(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】粉体供給装置および粉体溶解装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20240328BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20240328BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20240328BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20240328BHJP
A47J 43/00 20060101ALI20240328BHJP
B65D 83/06 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B01F35/71
B01F21/00 101
B01F23/50
B01J4/00 105B
A47J43/00
B65D83/06 H
(21)【出願番号】P 2020162166
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】住友 尚志
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 怜央
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008185(JP,A)
【文献】実開昭58-137428(JP,U)
【文献】実開昭55-044764(JP,U)
【文献】特開2010-274237(JP,A)
【文献】実開昭59-007032(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 35/00 - 35/95
B01F 21/00 - 25/90
B01J4/00
A47J43/00
B65D83/06
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食に供される粉体が収納される収納部と、前記粉体が前記収納部から流下する流路とを備える粉体供給装置であって、
前記流路に設けられ、前記収納部から下流側への前記粉体の1次供給量を調整する第1調整部と、
前記流路の前記第1調整部よりも下流側に設けられ、前記1次供給量に調整された前記粉体の下流側への2次供給量を調整する第2調整部とを備え、
前記第1調整部は、前記流路に対し変位可能に支持される部材であって、当該部材が移動することにより前記流路の開度を変更する部材を有し、
前記第2調整部は、単位時間当たりの前記2次供給量を調整する、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記第1調整部は、前記1次供給量の調整として、前記粉体の最大流量を規制する請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記
部材は、その厚さ方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を有する請求項
1に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記
部材は、大きさが異なる前記貫通孔を複数有する請求項
3に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記
部材は、移動可能に支持される請求項
1~
4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項6】
前記第2調整部は、前記粉体が一時的に収納される第1の姿勢と、該第1の姿勢で収納された前記粉体が排出される第2の姿勢とを取り得る少なくとも1つの一時収納部を有する請求項1~
5のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項7】
前記一時収納部は、回転可能に支持される請求項
6に記載の粉体供給装置。
【請求項8】
前記一時収納部は、回転数が可変に構成される請求項
7に記載の粉体供給装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の粉体供給装置と、
前記粉体を溶解可能な液体を供給する液体供給装置と、
