(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】フォトレジストパターントリミング組成物及びフォトレジストパターンをトリミングする方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/40 20060101AFI20240328BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G03F7/40 511
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2021167903
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーヴィンダー・カウル
(72)【発明者】
【氏名】コン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ローウェル
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156629(JP,A)
【文献】特開2014-141455(JP,A)
【文献】特開2013-117701(JP,A)
【文献】特開2018-109763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/40
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジストパターンをトリミングする方法であって、
(a)半導体基板を提供する工程と、
(b)前記半導体基板の上にフォトレジストパターンを形成する工程であって、前記フォトレジストパターンは、光酸発生剤と、酸分解性基を含むポリマーとを含むフォトレジスト組成物であって、前記フォトレジスト組成物の前記ポリマーがビニル芳香族系ポリマーを含むフォトレジスト組成物から形成される、工程と、
(c)
酸分解性基を含むモノマーを重合単位として含むポリマーであって、前記基の分解は、前記ポリマー上にカルボン酸基を形成する、ポリマーと、
非ポリマー酸又は非ポリマー熱酸発生剤と、
1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系と
を含むフォトレジストパターントリミング組成物であって、
前記フォトレジストパターントリミング組成物の前記ポリマーは、酸基を含まず、
前記有機系溶媒系は、1つ以上の無極性有機溶媒を含む、フォトレジストパターントリミング組成物を前記フォトレジストパターンの上にコーティングする工程と、
(d)前記コーティングされたフォトレジストパターンを加熱する工程と、
(e)前記コーティング及び加熱されたフォトレジストパターンをリンス剤で濯いで、前記フォトレジストパターンの表面領域を除去する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記フォトレジストパターントリミング組成物中の前記酸分解性基は、第三級アルキルエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォトレジストパターントリミング組成物中の前記酸分解性基は、アセタール基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フォトレジストパターントリミング組成物中の前記ポリマーは、(i)フルオロアルコール基、又は(ii)酸分解性基であって、前記基の分解は、前記ポリマー上にフルオロアルコール基を形成する、酸分解性基を含むモノマーを重合単位として更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フォトレジストパターントリミング組成物中の前記ポリマーは、非置換C1~C10アルキル(メタ)アクリレートモノマーであるモノマーを重合単位として更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フォトレジストパターントリミング組成物において、酸分解性基であって、前記基の分解は、前記ポリマー上にカルボン酸基を形成する、酸分解性基を含むモノマーの全ての重合単位の合計含有量は、前記ポリマーの総重合単位に基づいて30~100モル%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機系溶媒系は、モノエーテルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機系溶媒系は、アルコール及び/又はエステルを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記リンス剤は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液である、請求項
1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジストパターンは、KrF又はEUVリソグラフィーによって形成される、請求項
1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は、フォトレジストパターントリミング組成物及びこのような組成物を使用してフォトレジストパターンをトリミングする方法に関する。組成物及び方法は、半導体デバイスの製造において有用である微細なリソグラフィーパターンの形成において特定の用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
半導体製造業界では、フォトレジスト層は、半導体基板に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下層及び基板自体に画像を転写するために使用される。半導体デバイスの集積密度を高め、ナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像度性能を有するフォトレジスト組成物及びフォトリソグラフィー処理ツールが開発され続けてきた。
【0003】
ポジ型の化学増幅フォトレジスト組成物は、従来、高解像度処理に使用されている。このような組成物は、典型的には、光酸発生剤(PAG)と、酸不安定基を有するポリマーとを使用する。このようなフォトレジスト組成物から形成される層を活性化放射線にパターン状に露光すると、酸発生剤が酸を形成し、露光後ベーク中にフォトレジスト層の露光領域の酸不安定基が開裂する。これは、現像液中の層の露光領域と非露光領域との間の溶解度特性の違いをもたらす。ポジ型現像(PTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域は、現像液に可溶となり、基板表面から除去されるが、非露光領域は、現像液に不溶であり、現像後に残ってポジ像を形成する。得られるレリーフ像により、基板の選択的な処理が可能となる。
【0004】
リソグラフィーのスケーリングは、従来、光学露光ツールの開口数を増やし、より短い露光波長を使用することによって実現されてきた。直接的な画像形成のみで達成可能なものよりも微細なフォトレジストパターンを形成するために、フォトレジストパターントリミングプロセスは、例えば、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)及び(特許文献4)で提案されている。フォトレジストパターントリミングプロセスは、典型的には、酸不安定基を有するポリマーを含むフォトレジストパターンを、ポリマーと酸又は熱酸発生剤とを含有するトリミング組成物と接触させる工程を伴う。トリミング組成物中の酸又は発生した酸は、レジストパターンの表面領域でレジストポリマーの脱保護を引き起こし、次いで、その領域は、例えば、塩基現像剤(例えば、TMAH)水溶液などのリンス剤との接触により除去される。これにより、フォトレジストパターンのトリミングが可能になり、例えば直接画像のみを使用する場合よりも微細なレジスト線又は柱状のパターンが作成される。
【0005】
