(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】印刷機用の無人搬送車の制御システム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/20 20060101AFI20240328BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240328BHJP
G05D 1/225 20240101ALI20240328BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240328BHJP
G05D 1/698 20240101ALI20240328BHJP
G05D 105/20 20240101ALN20240328BHJP
G05D 109/10 20240101ALN20240328BHJP
【FI】
B65H7/20
G05B19/418 Z
G05D1/225
G05D1/43
G05D1/698
G05D105:20
G05D109:10
(21)【出願番号】P 2020129202
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西口 徹
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-61310(JP,A)
【文献】特開2016-130964(JP,A)
【文献】特開2010-247441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
G05B 19/418
B65H 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一台の印刷機と通信可能な上流側制御手段と、
少なくとも一台の無人搬送車と通信可能な下流側制御手段と、を備え、
前記上流側制御手段は、
前記無人搬送車の動作命令となるジョブを前記印刷機から受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記ジョブが、前記無人搬送車に対して連続的に実行させる複数の単位ジョブを一群にしたジョブグループに属するものであるか否かを識別する識別手段と、
前記識別手段によって前記受信手段で受信した前記ジョブが前記単位ジョブであると識別された場合に、同じ前記ジョブグループに属する複数の前記単位ジョブのそれぞれを
一まとめにして前記下流側制御手段に送信するジョブ管理手段と、
前記無人搬送車の状態を前記下流側制御手段から送信された前記ジョブを受信する機能が有効化されている受付状態に切り替えるための受付命令、又は前記下流側制御手段から送信された前記ジョブを受信する機能が停止している停止状態に切り替えるための停止命令を前記下流側制御手段を介して前記無人搬送車に送信可能な切替手段と、を有し、
前記下流側制御手段は、前記無人搬送車が前記単位ジョブを実行し終えており、且つ前記受付状態に切り替わっている状態である場合は、前記
ジョブ管理手段から受信し
ている前記単位ジョブを前記無人搬送車に
一つ送信
し、
前記無人搬送車が前記単位ジョブを実行し終えており、且つ前記停止状態に切り替わっている状態である場合は、前記ジョブ管理手段から受信している前記単位ジョブを前記無人搬送車に送信せずに前記無人搬送車を待機させる、ように構成される。
印刷機用の無人搬送車の制御システム。
【請求項2】
前記
単位ジョブを受付可能な状態の前記無人搬送車が一台存在し、
前記ジョブ管理手段は、前記受信手段で先に受信した前記単位ジョブと同じ前記ジョブグループに属する全ての前記単位ジョブが実行完了していない状態で、前記受信手段が先に受信した前記単位ジョブとは別の前記ジョブグループに属する前記単位ジョブを受信した場合
、前記先に受信した前記単位ジョブと同じ前記ジョブグループに属する前記単位ジョブの後に、前記先に受信した前記単位ジョブとは別の前記ジョブグループに属する前記単位ジョブを前記
下流側制御手段に送信する、
請求項1に記載の印刷機用の無人搬送車の制御システム。
【請求項3】
前記
単位ジョブを受ける前記無人搬送車が複数台存在し、
前記ジョブ管理手段は、前記受信手段で先に受信した前記単位ジョブと同じ前記ジョブグループに属する全ての前記単位ジョブが実行完了していない状態で、前記受信手段が先に受信した前記単位ジョブとは別の前記ジョブグループに属する前記単位ジョブを受信した場合、実行中の前記ジョブグループに属する各前記単位ジョ
