55との間でハーモニカ51を挟持する。支持板55は、その両端部分に二つの孔が設けられており、これらの二つの孔を、細い金属の棒で形成された門足53bがそれぞれ貫通し、直線状の中央辺53aに平行に移動可能となるよう取り付けられている。そして、支持板55は、保持金具53のそれぞれの門足53bに取り付けられたスプリング56の力により、中央辺53aの方向に付勢されており、これにより、支持板55に載せたハーモニカ51は、指示板55と中央辺53aとの間で挟持される構造となっている。
【0005】
従来の一般的なハーモニカホルダー50は、演奏者がハーモニカを演奏する際には、ハーモニカ51を演奏者の口元近くに留め置くために、吊り金具52と保持金具53との連結角度を調整した後に、蝶ナット57を固く締めつけて固定し、演奏中もその状態を維持するようにしていた。
【0006】
しかしながら、ハーモニカ51には重量があり、また演奏時には演奏者の唇によりハーモニカ51を前方に押しやる力が加わる。このため、ハーモニカの重量と演奏者からの力に耐えきれずに、蝶ナット57による固定が緩む場合があった。具体的には、蝶ナット57による固定が緩むことにより、吊り金具52と保持金具53との間の角度が、調整された状態から開いて前方にずれ、ハーモニカ51が演奏者の口元から離れてしまい、演奏しづらくなる場合があった。
【0007】
これに対して、本発明者は、ハーモニカホルダーの吊り金具と保持金具との連結部にラチェット機構を採用し、ハーモニカの重量や演奏者の唇によりハーモニカを前方に押しやる力が加わったとしても、吊り金具と保持金具と間の角度が開くことを阻止し、安定したハーモニカ演奏を可能とする提案を行った(特許文献2参照)。
【0008】
具体的には、
図3に示すように、特許文献2に記載のハーモニカホルダー1は、吊り金具3と保持金具4との連結部10に円板状の歯車が配置され、ラチェット爪が当該歯車の歯に噛み合うように、バネを用いたバネ機構により歯側に付勢された状態で回動自在に取
り付けられ、噛み合い状態においては、吊り金具3と保持金具4との間の角度が開く方向の動きが阻止される。ラチェット爪には、噛み合いを解除するための解除レバーが、ラチェット爪と一体に回動する回動軸に固定して設けられ、解除レバーを円板状の歯車の方向に押し動かすことにより、ラチェット爪と歯車の歯との噛み合いが解放され、吊り金具3と保持金具4との間の角度を開くことができる。
【0009】
さらに詳細には、特許文献2に記載のラチェット機構は、
図4及び
図5に示す構造となっている。
図4は、吊り金具3と保持金具4との間の角度を180°に開いた状態の、ラチェット機構となる連結部10の平面図であり、
図5は、その連結部10の側面図である。
【0010】
ラチェット機構を形成する円板状の歯車11の大部分の外周面には、ラチェット機構に特有な一方に傾いた三角形状の歯が形成してあり、円板状の歯車11の中央には、後述するねじ15を挿通させるための貫通孔12が形成されている。
【0011】
門形に形成された保持金具4の門足4bの端には、先端が二股に分かれた二股部品13が固定取り付けされ、二股部品13のそれぞれの先端部には、両先端を直角方向に貫く貫通孔16が設けられている。二股部品13の二股の間に、円板状の歯車11が、歯車11の中央の貫通孔12を二股部品13の二股の二つの貫通孔16に位置合わせされる状態で装入され、門形の保持金具4の内側から頭の平らなねじ15が、二股部品13の内側の股の貫通孔16、円板状の歯車11の貫通孔12、二股部品13の外側の股の貫通孔16の順に挿通された後、二股部品13の外側の股の貫通孔16から露出したねじ15の先端部のねじ山に、蝶ナット17が螺合されて締め付けられることで、吊り金具3と保持金具4とが結合される。
【0012】
特許文献2に記載のラチェット機構においては、二股部品13の二股の間に、円板状の歯車11の歯と噛み合うラチェット爪20が取り付けられており、ラチェット爪20には回動軸21が固定取り付けされ、回動軸21の両端は二股部品13により回動可能に支持されている。
【0013】
二股部品13の二股の間には、ラチェット爪20の爪先を円板状の歯車11の歯に噛み合わせる方向に付勢するためのスプリングバネ機構23が取り付けられている。ラチェット爪20は、その付勢により爪先が円板状の歯車11の歯に噛み合わされ、噛み合った状態では、保持金具4が吊り金具3に対して開く(その間の角度が広がる)方向に回転する動きが阻止される。
【0014】
ラチェット爪20に固定取り付けされた回動軸21には、ラチェット爪20と歯車11との噛み合いを解除させるための解除レバー24が固定取り付けされている。解除レバー24には、門形の保持金具4の門の外側に露出するように、操作端25が取り付けられている。解除レバー24は、回動軸21を挟んでラチェット爪20とは反対側に取り付けられ、操作端25を歯車11の方向に押し動かすことにより、ラチェット爪20の爪先と歯車11の歯との噛み合いの解除を可能とする。
【0015】
特許文献2に記載のラチェット機構においては、
