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▶ 株式会社イズミフードマシナリの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】洗浄装置および抽出システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/60 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
A47J31/60
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021508683
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 JP2019021559
(87)【国際公開番号】W WO2020194766
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2019056004
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 岳美
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-112205(JP,A)
【文献】実開平07-027425(JP,U)
【文献】特開平11-188328(JP,A)
【文献】特開2018-161393(JP,A)
【文献】特開平10-004072(JP,A)
【文献】登録実用新案第3039433(JP,U)
【文献】特開2012-085910(JP,A)
【文献】特開2015-148747(JP,A)
【文献】特開2007-042860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 - 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出材料を収納する抽出タンクと、
前記抽出タンクの下部に開閉可能に支持される蓋体と、
前記蓋体を回動させて、前記蓋体を開閉させる蓋体回動駆動部と、
前記蓋体に設けられ、前記抽出材料が載置されるフィルタとを備えた抽出装置の前記フィルタを流体で洗浄する洗浄装置であって、
前記抽出タンクに対する位置が固定して配置され、前記流体が通過する管体と、
前記管体に設けられ、前記蓋体が開状態にあるときに、前記フィルタに向けて前記流体を噴射する噴出口と、
を備え、
前記管体の前記抽出タンクに対して固定した前記位置は、前記蓋体の開閉動作にかかわらず、前記蓋体と干渉しない位置であり、
前記フィルタに向けて前記流体を噴射するときの前記噴出口は、前記フィルタの上側の部分よりも上側に位置し、前記蓋体回動駆動部側に前記管体が位置する、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記噴出口は、前記管体と別体で構成されている請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記フィルタは、シート状または中心から側壁部に向かって下方に緩やかな傾斜をなしており、
前記噴出口は、前記流体を噴射した際、前記流体の噴射方向が前記フィルタに対して0°または鋭角となる請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記噴出口は、前記蓋体回動駆動部により前記蓋体を回動させつつ、前記流体を噴射す
る請求項1~3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記管体を、その中心軸回りに回動させる管体駆動部を備え、
前記噴出口は、前記管体駆動部により前記管体を回動させつつ、前記流体を噴射する請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記管体駆動部は、前記管体の回動速度を可変に構成されている請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記噴出口は、複数の前記噴出口が一列に配置された噴出口列としてユニット化され、前記噴出口列は、前記管体の長手方向に沿って複数配置されており、前記管体の長手方向に対して直交する水平方向から前記管体を見たとき、前記管体の長手方向に隣り合う2つの前記噴出口列同士のうち、一方の前記噴出口列の少なくとも1つのノズルと、他方の前記噴出口列の少なくとも1つの前記ノズルとが重なる請求項2~6のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記流体として水を含む液体を前記管体に供給する液体供給部を備える請求項1~7のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記流体として空気を含む気体を前記管体に供給する気体供給部を備える請求項1~8のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項10】
