(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】呼吸を支援するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240328BHJP
A61H 23/02 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
A61N1/36
A61H23/02 340
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021161143
(22)【出願日】2021-09-30
(62)【分割の表示】P 2019091868の分割
【原出願日】2012-01-25
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2011-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513188561
【氏名又は名称】アペリス・ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】マクラクラン,アンガス
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/071919(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0076518(US,A1)
【文献】米国特許第05168759(US,A)
【文献】特表2008-540062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08
A61H 23/02
A61H 31/00
A61N 1/00 - A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)人工呼吸器と、
(b)機器であって、(i)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(ii)電気刺激を、対象の少なくとも幾つかの呼気筋に送達するように適合されているデバイスであって、前記
電気刺激は、前記対象の呼吸サイクルの吸気相及び呼気相に同期し、前記呼気筋の収縮を引き起こすか、または増加させるのに効果的である前記デバイスと、を有する前記機器と、
を備え、
前記機器は、前記人工呼吸器及び/又は前記センサから受信した信号に応答して、前記電気刺激を送達するように構成されており、
前記電気刺激は、前記対象の下胸部又は腹部の収縮を引き起こす、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記
電気刺激は、前記対象の呼吸サイクルの前記呼気相の開始によってトリガされ、前記対象の呼吸サイクルの前記呼気相の少なくとも一部の間に前記呼気筋の収縮を引き起こすか、または増加させるのに効果的である、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、
前記デバイスは、吸気の開始に干渉することを避けるために、前記呼気相の終了の十分前に、前記送達される
電気刺激を中止するようにさらに適合されている、システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、
前記
電気刺激は、前記対象の呼気を支援するために効果的である、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記対象は、通常より高いEELVを示し、前記
電気刺激は、前記
電気刺激がない前記対象の終末呼気肺気量位(EELV)と比較して、前記対象のEELVの減少をもたらすために効果的である、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサは、ひずみゲージを備える、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサは、呼吸誘導プレチスモグラフィ又は圧電センサを有する、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサは、前記対象の皮膚上に配置するために好適な接着パッチに組み込まれる、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサは、前記デバイスに物理的に接続される、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサは、前記デバイスと無線通信する、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、
電力供給装置を更に備える、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、
対象が前記デバイスをオンまたはオフにすることを可能にする制御ユニットをさらに備える、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、
前記機器は、対象の呼吸パターンまたは活動レベルを分析し、少なくとも部分的に前記分析に基づいて、周波数、振幅、デューティサイクル、パルス形状、及びハルス幅から選択された1つ以上の刺激パラメータを調節する、コントローラを備える、システム。
【請求項14】
請求項2に記載のシステムであって、
前記デバイスは、
(a)前記呼気相の開始後0.01秒から0.25秒以内;又は
(b)前記呼気相の開始後0.5秒から2秒以内
に前記
電気刺激を送達するように適合されている、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサ、前記デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、
前記
電気刺激は、1Hzから200Hzの間で、30mAから500mAの間の刺激振幅を有して、10μsから1000μsの間のパルス幅で、0.1秒から2秒の間の期間の間、送達されるパルストレインを有する、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、
前記センサは、圧力ベースの気流センサ又は温度気流センサである、システム。
【請求項18】
(a)人工呼吸器と、
(b)機器であって、(i)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(ii)電気刺激を、対象の少なくとも幾つかの呼気筋に送達するように適合されているデバイスであって、前記
電気刺激は、前記対象の呼吸サイクルの吸気相及び呼気相に同期し、前記呼気筋の収縮を引き起こすか、または増加させるのに効果的である前記デバイスと、を有する前記機器と、
を備え、
前記機器は、前記人工呼吸器及び/又は前記センサから受信した信号に応答して、前記電気刺激を送達するように構成されており、
前記デバイスは、前記対象の下胸部又は腹部を機械的に圧迫する電気活性ポリマーを更に備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
関連出願の相互参照
本願は、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2011年1月25日出願の米国仮出願第61/436,010号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
呼吸器系に影響を及ぼす疾患は、罹患率および死亡率の有意な原因である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、有病率が今後20年間で大幅に上昇することが予期される、一般的な疾患である。COPDは、患者の日常の機能および生活の質を低下させる影響を及ぼし得る。気管支拡張剤およびコルチコステロイド等の薬理療法が、COPDの治療で広く使用されている。種々の非薬理治療法も利用可能である。しかしながら、かなりの割合の患者が、そのような介入にもかかわらず、持続性の症状を体験している。COPDを管理することに役立つ革新的アプローチの必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]
本発明は、いくつかの態様では、(a)対象が息を吐き出しているときを感知することと、(b)対象の呼気を支援するよう、該感知に応答して、呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に刺激を対象の胸部または腹部に送達することと、を含む、対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、肺の過膨張に罹患している。いくつかの実施形態では、本方法を行うことは、支援されていないときの対象の終末呼気肺気量位(EELV)と比較して、対象のEELVを減少させる。いくつかの実施形態では、対象は、刺激がない場合に異常に高いEELVを有する。いくつかの実施形態では、対象は、刺激がない場合に動的過膨張に罹患している。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、対象の胸部または腹部の呼吸運動を検出することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、誘導プレチスモグラフィを使用して、対象の胸部または腹部の呼吸運動を検出することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、ひずみゲージを使用して、対象の胸部または腹部の呼吸運動を検出することを含む。いくつかの実施形態では、感知することは、少なくとも部分的に、対象の皮膚上に配置するために好適な接着パッチに組み込まれるセンサを使用して行われる。いくつかの実施形態では、感知することは、対象の外部で起こる。いくつかの実施形態では、刺激は、対象の外部に送達される。いくつかの実施形態では、感知することは、対象の外部で起こり、刺激は、対象の外部に送達される。いくつかの実施形態では、センサ、デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる。いくつかの実施形態では、センサおよびデバイスは、同一の衣服またはベルトに組み込まれる。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、電気刺激を、1つ以上の呼気筋に、および/または1つ以上の呼気筋に供給する遠心性神経(複数可)に送達することを含み、該刺激は、該筋肉(複数可)の収縮を引き起こすか、または該筋肉(複数可)によって生成される呼気力を増加させるのに十分である。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、電気刺激を1つ以上の腹筋に送達することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、電気刺激を腹直筋に送達することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、電気刺激を前胸部の1つ以上の下内肋間筋に送達することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、対象の腹部または下前胸部を機械的に圧迫することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、膨張式区画を備
えるデバイスを使用して、対象の腹部または下前胸部を機械的に圧迫することを含む。いくつかの実施形態では、刺激は、対象が息を吸い込んでいる間は、送達されない。いくつかの実施形態では、本方法は、対象が異常に高いEELVを示す少なくとも1つの兆候または症状を有すると判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、対象がCOPDに罹患していると判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、刺激は、呼気の開始近くで、例えば、呼気の開始の0.01秒および0.25秒以内に送達される。いくつかの実施形態では、刺激は、セッション内の全てではないがいくつかの呼吸サイクル中に送達される。いくつかの実施形態では、本方法は、対象の呼吸パターンまたは活動レベルを分析し、少なくとも部分的に分析に基づいて、1つ以上の刺激パラメータを調整することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、挿管されるか、または最近抜管されている。
【0004】
[0004]
別の態様では、本発明は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)該センサによって生成された信号に応答して、対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、刺激を対象の胸部または腹部に送達するように適合されるデバイスと、を備える、装置を提供する。本発明のある実施形態によれば、刺激は、対象の呼気を支援するために効果的である。いくつかの実施形態では、刺激は、1つ以上の呼気筋(複数可)を刺激する電気刺激である。いくつかの実施形態では、デバイスは、少なくともいくつかの腹筋、例えば、腹直筋を刺激する。いくつかの実施形態では、経皮電気刺激が使用される。いくつかの実施形態では、刺激は、対象の呼気を支援するために効果的である。いくつかの実施形態では、刺激は、刺激がない対象のEELVと比較して、対象のEELVの減少をもたらすために効果的である。いくつかの実施形態では、センサは、ひずみゲージを備える。いくつかの実施形態では、センサは、呼吸誘導プレチスモグラフィセンサまたは圧電センサを備える。いくつかの実施形態では、センサは、対象の皮膚上に配置するために好適な接着パッチに組み込まれる。いくつかの実施形態では、センサは、デバイスに物理的に接続される。いくつかの実施形態では、センサは、デバイスと無線通信している。いくつかの実施形態では、デバイスは、電気刺激を対象の呼気筋(複数可)のうちの1つ以上に送達するための手段を備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、腹筋刺激装置を備える。いくつかの実施形態では、本装置は、呼吸誘導プレチスモグラフィセンサまたは圧電センサと、腹筋刺激装置とを備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、下前胸部または腹部を機械的に圧迫するための手段を備える。いくつかの実施形態では、センサ、デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる。いくつかの実施形態では、センサおよびデバイスは、同一の衣服またはベルトに組み込まれる。いくつかの実施形態では、デバイスは、膨張させられたときに対象の下前胸部または腹部を機械的に圧迫する膨張式区画を備える。いくつかの実施形態では、本装置は、電力供給を備える。いくつかの実施形態では、電力供給は、デバイスに取り付けられる。いくつかの実施形態では、本装置は、対象がデバイスをオンまたはオフにすることを可能にする、制御ユニットを備える。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、装置が2つ以上のモードのうちのいずれかに設定されることを可能にする。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、刺激プロトコル、1つ以上の刺激パラメータ、姿勢、および/または身体活動の選択を可能にする。いくつかの実施形態では、本装置は、センサと、信号調節ユニットと、コントローラと、刺激装置とを備える。いくつかの実施形態では、本装置は、対象の呼吸パターンまたは活動レベルを分析し、少なくとも部分的に分析に基づいて、1つ以上の刺激パラメータを調整する、コントローラを備える。いくつかの実施形態では、対象を治療する方法は、本開示の装置を対象に提供することを含む。いくつかの態様では、装置を作製する方法は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサを提供することと、(b)刺激が対象の呼気を支援するために効果的である、該刺激を対象の胸部または腹部に送達するように適合されるデバイスを提供することと、(c)センサがデバイスと通信し、対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、それに刺激を送達さ
せることができるように、センサおよびデバイスを連結することと、を含む。いくつかの実施形態では、本装置は、本明細書で説明される構成要素または特徴のうちのいずれかを備える。
【0005】
[0005]
いくつかの態様では、本方法は、選択的に対象の呼吸の呼気相中に、該筋肉(複数可)のうちの少なくともいくつかの増加した収縮を引き起こすよう、電気刺激を、対象の呼気筋(複数可)のうちの1つ以上に、または該筋肉(複数可)に供給する遠心性神経(複数可)に送達することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知することと、(b)対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、該筋肉(複数可)のうちの少なくともいくつかの増加した収縮を引き起こすよう、該刺激を送達することとを含む。いくつかの実施形態では、刺激は、対象が息を吸い込んでいる間は、送達されない。
【0006】
[0006]
いくつかの態様では、本装置は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)該センサによって生成された信号に応答して、対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、電気刺激を対象の呼気筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合されるデバイスであって、刺激は、対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、該筋肉(複数可)の収縮を引き起こすか、または増加させるために効果的である、デバイスとを備える。いくつかの実施形態では、センサは、呼吸誘導プレチスモグラフィセンサを備え、デバイスは、刺激を対象の腹筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合される。いくつかの実施形態では、センサ、デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる。いくつかの実施形態では、センサは、圧電センサを備え、デバイスは、刺激を対象の腹筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合される。いくつかの実施形態では、センサは、少なくとも腹直筋を刺激する。いくつかの実施形態では、本装置は、2つ以上のモードで動作することが可能であり、少なくとも1つのモードは、該センサによって生成された信号に応答して、対象によって感じられるのに十分であるが、呼息筋収縮に影響を及ぼすために効果的ではない、触刺激を送達することを含む。いくつかの実施形態では、触刺激のタイミングは、少なくとも特定の量を、または少なくとも特定の時間にわたって、吐き出すように対象に促すよう選択される。
【0007】
[0007]
いくつかの態様では、本装置は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)該センサによって生成された信号に応答して、対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、電気刺激を対象の呼気筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合されるデバイスであって、刺激のうちの少なくともいくつかは、触刺激であり、触刺激のタイミングは、標的を満たすために十分に息を吐き出すように対象に促すよう選択される、デバイスとを備える。いくつかの実施形態では、標的は、少なくとも特定の量を、または少なくとも特定の期間にわたって、吐き出すことを含む。いくつかの実施形態では、本装置は、少なくとも部分的に、1つ以上の前の呼吸サイクルにわたって対象の呼吸を分析することに基づいて、適切な刺激を判定する、コントローラを備える。
【0008】
[0008]
