(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ハトメ装着装置
(51)【国際特許分類】
A41H 37/00 20060101AFI20240328BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20240328BHJP
【FI】
A41H37/00 F
A41H37/00 G
A41H37/00 E
A44B99/00 611F
(21)【出願番号】P 2020180000
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004129
【氏名又は名称】弁理士法人石田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江河 健一
(72)【発明者】
【氏名】長野 貴志
(72)【発明者】
【氏名】謝 路彬
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特表平9-504836(JP,A)
【文献】独国特許発明第101766(DE,C2)
【文献】実公昭47-9747(JP,Y1)
【文献】特開昭63-42908(JP,A)
【文献】実開昭60-113325(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 37/00
A44B 99/00
A43D 100/02
B21D 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有する加工対象物の加工位置に対してハトメを装着するハトメ装着装置であって、
加工対象物の上面側に配置される上部貫通加工部、および加工対象物の下面側に配置される下部貫通加工部を有するとともに、加工対象物の加工位置に対して貫通部を形成する貫通加工を行う、貫通加工部と、
加工対象物の上面側に配置される上部加締加工部、および加工対象物の下面側に配置される下部加締加工部を有するとともに、前記貫通加工部によって形成された前記貫通部にハトメを装着する加締加工を行う、加締加工部と、
前記貫通加工部および前記加締加工部を支持する支持部と、
前記貫通加工部を前記加工位置に対向させる姿勢である第1姿勢と、前記加締加工部を前記加工位置に対向させる姿勢である第2姿勢とを切り替えるように前記支持部を移動させる、移動部と、
前記第1姿勢において前記貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記加締加工部を作動させる、作動部と、
を備え、
前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り替えるように前記支持部を移動させる方向を前方とし、
前記第2姿勢から前記第1姿勢に切り替えるように前記支持部を移動させる方向を後方とし、
上下方向および前後方向に垂直な方向を左右方向として、
前記作動部は、
前記第1姿勢において前記上部貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記上部加締加工部を作動させるとともに、左右方向から見て、前記支持部の上方において前記支持部よりも後方から前方に向けて延びるように配置される上部作動体と、
前記第1姿勢において前記下部貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記下部加締加工部を作動させるとともに、左右方向から見て、前記支持部の下方において前記支持部よりも後方から前方に向けて延びるように配置される下部作動体と、
を有する、
ハトメ装着装置。
【請求項2】
前記作動部は、
前記上部作動体および前記下部作動体を作動させるための回転駆動力を生じさせる第1駆動部と、
前記上部作動体および前記下部作動体を連結するとともに、前記第1駆動部からの回転駆動力を前記上部作動体および前記下部作動体を作動させる駆動力に変換させる駆動変換機構と、
前記第1駆動部からの回転駆動力を前記駆動変換機構に入力する駆動軸と、
をさらに有し、
前記駆動軸は、
左右方向から見て、前記上部作動体よりも下方であって、かつ、前記下部作動体よりも上方に配置されている、
請求項1に記載のハトメ装着装置。
【請求項3】
前記支持部は、
前記上部貫通加工部および前記上部加締加工部を保持する上部保持部と、
前記下部貫通加工部および前記下部加締加工部を保持する下部保持部と、
前記上部保持部および下部保持部を連結する保持連結部と、
を有し、
前記駆動軸は、
左右方向から見て、前記保持連結部よりも後方に配置されている、
請求項2に記載のハトメ装着装置。
【請求項4】
前記駆動変換機構は、
前記駆動軸に入力された前記第1駆動部からの回転駆動力を、上下方向の駆動力に変換する第1変換機構と、
前記第1変換機構による上下方向の駆動力を前後方向の駆動力に変換する第2変換機構と、
前記第2変換機構による前後方向の駆動力を、前記貫通加工部および前記加締加工部を作動させるように、前記上部作動体および前記下部作動体をそれぞれ上下方向に作動させる駆動力に変換する第3変換機構と、
を有する、
請求項2または請求項3に記載のハトメ装着装置。
【請求項5】
前記第3変換機構は、トグル機構である、
請求項4に記載のハトメ装着装置。
【請求項6】
第2変換機構は、
前記上部作動体および前記下部作動体に沿って前後方向に配置される駆動連結部を有し、
前記駆動連結部は、前後方向の長さを調整可能である、
請求項5に記載のハトメ装着装置。
【請求項7】
前記加締加工部にハトメを供給するハトメ供給部を、さらに有し、
前記移動部は、
前記第1姿勢と、前記第2姿勢と、前記第1姿勢よりも後方に前記支持部を位置させる姿勢である第3姿勢とを切り替えるように前記支持部を移動させ、
前記ハトメ供給部は、
前記支持部が前記第3姿勢に切り換えられた状態において、前記加締加工部にハトメを供給する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハトメ装着装置。
【請求項8】
前記ハトメ供給部は、
ハトメ雄体を前記加締加工部に供給する第1供給部と、
ハトメ雌体を前記加締加工部に供給する第2供給部と、
を有し、
前記第1供給部および前記第2供給部は、振動によってハトメ雄体およびハトメ雌体を搬送するパーツフィーダである、
請求項7に記載のハトメ装着装置。
【請求項9】
前記移動部は、
前記支持部を前後方向に移動させる第2駆動部を有する、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のハトメ装着装置。
【請求項10】
前記貫通加工部による前記貫通加工の実行中、および/または、前記加締加工部による前記加締加工の実行中において、前記上部貫通加工部が作動する前、および/または、前記上部加締加工部が作動する前に、加工対象物の加工位置付近に向けて下降する検知体と、
前記検知体が所定高さまで下降したことを検知する検知部と、
を有する停止部をさらに備え、
前記停止部は、
前記検知部が前記検知体を検知した場合は、前記貫通加工および/または前記加締加工を続行させ、
前記検知部が前記検知体を検知しない場合は、前記貫通加工および/または前記加締加工を停止させる、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のハトメ装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の加工対象物にハトメを装着するためのハトメ装着装置に関する。特に、加工対象物への貫通加工とハトメの加締加工を個別かつ連続して行うハトメ装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の加工対象物に対してハトメを装着するハトメ装着装置が知られている。ハトメ装着装置は、加工対象物に貫通部を形成する貫通加工を行い、この貫通部にハトメを装着する加締加工を行う。
【0003】
ハトメ装着装置は、貫通部を形成する貫通加工とハトメを装着する加締加工を同時に行う構成のもの(一軸式)と、貫通加工と加締加工を個別かつ連続的に行う構成のもの(二軸式)が知られている。
【0004】
貫通加工と加締加工を同時に行う一軸式のハトメ装着装置は、加工時間を短縮することができる。しかしながら、貫通加工と加締加工を同時に行うハトメ装着装置は、例えば加工対象物の肉厚が厚い場合、加工対象物に対する貫通加工が不十分となりやすく、ハトメの装着不良を生じる場合がある。
