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  • 特許-受電装置および制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】受電装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20240328BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240328BHJP
   G06F 1/30 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G06F1/26 306
H02J1/00 308C
H02J1/00 309W
G06F1/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020107230
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022002053
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荏本 大介
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121268(JP,A)
【文献】特開2017-073096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0131810(US,A1)
【文献】特開2017-085853(JP,A)
【文献】特開2017-038429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
H02J 1/00
G06F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置と接続可能な受電装置であって、
前記受電装置に接続された前記送電装置と通信を行い、前記送電装置が供給可能な電力に関する情報を受信する通信手段と、
前記送電装置が所定の装置であるか否かにかかわらず前記通信手段を介して前記送電装置に第1の電力の供給を要求し、前記送電装置が前記所定の装置であるか否かを認証するための認証通信を行うか否かを、前記通信手段により受信された記情報に基づいて判定する制御手段と
前記制御手段により前記認証通信を行うと判定された場合に、前記通信手段による前記認証通信に基づいて前記送電装置が前記所定の装置であるか否かを認証する処理を行う認証手段と
を有し、
前記制御手段は
記認証通信を行うと判定し前記認証手段により前記送電装置が前記所定の装置であると認証された場合には、前記通信手段を介して前記第1の電力よりも大きい第2の電力の供給を前記送電装置に要求し、
前記認証通信を行うと判定し前記認証手段により前記送電装置が前記所定の装置であると認証されなかった場合には、前記第2の電力の供給を前記送電装置に要求しないようにする
ことを特徴とする受電装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記送電装置が供給可能な電力、電圧および電流のいずれかが所定の閾値を超える場合に、前記認証通信を行うと判定することを特徴とする請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記送電装置からの電力の供給がUSB PD規格に従って行われることを特徴とする請求項1または2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記認証通信がUSB Type-C Authentication規格に従って行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記認証通信を行わないと判定した場合、前記送電装置から前記第1の電力を受けるのを停止するように制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記通信手段により受信された前記情報に基づいて、前記第1の電力を決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項7】
送電装置と接続可能な受電装置が実行する制御方法であって、
前記受電装置に接続された前記送電装置と通信を行い、前記送電装置が供給可能な電力に関する情報を受信することと、
前記送電装置が所定の装置であるか否かにかかわらず前記送電装置に第1の電力の供給を要求し、前記送電装置が前記所定の装置であるか否かを認証するための認証通信を行うか否かを、前記受信した前記情報に基づいて判定することと、
前記認証通信を行うと判定された場合に、前記認証通信に基づいて前記送電装置が前記所定の装置であるか否かを認証する処理を行うことと、
前記認証通信を行うと判定され、前記認証通信に基づいて前記送電装置が前記所定の装置であると認証された場合に、前記第1の電力よりも大きい第2の電力の供給を前記送電装置に要求し、前記認証通信を行うと判定され、前記認証通信に基づいて前記送電装置が前記所定の装置であると認証されなかった場合に、前記第2の電力の供給を前記送電装置に要求しないことと、
を有することを特徴とする受電装置の制御方法。
【請求項8】
送電装置と接続可能な受電装置が有するコンピュータに、請求項7に記載の受電装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)に関する規格としてUSB Type-C規格およびUSB PD(Power Delivery)規格が知られている。USB PD規格に準拠したUSBインタフェースは、最大100Wの電力を供給可能である。