いくつかの態様では、本発明は、呼吸努力センサを備える、腹筋刺激ベルトを提供する。いくつかの実施形態では、腹筋刺激ベルトは、圧電感知要素を備える、呼吸努力センサを備える。いくつかの実施形態では、呼吸努力センサは、腹筋刺激ベルトの一体部分である。
【0009】
[0009]
いくつかの態様では、本発明は、対象において増加した腹筋力を促進する方法であって、(a)対象が息を吸い込んでいるときを感知することと、(b)該感知に応答して、呼吸の吸気相の少なくとも一部の間に、対象の呼息筋のうちの少なくとも1つの収縮を刺激することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、閉塞性呼吸器疾患に罹患している。
【0010】
[0010]
いくつかの態様では、本発明は、それを必要としている対象の呼吸を支援する方法であって、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するステップと、(b)該感知に応答して、呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、触刺激を対象に送達するステップであって、触刺激は、対象の呼息筋の収縮のタイミングについて対象を支援する手掛かりとしての機能を果たす、ステップと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、刺激を感じ続けている間に、息を吐き出し続けるか、または呼息筋を収縮させ続けるように指示されている。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも部分的に、1つ以上の前の呼吸サイクルにわたって対象の呼吸を分析することに基づいて、呼気中に送達される適切な刺激を判定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも部分的に、1つ以上の前の呼吸サイクルにわたって対象の呼吸を分析することに基づいて、触刺激または呼気中に1つ以上の呼息筋の収縮を刺激する刺激を送達するかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、COPDに罹患している。
【0011】
[0011]
本明細書で挙げられる、全ての論文、書籍、特許出願、特許、他の出版物、ウェブサイト、およびデータベースは、参照することにより本明細書に組み込まれる。本明細書と組み込まれた参考文献のうちのいずれかとの間の対立の場合、本明細書(その改訂を含む)が優先するものとする。特に指示がない限り、用語および略称の当技術分野で容認された意味が、本明細書で使用される。「呼気(exhalation)」という用語は、「呼気(expiration)」「呼吸の呼気相(expiratory phase of breathing)」、または「息を吐き出す(breathing out)」と交換可能に使用される。「吸入(inhalation)」という用語は、「吸気(inspiration)」、「呼吸の吸気相(inspiratory phase of breathing)」、または「息を吸い込む(breathing in)」と交換可能に使用される。本明細書の項の見出しは、便宜上にすぎず、本発明を限定すると理解されるべきではない。
【0012】
[0012]
COPDの危険因子、疫学、病因、診断、および管理に関する非限定的情報は、例えば、本明細書では「GOLD報告」とも呼ばれる、Global Initiative on Chronic Obstructive Pulmonary Disease, Inc.(GOLD)のウェブサイト(www.goldcopd.org)で入手可能である、「Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Pulmonary Disease」(2009年更新)、本明細書では「ATC/ERSガイドライン」と呼ばれる、www.thoracic.org/clinical/copd-guidelines/resources/copddoc.pdfにおいてATSのウェブサイト上で入手可能である、American Thoracic Society/European Respiratory
Society Guidelines(2004)、およびCecil Textbook of Medicine(第20版)、Harrison’s Principles of Internal Medicine(第17版)、および/または肺の医学に焦点を合わせた標準テキスト等の内科の標準テキストで見出されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013]
【
図1】呼吸と関連付けられる種々の肺容量および活量を図示する、略図である。これらの容量および活量を測定するために有用な方法に関する定義および情報は、例えば、ATS/ERS Task Force Standardisation of Lung Function Testing: Standardisation of the measurement of lung volumes (2005)で見出される。
【
図2】健康な成人(左)およびCOPDがある成人(右)を例証する、静的呼吸気量および活量を示すグラフである。健康な個人およびCOPDがある個人の間の両方で変動があることが理解されるであろう。
【
図3】例えば、呼気と同期して、電気刺激を対象の呼息筋に提供するための装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0014]
本発明は、閉塞性呼吸器疾患に罹患している個人の呼吸を支援するための装置および使用方法を提供する。閉塞性呼吸器疾患は、空気流の制限が顕著かつ決定的な特徴である、疾患である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、治療によってさえも完全には可逆的ではなく、通常は進行性である、空気流の制限によって特徴付けられる一連の状態を包含する。COPDの症状は、呼吸困難(息切れ)、運動耐容能の減少、咳、痰の産生、喘鳴、および胸部圧迫感を含む。COPDがある個人は、頻度および持続時間が変化し得る、かつ有意な罹患率と関連付けられる、症状の急性(例えば、1週間未満の間に、およびしばしば、24時間以下の間に発現する)悪化(COPD増悪と称される)の発作を体験し得る。それらは、呼吸器感染、有害な粒子への暴露等の事象によってトリガされ得るか、または未知の病因を有し得る。喫煙が、COPDの最も一般的に遭遇する危険因子であり、他の吸入暴露もまた、疾患の発現および進行に寄与し得る。COPDにおける遺伝因子の役割は、活発な研究の分野である。わずかな割合のCOPD患者が、セリンプロテアーゼの主要な循環阻害物質である、アルファ-1抗トリプシンの遺伝的欠損を有し、この欠損は、疾患の急速進行性形態につながり得る。
【0015】
[0015]
COPDの特徴的な病態生理学的特徴は、最も一般的には慢性炎症による、末梢気道の狭窄および構造変化、ならびに肺実質(特に肺胞の周囲)の破壊を含む。COPDで観察される慢性空気流制限は、典型的には、これらの因子の混合を伴い、空気流の制限および症状に寄与することにおけるそれらの相対的重要度は、人によって異なる。「肺気腫」という用語は、それらの壁の破壊を伴う、終末細気管支より遠位の気腔(肺胞)の拡大を指す。「肺気腫」という用語は、しばしば、そのような病理学的変化と関連付けられる病状を指すために臨床的に使用されることに留意されたい。COPDがある一部の個人には、連続2年にわたって1年の3ヶ月間のほぼ毎日に、痰の産生を伴う咳として臨床的用語で定義される、慢性気管支炎がある。喘息は、別の閉塞性呼吸器疾患であるが、閉塞が通常は(少なくとも初期に)可逆的であり、すなわち、治療により、および/または喘息の「発作」間に、喘息がある個人の気道を通る気流は、典型的には正常であり、したがって、これらの個人にはCOPDがない。しかしながら、特に喘息が治療せずに放置された場合、疾患と関連付けられる慢性炎症が、気道リモデリングにつながり、気道閉塞を少なくとも部分的に不可逆的にさせ得るため、喘息患者は、発作間でさえも異常気流を有し得る。したがって、気道閉塞の固定成分がある喘息患者は、COPDがあると見なされる。
【0016】
[0016]
COPDにおいて起こる病態生理学的変化は、換気(肺の中および外への空気の移動)および呼吸の力学に種々の悪影響を及ぼす。肺胞の壁および末梢気道への付着の損失が、肺弾性収縮力を減少させる。減少した弾性収縮力は、気道狭窄とともに、呼気中に気道が開存したままとなる能力を低減させる。したがって、気道は、呼気中に早期に虚脱する傾向がある。呼気中の末梢気道の虚脱は、気流を妨げ(時として「呼気流制限」(EFL)と呼ばれる)、結果として、空気が肺の中に閉じ込められ、肺過膨張につながる。過膨張は、年齢を合致させた健康な個人の予測値と比較して、肺(複数可)の中のガス量が増加させられるときに存在すると見なされる。特に、COPDの患者は、健康な対照と比較して、有意に増加した終末呼気肺気量位を有し、それは、増加した全肺気量(TLC)をもたらし得る(
図2参照)。当技術分野で公知であるように、「終末呼気肺気量位」(EELV)(この用語は、本明細書では「機能残気量」(FRC)と交換可能に使用される)は、受動呼気後に肺の中に残っているガスの量を指す。EELVは、例えば、ヘリウム希釈技法、単一または複数呼吸窒素洗い出し試験、身体プレチスモグラフィ、放射線面積測定法、CTスキャン、または他の好適な方法を使用して、当技術分野で公知であるように測定することができる。呼気陰圧(NEP)技法を、EFLの診断または評価に使用することができる。この方法を使用して、存在するEFLの程度は、わずかな陰圧が口に印加されたときに気流速度が不変である、呼気相の割合を調べることによって評価される。この技法は、3段階尺度、5段階尺度、および連続的尺度を含む、いくつかの測定尺度を有する。
【0017】
[0017]
1回換気量(TV)は、頻繁に、COPDがある個人では比較的正常なままであるが、EELVの増加の結果として、周期的呼吸は、通常よりも大きい肺容量で起こる(
図2参照)。完全呼気後に肺の中に残された空気の量である、残留量(RV)が、しばしば、全肺気量と同様に、COPDでは増加させられる一方で、肺活量は、比較的正常なままである。過膨張は、身体検査での種々の兆候、例えば、比較的水平な肋骨、「樽型」胸部、突出した腹部によって反映され得る。静的過膨張は、安静時に起こり、しばしば、COPDが進行するにつれて、より顕著になる過膨張を指す。動的過膨張は、その基礎値を上回る(例えば、EELVによって反映されるような)過膨張の急性かつ可変増加を指し、例えば、運動およびCOPD増悪中に起こり得る。それは、深吸気量(IC)を測定することによって評価されてもよい。
【0018】
[0018]
COPDは、呼吸の力学の種々の変化につながり得る。健康な個人における正常な生理学的条件下で、吸気が能動プロセスである一方で、呼気は安静時に受動的である。横隔膜が、最も重要な吸気筋である。それは、収縮時に下方に移動し、腹腔内容物を下方および前方に押し進め、胸腔の垂直寸法を増加させる。加えて、肋骨が上方および外側に持ち上げられ、胸郭を広げさせる。肋骨に隣接して接続する外肋間筋もまた、肋骨を上方および前方に引き、したがって、胸部の寸法の増加に寄与することによって、吸気で機能する。胸部寸法の増加は、肺内で陰圧を生成し、空気の流入をもたらす。それらの弾性により、正常な生理学的条件下の健康な個人では、肺および胸壁は、吸気中に起こる拡張後に、それらの平衡位置に戻る。したがって、呼気は受動的に起こる。運動中、または増加した呼吸が必要とされる他の状況では、呼気は、呼気筋、例えば、内肋間筋、腹筋(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、胸腹筋)のうちの少なくともいくつかの収縮を伴う、能動的プロセスである。COPDがある個人では、呼気は、特に終末呼気相で、ますます呼息筋に依存するようになる。加えて、COPDで起こるEELVの増加は、そうではない場合よりも高い量で動作するように吸気筋(横隔膜および外肋間筋)に要求する。自動PEEPとも呼ばれる、「固有」終末呼気陽圧(PEEPi)が、しばしば、COPDがある個人で増加させられ、呼吸筋への吸気閾値負荷を持続し、呼吸仕事量を増加させる。したがって、種々の理由により、COPDの患者は、しばしば、健康な個人よりも呼吸において大幅に多
くの努力およびエネルギーを費やす。
【0019】
[0019]
本発明は、呼吸の呼気相中に、刺激を対象の下胸部および/または腹部に印加することによって、閉塞性呼吸器疾患を治療できるという認識を包含する。下胸部は、第7肋間における、またはそれより下側の胸部の領域を指す。いくつかの態様では、本発明は、刺激を閉塞性呼吸器疾患がある対象の下胸部および/または腹部に送達することを特色とし、刺激は、対象の呼気を支援するために効果的である。いくつかの態様では、本発明は、対象(例えば、閉塞性呼吸器疾患がある対象)が息を吐き出しているときを感知することと、少なくとも部分的に感知に基づいて、刺激を対象の下胸部または腹部に送達することとを含む、方法を提供する。多くの実施形態では、刺激は、下前胸部および/または腹部に送達される。特定の実施形態では、刺激は、少なくともいくつかの腹筋に送達される。いくつかの態様では、本発明の方法は、対象のEELVを低減させる。本発明は、対象(例えば、閉塞性呼吸器疾患がある対象)が息を吐き出しているときを感知することと、刺激を対象に送達することとを含む、方法を提供する。したがって、本発明の方法は、対象の呼吸の1つ以上の指標の感知に基づいて、対象の呼気と「同期して」または「一致して」刺激を送達することを含む。いくつかの実施形態では、刺激は、対象の呼気を支援するために効果的である。いくつかの実施形態では、刺激は、筋力および耐久力を獲得するために呼息筋を訓練することに効果的である。いくつかの実施形態では、センサ(患者が息を吐き出しているときを感知する)と筋肉刺激との間のフィードバックシステムが、呼気を支援するために適正な筋肉を使用するように患者に教える。
【0020】
[0020]
本明細書でさらに説明されるように、本発明はまた、いくつかの態様では、本発明の1つ以上の方法で使用するために好適な装置も提供する。したがって、一態様では、本発明は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)該センサによって生成された信号に応答して、対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、刺激を対象の胸部または腹部に送達するように適合されるデバイスとを備える、装置を提供する。いくつかの実施形態では、本装置は、対象の腰の周囲に装着可能である、ベルト等の単一のユニットに組み込まれる、または容易に組み込み可能である、センサおよび刺激デバイスを備える。(a)および/または(b)の両方は、皮膚の表面上に埋込可能であり得るか、または配置することができる。
【0021】
[0021]
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、電気的または磁気的に刺激することによって、または機械的刺激を下前胸部および/または腹部に送達することによって、呼気筋の自然な作用を増強する。いくつかの実施形態では、呼気筋(複数可)および/またはこれらの筋肉(複数可)に供給する運動神経(複数可)に送達される電気刺激は、刺激がない場合に生成されるであろう力と比較して、呼気中の収縮の力を増加させるであろう。電気刺激は、例えば、対象の典型的な運動神経インパルスの結果として刺激されるであろう、1つ以上の呼息筋のより多数の運動単位の採用を引き起こし、および/または、そうでなければ実質的に収縮しないであろう、1つ以上の筋肉(複数可)または1つ以上の筋肉の一部分(または複数部分)の収縮を引き起こしてもよい。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、いくつかの実施形態では、電気刺激は、随意制御下にある筋肉を自動的に刺激する働きをしてもよく、したがって、対象は、そのような筋肉(複数可)を収縮させるために意思制御を行使する必要がないであろう。機械的刺激は、胸腔内圧の増加を引き起こす、下前胸部および/または腹部の機械的圧迫を含んでもよく、少なくともいくつかの実施形態では、それにより、呼気を支援する。
【0022】
[0022]
本発明のいくつかの実施形態では、刺激の効果は、周期的換気が下方に起こる量を偏移させることである。本発明の一態様は、より低い肺容量で吸い込むことが、吸気筋への応力を低減させてもよく、したがって、吸気筋に送達される刺激が、吸気を向上させる可能性を有するという認識である。例えば、過膨張は、吸気筋が機能的により弱い、肺容量のより高い範囲にわたって呼吸を余儀なくさせる。過膨張は、横隔膜の円蓋を押下する。いくつかの態様では、発明の装置の使用が、横隔膜のそのような押下を低減させる。本発明の装置の使用は、過膨張を低減させることによって、吸気筋線維(複数可)、例えば、横隔膜が、それらの長さ・張力関係のより最適な部分内で動作することを可能にし得る。本発明の方法は、COPDの患者において吸気および/または呼吸筋の疲労を低減させ得る。COPDの患者では、運動中に患者がより急速に呼吸するにつれて、肺の中の空気の閉じ込めが大いに増加し、呼気に利用可能な時間を短縮し、および/または完全な呼気が達成される前に患者に息を吸い込み始めさせる。本発明の方法は、例えば、呼気の少なくとも一部の間に、そうではない場合よりも急速に空気を肺から退出させることによって、および/または運動の開始時に存在する対象のEELVを低減させることによって、この動的過膨張を低減させ得る。
【0023】
[0023]
本発明のある態様の特徴は、対象に1つ以上の利益をもたらすよう、(電気的であろうと機械的であろうと)刺激が、対象の自然な呼気に関して適切に時期を調節されることである。いかようにも本発明を限定するわけではないが、刺激は、(a)刺激がない場合の対象のEELVと比較して、減少したEELV、および/または(b)刺激がない場合よりも増加した、呼気の少なくとも一部分の間の呼気流速をもたらしてもよい。しかしながら、刺激は、好ましくは、対象にとって吸入を有意に困難にしない。少なくともいくつかの実施形態では、刺激は、吸気と関連付けられる仕事量を増加させず、および/または対象にとって主観的に吸気をより困難に感じさせない。いくつかの実施形態では、刺激は、実際に、対象にとって吸入をより容易にし、例えば、吸入中に少なくともいくつかの筋肉への応力を低減させ、および/または対象にとって主観的に吸入をより容易に感じさせる。本発明の方法は、いくつかの実施形態では、対象が息を吸い込んでいる間に、呼気筋を刺激すること、または下前胸部または腹部を機械的に圧迫することを回避する(または任意のそのような刺激が、吸入中に有意な筋肉収縮または圧迫を生じるために必要とされる閾値レベルを下回る)、および/または対象が息を吐き出している間に、吸気筋を有意に刺激することを回避する(または任意のそのような刺激が、呼気中に吸気筋の有意な収縮を生じるために必要とされる閾値レベルを下回る)。多くの実施形態では、吸気筋は、呼気または吸気のいずれかの間は、刺激されない(または任意のそのような刺激が、吸気筋の有意な収縮を生じるために必要とされる閾値レベルを下回る)。しかしながら、本明細書で説明されるように、理論によって拘束されることを所望するわけではないが、対象は、吸入中にも利益を得てもよい。本発明の方法は、刺激がない場合の対象の平均EELVと比較して、対象の平均EELVの変化をもたらしてもよく、またはもたらさなくてもよい。本発明の方法は、刺激がない場合の対象の平均TVと比較して、対象の平均TVの変化をもたらしてもよく、またはもたらさなくてもよい。本発明の方法は、対象の平均呼吸速度(RR)の変化をもたらしてもよく、またはもたらさなくてもよい。例えば、COPD等の閉塞性肺疾患に罹患している一部の個人は、状態を補おうと努力して、頻繁に浅い呼吸をする。本発明の方法は、そのような個人において、より正常な呼吸パターンを回復させ得る(例えば、より高いTVおよびより低いRR)。閉塞性肺疾患に罹患している他の個人では、平均安静時TVおよびRRが、ほぼ正常であり得(成人に対して、正常な安静時TVは、しばしば、約500mlで推定され、正常な安静時RRは、しばしば、毎分12~20で推定される)、本発明は、これらの値に有意に影響を及ぼさなくてもよい。
【0024】
[0024]
本発明の方法は、様々な期間にわたって適用されてもよい。そのような期間は、「セッ