ブと、実行中の前記ジョブグループとは別の前記ジョブグループに属する各前記単位ジョ
ブとを、別々の前記無人搬送車に送信する、
請求項1に記載の印刷機用の無人搬送車の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機用の無人搬送車の動作を制御する印刷機用の無人搬送車の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイル等の印刷機用の資材の搬送を無人搬送車で行うシステムが知られており、例えば、特許文献1には、2機の凹版印刷機間でのパイルの搬送を無人搬送車によって行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のシステムに用いられているような無人搬送車を動作させる場合、無人搬送車の動作命令となるジョブを印刷機から無人搬送車に送信しており、このジョブの中には、一つの無人搬送車に連続的に実行させたい複数の単位ジョブをひとまとめにしたジョブグループを構成するものが存在する。
【0005】
しかしながら、印刷機から送信されるジョブの種類や、印刷機からジョブが送信されるタイミングは様々であるため、単位ジョブの間に別のジョブが割り込んだり、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブが別々の無人搬送車に割り当てられてしまったりすることがある。
【0006】
そのため、無人搬送車に送信されるジョブの管理が行われていないシステムでは、同じジョブグループに属する単位ジョブの全てを一つの無人搬送車で連続的に実行できないことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれを一台の同じ無人搬送車で連続的に実行できる印刷機用の無人搬送車の制御システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷機用の無人搬送車の制御システムは、
少なくとも一台の印刷機と通信可能な上流側制御手段と、
少なくとも一台の無人搬送車と通信可能な下流側制御手段と、を備え、
前記上流側制御手段は、
前記無人搬送車の動作命令となるジョブを前記印刷機から受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記ジョブが、前記無人搬送車に対して連続的に実行させる複数の単位ジョブを一群にしたジョブグループに属するものであるか否かを識別する識別手段と、
前記識別手段によって前記受信手段で受信した前記ジョブが前記単位ジョブであると識別された場合に、同じ前記ジョブグループに属する複数の前記単位ジョブのそれぞれを一台の同じ前記無人搬送車に実行させるための命令を送信する命令送信手段と、を有し、
前記下流側制御手段は、前記命令送信手段から受信した前記命令を前記無人搬送車に送信する。
【0009】
上記構成の印刷機用の無人搬送車の制御システムによれば、上流側制御手段は、受信手段で単位ジョブを受信すると、命令送信手段から同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれを一台の同じ無人搬送車に実行させるための命令が送信され、この命令が下流側制御手段を介して無人搬送車に送信されるため、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれが一台の同じ無人搬送車で順番に実行されるようになっている。
【0010】
本発明の印刷機用の無人搬送車の制御システムにおいて、
前記命令を受付可能な状態の前記無人搬送車が一台存在し、前記受信手段で先に受信した前記単位ジョブと同じ前記ジョブグループに属する全ての前記単位ジョブが実行完了していない状態で、前記受信手段が先に受信した前記単位ジョブとは別の前記ジョブグループに属する前記単位ジョブを受信した場合、前記命令送信手段は、前記先に受信した前記単位ジョブと同じ前記ジョブグループに属する前記単位ジョブの後に、前記先に受信した前記単位ジョブとは別の前記ジョブグループに属する前記単位ジョブを前記無人搬送車に実行させるための命令を送信するようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、別々のジョブグループに属する単位ジョブを受信した場合であっても、ジョブグループ毎に、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれを一つの同じ無人搬送車で順番に実行することができる。