【0003】
特許文献1には、送電装置が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを認証するための認証通信を行う受電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-121268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受電装置の構成によっては、特許文献1に記載されている認証通信を行う前に所望の電力の供給を送電装置に要求したい場合が想定される。
【0006】
そこで、本発明は、送電装置が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを認証するための認証通信を行う前に所望の電力の供給を送電装置に要求できるようにすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る受電装置は、送電装置と接続可能な受電装置であって、前記受電装置に接続された前記送電装置と通信を行い、前記送電装置が供給可能な電力に関する情報を受信する通信手段と、前記送電装置が所定の装置であるか否かにかかわらず前記通信手段を介して前記送電装置に第1の電力の供給を要求し、前記送電装置が前記所定の装置であるか否かを認証するための認証通信を行うか否かを、前記通信手段により受信された記情報に基づいて判定する制御手段と、前記制御手段により前記認証通信を行うと判定された場合に、前記通信手段による前記認証通信に基づいて前記送電装置が前記所定の装置であるか否かを認証する処理を行う認証手段とを有し、前記制御手段は、前記認証通信を行うと判定し前記認証手段により前記送電装置が前記所定の装置であると認証された場合には、前記通信手段を介して前記第1の電力よりも大きい第2の電力の供給を前記送電装置に要求し、前記認証通信を行うと判定し前記認証手段により前記送電装置が前記所定の装置であると認証されなかった場合には、前記第2の電力の供給を前記送電装置に要求しないようにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送電装置が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを認証するための認証通信を行う前に所望の電力の供給を送電装置に要求することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における給電システムの構成要素と、受電装置100の構成要素とを説明するための図である。
図2】実施形態1における受電装置100の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
[実施形態1]
図1は、実施形態1における給電システムの構成要素と、受電装置100の構成要素とを説明するための図である。図1に示すように、給電システムは、送電装置120と、送電装置120に接続可能な受電装置100とを有する。図1では、送電装置120が交流電力を直流電力に変換するACアダプタである例を記載している。しかしながら、送電装置120は、受電装置100に電力を供給できる電子機器であれば、どのような電子機器であってもよい。例えば、送電装置120は、モバイルバッテリ、パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0012】
実施形態1では、受電装置100がUSB Type-C規格およびUSB PD規格にしたがって動作するものとする。受電装置100は、USB Type-C規格に準拠したレセプタクル101を有する。送電装置120は、USB Type-C規格に準拠したプラグ121を有する。
【0013】
送電装置120からの電力は、レセプタクル101のVBUS端子に供給される。レセプタクル101のCC(Configuration Channel)端子は、USB PD規格に準拠した通信に用いられる。レセプタクル101のGND端子は、受電装置100の接地電位(GND)に接続される。
【0014】
プルダウン抵抗102は、レセプタクル101のCC端子と受電装置100のGNDとを接続する。プルダウン抵抗102は、送電装置120が受電装置100の接続を検出したり、受電装置100が送電装置120の電力供給能力を電圧で判定したりするために用いられる。なお、USB Type-C規格では、CC端子にプルダウン抵抗が接続されている装置は受電装置(シンク)、CC端子にプルアップ抵抗が接続されている装置は送電装置(ソース)と識別される。
【0015】
制御部107は、受電装置100の各構成要素を制御するように構成されている。制御部107は、例えば、受電装置100の各構成要素を制御するハードウェアプロセッサ(CPUなど)と、ハードウェアプロセッサが実行可能なプログラムを記憶したメモリとを有する。制御部107のメモリは、例えば、後述する受電装置100の動作例を実現するためのプログラムを記憶している。
【0016】
受電装置100は、送電装置120から電力の供給を受けることが可能であれば、どのような電子機器であってもよい。例えば、受電装置100は、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、タブレット、PDA、メディアプレーヤ、スマートフォン、ゲーム機、ロボット、ドローン、ドライブレコーダまたは家電製品として動作可能な電子機器であってもよい。なお、受電装置100の構成要素は、図1に示す構成要素に限るものでない。
【0017】