ション」と呼ばれ得る。例えば、制限ではないが、セッションは、約30分から約12時間の間、続いてもよい。いくつかの実施形態では、セッションは、1時間から6時間の間、続く。いくつかの実施形態では、セッションは、1分から30分の間にわたって続く。いくつかの実施形態では、セッションは、呼息筋収縮を強化するために有効な刺激が、例えば、1~5または5~10分等、比較的短い期間にわたって送達され、呼息筋収縮を強化するために有効な刺激が送達されない期間と交互に起こる、複数のサブセッションを含む。サブセッションおよび/またはサブセッション間の期間の長さおよび/または数は、独立して変化してもよい。一例にすぎないが、それぞれ5分続く、6回のサブセッションが、サブセッションの間に5分の期間を伴って、1時間続くセッションにわたって適用されてもよい。いくつかの実施形態では、サブセッションおよび/またはサブセッション間の期間の長さおよび/または数は、セッションの開始前に事前に定められる。いくつかの実施形態では、サブセッションおよび/またはサブセッション間の期間の長さおよび/または数は、少なくとも部分的に、対象の呼吸または身体活動に関する情報を提供するセンサからの入力に基づいて、少なくとも部分的に、セッション中に装置によって判定される。いかようにも本発明を限定するわけではないが、例えば、閉じ込められた空気が、ある期間にわたって肺の外へゆっくりと押し出されるにつれて、刺激が数回の呼吸にわたって印加された後に、少なくともいくつかの有益な効果が徐々に生じ得ることに留意されたい。したがって、1つ以上の利益は、特定のセッションが始まった後しばらくして初めて明白になり得る。さらに、理論によって拘束されることを所望するわけではないが、少なくともいくつかの有益な効果は、刺激がもはや印加されなくなった後(すなわち、特定のセッションの終了後)に、ある期間にわたって続いてもよい。言い換えれば、対象は、刺激の継続印加を伴わずに、継続利益の期間を体験してもよい。いくつかの実施形態では、セッションは、セッション間の期間中に、対象の状態が少なくともある程度向上したままとなるように、ともに十分に接近するように時期を調節される。本発明は、異なる対象の間で変化することが合理的に予期され得る、達成される結果に依存しないことを理解されたい。
【0025】
[0025]
呼吸サイクル内の刺激の送達のタイミングおよびその特性、例えば、持続時間および強度は、変化し得る。例えば、これらのパラメータ(複数可)のうちの1つ以上は、1つ以上の呼気筋(複数可)の増加した収縮、あるいは下前胸部および/または腹部の増加した圧迫が、主に呼気相の最初の半分の間に、または主に残りの半分の間に起こるように、選択されてもよい。いくつかの実施形態では、刺激が各呼吸サイクル中に送達される一方で、他の実施形態では、刺激は、より少ない頻度で、例えば、2回、3回、4回、または5回の呼吸ごとに送達されてもよく、または刺激プロトコルに従って送達される連続刺激が、異なる数の呼吸によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、毎分12~20回の間、毎分6~12回の間、または毎分3~6回の間で送達される。いくつかの実施形態では、刺激は、実質的に呼気の全体を通して、または呼吸の呼気相の一部分のみの間に、例えば、呼気の最初または残りの半分の間に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、刺激の送達は、吸気の終了後の所定の時間量、または呼気の開始後の所定の時間量で始まる。刺激は、呼気中の1つ以上の時間間隔中に送達されてもよく、その時間間隔は、刺激が送達されない間隔によって分離されてもよい。さらに、刺激の規模は、そのような時間間隔中(複数可)に継続的または離散的に変化してもよい。例えば、特定の対象または状態(例えば、運動対安静、覚醒対睡眠)に対する快適性および/または有効性を最適化または強化するように、パラメータを選択することができる。いくつかの実施形態では、電気または機械的刺激が、吸気中に、呼息筋(複数可)に、またはそれらに供給する遠心性神経に送達されず(または吸気中に送達される任意の電気または機械的刺激の規模が、呼気筋(複数可)の収縮を引き起こすのに十分ではない)、下前胸部および腹部は、吸気中に機械的に圧迫されない。
【0026】
[0026]
いくつかの実施形態では、本方法は、個人が少なくとも刺激の態様を制御することができる、手段を提供することを含む。例えば、本発明の装置は、個人(例えば、対象、または介護者等)が装置をオンまたはオフにすること、および/または特定の設定を選択することを可能にする、制御デバイスを有してもよい。本装置は、刺激の1つ以上のパラメータ(複数可)またはパラメータの組み合わせが、例えば、個人的選好、快適性、治療目標、および/または活動レベルに基づいて、個人によって選択されることを可能にする、複数の事前にプログラムされた設定を有してもよい。異なる刺激パラメータおよび/または信号調節手順が使用され得る、状況の実施例は、例えば、睡眠、目が覚めている間の安静呼吸(例えば、臥位、座位、または立位等の種々の姿勢のうちのいずれかで)、規則的なパターンを有する軽度の運動(例えば、中断をほとんど、または全く伴わずに歩くこと)、不規則的なパターンを有する軽度の運動(例えば、比較的頻繁に、または予測不可能な時間で、対象が歩行または移動を開始および停止する活動)等を含む。いくつかの態様では、本明細書で開示される装置または方法は、少なくとも部分的に、対象の呼吸パターン、姿勢、および/または身体活動パターンに基づいて、刺激パラメータおよび/または信号調節手順を選択する。いくつかの態様では、本明細書で開示される装置または方法は、少なくとも部分的に、対象の呼吸パターン、姿勢、および/または身体活動パターンに基づいて選択される、刺激パラメータおよび/または信号調節手順を適用する。以下でさらに説明されるように、いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも部分的に、1つ以上のセンサからの入力に基づいて、異なる呼吸パターン、姿勢、および/または身体活動パターンを区別することが可能である。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも部分的に、1つ以上のセンサからの入力の分析に基づいて、異なる呼吸パターン、姿勢、および/または身体活動パターンを区別することと、いくつかの実施形態では、少なくとも部分的にそのような分析に基づいて、適切な刺激を送達することとを含む
[0027]
本装置は、ユーザが将来、パラメータの組み合わせを利便的に選択することができるように、刺激を送達するためのパラメータを、特定の対象のためにカスタマイズして記憶することができるように、プログラム可能であってもよい。いくつかの実施形態では、本装置は、音声入力を受信する、および/またはそれに応答するための手段を備える。例えば、本装置は、音声認識ソフトウェアを備えるか、またはそれにアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、命令(例えば、オンおよびオフにすること、特定の刺激プロトコルを選択すること等)が、少なくとも部分的に口頭で、装置に与えられてもよい。
【0027】
[0028]
本発明の装置および方法は、種々の異なる方法で組み合わせられ得る、種々の異なる構成要素を使用して実装されてもよい。本発明の一態様は、本装置が全体として本明細書で説明されるように機能するように、例えば、適切なインターフェースを用いた、種々の構成要素(例えば、センサ、刺激デバイス)の連結にある。対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサ、および刺激を提供するためのデバイスを連動させるための適切な電子機器は、本発明の態様である。インターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを使用して実装されてもよく、かつアナログおよび/またはデジタル構成要素を備えてもよい。適切な信号処理および分析機能性が提供されてもよい。インターフェースは、1つ以上の増幅器、フィルタ、整流器、ピーク検出器(複数可)、スイッチ、アナログ・デジタル変換器、コネクタ(例えば、DIN、XLR等)、ワイヤ、ケーブル等の1つ以上の電子構成要素を備えてもよい。いくつかの実施形態では、本装置は、例えば、インターフェースの一部として、信号調節ユニットを備える。いくつかの実施形態では、信号調節ユニットは、1つ以上の増幅器と、1つ以上のフィルタとを備える。増幅器(複数可)は、いくつかの実施形態では、例えば、1000から5000の信号増幅利得を提供してもよい。いくつかの実施形態では、本装置は、例えば、信号調節ユニットの一部として、1つ以上の高域通過フィルタ(
複数可)および/または1つ以上の低域通過フィルタ(複数可)を備える。高域通過フィルタ(複数可)は、例えば、0Hzから1Hzの領域内のカットオフ周波数を有してもよい。低域通過フィルタ(複数可)は、例えば、10Hzから70Hzの領域内のカットオフ周波数を有してもよい。そのようなフィルタ(複数可)は、例えば、雑音または他のアーチファクトを排除または低減するために役立ち得る。いくつかの実施形態では、異なる信号調節手順が、設定に従って利用されてもよい。例えば、異なる信号調節手順は、対象が歩いている、目覚めている間に静かに呼吸している、眠っている等の場合に、運動アーチファクトを検出または排除するために使用されてもよい。
【0028】
[0029]
図3は、ある実施形態での装置の例示的なブロック図を示す。
図3で描写されるように、例示的な装置は、入力を信号調節ユニット20に提供する、センサ10を備える。信号調節ユニット20は、(例えば、増幅器、フィルタ(複数可)等の計器を使用して)信号を処理する。処理された信号は、コントローラ30への入力としての機能を果たす。コントローラ30は、信号を分析し、出力を電気刺激装置40に提供するかどうか、および提供するときを判定し、適宜、出力を電気刺激装置40に送達する。電気刺激装置40は、電極(複数可)50を介して対象に送達される電気刺激を生成する。いくつかの実施形態では、制御ユニット30は、ユーザ制御ユニット(
図3で描写されていない)から、または1つ以上の追加のセンサ(複数可)、またはそのようなセンサ(複数可)からの信号を処理する信号調節ユニット(複数可)(
図3で描写されていない)から等、追加の入力を受信する。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ30は、1つ以上の刺激パラメータを選択するか、または特定の刺激プロトコルあるいは刺激モードを選択する、ユーザ制御ユニットから入力を受信する。いくつかの実施形態では、コントローラ30は、入力を電気刺激装置40に提供することに加えて、入力を、コンピュータ、ディスプレイ、データ記憶ユニット、電子伝送デバイス等の1つ以上のデバイスに提供する。
【0029】
[0030]
本発明の装置で使用するための材料、構成要素、および部品は、対象によって利便的に使用することができる、快適で比較的軽量の携帯用装置を提供するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、材料、構成要素、および部品は、本装置の総重量が約0.5kg~2kg以下であるように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、本装置は、少なくともいくつかの実施形態では、対象が、デバイスを使用しながら、日常生活のほとんどの活動を実行することができるように、装着可能かつ十分に軽い。いくつかの実施形態では、本装置は、最小限の支援を伴って、または全く伴わずに、対象が装置を採用することができるように、対象が身に着けて使用することが単純かつ便利である。
【0030】
[0031]
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、本明細書で説明される呼気感知および刺激送達を提供することに加えて、対象から生理学的データを収集する、貯蔵する、分析する、表示する、および/または伝送する。本発明の装置は、いくつかの実施形態では、(対象が息を吐き出しているときを判定するために必要とされる感知に加えて)対象の呼吸の種々の特性を感知するため、および/または、心拍、血圧、酸素飽和度、温度等の他の生理学的変数(複数可)または事象を検出または側定するために使用されてもよい。本装置は、例えば、呼吸頻度、1回換気量、呼吸仕事量、咳等の事象、および/または任意の他の目的とする生理学的変数(複数可)または事象(複数可)を検出し、収集し、随意に分析し、記憶し、および/または伝送してもよい。情報は、例えば、本装置に記憶され、コンピュータまたはデータ記憶デバイスにダウンロードされ、および/または、本装置によって、直接、または該コンピュータによってのいずれかで、(例えば、無線で)遠隔場所に伝送されてもよい。いくつかの実施形態では、LifeShirt(登録商標)(VivoMetrics; Ventura, CA)で使用される技術が、例えば、感知、
データ収集、および/またはデータ伝送の目的で、使用されるか、または本発明の装置で使用するために修正される。本装置は、対象の呼吸を支援することに加えて、健康関連変数(例えば、心臓パラメータ)の有用な監視を提供してもよい。遠隔場所は、例えば、職員がデータにアクセスする、および/または警告、データ記憶センター等に応答する、あるいはそれを開始するために対応できる、施設であってもよい。電子伝送は、通信ネットワーク、例えば、インターネット上で起こってもよい。いくつかの実施形態では、遠隔場所は、少なくとも1km離れている。
【0031】
[0032]
本発明との関連での「コンピュータ」は、例えば、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ(ラップトップ、デスクトップ、ノート型、またはタブレットコンピュータであり得る)等であり得る。随意に、本発明の装置は、ディスプレイ、キーボード、マウス、または他の周辺機器を備え得る、またはそれに接続され得る、コンピュータと連動する。随意に、呼吸を示す、および/または本発明の装置の動作を示す情報を、視覚的に表示することができる。例えば、呼吸と関連付けられる波形が表示されてもよく、および/または刺激パラメータが表示されてもよい。いくつかの実施形態では、センサによって報告される、1つ以上の肺容量または活量、呼吸仕事量、呼吸運動、または努力、および/または呼吸速度、あるいは任意の目的とする生理学的変数が表示されてもよい。したがって、本発明は、本明細書で説明されるような任意の装置と、物理的接続を通して、または無線でのいずれかで、装置と通信するコンピュータとを備える、システムを提供する。
【0032】
[0033]
本発明の装置および/または方法で使用され得る、例示的な材料、構成要素、部品、および実装アプローチの非限定的な説明は、例えば、以下の項において、本明細書で説明される。本発明は、異なる材料、構成要素、部品、および/または実装の手段の使用を包含することを理解されたい。構成要素、部品、材料等は、任意の合理的な組み合わせで自由に組み合わせられてもよく、結果として生じる装置およびその使用方法は、本発明の範囲内である。いくつかの態様では、本発明は、本発明の装置および/または方法でのそれらの使用を促進するように、種々の構成要素または部品、例えば、市販の構成要素または部品の修正を包含する。そのような修正された構成要素または部品は、本発明の態様である。
【0033】
[0034]
呼気を感知するための方法およびセンサ
[0035]
種々のアプローチおよびセンサの種類が、対象が息を吐き出しているときを感知するために使用されてもよい。一般に、本発明で役立つセンサは、呼吸中に変化する種々の物理量のうちのいずれかを検出し、信号、典型的には、物理量の規模を示す、および/または物理量の規模の変化率を示す、電気信号を生成する。したがって、センサは、検出または感知要素と、変換要素とを備えてもよく、変換要素は、例えば、機械エネルギーを電気エネルギーに変換し、電圧または電流の形態で出力信号を提供する。そのような要素は(複数可)、例えば、少なくとも部分的に、織物、プラスチック、または他の好適な材料から成り得る、好適な筐体の中に、少なくとも部分的に位置してもよい。筐体は、センサを、装置の構成要素に、または対象に取り付けるための手段を提供してもよい。いくつかの実施形態では、センサは、埋込可能であってもよく、(例えば、腹圧を感知することによって)体内で1つ以上の特性を感知してもよい。埋込型要素(複数可)および/またはそれらの筐体は、少なくとも部分的に、埋込に好適な生体適合性材料から作られてもよい。呼吸を感知するために利用可能な種々のモダリティおよびセンサの本明細書での説明は、当業者の理解と対立することを目的としておらず、本発明を限定すると解釈されるべきでは
ない。
【0034】
[0036]
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、1つ以上の圧力および/または温度センサを使用して、気流が測定される。例えば、熱センサ(サーミスタまたは焦電材料(例えば、焦電結晶)を備え得る)が、センサを通り過ぎる、呼気の温かい空気および吸入の比較的冷たい空気によって駆動される温度変化に基づいて、信号を生成し、かつ対象が息を吐いているときを判定するために使用することができる。圧力ベースの気流センサは、吸入および呼気によって生成される圧力の変化に応答して信号を生成し、かつ同様に、対象が息を吐いているときを判定するために使用することができる。圧力および/または温度センサは、経鼻的または経口的に配置されてもよい。
【0035】
[0037]
いくつかの実施形態では、個人が息を吐き出す、および/または息を吸い込むにつれて、胸部または腹部の1つ以上の寸法(複数可)の変化が検出される。寸法(複数可)は、前後、横、および垂直といった、胸部の3つの主要な寸法のうちの1つ以上を含んでもよい。したがって、そのような寸法は、吸入/呼気と関連付けられる運動、および/または、呼吸とともに起こる胸部および/または腹部の容量の変化を検出することができる。センサは、圧電、光導波路、および/または電気伝導性材料を含んでもよい。例えば、センサは、ひずみまたは圧力を測定し、それを電気信号に変換するために圧電効果を使用する、圧電センサであってもよい。圧電センサは、例えば、圧電セラミックまたは単結晶材料を使用して、当技術分野で公知であるように製造することができる。そのようなセンサは、気流および/または呼吸運動を測定するために使用されてもよい。結晶を含む圧電センサは、結晶が圧縮または伸張され、電圧を生成するときに、信号を出力する。いくつかの実施形態では、圧電センサは、圧電性質を伴うポリマーを含む。ポリマーは、膜として提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が、例えば、PVDF膜として、圧電センサ内の感知要素として使用される。いくつかの実施形態では、圧電センサは、圧電センサに転送されるゴムバンドまたはベルトのひずみを捕捉することによって、間接的に容量の変化を表す。そのようなベルトまたはバンドは、呼吸中の張力の変化を測定するように、胸部または腹部の周囲に締結される。他の種類のひずみゲージを、センサとして使用することができる。電気伝導性繊維が、電気伝導性ストリップまたはバンドに組み込まれ得る、感知要素として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、胸部の寸法(複数可)の変化が、電気伝導性ストリップまたはバンドの抵抗の変化を引き起こす。いくつかの実施形態では、胸部の寸法(複数可)の変化が、バンドの電気伝導性ストリップのインダクタンスの変化を引き起こす。
【0036】
[0038]
呼吸を感知するために使用され得る圧電センサ、およびそのようなセンサ(複数可)に役立つ材料は、例えば、米国特許第6,383,143号、PCT出願公開第WO/2008/136980号、およびそれらの中の参考文献で説明されている。Philips
Respironics(Murrysville, PA)またはScientific Laboratory Products, Ltd.(SLP)(St. Charles, IllinoisおよびTel-Aviv, Israel)またはDymedix, Inc.(Shoreview, MN)から入手可能な圧電呼吸努力センサおよびバンドが使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、SLPから入手可能なSleepSense(商標)圧電結晶呼吸努力キット(製品番号1370)、またはDymedix, Inc.から入手可能なPerfectFit(商標)努力ベルト、またはPhilips Respironicsから入手可能なP1420またはP1460あるいは類似圧電呼吸努力センサが使用される。
