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特許7461886標的遺伝子の発現を抑制するためのジチオリン酸結合を含む核酸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】標的遺伝子の発現を抑制するためのジチオリン酸結合を含む核酸
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240328BHJP
   C07H 21/00 20060101ALI20240328BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240328BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C07H21/00
A61K31/7125
A61K48/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020544149
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018081101
(87)【国際公開番号】W WO2019092280
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】17201408.6
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】1800679.1
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】18165913.7
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505047256
【氏名又は名称】サイレンス・セラピューティクス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベスゲ,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ハウプトマン,ジューディス
(72)【発明者】
【氏名】フラウエンドルフ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインガートナー,エイドリエン
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-525169(JP,A)
【文献】特表2015-518721(JP,A)
【文献】国際公開第2017/174657(WO,A1)
【文献】特表2017-525705(JP,A)
【文献】PNAS, 2014 Jun 10, vol. 111, no. 23, pp. 8661-8666
【文献】Bioorg Med Chem Lett, 2015 Aug 8, vol. 25, no. 19, pp. 4127-4130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部および前記第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの17~25ヌクレオチド長の二重鎖領域を含み、前記第2の鎖が、17~35ヌクレオチド長であり、前記第1の鎖が、17~35ヌクレオチド長であって、かつ前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含み、
前記核酸は、
(a)前記第2の鎖の3’末端で2個の末端ヌクレオチド間のみにジチオリン酸結合を含むか、
(b)前記第1の鎖の3’末端および前記第2の鎖の3’末端で2個の末端ヌクレオチド間のみにジチオリン酸結合を含むか、または
(c)前記第1の鎖の3’末端、前記第2の鎖の3’末端、および前記第2の鎖の5’末端で2個の末端ヌクレオチド間のみにジチオリン酸結合を含み、かつ
前記第1の鎖が、5’末端での2、3または4個の末端ヌクレオチドの間のジチオリン酸以外のヌクレオシド間結合を含む、核酸。
【請求項2】
式(I):
[S-X-P-X-A-X- (I)
の化合物を含むリガンドに結合され、式中、
Sは、サッカライドであり;
は、C-Cアルキレンまたは(-CH-CH-O)(-CH-であり、mは1、2、または3であり;
Pは、リン酸または修飾リン酸であり;
は、式(-CH-O-CH-のアルキレンまたはアルキレンエーテルであり、n=1~6であり;
Aは、分岐ユニットであり、
は、架橋ユニットであり;
リン酸または修飾リン酸を介してXに結合される、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記サッカライドはN-アセチルガラクトサミンである、請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
リガンドに結合され、前記第1のRNA鎖が、式(XV):
【化1】

の化合物であり、式中、bは、0または1であり;かつ
第2のRNA鎖が、式(XVI):
【化2】
の化合物であり、式中、cおよびdは、独立に0または1であり;
式中、
およびZは、それぞれ前記第1および第2のRNA鎖のRNA部分であり;
Yは、OまたはSであり;
は、Hまたはメチルであり;
nは、0、1、2または3であり;かつ
Lは、式(XV)および(XVI)で同じまたは異なり、かつ
-(CH-、q=2~12;
-(CH-C(O)-、r=2~12;
-(CH-CH-O)-CH-C(O)-、s=1~5;
-(CH-CO-NH-(CH-NH-C(O)-、tは独立に1~5である;
-(CH-CO-NH-(CH-C(O)-、uは独立に1~5である;および
-(CH-NH-C(O)-、vは2~12である;
からなる群より選択され;
前記末端C(O)は、存在する場合、前記NH基に結合され;かつ
b+c+dは、2または3である、請求項1に記載の核酸。
【請求項5】
前記第1のRNA鎖が、その5’末端で末端5’(E)ビニルホスホネートヌクレオチドを有る、請求項1~のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項6】
前記末端5’(E)ビニルホスホネートヌクレオチドが、リン酸ジエステル結合により前記第1の鎖中の前記第2のヌクレオチドに結合されている、請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
前記第1および/または第2の鎖上の1個または複数のヌクレオチドが、修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成する、請求項1~のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項8】
前記修飾が、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチドまたは非天然塩基含有ヌクレオチドのうちのいずれか1つである、請求項に記載の核酸。
【請求項9】
前記第1の鎖のヌクレオチドが、奇数ヌクレオチド上で第1の修飾により修飾され、かつ偶数ヌクレオチド上で第2の修飾により修飾され、および前記第2の鎖のヌクレオチドが、奇数ヌクレオチド上で第2の修飾により修飾されかつ偶数ヌクレオチド上で前記第1の修飾により修飾され、前記第1の鎖が、5’から3’へ番号を付され、最も5’側のヌクレオチドが前記第1の鎖の番号1であり、かつ前記第2の鎖が、3’から5’へ番号を付され、最も3’側のヌクレオチドが前記第2の鎖の番号1である、請求項に記載の核酸。
【請求項10】
(i)前記第1の修飾が2’OMeである、(ii)前記第2の修飾が2’フルオロである、かつ/または(iii)前記核酸は両末端で平滑末端である、請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
前記第1の鎖の5’末端から位置2および14でのヌクレオチドが、2’フルオロ修飾により修飾され、および前記第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する前記第2の鎖上のヌクレオチドが、2’フルオロ修飾により修飾されている、請求項に記載の核酸。
【請求項12】
残りのヌクレオチドが、2’OMe修飾により修飾されている、請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
前記第1の鎖の3’末端での前記2つの末端ヌクレオチド間の結合以外の両鎖の前記ヌクレオチド間の結合および前記第2の鎖の3’末端でのおよび5’末端での2つの末端ヌクレオチド間の結合の全てが、非置換リン酸結合である、請求項1~のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項14】
治療において使用するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の核酸および送達ビークルおよび/または生理学的に許容可能な賦形剤および/または担体および/または希釈剤および/または緩衝液および/または保存剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の核酸を含みかつ送達ビークルおよび/または生理学的に許容可能な賦形剤および/または担体および/または希釈剤をさらに含む医薬組成物。
【請求項16】
前記送達ビークルがリポソームである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
疾患、障害または症候群の予防または治療において使用するための、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
下、静脈内、経口、直腸または腹腔内投与するための、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成物および組成物およびそれらの使用に関する。特に、本発明は、標的遺伝子発現を妨げる、または標的遺伝子発現を抑制する核酸産物およびこのような産物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発現したmRNAに相補的に結合できる二本鎖RNA(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)と呼ばれている機序により遺伝子発現を阻止できることが示されている(Fire et al,1998およびElbashir et al,2001)。短いdsRNAは、脊椎動物を含む多くの生物において遺伝子特異的、転写後サイレンシングを誘導し、遺伝子機能を研究するための有用なツールとなってきた。RNAiは、配列特異的多成分ヌクレアーゼであるRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれたサイレンシングトリガーに相同なメッセンジャーRNAを破壊するRISC複合体により媒介される。siRNA、アンチセンスRNA、およびミクロRNAなどの干渉RNA(iRNA)は、遺伝子サイレンシング、すなわち、mRNA分子の分解によりタンパク質の遺伝子翻訳を抑制することにより、タンパク質の形成を妨げるオリゴヌクレオチドである。遺伝子サイレンシング剤は、医学における治療用途のためにますます重要になってきている。
【0003】
WattsおよびCorey、Journal of Pathology(2012;Vol 226,p365-379)によると、核酸の設計に使用できるアルゴリズムは存在するが、完全なものは存在しない。アルゴリズムがRNA結合タンパク質の三次構造またはその関与などの因子を考慮していないために、効力の高いsiRNAを特定するために、様々な実験方法を採用し得る。従って、最小のオフターゲット効果を有する効力の高い核酸を見つけることは、複雑なプロセスになる。これらの高度荷電分子の医薬品開発のために、それらが経済的に合成され、標的組織に送達され、細胞に入り、毒性の許容可能な制限内で機能できることが必要である。
【0004】
しかし、一方で効力および標的特異性を維持しながら、細胞ヌクレアーゼによる分解を回避してRNAなどの核酸を細胞へ送達することは、治療的使用のための核酸分子の開発の分野の研究者にとって難易度が高いことが明らかになった。
【0005】
従って、オリゴヌクレオチド、特に二本鎖核酸siRNAの効率的インビボ送達手段はますます重要になっており、特異的標的化および細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的な保護が必要である。特異的標的化を達成する1つの方法は、ターゲティング部分をiRNA二本鎖薬剤に結合させることである。ターゲティング部分は、iRNA二本鎖薬剤を所定の標的部位に標的化するのを支援し、エンドサイトーシスによりなどの、細胞により取り込まれるべき結合された分子のための目的の受容体部位に対する適切なターゲティング部分を設計する必要がある。
【0006】
しかし、これまでに開発された標的化リガンドは、必ずしもインビボ環境に通用するとは限らず、オリゴヌクレオチド治療薬、核酸および二本鎖siRNAのインビボ送達のための、より効果的な、受容体特異的リガンド結合iRNA二本鎖薬剤およびそれらの作製方法の必要性が明らかである。
【0007】
本発明は、送達システムのみではなく、核酸それ自体の構造に対処する。意外にも、本発明による核酸が高い安定性を有し、それが細胞中に入る前の核酸の分解を防止することが明らかになった。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸を提供し、核酸は、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、前記第1の鎖が上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、上記第1および/または第2の鎖が少なくとも2個のヌクレオチドの間にジチオリン酸結合を含む。第1の鎖は、5’末端の2、3または4個の末端ヌクレオチドのいずれかの間にジチオリン酸結合を含み得ない。
【0009】
第1および/または第2の鎖は、少なくとも2個の末端3’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含み得、および/または第2の鎖は、少なくとも2個の末端5’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含み得る。
【0010】
核酸は、第1の鎖の3’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間のジチオリン酸結合を含み得る。核酸は、第2の鎖の3’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間のジチオリン酸結合を含み得る。核酸は、第2の鎖の5’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエートまたはジチオリン酸結合を含み得る。
【0011】
本発明の核酸はまた、その末端でホスホロチオエート結合がない場合、第1の鎖上の3個の末端3’ヌクレオチドのそれぞれの間および/または3個の末端5’ヌクレオチドのそれぞれの間に、および/または第2の鎖の3個の末端3’ヌクレオチドのそれぞれの間および/または3個の末端5’ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエート結合を含む。
【0012】
核酸の第1の鎖および第2の鎖は、別々の鎖であり得る。核酸は、第1の鎖および第2の鎖を含む一本鎖を含み得る。
【0013】
第1の鎖および/または前記第2の鎖はそれぞれ、17~35個のヌクレオチド長であり、少なくとも1つの二重鎖領域は、17~25個のヌクレオチド塩基対からなり得る。
【0014】
核酸は、a)両端で平滑末端であり得る;b)一端でオーバーハングを有し、他端で平滑末端を有し得る;またはc)両端でオーバーハングを有し得る。
【0015】
第1および/または第2の鎖上の1個または複数のヌクレオチドが修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成し得る。第1の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドが修飾され得る。第1の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドが少なくとも第2の修飾により修飾され得、少なくとも第2の修飾は、1個または複数の奇数のヌクレオチド上の修飾とは異なる。1個または複数の修飾偶数ヌクレオチドの内の少なくとも1個は、1個または複数の修飾奇数ヌクレオチドの少なくとも1個に隣接し得る。
【0016】
本発明の核酸では、複数の奇数ヌクレオチドが修飾され得る。複数の偶数ヌクレオチドが第2の修飾により修飾され得る。第1の鎖は、共通の修飾により修飾された隣接するヌクレオチドを含み得る。第1の鎖は、第2の異なる修飾により修飾された隣接するヌクレオチドも含み得る。
【0017】
第2の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドは、第1の鎖の奇数ヌクレオチド上の修飾とは異なる修飾により修飾され得る、および/または第2の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドは、第1の鎖の奇数ヌクレオチド上の同じ修飾により修飾され得る。第2の鎖の1個または複数の修飾偶数ヌクレオチドの内の少なくとも1個は、1個または複数の修飾奇数ヌクレオチドに隣接し得る。第2の鎖の複数の奇数ヌクレオチドは、共通の修飾により修飾され得る、および/または複数の偶数ヌクレオチドは、第1の鎖の奇数ヌクレオチド上に存在する同じ修飾により修飾され得る。複数の奇数ヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得、第2の修飾は、第1の鎖の奇数ヌクレオチド上の修飾とは異なる。
【0018】
第2の鎖は、共通の修飾により修飾された隣接するヌクレオチドを含み得、これは、第1の鎖の奇数ヌクレオチド上の修飾とは異なる第2の修飾であり得る。
【0019】
本発明の核酸では、第1の鎖中のそれぞれの奇数ヌクレオチドおよび第2の鎖中のそれぞれの偶数ヌクレオチドは、共通の修飾により修飾され得、それぞれの偶数ヌクレオチドは、第2の修飾を有する第1の鎖中で修飾され得、それぞれの奇数ヌクレオチドは、第2の修飾を有する第2の鎖中で修飾され得る。
【0020】
本発明の核酸は、第2の鎖の非修飾または異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1個のヌクレオチドだけシフトされた第1の鎖の修飾ヌクレオチドを有し得る。
【0021】
第1の鎖は配列番号1の配列を含み得、および/または第2の鎖は配列番号2の配列を含み得る。
【0022】
修飾(単数または複数)はそれぞれ独立に、3’-末端デオキシチミン、2’-O-メチル、2’-デオキシ修飾、2’-アミノ修飾、2’-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホラミデート修飾、5’-ホスホロチオエート基修飾、5’-リン酸または5’-リン酸模倣物修飾およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群より選択され得、および/または修飾ヌクレオチドは、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチドまたは非天然塩基含有ヌクレオチドのいずれか1個であり得る。少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチルであり得、および/または少なくとも1つの修飾は2’-Fであり得る。
【0023】
本発明の核酸は、リガンドと結合され得る。
【0024】
本発明の核酸は、同じまたは異なる末端または鎖でのホスホロチオエート結合に加えて、第1および/または第2の鎖の末端の1、2または3個の3’ヌクレオチド間および/または5’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含み得る。
【0025】
本発明は、第2の態様として、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸を提供し、核酸は、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、上記第1および/または第2の鎖が少なくとも2個の末端3’ヌクレオチドの間のジチオリン酸結合を含みおよび/または第2の鎖が少なくとも2個の末端5’ヌクレオチドの間のジチオリン酸結合を含み、核酸分子がリガンドに結合される。
【0026】
従って、本発明で使用するためのリガンドは、(i)1個または複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分およびその誘導体、および(ii)リンカーを含み得、リンカーは、GalNAc部分を前出のいずれかの態様で定義の配列に結合する。リンカーは、二価または三価または四価の分岐構造体であり得る。ヌクレオチドは、本明細書で定義のように修飾され得る。
リガンドは、式I:
[S-X-P-X-A-X- (I)
を含み、式中:
Sはサッカライドであり、サッカライドはN-アセチルガラクトサミンであり;
は、C-Cアルキレンまたは(-CH-CH-O)(-CH-であり、mは1、2、または3であり;
Pは、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)であり;
は、式(-CH-O-CH-のアルキレンまたはアルキレンエーテルであり、n=1~6であり;
Aは、分岐ユニットであり、
は、架橋ユニットであり;
本発明による核酸は、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)を介してXに結合される。
【0027】
従って、本発明は、次記の内の1つの構造を有する複合化核酸をさらに提供する。
【化1】
式中、Zは、本明細書で定義の核酸である。
【0028】
リガンドは、下記を含み得る。
【化2】
【0029】
本発明はまた、本明細書で定義の核酸または複合化核酸および1種または複数の生理学的に許容可能な賦形剤を含む組成物も提供する。
賦形剤は下記であり得る。
i)カチオン性脂質、または薬学的に許容可能なその塩;
ii)ステロイド;
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質;
iv)ペグ化脂質。
【0030】
組成物中のカチオン性脂質成分の含量は、脂質配合物の全脂質含量の約55mol%~約65mol%、好ましくは脂質組成物の全脂質含量の約59mol%であり得る。
組成物は;
次の構造を有するカチオン性脂質;
【化3】

次の構造を有するステロイド;
【化4】



次の構造を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質;
【化5】
および次の構造を有するペグ化脂質;
【化6】
を含み得る。
【0031】
疾患または障害の治療または予防、および/または疾患または障害の治療または予防のための薬物の製造に使用するための本発明のいずれかの態様による核酸または複合化核酸も提供される。
【0032】
本発明は、疾患または障害の治療または予防方法を提供し、方法は、本発明のいずれかの態様による核酸または複合化核酸を含む組成物を、治療を必要としている個体に投与することを含む。核酸または複合化核酸は、皮下に、静脈内にまたは経口、直腸または腹腔内などの任意の他の適用経路を用いて投与され得る。
【0033】
本発明による核酸または複合化核酸の作製方法も同様に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、発現した標的遺伝子のRNA転写物に向けられた二本鎖核酸、およびその組成物に関する。これらの核酸は、標的遺伝子産物発現の低減が望ましい種々の疾患および障害の治療に使用できる。
【0035】
本発明の第1の態様は、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸に関し、核酸は、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が抑制されるべき上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、上記第1および/または第2の鎖が少なくとも2個のヌクレオチドの間にジチオリン酸結合を含む。
【0036】
任意選択で、第1および/または第2の鎖は、少なくとも2個の末端3’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含み得、および/または第2の鎖は、少なくとも2個の末端5’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含み得る。
【0037】
任意選択で、第1の鎖は、5’末端での2、3または4個の末端ヌクレオチドのいずれかの間のジチオリン酸を含まず、換言すれば、それは、5’末端での2、3または4個の末端ヌクレオチドのいずれかの間のジチオリン酸結合以外の結合を含む。
【0038】
関連の態様は、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸であり、核酸は、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部と少なくとも部分的に相補的であり、核酸が第1の鎖の3’末端での2個の末端ヌクレオチド間にジチオリン酸結合を含み、核酸が第2の鎖の2つの3’末端での末端ヌクレオチド間および5’末端での2個の末端ヌクレオチド間にジチオリン酸結合を含み、第1の鎖が2、3または4個の5’末端での末端ヌクレオチド間のジチオリン酸以外の結合を含む。好ましくは、ジチオリン酸以外のこの結合は、リン酸またはホスホロチオエートであり、より好ましくは、(非置換)リン酸である。好ましくは、第1の鎖の3’末端での2個の末端ヌクレオチド間の結合および第2の鎖の3’末端および5’末端での2個の末端ヌクレオチド間の結合以外の両鎖のヌクレオチド間の全ての結合は、非置換リン酸結合である。
【0039】