レセプタクル101のCC端子に接続されるPD通信部103は、制御部107の指示にしたがって、レセプタクル101に接続された送電装置120とUSB PD規格に準拠した通信(PD通信)を行う。PD通信部103は、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置であるか否かを判定し、その判定の結果を制御部107に通知する。PD通信部103は、送電装置120の供給可能な電力を示す情報(例えば、Source_Capabilities)を送電装置120から受信した場合に、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置であると判定することができる。送電装置120から受信した電力能力情報は、PD通信部103から制御部107に通知される。
【0018】
送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置であると判定された場合、制御部107は、送電装置120とUSB PD規格に準拠したネゴシエーション通信をPD通信部103を介して行い、所望の電力の供給を送電装置120に要求する。
【0019】
認証部106は、制御部107からの指示にしたがって、送電装置120が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを認証する。例えば、認証部106は、USB Type-C Authentication規格(以下、C-Auth規格と呼ぶ)に準拠した認証通信をPD通信部103を介して送電装置120と行う。認証部106は、送電装置120の認証結果を制御部107に通知する。
【0020】
受電部104は、レセプタクル101のVBUS端子に接続され、送電装置120からVBUS端子を介して供給される電力を受電装置100の構成要素に供給する。受電部104はまた、制御部107の制御にしたがい、送電装置120から供給される電力が所定値を超えないように制御する。受電部104はさらに、VBUS端子の電圧を監視し、過電圧が検出されると制御部107に通知する。詳細は後述するが、制御部107は、受電部104から過電圧の検出を通知されると、PD通信部103を介して送電装置120に電力の供給を停止させる。
【0021】
負荷105は、受電部104から供給される電力を消費して動作する回路などを含む。負荷105の構成は、受電装置100がどのような装置として動作可能かに応じて異なる。また、負荷105の消費電力は、受電装置100がどのような動作を行っているかに応じて変化する。例えば、受電装置100がデジタルカメラとして動作可能な場合、負荷105には、レンズユニットを駆動するモータ、撮像素子とその周辺回路、画像処理回路、表示装置、記録装置、スピーカ、タッチパネル、ボタン、スイッチなどが含まれる。例えば、受電装置100がデジタルカメラとして動作可能な場合、表示装置でライブビュー画像を行っているか否か、レンズユニットを駆動しているか否かなどに応じて、負荷105の消費電力は異なる。
【0022】
次に、図2のフローチャートを参照して、受電装置100の動作例を説明する。この動作例は、例えば、受電装置100のレセプタクル101に送電装置120が接続されたことが受電部104で検出された場合に開始される。なお、受電部104は、VBUS端子の電圧が所定の電圧レベルを超えた場合に、レセプタクル101に送電装置120が接続されたことを検出する。レセプタクル101に送電装置120が接続されたことが検出された場合、受電部104は、その旨を制御部107に通知する。
【0023】
ステップS201において、制御部107は、USB PD規格に準拠した通信を開始することをPD通信部103に指示する。
【0024】
ステップS202において、PD通信部103は、USB PD規格に準拠した所定のメッセージを所定時間内に送電装置120から受信すると、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置であると判定する。また、PD通信部103は、送電装置120が給電装置として動作可能な装置であると判定する。所定のメッセージは、例えば、送電装置120の供給可能な電力を示す情報を含んだメッセージ(Source_Capabilities)である。また、PD通信部103は、USB PD規格に準拠した所定のメッセージを所定時間内に送電装置120から受信しない場合、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置でないと判定する。PD通信部103は、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置でないと判定したことを制御部107に通知する。制御部107は、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置であると判定された場合にはステップS203の処理を行う。また、制御部107は、送電装置120がUSB PD規格に準拠した通信ができる装置でないと判定された場合にはステップS210の処理を行う。
【0025】
ステップS203において、制御部107は、送電装置120が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かにかかわらず、第1の電力の供給を送電装置120にPD通信部103を介して要求する。例えば、制御部107は、ステップS201でPD通信部103が送電装置120から受信した情報に含まれる、送電装置120が供給可能な電力の中から1つの電力を選択する。そして、制御部107は、選択した電力の供給を要求するメッセージ(Request)をPD通信部103に送信させる。
【0026】