【0037】
[0039]
呼吸を感知する(および対象が息を吐き出しているときを判定する)ための技法は、誘導プレチスモグラフィおよびインピーダンスプレチスモグラフィを含む。インダクタンスプレチスモグラフィは、対象の身体部分の周囲に、例えば、対象の胸部および/または腹部の周囲に配置される、伝導性要素のインダクタンスまたは相互インダクタンスに基づく測定を含む。本発明のいくつかの態様における呼吸誘導プレチスモグラフィ(RIP)は、ワイヤのループを通して印加される、変化する(例えば、振動)電流が、磁場を生成するという原則を利用する。適切なワイヤが、対象の胸部および/または腹部の周囲に(しばしば、胸部および腹部の両方の周囲に)配置され、信号がワイヤを通して送信される。呼吸の運動がワイヤを取り囲んだ面積を変化させるため、その結果として、信号の1つ以上の特性(例えば、その周波数)が変化させられる。信号の変化は、呼吸とともに起こる面積の変化を表し、とりわけ、対象が息を吐き出しているときを判定するために使用することができる。RIPセンサは、例えば、経時的に1回換気量の変化を表す信号を生成することができる。呼気が始まるにつれて、TVの停滞状態またはTVの減少の開始が起こる。RIPセンサは、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,131,399号、第5,913,830号、PCT出願公開第WO/2001/003581号、第WO/2006/03429号等を参照されたい。RIPセンサのワイヤは、典型的には、ベルトまたはバンド内に含有され、いくつかの実施形態では、ほぼ乳首および臍の高さで、胸郭および腹部を取り囲む。バンドまたはベルトは、ある実施形態では、幅が約1~5cmの間であってもよい。それらは、少なくとも部分的に、伸縮性材料から成ってもよく、または密接な適合を可能にするように伸縮性材料から成るセクションを備えてもよい。いくつかの実施形態では、RIPセンサは、絶縁され、2つの幅約2.5cm(約1インチ)、軽量、弾性、および随意に接着性のバンド内に配置された、2つのシヌソイドワイヤコイルを備える。変換器バンドは、腋窩の下で胸郭の周囲に、および臍の高さで腹部の周囲に配置される。それらは、デジタル波形を得るように、発振器および後続周波数復調電子機器に接続される。吸気中に、胸郭および腹部の断面積が増加し、肺容量に比例する断面積の増加とともに、コイルの自己インダクタンスおよびそれらの振動の周波数を変化させる。電子機器は、この周波数の変化を、波形の振幅が吸気量に比例する、デジタル呼吸波形に変換する。
【0038】
[0040]
Philips RespironicsまたはScientific Laboratory Products(SLP)から入手可能なRIPセンサが、本発明の装置で使用されてもよい。例えば、zRIP DuraBeltインダクタンス呼吸努力センサ(Philips Respironics)またはSleepSense(登録商標)センサ(SLP)が使用されてもよい。
【0039】
[0041]
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、対象が位置を変えた後に、例えば、呼吸センサ、例えば、RIPセンサの較正を調整するために、位置センサフィードバックが使用される。
【0040】
[0042]
いくつかの実施形態では、インピーダンスプレチスモグラフィが、対象が息を吐き出している時を感知するために使用される。
【0041】
[0043]
本装置は、同一または異なる種類(例えば、RIPおよび圧電)であり得る、複数のセンサ(例えば、2、3、4、5個以上)を備えることができる。複数のセンサによって生成された信号は、(単一のセンサで得られる精度と比較して)対象が息を吐き出している
ときを判定することの精度を向上させるように分析されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数のセンサ(複数可)が、刺激の送達をトリガするために、呼気を示す信号を生成しなければならない。
【0042】
[0044]
いくつかの実施形態では、センサが、衣服またはベルトとの統合あるいは可逆的取付を可能にする手段を装備している。
【0043】
[0045]
ある実施形態では、1つ以上の埋込センサ(複数可)が使用される。センサ(複数可)は、いくつかの実施形態では、活動電位または筋肉収縮を直接検出してもよい。
【0044】
[0046]
「対象が息を吐き出しているときを感知すること」は、例えば、少なくとも呼気を支援するよう、(例えば、吸入および呼気から成る特定の呼吸サイクル内で)刺激を送達する適切な時間を判定する任意の適切な方法を包含するために、広義で使用されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本装置は、呼気の開始を感知する。例えば、空気の内向きから外向きの流れの変化を検出することによって、および/または増加していた胸部の1つ以上の寸法が停滞状態に達した、または減少していると検出することによって、息を吸い込むことから吐き出すことへの変化が検出されてもよい。対象が息を吐き出しているときを判定するように検出される事象(複数可)または現象は、吸気中に起こり得ることが理解されるであろう。例えば、吸気が各呼吸中に終わると、典型的には、吸気流速および胸部の膨張率が減少する。吸気流速および/または胸部の膨張率の減少が検出されてもよく、かつその後すぐに呼吸の呼気相が起こるであろうと判定する手段としての機能を果たしてもよい。また、例えば、肺活量測定を使用して得られるであろう結果と比較して、異なる感知モダリティが同一の結果を生じなくてもよいことも理解されるであろう。本発明は、例えば、対象が息を吐き出しているときを判定するために肺活量測定が使用された場合に生じるであろうタイミングと比較して、異なる感知モダリティの使用に起因するであろう刺激の送達の絶対的タイミングの変動を包含する。
【0045】
[0047]
電気または磁気刺激および刺激デバイス
[0048]
いくつかの実施形態では、本装置は、筋肉収縮を引き起こすよう、電気または磁気刺激を呼息筋のうちの少なくともいくつかに送達する。目的とする呼息筋は、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、および腹横筋を含む。(電気または磁気刺激は、1つ以上の筋肉(複数可)の一部分に送達されてもよいことが理解されるであろう。言い換えれば、刺激は、筋肉全体よりもむしろ、1つまたは複数の筋肉(複数可)の一部分のみに印加されてもよい。)
[0049]
いくつかの実施形態では、デバイスは、当技術分野で周知である、電気筋肉刺激を採用する。EMSは、電気インパルスを使用して、筋肉収縮を引き出す。インパルスは、デバイスによって生成され、刺激される筋肉(複数可)にごく接近して、および/またはそのような筋肉(複数可)に供給する遠心性神経(複数可)にごく接近して位置付けられた電極を通して送達される。例えば、電極は、皮膚上に位置付けられてもよく、かつ刺激される筋肉(複数可)を直接覆ってもよい。デバイスは、皮膚電極を通してパルス電流を印加することによって、(典型的には繰り返し)筋肉を収縮させる。EMSは、負傷後の身体のリハビリテーション、疼痛管理、およびスポーツのトレーニングにおいて等、種々の目的で使用される。EMSデバイスは、例えば、Compex Technologies, Inc.(New Brighton, MN)(現在はDJO, Inc., V
ista, CAによって所有されている)から入手可能であり、そのような機械は、本発明の種々の実施形態では、刺激を少なくとも1つの呼気筋に送達するために使用されてもよい。
【0046】
[0050]
いくつかの実施形態では、刺激が、少なくとも1つの腹筋に送達される。本発明の種々の実施形態での主な目的とする腹筋は、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、および腹横筋である。腹直筋は、ヒト(およびいくつかの他の動物)の腹部の前壁の両側で垂直に及ぶ対筋肉である。外腹斜筋(external oblique muscle、また、external abdominal oblique muscle)は、前外側腹部の3つの扁平筋肉の中で最も大きく、かつ最も表面的(最外)である。内腹斜筋は、外腹斜筋の真下および腹横筋の真上に(表面に)位置する、腹部の中間筋である。腹横筋は、内腹斜筋の深くにある(下側で層状である)前および外側腹壁の筋層である。1つ以上の腹筋に供給する神経は、下の5本の肋間神経、肋下神経、および腸骨下腹神経を含む。
【0047】
[0051]
電極の数、形状、および位置は、変化することができ、当業者によって選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、2個から16個の間の電極が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、3個から8個の間の電極が使用されてもよい。電極は、実質的に、正方形、長方形、円形であってもよく、または他の形状を有してもよい。長方形の電極の例示的な辺(複数可)長は、例えば、約4cm~16cmに及んでもよい。いくつかの実施形態では、電極のうちの少なくともいくつかは、細長いストリップ様形状である(例えば、幅約2~4cmおよび長さ約12~20cm)。刺激電極のうちの1つ以上の位置は、例えば、腹直筋、またはその部分(複数可)を主に刺激するよう選択されてもよい。いくつかの実施形態では、腹直筋および外腹斜筋が刺激される。いくつかの実施形態では、電極は、肋骨縁の下および結合骨より上側で腹部上に位置付けられる。電極は、正中線の周囲でほぼ対称に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、単一の電極が、正中線のほぼ上に位置付けられ、1つ以上の電極が、正中線の両側で(例えば、両側に1つずつ)ほぼ対称に位置付けられる。いくつかの実施形態では、電極または電極の配設は、ほぼV字形であってもよく、先端が下を向く状態で対象の正中線の周囲で対称に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、一対以上の細長いストリップ様電極が、例えば、正中線の両側の肋骨縁の下で斜め下向きに及ぶように、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電極は、呼気筋に供給する神経根を刺激するように、後胸部上に位置付けられる。電流が、電極のうちの1つ以上を介して送達され、異なる電極(複数可)を介して戻されてもよいことが理解されるであろう。さらに、必ずしも全ての電極が所与の呼吸サイクル中に「動作中」ではなくてもよい。例えば、交互の呼吸サイクルで、または刺激が送達される連続呼吸サイクルで、主に2つ以上の異なる筋肉または筋肉群を刺激することを繰り返すことが望ましくあり得る。
【0048】
[0052]
電気刺激の特性(本明細書では「刺激パラメータ」とも呼ばれる)は、許容し難い不快感または熱等の悪影響を及ぼすことなく、少なくともいくつかの呼息筋(複数可)の収縮を引き起こすように当業者によって選択することができる。選択され得る刺激の特性は、例えば、周波数、振幅、負荷サイクル、パルス形状、パルス幅、パルス持続時間等を含む。いくつかの実施形態では、呼気と同期して送達される刺激は、0.1秒から2秒の間の持続時間にわたって、30mAから500mAの間の刺激の振幅、および10μsから100μsの間のパルス幅を伴って、1Hzから200Hzの間で送達されるパルス列を含む。いくつかの実施形態では、電圧は、0.1Vから5Vの間である。先述の範囲内で、またはこれらの範囲外で、パラメータの種々の好適な組み合わせを選択できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、100μsから1,000μsの間のパルス
幅が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、5Vから300Vの間の電圧が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、50から200Vの間、例えば、約100~150Vの電圧が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、最大約300Vの電圧および/または最大約100mAの電流が、例えば、約0.1から0.5msの刺激期間とともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、最大1000Vの高電圧刺激電圧および/または最大1000mA以上の電流が、例えば、非常に短い刺激持続時間とともに使用されてもよい。刺激が外部から送達される場合、刺激パラメータは、少なくとも部分的に、刺激が送達される体内の異なる深さに基づいて選択されてもよい。
【0049】
[0053]
いくつかの実施形態では、呼気と同期して送達される刺激は、単一パルスから成る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、呼気内で変化する。例えば、パルス(複数可)は、三角形、正方形、長方形、正弦波、部分正弦波、鋸歯状等であってもよい。複数のパルスが呼気期間内に送達される、いくつかの実施形態では、パルス幅が変化し得る。パルス規模および/または幅の変動は、直線状であり得る。例えば、パルス列は、25μsパルス幅で始まり、例えば、50Hzで、1秒の刺激期間にわたって約300~400μsのパルス幅まで直線的に増加してもよい。刺激パラメータの非限定的実施例は、(1)45Hz、刺激振幅60~100mA、およびパルス幅25μsでの1秒パルス、(2)50mAから450mAの間の刺激振幅、パルス幅200μsの単一パルスである。いくつかの実施形態では、刺激パラメータは、例えば、刺激期間内で変動する(増加する)パルス幅および/または振幅を使用することによって、筋肉(複数可)の急激よりもむしろ段階的な収縮を引き起こすように選択される。
【0050】
[0054]
いくつかの実施形態では、異なる電極を使用して、異なる特性を有する刺激が、異なる筋肉に送達されてもよい。さらに、異なる刺激が、筋肉の異なる部分に送達されてもよい。例えば、腹直筋の上部分、腹直筋の下部分、腹横筋、および/または腹斜筋を刺激し、その収縮を引き起こすために適切な刺激パラメータが選択されてもよく、対応する刺激が、(例えば、覆っている皮膚電極を介して)これらの領域に特異的に送達されてもよい。電極サイズおよび形状は、刺激を最適化し、特定の筋肉(複数可)またはその部分の収縮を引き起こすよう、および/または他の筋肉(複数可)またはその部分の刺激および収縮を回避または最小限化するよう、種々の代替案から選択されてもよい。(本明細書で使用されるような「最適化する」、「最適な」、および類似用語は、全ての可能な代替案の中でも絶対最適条件または「最良」を要求するわけではなく、むしろ、概して、種々の利用可能な代替案の中でも(例えば、特定の目的で)1つ以上の好ましい代替案(複数可)を表すことに留意されたい。そのような好ましい代替案(複数可)は、特定の目的で「最良」の代替案を含んでもよい。)
[0055]
呼吸の呼気相内の刺激の送達のタイミングは、変化し得る。いくつかの実施形態では、刺激の送達は、吸気の終了によってトリガされる。いくつかの実施形態では、刺激の送達は、呼気の開始によって(例えば、肺容量の減少の開始によって)トリガされる。例えば、呼気の開始および/または吸気の終了を検出するために、センサによって検出される量(または1回換気量等の導出量)の規模または傾斜の変化、あるいは傾斜の変化率を使用することができる。いくつかの実施形態では、ピーク検出またはゼロ交差検出アルゴリズムが、1つ以上のそのような目的で使用されてもよい。上述のように、刺激の送達は、吸気の終了後の所定の時間に、または呼気の開始後の所定の時間に始まることができる。例えば、送達は、呼気の開始後0.5秒から2秒の間に始まり、呼気筋の収縮を引き起こすように適切な時間量にわたって続くことができるが、吸気が始まる前に、そのような筋肉が少なくとも部分的に収縮しなくなるために十分な時間を許容することができる。いくつかの実施形態では、刺激は、1から1.5秒の間にわたって続く。いくつかの実施形態で
は、刺激送達は、呼気の後半0.5~1秒の間に呼息筋の収縮の力を増加させるよう、時間を調節される。いくつかの実施形態では、吸気の開始より前に、または開始時に、刺激を終了させるよう、対象の呼吸の分析に基づいて、信号が刺激デバイスに提供される。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの信号が、(呼吸サイクル内で)刺激デバイスに提供され、第1の信号は、刺激の送達を引き起こし、第2の信号は、その呼吸サイクル内で刺激の送達を終了させる。第2の信号は、第1の信号の1つ以上の特性の変化であってもよいことが理解されるであろう。例えば、第1の信号は、波形を含んでもよい。波形の振幅および/または周波数の変化が、第2の信号としての機能を果たしてもよい。異なる振幅および/または周波数が、刺激デバイスへの複数の明確に異なる命令を符号化してもよい。
【0051】
[0056]
一組の刺激パラメータ、または一連の異なる複数組の刺激パラメータは、「プログラム」または「プロトコル」と呼ばれ得る。異なる刺激プロトコルは、例えば、力の生成を増加させ、異なる活動レベルを考慮し、および/または、本発明のいくつかの実施形態では、筋力または持久力を増加させ、疲労抵抗を強化するように等、選択されてもよい。いくつかの実施形態では、プロトコルは、経時的に刺激パラメータのうちの少なくともいくつかを徐々に変化させることを含む。例えば、刺激は、所与のセッション中に低い強度または周波数で始まり、例えば、所定の期間(いくつかの実施形態ではユーザによって選択され得る)にわたって、または少なくとも部分的に、装置自体による対象の呼吸または他のパラメータの評価に基づいて、強度または周波数を増加させてもよい。
【0052】
[0057]
本明細書で説明されるように、いくつかの態様では、本発明は、例えば、対象の呼気を支援するよう、対象が息を吐き出しているときに、刺激を対象の下胸部および/または腹部に送達するために呼吸センサからのフィードバックを使用することに関する。本発明のいくつかの実施形態では、少なくともいくつかの刺激パラメータ(複数可)は、1つ以上のセンサ(複数可)からの入力に基づいて、動的に(例えば、呼吸と呼吸の間を基準として、または平均呼吸数にわたって)調整されてもよい。例えば、刺激の(例えば、吸気の終了または呼気の開始に対する)タイミング、持続時間、強度、周波数、および/または場所を調整することができる。いくつかの実施形態では、そのような調整は、少なくとも部分的に、刺激が送達される特定の呼気の前に吸い込まれた1回換気量に基づく。いくつかの実施形態では、本装置は、対象の呼吸への刺激の効果を分析し、刺激を調整する。したがって、本発明は、刺激パラメータを調整する、例えば、最適化するために、フィードバックを採用してもよい。
【0053】
[0058]
刺激は、例えば、多種多様の利用可能な刺激発生器またはその修正のうちのいずれかを使用して生成することができる。いくつかの実施形態では、定電流刺激装置が使用される。いくつかの実施形態では、定電圧刺激装置が使用される。
【0054】
[0059]
いくつかの実施形態では、市販の腹筋刺激装置が使用され、および/またはそのようなデバイスで採用される刺激パラメータが使用されるが、いくつかの実施形態では、刺激の送達は、呼吸の呼気相に限定される。刺激デバイスは、いくつかの実施形態では、ベルトの形態である(かつ腹部緊張ベルトと呼ばれ得る)電気腹筋刺激装置であってもよい。1つ以上の腹筋を刺激するために使用され得る、例示的なデバイスは、例えば、米国特許第4,763,660号、第6,341,237号、米国公開第20040039426号、PCT出願公開第WO/2000/041764号、第WO/2006/121463号、第WO/2006/113802号、第WO/2010/136486号、およびそ
れらの中の参考文献で説明されている。腹筋刺激装置は、市販されており、例えば、「Flex Belt」、または「Slendertone FlexGo Abdominal Toning System」として知られているデバイスである。いくつかのこれらのデバイスは、筋肉調節の目的で、米国食品医薬品局(U.S. Food & Drug Administration ;FDA)によって認可されている。例えば、Product Code ngxの下でFDA 510(k)デバイスを参照されたい。Beurer GmbH(Ulm, Germany)は、モデルEM30およびEM35腹部緊張ベルト等の腹筋刺激ベルトを提供する。
