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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ガスバリア性シュリンクフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240328BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/32 D
B65D65/40 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020096105
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021187098
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】岡村 彩
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221507(JP,A)
【文献】特開2016-179648(JP,A)
【文献】特開2004-034340(JP,A)
【文献】特開2012-030497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B、B65D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層(A)と接着層(D)とガスバリア層(B)とヒートシール層(C)との少なくとも4層を備え、
前記接着層(D)が、2種の熱可塑性樹脂(X)と(Y)を含み、海島構造を有し、
前記熱可塑性樹脂(X)が、変性LLDPEであり、
前記熱可塑性樹脂(Y)が、HDPEであり、
前記基材層(A)が脂肪族ポリアミド重合体、脂肪族ポリアミド共重合体、またはポリプロピレン系樹脂を含み、
前記基材層(A)と前記接着層(D)と前記ガスバリア層(B)と接着層と前記ヒートシール層(C)がこの順に接し、前記ガスバリア層(B)と前記ヒートシール層(C)との間の前記接着層が、前記接着層(D)又は前記接着層(D)以外の他の接着層であること、
を特徴とするガスバリア性シュリンクフィルム。
【請求項2】
前記海島構造が、前記熱可塑性樹脂(X)と前記熱可塑性樹脂(Y)とが部分相溶状態を取っている連続相と、前記熱可塑性樹脂(X)からなる分散相による海島構造である、請求項1に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
【請求項3】
前記接着層(D)が、2種の熱可塑性樹脂(X)と(Y)を含み、前記熱可塑性樹脂(X)の密度dxと前記熱可塑性樹脂(Y)の密度dyとが、dy-dx>30kg/mである、請求項1または2に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(X)と前記熱可塑性樹脂(Y)の質量比率が10:90~90:10である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
【請求項5】
前記ヒートシール層(C)がポリエチレン系樹脂を少なくとも含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
【請求項6】
100℃における長さ方向の熱収縮率が30%以上である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性シュリンクフィルムに関する。特に、包装機による包装に適し、主にガスバリア性が必要な食品包装分野に使用するのに好適なガスバリア性シュリンクフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品を覆う包装方法として、例えば、家庭用ラップ包装、オーバーラップ包装、ひねり包装、袋詰め包装、スキン包装、ピローシュリンク包装、ストレッチ包装、トップシール包装が挙げられる。特に、ピローシュリンク包装及びトップシール包装の連続包装機は高速包装でき、仕上がりが良好であるため広く流通している。
【0003】
さらに、近年では環境への配慮から、スーパーやコンビニ等で売れ残った食品等の廃棄量を削減する意識が高まり、食品の長期保存、常温保存を目的としたガスパック包装が注目されている。ガスパック包装は、容器内を窒素ガスや二酸化炭素ガスで封入することにより細菌等の繁殖を抑制し、長期保存を実現するツールであり、使用する包装フィルムには酸素透過性の低いガスバリア性フィルムが適している。ガスバリア性フィルムとしては、バリア性の樹脂と低温シール性を有するポリオレフィン系樹脂とを積層したフィルムが知られている。
【0004】
ガスパック包装は肉魚などに用いられるが、これらはスーパーやコンビニ等で低温高湿な条件下で置かれるものである。このため、ある一定の温度湿度でのガスバリア性が重要になる。また、ガスパック包装時に、容器が変形しないことも重要である。
【0005】
たとえば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系接着性樹脂層、ポリアミド樹脂層、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物層で構成された多層フィルムが提示されている。
また、特許文献2には、基材層とガスバリア層とヒートシール層を備え、基材層が融点130℃以上の熱可塑性樹脂を含み、ガスバリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物を含み、ヒートシール層が、ポリエチレン系樹脂層を含む多層フィルムが提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3418204号公報
【文献】特開2016-179648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1において、ポリアミド樹脂層を用いているため、ある一定の温度湿度でのガスバリア性が劣り、ガスパック包装時に、容器が変形するおそれがある。
また特許文献2においては、より高いレベルでの機械特性が達成されていない。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、湿度が高い条件でもガスバリア性に優れ、また、ガスパック包装時に、容器が変形せず、かつ機械特性に優れるフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1]
基材層(A)と接着層(D)とガスバリア層(B)とヒートシール層(C)との少なくとも4層を備え、
前記接着層(D)が、2種の熱可塑性樹脂(X)と(Y)を含み、海島構造を有し、
前記熱可塑性樹脂(X)が、変性LLDPEであり、
前記熱可塑性樹脂(Y)が、HDPEであり、
前記基材層(A)が脂肪族ポリアミド重合体、脂肪族ポリアミド共重合体、またはポリプロピレン系樹脂を含み、
前記基材層(A)と前記接着層(D)と前記ガスバリア層(B)と接着層と前記ヒートシール層(C)がこの順に接し、前記ガスバリア層(B)と前記ヒートシール層(C)との間の前記接着層が、前記接着層(D)又は前記接着層(D)以外の他の接着層である、
を特徴とするガスバリア性シュリンクフィルム。
[2]
前記海島構造が、前記熱可塑性樹脂(X)と前記熱可塑性樹脂(Y)とが部分相溶状態を取っている連続相と、前記熱可塑性樹脂(X)からなる分散相による海島構造である、請求項1に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
