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特許7461721ブレーキシステムを作動させる方法およびブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ブレーキシステムを作動させる方法およびブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
B60T8/17 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019115481
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2020032997
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】10 2018 211 687.3
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】長倉 安孝
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0211685(US,A1)
【文献】特開2008-273384(JP,A)
【文献】特開2015-077964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのブレーキシステム(1)を作動させる方法であって、
前記ブレーキシステム(1)のマスタブレーキシリンダ(10)で、前記マスタブレーキシリンダ(10)に接続された第1のブレーキ回路(12)で、および前記マスタブレーキシリンダ(10)に接続された第2のブレーキ回路(14)で生じている圧力が前記第1のブレーキ回路(12)の少なくとも1つの第1のバルブ(16)または前記第2のブレーキ回路(14)の少なくとも1つの第2のバルブ(18)を開くことによって低減されるステップを有し、その場合ブレーキ液が少なくとも1つの開いた前記第1のバルブ(16)を介して前記第1のブレーキ回路(12)の後置された第1の備蓄室(20)へ、または少なくとも1つの開いた前記第2のバルブ(18)を介して前記第2のブレーキ回路(14)の後置された第2の備蓄室(22)へ流出するようになっている、そのような方法において、前記ブレーキシステム(1)の第1のブレーキトルクと、発電機動作モードで作動する電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調中に、前記第1のブレーキ回路(12)の少なくとも1つの前記第1のバルブ(16)と前記第2のブレーキ回路(14)の少なくとも1つの前記第2のバルブ(18)とが交互に開閉されることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの前記第1のバルブは前記第1のブレーキ回路(12)のホイール取込弁(33)または前記第1のブレーキ回路(12)の減圧バルブ(16)であり、少なくとも1つの前記第2のバルブは前記第2のブレーキ回路(12)のホイール取込弁(40)または前記第2のブレーキ回路(14)減圧バルブ(18)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第1のバルブ(16)は自動車のリアアクスル(24)に配置された前記第1のブレーキ回路(12)の第1のホイールブレーキ(26)に付属し、少なくとも1つの前記第2のバルブ(18)は自動車の前記リアアクスル(24)に配置された前記第2のブレーキ回路(14)の第2のホイールブレーキ(28)に付属することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブレーキシステム(1)の実際圧力が前記ブレーキシステム(1)の目標圧力を上回っていることが検出されたとき、前記第1のブレーキ回路(12)の前記第1のバルブ(16)と前記第2のブレーキ回路(14)の前記第2のバルブ(18)が交互に開閉されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレーキシステム(1)の実際圧力が前記ブレーキシステム(1)の目標圧力を上回っていて、開いた前記第1のバルブ(16)または第2のバルブ(18)を通る貫流容積が所定の閾値を上回っていることが検出されたとき、前記第1のブレーキ回路(12)の前記第1のバルブ(16)と前記第2のブレーキ回路(14)の前記第2のバルブ(18)が同時に開かれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の備蓄室(20)にある第1のブレーキ液容積と前記第2の備蓄室(22)にある第2のブレーキ液容積との差異が所定の閾値を上回っていることが検出されたとき、次回の圧力低減のときに直近の圧力低減とは別のバルブが開かれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の備蓄室(20)にある第1のブレーキ液容積と前記第2の備蓄室(22)にある第2のブレーキ液容積との差異が所定の閾値を下回っていることが検出されたとき、次回の圧力低減のときに直近の圧力低減のときと同じバルブが開かれることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の備蓄室(20)にある第1のブレーキ液容積と前記第2の備蓄室(22)にある第2のブレーキ液容積との差異の閾値が0.1mlであることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のブレーキ回路(14)の前記第2のバルブ(18)に対する前記第1のブレーキ回路(12)の前記第1のバルブ(16)の公差に起因する貫流容積の差異が検出されて保存されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のブレーキ回路(12)の前記第1のバルブ(16)または前記第2のブレーキ回路(14)の前記第2のバルブ(18)が公差に起因する貫流容積の差異が補償されるように制御されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ブレーキシステム(1)の圧力が前記第1のブレーキ回路(12)または前記第2のブレーキ回路(14)に配置された圧力センサ(29)によって検出されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
自動車のためのブレーキシステム(1)であって、マスタブレーキシリンダ(10)と、前記マスタブレーキシリンダ(10)に接続された第1のブレーキ回路(12)と、前記マスタブレーキシリンダ(10)に接続された第2のブレーキ回路(14)と、前記第1のブレーキ回路(12)の第1のバルブ(16)および前記第2のブレーキ回路(14)の第2のバルブ(18)を制御するための制御装置とを有し、前記ブレーキシステム(1)の前記マスタブレーキシリンダ(10)で、前記マスタブレーキシリンダ(10)に接続された前記第1のブレーキ回路(12)で、および前記マスタブレーキシリンダ(10)に接続された前記第2のブレーキ回路(14)で生じている圧力が前記第1のブレーキ回路(12)の少なくとも1つの第1のバルブ(16)または前記第2のブレーキ回路(14)の少なくとも1つの第2のバルブ(18)を開くことによって低減可能であり、その場合、ブレーキ液が少なくとも1つの開いた前記第1のバルブ(16)を介して前記第1のブレーキ回路(12)の後置された第1の備蓄室(20)へ流出するか、または少なくとも1つの開いた前記第2のバルブ(18)を介して前記第2のブレーキ回路(14)の後置された第2の備蓄室(22)へ流出するようになっている、そのようなブレーキシステムにおいて、前記ブレーキシステム(1)の第1のブレーキトルクと、発電機動作モードで作動する電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調中に、前記制御装置が、前記第1のブレーキ回路(12)の少なくとも1つの前記第1のバルブ(16)と前記第2のブレーキ回路(14)の少なくとも1つの前記第2のバルブ(18)とが交互に開閉されるようにセットアップされていることを特徴とするブレーキシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのブレーキシステムを作動させる方法に関する。さらに本発明は、自動車のためのブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシステムを作動させる従来の方法は、ブレーキシステムのマスタブレーキシリンダで、マスタブレーキシリンダに接続された第1のブレーキ回路で、およびマスタブレーキシリンダに接続された第2のブレーキ回路で生じている圧力が第1のブレーキ回路の少なくとも1つの第1のバルブまたは第2のブレーキ回路の少なくとも1つの第2のバルブを開くことによって低減されるステップを含んでおり、その場合ブレーキ液が少なくとも1つの開いた第1のバルブを介して第1のブレーキ回路の後置された第1の備蓄室へ、または少なくとも1つの開いた第2のバルブを介して第2のブレーキ回路の後置された第2の備蓄室へ流出するようになっている。
【0003】