一例として、制御部107は、送電装置120が供給可能な電力の中から、受電装置100が送電装置120と認証通信を行うことが可能な最も小さな電力を第1の電力として選択することができる。ここで、認証通信は、送電装置120が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを受電装置100が認証するための通信である。例えば、送電装置120が0.5W(5V,100mA)または7.5W(5V,1.5A)を供給可能であり、認証通信を行うには2.5W(5V、500mA)が必要であるとする。この場合、制御部107は、第1の電力として7.5W(5V,1.5A)を選択する。
【0027】
あるいは、制御部107は、送電装置120が供給可能な電力の中から、受電装置100が一部の機能を提供するのに必要な電力を第1の電力として選択してもよい。例えば受電装置100がデジタルカメラの場合、撮影モードで動作するには不十分であるが、再生モードでの動作には十分な電力を第1の電力として選択することができる。なお、この場合も、第1の電力は、受電装置100が送電装置120と認証通信を行うことが可能な電力以上とする。
【0028】
なお、第1の電力の電圧は、後述するステップS205での判定処理に用いられる所定の閾値以下とする。換言すれば、第1の電力の電圧は、認証通信を行わないと判定される電圧の範囲内とする。
【0029】
ステップS204において、制御部107は、電力供給の要求を受け付ける旨のメッセージを送電装置120からPD通信部103を介して受信すると、受電部104の動作を設定する。例えば、制御部107は、電流を500mA以下に制御するように受電部104を設定し、供給される電力が第1の電力を超えないようにする。受電部104は、送電装置120から供給される第1の電力を、負荷105など、予め定められた構成に供給する。なお、制御部107は、必要に応じて、節電モードに切り替えるなど、負荷105の機能や動作を制限することによって負荷105の消費電力を低減させてもよい。
【0030】
ステップS205において、制御部107は、送電装置120と認証通信を行うか否かを判定する。制御部107は、送電装置120と認証通信を行うと判定した場合にはステップS206の処理を行い、送電装置120と認証通信を行わないと判定した場合にはステップS210の処理を行う。制御部107は、例えば、送電装置120が供給可能な電力に基づいて、送電装置120と認証通信を行うか否か(認証通信が必要であるか否か)を判定する。例えば、制御部107は、送電装置120が供給可能な電圧に所定の閾値を超える電圧が含まれている場合は、認証通信を行う(認証通信が必要である)と判定する。制御部107は、送電装置120が供給可能な電圧に所定の閾値を超える電圧が含まれていない場合は、認証通信を行わない(認証通信が必要ない)と判定する。
【0031】
ここで、所定の閾値は、受電装置100の受電能力を考慮して定めることができる。受電装置100の受電能力を考慮することにより、受電装置100が送電装置120に要求した電力よりも大きな電力を送電装置120が受電装置100に供給してきた場合であっても、受電装置100が被るダメージを回避または軽減することができる。例えば、所定の閾値は、受電装置100の回路部品の特性(耐電圧など)に応じて定めてもよい。実施形態1では、所定の閾値が例えば5Vであるものとする。現在のUSB PD規格(Rev.3, ver. 2.0)では、5V、9V、15Vまたは20Vの供給が許されている。そのため、送電装置120が供給可能な電力の中に、9V以上の電圧の利用が可能な電力が存在する場合、制御部107は、送電装置120と認証通信を行うと判定する。
【0032】
送電装置120が供給可能な電力の中に、所定の閾値を超える電圧の利用が可能な電力が存在しない場合、受電装置100が要求した電力よりも大きな電力が送電装置120から供給されたとしても、受電装置100の安全性は担保される可能性が高い。そのため、認証通信を行うことよりも、受電装置100が第1の電力で直ちに動作を開始できた方がユーザの利便性に寄与する。
【0033】
なお、送電装置120と認証通信を行わないと判定した場合、制御部107は、認証通信を行わないことを認証部106に指示する。あるいは、制御部107は、認証通信を行うことを認証部106に指示しないようにする。
【0034】
ステップS210において、制御部107は、PD通信部103にPD通信を停止させる。これにより、送電装置120からの第1の電力の供給は停止する。これにより、送電装置120と受電装置100はPD通信開始前の状態に戻る。なお、ステップS205の判定結果に応じてステップS210の処理を行う場合、制御部107は、USB PD規格に準拠した通信を停止させずに、第1の電力での受電装置100の動作を継続してもよい。これにより、一定の安全性を担保しつつ、受電装置100の一部の機能を提供し続けることができる。
【0035】
一方、送電装置120が、5Vを超える電圧を用いた電力の供給が可能なである場合について考える。例えば送電装置120が供給可能な電力が、0.5W(5V,100mA)、7.5W(5V,1.5A)、20W(20V,1A)であったとする。
【0036】
例えば、受電装置100がデジタルカメラであり、7.5Wでは撮影モードで動作できないが、20Wでは撮影モードで動作可能であるとする。実施形態1では、最終的に20Wの電力を要求する場合でも、まずステップS203~S204で第1の電力の供給を受けてから、改めて20Wの電力を供給するように送電装置120に要求する。
【0037】
20Wの電力を要求する前に、制御部107はステップS205で認証処理を行うか否かを判定する。20Wの電力は20Vで供給されるため、制御部107はステップS205で認証処理を行うと判定する。
【0038】
