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特許7461922シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体
(51)【国際特許分類】
   B60K 5/12 20060101AFI20240328BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20240328BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20240328BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20240328BHJP
【FI】
B60K5/12 Z
F16F15/04 A ZHV
F16F15/04 N
B60K6/46
B60K6/40
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021204705
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023089997
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】高比良 拓人
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩一
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209228456(CN,U)
【文献】特開2002-316541(JP,A)
【文献】特開2001-204103(JP,A)
【文献】特開2020-128196(JP,A)
【文献】特開2016-74429(JP,A)
【文献】特開2011-63147(JP,A)
【文献】特開2010-856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008055(US,A1)
【文献】特開2017-137763(JP,A)
【文献】特開2018-159171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 5/12
F16F 15/00
B60K 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動移動体の固定部材に支持されるシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、
クランク軸を有するエンジンと、
クランク軸平行視において前記エンジンと重なるように配置され、永久磁石部と、前記クランク軸に接続され、前記エンジンから動力を得て前記クランク軸に対して固定された速度比で回転するロータと、ステータとを有し、前記電動移動体の駆動源である電力を生成するように構成された発電機と、
それぞれ前記固定部材の支持部に弾性部材を介して支持される4つの被支持部とを備え、
前記4つの被支持部は、
対応する4つの前記弾性部材が、クランク軸垂直視において、四角形の頂点に位置し、前記四角形は、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心を囲み、前記クランク軸と平行であるクランク軸線が、2つの頂点と、残りの2つの頂点との間を通り、且つ、前記四角形を含む平面において、前記クランク軸線方向における前記四角形の長さが、前記クランク軸線方向と垂直な方向における前記四角形の長さよりも短くなるように配置され
前記4つの被支持部は、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが前記電動移動体に搭載された状態において、前記4つの弾性部材のそれぞれが、全体的に、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの上端と下端との間に位置するように前記支持部に支持される
【請求項2】
請求項1に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記4つの被支持部は、前記4つの弾性部材のそれぞれが、前記四角形を含む平面に対して垂直な方向に、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを弾性支持するように、前記支持部に支持される。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記4つの被支持部は、前記4つの弾性部材のそれぞれが、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを前記固定部材に取り付ける方向に、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを弾性支持するように、前記支持部に支持される。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記4つの被支持部は、前記四角形の2つの短辺が前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの前記クランク軸線方向の長さよりも短くなるように前記支持部に支持される。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記四角形の2つの短辺は、前記クランク軸線方向において、前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの両端の間に位置する。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記4つの被支持部は、前記四角形の2つの長辺が前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの前記クランク軸線方向の長さよりも短くなるように前記支持部に支持される。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記4つの被支持部は、前記四角形の2つの短辺が前記クランク軸線方向に対して平行又は実質的に平行となり、前記四角形の2つの長辺が前記クランク軸線方向と垂直な方向に対して平行又は実質的に平行となるように前記支持部に支持される。
【請求項8】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは更に、前記エンジンの排気音を低減する消音器を備え、
前記エンジンは、前記クランク軸線方向において、前記発電機と前記消音器との間に配置される。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記エンジンは、