図6に示すように、円板状の歯車11から弧状に湾曲した腕30を延出させ、その先に吊り金具3の端を固定させることも提案されている。湾曲した腕30は、吊り金具3の両足の延長線が円板状の歯車11の中心から外れた位置を通過するように湾曲度が調節してあり、これによりハーモニカホルダー1を収納等するために、保持金具4を吊り金具3側に折り畳んだときに、連結部10の二股部品13や保持金具4の門形の足が、吊り金具3に干渉することがない。更に、二股部品13に取り付けられた解除レバー24及びその操作端25は、湾曲した腕30の内側に納
まり、湾曲した腕30との干渉を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】実用新案登録3103381号公報
【文献】実用新案登録3161659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明者は、特許文献2に記載されたハーモニカホルダーについて鋭意検討し、以下の点を克服できれば、より機能性の高いハーモニカホルダーに進化できると考えた。
【0018】
第一に、特許文献2に記載のハーモニカホルダーは、ラチェット機構を構成するばね機構に用いられるばねの種類によっては、爪の耐久性が低く、ラチェット機構が早期に機能しなくなる場合があった。
【0019】
第二に、特許文献2に記載のハーモニカホルダーは、演奏者の演奏中にハーモニカホルダー1に挟持したハーモニカ2が落下しないように、支持板5を保持金具4の中央辺4aの方向に付勢するためのスプリング6の力が大きい場合があった。このため、演奏曲ごとに異なるハーモニカを使用したいときに、ハーモニカの交換に時間を要し、聴衆は交換を待たざるを得ない状況となっていた。
【0020】
第三に、特許文献2に記載のハーモニカホルダーは、吊り金具3と保持金具4とが結合してリング状となっているため、演奏者が大きな帽子やウィッグ等、当該リングよりも大きな装着物を頭部に纏っている際に、装着物を纏ったままでハーモニカホルダーを着脱することが困難であった。
【0021】
第四に、特許文献2に記載のハーモニカホルダーは、全ての部品が金属により形成されている。金属の材質としては、鉄が慣用されているが、鉄に対しては塗装が難しいため、カラーバリエーションが少ない状況であった。
【0022】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、ラチェット機構を有するハーモニカホルダーにおいて、ラチェット機構を長期に機能させることができる耐久性を有すると共に、ハーモニカの交換が容易であることによりステージ進行を円滑にすることができ、かつハーモニカホルダーのリングよりも大きな装着物を頭部に纏っている場合でも着脱が可能であったり、様々なカラーのバリエーションを実現することが可能であったりすることにより、演奏者が外見上の個性を発揮しやすくなるハーモニカホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして、ラチェット機構に用いる部品の構造の変更、ハーモニカを挟持するために用いるスプリングの強さの変更、ハーモニカを挟持する部分の構造の変更、保持部品の門足部分での切り離し機能の追加、及び部品の材質の変更により、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0024】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]
演奏者の首回りに吊り下げて、演奏者の口元にハーモニカを留め置くためのハーモニカホルダーであって、
演奏者の首回りに吊り下げるための吊り部品と、ハーモニカを挟持するための挟持機構を備える保持部品と、を備え、
前記吊り部品は、2本の端足を備える略U字形状であり、装着時には、前記略U字形状の頂部が演奏者の首回りに接するものであり、
前記保持部品は、門形であり、前記門形の頂部となる直線状の中央辺と、前記中央辺から延出する2本の門足とを備え、前記門形の頂部に前記挟持機構を備えるものであり、
前記吊り部品の前記端足の端部と、前記保持部品の前記門足の端部とは、前記吊り部品と前記保持部品とが回動可能となるよう連結されて連結部を構成し、
前記吊り部品の少なくとも一方の前記端足の端部又は前記保持部品の少なくとも一方の前記門足の端部には、外周面の大部分に複数の歯を備え、中央に貫通孔を有する円板形状の歯車が、前記端足の場合には円板面が前記吊り部品の両端足を含む面に垂直となるように固定され、前記門足の場合には円板面が前記保持部品の両門足を含む面に垂直となるように固定され、
前記連結部において、前記歯車が固定された、前記端足又は前記門足に対応する、前記保持部品の前記門足の端部又は前記吊り部品の前記門足の端部には、先端が二股に分かれる二股部品が、前記門足の場合には前記二股が前記保持部品の両門足を含む面に平行となるように固定され、前記端足の場合には前記二股が前記吊り部品の両端足を含む面に平行となるように固定され、