核酸とは、ヌクレオチドを含む2つの鎖を含み、遺伝子発現を妨げることができる核酸を意味する。抑制は、完全でも、または部分的でもよく、標的化方式で遺伝子発現の下方調節をもたらす。核酸は、2つの別々のポリヌクレオチド鎖を含み、第1の鎖はガイド鎖でもあり、第2の鎖はパッセンジャー鎖でもあり得る。第1の鎖および第2の鎖は、自己相補的である同じポリヌクレオチド分子の一部であり折り重なって二本鎖分子を形成し得る。核酸はsiRNA分子であり得る。
【0040】
核酸は、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはヌクレオチド類似体を含み得る。核酸は、二本鎖核酸部分または第1の鎖(当該技術分野においてガイド鎖としても既知である)の全部または一部および第2の鎖(当該技術分野においてパッセンジャー鎖としても既知である)の全部または一部により形成された二重鎖領域をさらに含む。二重鎖領域は、第1の鎖と第2の鎖との間で形成された最初の塩基対で始まり、第1の鎖と第2の鎖との間で形成された最後の塩基対で終わるもの(両端含む)として定義される。
【0041】
二重鎖領域とは、ワトソン・クリック塩基対形成、または相補的なまたは実質的に相補的なオリゴヌクレオチド鎖間で二本鎖の形成を可能にする任意の他の方式により相互に塩基対を形成する2つの相補的なまたは実質的に相補的なオリゴヌクレオチドにおける領域を意味する。例えば、21個のヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド鎖は、21個のヌクレオチド単位の別のオリゴヌクレオチドと塩基対を形成でき、しかも、各鎖の19個のヌクレオチドのみが相補的または実質的に相補的であり、そのため、「二重鎖領域」は19個の塩基対からなる。残りの塩基対は、5’および3’オーバーハングとして、または一本鎖領域として存在し得る。さらに、二重鎖領域内で、100%相補性は必要でなく、二重鎖領域内で実質的相補性が許容可能である。実質的相補性は、生物学的条件下でアニーリングできるような鎖間での相補性を意味する。2つの鎖が生物学的条件下でアニーリング可能かどうかを実験的に判定する技術は、当該技術分野において周知である。あるいは、2つの鎖を合成し、生物学的条件下で一緒に添加して、それらが相互にアニールするかどうかを判定することができる。
【0042】
少なくとも1つの二重鎖領域を形成する第1の鎖および第2の鎖の一部は、完全に相補的であり得、および少なくとも部分的に相互に相補的である。
【0043】
核酸の長さによっては、第1の鎖と第2の鎖との間の塩基相補性の観点からの完全一致は必ずしも必要ない。しかし、第1と第2の鎖は、生理的状態下でハイブリダイズできなければならない。
【0044】
少なくとも1つの二重鎖領域における第1の鎖と第2の鎖との間の相補性は、両方の鎖でヌクレオチドミスマッチまたは付加/欠失ヌクレオチドが存在しないという点で、完全であり得る。あるいは、相補性は完全でなくてもよい。相補性は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%であり得る。
【0045】
第1の鎖および第2の鎖は、それぞれ、少なくとも15個の近接ヌクレオチドを含む相補性領域を含み得る。
【0046】
核酸は、第1の鎖の全てまたは一部と標的核酸の一部との間で二重鎖領域の形成を含む。第1の鎖と標的配列との間で形成された最初の塩基対で始まり、第1の鎖と標的配列との間で形成された最後の塩基対で終わるもの(両端含む)として定義される第1の鎖と二重鎖領域を形成する標的核酸の一部は、標的核酸配列、すなわち単純に、標的配列である。第1の鎖と第2の鎖との間で形成された二重鎖領域は、第1の鎖と標的配列との間で形成された二重鎖領域と同じである必要はない。すなわち、第2の鎖は、標的配列とは異なる配列を有し得る;しかし、第1の鎖は、第2の鎖および標的配列の両方と二本鎖構造を形成できる必要がある。
【0047】
第1の鎖と標的配列との間の相補性は、完全であり得る(両方の核酸のヌクレオチドミスマッチまたは付加/欠失ヌクレオチドがない)。
【0048】
第1の鎖と標的配列との間の相補性は、完全でなくてもよい。相補性は、約70%~約100%であり得る。より具体的には、相補性は、少なくとも70%、80%、85%、90%または95%、またはこれらの中間値であり得る。
【0049】
第1の鎖と標的配列の相補的配列との間の同一性は、約75%~約100%である。より具体的には、核酸が標的遺伝子の発現を低減または抑制できる限りにおいて、相補性は、少なくとも75%、80%、85%、90%または95%、またはこれらの中間値であり得る。
【0050】
第1の鎖と標的配列との間の100%未満の相補性を有する核酸は、第1の鎖と標的配列との間で完全な相補性を有する核酸と同じレベルに標的遺伝子の発現を低減できる可能性がある。あるいは、それは、標的遺伝子の発現を、完全な相補性を有する核酸により達成される発現レベルの20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のレベルまで低減できる可能性がある。
【0051】
さらなる態様では、本明細書に記載の核酸は、核酸であってもよい抑制剤の非存在下で観察されるレベルに比べて、細胞中の標的遺伝子発現を少なくとも10%低減し得る。いずれかの前出の態様の全ての好ましい特徴はまた、この態様にも適用される。特に、細胞中の標的遺伝子の発現は、抑制剤(核酸であってもよい)の非存在下で観察されるレベルに比べて、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%またはそれ未満に低減され得る。
【0052】
核酸は、それぞれ19~25ヌクレオチド長さの第1の鎖および第2の鎖を含み得る。第1の鎖および第2の鎖は、異なる長さであり得る。
【0053】
核酸は、15~25ヌクレオチド対長さであり得る。核酸は、17~23ヌクレオチド対長さであり得る。核酸は、17~25ヌクレオチド対長さであり得る。核酸は、23~24ヌクレオチド対長さであり得る。核酸は、19~21ヌクレオチド対長さであり得る。核酸は、21~23ヌクレオチド対長さであり得る。
【0054】
核酸は、19~25ヌクレオチド塩基対からなる二重鎖領域を含み得る。二重鎖領域は、17、18、19、20、21、22、23、24または25塩基対からなり得、これは近接していてよい。
【0055】
好ましくは、核酸はRNA干渉を媒介する。
【0056】
さらなる態様では、記載されているように、核酸または複合化核酸は、核酸または複合化核酸の非存在下で観察される発現に比べて、その標的転写物の発現を少なくとも15%低減し得る。いずれかの前出の態様の全ての好ましい特徴はまた、この態様にも適用される。特に、標的転写物の発現は、核酸もしくは複合化核酸の非存在下でまたは非サイレンシング対照の存在下で観察される発現よりも、少なくとも90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%もしくは15%以下に、またはこれら未満に低減され得る。
【0057】
本発明の核酸におけるジチオリン酸結合の使用は、キラル中心を有しどの非結合酸素が硫黄と置換されるかを制御できないホスホロチオエート結合に起因する、核酸分子集団の立体化学の変動を低減する。ジチオリン酸の使用は、その結合にキラル中心が存在しないことを確実にし、それにより、核酸分子中で使用されるジチオリンおよびホスホロチオエートの数に応じて、核酸分子集団中の全ての変動を低減または除去する。
【0058】
さらに、理論に束縛されるものではないが、単一のジチオリン酸結合を2つのホスホロチオエート結合の代わりに使用でき、従って、本発明の核酸中の「非天然の」結合の数を減らすことができる。
【0059】
核酸は、第1の鎖の3’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間のジチオリン酸結合を含み得る。核酸は、第2の鎖の3’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間のジチオリン酸結合を含み得る。核酸は、第2の鎖の5’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエートまたはジチオリン酸結合を含み得る。
【0060】
本発明の核酸はまた、その末端にジチオリン酸結合が存在しない場合に第1の鎖上の3個の末端3’ヌクレオチドのそれぞれの間、および/または3個の末端5’ヌクレオチドのそれぞれの間、および第2の鎖の3個の3’末端ヌクレオチドのそれぞれの間および/または3個の5’末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエート結合を含み得る。
【0061】
本発明の核酸は、ホスホロチオエートおよびジチオリン酸結合の混合物を含み得、その事例は本明細書で提示される。本発明の核酸は、第1の鎖および第2の鎖のそれぞれの3’末端でジチオリン酸を含み得る。
【0062】
核酸は、両端で平滑末端であり得る;一端でオーバーハングを有し、他端で平滑末端を有し得る;または両端でオーバーハングを有し得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「オーバーハング」は、当該技術分野において標準的なおよび通例の意味、すなわち、二本鎖核酸の相補鎖の末端ヌクレオチドを超えて伸びる核酸の一本鎖部分の意味を有する用語の「平滑末端」は、二本鎖核酸を含み、それにより、末端ヌクレオチドが塩基対であるかどうかに関係なく、両鎖が同じ位置で終わる。平滑末端にある第1の鎖および第2の鎖の末端ヌクレオチドは、塩基対であり得る。平滑末端にある第1の鎖および第2の鎖の末端ヌクレオチドは、対でない場合がある。平滑末端にある第1の鎖および第2の鎖の2個の末端ヌクレオチドは、塩基対であり得る。平滑末端にある第1の鎖および第2の鎖の末端の2つのヌクレオチドは、対でない場合がある。
【0064】
本明細書で使用される場合、「非置換リン酸」は、天然に、例えば、天然のDNAまたはRNA分子中で、2個のヌクレオチド間で通常認められる通常のリン酸を意味する。このようなリン酸は、本明細書では、単に「リン酸」、「非置換リン酸」または「リン酸ジエステル」と呼ばれる。
【0065】
核酸は、一端でオーバーハングを有し、他端で平滑末端を有し得る。核酸は、一端でオーバーハングを有し、他端で平滑末端を有し得る。核酸は、両端で平滑末端であり得る。核酸は、第1の鎖の5’-末端および第2の鎖3’-末端を有する末端で、または第1の鎖の3’-末端および第2の鎖の5’-末端を有する末端で、平滑末端であり得る。
【0066】
核酸は、3’-または5’-末端でオーバーハングを含み得る。核酸は、第1の鎖で3’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第2の鎖で3’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第1の鎖で5’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第2の鎖で5’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第1の鎖の5’-末端および3’-末端の両方でオーバーハングを有し得る。核酸は、第2の鎖の5’-末端および3’-末端の両方でオーバーハングを有し得る。核酸は、第1の鎖で5’オーバーハングを有し、第2の鎖で3’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第1の鎖で3’オーバーハングを有し、第2の鎖で5’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第1の鎖で3’オーバーハングを有し、第2の鎖で3’-オーバーハングを有し得る。核酸は、第1の鎖で5’オーバーハングを有し、第2の鎖で5’-オーバーハングを有し得る。
【0067】
第2の鎖または第1の鎖の3’-末端または5’-末端でのオーバーハングは、1、2、3、4および5個のヌクレオチド長さから選択され得る。任意選択で、オーバーハングは、1または2個のヌクレオチドからなり得、これは、修飾されてもまたは修飾されなくてもよい。
【0068】
非修飾ポリヌクレオチド、特に、リボヌクレオチドは、細胞ヌクレアーゼにより分解される傾向があり得、従って、修飾/修飾ヌクレオチドは、本発明の核酸に含まれ得る。このような修飾は、ヌクレアーゼに対してそれらをより高い耐性にすることにより核酸を安定化させるのを助け得る。この向上した耐性は、RNA干渉の媒介で核酸をより長い期間にわたり活性化させ、核酸が治療に使用される場合に特に望ましい。
【0069】
本発明の核酸の第2および/または第1の鎖上の1個または複数のヌクレオチドは修飾され得る。
【0070】
本発明の核酸の修飾は通常、限定されないが、インビトロおよびインビボ安定性および天然RNA分子に対する固有のバイオアベイラビリティを含む潜在的制約を克服するために強力なツールを提供する。本発明による核酸は、化学修飾により修飾され得る。修飾核酸はまた、ヒトでのインターフェロン活性を誘導する可能性を最小限にできる。修飾は、標的細胞に対する核酸の機能的送達をさらに高め得る。本発明の修飾核酸は、第1の鎖または第2の鎖の一方または両方の1個または複数の化学修飾リボヌクレオチドを含み得る。リボヌクレオチドは、塩基、糖またはリン酸部分の化学修飾を含み得る。リボ核酸は、核酸または塩基の類似体による置換または挿入により修飾され得る。
【0071】
本発明の1個または複数のオリゴヌクレオチドは、修飾され得る。核酸は、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含み得る。修飾ヌクレオチドは、第1の鎖上に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、第2の鎖中に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、二重鎖領域中に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、二重鎖領域の外側、すなわち、一本鎖領域に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、第1の鎖上に存在し得、二重鎖領域の外側に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、第2の鎖上に存在し得、二重鎖領域の外側に存在し得る。第1の鎖の3’-末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る。第2の鎖の3’-末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る。第1の鎖の5’-末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る。第2の鎖の5’-末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る。
【0072】
本発明の核酸は、1個の修飾ヌクレオチドを有し得、または本発明の核酸は約2~4個の修飾ヌクレオチドを有し得、または核酸は約4~6個の修飾ヌクレオチド、約6~8個の修飾ヌクレオチド、約8~10個の修飾ヌクレオチド、約10~12個の修飾ヌクレオチド、約12~14個の修飾ヌクレオチド、約14~16個の修飾ヌクレオチド、約16~18個の修飾ヌクレオチド、約18~20個の修飾ヌクレオチド、約20~22個の修飾ヌクレオチド、約22~24個の修飾ヌクレオチド、24~26個の修飾ヌクレオチドまたは約26~28個の修飾ヌクレオチドを有し得る。
【0073】
それぞれの場合で、上記修飾ヌクレオチドを含む核酸は、上記修飾ヌクレオチドを含まない同じ核酸と比較して、少なくとも50%のその活性を保持する。核酸は、上記修飾ヌクレオチドを含まない同じ核酸と比較して、その活性の55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%および100%または中間値を保持し、または上記修飾ヌクレオチドを含まない同じヌクレオチドの100%を超える活性を有し得る。
【0074】
修飾ヌクレオチドは、プリンまたはピリミジンであり得る。少なくとも半分のプリンが修飾され得る。少なくとも半分のピリミジンが修飾され得る。全てのプリンが修飾され得る。全てのピリミジンが修飾され得る。修飾ヌクレオチドは、3’-末端デオキシチミン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホラミデート、非天然塩基含有ヌクレオチド、5’-ホスホロチオエート基含有ヌクレオチド、ヌクレオチド、5’-リン酸または5’-リン酸模倣物を含むヌクレオチド、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に結合した末端ヌクレオチドからなる群より選択され得る。
【0075】
核酸は、修飾ヌクレオチドを含むヌクレオチドを含み得、塩基は、2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば、6-メチルウリジン)、プロピン、キューオシン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ワイブトシン、ウィブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5’-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ-D-ガラクトシルクェオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、ベータ-D-マンノシルクェオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸および2-チオシチジンから選択される。塩基は、2,6-ジアミノプリンリボシド、ピリジン-4-オンリボシド、ピリジン-2-オンリボシド、フェニルリボシド、2,4,6-トリメトキシベンゼンリボシド、アミノフェニルリボシド、6-アザピリミジンリボシド、プロピンリボシドであり得る。
【0076】
本明細書で考察の核酸には、非修飾RNAならびに修飾されて効力が向上したRNA、およびヌクレオシド代用物のポリマーが挙げられる。非修飾RNAは、核酸の成分、すなわち、糖類、塩基、およびリン酸部分が、天然で生ずるもの、例えば、人体中で天然に生じるものと同じまたは実質的に同じである。本明細書で使用される場合、修飾ヌクレオチドは、1個または複数のヌクレオチドの成分、すなわち、糖類、塩基およびリン酸部分が、天然で生じるものとは異なるヌクレオチドを意味する。それらは、無論、意図する修飾のために、修飾ヌクレオチドと呼ばれるが、ヌクレオチドではない分子、例えば、リボリン酸骨格が鎖間でハイブリダイゼーションを可能とする、すなわち、修飾ヌクレオチドがリボリン酸骨格を模倣する、非リボリン酸構築物で置換されているポリヌクレオチド分子も含む。
【0077】
核酸内で生じる以下に記載の多くの修飾は、塩基、もしくはリン酸部分、またはリン酸部分の非結合Oの修飾のように、ポリヌクレオチド分子内で反復されるであろう。いくつかの事例では、修飾は、ポリヌクレオチド中の全ての可能な位置/ヌクレオチドで生じるであろうが、多くの場合、そうはならないであろう。修飾は、3’または5’末端位置でのみ生じ得、末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5、または10個のヌクレオチド中などの末端領域でのみ生じ得る。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、または両方で生じ得る。修飾は、本発明の核酸の二本鎖領域中でのみ生じ得るか、または本発明の核酸の一本鎖領域中でのみ生じ得る。非結合O位置でのホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端でのみ生じ得、末端領域中、例えば、末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4または5個のヌクレオチド中でのみ生じ得、または二本鎖中、および/または一本鎖領域、特に末端で生じ得る。5’末端または3’末端はリン酸化され得る。
【0078】
本発明の核酸の安定性は、オーバーハング中に、または修飾ヌクレオチドを含むことにより一本鎖オーバーハング中に、例えば、5’または3’オーバーハング中、または両方中に、特定の塩基を含むことにより、高め得る。プリンヌクレオチドは、オーバーハング中に含め得る。3’または5’オーバーハング中の全てのまたはいくつかの塩基が修飾され得る。修飾は、リボース糖の2’OH基での修飾の使用、リボヌクレオチドではなくデオキシリボヌクレオチドの使用、およびホスホロチオエート修飾などのリン酸基中の修飾の使用を含むことができる。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
【0079】
本発明のdsRNA薬剤のセンス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖での5’-または3’-オーバーハングは、リン酸化され得る。いくつかの実施形態では、オーバーハング領域は、2個のヌクレオチドの間にホスホロチオエートを有する2個のヌクレオチドを含むみ、2個のヌクレオチドは同じであるかまたは異なり得る。一実施形態では、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の3’-末端に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングは、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングは、センス鎖中に存在する。
【0080】
ヌクレアーゼは、核酸リン酸ジエステル結合を加水分解できる。しかし、核酸に対する化学修飾は、改善された特性を付与でき、ヌクレアーゼに対するより高い安定性をオリゴリボヌクレオチドに付与できる。
【0081】
本明細書で使用される場合、修飾核酸は、下記の1種または複数を含むことができる。
(i)変化、例えば、一方または両方の非結合リン酸酸素および/または1個または複数の結合リン酸酸素(本発明の核酸5’および3’末端であっても、結合と見なされる)の置換;
(ii)変化、例えば、リボース糖の成分の置換、例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシルの置換;
(iii)リン酸部分の「デホスホ」リンカーによる置換;
(iv)天然塩基の修飾または置換;
(v)リボースリン酸骨格の置換または修飾;
(vi)RNAの3’末端または5’末端の修飾、例えば、末端リン酸基の除去、修飾もしくは置換または部分の結合、例えば、蛍光標識部分のRNAの3’または5’末端への結合。
【0082】
用語の置換、修飾、変化は、天然の分子からの差異を示す。
特定の修飾については、以降でさらに詳細に考察する。
【0083】
修飾リン酸基の例には、ホスホロチオエート、ホスホロセレン酸、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステルが含まれる。ジチオリン酸は、硫黄により置換された両方の非結合酸素を有する。リン酸基中の1つ、それぞれまたは両方の非結合酸素は、独立に、S、Se、B、C、H、N、またはOR(Rはアルキルまたはアリール)の内のいずれか1つであり得る。
【0084】
リン酸リンカーはまた、結合酸素の窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)および炭素(架橋メチレンホスホネート)による置換により修飾できる。置換は、末端酸素で生じ得る。非結合酸素の窒素による置換が可能である。
【0085】
修飾ヌクレオチドは、糖基の修飾を含み得る。2’ヒドロキシル基(OH)は、多くの異なる「オキシ」または「デオキシ」置換基で修飾または置換できる。
【0086】
「オキシ」-2’ヒドロキシル基修飾の例には次記が挙げられる:アルコキシまたはアリールオキシ(OR、例えば、R=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CHCHO)CHCHOR;内部で2’ヒドロキシルが、例えば、メチレン架橋により、同じリボース糖の4’炭素に連結されている「ロックド」核酸(LNA);O-AMINE(AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)およびアミノアルコキシ、O(CHAMINE(例えば、AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)。
【0087】
「デオキシ」修飾には次記が挙げられる:水素、ハロ、アミノ(例えば、NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸);NH(CHCHNH)CHCH-AMINE(AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ)、-NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖)、シアノ;メルカプト;アルキル-チオ-アルキル;チオアルコキシ;および例えば、アミノ官能基によりで任意に置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニル。特定の実施形態の他の置換基には、2’-メトキシエチル、2’-OCH3、2’-O-アリル、2’-C-アリル、および2’-フルオロが挙げられる。
【0088】
糖基は、リボース中の対応する炭素と逆の立体化学的配置を有する1個または複数の炭素を含むこともできる。従って、修飾ヌクレオチドは、アラビノースなどの糖を含み得る。修飾ヌクレオチドはまた、C-1’の位置の核酸塩基を欠く「脱塩基」糖を含むこともできる。これらの脱塩基糖は、1個または複数の構成糖原子の修飾をさらに含むことができる。
【0089】
2’修飾を1つまたは複数のリン酸リンカー修飾(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わせて使用し得る。リン酸基は、非リン含有コネクターにより個別に置換できる。
【0090】