そのシリンダの中心軸が前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの上下方向に直交する水平面と交差するように構成されており、
前記4つの被支持部は、
前記シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが前記電動移動体に搭載された状態において、
前記4つの弾性部材のそれぞれが、全体的に、
前記エンジンのシリンダヘッドとシリンダ本体との境界、又は、下死点における前記エンジンのピストンの頂面よりも下に位置し、かつ、
前記エンジンの下端、前記エンジンのクランクケースの下端、前記クランク軸線、又は、前記発電機の下端よりも上に位置するように
配置される。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記4つの被支持部は、
前記2つの頂点に位置する2つの弾性部材に支持される2つの被支持部と、
前記残りの2つの頂点に位置する2つの弾性部材に支持される残りの2つの被支持部とが、相互に連結されずに、互いに独立して配置される。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを備える電動移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)等の電動移動体の航続距離を延ばすレンジエクステンダとして、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが知られている。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、エンジンによって駆動される発電機が発電した電力を制御装置によって直流電力に変換して、該直流電力をバッテリに充電する。このようなシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の発動発電ユニットは、エンジン及び発電機を水平に並べて一体的に固定されることにより形成され、複数のマウントブッシュを介して車体に支持されている。複数のマウントブッシュは、平面視において、エンジンを2カ所で支持し、発電機を1カ所で支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-78622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、固定部材に対する振動の伝達を抑制しつつ、コンパクトにすることができるシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のように、特許文献1では、発動発電ユニットを複数のマウントブッシュによって支持することにより、発動発電ユニットから車体に伝達される振動を抑制している。
【0007】
このような振動伝達抑制機能をより向上するためには、例えば、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの支持剛性を低下させることが考えられる。しかしながら、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの支持剛性を低下させると、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの姿勢が容易に変化する可能性がある。
【0008】
また、電動移動体の運動性能を向上させるには、大きな電力が必要となる。大きな電力を得るためには、例えば、エンジンの回転数を上げ、発電機による発電量を増やすことが考えられる。しかしながら、エンジンの回転数を上げると、エンジンが大きく振動し、車体に伝達される振動が大きくなる。
【0009】
さらに、電動移動体が大型であれば、電動移動体の重量が増え、空気抵抗も大きくなる。その結果、燃費が低下し、航続距離が低下する。これに対し、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットのエンジン及び発電機を小型にすることが考えられる。しかしながら、電動移動体の仕様によっては、高出力のエンジン及び発電機が必要になることもあり、エンジン及び発電機を単純に小型にすることは難しい。
【0010】
このように、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを搭載した電動移動体では、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから車体へ伝達される振動を抑制することに加え、全体としてユニットをコンパクトにすることが望まれている。
【0011】
本願発明者らは、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから車体へ伝達される振動を抑制しつつ、全体としてユニットをコンパクトにできる構成について検討した。その結果、本願発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0012】
(1)本発明の一実施形態に係るシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、電動移動体の固定部材に支持される。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、クランク軸を有するエンジンと、クランク軸平行視においてエンジンと重なるように配置され、永久磁石部と、クランク軸に接続され、エンジンから動力を得てクランク軸に対して固定された速度比で回転するロータと、ステータとを有し、電動移動体の駆動源である電力を生成するように構成された発電機と、それぞれ固定部材の支持部に弾性部材を介して支持される4つの被支持部とを備え、4つの被支持部は、対応する4つの弾性部材が、クランク軸垂直視において、四角形の頂点に位置し、四角形は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心を囲み、クランク軸と平行であるクランク軸線が、2つの頂点と、残りの2つの頂点との間を通り、且つ、四角形を含む平面において、クランク軸線方向における四角形の長さが、クランク軸線方向と垂直な方向における四角形の長さよりも短くなるように配置される。
【0013】
