(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】外筒管の製造方法および外筒管、燃料集合体
(51)【国際特許分類】
G21C 21/00 20060101AFI20240328BHJP
G21C 3/30 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G21C21/00 400
G21C3/30 100
(21)【出願番号】P 2020066806
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】碓井 志典
(72)【発明者】
【氏名】儀間 大充
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111896(JP,A)
【文献】特開2014-147962(JP,A)
【文献】国際公開第2018/128026(WO,A1)
【文献】特開2015-188938(JP,A)
【文献】特開2013-117489(JP,A)
【文献】特開平03-248788(JP,A)
【文献】特開昭61-071387(JP,A)
【文献】特開昭62-255890(JP,A)
【文献】特表2013-507605(JP,A)
【文献】高速炉開発会議 戦略ワーキンググループ統括チーム,高速炉サイクル技術の概要,高速炉サイクル技術の概要,日本,2018年06月01日
【文献】日本原子力研究開発機構,高速炉燃料集合体開発に係るフェライト/ マルテンサイト鋼(PNC-FMS)のレーザー溶接試験,JAEA-Technology,日本,2015年03月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/00-3/64
G21C 21/00-21/18
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に高速炉用燃料棒が収容される外筒管の製造方法であって、
六角筒形状をなすラッパ管における光ビームの照射位置に円錐形状をなす貫通孔を形成する工程と、
前記ラッパ管の内面の一部と
四角筒形状をなして板厚が前記ラッパ管の板厚より薄い内部ダクトの外面の一部とを位置合わせする工程と、
前記ラッパ管の外面側から前記ラッパ管の内面と前記内部ダクトの外面とが密着した溶接対象部
における前記貫通孔に光ビームを
継続して照射することで、前記ラッパ管および前記内部ダクトの照射部を溶融させ、前記ラッパ管の外面から前記内部ダクトの内面まで至る接合部を形成し、前記内部ダクトの内面に裏波を形成する工程と、
を有する外筒管の製造方法。
【請求項2】
前記ラッパ管と前記内部ダクトとの接合部を長手方向に沿って形成する、
請求項1に記載の外筒管の製造方法。
【請求項3】
前記ラッパ管と前記内部ダクトとの接合部を少なくとも長手方向に格子状をなして複数形成する、
請求項2に記載の外筒管の製造方法。
【請求項4】
前記ラッパ管と前記内部ダクトとの接合部を少なくとも長手方向に千鳥状をなして複数形成する、
請求項2に記載の外筒管の製造方法。
【請求項5】
前記
貫通孔は、スリット形状をなし、前記光ビームをスリット方向に沿って移動する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の外筒管の製造方法。
【請求項6】
前記光ビームは、レーザ光である、
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の外筒管の製造方法。
【請求項7】
請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載の外筒管の製造方法により製造される外筒管。
【請求項8】
請求項7に記載の外筒管と、
前記ラッパ管と前記内部ダクトとの間に収容される燃料棒と、
を備える燃料集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内部に燃料棒を収容する外筒管の製造方法、外筒管、燃料集合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、高速炉(FR:Fast Reactor)を有する原子力発電プラントは、ナトリウムを原子炉冷却材として使用し、炉内にある燃料の核分裂により発生した熱を1次系ナトリウムにより取り出し、中間熱交換器に送って2次系ナトリウムに熱を伝え、蒸気発生器に送って蒸気を発生させ、発生した蒸気をタービン発電機へ送って発電する。
【0003】