【0055】
[0060]
いくつかの態様では、本発明の装置は、腹筋刺激装置と信号通信しているRIPセンサまたは圧電呼吸センサを備える。いくつかの実施形態では、センサおよび腹筋刺激装置は、伝導性ワイヤまたはケーブルを介して直接接続される。いくつかの実施形態では、センサおよび腹筋刺激装置は両方とも、センサから入力信号を受容し、出力信号を腹筋刺激装置に送達する構成要素に接続され、出力信号は、腹筋刺激装置に、少なくともいくつかの腹筋、例えば、少なくとも腹直筋を刺激させる。構成要素は、センサから受信された信号を分析し、呼気が起こっているときを判定し、適切な刺激パラメータを選択し、および/または呼気中に腹筋刺激装置が腹筋を刺激するように適切に時期を合わせた信号を腹筋刺激装置に送達する、適切な電子機器を備えることができる。
【0056】
[0061]
いくつかの実施形態では、呼息筋の磁気刺激が、随意に、電気刺激とともに使用される。例えば、T10棘突起にわたって、刺激、例えば、磁気刺激を送達することによって、例えば、T8~T12の高さの周囲で脊髄神経根が活性化されてもよい。刺激はまた、あるいは代替として、本発明のある実施形態では、後胸部上の他の場所に送達されてもよい。
【0057】
[0062]
本発明のいくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、対象の胸部または腹部に、少なくとも部分的に埋め込まれ、電気および/または磁気インパルスが、例えば、呼息筋に供給する遠心性神経(複数可)に、および/または筋肉自体に、内部で送達される。
【0058】
[0063]
いくつかの実施形態では、対象の呼吸パターンが(例えば、肺活量計を使用して)分析され、および/または、例えば、本装置を使用する前に、胸部および/または腹部寸法(複数可)、呼息および/または吸気筋力、該筋肉(複数可)に供給する遠心性および/または求心性神経(複数可)の感受性等の1つ以上の物理的または神経筋特性が評価される。分析は、例えば、少なくとも部分的に、対象の個別呼吸パターンおよび/または物理的特性に基づいて、センサ(複数可)および/または刺激デバイスを較正または選択するために使用されてもよい。刺激の適切なパラメータまたはパラメータの範囲、電極の数および/または位置等は、効果的で耐容性良好な刺激を提供するように(装置自体によって自動的に、または医療提供者あるいは他の適切に訓練された個人によってのいずれかで)選択されてもよい。例えば、1つ以上の呼息筋(複数可)(例えば、腹直筋)の効果的な収縮を確実に引き起こすため、またはEELVの所望のレベルの低減を達成するために必要とされる最小電気刺激、および/または必要以上の不快感を引き起こすことなく送達され得る最大刺激が判定されてもよい。いくつかの実施形態では、特定の対象の選択された1つまたは複数の筋肉の観察可能な(例えば、肉眼で観察可能な)収縮を生じるために必要最小限である、刺激パラメータ(例えば、必要とされる最小電流)が使用される。いくつかの実施形態では、対象が合理的に耐えることができる最大レベル(例えば、最大電流)での刺激パラメータが使用される。いくつかの実施形態では、前述の最小限と最大限との
間の刺激パラメータが使用される。したがって、いくつかの態様では、本発明は、対象の個別特性に基づいてカスタマイズ可能である、呼吸支援装置を提供する。
【0059】
[0064]
いくつかの実施形態では、本装置は、異なる呼吸パターン、例えば、咳と関連付けられる呼吸パターン、安静呼吸、発話と関連付けられる呼吸パターン等を検出することが可能である。いくつかの実施形態では、本装置は、少なくとも部分的に、異なる呼吸パターンの検出に基づいて、1つ以上の刺激パラメータおよび/または信号調節手順を調整する。例えば、刺激強度および/または持続時間は、少なくとも部分的に呼吸パターンに基づいて、変化させられてもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、ある呼吸の種類、例えば、発話と関連付けられる呼吸の種類の間に停止され、少なくともいくつかの実施形態では、刺激は、対象が話すことを止めた後に自動的に再開される。いくつかの実施形態では、異なる呼吸パターンの検出は、最尤分類子またはベイズ分類子等の統計的分類子を使用して行われる。いくつかの実施形態では、異なる呼吸パターンの検出は、咳と安静呼吸とを区別するように、閾値を使用して、例えば、吸引中のセンサ信号の最小振幅を使用して行われる。いくつかの実施形態では、異なる呼吸の種類の一組の呼吸パターン「訓練例」が、特定の対象について獲得され、後に呼吸パターンを1つまたは別のカテゴリに割り当てるために使用することができるモデルまたは参照パターンを生成するために使用される。いくつかの実施形態では、モデルまたは参照パターンが、種々の位置にある、例えば、横たわっている、座っている、立っている、歩いている対象について生成される。いくつかの実施形態では、対象における種々の呼吸の種類の1つ以上の参照パターンとのその対象の呼吸パターンの相互相関分析に基づくアルゴリズムが使用されてもよい。相互相関を使用して、咳と関連付けられる呼吸パターンおよび安静呼吸を検出および区別することの実施例については、Gollee, H., et al., Med Eng Phys. 29(7):799-807 (2007)および/またはGollee, H. et al., Technol Health Care. 16(4):273-81 (2008)を参照されたい。当技術分野で公知である種々の機械学習アプローチのうちのいずれかが、種々の実施形態で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、装置は、歩行等の呼吸サイクルの一部ではない対象の運動、または寝返り等の睡眠中の随意運動を検出する、補助センサまたはデバイスを備えるか、またはそれと連動する。そのようなセンサまたはデバイスは、加速度計を備えてもよく、または、例えば、腕または脚の上に配置された電極を備えてもよい。いくつかの実施形態では、補助センサまたはデバイスからの入力が、対象の身体活動の性質または強度を判定するために使用され、いくつかの実施形態では、そのような情報は、1つ以上の刺激パラメータまたは信号調節パラメータを調整するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、対象の運動に関する情報は、呼吸センサからの入力が、呼吸サイクルの一部ではない運動から生じるアーチファクトを含有するかどうかを判定するために使用される。
【0060】
[0065]
また、1つ以上の筋肉(複数可)の収縮を阻止する、および/または1つ以上の神経(複数可)による伝導を阻止する、阻止刺激を送達することも、本発明の範囲内である。例えば、呼吸サイクルの少なくとも一部の間に感覚インパルスを阻止することが望ましくあり得る。阻止刺激が送達される呼吸サイクル内の期間は、収縮を引き起こす刺激が送達される期間と重複してもしなくてもよい。いくつかの実施形態では、下方の外肋間筋(第7肋間以下に位置する)のうちの少なくともいくつかの収縮が阻止される一方で、下方の内肋間筋(第7肋間以下に位置する)のうちの少なくともいくつかの収縮は刺激される。収縮を引き起こすよりも、むしろ阻止するための適切なパラメータが選択されてもよい。異なる複数組の電極が、異なる刺激に使用されてもよい。
【0061】
[0066]
例えば、複数の刺激の利便的な送達を可能にするように、1つ、2つ、またはそれ以上のパルス発生器および/または電流あるいは電圧源が提供されてもよい。
【0062】
[0067]
本発明のいくつかの実施形態では、対象が息を吸い込んでいる間に、少なくともいくつかの吸気筋が(電気的または磁気的に)刺激される。他の実施形態では、そのような刺激が提供されない(または任意のそのような刺激が、収縮またはそのような筋肉によって生成される力の有意な変化を引き起こすには不十分である)。例えば、横隔膜が刺激されず、および/または外肋間筋が刺激されない(または任意のそのような刺激が、収縮またはそのような筋肉によって生成される力の有意な変化を引き起こすには不十分である)。本発明の少なくともいくつかの実施形態では、刺激が中枢神経系に送達されない。本発明の少なくともいくつかの実施形態では、刺激が横隔神経に送達されない。
【0063】
[0068]
電極
[0069]
例えば、電気刺激を感知するため、および/または送達するために、種々の電極および電極取付手段を、本発明の装置で使用することができる。例えば、電極は、皮膚に接着するパッドに含有されてもよい。電極は、使い捨てであってもよく(1回だけから数回の使用に意図される)、または中期の使用(例えば、1週間から6ヶ月の間)あるいは長期の使用(例えば、6ヶ月以上)に意図されてもよい。外部(皮膚上)または内部で人体に接触するために好適な電極が、当技術分野で公知である。電極は、皮膚上で使用されるときに接触ゲルの使用を必要とする「湿式」電極、または接触ゲルを必要としない「乾式」電極であってもよい。いくつかの実施形態では、電極は、少なくとも部分的に、伝導性炭素材料から作られている。いくつかの実施形態では、伝導性ポリマーが使用される。例えば、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))またはPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))ポリ(スチレンスルホン酸)複合材料等の、3,4-エチレンジオキシチオフェンに基づく伝導性ポリマーが、乾式電極を製造するために使用されてもよい。皮膚上に配置するために好適な電極は、接着パッチまたはパッドに組み込むか、または(例えば、裁縫、スナップまたはボタン留め具、Velcro、または他の締結手段によって)衣服に取り付けることができる。電極は、独立して位置付け可能であり得る。いくつかの実施形態では、電極は、相互に接続されるか、または電極アレイとして提供され、例えば、相互に対して所定のパターンで配設される。
【0064】
[0070]
Axelgard Manufacturing Co., Ltd.(Falbrook, CA)およびPCP Medical, Inc.(Batavia, NY)が、本発明の種々の実施形態で使用され得る、一連の異なる電極を供給する。
例えば、PALS(登録商標)、UltraStim(登録商標)、またはValuTrode(登録商標)電極(Axelrod Manufacturing Co., Ltd.)が、本発明の種々の実施形態で使用されてもよい。
【0065】
[0071]
機械的刺激デバイス
[0072]
機械的刺激を下前胸部および/または腹部に送達するデバイスが、種々の方法で実装されてもよい。機械的刺激は、典型的には、呼気を支援する、胸腔内圧の増加を引き起こすように、十分な力を対象の下前胸部および/または腹部に送達する。例えば、外部圧迫が、腹腔内容物を押し上げ、呼気を促進するために十分であり得る。外部圧迫が緩和されるにつれて、例えば、重力および/または弾性収縮力を用いて、腹腔内容物が、それらの非
圧縮位置に戻り、吸気が起こることを可能にする。
【0066】
[0073]
いくつかの実施形態では、機械的刺激デバイスは、電気活性ポリマー(EAP)を含む。電気活性ポリマーは、電場によって刺激されたときに、サイズまたは形状の変化を呈するポリマーである。そのようなポリマーの実施例は、例えば、米国特許第6,249,076号、第6,545,384号、および第6,376,971号で説明されている。また、論議のために米国特許第7,491,185号も参照されたい。EAPは、伝導性ポリマー、イオン性ポリマー・金属複合材料(IPMC)、または反応性ゲルを含むことができる。ポリアニリン、ポリピロール、ポリスルホン、およびポリアセチレンは、使用が考慮される例示的なEAPである(随意に、それらの組み合わせが使用されてもよい)。EAPは、衣服またはベルトに直接織り込むことができる、繊維の形態であってもよい。繊維は、EAPを含まない領域によって分離され得る、1つ以上の実質的に水平なストリップまたは列において、対象の下前胸部および/または腹部の周囲で円周方向に延在するように、衣服またはベルトの中に散在させられてもよい。
【0067】
[0074]
いくつかの実施形態では、機械的刺激は、空気圧駆動型圧迫を含む。例えば、デバイスは、ガス(例えば、空気)を導入または放出することができる、1つ以上の区画(複数可)または貯気槽(複数可)を備えることができる。1つ以上の区画(複数可)は、ガスの導入による区画(複数可)の膨張が前胸部および/または下腹部を圧迫するように位置付けられる。いくつかの実施形態では、ガスが、2つの区画の間で前後に移動させられる。呼気中、ガスが、下前胸部および/または腹部より上側に位置付けられた区画に導入され、それにより、これらの領域を圧迫する。ガスは、吸入の開始前または直後に(例えば、他の区画の中へ)放出される。区画(複数可)は、ハーネス、ヨーク、またはコルセットアセンブリ、あるいは同等物を使用して、対象の身体に固定されてもよい。対象の下胸部および/または腹部を少なくとも部分的に取り囲む、空気圧式人工筋肉の使用も想定される。圧縮ガスまたは圧縮機が提供されてもよい。
【0068】
[0075]
他の実施形態では、呼気中に引き締まり、次いで、緩む、対象の胸部および/または腹部の周囲に位置付けられた電動式ベルトによって、機械力が提供される。
【0069】
[0076]
機械的刺激のパラメータは、安定した、または徐々に増加する圧縮力を提供するように選択されてもよく、胸部または腹部に急激な衝撃、あるいは対象によって体験される圧縮力の過度に急速かつ潜在的に不快な変化を送達することを回避してもよい。機械的な刺激は、例えば、種々の実施形態では、約0.5から3秒の間にわたって続いてもよい。
【0070】
[0077]
電力供給
[0078]
本発明の装置は、電気エネルギーを刺激発生器に供給する、電力供給を備えることができる。エネルギーは、AC電圧を供給する電気エネルギー伝達システムまたは1つ以上のバッテリ等のエネルギー貯蔵デバイス等の、好適なエネルギー源から得られてもよい。電力供給は、離散的な独立型デバイスとして、またはデバイスの一体構成要素として実装されてもよい。電力供給は、バッテリーパックとして提供することができる、1つ以上のバッテリを備えることができる。バッテリは、再充電可能であり得る。本装置は、例えば、対象が歩き回っていないか、またはコンセントの近くにとどまっている間に使用するため、およびバッテリを再充電することを可能にするための、標準的な電気コンセントに差し
込むことができる、電源コードを備えることができる。いくつかの実施形態では、バッテリパック(または電力供給)は、他(複数可)のバッテリを使用しながら、1つのバッテリまたは一組のバッテリを利便的に充電することを可能にするように、装置の残りの部分から分離可能である。電力供給は、電流または電圧制限回路等の安全機能を備えることができる。
【0071】
[0079]
コントローラ
[0080]
いくつかの態様では、本装置は、1つ以上のセンサ(複数可)と刺激デバイスとの間のリンクとしての機能を果たす、コントローラを備える。コントローラは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、メモリ(例えば、ROMおよびRAMの両方)、(例えば、1つ以上のセンサ(複数可)から)1つ以上の入力(複数可)を受容するための手段、(例えば、刺激デバイスに)1つ以上の出力(複数可)を提供するための手段とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、単一の集積回路と、入力/出力用の複数のピンとを備える、チップによって、前述の機能が提供される、マイクロコントローラが使用される。コントローラは、1つ以上のセンサ(複数可)から受信される信号(複数可)を分析し、出力を刺激デバイスに提供するかどうか、および提供するときを判定してもよい。例えば、コントローラは、1つ以上のセンサ(複数可)から信号(複数可)を受信し、信号(複数可)を分析し、該信号(複数可)に応答して信号を刺激装置に出力する。次いで、刺激装置は、コントローラからの信号に応答して、刺激を対象に送達する。随意に、コントローラは、少なくとも部分的に、センサ(複数可)から受信された信号(複数可)の分析に基づいて、刺激パラメータを選択する。分析は、複数の呼吸サイクル中に受信された信号(複数可)を考慮してもよい。例えば、呼吸速度が経時的に増加しているか、または所定の値を超える場合、あるいは呼気の持続時間が経時的に減少している場合、コントローラは、より強い筋肉収縮をもたらすよう、送達された刺激の1つ以上のパラメータを増加させるように変化させてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、例えば、軽度の変動を考慮するように、センサフィードバックに基づいて、所与の呼吸種類、例えば、安静呼吸の1つ以上の刺激パラメータを変化させてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、呼吸信号の振幅が経時的に、例えば、少なくとも特定数の呼吸サイクルにわたって減少する場合、刺激の増加する強度が提供される。
【0072】
[0081]
信号処理および分析機能性は、少なくとも部分的にセンサ(複数可)自体によって、および/または刺激デバイスによって提供されてもよいことが理解されるであろう。例えば、センサは、アナログ・デジタル変換器を備えることができ、および/またはセンサによって測定される物理量が所定の値を超えるときのみ、信号をコントローラに(または刺激デバイスに)提供するように設計することができる。
【0073】
[0082]
信号分析、刺激パラメータ選択機能、および/または装置の他の機能(複数可)の少なくとも一部を実行するための、コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータ可読命令が、本発明の態様である。コンピュータ可読命令は、任意の有形媒体(例えば、非一過性記憶媒体)で具現化されてもよく、および/または種々の実施形態で任意のコンピュータプログラミング言語を利用してもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体システム、装置、デバイスであってもよいが、それらに限定されなくてもよい。コンピュータ可読媒体の実施例は、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読取専用メモリ(例えば、EPROMまたはフラッシュメモリ)、携帯用コンパクトディスク読取専用メモリ(CDROM)、フロッピーディスク、光学記憶デバイス、または磁気
記憶デバイス等を含む。コンピュータ可読媒体は、いくつかの実施形態では、例えば、紙の光学走査または他の媒体(随意に、光学文字認識を採用すること)を介して、プログラムを電子的に捕捉し、次いで、必要であれば、好適な方式でコンパイルし、解釈し、または別様に処理し、次いで、コンピュータメモリに記憶し、および/またはコンピュータプロセッサによって実行することができるため、プログラムが印刷または具現化される、紙または別の好適な媒体であってもよい。本書との関連で、コンピュータ可読媒体は、データまたはコンピュータ実行可能命令を含有する、記憶する、伝達する、伝搬する、または輸送することができる、任意の媒体であってもよい。
【0074】
[0083]
衣服またはベルト
[0084]
いくつかの実施形態では、本発明の装置の少なくとも1つの構成要素は、衣服に組み込まれ、それにより、構成要素が衣服の一体部分として衣服に取り付けられることが意味される。例えば、センサ、電極(複数可)、刺激デバイス、および/または2つ以上の構成要素(複数可)を接続する電気コードが、衣服に組み込まれる。いくつかの実施形態では、センサ、刺激デバイス、または両方(あるいはそれらの1つ以上の構成要素(複数可))は、衣服に取り付けられるが、容易に着脱可能であり、例えば、容易な着脱を可能にするように選択された締結手段によって取り付けられる。
【0075】
[0085]
衣服は、対象が頭部および胸部からかぶって着ることができる、上半身の衣服であってもよい。それは、典型的には、胸部の周囲にしっかりと適合し得、いくつかの実施形態では、腹部の少なくとも一部(例えば、上腹部)まで延在して、その周囲に適合する、ぴったり体に合った衣服である。一態様では、本発明は、その中に組み込まれた少なくとも1つのセンサを有する、快適で控えめな衣服を提供し、センサは、刺激を対象に送達するように適合されるデバイスに動作可能に接続され、刺激は、対象の呼吸を支援するために効果的である。衣服は、(所望であれば)従来のシャツまたはブラウスの下に装着するために好適な下着であってもよい。例えば、衣服は、ベストまたは「Tシャツ」であってもよい。いくつかの実施形態では、衣服が袖なしである一方で、他の実施形態では、袖(半袖または長袖のいずれか)が提供される。他の実施形態では、少なくとも、刺激を送達するためのデバイスは、対象が脚にかぶせて着ける下半身の衣服、例えば、一着のブリーフまたはガードル等の下着、一着のショーツ、タイツ、パンツ、レギンス等に組み込まれてもよい。下半身の衣服は、少なくとも対象の腹部、随意に、下胸部の少なくとも一部の周囲に適合する。いくつかの実施形態では、衣服は、ボディスーツまたはレオタードのような衣服である。
