(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】検査管理装置、検査管理方法、及び検査管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240328BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240328BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2020210681
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 翼
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-172428(JP,A)
【文献】特許第4543788(JP,B2)
【文献】特開2001-233412(JP,A)
【文献】特許第4792888(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/164305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部及び記憶部を備えた検査管理装置であって、
前記記憶部には、
得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタと、
検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタと、
が格納されており、
前記制御部は、
生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力手段と、
向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力手段と、
前記受注情報の向け先及び商品をキーとして、前記第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した前記第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定手段と、
を備えたことを特徴とする検査管理装置。
【請求項2】
前記追加検査判定手段は、追加検査が必要と判定した場合に、追加検査の検査依頼データを作成することを特徴とする請求項1に記載の検査管理装置。
【請求項3】
前記第2のマスタには、各検査項目について、規格及び注意事項が登録されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査管理装置。
【請求項4】
前記検査依頼データは、追加検査項目の規格及び注意事項を含むことを特徴とする請求項2に記載の検査管理装置。
【請求項5】
前記検査依頼データは、検査予定日及び検査納期を含むことを特徴とする請求項2又は4に記載の検査管理装置。
【請求項6】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行される検査管理方法であって、
前記記憶部には、
得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタと、
検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタと、
が格納されており、
前記制御部において実行される、
生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力工程と、
向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力工程と、
前記受注情報の向け先及び商品をキーとして、前記第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した前記第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定工程と、
を含むことを特徴とする検査管理方法。
【請求項7】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための検査管理プログラムであって、
前記記憶部には、
得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタと、
検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタと、
が格納されており、
前記制御部において、
生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力工程と、
向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力工程と、
受注の引当を行う際に、前記受注情報の向け先及び商品をキーとして、前記第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した前記第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定工程と、
をコンピュータに実行させるための検査管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査管理装置、検査管理方法、及び検査管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化学メーカーでは、製造した商品について、得意先と納入先の組み合わせである向け先別で検査する項目が異なる場合がある。この場合、特殊な検査項目に対して追加検査を行い、その内容を検査成績書にも記載をすることが義務付けられることがある。製品検査として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、得意先と納入先の組み合わせである向け先別の商品の検査業務を効率化することに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、得意先と納入先の組み合わせである向け先別の商品の検査業務を効率化することが可能な検査管理装置、検査管理方法、及び検査管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた検査管理装置であって、前記記憶部には、得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタと、検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタと、が格納されており、記制御部は、生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力手段と、向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力手段と、前記受注情報の向け先及び商品をキーとして、前記第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した前記第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記追加検査判定手段は、追加検査が必要と判定した場合に、追加検査の検査依頼データを作成することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記第2のマスタには、各検査項目について、規格及び注意事項が登録されていることにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記検査依頼データは、追加検査項目の規格及び注意事項を含むことにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記検査依頼データは、検査予定日及び検査納期を含むことにしてもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行される検査管理方法であって、前記記憶部には、得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタと、