[3]
前記接着層(D)が、2種の熱可塑性樹脂(X)と(Y)を含み、前記熱可塑性樹脂(X)の密度dxと前記熱可塑性樹脂(Y)の密度dyとが、dy-dx>30kg/mである、[1]または[2]に記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
[4]
前記熱可塑性樹脂(X)と前記熱可塑性樹脂(Y)の質量比率が10:90~90:10である、[1]ないし[3]のいずれかに記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
[5]
前記ヒートシール層(C)がポリエチレン系樹脂を少なくとも含む、[1]ないし[4]のいずれかに記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
[6]
100℃における長さ方向の熱収縮率が30%以上である、[1]ないし[5]のいずれかに記載のガスバリア性シュリンクフィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガスバリア性シュリンクフィルムは、上記構成を有するため、湿度が高い条件でもガスバリア性に優れ、また、ガスパック包装時に、容器が変形せず、かつ機械特性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0012】
[ガスバリア性シュリンクフィルム]
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、基材層(A)と接着層(D)とガスバリア層(B)とヒートシール層(C)との少なくとも4層を備え、上記接着層(D)が、熱可塑性樹脂を含み、海島構造を有する。上記ガスバリア性シュリンクフィルムは、基材層(A)、ガスバリア層(B)、ヒートシール層(C)をそれぞれ1層ずつ備え、1層以上の接着層(D)を備えることが好ましい。なお、接着層は、後述の接着層(D)の要件を満たす接着層のみであってもよいし、他の接着層を含んでいてよい。
【0013】
上記ガスバリア性シュリンクフィルムの層構造としては、例えば、基材層(A)とヒートシール層(C)とが最外層(表面層)であり、内部に接着層(D)とガスバリア層(B)とを有する層構造があげられ、より具体的には下記の例が挙げられる。これらの層構造によれば、本発明の効果が一層顕著に奏される。
・基材層/ガスバリア層/接着層/ヒートシール層
・基材層/接着層/ガスバリア層/ヒートシール層
・基材層/接着層/ガスバリア層/接着層/ヒートシール層
【0014】
以下、ガスバリア性シュリンクフィルムを構成する各層の層の好適な態様について詳述する。
【0015】
(基材層(A))
上記基材層(A)は、ガスバリア性シュリンクフィルムに耐熱性を付与する層であり、好適にはガスバリア性シュリンクフィルムの最外層に位置する。また、基材層(A)は、ガスバリア性シュリンクフィルム製造時には、延伸支持層としての役割も果たすことができる。
【0016】
耐熱性を付与するという観点から、上記基材層(A)は、融点130℃以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記融点130℃以上の熱可塑性樹脂としては、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル類;ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド重合体;ナイロン6/66、ナイロン6/12等の脂肪族ポリアミド共重合体;MXD6(ポリメタキシレンアジパミド)等の芳香族ポリアミド重合体;ポリメチルペンテン;ポリプロピレン系樹脂;等が好ましく、脂肪族ポリアミド重合体、脂肪族ポリアミド共重合体、ポリプロピレン系樹脂がより好ましく、ポリプロピレン系樹脂がさらに好ましい。これらのうち1種を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂の融点は、熱収縮性を付与するという観点から、130℃以上230℃以下であることが好ましく、より好ましくは130℃以上160℃以下である。
上記基材層(A)中の上記融点130℃以上の熱可塑性樹脂の質量割合としては、基材層(A)100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。中でも、基材層(A)中、融点130℃以上(好ましくは130℃以上230℃以下)のポリプロピレン系樹脂を、50質量%以上含むことが好ましく、より好適には60質量%以上、さらに好適には70質量%以上である。
【0017】
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体を好適に使用でき、例えば、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα-オレフィンとの3元共重合体等を好適に使用できる。
プロピレン単独重合体とは、プロピレンのみを重合して得られる重合体である。
プロピレン系共重合体としては、プロピレンと、エチレン及び炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体を好適に用いることができる。より好ましくは、プロピレンと、エチレン及び炭素数4~8のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体であり、プロピレンとエチレンとの共重合体がさらに好ましい。
【0018】
上記α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0019】
プロピレン-α-オレフィン共重合体としては、プロピレンと、エチレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
【0020】
ポリプロピレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合されたものであってよく、透明性に一層優れる観点からは、シングルサイト系触媒を用いて重合されたものであることが好ましい。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒のような触媒で重合された樹脂であっても、メタロセン系触媒等で重合された樹脂であってもよい。すなわち、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、シンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクティックポリプロピレン等も使用できる。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジー)をナノオーダーで制御したポリプロピレン系樹脂を使用することもできる。
ポリプロピレン系樹脂は、単独又は混合して用いることができ、ポリプロピレンとプロピレン-α-オレフィン共重合体とを混合すると、基材層の結晶性が低下し熱収縮性が向上する傾向にあるため好ましい。
【0023】
上記基材層(A)は、耐熱性、強度に一層優れる観点から、上記ポリプロピレン系樹脂、上記脂肪族ポリアミド重合体、及び上記脂肪族ポリアミド共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、上記ポリプロピレン系樹脂、上記脂肪族ポリアミド重合体、及び上記脂肪族ポリアミド共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のみからなることがより好ましい。