抽出材料を収納する抽出タンクと、前記抽出タンクの下部に開閉可能に支持される蓋体と、前記蓋体に設けられ、前記抽出材料が載置されるフィルタとを備えた抽出装置と、
前記フィルタを流体で洗浄する、請求項1~9のいずれか1項に記載の洗浄装置とを備えることを特徴とする抽出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置および抽出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆や茶葉等のような抽出材料から抽出液を抽出する抽出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の抽出装置は、抽出材料を収納する抽出タンクと、抽出タンクの下部の開口部に開閉可能に支持される底蓋と、底蓋に設けられ、抽出材料が載置される金網フィルタとを備えている。抽出装置では、フィルタを定期的に洗浄することが求められており、その洗浄に洗浄装置が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3039433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄装置は、開状態にある底蓋のフィルタに対して、流体を噴射する複数の流体噴射ノズルが設けられた洗浄パイプと、洗浄パイプをフィルタに沿って上側から下側に向かって移動可能に支持する支持機構と、を備えている。支持機構は、2本のガイドレールと、各ガイドレール上を摺動する複数のスライダとを有しており、その構成は、部品点数が比較的多く、複雑な構成となってしまう。
また、支持機構の部品点数が多い分、洗浄装置が大型化になる傾向にある。大型の装置は、設置スペースや可動スペースの広さによっては、設置や使用が困難となる。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図ることができるとともに、抽出装置のフィルタを簡単な構成で確実に洗浄することができる洗浄装置および抽出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄装置の一つの態様は、
抽出材料を収納する抽出タンクと、
前記抽出タンクの下部に開閉可能に支持される蓋体と、
前記蓋体を回動させて、前記蓋体を開閉させる蓋体回動駆動部と、
前記蓋体に設けられ、前記抽出材料が載置されるフィルタとを備えた抽出装置の前記フィルタを流体で洗浄する洗浄装置であって、
前記抽出タンクに対する位置が固定して配置され、前記流体が通過する管体と、
前記管体に設けられ、前記蓋体が開状態にあるときに、前記フィルタに向けて前記流体を噴射する噴出口と、
を備え、
前記管体の前記抽出タンクに対して固定した前記位置は、前記蓋体の開閉動作にかかわらず、前記蓋体と干渉しない位置であり、
前記フィルタに向けて前記流体を噴射するときの前記噴出口は、前記フィルタの上側の部分よりも上側に位置し、前記蓋体回動駆動部側に前記管体が位置する、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の抽出システムの一つの態様は、
抽出材料を収納する抽出タンクと、前記抽出タンクの下部に開閉可能に支持される蓋体と、前記蓋体に設けられ、前記抽出材料が載置されるフィルタとを備えた抽出装置と、
前記フィルタを流体で洗浄する上記洗浄装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管体を固定して配置した状態で蓋体が開状態であるときに洗浄をするので、例えば管体を抽出装置のフィルタに沿って移動させる構成に比べて簡単な装置構成となり、装置の小型化にも寄与する。また、フィルタを洗浄する際、蓋体を回動させたり、または、管体を回動させたりするよう構成されている場合には、抽出材料に対して、流体が吹き付けられる箇所を変更することができ、よって、その洗浄を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の抽出システム(蓋体の開状態)の第1実施形態を示す垂直部分断面側面図である。
図2図2は、本発明の抽出システム(蓋体の閉状態)の第1実施形態を示す垂直部分断面側面図である。
図3図3は、本発明の抽出システムにおける蓋体の洗浄状態(第1状態)を示す垂直部分断面側面図である。
図4図4は、本発明の抽出システムにおける蓋体の洗浄状態(第2状態)を示す垂直部分断面側面図である。
図5図5は、図3中の矢印A方向から見た垂直部分断面側面図である。
図6図6は、図5中の矢印B方向から見た下面図である。
図7図7は、本発明の抽出システムの第2実施形態における蓋体の洗浄状態(第1状態)を示す垂直部分断面側面図である。