【0005】
これに対して、貫通加工と加締加工を個別かつ連続的に行う二軸式のハトメ装着装置では、例えば貫通ツールによって加工対象物に対して貫通部(例えば下穴)を形成する貫通加工を行った後、装着ツールが貫通部の位置に移動してハトメを装着する加締加工を行う。貫通加工と加締加工を個別かつ連続的に行うハトメ装着装置によれば、加工対象物の肉厚が厚い場合であっても、加工対象物に対する貫通加工を確実に行うことができるため、ハトメの装着を良好に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、貫通加工と加締加工を個別かつ連続的に行う二軸式のハトメ装着装置は、構造が複雑となる。例えば、特許文献1に開示されたボタン、リベットなどの装着装置は、加工対象物に下穴を形成する穴あけツールおよびボタン、リベットなどを装着する装着ツールが加工対象物の上部と下部に設けられており、それぞれプッシャによって水平方向に移動可能とされている。そして上部に配置された穴あけツールおよび装着ツールは、上下方向に往復動するラムによって駆動され、下部に配置された穴あけツールおよび装着ツールは、レバーリンク装置によって揺動される力伝達アームによって駆動される。
特許文献1に開示されたボタン、リベットなどの装着装置は、上部に配置された穴あけツールおよび装着ツールを駆動させる機構と、下部に配置された穴あけツールおよび装着ツールを駆動させる機構が異なっており、これらの機構を共通の電動機で駆動させるため、装着装置の構成が複雑になっていた。
【0008】
また、上部に配置された穴あけツールおよび装着ツールを駆動させる機構と、下部に配置された穴あけツールおよび装着ツールを駆動させる機構が異なっていることにより、上部の機構と下部の機構を適切なタイミングで協調させて作動させることは容易ではなかった。
【0009】
さらに、上部に配置された穴あけツールおよび装着ツールを駆動させるラムが上下方向に延びるように配置されており、さらに、ラムを駆動させる駆動機構がラムの上方に配置されている。このため、装着装置の上下方向の寸法が大きくなり、装着装置が大型化していた。
【0010】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、貫通加工と加締加工を個別かつ連続的に行うハトメ装着装置であって、上部の機構と下部の機構を簡素化でき、上部の機構と下部の機構を適切なタイミングで協調させて作動させることができるとともに、上下方向の寸法を抑制して小型化することができるハトメ装着装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のハトメ装着装置は、上面および下面を有する加工対象物の加工位置に対してハトメを装着するハトメ装着装置であって、
加工対象物の上面側に配置される上部貫通加工部、および加工対象物の下面側に配置される下部貫通加工部を有するとともに、加工対象物の加工位置に対して貫通部を形成する貫通加工を行う、貫通加工部と、
加工対象物の上面側に配置される上部加締加工部、および加工対象物の下面側に配置される下部加締加工部を有するとともに、前記貫通加工部によって形成された前記貫通部にハトメを装着する加締加工を行う、加締加工部と、
前記貫通加工部および前記加締加工部を支持する支持部と、
前記貫通加工部を前記加工位置に対向させる姿勢である第1姿勢と、前記加締加工部を前記加工位置に対向させる姿勢である第2姿勢とを切り替えるように前記支持部を移動させる、移動部と、
前記第1姿勢において前記貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記加締加工部を作動させる、作動部と、
を備え、
前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り替えるように前記支持部を移動させる方向を前方とし、
前記第2姿勢から前記第1姿勢に切り替えるように前記支持部を移動させる方向を後方とし、
上下方向および前後方向に垂直な方向を左右方向として、
前記作動部は、
前記第1姿勢において前記上部貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記上部加締加工部を作動させるとともに、左右方向から見て、前記支持部の上方において前記支持部よりも後方から前方に向けて延びるように配置される上部作動体と、
前記第1姿勢において前記下部貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記下部加締加工部を作動させるとともに、左右方向から見て、前記支持部の下方において前記支持部よりも後方から前方に向けて延びるように配置される下部作動体と、
を有する、ハトメ装着装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハトメ装着装置によれば、上部の機構と下部の機構を簡素化でき、上部の機構と下部の機構を適切なタイミングで協調させて作動させることができるとともに、上下方向の寸法を抑制して小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るハトメ装着装置の斜視図である。
【
図2】加工対象物にハトメを装着する手順を示す図である。
【
図5】ハトメ装着装置の内部構造を示す左側面図である。
【
図6】ハトメ装着装置の内部構造を示す背面図である。
【
図7】ハトメ装着装置の貫通加工部、加締加工部、支持部、および移動部を示す斜視図である。
【
図8】ハトメ装着装置の作動部を示す斜視図である。
【
図9】ハトメ装着装置の貫通加工部、加締加工部、支持部、移動部、および作動部を示す側面図である。
【
図10】ハトメ供給部の第1供給部および第2供給部を示す斜視図である。
【
図11】ハトメ供給部の装填部を示す斜視図である。
【
図12】ハトメ装着装置の移動部と作動部の動作を示す左側面図である。
【
図13】ハトメ装着装置の移動部と作動部の動作を示す左側面図である。
【
図14】ハトメ装着装置の移動部と作動部の動作を示す左側面図である。
【
図15】ハトメ装着装置の移動部と作動部の動作を示す左側面図である。
【
図16】ハトメ装着装置の移動部と作動部の動作を示す左側面図である。
【
図17】ハトメ装着装置の停止部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るハトメ装着装置は、
上面および下面を有する加工対象物の加工位置に対してハトメを装着するハトメ装着装置であって、
加工対象物の上面側に配置される上部貫通加工部、および加工対象物の下面側に配置される下部貫通加工部を有するとともに、加工対象物の加工位置に対して貫通部を形成する貫通加工を行う、貫通加工部と、
加工対象物の上面側に配置される上部加締加工部、および加工対象物の下面側に配置される下部加締加工部を有するとともに、前記貫通加工部によって形成された前記貫通部にハトメを装着する加締加工を行う、加締加工部と、
前記貫通加工部および前記加締加工部を支持する支持部と、
前記貫通加工部を前記加工位置に対向させる姿勢である第1姿勢と、前記加締加工部を前記加工位置に対向させる姿勢である第2姿勢とを切り替えるように前記支持部を移動させる、移動部と、
前記第1姿勢において前記貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記加締加工部を作動させる、作動部と、
を備え、
前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り替えるように前記支持部を移動させる方向を前方とし、
前記第2姿勢から前記第1姿勢に切り替えるように前記支持部を移動させる方向を後方とし、
上下方向および前後方向に垂直な方向を左右方向として、
前記作動部は、
前記第1姿勢において前記上部貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記上部加締加工部を作動させるとともに、左右方向から見て、前記支持部の上方において前記支持部よりも後方から前方に向けて延びるように配置される上部作動体と、
前記第1姿勢において前記下部貫通加工部を作動させ、前記第2姿勢において前記下部加締加工部を作動させるとともに、左右方向から見て、前記支持部の下方において前記支持部よりも後方から前方に向けて延びるように配置される下部作動体と、
を有する(第1の構成)。