リン酸基を置換できる部分の例には、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。特定の実施形態では、置換は、メチレンカルボニルアミノおよびメチレンメチルイミノ基を含み得る。リン酸リンカーおよびリボース糖は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドにより置換され得る。
【0091】
例には、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジンおよびペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代用物が挙げられる。特定の実施形態では、PNA代用物が使用され得る。
【0092】
オリゴヌクレオチドの3’および5’を修飾できる。このような修飾は、分子の3’末端または5’末端または両末端の位置であり得る。それらは、全体末端リン酸またはリン酸基の1個または複数の原子の修飾または置換を含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドの3‘および5’末端は、標識部分、例えば、フルオロフォア(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3またはCy5色素)または保護基(例えば、硫黄、シリコン、ホウ素またはエステル系)などの他の機能性分子実体と結合できる。機能的分子実体は、リン酸基および/またはリンカーを介して糖に結合できる。リンカーの末端原子は、糖のリン酸基またはC-3’またはC-5’のO、N、SまたはC基の結合原子に連結またはこれを置換できる。あるいは、リンカーは、ヌクレオチド代用物(例えば、PNA)の末端原子に連結またはこれを置換できる。これらのスペーサーまたはリンカーには、例えば、-(CH-、-(CHN-、-(CHO-、-(CHS-、-O(CHCHO)CHCHO-(例えば、n=3または6)、脱塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、またはモルホリノ、またはビオチンおよびフルオレセイン試薬を挙げることができる。3’末端は、-OH基であり得る。
【0093】
末端修飾の他の例には次記が挙げられる:色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ、EDTA、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセリン、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセリン、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進物質(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジンイミダゾール複合体、テトラアザ大環状環のEu3+複合体)。
【0094】
末端修飾は、活性の調節または分解に対する耐性の調節を含む多くの理由のために付加できる。活性の調節のために有用な末端修飾には、リン酸またはリン酸類似体を用いた5’末端の修飾が含まれる。本発明の核酸は、第1のまたは第2の鎖上で、5’末端で5’リン酸化され得るかまたはホスホリル類似体を含み得る。5’-リン酸修飾には、RISC媒介遺伝子サイレンシングと適合する修飾が含まれる。好適な修飾には、次記が含まれる:5′-モノリン酸((HO)(O)P-O-5′);5′-ジリン酸((HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5′);5′-トリリン酸((HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5′);5′-グアノシンキャップ(7-メチル化または非メチル化)(7m-G-O-5′-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5′);5′-アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造体(N-O-5′-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5′);5′-モノチオリン酸(ホスホロチオエート;(HO)(S)P-O-5′);5′-モノジチオリン酸(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5′),5′-ホスホロチオレート((HO)(O)P-S-5′);酸素/硫黄置換モノリン酸、ジリン酸およびトリホスファテスの任意の追加の組み合わせ(例えば、5′-アルファ-チオトリリン酸、5′-ガンマ-チオトリリン酸、など)、5′-ホスホルアミデート((HO)2(O)P-NH-5′、(HO)(NH)(O)P-O-5′)、5′-アルキルホスホネート(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、など、例えば、RP(OH)(O)-O-5′-、(OH)(O)P-5′-CH-)、5’ビニルホスホネート、5′-アルキルエテルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH-)、エトキシメチル、など、例えば、RP(OH)(O)-O-5′-)。
【0095】
本発明の修飾核酸は、第1のおよび/または第2の鎖の1つまたは複数の末端上の1つまたは複数のホスホロチオエート修飾を含み得る。任意選択で、第1の鎖のそれぞれのまたは両方の末端は、1個または2個または3個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。任意選択で、第2の鎖のそれぞれのまたは両方の末端は、1個または2個または3個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。任意選択で、第1の鎖の両端および第2の鎖の5’末端は、2個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。ホスホロチオエート修飾ヌクレオチドとは、ヌクレオチドと隣接するヌクレオチドとの間の結合が、標準的リン酸基の代わりにホスホロチオエート基を含むことを意味する。
【0096】
末端修飾はまた、分布の監視のために有用であり得、このような場合、付加されるべき基には、フルオロフォア、例えば、フルオレセインまたはAlexa色素が挙げられる。末端修飾はまた、取り込みを高めるために有用であり、このために有用な修飾には、コレステロールが挙げられる。末端修飾はまた、RNA薬剤の別の部分への架橋のために有用である。
【0097】
アデニン、グアニン、シトシンおよびウラシルは、RNAで認められる最もよくある塩基である。これらの塩基は、修飾または置換されて改善された特性を有するRNAをもたらす。例えば、ヌクレアーゼ耐性オリゴリボヌクレオチドは、これらの塩基または合成および天然の核酸塩基(例えば、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ネブラリン、イソグアノシン、またはツベルシジン(tubercidine)ならびに上記修飾のいずれか1種を用いて調製できる。あるいは、上記塩基のいずれかの置換または修飾類似体および「ユニバーサル塩基」を採用できる。例としては、次記が挙げられる:2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体;アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体;5-ハロウラシルおよびシトシン;5-プロピニルウラシルおよびシトシン;6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン;5-ウラシル(偽ウラシル)、4-チオウラシル、5-ハロウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-アミノアリルウラシル;8-ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシル、および他の8-置換アデニンおよびグアニン;5-トリフルオロメチル、および他の5-置換ウラシルおよびシトシン;7-メチルグアニン;5-置換ピリミジン;6-アザピリミジン;およびN-2、N-6、およびO-6置換プリン(2-アミノプロピルアデニンを含む);5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシン;ジヒドロウラシル;3-デアザ-5-アザシトシン;2-アミノプリン;5-アルキルウラシル;7-アルキルグアニン;5-アルキルシトシン;7-デアザアデニン;N6,N6-ジメチルアデニン;2,6-ジアミノプリン;5-アミノ-アリル-ウラシル;N3-メチルウラシル;置換1,2,4-トリアゾール;2-ピリジノン;5-ニトロインドール;3-ニトロピロール;5-メトキシウラシル;ウラシル-5-オキシ酢酸;5-メトキシカルボニルメチルウラシル;5-メチル-2-チオウラシル;5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウラシル;5-メチルアミノメチル-2-チオウラシル;3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル;3-メチルシトシン;5-メチルシトシン;N4-アセチルシトシン;2-チオシトシン;N6-メチルアデニン;N6-イソペンチルアデニン;2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン;N-メチルグアニン;またはO-アルキル化塩基。
【0098】
本明細書で使用される場合、「非対形成ヌクレオチド類似体」という用語は、限定されないが、6脱アミノアデノシン(ネブラリン)、4-Me-インドール、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、Ds、Pa、N3-MeリボU、N3-MeリボT、N3-Me-dC、N3-Me-dT、N1-Me-dG、N1-Me-dA、N3-エチル-dC、N3-Me-dCなどの、非塩基対部分を含むヌクレオチド類似体を意味する。いくつかの実施形態では、非塩基対ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態では、それはデオキシリボヌクレオチドである。
【0099】
本明細書で使用される場合、「末端官能基」という用語は、限定されないが、ハロゲン、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、エーテル基を含む。
【0100】
特定の部分は、第1の鎖または第2の鎖の5’末端に連結され得、次記を含む:脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、2’Oアルキル修飾を含む修飾脱塩基リボースおよび脱塩基デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボースおよび脱塩基デオキシリボース部分およびその修飾物、C6-イミノ-Pi;DNAおよびRNAを含むミラーヌクレオチド;5’OMeヌクレオチド;および4’、5’-メチレンヌクレオチドを含むヌクレオチド類似体;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’-アミノ-リン酸アルキル;1,3-ジアミノ-2-プロピルリン酸、3-アミノプロピルリン酸;6-アミノヘキシルリン酸;12-アミノドデシルリン酸;ヒドロキシプロピルリン酸;1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;アルファヌクレオチド;トレオペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’、4’-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5,5’-逆位脱塩基部分;1,4-ブタンジオールリン酸;5’-アミノ;および架橋または非架橋メチルホスホネートおよび5’-メルカプト部分。
【0101】
本発明の核酸は、1種または複数の逆位ヌクレオチドとして、例えば、逆位チミジンまたは逆位アデニンを含み得る(例えば、Takei,et al.,2002.JBC 277(26):23800-06を参照)。
【0102】
本明細書で使用される場合、遺伝子発現に関して、「抑制する」、「下方制御する」、または「低減する」という用語は、遺伝子の発現、または1種または複数のタンパク質またはタンパク質サブユニット(例えば、mRNA)をコードするRNA分子または等価RNA分子のレベル、または1種または複数のタンパク質またはタンパク質サブユニットまたはペプチドの活性が、本発明の核酸の非存在下で観察されるものより、またはヒト転写物に対し既知の相同性のないsiRNA(本明細書で非サイレンシング対照と呼ばれる)を基準にして、低いことを意味する。このような対照は、類似の方法で本発明の分子に結合および修飾され、同じ経路により標的細胞に送達され得る;例えば、発現は、抑制剤(これは核酸であってよい)の非存在下で、または非サイレンシング対照(これは標的配列に非相補的である核酸であってよい)の存在下で観察されるレベルより90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、またはそれ未満に低減され得る。
【0103】
本発明の核酸は、脱塩基ヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用される場合、用語の「脱塩基」は、塩基を欠くか、または1’位置の塩基の代わりに他の化学基、例えば、3’、3’-結合または5‘、5’-結合デオキシ脱塩基リボース誘導体、を有する部分を有する。
【0104】
核酸は、修飾された第2のおよび/または第1の鎖上に1個または複数のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドが交互に修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成し得る。
【0105】
本明細書に記載の交互は、規則的に代わる代わる交替して起こることを意味する。換言すれば、交互は、反復して交替で起こることを意味する。例えば、1個のヌクレオチドが修飾される場合、次の隣接ヌクレオチドは修飾されず、その次の隣接ヌクレオチドは修飾される、等々。第1と第2の修飾が異なる場合、1個のヌクレオチドは、第1の修飾で修飾され得、次の隣接ヌクレオチドは第2の修飾により修飾され得、および次の隣接ヌクレオチドは第1の修飾により修飾される、等々。
【0106】
本発明の核酸の第1の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドが修飾され得、第1の鎖は5’側から3’側へ番号が付与され、最も5’側のヌクレオチドが第1の鎖のヌクレオチド番号1である。本明細書に記載の用語の「奇数」は、2で割り切れない数字を意味する。奇数の例は、1、3、5、7、9、11などである。本発明の核酸の第1の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドが修飾され得、第1の鎖は、5’側から3’側へ番号が付けられる。本明細書に記載の用語の「偶数」は、2で一様に割り切れる数字を意味する。偶数の例は、2、4、6、8、10、12、14などである。本発明の核酸の第2の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドが修飾され得、第2の鎖は3’側から5’側へ番号が付与され、最も3’側のヌクレオチドが第2の鎖のヌクレオチド番号1である。本発明の核酸の第2の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドが修飾され得、第2の鎖は、3’側から5’側へ番号が付けられる。
【0107】
第1および/または第2の鎖上の1個または複数のヌクレオチドが修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成し得る。第1の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドが修飾され得る。第1の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドが少なくとも第2の修飾により修飾され得、少なくとも第2の修飾は、1個または複数の奇数のヌクレオチド上の修飾とは異なる。1個または複数の修飾偶数ヌクレオチドの内の少なくとも1個は、1個または複数の修飾奇数ヌクレオチドの少なくとも1個に隣接し得る。
【0108】
本発明の核酸では、第1の鎖中の複数の奇数ヌクレオチドが修飾され得る。第1の鎖中の複数の偶数ヌクレオチドが第2の修飾により修飾され得る。第1の鎖は、共通の修飾により修飾された隣接するヌクレオチドを含み得る。第1の鎖は、第2の異なる修飾により修飾された隣接するヌクレオチドも含み得る。
【0109】
第2の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドは、第1の鎖上の奇数ヌクレオチドの修飾とは異なる修飾により修飾され得る、および/または第2の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドは、第1の鎖の奇数ヌクレオチドの同じ修飾により修飾され得る。第2の鎖の1個または複数の修飾偶数ヌクレオチドの内の少なくとも1個は、1個または複数の修飾奇数ヌクレオチドに隣接し得る。第2の鎖の複数の奇数ヌクレオチドは、共通の修飾により修飾され得、および/または複数の偶数ヌクレオチドは第1の鎖の奇数ヌクレオチド上に存在する同じ修飾により修飾され得る。第2の鎖上の複数の奇数ヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得、第2の修飾は、第1の鎖の奇数ヌクレオチドの修飾とは異なる。
【0110】
第2の鎖は、共通の修飾により修飾された隣接するヌクレオチドを含み得、これは、第1の鎖の奇数ヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾であり得る。
【0111】
本発明の核酸では、第1の鎖中のそれぞれの奇数ヌクレオチドおよび第2の鎖中のそれぞれの偶数ヌクレオチドは、共通の修飾により修飾され得、それぞれの偶数ヌクレオチドは、第2の修飾を有する第1の鎖中で修飾され得、それぞれの奇数ヌクレオチドは、第2の修飾を有する第2の鎖中で修飾され得る。
【0112】
本発明の核酸は、第2の鎖の非修飾または異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1個のヌクレオチドだけシフトされた第1の鎖の修飾ヌクレオチドを有し得る。
【0113】
1個または複数またはそれぞれの奇数ヌクレオチドは、第1の鎖中で修飾され得、1個または複数またはそれぞれの偶数ヌクレオチドは、第2の鎖中で修飾され得る。一方または両方の鎖上の1個または複数またはそれぞれの交互ヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得る。1個または複数またはそれぞれの偶数ヌクレオチドは、第1の鎖中で修飾され得、1個または複数またはそれぞれの偶数ヌクレオチドは、第2の鎖中で修飾され得る。一方または両方の鎖上の1個または複数またはそれぞれの交互ヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得る。1個または複数またはそれぞれの奇数ヌクレオチドは、第1の鎖中で修飾され得、1個または複数またはそれぞれの奇数ヌクレオチドは、第2の鎖中で共通の修飾により修飾され得る。一方または両方の鎖上の1個または複数またはそれぞれの交互ヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得る。1個または複数またはそれぞれの偶数ヌクレオチドは、第1の鎖中で修飾され得、1個または複数またはそれぞれの奇数ヌクレオチドは、第2の鎖中で共通の修飾により修飾され得る。一方または両方の鎖上の1個または複数またはそれぞれの交互ヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得る。
【0114】
本発明の核酸は、1つまたは両方の鎖中で交互修飾の少なくとも2つの領域を有する一本鎖または二本鎖構築物を含み得る。これらの交互領域は、最大約12個のヌクレオチドを含み得るが、好ましくは約3~約10個のヌクレオチドを含む。交互ヌクレオチドの領域は、本発明の核酸の1つまたは両方の鎖の末端に位置し得る。核酸は、各末端(3’および5’)に4~約10個のヌクレオチドの交互ヌクレオチドを含み得、これらの領域は、約5~約12個の近接非修飾または異なったまたは共通修飾ヌクレオチドにより分離され得る。
【0115】
第1の鎖の奇数ヌクレオチドは修飾され得、偶数ヌクレオチドが第2の修飾により修飾され得る。第2の鎖は、共通の修飾により修飾された隣接するヌクレオチドを含み得、これは、第1の鎖の奇数ヌクレオチドの修飾と同じであり得る。第2の鎖の1個または複数のヌクレオチドはまた、第2の修飾により修飾され得る。第2の修飾を有する1個または複数のヌクレオチドは、相互に、および第1の鎖の奇数ヌクレオチドの修飾と同じである修飾を有するヌクレオチドに隣接し得る。第1の鎖はまた、2個のヌクレオチドの3’末端および5’末端間で、ホスホロチオエート結合を含み得る。第2の鎖は、5’末端の2個のヌクレオチド間で、ホスホロチオエート結合を含み得る。第2の鎖はまた、5’末端でリガンドに結合され得る。
【0116】
本発明の核酸は、共通の修飾により修飾された隣接ヌクレオチドを含む第1の鎖を含み得る。1個または複数のこのようなヌクレオチドは、第2の修飾により修飾され得る1個または複数のヌクレオチドに隣接し得る。第2の修飾を有する1個または複数のヌクレオチドは、隣接し得る。第2の鎖は、共通の修飾により修飾された隣接するヌクレオチドを含み得、これは、第1の鎖の1個または複数ヌクレオチドの修飾の1つと同じであり得る。第2の鎖の1個または複数のヌクレオチドはまた、第2の修飾により修飾され得る。第2の修飾を有する1個または複数のヌクレオチドは、隣接し得る。第1の鎖はまた、2つのヌクレオチドの5’末端および3’末端間で、ホスホロチオエートを含み得る。第2の鎖は、2つのヌクレオチドの3’末端で、ホスホロチオエート結合を含み得る。第2の鎖はまた、5’末端でリガンドに結合され得る。
【0117】
1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25(第1の鎖上で5’側から3’側へ、および第2の鎖上で3’側から5’側へ)と番号が付されたヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾により修飾され得る。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24と番号が付されたヌクレオチドは、第1の鎖上で第2の修飾により修飾され得る。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23の番号が付されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾により修飾され得る。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24の番号が付されたヌクレオチドは、第2の鎖上で第2の修飾により修飾され得る。ヌクレオチドは、本発明の核酸のために、第1の鎖上で5’側から3’側へ、および第2の鎖上で3’側から5’側へ番号が付される。
【0118】
2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24の番号が付されたヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾により修飾され得る。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23の番号が付されたヌクレオチドは、第1の鎖上の第2の修飾により修飾され得る。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23の番号が付されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾により修飾され得る。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24の番号が付されたヌクレオチドは、第2の鎖上で第2の修飾により修飾され得る。
【0119】
明らかに、第1のおよび/または第2の鎖が19個のヌクレオチド長さなどの25個のヌクレオチド長さより短い場合、修飾されるべき20、21、22、23、24および25の番号が付されたヌクレオチドは存在しない。当業者には、上記説明は、より短い鎖にもそれに応じて当てはまることが理解される。
【0120】
第1の鎖上の1個または複数の修飾ヌクレオチドは、共通の修飾を有する第2の鎖上の修飾ヌクレオチドと対形成し得る。第1の鎖上の1個または複数の修飾ヌクレオチドは、異なる修飾を有する第2の鎖上の修飾ヌクレオチドと対形成し得る。第1の鎖上の1個または複数の修飾ヌクレオチドは、第2の鎖上の非修飾ヌクレオチドと対形成し得る。第2の鎖上の1個または複数の修飾ヌクレオチドは、第1の鎖上の非修飾ヌクレオチドと対形成し得る。換言すれば、交互ヌクレオチドは、2つの鎖上で整列させることができ、例えば、第2の鎖の交互領域中の全ての修飾は、第1の鎖中の同一の修飾と対形成され、あるいは、他の鎖中で異種修飾(すなわち、第2のまたはさらなる修飾)と対形成している1つの鎖の交互領域中で共通の修飾を有する1ヌクレオチドだけ片寄らせることができる。別の選択肢は、それぞれの鎖中で異種修飾を有することである。
【0121】
第1の鎖上の修飾は、第2の鎖上で修飾ヌクレオチドに対して1ヌクレオチドだけシフトされ、それにより、共通修飾ヌクレオチドが相互に対形成されない。
【0122】
