(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】生体成分移送システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/02 20060101AFI20240328BHJP
A61M 60/39 20210101ALI20240328BHJP
A61M 60/279 20210101ALI20240328BHJP
A61M 60/284 20210101ALI20240328BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20240328BHJP
A61M 60/847 20210101ALI20240328BHJP
A61M 60/849 20210101ALI20240328BHJP
【FI】
A61M1/02 120
A61M60/39
A61M60/279
A61M60/284
A61M60/113
A61M60/847
A61M60/849
(21)【出願番号】P 2021519911
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001490
(87)【国際公開番号】W WO2020158454
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2019016766
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230155(WO,A1)
【文献】米国特許第04464172(US,A)
【文献】特表平08-506977(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068213(WO,A1)
【文献】特表2002-527212(JP,A)
【文献】特開2006-175232(JP,A)
【文献】特表2002-513321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
A61M 60/39
A61M 60/279
A61M 60/284
A61M 60/113
A61M 60/847
A61M 60/849
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液中の所定の生体成分を移動するために用いる生体成分移送用デバイスと、当該生体成分移送用デバイスが装着される装置と、を備える生体成分移送システムであって、
前記生体成分移送用デバイスは、生体液ラインが形成されたシート状のデバイス本体を有し、
前記デバイス本体は、軟質素材で形成された第1シートと軟質素材で形成された第2シートとを有し、
前記第1シートと前記第2シートとは、厚さ方向に重ねられ且つ互いに接合され、
前記生体液ラインは、
軟質素材で構成された壁部を有する被荷重測定部と、
前記被荷重測定部に連結されたライン本体部と、を備え、
前記装置は、前記生体成分移送用デバイスが前記装置に装着されたデバイス装着状態で、前記被荷重測定部の前記壁部にかかる荷重を測定する荷重測定部を有し、
前記被荷重測定部は、前記ライン本体部よりも変形し易く、
前記装置は、所定の生体成分を分離する分離装置
と、
生体液から生体成分を分離するための分離処理部と、
採取用又は返還用のポンプと、を有し、
前記生体液ラインは、
前記ポンプとドナーとの間の流路の一部を形成するドナー側ラインと、
前記ポンプと前記分離処理部との間の流路の一部を形成する分離側ラインと、を含み、
前記ドナー側ラインと前記分離側ラインとは、前記第1シートと前記第2シートとの間に共に形成され、
前記分離側ラインには、前記ポンプを駆動して生体液を採取する際に陽圧のみが作用し、
前記被荷重測定部は、前記分離側ラインに設けられ
るとともに前記ライン本体部よりも幅広に形成され、
前記ポンプは、前記ドナー側ラインと前記分離側ラインとを互いに連通させるとともに軟質素材で構成された連結チューブに設けられ、
前記ドナー側ラインは、少なくとも一部が互いに並列に設けられた第1ライン及び第2ラインを含み、
前記第1ラインは、軟質素材で構成された壁部を有するドナー側被荷重測定部を含み、
前記分離装置は、前記デバイス装着状態で、前記ドナー側被荷重測定部の前記壁部にかかる荷重を測定するドナー側荷重測定部を有し、
前記第2ラインは、内部にフィルタ部材が収容されたフィルタ収容部を有し、
前記被荷重測定部は、前記ドナー側被荷重測定部よりも幅広に形成され、
前記デバイス本体において、前記ドナー側ラインと前記分離側ラインとは、互いに接続されない独立した流路であり、
前記第2ラインの一端部と前記分離側ラインの一端部とは、前記デバイス本体の第1縁部に位置し、
前記第2ラインの他端部と前記分離側ラインの他端部とは、前記デバイス本体の前記第1縁部とは反対側の第2縁部に位置し、
前記第2ラインの一端部は、前記第2ラインの他端部よりも前記ドナー側に位置し、