【0015】
上記構成によれば、貫通加工部および加締加工部を作動させる作動部は、上部作動体および下部作動体を有しており、上部作動体および下部作動体は、ともに後方から前方に向けて延びるように配置されている。
このため、上部作動体および下部作動体を共通の機構で作動させることが可能となり、上部の機構と下部の機構を簡素化できるとともに、上部の機構と下部の機構を適切なタイミングで協調させて作動させることができる。
また、上部作動体および下部作動体は、ともに後方から前方に向けて延びるように配置されており、上部作動体および下部作動体を配置する上下方向のスペースを削減できるため、ハトメ装着装置の上下方向の寸法を抑制して小型化することができる。
【0016】
上記第1の構成において、
前記作動部は、
前記上部作動体および前記下部作動体を作動させるための回転駆動力を生じさせる第1駆動部と、
前記上部作動体および前記下部作動体を連結するとともに、前記第1駆動部からの回転駆動力を前記上部作動体および前記下部作動体を作動させる駆動力に変換させる駆動変換機構と、
前記第1駆動部からの回転駆動力を前記駆動変換機構に入力する駆動軸と、
をさらに有し、
前記駆動軸は、
左右方向から見て、前記上部作動体よりも下方であって、かつ、前記下部作動体よりも上方に配置されていてもよい(第2の構成)。
【0017】
上記構成によれば、第1駆動部からの回転駆動力を駆動変換機構に入力する駆動軸は、左右方向から見て、上部作動体よりも下方であって、かつ、下部作動体よりも上方に配置されている。
このため、駆動変換機構を低い位置に配置することが可能となり、ハトメ装着装置の上下方向の寸法を抑制して小型化することができる。
【0018】
上記第2の構成において、
前記支持部は、
前記上部貫通加工部および前記上部加締加工部を保持する上部保持部と、
前記下部貫通加工部および前記下部加締加工部を保持する下部保持部と、
前記上部保持部および下部保持部を連結する保持連結部と、
を有し、
前記駆動軸は、
左右方向から見て、前記保持連結部よりも後方に配置されていてもよい(第3の構成)。
【0019】
上記構成によれば、第1駆動部からの回転駆動力を駆動変換機構に入力する駆動軸は、左右方向から見て、保持連結部よりも後方に配置されている。
このため、ハトメ装着装置の駆動変換機構を支持部に干渉させない位置にコンパクトに配置することができる。
【0020】
上記第2または第3の構成において、
前記駆動変換機構は、
前記駆動軸に入力された前記第1駆動部からの回転駆動力を、上下方向の駆動力に変換する第1変換機構と、
前記第1変換機構による上下方向の駆動力を前後方向の駆動力に変換する第2変換機構と、
前記第2変換機構による前後方向の駆動力を、前記貫通加工部および前記加締加工部を作動させるように、前記上部作動体および前記下部作動体をそれぞれ上下方向に作動させる駆動力に変換する第3変換機構と、
を有してもよい(第4の構成)。
【0021】
上記構成によれば、第1駆動部からの回転駆動力を上部作動体および下部作動体を作動させる駆動力に変換させる駆動変換機構は、第1変換機構、第2変換機構、および第3変換機構を有し、それぞれ上部作動体および下部作動体を作動させる。
このため、上部作動体および下部作動体をそれぞれ同様の機構によって作動させることができる。また、駆動変換機構を簡易な構成にすることができるため、駆動変換機構の上下方向の寸法を小さくして、コンパクトに配置することができる。
【0022】
上記第4の構成において、
前記第3変換機構は、トグル機構であってもよい(第5の構成)。
【0023】
上記構成によれば、上部作動体および下部作動体をそれぞれ作動させる駆動変換機構はトグル機構を有している。
このため、貫通加工および加締加工を行うために必要な作動力をコンパクトな駆動変換機構によって発生させることができる。
【0024】
上記第5の構成において、
第2変換機構は、
前記上部作動体および前記下部作動体に沿って前後方向に配置される駆動連結部を有し、
前記駆動連結部は、前後方向の長さを調整可能であってもよい(第6の構成)。
【0025】
上記構成によれば、駆動連結部は、前後方向の長さを調整可能である。
このため、駆動連結部の長さを調整することにより、トグル機構の作動量を調整することができる。これにより、上部作動体および下部作動体の作動量を調整して、貫通加工および加締加工を適切に行うことができる。
【0026】
上記第1から第6の構成において、
前記加締加工部にハトメを供給するハトメ供給部を、さらに有し、
前記移動部は、
前記第1姿勢と、前記第2姿勢と、前記第1姿勢よりも後方に前記支持部を位置させる姿勢である第3姿勢とを切り替えるように前記支持部を移動させ、
前記ハトメ供給部は、
前記支持部が前記第3姿勢に切り換えられた状態において、前記加締加工部にハトメを供給してもよい(第7の構成)。
【0027】
上記構成によれば、ハトメ供給部は、支持部が第3姿勢に切り換えられた状態において、加締加工部にハトメを供給し、第3姿勢では、支持部は第1姿勢よりも後方に位置している。
このため、ハトメを装着する際に貫通加工部および加締加工部に挟まれるように配置される加工対象物とハトメ供給部とが干渉しにくくなり、加工対象物の端部をより後方まで差し込むことができる。これにより、加工対象物の端部から離れた位置にハトメを装着しやすくなり、作業性を向上させることができる。
【0028】
上記第1から第7の構成において、
前記ハトメ供給部は、
ハトメ雄体を前記加締加工部に供給する第1供給部と、
ハトメ雌体を前記加締加工部に供給する第2供給部と、
を有し、
前記第1供給部および前記第2供給部は、振動によってハトメ雄体およびハトメ雌体を搬送するパーツフィーダであってもよい(第8の構成)。
【0029】
上記構成によれば、ハトメ供給部の第1供給部および第2供給部は、振動によってハトメ雄体およびハトメ雌体を搬送するパーツフィーダである。
このため、ハトメ雄体およびハトメ雌体を整列させながら、ハトメ雄体およびハトメ雌体をそれぞれ上部加締加工部および下部加締加工部に円滑に供給することができ、ハトメを装着する作業性を向上させることができる。
【0030】
上記第1から第8の構成において、
前記移動部は、
前記支持部を前後方向に移動させる第2駆動部を有してもよい(第9の構成)。
【0031】
上記構成によれば、移動部は、支持部を前後方向に移動させる第2駆動部を有する。
このため、作動部と切り離して移動部を駆動させることができ、ハトメ装着装置の構成を簡素化させることができる。
【0032】
上記第1から第9の構成において、
前記貫通加工部による前記貫通加工の実行中、および/または、前記加締加工部による前記加締加工の実行中において、前記上部貫通加工部が作動する前、および/または、前記上部加締加工部が作動する前に、加工対象物の加工位置付近に向けて下降する検知体と、
前記検知体が所定高さまで下降したことを検知する検知部と、
を有する停止部をさらに備え、
前記停止部は、
前記検知部が前記検知体を検知した場合は、前記貫通加工および/または前記加締加工を続行させ、
前記検知部が前記検知体を検知しない場合は、前記貫通加工および/または前記加締加工を停止させてもよい(第10の構成)。
【0033】
上記構成によれば、停止部は、検知部が検知体を検知した場合は、貫通加工および/または加締加工を続行させ、検知部が検知体を検知しない場合は、貫通加工および/または加締加工を停止させる。
このため、検知装置によって異物等を検知した場合、貫通加工および/または加締加工を停止させることができ、ハトメを装着する作業の安全性を向上させることができる。
【0034】
[実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るハトメ装着装置100を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。例示した寸法は一例であり、例示した寸法に限定されるものではない。
【0035】
以下の図では、矢印Uは上方向を示し、矢印Dは下方向を示す。矢印Fは前方向、矢印Bは後方向を示す。矢印Rは右方向、矢印Lは左方向を示す。
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係るハトメ装着装置100の斜視図である。
図1に示すように、ハトメ装着装置100は、シート状の加工対象物Wに対してハトメTを装着する装置である。ハトメ装着装置100は、加工対象物Wへの貫通加工とハトメTの加締加工を個別かつ連続的に行う。まず、加工対象物WにハトメTを装着する手順について説明する。