前記粉体供給装置から供給された前記粉体と、前記液体供給装置から供給された前記液体とを混合する混合装置とを備えることを特徴とする粉体溶解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置および粉体溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状の薬剤(粉末薬品)を水に溶解して薬液を製造する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、薬剤が投入されるホッパーと、ホッパーに投入された薬剤を水に溶解する分散溶解室と、ホッパーと分散溶解室との間に配置され、ホッパーから分散溶解室への薬剤の落下量をゼロから最大まで調整するシャッタとを備える。シャッタは、板状をなし、薬剤が通過する調整口が貫通して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、薬剤の最大落下量を変更したい場合、調整口が形状や大きさが異なる複数種のシャッタを用意する必要がある。そして、薬剤の最大落下量を変更するたびに、装置を分解して、目的となる最大落下量に適したシャッタに交換しなければならない。その結果、薬剤の最大落下量(最大供給量)の変更を迅速に行うことができないという問題が生じる。
【0005】
また、特許文献1に記載の装置では、当該装置の使用環境や作動環境等の諸条件によっては、正確な量の薬剤を分散溶解室に供給することができないという問題も生じる。なお、この諸条件としては、例えば、分散溶解室への薬剤の供給速度を速めるために、装置が、吸引ポンプによる吸引力で薬剤を吸引可能に構成された場合等が挙げられる。
【0006】
本発明の目的は、正確な量の粉体を供給することができるとともに、粉体の供給量の変更を迅速に行うことができる粉体供給装置および粉体溶解装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粉体供給装置の一つの態様は、食に供される粉体が収納される収納部と、前記粉体が前記収納部から流下する流路とを備える粉体供給装置であって、
前記流路に設けられ、前記収納部から下流側への前記粉体の1次供給量を調整する第1調整部と、
前記流路の前記第1調整部よりも下流側に設けられ、前記1次供給量に調整された前記粉体の下流側への2次供給量を調整する第2調整部とを備える。
【0008】
本発明の粉体溶解装置の一つの態様は、本発明の粉体供給装置と、
前記粉体を溶解可能な液体を供給する液体供給装置と、
前記粉体供給装置から供給された前記粉体と、前記液体供給装置から供給された前記液体とを混合する混合装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、まず、第1調整部により、粉体の1次供給量を調整する。これにより、第2調整部には、1次供給量に調整された状態の粉体が流下することとなる。次いで、第2調整部により、粉体の2次供給量を調整する。このような段階的な供給量の調整により、正確な量の粉体を下流側に供給することができる。
また、上流側の第1調整部で1次供給量を調整し、下流側の第2調整部で2次供給量を調整する構成は、例えば第1調整部および第2調整部のうちの一方のみによる供給量調整に比べて、粉体の供給量の変更を正確かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の粉体溶解装置(第1実施形態)の構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す粉体溶解装置が備える本発明の粉体供給装置(第1実施形態)の垂直断面図である。
【
図3】
図3は、
図2中の矢印A方向から見た第1調整部の状態(一例)の図(平面図)である。
【
図4】
図4は、
図2中の矢印A方向から見た第1調整部の状態(他の例)の図(平面図)である。
【
図10】
図10は、本発明の粉体供給装置(第2実施形態)における第1調整部の平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の粉体供給装置(第3実施形態)における第2調整部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の粉体供給装置および粉体溶解装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1~
図9を参照して、本発明の粉体供給装置および粉体溶解装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の都合上、