修飾(単数または複数)はそれぞれ独立に、3’-末端デオキシチミン、2’-O-メチル、2’-デオキシ修飾、2’-アミノ修飾、2’-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホラミデート修飾、5’-ホスホロチオエート基修飾、5’-リン酸または5’-リン酸模倣物修飾およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群より選択され得、および/または修飾ヌクレオチドは、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチドまたは非天然塩基含有ヌクレオチドのいずれか1個であり得る。
【0123】
少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチルであり得、および/または少なくとも1つの修飾は2’-Fであり得る。本明細書に記載のさらなる修飾は、第1および/または第2の鎖上に存在し得る。
【0124】
本発明の核酸は、1つまたはいくつかの鎖末端に逆位RNAヌクレオチドを含み得る。このような逆位ヌクレオチドは、核酸に対し安定性をもたらす。好ましくは、核酸は、少なくとも1つの鎖の1つまたはいくつかの3’末端に、および/または第2の鎖の5’末端に、少なくとも1個の逆位ヌクレオチドを含む。より好ましくは、核酸は、第2の鎖の3’末端に逆位ヌクレオチドを含む。最も好ましくは、核酸は、第2の鎖の3’末端に逆位RNAヌクレオチドを含み、このヌクレオチドは、好ましくは逆位Aである。逆位ヌクレオチドは、好ましくは、オーバーハングとしてではなく、他の鎖の反対側の対応するヌクレオチドとして鎖の末端に存在する。このような修飾を有する核酸は安定で、合成が容易である。
【0125】
本発明の説明の全体を通して、「同じまたは共通の修飾」は、いずれかのヌクレオチドに対する同じ修飾を意味し、メチル基またはフルオロ基などの基で修飾されたA、G、CまたはUがそうである。同じヌクレオチド上の同じ付加物を意味すると解釈されるべきではない。例えば、2’F-dU、2’F-dA、2’F-dC、2’F-dGは全て、同じまたは共通の修飾と見なされ、2’-OMe-rU、2’-OMe-rA;2’-OMe-rC;2’-OMe-rGも同様である。2’F修飾は、2’OMe修飾とは異なる修飾である。
【0126】
本発明のいくつかの代表的修飾核酸配列が実施例で示されている。これらの実施例は、例示を意図したものであって、限定的なものではない。
【0127】
好ましくは、核酸は、修飾および第2のまたはさらなる修飾を含み得、これらは、それぞれ、個別に、2’-O-メチル修飾および2’-F修飾を含む群から選択される。核酸は2’-O-メチル(2’OMe)である第1の修飾を含み、さらに、2’-Fである第2の修飾を含み得る。本発明の核酸はまた、ホスホロチオエート修飾および/またはデオキシ修飾を含み得、これらは、それぞれのまたは両鎖のそれぞれまたは任意の末端の末端1、2または3個のヌクレオチド中またはその間に存在し得る。
【0128】
本発明の核酸は、リガンドに結合されて、複合体を形成し得る。
【0129】
いくつかのリガンドは、エンドソーム溶解特性を有し得る。エンドソーム溶解性リガンドは、エンドソームの溶解および/または本発明の組成物またはその成分の、エンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する。エンドソーム溶解性リガンドは、ポリアニオン性ペプチドまたはペプチド模倣体であり得、これはpH依存性膜活性および膜融合性を示す。エンドソーム溶解性成分は、pH変化の変化に応じて電荷またはプロトン化の変化を受ける化学基を含み得る。エンドソーム溶解性成分は、直鎖または分岐鎖であり得る。
【0130】
リガンドは、例えば、取り込みを高めるための、治療的修飾剤;例えば、分布を監視するための、診断化合物またはレポーター基;およびヌクレアーゼ耐性付与部分を含み得る。一般的な例は、脂質、ステロイド、ビタミン、糖類、タンパク質、ペプチド、ポリアミン、およびペプチド模倣物を含む。リガンドは、タンパク質、炭水化物、脂質などの天然の物質を含み得る。リガンドは、組換えまたは合成分子であってよい。
【0131】
リガンドはまた、標的化基、例えば、細胞または組織標的化薬剤を含み得る。標的化リガンドは、レクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質であってよい。
【0132】
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤、架橋剤、ポルフィリン、多環式芳香族炭化水素、人工エンドヌクレアーゼまたはキレート化剤、親油性の分子、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG、MPEG、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン、輸送/吸収促進物質、合成リボヌクレアーゼ、またはイミダゾールクラスターが挙げられる。
【0133】
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質またはペプチドであり得る。リガンドはまた、ホルモンまたはホルモン受容体であり得る。それらはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、または補因子などの非ペプチド種も含み得る。
【0134】
リガンドは、例えば、細胞骨格を破壊することにより、核酸の細胞中への取込みを増大させ得る薬物などの物質であってよい。
【0135】
リガンドは、炎症応答を活性化することにより、核酸の細胞中への取込みを増大させ得る。このようなリガンドとしては、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-1β、またはγインターフェロンが挙げられる。
【0136】
リガンドは、脂質または脂質系分子であってよい。脂質または脂質系分子は、好ましくは、血清タンパク質に結合する。好ましくは、脂質系リガンドはヒト血清アルブミン(HSA)を結合する。脂質または脂質系分子は、複合体の分解に対する耐性を高め、標的化または標的細胞中への輸送を高め、および/または血清タンパク質への結合を調節できる。脂質系リガンドは、標的組織への複合体の結合を調節するために使用できる。
【0137】
リガンドは、ステロイドであってよい。好ましくは、リガンドはコレステロールまたはコレステロール誘導体である。
【0138】
リガンドは、ビタミンなどの部分であってよく、これは、標的細胞により取り込まれる。例示的ビタミンとしては、ビタミンA、E、K、およびBビタミンが挙げられる。ビタミンは、増殖細胞により取り込まれ得、これは、核酸を悪性または非悪性腫瘍細胞などの細胞に送達するのに有用であり得る。
【0139】
リガンドは、ヘリカル細胞浸透剤などの細胞浸透剤であってよい。好ましくは、このような薬剤は両親媒性である。
【0140】
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であってよい。ペプチド模倣体は、天然ペプチドに類似の一定の三次元構造体へと折り畳むことができる分子である。ペプチドまたはペプチド模倣体リガンドは、天然または修飾ペプチド、または両方を含み得る。ペプチドまたはペプチド模倣体は、細胞浸透ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチドであり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、立体構造規制ペプチド、または架橋ペプチドであり得る。ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列を含み得る。ペプチド部分は、細胞膜を横切るペプチド、オリゴヌクレオチドおよびタンパク質、例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ)およびショウジョウバエアンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK)などの大きな極性分子を保有できるペプチドであり得る。好ましくは、ペプチドまたはペプチド模倣体は、細胞標的化ペプチド、例えば、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドである。
【0141】
リガンドは、例えば、微生物細胞または哺乳動物細胞に浸透できる細胞浸透ペプチドであり得る。
【0142】
リガンドは、薬物動態学調節物質であってよい。薬物動態学調節物質は、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合物質、PEG、ビタミン、などであってよい。
【0143】
2つ以上のリガンドが存在する場合、リガンドは全て同じ特性を有し得る、全てが異なる特性を有し得る、またはいくつかのリガンドは同じ特性を有し、その他のリガンドは異なる特性を有し得る。例えば、リガンドは、標的化特性を有し得る、エンドソーム溶解活性を有し得る、またはPK調節特性を有し得る。好ましい実施形態では、全てのリガンドが異なる特性を有する。
【0144】
リガンドは、3’-末端、5’-末端、および/または内部位置で核酸に結合され得る。好ましくは、介在テザーまたはリンカーを介して核酸に結合される。
【0145】
いつかの実施形態では、核酸は、二本鎖核酸である。二本鎖核酸では、リガンドは一方または両方の鎖に結合され得る。いくつかの実施形態では、二本鎖核酸は、センス鎖に結合されたリガンドを含む。他の実施形態では、二本鎖核酸は、アンチセンス鎖に結合されたリガンドを含む。
【0146】
リガンドは、核酸分子の核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間結合に結合され得る。プリン核酸塩基またはその誘導体への結合は、環内および環外原子を含む任意の位置で起こり得る。ピリミジンヌクレオチドその誘導体への結合はまた、任意の位置で起こり得る。ヌクレオシドの糖部分への結合は、任意の炭素原子で起こり得る。ヌクレオシド間結合への結合は、リン含有結合のリン原子またはリン原子に結合された酸素、窒素、または硫黄原子で起こり得る。アミンまたはアミド含有ヌクレオシド間結合では、結合は、アミンもしくはアミドの窒素原子で、または隣接する炭素原子に対し起こり得る。
【0147】
リガンドは通常、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖または多糖である。リガンドは、リンカーにより核酸に結合され得る。リンカーは、一価、二価または三価の分岐リンカーであり得る。
【0148】
オリゴヌクレオチド、特に本発明の二本鎖核酸の細胞への効率的インビボ送達手段は重要であり、特異的標的化および細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的保護が必要である。特異的標的化を達成する1つの方法は、ターゲティング部分またはリガンドを核酸に結合することである。ターゲティング部分は、核酸を所定の標的部位に標的化するのを支援するものであり、エンドサイトーシスなどにより細胞に取り込まれるべき結合した分子のための目的の受容体部位に対する適切なターゲティング部分を結合する必要がある。ターゲティング部分またはリガンドは、特定の受容体を標的化できる任意の部分またはリガンドであり得る。
【0149】
例えば、アシアロ糖タンパク質(ASGP-R)は、高容量受容体であり、肝細胞上に極めて豊富に存在する。三分岐クラスターグリコシドの使用の最初の開示の1つは、米国特許第5,885,968号におけるものであった。3つのGalNAcリガンドを有し、リン酸基を含む複合体が既知であり、Dubber et al.(2003)に記載されている。ASGP-Rは、D-Galよりも、N-アセチル-D-ガラクトシルアミン(GalNAc)に対し50倍高い親和性を示す。
【0150】
レクチン発現肝細胞(アシアロ糖タンパク質受容体;ASGPR)は、グリコシル化タンパク質または他のオリゴ糖の末端β-ガラクトシルサブユニットを特異的に認識し(Weigel,P.H.et.al.,2002)、ガラクトースまたはガラクトサミンの医薬品有効成分への共有結合カップリングにより、薬物を肝臓に送達するために使用できる(Ishibashi,S.;et.al.,J Biol.Chem.1994 Nov 11;269(45):27803-6)。さらに、結合親和性は、多価効果により大きく高めることができ、これは、ターゲティングユニットの反復により達成される(Biessen EA,et al.,J Med Chem.1995 Apr 28;38(9):1538-46)。
【0151】
ASGPRは、末端β-ガラクトシル含有糖タンパク質の活性エンドソーム輸送のためのメディエーターであり、従って、ASGPRは、細胞に送達する必要がある核酸などの薬剤候補の標的化送達に極めて好適である(Akinc et al.)。
【0152】
サッカライドは、リガンドと呼ばれることもあり、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に対して親和性を有するように選択され得る。特に、受容体は、哺乳動物肝臓細胞上にあり、例えば、肝臓アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0153】
サッカライドは、N-アセチルガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミンおよびフコースから選択され得る。サッカライドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)であり得る。
【0154】
リガンドは、(i)1個または複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分およびその誘導体、および(ii)リンカーを含み得、リンカーは、GalNAc部分を前出のいずれかの態様で定義の核酸に結合する。リンカーは、二価または三価または四価の分岐構造体であり得る。ヌクレオチドは、本明細書で定義のように修飾され得る。
【0155】
「GalNAc」は、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを意味し、通常、文献中では、N-アセチルガラクトサミンと呼ばれる。「GalNAc」または「N-アセチルガラクトサミン」への言及は、β-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースおよびα-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方を含む。β-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースおよびα-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方は、互換的に使用され得る。好ましくは、本発明の化合物は、β-型、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0156】
リガンドは、GalNAcを含み得る。
リガンドは、式I:
[S-X-P-X-A-X- (I)
の化合物を含み、式中:
Sはサッカライドであり、サッカライドはN-アセチルガラクトサミンであり;
は、C-Cアルキレンまたは(-CH-CH-O)(-CH-であり、mは1、2、または3であり;
Pは、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)であり;
は、式(-CH-O-CH-のアルキレンまたはアルキレンエーテルであり、n=1~6であり;
Aは、分岐ユニットであり、
は、架橋ユニットであり;
本発明による核酸は、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)を介してXに結合される。
【0157】
式Iでは、分岐ユニット「A」は、3つに分岐し、3個のサッカライドリガンドを収容する。分岐ユニットは、リガンドおよび核酸に共有結合する。分岐ユニットは、アルキル、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテルおよびヒドロキシアミノ基から選択される基を含む分岐脂肪族基を含み得る。分岐ユニットは、アルキルおよびエーテル基から選択される基を含み得る。
【0158】
分岐ユニットAは、
【化7】

から選択される構造を有し得、式中、各Aは独立に、O、S、C=OまたはNHであり;および各nは独立に1~20の整数である。
分岐ユニットは、
【化8】

から選択される構造を有し得、式中、各Aは独立に、O、S、C=OまたはNHであり;および各nは独立に1~20の整数である。
分岐ユニットは、
【化9】
から選択される構造を有し得、式中、Aは、O、S、C=OまたはNHであり;および各nは独立に1~20の整数である。
分岐ユニットは、構造:
【化10】
を有し得る。
分岐ユニットは、構造:
【化11】
を有し得る。
分岐ユニットは、構造:
【化12】
を有し得る。
任意選択で、分岐ユニットは、炭素原子のみからなる。
【0159】
「X」部分は、架橋ユニットである。架橋ユニットは直鎖であり、分岐ユニットおよび核酸に共有結合する。
は、-C-C20アルキレン-、-C-C20アルケニレン-、式(C-C20アルキレン)-O-(C-C20アルキレン)-のアルキレンエーテル、-C(O)-C-C20アルキレン-、-C-Cアルキレン(Cy)C-Cアルキレン-(式中、Cyは置換もしくは非置換5員もしくは6員シクロアルキレン、アリーレン、ヘテロシクリレンまたはヘテロアリーレン環である)、-C-Cアルキレン-NHC(O)-C-Cアルキレン-、-C-Cアルキレン-C(O)NH-C-Cアルキレン-、-C-Cアルキレン-SC(O)-C-Cアルキレン-、-C-Cアルキレン-C(O)S-C-Cアルキレン-、-C-Cアルキレン-OC(O)-C-Cアルキレン-、-C-Cアルキレン-C(O)O-C-Cアルキレン-、および-C-Cアルキレン-S-S-C-Cアルキレン-から選択され得る。
は、式-(C-C20アルキレン)-O-(C-C20アルキレン)-のアルキレンエーテルであり得る。Xは、式-(C-C20アルキレン)-O-(C-C20アルキレン)-のアルキレンエーテルであり得、上記(C-C20アルキレン)は、Zに結合する。Xは、-CH-O-C-、-CH-O-C-、-CH-O-C12-および-CH-O-C16-、特に、-CH-O-C-、-CH-O-C12-および-CH-O-C16-からなる群から選択され得、それぞれの場合で、-CH-基はAに結合される。
【0160】
リガンドは、式(II):
[S-X-P-X-A-X- (II)
の化合物を含み得、式中、
Sはサッカライドであり;
は、C-Cアルキレンまたはエチレングリコール基部(-CH-CH-O)(-CH-であり、mは1、2、または3であり;
Pは、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)であり;
はC-Cアルキレンであり;
Aは;
【化13】
から選択される分岐ユニットであり;Xは、架橋ユニットであり;
本発明による核酸は、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)を介してXに結合される。
【0161】
分岐ユニットAは、構造:
【化14】
を有し得る。
分岐ユニットAは、構造:
【化15】
を有し得、式中、Xは、窒素原子に結合される。
【0162】
はC-C20アルキレンであり得る。好ましくは、Xは、-C-、-C-、-C12-および -C16-、特に、-C-、-C12-および-C16-からなる群から選択される。
【0163】
リガンドは、式(III):
[S-X-P-X-A-X- (III)
の化合物を含み得、式中、
Sはサッカライドであり;
は、C-Cアルキレンまたはエチレングリコール基部(-CH-CH-O)(-CH-であり、mは1、2、または3であり;
Pは、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)であり;
は、式-C-O-CH-のアルキレンエーテルであり;
Aは、分岐ユニットであり、
は、-CH-O-CH-、-CH-O-C-、-CH-O-C-、-CH-O-C-、-CH-O-C10-、-CH-O-C12-、-CH-O-C14-、および-CH-O-C16-からなる群から選択される式のアルキレンエーテルであり、それぞれの場合で、-CH-基はAに結合され;
本発明による核酸は、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)を介してXに結合される。
【0164】
分岐ユニットは、炭素を含み得る。好ましくは、分岐ユニットは炭素である。
は、-CH-O-C-、-CH-O-C10-、-CH-O-C12-、-CH-O-C14-、および-CH-O-C16-からなる群から選択され得る。好ましくは、Xは、-CH-O-C-、-CH-O-C12-および-CH-O-C16-からなる群より選択される。
【0165】
上記態様のいずれかに対し、Pは、修飾リン酸基である。Pは:
【化16】
で表すことができ、式中、YおよびYは、それぞれ独立に、=O、=S、-O、-OH、-SH、-BH、-OCHCO、-OCHCO、-OCHC(S)OR、および-ORであり、式中、Rは、C-Cアルキルであり、
【化17】
は、化合物の残りの部分に対する結合を示す。
【0166】
修飾リン酸とは、1個または複数の酸素が置換されているリン酸基を意味する。修飾リン酸基の例には、ホスホロチオエート、ホスホロセレン酸、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステルが含まれる。ジチオリン酸は、硫黄により置換された両方の非結合酸素を有する。リン酸基中の1つ、それぞれまたは両方の非結合酸素は、独立に、S、Se、B、C、H、N、またはOR(Rはアルキルまたはアリール)の内のいずれか1つであり得る。
【0167】
リン酸リンカーはまた、結合酸素の窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)および炭素(架橋メチレンホスホネート)による置換により修飾できる。置換は、末端酸素で生じ得る。非結合酸素の窒素による置換が可能である。
例えば、Yは-OHであり、Yは=Oまたは=Sであり得;または
は-Oであり、Yは=Oまたは=Sであり得;
は=Oであり、Yは-CH、-SH、-OR、または-BHであり得る。
は=Sであり、Yは-CH、-ORまたは-SHであり得る。
当業者なら、特定の事例では、YとYの間で非局在化が存在することを理解するであろう。
【0168】
好ましくは、修飾リン酸基は、チオリン酸基である。チオリン酸基には、ビチオリン酸(bithiophosphate)(すなわち、YはSであり、Yは-Sである)およびモノチオリン酸(すなわち、Yは-Oであり、Yは=Sであるか、またはYは=Oであり、Yは-Sである)が挙げられる。好ましくは、Pはモノチオリン酸である。発明者らは、リン酸基の代わりに、チオリン酸基を有する複合体が改善された効力およびインビボ作用持続時間を有することを発見した。
【0169】
Pは、エチルリン酸であってもよい(すなわち、Yは=Oであり、YはOCHCHである)。
【0170】
サッカライドは、リガンドと呼ばれることもあり、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に対して親和性を有するように選択され得る。特に、受容体は、哺乳動物肝臓細胞上にあり、例えば、肝臓アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0171】
上記のいずれかの態様に対し、サッカライドは、ガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミンおよびフコースの内の1種または複数を有するN-アセチルから選択され得る。好ましくは、サッカライドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)の2つの分子である。本発明の化合物は3つのリガンドを有し得、これらは、それぞれ、好ましくはN-アセチルガラクトサミンである。
【0172】
「GalNAc」は、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを意味し、通常、文献中では、N-アセチルガラクトサミンと呼ばれる。「GalNAc」または「N-アセチルガラクトサミン」への言及は、β-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースおよびα-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方を含む。特定の実施形態では、β-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースおよびα-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方は、互換的に使用され得る。好ましくは、本発明の化合物は、β-型、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【化18】

2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノース
【化19】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース
【化20】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノース
【0173】
上記式(III)の化合物のいずれかに対し、Xはエチレングリコール基部(-CH-CH-O)m(-CH-であり得、mは1、2、または3である。Xは(-CH-CH-O)(-CH-であり得る。Xは(-CH-CH-O)(-CH-であり得る。Xは(-CH-CH-O)(-CH-であり得る。好ましくは、Xは、(-CH-CH-O)(-CH-である。あるいは、XはC-Cアルキレンである。Xはプロピレンであり得る。Xはブチレンであり得る。Xはペンチレンであり得る。Xはヘキシレンであり得る。好ましくは、アルキルは直鎖アルキレンである。特に、Xはブチレンであり得る。
【0174】