上記(1)の構成では、4つの弾性部材で形成される四角形の2つの頂点と、残りの2つの頂点との間をクランク軸線が通る。そのため、4つの弾性部材に対応するシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの4つの被支持部について、2つの被支持部と、残りの2つの被支持部との間をクランク軸線が通る構成とすることができる。また、4つの弾性部材で形成される仮想の四角形は、クランク軸線方向に短い。つまり、四角形の短辺を形成する2つの弾性部材に支持される2つの被支持部の間隔が短い。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、例えばブラケットを介して電動移動体の固定部材に取り付けられ、支持される。2つの被支持部の間隔が短ければ、例えば2つの被支持部ごとにブラケットを用意せず、1つのブラケットでシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを固定部材に取り付けることができる。また、4つの弾性部材で形成される四角形が、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心を囲み、クランク軸線方向の長さが短くなるように構成されることで、4つの弾性部材によって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットで生じた振動が固定部材(例えば、車体を構成するフレーム)に伝達されるのを抑制することができる。したがって、固定部材に対する振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてコンパクトにすることができる。
【0014】
(2)上記(1)のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、4つの被支持部は、4つの弾性部材のそれぞれが、四角形を含む平面に対して垂直な方向に、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを弾性支持するように、支持部に支持されてもよい。
【0015】
上記(2)の構成では、例えば4つの弾性部材が、四角形を含む平面に対して垂直な方向に主として伸縮するように配置されることで、4つの弾性部材が効果的に振動を抑制することができる。また、4つの弾性部材を簡素な形状にすることができる。そのため、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてコンパクトにすることができる。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、4つの被支持部は、4つの弾性部材のそれぞれが、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを固定部材に取り付ける方向に、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを弾性支持するように、支持部に支持されてもよい。
【0017】
上記(3)の構成によれば、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを固定部材に取り付けるブラケットを簡素な形状にすることができる。そのため、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、ブラケットのコンパクト化、加工を容易にすることができ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができる。
【0018】
(4)上記(1)~(3)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、4つの被支持部は、四角形の2つの短辺がシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットのクランク軸線方向の長さよりも短くなるように支持部に支持されてもよい。
【0019】
上記(4)の構成では、4つの弾性部材で構成される仮想の四角形を、少なくともクランク軸線方向において、小さくすることができる。すなわち、4つの弾性部材が、少なくともクランク軸線方向において、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心に近い位置に設けられる。したがって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができる。
【0020】
(5)上記(1)~(4)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、四角形の2つの短辺は、クランク軸線方向において、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの両端の間に位置してもよい。
【0021】
上記(5)の構成では、4つの弾性部材で構成される仮想の四角形を、少なくともクランク軸線方向において、小さくすることができる。すなわち、4つの弾性部材が、少なくともクランク軸線方向において、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心に近い位置に設けられる。したがって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができる。
【0022】
(6)上記(1)~(5)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、4つの被支持部は、四角形の2つの長辺がシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットのクランク軸線方向の長さよりも短くなるように支持部に支持されてもよい。
【0023】
上記(6)の構成では、4つの弾性部材で構成される仮想の四角形の2つの長辺及びそれより短い2つの短辺、すなわち四角形の4辺全てが、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットのクランク軸線方向の長さよりも短くなる。したがって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができる。
【0024】
(7)上記(1)~(6)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、4つの被支持部は、四角形の2つの短辺がクランク軸線方向に対して平行又は実質的に平行となり、四角形の2つの長辺がクランク軸線方向と垂直な方向に対して平行又は実質的に平行となるように支持部に支持されてもよい。
【0025】
上記(7)
の構成では、4つの弾性部材で構成される仮想の四角形が概略長方形となる。そのため、例えば電動移動体の固定部材が棒状のフレーム部材である場合、4つの弾性部材を固定部材に配置しやすく、支持構造の複雑化が抑制される。したがって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができる。
【0026】
(8)上記(1)~(7)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、4つの被支持部は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、4つの弾性部材のそれぞれが、全体的に、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの上端と下端との間に位置するように支持部に支持されてもよい。
