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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20240328BHJP
   F04D 29/46 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
F04D29/44 X
F04D29/46 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019059367
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159281
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 修一
(72)【発明者】
【氏名】枡谷 穣
(72)【発明者】
【氏名】明連 千尋
(72)【発明者】
【氏名】得山 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥村 優太
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】窪田 治彦
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-155496(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128931(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D29/44-29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸線回りに回転可能な回転軸と、該回転軸に一体に設けられたインペラと、
該インペラを外周側から覆うとともに、作動流体が流通する流路を形成するケーシングと、
前記流路の下流側の端部に設けられ、前記主軸線を中心として渦巻き状に延びる吐出スクロールと、
該吐出スクロールの下流側に連通するとともに、該吐出スクロールに対して前記主軸線回りの接線方向に延びる吐出ノズルと、
前記主軸線に直交する径方向に延びる前記吐出ノズルの軸線に直交する方向に延びる板状をなして、該吐出ノズルの流路断面の一部を閉塞可能な圧損体としての多孔板と、
を備え、
前記多孔板は、前記主軸線に対する径方向の外側における前記吐出ノズルの端部に設けられ、前記吐出ノズルの内周面に沿って延びるとともに前記軸線を中心とする環状をなしており、
前記吐出ノズルは、上記主軸線の径方向内側から径方向外側に向かうに従って内径寸法が次第に拡大している圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に遠心圧縮機は、軸線回りに回転可能な回転軸と、この回転軸に一体に設けられた1つ又は複数のインペラと、これらインペラを外周側から覆うとともに作動流体が流通する流路を形成するケーシングと、を備えている。流路の上流側下流側の端部にはそれぞれ吸入ノズルと吐出ノズルとが設けられている。回転軸が回転することにより、吸入ノズルから流路内に作動流体が吸入され、流路を通過する中途でインペラによって高圧状態となる。高圧となった作動流体は吐出ノズルから外部に取り出される。
【0003】
ここで、上記のような遠心圧縮機では、定格流量よりも少ない流量で運転する場合に、不安定な挙動を示すことがある。具体的には、流量が少ない場合、吐出ノズル側での圧力損失が不十分となるため、安定的に揚程を得られないことがある。このような運転条件下での安定運転を実現するための技術として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に係る装置では、出口スクロールの内部に圧力損失を生じさせるための面積調整手段が設けられている。この面積調整手段によって出口スクロールの流路断面積を減少させることで、小流量であっても十分な圧力損失を得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-184758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出口スクロールは複雑な形状を有しているため、内部の作動流体の流れが流路断面内で均一な分布とならない。このため、上記特許文献1のような面積調整手段を設けた場合であっても、所望の圧力損失を生じさせることが難しい場合がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、より安定的に運転することが可能な圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る圧縮機は、主軸線回りに回転可能な回転軸と、該回転軸に一体に設けられたインペラと、該インペラを外周側から覆うとともに、作動流体が流通する流路を形成するケーシングと、前記流路の下流側の端部に設けられ、前記主軸線を中心として渦巻き状に延びる吐出スクロールと、該吐出スクロールの下流側に連通するとともに、該吐出スクロールに対して前記主軸線回りの接線方向に延びる吐出ノズルと、前記主軸線に直交する径方向に延びる前記吐出ノズルの軸線に直交する方向に延びる板状をなして、該吐出ノズルの流路断面の一部を閉塞可能な圧損体としての多孔板と、を備え、前記多孔板は、前記主軸線に対する径方向の外側における前記吐出ノズルの端部に設けられ、前記吐出ノズルの内周面に沿って延びるとともに前記軸線を中心とする環状をなしており、前記吐出ノズルは、上記主軸線の径方向内側から径方向外側に向かうに従って内径寸法が次第に拡大している。