上記基材層(A)は、耐熱性に一層優れる観点から、プロピレン単独重合体と、プロピレン系共重合体とのみからなる層であってよく、基材層100質量%に対して、プロピレン単独重合体30質量%以上50質量%未満、プロピレン系共重合体50質量%超70質量%以下含んでいてもよい。
【0024】
基材層(A)は、上記熱可塑性樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、その特性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、各種界面活性剤、アンチブロック剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0025】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムに防曇性を付与するため、上記基材層(A)に界面活性剤としてグリセリン系脂肪酸エステルを添加することができる。グリセリン系脂肪酸エステルを添加する場合、その含量は、上記基材層を基準として0.1質量%以上かつ5.0質量%以下であることが好ましい。
【0026】
グリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリンのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、ポリ脂肪酸エステル等が挙げられ、炭素数が8~18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステル等が挙げられる。その中でもジグリセリンオレート、ジグリセリンラウレート、グリセリンステアレート、グリセリンモノオレート、又はそれらの混合物を主成分としたものが、フィルムの滑り性や光学特性を阻害し難いため好ましい。さらに、エチレンオキサイド付加物を添加し水滴の表面張力を下げることで良好な防曇性を付与することができる。エチレンオキサイド付加物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0027】
(ガスバリア層(B))
上記ガスバリア層(B)は、エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物(EVOH)を含有する層であり、ガスバリア性シュリンクフィルムのガスバリア性を向上する役割を果たす。
【0028】
上記エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物の融解ピーク温度(以下、融点という)は180℃以下であることが好ましく、より好ましくは140~170℃、さらに好ましくは150~160℃である。融点が180℃以下(好ましくは160℃以下)であれば包装時の熱収縮工程の際に分子配向の緩和が促されるため、収縮用途に適した良好な熱収縮性を発現することができる。
なお、本明細書において、融点は、示差走査熱量測定(DSC)により得られる融解曲線で現れる吸熱反応のピークの頂点における温度である。融解ピークが複数存在する場合は、最も高温側の融解ピーク温度が上記数値範囲内であればよい(すなわち、本明細書中では、最も高温側の融解ピーク温度を融点と見做す)。
【0029】
上記エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物は、エチレンに由来する構造単位の含有量(本明細書において、エチレン含有量と称する場合がある)が多くなるほど結晶性と融点が低下するため延伸性が良好になる傾向があり、一般にエチレン含有量が32mol%の場合の融点は183℃、38mol%の場合の融点は173℃、44mol%の場合の融点は163℃である。好適なエチレン含有量は30mol%以上40mol%以下であり、31mol%以上39mol%以下であることがより好適であり、32mol%以上38mol%以下であることがさらに好適である。エチレン含有量が上記の範囲であると、延伸性とガスバリア性に優れたフィルムを得ることができる。
【0030】
一般にガスバリア性能は、分子鎖間の相互作用が大きい程ガスバリア性が優れる傾向にあり、特にエチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物は分子間の相互作用が大きくガスバリア性能が高いことで知られている。一方で、分子鎖間の相互作用が大きいため熱収縮応力が大きく、シュリンク(熱収縮性)フィルムとして用いる際は包装体の容器変形が生じやすい。
【0031】
上記エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物は、結晶構造を制御することにより、融点180℃以下(好ましくは160℃以下)且つエチレン含有量40mol%以下を両立させることができる。さらに、融点と降温結晶化温度との差である過冷却温度差が一般的なエチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物に比べて大きいエチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物を用いることにより、ラメラの厚みが小さく結晶が均一化し易くなり、このようなエチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物を含むガスバリア層の場合は、応力集中が軽減され、ガスパック包装時の容器変形を抑制することができる。上記過冷却温度差は25℃以上であることが好ましく、27℃以上であることがより好適であり、29℃以上であることがさらに好適である。
【0032】
上記効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、ガスバリア性シュリンクフィルムの熱収縮特性は、構成する樹脂の分子配向により伸ばされていた非晶部が緩和して無配向状態に戻ろうとして発現し、結晶部は融解温度近くまで非晶部の収縮を留める役割を果たす。一般にエチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物は分子間の相互作用が強く熱収縮応力が大きいため、積層フィルム全体の熱収縮応力を支配する傾向にあるが、これに対して、結晶構造を制御することで非晶部、及び結晶部の配向緩和による応力集中を抑制し、且つバリア性に優れたガスバリア性シュリンクフィルムを提供することができると考えられる。
【0033】
(ヒートシール層(C))
上記ヒートシール層(C)は、ガスバリア性シュリンクフィルムにヒートシール性を付与する層であり、好適にはガスバリア性シュリンクフィルムの最外層に位置する。また、ヒートシール層は、ガスバリア性シュリンクフィルム製造時には、延伸支持層としての役割も果たすことができる。
【0034】
上記ヒートシール層(C)は、エチレンに由来する構造単位を含むポリエチレン系樹脂を含むことが好ましく、エチレン系樹脂のみからなることがより好ましい。上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)(好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))、超低密度ポリエチレンが挙げられる。超低密度ポリエチレンとしては、例えば、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と称される)が挙げられる。