【0012】
本発明の印刷機用の無人搬送車の制御システムにおいて、
前記命令を受ける前記無人搬送車が複数台存在し、前記受信手段で先に受信した前記単位ジョブと同じ前記ジョブグループに属する全ての前記単位ジョブが実行完了していない状態で、前記受信手段が先に受信した前記単位ジョブとは別の前記ジョブグループに属する前記単位ジョブを受信した場合、実行中の前記ジョブグループに属する各前記単位ジョブを実行させる命令と、実行中の前記ジョブグループとは別の前記ジョブグループに属する各前記単位ジョブを実行させる命令とを、別々の前記無人搬送車に送信するようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、別々のジョブグループに属する単位ジョブを受信した場合であっても、ジョブグループ毎に別々の無人搬送車を割り当てたうえで、各ジョブグループにおいて複数の単位ジョブのそれぞれを同じ無人搬送車で順番に実行させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の印刷機用の無人搬送車の制御システムは、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれを一台の同じ無人搬送車で連続的に実行できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るパイルの自動搬送システムの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムにおいて、ジョブ管理手段が直列処理モードに切り替えられている状態における単位ジョブの処理の流れの説明図であり、(a)はジョブ管理手段が同じジョブグループに属する単位ジョブを取得している状態の説明図、(b)はジョブ管理手段が同じジョブグループに属する単位ジョブを全て下流側制御手段に送信した状態の説明図、(c)は下流側制御手段が無人搬送車に単位ジョブを送信した状態の説明図、(d)は切替手段から無人搬送車に停止命令が送信された状態の説明図、(e)は無人搬送車が単位ジョブの実行を終えた後に待機している状態の説明図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムにおいて、ジョブ管理手段が直列処理モードに切り替えられている状態における単位ジョブの処理の流れの説明図であり、(a)は無人搬送車が停止状態から受付状態に切り替えられた状態の説明図、(b)は下流側制御手段が再び無人搬送車に単位ジョブを送信した状態の説明図、(c)はジョブ管理手段が実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブを取得している状態の説明図、(d)はジョブ管理手段が実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブを下流側制御手段に送信した状態の説明図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムにおいて、ジョブ管理手段が並列処理モードに切り替えられている状態における単位ジョブの処理の流れの説明図であり、(a)はジョブ管理手段が同じジョブグループに属する単位ジョブを取得している状態の説明図、(b)はジョブ管理手段が同じジョブグループに属する単位ジョブを全て下流側制御手段に送信した状態の説明図、(c)は下流側制御手段が無人搬送車に単位ジョブを送信した状態の説明図、(d)は切替手段から無人搬送車に停止命令が送信された状態の説明図、(e)は無人搬送車が単位ジョブの実行を終えた後に待機している状態の説明図であり、(f)は無人搬送車が停止状態から受付状態に切り替えられた状態の説明図、(g)は下流側制御手段が再び無人搬送車に単位ジョブを送信した状態の説明図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムにおいて、ジョブ管理手段が並列処理モードに切り替えられている状態における単位ジョブの処理の流れの説明図であり、(a)はジョブ管理手段が実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブを取得している状態の説明図、(b)はジョブ管理手段がキャンセル処理を実行した状態の説明図、(c)はジョブ管理手段が選択処理と送信先切替処理とを実行した後に単位ジョブを無人搬送車に送信した状態の説明図、(d)はジョブ管理手段が再び選択処理と送信先切替処理とを実行した後に単位ジョブを無人搬送車に送信した状態の説明図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れを説明するフローチャートであって、ジョブ管理手段が直列処理モードに切り替えられている状態で単位ジョブを下流側制御手段に送信する処理の流れのフローチャートである。