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特許7461743電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源供給制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源供給制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
B60R16/02 645
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019550050
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2017039340
(87)【国際公開番号】W WO2019087300
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-04-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 成寿
(72)【発明者】
【氏名】中本 大道
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】沼生 泰伸
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-189060(JP,A)
【文献】特開2001-328494(JP,A)
【文献】特開2014-125098(JP,A)
【文献】特開2004-197585(JP,A)
【文献】特開2010-210406(JP,A)
【文献】特開2013-173465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置への電源供給を制御する電源供給制御装置であって、
前記車両のエンジンの起動前に、前記車両への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付部と、
前記検知信号を受け付けた場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置に電源供給を行う電源供給制御部と、
前記車載装置に電源供給を行ってから前記車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測するタイマ部と、
を備え、
前記電源供給制御部は、前記バッテリに接続されている第1の電源供給線を前記車載装置に接続されている第2の電源供給線に接続することで前記車載装置に電源供給し、
前記電源供給制御部は、前記車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に前記車両のエンジンが起動されず、前記経過時間を前記所定の判定時間と比較して前記所定の判定時間を超える場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給を遮断し、
前記電源供給制御部は、前記経過時間が前記所定の判定時間を超えた結果として前記車載装置への電源供給を遮断した後に前記車両のエンジンが起動された場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給をする、
電源供給制御装置。
【請求項2】
前記車載装置は、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置に電源供給が行われると起動し、
前記車載装置は、前記車両のエンジンが起動される前に前記利用者へのサービス提供が可能な状態になった場合には、前記車両のエンジンが起動されるまで前記利用者へのサービス提供を行わない
請求項1に記載の電源供給制御装置。
【請求項3】
前記搭乗検知手段が、温度センサである
請求項1又は請求項2に記載の電源供給制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源供給制御装置と、
前記バッテリと、
前記車載装置と、
前記搭乗検知手段と、
を備える車両。
【請求項5】
車両に搭載された車載装置への電源供給を制御する電源供給制御方法であって、
前記車両のエンジンの起動前に、前記車両への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付ステップと、
前記検知信号を受け付けた場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置に電源供給を行う電源供給制御ステップと、
前記車載装置に電源供給を行ってから前記車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測するステップと、
を備え、
前記電源供給制御ステップにおいて、前記バッテリに接続されている第1の電源供給線を前記車載装置に接続されている第2の電源供給線に接続することで前記車載装置に電源供給し、
前記電源供給制御ステップは、
前記車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に前記車両のエンジンが起動されず、前記経過時間を前記所定の判定時間と比較して前記所定の判定時間を超える場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給を遮断するステップと、
前記経過時間が前記所定の判定時間を超えた結果として前記車載装置への電源供給を遮断した後に前記車両のエンジンが起動された場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給をするステップと、
を有する
電源供給制御方法。
【請求項6】
車両に搭載された車載装置への電源供給を制御する電源供給制御装置としてのコンピュータを、
前記車両のエンジンの起動前に、前記車両への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付部と、