【0027】
上記(8)の構成では、4つの弾性部材で構成される仮想の四角形の上下方向の位置が制限される。そのため、4つの弾性部材が、上下方向において、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心に近い位置に設けられる。したがって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができる。
【0028】
(9)上記(1)~(8)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおいて、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは更に、エンジンの排気音を低減する消音器を備え、エンジンは、クランク軸線方向において、発電機と消音器との間に配置されてもよい。
【0029】
消音器はエンジンの排気により熱を持つため、消音器の周りの部材の温度は上昇しやすい。上記(9)の構成では、消音器と発電機との間にエンジンが配置されるため、消音器の熱が発電機に伝導されにくい。したがって、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットから固定部材への振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を全体としてよりコンパクトにすることができ、更には発電機の温度上昇を抑制することもできる。
【0030】
(10)本発明の一実施形態に係る電動移動体は、上記(1)~(10)のいずれかのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを備える。
【0031】
「電動移動体」は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが備える発電機によって生成される電力により移動できればよい。電動移動体は、機械的な動力により移動しない。電動移動体は、集電装置経由で電力が供給される電車等を含まない。電動移動体は、移動のための機械的な動力をアシストする電力を生成する電動自転車等を含まない。ただし、電動移動体は、機械的な動力によらず電力のみによって移動する電動移動モードを有する電動自転車等を含む。電動移動体は、例えば、地上を移動可能である。電動移動体は、例えば、水上を移動可能である。電動移動体は、例えば、水中を移動可能である。電動移動体は、例えば、空中を移動可能である。地上を移動可能な電動移動体は、例えば、車両である。車両は、例えば、少なくとも1つの車輪を備える。水上を移動可能な電動移動体は、例えば、船である。水中を移動可能な電動移動体は、例えば、潜水艇である。空中を移動可能な電動移動体は、例えば、ヘリコプターやUAVである。電動移動体は、例えば、乗員が操縦することで移動可能である。電動移動体は、例えば、乗員が操縦しなくても移動可能(つまり、自動運転が可能)であってもよい。電動移動体は、操縦者が遠隔操縦することで移動可能であってもよい。電動移動体は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが生成した電力を蓄えるバッテリを備えていてもよい。この場合、電動移動体が移動するための電力は、バッテリから供給されてもよい。
【0032】
「シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット」は、電動移動体に用いられる。このとき、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、電動移動体が備えるシリーズ方式のハイブリッドシステムの少なくとも一部を構成する。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心は、クランク軸垂直視で、エンジンと重なっていてもよいし、発電機と重なっていてもよい。
【0033】
「固定部材」は、電動移動体の骨格を形成する。固定部材は、例えばシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを囲むように設けられる。固定部材は、例えばシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの前、後、左及び右の少なくともいずれかに設けられる。固定部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの上及び下の少なくともいずれかに設けられてもよい。固定部材は、例えばフレームである。固定部材は、面で構成される箱状の構造体であってもよい。固定部材は、板部材によって構成されていてもよい。
【0034】
「支持部」は、固定部材の一部である。支持部は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを固定部材に対して固定できるように構成される。例えば、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットがボルトによって固定部材に取り付けられる場合、支持部は、ボルト孔を有する。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが固定部材に取り付けられる方法は、特に限定されず、嵌合、接着、溶接等の方法であってもよい。
【0035】
「エンジン」は、例えばレシプロエンジンである。エンジンの燃料は、例えば、ガソリン、プロパンガス(LPガス)、水素、アルコール、バイオ燃料、合成燃料等である。エンジンは、例えば単気筒エンジンである。エンジンは、多気筒エンジンでもよい。この場合、エンジンは、例えば並列多気筒エンジン、V型多気筒エンジン、水平対向エンジン等である。エンジンは、単一のクランク軸を含む。つまり、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットは、タンデムツインエンジンを備えていない。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態で、クランク軸と平行であるクランク軸線は、左右方向、前後方向及び上下方向のいずれの方向に伸びていてもよい。クランク軸線は、左右方向、前後方向及び上下方向の少なくとも1つから傾いた方向に伸びていてもよい。すなわち、電動移動体に搭載された状態でのシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給の姿勢は、特に限定されない。
【0036】