前記分離側ラインの一端部は、前記分離側ラインの他端部よりも前記分離処理部側に位置し、
前記第2ラインの他端部と前記分離側ラインの他端部とは、前記連結チューブを介して互いに接続され、
前記第1ラインの一端は、前記第2ラインのうちの前記第2ラインの一端部と前記フィルタ収容部との間の部分に接続され、
前記第1ラインの他端は、前記第2ラインのうちの前記第2ラインの他端部と前記フィルタ収容部との間に接続されている、生体成分移送システム。
【請求項2】
請求項
1記載の生体成分移送システムであって、
前記被荷重測定部は、平面視で円形状に形成され、
前記被荷重測定部の直径は、前記ライン本体部の幅の150%以上である、生体成分移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体成分の分離や培養に用いるシステム、特に生体成分移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の献血においては、供血者から全血を採取する全血採血の他に、供血者の身体への負担が軽い成分採血(アフェレーシス)が行われている。成分採血は、血液成分採取システム(アフェレーシスシステム)を使用し、全血から特定の血液成分だけを採取し、残りの成分を供血者の体内に再び戻す採血方法である。
【0003】
また、新しい医療として近年、患者自身の細胞又は他人の細胞を用いて疾患を治療する治療法である細胞治療が行われるようになってきた。細胞治療においては、治療に用いる細胞を採取し、培養装置等を用いて培養することが行われている。
【0004】
特表2013-514863号公報には、供血者から取り出した全血を遠心分離して血小板を採取する血液成分採取システムが開示されている。この血液成分採取システムは、処理される血液又は血液成分が流れる回路を形成する採血回路セットと、この採血回路セットが装着される遠心分離装置(血液成分分離装置)とを備える。
【0005】
採血回路セットは、採血針を有する採血ライン、全血が導入される帯状のチャネル(分離器)、血液成分等を収容するための複数のバッグと、複数のチューブを介してこれらに接続されたカセットとを備える。カセットには、供血者からの血液を導入するライン、バッグへと血液成分を移送するライン、採取しない血液成分を供血者へと戻す返血ライン等を含む複数の流路が形成されている。使用に際し、カセットは、血液成分分離装置に設けられた取付部に装着される。
【発明の概要】
【0006】
このような血液成分採取システムでは、血液成分分離装置が適正に動作しているか否かを確認するために、採血回路内の圧力(回路内圧)を測定して監視することが必要である。血液成分採取システム以外の生体成分(例えば、細胞)の分離や培養に用いる生体成分移送システムにおいても、同様の課題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、回路内圧を精度良く測定することが可能な生体成分移送システムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の一態様は、生体液中の所定の生体成分を移動するために用いる生体成分移送用デバイスと、当該生体成分移送用デバイスが装着される装置と、を備える生体成分移送システムであって、前記生体成分移送用デバイスは、生体液ラインが形成されたシート状のデバイス本体を有し、前記デバイス本体は、軟質素材で形成された第1シートと軟質素材で形成された第2シートとを有し、前記第1シートと前記第2シートとは、厚さ方向に重ねられ且つ互いに接合され、前記生体液ラインは、軟質素材で構成された壁部を有する被荷重測定部と、前記被荷重測定部に連結されたライン本体部と、を備え、前記装置は、前記生体成分移送用デバイスが前記装置に装着されたデバイス装着状態で、前記被荷重測定部の前記壁部にかかる荷重を測定する荷重測定部を有し、前記被荷重測定部は、前記ライン本体部よりも変形し易く、前記装置は、所定の生体成分を分離する分離装置と、生体液から生体成分を分離するための分離処理部と、採取用又は返還用のポンプと、を有し、前記生体液ラインは、前記ポンプとドナーとの間の流路の一部を形成するドナー側ラインと、前記ポンプと前記分離処理部との間の流路の一部を形成する分離側ラインと、を含み、前記ドナー側ラインと前記分離側ラインとは、前記第1シートと前記第2シートとの間に共に形成され、前記分離側ラインには、前記ポンプを駆動して生体液を採取する際に陽圧のみが作用し、前記被荷重測定部は、前記分離側ラインに設けられるとともに前記ライン本体部よりも幅広に形成され、前記ポンプは、前記ドナー側ラインと前記分離側ラインとを互いに連通させるとともに軟質素材で構成された連結チューブに設けられ、前記ドナー側ラインは、少なくとも一部が互いに並列に設けられた第1ライン及び第2ラインを含み、前記第1ラインは、軟質素材で構成された壁部を有するドナー側被荷重測定部を含み、前記分離装置は、前記デバイス装着状態で、前記ドナー側被荷重測定部の前記壁部にかかる荷重を測定するドナー側荷重測定部を有し、前記第2ラインは、内部にフィルタ部材が収容されたフィルタ収容部を有し、前記被荷重測定部は、前記ドナー側被荷重測定部よりも幅広に形成され、前記デバイス本体において、前記ドナー側ラインと前記分離側ラインとは、互いに接続されない独立した流路であり、前記第2ラインの一端部と前記分離側ラインの一端部とは、前記デバイス本体の第1縁部に位置し、前記第2ラインの他端部と前記分離側ラインの他端部とは、前記デバイス本体の前記第1縁部とは反対側の第2縁部に位置し、前記第2ラインの一端部は、前記第2ラインの他端部よりも前記ドナー側に位置し、前記分離側ラインの一端部は、前記分離側ラインの他端部よりも前記分離処理部側に位置し、前記第2ラインの他端部と前記分離側ラインの他端部とは、前記連結チューブを介して互いに接続され、前記第1ラインの一端は、前記第2ラインのうちの前記第2ラインの一端部と前記フィルタ収容部との間の部分に接続され、前記第1ラインの他端は、前記第2ラインのうちの前記第2ラインの他端部と前記フィルタ収容部との間の部分に接続されている、生体成分移送システムである。
【0009】
本発明によれば、被荷重測定部を生体液ラインのうち陽圧のみが作用する部位に設けているため、被荷重測定部が陰圧によって閉塞することがない。また、被荷重測定部がライン本体部よりも変形し易いため、被荷重測定部のクリープ変形(被荷重測定部の反力の経時的な減少)を抑えることができる。従って、回路内圧を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る血液成分採取システムの概略図である。
【
図4】血液成分採取用カセットを載せた状態のカセット取付部の斜視図である。
【
図5】クランプの動作を説明する第1説明図である。
【
図6】クランプの動作を説明する第2説明図である。
【
図7】クランプの動作を説明する第3説明図である。
【
図8】クランプの動作を説明する第4説明図である。
【
図9】クランプの動作を説明する第5説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る生体成分移送システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1において、本発明に係る生体成分移送システムの一形態である血液成分採取システム10は、血液アフェレーシスシステムとして構成されている。すなわち、血液成分採取システム10は、ドナー(供血者)から血液(全血)を連続的に取り出して体外で遠心分離することにより、特定の血液成分(本実施形態では、血漿(乏血小板血漿:PPP))を採取し、残りの血液成分をドナーに戻す。
【0013】
まず、
図1に示す血液成分採取システム10の概略を説明する。この血液成分採取システム10は、血液成分を貯留及び流動するための採血回路セット12(採取回路セット)と、血液から血液成分を分離する分離装置14とを備える。採血回路セット12は、ドナーから取り出された全血を複数の血液成分に遠心分離する血液処理部16(生体液処理部)を有する。分離装置14は、採血回路セット12に遠心力を付与する遠心分離装置である。分離装置14は、血液処理部16に遠心力を付与するためのロータ18aを有する分離処理部18(遠心部)を備える。
【0014】
採血回路セット12は、汚染防止や衛生のため、1回の使用毎に使い捨てされる。採血回路セット12は、採血針20及び初流血採取バッグ21を有する採取・返還部22と、血液処理部16と、複数のバッグ24と、血液成分採取用カセット28(以下、「カセット28」と略称する)とを備える。複数のバッグ24は、抗凝固剤であるACD液を収容したACD液用バッグ24aと、血漿(乏血小板血漿)を貯留するためのPPP用バッグ24bとを含む。
【0015】
採取・返還部22は、チューブコネクタ30を介してACD液用バッグ24a及びカセット28に接続されている。ACD液用バッグ24aは、ACD液移送チューブ23を介してチューブコネクタ30に接続されている。
【0016】
生体成分移送用デバイスであるカセット28は、分離装置14に装着可能に構成されている。つまり、分離装置14は、カセット28が装着される装置である。カセット28は、ドナー側チューブ32を介して採取・返還部22に接続されるとともに、処理部側チューブ34を介して血液処理部16に接続されている。血液処理部16は、分離装置14の分離処理部18(ロータ18a)に装着され、血液が導入、流動及び流出するように容器状に構成されている。血液処理部16には、PPP移送チューブ36を介してPPP用バッグ24bが接続されている。
【0017】
図2において、カセット28は、血液又は血液成分が流通する血液ライン42(生体液ライン)が形成されたカセット本体40(デバイス本体)を備える。
【0018】