【0037】
図2は、加工対象物WにハトメTを装着する手順を示す図である。
図2aに示すように、ハトメTは、ハトメ雌体T1およびハトメ雄体T2から構成されている。ハトメ雌体T1は、ハトメ雌体主体T11および挿通孔T12を有している。ハトメ雄体T2は、ハトメ雄体主体T21および脚部T22を有している。脚部T22は、筒状であり、中央部に貫通孔が形成されている。
【0038】
図2bに示すように、加工対象物Wはシート状であり、上面W1および下面W2を有している。加工対象物Wは、生地、織物、皮革、板紙、あるいは樹脂などの素材で形成されており、例えば、衣服、テント用シートである。
【0039】
ハトメ装着装置100によって加工対象物Wの加工位置WPに対してハトメTを装着する場合、
図2cに示すように、まず加工対象物Wの加工位置WPに対して貫通加工が行われ、貫通部(下穴)WNが形成される。
【0040】
続いて
図2dに示すように、貫通部(下穴)WNに対してハトメ雄体T2の脚部T22が上面W1側から挿入される。下面W2側には、ハトメ雌体T1が配置され、脚部T22が挿通孔T12に挿通される。その状態で脚部T22をハトメ雌体主体T11に対して拡開させて固定する加締加工が行われ、加工対象物Wの加工位置WPに対してハトメTが装着される。
【0041】
ハトメ装着装置100は、加工対象物Wの加工位置WPに対して、上記のような貫通加工とハトメTの加締加工を個別かつ連続的に行う。なお、
図2では、加工対象物Wの上面W1側にハトメ雄体T2を配置し、加工対象物Wの下面W2側にハトメ雌体T1が配置したが、逆の配置、すなわち、加工対象物Wの下面W2側にハトメ雄体T2を配置し、加工対象物Wの上面W1側にハトメ雌体T1を配置するようにしてもよい。
【0042】
次に、
図1に戻ってハトメ装着装置100の構成について説明する。
図1に示すように、ハトメ装着装置100は、装置本体10を有している。装置本体10の前面側には、加工対象物WへのハトメTの装着作業を行うための作業部11が設けられている。作業部11には、加工対象物Wの端部を挿入できるように前面側が開放された空間が形成されている。作業部11には、加工対象物Wの端部を載置する作業台13が設けられている。
【0043】
装置本体10の内部には、加工対象物Wへの貫通加工とハトメTの加締加工を個別かつ連続的に行うための機構、すなわち、貫通加工部30、加締加工部40、支持部50、移動部60、および作動部70などが収容されている(
図5参照)。これらの機構については後に詳細に説明する。
【0044】
装置本体10の側面には、第1供給部91および第2供給部92(
図3、
図4参照)が配置されている。第1供給部91および第2供給部92には、それぞれ多数のハトメ雄体T2またはハトメ雌体T1が収容されている。収容されたハトメ雄体T2およびハトメ雌体T1は、ハトメTの加締加工を行う加締加工部40(
図5参照)に供給される。
【0045】
装置本体10の上部には、起動スイッチ21および操作パネル22が配置されている。起動スイッチ21は、ハトメ装着装置100の起動および停止を行うためのスイッチである。操作パネル22は、ハトメ装着装置100の各種機能を表示したり、各種設定ボタンを表示する表示部である。例えば、起動スイッチ21を操作してハトメ装着装置100が起動すると、操作パネル22上に「手動」「自動」などの選択項目が表示される。
【0046】
作業部11の側方には、手動スイッチ23が設けられている。装置本体10の下部には、フットスイッチ24が配置されている。手動スイッチ23は、ハトメ装着装置100によるハトメ装着作業の実行を作業者の手指による押動操作で開始させるスイッチである。フットスイッチ24は、ハトメ装着装置100によるハトメ装着作業の実行を作業者の足踏み操作によって開始させるスイッチである。
【0047】
図3は、ハトメ装着装置100の左側面図であり、
図4は、ハトメ装着装置100の右側面略図である。
図3および
図4では、作業台13の一部を破断しており、作業台13の下面側に配置される構成が一部示されている。
【0048】
図3および
図4に示すように、装置本体10の前面側には、作業部11が設けられている。作業部11は、加工対象物Wの端部を挿入できるように前面側が開放されている。作業部11には、作業台13が左右方向に延びるように配置されている。
【0049】
左右方向からの側面視では、作業部11には、貫通加工部30および加締加工部40の一部が露出している(
図5参照)。貫通加工部30は、加工対象物Wの加工位置WPに対して貫通部WNを形成する貫通加工を行い、加締加工部40は、貫通加工部30によって形成された貫通部WNにハトメTを装着する加締加工を行う。
図3および
図4では、貫通加工部30の上部貫通加工部31および下部貫通加工部32の一部と、加締加工部40の上部加締加工部41および下部加締加工部42の一部が示されている。
【0050】
作業台13には、当接部14および開口部15が設けられている。当接部14は、加工対象物Wの端部を当接させて加工対象物Wの位置ずれを防止する。開口部15は、貫通加工部30による貫通加工を行う場合には、貫通加工部30を貫通させ、加締加工部40による加締加工を行う場合には、加締加工部40を貫通させる穴部である。
【0051】
図5は、ハトメ装着装置の内部構造を示す左側面図である。
図5に示すように、ハトメ装着装置100は、貫通加工部30、加締加工部40、支持部50、移動部60、および作動部70を有している。
【0052】
貫通加工部30は、作業台13に載置された加工対象物Wの加工位置WPに対して貫通部WNを形成する貫通加工を行う。貫通加工部30は、上部貫通加工部31および下部貫通加工部32を有している(
図7参照)。上部貫通加工部31が下方に向けて押動されると同時に下部貫通加工部32が上方に向けて押動され、両先端部によって加工対象物Wの加工位置WPを打ち抜くことで貫通部(下穴)WNが形成される。
【0053】
加締加工部40は、貫通加工部30によって形成された貫通部WNにハトメTを装着する加締加工を行う。加締加工部40は、上部加締加工部41および下部加締加工部42を有している(
図7参照)。上部加締加工部41の先端部および下部加締加工部42の先端部には、それぞれハトメ雌体T1またはハトメ雄体T2が装着される。この状態で、上部加締加工部41が下方に向けて押動されると同時に下部加締加工部42が上方に向けて押動されることにより、両先端部によって加工対象物Wの貫通部WNにハトメTが装着される。
【0054】
支持部50は、貫通加工部30および加締加工部40を支持している。支持部50は、上部保持部51、下部保持部52、および保持連結部53を有している(
図7参照)。
【0055】
上部保持部51は、貫通加工部30の上部貫通加工部31、および加締加工部40の上部加締加工部41を上下方向に移動可能に保持している。
【0056】
下部保持部52は、貫通加工部30の下部貫通加工部32、および加締加工部40の下部加締加工部42をそれぞれ上下方向に移動可能に保持している。
【0057】
保持連結部53は、上部保持部51および下部保持部52を連結している。保持連結部53は、略U字状であって前方が開放されている形状を有している。保持連結部53によって上部保持部51および下部保持部52が連結されていることにより、上部保持部51および下部保持部52を前後方向に同じタイミングで移動させることができる。
【0058】
移動部60は、支持部50の姿勢を、第1姿勢PA1(
図13、
図14参照)、第2姿勢PA2(
図15、
図16参照)、および第3姿勢PA3(
図12参照)に切り替えるように支持部50を移動させる。移動部60は、案内部61および第2駆動部65を有している(
図7参照)。
【0059】
案内部61は、支持部50を前後方向に移動可能に支持している。
【0060】
第2駆動部65は、支持部50を案内部61に沿って前後方向に移動させる。
【0061】
作動部70は、第1姿勢PA1において貫通加工部30を作動させ、第2姿勢PA2において加締加工部40を作動させる。作動部70は、上部アーム71、下部アーム72、第1駆動部75、駆動変換機構80、および駆動軸78を有している(
図8参照)。
【0062】
上部アーム71は、第1姿勢PA1において上部貫通加工部31を下方に向けて押動して作動させ(
図14参照)、第2姿勢PA2において上部加締加工部41を下方に向けて押動して作動させる部材である(