図8図8は、本発明の抽出システムの第2実施形態における蓋体の洗浄状態(第2状態)を示す垂直部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の洗浄装置および抽出システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の抽出システム(蓋体の開状態)の第1実施形態を示す垂直部分断面側面図である。図2は、本発明の抽出システム(蓋体の閉状態)の第1実施形態を示す垂直部分断面側面図である。図3は、本発明の抽出システムにおける蓋体の洗浄状態(第1状態)を示す垂直部分断面側面図である。図4は、本発明の抽出システムにおける蓋体の洗浄状態(第2状態)を示す垂直部分断面側面図である。図5は、図3中の矢印A方向から見た垂直部分断面側面図である。図6は、図5中の矢印B方向から見た下面図である。
【0011】
なお、以下では、説明の都合上、水平方向のうちの一方向を「X軸方向」といい、水平方向のうちのX軸方向と直交する方向を「Y軸方向」といい、鉛直方向、すなわち、X軸方向とY軸方向とに直交する方向を「Z軸方向」という。また、各軸方向の矢印側を「正側」といい、矢印と反対側を「負側」という。また、図1図5中の上側を「上(または上方)」といい、下側を「下(下方)」という。
【0012】
図1および図2に示すように、抽出システム100は、抽出装置8と、洗浄装置1と、回収装置9と、を備えている。以下、各部の構成について説明する。
抽出装置8は、抽出材料EMから抽出液を抽出する装置である。抽出材料EMとしては、特に限定されず、例えば、コーヒー豆、茶葉、鰹節、昆布等が挙げられる。
【0013】
抽出装置8は、抽出タンク81と、蓋体82と、フィルタ83と、蓋体回動駆動部84と、処理液供給部85と、ならし部86と、タンク洗浄部87と、を備える。
抽出タンク81は、中空体で構成され、その内部空間811に抽出材料EMを収納することができる。なお、内部空間811の容積は、抽出装置8の使用状態にもよるが、例えば、50L以上10000L以下とすることができる。
【0014】
抽出タンク81は、筒状の側壁部812と、側壁部812の上側を覆う上側壁部813とを有する。また、側壁部812の下側は、下方に向かって開口した下側開口部814となっている。
抽出タンク81の下部には、蓋体回動駆動部84を介して、蓋体82が下側開口部814に対して開閉可能に支持されている。蓋体82は、図1に示す全開状態と、図2に示す全閉状態と、全開状態と全閉状態との間の中間の状態とを取り得、蓋体回動駆動部84により、各状態で停止可能である。
【0015】
蓋体82は、全閉状態では、下側開口部814を封止することができる。この状態では、抽出液を抽出することができる。
蓋体82は、全開状態では、下側開口部814を下方に向かって開放させることができる。また、この状態では、例えば、抽出材料EMを廃棄したり、フィルタ83を洗浄したりすることができる。
【0016】
蓋体82は、扁平形状をなし、その内側(裏側)の部分に、全閉状態で抽出タンク8の内部空間811に臨む凹部821を有する。そして、凹部821を覆うように、フィルタ83が設置されている(図3図4参照)。
蓋体回動駆動部84は、油圧シリンダ841を有し、この油圧シリンダ841の作動により、蓋体82を回動させることができる。そして、この回動により、蓋体82が抽出タンク81の下側開口部814に対して接近、離間して、蓋体82を開閉させることができる。
【0017】
前述したように、蓋体82には、凹部821を覆うようにフィルタ83が設けられている。フィルタ83は、シート状または中心から側壁部に向かって下方に緩やかな傾斜をなし、その面方向に十分に引張られた状態となっている。これにより、蓋体82が全閉状態にあるとき、フィルタ83は、水平または中心から側壁部に向かって下方に緩やかな姿勢となり、抽出材料EMを載置することができる。そして、この状態で抽出材料EMに対し、例えば水(お湯を含む)等のような処理液を供給することにより、抽出成分を含む抽出液が抽出される。
【0018】
また、フィルタ83は、金網またはネル布等で構成されている。これにより、抽出液は、フィルタ83を通過して、蓋体82の凹部821に連通する排出口822から排出される。フィルタ83の構成材料としては、特に限定されず、例えば、金網使用の場合は、アルミニウムやステンレス鋼等のような防錆性を有する各種金属材料を用いることができる。
【0019】
処理液供給部85は、蓋体82が全閉状態にあるときに、抽出タンク81内に処理液を供給することができる。処理液供給部85は、フィルタ83上の抽出材料EMに対して、処理液を噴射する複数のノズル851を有する。
【0020】
ならし部86は、フィルタ83上の抽出材料EMの厚さを均一にならすことができる。ならし部86は、ノズル851の下側に配置され、Z軸方向と平行な軸回りに回転可能に支持された複数の板部材861を有する。そして、各板部材861が一括して抽出材料EMに接した状態で同方向に回転することにより、抽出材料EMを均一にならすことができる。
【0021】
なお、抽出装置8は、ノズル851および板部材861を上下方向に昇降させることができる。これにより、抽出装置8の作動状態に応じて、ノズル851および板部材861の高さを調整することができる。