KrF(248nm)及び極紫外線(EUV)フォトレジスト材料は、典型的には、ビニル芳香族系、例えばヒドロキシスチレン系であるポリマーを含む。これらの材料は、一般的に、有益なエッチ耐性、エッチ選択率及び感度特性を備え、且つ低コストである。これらの利点は、典型的には、(メタ)アクリレートポリマーを含有し、且つArF露光波長におけるそれらの高い吸収性のために芳香族基を実質的に含まない従来のArF(193nm)フォトレジスト材料に有利に匹敵する。ArFフォトレジスト組成物及びKrF及びEUVフォトレジスト組成物のポリマー化学作用が大きく異なるため、ArFフォトレジストパターンのために設計されたパターントリミング組成物は、KrF及びEUVフォトレジストパターンと適合性がない場合がある。このような非適合性は、トリミング組成物の流延溶媒の溶解のために、例えばレジストパターンを洗い流すことによって引き起こされるような深刻なパターン損傷において示される可能性がある。この問題に対処するために、無極性系疎水性流延溶媒をトリミング組成物において使用することができる。しかしながら、これは、トリミング組成物ポリマーに更なる制約を加え、それは、流延溶媒及びリンス剤の両方に可溶性でなければならない。流延溶媒中のトリミング組成物ポリマーの不溶性は、コーティングの不均一性及びパターン化の欠陥をもたらし得、リンス剤への不溶性は、パターン化の欠陥及び無効なトリミングをもたらし得る。これらの不溶性問題は、得られた電子デバイスの性能及び/又は収率に悪影響を及ぼし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2013/0171574A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0171825A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0186772A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0187783A1号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術に関連する1つ以上の問題に対処する、改良されたフォトレジストパターントリミング組成物及びパターン形成方法が当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、フォトレジストパターントリミング組成物が提供される。組成物は、酸分解性基を含むモノマーを重合単位として含むポリマーであって、その基の分解は、ポリマー上にカルボン酸基を形成する、ポリマーと、非ポリマー酸又は非ポリマー熱酸発生剤と、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系とを含む。
【0010】
また、フォトレジストパターンをトリミングする方法も提供される。方法は、(a)半導体基板を提供する工程と、(b)半導体基板の上にフォトレジストパターンを形成する工程であって、フォトレジストパターンは、光酸発生剤と、酸分解性基を含むポリマーとを含むフォトレジスト組成物から形成される、工程と、(c)請求項1~9のいずれか一項に記載のパターントリミング組成物をフォトレジストパターンの上にコーティングする工程と、(d)コーティングされたフォトレジストパターンを加熱する工程と、(e)コーティング及び加熱されたフォトレジストパターンをリンス剤で濯いで、フォトレジストパターンの表面領域を除去する工程とを含む。
【0011】
本発明は、同様の参照番号が同様の特徴を示す以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1C】
図1Cは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1D】
図1Dは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1E】
図1Eは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1F】
図1Fは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1G】
図1Gは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【
図1H】
図1Hは、本発明によるパターンを形成するための例示的なプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのものであるにすぎず、本発明を限定することを意図しない。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈で別の指示がない限り、単数形及び複数形を含むことを意図している。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。要素が別の要素「上)」又は「の上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素「の上に直接」あると言われる場合、介在する要素は、存在しない。
【0014】
本明細書で用いる場合、「酸分解性基」は、酸の触媒的作用により、任意選択的に且つ典型的には熱処理を伴うことにより、結合が開裂し、その結果、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基が生じる基を意味し、ポリマー上に形成され、任意選択的に且つ典型的には、開裂した結合に接続した部分がポリマーから切断される。酸分解性基には、例えば、第3級アルキルエステル基、第2級若しくは第3級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する第2級若しくは第3級エステル基、第3級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸分解性基は、当技術分野において一般に「酸開裂性基」、「酸開裂性保護基」、「酸不安定基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも呼ばれている。
【0015】
別記しない限り、「置換」されている基は、その水素原子の1個以上が1個以上の置換基によって置換されている基を意味する。例示的な置換基には、限定されないが、ヒドロキシ(-OH)、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-I、-Br)、C1~18アルキル、C1~8ハロアルキル、C3~12シクロアルキル、少なくとも1つの芳香環を有するC6~12アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル等、各環は置換又は非置換芳香族のいずれかである)、少なくとも1つの芳香環を有するC7~19アリールアルキル、C7~12アルキルアリール及びそれらの組合せが含まれる。炭素数決定の目的のために、基が置換されている場合、基の炭素原子の数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、このような基における炭素原子の総数である。
【0016】
フォトレジストパターントリミング組成物
本発明のフォトレジストパターントリミング組成物は、酸分解性基を含むモノマーを重合単位として含むポリマーであって、その基の分解は、ポリマー上にカルボン酸基を形成する、ポリマーと、非ポリマー酸又は非ポリマー熱酸発生剤と、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系とを含み、且つ1つ以上の任意選択的な付加的成分を含み得る。
【0017】
ポリマーは、組成物が、所望の厚さを有する層の形態でフォトレジストパターンの上にコーティングされることを可能にする。ポリマーは、トリミング組成物の有機系溶媒系への溶解性が良好でなければならない。また、ポリマーは、パターン化プロセスで使用されるリンス剤への溶解性が良好でなければならない。例えば、ポリマーは、フォトレジスト現像剤として典型的に使用されるものなどのアルカリ性水溶液、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの水酸化第四アンモニウム水溶液に可溶性であり得る。パターントリミング組成物に起因する残留欠陥を最小限にするために、塗布されるリンス剤中のトリミング組成物の乾燥層の溶解速度は、リンス剤中のフォトレジストパターンの溶解速度よりも大きくなければならない。ポリマーは、典型的には、リンス剤、好ましくは0.26N TMAH溶液中で100Å/秒以上、好ましくは1000Å/秒以上の溶解速度を示す。ポリマーは、スルホン酸(-SO3H)及びカルボン酸(-CO2H)基などの強酸基を含まないことが好まく、なぜなら、このような基は、典型的には、トリミング組成物の無極性溶媒中へのポリマーの溶解性を低下させるからである。特定の態様では、ポリマーは、フルオロアルキル及び/又はフルオロアルコール基を含まないこともあり得る。
【0018】