図16参照)。上部アーム71は、左右方向から見て、支持部50の上方において支持部50よりも後方から前方に向けて延びるように配置されている。上部アーム71は、本発明の上部作動体に相当する。
【0063】
下部アーム72は、第1姿勢PA1において下部貫通加工部32を上方に向けて押動して作動させ(
図14参照)、第2姿勢PA2において下部加締加工部42を上方に向けて押動して作動させる部材である(
図16参照)。下部アーム72は、左右方向から見て、支持部50の下方において支持部50よりも後方から前方に向けて延びるように配置されている。下部アーム72は、本発明の下部作動体に相当する。
【0064】
第1駆動部75は、上部アーム71および下部アーム72を作動させるための回転駆動力を生じさせる。
【0065】
駆動変換機構80は、上部アーム71および下部アーム72を連結するとともに、第1駆動部75からの回転駆動力を上部アーム71および下部アーム72を作動させる駆動力に変換させる機構である。
【0066】
駆動軸78は、第1駆動部75と駆動変換機構80とを接続する軸である。駆動軸78は、第1駆動部75からの回転駆動力を駆動変換機構80に入力する。駆動軸78は、左右方向から見て、上部アーム71よりも下方であって、かつ、下部アーム72よりも上方となるように配置されている。また、駆動軸78は、左右方向から見て、保持連結部53よりも後方となるように配置されている。
【0067】
駆動軸78をこのような領域に配置したことにより、駆動変換機構80を低い位置に配置することが可能となり、ハトメ装着装置100の上下方向の寸法を抑制して小型化することができる。また、ハトメ装着装置100の駆動変換機構80を支持部50に干渉させない位置にコンパクトに配置することができる。
【0068】
図6は、ハトメ装着装置100の内部構造を示す背面図である。
図6に示すように、第1駆動部75と駆動変換機構80は、駆動軸78によって接続されている。駆動軸78の前面側には、ハンドル79が設けられている。ハンドル79は、メンテナンス等を行う際に第1駆動部75によらずに手動で駆動変換機構80を作動させるために設けられている。
【0069】
図7は、ハトメ装着装置の貫通加工部30、加締加工部40、支持部50、および移動部60を示す斜視図である。
【0070】
貫通加工部30は、作業台13に載置された加工対象物Wの加工位置WPに対して貫通部WNを形成する貫通加工を行う。貫通加工部30は、上部貫通加工部31および下部貫通加工部32を有している。
【0071】
上部貫通加工部31は、加工対象物Wの上面W1側に配置されており、下部貫通加工部32は、加工対象物Wの下面W2側に配置されている。上部貫通加工部31および下部貫通加工部32は、先端部が互いに対向するように配置されている。上部貫通加工部31の先端部および下部貫通加工部32の先端部には、加工対象物Wに貫通部WNを形成するための金型が形成されている。
【0072】
上部貫通加工部31は、支持部50の上部保持部51に上下移動可能に保持されている。下部貫通加工部32は、支持部50の下部保持部52に上下移動可能に保持されている。上部貫通加工部31が上部アーム71によって下方に向けて押動されると同時に、下部貫通加工部32が下部アーム72によって上方に向けて押動され、両先端部によって加工対象物Wの加工位置WPを打ち抜くことで貫通部(下穴)WNが形成される。
【0073】
加締加工部40は、貫通加工部30によって形成された貫通部WNにハトメTを装着する加締加工を行う。加締加工部40は、上部加締加工部41および下部加締加工部42を有している。
【0074】
上部加締加工部41は、加工対象物Wの上面W1側に配置されており、下部加締加工部42は、加工対象物Wの下面W2側に配置されている。上部加締加工部41および下部加締加工部42は、先端部が互いに対向するように配置されている。上部加締加工部41の先端部および下部加締加工部42の先端部には、ハトメ雌体T1およびハトメ雄体T2を加締加工するための金型が形成されている。
【0075】
上部加締加工部41は、支持部50の上部保持部51に上下移動可能に保持されている。下部加締加工部42は、支持部50の下部保持部52に上下移動可能に保持されている。上部加締加工部41の先端部および下部加締加工部42の先端部には、それぞれハトメ雌体T1またはハトメ雄体T2が装填される。この状態で、上部加締加工部41が上部アーム71によって下方に向けて押動されると同時に、下部加締加工部42が下部アーム72によって上方に向けて押動されることにより、両先端部によって加工対象物Wの貫通部WNにハトメTが装着される。
【0076】
支持部50は、貫通加工部30および加締加工部40を支持している。支持部50は、上部保持部51、下部保持部52、および保持連結部53を有している。
【0077】
上部保持部51は、貫通加工部30の上部貫通加工部31、および加締加工部40の上部加締加工部41を保持している。上部保持部51は、上部貫通加工部31および上部加締加工部41をそれぞれ上下方向に移動可能に保持している。上部貫通加工部31および上部加締加工部41は、下方に向けて作動された後、元の姿勢に復帰するように付勢部材54によって上方に向けて付勢されている。付勢部材54の上端側は固定されており、付勢部材54の下端には図示されないピンを設けてある。ピンは水平方向に取り付けられており、上部保持部51の左側面に設けた2本の縦スリット(図示せず)を通して上部貫通加工部31および上部加締加工部41に当接している。上部貫通加工部31および上部加締加工部41の作動によってピンは下方に移動し、付勢部材54は伸張し、付勢部材54の反発弾性力によって、上部貫通加工部31および上部加締加工部41が元の姿勢に復帰するように上方に向けて付勢するようになっている。
【0078】
下部保持部52は、貫通加工部30の下部貫通加工部32、および加締加工部40の下部加締加工部42を保持している。下部保持部52は、下部貫通加工部32および下部加締加工部42をそれぞれ上下方向に移動可能に保持している。下部貫通加工部32および下部加締加工部42は、上方に向けて作動された後、元の姿勢に復帰するように付勢部材55によって下方に向けて付勢されている。付勢部材55の下端側は固定されており、付勢部材55の上端には図示されないピンを設けてある。ピンは水平方向に取り付けられており、下部保持部52の左側面に設けた2本の縦スリット(図示せず)を通して下部貫通加工部32および下部加締加工部42に当接している。下部貫通加工部32および下部加締加工部42の作動によってピンは上方に移動し、付勢部材55は伸張し、付勢部材55の反発弾性力によって、下部貫通加工部32および下部加締加工部42が元の姿勢に復帰するように下方に向けて付勢するようになっている。
【0079】
保持連結部53は、上部保持部51および下部保持部52を連結している。保持連結部53は、略U字状であって前方が開放されている形状を有している。保持連結部53は、上部保持部51および下部保持部52の右側面に取り付けられている。これにより、保持連結部53は、上部保持部51および下部保持部52を連結している。
【0080】
移動部60は、支持部50の姿勢を、第1姿勢PA1(
図13、
図14参照)、第2姿勢PA2(
図15、
図16参照)、および第3姿勢(
図12参照)に切り替えるように支持部50を移動させる。第1姿勢PA1は、貫通加工部30を加工位置WPに対向させる姿勢である。第2姿勢PA2は、加締加工部40を加工位置WPに対向させる姿勢である。第3姿勢PA3は、支持部50を第1姿勢PA1および第2姿勢PA2よりも後方に位置させ、ハトメ供給部90から加締加工部40にハトメ雌体T1およびハトメ雄体T2を供給させる姿勢である。移動部60は、案内部61および第2駆動部65を有している。
【0081】
案内部61は、支持部50を前後方向に移動可能に支持している。案内部61は、支持部50の右側面に配置されており、支持部50を装置本体10に対して前後方向に移動可能に支持している。
【0082】
第2駆動部65は、支持部50を案内部61に沿って前後方向に移動させる。第2駆動部65は、第2駆動源66、減速機67、ピニオンギヤ68、およびラック69を有している。
【0083】
第2駆動源66は、支持部50を前後方向に移動させる駆動力を発生させる。第2駆動源66として、例えばサーボモータやステップモータを用いることができる。
【0084】
減速機67は、第2駆動源66の回転駆動力を減速しながらピニオンギヤ68に伝達する。