前記連結部は、前記二股部品における前記二股の間に形成された凹部の中に、前記歯車が配置され、前記歯車の前記貫通孔に挿通され、前記二股部品の前記門形の内側の股から外側の股まで到達する軸により、回動自在に軸支されることにより形成され、
前記連結部における前記二股部品の前記凹部の中には、前記歯車の前記歯に噛み合うラチェット爪が、バネ機構により前記歯側に付勢するよう回動自在に取り付けられ、前記歯と前記ラチェット爪とが噛み合っている状態においては、前記吊り部品と前記保持部品との間の角度が開く方向の動きが阻止され、
前記ラチェット爪には、前記歯車の前記歯と前記ラチェット爪との噛み合いを解除するための解除レバーが、前記ラチェット爪と一体に回動する回動軸に固定され、前記解除レバーによる前記解除により、前記吊り部品と前記保持部品との間の角度が開くものであり、
前記バネ機構は、板ばねによるものである、
ハーモニカホルダー。
[2]
前記歯車と前記二股部品とは、前記端足と前記門足のそれぞれの両端に備えられている、態様[1]に記載のハーモニカホルダー。
[3]
前記挟持機構は、前記中央辺と、支持板と、2個のスプリングと、を備えており、
前記支持板は、前記門足のそれぞれが貫通する二つの孔を有し、前記孔に前記門足のそれぞれが挿通されて前記中央辺に平行に移動が可能となるよう備えられ、
前記スプリングは、前記支持板の前記中央辺とは逆の側の前記門足のそれぞれに備えられ、前記スプリングの力により、前記支持板を前記中央辺の方向に付勢し、これにより、前記中央辺と前記支持板との間にハーモニカを挟持するものであり、
前記中央辺に、中央に貫通孔を有するローラーが少なくとも2個、前記貫通孔に前記中央辺が挿通され、前記ハーモニカの着脱の際に前記着脱の方向に回転するよう備えられるとともに、
前記スプリンングのばね定数を、55gf/mm以上65gf/mm以下とする、態様[1]または[2]に記載のハーモニカホルダー。
[4]
前記門足は、演奏者が前記ハーモニカホルダーを着脱するための切り離し機構を有する、態様[1]から[3]のいずれか一態様に記載のハーモニカホルダー。
[5]
前記吊り部品、前記中央辺、及び前記門足以外の部品のいずれかは、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成される、態様[1]から[4]のいずれか一態様に記載のハーモニカホルダー。
[6]
前記軸は、前記二股部品の前記門形の内側の股を貫通している、態様[1]に記載のハーモニカホルダー。
[7]
前記軸は、前記二股部品の前記門形の外側の股を貫通していない、態様[1]に記載のハーモニカホルダー。
[8]
前記軸は、前記二股部品の前記門形の外側の股を貫通している、態様[1]に記載のハーモニカホルダー。
[9]
前記歯車は、前記歯が形成されていない領域を備え、前記領域に前記歯よりも突出した突起を備え、前記突起を支えにして前記解除レバーを操作することができる、態様[1]に記載のハーモニカホルダー。
[10]
前記歯車は、前記歯車から弧状に湾曲した腕を備え、前記腕の端部に前記端足の端部が連結されるものであり、
前記腕に連結した前記端足の延長線が、前記歯車の中央部を通過しないように、前記腕が配置され、これにより、前記連結部で前記ハーモニカホルダーを折り畳んで前記吊り部品と前記保持部品とを重ねたときに、前記端足と前記門足とが干渉せず、
前記腕の弧状の前記湾曲は、前記連結部で前記ハーモニカホルダーを折り畳んで前記吊り部品と前記保持部品とを重ねたときに、前記湾曲の内部空間に、前記二股部品の前記解除レバーが格納される大きさである、態様[1]から[5]のいずれか一態様に記載のハーモニカホルダー。
【発明の効果】
【0025】
本開示のハーモニカホルダーは、ラチェット機構を長期に機能させることができ、ハーモニカの交換が容易であり、ハーモニカホルダーのリングよりも大きな装着物を頭部に纏っている場合でも着脱が可能であり、様々なカラーのバリエーションを実現することができる。したがって、ハーモニカホルダーの耐用年数を伸ばしつつ、一人の演奏者がギターやピアノ等を演奏しながら、同時にハーモニカの演奏を行なう際の利便性を向上させることができ、また、様々な嗜好に合致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明のハーモニカホルダーの外観図である。
【
図2】従来の一般的なハーモニカホルダーの外観図である。
【
図3】ラチェット機構を備えるハーモニカホルダーの外観図である。
【
図4】ラチェット機構となる連結部の拡大平面図である。
【
図5】ラチェット機構となる連結部の拡大側面図である。
【
図6】ハーモニカホルダーを折り畳んだ状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
《ハーモニカホルダーの構成》
本発明のハーモニカホルダーは、演奏者の首回りに吊り下げて、演奏者の口元にハーモニカを留め置くためのハーモニカ用ホルダーである。本発明のハーモニカホルダーについ
て、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、一実施形態に係る、ラチェット機構を有する本発明のハーモニカホルダーの外観図である。