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れを説明するフローチャートであって、ジョブ管理手段が直列処理モードに切り替えられている状態で下流側制御手段に送信されている単位ジョブを無人搬送車に送信する処理の流れのフローチャートである。
【
図9】
図9は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れを説明するフローチャートであって、ジョブ管理手段が並列処理モードに切り替えられ且つ単位ジョブを実行していない状態で単位ジョブを下流側制御手段に送信する処理の流れのフローチャートである。
【
図10】
図10は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れを説明するフローチャートであって、ジョブ管理手段が並列処理モードに切り替えられ且つ単位ジョブを実行していない状態で下流側制御手段に送信されている単位ジョブを無人搬送車に送信する処理の流れのフローチャートである。
【
図11】
図11は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れを説明するフローチャートであって、ジョブ管理手段が並列処理モードに切り替えられ且つ単位ジョブを実行している状態で下流側制御手段に単位ジョブを送信する処理の流れのフローチャートである。
【
図12】
図12は、同実施形態に係るパイルの自動搬送システムの動作の流れを説明するフローチャートであって、ジョブ管理手段が並列処理モードに切り替えられ且つ単位ジョブを実行している状態で下流側制御手段に送信されている単位ジョブを無人搬送車に送信する処理の流れのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷機用の無人搬送車の制御システム(以下、制御システムと称する)について説明する。
図1に示すように、制御システム1は、印刷機Pから送信されたジョブ(無人搬送車Aに実行させる動作命令を記した情報)を受信し、受信したジョブを無人搬送車Aに送信するように構成されている。なお、
図1には、複数台の印刷機Pと複数台の無人搬送車Aが図示されているが、印刷機Pの数は一台であってもよいし、無人搬送車Aの数もまた一台であってもよい。
【0017】
本実施形態の制御システム1は、印刷機Pと通信可能な上流側制御手段2と、無人搬送車Aと通信可能な下流側制御手段3と、を備えている。
【0018】
上流側制御手段2は、印刷機Pから送信されたジョブを受信する受信手段20と、受信手段20で受信したジョブが無人搬送車Aに対して連続的に実行させる複数のジョブ(以下、単位ジョブと称する)を一群にしたジョブグループに属するものであるか否かを識別する識別手段21と、受信手段20で受信したジョブの管理と下流側制御手段3への送信を実行するジョブ管理手段22と、無人搬送車Aの状態を下流側制御手段3から送信されたジョブを受信する機能が有効化されている受付状態と、下流側制御手段3から送信されたジョブを受信する機能が停止している停止状態とに切り替えるための切替命令を送信する切替手段23と、を有する。なお、切替命令のうち無人搬送車Aを受付状態に切り替えるための命令を受付命令、無人搬送車Aを停止状態に切り替えるための命令を停止命令と称する。
【0019】
印刷機Pは印刷処理の進行に応じて上流側制御手段2にジョブを送信するように構成されており、印刷機Pからジョブが送信されるタイミングは様々である。そのため、受信手段20がジョブを受信するタイミングも様々である。
【0020】
ジョブは、無人搬送車Aに実行させる命令に関する情報や、ジョブグループへの属否(すなわち、単位ジョブであるか否か)を示す情報等が設定されたうえで印刷機Pに入力されている。そのため、識別手段21は、ジョブに含まれる情報を参照することによって、受信手段20で受信したジョブがジョブグループに属するものであるか否かを識別できるようになっている。