前記検知信号を受け付けた場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置に電源供給を行う電源供給制御部と、
前記車載装置に電源供給を行ってから前記車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測するタイマ部と、
して機能させ、
前記電源供給制御部は、前記バッテリに接続されている第1の電源供給線を前記車載装置に接続されている第2の電源供給線に接続することで前記車載装置に電源供給し、
前記電源供給制御部は、前記車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に前記車両のエンジンが起動されず、前記経過時間を前記所定の判定時間と比較して前記所定の判定時間を超える場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給を遮断し、
前記電源供給制御部は、前記経過時間が前記所定の判定時間を超えた結果として前記車載装置への電源供給を遮断した後に前記車両のエンジンが起動された場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給をする
電源供給制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源供給制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている車載用カーナビゲーション装置(いわゆる「カーナビ」)、カーオーディオ等の車両に搭載される電子機器である車載装置は、車両のエンジンが起動されてから電源が入り、システムが起動されてサービスが提供される。この為、運転者等が駐車車両等に搭乗してエンジンを起動しても、すぐにはカーナビによる経路案内、カーオーディオによる音楽再生等の、車載装置のサービス提供を受けることができなかった。このような問題の解決策として、車載装置の電源を完全に落とさずにスリープ状態で待機させる技術があるが、このやり方では長時間の駐車をすると車載装置に電源を供給するバッテリが上がってしまう。
【0003】
また、上記問題の別の解決策として、車載装置の起動自体を高速化する技術が知られている。例えば、特許文献1には、情報処理装置の起動自体を高速化する技術の一例として、ハイバネーション技術が記載されている。このハイバネーション技術では、情報処理装置が起動された状態のメインメモリの内容をスナップショットイメージとして不揮発性記憶装置に記憶させておき、情報処理装置を起動する際には記憶させておいたスナップショットイメージを解凍展開することで通常の起動の手順で必要となる初期化等の処理を省略して高速起動を行うことができる。このように、車載装置の起動自体を高速化する技術を用いることで、運転者等が車両に搭乗してエンジンを起動した後に車載装置のサービス提供を受けるまでの時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-156205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車載装置の起動自体を高速化する技術を用いることによって車載装置の起動時間は短縮されるがそれでもなお一定の処理時間は必要であり、運転者等がエンジンの停止していた車両に搭乗してから車載装置のサービスが提供されるまでの待ち時間は無視できる長さにはなっていない。従って、エンジンの停止していた車両においてエンジンを起動してから車載装置のサービス提供までの待ち時間を効果的に短縮する技術が望まれている。
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明は、エンジンの停止していた車両においてエンジンを起動してから車載装置のサービス提供までの待ち時間を効果的に短縮することができる電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源供給制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、車両(1)に搭載された車載装置(5)への電源供給を制御する電源供給制御装置(10)は、前記車両のエンジンの起動前に、前記車両への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段(3)からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付部(11)と、前記検知信号を受け付けた場合に、前記車両に搭載されたバッテリ(2)から前記車載装置に電源供給を行う電源供給制御部(12)と、前記車載装置に電源供給を行ってから前記車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測するタイマ部と、を備え、前記電源供給制御部は、前記バッテリに接続されている第1の電源供給線を前記車載装置に接続されている第2の電源供給線に接続することで前記車載装置に電源供給し、前記電源供給制御部は、前記車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に前記車両のエンジンが起動されず、前記経過時間を前記所定の判定時間と比較して前記所定の判定時間を超える場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給を遮断し、前記電源供給制御部は、前記経過時間が前記所定の判定時間を超えた結果として前記車載装置への電源供給を遮断した後に前記車両のエンジンが起動された場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給をする
このようにすることで、利用者が車両のエンジンを起動してから車両の車載装置であるカーナビ等に電源を供給するのではなく、車両のエンジンの起動前に人感センサ等の搭乗検知手段によって予め車両への利用者の搭乗を検知し、それをトリガとして電源供給制御部によってバッテリから車載装置に電源供給を行っているので、利用者が車両に搭乗してエンジンを起動してから車載装置のサービス提供までの待ち時間を効果的に短縮することができる。