特許文献1は、マスタブレーキシリンダと、第1の備蓄室を備える第1のブレーキ回路と、第1のホイールブレーキシリンダと、第2のホイールブレーキシリンダとを有する自動車のためのブレーキシステムを開示しており、第1のホイールブレーキシリンダは第1のバルブを介して第1の備蓄室と、また第2のホイールブレーキシリンダは第2のバルブを介して第1の備蓄室と液圧接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102016208529号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、自動車のためのブレーキシステムを作動させる方法を提供し、第1のブレーキ回路の少なくとも1つの第1のバルブと第2のブレーキ回路の少なくとも1つの第2のバルブとが交互に開かれる。
【0006】
さらに本発明は、自動車のためのブレーキシステムを提供し、制御装置は、第1のブレーキ回路の少なくとも1つの第1のバルブと第2のブレーキ回路の少なくとも1つの第2のバルブとを交互に開くようにセットアップされている。
【0007】
本発明の思想は、第1のブレーキ回路の第1のバルブと第2のブレーキ回路の第2のバルブを交互に開くという手段によって、第1のブレーキ回路の第1の備蓄室と第2のブレーキ回路の第2の備蓄室とのいっそう均等な充填をそれぞれのバルブによって実現することにある。従来式では、両方のバルブが常に同時に開かれる。
【0008】
しかしこのことは、従来のバルブのそれぞれ異なる公差に基づき、備蓄室のそれぞれ異なる充填を意味している。本発明ではそのつど1つのバルブだけが開かれることによって、開いたバルブを通るブレーキ液の実際の貫流を検出可能であり、そのようにして、他方のバルブを通る作動液の貫流と比較可能である。
【0009】
このように、それぞれのバルブの公差を測定して保存しておくことができるという利点があり、それにより、そこからブレーキシステムを作動させるためのモデルを導き出すことが可能であり、それにより、それぞれの測定された公差を補償可能であるように、それぞれのバルブを作動させる。
【0010】
好ましい実施形態と発展例は、従属請求項ならびに図面を参照した説明から明らかとなる。
【0011】
1つの好ましい発展例では、第1のブレーキ回路の少なくとも1つの第1のバルブは第1のホイール取込弁または第1のブレーキ回路の第1のバルブであり、第2のブレーキ回路の少なくとも1つの第2のバルブは第2のホイール取込弁または第2のバルブであることが意図される。
【0012】
このように、システム上の要求事項ないし前提条件に応じて、本発明による方法を実施するためにホイール取込弁またはバルブを使用することができる。
【0013】
別の好ましい発展例では、少なくとも1つの第1のバルブは、自動車のリアアクスルに配置された第1のブレーキ回路の第1のホイールブレーキに付属することが意図され、少なくとも1つの第2のバルブは、自動車のリアアクスルに配置された第2のブレーキ回路の第2のホイールブレーキに付属する。このように、自動車のリアアクスルのそれぞれのホイールブレーキのうちの1つの圧力の改善された制御を実現することができるという利点がある。
【0014】
別の好ましい発展例では、ブレーキシステムの実際圧力がブレーキシステムの目標圧力を上回っていることが検出されたとき、第1のブレーキ回路の第1のバルブと第2のブレーキ回路の第2バルブが交互に開かれることが意図される。このように、ブレーキシステムの実際圧力を、それが再び目標圧力に一致するように制御することができる。
【0015】
別の好ましい発展例では、ブレーキシステムの実際圧力がブレーキシステムの目標圧力を上回っていて、開いた第1のバルブまたは第2のバルブを通る貫流容積が所定の閾値を上回っていることが検出されたとき、第1のブレーキ回路の第1のバルブと第2のブレーキ回路の第2のバルブが同時に開かれることが意図される。このように、両方のバルブが同時に開くことによるそれぞれ個々のバルブの損傷ないし過負荷を防止することができるという利点がある。
【0016】
別の好ましい発展例では、第1の備蓄室にある第1のブレーキ液容積と第2の備蓄室にある第2のブレーキ液容積との差異が所定の閾値を上回っていることが検出されたとき、次回の圧力低減のときに直近の圧力低減とは別のバルブが開かれることが意図される。このように、第1のブレーキ回路と第2のブレーキ回路の備蓄室の均等な充填が実現されることを保証できるという利点がある。
【0017】
別の好ましい発展例では、第1の備蓄室にある第1のブレーキ液容積と第2の備蓄室にある第2のブレーキ液容積との差異が所定の閾値を下回っていることが検出されたとき、次回の圧力低減のときに直近の圧力低減のときと同じバルブが開かれることが意図される。
【0018】
このように、それぞれの充填が所定の限界値を上回っているか、それとも下回っているか検出され、それに対する応答としてブレーキシステムが制御されることによって、同様に第1のブレーキ回路と第2のブレーキ回路の備蓄室の均等な充填を実現することができる。