【0021】
ジョブ管理手段22は、一台の無人搬送車Aだけで複数のジョブグループを順番に実行するための直列処理モードと、複数台の無人搬送車Aのそれぞれに対して別々のジョブグループを割り当てたうえで、各ジョブグループに含まれている単位ジョブを並列的に実行する並列処理モードとに切替可能である。なお、直列処理モードは、無人搬送車Aが一台しか存在しないか、複数台の無人搬送車Aのうち一台の無人搬送車Aだけを受付状態にして用いる場合に実行されるモードであり、並列処理モードは、受付状態の無人搬送車Aを複数台用いる場合に実行されるモードである。
【0022】
ジョブ管理手段22は、直列処理モードにおいて、無人搬送車Aが単位ジョブを実行していない未実行状態であるときに単位ジョブを取得した場合、該単位ジョブと同じジョブグループに属する全ての単位ジョブを連続的に(一まとめにして)下流側制御手段3に送信する(
図2(a)、
図2(b)参照)。なお、
図2、
図3、
図4、
図5では、単位ジョブに符号「J1-J6」を付している。また、符号「J1-J3」が付されている単位ジョブと、符号「J4-J6」が付されている単位ジョブとは、別々のジョブグループに属するものである。
【0023】
また、ジョブ管理手段22は、直列処理モードにおいて、無人搬送車Aが単位ジョブを実行している実行状態(ジョブグループに属する単位ジョブを実行し始めた後であり、且つジョブグループに属する全ての単位ジョブの中に実行完了していないものが残っている状態)であるときに実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブを取得した場合も、別のジョブグループに属する全ての単位ジョブを連続的に(一まとめにして)下流側制御手段3に送信する(
図3(d)参照)。
【0024】
そのため、ジョブ管理手段22が直列処理モードに切り替えられている状態で、受信手段20が異なるジョブグループに属する単位ジョブを受信すると、下流側制御手段3には、複数の単位ジョブがジョブグループ毎に分かれて並んだ状態で蓄積(予約)されるようになっている。
【0025】
なお、上流側制御手段2や下流側制御手段3が無人搬送車Aの状態(未実行状態であるか実行状態であるか)を把握するには、例えば、ジョブ管理手段22が下流側制御手段3を介して無人搬送車Aの情報を間接的に取得してもよいし、ジョブ管理手段22が無人搬送車Aの情報を直接的取得してもよい。
【0026】
ジョブ管理手段22は、並列処理モードにおいて、前記未実行状態であるときに単位ジョブを取得した場合も、該単位ジョブと同じジョブグループに属する全ての単位ジョブを連続的に(一まとめにして)下流側制御手段3に送信する(
図4(a)、
図4(b)参照)。
【0027】
そして、ジョブ管理手段22は、並列処理モードにおいて、前記実行状態であるときに実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブを取得した場合は(
図5(a)参照)、下流側制御手段3に蓄積されている実行前の単位ジョブをキャンセルするキャンセル処理(下流側制御手段3から削除してジョブ管理手段22に戻す処理)を実行した後に(
図5(b)参照)、複数のジョブグループの中から一つのジョブグループを選択する選択処理と、単位ジョブの送信先を、選択処理によって選択されたジョブグループに含まれる単位ジョブを実行させる無人搬送車Aに設定する送信先切替処理と、選択処理によって選択されたジョブグループに含まれる単位ジョブの中で最も先に実行する単位ジョブを、無人搬送車Aが実行中の単位ジョブが完了した後に下流側制御手段3に送信する送信処理の3つの処理を繰り返し実行するようになっている(
図5(c)、
図5(d)参照)。
【0028】
なお、送信先切替処理では、ジョブ管理手段22が切替手段23を実行することにより無人搬送車Aの状態を停止状態と受付状態とに切り替えるようになっている。より具体的に説明すると、ジョブ管理手段22は、単位ジョブの送信先となる無人搬送車Aには受付命令を送信し、単位ジョブの送信先となる無人搬送車A以外の無人搬送車Aには停止命令を送信するよう切替手段23を制御する。
【0029】
停止命令を受信した無人搬送車Aは、受付命令を受信するまでの間、新たなジョブを受け付けることができないため、下流側制御手段3から送信された単位ジョブは、該単位ジョブを実行する無人搬送車Aのみに届くようになっている。