検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタと、が格納されており、前記制御部において実行される、生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力工程と、向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力工程と、前記受注情報の向け先及び商品をキーとして、前記第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した前記第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための検査管理プログラムであって、前記記憶部には、
得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタと、検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタと、が格納されており、前記制御部において、生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力工程と、向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力工程と、前記受注情報の向け先及び商品をキーとして、前記第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した前記第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定工程と、をコンピュータに実行させるための検査管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、得意先と納入先の組み合わせである向け先別の商品の検査業務を効率化することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る検査管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る検査管理装置の制御部の全体の処理手順の一例を説明するためのフローを示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る検査管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る検査管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る検査管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る検査管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る検査管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る検査管理装置、検査管理方法、及び検査管理プログラムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
例えば、化学メーカーでは、製造した製品について、得意先と納入先の組み合わせである向け先別に検査する項目が異なる場合がある。特殊な検査項目に対して追加検査を行い、その内容を検査成績書にも記載をすることが義務付けられることがある。
【0017】
具体的には、例えば、向け先については、取引している得意先は同じでも、商品を納品する場所(納入先)が異なる場合があり、納入先毎に異なる検査項目を設定する場合がある。例えば、得意先が「○○商事」で、その納入先が「△△営業所」、「□□支店」、「××倉庫」等であり、各納入先で異なる検査項目が設定される場合がある。
【0018】
従来の一般的な検査業務の流れとしては以下の通りである。製造(計画生産)工程では、(1)生産計画に基づき製造を行う。(2)出来上がった製品に対して検査を行う。ここで、検査は社内で決められた検査項目で実施する。(3)製造倉庫にて在庫を保管する。
【0019】
出荷工程では、(1)取引先から注文をもらう。(2)製品に対して、必要であれば向け先別に追加検査を行う。向け先別に決められた検査項目で実施する。(3)検査後、出荷(検査成績書も同封)する。ここで、向け先別の検査情報を紙媒体(システム外)で管理していた。
【0020】
しかしながら、向け先別に追加検査の要否判断や検査内容の把握に時間を要するという課題があった。また、検査項目によっては時間がかかるものもあり、顧客希望納期での出荷ができないこともある。また、全て手作業で行っているため、検査漏れ等の作業ミス発生の蓋然性があった。
【0021】
そこで、本実施の形態では、向け先別の検査業務の作業効率を向上させるために、向け先別及び商品別に検査内容をマスタに保持し、注文を受けて在庫引当を行う際に、(1)
向け先別に追加検査の要否を判断する処理と、(2)追加検査が発生する場合に検査依頼処理(特殊な検査に対しても気づけるような注意点やコメントも分かるようにする)と、を自動で実行する。
【0022】
本実施の形態によれば、向け先別の検査業務に対しての作業効率が向上化し、顧客希望納期内での出荷を実現することが可能となる。また、手作業を減らすことにより、検査漏れ等のミスの可能性を抑えることが可能となる。また、適切な追加検査の指示を漏れなく発行することができ、検査指示のミスによる出荷後のクレームを防止することが可能となる。
【0023】
本発明は、生産した商品を検査する分野に広く適用可能であり、例えば、化学品(中間品と完成品を含む)、食品、化粧品、医薬品等の各種業界に適用可能である。
【0024】
以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0025】
[2.構成]
本実施形態に係る検査管理装置100の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、検査管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。以下では、検査対象の商品の一例として化学品を対象とした場合を一例として説明する。
【0026】
検査管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、検査管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0027】