【0008】
上記構成によれば、圧損体が設けられていることによって、吐出ノズルの流路断面の一部を閉塞可能である。これにより、吐出ノズル内で作動流体の圧力損失を確保することができる。特に、吐出ノズル内では、流体は軸線に直交する流路断面内で均一な流速分布を形成することから、圧縮機の他の部分に圧損体を設けた場合に比べて、圧力損失の大きさを容易かつ正確に調整することができる。
また、圧損体が吐出ノズルの径方向外側の端部に設けられることから、外部からアクセスしやすく、より容易に圧損体を取り付けることができる。また、吐出ノズルの径方向外側の端部では、径方向内側の部分に比べて流路断面における流速分布がさらに均一となることから、圧力損失の大きさをさらに容易かつ正確に調整することができる。
さらに、圧損体が多孔板によって形成されていることから、例えば多孔板の開孔率を変えることによって、より容易かつ精密に吐出ノズルにおける圧力損失の大きさを調整することができる。
また、上記構成によれば、圧損体が軸線を中心とする環状をなしている。即ち、圧損体の形状が単純であるため、より容易かつ廉価に吐出ノズルにおける圧力損失の大きさを調整することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より安定的に運転することが可能な圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一実施形態に係る圧縮機の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る吐出ノズルの拡大断面図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る吐出スクロール及び吐出ノズルを主軸線方向から見た断面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る吐出ノズルを軸線方向から見た図である。
図5】本発明の第三実施形態に係る吐出ノズルを軸線方向から見た図である。
図6】本発明の第四実施形態に係る吐出ノズルを軸線方向から見た図である。
図7】本発明の第五実施形態に係る吐出ノズルを軸線方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について図1図2を参照して説明する。図1に示すように、遠心圧縮機1(圧縮機)は、主として、主軸線O回りに回転する回転軸2と、回転軸2に固定されて遠心力を利用して流体であるプロセスガスGを圧縮するインペラ3と、回転軸2を回転可能に支持するケーシング10とを備えている。
【0026】
回転軸2は、主軸線Oを中心とした円柱状をなしている。インペラ3は、主軸線Oの方向に互いに離間して複数が配列されている。各々のインペラ3は、略円盤状をなしており、回転軸2に嵌め込まれることで回転軸2とともに主軸線Oを中心として回転可能となっている。また、それぞれのインペラ3には、内部にプロセスガスGが流通可能な流路FCが形成されている。
【0027】
ケーシング10は、各々のインペラ3を外周側から覆って、回転軸2及びインペラ3を回転可能に支持するスラスト軸受13a及びラジアル軸受13bが設けられたケーシング本体11と、このケーシング本体11を外周側から覆う外側ケーシング本体12と、外側ケーシング本体12に設けられた吸込ノズル16及び吐出ノズル15とを有している。
【0028】
ケーシング本体11は、本実施形態では、主軸線Oを中心とした円盤状をなす複数のダイヤフラム11a、及びこれらダイヤフラムを主軸線Oの方向の両端で挟み込むヘッド11bとを有している。
【0029】
ケーシング本体11には、一段目のインペラ3a(主軸線Oの方向の一方側端に配置されたインペラ3)の入口側となるインペラ3aよりも主軸線Oの方向の一方側で、吸込スクロールB1が形成されている。また、ケーシング本体11には、最終段のインペラ3b(主軸線Oの方向の他方側のインペラ3)の出口側となるインペラ3bの径方向外側で、吐出ボリュートB2が形成されている。
【0030】
吸込スクロールB1は、ケーシング本体11の内部に形成されており、主軸線Oを中心とした渦巻き状をなし、ケーシング本体11の径方向外側から流入するプロセスガスGを、主軸線Oの方向に沿うように流通させて一段目のインペラ3aの流路FCに導入する。吐出スクロールB2は、ケーシング本体11の内部に形成されており、主軸線Oを中心とした環状をなし、最終段のインペラ3bの流路FCから径方向外側に流出するプロセスガスGをケーシング本体11から外部へ吐出する。
【0031】
外側ケーシング本体12は、主軸線Oを中心とした円筒状をなし、ケーシング本体11を外周側から覆うとともにケーシング本体11を固定している。吐出ノズル15は、外側ケーシング本体12に設けられ、吐出スクロールB2に連通し、吐出スクロールB2からのプロセスガスGを吐出可能とする。即ち、吐出ノズル15は、吐出スクロールB2が形成された位置に対応する主軸線Oの方向の位置で、外側ケーシング本体12から径方向外側に延びている。この吐出ノズル15は、外側ケーシング本体12における周方向の一か所のみに設けられていてもよいし、周方向に互いに離間して複数設けられていてもよい。吐出ノズル15の出口側端部には、後述する圧損体5が設けられている。