【0085】
ピニオンギヤ68は減速機67の出力軸に取り付けられている。ラック69は、支持部50の上部に前後方向に延びるように配置されている。ピニオンギヤ68およびラック69は、噛み合うように配置されている。第2駆動源66が制御部(図示せず)の制御信号に基づいて所定の回転数で正逆方向に回転し、ラック69が所定の距離だけ前後方向に移動する。これにより移動部60は、支持部50の姿勢を第1姿勢PA1、第2姿勢PA2、および第3姿勢PA3に切り替える。
【0086】
図8は、ハトメ装着装置100の作動部70を示す斜視図である。
図9は、ハトメ装着装置100の貫通加工部30、加締加工部40、支持部50、移動部60、および作動部70を示す側面図である。
図8および
図9を用いて主に作動部70の構成について詳細に説明する。
【0087】
図8に示すように、作動部70は、上部アーム71、下部アーム72、第1駆動部75、駆動軸78、および駆動変換機構80を有している。
【0088】
上部アーム71は、第1姿勢PA1において上部貫通加工部31を作動させ、第2姿勢PA2において上部加締加工部41を作動させる部材である。上部アーム71は、左右方向から見て、支持部50の上方において支持部50よりも後方から前方に向けて延びるように配置されている。
【0089】
下部アーム72は、第1姿勢PA1において下部貫通加工部32を作動させ、第2姿勢PA2において下部加締加工部42を作動させる部材である。下部アーム72は、左右方向から見て、支持部50の下方において支持部50よりも後方から前方に向けて延びるように配置されている。
【0090】
第1駆動部75は、上部アーム71および下部アーム72を作動させるための回転駆動力を生じさせる。第1駆動部75は、第1駆動源76、および減速機77を有している。
【0091】
第1駆動源76は、上部アーム71および下部アーム72を作動させるための駆動力を発生させる。第1駆動源76として、例えばサーボモータやステップモータを用いることができる。
【0092】
減速機77は、第1駆動源76の回転駆動力を減速しながら、回転駆動力を駆動軸78に伝達する。
【0093】
駆動軸78は、第1駆動部75と駆動変換機構80とを接続する軸である。駆動軸78は、第1駆動部75からの回転駆動力を駆動変換機構80に入力する。
【0094】
駆動変換機構80は、上部アーム71および下部アーム72を連結するとともに、第1駆動部75から駆動軸78を介して入力された回転駆動力を上部アーム71および下部アーム72を作動させる駆動力に変換させる機構である。
【0095】
駆動変換機構80は、第1変換機構81、第2変換機構82、および第3変換機構83を有している。第1変換機構81は、上部第1変換機構811および下部第1変換機構812を有している。第2変換機構82は、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822を有している。第3変換機構83は、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832を有している。第1変換機構81、第2変換機構82、および第3変換機構83の構成については
図9を参照して詳細に説明する。なお、第1変換機構81、第2変換機構82、および第3変換機構83は、それぞれ上下対称の機構を有している。このため、主に上部の機構について説明し、下部の機構については一部説明を省略する。
【0096】
図9に示すように、第1変換機構81は、上部第1変換機構811および下部第1変換機構812を有している。上部第1変換機構811および下部第1変換機構812は、駆動軸78を介して入力された第1駆動部75からの回転駆動力を、上下方向の駆動力に変換する機構である。上部第1変換機構811および下部第1変換機構812は、それぞれ偏心カムを用いた機構であり、位相差が180度に設定されている。つまり、上部第1変換機構811が上方向への駆動力を発生させる際には、下部第1変換機構812は下方向への駆動力を発生させ、上部第1変換機構811が下方向への駆動力を発生させる際には、下部第1変換機構812は上方向への駆動力を発生させる。以下では主に上部第1変換機構811の機構について説明し、下部第1変換機構812については、上部第1変換機構811と同一機構には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0097】
上部第1変換機構811は、偏心カム813および従動部814を有している。
【0098】
偏心カム813は、2枚の挟持部815およびカム部816を有している。2枚の挟持部815は同径の円盤状を部材である。カム部816は、挟持部815よりも小径の円盤状の部材である。
【0099】
従動部814は、接触部817および従動アーム818を有している。接触部817は環状の部材であり、偏心カム813のカム部816に対して回転可能に外嵌されている。従動アーム818は、接触部817に接続されている。
【0100】
接触部817がカム部816に外嵌された状態で、カム部816は、2枚の挟持部815で挟持されている。各挟持部815およびカム部816は、同軸となるように配置されている。駆動軸78は、2枚の挟持部815およびカム部816の中心軸から偏心した位置に接続されている。
【0101】
駆動軸78からの回転駆動力によって偏心カム813が上下方向に揺動しながら回転すると、カム部816に対して接触部817が相対的に回転することとなり、従動アーム818が上下方向に移動する。これにより、上部第1変換機構811は、駆動軸78に入力された第1駆動部75からの回転駆動力を、上下方向の駆動力に変換する。
【0102】
下部第1変換機構812については、上述のように、上部第1変換機構811と同様の機構を有しており、下部第1変換機構812の偏心カム813は、上部第1変換機構811の偏心カム813に対して180度の位相差を有するように駆動軸78に接続されている。このため、下部第1変換機構812は、駆動軸78に入力された第1駆動部75からの回転駆動力を、上部第1変換機構811とは逆位相である上下方向の駆動力に変換する。
【0103】
第2変換機構82は、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822を有している。上部第2変換機構821および下部第2変換機構822は、上部第1変換機構811および下部第1変換機構812による上下方向の駆動力を前後方向の駆動力に変換する。上部第2変換機構821および下部第2変換機構822は、上下対称の機構である。このため以下では主に上部第2変換機構821の機構について説明し、下部第2変換機構822については、上部第2変換機構821と同一機構には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0104】
上部第2変換機構821は、ベルクランク823および駆動連結部824を有する。
【0105】
ベルクランク823は、第1ベルクランクアーム825および第2ベルクランクアーム826を有している。第1ベルクランクアーム825および第2ベルクランクアーム826は、屈曲部827を挟んで略直交するように、一体に形成されている。
【0106】
第1ベルクランクアーム825の端部には、第1変換機構81の従動アーム818の端部が回動可能に接続されている。第2ベルクランクアーム826の端部には、駆動連結部824の一方の端部が回動可能に接続されている。
【0107】
駆動連結部824は、上部アーム71に沿って前後方向に配置されている。駆動連結部824の他方の端部は、第3変換機構83に接続されている。駆動連結部824は、ネジ部分の螺入長さを変更することで全長を変化させる長さ調整機構を有しており、前後方向の長さを調整することが可能である。
【0108】
上部第1変換機構811の従動アーム818によって伝達される上下方向の駆動力は、上部第2変換機構821のベルクランク823および駆動連結部824によって前後方向の駆動力に変換される。また、下部第1変換機構812の従動アーム818によって伝達される上下方向の駆動力も同様に、下部第2変換機構822のベルクランク823および駆動連結部824によって前後方向の駆動力に変換される。なお、ベルクランク823の屈曲部827には、上部アーム71の支持端部711(下部アーム72の端部721)が回動可能に接続されている。
【0109】