【0035】
ここで、ポリエチレン系樹脂は、JISK6922に基づいて密度により分類することができる。具体的には、密度が942kg/m以上のものを高密度ポリエチレンといい、密度が930kg/m以上942kg/m未満のものを中密度ポリエチレンといい、密度が910kg/m以上930kg/m未満のものを低密度ポリエチレンといい、密度が910kg/m未満のものを超低密度ポリエチレンという。
【0036】
エチレン-α-オレフィン共重合体とは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を示す。上記α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。
上記エチレン-α-オレフィン共重合体としては、エチレンと、プロピレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種類のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
【0037】
上記エチレン-α-オレフィン共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中のα-オレフィンの割合(仕込みモノマー基準)が5質量%以上かつ30質量%以下である軟質の共重合体であることが好ましい。
【0038】
ポリエチレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合されたものであってよく、透明性に一層優れる観点からは、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。
【0039】
ポリエチレン系樹脂は、低温でのヒートシール性が一層良好になる観点から、密度が860kg/m以上925kg/m以下であると好ましく、870kg/m以上920kg/m以下であるとより好ましく、880kg/m以上915kg/m以下であると更に好ましい。ポリエチレン系樹脂の密度が低いほど低温でのヒートシール性は向上する傾向にあり、密度が925kg/m以下であれば、ヒートシール性が向上する傾向にある。
【0040】
ポリエチレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジー)をナノオーダーで制御したポリエチレン系樹脂を使用することもできる。
【0041】
ポリエチレン系樹脂は単独、又は混合して用いることができ、エチレン単独重合体とエチレン-α-オレフィン共重合体とを混合すると、ヒートシール層の結晶性が低下し熱収縮性および低温でのヒートシール性が向上する傾向にあるため好ましい。
【0042】
ヒートシール層は、ポリエチレン系樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、その特性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、各種界面活性剤、アンチブロック剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0043】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムに防曇性を付与するため、ヒートシール層に界面活性剤として上述のグリセリン系脂肪酸エステルを添加することができる。
【0044】
(接着層(D))
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、熱可塑性樹脂を含み、海島構造を有する接着層(D)を少なくとも一層有する。例えば、接着層が複数層ある場合、1層が接着層(D)であり、他の層が他の接着層であってもよい。中でも、優れた機械的特性と柔軟性を両立する観点から、1層の接着層が接着層(D)であることが好ましい。
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、優れた機械的特性と延伸性とを両立する観点から、一方の表層である基材層(A)と内部の層(例えば、ガスバリア層(B))との接着層が、接着層(D)であることが好ましい。
【0045】
上記海島構造は、2種以上の熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂(X)と熱可塑性樹脂(Y)が相溶した部分からなる連続層と、熱可塑性樹脂(X)からなる分散層による海島構造を有するように構成することができる。ただし、そのような構成に限定するものではない。
【0046】
ここで海島構造とは、複数成分の片方が連続する相の中に、もう一方が島状に分散している構造を言い、通常、分散相である島部は不連続である。島は接着層(D)全体に均一に分布していることが好ましい。島は、2個以上存在することが好ましい。
島の面積率の15~45%であることが好ましい。なお、島の面積率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0047】
海島構造を形成する、2種の熱可塑性樹脂(X)と(Y)は、熱可塑性樹脂(X)の密度dxと熱可塑性樹脂(Y)の密度dyが、dx<dyであり、dy-dx>30kg/mであることが好ましい。この組み合わせであると、熱可塑性樹脂(X)と熱可塑性樹脂(Y)とが相溶した部分からなる連続層と、熱可塑性樹脂(X)からなる分散層による海島構造が容易に形成される。
上記密度差dy-dxは、熱可塑性樹脂が相溶した連続相が接着層全体で形成されやすくなり、機械的強度と柔軟性に一層優れる観点から、より好ましくは40kg/m以上、さらに好ましくは45kg/m以上である。また、60kg/m以下であることが好ましい。
例えば、接着層に3種以上の熱可塑性樹脂が含まれる場合、密度が最も高い熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(Y)、密度が最も低い熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(X)としてよい。
【0048】
上記熱可塑性樹脂(X)と熱可塑性樹脂(Y)の質量比率が10:90~90:10であることが好ましく、より好ましくは20:80~80:20、さらに好ましくは30:70~70:30である。この範囲であると、海島構造が容易に形成され、機械強度と柔軟性に一層優れる。
【0049】
熱可塑性樹脂(X)としては、極性基を有するオレフィン系樹脂があげられ、変性LLDPEであることが好ましい。変性LLDPEは、結晶化しにくいため、海島構造の島の構造を容易に形成する。変性LLDPEとしては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂に、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物を、グラフト共重合した変性重合体が好適であり、無水マレイン酸をグラフト共重合した変性重合体がより好適である。これにより接着性を十分発現させることが可能である。また、極性基を有する熱可塑性樹脂を用いることにより、接着層が適度に柔軟性を有して、延伸加工がしやすくなる。
【0050】
上記変性LLDPEは密度が910kg/m以下が好ましい。
【0051】
熱可塑性樹脂(Y)が、HDPEであることが好ましい、
HDPEとは高密度ポリエチレンのことであり、密度が942kg/m以上であることが好ましい。