【0022】
タンク洗浄部87は、蓋体82が全開状態にあるときに、主に抽出タンク81内を洗浄することができる。タンク洗浄部87は、抽出タンク81の上側壁部813側に設けられたボール状のスプレー部871を有する。スプレー部871は、抽出タンク81内で洗浄液を噴射することができる。これにより、抽出タンク81内が洗浄される。
【0023】
回収装置9は、洗浄時にフィルタ83から落下してきた抽出材料EMを回収する装置である。回収装置9は、ホッパー91と、ベルトコンベア92と、を備えている。
図1に示すように、ホッパー91は、開状態の蓋体82の下方に配置されている。ホッパー91は、すり鉢状をなす導入部911と、導入部911の中心部から下方に突出した管状をなす排出部912と、を有する。
【0024】
導入部911は、フィルタ83から落下してきた抽出材料EMを排出部912に向かって導く(案内する)ことができる。
排出部912は、導入部911と連通しており、導入部911を経た抽出材料EMをベルトコンベア92に向かって排出することができる。
【0025】
排出部912の下方には、ベルトコンベア92が配置されている。ベルトコンベア92は、無端ベルト921と、無端ベルト921を回転駆動させる複数のローラ922と、を有する。各ローラ922は、Y軸方向と平行な軸回りに回動可能に支持されている。
無端ベルト921上には、排出部912から排出された抽出材料EMが堆積する。そして、この状態で、無端ベルト921が回転駆動することにより、無端ベルト921上の抽出材料EMをX軸方向正側に向かって搬送することができる。
【0026】
なお、抽出材料EMの搬送先には、例えば、抽出材料EMが回収される回収ボックス等が配置されているのが好ましい。
また、回収装置9は、ベルトコンベア92を有する構成に限定されず、例えば、ベルトコンベア92に代えて、スクリューコンベアを有する構成であってもよい。
【0027】
洗浄装置1は、フィルタ83を流体Qで洗浄する装置である。図1および図2に示すように、洗浄装置1は、流体Qが通過する管体2と、管体2と別体で構成され、管体2に接続されたノズルユニット3と、中継管11を介して管体2に接続された液体供給部4と、中継管12を介して管体2に接続された気体供給部5と、を備える。なお、ノズルユニット3は、管体2と別体で構成されているため、例えば、洗浄装置1の大きさに応じて、管体2への接続数を任意に変更することができる。
【0028】
図3図4に示すように、管体2は、横断面形状が円形をなし、その内部空間21を流体Qが通過することができる。なお、管体2の横断面形状は、本実施形態では円形であるが、これに限定されず、例えば、楕円形、多角形の場合もある。
管体2は、抽出タンク81に対する位置が固定して配置されている。この配置位置としては、蓋体82の開閉動作にかかわらず、蓋体82と干渉しない位置である。また、本実施形態では、管体2は、その長手方向がY軸方向と平行に配置されている。
【0029】
図5図6に示すように、管体2には、複数のノズルユニット3が連通して接続されている。各ノズルユニット3は、流体Qを噴出する噴出口としての複数のノズル31を有し、これらのノズル31が等間隔に一列に配置されたノズル列(噴出口列)32としてユニット化された部材である。また、各ノズルユニット3(ノズル列32)は、管体2の長手方向、すなわち、Y軸方向に沿って等間隔に配置されている。そして、各ノズル31からは、管体2を通過した流体Qを下方に向かって噴射することができる。なお、噴出口としては、管体2と別体で構成されたノズルユニット3で構成されているが、これに限定されず、管体2の長手方向に沿ってスリット状に形成された側孔で構成されていてもよい。
【0030】
次に、洗浄装置1による洗浄状態について説明する。
まず、洗浄装置1による洗浄に先行して、蓋体82が全閉状態で抽出液の抽出が完了した後、蓋体回動駆動部84により、蓋体82を一旦全開状態とする。これにより、フィルタ83上の抽出材料EMは、自重で落下する。
【0031】
しかしながら、抽出材料EMには、フィルタ83上から落下する抽出材料EMの他に、例えば、フィルタ83に付着したり、絡まったりして、残留する抽出材料EMもある。洗浄装置1は、この残留した抽出材料EMをフィルタ83から除去することができる。
洗浄装置1による洗浄を行うには、まず、図3に示すように、蓋体82を半開状態とする。ここで、「半開状態」とは、全開状態と全閉状態との間の中間の状態である。
また、各ノズル31からの流体Qの噴射方向がZ軸方向負側となっている場合、フィルタ83は、半開状態、全開状態にかかわらず、流体Qの噴射方向に対して傾斜している(図3図4参照)。この傾斜角度θ82は、半開状態、全開状態によって大きさが変化するが、いずれの状態でも0°または鋭角である。
【0032】