式(III)の化合物に対して、Xは、式-C-O-CH-のアルキレンエーテル、すなわち、Cアルコキシメチレン、または-CHCHCHOCH-である。
従って、本発明は、次記の内の1つの構造を有する複合化核酸をさらに提供する。
【化21】
式中、Zは、本明細書で定義の核酸である。
【0175】
式(I)、(II)または(III)のリガンドは、第1の(アンチセンス)鎖の3’-末端および/または第2の(センス)鎖の3’-および/または5’-末端のいずれかに結合できる。核酸は、2個以上の式(I)、(II)、または(III)のリガンドを含むことができる。しかし、式(I)、(II)または(III)の内の単一のリガンドが好ましい。理由は、単一のこのようなリガンドは、核酸を標的細胞に対して効率的に標的化するために十分であるためである。
【0176】
第1の(アンチセンス)鎖の5’-末端は、この位置のリガンドが核酸の生物活性を妨げる可能性があるために、式(I)、(II)または(III)のリガンドに結合されないのが好ましい。
【0177】
式(I)、(II)または(III)の単一リガンドを鎖の5’-末端に有する核酸は、3’-末端に同じリガンドを有する同じ核酸よりも、合成がより容易で、従ってより安価である。従って、式(I)、(II)または(III)のいずれかの単一リガンドが、核酸の第2の鎖の5’-末端に結合する(複合化する)のが好ましい。
【0178】
一実施形態では、核酸は、脂質を含むリガンド、より好ましくは、コレステロールを含むリガンドに結合する。
【0179】
本発明の複合体は、本明細書で開示のいずれかのリガンドに結合した、本明細書で開示の任意の核酸を含むことができる。
【0180】
本発明はまた、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制する複合体に関し、上記複合体は、本発明のいずれかの態様の核酸を含む核酸部分および少なくとも1つのリガンド部分を含み、上記少なくとも1つのリガンド部分がリンカー部分、好ましくはセリノール由来リンカー部分、および細胞のインビボ標的化のための標的化リガンドを含み、一方または両方のRNA鎖の3’および/または5’末端のみに結合され、第1のRNA鎖の5’末端は結合されず、
(i)第2のRNA鎖は、標的化リガンドの5’末端に結合され、(a)第2のRNA鎖はまた、標的化リガンドの3’末端でも結合され、第1のRNA鎖の3’末端は結合されず;または(b)第1のRNA鎖は、3’末端で標的化リガンドに対し結合され、第2のRNA鎖の3’末端は結合されず;または(c)第2のRNA鎖および第1のRNA鎖の両方はまた、3’末端で標的化リガンドに対し結合され;もしくは
(ii)第2のRNA鎖および第1のRNA鎖の両方は、3’末端で標的化リガンドに対し結合され、第2のRNA鎖の5’末端は結合されない。
【0181】
本発明のある実施形態では、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は、5’末端で標的化リガンドに結合され、第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)は、3’末端で標的化リガンドに結合され、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)の3’末端は、結合されず、それにより、図16Aに示される概略構造の複合体が形成される。
【0182】
本発明のある実施形態では、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は、5’末端で標的化リガンドに結合され、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は、3’末端でも標的化リガンドに結合され、第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)の3’末端は、結合されず、それにより、図16Bに示される概略構造の複合体が形成される。
【0183】
本発明のある実施形態では、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)および第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)の両方は、3’末端で標的化リガンドに結合され、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)の5’末端は結合されず、それにより、図16Cに示される概略構造の複合体が形成される。
【0184】
本発明のある実施形態では、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は5’末端で標的化リガンドに結合され、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)および第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)の両方は、3’末端で標的化リガンドに結合され、それにより、図16Dに示される概略構造の複合体が形成される。
【0185】
上記実施形態のいずれか1つで、
【化22】
は、リンカーを示し、これは、リガンドを核酸部分の末端に結合する;リガンドは、GalNAcなどのGalNAc部分であり得る;図16Eに示す概略構造は、核酸部分を表す。
【0186】
これらの概略図は、第1のまたは第2のヌクレオチドの数を限定する意図はなく、この図は、塩基の相補性に対する何らかの限定またはいずれか他の限定を示すものでもない。
【0187】
リガンドは、単量体または多量体(例えば、二量体、三量体、など)であり得る。
リガンドは単量体で、これにより、単一標的化リガンド部分、例えば、単一GalNAc部分を含むのが適切である。
あるいは、リガンドは、二量体リガンドであり得、このリガンド部分は、セリノール由来リンカー部分または非セリノールリンカー部分などの2つのリンカー部分を含み、それぞれが単一の標的化リガンド部分に結合する。
リガンドは、三量体リガンドであり得、この場合、リガンドは、セリノール由来リンカー部分または非セリノールリンカー部分などの3個のリンカー部分を含み、それぞれが単一の標的化リガンド部分に結合する。
2個または3個のセリノール由来リンカー部分は、直列に、例えば、以下に示すように、結合し得る:
【化23】
式中、nは1または2であり、YはSまたはOである。
好ましくは、リガンドは単量体である。
【0188】
適切には、複合化RNA鎖は、追加のリンカーを含むリンカー部分を介して標的化リガンドに結合され、追加のリンカーは、飽和非分岐または分岐C1-15アルキル鎖であるか、またはこれを含み、任意選択で、1個または複数の炭素(例えば、1、2または3個の炭素、好適には、1個または2個、特に1個)がO、N、S(O)から選択されるヘテロ原子により置換され(pは0、1または2である)(例えば、CH基がO、またはNH、またはS、またはSOで置換され、または鎖の末端または分岐部上の-CH基がOHまたはNHで置換される)、上記鎖は、1個または複数のオキソ基(例えば、1~3個、例えば、1個の基)で任意に置換されてもよい。
適切には、リンカー部分は、セリノール由来リンカー部分である。
より適切には、追加のリンカーには、飽和非分岐C1-15アルキル鎖を含み、1個または複数の炭素(例えば、1、2または3個の炭素、好適には、1個または2個、特に1個)が酸素原子により置換される。
より好適には、追加のリンカーは、PEG鎖を含む。
より好適には、追加のリンカーは、飽和非分岐C1-15アルキル鎖を含む。
より好適には、追加のリンカーは、飽和非分岐C1-6アルキル鎖を含む。
より好適には、追加のリンカーは、飽和非分岐CまたはCアルキル鎖、例えば、Cアルキル鎖を含む。
【0189】
ある実施形態では、
【化24】
は、式(V):
【化25】
の結合部分であり、式中、n、YおよびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
従って、ある実施形態では、標的化リガンド部分は、式(VI):
【化26】
の結合部分であり、式中、n、YおよびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、
【化27】
は、式(XIV):
【化28】
の結合部分であり、式中、n、Y、RおよびLは下記で定義され、Lは、標的化リガンド、例えば、GalNAcに結合され、ホスホロ基のOはRNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、標的化リガンド部分は、式(IV):
【化29】
の結合部分であり、式中、n、Y、RおよびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、
【化30】
は、式(VII):
【化31】
の結合部分であり、式中、n、YおよびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、標的化リガンド部分は、式(VIII):
【化32】
の結合部分であり、式中、n、YおよびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、
【化33】
は、式(IX):
【化34】
の結合部分であり、式中、F、Y、およびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、標的化リガンド部分は、式(IXa):
【化35】
の結合部分であり、式中、F、Y、およびLは下記で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端オリゴヌクレオシドに結合される。
適切には、Lは、
【化36】
である。
【0190】
上記構造のいずれかでは、適切には、リガンドは、GalNAcおよびガラクトース部分、特に、GalNAc部分から選択される。あるいは、GalNAcは、別の標的化リガンド、例えば、サッカライドで置換され得る。
【0191】
本発明のある実施形態では、第1のRNA鎖は、式(X):
【化37】
の化合物であり、bは0または1であり;および第2のRNA鎖は式(XI):
【化38】

の化合物であり、式中、
cおよびdは、独立に0または1であり;
およびZは、それぞれ上記第1および第2のRNA鎖のRNA部分であり;
YはOまたはSであり;
nは0、1、2または3であり;および
は、リガンドが結合するリンカーであり;
およびb+c+dは、2または3である。
適切には、第1のRNA鎖は、式(XV):
【化39】
の化合物であり、bは0または1であり;および
第2のRNA鎖は、式(XVI):
【化40】
の化合物であり、cおよびdは独立に0または1であり;
式中、
およびZは、それぞれ上記第1および第2のRNA鎖のRNA部分であり;
YはOまたはSであり;
はHまたはメチルであり;
nは0、1、2または3であり;および
Lは、式(XV)および(XVI)で同じまたは異なり、Lは、
-(CH-C(O)-、r=2~12;
-(CH-CH-O)-CH-C(O)-、s=1~5;
-(CH-CO-NH-(CH-NH-C(O)-、tは独立に1~5である;
-(CH-CO-NH-(CH-C(O)-、uは独立に1~5である;
-(CH-NH-C(O)-、vは2~12である;
からなる群より選択され;
存在する場合、末端C(O)は、NH基に結合され;および
b+c+dは、2または3である。
適切には、第1のRNA鎖は、式(XII):
【化41】
の化合物であり、bは0または1であり;および
第2のRNA鎖は、式(XIII):
【化42】
の化合物であり、式中、
cおよびdは、独立に0または1であり;
およびZは、それぞれ上記第1および第2のRNA鎖のRNA部分であり;
YはOまたはSであり;
nは0、1、2または3であり;および
は、式(XII)および(XIII)で同じまたは異なり、Lは、b、cおよびdの括弧内の部分で同じまたは異なり、Lは、下記からなる群より選択され:
【化43】

または
nは0であり、Lは:
【化44】
であり、末端OH基が存在せず、その結果、次の部分が形成され;
【化45】
;
(式中、
Fは、飽和分枝または非分枝(例えば、非分岐)C1-8アルキル(例えば、C1-6アルキル)鎖であり、炭素原子の1個が酸素原子で任意に置換されてもよいが、但し、上記酸素原子が、別のヘテロ原子(例えば、OまたはN原子)から少なくとも2個の炭素原子分だけ離されていることが条件である。
Lは、式(XII)および(XIII)で同じまたは異なり、Lは、
-(CH-C(O)-、r=2~12;
-(CH-CH-O)-CH-C(O)-、s=1~5;
-(CH-CO-NH-(CH-NH-C(O)-、tは独立に1~5である;
-(CH-CO-NH-(CH-C(O)-、uは独立に1~5である;
-(CH-NH-C(O)-、vは2~12である;
からなる群より選択され;
末端C(O)(存在する場合)は、NH基に結合され;および
b+c+dは、2または3である。
【0192】
GalNAcが存在する上記式のいずれか1つでは、GalNAcは、任意のその他の標的化リガンド、例えば、本明細書で記載のもので置換されてもよい。
適切には、bは0でcは1でdは1であり;bは1でcは0でdは1であり;bは1でcは1でdは0であり;またはbは1でcは1でdは1である。
より適切には、bは0でcは1でdは1であり;bは1でcは0でdは1であり;またはbは1でcは1でdは1である。
最も適切には、bは0でcは1でdは1である。
一実施形態では、YはOである。別の実施形態では、YはSである。
一実施形態では、RはHまたはメチルである。一実施形態では、RはHである。別の実施形態では、Rはメチルである。
一実施形態では、nは0、1、2または3である。適切には、nは0である。
一実施形態では、Lは、
-(CH-C(O)-、r=2~12;
-(CH-CH-O)-CH-C(O)-、s=1~5;
-(CH-CO-NH-(CH-NH-C(O)-、tは独立に1~5である;
-(CH-CO-NH-(CH-C(O)-、uは独立に1~5である;
-(CH-NH-C(O)-、vは2~12である;
からなる群より選択され;
末端C(O)は、NH基に結合される。
適切には、Lは、-(CH-C(O)-(r=2~12)である。適切には、r=2~6である。より適切には、r=4または6、例えば、4である。
適切には、Lは、
【化46】
である。
【0193】
F部分の例には、(CH1-6、例えば、(CH1-4、例えば、CH、(CH、(CH、または(CH、またはCHO(CH2-3、例えば、CHO(CH)CHが挙げられる。
適切には、Lは、
【化47】
である。
適切には、Lは、
【化48】
である。
適切には、Lは、
【化49】
である。
適切には、Lは、
【化50】
である。
適切には、nは0であり、Lは:
【化51】
であり、末端OH基が存在せず、その結果、次の部分:
【化52】
が形成され;式中、Yは本明細書の別の箇所で定義の通りである。
【0194】
b、cおよびdの括弧で括られた部分内で、Lは通常同じである。b、cおよびdの括弧で括られた部分間で、Lは同じかまたは異なり得る。ある実施形態では、cの括弧で括られた部分のLは、dの括弧で括られた部分のLと同じである。ある実施形態では、cの括弧で括られた部分のLは、dの括弧で括られた部分のLとは同じではない。ある実施形態では、例えば、リンカー部分がセリノール由来リンカー部分である場合、b、cおよびdの括弧で括られた部分のLは同じである。
【0195】
セリノール由来リンカー部分は、任意の立体化学、すなわち、L-セリン異性体、D-セリン異性体、ラセミセリンまたは異性体の他の組み合わせ由来の立体化学のセリノールをベースにしてよい。本発明の好ましい態様では、セリノール-GalNAc部分(SerGN)は、次の立体化学を有する:
【化53】

すなわち、セリン異性体由来の(S)セリノールアミダイトまたは(S)セリノールスクシネート固体担持構成単位をベースにする。
【0196】
一実施形態では、標的細胞は肝細胞である。
【0197】
本発明は、さらなる態様として、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸を提供し、核酸は、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が抑制されるべき上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、上記第1および/または第2の鎖が少なくとも2個の末端3’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含みおよび/または第2の鎖が少なくとも2個の末端5’ヌクレオチド間のジチオリン酸結合を含み、核酸分子がリンカーを介して直接または間接的にリガンドに結合される。
【0198】
このような核酸は、本明細書で記載のリガンドに結合され得る。第1および/または第2の鎖のヌクレオチドは、本明細書で記載のように修飾され得る。
リガンドは、GalNAcであってよい。
【0199】
切断可能な結合基は、細胞の外側では安定であるが標的細胞中に入ると切断されるリンカーである。切断は、リンカーが一緒に保持している2つの部分を放出する。
【0200】
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、標的細胞中でまたは第1の基準条件(これは、例えば、細胞内条件を模倣または表すように選択できる)下で、対象の血液中でよりも、または第2の基準条件(これは、例えば、血液または血清中で認められる条件を模倣または表すように選択できる)下の場合よりも、少なくとも10倍以上、好ましくは、少なくとも100倍急速に切断される切断可能な結合基を含む。
【0201】
切断可能な結合基は、切断薬剤、例えば、pH、レドックス電位、または分解性分子、の影響を受けやすい。分解性分子としては、酸化または還元酵素、還元剤(メルカプタンなど)、エステラーゼ、エンドソームまたは酸性環境を形成できる薬剤、一般的な酸、ペプチダーゼ、およびホスファターゼとして作用することにより酸切断可能な結合基を加水分解または分解できる酵素が挙げられる。
【0202】
切断可能な結合基は、ジスルフィド結合であり得、これは、pHの影響を受けやすい。
【0203】
リンカーは、特定の酵素により切断できる切断可能結合基を含み得る。リンカーに組み込まれる切断可能な結合基のタイプは、標的細胞に依存し得る。例えば、エステル基を含むリンカーは、肝臓細胞が標的である場合に好ましい。ペプチダーゼに富む肝臓細胞および滑膜細胞などの標的化細胞の場合には、ペプチド結合を含むリンカーを使用できる。
【0204】
一般に、切断可能な結合基候補は、分解性薬剤(または条件)の候補結合基を切断する能力を試験することにより評価できる。血液中でまたは他の非標的組織との接触時に切断に耐える能力について切断可能な結合基候補を試験することも望ましいであろう。好ましい実施形態では、有用な候補化合物は、血液または血清中(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較して、細胞中(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)で、少なくとも2、4、10または100倍速く切断される。
【0205】
一態様では、切断可能な結合基は、レドックス切断可能な結合基であり得る。レドックス切断可能な結合基は、ジスルフィド結合基であり得る。
【0206】
一態様では、結合基は、リン酸系切断可能結合基であり得る。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-Ρ(O)(Η)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、-O-P(S)(H)-S-である。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-である。
【0207】
一態様では、切断可能な結合基は、酸切断可能結合基であり得る。好ましくは酸切断可能結合基は、pHが6.5以下の環境で切断されるか、または一般的な酸として機能し得る酵素などの薬剤により切断される。酸切断可能結合基の例としては、ヒドラゾン、エステル、およびアミノ酸のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。酸切断可能基は、一般式-C=NN-;C(O)O、または-OC(O)を有し得る。好ましい実施形態は、エステルの酸素(アルコキシ基)に結合した炭素がアリール基、置換アルキル基、またはジメチル、ペンチルまたはt-ブチルなどの三級アルキル基である場合の結合基である。
【0208】
一実施形態では、切断可能な結合基は、エステル系酸切断可能結合基であり得る。エステル系切断可能な結合基の例としては、限定されないが、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基のエステルが挙げられる。
【0209】
一実施形態では、切断可能な結合基は、ペプチド系切断可能結合基であり得る。ペプチド系切断可能結合基は、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドを得るためにアミノ酸間で形成されたペプチド結合である。ペプチド系切断基は通常、アミノ酸間で形成されてペプチドおよびタンパク質が得られるペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、全アミド官能基を含まない。ペプチド系切断可能結合基は、一般式-NHCHRC(O)NHCHRC(O)-を有し、式中、RAおよびRBは2つの隣接するアミノ酸のR基である。
【0210】
一本鎖の合成
化合物例は、下記の方法および当業者に既知の方法に従って合成できる。オリゴヌクレオチド鎖およびリンカー構成単位の構築は、例えば、ホスホラミダイト法を適用して固相合成により実施され得る。固相合成は、塩基または修飾構成単位担持lcaa CPGから開始し得る。ホスホラミダイト合成カップリングサイクルは、1)DMT除去、2)必要なDMTマスクホスホラミダイトおよびベンジルチオテトラゾール(BTT)であり得る活性化剤を用いた鎖延長、3)非延長オリゴヌクレオチド鎖のキャッピング、続けて、ヨウ素(リン酸ジエステル結合が望ましい場合)またはEDITH(ホスホロチオエートまたはジチオリン酸結合が望ましい場合)によるP(III)からp(V)への酸化、および再度のキャッピング(Cap/Ox/CapまたはCap/Thio/Cap)、からなる。ジチオリン酸結合が望ましい場合には、ホスホラミダイト合成カップリングサイクルは、1)DMT除去、2)必要なDMTマスクチオホスホラミダイトを用いた鎖延長、3)非延長オリゴヌクレオチド鎖のキャッピング、続けて、EDITHによるP(III)からP(V)への酸化、および再びキャッピング(Cap/Thio/Cap)、からなる。三価の樹枝状GalNAcクラスターのオンカラム複合化に対しては、必要な三価の分岐アミダイトST41-phosを用いた同じホスホラミダイト合成サイクルと、続いて、GalNAcアミダイトST23-phosを用いた別の合成サイクルラウウンドが適用された。必要な構成単位は、商業的に入手でき、または合成については以下に記載する。
【0211】
全ての最終一本鎖生成物をAEX-HPLCにより分析し、それらの純度を検査した。純度は、%FLP(完全長生成物の%)で示し、これは、最終生成物のAEX-HPLC分析のUV出力における帰属生成物シグナル下のUV面積のパーセンテージである。それぞれの一本鎖生成物の確認をLC-MS分析により実施した。
【0212】
ST41(ST41-phos)ならびにST23(ST23-phos)のホスホラミダイト誘導体の合成は、国際公開第2017/174657号に記載されている通りに実施できる。
ST41-phos:
【化54】
ST23-phos:
【化55】
【0213】
二本鎖の合成
二本鎖複合体を得るために、必要な個別の一本鎖がHO中の60OD/mLの濃度に溶解される。両方の個別のオリゴヌクレオチドを反応容器に一緒に加えることができる。より容易な反応監視のために、滴定を行うことができる。260nmでのUV-吸収により測定して、第1の鎖は、第2の鎖に比べて25%過剰で添加される。上記反応混合物を、例えば、80℃で5分間加熱後、ゆっくり室温に冷却する。二本鎖形成をイオン対逆相HPLCにより監視し得る。残留一本鎖UV面積から、第2の鎖の必要量を計算して、反応混合物に添加できる。反応系を、例えば、80℃に再度加熱後、ゆっくり室温に冷却する。残留一本鎖の検出が10%未満になるまで、この手順を反復できる。
【0214】
本明細書に記載の核酸は、リポソームの形で脂質と配合され得る。このような配合物は、リポプレックスとして当該技術分野で呼ばれ得る。脂質/リポソームを含む組成物を用いて、本発明の核酸の標的細胞への送達を支援し得る。本明細書で記載の脂質送達システムは、複合化リガンドの代替として使用し得る。本明細書で記載の修飾が、脂質送達システムと共にまたはリガンド複合体送達システムと共に本発明の核酸を使用する場合、存在し得る。
【0215】
このようなリポプレックスは、下記を含む脂質組成物を含み得る:
i)カチオン性脂質、または薬学的に許容可能なその塩;
ii)ステロイド;
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質;
iv)ペグ化脂質。
【0216】
カチオン性脂質はアミノカチオン性脂質であってよい。
カチオン性脂質は、式(XIX):
【化56】
を有し得る化合物または薬学的に許容可能なその塩であり、式中、
Xは、O、SまたはNHであり;
およびRはそれぞれ独立に、C-C22直鎖または分岐鎖アルキル鎖またはC-C22直鎖または分岐鎖の1個または複数の二重結合を有するアルケニル鎖であり、アルキルまたはアルケニル鎖は、介在エステル、アミドまたはジスルフィドを任意に含み;
XがSまたはNHである場合、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、メチル、エチル、モノまたはポリアミン部分であり、またはRおよびRは一緒に、ヘテロシクリル環を形成し;
XがOである場合、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、メチル、エチル、モノまたはポリアミン部分であり、またはRおよびRは一緒に、ヘテロシクリル環を形成し、またはRは水素であり、およびRはC(NH)(NH)である。
【0217】
カチオン性脂質は、式(XIXA):
【化57】
をまたは薬学的に許容可能なその塩を有し得る。
カチオン性脂質は、式(XIXB):
【化58】
または薬学的に許容可能なその塩を有し得る。
カチオン性脂質成分の含量は、組成物の全脂質含量の約55mol%~約65mol%であり得る。特に、カチオン性脂質成分は、組成物の全脂質含量の約59mol%である。
【0218】
組成物は、ステロイドをさらに含んでよい。ステロイドはコレステロールであり得る。ステロイドの含量は、組成物の全脂質含量の約26mol%~約35mol%であり得る。より具体的には、ステロイドの含量は、脂質組成物の全脂質含量の約30mol%であり得る。
【0219】
ホスファチジルエタノールアミンリン脂質は、次記からなる群から選択され得る:1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPhyPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLoPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、1,2-ジスクアレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSQPE)および1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(SLPE)。リン脂質の含量は、組成物の全脂質含量の約10mol%であり得る。
【0220】
ペグ化脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(DMG-PEG)およびC16-セラミド-PEGは、からなる群から選択され得る。ペグ化脂質の含量は、組成物の全脂質含量の約1~5mol%であり得る。
【0221】
組成物中のカチオン性脂質成分の含量は、脂質組成物の全脂質含量の約55mol%~約65mol%、好ましくは脂質組成物の全脂質含量の約59mol%であり得る。
【0222】
組成物は、55:34:10:1;56:33:10:1;57:32:10:1;58:31:10:1;59:30:10:1;60:29:10:1;61:28:10:1;62:27:10:1;63:26:10:1;64:25:10:1;および65:24:10:1から選択されるi):ii):iii):iv)の成分のモル比を有し得る。
組成物は、次の構造を有するカチオン性脂質
【化59】
次の構造を有するステロイド
【化60】
次の構造を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質
【化61】
および次の構造を有するペグ化脂質
【化62】
を含み得る。
【0223】
中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、ホスファチジルグリセロールから形成され得るが、一方、アニオン性膜融合リポソームは、主としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成され得る。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、大豆PC、および卵PCなどから形成され得る。別のタイプは、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成される。
【0224】
正電荷の合成カチオン性脂質、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を使って、小さいリポソームを形成でき、これは、自発的に核酸と相互作用して脂質-核酸複合体を形成し、この複合体は組織培養細胞の細胞膜の負電荷脂質と融合できる。DOTMA類似体も使用してリポソームを形成できる。
【0225】
本明細書で記載の脂質の誘導体および類似体もリポソームを形成するために使用し得る。
【0226】
核酸含有リポソームは、種々の方法により作製できる。一例では、リポソームの脂質成分は、洗浄剤に溶解され、脂質成分とミセルが形成される。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質または脂質複合体であり得る。洗浄剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であり得る。洗浄剤の例としては、コレート、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコレート、およびラウロイルサルコシンが挙げられる。その後、核酸調製物は、脂質成分を含むミセルに加えられる。脂質上のカチオン基は、核酸と相互作用し、核酸の周りに凝縮してリポソームを形成する。凝縮後、例えば、透析により洗浄剤が除去され、核酸のリポソーム調製物を生じる。
【0227】
必要に応じ、凝縮反応中に、例えば、制御添加により、凝縮を助ける担体化合物を加えることができる。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)であり得る。pHも凝縮に有利なように調節されてよい。
【0228】
核酸配合物は、界面活性剤を含み得る。一実施形態では、核酸は、界面活性剤を含む乳剤として配合される。
【0229】
イオン化されていない界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。例としては、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステルなどの非イオン性エステル、非イオン性アルカノールアミド、および脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、およびエトキシ化/プロポキシル化ブロックポリマーなどのエーテルが挙げられる。
【0230】
水中に溶解または分散された場合に負電荷を有する界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。例としては、セッケンなどのカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルサルフェートおよびエトキシル化アルキルサルフェートなどの硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレートおよびスルホスクシネート、ならびにリン酸が挙げられる。
【0231】
水中に溶解または分散された場合に正電荷を有する界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。例としては、四級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。
【0232】
正電荷または負電荷を有する能力を有する界面活性剤は、両性界面活性剤である。例としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタインおよびホスファチドが挙げられる。
【0233】
「ミセル」は本明細書では、特定のタイプの分子構築物であり、その内部で両親媒性の分子が球状構造に配置され、それにより、分子の全ての疎水性の部分が内側を向き、親水性の部分を周囲水相と接触したまま残している。環境が疎水性の場合には、逆の配置が存在する。ミセルは、核酸、アルカリ金属アルキル硫酸塩、および少なくとも1種のミセル形成化合物の水溶液を混合することにより形成され得る。
【0234】
ミセル形成化合物の例としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウラート、ボリジオイル、イブニングプリムローズオイル、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシンおよび薬学的に許容可能なその塩、グリセリン、ポリグリセリン、リシン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテルおよびその類似体、ポリドカノールアルキルエーテルおよびその類似体、ケノデオキシコール酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0235】
フェノールおよび/またはm-クレゾールを、混合ミセル組成物に加えて、安定化剤および保存剤として機能させ得る。グリセリンなどの等張性剤を添加し得る。
【0236】
核酸調製物は、微粒子などの粒子中に組み込まれ得る。微粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはこれらの方法の組み合わせにより作製できる。
【0237】
本発明はまた、本発明の核酸または複合化核酸を含む組成物も提供する。医薬組成物は、薬物または診断薬として、単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用し得る。例えば、本発明の核酸または複合化核酸は、送達担体(例えば、リポソーム)および/または担体、希釈剤などの賦形剤と組み合わせることができる。防腐剤および安定剤などの他の薬剤も添加できる。核酸または複合化核酸の送達方法は、当技術分野において既知であり、当業者の知識の範囲内にある。
【0238】
本発明の核酸または複合化核酸はまた、他の治療化合物と組み合わせて、別々に、または混合した単位用量として同時に、投与できる。本発明はまた、安定化剤、保存剤、希釈剤、緩衝剤などの生理学的に/薬学的に許容可能な賦形剤中の本発明による核酸または複合化核酸を含む医薬組成物も含む。
【0239】
医薬組成物は、固体または液体形態での投与用として特別に処方され得る。組成物は、経口投与、非経口的投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射を含む)、局所投与、膣内または直腸内投与、舌下投与、眼投与、経皮投与、または経鼻投与用として処方され得る。皮下または静脈内による方法を用いた送達が好ましい。
【0240】
本発明の薬物および医薬組成物の投与量レベルは、定型的実験を用いて当業者により決定できる。一実施形態では、単位用量は、約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重の核酸を含み得る。あるいは、投与量は、10mg/kg体重~25mg/kg体重、または1mg/kg体重~10mg/kg体重、または0.05mg/kg体重~5mg/kg体重、または0.1mg/kg体重~5mg/kg体重、または0.1mg/kg体重~1mg/kg体重、または0.1mg/kg体重~0.5mg/kg体重、または0.5mg/kg体重~1mg/kg体重であり得る。投与量レベルはまた、例えば、体表面積などのほかのパラメーターによっても計算し得る。
【0241】
医薬組成物は、無菌注射可能水性懸濁液または水溶液、または凍結乾燥形態であり得る。一実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥リポプレックスまたはリポプレックスの水性懸濁液を含み得る。リポプレックスは、好ましくは本発明の核酸を含む。このようなリポプレックスを用いて、本発明の核酸をインビトロまたはインビボで標的細胞へ送達し得る。
【0242】
本発明の医薬組成物および薬物は、薬学的有効量で哺乳動物対象に投与し得る。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットから選択され得る。
【0243】
本発明のさらなる態様は、本発明の核酸もしくは複合化核酸、または疾患または障害の治療または予防に用いるための、本発明の核酸または複合化核酸を含む医薬組成物に関する。本発明は、安定化剤、保存剤、希釈剤、緩衝剤などの生理学的/薬学的に許容可能な賦形剤中の本発明による1種または複数のRNAi分子を含む医薬組成物を含む。
【0244】
医薬組成物は、無菌注射可能水性懸濁液または水溶液、または凍結乾燥形態であり得る。
【0245】
薬学的に許容可能な組成物は、治療有効量の本発明によるいずれかの実施形態における1種または複数の核酸を、単独で採用してまたは1種または複数の薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤と共に処方して含み得る。
【0246】
薬学的に許容可能な担体として機能し得る材料の例としては、下記が挙げられる:(1)糖類、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)トラガント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよび滑石;(8)賦形剤、例えば、カカオバターおよび坐剤ろう;(9)油類、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝剤液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸;(23)血清成分、例えば、血清アルブミン、HDLおよびLDL;および(22)医薬製剤で使用される他の非毒性適合物質。
【0247】
安定化剤は、核酸薬剤を安定化する薬剤、例えば、核酸と錯体を形成できるタンパク質、キレート化剤(例えば、EDTA)、塩、RNアーゼ阻害剤、およびDNアーゼ阻害剤であり得る。
【0248】
いくつかの事例では、薬物の効果を持続させるために、皮下または筋肉注射からの薬物の吸収を遅らせるのが望ましい。これは、低い水溶性を有する結晶質または非晶質物質の懸濁液の使用により実現し得る。薬物の吸収速度はしたがって、その溶解速度に依存し、この溶解速度は、次に、結晶の大きさおよび結晶型に依存し得る。あるいは、非経口投与の薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビークル中に溶解または懸濁することにより実現される。
【0249】
本明細書で記載の核酸は、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制可能である。本明細書で記載の核酸は、細胞中の標的遺伝子の発現を部分的に抑制可能である。抑制は完全、すなわち、本発明の核酸に非存在下での標的遺伝子発現の発現レベルの0%であり得る。標的遺伝子発現の抑制は、部分的であり得、すなわち、発現は、本発明の核酸の非存在下での標的遺伝子発現の15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または中間値であり得る。抑制は、ヒト対象などの対象に使用した場合、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または最大3ヶ月間継続する。核酸または核酸を含む組成物は、毎週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、5週毎に1回、6週毎に1回、7週毎に1回または8週毎に1回の使用のためであり得る。核酸は、皮下に、静脈内で使用するための、または経口、直腸または腹腔内などの任意の他の適用経路で使用するためのものであり得る。
【0250】
本発明の核酸で治療されているまたはこれを受けている細胞および/または対象では、標的遺伝子発現が、未治療細胞および/または対象に比べて、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは100%だけ抑制され得る。抑制のレベルは、標的遺伝子の発現または過剰発現に関連する疾患の治療を可能にし得、または遺伝子産物の機能のさらなる調査を可能にし得る。
【0251】
標的遺伝子は、次記であり得る:第VII因子、Eg5、PCSK9、TPX2、apoB、SAA、TTR、RSV、PDGF β遺伝子、Erb-B遺伝子、Src遺伝子、CRK遺伝子、GRB2遺伝子、RAS遺伝子、MEKK遺伝子、JNK遺伝子、RAF遺伝子、Erkl/2遺伝子、PCNA(p21)遺伝子、MYB遺伝子、JU遺伝子、FOS遺伝子、BCL-2遺伝子、ヘプシジン、活性化タンパク質C、サイクリンD遺伝子、VEGF遺伝子、EGFR遺伝子、サイクリンA遺伝子、サイクリンE遺伝子、WNT-1遺伝子、β-カテニン遺伝子、c-MET遺伝子、PKC遺伝子、NFKB遺伝子、STAT3遺伝子、サバイビン遺伝子、Her2/Neu遺伝子、トポイソメラーゼI遺伝子、トポイソメラーゼIIα遺伝子、p73遺伝子での変異、p21(WAF l/CIPl)遺伝子での変異、p27(KIPl)遺伝子での変異、PPM ID遺伝子での変異、RAS遺伝子での変異、カベオリン遺伝子での変異、MIB I遺伝子での変異、MTAI遺伝子での変異、M68遺伝子での変異、腫瘍抑制因子遺伝子での変異、およびp53腫瘍抑制因子遺伝子での変異。
【0252】
本発明のさらなる態様は、疾患または障害の治療または予防のための薬物の製造における本発明の核酸または複合化核酸に関する。
【0253】
また、本発明には、疾患または障害の治療または予防の方法が含まれ、方法は、治療を必要としている個体への本明細書に記載の核酸または複合化核酸含む医薬組成物の投与を含む。核酸組成物は、毎週2回、毎週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、5週毎に1回、6週毎に1回、7週毎に1回または8週毎に1回投与され得る。核酸は、皮下に、静脈内にまたは経口、直腸もしくは腹腔内などのいずれか他の適用経路を用いて対象に投与され得る。
【0254】
一実施形態では、対象は、核酸薬剤の初期量および1つまたは複数の維持量を投与される。維持量は初期量と同じまたはそれより少ない量、例えば、初期量の半分であり得る。維持量は、例えば、2、5、10、または30日毎に1回程度投与される。治療計画は、特定の疾患の性質、その重症度および患者の全身状態に応じて変化する、一定期間にわたり継続される。
【0255】
一実施形態では、組成物は、複数の核酸薬剤種を含む。別の実施形態では、核酸薬剤種は、天然の標的配列について、別の種とはオーバーラップせずまた隣接もしない配列を有する。別の実施形態では、複数の核酸薬剤種は、異なる天然の標的遺伝子に特異的である。別の実施形態では、核酸薬剤はアレル特異的である。
【0256】
本発明の核酸または複合化核酸はまた、他の治療化合物と組み合わせて、別々に、または、例えば、混合した単位用量として同時に使用するために投与できる。
【0257】
本発明の核酸または複合化核酸は、化学合成または核酸のインビトロ(例えば、ラン・オフ転写)またはインビボでの発現を含む当該技術分野における定型的方法を用いて作製できる。例えば、固相化学合成を用いて、または発現ベクターを用いて、作製できる。一実施形態では、発現ベクターは、本発明の核酸を標的細胞中で作製できる。
【0258】
本明細書で記載の核酸の合成方法は、当業者には既知である。
【0259】
化合物例を当業者に既知の方法に従って合成した。オリゴヌクレオチド鎖およびリンカー構成単位の構築は、ホスホラミダイト法を適用して固相合成により実施され得る。スキーム1は、固相オリゴヌクレオチド合成中にGalNAc樹枝状クラスターを構築するのに必要なトレブラーアミダイトC4xlt-phosおよびGalNAcアミダイト(ST23-phos)を示す。C4XLT-phosならびにST23-phosの合成は、国際公開第2017/174657号に記載の通りに実施し得る。
スキーム1:三価の樹枝状GalNAcクラスターのオンカラム複合化に使用されるトレブラーアミダイトおよびGalNAcアミダイトの構造
【化63】
【0260】
樹枝状GalNAcクラスター複合化SiRNAのオリゴヌクレオチド合成は、図11示すスキーム2に概要が示される。
【0261】
オリゴヌクレオチド鎖構築は、塩基担持担体、例えば、化合物例A0149(STS12009VL15L4B)の場合のように、5’DMT-2’FdU-スクシネート-lcaa-CPGを用いて開始され得る。第1のジチオリン酸結合の導入のために、ホスホラミダイト合成カップリングサイクルは、1)DMT除去、2)必要なDMTマスクチオホスホラミダイトを用いた鎖延長、3)非延長オリゴヌクレオチド鎖のキャッピング、続けて、EDITHによるP(III)からP(V)への酸化、および再度のキャッピング(Cap/Thio/Cap)、からなる。その後、合成サイクルを、生成物が完全長に達するまで、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート結合が望まれるかどうかに応じて、標準的DMT-ホスホラミダイトおよびCap/Ox/CapまたはCap/Thio/Capを用いて反復し得る。三価の樹枝状GalNAcクラスターのオンカラム複合化に対しては、必要な三価の分岐アミダイトC4XLTを用いる同じ合成サイクルと、続いて、GalNAcアミダイトST23を用いる別の合成サイクルラウウンドが適用され得る。この最後の合成装置ステップの完了時に、オリゴヌクレオチドが固体担体から切断され、追加の保護基がメチルアミン処理により除去され得る(ジチオリン酸が存在する場合には、20mMのDTTの存在下で)。粗生成物は、その後、NaCl勾配を適用するAEX-HPLCにより精製され得る。IEX精製由来の過剰な塩をSECにより除去して、最終生成物を得た。
【0262】
全ての最終一本鎖生成物をAEX-HPLCにより分析し、それらの純度を検査し得る。純度は、%FLP(完全長生成物の%)で示され、これは、最終生成物のAEX-HPLC分析のUV出力における帰属生成物シグナル下のUV面積のパーセンテージであり得る。それぞれの一本鎖生成物(非修飾またはGalNAc複合化オリゴヌクレオチド)の確認を、LC-MS分析により実施し得る。
【0263】
二本鎖siRNAの二本鎖形成は、それぞれの一本鎖の等モル添加および80℃への加熱により達成され得る。室温へのゆっくりした冷却は、完全な二本鎖形成をもたらす。二本鎖形成に続いて、IP-RP-HPLC(イオン対逆相HPLC)が実施され得る。二本鎖純度は、%二本鎖で与えられ得、これは、IP-RP-HPLC分析のUV出力における帰属生成物シグナル下のUV面積のパーセンテージである。
【0264】
本発明は、本明細書で記載の本発明のいずれかの態様による核酸もまた提供し、第1のRNA鎖は、末端5’(E)ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、末端5’(E)ビニルホスホネートヌクレオチドは、リン酸ジエステル結合により第1の鎖中の第2のヌクレオチドに結合されるのが好ましい。
【0265】
一実施形態では、第1の鎖は、2つ以上のリン酸ジエステル結合を含み得る。
一実施形態では、第1の鎖は、少なくとも末端の3つの5’ヌクレオチド間にリン酸ジエステル結合を含み得る。
一実施形態では、第1の鎖は、少なくとも末端の4つの5’ヌクレオチド間にリン酸ジエステル結合を含み得る。
一実施形態では、第1の鎖は、式(XVII):
(vp)-N(po)[N(po)]- (XVII)
を含み得、式中、「vp」は、5’(E)ビニルホスホネートであり、「N」はヌクレオチドであり、「po」はリン酸ジエステル結合であり、nは1~(第1の鎖中のヌクレオチドの総数-2)であり、好ましくは、nは1~(第1の鎖中のヌクレオチドの総数-3)であり、より好ましくは、nは1~(第1の鎖中のヌクレオチドの総数-4)である。
【0266】
一実施形態では、第1の鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート(ps)結合を含み得る。
一実施形態では、第1の鎖は、末端の2つの3’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合または末端の3つの3’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合をさらに含み得る。
一実施形態では、第1の鎖のその他のヌクレオチド間の結合は、リン酸ジエステル結合である。
一実施形態では、第1の鎖は、2つ以上のホスホロチオエート結合を含み得る。
【0267】
さらなる実施形態では、第2の鎖は、末端の2つの3’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合または末端の3つの3’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み得る。
別のさらなる実施形態では、第2の鎖は、末端の2つの5’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合または末端の3つの5’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み得る。
【0268】
ある実施形態では、末端5’(E)ビニルホスホネートヌクレオチドは、RNAヌクレオチドである。
【0269】
末端5’(E)ビニルホスホネートヌクレオチドは、5’-末端の天然のリン酸基がE-ビニルホスホネートで置換されているヌクレオチドであり、この場合、5’リン酸化された鎖の末端ヌクレオチドの架橋5’-酸素原子がメチニル(-CH=)基で置換されている:
【化64】
5’-末端に天然のリン酸を有するヌクレオチド
【化65】
5’末端に天然のE-ビニルホスホネートを有するヌクレオチド
【0270】
5’(E)ビニルホスホネートは5’-リン酸模倣物である。生物学的模倣物は、模倣されている元の分子と同じ機能を実行でき、元の分子に構造的に極めて類似の分子である。本発明の場合、5’(E)ビニルホスホネートは、正規の5’-リン酸の機能、例えば、効率的RISC担持を可能とする機能を模倣する。さらに、その僅かに変化した構造のために、5’(E)ビニルホスホネートは、ホスファターゼなどの酵素による脱リン酸化から保護することにより、5’-末端ヌクレオチドを安定化できる。
【0271】
本発明の一態様は、細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための本明細書で開示の核酸であり、核酸は、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、RISCによる核酸のプロセッシングを容易にするために、上記第1の鎖が複数の位置に修飾ヌクレオチドまたは非修飾ヌクレオチドを含む。
【0272】
一態様では、「RISCによるプロセッシングを容易にする」は、核酸はRISCによりプロセッシングされ得、例えば、いずれかの存在する修飾は、核酸がRISCによりプロセッシングされることを可能とし、それにより、siRNA活性が適切に生じ得ることを意味する。