分解したときにポリマー上にカルボン酸基を形成する酸分解性基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三エステル基又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立に、直鎖C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、直鎖C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは直鎖C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらの各々は、置換又は非置換であり、各々のR1は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、及び任意の2つのR1基は、一緒に、任意選択的に環を形成し;R2は、独立に、水素、フッ素、直鎖C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、直鎖C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは水素、直鎖C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらの各々は、置換又は非置換であり、各々のR2は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、及びR2基は、一緒に、任意選択的に環を形成し;及びR3は、直鎖C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、直鎖C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは直鎖C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらの各々は、置換又は非置換であり、R3は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、及び1つのR2は、R3と一緒に、任意選択的に環を形成する。このようなモノマーは、典型的には、ビニル芳香族、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。
【0019】
このような酸分解性基を含む適切なモノマーには、以下の式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d):
【化1】
(式中、Rは、水素、フッ素、C
1~5アルキル又はC
1~5フルオロアルキル、典型的には水素又はメチルであり;R
1、R
2及びR
3は、上で定義した通りであり;L
1は、単結合又は少なくとも1つの炭素原子を含むm+1価連結基、典型的にはC
1~10直鎖、C
3~10分岐又はC
3~10環式であり、それらの各々は、置換又は非置換であり得、1つ以上のヘテロ原子を含み得;Pは、ビニル又はノルボルニルから選択される重合性基であり;L
2は、単結合又は少なくとも1つの炭素原子を含む二価連結基、典型的にはC
1~10直鎖、C
3~10分岐又はC
3~10環式であり、それらの各々は、置換又は非置換であり得、1つ以上のヘテロ原子を含み得、但し、Pがビニルであるとき、L
2は、単結合ではないことを条件とし;mは、1又は2であり;nは、0又は1である)
のモノマーが含まれる。
【0020】
酸分解性基を含む適切なこのようなモノマーには、例えば、以下:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
(式中、Rは、上記で定義した通りである)
が含まれる。ポリマー上にカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含有量は、典型的には、ポリマーの総重合単位に基づいて10~100モル%、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0021】
ポリマーは、酸分解性基を含むモノマーを重合単位として更に含み得、その基の分解は、ポリマー上にアルコール性基又はフルオロアルコール基を形成する。適切なこのような基には、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基又は式-OC(O)O-のカーボネートエステル基が含まれる。このようなモノマーは、典型的には、ビニル芳香族、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。
【0022】
アルコール又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む適切なモノマーには、例えば、以下:
【化6】
【化7】
(式中、Rは、上記で定義した通りである)
が含まれる。ポリマー中に存在する場合、酸分解性基であって、その基の分解は、ポリマー上にアルコール性基又はフルオロアルコール基を形成する、酸分解性基を含む重合単位の総含有量は、典型的には、ポリマーの総重合単位に基づいて10~90モル%、より典型的には30~70モル%である。
【0023】
ポリマーは、好ましくは、中性の溶解度向上モノマーを重合単位として更に含む。このようなモノマーは、典型的には、ビニル芳香族、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。適切な中性の溶解度向上モノマーには、例えば、以下:
【化8】
(式中、Rは、上記で定義した通りである)
が含まれる。ポリマー中に存在する場合、中性の溶解度向上モノマーの重合単位の総含有量は、ポリマーの総重合単位に基づいて典型的には10~90モル%、より典型的には30~70モル%である。
【0024】
ポリマーは、1つ以上の更なるタイプの重合単位を含み得る。適切な更なる単位は、例えば、アルキル、ヒドロキシ、フルオロアルキル、フルオロアルコール、エステル、エーテル、イミド、スルホンアミド、オキソアルカノエート基及びこれらの組み合わせの1つ以上から選択される基を含み得る。このような更なる単位は、典型的には、例えばビニル芳香族、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーから選択されるモノマーから形成される。例示的な適切なこのような更なるモノマーには、以下:
【化9】
【化10】
(式中、Rは、上記で定義した通りである)
が含まれる。ポリマー中に存在する場合、このような更なる重合単位の含有量は、広範囲に変化することができ、例えばそれぞれポリマーの総重合単位に基づいて2~20モル%の量で存在し得る。
【0025】
本発明による適切なポリマーには、ホモポリマー又は2、3若しくはそれを超える異なる繰り返し単位を含むコポリマーが含まれる。適切なホモポリマーは、カルボン酸を形成する酸分解性基を含む、上に記載のモノマーから形成される重合単位を含む。適切なコポリマーには、例えば、以下:
【化11】
【化12】
【化13】
(式中、各々のポリマー中の単位のモル比は、合計して100モル%になり、上に記載したような範囲で選択され得る)
が含まれる。
【0026】
トリミング組成物は、典型的には、単一のポリマーを含むが、任意選択的に1つ以上の更なるポリマーを含み得る。組成物中のポリマーの含有量は、例えば、層の目標厚さに依存し、より厚い層が望まれる場合、より高いポリマー含有量が使用される。ポリマーは、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて80~99.9重量%、より典型的には90~99重量%又は95~99重量%の量でパターントリミング組成物に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準に対するGPCで測定されて典型的には400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準に対するGPCで測定されて3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有するであろう。
【0027】
トリミング組成物での使用に適切なポリマーは、市販されており、且つ/又は当業者により容易に作製することができる。例えば、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解し、それにラジカル重合開始剤を加え、熱重合させポリマーを形成することにより、ポリマーを合成することができる。ポリマーの重合に使用できる適切な有機溶媒の例には、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが含まれる。適切な重合開始剤には、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが含まれる。
【0028】