【0076】
[0086]
いくつかの実施形態では、センサ、刺激送達デバイス、または両方は、腰(すなわち、胸郭と臀部との間の腹部の部分)の周囲に装着されるベルトに組み込まれる。ベルトは、衣料装身具として使用される従来のベルトよりも幅が広くてもよく、いくつかの実施形態では、下胸郭の少なくとも一部分を包含し、および/または臀部の少なくとも一部分を覆って下方に延在する。ベルトは、典型的には、対象の腰を取り囲むことができるように、可撓性材料から成る。それは、典型的には、1つ以上のバックル、フック、スナップ、ボタン、またはVelcro留め具等の締結手段を有するであろう。ベルトは、腹部の周囲で可撓性に調整可能であってもよい。
【0077】
[0087]
センサおよび刺激デバイスは、同一衣類またはベルトに組み込まれてもよく、またはそれぞれ、異なる衣服またはベルトに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、刺激
デバイスが、対象の腰の周囲で装着可能なベルトに組み込まれる一方で、センサデバイスは、上半身の衣類に組み込まれる。センサおよびデバイスは、直接電気接続を介して、または無線で通信してもよい。いくつかの実施形態では、ベルトまたは衣服は、電極の潜在的な取付のための複数の部位を備え、それにより、個人(例えば、対象または医療提供者あるいは他の介護者)が、(感知および/または刺激送達用の)電極の数および/または位置(複数可)を調整することを可能にする。
【0078】
[0088]
衣服またはベルトは、ぴったり合うことを促進するように、Spandex(Lycraまたはエラステインとも呼ばれる)、Darlexx、またはポリウレタン等の高い弾性を伴う繊維を含む、伸縮性材料から少なくとも部分的に作られてもよく、その繊維は、綿またはポリエステル等の他の繊維と混合されてもよい。衣服またはベルトは、少なくとも部分的に、織布、不織布、またはメッシュ様織物または繊維製品から成ってもよい。いくつかの実施形態では、衣服またはベルトは、少なくとも部分的に、合成ゴム材料、例えば、ポリクロロプレン(Neoprene)等のエラストマー材料から成る。衣服またはベルトは、例えば、快適性を向上させるように、皮膚に接触するためのSpandexまたはナイロン含有裏地を少なくとも片側に有してもよい。いくつかの実施形態では、衣服またはベルトは、複数のパネルまたはセクションを備え、パネルまたはセクションのうちの少なくともいくつかは、伸縮性材料を含む。衣服またはベルトは、詰め物またはクッションあるいは同等物を備えてもよく、または部分的に、敏感な構成要素(複数可)を保護する、および/または対象の快適性を向上させる働きをし得る、軟質の柔らかい材料から成ってもよい。
【0079】
[0089]
伝導性ストリップが、例えば、センサとして、および/またはセンサ(複数可)から、および/または刺激デバイスから、あるいは刺激デバイスへ信号を伝送するように、衣服またはベルトに織り込まれるか、取り付けられてもよい。センサまたは電極(複数可)等の構成要素は、例えば、裁縫、刺繍、埋込、接着(例えば、いくつかの実施形態では感圧性である好適な接着剤を使用する)、製織、織物の部分または層の間で構成要素の少なくとも一部を取り囲むこと、締め紐、タブ、スロット、または溝の使用、テープ、ジッパー等によって、衣服またはベルトに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、センサおよび/または電極は、織物上に印刷または型打されてもよい。衣服またはベルトは、洗濯可能であってもよい。いくつかの実施形態では、衣服またはベルトは、刺激を送達するためのセンサ(複数可)および/または電極(複数可)を、種々の異なる場所に位置付けることができるように、設計されている。例えば、衣服またはベルトは、そこへのセンサまたは電極の取付を可能にするであろう、複数のスナップディスクまたはホックディスクを備えてもよい。
【0080】
[0090]
上述のように、本発明の種々の実施形態では、電気伝導性または圧電繊維をセンサとして使用することができる。そのような繊維は、随意に、衣服またはベルトの一体部分であってもよい。例えば、衣服またはベルトは、伝導性または圧電繊維または織物部分を含む、随意に、ストリップまたはバンドの形態で、1つ以上の領域を備えてもよい。そのような領域は、随意に、対象の胸部または腹部の周囲に延在してもよい。それらは、実質的に真っ直ぐであってもよく、またはジグザグ、正弦曲線、あるいは類似形状パターンで配設されてもよい。
【0081】
[0091]
衣服またはベルトは、装置の種々の構成要素を接続するように、それを通して1本以上の電気コードまたはケーブルを「螺入」することができる、2つ以上の織物層から成る1
つ以上の「チャネル」または「トンネル」を含有してもよい。衣服またはベルトは、その中に装置の1つ以上の構成要素が配置され得る、2つ以上の織物層の間の1つ以上の「ポケット」または空間を備えてもよい。例えば、電力供給、コントローラ、圧迫区画、電気インパルス発生器等が、ポケットの中または織物層の間に配置されてもよい。ポケットは、衣服またはベルト内のチャネルまたはトンネルによって接続されてもよい。
【0082】
[0092]
特定の実施形態では、本発明は、対象が息を吐き出しているときを感知することが可能なセンサを備える、装着可能な腹筋刺激ベルトを提供する。いくつかの実施形態では、ベルトは、2つ以上のセンサ(複数可)を備える。センサは、第1のセンサが前腹部の右上四半部に接触し、第2のセンサが前腹部の左上四半部に接触するように位置付けられてもよい。センサ(複数可)は、呼吸活動に付随するひずみおよび/または腹部運動を検出してもよい。センサ(複数可)は、対象が息を吐き出しているときを感知することの感受性および/または特異性のために、好ましい配向でベルト上に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)は、圧電センサである。
【0083】
[0093]
具体的には、いずれか1つ以上のセンサ(複数可)、または本明細書で記述される種類のセンサの種類、あるいは他の好適なセンサ(複数可)を、腹筋刺激ベルトに取り付けるか、または組み込むことが考慮される。また、具体的には、1つ以上のそのようなセンサ(複数可)を取り付けるか、または組み込むための手段を備える、腹筋刺激ベルトを提供することも考慮される。また、具体的には、対象の呼気と一致して少なくとも1つの腹筋を刺激するために、センサ(複数可)とともに腹筋刺激ベルトを使用することも考慮される。具体的には、センサ(複数可)を伴う腹筋刺激ベルトと、1つ以上のセンサ(複数可)からの信号(複数可)を処理し、対象が息を吐き出しているときに1つ以上の腹筋(複数可)への電気刺激の送達を引き起こす制御手段とを備える、装置を提供することが考慮される。
【0084】
[0094]
いくつかの実施形態では、ベルトは、センサが適切に対象に接触して、対象が息を吐き出しているときをセンサ(複数可)が検出することを可能にするように、そこへの1つ以上のセンサ(複数可)の取付を可能にする手段を装備している。いくつかの実施形態では、ベルトは、1つ以上のループ(ズボン等の衣服で見出されるベルトループに類似する)を備え、ループは、ベルトが使用中であるときに対象の皮膚に接触するであろう、ベルトの表面上に位置する。いくつかの実施形態では、センサは、ベルトのループを通してそれらを摺動させることによってベルトに取り付けることができる、バンドまたはストリップの形態である。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)は、ベルトのスロットまたはスリットの中へ嵌合することができる、タブ(例えば、センサの側面に取り付けられる、またはそこから突出する材料の短いストリップ)を備える。タブは、少なくとも部分的に、合理的に剛性の材料、例えば、プラスチック材料から作られてもよい。ベルトの内面は、代替として、またはさらに、1つ以上のフック、ループ、小穴、スナップ、スロット、スリット、溝、またはセンサの固定締結を可能にするであろう他の手段あるいは特徴を備えてもよい。したがって、本発明は、取付システムの使用を包含し、刺激デバイス、例えば、腹筋刺激ベルトは、取付システムの第1の要素を備え、センサは、取付システムの第2の要素を備え、第1および第2の要素は、センサがベルトに固定して取り付けられ得るように、相互に適合する。そのような取付システムおよびそれぞれの要素の実施例は、例えば、スナップの「雄」および「雌」部分、タブおよびスリット/スロット、フックおよびループ、フックおよびフック、フックおよび小穴、ボタンおよびボタン穴を含む。(フックおよびループは、例えば、Velcroのように、小型フック、ループ、および/または小穴の使用を包含することを目的としていることに留意されたい。)1つ以上のその
ような取付システムが、使用されてもよい。第1の要素は、ベルトによって提供されてもよく、第2の要素は、センサによって提供されてもよく、または逆も同様である。
【0085】
[0095]
いくつかの実施形態では、センサ(複数可)は、ベルトの一体部分を構成する。例えば、1つ以上のセンサ(複数可)が、使用中であるときに対象に接触するであろう、ベルトの側面に縫い付けられるか、または固定して接着されてもよい。
【0086】
[0096]
一体センサ(複数可)、取付要素(複数可)、および/または電極の場所は、感知要素(複数可)が空間的に電極と重複しないように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、感知要素および電極は、ベルトまたは衣服の内側に沿って離間される。
【0087】
[0097]
キット
[0098]
本発明の装置の構成要素は、別々に、または、例えば、単一のパッケージまたは「キット」内でともに提供されてもよく、その中で、それらは、個別に包装されるか、または別様に分離されてもよい。キットまたはパッケージは、少なくとも、センサ(および随意に、センサを固定するバンド等の関連要素)と、刺激デバイス(例えば、腹筋刺激装置)とを含有し、随意に、電極(複数可)、電極ゲル、コントローラ、電力供給、構成要素(複数可)を接続するためのワイヤ、装置の使用説明書等のうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットまたはパッケージは、(例えば、ベルトの形態の)腹筋刺激装置と、呼吸を感知するために好適なRIPセンサまたは圧電センサとを備える。いくつかの実施形態では、センサは、衣服またはベルトに組み込まれる。随意に、キットまたはパッケージは、本装置が、例えば、店頭販売および/または処方による使用のために、FDA等の規制当局によって認可または認定されていることを示す、注意書き(例えば、ラベルまたはパッケージ挿入物)を含有する。いくつかの実施形態では、本装置が承認されている1つ以上の適応症が、通知で記述される。例えば、いくつかの実施形態では、注意書きは、本装置が、呼吸を支援する、過膨張を低減させる、および/または閉塞性呼吸器疾患、例えば、COPDに罹患している対象において運動耐容能を向上させるための使用に承認されていることを示す。いくつかの実施形態では、注意書きは、本装置が人工呼吸器からの離脱の支援での使用に承認されていることを示す。
【0088】
[0099]
特徴および使用
[0100]
いかようにも本発明を限定するわけではないが、この項は、本発明の装置および方法の実施形態の種々の特徴および使用に少なくとも部分的に関する、さらなる情報を提供する。いくつかの態様では、本発明の装置は、対象を治療するために使用される。対象は、典型的には、ヒトであるが、対象は、治療および/または試験目的で、ヒト以外の動物、例えば、ヒト以外の霊長類または家畜、例えば、イヌまたはネコ等のペットであってもよいことが想定される。いくつかの実施形態では、対象は、雄である。いくつかの実施形態では、対象は、雌である。いくつかの実施形態では、対象は、成人、例えば、少なくとも18歳、例えば、18から100歳の間のヒトである。COPDがある多くの対象は、40歳以上の成人であってもよい。本発明のいくつかの実施形態の効果的な治療は、治療が対象によって使用されている時間の少なくとも一部の間に、疾患、障害、または状態の1つ以上の症状、兆候、または発現の重症度を低減させる。
【0089】
[0101]
呼吸器疾患、例えば、COPD等の閉塞性呼吸器疾患に罹患している対象を、当技術分野で公知であるように診断することができる。例えば、GOLD報告を参照されたい。気道抵抗の増加は、例えば、肺活量測定または最大呼気流量計によって測定されるように、1秒間努力呼気容量(FEV1)の減少によって明白である。COPDは、0.7未満である、1秒間努力呼気容量対努力肺活量の比(FEV1/FVC)として定義されてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、FEV1/FVCおよびFEV1の気管支拡張剤後評価に基づく、GOLD報告で定義されるようなステージII、III、またはIVのCOPDを有する。例えば、対象は、FEV1/FVC<0.70および30%≦FEV1<予測値の50%(例えば、個人の年齢、性別、および身長に基づいて健康な個人について予測される値の<50%)、またはFEV1/FVC<0.70およびFEV1<予測値の30%を有してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、気管支拡張剤療法では完全には可逆的ではないCOPDの症状、対象の年齢グループ内の健康な個人の低いほうの5%におけるFEV1/FVCを有する。気道閉塞の他の肺活量測定ベースの定義(例えば、英国胸部疾患学会(British Thoracic Society)の定義)を使用することができる。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、NEP技法を使用して評価されるようなEFLを呈する。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、3段階尺度を使用した1または2のスコア、または5段階尺度を使用した0から4のスコア、または連続的尺度を使用した50%未満EFLの呼気を有する。
【0090】
[0102]
いくつかの態様では、発明の呼吸支援装置の使用は、例えば、対象(例えば、閉塞性呼吸器症状、例えば、COPDがある対象)が、(同じ活動レベルで)装置を使用していないときよりも装置を使用しているときに、概して、息を吐き出す、および/または息を吸い込むことが容易であると感じる場合に、対象が息を吐き出す、および/または息を吸い込むために必要な客観的または主観的努力を低減させる。上述のように、本発明の装置によって提供されるいずれか1つ以上の利益は、対象が装置を使用するセッションを開始するとすぐに明白ではなくてもよいことを理解されたい。例えば、装置によって提供される刺激が、対象の肺に閉じ込められた空気の呼気をもたらすために、ある程度の時間が必要とされてもよい。例えば、EELVは、セッションの開始後、ある期間にわたって徐々に減少してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の装置によって提供される1つ以上の有益な効果は、セッションの終了後、少なくともある程度の時間にわたって存在してもよい。例えば、効果は、セッション後少なくとも15分、例えば、15から30分の間、またはセッションの終了後最大1、2、4、6時間以上にわたって、明白であってもよい。効果は、そのような期間中に経時的に減少してもよいことが理解されるであろう。したがって、対象がセッションの少なくとも一部の間に効果を体験した場合、および/または対象がセッションの完了後に効果を体験した場合、有益な効果が生じると見なされる。
【0091】
[0103]
いくつかの実施形態では、発明の呼吸支援装置の使用は、(例えば、対象によるデバイスの最初の使用前の対象の安静時EELVと比較して)対象の安静時EELVの5%~75%、5%から50%の間、または5%から25%の間の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、発明の呼吸支援システムの使用は、(例えば、対象によるデバイスの最初の使用前の対象の安静時EELVと比較して)対象の安静時EELVの50mlから200mlの間の減少をもたらす。実施形態では、本発明の装置の使用は、(例えば、対象によるデバイスの最初の使用前のそのような運動後の対象のEELVと比較して)運動、例えば、歩行の期間の間または直後の対象のEELVの5%~75%の間の減少および/または50mlから200mlの間の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、(例えば、COPD増悪による)動的過膨張に罹患している対象によって使用される発明の装置は、動的過膨張またはCOPD増悪を体験していないときの対象について測定されるEELVの125%以内であるように、対象のEELV減少をもたらす。いくつかの実施形態では
、本発明の装置の使用は、150%を超えないように、またはいくつかの実施形態では、健康な合致対象の平均予測EELVの125%を超えないように、対象のEELVの減少をもたらす。上述のように、EELVの変化は、デバイスを使用したセッションの一部の間に存在してもよく、および/またはセッションが終了した後のある期間にわたって継続してもよい。「合致対象」は、典型的には、年齢、身長(および/または他の関連寸法(複数可))に関して合理的に合致させられ、随意に、性別を合致させられるであろう。当業者であれば、対象における正常なEELV(または他の肺容量、肺活量、または呼吸に関連する特性)の好適な標準範囲を認識するであろう、または得ることができる。EELV(または他の肺容量、肺活量、または呼吸に関連する特性)の評価は、本明細書で記述される方法のうちのいずれか、または当技術分野で公知である他の方法を使用して行うことができる。そのような測定は、複数の呼吸で平均化されてもよい。
【0092】
[0104]
腹筋(複数可)を刺激する本発明の装置を使用することは、これらの筋肉(複数可)を訓練し得、例えば、増加した筋力および/または持久力をもたらし得る。したがって、本装置は、刺激自体の直接の効果と無関係に、息を吐き出す対象自身の能力を向上させ得る。また、本装置を使用することの実験は、息を吐き出す際に、どのようにして腹筋をより効果的に使用するかを対象に訓練するのに役立ち得ることも考慮される。例えば、本発明の装置は、対象が腹筋の能力を認識するのに役立ち得、および/または対象がそれらの収縮および/またはそのタイミングに対する制御の増大を獲得するのに役立ち得る。本発明の装置を使用することは、より良く息を吐き出すために、いつ腹筋を収縮させるかを対象に教えてもよい。例えば、装置は、例えば、選択された量を吐き出すこと、終末呼気において選択された量だけを肺の中に保持すること、選択された呼吸速度または選択された範囲内の呼吸速度を有すること、または呼吸筋努力を効率的に利用すること等の1つ以上の成果または目標を促進するために、呼気の開始に対する収縮の適切なタイミングおよび/または収縮の適切な持続時間について対象を支援してもよい。
【0093】
[0105]
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、バイオフィードバックでのツールとして使用されてもよい。バイオフィードバックは、概して、例えば、健康および/または性能を向上させる目的で、個人が生理学的活動を変化させる方法を学習することを可能にし、同システムの活動についての情報を提供する機器を使用して、種々の生理学的機能を認識することを伴うことができる、プロセスを指し、それらを自由自在に操作できることが目標である。この種類の学習は、本発明の装置の使用を通して自然に起こってもよく、訓練されたバイオフィードバック施術者によって促進されてもよく、および/またはコンピュータベースのプログラムによって促進されてもよい。コンピュータプログラムは、装置と通信し、例えば、呼吸と関連付けられる波形、刺激の送達の時間、および/またはその場所あるいは強度、刺激を伴う、および伴わない呼吸の比較を表示してもよい。情報は、ディスプレイ上でユーザに提示することができる。視覚および/または聴覚フィードバックおよび/または触覚フィードバック(例えば、電気または機械)が、対象に提供されてもよい。コンピュータプログラムは、好適なコンピュータ言語で書かれてもよく、かつコンピュータ可読媒体上に記憶されてもよく、そのような可読媒体は、本発明の態様である。本発明は、本発明の装置と、コンピュータとを備える、システムを提供し、コンピュータは、少なくとも部分的に、装置から受信された入力に基づいて、および/または対象がデバイスを使用している間に、バイオフィードバックをユーザに提供するための命令を実行するようにプログラムされる。