【0273】
第1の鎖の5’末端からの位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第1の鎖の位置13に対応する第2の鎖のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0274】
第1の鎖上の位置に「対応する」第2の鎖上のヌクレオチドは、適切には、第1の鎖上のそのヌクレオチドと塩基対を形成するヌクレオチドである。
一態様では、第1の鎖の位置13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の位置13と塩基対を形成するヌクレオチドである。
一態様では、第1の鎖の位置11に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の位置11と塩基対を形成するヌクレオチドである。
一態様では、第1の鎖の位置12に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の位置12と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0275】
この命名法は、第2の鎖の他の位置にも適用され得る。例えば、二本鎖で平滑末端である19マー核酸では、第1の鎖の位置13は、第2の鎖の位置7と対を形成するであろう。第1の鎖の位置11は、第2の鎖の位置9と対を形成するであろう。この命名法は、第2の鎖の他の位置にも適用され得る。
【0276】
第1の鎖の位置13に対応するヌクレオチドは、適切には、二本鎖領域の第1のヌクレオチドから出発して、第2の鎖の3’から数えて第2の鎖の位置13である。同様に、第2の鎖の位置11は、適切には、二本鎖領域の第1のヌクレオチドから出発して、第2の鎖の3’から11番目である。この命名法は、第2の鎖の他の位置にも適用され得る。
【0277】
一態様では、部分的に相補的な第1と第2の鎖の場合には、第1の鎖上の位置に「対応する」第2の鎖のヌクレオチドは、その位置がミスマッチが存在する位置である場合には、塩基対を形成するとは限らないが、命名法の原理は、まだ当てはまる。
【0278】
二重鎖領域全体で(全てのオーバーハング領域を無視して)完全に相補的であり、核酸の二本鎖領域内でミスマッチが存在しない第1と第2の鎖が好ましい。
【0279】
また、好ましいのは、次の核酸である。
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第1の鎖の位置11に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第1の鎖の位置11および13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0280】
一態様では、第1の鎖の位置12に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、2’O-メチル修飾により修飾されない。この核酸に対する制限は、本明細書で記載のいずれか他の制限でも認められ得る。
【0281】
従って、本発明の別の態様は、第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第1の鎖の位置11~13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸である。
【0282】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。
【0283】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾され、および第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0284】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾され、および第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。
【0285】
第1および/または第2の鎖のヌクレオチドの50%超が2’O-メチル修飾を含み、例えば、好ましくは第1と第2の両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして測定して、第1および/または第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、もしくは85%またはそれ超が2’O-メチル修飾を含む、本明細書で開示の核酸。
【0286】
第1および/または第2の鎖のヌクレオチドの50%超が天然のRNA修飾を含み、例えば、好ましくは第1と第2の両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして測定して、第1および/または第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、もしくは85%またはそれ超がこのような修飾を含む、本明細書で開示の核酸。好適な天然修飾には、2’Oメチルに加えて、その他の2’糖修飾、特にDNAヌクレオチドをもたらす2’H修飾が含まれる。
【0287】
好ましくは、第1と第2両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして、20%以下、例えば、15%以下、または、例えば、10%超の第1および/または第2の鎖上の2’Oメチル修飾ではない2’修飾を有するヌクレオチドを含む、本明細書で開示の核酸。
【0288】
好ましくは、両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして、20%以下(例えば、15%以下、または、例えば、10%超)の第1および/または第2の鎖上の2’フルオロ修飾を含む、本明細書で開示の核酸。
【0289】
第1の鎖の5’末端から位置2および14および第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドを除いて、すべてのヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。好ましくは、2’O-メチルにより修飾されないヌクレオチドは、2’位置でフルオロにより修飾される。
【0290】
好ましいのは、核酸の全てのヌクレオチドが糖上の2’位置で修飾される、本明細書で開示の核酸である。好ましくは、これらのヌクレオチドは、2’O-メチル修飾ではなく、2’-フルオロ修飾により修飾される。
【0291】
本発明の核酸は、2’位置で2’Hにより修飾された1個または複数のヌクレオチドを含み得、従って、核酸内にDNAヌクレオチドを有する。本発明の核酸は、第1の鎖の5’末端から数えて、第1の鎖の位置2および/または14にDNAヌクレオチドを含み得る。核酸は、第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上にDNAヌクレオチドを含み得る。
一態様では、本発明の核酸当たり1個のDNAが存在する。
【0292】
本発明の核酸は、1個または複数のLNAヌクレオチドを含み得る。本発明の核酸は、第1の鎖の5’末端から数えて、第1の鎖の位置2および/または14にLNAヌクレオチドを含み得る。核酸は、第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上にLNAを含み得る。
【0293】
一態様では、核酸は、第1の鎖で交互の2-Oメチル修飾および2フルオロ修飾により修飾され、位置2および14(5’末端から出発して)は2’フルオロで修飾される。好ましくは、第2の鎖は、第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する第2の鎖上のヌクレオチドで2’フルオロ修飾により修飾される。好ましくは第2の鎖は、相補(二本鎖)領域の最初の位置で開始して3’末端から数えて位置11~13で2’フルオロ修飾により修飾され、残りの修飾は天然の修飾、好ましくは2’O-メチルである。
【0294】
一態様では、本発明の核酸は、1個または複数の逆位リボヌクレオチド、好ましくは、第2の鎖の3’末端で、5’-5’結合または3’-3’結合、好ましくは3’-3’結合を用いた逆位アデニンを含む。
【0295】
一態様では、核酸は、1、2、3または4つのジチオリン酸結合などの1つまたは複数のジチオリン酸結合を含む。好ましくは、第1と第2の鎖の5’および3’末端にそれぞれ1つずつ、最大で4つのジチオリン酸結合が存在する。
【0296】
全ての核酸の特徴は、本明細書で開示の全ての他の本発明の態様と組み合わせることができる。
【0297】
特に、好ましいのは、第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、核酸が下記の1つまたは複数または全てを含むsiRNA分子である核酸である:
(i)好ましくは、第2の鎖の3’末端で3’-3’結合の、逆位ヌクレオチド;
(ii)1つまたは複数のジチオリン酸結合;
(iii)第1の鎖の位置11または13に対応する第2の鎖のヌクレオチドであって、2’O-メチル修飾により修飾されず、好ましくは、これらの位置の一方または両方が2’フルオロ修飾を含む、第2の鎖のヌクレオチド;
(iv)全てのヌクレオチドの少なくとも80%が2’-O-メチル修飾を有するヌクレオチドを含む核酸;
(v)20%以下の2’フルオロ修飾を有するヌクレオチドを含む核酸。
【0298】
また、本発明で提供されるのは、第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドおよび第2の鎖の5’末端から位置7および/または9または7~9のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾され、および残りのヌクレオチドの少なくとも90%が2’Oメチル修飾されるか、または別の天然2’修飾を含む、本明細書で開示の核酸である。
オーバーハングのない平滑末端化二本鎖19塩基核酸で、特に好ましい例は:
【0299】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第2の鎖の5’末端からの位置7のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸である。
【0300】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第2の鎖の5’末端からの位置9のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0301】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第2の鎖の5’末端からの位置7および9のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0302】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第2の鎖の5’末端からの位置7~9のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0303】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されず、および第2の鎖の5’末端からの位置7および/または9、または7~9のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。
【0304】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾され、および第2の鎖の5’末端からの位置7および/または9、または7~9のヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾されない、本明細書で開示の核酸。
【0305】
第1の鎖の5’末端から位置2および14のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾され、および第2の鎖の5’末端からの位置7および/または9、または7~9のヌクレオチドが2’フルオロ修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。
【0306】
第1および/または第2の鎖のヌクレオチドの50%超が2’O-メチル修飾を含み、例えば、好ましくは第1と第2の両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして測定して、第1および/または第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、もしくは85%またはそれ超が2’O-メチル修飾を含む、本明細書で開示の核酸。
【0307】
第1および/または第2の鎖のヌクレオチドの50%超が天然のRNA修飾を含み、例えば、好ましくは第1と第2の両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして測定して、第1および/または第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、もしくは85%またはそれ超がこのような修飾を含む、本明細書で開示の核酸。好適な天然修飾には、2’Oメチルに加えて、その他の2’糖修飾、特にDNAヌクレオチドをもたらす2’H修飾が含まれる。
【0308】
好ましくは、第1と第2両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして、20%以下、例えば、15%以下、または、例えば、10%超の第1および/または第2の鎖上の2’Oメチル修飾ではない2’修飾を有するヌクレオチドを含む、本明細書で開示の核酸。
【0309】
好ましくは、両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセンテージとして、20%以下(例えば、15%以下、または、例えば、10%超)の第1および/または第2の鎖上の2’フルオロ修飾を含む、本明細書で開示の核酸。
【0310】
第1の鎖の5’末端からの位置2および14および第2の鎖の5’末端からの位置7および/または9のヌクレオチドを除き、全てのヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。好ましくは、2’O-メチルにより修飾されないヌクレオチドは、2’位置でフルオロにより修飾される。
【0311】
第1の鎖の5’末端からの位置2および14および第2の鎖の5’末端からの位置7~9のヌクレオチドを除き、全てのヌクレオチドが2’O-メチル修飾により修飾される、本明細書で開示の核酸。好ましくは、2’O-メチルにより修飾されないヌクレオチドは、2’位置でフルオロにより修飾される。
【0312】
20塩基対二重鎖領域を含む核酸では、第2の鎖は、好ましくは第1の鎖の位置13,12および11にそれぞれ対応する二本鎖の5’末端から数えてヌクレオチド8または9または10の2’O-メチル基を有さない。
【0313】
21塩基対二重鎖領域を含む核酸では、第2の鎖は、好ましくは第1の鎖の位置13,12および11にそれぞれ対応する二本鎖の5’末端から数えてヌクレオチド9または10または11の2’O-メチル基を有さない。
【0314】
本発明はまた、本明細書で開示の全ての修飾配列の非修飾配列にも関する。
本発明は、ここで以下の非限定的な図および実施例を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0315】
図1】末端位置で2つのホスホロチオエート(PS)、1つのPS、2つのジチオリン酸(PS2)、および1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイの結果を示す図である。
図2】末端位置で2つのPS、1つのPS、2つのPS2、および1つのPS2を含み、GalNAc部分中にPSを含まないGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイの結果を示す図である。
図3】個々の末端で1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイの結果を示す図である。
図4】個々の末端で1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体の活性を示す図である。
図5】第2の鎖の5’-末端でおよび第2の鎖の3’-末端でそれぞれ1つのPS2を含みリンカー部分中にPSを含まないGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイの結果を示す図である。
図6】第2の鎖の5’-末端でおよび第2の鎖の3’-末端でそれぞれ1つのPS2を含みGalNAc部分中にPSを含まないGalNAc-siRNA複合体の活性を示す図である。
図7】内部PSを含まないGalNAc部分と一緒に、種々のsiRNA末端でPS2を含むsiRNA複合体配列を示す図である。
図8】内部PSを含まないGalNAc部分と一緒に、種々のsiRNA末端でPS2を含むGalNAc siRNA複合体の血清安定性を示す図である。
図9】内部PSを含まないGalNAc部分と一緒に、種々のsiRNA末端でPS2を含むGalNAc siRNA複合体のインビトロ活性を示す図である。
図10】は、ジチオリン酸結合を含む樹枝状三価のGalNAc複合化オリゴヌクレオチドの合成フローチャートを示す。
図11】は、ジチオリン酸結合を含む別の樹枝状三価のGalNAc複合化オリゴヌクレオチドの合成フローチャートを示す。
図12】異なるsiRNA末端でPS2を含むGalNAc siRNA複合体のインビボmRNA低減活性を示す図である。
図13】異なるsiRNA末端でPS2を含むGalNAc siRNA複合体のインビボでの血清鉄低減活性を示す図である。
図14】内部PSを含むまたは含まないGalNAc部分と一緒に、種々のsiRNA末端でPS2およびPSを含むGalNAc siRNA複合体のインビトロ活性を示す図である。
図15】第2の鎖の5’および3’末端で各1つのセリノール結合GalNAcおよび末端ジチオリン酸を含むsiRNA複合体の活性を示す図である。
図16】リンカーを介してリガンドに結合された核酸の種々の実施形態の模式図を示す。
【0316】
実施例
実施例1
一般手順
siRNA修飾:ホスホロチオエート(PS)またはジチオリン酸結合(PS2)を有するsiRNAの合成。
【0317】
化合物例を、下記の方法および当業者に既知の方法に従って合成した。オリゴヌクレオチド鎖およびリンカー構成単位の構築は、ホスホラミダイト法を適用して固相合成により実施した。
【0318】
オリゴヌクレオチド合成、脱保護および精製は、当技術分野において既知の標準的手順に従った。
【0319】
全てのオリゴヌクレオチドは、標準的ホスホラミダイト化学を用いて、AKTA oligopilot合成装置で合成した。商業的に入手できる固体担体および2’O-メチルRNAホスホラミダイト、2’フルオロ、2’デオキシRNAホスホラミダイト(全て標準的保護、ChemGenes,LinkTech)およびチオホスホラミダイト(AM Biotech,GlenResearch)を製造者の推奨手順に従って使用した。
ST41(ST41-phos)ならびにST23(ST23-phos)のホスホラミダイト誘導体の合成は、国際公開第2017/174657号に記載されている通りに実施できる。
ST41-phos:
【化66】
ST23-phos:
【化67】
【0320】
付随的な試薬は、EMP Biotechから購入した。合成は、乾燥アセトニトリル中のホスホラミダイトの0.1M溶液を用いて実施し、ベンジルチオテトラゾール(BTT)(アセトニトリル中の0.3M)を活性化剤として使用した。カップリング時間は15分であった。Cap/OX/CapまたはCap/Thio/Capサイクルを適用した(Cap:AcO/NMI/ルチジン/アセトニトリル、酸化剤:ピリジン/HO中の0.1MのI)。ホスホロチオエートおよびジチオリン酸は、アセトニトリル中の50mMのEDITHを用いて導入した。その他の全ての試薬および溶媒は商業的に入手し、標準的試薬品質で使用した。
【0321】
DMT切断は、トルエン中の3%ジクロロ酢酸で処理することにより行った。プログラム合成繰り返しの完了時に、ジエチルアミン(DEA)洗浄を実施した。全てのオリゴヌクレオチドをDMTオフモードで合成した。
【0322】
40%のメチルアミン水溶液処理により、一本鎖をCPGから切断した。得られた粗製オリゴヌクレオチドは、塩化ナトリウム勾配を用いて、AKTA Pure HPLC Systemのイオン交換クロマトグラフィー(Resource Q、6mL、GE Healthcare)により精製した。画分含有生成物をプールし、サイズ排除カラム(Zetadex,EMP Biotech)で脱塩し、凍結乾燥した。
【0323】
オリゴヌクレオチドの合成
全ての一本鎖オリゴヌクレオチドは、上記および図10に記載の反応条件に従って合成された。
【0324】
全ての最終一本鎖生成物をAEX-HPLCにより分析し、それらの純度を検査した。純度は、%FLP(完全長生成物の%)で示し、これは、最終生成物のAEX-HPLC分析のUV出力における帰属生成物シグナル下のUV面積のパーセンテージである。それぞれの一本鎖生成物(非修飾、アミノ修飾、前駆物質またはGalNAc複合化オリゴヌクレオチド)の確認をLC-MS分析により実施した。
【表1】
【0325】
二本鎖形成
個別の一本鎖をHO中の60OD/mLの濃度に溶解した。両方の個別のオリゴヌクレオチドを反応容器に一緒に加えた。反応監視を容易にするために、滴定を行った。260nmでのUV-吸収により測定して、第1の鎖を、第2の鎖に比べて25%過剰で添加した。上記反応混合物を、例えば、80℃で5分間に加熱後、ゆっくり室温に冷却した。二本鎖形成をイオン対逆相HPLCにより監視した。残留一本鎖UV面積から、第2の鎖の必要量を計算し、反応混合物に添加した。反応系を80℃に再度加熱後、ゆっくり室温に冷却した。残留一本鎖の検出が10%未満になるまで、この手順を反復した。
【表2】
【0326】
実施例2
末端位置で2つのPS(STS12009L4)、1つのPS(STS12009V21L4)、2つのPS2(STS12009V16L4)、および1つのPS2(STS12009V15L4)を含むGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイ。GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、4つのPSにより内部的に安定化される。ホスホロチオエートおよびジチオリン酸はそれぞれ、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端、および第2の鎖の3’-末端に配置された。5μMのGalNAc-siRNA複合体を50%FBSと共に、37℃で3日間インキュベートした。RNAを抽出し、20%TBEポリアクリルアミドゲル上で分析し、結果を図1に示す。「UT」は、未処理試料を示し、「FBS」は、FBS処理を示す。「対照」は、それほど安定化されていない異なる配列のGalNAc-siRNA複合体を示す。
配列を表3示す。
【表3】
mA、mU、mC、mG:2’-OMe RNA
fA、fU、fC、fG:2’-F RNA
(ps):ホスホロチオエート
(ps2):ジチオリン酸
【0327】
実施例3
末端位置で2つのPS(STS12009L4、STS12009V20L50)、1つのPS(STS12009V19L50)、2つのPS2(STS12009V18L50)、および1つのPS2(STS12009V17L50)を含むGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイ。変種の-V20、-V19、-V18および-V17では、GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、PSを全く含まない。ホスホロチオエートおよびジチオリン酸はそれぞれ、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端、第2の鎖の5’-末端、および第2の鎖の3’-末端に配置された。STS12009L4は、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端および第2の鎖の3’-末端で2つの末端PSを含み、GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、4つの内部PSにより安定化される。5μMのGalNAc-siRNA複合体を50%FBSと共に、37℃で3日間インキュベートした。RNAを抽出し、20%TBEポリアクリルアミドゲル上で分析した。結果を図2に示す。「UT」は、未処理試料を示し、「FBS」は、FBS処理を示す。
配列を表4に示す。
【表4】
mA、mU、mC、mG:2’-OMe RNA
fA、fU、fC、fG:2’-F RNA
(ps):ホスホロチオエート
(ps2):ジチオリン酸
【0328】
実施例4
個々の末端で1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイ。GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、4つのPSにより内部的に安定化される。ホスホロチオエート修飾は、第1の鎖(STS12009V37L4)の5’-末端、第1の鎖(STS12009V36L4)の3’-末端、および第2の鎖(STS12009V34L4)の3’-末端に配置された。全ての他の非複合化両端は、各2つの末端PSにより安定化された。STS12009L4は、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端および第2の鎖の3’-末端で2つの末端PSを含む。5μMのGalNAc-siRNA複合体を50%FBSと共に、37℃で3日間インキュベートした。RNAを抽出し、20%TBEポリアクリルアミドゲル上で分析した。結果を図3に示す。「UT」は、未処理試料を示し、「FBS」は、FBS処理を示す。「対照」は、それほど安定化されていない異なる配列のGalNAc-siRNA複合体を示す。