高速炉に使用される燃料集合体は、六角筒形状をなす外筒管の内部に複数の燃料棒が収容されて構成される。高速炉にて、炉心損傷が発生した場合、溶融した燃料が一か所に集中すると、再臨界に至る可能性がある。そのため、炉心損傷時に発生した溶融燃料を燃料集合体の外部に排出するために、外筒管に複数の燃料棒とは別に、四角筒形状をなす内部ダクトが設けられる。このような燃料集合体としては、例えば、下記非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】高速炉サイクル技術の概要 平成30年6月1日 高速炉開発会議 戦略ワーキンググループ 統括チーム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の燃料集合体は、六角筒形状をなす外筒管の内面に四角筒形状をなす内部ダクトの外面が密着した状態で、電気抵抗溶接(抵抗スポット溶接)により接合される。ところが、電気抵抗溶接による接合の場合、外筒管の内面と内部ダクトの外面との間に隙間があったとき、溶接不良が発生するおそれがあるという課題がある。また、電気抵抗溶接は、外筒管の外面側と内部ダクトの内面側に電極を配置する必要があり、作業性がよくないという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、製品品質の向上を図ると共に溶接作業性の向上を図る外筒管の製造方法および外筒管、燃料集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の外筒管の製造方法は、内部に高速炉用燃料棒が収容される外筒管の製造方法であって、ラッパ管の内面の一部と内部ダクトの外面の一部とを位置合わせする工程と、前記ラッパ管の外面側から前記ラッパ管と前記内部ダクトとの溶接対象部に光ビームを照射して接合する工程と、を有する。
【0008】
また、本開示の外筒管は、前記外筒管の製造方法により製造される。
【0009】
また、本開示の燃料集合体は、前記外筒管と、前記ラッパ管と前記内部ダクトとの間に収容される燃料棒と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の外筒管の製造方法および外筒管、燃料集合体によれば、製品品質の向上を図ることができると共に、溶接作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の外筒管の製造方法を説明するための概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の外筒管の製造方法の変形例を説明するための概略図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の外筒管を表す斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の第1変形例の外筒管を表す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の第2変形例の外筒管を表す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の第3変形例の外筒管を表す斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の第4変形例の外筒管を表す斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の第5変形例の外筒管を表す斜視図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の第6変形例の外筒管を表す斜視図である。
【
図10】
図10は、高速炉で使用される燃料集合体を表す一部を断面した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0013】
[燃料集合体]
図10は、高速炉で使用される燃料集合体を表す一部を断面した概略図、
図11は、燃料集合体の水平断面図である。
【0014】
図10および
図11に示すように、燃料集合体22は、ハンドリングヘッド31と、上部パッド32と、外筒管(ラッパ管)33と、複数の燃料棒34と、中間パッド35と、エントランスノズル36とを備える。
【0015】
外筒管33は、中間パッド35を有し、内部にノックバー39が固定された複数の燃料棒34が収容される。外筒管33は、上部にハンドリングヘッド31と上部パッド32が一体に連結され、下部にエントランスノズル36とが一体に連結される。燃料集合体22は、上部と下部にナトリウムが流動する上部流路37と、下部流路38が設けられる。
【0016】
また、外筒管33は、ラッパ管41と、内部ダクト42とを有する。ラッパ管41は、六角筒形状をなす。内部ダクト42は、四角(ひし形)筒形状をなす。ラッパ管41は、隣り合う2つの平面部の内面に、内部ダクト42の隣り合う2つの平面部の外面と位置合わせして接合される。外筒管33は、ラッパ管41の内面と内部ダクト42の外面とに区画された領域に複数の燃料棒34が収容される。また、外筒管33は、内部ダクト42の内面に区画された領域が溶融燃料の排出路43となる。