【0094】
[0106]
いくつかの実施形態では、本装置は、例えば、(i)1つ以上の呼息筋の収縮を刺激するように選択される刺激パラメータが、刺激が送達される呼吸サイクル中に使用される、
第1のモード、および(ii)通常の使用条件下で、呼息筋(複数可)の収縮を刺激するために必要とされるであろう刺激のレベルを下回る(またはいくつかの実施形態では、収縮への任意の効果は、当業者によって判断されるように、呼気へのその効果に関してはごくわずかであろう)が、対象によって感じられるのに十分である刺激が、少なくともいくつかの呼吸サイクル中に送達される、第2のモードといった、少なくとも2つの異なるモードで動作することが可能である。前の文の節(ii)で説明されるような刺激は、本明細書では「触刺激」と呼ばれ得、第2のモードは、「プロンプトモード」と呼ばれ得る。一般に、触刺激は、少なくとも1つの感覚神経、例えば、皮膚に供給する感覚神経で活動電位を引き起こすために十分であるが、少なくともいくつかの実施形態では、呼息筋に供給する運動神経で活動電位を引き起こすためには十分ではない。いくつかの実施形態では、触刺激は、約15Hz以下の周波数で送達される。いくつかの実施形態では、第2のモードで動作するときに、触刺激は、刺激が送達される呼吸サイクルの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の間に送達される。いくつかの実施形態では、触刺激の刺激パラメータは、刺激が、通常の使用条件下で、(例えば、本明細書の以下で説明されるように、感覚刺激を通して対象を促す結果を除いて)収縮していない筋肉の検出可能な呼息筋収縮を引き起こさない、および/または(例えば、本明細書の以下で説明されるように、感覚刺激を通して対象を促す結果を除いて)収縮していない筋肉の収縮の力または持続時間の検出可能な増加を引き起こさないように、選択される。いくつかの実施形態では、「検出可能な効果」は、裸眼で視覚的に観察可能である。いくつかの実施形態では、「検出可能な効果」は、適切なセンサによって検出可能である。いくつかの実施形態では、「検出可能な効果」は、筋電図検査(EMG)によって検出可能である。いくつかの実施形態では、EMGは、表面EMGである。いくつかの実施形態では、EMGは、筋肉内EMGである。いくつかの実施形態では、触刺激のパラメータは、対象に対して実験的に判定される。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも80%、90%、95%以上の試行で対象によって感じられるために必要とされる最小レベルでの刺激が選択される。
【0095】
[0107]
いくつかの実施形態では、プロンプトモードであるときに、感覚刺激、例えば、触刺激が、呼吸および/または呼吸筋収縮のタイミングに関して対象のための手掛かりとしての機能を果たすように提供される。例えば、いくつかの実施形態では、感覚刺激、例えば、触刺激が、例えば、吐き出される量または呼気の持続時間に関して、対象が特定の標的を達成するために、呼吸または呼息筋収縮の適切な開始、持続時間、または終了、あるいは1つ以上の相に関する手掛かりを提供する。いくつかの実施形態では、感覚刺激が、呼気を開始および/または維持するように、および/または呼息筋収縮を開始または維持する、あるいは増加させるように、対象に促す手掛かりとしての機能を果たす。例えば、対象は、息を吐き出し続けるように、および/または刺激を感じ続ける限り呼息筋を収縮させ続けるように指示されてもよい。いくつかの実施形態では、標的は、対象が、少なくとも特定の期間にわたって息を吐き出す、および/または少なくとも特定の量を吐き出すことである。いくつかの実施形態では、標的は、少なくとも部分的に、特定の訓練セッションの開始前に事前に定められる。例えば、いくつかの実施形態では、標的は、対象が少なくとも選択された最短時間にわたって息を吐き出すことである。いくつかの実施形態では、最短時間は、装置を使用していないときの対象の既存の呼気時間の増加率として、個別の基準で計算されてもよい。いくつかの実施形態では、標的は、少なくとも部分的に、装置によって検出されるような対象の最近の呼吸活動に基づいて選択される。例えば、対象の呼気相および/または呼気量が、少なくとも特定数の連続呼吸サイクル(例えば、少なくとも3回の呼吸サイクル)のうちのそれぞれにわたって、長さが減少した場合、本装置は、次の呼気の持続時間を増加させるように対象に促してもよい。
【0096】
[0108]
プロンプトモードは、種々の実施形態での種々の目的のうちのいずれかで使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロンプトモードは、対象、例えば、閉塞性呼吸器疾患がある対象が、より効果的な呼吸パターンを獲得するのに役立つために使用される。いくつかの実施形態では、プロンプトモードは、運動補助として使用される。いくつかの実施形態では、装置は、感覚刺激が、いくつかの呼吸サイクル中に送達され、強化された呼息筋収縮を引き起こすための十分な強度の刺激が、他の呼吸サイクルのうちの少なくともいくつかの間に送達されるモードで動作することが可能である。いくつかの実施形態では、本装置は、対象が標的を満たしたかどうかを判定し、いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に、対象が標的を満たしたかどうかに基づいて、一連の措置を選択する。いくつかの実施形態では、本装置は、対象の呼吸が好ましくない方向に傾いているかどうかを判定し、いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に、対象の呼吸が好ましくない方向に傾いているかどうかに基づいて、一連の措置を選択する。一連の措置は、例えば、対象が標的を満たせなかった場合、および/または対象の呼吸が好ましくない方向に傾いている場合、次の呼気中に増加した呼息筋収縮を引き起こすのに十分な刺激を送達すること、または対象が標的を満たした場合に感覚刺激を送達する(または刺激を送達しない)ことであってもよい。例えば、増加した呼息筋収縮を引き起こす刺激は、対象が標的を満たせない場合、または対象の呼吸が好ましくない方向に傾いている場合に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、好ましくない方向は、対象の呼気相の長さが増加していることを示す方向である。いくつかの実施形態では、好ましくない方向は、対象が過膨張を発現させていること、または過膨張が悪化していることを示唆する方向である。種々の実施形態で、対象の呼吸がある傾向を呈しているかどうかを判定する目的で、任意の合理的な期間が選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、5回から100回の間の呼吸にわたって、または30秒から5分の間にわたって、対象の呼吸を分析することによって、傾向が検出される。
【0097】
[0109]
いくつかの実施形態では、感覚刺激は、電気刺激を含む。感覚刺激の強度、性質、および/または他の特性は、特定の対象によって選択され、および/または特定の対象のために適切にカスタマイズされてもよい。例えば、強化された呼息筋収縮を引き起こさないが、対象によって確実に知覚される電気刺激が、実験に基づいて選択されてもよい。いくつかの実施形態では、感覚刺激は、いずれか1つ以上の電極を使用して提供される。いくつかの実施形態では、電極は、例えば、装置が動作しているモードに応じて、触刺激または収縮を刺激するのに十分な刺激のいずれかを送達する。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極が、触刺激を送達する目的だけで提供される。いくつかの実施形態では、感覚刺激は、聴覚刺激または視覚刺激を含む。例えば、いくつかの実施形態では、装置は、感覚刺激としての機能を果たす、1つ以上の音を発することが可能である、または1つ以上のライト(例えば、発光ダイオード)等を装備したユニットを備えるか、またはユニットと連動する。いくつかの実施形態では、本装置は、対象が特定の呼吸サイクル、時間間隔、またはセッションの標的を達成した程度に関する情報を提供する。
【0098】
[0110]
いくつかの実施形態では、本装置は、吸気相の少なくとも一部の間に、吸気と同期して収縮するように1つ以上の腹筋を刺激する方式で動作することが可能であってもよい。この場合、腹筋は、横隔膜の作用に反して働くであろう。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、このようにして抵抗に反して腹筋を働かせることは、より効率的であり得る、例えば、呼吸サイクルのタイミングに対して、または呼気中の刺激に対してランダムな時間での刺激と比較して、より優れたまたはより急速な筋力の向上に繋がり得ることが想定される。いくつかの実施形態では、この種類の機能性は、呼吸の支援を必要としている、呼吸機能が低下した個人による使用のために、装置の複数のモードのうちの1つとして提供されてもよい。いくつかの実施形態では、この種類の機能性は、例えば、
呼吸の支援を必要としていない個人、例えば、正常な呼吸機能を伴う個人による、腹部緊張または強化目的での使用のために提供されてもよい。いくつかの実施形態では、対象の訓練プログラムまたは監視が、少なくとも部分的に、インターネット上で提供されてもよい。
【0099】
[0111]
いくつかの実施形態では、本発明の装置の使用は、COPDまたは他の呼吸器疾患の少なくとも1つの症状の重症度を低減させる。上述のように、そのような効果は、セッションの一部の間に存在してもよく、および/またはセッションが終了した後のある期間にわたって継続してもよい。そのような向上は、当技術分野で公知である種々の器具を使用して評価されてもよい。例えば、Modified Medical Research Council(MMRC)呼吸困難尺度、基準呼吸困難指数(BDI)、Borg呼吸困難スコア、および/または酸素使用量図(OCD)が使用されてもよい。また、症状評価への種々のアプローチについては、GOLD報告およびATC/ERSガイドラインも参照されたい。いくつかの実施形態では、発明の呼吸支援装置の使用が、対象の運動耐容能を向上させる。例えば、対象が、6分歩行試験(例えば、対象が6分で歩くことができる距離の増加)、往復歩行試験、および/または心肺運動負荷試験で、性能の向上を呈してもよい。例えば、6分歩行試験の論議については、ATS Statement: Guidelines for the Six-Minute Walk Test (2002)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本発明の装置の使用は、例えば、医療提供者、例えば、医師、随意に、肺医学を専門にしている、および/またはCOPD等の閉塞性呼吸器疾患がある対象の治療の経験がある医師の正しい判断内で、臨床的に有意義な利益を対象(例えば、COPD等の閉塞性呼吸器疾患に罹患している対象)に提供する。いくつかの実施形態では、利益は、1つ以上の呼吸パラメータまたは導出パラメータの測定に基づいて明白である。例えば、いくつかの実施形態では、最大呼気速度(PEF)、呼気量(VE)、吸気量(VI)、呼吸速度(RR)、吸気および呼気分時換気量(MVIおよびMVE)、および/または深吸気量(IC)が、1つ以上の期間にわたって測定され、対象の支援されていない呼吸と装置で支援された呼吸との間で比較される。いくつかの実施形態では、MVEおよび/またはVE対MVIおよびVIの比は、それぞれ、例えば、1~2分等のセッションの開始後の選択された期間にわたって、過膨張の変化を評価するように、装置で支援された呼吸と支援されていない呼吸との間で比較され、MVEまたはVE対MVIまたはVIの増加は、それぞれ、過膨張の減少を示す。いくつかの実施形態では、ICは、過膨張の変化を評価するように、装置で支援された呼吸と支援されていない呼吸との間で比較され、装置で支援された呼吸中の対象のより優れたICは、過膨張の減少を示す。COPDが本明細書では主な関心であるが、本発明の装置および方法は、とりわけ、他の閉塞性肺疾患、過膨張が起こる他の状態を治療するために使用されてもよく、そのような治療の方法は、本発明の態様であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、対象は、呼吸筋が衰弱している。そのような衰弱は、種々の原因から生じ得る。例えば、慢性疾患を有する、および/または長期の身体的不活発(例えば、床上安静)の期間を体験してきた個人は、少なくとも部分的に、例えば、筋肉の萎縮により、呼吸筋の衰弱を体験し得る。筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の先天性または後天性神経または神経筋状態、あるいは筋強直性ジストロフィー等の筋障害性状態に罹患している個人が、本発明の装置の使用から利益を得てもよい。
【0100】
[0112]
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、COPD増悪、負傷、手術、感染(例えば、肺炎、敗血症)、一時的麻痺(例えば、発症の最大3~6ヶ月以内に対象が合理的に人工呼吸器から離脱されることが予期されるであろう原因による麻痺)、脳卒中の間および/または後に、および/または低血圧症、心臓血管疾患(例えば、心臓発作、心不全)、ショック、変化した精神状態、呼吸停止、薬物中毒(例えば、アルコール、バルビツール
酸系催眠薬、またはアヘン剤等の1つ以上の中枢神経系抑制剤による)、全身麻酔、急性肺損傷(例えば、外傷、成人呼吸窮迫症候群、煙の吸引、化学的肺損傷による)、てんかん発作(例えば、てんかん重積状態)、昏睡状態、または任意の他の理由により、機械的人工換気を受けている。本発明の呼吸支援装置は、機械的人工換気から対象を離脱させるのに役立つ橋渡しの役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、対象が機械的人工換気を受けているままである間に、例えば、人工呼吸器から患者を離脱させようとすることが(例えば、正しい医学的判断内で)適切であると見なされるときに、本装置が使用される。いくつかの実施形態では、対象は、機械的人工換気から離脱されることが困難であることを体験しており、例えば、対象は、進行中の呼吸器症状により、1回以上の離脱試行に失敗している、または離脱に適応することが有意に困難であることを体験している場合がある。対象は、例えば、対象が挿管されたままである、または試験的抜管(例えば、対象が抜管された後に再挿管を必要とした場合がある)の間に、1回以上の自発呼吸試行、例えば、T継手を使用して行われた1回以上の自発呼吸試行に失敗している場合がある。いくつかの実施形態では、機械的人工換気を受けている、または最近抜管された(例えば、最大4週間前に抜管された)対象は、少なくとも1~4週間、例えば、4~24週間にわたって、例えば、集中治療室内で、機械的人工換気を受けていた場合がある。いくつかの実施形態では、本装置は、対象が挿管されたままである間に、筋肉刺激を提供するために使用されてもよいが、人工呼吸器は、本装置が使用されている間に換気支援を提供しないか、または装置が使用されている間に部分的換気補助のみ提供する。人工呼吸器による部分的換気補助は、例えば、圧力補助、(例えば、対象の呼吸努力と同期して)少なくとも最小数の1分あたりの呼吸の送達、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。本装置の使用は、例えば、呼吸筋を強化するのに役立ち(例えば、不使用によって失われた場合がある筋力の回復)、および/または効果的な呼吸パターンを学習または再学習するように対象を支援してもよい。いくつかの実施形態では、装置は、離脱が適切である時間等に加えて、またはその代わりに、例えば、離脱が適切となる前に、人工呼吸器が完全換気補助を提供している、少なくともいくつかの期間中に使用される。完全換気補助を受容している対象による本装置の使用は、例えば、そうでなければ起こる可能性が高いであろう、筋肉の失調を低減させるために有益であり得る。本装置は、このようにして動作するとき、少なくとも部分的に、人工呼吸器から受信された信号に基づいて、呼気と同期して刺激を提供してもよく、対象の呼吸を感知する必要はないが、感知し得る。
【0101】
[0113]
いくつかの実施形態では、本装置は、非侵襲換気補助、例えば、マスクを介して送達される換気補助を使用する、またはその候補である対象によって、呼吸を支援するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、非侵襲的に送達される換気補助は、持続的気道陽圧法(CPAP)を含む。いくつかの実施形態では、本装置を使用する対象は、例えば、対照対象と比較して、非侵襲換気補助の必要性の低減、または利用の低減を有し得る。本明細書で使用されるように、対象は、正しい医学的判断内で、少なくとも、対象が特定の治療から利益を得るであろう合理的可能性、例えば、治療の使用を真剣に考慮することの正当な理由になる可能性、または治療の試行を正当化する十分な可能性がある場合に、特定の治療の「候補」であると見なされてもよい。
【0102】
[0114]
いくつかの実施形態では、本装置は、酸素補給を使用する(例えば、少なくとも週に1回、例えば、毎日)、またはその候補である対象によって、呼吸を支援するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本装置を使用する対象は、例えば、対照対象と比較して、酸素補給の必要性の低減、または利用の低減を有し得る。
【0103】
[0115]
いくつかの実施形態では、対象には、呼息筋のうちの1つ、より多く、または全ての部
分または完全麻痺がない。例えば、対象は、そのような麻痺を引き起こす脊髄損傷(例えば、部分または完全脊髄離断)または脳損傷を被っていない。いくつかの実施形態では、対象には、横隔膜の部分または完全麻痺がない。いくつかの実施形態では、部分麻痺は、罹患筋肉の機能の低減によって特徴付けられるが、機能の完全損失はない。いくつかの実施形態では、対象は、正常な横隔神経機能を有する。いくつかの実施形態では、対象には、対麻痺がない。いくつかの実施形態では、対象には、四肢麻痺(tetraplegia)がない。いくつかの実施形態では、対象には、四肢麻痺(quadriplegia)がない。
【0104】
[0116]
本発明の装置は、閉塞性呼吸器疾患に罹患していない、あるいは無症候性である、診断未確定である、および/または治療の正当な理由にならない、疾患の初期段階を有し得る、個人によって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、明らかに健康である。いくつかの実施形態では、対象は、閉塞性呼吸器疾患以外の1つ以上の疾患を有する。本装置は、例えば、腹筋(複数可)を緊張させ、調節し、および/または強化するために使用されてもよい。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、腹筋を緊張させ、調節し、および/または強化することを所望する少なくとも一部の個人は、対象が息を吸い込んでいるか、または息を吐き出しているかどうかにかかわらず、本発明の装置のある実施形態が、刺激を送達する腹筋刺激装置よりも快適である、および/または心地よいと感じ得る。閉塞性呼吸器疾患の患者は、本発明の装置を使用することの結果として起こり得る、呼息筋(複数可)の緊張、調節、および/または強化から利益を得てもよい。経時的に、対象の呼息筋(複数可)は、より強く、および/またはより耐疲労性になり得る。
【0105】
[0117]