このようにすることで、タイマ部を用いて車載装置に電源供給を行ってから車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測し、車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に車両のエンジンが起動されない場合に、車両に搭載されたバッテリから車載装置への電源供給を遮断することができる。これにより、搭乗検知手段の誤検知等に基づいて、車両が直ちに運転に利用される状況にはないにもかかわらず、電源供給制御装置が車載装置に電源供給をし続けてしまう事態を防止し、延いては、車両のバッテリの浪費を抑制することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様によれば、前記車載装置(5)は、前記車両(1)に搭載されたバッテリ(2)から前記車載装置に電源供給が行われると起動し、前記車載装置は、前記車両のエンジンが起動される前に前記利用者へのサービス提供が可能な状態になった場合には、前記車両のエンジンが起動されるまで前記利用者へのサービス提供を行わない。
このようにすることで、車載装置が起動された後、車両のエンジンを起動するまで車載装置は利用者へのサービス提供を行わないので、車両に搭載されて車載装置5に電源供給を行うバッテリの消耗を抑制することができる。従って、エネルギー効率を低下させずに、利用者が車両に搭乗してからの車載装置のサービス提供までの待ち時間を短縮することができる。
【0009】
また、本発明の第3の態様によれば、上述の電源供給制御装置は、前記搭乗検知手段が、温度センサである。
【0010】
また、本発明の第4の態様によれば、車両(1)は、第1から第3の何れかの態様に記載の電源供給制御装置(10)と、前記バッテリ(2)と、前記車載装置(5)と、前記搭乗検知手段(3)と、を備える。
【0011】
また、本発明の第5の態様によれば、車両に搭載された車載装置への電源供給を制御する電源供給制御方法は、前記車両のエンジンの起動前に、前記車両への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付ステップと、前記検知信号を受け付けた場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置に電源供給を行う電源供給制御ステップと、前記車載装置に電源供給を行ってから前記車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測するステップと、を備え、前記電源供給制御ステップにおいて、前記バッテリに接続されている第1の電源供給線を前記車載装置に接続されている第2の電源供給線に接続することで前記車載装置に電源供給し、前記電源供給制御ステップは、前記車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に前記車両のエンジンが起動されず、前記経過時間を前記所定の判定時間と比較して前記所定の判定時間を超える場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給を遮断するステップと、前記経過時間が前記所定の判定時間を超えた結果として前記車載装置への電源供給を遮断した後に前記車両のエンジンが起動された場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給をするステップと、を有する
【0012】
また、本発明の第6の態様によれば、電源供給制御プログラムは、車両に搭載された車載装置への電源供給を制御する電源供給制御装置としてのコンピュータ(9)を、前記車両のエンジンの起動前に、前記車両への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付部と、前記検知信号を受け付けた場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置に電源供給を行う電源供給制御部と、前記車載装置に電源供給を行ってから前記車両のエンジンが起動されるまでの経過時間を計測するタイマ部と、して機能させ、前記電源供給制御部は、前記バッテリに接続されている第1の電源供給線を前記車載装置に接続されている第2の電源供給線に接続することで前記車載装置に電源供給し、前記電源供給制御部は、前記車載装置に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に前記車両のエンジンが起動されず、前記経過時間を前記所定の判定時間と比較して前記所定の判定時間を超える場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給を遮断し、前記電源供給制御部は、前記経過時間が前記所定の判定時間を超えた結果として前記車載装置への電源供給を遮断した後に前記車両のエンジンが起動された場合に、前記車両に搭載されたバッテリから前記車載装置への電源供給をする
【発明の効果】
【0013】
上述の電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源供給制御プログラムによれば、エンジンの停止していた車両に利用者が搭乗してエンジンを起動してから車載装置のサービス提供までの待ち時間を効果的に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る電源供給制御装置を備える車両の全体構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る電源供給制御装置の構成を説明するブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る電源供給制御装置の動作を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る車載装置の起動手順を従来の起動手順と比較して説明する説明図である。
図5】第1の実施形態の第1の変形実施例に係る車載装置の起動手順を説明する説明図である。
図6】第2の実施形態に係る電源供給制御装置の構成を説明するブロック図である。
図7】第2の実施形態に係る電源供給制御装置の動作を示すフローチャートである。
図8】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0016】
(第1の実施形態に係る電源供給制御装置を備える車両の全体構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御装置10を備える車両1の全体構成を示す概略図である。図1を用いて本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御装置10を備える車両1の全体構成について説明する。
【0017】
車両1は、図1に示すように、バッテリ2、人感センサ3、電源供給制御装置10、外部メモリ4、及び車載装置5を備えている。本発明の第1の実施形態では、車両1がガソリン車である場合について説明するが、車両1は、例えば、ディーゼル車、水素車、燃料電池車、及びハイブリッド車等のようにガソリン以外を動力源とする車両であってよい。
【0018】
バッテリ2は、車両1に搭載されて車両1内の各負荷に電源を供給する直流電源であり、車両1の走行によって充電されるように構成されている。バッテリ2は、電源供給線L1で電源供給制御装置10に接続されており、電源供給制御装置10を介して車載装置5に電源を供給するように構成されている。なお、図1では、説明の簡易化を目的として、バッテリ2が電源供給制御装置10を介して車載装置5に電源を供給する構成だけを示しているが、バッテリ2は、例えば、人感センサ3、電源供給制御装置10、外部メモリ4、及び車載装置5等のその他の装置に電源を供給してもよい。
【0019】
人感センサ3は、車両1への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段である。本発明の第1の実施形態では、人感センサ3は温度センサであり、例えば、焦電効果を利用して車両1に乗り込んだ(車内に入った)利用者から放出される赤外線を検知することによって車両1への利用者の搭乗を検知するように構成されている。人感センサ3は、信号線S1を介して電源供給制御装置10に接続されており、車両1に乗り込んだ利用者から放出される赤外線を検知すると、信号線S1を介して車両1への利用者の搭乗を検知した旨の検知信号を電源供給制御装置10に出力する。
ここで、車両1に乗り込んだ(車内に入った)ことを検知する人感センサ3は、接触式の温度センサであってもよいし、非接触式の温度センサであってもよい。また、当該人感センサ3は、例えば、光学センサ、及び圧力センサ等のように温度センサ以外のセンサであってもよい。一例として、光学センサは、照射した光が車両1に乗り込んだ利用者によって反射された反射光を検知するセンサであってよい。また、一例として、圧力センサは、車両1に乗り込んだ利用者が座席に着席する圧力を検知する圧力センサ等であってよい。
また、第1の実施形態に係る人感センサ3は、利用者が実際に車両1に乗り込んだこと(車内に入ったこと)を検知するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。即ち、他の実施形態に係る人感センサ3は、利用者が車両1のドアロックを解除したこと、利用者が車外から車両1のドアへ接近したこと等を検知することによって車両1への利用者の搭乗を検知するセンサであってもよい。車両1のドアロックの解除を検知する態様の場合、人感センサ3は、車両1のドアに設置されるドアロック機構の状態(ロックがかかっている状態か否か)を示す信号を監視するものであってよい。また、利用者が車外から車両1のドアへ接近したことを検知する態様の場合、人感センサ3は、上述の温度センサ、光学センサの他、例えば、利用者が所持するスマートエントリー用のキーから発信される電波の強度を検知するものであってよい。
さらに、人感センサ3は、車両1への利用者の搭乗を検知するように複数の種類のセンサを組合せたものでもよい。
また、「車両1への利用者の搭乗を検知する」との文言は、利用者が実際に車両1に乗り込んだこと(車内に入ったこと)を検知することに限られず、上記の通り、利用者が車両1に実際に乗り込む前に生じる種々のイベント(車両1のドアロックの解除、車両1のドアへの利用者の接近等)を検知することを含むものとする。
【0020】
車載装置5は、例えば、車両1内に設けられて利用者に目的地までの経路案内等のサービスを提供することができるカーナビであってよい。図1に示すように、車載装置5は電源供給線L2を介して電源供給制御装置10に接続されており、車載装置5には、電源供給制御装置10を介してバッテリ2から電源が供給されるように構成されている。なお、本発明の第1の実施形態では、車載装置5がカーナビである場合について説明するが、車載装置5は例えば、カーオーディオ、及び車載器等のように車両1内に設けられ、バッテリ2により電源が供給されて利用者にサービスを提供可能なその他の装置であってよい。車載装置5であるカーナビは、電源供給制御装置10を介してバッテリ2から電源が供給されると起動するように構成されている。
【0021】
車載装置5は、図1に示すように、データ線D1を介して不揮発性メモリである外部メモリ4に接続されている。車載装置5は、システム及びアプリケーションが起動した状態のメインメモリ(後述する図8に示す主記憶装置92)の内容のうち、使用している使用領域のみをスナップショットイメージとして外部メモリ4に圧縮して記憶しておくことができるように構成されている。なお、システム及びアプリケーションが起動した状態のCPUレジスタ値も、スナップショットイメージとして記憶されるようにメインメモリ内に記憶しておいてよい。本発明の第1の実施形態では、車載装置5のサービスが提供可能である状態のメインメモリの内容をスナップショットイメージとして外部メモリ4に記憶しておいてよい。これにより、後述するように車載装置5の起動時に外部メモリ4に圧縮して記憶されたスナップショットイメージを、データ線D1を介して車載装置5内のメモリ(図示せず)に解凍展開し、いわゆるハイバネーション起動と呼ばれる車載装置5の高速起動を行うことができる。
なお、高速起動に用いられる外部メモリ4は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等の補助記憶装置であってよい。
【0022】
(第1の実施形態に係る電源供給制御装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る電源供給制御装置10の機能構成を説明するブロック図である。図2に示すように、電源供給制御装置10は、車両1のエンジン(図示せず)の起動前に、車両1への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段である人感センサ3からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付部11と、検知信号を受け付けた場合に、車両1に搭載されたバッテリ2から車載装置5に電源供給を行う電源供給制御部12とを備えている。
【0023】
搭乗検知信号受付部11は、車両1のエンジンの起動前に搭乗検知手段である人感センサ3から、車両1への利用者の搭乗を検知した旨の検知信号が信号線S1を介して入力されると、検知信号を受け付けたことを電源供給制御部12に通知するように構成されている。搭乗検知信号受付部11は、イグニッション回路(図示せず)からエンジンが起動していることを示すイグニッション信号が入力されていない場合に車両1のエンジンの起動前であると判定してよい。
【0024】
電源供給制御部12は、搭乗検知信号受付部11から検知信号を受け付けたことが通知されると、車両1に搭載されたバッテリ2から車載装置5であるカーナビに電源供給を行う。具体的には、電源供給制御部12は、例えば、バッテリ2と電源供給制御装置10の電源供給制御部12とに接続されている電源供給線L1を、電源供給制御部12と車載装置5とに接続されている電源供給線L2に接続することで車載装置5であるカーナビに電源供給を行う。
【0025】
(第1の実施形態に係る電源供給制御装置の動作の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る電源供給制御装置10の動作を示すフローチャートである。図3を用いて第1の実施形態に係る電源供給制御装置10の動作を説明する。なお、図3において、電源供給制御装置10によって行われる処理は、ステップS101~S102の処理であり、ステップS103~S105は、車載装置5によって行われるが、理解の容易化を目的として一連の処理を1つのフローチャートで示している。
【0026】
例えば、車両1の利用者が車両1を駐車場等に停車してエンジンを止めてから所定時間が経過した場合等に、図3に示すフローチャートの処理が開始されてよい。即ち、利用者が車両1から離れている状況で図3に示すフローチャートの処理が開始されてよい。図3に示すフローチャートの処理が開始されると、電源供給制御装置10の搭乗検知信号受付部11は、車両1のエンジンの起動前に車両1への利用者の搭乗を検知したか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、例えば、エンジンが起動されていない場合に、車両1への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段である人感センサ3が車両1への利用者の搭乗を検知し、信号線S1を介して検知信号が搭乗検知信号受付部11に入力されると、搭乗検知信号受付部11は車両1のエンジンの起動前に車両1への利用者の搭乗を検知したと判定し(ステップS101のYES)、検知信号を受け付けたことを電源供給制御部12に通知する。なお、搭乗検知信号受付部11は、イグニッション回路(図示せず)からエンジンが起動していることを示すイグニッション信号が入力されていない場合にエンジンが起動されていないと判定してよい。
【0027】
一方、人感センサ3からの検知信号が搭乗検知信号受付部11に入力されていない場合には、電源供給制御装置10の搭乗検知信号受付部11は、車両1のエンジンの起動前に車両1への利用者の搭乗を検知していないと判定し(ステップS101のNO)、処理はステップ101に戻る。このようにして、搭乗検知信号受付部11が車両1のエンジンの起動前に車両1への利用者の搭乗を検知したと判定するまでステップS101の処理が繰返される。
【0028】
電源供給制御部12は、搭乗検知信号受付部11から検知信号を受け付けたことを通知されると、車載装置5であるカーナビに電源供給を行う(ステップS102)。具体的には、電源供給制御部12は、例えば、バッテリ2と電源供給制御装置10の電源供給制御部12とに接続されている電源供給線L1を、電源供給制御部12と車載装置5とに接続されている電源供給線L2に接続することで車載装置5であるカーナビに電源供給を行う。
【0029】
車載装置5は、電源供給されるとシステムを起動する(ステップS103)。本発明の第1の実施形態では、例えば、車載装置5によるシステムの起動は、BIOSの起動及びブートローダの起動の各動作を順に実施することであってよい。また、第1の実施形態では、ブートローダの動作により、メインメモリに、カーネル、一部のドライバ、アプリケーションを含むスナップショットイメージが解凍展開(ロード)されることで高速起動が行われる。なお、システムの起動の上述した各動作は一例であり、必要に応じて各動作の順序が変更される等、実施形態が変形されてもよい。
【0030】
次に、車載装置5は、外部メモリ4に予め記憶された車載装置5の起動状態のメインメモリの内容のスナップショットイメージを外部メモリ4からデータ線D1を介して車載装置5内のメモリ(図示せず)に解凍展開する(ステップS104)。本発明の第1の実施形態では、車載装置5の起動状態のメインメモリの内容は、圧縮されたデータの形式でスナップショットイメージデータとして外部メモリに予め記憶されているので、車載装置5内のメモリにスナップショットイメージデータを解凍展開する際には、車載装置5内のメモリにスナップショットイメージデータをコピーしてから解凍し、車載装置5が起動した状態になる。