エンジンの動力は、電動移動体を移動させるために直接用いられない。例えば、電動移動体が電動車両である場合、エンジンの動力が電動車両の車輪に伝達されて、電動車両が走行することはない。エンジンの動力は、主に発電機を駆動させるために用いられる。エンジンの動力は、発電機を駆動させる以外の用途、例えば、補機を駆動させるために用いられてもよい。エンジンは、例えばシリンダと、クランクケースと、クランク軸と、ピストンと、コンロッドとを含む。シリンダは、例えばクランクケースに繋がるシリンダ本体と、シリンダヘッドとを含む。
【0037】
「発電機」は、電動移動体の移動のための電力を生成する。発電機は、電動移動体の移動のための機械的な動力を出力しない。すなわち、発電機は、電動移動体の移動のための電動機として機能しない。
【0038】
発電機は、クランク軸平行視において、エンジンと部分的に又は全体的に重なるように配置される。これは、エンジンのクランク軸線と平行な方向に沿ってエンジンの外部から発電機に向かって見たときに、発電機がエンジンと部分的に又は全体的に重なるように配置されることである。 発電機は、例えば、クランク軸平行視において、少なくとも一部がエンジンにおいて単一のクランク軸を収容するクランクケースと重なるように配置されていてもよい。 発電機は、例えば、クランク軸平行視において、少なくとも一部がエンジンにおける単一のクランク軸と重なるように配置されていてもよい。 発電機は、例えば、クランク軸平行視において、少なくとも一部がエンジンにおけるクランク軸線と重なるように配置されていてもよい。
【0039】
発電機のロータは、エンジンからの動力により、単一のクランク軸に対して固定された速度比で回転する。つまり、エンジンの動力により、発電機のロータが回転する。別表現をすれば、エンジンは、発電機を駆動させる。発電機が駆動することにより、電動移動体を移動させるための電力が生成される。つまり、エンジンの動力が発電機によって電力に変換され、当該電力により、電動移動体が移動する。 ロータと単一のクランク軸の回転速度比は、変化しない。ロータと単一のクランク軸の回転速度比を固定する方法は、特に限定されない。例えば、単一のクランク軸をロータの軸に固定してもよいし、ロータの軸を単一のクランク軸によって構成してもよいし、単一のクランク軸とロータの軸を、ギア比が固定された複数の歯車を介して、連結してもよい。 単一のクランク軸をロータの軸に固定するときには、単一のクランク軸をロータの軸に直接固定してもよいし、単一のクランク軸とロータの軸を、他の部材を介して、固定してもよい。単一のクランク軸をロータの軸に直接固定するときには、例えば、単一のクランク軸とロータの軸のうち、一方を他方に圧入してもよい。 単一のクランク軸とロータの軸を連結する、ギア比が固定された複数の歯車は、例えば、単一のクランク軸に設けられて単一のクランク軸と一体的に回転する歯車と、ロータの軸に設けられてロータの軸と一体的に回転する歯車とを含んでいればよい。単一のクランク軸と一体的に回転する歯車の回転は、例えば、ベルトやチェーン等の伝達部材を介して、ロータの軸と一体的に回転する歯車に伝達してもよい。 ロータの回転速度は、単一のクランク軸の回転速度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ロータの回転方向は、単一のクランク軸の回転方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい。 ロータは、インナーロータであってもよいし、アウターロータであってもよい。発電機が生成する電力は、電動移動体を移動させる以外の用途に用いられてもよい。
【0040】
「被支持部」は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットにおける固定部材に弾性部材を介して取り付けられる部分である。被支持部は、例えば弾性部材と直接接触する部分である。被支持部は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを固定部材に対して固定できるように構成される。例えば、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットがボルトによって固定部材に取り付けられる場合、被支持部は、ボルト孔を有する。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが弾性部材を介して直接的に固定部材の支持部に支持される場合、4つの被支持部は、例えばエンジンと繋がっていてもよいし、発電機と繋がっていてもよい。4つの被支持部のうちの一部が、エンジンと繋がり、残りが発電機と繋がっていてもよい。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが弾性部材及びブラケットを介して固定部材の支持部に支持される場合、4つの被支持部は、ブラケットに設けられる。
【0041】
「クランク軸平行視」は、クランク軸と平行であるクランク軸線方向に沿ってシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの外部からクランク軸に向かって見ることである。
【0042】
「クランク軸垂直視」は、クランク軸線方向と垂直な方向に沿ってシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの外部からクランク軸に向かって見ることである。クランク軸垂直視は、例えばシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが搭載された電動移動体を上から見た平面視である。
【0043】
「弾性部材」は、固定部材の支持部とシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの被支持部との間に設けられる。弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジ
ン駆動電力供給ユニットを弾性支持した状態で、上下方向、左右方向及び前後方向に弾性変形可能である。弾性部材は、弾性変形可能な部材であればよく、特に限定されない。弾性部材は、例えばゴム、ばね等である。弾性部材は、例えば円柱形状、角柱形状を有する。弾性部材の形状は、特に限定されない。弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットがブラケットを介して固定部材に取り付けられる場合、例えば固定部材とブラケットとの間に配置される。
【0044】