【0017】
[外筒管の製造方法]
図1は、本実施形態の外筒管の製造方法を説明するための概略図、
図2は、本実施形態の外筒管の製造方法の変形例を説明するための概略図、
図3は、本実施形態の外筒管を表す斜視図である。
【0018】
本実施形態の外筒管の製造方法は、内部に高速炉用の燃料棒34が収容される外筒管33の製造方法である。外筒管の製造方法は、
図1に示すように、ラッパ管41の内面の一部と内部ダクト42の外面の一部とを位置合わせする工程と、ラッパ管41の外面側からラッパ管41と内部ダクト42との溶接対象部に光ビームを照射して接合する工程とを有する。
【0019】
図3に示すように、ラッパ管41は、六角筒形状をなし、内部ダクト42は、四角筒形状をなす。ラッパ管41の厚さは、内部ダクト42の厚さより厚い。例えば、ラッパ管41の厚さは、5mm、内部ダクト42の厚さは、2mmである。但し、この厚さに限定されるものではなく、ラッパ管41の厚さより内部ダクト42の厚さが薄ければよい。ラッパ管41と内部ダクト42は、フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS鋼)てあり、下記の成分となっている。但し、フェライト/マルテンサイト鋼に限るものではなく、例えば、オーステナイトステンレス鋼でもよい。
PNC-FMS鋼:
0.12C-11Cr-0.5Mo-2W-0.2V-0.05Nb
【0020】
ラッパ管41は、6つの平面部から構成され、内部ダクト42は、4つの平面部から構成される。まず、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bの内面と、内部ダクト42の2つの平面部42a,42bの外面とを位置合わせさせる。この場合、ラッパ管41を横倒し状態とし、ラッパ管41の内部に内部ダクト42を挿入し、治具により平面部41a,41bの内面と平面部42a,42bの外面とがずれないように保持することが好ましい。
【0021】
このとき、
図1に示すように、ラッパ管41の内面41tと内部ダクト42の外面42sとが位置合わせした状態で保持される。次に、ラッパ管41の外面41s側からラッパ管41と内部ダクト42との平面部の溶接対象部に向けて光ビームとしてのレーザ光Lを照射する。すなわち、ラッパ管41の外面41s側に、ラッパ管41の外面41sから所定距離(焦点距離)を空けてレーザ溶接機の加工ヘッド50を配置し、加工ヘッド50からのレーザ光Lを集光してラッパ管41の外面41sに向けて照射する。なお、光ビームは、レーザ光Lに限るものではなく、例えば、電子ビームであってもよい。この場合、電子ビーム溶接機(EBW:Electron Beam Welding)を用いる。
【0022】
すると、レーザ光Lによりラッパ管41および内部ダクト42のレーザ光の照射部が溶融し、レーザ光Lの照射を停止すると、溶融部が固化して接合部51が形成される。接合部51は、ラッパ管41の外面41sから内部ダクト42の内面42tまで至り、内部ダクト42の内面42tに裏波51aが形成される。なお、ラッパ管41と内部ダクト42との接合に対して、複数の接合部51を形成することが好ましい。
【0023】
なお、本実施形態の外筒管の製造方法は、上述した方法に限定されるものではない。
図2に示すように、事前に、ラッパ管41におけるレーザ光Lの照射位置に、ラッパ管41の厚さ方向に沿って貫通する貫通孔(凹部)55を形成する。この場合、貫通孔55は、平面視が円形状をなすものであり、ラッパ管41の長手方向や周方向に所定間隔を空けて複数形成することが好ましい。なお、貫通孔55は、円筒形状、円錐形状、円錐台形状などである。また、貫通孔55は、ラッパ管41の板厚方向に非貫通であり、外面41sに形成された凹部であってもよい。
【0024】
そして、前述したように、ラッパ管41の内面41tと内部ダクト42の外面42sとが位置合わせした状態で保持する。次に、ラッパ管41の外面41s側からラッパ管41と内部ダクト42との平面部の溶接対象部の貫通孔55に向けてレーザ光Lを照射する。このとき、レーザ光Lは、ラッパ管41の外面41sに照射されると共に、貫通孔55を通って内部ダクト42の外面42sに照射される。すると、レーザ光Lによりラッパ管41における貫通孔55の内面側から溶融して溶融部56が形成され、続けて内部ダクト42が溶融する。その後、レーザ光Lの照射を停止すると、ラッパ管41と内部ダクト42の溶融部が固化し、
図1に示すように、接合部51が形成される。
【0025】