検査管理装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。検査管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0028】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、検査管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、検査管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0029】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114のモニタに表示することや出力装置114のプリンタで印刷することを含む。また、モニタ114に表示される情報に対して入力装置112等でユーザが操作等をすることを、「UIを介したユーザ操作」と記載する場合がある。
【0030】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0031】
記憶部106は、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aと、検査パターンマスタ106bと、データファイル106cと、を備えている。
【0032】
得意先納入先商品別検査パターンマスタ(第1のマスタ)106aは、得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録するためのマスタである。得意先納入先商品別検査パターンマスタ(第1のマスタ)106aは、得意先、納入先、商品、検査パターン、検査時注意点、追加検査実施期間、検査から出荷までの期間である出荷リードタイム等のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(
図4参照)。
【0033】
検査パターンマスタ(第2のマスタ)106bは、検査パターン毎に、当該検査パターンを構成する複数の検査項目を登録するためのマスタである。検査パターンマスタ(第2のマスタ)106bは、検査パターン毎に、連番、検査項目コード、検査項目名、仕様書規格(検査の合格ラインを規定する規格値)、注意事項(追加検査の注意事項等)等のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(
図4参照)。
【0034】
データファイル106cは、検査実績データ、受注情報、検査依頼データ等の各種データを格納するためのファイルである。
【0035】
検査実績データは、生産した商品及びそのロット番号毎に、連番、検査項目コード、検査項目名、検査結果のデータを含んでいてもよい(
図5参照)。
【0036】
受注情報は、受注番号、得意先、納入先、出荷日、製品、ロット番号のデータを含んでいてもよい(
図5参照)。
【0037】
検査依頼データは、追加検査の依頼を行うためのデータであり、ヘッダ情報と明細情報で構成してもよい。ヘッダ情報は、検査指示番号、受注番号、製品、検査予定日(=出荷日-(追加検査実施期間+出荷リードタイム))、検査納期(=出荷日-出荷リードタイム)のデータを含んでいてもよい。明細情報は、検査連番、追加検査の検査項目コード、追加検査の検査項目名、仕様書規格(規格値)、注意事項(追加検査の注意事項)のデータを含んでいてもよい(
図6参照)。
【0038】
制御部102は、検査管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、検査実績入力部102aと、受注入力部102bと、追加検査判定部102cと、マスタメンテ部102dと、画面表示制御部102eとを備えている。
【0039】
検査実績入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、計画生産された商品毎に、社内で決められた各検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力して、データファイル106cに登録する。
【0040】
受注入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の入力画面上でのオペレータの操作に応じて、受注情報を入力して、データファイル106cに登録する。
【0041】
追加検査判定部102cは、例えば、受注の在庫引当を行う際に、受注情報の向け先及び商品をキーとして、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、検査パターンマスタ106bから検査項目を取得し、取得した検査パターンマスタ106bの検査項目と、当該製品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した検査パターンマスタ106bの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目である追加検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する。また、追加検査判定部102cは、追加検査が必要と判定した場合は、当該追加検査項目についての検査依頼データを作成して、データファイル106cに登録する。
【0042】
マスタメンテ部102dは、例えば、モニタ112に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a及び検査パターンマスタ106bに対するデータの入力・追加・変更等の編集を行うためのものである。
【0043】
画面表示制御部102eは、例えば、モニタ112に表示する各種画面(例えば、入力画面やマスタメンテ画面等)の表示及びその入力の受付を制御する。
【0044】
[3.具体例]
本実施の形態に係る検査管理装置100の処理の具体例について、
図1~
図7を参照して説明する。
図2は、本実施の形態に係る検査管理装置100の制御部102の全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。
図3~
図7は、本実施の形態に係る検査管理装置100の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【0045】
図2を参照して、本実施の形態に係る検査管理装置100の制御部102の全体の処理の流れを説明する。
図2において、マスタメンテ部102dは、マスタメンテ処理を実行する(ステップS1)。具体的には、マスタメンテ処理では、マスタメンテ部102dは、例えば、モニタ112に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a及び検査パターンマスタ106bに対してデータを設定する。
【0046】
検査実績入力部102aは、検査実績入力処理を実行する(ステップS2)。具体的には、検査実績入力処理では、検査実績入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、計画生産された商品毎に、社内で決められた各検査項目(標準検査項目)の検査結果を含む検査実績データを入力して、データファイル106cに登録する。
【0047】