そして、半開状態で、各ノズル31は、フィルタ83に向けて流体Qを噴射する噴出口である。これにより、各ノズル31からの流体Qは、フィルタ83に対して0°または鋭角の傾斜角度θ82で吹き付けられて、フィルタ83の傾斜方向上側に残留した抽出材料EMを削ぎ落すことができる。また、流体Qで削ぎ落された抽出材料EMは、当該抽出材料EMよりも傾斜方向下側の抽出材料EMを、流体Qとともに、傾斜方向下方に向かって押圧していく。これにより、フィルタ83に残留した抽出材料EMが徐々に除去されていく。
【0033】
また、流体Qを噴射した状態を維持したまま、図3に示す状態から蓋体82を回動させていくと、図4に示すように、蓋体82は、全開状態となる。この図4に示す状態でも、各ノズル31からの流体Qは、フィルタ83に対して0°または鋭角の傾斜角度θ82で吹き付けられる。なお、図4に示す状態では、流体Qは、フィルタ83の傾斜方向の途中(中央部付近)に残留した抽出材料EMを削ぎ落すことができる。これにより、前記と同様に、流体Qで削ぎ落された抽出材料EMは、当該抽出材料EMよりも傾斜方向下側の抽出材料EMを、流体Qとともに、傾斜方向下方に向かって押圧していく。
【0034】
洗浄装置1は、図3に示す状態と図4に示す状態とを交互に繰り返すことにより、フィルタ83に残留した抽出材料EMを十分に除去することができ、よって、フィルタ83を確実に洗浄することができる。そして、フィルタ83の洗浄後は、流体Qの噴射を停止して、蓋体82を再度全閉状態とする。
【0035】
以上のように、洗浄装置1は、抽出タンクに対する管体2の位置が固定されたまま、蓋体回動駆動部84により蓋体82を回動させつつ、各ノズル31からフィルタ83に向けて流体Qを噴射することができる。これにより、例えば管体2をフィルタ83に沿って移動させずとも、フィルタ83に残留した抽出材料EMに対して、流体Qが吹き付けられる箇所を変更することができる。このような構成は、管体2を移動させる構成に比べて簡単な構成となり、洗浄装置1の小型化にも寄与する。また、洗浄装置1は、フィルタ83に対する洗浄ムラが生じるのを防止することができる、すなわち、フィルタ83を均一に確実に洗浄を行うことができる。
【0036】
前述したように、ノズル31は、流体Qを噴射した際、流体Qの噴射方向がフィルタ83に対して0°または鋭角となる。これにより、フィルタ83に残留した抽出材料EMをそぎ落とすのに有効な傾斜角度θ82が得られ、よって、迅速な抽出材料EMの除去、すなわち、フィルタ83の洗浄が可能となる。
【0037】
なお、管体(ノズル)の向きは、Z軸方向(直下方向)に向けられるのが好ましい。この場合、洗浄のための流体Qが重力に従って蓋体82(フィルタ83)に向かうため、洗浄のための流体Qの圧力をそれほど高めることなく、流体Qの直進性(貫徹力)を維持することができる。
【0038】
また、ノズル31が流体Qを噴射した際、流体Qは、フィルタ83に向かって広がりつつ噴射され、その広がり角度が15度以下となるのが好ましく、0度以上5度以下であるのがより好ましい。これにより、流体Qの噴射時の直進性をできる限り維持することができ、よって、洗浄に寄与する流体Qの損失を防止することができる。
【0039】
図6に示すように、各ノズルユニット3は、ノズル列32の配置方向がY軸方向に対して傾斜している。そして、管体2の長手方向に対して直交する水平方向から管体2を見たとき(図6中では矢印方向Cから見たとき、すなわち、X軸方向正側から負側に向かって見たとき)、管体2の長手方向に隣り合う2つのノズル列32同士は、これらのノズル列32のうち、一方のノズル列32の少なくとも1つのノズル31と、他方のノズル列32の少なくとも1つのノズル31とが重なる重なり部33を共有する。これにより、フィルタ83を洗浄する際、ノズルユニット3同士の間でも隙間なく、重なり部33のノズル31で洗浄することができ、よって、フィルタ83に対する洗浄ムラが生じるのを防止することができる、すなわち、フィルタ83を均一に洗浄を行うことができる。
【0040】
管体2には、ノズル31がノズルユニット3で設けられているのに限定されず、例えば、ノズル31が管体2の管壁に貫通して形成された側孔で設けられていてもよい。
管体2に配置されるノズル31の配置数は、フィルタ83の大きさに応じて、適宜変更されるのが好ましい。
また、管体2に配置されるノズル31の配置数は、複数に限定されず、例えば、1つであってもよい。この場合、ノズル31は、Y軸方向に沿ったスリット状をなすのが好ましい。
【0041】
図5に示すように、管体2には、中継管11を介して液体供給部4が接続され、中継管12を介して気体供給部5が接続されている。
液体供給部4は、中継管11を介して、管体2の長手方向の途中に接続されている。液体供給部4は、流体Qとして水を含む液体Q1を管体2に供給することができる。なお、液体供給部4は、液体Q1の温度を調整する温度調整部を有していてもよい。これにより、例えば液体Q1を加熱することができ、よって、フィルタ83に対する洗浄力が向上する。また、液体Q1には、洗剤が含有されていてもよい。これによっても、フィルタ83に対する洗浄力が向上する。
【0042】