図4は、ラチェット機構となる連結部の平面図であり、
図5は、ラチェット機構となる連結部の側面図である。
【0030】
本発明のハーモニカホルダーは、演奏者の首回りに吊り下げるための吊り部品と、ハーモニカを挟持するための挟持機構を備える保持部品と、を備える。
【0031】
≪吊り部品≫
吊り部品は、2本の端足を備える略U字形状の部品であり、ハーモニカホルダー装着時には、略U字形状の頂部が演奏者の首回りに接し、当該接点にて、ハーモニカホルダーを演奏者の首回りに吊り下げる部品となる。
【0032】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、吊り部品3は、2本の端足3aを備え、曲線と直線とで形成されたU字形状となっている。
【0033】
<略U字形状>
本発明のハーモニカホルダーを構成する吊り部品において、略U字形状の曲率の大きさやU字部分の大きさ等は、特に限定されるものではない。一定率の曲線である必要もなく、例えば、コの字型形状で頂点が曲線となっている形状であってもよい。
【0034】
<端足>
2本の端足は、同一平面内に配置される。同一平面内に配置されることで、ハーモニカホルダーを折り畳んだ際に、嵩張りをなくしてコンパクトに持ち運ぶことができる。2本の端足は、同一平面内に配置されていれば、平行であってもそうでなくてもよい。すなわち、2本の端足は、同一平面内で、保持部品との連結部に向かって角度が開いていても、角度が閉じていてもよい。また、同一平面内であれば、2本の端足は直線のみで構成されていても、曲線を含む屈曲や円弧等を含んでいてもよい。
【0035】
<大きさ>
吊り部品全体の大きさや、略U字形状部分の大きさ等は、演奏者の首回りの大きさや演奏者が身に着ける衣装の形状等によって、適宜設定することができる。
【0036】
<材料>
吊り部品の材料は、特に限定されるものではない。加工がし易い観点から、例えば鉄等の金属であってもよい。また、軽量化の観点から、プラスチック等であってもよい。
【0037】
なお、本発明のハーモニカホルダーにおいては、吊り部品、後記する保持部品における中央辺、及び門足以外の部品のいずれかが、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されることにより、当該部品はアルマイト処理(陽極酸化処理)による着色が容易となり、カラーバリエーションが豊富なハーモニカホルダーとすることができる。これにより、例えば、演奏者の衣装や舞台セット、曲想に合わせて、ハーモニカホルダーのカラーを選択することができる。
【0038】
また、吊り部品、後記する保持部品における中央辺、及び門足以外の部品のいずれかが、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されることにより、ハーモニカホルダーの軽量化を図ることができ、更に、プラスチック等と比較して耐久性に優れたものとすることができる。
【0039】
アルミニウム又はアルミニウム合金で形成される部品としては、例えば、後記する保持部品における支持板、ローラー、スプリング、後記する切り離し機構、後記する連結部を構成する、歯車、二股部品、解除レバー、ホーロセット、蝶ナット等が挙げられ、少なくともこれらのいずれかであってよい。
【0040】
≪保持部品≫
保持部品は、門形の部品であり、門形の頂部となる直線状の中央辺と、中央辺から延出する2本の門足とを備え、門形の頂部にハーモニカを挟持するための挟持機構を備える。
【0041】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、保持部品4は、門形であり、門形の頂部となる直線状の中央辺4aと、中央辺4aから延出する2本の門足4bとを備え、門形の頂部に挟持機構を備えている。
【0042】
<挟持機構>
ハーモニカを挟持するための挟持機構は、門形の頂部となる直線状の中央辺と、当該中央辺に連結する2本の門足の中央辺周辺部と、支持板と、2個のスプリングと、で構成される。
【0043】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、挟持機構は、門形の頂部となる直線状の中央辺4aと、当該中央辺4aに連結する2本の門足4bの中央辺4a周辺部と、支持板5と、2個のスプリング6と、で構成されている。
【0044】
支持板は、門足のそれぞれが貫通する二つの孔を有し、当該孔に門足のそれぞれが挿通されて中央辺に平行に移動が可能となるよう備えられ、スプリングは、支持板の前記中央辺とは逆の側の門足のそれぞれに備えられ、スプリングの力により、支持板を中央辺の方向に付勢し、これにより、中央辺と支持板との間にハーモニカを挟持することができる。
【0045】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、支持板5は、門足4bのそれぞれが貫通する二つの孔を有し、当該孔に前記門足4bのそれぞれが挿通されて中央辺4aに平行に移動が可能となるよう備えられている。スプリング6は、支持板5の中央辺4aとは逆の側の門足4bのそれぞれに備えられている。