受注入力部102bは、受注入力処理を実行する(ステップS3)。具体的には、受注入力処理では、受注入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の入力画面上でのオペレータの操作に応じて、受注情報を入力して、データファイル106cに登録する。
【0048】
追加検査判定部102cは、追加検査判定処理を実行する(ステップS4)。具体的には、追加検査判定処理では、追加検査判定部102cは、受注の引当を行う際に、受注情報の向け先及び商品をキーとして、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、検査パターンマスタ106bから検査項目を取得し、取得した検査パターンマスタ106bの検査項目と、当該製品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した検査パターンマスタ106bの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目である追加検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する。追加検査判定部102cは、追加検査が必要と判定した場合は、受注情報、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a、及び検査パターンマスタ106bに基づいて、当該追加検査項目についての検査依頼データを作成して、データファイル106cに登録する。
【0049】
つぎに、
図3~
図7を参照して、本実施の形態に係る検査管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0050】
(マスタメンテ処理)
マスタメンテ部102dは、例えば、モニタ112に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a及び検査パターンマスタ106bに対してデータを設定する。
図3は、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a及び検査パターンマスタ106bを説明するための図である。
図4は、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a及び検査パターンマスタ106bのデータ設定例を示す図である。
【0051】
図3において、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aには、向け先(得意先、納入先)別・商品別に、「対象となる検査パターン」を登録する。また、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aには、検査時の注意点、追加検査完了の目安である追加検査実施期間、出荷リードタイム等の情報を登録する。検査パターンマスタ106bには、検査パターン毎に複数の検査項目の組み合わせを登録する。得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aと検査パターンマスタ106bは、検査パターン(コード)で紐付けされている。
図4(A)に示す得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aと、
図4(B)に示す検査パターンマスタ106bは、検査パターン「A-P-X001」で紐付けされている。向け先(得意先、納入先)別・商品別に、検査パターンを設定することで、向け先(得意先、納入先)別・商品別に追加検査項目を設定することができる。
【0052】
(追加検査判定処理)
追加検査判定部102cは、受注の引当を行う際に、受注情報の向け先及び商品をキーとして、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、検査パターンマスタ106bから検査項目を取得し、取得した検査パターンマスタ106bの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した検査パターンマスタ106bの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目である追加検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する。
図5及び
図6は、追加検査が必要な場合(パターン1)の例を説明するための図である。
図7は、追加検査が必要でない場合(パターン2)の例を説明するための図である。
【0053】
(パターン1:追加検査が必要な場合)
図5及び
図6を参照して、追加検査が必要な場合(パターン1)を説明する。
図5(A)に示す検査実績データの例では、商品「製品X」及びロット番号「20201001-1」について、1行目は、連番「1」、検査項目コード「KE001」、検査項目名「性状」、検査結果「問題なし」、2行目は、連番「2」、検査項目コード「KE002」、検査項目名「確認試験(1)」、検査結果「問題なし」、3行目は、連番「3」、検査項目コード「KE003」、検査項目名「確認試験(2)」、検査結果「問題なし」、4行目は、連番「4」、検査項目コード「KE004」、検査項目名「融点」、検査結果「133.4」、5行目は、連番「5」、検査項目コード「KE005」、検査項目名「溶状」、検査結果「問題なし」、6行目は、連番「6」、検査項目コード「KE006」、検査項目名「ヒ素(as As)」、検査結果「0.0023」となっている。
【0054】
図5(B)に示す受注情報の例では、受注番号「JUCHUU000001」、得意先「A商事」、納入先「P倉庫」、出荷日「2020/10/30」、商品「製品X」、ロット番号「20201001-1」となっている。
【0055】
図5(B)に示す検査パターンマスタ106bの例では、検査パターン「A-P-X001」について、1行目は、連番「1」、検査項目コード「KE001」、検査項目名「性状」、仕様書規格(規格値)「白色結晶」、2行目は、連番「2」、検査項目コード「KE002」、検査項目名「確認試験(1)」、仕様書規格(規格値)「液は、赤色を呈する」、3行目は、連番「3」、検査項目コード「KE003」、検査項目名「確認試験(2)」、仕様書規格(規格値)「液は、紫外線下で淡青色の蛍光を発する」、4行目は、連番「4」、検査項目コード「KE004」、検査項目名「融点」、仕様書規格(規格値)「127~132℃」となっている。
【0056】
5行目は、連番「5」、検査項目コード「KE005」、検査項目名「溶状」、仕様書規格(規格値)「澄明」、6行目は、連番「6」、検査項目コード「KE006」、検査項目名「ヒ素(as As)」、仕様書規格(規格値)「0.004以下」、7行目は、連番「7」、検査項目コード「KE007」、検査項目名「易酸化物」、仕様書規格(規格値)「2μg/g以下」、注意事項「〇〇優先、順番注意」、8行目は、連番「8」、検査項目コード「KE008」、検査項目名「強熱残分」、仕様書規格(規格値)「0.1%以下」、注意事項「追加検査、出荷2日前に実施」となっている。
【0057】