いくつかの実施形態では、本装置は、例えば、長期間、例えば、腹筋の失調(例えば、緊張、健康、および/または筋力の損失)をもたらすことの正しい医学的範囲内で合理的可能性を有するのに十分な期間にわたって、例えば、疾病または負傷により、主に、または本質的に完全にベッドまたは椅子に拘束されている、あるいは合理的にそうなることが予期される対象によって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、時間は、少なくとも2週間、例えば、少なくとも2~4週間である。本装置の使用は、例えば、筋肉の失調を低減または予防してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、機械的人工換気を受けておらず、かつ最近(例えば、過去4週間以内に)機械的人工換気を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去4週間以内に機械的人工換気を受けていた。いくつかの実施形態では、対象は、機械的人工換気を受けたことがない。
【0106】
[0118]
本発明は、閉塞性呼吸器疾患に対する追加の薬理または非薬理療法とともに、本発明の呼吸支援デバイスの使用を含む、実施形態を包含する。そのような追加の治療は、当技術分野で使用される、または閉塞性呼吸器疾患、例えば、COPDに罹患している対象を治療するために潜在的に有用である、任意の化合物(複数可)の投与を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本発明の呼吸支援装置の使用は、薬理療法の使用の低減を可能にする。例えば、患者は、全身性コルチコステロイドの使用を回避し、またはその使用を低減させ得る。いくつかの実施形態では、対象が、装置を使用する方法について訓練を受けてもよい。いくつかの態様では、訓練は、呼吸訓練を含む。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、肺リハビリテーションのプログラムに参加する対象によって使用される。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、運動トレーニングのプログラム(持久力(有酸素)および/または筋力トレーニング)に従事する対象によって使用される。本装置は、セッション中および/または間に使用されてもよい。
【0107】
[0119]
いくつかの実施形態では、対象または対象群による、本明細書で説明される装置の使用に起因する有益な効果は、対照対象または対照対象群との比較によって実証されてもよい。いくつかの実施形態では、対照対象は、装置を使用していない、および/または使用しない、適切に合致された対照である。当業者であれば、適切な合致対照対象を選択することができるであろう。いくつかの実施形態では、合致対象は、本装置の使用の適応症(例えば、COPD、人工呼吸器からの離脱等)に関して合致されている。いくつかの実施形態では、合致対象はまた、状態の重症度に関して、随意に、年齢、性別等の1つ以上の人口統計学的変数に関しても合致されている。いくつかの実施形態では、履歴対照対象または対象群が使用される。いくつかの実施形態では、対象が、自分自身の対照としての機能を果たす。例えば、いくつかの実施形態では、本装置の使用中の対象の状態が、本装置を使用していない時の対象の状態と比較され、および/または数週間あるいは数ヶ月の期間にわたって本装置を定期的に使用した後の対象の状態が、本装置を使用し始める前に存在した対象の状態と比較される。いくつかの実施形態では、本明細書で説明される装置の使用に起因する有益な効果が、臨床試験で実証されてもよい。
【0108】
[0120]
当業者であれば、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書で説明される本発明の具体的実施形態の多くの同等物を認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを目的としていないが、むしろ添付の請求項で記載される通りである。請求項で、「1つの」(「a」、「an」)および「前記(the)」等の冠詞は、逆に指示されない、または文脈から別様に明白でない限り、1つまたは1つよりも多くを意味してもよい。グループの1つ以上の構成要素の間に「または」を含む請求項または説明は、逆に指示されない、または文脈から別様に明白でない限り、グループ構成要素のうちの1つ、1つよりも多く、または全てが、所与の製品またはプロセスで存在する、採用される、または別様にそれに関連する場合に、満たされたと見なされる。本発明は、グループの正確に1つの構成要素が、所与の製品またはプロセスで存在する、採用される、または別様にそれに関連する、実施形態を含む。本発明は、記載された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、記述用語等が、別の請求項に導入される、全ての変形例、組み合わせ、および順列を包含することを理解されたい。例えば、別の請求項に依存している任意の請求項は、同一基礎請求項に依存している任意の他の請求項で見出される、1つ以上の要素、制限、節、または記述用語を含むように修正することができる。さらに、請求項が製品(例えば、装置またはデバイス)を記載する場合、特に指示がない限り、または矛盾あるいは不一致が生じるであろうことが当業者に明白とならない限り、本明細書で開示される方法のうちのいずれかによる、製品を使用する方法、および製品を作製する方法が、本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。対象を治療する方法は、そのような治療を必要としている対象(例えば、COPD等の呼吸器系に影響を及ぼす疾患または障害を有する、および/または過膨張に罹患している対象)を提供するステップと、そのような疾患または障害を有すると対象を診断するステップと、治療のための対象を選択するステップと、および/または本発明の装置を対象に提案する、あるいは本発明の装置を対象に処方する、あるいは装置の使用に関する指示、例えば、1つ以上の目的で装置を使用するための指示を提供するステップとを含むことができる。
【0109】
[0121]
要素がリストとして提示される場合、要素の各サブグループも開示され、任意の要素(複数可)をグループから除去できることを理解されたい。本発明は、全てのそのような実施形態を提供する。また、一般に、本発明または本発明の態様が、特定の要素、特徴等を備えると見なされる場合、本発明のある実施形態または本発明の態様は、そのような要素、特徴等から成る、または本質的に成ることも理解されたい。
【0110】
[0122]
数を参照した「およそ」または「約」という用語は、概して、特に記述がない、または文脈から別様に明白でない限り、数の±10%以内、いくつかの実施形態では±5%以内、いくつかの実施形態では±1%以内、いくつかの実施形態では±0.5%以内に入る数を含む(そのような数が可能値の100%を許容できないほど超えるであろう場合を除く)。範囲が挙げられる場合、終点が含まれる。さらに、特に指示がない、または文脈あるいは当業者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表される値は、文脈上明確に別様に決定付けられない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態での規定の範囲内の任意の具体的な値または副次的範囲を仮定することができることを理解されたい。加えて、本発明の任意の特定の実施形態、態様、要素、特徴等は、請求項のうちのいずれか1つ以上から明示的に除外されてもよい。
<付記>
[形態1]
(a)対象が息を吐き出しているときを感知することと、(b)前記対象の呼気を支援するよう、前記感知に応答して、呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に刺激を前記対象の胸部または腹部に送達することと、を含む、対象を治療する方法。
[形態2]
前記方法を行うことは、支援されていないときの前記対象の終末呼気肺気量位(EELV)と比較して、前記対象のEELVを減少させる、形態1に記載の方法。
[形態3]
前記対象は、呼気を低下させる疾患に罹患している、形態1に記載の方法。
[形態4]
前記対象は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患している、形態1に記載の方法。
[形態5]
前記対象は、前記刺激がない場合に異常に高いEELVを有する、形態1に記載の方法。
[形態6]
前記対象は、前記刺激がない場合に動的過膨張に罹患している、形態1に記載の方法。
[形態7]
ステップ(a)は、前記対象の胸部または腹部の呼吸運動を検出することを含む、形態1に記載の方法。
[形態8]
ステップ(a)は、誘導プレチスモグラフィを使用して、前記対象の胸部または腹部の呼吸運動を検出することを含む、形態1に記載の方法。
[形態9]
ステップ(a)は、ひずみゲージを使用して、前記対象の胸部または腹部の呼吸運動を検出することを含む、形態1に記載の方法。
[形態10]
前記センサが、前記対象の皮膚上に配置するために好適な接着パッチに組み込まれる、形態1に記載の方法。
[形態11]
前記感知することは、前記対象の外部で起こる、形態1に記載の方法。
[形態12]
前記刺激は、前記対象の外部に送達される、形態1に記載の方法。
[形態13]
前記感知することは、前記対象の外部で起こり、前記刺激は、前記対象の外部に送達される、形態1に記載の方法。
[形態14]
前記センサ、デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる、形態1に記載の方法。
[形態15]
前記センサおよび前記デバイスは、同一の衣服またはベルトに組み込まれる、形態1に記載の方法。
[形態16]
ステップ(b)は、電気刺激を、1つ以上の呼気筋に、および/または1つ以上の呼気筋に供給する遠心性神経(複数可)に送達することを含み、前記刺激は、前記筋肉(複数可)の収縮を引き起こすか、または前記筋肉(複数可)によって生成される呼気力を増加させるのに十分である、形態1に記載の方法。
[形態17]
ステップ(b)は、電気刺激を1つ以上の腹筋に送達することを含む、形態1に記載
の方法。
[形態18]
ステップ(b)は、電気刺激を前記腹直筋に送達することを含む、形態1に記載の方法。
[形態19]
ステップ(b)は、電気刺激を前胸部の1つ以上の下内肋間筋に送達することを含む、形態1に記載の方法。
[形態20]
ステップ(b)は、前記対象の腹部または下前胸部を機械的に圧迫することを含む、形態1に記載の方法。
[形態21]
ステップ(b)は、膨張式区画を備えるデバイスを使用して、前記対象の腹部または下前胸部を機械的に圧迫することを含む、形態1に記載の方法。
[形態22]
前記刺激は、前記対象が息を吸い込んでいる間に送達されない、形態1に記載の方法。
[形態23]
前記対象が異常に高いEELVを示す少なくとも1つの兆候または症状を有すると判定することをさらに含む、形態1に記載の方法。
[形態24]
前記対象がCOPDに罹患していると判定することをさらに含む、形態1に記載の方法。
[形態25]
前記刺激は、呼気の開始近くで送達される、形態1に記載の方法。
[形態26]
前記刺激は、セッション内の全てではないがいくつかの呼吸サイクル中に送達される、形態1に記載の方法。
[形態27]
前記方法は、対象の呼吸パターンまたは活動レベルを分析し、少なくとも部分的に前記分析に基づいて、1つ以上の刺激パラメータを調整することを含む、形態1に記載の方法。
[形態28]
前記対象は、挿管されるか、または最近抜管されている、形態1に記載の方法。
[形態29]
(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)前記センサによって生成された信号に応答して、前記対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、刺激を前記対象の胸部または腹部に送達するように適合されるデバイスと、を備える、装置。
[形態30]
前記刺激は、対象の呼気を支援するために効果的である、形態29に記載の装置。
[形態31]
前記刺激は、前記刺激がない前記対象のEELVと比較して、前記対象のEELVの減少をもたらすために効果的である、形態29に記載の装置。
[形態32]
前記センサは、ひずみゲージを備える、形態29に記載の装置。
[形態33]
前記センサは、呼吸誘導プレチスモグラフィセンサまたは圧電センサを備える、形態29に記載の装置。
[形態34]
前記センサは、前記対象の皮膚上に配置するために好適な接着パッチに組み込まれる、
形態29に記載の装置。
[形態35]
前記センサは、前記デバイスに物理的に接続される、形態29に記載の装置。
[形態36]
前記センサは、前記デバイスと無線通信している、形態29に記載の装置。
[形態37]
前記デバイスは、電気刺激を前記対象の呼気筋(複数可)のうちの1つ以上に送達するための手段を備える、形態29に記載の装置。
[形態38]
前記デバイスは、腹筋刺激装置を備える、形態29に記載の装置。
[形態39]
前記装置は、呼吸誘導プレチスモグラフィセンサまたは圧電センサと、腹筋刺激装置とを備える、形態29に記載の装置。
[形態40]
前記デバイスは、前記下前胸部または腹部を機械的に圧迫するための手段を備える、形態29に記載の装置。
[形態41]
前記センサ、前記デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる、形態29に記載の装置。
[形態42]
前記センサおよび前記デバイスは、同一の衣服またはベルトに組み込まれる、形態29に記載の装置。
[形態43]
前記デバイスは、膨張させられたときに前記対象の下前胸部または腹部を機械的に圧迫する膨張式区画を備える、形態29に記載の装置。
[形態44]
電力供給をさらに備える、形態29に記載の装置。
[形態45]
電力供給をさらに備え、前記電力供給は、前記デバイスに取り付けられる、形態29に記載の装置。
[形態46]
対象が前記デバイスをオンまたはオフにすることを可能にする、制御ユニットをさらに備える、形態29に記載の装置。
[形態47]
センサと、信号調節ユニットと、コントローラと、刺激装置とを備える、形態29に記載の装置。
[形態48]
前記装置は、対象の呼吸パターンまたは活動レベルを分析し、少なくとも部分的に前記分析に基づいて、1つ以上の刺激パラメータを調整する、コントローラを備える、形態29に記載の装置。
[形態49]
形態29~48のいずれかに記載の装置を対象に提供することを含む、前記対象を治療する方法。
[形態50]
前記対象は、前記刺激がない場合に異常に高いEELVを有する、形態49に記載の方法。
[形態51]
前記対象は、COPDに罹患している、形態49に記載の方法。
[形態52]
前記対象が異常に高いEELVを示す少なくとも1つの兆候または症状を有すると判定
することをさらに含む、形態49に記載の方法。
[形態53]
前記対象がCOPDに罹患していると判定することをさらに含む、形態49に記載の方法。
[形態54]
(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサを提供することと、(b)刺激が対象の呼気を支援するために効果的である、前記刺激を対象の胸部または腹部に送達するように適合されるデバイスを提供することと、(c)前記センサが前記デバイスと通信し、前記対象の呼吸の呼気相の少なくとも一部の間に、それに前記刺激を送達させることができるように、前記センサおよび前記デバイスを連結することと、を含む、装置を作製する方法。
[形態55]
前記装置は、形態29~46のいずれかに記載の装置である、形態54に記載の方法。
[形態56]
選択的に前記対象の呼吸の前記呼気相中に、前記筋肉(複数可)のうちの少なくともいくつかの増加した収縮を引き起こすよう、電気刺激を、対象の呼気筋(複数可)のうちの1つ以上に、または前記筋肉(複数可)に供給する遠心性神経(複数可)に送達することを含む、方法。
[形態57]
前記方法は、(a)対象が息を吐き出しているときを感知することと、(b)前記対象の呼吸の前記呼気相の少なくとも一部の間に、前記筋肉(複数可)のうちの少なくともいくつかの増加した収縮を引き起こすよう、前記刺激を送達することとを含む、形態56に記載の方法。
[形態58]
前記刺激は、前記対象が息を吸い込んでいる間に送達されない、形態56に記載の方法。
[形態59]
(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)前記センサによって生成された信号に応答して、前記対象の呼吸の前記呼気相の少なくとも一部の間に、電気刺激を前記対象の呼気筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合されるデバイスであって、前記刺激は、前記対象の呼吸の前記呼気相の少なくとも一部の間に、前記筋肉(複数可)の収縮を引き起こすか、または増加させるために効果的である、デバイスと、を備える、装置。
[形態60]
前記センサは、呼吸誘導プレチスモグラフィセンサを備え、前記デバイスは、刺激を前記対象の腹筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合される、形態59に記載の装置。
[形態61]
前記センサ、デバイス、または両方は、衣服またはベルトに組み込まれる、形態59に記載の装置。
[形態62]
前記センサは、圧電センサを備え、前記デバイスは、刺激を前記対象の腹筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合される、形態59に記載の装置。
[形態63]
前記センサは、少なくとも前記腹直筋を刺激する、形態59に記載の装置。
[形態64]
前記装置は、2つ以上のモードで動作することが可能であり、少なくとも1つのモードは、前記センサによって生成された信号に応答して、前記対象によって感じられるのに十分であるが、呼息筋収縮に影響を及ぼすために効果的ではない、触刺激を送達することを
含む、形態59に記載の装置。
[形態65]
前記触刺激のタイミングは、少なくとも特定の量を、または少なくとも特定の時間にわたって、吐き出すように前記対象に促すよう選択される、形態64に記載の装置。
[形態66]
(a)対象が息を吐き出しているときを感知するために好適なセンサと、(b)前記センサによって生成された信号に応答して、前記対象の呼吸の前記呼気相の少なくとも一部の間に、電気刺激を前記対象の呼気筋のうちの少なくともいくつかに送達するように適合されるデバイスであって、前記刺激のうちの少なくともいくつかは、触刺激であり、前記触刺激の前記タイミングは、標的を満たすために十分に息を吐き出すように前記対象に促すよう選択される、デバイスと、を備える、装置。
[形態67]
前記標的は、少なくとも特定の量を、または少なくとも特定の期間にわたって、吐き出すことを含む、形態66に記載の装置。
[形態68]
前記装置は、少なくとも部分的に、1つ以上の前の呼吸サイクルにわたって前記対象の呼吸を分析することに基づいて、適切な刺激を判定する、コントローラを備える、形態66に記載の装置。
[形態69]
呼吸努力センサを備える、腹筋刺激ベルト。
[形態70]
前記呼吸努力センサは、圧電感知要素を備える、形態69に記載の腹筋刺激ベルト。
[形態71]
前記呼吸努力センサは、前記腹筋刺激ベルトの一体部分である、形態69に記載の腹筋刺激ベルト。
[形態72]
対象において増加した腹筋力を促進する方法であって、(a)対象が息を吸い込んでいるときを感知することと、(b)前記感知に応答して、呼吸の前記吸気相の少なくとも一部の間に、前記対象の呼息筋のうちの少なくとも1つの収縮を刺激することと、を含む、方法。
[形態73]
前記対象は、閉塞性呼吸器疾患に罹患している、形態72に記載の方法。
[形態74]
それを必要としている対象の呼吸を支援する方法であって、(a)対象が息を吐き出しているときを感知するステップと、(b)前記感知に応答して、呼吸の前記呼気相の少なくとも一部の間に、触刺激を前記対象に送達するステップであって、前記触刺激は、前記対象の呼息筋の前記収縮のタイミングについて前記対象を支援する手掛かりとしての機能を果たす、ステップと、を含む、方法。
[形態75]
前記対象は、前記刺激を感じ続けている間に、息を吐き出し続けるか、または前記呼息筋を収縮させ続けるように指示されている、形態74に記載の方法。
[形態76]
前記方法は、少なくとも部分的に、1つ以上の前の呼吸サイクルにわたって前記対象の呼吸を分析することに基づいて、呼気中に送達される適切な刺激を判定することを含む、形態74に記載の方法。
[形態77]
前記方法は、少なくとも部分的に、1つ以上の前の呼吸サイクルにわたって前記対象の呼吸を分析することに基づいて、触刺激または呼気中に1つ以上の呼息筋の収縮を刺激する刺激を送達するかどうかを判定することを含む、形態74に記載の方法。
[形態78]
前記対象は、COPDに罹患している、形態74に記載の方法。