【0052】
熱可塑性樹脂(X)が変性LLDPEであり、熱可塑性樹脂(Y)がHDPEである場合、変性LLDPEは結晶化しにくく、HDPEは結晶化しやすいため、これらは完全に一様には相溶しない。変性LLDPEの一部とHDPEとが部分相溶状態をとって共晶構造を形成する。この共晶構造部分が海島構造の海成分となり、残りの結晶化していない変性LLDPEが島成分となる。この構造により、機械強度と柔軟性とを両立することができる。通常、接着層に密度差が異なる二種以上の熱可塑性樹脂を混合すると、接着性が低下する。しかしながら、本発明者らは、接着層に海島構造を設けることにより(特に、密度差が大きいために相溶しにくい2種以上の熱可塑性樹脂を用いて、一部を相溶化させて海構造とし、一部は相溶化させずに島構造とする海島構造を設けることにより)、機械特性と柔軟性とが向上することを見出した。
また、ポリアミド系樹脂は、機械強度に優れるものの、吸湿しやすいため、ガスバリア性を低下させる場合がある。ポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、上述の変性LLDPE等の極性基を有するオレフィン系樹脂と、高密度ポリエチレンとの組み合わせ)を用いて、接着層に海島構造を設けることにより、高湿下においても長期にわたりガスバリア性を維持することができる。
この結晶構造は、バリア性が要求されるシュリンクフィルムの接着層において、特に適している。
【0053】
一般にHDPEをフィルムの成分として用いると、結晶性のために、フィルムが固くなり、延伸するのが困難であるため、ガスバリア性シュリンクフィルムとして用いることは困難であった。しかし、海島構造をとるために、HDPEを用いているにも関わらず、変性LLDPEの一部の島成分の影響により、延伸することが可能であったと推察される。
また、HDPEの高い機械強度により、フィルム全体の十分な機械強度を得ることができると考えられる。
【0054】
このように、熱可塑性樹脂を含み、海島構造を有することにより強度と伸びが両立できる。
【0055】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、接着層を単層で有していてもよく、接着層を2層以上有していてもよい。例えば、ヒートシール層(C)及びガスバリア層(B)の間に設けられた第一の接着層と、ガスバリア層(B)及び基材層(A)の間に設けられた第二の接着層と、を含んでよい。
第一の接着層と第二の接着層は同一の樹脂からなってもよいし、異なる樹脂でもよい。また厚みが同一でも良いし異なっていても良い。
また、本実施形態においては、少なくとも一層の接着層が、熱可塑性樹脂を含み、海島構造を有すればよく、第一の接着層が熱可塑性樹脂を含み、海島構造を有していてもよいし、第二の接着層が熱可塑性樹脂を含み、海島構造を有していてもよい。
【0056】
上記接着層(D)以外の他の接着層としては、特に限定されず、公知の接着層としてよい。
【0057】
以下、本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの特性について説明する。
(最大熱収縮応力)
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは応力集中抑制のために、測定温度100℃で3分間までの最大熱収縮応力が3.0MPa以下であることが好ましく、2.5MPa以下であることがより好ましい。
ピローシュリンク包装などの被包装体をシュリンク方式でタイトに包装する包装では、プラスチック製の発泡トレーや成形トレー等に精肉類、魚介類等を詰めて使用することが多く、フィルムが熱収縮する際の熱収縮応力によってトレーが変形し易いため外観不良の包装体が生じやすい。
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、100℃における長さ方向の最大熱収縮応力が3.0MPa以下であると、自動包装機を用いて食品などを包装などする場合、よりトレー変形を抑制しタイトで美麗な包装体を得ることができる。
また、自動包装機で用いる食品包装用トレーは、機械方向、すなわち長さ方向が幅方向に対して長い長方形のトレーを用いることが一般的であるため、幅方向が特に熱収縮応力に対する変形に弱く容器変形しやすい。そのためフィルムの幅方向の最大熱収縮応力が2.5MPa以下であることが容器変形を抑制し易いため好ましく、長さ方向、且つ幅方向の両方の最大熱収縮応力が3.0MPa以下であることが正方形のトレーの容器変形も抑制できるためより好ましい。
自動包装機での包装の場合、包装体のシュリンクトンネルの通過時間は数秒程度のため、トンネルの熱風設定温度に対して、フィルム表面温度は10℃~20℃程度低くなってしまう傾向がある。そのため本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムでは、熱風設定温度120℃の想定に対して、容器変形の指標である熱収縮応力の測定を100℃のオイルバスに浸漬させて評価を行う。最大熱収縮応力は、ASTM-D2838に準拠して測定する。
【0058】
(熱収縮率)
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、測定法ASTM-D2732に準拠して測定される、100℃における熱収縮率が、長さ方向において30%以上であることが好ましく、幅方向において25%以上であることがより好ましく、長さ方向及び幅方向のいずれもが30%以上であることがさらに好ましい。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムが利用されるピローシュリンク包装、及びトップシール包装においてタイトな仕上がりの包装物を得るためには、熱収縮率は25%以上であればタイトできれいな仕上がりの包装物を得ることができる。
【0059】
上記範囲の熱収縮率を得るためには、ガスバリア性シュリンクフィルムを構成する樹脂の融点が165℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、160℃未満であることがさらに好ましい。ガスバリア性シュリンクフィルムを構成する樹脂の融点が165℃以下であれば分子配向の緩和が促されるため収縮用途に適した良好な熱収縮性を発現することができる。
【0060】
また、ガスバリア性シュリンクフィルムは、長さ方向の熱収縮率が、60℃において10%以下であることが好ましく、長さ方向、又は幅方向のいずれもが10%以下であることがより好ましい。このようなガスバリア性シュリンクフィルムは、輸送、及び又は保管時におけるフィルムの寸法変化が抑制できるため好ましい。
【0061】
ガスバリア性シュリンクフィルムの酸素に対するガスバリア性は、酸素の条件を65%RH、測定温度を23℃として酸素透過率を測定する。酸素の透過を抑制することができ、ガスパック包装に適しているという観点から、酸素透過率は17.0cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは16.0cm・20μm/m・24h・atm以下である。このようなガスバリア性を有するガスバリア性シュリンクフィルムは十分に酸素の透過を抑制することができる。
【0062】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのMD方向の引張破断応力は、機械特性の観点から85MPa以上であることが好ましく、より好ましくは90MPa以上である。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのTD方向の引張破断応力は、機械特性の観点から、65MPa以上であることが好ましく、より好ましくは70~MPa以上である。