追加検査判定部102cは、受注の在庫引当を行う際に、受注情報の向け先(得意先「A商事」、納入先「P倉庫」)及び商品「製品X」をキーとして、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aから検査パターン「A-P-X001」を取得し、取得した検査パターン「A-P-X001」をキーとして、検査パターンマスタ106bから検査項目「KE001」~「KE008」を取得し、取得した検査パターンマスタ106bの検査項目「KE001」~「KE008」と、当該商品についての検査実績データの検査項目「KE001」~「KE006」と、を比較して、検査実績データの検査項目に存在しない追加検査項目「KE007」及び「KE008」があるので、追加検査が必要であると判定する。
【0058】
追加検査判定部102cは、受注情報、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a、及び検査パターンマスタ106bに基づいて、追加検査項目「KE007」及び「KE008」についての検査依頼データを作成する。
図6(E)は、作成した検査依頼データの一例を示す図である。
【0059】
図6(E)に示す検査依頼データの例では、ヘッダ情報は、検査指示番号「KS0000000001」、受注番号「JUCHUU000001」、商品「製品X」、検査予定日「2020/10/27」、検査納期「2020/10/29」となっている。明細情報は、1行目は、検査連番「1」、検査項目コード「KE007」、検査項目名「易酸化物」、仕様書規格(規格値)「2μg/g以下」、注意事項「〇〇優先、順番注意」、2行目は、検査連番「2」、検査項目コード「KE008」、検査項目名「強熱残分」、仕様書規格(規格値)「0.1%以下」、注意事項「追加検査、出荷2日前に実施」となっている。
【0060】
「検査予定日」は、出荷日より追加検査実施期間と出荷リードタイムを足した日付分を考慮し、例えば、検査予定日=出荷日-(追加検査実施期間+出荷リードタイム)とすることができる。
図6(E)に示す例では、検査予定日「2020/10/27」=出荷日「2020/10/30」-(追加検査実施期間「2日」+出荷リードタイム「1日」)となる。
【0061】
「検査納期」は、出荷日より出荷リードタイムを足した日付分を考慮して、例えば、検査納期=出荷日-出荷リードタイムとすることができる。
図6(E)に示す例では、検査納期「2020/10/29」=出荷日「2020/10/30」-出荷リードタイム「1日」となる。
【0062】
(パターン2:追加検査が不要な場合)
図7を参照して、追加検査が不要な場合(パターン2)を説明する。
図7(A)は検査実績データの例を示しており、
図5(A)と同様である。
図7(B)は受注情報の例を示しており、
図5(B)と同様である。
図7(C)は得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aの例を示しており、
図5(C)と同様である。
【0063】
図7(D)は、検査パターンマスタ106bの例を示しており、
図5(D)の検査パターンマスタ106bの例において、6行目~8行目の連番「6」、検査項目コード「KE006」~連番「8」、検査項目コード「KE008」がないものとなっている。
【0064】
追加検査判定部102cは、受注情報の向け先(得意先「A商事」、納入先「P倉庫」)及び商品「製品X」をキーとして、得意先納入先商品別検査パターンマスタ106aから検査パターン「A-P-X001」を取得し、取得した検査パターン「A-P-X001」をキーとして、検査パターンマスタ106bから検査項目「KE001」~「KE005」を取得し、当該商品についての検査実績データの検査項目「KE001」~「KE006」と比較して、検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がないので追加検査が不要であると判定する。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、得意先と納入先の組み合わせである向け先毎及び商品毎に、検査パターンを登録した第1のマスタ(得意先納入先商品別検査パターンマスタ106a)と、検査パターン毎に、複数の検査項目を登録した第2のマスタ(検査パターンマスタ106b)と、生産した商品毎に、所定の検査項目の検査結果を含む検査実績データを入力する検査実績入力部102aと、向け先及び商品を含む受注情報を入力する受注入力部102bと、受注の在庫引当を行う際に、受注情報の向け先及び商品をキーとして、第1のマスタから検査パターンを取得し、取得した検査パターンをキーとして、前記第2のマスタから検査項目を取得し、取得した第2のマスタの検査項目と、当該商品についての検査実績データの検査項目とを比較して、当該取得した前記第2のマスタの検査項目のうち、当該検査実績データの検査項目に存在しない検査項目がある場合には、追加検査が必要と判定する追加検査判定部102cと、を備えているので、得意先と納入先の組み合わせである向け先別の商品の検査業務を効率化することが可能になる。
【0066】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0069】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の規格内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0070】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0071】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0072】
また、検査管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0073】
例えば、検査管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて検査管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0074】
また、このコンピュータプログラムは、検査管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0075】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0076】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0077】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0078】
また、検査管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、検査管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0079】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 検査管理装置
102 制御部
102a 検査実績入力部
102b 受注入力部
102c 追加検査判定部
102d マスタメンテ部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 得意先納入先商品別検査パターンマスタ
106b 検査パターンマスタ
106c データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク