(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
B65D81/02 200
(21)【出願番号】P 2020054201
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-01-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社LIXIL知多工場に納入した。
(73)【特許権者】
【識別番号】305006624
【氏名又は名称】ダイナパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 建史
(72)【発明者】
【氏名】堀木 英智
(72)【発明者】
【氏名】山下 凌介
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-058739(JP,A)
【文献】特開2006-321494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
B65D 85/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を梱包する梱包材であって、
前記製品と対向する部分の少なくとも一部は、厚み方向に圧縮可能な材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している圧縮部であ
り、
本体部と、
前記本体部と前記製品との間に存在するパッドと、
を備え、
前記パッドは前記圧縮部を備え、
前記本体部のうち、前記パッドと対向する部分の少なくとも一部は、前記材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している梱包材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包材であって、
前記材料は、紙又は樹脂から成る段ボールである梱包材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梱包材であって、
前記製品の一方の側の端部に対向する第1部と、
前記製品の前記一方とは反対の側の端部に対向し、前記第1部とは分割された第2部と、
を備え、
前記第1部及び前記第2部は、それぞれ、前記圧縮部を有する梱包材。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の梱包材であって、
前記パッドのうち、前記本体部と対向する部分の少なくとも一部は、前記材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に段ボール箱が開示されている。段ボール箱は製品を梱包するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
段ボール等から成る梱包材によって製品を梱包した状態が長時間継続すると、梱包材のうち、製品と対向する部分(以下では対向部とする)の厚みは、製品により押し潰されることにより、減少することがある。対向部の厚みが減少すると、種々の問題が生じる。例えば、製品と、それを梱包した梱包材とにまとめてベルトを掛け回すことがある。対向部の厚みが減少すると、製品と梱包材との全体の寸法が減少し、ベルトが弛んでしまう。
【0005】
本開示の1つの局面では、梱包材によって製品を梱包した状態が長時間継続した場合でも、梱包材の厚みが減少し難い梱包材を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、製品を梱包する梱包材である。梱包材は圧縮部を備える。圧縮部は、前記製品と対向する部分の少なくとも一部である。圧縮部は、厚み方向に圧縮可能な材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している。
【0007】
本開示の1つの局面である梱包材は、製品と対向する部分に圧縮部を備える。梱包材によって製品を梱包した状態が長時間継続した場合でも、圧縮部の厚みは減少し難い。よって、本開示の1つの局面である梱包材は、梱包材によって製品を梱包した状態が長時間継続した場合でも、梱包材の厚みが減少することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】梱包材1と、洋風便器3との構成を表す分解斜視図である。
【
図2】梱包材1と、洋風便器3との構成を表す正面図である。
【
図3】梱包材1と、洋風便器3との構成を表す上面図である。
【
図4】梱包材1と、洋風便器3との構成を表す側面図である。
【
図5】梱包材1と、洋風便器3との構成を表す下面図である。
【