【0046】
[中央辺]
門形の頂部となる直線状の中央辺は、挟持機構において、2個のスプリングによって付勢される支持板とともにハーモニカを挟持する。本発明のハーモニカホルダーにおいては、中央辺は直線状の部品のみであってもよい。
【0047】
(材料)
保持部品となる門形の頂部の直線状の中央辺の材料は、特に限定されるものではない。加工がし易い観点から、例えば鉄等の金属であってもよい。また、軽量化の観点から、プラスチック等であってもよい。
【0048】
[スプリング]
上記の通り、ハーモニカホルダーは、演奏者の演奏中にハーモニカホルダーに挟持したハーモニカが落下しないように、支持板を保持金具の中央辺の方向に付勢するためのスプリングの力が大きい場合がある。そこで、本発明のハーモニカホルダーにおいては、スプリンングのばね定数を、55gf/mm以上65gf/mm以下とすることが好ましい。
【0049】
支持板を保持金具の中央辺の方向に付勢するためのスプリングのばね定数が、55gf/mm以上65gf/mm以下の範囲であれば、ハーモニカを挟持する力が適度となり、
ハーモニカの脱着をスムーズに行うことができる。これにより、演奏曲によって異なる複数のハーモニカを使用したいときに、演奏者が短時間でハーモニカの交換を実施することが可能となり、交換のために聴衆を待たせる時間を短くすることができる。
【0050】
[ローラー]
一方で、本発明のハーモニカホルダーにおいては、中央辺に、中央に貫通孔を有するローラーが少なくとも2個、備えられていてもよい。中央の貫通孔に、直線状の中央辺が挿通されたローラーは、演奏者が挟持機構からハーモニカを着脱する際に、着脱の方向に回転する。ローラーの回転により、演奏者はハーモニカの着脱を容易に実施することができるようになる。
【0051】
図1に示されるハーモニカホルダー1は、保持金具4の中央辺4aに、2個のローラー7aを有している。
【0052】
ハーモニカホルダーは、演奏者の演奏中にハーモニカホルダーに挟持したハーモニカが落下しないように、支持板を保持金具の中央辺の方向に付勢するためのスプリングの力が大きい場合がある。そこで、本発明のハーモニカホルダーにおいては、保持金具の中央辺に少なくとも2個のローラーを備えさせることにより、ハーモニカの脱着をスムーズに行うことができる。これにより、演奏曲によって異なる複数のハーモニカを使用したいときに、演奏者が短時間でハーモニカの交換を実施することが可能となり、交換のために聴衆を待たせる時間を短くすることができる。
【0053】
中央辺に備えさせるローラーの数は、挟持のバランスや安定性のために少なくとも2個であればよく、3個以上が備えられていてもよい。
【0054】
<門足>
2本の門足は、同一平面内に配置される。同一平面内に配置されることで、ハーモニカホルダーを折り畳んだ際に、嵩張りをなくしてコンパクトに持ち運ぶことができる。2本の門足は、同一平面内に配置されていれば、平行であってもそうでなくてもよい。すなわち、2本の門足は、同一平面内で、吊り部品との連結部に向かって角度が開いていても、角度が閉じていてもよい。また、同一平面内であれば、2本の門足は直線のみで構成されていても、曲線を含む屈曲や円弧等を含んでいてもよい。
【0055】
図1に示されるハーモニカホルダー1における2本の門足4bは、スプリング6の下方に1か所と、後記する切り離し機構8a付近に1か所の、合計2か所の屈曲を有している。
【0056】
[切り離し機構]
本発明のハーモニカホルダーにおいては、少なくとも1本の門足は、演奏者が前記ハーモニカホルダーを着脱するための切り離し機構を少なくとも1個有することが好ましい。切り離し機構は、門足の当該箇所を切り離して、吊り金具と保持金具とが結合して形成されるリングを断裂させるものである。切り離し機構により、演奏者が大きな帽子やウィッグ等、大きな装着物を頭部に纏っている際に、装着物を纏ったままでハーモニカホルダーを着脱することが可能となる。
【0057】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、2本の門足4bそれぞれが、後記する二股部品13に隣接するように門足4bに、切り離し機構8aを備えている。切り離し機構8aのいずれか一方、例えば利き手側の切り離し機構8aを切り離すことにより、吊り金具3と保持金具4とで形成されるリングを断裂させて、ハーモニカホルダー1を首の横側から装着することが可能となる。
【0058】
切り離し機構の構造は、特に限定されるものではない。門足の一部を切り離したり再連結したりする機能を有するものであればよい。また、その個数についても特に限定されるものではなく、少なくとも1本の門足が、少なくとも1個の切り離し機構を有していればよい。
【0059】
[材料]
門足の材料は、特に限定されるものではない。加工がし易い観点から、例えば鉄等の金属であってもよい。また、軽量化の観点から、プラスチック等であってもよい。
【0060】
<保持部品の大きさ>