【0019】
別の好ましい発展例では、第1の備蓄室にある第1のブレーキ液容積と第2の備蓄室にある第2のブレーキ液容積との差異の閾値は0.1mlであることが意図される。それにより、第1のブレーキ回路と第2のブレーキ回路の備蓄室のほぼ類似するレベルに合わせた充填を保証することができる。
【0020】
別の好ましい発展例では、第1のブレーキ回路の少なくとも1つの第1のバルブと第2のブレーキ回路の少なくとも1つの第2のバルブの交互の開放は、液圧ブレーキシステムの第1のブレーキトルクと、発電機動作モードで作動する電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調中に実行されることが意図される。
【0021】
とりわけ、自動車がたとえば電気機械のブレーキトルクによって停車まで減速されるケースでは、車両が停車する前に、電気機械のブレーキトルクを液圧ブレーキシステムのブレーキトルクと協調させることが必要である。
【0022】
別の好ましい発展例では、第2のブレーキ回路の第2のバルブに対する第1のブレーキ回路の第1のバルブの公差に起因する貫流容積の差異が検出されて保存されることが意図される。このように、相応のバルブを通る貫流容積の公差に起因する差異を正確に決定することができる。
【0023】
別の好ましい発展例では、第1のブレーキ回路の第1のバルブまたは第2のブレーキ回路の第2のバルブは、公差に起因する貫流容積の差異が補償されるように制御されることが意図される。それにより、それぞれのバルブを通る貫流容積の非常に正確な制御を提供できるという利点があり、それにより、第1のバルブと第2のバルブについて貫流容積が実質的に同じレベルになる。
【0024】
別の好ましい発展例では、第1のブレーキ回路または第2のブレーキ回路に配置された圧力センサによってブレーキシステムの圧力が検出されることが意図される。したがって本件のブレーキシステムの枠内では、ブレーキシステムの両方のブレーキ回路について1つの圧力センサしか必要なく、それに対して従来式では少なくとも2つの圧力センサが必要である。
【0025】
上述した実施形態や発展例は互いに任意に組み合わせることができる。
【0026】
本発明のその他の可能な実施形態、発展例、および具体化は、上記および以下に実施例に関して説明する本発明の構成要件の明示的には挙げられていない組み合わせも含む。
【0027】
添付の図面は本発明の実施形態のさらなる理解を補助するためのものである。図面は実施形態を示しており、記述との関連で、本発明の原理とコンセプトの説明に利用される。
【0028】
その他の実施形態および挙げられている利点の多くは図面に照らして明らかとなる。図面の示されている部材は必ずしも互いに縮尺に忠実に示されてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の好ましい実施形態に基づく、自動車のためのブレーキシステムの液圧回路図である。
図2】本発明の好ましい実施形態に基づく、自動車のためのブレーキシステムを作動させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面の各図では、別段の断りがない限り、同じ符号は同じ、もしくは機能が同じ部材、構成部品、またはコンポーネントを表す。
【0031】
図1は、本発明の好ましい実施形態に基づく、自動車のためのブレーキシステムの液圧回路図を示している。
【0032】
自動車のためのブレーキシステム1は、マスタブレーキシリンダ10と、マスタブレーキシリンダ10に接続された第1のブレーキ回路12と、マスタブレーキシリンダ10に接続された第2のブレーキ回路14とを有している。
【0033】
さらにブレーキシステム1は、第1のブレーキ回路12の第1のバルブ16と第2のブレーキ回路14の第2のバルブ18を制御するための(図1には示さない)制御装置を有している。
【0034】
ブレーキシステム1のマスタブレーキシリンダ10で、マスタブレーキシリンダ10に接続された第1のブレーキ回路12で、およびマスタブレーキシリンダ10に接続された第2のブレーキ回路14で生じている圧力を、第1のブレーキ回路12の少なくとも1つの第1のバルブ16または第2のブレーキ回路14の少なくとも1つの第2のバルブ18を開くことによって低減可能である。
【0035】
それぞれのバルブ16,18を開くことで、ブレーキ液が少なくとも1つの開いた第1のバルブ16を介して第1のブレーキ回路の後置された第1の蓄積室20の中に流れ、または、少なくとも1つの開いた第2のバルブ18を介して第2のブレーキ回路14の後置された第2の蓄積室22の中に流れる。制御装置は、第1のブレーキ回路12の少なくとも1つの第1のバルブ16と第2のブレーキ回路14の少なくとも1つの第2のバルブ18を交互に開くようにセットアップされる。