なお、ラッパ管41におけるレーザ光Lの照射位置に、ラッパ管41の厚さ方向に沿って貫通すると共に、長手方向または周方向などに沿ってスリット形状をなす貫通孔を形成してもよい。この場合、加工ヘッド50からレーザ光Lをスリット形状の貫通孔の一端部側に照射し、加工ヘッド50を貫通孔の他端部側に移動しながらレーザ光Lを照射する。
【0026】
図3に示すように、上述した本実施形態の外筒管の製造方法により製造された外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとが位置合わせされた位置に、複数の接合部51が形成される。複数の接合部51は、少なくとも外筒管33の長手方向における上端部および下端部に形成することが好ましい。但し、複数の接合部51を外筒管33の長手方向における中間部にも形成してもよく、また、外筒管33の長手方向における全域に形成してもよい。すなわち、入熱量を減らすために接合部51を少なくすることが好ましいが、その配置は、外筒管33の長手方向における端部、中間部、全域のいずれにも配置してもよい。
【0027】
[外筒管の変形例]
図4は、本実施形態の第1変形例の外筒管を表す斜視図、
図5は、本実施形態の第2変形例の外筒管を表す斜視図、
図6は、本実施形態の第3変形例の外筒管を表す斜視図、
図7は、本実施形態の第4変形例の外筒管を表す斜視図、
図8は、本実施形態の第5変形例の外筒管を表す斜視図、
図9は、本実施形態の第6変形例の外筒管を表す斜視図である。
【0028】
本実施形態の第1変形例において、
図4に示すように、外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとを位置合わせした位置に、複数の接合部61が格子状をなして形成される。複数の接合部61は、上述した複数の接合部51よりも直径が大きく、数が少ない。なお、複数の接合部61の間隔や数は、適宜設定すればよい。
【0029】
本実施形態の第2変形例において、
図5に示すように、外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとを位置合わせした位置に、複数の接合部62が千鳥状をなして形成される。
【0030】
本実施形態の第3変形例において、
図6に示すように、外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとを位置合わせした位置に、複数の接合部63が外筒管33の長手方向に沿って形成されると共に、格子状をなして形成される。
【0031】
本実施形態の第4変形例において、
図7に示すように、外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとを位置合わせした位置に、複数の接合部64が外筒管33の長手方向に沿って形成されると共に、千鳥状をなして形成される。
【0032】
本実施形態の第5変形例において、
図8に示すように、外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとを位置合わせした位置に、それぞれ1つの接合部65が外筒管33の長手方向に沿って所定の長さにわたって形成される。
【0033】
本実施形態の第6変形例において、
図9に示すように、外筒管33は、ラッパ管41の2つの平面部41a,41bと内部ダクト42の2つの平面部42a,42bとを位置合わせした位置に、それぞれ複数(第6変形例では、2つ)の接合部66が外筒管33の長手方向に沿って所定の長さにわたって形成される。
【0034】
なお、外筒管33における接合部の形状、位置、大きさ、長さ、数などは、上述したものに限定されるものではなく、適宜設定すればよいものである。
【0035】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る外筒管の製造方法は、内部に高速炉用の燃料棒34が収容される外筒管の製造方法であって、ラッパ管41の内面の一部と内部ダクト42の外面の一部とを位置合わせする工程と、ラッパ管41の外面側からラッパ管41と内部ダクト42との溶接対象部にレーザ光(光ビーム)Lを照射して接合する工程とを有する。
【0036】
第1の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41の外面41s側からレーザ光Lを照射することで、ラッパ管41と内部ダクト42とを接合することができる。そのため、ラッパ管41の外面41s側にレーザ光Lの照射装置を配置すればよく、溶接作業性の向上を図ることができる。また、内部ダクト42の内面42tの溶接痕によりラッパ管41と内部ダクト42との接合状態を確認することができ、製品品質の向上を図ることができる。
【0037】