トリミング組成物は、非ポリマー酸又は非ポリマー熱酸発生剤(TAG)を更に含む。TAGの場合酸又は発生した酸は、フォトレジストパターンの表面領域のポリマーの酸分解性基の結合の開裂を引き起こし、塗布されるリンス液中のフォトレジストポリマーの溶解度の増加を引き起こすのに熱で十分であるべきである。酸又はTAGは、非ポリマー形態であり、ポリマー酸及びTAGと比較して加工中にフォトレジストパターンへの拡散をより良好に可能にする。トリミング組成物は、ポリマー酸及びポリマーTAGを含まないことが好ましい。非ポリマー酸又は非ポリマーTAGは、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0029】
好ましい非ポリマー酸は、非芳香族酸及び芳香族酸などの有機酸であり、それらの各々は、任意選択的にフッ素置換を有し得る。適切な有機酸には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、蓚酸マロン酸及びコハク酸などのアルカン酸;クエン酸などのヒドロキシアルカン酸;安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸などのカルボン酸;ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸;及びメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸などの任意選択的にフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が含まれる。
【0030】
適切なTAGには、上に記載の非ポリマー酸を発生することができるTAGが含まれる。TAGは、非イオン性又はイオン性であり得る。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、トリフルオロメチルスルホン酸シクロヘキシル、トリフルオロメチルスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシル、p-トルエンスルホン酸メチル、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸のアルキルエステル及びそれらの塩並びにそれらの組み合わせが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩の他、炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホネート塩、脂肪族スルホネート塩並びにベンゼンスルホネート塩などのスルホネート塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生させる化合物が一般に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホネート塩が挙げられる。
【0031】
好ましくは、以下に示されるスルホン酸の発生の反応スキーム:
【化14】
(式中、RSO
3
-は、TAGアニオンであり、X
+は、TAGカチオン、好ましくは有機カチオンである)
により、TAGは、イオン性である。カチオンは、一般式(I):
(BH)
+ (I)
の窒素含有カチオンであり得、それは、窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。適切な窒素含有塩基Bには、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1~20アルキルアミン及びC3~30アリールアミンなどの任意選択的に置換されるアミン、例えばピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有複素芳香族塩基;窒素含有複素環式基、例えばオキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンが含まれる。前述の窒素含有塩基Bは、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基で任意選択的に置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくは、複素芳香族塩基である。
【0032】
塩基Bは、典型的には、0~5.0、又は0~4.0、又は0~3.0、又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書中で用いられるとき、「pKa」という用語は、その技術分野で認識される意味に従って使用され、即ち、pKaは、ほぼ室温の水溶液中の塩基性部分(B)の共役酸(BH)+の解離定数の(10を底とする)負の対数である。特定の実施形態において、塩基Bは、約170℃未満又は約160℃未満、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃若しくは90℃の沸点を有する。
【0033】
例示的な適切な窒素含有カチオン(BH)
+には、NH
4
+、CF
2HNH
2
+、CF
3CH
2NH
3
+、(CH
3)
3NH
+、(C
2H
5)
3NH
+、(CH
3)
2(C
2H
5)NH
+及び以下:
【化15】
(式中、Yは、アルキル、好ましくはメチル又はエチルである)
が含まれる。
【0034】
トリミング組成物は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を更に含む。「有機系」という用語は、溶媒系が、トリミング組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒、より典型的にはトリミング組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味する。トリミング組成物を配合及び流延するのに適切な溶媒材料は、フォトレジストパターンとの混合を最小限に抑えるために、下のフォトレジストパターンをそれほど溶解せずに、トリミング組成物の非溶媒成分に対して良好な溶解特性を示す必要がある。
【0035】
KrF及びEUVフォトレジストについて典型的であるように、トリミングされるフォトレジストパターンが、スチレン又はヒドロキシスチレン単位を含むポリマーなどのビニル芳香族系ポリマーから形成される場合、溶媒系は、好ましくは、1つ以上の無極性有機溶媒を含む。好ましくは、溶媒系は、無極性有機系である。「無極性有機系」という用語は、溶媒系が、トリミング組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の無極性有機溶媒の合計量、より典型的にはトリミング組成物の全溶媒に基づいて70重量%超、85重量%超又は100重量%の無極性有機溶媒の合計量を含むことを意味する。無極性有機溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて70~98重量%、好ましくは80~95重量%、より好ましくは85~98重量%の合計量で溶媒系中に存在する。無極性有機系溶媒系を使用すると、ビニル芳香族系フォトレジストパターンを処理する場合、トップロス特性を低くすることができる。本明細書で使用される場合、「ビニル芳香族」は、芳香族基がビニル基に直接結合しているモノマーから形成される重合単位、例えばスチレン、ヒドロキシスチレン及びビニルナフタレンを意味する。「ビニル芳香族系ポリマー」は、ポリマーが、ポリマーの総単位に基づいて50モル%超のビニル芳香族単位、より典型的にはポリマーの総単位に基づいて60~100モル%又は80~100モル%のビニル芳香族単位を含むことを意味する。
【0036】
適切な無極性溶媒には、例えば、エーテル、炭化水素及びそれらの組合せが含まれ、エーテルが好ましい。適切なエーテル溶媒には、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが含まれ、これらの特に好ましいものは、総炭素数が6~16であるものである。適切なアルキルモノエーテルには、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピネンオキシド、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが含まれ、ジイソアミルエーテルが好ましい。適切な芳香族モノエーテルには、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが含まれ、アニソールが好ましい。適切な脂肪族炭化水素には、例えば、n-へプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン及びフルオロヘプタンなどのフッ素化物が含まれる。適切な芳香族炭化水素には、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンが含まれる。