保持部品全体の大きさや、挟持機構部分の大きさ等は、ハーモニカのサイズや演奏者の頭回りの大きさ、演奏者が身に着ける衣装の形状等によって、適宜設定することができる。
【0061】
≪連結部≫
ハーモニカホルダーは、吊り部品の端足の端部と、保持部品の門足の端部とが、回動可能に連結されて、連結部を構成する。
【0062】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、吊り部品3の端足3aの端部と、保持部品4の門足4bの端部とが、吊り部品3と保持部品4とが回動可能となるよう連結されて連結部10を構成している。
【0063】
<ラチェット機構>
本発明のハーモニカホルダーは、吊り部品の端足の端部と、保持部品の門足の端部との結合部の少なくとも一方に、ラチェット機構を備える。ラチェット機構は、2つの連結部の両方に備えられていてもよい。片方の連結部のみに備えさせる場合には、演奏者の利き手側に位置させることが好ましく、その場合のラチェット機構を備えない連結部の連結方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の連結方法を採用することができる。
【0064】
本発明のハーモニカホルダーのラチェット機構について、
図1、
図4、及び
図5を用いて詳細に説明する。
図4及び
図5は、
図1に示されるハーモニカホルダー1において、連結部10を180℃開いた状態の平面図、及び側面図である。
【0065】
本発明のハーモニカホルダーのラチェット機構は、歯車と、ラチェット爪を備える二股部品等で構成される。
【0066】
図1に示されるハーモニカホルダー1は、連結部10の片方に、ラチェット機構を備えている。ハーモニカホルダー1のラチェット機構は、歯車11と、ラチェット爪20を備える二股部品13等で構成される。
【0067】
本発明のハーモニカホルダーは、吊り部品の少なくとも一方の端足の端部又は保持部品の少なくとも一方の門足の端部に、外周面の大部分に複数の歯を備え、中央に貫通孔を有する円板形状の歯車が、端足の場合には円板面が吊り部品の両端足を含む面に垂直となるように固定され、門足の場合には円板面が前記保持部品の両門足を含む面に垂直となるように固定される。
【0068】
また、形成される連結部において、歯車が固定された、端足又は門足に対応する、保持部品の門足の端部又は吊り部品の門足の端部には、先端が二股に分かれる二股部品が、門足の場合には二股が保持部品の両門足を含む面に平行となるように固定され、端足の場合
には二股が吊り部品の両端足を含む面に平行となるように固定される。
【0069】
[歯車]
図1に示されるハーモニカホルダー1において、吊り部品3の両方の端足3aの端部には、外周面の大部分に複数の歯を備え、中央に貫通孔12を有する円板形状の歯車11が、円板面が吊り部品3の両端足3bを含む面に垂直となるようにそれぞれ固定されている。
【0070】
本発明のハーモニカホルダーにおいて、ラチェット機構を構成する歯車の歯の数、歯車の大きさや材質等は、ラチェット機構を構成する二股部品の大きさや、ラチェット爪の大きさ、材質等によって、適宜設定することができる。
【0071】
本発明のハーモニカホルダーにおいて、ラチェット機構を構成する歯車には、支持と指押さえのための突起を設けてもよい。具体的には、歯車に歯が形成されていない領域を備えさせて、当該領域に歯よりも突出した突起を備えさせる。これにより、演奏者は、当該突起を支えにしてラチェット機構の解除レバーを操作することができ、また、当該突起を指で押さえながら連結部の角度を調整することができる。また、装着前のハーモニカホルダーを開いた状態では、当該突起によって、ハーモニカホルダーを安定させて置くことができる。
【0072】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、
図5に示される拡大側面図に示されるように、歯車11に突起11aを備えている。
【0073】
[二股部品]
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、保持部品4の両方の門足4bの端部に、先端が二股に分かれ、二股のそれぞれに貫通孔16を有する二股部品13が、二股が保持部品4の両門足4bを含む面に平行となるようにそれぞれ固定されている。
【0074】
本発明のハーモニカホルダーにおいて、ラチェット機構を構成する二股部品の形状、大きさ等は、ラチェット機構を構成する歯車大きさや材質、ラチェット爪の大きさや材質等によって、適宜設定することができる。
【0075】
[連結構成]
歯車と二股部品とが連結されて形成される連結部は、二股部品における二股の間に形成された凹部の中に、歯車が配置され、歯車の貫通孔に挿通され、二股部品の門形の内側の股から外側の股まで到達する軸により、回動自在に軸支されることにより形成される。
【0076】
上記の通り、ラチェット機構は、2つの連結部の両方に備えられていてもよく、片方の連結部のみに備えられていてもよい。ラチェット機構を備えない連結部は、上記の歯車と二股部品を用いて形成された態様であってもよいし、その他の従来公知の連結方法を採用してもよい。