ステップS206において、制御部107は、認証通信を行うことを認証部106に指示する。認証部106は、制御部107からの要求を受け、送電装置120と認証通信をPD通信部103を介して行う。認証通信において、認証部106は、送電装置120から取得した証明書の真正性を検証するなどして、送電装置120が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを判定する。認証部106は、送電装置120が所定の装置であると判定した場合、送電装置120が所定の装置であることを制御部107に通知する。認証部106は、送電装置120が所定の装置でないと判定した場合、送電装置120が所定の装置でないことを制御部107に通知する。
【0039】
ステップS207において、制御部107は、送電装置120が所定の装置であると判定されなかった場合、ステップS210の処理を行う。この場合、制御部107は、ステップS205の判定結果に応じてステップS210の処理を行うときと同様に動作することができる。
【0040】
ステップS207において、制御部107は、送電装置120が所定の装置であると判定された場合、ステップS208の処理を行う。
【0041】
ステップS208において、制御部107は、第2の電力(例えば、20W)の供給を送電装置120にPD通信部103を介して要求する。
【0042】
ステップS209において、制御部107は、電力供給の要求を受け付ける旨のメッセージを送電装置120からPD通信部103を介して受信すると、受電部104の動作を設定する。例えば、制御部107は、電流を1A以下に制御するように受電部104を設定し、供給される電力が第2の電力を超えないようにする。受電部104は、送電装置120から供給される第2の電力を、負荷105などの構成要素に供給する。なお、第1の電力の供給を受けていた期間における機能制限は、ここで解除または軽減することができる。
【0043】
その後、送電装置120から供給される電力を別の電力に変更する場合、制御部107は、変更したい電力についてステップS205の判定処理を行う。そして、制御部107は、送電装置120と認証通信を行わないと判定した場合にはステップS208の処理を行い、送電装置120と認証通信を行うと判定した場合にはステップS206の処理を行う。
【0044】
なお、実施形態1では、送電装置120と認証処理を行わないと判定する場合の例として、送電装置120が第1の電力よりも高い電力を供給できない場合を説明した。しかし、例えば、送電装置120が0.5W(5V,100mA)または7.5W(5V,1.5A)を供給可能であり、第1の電力として0.5W(5V,100mA)を要求したのち、第2の電力として7.5W(5V,1.5A)することもできる。
【0045】
この場合、制御部107は、第2の電力を要求する前に、ステップS205の判定処理を行う。そして、第2の電力として要求する予定の7.5W(5V,1.5A)について、認証処理を行わないと判定する。制御部107は、ステップS210の処理を行わずに、ステップS208~S209の処理を行う。ステップS208において、制御部107は、7.5W(5V,1.5A)の供給を送電装置120に要求する。したがって、受電装置100は認証処理を行うことなく、速やかに7.5Wの電力による動作を開始することができる。
【0046】
実施形態1では、まず、送電装置120から第1の電力の供給を受けてから、第1の電力より大きな第2の電力を要求するにあたり、送電装置120が供給可能な電力の情報に基づいて、送電装置120と認証通信を行うか否かを判定するようにした。そして、送電装置120と認証通信を行わないと判定された場合は、送電装置120と認証通信を行うことなく、第2の電力の供給を送電装置120に要求する。そのため、例えば供給可能な電力が低い送電装置120が接続された場合のように、給電可能な電力が要求と異なる電力を供給してきた場合であっても安全性が担保されると考えられる状況では、電力の受信開始までの時間を短縮することができる。
【0047】
[実施形態2]
上述の実施形態では、制御部107が、送電装置120の供給可能な電圧に基づいて、送電装置120と認証通信を行うか否かを判定する例について説明した。しかしながら、制御部107は、電圧の代わりに電流または電力に基づいて、送電装置120と認証通信を行うか否かを判定してもよい。例えば、送電装置120が供給可能な最大電流または最大電力が所定の閾値以下である場合、制御部107は、送電装置120と認証通信を行わないと判定してもよい。
【0048】
[実施形態3]
上述の実施形態で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態3では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。また、実施形態3では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、上述の実施形態で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0049】
上述の実施形態で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態3におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも一つを含む。実施形態3におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitoryな記憶媒体である。
【符号の説明】
【0050】
100…受電装置、120…送電装置、101…コネクタ、102…プルダウン抵抗、103…PD通信部、104…受電部、105…負荷、106…認証部、107…制御部
図1
図2