すなわち、本実施形態では、ラッパ管41および内部ダクト42の材料として、低スエリング材のフェライト鋼を選定した。フェライト鋼の特性を維持するためには、可能な限り、溶接時の入熱を減らし、材料特性の変化を防止する必要がある。フェライト鋼は、オーステナイト鋼と異なって磁性材である。内部ダクトの溶接には、電気抵抗溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接などが考えられる。電気抵抗溶接は、ラッパ管41と内部ダクト42との隙間が一定でないことから、溶接不良が発生するおそれがある。また、溶接後の検査を実施することが困難であり、製品品質が低下するおそれがある。レーザ溶接および電子ビーム溶接は、これらの課題を解消することができる。なお、フェライト鋼が磁性材であることから、電子ビーム溶接では、ビームが偏向する可能性があり、レーザ溶接の方が好ましい。また、電子ビーム溶接では、真空状態を確保する必要がある。
【0038】
第2の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41を六角筒形状とし、内部ダクト42を四角筒形状とし、ラッパ管41の平面部41a,41bの内面41tと内部ダクト42の平面部42a,42bの外面42sとを位置合わせさせ、レーザ光Lをラッパ管41の平面部41a,41bに照射する。これにより、ラッパ管41と内部ダクト42を適正に接合することができる。
【0039】
第3の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41の板厚を内部ダクト42の厚さより厚くし、レーザ光Lをラッパ管41の外面41sに照射してラッパ管41と内部ダクト42を溶融固化させ、内部ダクト42の内面42tに裏波51aを形成する。これにより、作業者が裏波51aを視認することで、レーザ溶接の品質を確認することができる。
【0040】
第4の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41と内部ダクト42との接合部63,64,65,66を長手方向に沿って形成する。これにより、レーザ溶接の作業時間を短くしてレーザ溶接作業の簡素化を図ることができる。
【0041】
第5の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41と内部ダクト42との接合部51,61,63を少なくとも長手方向に格子状をなして複数形成する。これにより、ラッパ管41と内部ダクト42への入熱を少なくして変形を抑制することができると共に、ラッパ管41と内部ダクト42を適正に接合することができる。
【0042】
第6の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41と内部ダクトとの接合部62,64を少なくとも長手方向に千鳥状をなして複数形成する。これにより、ラッパ管41と内部ダクト42への入熱を少なくして変形を抑制することができると共に、ラッパ管41と内部ダクト42を適正に接合することができる。
【0043】
第7の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41におけるレーザ光Lの照射位置に貫通孔(凹部)55を形成し、貫通孔55に向けてレーザ光Lを照射する。これにより、ラッパ管41への入熱を少なくして変形を抑制することができる。
【0044】
第8の態様に係る外筒管の製造方法は、貫通孔55をスリット形状とし、レーザ光Lをスリット方向に沿って移動する。これにより、ラッパ管41への入熱を少なくして変形を抑制することができると共に、レーザ溶接の作業時間を短くしてレーザ溶接作業の簡素化を図ることができる。
【0045】
第9の態様に係る外筒管の製造方法は、ラッパ管41の外面41s側から光ビームとしてのレーザ光Lを照射する。これにより、製品品質の向上を図ることができると共に、溶接作業性の向上を図ることができる。
【0046】
第10の態様に係る外筒管は、ラッパ管41と内部ダクト42とがレーザ溶接により接合された外筒管33でる。これにより、製品品質の向上を図ることができる。
【0047】
第11の態様の燃料集合体は、外筒管33と、ラッパ管41と内部ダクト42との間に収容される燃料棒34とを備える。これにより、製品品質の向上を図ることができる。
【0048】
なお、上述した実施形態では、ラッパ管41を六角筒形状とし、内部ダクト42を四角筒形状としたが、この形状に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
22 燃料集合体
31 ハンドリングヘッド
32 上部パッド
33 外筒管
34 燃料棒
35 中間パッド
36 エントランスノズル
41 ラッパ管
41a,41b 平面部
41s 外面
41t 内面
42 内部ダクト
42a,42b 平面部
42s 外面
42t 内面
43 排出路
50 加工ヘッド
51,61,62,63,64,65,66 接合部
51a 裏波
55 貫通孔(凹部)