第3変換機構83は、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832を有している。上部第3変換機構831および下部第3変換機構832は、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822による前後方向の駆動力を、上部アーム71および下部アーム72を作動させる上下方向の駆動力に変換する機構である。本実施形態の上部第3変換機構831および下部第3変換機構832として、トグル機構を用いている。
【0110】
上部第3変換機構831および下部第3変換機構832は、上下対称の機構である。このため以下では主に上部第3変換機構831の機構について説明し、下部第3変換機構832については、上部第3変換機構831と同一機構には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0111】
上部第3変換機構831は、第1リンク833および第2リンク834を有している。第1リンク833および第2リンク834は、連結部835において回動可能に連結されている。第1リンク833の端部は、装置本体10に回動可能に支持されている。第2リンク834の端部は、上部アーム71の駆動入力部712に回動可能に接続されている。
【0112】
上部第2変換機構821の駆動連結部824によって伝達される前後方向の駆動力は、上部第3変換機構831によって上下方向の駆動力に変換される。また、下部第2変換機構822の駆動連結部824によって伝達される前後方向の駆動力も同様に、下部第3変換機構832によって上下方向の駆動力に変換される。なお、駆動連結部824の長さを調整することにより、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832の作動位置を調整することができ、これにより上部アーム71および下部アーム72の作動位置を調整することができる。
【0113】
以上の構成により、駆動変換機構80は、第1駆動部75から駆動軸78を介して入力された回転駆動力を上部アーム71および下部アーム72を作動させる駆動力に変換させ、上部アーム71の作動端部713および下部アーム72の作動端部723によって貫通加工部30および加締加工部40を作動させることが可能となる。
【0114】
図10は、ハトメ供給部90の第1供給部91および第2供給部92を示す斜視図である。
図11は、ハトメ供給部90の装填部93を示す斜視図である。
図10および
図11に示すように、ハトメ供給部90は、第1供給部91、第2供給部92、および装填部93を有している。第1供給部91および第2供給部92には、多数のハトメ雄体T2およびハトメ雌体T1が収容されている。装填部93は、第1供給部91および第2供給部92から供給されたハトメ雄体T2およびハトメ雌体T1を加締加工部40に装填する。
【0115】
図10に示すように、第1供給部91および第2供給部92は、振動によってハトメ雄体T2およびハトメ雌体T1を搬送するパーツフィーダである。第1供給部91および第2供給部92は、装置本体10の側面に配置されている(
図1参照)。第1供給部91には、ハトメ雄体T2が収容されており、装填部93を介してハトメ雄体T2を加締加工部40に供給する。第2供給部92には、ハトメ雌体T1が収容されており、装填部93を介してハトメ雌体T1を加締加工部40に供給する。
【0116】
第1供給部91は、ケース911、振動発生装置912、および供給通路913を有している。ケース911は有底円筒状であり、内部には螺旋状の通路が形成されている。振動発生装置912は、ケース911内の通路を振動させて通路上のハトメ雄体T2を供給通路913に向けて搬送する。供給通路913は、装填部93に接続されており、搬送されてきたハトメ雄体T2を装填部93に供給する。
【0117】
同様に、第2供給部92は、ケース921、振動発生装置922、および供給通路923を有している。振動発生装置922は、ケース921内の通路を振動させて通路上のハトメ雌体T1を供給通路923に向けて搬送する。供給通路923は、装填部93に接続されており、搬送されてきたハトメ雌体T1を装填部93に供給する。
【0118】
図11は、ハトメ供給部90の装填部93を示す斜視図である。装填部93は、上部装填部931、下部装填部932、および押出部933を有している。
【0119】
上部装填部931は、第1供給部91から供給されたハトメ雄体T2を保持するとともに、上部加締加工部41に対して装填する。
【0120】
下部装填部932は、第2供給部92から供給されたハトメ雌体T1を保持するとともに、下部加締加工部42に対して装填する。
【0121】
押出部933は、上部装填部931および下部装填部932に保持されたハトメ雌体T1およびハトメ雄体T2を押し出して上部加締加工部41および下部加締加工部42に対して装填する。押出部933は、上部プッシャ934、下部プッシャ935、連結可動部936、およびエアシリンダ937を有している。
【0122】
上部プッシャ934は、上部装填部931に対して前後方向に移動可能に設けられている。上部プッシャ934は、上部装填部931に保持されたハトメ雄体T2を押し出して上部加締加工部41に対して装填する。
【0123】
下部プッシャ935は、下部装填部932に対して前後方向に移動可能に設けられている。下部プッシャ935は、下部装填部932に保持されたハトメ雌体T1を押し出して下部加締加工部42に対して装填する。
【0124】
連結可動部936は、上部プッシャ934および下部プッシャ935を連結する部材である。上部プッシャ934および下部プッシャ935が連結可動部936によって連結されていることにより、上部プッシャ934および下部プッシャ935は同時に作動する。
【0125】
エアシリンダ937は、連結可動部936を前後方向に押動して、上部プッシャ934および下部プッシャ935を作動させる。エアシリンダ937は図示しないコンプレッサによって駆動されている。
【0126】
次に、本実施例に係るハトメ装着装置100の動作について説明する。
図12から
図16は、ハトメ装着装置100の移動部60と作動部70の動作を示す左側面図である。まず起動スイッチ21を操作してハトメ装着装置100を起動させる。操作パネル22において「手動」または「自動」を選択し、その選択に応じて手動スイッチ23またはフットスイッチ24を操作する。手動スイッチ23またはフットスイッチ24を操作することにより、ハトメ装着装置100によるハトメ装着作業の実行が開始される。ハトメ装着作業の実行が開始されると、図示しない制御部によって主に移動部60、作動部70、およびハトメ供給部90の駆動が制御されてハトメ装着作業が進行する。
【0127】
図12は、移動部60によって支持部50が第3姿勢PA3の位置に移動された状態を示している。第3姿勢PA3では、支持部50は、第1姿勢PA1および第2姿勢PA2よりも後方に位置している。ハトメ供給部90の装填部93(
図11参照)は、第3姿勢PA3の状態において、加締加工部40に対してハトメ雌体T1およびハトメ雄体T2を装填する。
【0128】
図12では、上部第1変換機構811の偏心カム813は、上死点に位置しており、下部第1変換機構812の偏心カム813は、下死点に位置している。この位置での上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢を初期姿勢PB1とする。
【0129】
上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢が初期姿勢PB1の状態においては、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822の駆動連結部824は、前方に移動した状態となっている。前方に移動した駆動連結部824は、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832のトグル機構を屈曲させている。このため、上部アーム71の作動端部713は、上部貫通加工部31および上部加締加工部41よりも上方に位置しており、下部アーム72の作動端部723は、下部貫通加工部32および下部加締加工部42よりも下方に位置している。
【0130】
図13は、移動部60によって支持部50が第1姿勢PA1の位置に移動された状態を示している。第1姿勢PA1は、貫通加工部30を加工対象物Wの加工位置WPに対向させる姿勢である。