【0030】
このように、本実施形態の制御システム1では、ジョブ管理手段22と切替手段23とによって、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれを一台の同じ無人搬送車Aに実行させるための命令(ジョブそのものや受付命令、停止命令)を送信する命令送信手段が構成されている。
【0031】
切替手段23は、ジョブ管理手段22によって実行される他、単位ジョブを実行し終えた無人搬送車Aを待機させる際にも実行される。無人搬送車Aは、ジョブ管理手段22が直列処理モードに切り替えられている状態においても、並列処理モードに切り替えられている状態においても、停止状態のまま単位ジョブを実行し終えると受付命令を受信するまでの間待機した状態になる。
【0032】
下流側制御手段3は、ジョブ管理手段22から受信した単位ジョブを時系列順(受信した順)に蓄積する蓄積処理と、最も先に受信したジョブから順番に無人搬送車Aに送信するジョブ送信処理と、ジョブ管理手段22から状態切替情報を受信した際に、ジョブ送信処理よりも優先して切替命令を無人搬送車Aに送信する割込送信処理とを実行できるようになっている。なお、ジョブ送信処理の実行においては、印刷機Pの処理の進捗状況に応じて、送信のタイミングを調整するように機能させることもできる。
【0033】
本実施形態の制御システム1の構成は以上の通りである。続いて制御システム1の動作を説明する。
【0034】
本実施形態の制御システム1では、
図6に示すように、受信手段20が単位ジョブを受信した後に(S1でYes)、かかる単位ジョブをジョブ管理手段22が受信する(S2)。そして、ジョブ管理手段22の動作は、単位ジョブの実行状態に応じて下流側制御手段3への単位ジョブの送信の仕方が切り替わる。
【0035】
なお、制御システム1は、システムを終了するまでの間(S3でNo)、受信手段20が単位ジョブを受信する度にジョブ管理手段22が受信手段20で受信した単位ジョブを取得するようになっている。
【0036】
以下、ジョブ管理手段22が直列処理モードであり且つ前記未実行状態である場合、ジョブ管理手段22が直列処理モードであり且つ前記実行状態である場合、ジョブ管理手段22が並列処理モードであり且つ前記未実行状態である場合、ジョブ管理手段22が並列処理モードであり且つ前記実行状態である場合、のそれぞれの場合における制御システム1の動作の説明を行う。
【0037】
ジョブ管理手段22が直列処理モードであり且つ前記未実行状態である場合、
図7に示すように、ジョブ管理手段22が単位ジョブを取得すると(S4でYes)、同じジョブグループに属する全ての単位ジョブをジョブ管理手段22が連続的に下流側制御手段3に送信する(S5)。これにより、ジョブ管理手段22から送信された同じジョブグループに属する全ての単位ジョブが下流側制御手段3に蓄積される(
図2(a)、
図2(b)参照)。下流側制御手段3に蓄積されている単位ジョブは、無人搬送車Aでの実行を待っている予約状態となっている。
【0038】
そして、下流側制御手段3は、
図8に示すように、単位ジョブが蓄積されていると(S6でYes)、蓄積されている単位ジョブを無人搬送車Aに対して一つずつ送信する(S7)。そして、無人搬送車Aは、単位ジョブを受信すると(
図2(c)参照)、単位ジョブに示されている命令に従って動作する。
【0039】
無人搬送車Aが単位ジョブの実行を開始した後(S8でYes)、単位ジョブを実行し終えた無人搬送車Aを待機させる必要がある場合(次の単位ジョブを実行せずに待機させる必要がある場合)は(S9でYes)、切替手段23が下流側制御手段3に停止命令を送信する(S10)。
【0040】
このようにすると、無人搬送車Aは、停止状態に切り替わるため(
図2(d)参照)、既に受信している単位ジョブを実行し終えた後は、受付命令を受信するまでの間待機することになる(
図2(e)参照)。
【0041】
そして、無人搬送車Aが単位ジョブを実行し終えた後(S11でYes)、下流側制御手段3に未送信の単位ジョブが残っている場合(S12でYes)は、無人搬送車Aが受付状態に切り替わっていれば(S13でYes)、下流側制御手段3から次の単位ジョブが無人搬送車Aに送信される(
図3(a)、
図3(b)参照)。
【0042】
また、ジョブ管理手段22は、ジョブ管理手段22が直列処理モードに切り替えられている状態であり且つ前記実行状態であるときに、