【0036】
少なくとも1つの第1のバルブ16は、自動車のリアアクスル24に配置された、第1のブレーキ回路12の第1のホイールブレーキ26に付属している。少なくとも1つの第2のバルブ18は、自動車のリアアクスル24に配置された、第2のブレーキ回路14の第2のホイールブレーキ28に付属している。
【0037】
バルブ16,18の代替として、たとえばホイール取込弁33,40、すなわち第1のブレーキ回路12の第1のホイール取込弁33および/または第2のブレーキ回路14の第2のホイール取込弁40を、本発明による方法を実施するために利用することができる。
【0038】
さらにブレーキシステム1は、自動車のフロントアクスルのそれぞれのホイールブレーキ30,31を有している。これに加えてブレーキシステムは、切換可能な複数のバルブ32,34,35,36,37,38,39,41を有しているが、これらはその配置や機能性に関して当業者に周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0039】
ブレーキシステム1の実際圧力がブレーキシステム1の目標圧力を上回っていることが検出されたとき、第1のブレーキ回路12の第1のバルブ16と第2のブレーキ回路14の第2のバルブ18は交互に開かれる。
【0040】
第1のブレーキ回路12の少なくとも1つの第1のバルブ16と第2のブレーキ回路14の少なくとも1つの第2のバルブ18の交互の開放は、液圧ブレーキシステム1の第1のブレーキトルクと、(図1には示さない)発電機動作モードで作動する電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調中に実行されるのが好ましい。
【0041】
第2のブレーキ回路14の第2のバルブ18に対する、第1のブレーキ回路12の第1のバルブ16の貫流容積の公差に起因する差異が、(図1には示さない)制御装置またはこれから分離された検出装置によって検出されて保存される。
【0042】
さらに、第1のブレーキ回路12の第1のバルブ16または第2のブレーキ回路14の第2のバルブ18は、貫流容積の公差に起因する差異が補償されるように制御される。ブレーキシステム1の圧力は、第2のブレーキ回路14に配置された圧力センサ29によって検出される。圧力センサ29は、たとえば代替的に第1のブレーキ回路12に配置されていてよい。
【0043】
図2は、本発明の好ましい実施形態に基づく、自動車のためのブレーキシステムを作動させる方法のフローチャートを示している。
【0044】
ステップS1で、ブレーキシステム1の実際圧力がブレーキシステム1の目標圧力を上回っているか否かが決定される。それが該当しないとき、第1のバルブ16と第2のバルブ18がステップ2で閉じたまま保たれる。該当するとき、本方法はステップS3へと進み、ここで、それぞれ開いたバルブを通る貫流容積が事前設定された閾値を上回っているか否かが決定される。
【0045】
それが該当するとき、両方のバルブ16,18がステップS4で同時に開かれる。
【0046】
該当しないとき、本方法はステップS5へと進み、そこで第1の蓄積室20にある第1のブレーキ液容積と第2の蓄積室22にある第2のブレーキ液容積との容積差が事前設定された閾値を上回っているか否かが決定される。この閾値は0.1mlであるのが好ましい。別案として、ブレーキシステムないし蓄積室のサイズと設計に応じて閾値を適合化することができる。
【0047】
所定の閾値を下回っているとき、ステップS6で、次回の圧力低減のときに直近の圧力低減のときと同じバルブが開かれる。
【0048】
所定の閾値を上回っているとき、ステップS7で、次回の圧力低減のときに直近の圧力低減とは別のバルブが開かれる。
【0049】
本発明について好ましい実施例を参照しながら以上に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な仕方で改変可能である。特に本発明は、本発明の要諦から逸脱することなく、多彩な仕方で変更または改変することができる。
【0050】
たとえば本件ブレーキシステムのバルブならびに蓄積室のサイズ、出力、ないし設計を、そのつどの設計上、システム上、および/または制御工学上の要求事項に合わせて適合化することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ブレーキシステム
10 マスタブレーキシリンダ
12 第1のブレーキ回路
14 第2のブレーキ回路
16 第1のバルブ
18 第2のバルブ
20 第1の備蓄室
22 第2の備蓄室
24 リアアクスル
26 第1のホイールブレーキ
28 第2のホイールブレーキ
29 圧力センサ
33 第1のホイール取込弁
40 第2のホイール取込弁
図1
図2