図1、
図2および
図5~
図9中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
【0012】
図1に示す粉体溶解装置10は、食に供される粉体(食用粉体)Q1を液体Q2に溶解して、溶液Q3を製造する装置である。粉体Q1としては、特に限定されず、例えば、脱脂粉乳、大豆粉、砂糖、着色料、増粘剤、ゲル化剤等が挙げられる。また、液体Q2としては、粉体Q1を溶解可能であれば特に限定されず、例えば、水等が挙げられる。
この粉体溶解装置10は、粉体供給装置1と、液体供給装置11と、合流部12と、混合装置13と、気液分離装置14とを備える。以下、各部の構成について説明する。
【0013】
粉体供給装置1は、粉体Q1を合流部12に向けて供給する装置である。
液体供給装置11は、液体Q2を合流部12に向けて供給する装置である。
合流部12は、粉体供給装置1から供給された粉体Q1と、液体供給装置11から供給された液体Q2とが合流する部分である。
【0014】
混合装置13は、粉体供給装置1および液体供給装置11に対して、合流部12に向かう吸引力を付与するとともに、合流部12で合流した粉体Q1と液体Q2と混合して、すなわち、粉体Q1を液体Q2に溶解して溶液Q3を得る装置である。また、混合装置13からの吸引力より、粉体Q1を粉体供給装置1から合流部12に迅速に搬送することができるとともに、液体Q2を液体供給装置11から合流部12に迅速に搬送することができる。なお、混合装置13の構成としては、特に限定されないが、例えば、遠心式ポンプを有する構成とすることができる。
【0015】
気液分離装置14は、混合装置13の吐出側に配設され、未溶解の粉体Q1を含有した液体Q2を循環流路141を介して混合装置13に循環させるとともに、未溶解の粉体Q1を含有しない溶液Q3を排出口142から送り出す装置である。
【0016】
粉体溶解装置10では、例えば混合装置13による吸引力の大小や粉体Q1の種類等に応じて、粉体Q1の供給量を変更したい場合がある。そして、変更後も正確な供給量で粉体Q1を供給する必要がある。
そこで、粉体溶解装置10では、粉体Q1の供給量の迅速な変更が可能であるとともに、変更後も正確な供給量で粉体Q1を供給可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
【0017】
図2(
図1も同様)に示すように、粉体供給装置1は、第1収納部(収納部)2と、筐体3と、第1調整部4と、第2収納部(一時収納部)53を有する第2調整部5とを備える。
第1収納部2は、粉体Q1が投入、収納されるホッパーである。第1収納部2は、上下方向にそれぞれ開口した筒状体で構成される。また、第1収納部2は、内径が下方に向かって漸減した漏斗状をなす。
【0018】
第1収納部2の下側には、筐体3が配置されている。筐体3は、筐体本体31と、蓋体32とを有する。
筐体本体31は、箱状をなす。筐体本体31の上部には、上方に向かって開口した上部開口部311が形成されている。
【0019】
蓋体32は、板状をなし、上部開口部311を覆って設けられている。この蓋体32の上側には、第1収納部2が固定されている。
また、蓋体32には、厚さ方向、すなわち、Z軸方向に貫通する貫通孔321が形成されている。貫通孔321は、第1収納部2と連通している。これにより、粉体Q1は、第1収納部2、貫通孔321および上部開口部311を順に通過して、落下していく。なお、粉体Q1は、貫通孔321と上部開口部311との間では、後述する第1調整部4を経る。
【0020】
貫通孔321の平面視での形状は、
図3および
図4に示すように、本実施形態では、X軸方向に沿った長辺とY軸方向に沿った短辺とを有する長方形をなすが、これに限定されない。他の形状としては、例えば、X軸方向に沿った短辺とY軸方向に沿った長辺とを有する長方形や正方形等の矩形、円や楕円等の丸みを帯びた形状等であってもよい。
【0021】
また、
図2に示すように、筐体本体31の底部の内側には、傾斜面312が形成されている。さらに、筐体本体31には、傾斜面312の傾斜方向下側に、側方に向かって開口した側部開口部313が形成されている。上部開口部311から落下してきた粉体Q1は、後述する第2調整部5を経て、傾斜面312を滑り落ちて、側部開口部313から排出される。その後、粉体Q1は、合流部12に流入することとなる。
【0022】