図7に示すように、実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブを受信した場合も(S4でYes)、ジョブ管理手段22が別のジョブグループに属する全ての単位ジョブを連続的に下流側制御手段3に送信する(S5)。
【0043】
これにより、先に受信していた単位ジョブの後に別のジョブグループに属する全ての単位ジョブが蓄積される(
図3(c)、
図3(d)参照)。
【0044】
このように、ジョブ管理手段22が直列処理モードに切り替えられている場合、各ジョブグループに属する単位ジョブは、一つ一つ直列的に実行されることになる。
【0045】
次に、ジョブ管理手段22が並列処理モードに切り替えられている状態であり且つ前記未実行状態であるときに、
図9に示すように、ジョブ管理手段22が単位ジョブを取得すると(S14でYes)、ジョブ管理手段22が同じジョブグループに属する全ての単位ジョブを連続的に下流側制御手段3に送信する(S15)。これにより、同じジョブグループに属する全ての単位ジョブが下流側制御手段3に蓄積される(
図4(a)、
図4(b)参照)。
【0046】
そして、この場合においても、下流側制御手段3は、
図10に示すように、単位ジョブが蓄積されていると(S16でYes)、蓄積されている単位ジョブを無人搬送車Aに対して一つずつ送信する(S17)。そして、無人搬送車Aは、単位ジョブを受信すると(
図4(c)参照)、単位ジョブに示されている命令に従って動作する。
【0047】
なお、ジョブ管理手段22が並列処理モードに切り替えられている状態であり且つ前記未実行状態であるときにジョブ管理手段22が単位ジョブを取得した場合においても、無人搬送車Aが単位ジョブの実行を開始した後(S18でYes)、単位ジョブを実行し終えた無人搬送車Aを待機させる必要がある場合(次の単位ジョブを実行せずに待機させる必要がある場合)は(S19でYes)、切替手段23が下流側制御手段3に停止命令を送信する(S20)。
【0048】
このようにすると、無人搬送車Aは、停止状態に切り替わるため(
図4(d)参照)、既に受信している単位ジョブを実行し終えた後は、受付命令を受信するまでの間待機することになる(
図4(e)参照)。
【0049】
そして、無人搬送車Aが単位ジョブを実行し終えた後(S21でYes)、下流側制御手段3に未送信の単位ジョブが残っている場合(S22でYes)は、無人搬送車Aが受付状態に切り替わっていれば(S23でYes)、下流側制御手段3から次の単位ジョブが無人搬送車Aに送信される(
図4(f)、
図4(g)参照)。
【0050】
ジョブ管理手段22が並列処理モードに切り替えられている状態であり且つ前記実行状態であるときに、
図11に示すように、ジョブ管理手段22が単位ジョブを取得すると(S24でYes)、ジョブ管理手段22がキャンセル処理を実行する(S25)。これにより、複数のジョブグループ分の単位ジョブがジョブ管理手段22に蓄積された状態になる(
図5(a)、
図5(b)参照)。
【0051】
そして、ジョブ管理手段22は、
図12に示すように、選択処理を実行し(S26)、送信先切替処理を実行すると(S27)、複数台の無人搬送車Aのうち、選択処理で選択されているジョブグループに割り当てられている無人搬送車Aのみが受付状態になる。すなわち、下流側制御手段3の単位ジョブの送信先が切り替わる(
図5(c)参照)。
【0052】
そして、単位ジョブを無人搬送車Aに対して一つ送信し(S28)、無人搬送車Aが単位ジョブを受信すると(
図5(c)参照)、無人搬送車Aが単位ジョブに示されている命令に従って動作する。
【0053】
なお、ジョブ管理手段22が並列処理モードに切り替えられている状態で、前記実行状態であるときにジョブ管理手段22が単位ジョブを取得している場合においても、無人搬送車Aが単位ジョブの実行を開始した後(S29でYes)、単位ジョブを実行し終えた無人搬送車Aを待機させる必要がある場合(次の単位ジョブを実行せずに待機させる必要がある場合)は(S30でYes)、切替手段23が下流側制御手段3に停止命令を送信する(S31)。
【0054】
そして、無人搬送車Aが単位ジョブを実行し終えた後(S32でYes)、実行中の単位ジョブが属するジョブグループとは別のジョブグループに属する単位ジョブが残っていれば(S33でYes)、再度、選択処理と(S26)、送信先切替処理と(S27)を実行する。