【0031】
次に、車載装置5は、サービスを提供する(ステップS105)。本発明の第1の実施形態では、カーナビである車載装置5が、車両1の利用者に目的地までの経路案内等のサービスが提供される。以上により、図3に示すフローチャートの処理が終了する。
【0032】
(第1の実施形態に係る車載装置の起動手順の説明)
図4は、第1の実施形態に係る車載装置5の起動手順を従来の起動手順と比較して説明する説明図である。図4を用いて第1の実施形態に係る車載装置5の起動手順と従来の起動手順との違いを説明する。
【0033】
図4には、車載装置5が起動される際の各処理と時間経過との関係が示されている。図4では、上から順に、従来の起動手順A、スナップショットイメージを利用した従来の起動手順B、及びスナップショットイメージを利用した本発明の起動手順Cが記載されている。図4の横軸tは時間軸であり、図面に向かって右側が左側よりも後の時間を示す。時間軸tにおいて、時刻t0は人感センサ3によって車両1への利用者の搭乗が検知された時刻を示す。時刻t1は利用者により車両1のエンジンが起動された時刻を示す。時刻t2、t3、及びt4は、本発明の起動手順C、従来の起動手順B、及び従来の起動手順Aにおいて車載装置5のサービス提供が開始された時刻、即ち、サービス提供が可能となった時刻を各々、示す。
【0034】
図4に示す従来の起動手順A及びBでは、車両1に利用者が搭乗してからエンジンを起動することにより車載装置5に電源が供給されて起動されるのに対し、本願の起動手順では、図3を用いて上述したように、人感センサ3による車両1への利用者の搭乗の検知をトリガとして車両1のエンジンの起動前に電源供給制御装置10により車載装置5に電源が供給されて起動される。なお、従来の起動手順Bは、スナップショットイメージを利用している点だけが従来の起動手順Aと異なっている。以下、具体的に説明していく。
【0035】
従来の起動手順Aでは、図4に示すように、時刻t1に車両1のエンジンが起動されると、システム起動の処理A1が開始される。従来の起動手順Aの場合には、車載装置5によるシステムの起動は、BIOSの起動、ブートローダの起動、カーネルの起動、及びドライバの起動の各動作を順に実施することであってよい。従来の起動手順Aにおいて、システム起動の処理A1が完了すると、次にアプリケーション起動の処理A2が行われる。具体的には、カーナビである車載装置5が車両1の利用者に目的地までの経路案内等のサービスを提供する為に必要なアプリケーションが起動される。そして、時刻t4にアプリケーション起動の処理A2が完了すると、カーナビである車載装置5は、車両1の利用者に目的地までの経路案内等のサービスの提供の処理A3を開始する。
【0036】
従来の起動手順Bでは、図4に示すように、従来の起動手順Aと同様に時刻t1に車両1のエンジンが起動されると、システム起動の処理B1が開始される。従来の起動手順Bの場合には、システム起動の処理B1として、BIOSの起動及びブートローダの起動の各動作が順に実施されてよい。ここで、従来の起動手順Bでは、システム起動の処理B1の完了後、従来の起動手順Aのようにアプリケーション起動は行わず、高速起動を目的として、カーネル、一部のドライバ、及びアプリケーションが含まれるスナップショットイメージのロードの処理B2を行う。具体的には、外部メモリ等に予め記憶された車載装置5の起動状態のメインメモリの内容を含むスナップショットイメージを外部メモリから車載装置5のメモリに解凍展開する。この為、図4に示すように、スナップショットイメージの解凍展開の処理B2が完了し、カーナビである車載装置5による経路案内等のサービスの提供が開始可能になる時刻t3は、従来の起動手順Aにおける時刻t4よりも早い時刻となる。なお、車載装置5のシステム起動の処理B1は、スナップショットイメージの解凍展開の処理B2を実施可能な最低限な処理であればよいので、図4に示すように、従来の起動手順Bにおけるシステム起動の処理B1に要する時間は、従来の起動手順Aにおけるシステム起動の処理A1に要する時間よりも短縮されている。
【0037】
本発明の起動手順Cでは、図4に示すように、従来の起動手順A及びBとは異なり、人感センサ3により車両1への利用者の搭乗が検知されると、システム起動の処理C1が開始される。本発明の起動手順Cでは、システム起動の処理C1として、BIOSの起動及びブートローダの起動の各動作が順に実施される。本発明の起動手順Cは、従来の起動手順Bと同様に、システム起動の処理C1の完了後、高速起動を目的としてカーネル、一部のドライバ、及びアプリケーションが含まれるスナップショットイメージの解凍展開の処理C2を行う。図4に示すように、スナップショットイメージの解凍展開の処理C2が完了し、カーナビである車載装置5による経路案内等のサービスの提供が開始可能になる時刻t2は、従来の起動手順Aにおける時刻t4及び従来の起動手順Bにおける時刻t3よりも早い時刻となる。
【0038】
(作用、効果)
以上のとおり、第1の実施形態に係る電源供給制御装置10は、車両1のエンジンの起動前に、車両1への利用者の搭乗を検知する搭乗検知手段である人感センサ3からの検知信号を受け付ける搭乗検知信号受付部11と、検知信号を受け付けた場合に、車両1に搭載されたバッテリ2から車載装置5であるカーナビに電源供給を行う電源供給制御部12と、を備える。
このように、利用者が車両1のエンジンを起動してから車両1の車載装置5であるカーナビに電源を供給するのではなく、車両1のエンジンの起動前に人感センサ3によって予め車両1への利用者の搭乗を検知し、それをトリガとして電源供給制御部12によってバッテリ2から車載装置5に電源供給を行っているので、利用者が車両1に搭乗してエンジンを起動してから車載装置5のサービス提供までの待ち時間を効果的に短縮することができる。