【0131】
図13では、
図12と同様に、上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢は、初期姿勢PB1のままの状態を示している。このため、上部アーム71の作動端部713は、上部貫通加工部31および上部加締加工部41よりも上方に位置しており、下部アーム72の作動端部723は、下部貫通加工部32および下部加締加工部42よりも下方に位置している。
【0132】
図14は、支持部50が第1姿勢PA1の状態において、作動部70が貫通加工部30を作動させた状態を示している。
図14では、上部第1変換機構811の偏心カム813、および下部第1変換機構812の偏心カム813は、初期姿勢PB1から図示左回りに約1/4回転(約90度)した状態である。この位置での上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢を1/4回転姿勢PB2とする。
【0133】
上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢が1/4回転姿勢PB2の状態においては、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822の駆動連結部824は、初期姿勢PB1の状態よりも後方に移動した状態となっている。後方に移動した駆動連結部824は、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832のトグル機構を直線状に変形させている。このため、上部アーム71の作動端部713によって上部貫通加工部31が下方に向けて押動されると同時に、下部アーム72の作動端部723によって下部貫通加工部32が上方に向けて押動され、上部貫通加工部31および下部貫通加工部32の両先端部によって加工対象物Wの加工位置WPを打ち抜くことで貫通部(下穴)WNが形成される。
【0134】
図15は、移動部60によって支持部50が第2姿勢PA2の位置に移動された状態を示している。第2姿勢PA2は、加締加工部40を加工対象物Wの加工位置WP(貫通部WN)に対向させる姿勢である。
【0135】
また、
図15では、上部第1変換機構811の偏心カム813、および下部第1変換機構812の偏心カム813は、初期姿勢PB1から図示左回りに約2/4回転(約180度)した状態である。この位置での上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢を2/4回転姿勢PB3とする。
【0136】
上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢が2/4回転姿勢PB3の状態においては、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822の駆動連結部824は、1/4回転姿勢PB2の状態(
図14参照)よりもさらに後方に移動した状態となっている。後方に移動した駆動連結部824は、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832のトグル機構を
図12、
図13の状態とは逆方向に屈曲させている。このため、上部アーム71の作動端部713は、上部加締加工部41よりも上方に位置しており、下部アーム72の作動端部723は、下部加締加工部42よりも下方に位置している。
【0137】
図16は、支持部50が第2姿勢PA2の状態において、作動部70が加締加工部40を作動させた状態を示している。
図16では、上部第1変換機構811の偏心カム813、および下部第1変換機構812の偏心カム813は、初期姿勢PB1から図示左回りに約3/4回転(約270度)した状態である。この位置での上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢を3/4回転姿勢PB4とする。
【0138】
上部第1変換機構811および下部第1変換機構812の姿勢が3/4回転姿勢PB4の状態においては、上部第2変換機構821および下部第2変換機構822の駆動連結部824は、2/4回転姿勢PB3の状態よりも前方に移動した状態となっている。前方に移動した駆動連結部824は、上部第3変換機構831および下部第3変換機構832のトグル機構を直線状に変形させている。このため、上部アーム71の作動端部713によって上部加締加工部41が下方に向けて押動されると同時に、下部アーム72の作動端部723によって下部加締加工部42が上方に向けて押動され、上部加締加工部41および下部加締加工部42の両先端部によって加工対象物Wの貫通部WNにハトメTが装着される。
【0139】
ハトメTが装着された後、上部第1変換機構811の偏心カム813、および下部第1変換機構812の偏心カム813は、さらに図示左回りに回転し、
図12に示した初期姿勢PB1となる。また、移動部60によって支持部50は第3姿勢PA3の位置に移動され、ハトメ供給部90の装填部93は、加締加工部40に対して新たなハトメ雌体T1およびハトメ雄体T2を装填し、次のサイクルのハトメ装着作業が進行可能となる。
【0140】
図17は、ハトメ装着装置100の停止部95の動作を示す図である。停止部95は、検知体96、検知部97、および制御部(図示せず)から構成される。
【0141】
検知体96は、アクチュエータ961に取り付けられており、上下方向に移動可能である。アクチュエータ961は例えばエアシリンダである。アクチュエータ961は、貫通加工部30による貫通加工の実行中、および/または、加締加工部40による加締加工の実行中において、上部貫通加工部31が作動する前、および/または、上部加締加工部41が作動する前に、加工対象物Wの加工位置WP付近に向けて検知体96を下降させる。検知体96には挿通孔962が形成されており、挿通孔962を介して貫通加工部30による貫通加工および加締加工部40による加締加工が可能である。
【0142】
検知部97は、検知体96が所定高さまで下降したことを検知する。検知部97は例えば光学センサであり、検知信号は図示しない制御部に入力される。制御部は、検知部97が検知体96を検知した旨の検知信号が入力された場合は、貫通加工および/または加締加工を続行させる。また、制御部は、検知部97が検知体96を検知した旨の検知信号を受信しない場合は、実行中の貫通加工および/または加締加工を停止させる。例えば検知体96の下に異物が載置されたような場合、検知体96は所定の高さまで下降されない。このような場合に停止部95は、実行中の貫通加工および/または加締加工を停止させ、ハトメを装着する作業の安全性を向上させることができる。
【0143】
以上説明した本実施形態に係るハトメ装着装置100によれば、貫通加工部30および加締加工部40を作動させる作動部70は、上部アーム71および下部アーム72を有しており、上部アーム71および下部アーム72は、ともに後方から前方に向けて延びるように配置されている。
このため、上部アーム71および下部アーム72を共通の機構で作動させることが可能となり、上部の機構と下部の機構を簡素化できるとともに、上部の機構と下部の機構を適切なタイミングで協調させて作動させることができる。
また、上部アーム71および下部アーム72は、ともに後方から前方に向けて延びるように配置されており、上部アーム71および下部アーム72を配置する上下方向のスペースを削減できるため、ハトメ装着装置100の上下方向の寸法を抑制して小型化することができる。
【0144】
[変形例]
本発明に係るハトメ装着装置100は、上記説明した本実施形態に限定されない。例えば、上部アーム71および下部アーム72の形状は本実施形態のものに限定されない。
また、上部アーム71および下部アーム72を作動させる駆動変換機構80は、本実施形態の構成に限定されない。
【0145】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0146】
100 ハトメ装着装置
30 貫通加工部
31 上部貫通加工部
32 下部貫通加工部
40 加締加工部
41 上部加締加工部
42 下部加締加工部
50 支持部
60 移動部
70 作動部
71 上部作動体(上部アーム)
72 下部作動体(下部アーム)
PA1 第1姿勢
PA2 第2姿勢
PA3 第3姿勢
T ハトメ
T1 ハトメ雌体
T2 ハトメ雄体
W 加工対象物
W1 上面
W2 下面
WP 加工位置