4つの弾性部材は、例えば、クランク軸垂直視で、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの外縁の外に配置される。この場合、4つの弾性部材は、クランク軸垂直視で、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットに重ならない。ただし、4つの弾性部材は、クランク軸垂直視で、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの外縁の内に配置されてもよい。この場合、4つの弾性部材は、クランク軸垂直視で、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットに重なる。また、クランク軸垂直視で、4つの弾性部材の一部が、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの外縁の外に配置され、残りがシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの外縁の内に配置されてもよい。この場合、クランク軸垂直視で、当該一部の弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットに重ならず、残りの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットに重なる。
【0045】
4つの弾性部材はそれぞれ、クランク軸垂直視で、例えばシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心から等距離又は実質的に等距離に配置される。実質的に等距離とは、4つの弾性部材のそれぞれの重心からの距離が、公差等により僅かに異なる場合を意味する。要するに、実質的に等距離とは、4つの弾性部材のそれぞれの重心からの距離が公称値で等距離であることを意味する。ただし、4つの弾性部材のうちの少なくとも1つが、残りの弾性部材とシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心との距離とは異なる距離に配置されてもよい。
【0046】
4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばエンジンの上端よりも下に位置する。エンジンのシリンダの中心軸が水平面と交差する場合(例えば、直列又はV型エンジン)、4つの弾性部材は、例えば次のように配置される。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばエンジンのシリンダヘッドとシリンダ本体との境界よりも下に位置する。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えば下死点におけるエンジンのピストンの頂面よりも下に位置する。エンジンのシリンダの中心軸が水平面と交差しない又は実質的に交差しない場合(例えば、水平対向エンジン)、4つの弾性部材は、例えば次のように配置される。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばクランクケースの上端よりも下に位置する。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばクランクケースの上端よりも上に位置してもよい。
【0047】
4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心と同じ高さ又は実質的に同じ高さに位置していてもよいし、重心よりも下に位置していてもよいし、重心よりも上に位置していてもよい。
【0048】
4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばエンジンの下端よりも上に位置する。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばエンジンのクランクケースの下端よりも上に位置する。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えばクランク軸線よりも上に位置する。4つの弾性部材は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態において、全体的に、例えば発電機の下端よりも上に位置する。
【0049】
「四角形」は、クランク軸垂直視において、4つの弾性部材をつないで形成される仮想図形である。より詳細には、四角形は、例えば4つの弾性部材それぞれの重心をつないで形成される。四角形は、クランク軸垂直視で、長方形であってもよいし、台形であってもよいし、平行四辺形であってもよい。四角形は、2つの長辺のみが平行な四角形であってもよいし、2つの短辺のみが平行な四角形であってもよいし、4辺全てが平行でない四角形であってもよい。四角形は、弾性部材が5つ以上設けられる場合、任意に選択された4つの弾性部材で形成される。
【0050】
四角形を含む平面は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットが電動移動体に搭載された状態で、水平面に含まれてもよいし、水平面から傾いていてもよい。すなわち、四角形を形成する4つの弾性部材は、上下方向において、同じ位置に配置されていてもよいし、異なっていてもよい。また、四角形を含む平面は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。すなわち、4つの弾性部材は、上下方向において、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの重心と同じ位置に配置されていてもよいし、異なっていてもよい。
【0051】
四角形の2つの短辺は、クランク軸垂直視で、例えばクランク軸線方向と平行である。ただし、2つの短辺のいずれか又は両方は、クランク軸線方向と平行でなくてもよい。この場合、短辺のクランク軸線方向における長さは、短辺を形成する2つの弾性部材のクランク軸線方向の距離に相当する。四角形の2つの長辺は、クランク軸垂直視で、例えばクランク軸線方向と垂直な方向と平行である。ただし、2つの長辺のいずれか又は両方は、クランク軸線方向と垂直な方向と平行でなくてもよい。この場合、長辺のクランク軸線方向と垂直な方向における長さは、長辺を形成する2つの弾性部材のクランク軸線方向と垂直な方向の距離に相当する。クランク軸線方向における2つの短辺の長さが異なる場合、例えば長い方の短辺におけるクランク軸線方向の長さが、クランク軸線方向における四角形の長さに相当する。クランク軸線方向と垂直な方向における2つの長辺の長さが異なる場合、例えば短い方の長辺におけるクランク軸線方向と垂直な方向の長さが、クランク軸線方向と垂直な方向における四角形の長さに相当する。
【0052】
2つの短辺は、クランク軸線方向において、例えば発電機及びエンジンを1つのユニットとしてみたとき、当該ユニットの両端の間に位置する。2つの短辺は、クランク軸線方向において、例えばエンジンの両端の間に位置する。2つの短辺は、クランク軸線方向において、例えば発電機の両端の間に位置する。2つの短辺は、クランク軸線方向において、例えば発電機とエンジンとの境界を跨ぐ。
【0053】
「平行又は実質的に平行」は、対象物同士が厳密に平行である場合と、公差等により僅かに平行でない場合とを含む。要するに、実質的に平行とは、対象物同士が公称値で平行であることを意味する。
【0054】