このように粉体供給装置1では、蓋体32の貫通孔321から筐体本体31の側部開口部313までが、粉体Q1が流下する、すなわち、粉体Q1が通過する流路33として機能する。この流路33では、粉体Q1は、自重で流下していくとともに、混合装置13の吸引によっても流下していく。なお、流路33には、第1収納部2が含まれていてもよい、すなわち、第1収納部2も流路33の一部を構成するとしてもよい。
【0023】
流路33には、上流から下流に向かって順に、第1調整部4と、第2調整部5とが設けられている。
第1調整部4は、第1収納部2から第2調整部5に至る前の下流側への粉体Q1の1次供給量S1を調整することができる。第2調整部5は、1次供給量S1に調整された粉体Q1の下流側への2次供給量S2を調整することができる。
【0024】
図2~
図4に示すように、第1調整部4は、開度変更部材(板部材)41と、移動支持部材42とを有する。
開度変更部材41は、流路33の開度を変更する部材である。ここで、「流路33の開度」とは、流路33における、粉体Q1が通過可能な部分の横断面積のことを言う。本実施形態では、貫通孔321における、粉体Q1が通過可能な部分の平面視での面積となる。
図3および
図4(
図10についても同様)では、それぞれ、ハッチングが施された粉体通過可能部322の面積である。
【0025】
開度変更部材41は、蓋体32と平行に配置された板部材で構成されている。また、開度変更部材41は、蓋体32の下面と、筐体本体31の内側にY軸方向に沿って形成された溝314との間に配置される。なお、溝314は、開度変更部材41のX軸方向の両側に形成されている。
開度変更部材41は、その厚さ方向に貫通する1つの貫通孔411を有する。貫通孔411の平面視での形状は、貫通孔321と同様に、X軸方向に沿った長辺とY軸方向に沿った短辺とを有する長方形をなす(
図3、
図4参照)。貫通孔411の平面視での面積と、貫通孔321の平面視での面積とは、同じである。
【0026】
移動支持部材42は、蓋体32(流路33)に対し、開度変更部材41をY軸方向に沿って移動可能に支持する部材である。移動支持部材42は、開度変更部材41の貫通孔411を介して、その両側、すなわち、X軸方向正側と負側とにそれぞれ配置されている。これにより、開度変更部材41を安定して移動させることができる。なお、移動支持部材42は、本実施形態では貫通孔411の両側にそれぞれ配置されているが、これに限定されず、片側に配置されていてもよい。
【0027】
各移動支持部材42は、Y軸方向に沿って延びる長尺な板部材で構成されており、蓋体32の上面に当接している。各移動支持部材42には、Y軸方向に沿って延びる長尺なガイド孔421が厚さ方向に貫通して形成されている。このガイド孔421には、2本のボルト(六角穴付きボルト)43が上側から挿通しており、蓋体32に螺合している。
また、各移動支持部材42の両端部には、Z軸方向負側、すなわち、下方に向かって突出した突出部422が形成されている。これにより、各移動支持部材42は、突出部422同士の間で、開度変更部材41を固定することができる。
【0028】
例えば、
図3に示す状態では、蓋体32の貫通孔321全体と、開度変更部材41の貫通孔411全体とが重なっている。これにより、粉体通過可能部322が最大となる。また、各ボルト43は、十分に締め込まれている。これにより、開度変更部材41が蓋体32に対して固定されて、
図3に示す状態が維持される。
【0029】
図3に示す状態から
図4に示す状態とするには、各ボルト43を緩めて、開度変更部材41を各移動支持部材42ごとY軸方向負側に移動させる。このとき、開度変更部材41は、各ボルト43がガイド孔421に相対的に案内されることにより、円滑に移動することができる。そして、蓋体32の貫通孔321は、開度変更部材41が移動した分だけ、貫通孔411との重なりの程度が減少するとともに、当該開度変更部材41の貫通孔411が無い部分(シャッタ部412)で覆われる。これにより、
図4に示す状態となる。この
図4に示す状態では、粉体通過可能部322が
図3に示す状態よりも小さくなる。また、各ボルト43を再度十分に締め込むことにより、開度変更部材41が蓋体32に対して固定されて、
図4に示す状態が維持される。
【0030】
このように粉体供給装置1では、粉体通過可能部322の面積(大きさ)の分だけ、当該粉体通過可能部322を通過する粉体Q1の最大流量を規制することができる。例えば、混合装置13による吸引力が不十分な場合には、1次供給量S1が過少となるため、
図3に示す状態として、粉体Q1の最大流量を増加させることができる。これにより、1次供給量S1の過少状態を解消することができる。一方、混合装置13による吸引力が過剰な場合には、1次供給量S1が過多となるため、