【0037】
溶媒系は、好ましくは、1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を更に含む。特定のトリミング組成物では、アルコール及び/又はエステル溶媒は、トリミング組成物の固体成分に関して高められた溶解性をもたらし得る。適切なアルコール溶媒には、例えば1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環式C4~9一価アルコール;並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5~9フッ素化ジオールが含まれる。アルコール溶媒は、好ましくは、C4~9一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。適切なエステル溶媒には、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなど、総炭素数が4~10のアルキルエステルが含まれる。1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒は、溶媒系で使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて2~50重量%の合計量、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0038】
溶媒系は、例えば、以下の1つ以上から選択される1つ以上の更なる溶媒を含み得る:2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテル。使用される場合、このような更なる溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0039】
特に好ましい有機系溶媒系は、溶媒系に基づいて70~98重量%の合計量の1つ以上のモノエーテル溶媒並びに溶媒系に基づいて2~30重量%の合計量の1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を含む。溶媒系は、典型的には、オーバーコート組成物において、オーバーコート組成物に基づいて90~99重量%、好ましくは95~99重量%の量で存在する。
【0040】
トリミング組成物は、1つ以上の更なる任意選択的な成分、例えば界面活性剤を更に含み得る。典型的な界面活性剤は、両親媒性の性質を示すものを含み、同時に親水性及び疎水性両方であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する1つ又は複数の親水性ヘッド基及び親有機性で水をはじく長い疎水性尾を有する。適切な界面活性剤は、イオン性(即ちアニオン性、カチオン性)又は非イオン性であり得る。界面活性剤の更なる例には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤及びフルオロケミカル界面活性剤が含まれる。適切な非イオン性界面活性剤には、TRITON(登録商標)X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート並びにTERGITOL(商標)TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)などの分岐2級アルコールエトキシレートが含まれるが、これらに限定されない。更なる例示的な界面活性剤には、アルコール(一次及び二次)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)又はManufacturers Confectioners Publishing Co.of Glen Rock,N.J.により出版された(非特許文献1)に開示された他の界面活性剤が含まれる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も適切であり得る。このような界面活性剤は、Air Products and Chemicals,Inc.of Allentown,PAから市販されており、SURFYNOL(登録商標)及びDYNOL(登録商標)の商標名で販売されている。更なる適切な界面活性剤には、トリブロックEO-PO-EOコポリマーPLURONIC(登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101及びP123(BASF,Inc.)などの他のポリマー化合物が含まれる。使用される場合、このような界面活性剤及び他の任意選択的な添加剤は、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて0.01~10重量%などの少量で組成物に存在する。トリミング組成物は、好ましくは、架橋剤及びフォトレジストパターンの寸法の増加をもたらし得る他の材料を含まない。
【0041】
トリミング組成物は、以下の公知の手順に従って調製することができる。例えば、トリミング組成物は、トリミング組成物の固体成分を溶媒成分中に溶解することによって調製することができる。組成物の所望の全固形分は、所望の最終層厚さなどの因子に依存するであろう。好ましくは、トリミング組成物の固形分は、トリミング組成物の全重量に基づいて1~10重量%、より好ましくは1~5重量%である。
【0042】
パターン形成方法
本発明による方法は、ここで、
図1A-Hを参照して説明され、それは、本発明によるパターン形成方法のための例示的なプロセスの流れを例示する。示されたプロセスフローは、単一のレジストマスクを使用してフォトレジストパターンを下の基板に転写するパターン化プロセスを説明しているが、この方法は、他のリソグラフィープロセス、例えばイオン注入マスクとして、リソ-リソ-エッチ(LLE)、リソ-エッチ-リソ-エッチ(LELE)若しくは自己整合型二重パターン化(SADP)などの二重パターン化プロセス又はこのようなフォトレジストパターンの処理が有益である任意の他のリソグラフィープロセスで使用できることが明らかである。
【0043】
図1Aは、様々な層及び特徴を含み得る基板100の断面を示す。基板は、シリコン又は化合物半導体(例えば、III-V又はII-VI)などの半導体、ガラス、石英、セラミック、銅などの材料であり得る。典型的には、基板は、単結晶シリコン又は化合物半導体ウェハーなどの半導体ウェハーであり、その表面に形成された1つ以上の層及びパターン化された特徴を有することができる。パターン化される1つ以上の層102は、基板100の上に提供され得る。任意選択的に、例えば、基板材料に溝を形成することが望ましい場合、下のベース基板材料自体をパターン化することができる。ベース基板材料自体をパターン化する場合、パターンは、基板の層に形成されるとみなされるものとする。
【0044】
層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、そのような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素又は金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層及びそれらの組み合わせを含み得る。エッチングされる層は、様々な技術、例えばプラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)若しくはエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング若しくは蒸発などの物理蒸着(PVD)又は電気めっきなどによって形成され得る。1つ以上のエッチングされる層102の特定の厚さは、形成される材料及び特定のデバイスに応じて変動する。
【0045】
エッチングされる特定の層、使用される膜厚及びフォトリソグラフィー材料及びプロセスに応じて、層102の上に、フォトレジスト層106がコーティングされるハードマスク層103及び/又は底部反射防止コーティング(BARC)104を配置することが望ましい場合がある。ハードマスク層の使用は、例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とする場合及び/又は特定のエッチング液が不十分なレジスト選択性を有する場合、非常に薄いレジスト層で望ましいことがあり得る。ハードマスク層を使用する場合、形成されるレジストパターンをハードマスク層103に転写することができ、その結果、ハードマスク層103は、下層102をエッチングするためのマスクとして使用することができる。適切なハードマスク材料及び形成方法は、当技術分野で知られている。典型的な材料には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、アモルファスカーボン、スピンオンカーボン(SOC)、酸窒化シリコン及び窒化シリコンが含まれる。ハードマスク層は、異なる材料の単一の層又は複数の層を含み得る。ハードマスク層は、例えば、CVD、PVD又はスピンコーティング技術によって形成することができる。