上記引張破断応力は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0063】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのMD方向の引張破断伸度は、やぶれにくさと柔軟性の観点から、145%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上である。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのTD方向の引張破断伸度は、やぶれにくさと柔軟性の観点から、160%以上であることが好ましく、より好ましくは180%以上である。
上記引張破断伸度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0064】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのMD方向の100℃における熱収縮率は、包装体の仕上がりを良好にするため、30%以上であることが好ましく、より好ましくは30~45%、さらに好ましくは35~45%である。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのTD方向の100℃における熱収縮率は、包装体の仕上がりを良好にするため、25%以上であることが好ましく、より好ましくは25~40%、さらに好ましくは30~40%である。
上記熱収縮率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0065】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのMD方向の100℃における最大熱収縮応力は、包装体のトレー変形抑制のため、3.0MPa以下であることが好ましく、より好ましくは1.0~2.5MPaである。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムのTD方向の100℃における最大熱収縮応力は、包装体のトレー変形抑制のため、2.5MPa以下であることが好ましく、より好ましくは1.0~2.0MPaである。
上記熱収縮応力は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0066】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの23℃65%RHにおける窒素ガス透過度は、ガスバリア性の観点から、1.6cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5cm・20μm/m・24h・atm以下である。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの5℃90%RHにおける窒素ガス透過度は、ガスバリア性の観点から、0.2cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1cm・20μm/m・24h・atm以下である。
上記窒素ガス透過度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0067】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの23℃65%RHにおける炭酸ガス透過度は、ガスバリア性の観点から、52.0cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは51.0cm・20μm/m・24h・atm以下である。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの5℃60%RHにおける炭酸ガス透過度は、ガスバリア性の観点から、10.0cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは9.0cm・20μm/m・24h・atm以下である。
上記炭酸ガス透過度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0068】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの23℃65%RHにおける酸素ガス透過度は、ガスバリア性の観点から、17.0cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは16.0cm・20μm/m・24h・atm以下である。本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムの5℃90%RHにおける酸素ガス透過度は、ガスバリア性の観点から、7.5cm・20μm/m・24h・atm以下であることが好ましく、より好ましくは6.5cm・20μm/m・24h・atm以下である。
上記酸素ガス透過度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0069】
本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、食品包装用に用いることができ、特に低温(例えば、0℃超10℃以下)で保存する際の食品包装用途に好適に用いることができる。
【0070】
[熱収縮性フィルムの製造方法]
熱収縮性積層フィルムの製造方法は特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
本実施形態に係るガスバリア性シュリンクフィルムの製造方法は、少なくとも4層の樹脂層を有する積層体(以下、場合により「未延伸原反」という。)を共押出法により積層させ加熱延伸する工程を備えることが好ましい。以下に、共押出法について説明する。
【0071】
共押出法では、それぞれ単独の押出機より溶融押出して、多層ダイ中で積層し、溶融共押出して急冷することにより、未延伸原反を得ることができる。ここで、溶融共押出の方法は特に制限されるものではなく、例えば、多層のTダイや多層のサーキュラーダイ(環状ダイ)を用いる方法等が挙げられる。中でも、多層のサーキュラーダイを用いた方法が好ましい。多層のサーキュラーダイを用いると、設備に関しての必要スペースや投資金額の点で有利であり、多品種少量生産に向き、所望の熱収縮率がより得られやすい。
【0072】
急冷に使用する冷媒としては、通常60℃以下の水が好適に用いられる。当該冷媒は、溶融樹脂に直接接触させるか、又は金属ロールの内部冷媒として間接的に使用することができる。内部冷媒として用いる場合は水以外にもオイル他、公知のものが使用可能であり、場合によっては冷風の吹き付けと併用することも可能である。
【0073】
延伸工程では、得られた未延伸原反を、例えば、未延伸原反を構成する樹脂の軟化温度以上に加熱して、例えばMD(Machine Direction:縦方向(長さ方向))に1.5倍以上、TD(Transverse Direction:横方向(幅方向))に3倍以上延伸する。このような延伸工程によれば、上述の所定の熱収縮率を有するガスバリア性シュリンクフィルムを容易に得ることができる。
【0074】