【0055】
このようにすると、下流側制御手段3の単位ジョブの送信先が切り替わり(
図5(d)参照)、別のジョブグループに割り当てられている無人搬送車Aに単位ジョブを送信できる状態になる。
【0056】
このように、ジョブ管理手段22が並列処理モードに切り替えられている場合は、複数のジョブグループの一つ一つに別々の無人搬送車Aが割り当てられ、各ジョブグループに属する単位ジョブが並列的に実行されるようになっている。
【0057】
以上のように、本実施形態の制御システム1によれば、受信手段20が単位ジョブを受信すると、命令送信手段を構成するジョブ管理手段22と切替手段23から同じジョブグループに属する複数の単位ジョブのそれぞれを一台の同じ無人搬送車Aに実行させるための命令が送信され、この命令が下流側制御手段3を介して無人搬送車Aに送信されるため、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブを一台の同じ無人搬送車Aで順番に実行できるようになっている。
【0058】
従って、制御システム1は、同じジョブグループに属する複数の単位ジョブを一つの無人搬送車Aで連続的に実行できるという優れた効果を奏し得る。
【0059】
また、一台の無人搬送車Aのみを使用する場合は、前記実行状態で受信手段20が先に受信した単位ジョブとは別のジョブグループに属する単位ジョブを受信すると、複数の単位ジョブがジョブグループ毎に分けて時系列順に並べた状態で下流側制御手段3に蓄積されるため、先に受信していたジョブグループに属する単位ジョブと後に受信したジョブグループに属する単位ジョブとが同じ無人搬送車Aによってひとつずつ順番に実行される。
【0060】
そして、複数台の無人搬送車Aを使用する場合は、前記実行状態で受信手段20が先に受信した単位ジョブとは別のジョブグループに属する単位ジョブを受信すると、ジョブグループ毎に別々の無人搬送車Aを割り当てたうえで、各ジョブグループにおいて複数の単位ジョブのそれぞれを同じ無人搬送車Aに順番に実行させることができる。
【0061】
なお、本発明の印刷機用の無人搬送車の制御システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
上記実施形態において特に言及しなかったが、上流側制御手段2と下流側制御手段3とは別々のコンピュータに構築されていてもよいし、同じコンピュータに構築されていてもよい。
【0063】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、ジョブ管理手段22の直列処理モードと並列処理モードとを切り替えるタイミングは、例えば、無人搬送車Aが単位ジョブを実行し終えたときに設定されていてもよい。
【0064】
並列処理モードにおいて、前記未実行状態である場合の制御システム1の処理と、前記実行状態である場合の制御システム1の処理とを切り替えるタイミングもまた、例えば、無人搬送車Aが単位ジョブを実行し終えたときに設定されていてもよい。
【0065】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、選択処理では複数のジョブグループを順番に選択するようになっていることが好ましい。このようにすれば、各ジョブグループの単位ジョブの進み方に偏りが生じることを抑えることができる。
【0066】
上記実施形態では、ジョブ管理手段22が2つ分のジョブグループの単位ジョブを取得することを一例に挙げて制御システム1の動作の説明を行ったが、ジョブ管理手段22は、3つ以上のジョブグループの単位ジョブを取得することも可能である。
【0067】
本発明の印刷機用の無人搬送車の制御システムは、無人搬送車による印刷機間でのパイル搬送のための複数のジョブを一群にしたジョブグループ、無人搬送車による印刷機の給紙パイル交換のための複数のジョブを一群にしたジョブグループ、無人搬送車による印刷機の排紙パイル交換のための複数のジョブを一群にしたジョブグループ、無人搬送車による印刷機で使用する版の搬送のための複数のジョブを一群にしたジョブグループ、といった無人搬送車による印刷資材の搬送や交換に係る作業のジョブグループを実行する場合に好適である。
【符号の説明】
【0068】
1…制御システム、2…上流側制御手段、3…下流側制御手段、20…受信手段、21…識別手段、22…ジョブ管理手段、23…切替手段、A…無人搬送車、P…印刷機、J1-J6…単位ジョブ