図4に示す状態として、粉体Q1の最大流量を減少させることができる。これにより、1次供給量S1の過多状態を解消することができる。
【0031】
以上のように、第1調整部4は、1次供給量S1の調整として、粉体Q1の最大流量を規制するよう構成されている。そして、この最大流量規制の際には、開度変更部材41を移動するという簡単な操作で、その規制が可能となる。これにより、粉体Q1の1次供給量S1(供給量)の変更を迅速に行うことができる。また、1次供給量S1の変更に伴う粉体供給装置1の稼動停止時間をできる限り抑制することができ、よって、粉体供給装置1の稼働率低下が防止される。
【0032】
また、
図3、
図4に示すように、開度変更部材41には、できる限りY軸方向負側の部分に、指掛け部413が設けられているのが好ましい。指掛け部413には、開度変更部材41の移動時に指を掛けることができる。これにより、開度変更部材41に対する操作を容易に行うことができる。よって、例えば粉体供給装置1を一旦分解して開度変更部材41の位置を変更し、再度組み立せずとも、開度変更部材41の位置変更が容易となる。従って、指掛け部413を設ける構成は、1次供給量S1の変更の迅速化に寄与する。
【0033】
流路33の第1調整部4よりも下流側には、第2調整部5が設けられている。前述したように、第2調整部5は、1次供給量S1に調整された粉体Q1の下流側への2次供給量S2を調整する部分である。
図2に示すように、第2調整部5は、ロータ51と、駆動部52とを有する。
【0034】
ロータ51は、軸部511と、フランジ部512と、羽根部513とを有する。
軸部511は、円柱状をなす部分であり、筐体3の筐体本体31に対し軸受け34を介して、X軸回りに回転可能に支持されている。
フランジ部512は、外径が軸部511よりも拡径した部分であり、X軸方向に離間して2つ配置されている。
【0035】
羽根部513は、フランジ部512同士の間に、X軸方向に沿って直線状に架設された部分である。
図5~
図9に示すように、羽根部513は、放射状に複数配置されている。
そして、軸部511と、フランジ部512同士と、隣り合う羽根部513同士とで囲まれた空間は、1次供給量S1に調整された粉体Q1が収納される第2収納部53として機能する。
【0036】
前述したように、軸部511がX軸回りに回転可能に支持されることにより、各第2収納部53もX軸回りに回転可能に支持されることとなる。これにより、各第2収納部53は、少なくとも2つの姿勢(状態)を取り得る。
1つ目の姿勢(第1の姿勢)は、最上点(最頂点)で第2収納部53が上部開口部311に臨む姿勢である。この姿勢では、上部開口部311から落下した粉体Q1が第2収納部53に一時的に収納される。
【0037】
なお、粉体通過可能部322の大きさを変更することは、第2収納部53の容積を変更するのと等価である。第2収納部53の容積を変更することは、粉体供給装置1の構成上困難である。そのため、本実施形態では、粉体通過可能部322の大きさを変更することにより、第2収納部53の容積変更と同様の作用を実現した。
【0038】
2つ目の姿勢(第2の姿勢)は、最下点で第2収納部53の上下が反転する姿勢である。この姿勢では、第1の姿勢で収納された粉体Q1が第2収納部53から落下して、排出される。これにより、粉体Q1を合流部12に向かわせることができる。
【0039】
ロータ51には、例えば減速機等を介して、駆動部52が連結されている。駆動部52は、ロータ51を回転させるモータである。そして、モータに印加する印加電圧や減速機の減速比等を変更することにより、ロータ51(第2収納部53)の回転数を変化させることができる。この回転数可変構成により、粉体Q1の2次供給量S2を迅速に調整、変更することができる。
【0040】
例えば、回転数が増大すれば、第2収納部53が粉体Q1を収納して排出する回数が単位時間で増加する。これにより、2次供給量S2が増加する。
反対に、回転数が減少すれば、第2収納部53が粉体Q1を収納して排出する回数が単位時間で減少するため、2次供給量S2も減少する。
【0041】
ここで、各第2収納部53内の圧力変化について、
図5~
図9を参照しつつ説明する。なお、第2収納部53の総数は、本実施形態では一例として8つであり、これらの第2収納部53のうちの1つ(以下「第2収納部53A」と言う)に着目して説明する。また、ロータ51は、時計回りに回転することとする。また、各図中の「-」(マイナス)は、低圧状態(例えば真空状態)を示し、「+」(プラス)は、高圧状態(例えば大気圧または大気圧よりも低いが、低圧状態よりも高い圧力)を示す。