特に、車両1のエンジンの起動前に車載装置5の起動が完了した場合には、利用者が車両1に搭乗してエンジンを起動してから車載装置5のサービス提供までの待ち時間はゼロとなり、運転者等の利用者は、サービス提供を待つストレスを受けずに非常に快適に車載装置5のサービス提供を受けることができる。
【0039】
<第1の実施形態の第1の変形実施例>
図5は、第1の実施形態の第1の変形実施例に係る車載装置5の起動手順を説明する説明図である。図5を用いて第1の実施形態の第1の変形実施例に係る車載装置5の起動手順について説明する。なお、第1の実施形態の第1の変形実施例に係る車載装置5、電源供給制御装置10、及び車両1は、特に言及する場合を除き、第1の実施形態に係る車載装置5、電源供給制御装置10、及び車両1と同様に構成され、同様に機能するので、車載装置5の起動手順以外の説明についての説明は省略する。
【0040】
図5に示す本発明の起動手順Cでは、図4に示す本発明の起動手順Cと概ね同様に各処理C1~C3が行われるが、スナップショットイメージの解凍展開の処理C2の完了後、すぐにサービス提供の処理C3を行わず、車両1のエンジンが起動される時刻t1まで待機する処理C4を行う点で異なっている。即ち、車載装置5は、車両1に搭載されたバッテリ2から車載装置5に電源供給が行われるとシステム起動(処理C1)、及びスナップショットイメージの解凍展開(処理C2)を順に行い、車両1のエンジンが起動される前に利用者へのサービス提供が可能な状態になった場合には、車両1のエンジンが起動されるまで利用者へのサービス提供の処理C3を行わないように構成されている。
【0041】
従って、図5に示すように、カーナビである車載装置5による経路案内等のサービスの提供が開始可能になる時刻t2は、車両1のエンジンが起動される時刻t1と同じになる。なお、車載装置5がシステムを起動し(処理C1及びC2を行い)、車両1のエンジンが起動された後に利用者へのサービス提供が可能な状態になった場合には、待機する処理C4は行わずに、すぐに利用者へのサービスの提供が開始されてよい。この場合には、サービス提供の開始時刻t2は、車両1のエンジンの起動時刻t1の後になっている。
【0042】
(作用、効果)
以上のとおり、第1の実施形態の第1の変形実施例に係る車載装置5は、車両1に搭載されたバッテリ2から車載装置5に電源供給が行われると起動し、車載装置5は、車両1のエンジンが起動される前に利用者へのサービス提供が可能な状態になった場合には、車両1のエンジンが起動されるまで利用者へのサービス提供を行わない。
このように、車載装置5が起動された後、車両1のエンジンを起動するまで車載装置5は利用者へのサービス提供を行わないので、利用者が車両に搭乗していないにもかかわらずサービス提供のための消費電力が発生することを防ぎ、車両1に搭載されて車載装置5に電源供給を行うバッテリ2の消耗を抑制することができる。従って、エネルギー効率を低下させずに車載装置5のサービス提供までの待ち時間を短縮することができる。
【0043】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態に係る電源供給制御装置の構成を説明するブロック図である。図7は、第2の実施形態に係る電源供給制御装置10の動作を示すフローチャートである。図5及び6を用いて第2の実施形態に係る電源供給制御装置10を説明する。なお、第2の実施形態に係る車載装置5、電源供給制御装置10、及び車両1は、特に言及する場合を除き、第1の実施形態に係る車載装置5、電源供給制御装置10、及び車両1と同様に構成され、同様に機能するので、重複する説明については省略する。
【0044】
(第2の実施形態に係る電源供給制御装置の機能構成)
図6に示すように、第2の実施形態に係る電源供給制御装置10は、電源供給制御部12が車載装置5に電源供給を行った時刻からの経過時間を計測するように構成されたタイマ部13を備えている。第2の実施形態に係る電源供給制御装置10は、タイマ部13をさらに備えている点で、第1の実施形態に係る電源供給制御装置10と相違する。
【0045】
タイマ部13は、電源供給制御部12が車載装置5に電源供給を行った時刻からの経過時間を計測するように構成されている。本発明の第2の実施形態では、例えば、電源供給制御部12が車載装置5に電源供給を行う際に、タイマ部13に車載装置5への電源供給が行われたことを通知するように構成されていてよい。タイマ部13は、電源供給制御部12から車載装置5への電源供給が行われたことを通知された時刻からの経過時間の計測を行う。
【0046】
また、タイマ部13は、イグニッション回路(図示せず)からエンジンが起動されたことを示すイグニッション信号が電源供給制御装置10に入力された際には、経過時間の計測処理を終了するように構成されていてよい。
【0047】
さらに、タイマ部13は、例えば、計測中の経過時間が所定の判定時間を超過した場合に、当該判定時間を超過したことを示す信号を電源供給制御部12に通知するように構成されていてよい。電源供給制御部12は、経過時間が所定の判定時間を超過したというタイマ部13からの通知に基づいて、電源供給制御部12が車載装置5に電源供給を行ってから所定の判定時間が経過したと判定してよい。
【0048】
(第2の実施形態に係る電源供給制御装置の動作の処理フロー)
図7においては、第1の実施形態と同様に、一連の処理を1つのフローチャートで示しているが、ステップS101~S102及びS110~S113の処理は電源供給制御装置10によって行われる処理であり、ステップS103~S105は車載装置5によって行われる処理である。電源供給制御装置10自体の処理の流れとしては、ステップS102の処理の後、ステップS110の処理に進む。
【0049】
即ち、電源供給制御装置10は、ステップS102にて車載装置5への電源供給を行った後、タイマ部13を通じて経過時間の計測を開始する(ステップS110)。
【0050】
電源供給制御部12は、タイマ部13により、車載装置5に電源供給を行ってから所定の判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS111)。