【0046】
底部反射防止コーティングは、基板及び/又は下層がフォトレジスト露光中にかなりの量の入射放射線を反射するため、形成されたパターンの品質に悪影響を及ぼす場合に望ましいことがあり得る。このようなコーティングは、焦点深度、露光寛容度、線幅均一性及びCD制御を向上させることができる。反射防止コーティングは、典型的には、レジストが深紫外線(300nm以下)、例えばKrF(248nm)、ArF(193nm)又はEUV(13.5nm)放射線に露光される場合に使用される。反射防止コーティングは、単一の層又は複数の異なる層を含み得る。適切な反射防止材料及び形成方法が当技術分野で知られている。反射防止材料は、市販されており、例えばAR(商標)3、AR(商標)40A及びAR(商標)124反射防止材料など、Dupont(Wilmington,DE USA)によってAR(商標)の商標名で販売されているものである。
【0047】
フォトレジスト層106は、フォトレジスト組成物、典型的には酸不安定基を有するポリマーと、光酸発生剤と、溶媒とを含む化学増幅型感光性組成物から形成される。適切なフォトレジスト組成物は、当技術分野でよく知られている。好ましくは、フォトレジストポリマーは、ビニル芳香族(例えば、スチレン及びヒドロキシスチレン)、(メタ)アクリレート、ノルボルネン及びこれらの組み合わせから選択されるモノマーから形成される。好ましい態様では、フォトレジストポリマーは、ビニル芳香族系であり、ポリマーにおける重合単位の50モル%超、典型的にはポリマーにおける重合単位の80モル%超がビニル芳香族モノマーから形成される。
【0048】
フォトレジスト層は、反射防止層104(存在する場合)の上に基板に配置される。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術によって基材に塗布され得る。これらのうち、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分を調整して、使用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及びスピニングのために考慮される時間量に基づいて所望の膜厚をもたらすことができる。フォトレジスト層106の典型的な厚さは、約500~3000Åである。
【0049】
フォトレジスト層106は、典型的には、次に層内の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、これにより不粘着コーティングを形成し、基板への層の接着を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上又はオーブン内で実行でき、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えば、フォトレジストの特定の材料及び厚さに依存する。典型的なソフトベークは、約90~150℃の温度、約30~90秒の時間で行われる。
【0050】
次に、フォトレジスト層106は、フォトマスク110を介して活性化放射線108に露光され、露光領域と非露光領域との間の溶解性に差を生じさせる。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線により、それぞれ露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に遮断性領域を有する。露光波長は、典型的には、深紫外(248nm)、193nm又はEUV波長(例えば、13.5nm)などの400nm未満、300nm未満である。好ましい態様では、露光波長は、深UV又はEUVリソグラフィーである。露光エネルギーは、例えば、露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には約10~80mJ/cm2である。
【0051】
フォトレジスト層106の露光に続いて、典型的には後露光ベーク(PEB)が実行される。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び層の厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、約80~150℃の温度及び約30~90秒の時間で行われる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。
【0052】
次に、フォトレジスト層106を現像して層の露光領域を除去し、非露光領域を残して、
図1Bに示されるように複数の特徴を有するレジストパターン106’を形成する。特徴は、限定されず、例えばパターン化される下層にこのようなパターンを形成することを可能にする複数の線、柱状物及び/又はコンタクトホールパターンを含み得る。形成されたレジストパターンは、L
1として示される初期寸法、線パターンの線幅、ポストパターンのポスト直径又はコンタクトホールパターンの側壁幅を有する。
【0053】
本明細書に記載されるフォトレジストパターントリミング組成物の層112は、
図1Cに示されるようにフォトレジストパターン106’の上に形成される。トリミング組成物は、典型的には、スピンコーティングによって基材に塗布される。コーティング溶液の固形分は、使用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転に許容される時間量に基づいて、所望の膜厚を提供するように調整することができる。パターントリミング組成物層112の典型的な厚さは、典型的には、パターン化されていない基板で測定して200~1500Åである。
【0054】
図1Dに示されるように、次に、基板は、トリミング組成物層中の溶媒を除去するためにベークされる。また、ベークにより、トリミング組成物の酸がレジストパターン106’の表面に拡散して、レジストパターン表面領域114で極性変化反応を引き起こす。ベークは、ホットプレート又はオーブンで行うことができるが、ホットプレートが典型的である。適切なベーク温度は、50℃超、例えば70℃超、90℃超、120℃超又は150℃超であり、温度は、70~160℃であり、時間は、約30~90秒であることが典型的である。単一のベーク工程が典型的であるが、複数工程のベークを使用でき、レジストプロファイルの調整に役立つことができる。
【0055】
次に、フォトレジストパターンをリンス剤、典型的には現像液と接触させて、残留したトリミング組成物層112及び典型的にはフォトレジストパターンの表面領域114も除去し、得られるパターン106’’を
図1Eに示す。リンス剤は、典型的には、水性アルカリ性現像液、例えば第四級水酸化アンモニウム溶液、例えば0.26規定度(N)(2.38重量%)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。更に、リンス剤は、水であり得るか又は水を含み得る。得られた構造を
図1Eに示す。トリミング処理後のレジストパターンの寸法(L
2)は、トリミング処理前の特徴サイズに比べて小さい。
【0056】
レジストパターン106’’をエッチングマスクとして使用して、
図1Fに示されるように、BARC層104は、選択的にエッチングされてBARCパターン104’を形成し、下のハードマスク層103を露出させる。次に、ハードマスク層は、再びレジストパターンをエッチングマスクとして使用して選択的にエッチングされ、
図1Gに示されるように、パターン化されたBARC及びハードマスク層103’が得られる。BARC層及びハードマスク層をエッチングするための適切なエッチング技術及び化学作用は、当技術分野で知られており、例えばこれらの層の特定の材料に依存することになる。反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセスが典型的である。次に、レジストパターン106’’及びパターン化されたBARC層104’は、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化を使用して基板から除去される。次いで、ハードマスクパターン103’をエッチングマスクとして使用して、1つ以上の層102が選択的にエッチングされる。下層102をエッチングするための適切なエッチング技術及び化学作用は、当技術分野で知られており、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセスが典型的である。次に、パターン化されたハードマスク層103’は、公知の技術、例えば反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセス又はウェット剥離を使用して、基板表面から除去することができる。得られた構造は、