【0042】
図5:第1状態
図5は、第2収納部53Aから粉体Q1が排出された後の状態を示す。第2収納部53Aは、粉体Q1が排出されるときには側部開口部313(混合装置13)からの吸引力が作用しており、そのまま回転して、低圧状態となっている。
【0043】
図6:第2状態
図6では、第2収納部53Aは、側部開口部313および上部開口部311との連通が遮断されて、低圧状態が維持されている。
【0044】
図7:第3状態
図7は、第2収納部53Aが上部開口部311に臨んだ状態、すなわち、第1の姿勢を示す。これにより、第2収納部53Aが上部開口部311に開放されて、双方の圧力差と、粉体Q1の自重落下とにより、粉体Q1が第2収納部53Aに円滑に流入する。また、このとき、第2収納部53Aは、低圧状態から高圧状態となる。
【0045】
図8:第4状態
図8では、第2収納部53Aは、再度側部開口部313および上部開口部311との連通が遮断されて、高圧状態で、粉体Q1が収納された状態が維持されている。
【0046】
図9:第5状態
図9は、第2収納部53Aが側部開口部313側に臨んだ状態、すなわち、第2の姿勢を示す。このとき、第2収納部53Aは、低圧状態となる。また、第2の姿勢では、側部開口部313からの吸引力と、粉体Q1の自重落下とにより、第2収納部53Aから粉体Q1が円滑に排出される。
【0047】
以上のような構成の粉体供給装置1では、粉体Q1が合流部12に至る前に、当該粉体Q1の供給量を段階的に調整することができる。
すなわち、粉体供給装置1では、まず、第1調整部4により、粉体Q1の1次供給量S1を調整する。この1次供給量S1の調整は、開度変更部材4の移動により、粉体Q1の最大流量を規制することで行われる。これにより、各第2収納部53には、粉体Q1が、最大収納量が規制された状態で収納される。
【0048】
次いで、第2調整部5により、粉体Q1の2次供給量S2を調整する。この2次供給量S2の調整は、ロータ51の回転数の変更により、単位時間当たりの粉体Q1の合流部12への供給量を調整することで行われる。
【0049】
このような段階的な供給量の調整により、正確な量の粉体Q1を合流部12に供給することができる。これにより、粉体Q1の濃度が一定の溶解液Q3を安定して得ることができる。
なお、第1調整部4および第2調整部5のうちの一方のみによる供給量調整では、粉体Q1の正確な量の供給には限界がある。
【0050】
また、粉体供給装置1では、開度変更部材4の移動を行うという簡単な構成で、1次供給量S1の調整を行うことができ、ロータ51の回転数の変更を行うという簡単な構成で、2次供給量S2の調整を行うことができる。これにより、合流部12への粉体Q1の供給量の変更を迅速かつ容易に行うことができ、よって、粉体Q1供給量変更時の粉体供給装置1の稼働率の低下を防止することができる。
【0051】
<第2実施形態>
以下、
図10を参照して本発明の粉体供給装置および粉体溶解装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1調整部の開度変更部材の構成(形状)が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0052】
図10に示すように、本実施形態では、第1調整部4の開度変更部材41は、Y軸方向に沿って並んで配置された3つの貫通孔411を有する。以下、Y軸方向正側から順に「貫通孔411A」、「貫通孔411B」、「貫通孔411C」と言う。
貫通孔411A~貫通孔411Cの平面視での形状は、いずれも、X軸方向に沿った長辺とY軸方向に沿った短辺とを有する長方形をなし、長辺同士の長さが同じであるが、短辺同士の長さが異なる。これにより、貫通孔411A~貫通孔411Cは、互いに大きさが異なる。本実施形態では、貫通孔411Aが最大、貫通孔411Cが最小、貫通孔411Bが貫通孔411Aと貫通孔411Cとの間の中間の大きさとなる。なお、貫通孔411Aの平面視での面積と、貫通孔321の平面視での面積とは、同じである。
【0053】
そして、蓋体32の貫通孔321全体と、開度変更部材41の貫通孔411A全体とが重なった場合には、粉体通過可能部322が最大となる。
また、蓋体32の貫通孔321全体と、開度変更部材41の貫通孔411C全体とが重なった場合には、粉体通過可能部322が最小となる。
また、蓋体32の貫通孔321全体と、開度変更部材41の貫通孔411B全体とが重なった場合(