配列を表5に示す。
【表5】
mA、mU、mC、mG:2’-OMe RNA
fA、fU、fC、fG:2’-F RNA
(ps):ホスホロチオエート
(ps2):ジチオリン酸
【0329】
実施例5
個々の末端で1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体の活性。GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、4つのPSにより内部的に安定化される。ホスホロチオエート修飾は、第1の鎖(STS12009V37L4)の5’-末端、第1の鎖(STS12009V36L4)の3’-末端、および第2の鎖(STS12009V34L4)の3’-末端に配置された。全ての他の非複合化末端は、各2つの末端PSにより安定化された。STS12009L4は、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端および第2の鎖の3’-末端でそれぞれ2つの末端PSを含む。実験は、初代培養マウス肝細胞で実施した。細胞を6ウェル当たり250,000細胞の濃度で播種し、100nM、10nMおよび1nMのGalNAc-siRNAで処理した。10nMのGalNAc-siRNAおよび1μg/mlのAtufectでのトランスフェクションは、対照として機能した。細胞を24時間後に溶解し、総RNAを抽出し、Tmprss6およびPtenのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRにより測定した。結果を図4に示す。各バーは、3回の技術的繰り返しの平均±SDを表す。配列を表5に示す。
【0330】
実施例6
第2の鎖の5’-末端でおよび第2の鎖の3’-末端でそれぞれ1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体(STS12009V40L50)の血清安定性アッセイ。GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合されたが、いずれの内部PSによっても安定化されない。STS12009L4は、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端および第2の鎖の3’-末端で2つの末端PSを含み、GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、4つの内部PSにより安定化される。5μMのGalNAc-siRNA複合体を50%FBSと共に、37℃で3日間インキュベートした。RNAを抽出し、20%TBEポリアクリルアミドゲル上で分析した。結果を図5に示す。「UT」は、未処理試料を示し、「FBS」は、FBS処理を示す。
配列を表6に示す。
【表6】
mA、mU、mC、mG:2’-OMe RNA
fA、fU、fC、fG:2’-F RNA
(ps):ホスホロチオエート
(ps2):ジチオリン酸
【0331】
実施例7
第2の鎖の5’-末端でおよび第2の鎖の3’-末端でそれぞれ1つのPS2を含むGalNAc-siRNA複合体(STS12009V40L50)の活性。GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合されたが、いずれの内部PSによっても安定化されない。STS12009L4は、第1の鎖の5’-末端、第1の鎖の3’-末端および第2の鎖の3’-末端でそれぞれ2つの末端PSを含む。ここで、GalNAcは第2の鎖の5’-末端に結合され、4つの内部PSにより安定化される。実験は、初代培養マウス肝細胞で実施した。細胞を6ウェル当たり250,000細胞の濃度で播種し、100nM、10nMおよび1nMのGalNAc-siRNAで処理した。ルシフェラーゼに対するsiRNAのGalNAc複合体(「GalNAc-Luc」)は、対照として機能する。細胞を24時間後に溶解し、総RNAを抽出し、Tmprss6およびPtenのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRにより測定した。結果を図6に示す。各バーは、3回の技術的繰り返しの平均±SDを表す。配列を表6に示す。
【0332】
実施例8
GalNAc部分の末端位置にホスホロチオエート、ジチオリン酸およびリン酸ジエステルを有するGalNAc-siRNA複合体の血清安定性アッセイ。GalNAcは、センス鎖の5’-末端に結合され、4つのPSにより内部的に安定化される(STS12009L4)か、またはそれにより安定化されない場合は、代わりにリン酸ジエステル結合を使用する(STS12009V54L50-V57L50)。ホスホロチオエート修飾は、第1の鎖の5’-末端(-V54L50)、3’-末端のみで(-V55L50、-V57L50)または第2の鎖のみの3’-末端で(-V56L50)を除く、二本鎖のすべての末端位置に配置された。特定のデザインでは、リン酸ジエステルは、siRNA二本鎖の末端位置に使用された(-V56L50、-V57L50)。
【0333】
5μMのGalNAc-siRNA複合体を50%FBSと共に、37℃で3日間インキュベートした。RNAを抽出し、20%TBEポリアクリルアミドゲル上で分析した。「UT」は、未処理試料を示し、「FBS」は、FBS処理を示す。「対照」は、それほど安定化されていない異なる配列のGalNAc-siRNA複合体を示す。
配列を図7に、結果を図8に示す。
【0334】
実施例9
種々の末端安定化化学(ホスホロチオエート、ジチオリン酸、リン酸ジエステル)を含むTmprss6標的化siRNAのGalNAc複合体を、初代培養マウス肝細胞での受容体媒介取り込みにより試験した。GalNAcは、第2の鎖の5’-末端に結合され、4つのPSにより内部的に安定化される(STS12009L4)か、またはそれにより安定化されない場合は、代わりにリン酸ジエステル結合を使用する(STS12009V54L50-V57L50)。ホスホロチオエート修飾は、第1の鎖の5’-末端(-V54L50)、3’-末端のみで(-V55L50、-V57L50)または第2の鎖のみの3’-末端で(-V56L50)を除く、二本鎖のすべての末端位置に配置された。特定のデザインでは、リン酸ジエステルは、siRNA二本鎖の末端位置に使用された(-V56L50、-V57L50)。
【0335】
実験を、初代培養マウス肝細胞で実施した。細胞を96ウェル当たり20,000細胞の濃度で播種し、125nM~0.2nMのGalNAc-siRNAで処理した。細胞を24時間後に溶解し、総RNAを抽出し、Tmprss6およびPtenのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRにより測定した。各バーは、3回の技術的繰り返しの平均±SDを表す。
配列を図7に、結果を図9に示す。
【0336】
実施例10
1個または複数の末端でジチオリン酸結合を含むTmprss6標的化GalNAc複合体は、血清鉄およびTmprss6 mRNAのインビボレベルを効果的に低減する。
STS12009L4およびSTS12009V34L4は、4つのホスホロチオエート結合により内部で安定化されるGalNAc部分を含む。STS12009V54L50は、内部ホスホロチオエート不含のGalNAc部分を含む。STS12009L4では、全ての非複合化末端は、各2つのホスホロチオエートにより安定化される。STS12009V34L4では、1つのジチオリン酸結合が第2の鎖の3’末端に存在し、一方、全ての他の非複合化末端は、それぞれ2つのホスホロチオエートにより安定化される。STS12009V54L50では、それぞれ1つのジチオリン酸が第1の鎖の3’末端、第2の鎖の5’末端および第2の鎖の3’末端に存在する。第1の鎖の5’末端は、2つのホスホロチオエートにより安定化される。これらのsiRNA複合体は、Tmprss6 mRNAレベルおよび血清鉄レベルの用量依存性低減を示す。ジチオリン酸含有複合体STS12009V34L4およびSTS12009V54L50は、ジチオリン酸を含まない基準化合物と同程度に活性である。従って、ホスホロチオエートの数は、活性を損なうことなく、10個(STS12009L4)から8個(STS12009V34L4)に、およびさらには2個(STS12009V54L50)に減らすことができる。STS12009V57L50は、第1の鎖の3’末端で、および第2の鎖の3’末端でそれぞれ1つのジチオリン酸結合を含む。両鎖の5’末端はリン酸ジエステルを含み、リンカー部分は内部リン酸ジエステルを含まない。このsiRNA複合体のインビボ活性は大きく低減される。
【0337】
C57BL/6雄マウス(n=6)を3mg/kg、1mg/kgおよび0.3mg/kgのGalNAc複合体で皮下治療した。肝臓切片を治療後7日に調製し、総RNAを組織から抽出し、TMPRSS6およびPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRにより測定した。加えて、血清鉄レベルを分析した。
配列を表7に、結果を図12および13に示す。
【0338】
実施例11
末端ジチオリン酸を有するGalNAc複合体はインビトロで活性である。
種々の末端安定化化学(ホスホロチオエート、ジチオリン酸、リン酸ジエステル)を含むTmprss6標的化siRNAのGalNAc複合体を、初代培養マウス肝細胞で受容体媒介取り込みにより試験した。三分岐GalNAc部分が第2の鎖の5’-末端に結合され、X0027、X0346、X0347中の4つのPSにより内部的に安定化される。この場合、第2の鎖の5’末端でホスホロチオエートは存在しない。X0214およびX0345では、GalNAc部分は、ホスホロチオエートを含まず、第2の鎖の5’末端でホスホロチオエートが存在する。X0214、X0345、X0346およびX0347では、ジチオリン酸修飾は、第1と第2の鎖の3’末端に存在する。第1の鎖の5’末端は、2つのホスホロチオエート(X0214、X0346)により安定化されるかまたは、リン酸ジエステル結合(X0345、X0347)を含む。記載した全ての複合体は、インビトロで標的mRNAレベルを低減する。X0214およびX0346は、X0345およびX0347に比較して、低下された活性を示した。これは、第1の鎖の5’末端でのホスホロチオエートは、インビトロでsiRNAの活性に悪影響を与えることを示唆する。
【0339】
実験を、初代培養マウス肝細胞で実施した。細胞を96ウェル当たり20,000細胞の濃度で播種し、0.1nM、1nM、10nMおよび100nMのGalNAc-siRNAで処理した。細胞を24時間後に溶解し、総RNAを抽出し、TMPRSS6およびPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRにより測定した。各バーは、3回の技術的繰り返しの平均±SDを表す。
配列を下表7に、データを図14に示す。
【0340】
実施例12
第2の鎖の5’および3’末端でそれぞれ1つのセリノール結合GalNAcおよび末端ジチオリン酸を有するsiRNA複合体は、インビトロで活性である。
TMPRSS6標的化GalNAc-複合化siRNAを、初代培養マウス肝細胞で受容体媒介取り込みにより試験した。X0454およびX0456の両方では、それぞれ1つのセリノール結合GalNAc部分を第2の鎖の5’および3’末端に結合した。両方の複合体は、第1の鎖の5’末端で(E)-ビニルホスホネートを含む。第1の鎖の5’末端でホスホロチオエートは存在しない。X0454では、それぞれ2つのホスホロチオエートが第1の鎖の3’末端でおよび第2の鎖の5’および3’末端で存在する。各GalNAc部分は1つのホスホロチオエートを含む。X0456では、それぞれ1つのホスホロチオエートが、第1の鎖の3’末端でおよび第2の鎖の5’および3’末端で最後の2つのヌクレオチド間に存在する。不確定の不斉中心はX0456には存在しない。125nMのルシフェラーゼ標的化GalNAc複合化siRNAを非標的化対照として用いた。これは、標的mRNAレベルを低減しない。Tmprss6標的化複合体は両方とも、標的mRNAのインビトロレベルを低減する。従って、ジチオリン酸は、第2の鎖の両端で単一GalNAc部分を有するsiRNAの末端安定化に適用できる。
【0341】
実験を、初代培養マウス肝細胞で実施した。細胞を96ウェル当たり20,000細胞の濃度で播種し、0.2nM、1nM、5nM、25nM、および125nMのGalNAc-siRNAで処理した。細胞を24時間後に溶解し、総RNAを抽出し、TMPRSS6およびActbのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRにより測定した。各バーは、3回の技術的繰り返しの平均±SDを表す。
配列を下表7に、データを図15に示す。
【0342】
発明の記載
1.細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、上記第1および/または第2の鎖が少なくとも2個のヌクレオチドの間にジチオリン酸結合を含む、核酸。
2.第1の鎖が、5’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのいずれかの間にジチオリン酸結合を含まない、記載1の核酸。
3.第1の鎖の3’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にジチオリン酸結合を含む、記載1または2の核酸。
4.第2の鎖の3’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にジチオリン酸結合を含む、記載1~3の核酸。
5.第2の鎖の5’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエート結合または第2の鎖の5’末端で2、3または4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にジチオリン酸結合を含む、記載1~4のいずれか1つの核酸。
6.その末端にジチオリン酸結合が存在しない場合に第1の鎖上の3個の末端3’ヌクレオチドのそれぞれの間および/または3個の末端5’ヌクレオチドのそれぞれの間に、および/または第2の鎖の3個の3’末端ヌクレオチドのそれぞれの間および/または3個の5’末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエート結合を含む、記載1~5のいずれか1つに記載の核酸。
7.第1の鎖および第2の鎖が、別々の鎖である、記載1~6のいずれかの核酸。
8.第1の鎖および第2の鎖を含む一本鎖を含む、記載1~6のいずれかの核酸。
9.上記第1の鎖および/または上記第2の鎖が、それぞれ17~35ヌクレオチド長である、記載1~8のいずれかの核酸。
10.少なくとも1つの二重鎖領域が、17~25個のヌクレオチド塩基対からなる、記載1~9のいずれかの核酸。
11.記載1~10のいずれかの核酸であって、
a)両端で平滑末端であり;または
b)一端でオーバーハングを有し、他端で平滑末端を有し;または
c)両端でオーバーハングを有する、核酸。
12.第1および/または第2の鎖上の1個または複数のヌクレオチドが修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成する、記載1~11のいずれかの核酸。
13.第1の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドが修飾される、記載12の核酸。
14.第1の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドが、少なくとも第2の修飾により修飾され、少なくとも第2の修飾が、記載13の修飾とは異なる、記載13の核酸。
15.1個または複数の修飾偶数ヌクレオチドの内の少なくとも1個が、1個または複数の修飾奇数ヌクレオチドの少なくとも1個に隣接する、記載14の核酸。
16.複数の奇数ヌクレオチドが修飾される、記載13~15のいずれか1つの核酸。
17.複数の偶数ヌクレオチドが、第2の修飾により修飾される、記載14~16のいずれか1つの核酸。
18.第1の鎖が、共通の修飾により修飾される隣接するヌクレオチドを含む、記載12~17のいずれかの核酸。
19.第1の鎖が、記載13の修飾とは異なる第2の修飾により修飾される隣接ヌクレオチドを含む、記載13~18のいずれかの核酸。
20.第2の鎖の1個または複数の奇数ヌクレオチドが、記載13の修飾とは異なる修飾により修飾される、記載13~19のいずれかの核酸。
21.第2の鎖の1個または複数の偶数ヌクレオチドが、記載13の修飾により修飾される、記載13~19のいずれかの核酸。
22.第2の鎖の1個または複数の修飾偶数ヌクレオチドの内の少なくとも1個が、1個または複数の修飾奇数ヌクレオチドに隣接する、記載20または21の核酸。
23.第2の鎖の複数の奇数ヌクレオチドが、共通の修飾により修飾される、記載20~22のいずれかの核酸。
24.複数の偶数ヌクレオチドが、記載13の修飾により修飾される、記載20~23のいずれかの核酸。
25.複数の奇数ヌクレオチドが、第2の修飾により修飾され、第2の修飾が記載13の修飾とは異なる、記載20~24のいずれかの核酸。
26.第2の鎖が、共通の修飾により修飾される隣接するヌクレオチドを含む、記載20~25のいずれかの核酸。
27.第2の鎖が、記載13の修飾とは異なる第2の修飾により修飾される隣接するヌクレオチドを含む、記載20~26のいずれかの核酸。
28.第1の鎖のそれぞれの奇数ヌクレオチドおよび第2の鎖のそれぞれの偶数ヌクレオチドが、共通の修飾により修飾される、記載12~27のいずれか1つの核酸。
29.第1の鎖のそれぞれの偶数ヌクレオチドが第2の修飾により修飾され、第2の鎖のそれぞれの奇数ヌクレオチドが、第2の修飾により修飾される、記載13~28のいずれか1つの核酸。
30.第1の鎖の修飾ヌクレオチドが、第2の鎖の非修飾または異なって修飾されたヌクレオチドに対し少なくとも1個のヌクレオチドだけシフトされている、記載20~29のいずれか1つの核酸。
31.第1の鎖が、配列番号1の配列を含む、記載1~30のいずれか1つの核酸。
32.第2の鎖が、配列番号2の配列を含む、記載1~30のいずれか1つの核酸。
33.修飾(単数または複数)が、それぞれ個別に、3’-末端デオキシチミン、2’-O-メチル、2’-デオキシ修飾、2’-アミノ修飾、2’-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホラミデート修飾、5’-ホスホロチオエート基修飾、5’リン酸または5’リン酸模倣物修飾およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群より選択される、記載8~32のいずれか1つの核酸。
34.修飾が、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチドまたは非天然塩基含有ヌクレオチドの内のいずれか1つである、記載8~33のいずれか1つの核酸。
35.少なくとも1つの修飾が、2’-O-メチルである、記載8~34のいずれか1つの核酸。
36.少なくとも1つの修飾が、2’-Fである、記載8~35のいずれか1つの核酸。
38.リガンドと結合される、記載1~37のいずれか1つの核酸。
39.その末端にジチオリン酸が存在しない場合、第1および/または第2の鎖の末端の1、2または3個の3’ヌクレオチド間および/または5’ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、記載1~38のいずれか1つの核酸。
40.細胞中の標的遺伝子の発現を抑制するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部および第1の鎖に対し少なくとも部分的に相補的である第2の鎖の少なくとも一部を含む少なくとも1つの二重鎖領域を含み、上記第1の鎖が抑制されるべき上記標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対し少なくとも部分的に相補的であり、上記第1および/または第2の鎖が少なくとも2個の末端3’ヌクレオチドの間のジチオリン酸結合を含み、および/または第2の鎖が少なくとも2個の末端5’ヌクレオチドの間のジチオリン酸結合を含み、核酸分子がリガンドに結合される、核酸。
41.リガンドが、1個または複数のGalNAcリガンドおよびその誘導体を含む、記載38~40のいずれかの核酸。
42.リガンドが、(i)1個または複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分およびその誘導体、および(ii)リンカーを含み、リンカーが、GalNAc部分を記載1~41のいずれかで定義の配列に結合する、記載38~41のいずれかの核酸。
43.ヌクレオチドが、記載1~42のいずれかで定義のように修飾される、記載40の核酸。
44.リガンドが、式I:
[S-X-P-X-A-X- (I)
を含み、式中、
Sは、サッカライドであり、サッカライドはN-アセチルガラクトサミンであり;
は、C-Cアルキレンまたは(-CH-CH-O)(-CH-であり、mは1、2、または3であり;
Pは、リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)であり;
は、式(-CH-O-CH-のアルキレンまたはアルキレンエーテルであり、n=1~6であり;
Aは、分岐ユニットであり、
は、架橋ユニットであり;
リン酸または修飾リン酸(好ましくはチオリン酸)を介してXに結合される、記載1~43の核酸。
45.次の構造:
【化68】
の内の1つを有し、Zは記載1~39のいずれかの核酸である、複合化核酸。
46.リガンドが、下記を含む、記載1~45のいずれかの核酸。
【化69】
47.上記第1の鎖の5’末端から位置2および14でのヌクレオチドが、2’フルオロ修飾により修飾され、および上記第1の鎖の位置11、または13、または11および13、または11~13に対応する上記第2の鎖上のヌクレオチドが、2’フルオロ修飾により修飾される、記載1~27、31~32または39~43のいずれかに記載の核酸。
48.第1のRNA鎖は、式(XV):
【化70】
の化合物であり、式中、bは0または1であり;および
第2のRNA鎖は、式(XVI):
【化71】
の化合物であり、cおよびdは独立に0または1であり;
式中、
およびZは、それぞれ上記第1および第2のRNA鎖のRNA部分であり;
Yは、OまたはSであり;
は、Hまたはメチルであり;
nは、0、1、2または3であり;および
Lは、式(XV)および(XVI)で同じまたは異なり、およびLは、
-(CH-、q=2~12;
-(CH-C(O)-、r=2~12;
-(CH-CH-O)-CH-C(O)-、s=1~5;
-(CH-CO-NH-(CH-NH-C(O)-、tは独立に1~5である;
-(CH-CO-NH-(CH-C(O)-、uは独立に1~5である;
-(CH-NH-C(O)-、vは2~12である;
からなる群より選択され;
末端C(O)(存在する場合)は、NH基に結合され;および
b+c+dは、2または3である記載1-43、または47のいずれかに記載の核酸。
49.bは0でありcは1でありdは1である、記載48の核酸。
50.bは1でありcは0でありdは1である、記載48の核酸。
51.bは1でありcは1でありdは0である、記載48の核酸。
52.bは1でありcは1でありdは1である、記載48の核酸。
53.YはOである、記載48~52のいずれかの核酸。
54.YはSである、記載48~52のいずれかの核酸。
55.RはHである、記載48~54のいずれかの核酸。
56.Rはメチルである、記載48~54のいずれかの核酸。
57.nは0である、記載48~56のいずれかの核酸。
58.Lは、-(CH-C(O)-であり、r=2~12である、記載48~57のいずれかの核酸。
59.r=2~6である、記載58の核酸。
60.r=4または6、例えば、4である、記載59の核酸。
61.1~60の記載および式のいずれかで定義の核酸を含む組成物であって、
i)カチオン性脂質、または薬学的に許容可能なその塩;
ii)ステロイド;
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質;
iv)ペグ化脂質、
を含む組成物。
62.組成物中のカチオン性脂質成分の含量が、脂質組成物の全脂質含量の約55mol%~約65mol%、好ましくは脂質組成物の全脂質含量の約59mol%である、記載61の組成物。
63.配合物が、
次の構造を有するカチオン性脂質;
【化72】
次の構造を有するステロイド;
【化73】
次の構造を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質;
【化74】
および次の構造を有するペグ化脂質;
【化75】
を含む記載62の組成物。
64.記載1~63のいずれかの核酸または複合化核酸および生理学的に許容可能な賦形剤を含む組成物。
65.疾患または障害の治療での使用のための記載1~64のいずれかの核酸または複合化核酸。
66.疾患または障害の治療のための薬物の製造における記載1~65のいずれかの核酸または複合化核酸の使用。
67.治療を必要としている個体に記載1~66のいずれか1つの核酸または複合化核酸を含む組成物を投与することを含む疾患または障害を治療する方法。
68.核酸または複合化核酸分子が、対象の皮下にまたは静脈内に投与される、記載67の方法。
69.記載1~65のいずれかの核酸または複合化核酸を製造する方法。


【表7】
凡例
「A」で終わる配列(X0456Aのように)は、第1の鎖の配列であり、「B」で終わる配列(X0456Bのように)は、第2の鎖の配列である。
mA、mU、mC、mG:2’-OMe RNA
fA、fU、fC、fG:2’-F RNA
(ps):ホスホロチオエート
(ps2):ジチオリン酸
(vp):ビニル-(E)-ホスホネート
【0343】
上記配列は、リンカーまたはリガンド、例えば、GalNAcまたは(ps)または(ps2)結合と共に開示され得る。これらはオプションであるが、配列表の配列の好ましい部分を形成する。
本明細書では、以下の略語が使用され得る。
【表8】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16