延伸倍率は目的に応じて適宜選択され、必要に応じて、延伸後に熱処理(熱弛緩処理)を行うこともできる。熱弛緩処理によれば、ガスバリア性シュリンクフィルムの分子配向が緩和することで輸送、及び/又は保管時の寸法変化が一層抑制される。
【0075】
延伸工程は、溶融押出直後のチューブに空気や窒素を吹き込んで、延伸を行うダイレクトインフレーション法によっても行うことができる。この方法によっても所定の熱収縮率を有するガスバリア性シュリンクフィルムを容易に得ることができる。但し、適度な熱収縮率をより確実に発現させるためには、二軸に延伸する方法が好ましく、上述のサーキュラーダイで得られた未延伸原反を加熱二軸延伸するチューブラー法(ダブルバブル法ともいう)がより好ましい。すなわち、本実施形態のガスバリア性シュリンクフィルムは、二軸延伸するチューブラー法により製造される二軸延伸多層フィルムであることが好ましい。
【0076】
上記製造方法は、延伸前又は延伸後に、樹脂を架橋処理する架橋工程を含んでいてもよい。
【0077】
架橋処理を行う場合、樹脂を加熱して延伸する前にエネルギー線照射によって架橋処理を行うことが好ましい。これにより加熱延伸における積層体の溶融張力が増し、より延伸の安定化が可能となる。なお、延伸した後の積層体にエネルギー線を照射して樹脂を架橋処理してもよい。用いるエネルギー線としては紫外線、電子線、X線、γ線等の電離性放射線が挙げられる。中でも、電子線が好ましい。
【実施例
【0078】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0079】
[評価]
構成する樹脂の融点、及び実施例、比較例の積層フィルムの引張破断応力、引張破断伸度、熱収縮率、熱収縮応力、窒素ガス透過度、炭酸ガス透過度、酸素ガス透過度を以下の方法により測定・評価した。また、以下の方法により接着層を観察した。
【0080】
(融点)
融点は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定する。樹脂を5mg計量し、樹脂の熱履歴をキャンセルするために昇温速度10℃/minの条件で0℃から300℃まで昇温、及び降温速度10℃/minの条件で300℃から0℃まで降温を行った。その後、再び昇温速度10℃/minの条件で0℃から300℃まで昇温した際の吸熱ピークを融点として測定した。
【0081】
(引張破断応力・引張破断伸度)
引張破断応力は、ASTM-D882に準拠して測定する。引張試験機を用いて、速度200mm/minで引張り、試料が切断(破断)したときの応力(引張荷重値を試験片の断面積で除した値)、および伸度(伸び)を求める。引張伸度は次の式によって算出する。
引張伸度(%)=100×(L-L)/L
:試験前の試料長さ
L:破断時の試料長さ
【0082】
(100℃における熱収縮率)
縦横共に100mmの正方形に切り取ったフィルムを雰囲気温度100℃に設定した恒温槽に30分間静置させ、次式により算出する。
熱収縮率(%)=100×(100-W)/100
W:恒温槽から取り出した後のフィルムの寸法
【0083】
(100℃における最大熱収縮応力)
最大熱収縮応力は、ASTM-D2838に準拠して測定する。フィルムを長さ方向/または幅方向に90mm(測定長さ50mm+チャックつかみ40mm)、幅方向/または長さ方向に10mmの短冊状にサンプリングし、100℃の温度のオイルバスに浸漬させた場合の3分間浸漬後の最大熱収縮応力を測定する。
【0084】
(窒素ガス透過度)
窒素ガス透過度は、JIS K7126-1(差圧法)に準拠して測定した。
測定装置は、差圧式ガス・蒸気透過率測定装置[GTR-30XAD2、G2700T・F]、[GTR-30XAD、G6800T・F(S)](GTRテック(株)・ヤナコテクニカルサイエンス(株)製)を使用した。検知器は、ガスクロマトグラフ[熱伝導度検出器(TCD)]を使用した。試験条件は、温度23℃湿度65%RHでは分圧が、気体は74.6cmHg、水蒸気は1.4cmHgとなるようにし、温度5℃湿度90%RHでは分圧が、気体は75.4cmHg、水蒸気は0.6cmHgとなるようにした。透過方向は、食品接触面側から透過させた。透過面積は、15.2×10-4(透過部径φ4.4×10-2m)とし、試験数はn=1とした。
<23℃65%RHの条件下における窒素ガス透過度の評価基準>
〇(良好):1.5cm・20μm/m・24h・atm以下
△(やや劣る):1.5cm・20μm/m・24h・atm超1.6cm・20μm/m・24h・atm以下
×(劣る):1.6cm・20μm/m・24h・atm超
<5℃90%RHの条件下における窒素ガス透過度の評価基準>
〇(良好):0.1cm・20μm/m・24h・atm以下
△(やや劣る):0.1cm・20μm/m・24h・atm超0.2cm・20μm/m・24h・atm以下
×(劣る):0.2cm・20μm/m・24h・atm超
【0085】
(炭酸ガス透過度)
炭酸ガス透過度は、JIS K7126-1(差圧法)に準拠して測定した。
測定装置は、差圧式ガス・蒸気透過率測定装置[GTR-30XAD2、G2700T・F]、[GTR-30XAD、G6800T・F(S)](GTRテック(株)・ヤナコテクニカルサイエンス(株)製)を使用した。検知器は、ガスクロマトグラフ[熱伝導度検出器(TCD)]を使用した。試験条件は、温度23℃湿度65%RHでは分圧が、気体は74.6cmHg、水蒸気は1.4cmHgとなるようにし、温度5℃湿度60%RHでは分圧が、気体は75.6cmHg、水蒸気は0.4cmHgとなるようにした。透過方向は、食品接触面側から透過させた。透過面積は、15.2×10-4(透過部径φ4.4×10-2m)とし、試験数はn=1とした。
<23℃65%RHの条件下における炭酸ガス透過度の評価基準>
〇(良好):51.0cm・20μm/m・24h・atm以下
△(やや劣る):51.0cm・20μm/m・24h・atm超52.0cm・20μm/m・24h・atm以下
×(劣る):52.0cm・20μm/m・24h・atm超
<5℃60%RHの条件下における炭酸ガス透過度の評価基準>
〇(良好):9.0cm・20μm/m・24h・atm以下
△(やや劣る):9.0cm・20μm/m・24h・atm超10.0cm・20μm/m・24h・atm以下
×(劣る):10.0cm・20μm/m・24h・atm超
【0086】
(酸素ガス透過度)酸素ガス透過度は、JIS K7126-1(差圧法)に準拠して測定した。
測定装置は、差圧式ガス・蒸気透過率測定装置[GTR-30XAD2、G2700T・F]、[GTR-30XAD、G6800T・F(S)](GTRテック(株)・ヤナコテクニカルサイエンス(株)製)を使用した。検知器は、ガスクロマトグラフ[熱伝導度検出器(TCD)]を使用した。試験条件は、温度23℃湿度65%RHでは分圧が、気体は74.6cmHg、水蒸気は1.4cmHgとなるようにし、温度5℃湿度90%RHでは分圧が、気体は75.4cmHg、水蒸気は0.6cmHgとなるようにした。透過方向は、食品接触面側から透過させた。透過面積は、15.2×10-4(透過部径φ4.4×10-2m)とし、試験数はn=1とした。
<23℃65%RHの条件下における酸素ガス透過度の評価基準>
〇(良好):16.0cm・20μm/m・24h・atm以下
△(やや劣る):16.0cm・20μm/m・24h・atm超17.0cm・20μm/m・24h・atm以下
×(劣る):17.0cm・20μm/m・24h・atm超
<5℃90%RHの条件下における酸素ガス透過度の評価基準>
〇(良好):6.5cm・20μm/m・24h・atm以下