【0077】
従来公知の連結方法としては、例えば、特許文献1のように、頭の平らなねじと蝶ナットにより、吊り部品の端足と保持部品の門足とを直接的に連結する方法が挙げられる。
【0078】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、ラチェット機構は、片方の連結部にのみ備えられており、もう片方の連結部は、歯車と二股部品の連結のみで形成されている。
【0079】
ラチェット機構を有する連結部において、歯車と二股部品とを回動自在に軸支する方法は、歯車の中央の貫通孔に挿通され、二股部品の門形の内側の股から外側の股まで到達する軸を用いる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、ねじと蝶ナットを用いることにより軸支する方法が挙げられ、この場合には、二股部品の二股のそれぞれに貫通孔を設けて、二股部品の門形の内側に位置する貫通孔、歯車の貫通孔、二股部品の門形の外側に位置する貫通孔の順に、門形の内側からねじを挿通し、二股部品の門形の外側に露出させたねじ先に、蝶ナットを螺合してもよい。
【0080】
図1に示されるハーモニカホルダー1において、連結部10は、吊り部品3の端足3aの端部と、保持部品4の門足4bの端部とが連結されて形成されており、一方の連結部10はラチェット機構を有しており、もう一方の連結部10はラチェット機構を有さない。なお、ラチェット機構を有する連結部10については、
図4及び
図5に、拡大図を示す。
【0081】
ハーモニカホルダー1においては、いずれの連結部10においても、二股部品13における二股の間に形成された凹部の中に、円板状の歯車11が配置されている。そして、二股部品13の門形の内側に位置する股には、貫通孔16が設けられ、二股部品13の門形の外側に位置する股には、二股の内側に、軸を嵌合するための凹部が設けられている。
【0082】
ハーモニカホルダー1の連結部10は、二股部品13の門形の内側に位置する股に設けられた貫通孔16、円板状の歯車11の貫通孔12、及び二股部品の門形の外側に位置する股に設けられた軸を嵌合するための凹部、の順に、保持部品4の門形の内側から軸となるヘイコウピン15が挿通される。保持部品4の門形の内側となる、二股部品13の門形の内側に位置する股に設けられた貫通孔16は、例えばホーロセット(六角穴付き止めねじ)等によって封止される。二股部品13の門形の外側に位置する股の凹部には、ヘイコウピン15が嵌合される。これにより、ハーモニカホルダー1の連結部10は、回動自在に軸支される。
【0083】
本発明のハーモニカホルダーにおいて、
図1に示される連結部10にように、二股部品の門形の外側に位置する股に凹部を設けて、当該凹部にヘイコウピン等の軸を嵌合する態様とすれば、二股部品の外側に、蝶ナット等の突起物が存在することがなくなる。これにより、突起物によって、演奏者の衣装や装着物が損傷する等の事故を抑制することができる。
【0084】
[バネ機構]
ラチェット機構を形成する二股部品の凹部の中には、歯車の歯に噛み合うラチェット爪が、バネ機構により歯側に付勢するよう回動自在に取り付けられる。これにより、歯とラチェット爪とが噛み合っている状態においては、吊り部品と保持部品との間の角度が開く方向の動きが阻止される。
【0085】
本発明のハーモニカホルダーは、ラチェット機構においてラチェット爪を歯車の歯側に付勢するためのバネ機構に、板ばねを用いる。板ばねを用いることにより、スプリングばねを用いる場合と比較して、耐久性に優れ、ラチェット機構の耐用期間を長期化することができる。また、板ばねの形状を、ラチェット爪の形状に沿うようにすることも可能であり、これにより、バネ機構を小型化することができる。
【0086】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、ラチェット機構を有する連結部10には、二股部品13の凹部の中に、歯車11の歯に噛み合うラチェット爪20が、バネ機構となる板ばね23により、歯側に付勢するよう回動自在に取り付けられている。
【0087】
(材料)
本発明のハーモニカホルダーにおいて、バネ機構を構成する板ばねの材料は、特に限定されるものではない。耐久性のよいものを適宜選択することができる。
【0088】
[ラチェット爪]
バネ機構により歯側に付勢するよう回動自在に取り付けられるラチェット爪は、ラチェット機構を形成する二股部品の凹部の中に、歯車の歯に噛み合うように配置される。
【0089】
ラチェット爪には、歯車の歯とラチェット爪との噛み合いを解除するための解除レバーが、ラチェット爪と一体に回動する回動軸に固定されており、解除レバーによる解除により、吊り部品と保持部品との間の角度が開く。
【0090】
図1に示されるハーモニカホルダー1においては、ラチェット爪20には、歯車の歯とラチェット爪20との噛み合いを解除するための解除レバー24が、ラチェット爪20と一体に回動する回動軸21に固定されており、解除レバー24による解除により、吊り部品3と保持部品4との間の角度を開くことができる。