図1Hに示されるエッチングされた特徴102’のパターンである。別の例示的な方法では、ハードマスク層103を使用せずに、フォトレジストパターン106’’を直接使用して層102をパターン化することが望ましい場合がある。レジストパターンを使用した直接パターン化を使用できるかどうかは、関連する材料、レジストの選択性、レジストパターンの厚さ及びパターンの寸法などの要因に依存する。
【0057】
以下の非限定的な例は、本発明の例示である。
【実施例】
【0058】
ポリマーの合成
以下のモノマーを使用して、下記の手順に従ってポリマーを合成した。
【化16】
【0059】
実施例1(ポリマーP1)
18.56gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、20.0gのモノマーM1、20.0gのモノマーM4及び1.44gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水20/80(重量%)に滴下することによりポリマー(P1)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥させて32gの固形分を得た(80%の収率)。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算値により、この例及び後続の例で決定され、多分散性は、PDI=Mw/Mnとして計算された。この例及び後続のポリマー合成例のポリマーにおけるモノマー比及び分子量の結果を表1に示す。
【0060】
実施例2(ポリマーP2)
18.56gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、20.0gのモノマーM2、20.0gのモノマーM4及び1.44gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水25/75(重量%)に滴下することによりポリマー(P2)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して31.5gの固形分を生じた(78.75%の収率)。
【0061】
実施例3(ポリマーP3)
17.32gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、15.0gのモノマーM3、15.0gのモノマーM4及び1.42gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。22gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水25/75(重量%)に滴下することによりポリマー(P3)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して22gの固形分を生じた(73.3%の収率)。
【0062】
実施例4(ポリマーP4)
23.20gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、25.0gのモノマーM2、25.0gのモノマーM5及び1.80gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。25gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水25/75(重量%)に滴下することによりポリマー(P4)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して42gの固形分を生じた(84%の収率)。
【0063】
実施例5(ポリマーP5)
18.56gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、28.0gのモノマーM1、12.0gのモノマーM6及び1.44gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水35/65(重量%)に滴下することによりポリマー(P5)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して30.7gの固形分を生じた(76.75%の収率)。
【0064】
実施例6(ポリマーP6)
18.56gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、12.0gのモノマーM1、28.0gのモノマーM6及び1.44gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水15/85(重量%)に滴下することによりポリマー(P6)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して32gの固形分を生じた(80%の収率)。
【0065】
実施例7(ポリマーP7)
18.56gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、16.0gのモノマーM2、20.0gのモノマーM4、4.0gのモノマーM6及び1.44gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水25/75(重量%)に滴下することによりポリマー(P7)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して33gの固形分を生じた(82.5%の収率)。
【0066】
実施例8(ポリマーP8)
18.56gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、16.0gのモノマーM1、20.0gのモノマーM4、4.0gのモノマーM6及び1.44gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。20gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水25/75(重量%)に滴下することによりポリマー(P8)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して30.5gの固形分を生じた(76%の収率)。
【0067】
実施例9(ポリマーP9)
23.20gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、20.0gのモノマーM2、25.0gのモノマーM4、5.0gのモノマーM7及び1.80gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)を容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解することにより、供給溶液を調製した。25gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃に加熱した。次に、供給溶液を反応容器に導入し、2時間かけて供給した。反応容器を攪拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をメタノール/水40/60(重量%)に滴下することによりポリマー(P9)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して42gの固形分を生じた(82%の収率)。
【0068】
実施例10(ポリマーCP1)
7.56gの4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)と40.50gのモノマーM4を容器内で混合して、モノマー供給溶液を調製した。開始剤供給溶液は、3.52gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)及び23.57gのMIBCを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。14.85gのMIBCを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を撹拌しながら88℃に加熱した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液の反応容器への導入が同時に開始された。モノマー供給溶液を1.5時間かけて供給し、開始剤供給溶液を2時間かけて供給した。反応容器を撹拌しながら更に3時間88℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をヘプタンに滴下することによりポリマー(CP1)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して30gの固形分を生じた(74%の収率)。