△(やや劣る):6.5cm・20μm/m・24h・atm超7.5cm・20μm/m・24h・atm以下
×(劣る):7.5cm・20μm/m・24h・atm超
【0087】
(断面観察)
実施例、比較例で得られた熱収縮性積層フィルムを、以下の方法で断面を観察した。
測定装置:JEM-2100F(日本電子株式会社製、FE-TEM)
測定条件:加速電圧200kV
前処理条件:常温硬化型エポキシ樹脂を用いて試料を包埋し、切削用ブロックを作製した。切削用ブロックにRuO4染色を施した後、ウルトラミクロトーム(ダイヤモンドナイフ使用)を用いて、Wet切削により厚さ100nmの超薄切片を調製した。
観察条件超薄切片をTEMにより観察し、拡大写真を撮影した(撮影倍率20,000~40,000倍)
接着層(D)の断面2点を観察し、相分離構造が確認され、連続相中に複数個の島構造が全体的に均一に広がっていて、全体面積に対する、それぞれ島構造の面積の総和の割合(島の面積率)が、15~45%である場合を海島構造「あり」、0%超15%未満である場合を海島構造「少ない」とした。同様に接着層(D)の断面2点を観察し、相分離構造が確認されず、島構造が1つも観察されない場合を、海島構造「なし」と評価した。
島の面積率は、以下の方法で求めた。
視野角1350nm×900nmの画像を50nm間隔で縦横に等分し、形成された50nm×50nmのマス全数のうち、島構造が占めているマスの数を数えた。島構造が占めているマスの数をマス全数で割り返して、断面1点の島の面積率を算出した。そして、断面2点の島の面積率の平均値を、島の面積率とした。
【0088】
[使用樹脂]
実施例及び比較例において使用した樹脂は、以下のとおりである。
・エチレン-ビニルアルコール共重合体
EVOH1:エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物(製品名「ソアノールAT4403B」、三菱ケミカル株式会社製、MFR3.5g/10分、エチレン含有量44mol%)
EVOH2:エチレン-ビニルアルコール共重合体ケン化物(製品名「GソアノールGH3804B」、三菱ケミカル株式会社製、MFR4.0g/10分、エチレン含有量38mol%)
・エチレン-αオレフィン共重合体
LLDPE1:エチレン-αオレフィン共重合体(製品名「ユメリット0520F」、宇部興産株式会社製、密度904kg/m、MFR2.0g/10分、融点118℃)
LLDPE2:エチレン-αオレフィン共重合体(製品名「スミカセンE FV203」、住友化学株式会社製、密度913kg/m、MFR2.0g/10分、融点115℃)
LLDPE3:エチレン-αオレフィン共重合体(製品名「SLH218」、Braskem社製、密度916kg/m、MFR2.3g/10分、融点125℃)
・ポリプロピレン
PP1:プロピレン単独重合体(製品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー株式会社製、密度900kg/m、MFR3.5g/10分、融点160℃)
PP2:エチレン-プロピレン共重合体(製品名「サンアロマーPC540R」、サンアロマー株式会社製、密度900kg/m、MFR5.3g/10分、融点132℃)
・ポリオレフィンエラストマー
POP1:エチレン-1オクテン共重合体(製品名「Affinity PT1450G1」、ダウ・ケミカル日本株式会社製、密度902kg/m、MFR7.5g/10分、融点97℃)
POP2:エチレン-プロピレン共重合体(製品名「Versify3200」、ダウ・ケミカル日本株式会社製、密度876kg/m、MFR8.0g/10分、融点81℃)
・接着性樹脂
PEGL1:変性エチレン-αオレフィン共重合体(製品名「アドマーNF587」、三井化学株式会社製、密度907kg/m、MFR2.3g/10分、融点120℃)
PEGL2:変性エチレン-αオレフィン共重合体(製品名「アドマーNF307」、三井化学株式会社製、密度922kg/m、MFR1.3g/10分、融点120℃)
PEGL3:変性エチレン-αオレフィン共重合体(製品名「アドマーNF550」、三井化学株式会社製、密度910kg/m、MFR6.2g/10分、融点120℃)
PPGL1:変性ポリプロピレン重合体(製品名「アドマーQF580」、三井化学株式会社製、密度896kg/m、MFR7.7g/10分、融点140℃)
PPGL2:変性ポリプロピレン重合体(製品名「アドマーQF500」、三井化学株式会社製、密度901kg/m、MFR3.0g/10分、融点165℃)
・ポリアミド
NY1:ポリアミド6(製品名「UBE NYLON 1022B」、宇部興産株式会社製、密度1140kg/m、融点225℃)
NY2:ポリアミド6/66共重合体(製品名「UBE NYLON 5034B」、宇部興産株式会社製、密度1140kg/m、融点192℃)
NY3:ヘキサメチレンジアミン/フタル酸共重合ナイロン(アモルファスナイロン)(製品名「シーラーPA3426」、三井・ダウ ポリケミカル株式会社製、密度1190kg/m
・高密度ポリエチレン
HDPE1:高密度ポリエチレン(製品名「ハイゼックス5000SF」、株式会社プライムポリマー社製、密度956kg/m、MFR0.66g/10分、融点133℃)
HDPE2:高密度ポリエチレン(製品名「ハイゼックス3300F」、株式会社プライムポリマー社製、密度950kg/m、MFR1.1g/10分、融点132℃)
HDPE3:高密度ポリエチレン(製品名「サンテックHD S362」、旭化成株式会社製、密度952kg/m、MFR0.8g/10分、融点132℃)
HDPE4:高密度ポリエチレン(製品名「サンテックHD B161」、旭化成株式会社製、密度963kg/m、MFR1.35g/10分、融点134℃)
HDPE5:高密度ポリエチレン(製品名「SGF4950」、旭化成株式会社製、密度956kg/m、MFR0.34g/10分、融点133℃)
なお、上記MFRは、JIS K7210またはASTM D1238に準拠して測定した値をいう。また、融点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定した値をいう。
【0089】
[実施例1~11、比較例1~3]
表1に示す樹脂を用いて、ダブルバブルインフレーション法にて5層フィルムを成形した。その後、MD方向及びTD方向に表1に示す延伸倍率で2軸延伸を行い、延伸積層フィルムを得た。各層の厚みは、表1に示すとおりである。
なお、MD方向の延伸倍率はバブル間のピンチロールの速度比で調節し、TD方向の延伸倍率はバブルに封入するエアーの体積によって調節した。ここで言うMD方向とは、積層フィルムを押出成形した際の長尺方向(流れ方向)を言う。一方、TD方向とは、積層フィルムを押出成形した際の幅方向(横方向)を言う。
【0090】
実施例1~12のガスバリア性シュリンクフィルムは、基材層(A)とガスバリア層(B)との層間の接着層は海島構造が確認でき、接着層(D)であったが、ガスバリア層(B)とヒートシール層(C)との層間の接着層は海島構造が確認されず、他の接着層であった。
また、実施例13の熱収縮性積層フィルムは、ガスバリア層(B)とヒートシール層(C)との層間の接着層は海島構造が確認でき、接着層(D)であったが、基材層(A)とガスバリア層(B)との層間の接着層は海島構造が確認されず、他の接着層であった。
比較例1~4は、いずれの接着層にも海島構造が見られなかった。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】