車載装置5に電源供給を行ってから所定の判定時間が経過していない場合(ステップS111のNO)、電源供給制御部12は、エンジンが起動されたことを示すイグニッション信号を監視して、エンジンが起動されたか否かを判定する(ステップS112)。
車両1のエンジンが起動していない場合(ステップS112のNO)、電源供給制御部12は、ステップS111の判定処理に戻る。
【0051】
車載装置5に電源供給を行ってから所定の判定時間が経過する前に車両1のエンジンが起動した場合(ステップS112のYES)、電源供給制御部12は、車載装置5への電源供給を継続する。これにより、車載装置5がサービスを提供する(ステップS105)。以後の処理は、本発明の第1の実施形態について図3を用いて説明した場合と同様に進められる。
【0052】
他方、車両1のエンジンが起動されることなく所定の判定時間が経過した場合(ステップS111のYES)、電源供給制御部12は、車載装置5への電源供給を遮断する(ステップS113)。
【0053】
なお、所定の判定時間は、利用者が実際に車両1を運転しようとしているか否かを判定する閾値として予め規定された時間である。利用者の搭乗が検知されたことをトリガにして車載装置5への電源供給が開始されたにもかかわらず、当該所定の判定時間以内に車両1のエンジンが起動されない場合には、(利用者の搭乗を検知したものの、)利用者が車両1を運転しようとしていないと判断できる。例えば、人感センサ3が搭乗を検知したものの、それが誤検知であり、実際には利用者が車両1に乗り込んでいないか、又は、車両1に利用者が実際に乗り込んだものの運転を行うことなく降車してしまった場合等が想定される。
所定の判定時間は、一例として、車両1への利用者の搭乗を検知してから利用者がエンジンを起動するまでに実際にかかる時間の平均時間を所定の判定時間として規定する。
【0054】
(作用、効果)
以上のとおり、第2の実施形態に係る電源供給制御装置10において、電源供給制御部12は、車載装置5に電源供給を行ってから所定の判定時間以内に車両1のエンジンが起動されない場合に、車両1に搭載されたバッテリから車載装置への電源供給を遮断する。
このようにすることで、例えば、人感センサ3の誤検知等に基づいて、車両1が直ちに運転に利用される状況にはないにもかかわらず、電源供給制御装置が車載装置5に電源供給をし続けてしまう事態を防止し、延いては、車両1のバッテリ2の浪費を抑制することができる。
なお、上述の説明で、車両1のエンジンが起動されることなく所定の判定時間が経過した場合(タイムアウトした場合)には、電源供給制御部12は、車載装置5への電源供給を遮断する(ステップS113)ことを説明した。この場合、更に、電源供給制御部12は、ステップS113を経て車載装置5への電源供給を遮断した後であっても、エンジンが実際に起動された場合には、例えば、図4の起動手順Bに示す車載装置5の起動が実行されるようにしてもよい。このようにすることで、人感センサ3の誤検知等によって車載装置5への電源供給がなされ、続くタイムアウトにより、再度、電源供給が遮断された場合であっても、その後、利用者が車両1を運転しようとエンジンを起動させた場合には、車載装置5への電源供給を行うことができる。
【0055】
図8は、少なくとも1つの実施形態に係る電源供給制御装置10が備えるコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ9は、CPU91、主記憶装置92、補助記憶装置93、インタフェース94を備える。
上述の電源供給制御装置10は、コンピュータ9を備える。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置93に記憶されている。CPU91は、プログラムを補助記憶装置93から読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。例えば、上述した搭乗検知信号受付部11、電源供給制御部12、及びタイマ部13は、CPU91であってよい。
また、CPU91は、プログラムに従って、上述したデータベースに対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保する。
【0056】
補助記憶装置93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置93は、コンピュータ9のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ9に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ9に配信される場合、配信を受けたコンピュータ9が当該プログラムを主記憶装置92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0057】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0059】
上述の電源供給制御装置、当該電源供給制御装置を備える車両、電源供給制御方法、並びに電源供給制御プログラムによれば、エンジンの停止していた車両においてエンジンを起動してから車載装置のサービス提供までの待ち時間を効果的に短縮する。
【符号の説明】
【0060】
1 車両
2 バッテリ
3 人感センサ
4 外部メモリ
5 車載装置
9 コンピュータ
10 電源供給制御装置
11 搭乗検知信号受付部
12 電源供給制御部
13 タイマ部
91 CPU
92 主記憶装置
93 補助記憶装置
94 インタフェース
A 従来の起動手順
A1 システム起動の処理
A2 アプリケーション起動の処理
A3 サービス提供の処理
B 従来の起動手順
B1 システム起動の処理
B2 スナップショットイメージの解凍展開の処理
B3 サービス提供の処理
C 本発明の起動手順
C1 システム起動の処理
C2 スナップショットイメージの解凍展開の処理
C3 サービス提供の処理
C4 待機の処理
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8