【0032】
吸込ノズル16は、吸込スクロールB1に連通し、吸込スクロールB1に外部からプロセスガスGを吸い込み可能としている。即ち、吸込ノズル16は、吸込スクロールB1が形成された位置に対応する主軸線Oの方向の位置で、外側ケーシング本体12から径方向外側に延びている。
【0033】
吸込スクロールB1は、回転軸2の外周側に形成された主軸線Oを中心とした渦巻き状をなすプロセスガスGのガス流路である。吸込スクロールB1の内部で外側ケーシング本体12には、回転軸2を取り囲むようにして、主軸線Oを中心として放射状に配置された複数の案内翼41が設けられている。 案内翼41は、上記の仮想線Lを中心として左右対称の形状をなすように配置されている。各々の案内翼41では、主軸線Oに直交する断面形状が、回転軸2に近づくにつれて回転軸2の径方向に向かうように湾曲した形状をなしている。そして案内翼41は、主吸込ノズル21からのプロセスガスGをインペラ3の流路FCに向かって径方向外側及び主軸線Oの一方側から導入可能としている。
【0034】
吸込スクロールB1の内部で、外側ケーシング本体12に形成された主開口25の近傍には、上記の仮想線L上に配置された入口整流板42が一つ設けられている。入口整流板42は、外側ケーシング本体12と案内翼41との間に配置され、主軸線Oに直交する断面形状が、径方向の中間部で膨らんだ翼形状をなしている。この入口整流板42によって、主吸込ノズル21から吸い込まれたプロセスガスGが、周方向の両側に分流される。
【0035】
次に、図2を参照して、吐出ノズル15の構成について詳述する。同図に示すように、吐出ノズル15は、上記の主軸線Oに直交する方向(即ち、主軸線Oに対する径方向)に延びる軸線Aに沿って下方に延びる筒状をなしている。なお、以降の説明では、主軸線Oの径方向内側を軸線A方向一方側と呼び、径方向外側を軸線A方向他方側と呼ぶことがある。吐出ノズル15は、吐出ノズル本体15Aと、フランジ部15Bと、を有している。吐出ノズル本体15Aの内周面15aは、軸線A方向一方側から他方側に向かうに従って内径寸法が次第に拡大している。フランジ部15Bは、吐出ノズル本体15Aにおける軸線A方向他方側の端部に設けられている。フランジ部15Bは、軸線Aを中心とする円環状をなしている。
【0036】
フランジ部15Bの内周側の面(フランジ内面15b)には、圧損体5が取り付けられている。圧損体5は、吐出ノズル15における作動流体の圧力損失を調整するために設けられている。本実施形態に係る圧損体5は多孔板によって形成され、軸線Aを中心とする円形板状をなしている。圧損体5は複数の開孔を有する多孔板で形成されている。つまり、この圧損体5は、吐出ノズル15の流路断面積の一部を閉塞している。
【0037】
続いて、本実施形態に係る遠心圧縮機1の動作について説明する。遠心圧縮機1を運転するに当たっては、例えば電動機等の駆動源によって回転軸2及びインペラ3を主軸線O回りに回転させる。これにより、吸込ノズル16を通じて外部の作動流体がケーシング10の内部に取り込まれる。作動流体は、ケーシング10内の流路FCを上流側から下流側に向かって流れる中途で徐々に圧縮されて高圧状態となる。高圧状態となった作動流体は、吐出スクロールB2、及び吐出ノズル15を経て外部に取り出される。
【0038】
ここで、上記のような遠心圧縮機1では、定格流量よりも少ない流量で運転する場合に、不安定な挙動を示すことがある。具体的には、流量が少ない場合、吐出ノズル15側での圧力損失が不十分となるため、安定的に揚程を得られないことがある。そこで、本実施形態に係る遠心圧縮機1では、吐出ノズル15の出口に圧損体5が設けられている。
【0039】
圧損体5が設けられていることによって、吐出ノズル15の流路断面の一部を閉塞可能である。言い換えれば、作動流体は、多孔板によって形成された圧損体5の開孔のみを通過する。これにより、吐出ノズル15内で作動流体の圧力損失を確保することができる。特に、吐出ノズル15内では、作動流体は軸線Aに直交する流路断面内で均一な流速分布を形成することから、遠心圧縮機1の他の部分に圧損体5を設けた場合に比べて、圧力損失の大きさを容易かつ正確に調整することができる。その結果、小流量の運転条件下でより安定的に遠心圧縮機1を運転することができる。
【0040】
さらに、上記構成によれば、圧損体5が吐出ノズル15の径方向外側の端部に設けられることから、外部からアクセスしやすく、より容易に圧損体5を取り付けることができる。また、吐出ノズル15の径方向外側の端部では、径方向内側の部分に比べて流路断面における流速分布がさらに均一となることから、圧力損失の大きさをさらに容易かつ正確に調整することができる。
【0041】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、圧損体5は、吐出ノズル15の端部ではなく、軸線A方向における吐出ノズル15の中途位置に設けられていてもよい。この構成によれば、圧損体5の位置をより高い自由度のもとで設定することができるため、より精密に圧力損失の大きさを調整することができる。