図10に示す状態)には、粉体通過可能部322が中間の大きさとなる。
【0054】
このように、貫通孔411A~貫通孔411Cを選択することにより、粉体通過可能部322の大きさを容易に変更することができ、結果、粉体Q1の最大流量の規制、すなわち、1次供給量S1の調整を迅速に行うことができる。
なお、貫通孔411の成形数は、本実施形態では3つであるが、これに限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。
【0055】
<第3実施形態>
以下、
図11を参照して本発明の粉体供給装置および粉体溶解装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2調整部のロータの構成(形状)が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0056】
図11に示すように、本実施形態では、第2調整部5のロータ51は、軸部511と、螺旋部514と、仕切り部515とを有する。
螺旋部514は、軸部511の外周部に突出形成されている。また、螺旋部514は、X軸回りに螺旋状に形成されている。螺旋部514の形成数は、本実施形態では、2つ(2条)であるが、これに限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0057】
仕切り部515は、X軸方向に隣り合う螺旋部514同士の間に、X軸方向に沿って直線状に架設されている。また、仕切り部515は、X軸回りに等角度間隔に、すなわち、軸部511の周方向に沿って等間隔に複数配置されている。
そして、軸部511と、螺旋部514同士と、X軸回りに隣り合う仕切り部515同士とで囲まれた空間が第2収納部53として機能する。
以上のような構成のロータ51によっても、2次供給量S2の調整が可能となる。
【0058】
以上、本発明の粉体供給装置および粉体溶解装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、粉体供給装置および粉体溶解装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の粉体供給装置および粉体溶解装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2つ以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0059】
第1調整部4の配置数は、複数であってもよいが、前記各実施形態のように1つが好ましい。その理由としては、例えば、第1調整部4の配置数が複数であっても、第1調整部4による作用、効果の向上が期待以上に見込めないおそれがあるからである。
【0060】
また、開度変更部材41は、前記各実施形態ではY軸方向に沿って移動可能に支持されているが、これに限定されず、例えば、X軸方向に沿って移動可能に支持されていてもよい、Z軸回りに回転可能に支持されていてもよい。従って、開度変更部材41に対する支持態様については、移動や回転等の各種の変位態様を用いることができる。
【0061】
また、第2収納部53の配置数は、前記各実施形態では複数であるが、1つであってもよい。
また、粉体供給装置1では、例えば用途に応じて、流路33を構成する蓋体32の貫通孔321、開度変更部材の貫通孔411および第2収納部53のX軸方向の長さを設計変更してもよい、すなわち、
図1に示す状態よりも長くしたり、短くしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 粉体溶解装置
1 粉体供給装置
2 第1収納部(収納部)
3 筐体
31 筐体本体
311 上部開口部
312 傾斜面
313 側部開口部
314 溝
32 蓋体
321 貫通孔
322 粉体通過可能部
33 流路
34 軸受け
4 第1調整部
41 開度変更部材(板部材)
411 貫通孔
411A 貫通孔
411B 貫通孔
411C 貫通孔
412 シャッタ部
413 指掛け部
42 移動支持部材
421 ガイド孔
422 突出部
43 ボルト(六角穴付きボルト)
5 第2調整部
51 ロータ
511 軸部
512 フランジ部
513 羽根部
514 螺旋部
515 仕切り部
52 駆動部
53 第2収納部(一時収納部)
53A 第2収納部
11 液体供給装置
12 合流部
13 混合装置
14 気液分離装置
141 循環流路
142 排出口
Q1 粉体(食用粉体)
Q2 液体
Q3 溶液
S1 1次供給量
S2 2次供給量