気体供給部5は、中継管12を介して、管体2のY軸方向負側に接続されている。気体供給部5は、流体Qとして圧縮空気を含む気体Q2を管体2に供給することができる。
そして、各ノズル31からは、流体Qとしての液体Q1と気体Q2との混合流体を、高圧のジェット噴射で噴射することができる。これにより、フィルタ83上に残留した抽出材料EMを吹き飛ばして、フィルタ83から剥がすことができる。
なお、洗浄装置1では、液体Q1と気体Q2との混合を調整することができる。
【0043】
なお、洗浄装置1では、液体Q1と気体Q2との混合を調整することができる。
また、洗浄装置1による洗浄態様として、液体Q1と気体Q2とを各ノズル31から一括して噴射する態様であるが、その他に、例えば、液体Q1と気体Q2とを各ノズル31から交互に噴射する態様とすることもできる。
また、フィルタ83を洗浄した後、このフィルタ83に対して気体Q2を噴射することにより、フィルタ83を乾燥させることもできる。
【0044】
<第2実施形態>
図7は、本発明の抽出システムの第2実施形態における蓋体の洗浄状態(第1状態)を示す垂直部分断面側面図である。図8は、本発明の抽出システムの第2実施形態における蓋体の洗浄状態(第2状態)を示す垂直部分断面側面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の洗浄装置および抽出システムの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0045】
図7図8に示すように、本実施形態では、洗浄装置1は、管体2を、その中心軸O回りにノズルユニット3(ノズル31)とともに回動させる管体駆動部6をさらに備える。管体駆動部6は、管体2のY軸方向正側に連結されており、例えば、モータと、モータに連結され、互いに噛み合う複数の歯車を有する減速機とを備える。あるいは、例えば、油圧シリンダ等の往復運動を管体2の回動に変換する機構でもよい。これにより、管体2を中心軸O回りに往復回動させて、各ノズル31を図7に示す状態と図8に示す状態とに移行させることができる。図7に示す状態では、各ノズル31が鉛直下方に向いている。図8に示す状態では、各ノズル31が左斜め下方に向いている。
【0046】
そして、蓋体82の半開状態を維持して、管体2を中心軸O回りに往復回動させつつ各ノズル31から流体Qを噴射させる。このとき、管体2の回動角度によらず、傾斜角度θ82は、0°または鋭角である。これにより、各ノズル31からの流体Qは、フィルタ83に対して0°または鋭角の傾斜角度θ82で吹き付けられる。
【0047】
図7に示す状態では、フィルタ83の傾斜方向上側に残留した抽出材料EMを削ぎ落すことができる。図8に示す状態では、フィルタ83の傾斜方向の途中に残留した抽出材料EMを削ぎ落すことができる。洗浄装置1は、図7に示す状態と図8に示す状態とを交互に繰り返すことにより、フィルタ83に残留した抽出材料EMを十分に除去することができる。これにより、フィルタ83を確実に洗浄することができる。
【0048】
なお、管体駆動部6は、例えば抽出材料EMの残留量に応じて、管体2の回動速度を可変に構成されていてもよい。この場合、例えば管体2の回動速度を減少させることができ、よって、流体Qが吹き付けられる時間も増加させることができる。これにより、確実な洗浄を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の洗浄装置および抽出システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、洗浄装置および抽出システムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の洗浄装置および抽出システムは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。例えば、フィルタ83を洗浄する際、蓋体82の回動と、管体2の回動とを組み合わせて、その洗浄を行ってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 洗浄装置
2 管体
21 内部空間
3 ノズルユニット
31 ノズル(噴出口)
32 ノズル列(噴出口列)
33 重なり部
4 液体供給部
5 気体供給部
6 管体駆動部
8 抽出装置
81 抽出タンク
811 内部空間
812 側壁部
813 上側壁部
814 下側開口部
82 蓋体
821 凹部
822 排出口
83 フィルタ
84 蓋体回動駆動部
841 油圧シリンダ
85 処理液供給部
851 ノズル
86 ならし部
861 板部材
87 タンク洗浄部
871 スプレー部
9 回収装置
91 ホッパー
911 導入部
912 排出部
92 ベルトコンベア
921 無端ベルト
922 ローラ
11 中継管
12 中継管
100 抽出システム
EM 抽出材料
中心軸
Q 流体
Q1 液体
Q2 気体
θ82 傾斜角度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8