図6】梱包材1と、洋風便器3との構成を表す背面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面での断面図である。
【
図9】
図7におけるIX-IX断面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.梱包材1の構成
梱包材1の構成を、
図1~
図12に基づき説明する。梱包材1は、
図1~
図6に示す洋風便器3を梱包するものである。
図1に示すように、梱包材1は、上部5と、下部7と、前パッド9と、後パッド11と、を備える。
【0010】
なお、上部5、下部7、前パッド9、及び後パッド11の材料は、紙から成る段ボールである。紙から成る段ボールは、厚み方向に圧縮可能な材料に対応する。上部5、前パッド9、及び後パッド11は第1部に対応する。下部7は第2部に対応する。下部7は、上部5、前パッド9、及び後パッド11のグループから分割されている。上部5は本体部に対応する。前パッド9、及び後パッド11はパッドに対応する。
【0011】
上部5の基本形態は、下方が開放された箱型の形態である。上部5のうち、前側の部分は、平面視において、先端に近づくほど幅が狭い形状を有する。
図2、
図4、
図6に示すように、上部5は、洋風便器3のうち、上側の部分を覆う。
【0012】
図1、
図7に示すように、上部5は、天板21と、側板23、25、27、29、31、33とを備える。
図7~
図9に示すように、天板21は圧縮部35、37を備える。圧縮部35、37は、天板21のうち、厚み方向に圧縮され、圧縮された形状を保持している部分である。圧縮部35、37は、天板21における他の部分に比べて厚みが小さい。圧縮部35、37は、
図8、
図9に示すように、天板21の下面21Aが凹んだ形状を有する。下面21Aは、洋風便器3と対向する面である。
【0013】
圧縮部35、37は、梱包材1を製造した時点で既に形成されている。圧縮部35、37は、梱包材1の使用を開始する時点よりも前に形成されている。圧縮部35、37では、例えば、段ボールの中芯が変形することで、厚みが減少している。圧縮部35、37は、例えば、木型等を押し付けることで形成できる。
【0014】
図3に示すように、梱包材1が洋風便器3を梱包したとき、圧縮部35は前パッド9に対し上方から当接する。また、圧縮部37は、後パッド11に対し上方から当接する。
下部7の形態は、上方が開放された箱型の形態である。
図2、
図4、
図6に示すように、下部7は、洋風便器3のうち、下側の部分を覆う。
図1、
図12に示すように、下部7は、底板41と、側板43、45、47、49とを備える。
図5、
図12に示すように、底板41は、圧縮部51を備える。
【0015】
圧縮部51は、底板41のうち、厚み方向に圧縮され、圧縮された形状を保持している部分である。圧縮部51は、底板41における他の部分に比べて厚みが小さい。圧縮部51は、底板41の上面41Aが凹んだ形状を有する。上面41Aは、洋風便器3と対向する面である。圧縮部51は、平面視において、底板41の外周に沿って環状に配置されている。
【0016】
圧縮部51は、梱包材1を製造した時点で既に形成されている。圧縮部51は、梱包材1の使用を開始する時点よりも前に形成されている。圧縮部51では、例えば、段ボールの中芯が変形することで、厚みが減少している。圧縮部51は、例えば、木型等を押し付けることで形成できる。
【0017】
図5に示すように、梱包材1が洋風便器3を梱包したとき、圧縮部51は洋風便器3の下端に対し下方から当接する。下端は、一方とは反対の端部に対応する。
図1に示すように、前パッド9の形態は、中空の角筒状の形態である。
図1、
図10に示すように、前パッド9は、天板61と、底板63と、側板65、67と、を備える。梱包材1が洋風便器3を梱包したとき、
図2、
図4に示すように、前パッド9は、洋風便器3の上端のうち、前側の部分の上に載せられる。さらに、前パッド9の上に上部5が被せられる。
【0018】
よって、梱包材1が洋風便器3を梱包したとき、前パッド9は、洋風便器3と上部5との間に存在する。底板63は、洋風便器3の上端に当接する。上端は一方の端部に対応する。天板61は、上部5における圧縮部35に当接する。圧縮部35は、前パッド9と対向する部分に対応する。
【0019】
天板61及び底板63は、厚み方向に圧縮され、圧縮された形状を保持している部分である。底板63は圧縮部に対応する。天板61及び底板63は、側板65、67に比べて厚みが小さい。天板61及び底板63は、梱包材1を製造した時点で既に圧縮された形状を保持している。天板61及び底板63は、梱包材1の使用を開始する時点よりも前に圧縮されている。天板61及び底板63では、例えば、段ボールの中芯が変形することで、厚みが減少している。例えば、木型等を押し付けることで、天板61及び底板63を圧縮することができる。
【0020】