この発明の上述の目的及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。本明細書にて使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は1つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム(items)のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、固定部材に対する振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1(A)は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を示す概略図であり、図1(B)は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの内部構造を示す図であり、図1(C)は、クランク軸平行視におけるシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット、固定部材及び弾性部材を示す図であり、図1(D)は、クランク軸垂直視におけるシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット、固定部材及びブラケットを示す図である。
図2図2は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの被支持部の変形例を示す図である。
図3図3(A)及び図3(B)は、4つの弾性部材で形成される四角形の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットと、当該シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットを備える電動移動体について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも一例である。本発明は、以下に説明する実施形態によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0058】
図1(A)は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット及び電動移動体を示す概略図である。電動移動体100は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を備える。電動移動体100は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1が生成する電力を駆動源として移動する。電動移動体100は、例えばUAVである。
【0059】
図1(B)は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニットの内部構造を示す図である。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1は、エンジン11と、発電機12と、4つの被支持部13(図1(C)参照)と、2つのブラケット1
4(図1(C)参照)とを備える。
【0060】
エンジン11は、単気筒のレシプロエンジンである。エンジン11は、単一のクランク軸111を有する。エンジン11のシリンダ113内で燃料が燃焼すると、クランク軸111は、クランク軸線112周りに回転する。クランク軸線112は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1が電動移動体100に搭載された状態で、水平面に含まれる。クランク軸111は、発電機12に接続される。
【0061】
発電機12は、複数の永久磁石121と、ロータ122と、ステータ123とを有する。複数の永久磁石121は、ロータ122に取り付けられ、ロータ122と一体的に回転する。ロータ122は、クランク軸111に接続され、エンジン11から動力を得てクランク軸111に対して固定された速度比で回転する。ロータ122の回転軸は、例えばクランク軸線112と一致する。ステータ123は、ロータ122を囲むように設けられる。ステータ123は、クランク軸111が回転しても回転しない。ステータ123は、コイルを含む。ロータ122が回転すると、電磁誘導により電力が生成される。この電力は、電動移動体100の駆動源となる。電力は、例えばUAVのプロペラを作動させるために用いられる。
【0062】
図1(C)は、クランク軸平行視におけるシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット、固定部材及び弾性部材を示す図である。発電機12は、クランク軸平行視においてエンジン11と重なるように配置される。本実施形態では、発電機12の全部は、クランク軸平行視においてエンジン11と重なる。
【0063】
電動移動体100は、さらに、固定部材2と、4つの弾性部材3と、消音器4とを備える。
【0064】
固定部材2は、例えば複数の梁部材によって構成された直方体状のフレームである。固定部材2は、電動移動体100の骨格を形成する。固定部材2は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を囲むように設けられる。固定部材2は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を支持する支持部21を含む。支持部21は、例えば固定部材2の上面に設けられる。支持部21は、例えばボルト孔を有する。
【0065】
弾性部材3は、例えばゴムである。弾性部材3は、例えば円柱形状を有する。弾性部材3は、上下方向に伸縮できるように支持部21に設けられる。4つの弾性部材3のそれぞれは、全体的に、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1の上端1Uと下端1Dとの間に位置する。
【0066】
図1(D)は、クランク軸垂直視におけるシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット、固定部材及びブラケットを示す図である。4つの弾性部材3は、クランク軸垂直視において、四角形31の頂点に位置する。四角形31は、例えば長方形である。四角形31は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1の重心Gを囲む。重心Gは、クランク軸垂直視において、例えばエンジン11と重なる。
【0067】
4つの弾性部材3のそれぞれは、四角形31を含む平面に対して垂直な方向に、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を弾性支持する。すなわち、4つの弾性部材3は、四角形31を含む平面に対して垂直な方向に、主として弾性変形する。4つの被支持部13及び4つの支持部21は、4つの弾性部材3の配置に対応して設けられる。また、本実施形態では、四角形31を含む平面に対して垂直な方向は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を固定部材2に取り付ける方向と一致する。