【0069】
実施例11(ポリマーCP2)
6.13gの4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)、20.25gのモノマーM4及び20.25gのモノマーM8を容器内で組み合わせることによってモノマー供給溶液を調製する。開始剤供給溶液は、7.13gのV-601フリーラジカル開始剤(Wako Chemical Company)及び21.39gのMIBCを容器で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。14.85gのMIBCを反応容器に導入し、容器を窒素ガスで30分間パージした。次に、反応容器を撹拌しながら88℃に加熱した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液の反応容器への導入が同時に開始された。モノマー供給溶液を1.5時間かけて供給し、開始剤供給溶液を2時間かけて供給した。反応容器を撹拌しながら更に3時間88℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をヘプタンに滴下することによりポリマー(CP2)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して30gの固形分を生じた(74%の収率)。
【0070】
実施例12(ポリマーCP3)
2.83gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、27.20gのモノマーM6及び4.80gのモノマーM8を容器内で混合することによってモノマー供給溶液を調製した。開始剤供給溶液は、1.48gのVazo-67フリーラジカル開始剤(E.I.du Pont de Nemours and Company)及び19.69gのPGMEを容器内で組み合わせ、混合物を攪拌して開始剤を溶解することにより調製した。24.00gのPGMEを反応容器に導入し、容器を窒素ガスで30分間パージした。次に、反応容器を撹拌しながら90℃に加熱した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液の反応容器への導入が同時に開始された。モノマー供給溶液を2時間かけて供給し、開始剤供給溶液を3時間かけて供給した。反応容器を撹拌しながら更に7時間90℃に維持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をヘプタンに滴下することによりポリマー(CP3)を沈殿させ、濾過により収集し、真空乾燥して25gの固形分を生じた(78%の収率)。
【0071】
【0072】
熱酸発生剤(TAG)の合成
実施例13(TAG1)
2,3-ジフルオロピリジン(7.25g、0.063モル)を4-ドデシルベンゼンスルホン酸(16.00g、0.049モル)のメタノール(250mL)溶液に滴下した。得られた混合物を一晩室温で攪拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮させて固体粗生成物を得、それを次にヘプタン(300mL)で洗浄した。固形分を濾過し、メチル第三ブチルエーテル(100mL)で洗浄し90%の収率で酸発生剤TAG1を生じた。
【化17】
【0073】
実施例14(TAG2)
3-フルオロピリジン(6.12g、0.063モル)をメタノール(250mL)中の4-ドデシルベンゼンスルホン酸(16.00g、0.049モル)の溶液に添加した。得られた混合物を一晩室温で攪拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮させて固体粗生成物を得、それを次にヘプタン(300mL)で洗浄した。固形分を濾過し、メチル第三ブチルエーテル(100mL)で洗浄し92%の収率で酸発生剤TAG2を生じた。
【化18】
【0074】
パターントリミング組成物の調製
フォトレジストパターントリミング組成物(PTC)は、表2に示す材料及び量を使用して固体成分を溶媒に溶解することにより調製した。得られた混合物は、14~30gの規模で作製され、機械振とう機で3~24時間振とうし、次いで0.2ミクロンの孔径を有するPTFEディスク形フィルターを通して濾過した。
【0075】
【0076】
溶解度の評価
実施例27~38(有機溶媒中へのポリマーの溶解度)
実施例1~12のポリマーを別々に、全溶液に基づいて10wt%のポリマーの量でイソアミルエーテル/4-メチル-2-ペンタノール(97/3重量比)と組み合わせた。溶液を2時間にわたって振とうし、ポリマーの溶解度を目視で且つ濁度計(Orbeco-Hellige Co)を使用して検査した。溶液が目視で透明である場合、ポリマーは、エーテル系溶媒に可溶性であると思われ、<1NTUの濁度を示した。結果は、表3に示され、「可」又は「不可」は、ポリマーが溶媒にそれぞれ可溶性又は不溶性であることを示した。
【0077】
実施例39~50(リンス剤中への膜の溶解度)
実施例15~26のパターントリミング組成物を、それぞれの8インチのシリコンウェハー上にTEL Clean Track Act 8コーティングツールにより1500rpmのスピン速度でそれぞれコーティングした。コーティングされたウェハーを100℃の温度で60秒間、Therma-Wave Opti-Probe 5230計測ツールによって測定されて40nmの乾燥膜厚にベークした。次に、ウェハーを0.26N TMAH溶液で濯いだ。リンス剤で処理後に膜厚を再び測定した。TMAH濯ぎ前及び後の膜厚の変化(ΔFT)は、以下の式を使用して計算された。
ΔFT=FTi-FTf
式中、FTiは、TMAH濯ぎ前の膜厚であり、FTfは、濯ぎ後の膜厚である。結果は、表3に示され「可」又は「不可」は、膜がTMAHリンス剤にそれぞれ可溶性又は不溶性であることを示す。
【0078】
【0079】
フォトレジストパターントリミング組成物評価
パターントリム評価
600nmのBARC層(AR(商標)3反射防止材、DuPont Electronics&Imaging)でコーティングされた8インチのシリコンウェハーをTEL Clean Track Act 8コーティングツールにより、UV217フォトレジスト(DuPont Electronics&Imaging)でスピンコーティングし、130℃で60秒間ソフトベークし、3550Åのレジスト層厚さを得た。NA=0.68のCanon ES4 FPA 5000スキャナー、従来の照明(0.75sigma)を使用して、140nmの1:1のバイナリ特徴サイズを有するライン及びスペースパターンのマスクを使用してウェハーを露光した。露光されたウェハーを125℃で60秒間露光後ベークし、0.26NのTMAH溶液を使用して現像し、140nmの1:1ライン-スペースパターン(デューティ比=1:1)を有するフォトレジストパターンを形成した。形成されたパターンのCDライン幅測定は、Hitachi High Technologies Co.CG4000 CD-SEMを使用して行い、初期のCD値を得た。
【0080】
次に、ウェハーをそれぞれのパターントリミング組成物の400Åでコーティングし、表4に記載された温度で60秒間ベークし、0.26N TMAH水溶液で30秒間濯ぎ、蒸留水で濯ぎ、TEL Clean Track Act8コーティングツールでスピンドライした。次いで、処理されたウェハーのレジストパターンのCD測定を行い、最終的なCD値を得た。各々のウェハーの処理されたパターンのCDの変化(ΔCD)は、以下の式に従って計算した。
ΔCD=CDi-CDf
式中、CDfは、パターントリミング処理後の平均CD測定値であり、CDiは、パターントリミング処理前の平均CD測定値である。結果を表4に示す。また、ウェハーを光学顕微鏡で検査して、レジストパターンのライン間のスペースにいくらかの残留物が残っているかどうか決定した。
【0081】
【符号の説明】
【0082】
100 基板
102 パターン化される1つ以上の層
102’ エッチングされた特徴
103 ハードマスク層
103’ ハードマスク層
104 底部反射防止コーティング
104’ BARCパターン
106 フォトレジスト層
106’ フォトレジストパターン
106’’ レジストパターン
108 活性化放射線
110 フォトマスク
112 パターントリミング組成物層
114 レジストパターン表面領域