図1に示すように、後パッド11の形態は、中空の角筒状の形態である。平面視において、後パッド11の形態は、コの字状である。
図1、
図11に示すように、後パッド11は、天板71と、底板73と、側板75、77と、を備える。梱包材1が洋風便器3を梱包したとき、
図4、
図6に示すように、後パッド11は、洋風便器3の上端のうち、後側の部分の上に載せられる。さらに、後パッド11の上に上部5が被せられる。よって、梱包材1が洋風便器3を梱包したとき、後パッド11は、洋風便器3と上部5との間に存在する。
【0021】
底板73は、洋風便器3の上端に当接する。天板71は、上部5における圧縮部37に当接する。圧縮部37は、後パッド11と対向する部分に対応する。
天板71及び底板73は、厚み方向に圧縮され、圧縮された形状を保持している部分である。底板73は圧縮部に対応する。天板71及び底板73は、側板75、77に比べて厚みが小さい。天板71及び底板73は、梱包材1を製造した時点で既に圧縮された形状を保持している。天板71及び底板73は、梱包材1の使用を開始する時点よりも前に圧縮されている。天板71及び底板73では、例えば、段ボールの中芯が変形することで、厚みが減少している。例えば、木型等を押し付けることで、天板71及び底板73を圧縮することができる。
【0022】
2.梱包材1が奏する効果
(1A)梱包材1は、圧縮部51、底板63、及び底板73を備える。圧縮部51、底板63、及び底板73は、洋風便器3と対向する部分である。圧縮部51、底板63、及び底板73は、厚み方向に圧縮可能な材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している。
【0023】
そのため、梱包材1で洋風便器3を梱包した状態が長時間継続した場合でも、圧縮部51、底板63、及び底板73の厚みがさらに減少することは生じ難い。
(1B)梱包材1は、紙から成る段ボールにより構成される。そのため、製造が容易である。
【0024】
(1C)梱包材1は、上部5、前パッド9、及び後パッド11から成るグループと、下部7とに分割された構造を有する。そのため、洋風便器3を梱包する作業が容易である。
(1D)上部5は、圧縮部35、37を備える。圧縮部35は、前パッド9と対向する部分である。圧縮部37は、後パッド11と対向する部分である。圧縮部35、37は、厚み方向に圧縮可能な材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している。
【0025】
そのため、梱包材1で洋風便器3を梱包した状態が長時間継続した場合でも、圧縮部35、37の厚みがさらに減少することは生じ難い。その結果、梱包材1と洋風便器3との全体の高さは減少し難い。そのため、例えば、梱包材1と洋風便器3とに縦方向にベルトを掛け回してから長時間が経過した場合でも、ベルトは弛み難い。
【0026】
(1E)前パッド9の天板61と、後パッド11の天板71とは、上部5に対向する部分である。天板61、71は、厚み方向に圧縮可能な材料から成り、厚み方向に圧縮された形状を保持している。
【0027】
そのため、梱包材1で洋風便器3を梱包した状態が長時間継続した場合でも、天板61、71の厚みがさらに減少することは生じ難い。その結果、梱包材1と洋風便器3との全体の高さは減少し難い。そのため、例えば、梱包材1と洋風便器3とに縦方向にベルトを掛け回してから長時間が経過した場合でも、ベルトは弛み難い。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0028】
(1)梱包材1の材料は、例えば、樹脂から成る段ボールであってもよい。
(2)梱包材1が梱包する製品は、洋風便器3以外の製品であってもよい。
(3)梱包材1は、一体の形態を有していてもよい。梱包材1は、例えば、製品の全体を収容可能な1つの箱の形態を有していてもよい。
【0029】
(4)梱包材1は、前パッド9及び後パッド11を備えていなくてもよい。この場合、上部5が洋風便器3の上端に当接する。
(5)梱包材1において製品と対向する部分の全体が圧縮部であってもよいし、一部が圧縮部であってもよい。
【0030】
(6)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0031】
(7)上述した梱包材1の他、当該梱包材1を構成要素とするシステム、梱包材1の製造方法、製品の梱包方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1…梱包材、3…洋風便器、5…上部、7…下部、9…前パッド、11…後パッド、21…天板、21A…下面、23、25、27、29、31、33…側板、35、37…圧縮部、41…底板、41A…上面、43、45、47、49…側板、51…圧縮部、61…天板、63…底板、65、67…側板、71…天板、73…底板、75、77…側板