【0068】
四角形31を含む平面において、クランク軸111と平行であるクランク軸線112方向における四角形31の長さL1(短辺)は、クランク軸線112方向と垂直な方向における四角形31の長さL2(長辺)よりも短い。2つの短辺の長さL1は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1のクランク軸線112方向の長さL3よりも短い。2つの短辺311,312は、クランク軸線112方向において、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1の両端1L,1Rの間に位置する。2つの短辺311,312は、クランク軸線112方向に対して平行又は実質的に平行である。2つの長辺313,314は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1のクランク軸線112方向の長さL3よりも短い。2つの長辺313,314は、クランク軸線112方向と垂直な方向に対して平行又は実質的に平行である。
【0069】
ブラケット14は、クランク軸垂直視で、概ねU字形状を有する。ブラケット14は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を固定部材2に取り付ける。ブラケット14は、弾性部材3を介して固定部材2に取り付けられる。1つのブラケット14には、2つの弾性部材3が取り付けられる。ブラケット14において、2つの弾性部材3が取り付けられる箇所は、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1の被支持部13に相当する。
【0070】
消音器4は、概ね円筒形状であり、上下方向に伸びる。消音器4は、エンジン11のシリンダと接続される。消音器4は、エンジン11の排気音を低減する。エンジン11は、クランク軸線112方向において、発電機12と消音器4との間に配置される。
【0071】
本実施形態のシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1及び電動移動体100では、4つの弾性部材3で形成される四角形31の2つの頂点と、残りの2つの頂点との間をクランク軸線112が通る。そのため、4つの弾性部材3に対応するシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1の4つの被支持部13について、2つの被支持部と、残りの2つの被支持部との間をクランク軸線112が通る構成とすることができる。また、4つの弾性部材3で形成される仮想の四角形31は、クランク軸線112方向に短い。つまり、四角形31の短辺311,312を形成する2つの弾性部材に支持される2つの被支持部の間隔が短い。シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1は、例えばブラケット14を介して電動移動体100の固定部材2に取り付けられ、支持される。2つの被支持部13の間隔が短ければ、例えば2つの被支持部ごとにブラケットを用意せず、1つのブラケットでシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1を固定部材2に取り付けることができる。また、4つの弾性部材3で形成される四角形31が、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1の重心Gを囲み、クランク軸線112方向の長さL1が短くなるように構成されることで、4つの弾性部材3によってシリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1で生じた振動が固定部材2に伝達されるのを抑制することができる。したがって、固定部材2に対する振動の伝達を抑制しつつ、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1及び電動移動体100を全体としてコンパクトにすることができる。
【0072】
ただし、図2に示されるように、シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット1は、ブラケットを介さず固定部材2に取り付けられてもよい。この場合、例えば被支持部13は、エンジン11における固定部材2に向けて突出した部分114に設けられる。被支持部13は、弾性部材3を介して固定部材2に取り付けられる。
【0073】
なお、4つの弾性部材で形成される四角形は、長方形に限定されない。例えば、図3(A)に示すように、四角形31は、クランク軸垂直視で、台形であってもよい。例えば、図3(B)に示すように、四角形31は、クランク軸垂直視で、平行四辺形であってもよい。
【0074】
(その他の実施形態) 本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた実施形態及び変形例は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の思想を限定するものではない。上記の実施形態及び変形例は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。当該趣旨は、本明細書に開示された実施形態に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、実施形態及び変形例に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を包含する。特許請求の範囲における限定事項は当該特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態及び変形例に限定されるべきではない。そのような実施形態及び変形例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」、「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
【符号の説明】
【0075】
100 :電動移動体1 :シリーズハイブリッド化エンジン駆動電力供給ユニット11 :エンジン111 :クランク軸112 :クランク軸線113 :シリンダ12 :発電機121 :永久磁石122 :ロータ123 :ステータ13 :被支持部14 :ブラケット1D :下端1L,1R :両端1U :上端2 :固定部材21 :支持部3 :弾性部材31 :四角形311,312 :短辺L1 :クランク軸線方向における四角形の長さ313,314 :長辺L2 :クランク軸線方向と垂直な方向における四角形の長さ4 :消音器G :重心
図1
図2
図3