【0091】
(形状)
本発明のハーモニカホルダーにおいて、ラチェット爪の形状は、特に限定されるものではない。例えば、上記したラチェット機構を構成する歯車と略同じ幅を有する厚板状であってもよい。ラチェット爪が厚板状であり、歯車と略同じ幅を有することにより、ラチェット爪の耐久性を向上させることができる。
【0092】
(材料)
本発明のハーモニカホルダーにおいて、ラチェット機構を構成するラチェット爪の材料等は、特に限定されるものではない。耐久性のよいものを適宜選択することができる。
【0093】
≪ハーモニカホルダーの折り畳み≫
本発明のハーモニカホルダーは、折り畳んでコンパクト化して持ち運ぶことができる。折り畳んだ際に嵩張らない状態とするために、本発明のハーモニカホルダーは、以下の構成とすることが好ましい。
【0094】
ラチェット機構を構成する歯車は、歯車から弧状に湾曲した腕を備え、当該腕の端部に、吊り部品の端足の端部が連結されるようにする。このとき、歯車から延出する腕は、腕に連結した端足の延長線が、歯車の中央部を通過しないように配置される。これにより、連結部でハーモニカホルダーを折り畳んで、吊り部品と保持部品とを重ねたときに、吊り部品の端足と保持部品の門足とが干渉しなくなる。
【0095】
図6は、
図1に示されるハーモニカホルダー1を折り畳んだときのラチェット機構を有する連結部10付近の側面図である。
図6に示されるハーモニカホルダー1の連結部10においては、ラチェット機構を構成する歯車11は、歯車11から弧状に湾曲した腕30を備えている。湾曲した腕30の端部に、吊り部品3の端足の端部が連結され、歯車11から延出する湾曲した腕30は、湾曲した腕30連結した吊り部品3の端足の延長線が、歯車11の中央部を通過しないように配置されている。これにより、吊り部品3の端足と保持部品4の門足とは、干渉することがない。
【0096】
また、歯車から延出する腕の弧状の湾曲は、連結部でハーモニカホルダーを折り畳んで、吊り部品と保持部品とを重ねたときに、湾曲の内部空間に、二股部品の解除レバーが格納される大きさとする。これにより、連結部でハーモニカホルダーを折り畳んで、吊り部品と保持部品とを重ねたときに、二股部品の解除レバーが干渉しなくなる。
【0097】
図6に示されるハーモニカホルダー1のラチェット機構を有する連結部10においては、歯車11から延出する湾曲した腕30の弧状の湾曲の内部空間に、二股部品13の解除レバー24が格納されている。このように、湾曲した腕30の湾曲の大きさを、湾曲の内部空間に、二股部品13の解除レバー24が格納される大きさとすることにより、連結部10でハーモニカホルダー1を折り畳んで、吊り部品3と保持部品4とを重ねたときに、二股部品13に備えられた解除レバー24が干渉しなくなり、コンパクトに折り畳むことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のハーモニカホルダーは、ラチェット機構を長期に機能させることができ、ハーモニカの交換が容易であり、ハーモニカホルダーのリングよりも大きな装着物を頭部に纏っている場合でも着脱が可能であり、様々なカラーのバリエーションを実現することができる。したがって、ハーモニカホルダーの耐用年数を伸ばしつつ、一人の演奏者がギターやピアノ等を演奏しながら、同時にハーモニカの演奏を行なう際の利便性を向上させることができ、また、様々な嗜好に合致させることができ、音楽演奏者にとっての有用性は高い。
【符号の説明】
【0099】
1 ハーモニカホルダー
3 吊り部品
4 保持部品
3a 端足
4a、53a 中央辺
4b、53b 門足
5、55 支持板
6、56 スプリング
7a ローラー
8a 切り離し機構
10 連結部
11 歯車
11a 突起
12 貫通孔
13 二股部品
15 ヘイコウピン
16 貫通孔
20 ラチェット爪
21 回動軸
23 板ばね
24 解除レバー
25 操作端
30 湾曲した腕
50 ハーモニカホルダー
51 ハーモニカ
52 吊り金具
53 保持金具
57 蝶ナット
【要約】 (修正有)
【課題】耐久性に優れ、ラチェット機構の耐用期間を長期化すると共に、ハーモニカの交換が容易であるハーモニカホルダーを提供する。
【解決手段】ハーモニカホルダーは、演奏者の首回りに吊り下げるための吊り部品3と、ハーモニカを挟持するための挟持機構を備える保持部品4とが、回動可能となるよう連結する連結部10における二股部品13の凹部の中に、歯車11の歯に噛み合うラチェット爪20が、バネ機構により歯側に付勢するよう回動自在に取り付けられ、歯とラチェット爪20とが噛み合っている状態においては、吊り部品3と保持部品4との間の角度が開く方向の動きが阻止される。ラチェット爪20には、歯車11の歯とラチェット爪20との噛み合いを解除するための解除レバー24が、ラチェット爪20と一体に回動する回動軸21に固定され、解除レバー24による解除により、吊り部品3と保持部品4との間の角度が開く。
【選択図】
図5