【0042】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図3図4を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図3に示すように、本実施形態では、圧損体5bが、吐出ノズル15の出口端部15tにおける半分を閉塞している。より具体的には図4に示すように、圧損体5bは、吐出ノズル15の流路断面における軸線Aの位置を通る分割線Lを基準として、吐出スクロールB2から離間する側の部分に設けられている。なお、この圧損体5bは、上記第一実施形態で説明した多孔板によって形成されていてもよいし、開孔が形成されていない平滑な板材によって形成されていてもよい。
【0043】
ここで、作動流体は、吐出スクロールB2から吐出ノズル15に向かって主軸線Oの接線方向に流れる。吐出スクロールB2を通過する際に、作動流体には主軸線Oを中心とする遠心力が働く。これにより、吐出ノズル15の流路断面では、吐出スクロールB2から離間する側の部分において、吐出スクロールB2に近接する側(図3中の鎖線矢印)の流れよりも流速が高くなっている(図3中の実線矢印)。上記の構成によれば、このように流速が比較的に高い部分に圧損体5bが設けられていることから、より効果的に圧力損失を生じさせることができる。その結果、小流量の運転条件下でより安定的に遠心圧縮機1を運転することができる。
【0044】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0045】
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について、図5を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図5に示すように、本実施形態では、圧損体5cが、吐出ノズル15の内周面に沿って円環状に広がっている。つまり、この圧損体5cは、軸線Aを中心とする円環状をなすとともに、フランジ部15Bの内周面(フランジ内面15b)に沿って延びている。なお、この圧損体5cは、上記第一実施形態で説明した多孔板によって形成されていてもよいし、開孔が形成されていない平滑な板材によって形成されていてもよい。
【0046】
上記構成によれば、圧損体5cが軸線Aを中心とする環状をなしている。即ち、圧損体5cの形状が単純であるため、より容易かつ廉価に吐出ノズル15における圧力損失の大きさを調整することができる。
【0047】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0048】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図6を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図6に示すように、本実施形態では、圧損体5dが、吐出ノズル15の出口における軸線Aを含む中央部分のみに設けられている。つまり、圧損体5dは、フランジ内面15bよりも小さな径寸法を有する円形板状をなしている。圧損体5dは、周方向に間隔を空けて配列された複数(4つ)の支持部材Spによって、フランジ内面15bに固定されている。なお、この圧損体5dは、上記第一実施形態で説明した多孔板によって形成されていてもよいし、開孔が形成されていない平滑な板材によって形成されていてもよい。
【0049】
上記構成によれば、圧損体5dが吐出ノズル15の中央部分にのみ設けられている。即ち、圧損体5dの形状が単純であるため、より容易かつ廉価に吐出ノズル15における圧力損失の大きさを調整することができる。
【0050】
以上、本発明の第四実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0051】
[第五実施形態]
続いて、本発明の第五実施形態について、図7を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図7に示すように、本実施形態では、圧損体5eが、吐出ノズル15の出口端部15tで、回動軸C回りに回動可能とされている。圧損体5eは、出口端部15tの全体を閉塞可能な径寸法を有する円形板状をなしている。回動軸Cは、軸線Aに直交する方向に延びている。回動軸Cは、圧損体5eの中心を通っている。したがって、圧損体5eの回動量を変化させることで、吐出ノズル15から吐出される作動流体の流量を自在に調整することが可能とされている。
【0052】
上記構成によれば、圧損体5eを回動軸C回りに回動させることで、遠心圧縮機1の施行工事が完了した後であっても吐出ノズル15の流路断面積を自在に調整することができる。その結果、吐出ノズル15における圧力損失の大きさをより容易かつ正確に調整することができる。
【0053】
以上、本発明の第五実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 遠心圧縮機
2 回転軸
3,3a,3b インペラ
5,5b,5c,5d,5e 圧損体
10 ケーシング
11 ケーシング本体
11a ダイヤフラム
11b ヘッド
12 外側ケーシング本体
13a スラスト軸受
13b ラジアル軸受
15 吐出ノズル
15A 吐出ノズル本体
15a 内周面
15B フランジ部
15b フランジ内面
15t 出口端部
16 吸込ノズル
21 主吸込ノズル
22 補助吸込ノズル
25 主開口
41 案内翼
42 入口整流板
A 軸線
B1 吸込スクロール
B2 吐出スクロール
C 回動軸
L 分割線
O 主軸線
Sp 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7