カセット本体40は、軟質素材でシート状に形成されるとともに平面視で四角形状に構成されている。カセット本体40を構成する軟質素材は、カセット本体40の全体に亘って同一の素材が用いられている。なお、カセット本体40は、異なる複数の素材で構成されていてもよい。具体的に、カセット本体40は、軟質素材で形成された第1シート40a及び第2シート40bを有する。第1シート40aと第2シート40bとは厚さ方向に重ねられ且つ互いに接合されている。
【0019】
第1シート40a及び第2シート40bを構成する軟質素材としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。塩化ビニルの可塑剤としては、例えば、ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、フタル酸ビス-2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0020】
第1シート40aと第2シート40bとの間に血液ライン42が形成されている。本実施形態において、第1シート40aと第2シート40bとの接合手段は、融着(高周波融着、熱融着等)である。第1シート40aと第2シート40bとは、他の接合手段(接着等)により接合されていてもよい。
【0021】
カセット本体40の外周縁部44には、互いに平行に延在する第1縁部44a及び第2縁部44bと、互いに平行に延在する第3縁部44c及び第4縁部44dとを有する。第1縁部44a及び第2縁部44bの延在方向は、第3縁部44c及び第4縁部44dの延在方向に対して直交する。
【0022】
カセット本体40の外周縁部44には、硬質素材(例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等)で構成された第1ポート部材46、第2ポート部材48、第3ポート部材50及び第4ポート部材52が設けられている。第1ポート部材46及び第4ポート部材52は第1縁部44aに設けられ、第2ポート部材48及び第3ポート部材50は第2縁部44bに設けられている。
【0023】
第1ポート部材46には、ドナー側チューブ32が接続されている。第2ポート部材48には、連結チューブ54の一端部が接続されている。第3ポート部材50には、連結チューブ54の他端部が接続されている。連結チューブ54は、軟質材料で構成されている。連結チューブ54には、後述するポンプ126が設けられる(
図1参照)。第4ポート部材52には、処理部側チューブ34が接続されている。
【0024】
本実施形態では、第1ポート部材46と第2ポート部材48とは、第3縁部44c及び第4縁部44dの延在方向に沿った同一直線上に配置されている。なお、第1ポート部材46と第2ポート部材48とは、上記同一直線上に配置されていなくてもよい。第3ポート部材50と第4ポート部材52とは、第3縁部44c及び第4縁部44dの延在方向に沿った同一直線上に配置されている。第3ポート部材50と第4ポート部材52とは、上記同一直線上に配置されていなくてもよい。
【0025】
血液ライン42は、カセット本体40の第3縁部44c側に位置するドナー側ライン56と、カセット本体40の第4縁部44d側に位置する分離側ライン58とを含む。ドナー側ライン56と分離側ライン58とは、連結チューブ54を介して互いに連通している。ドナー側ライン56は、ポンプ126とドナーとの間の流路の一部を形成する(
図1参照)。ドナー側ライン56の一端部には、第1ポート部材46が接続され、ドナー側ライン56の他端部には第2ポート部材48が接続されている。
【0026】
ドナー側ライン56は、採血時に血液を流通させるための採血ライン60a(第1ライン)と、返血時に血液成分を流通させるための返血ライン60b(第2ライン)とを有する。採血ライン60aの一端部60a1と、返血ライン60bの一端部60b1とは、第1結合部62を介して互いに結合している。採血ライン60aの他端部60a2と、返血ライン60bの他端部60b2とは、第2結合部64を介して互いに結合している。
【0027】
採血ライン60aと返血ライン60bとは、少なくとも部分的に並列して延在している。第1結合部62及び第2結合部64は、それぞれドナー側ライン56の一部を構成している。
【0028】
分離側ライン58の一端部には第4ポート部材52が接続され、分離側ライン58の他端部には第3ポート部材50が接続されている。分離側ライン58は、血液及び血液成分を流通させる流路であって、ポンプ126と分離処理部18と間の流路の一部を形成する(
図1参照)。分離側ライン58は、カセット本体40の第3縁部44c及び第4縁部44dの延在方向に沿って直線状に延在している。
【0029】
カセット本体40では、血液ライン42の両側に、融着箇所であるシール部66が血液ライン42に沿って形成されている。また、カセット本体40の外周縁部44には、シール部68が当該外周縁部44に沿って形成されている。カセット本体40(血液ライン42を形成する凸状部を除く)において、シール部66、68以外の箇所は、第1シート40aと第2シート40bとが互いに融着されていない非シール部である。シール部66、68は、形成時に加圧されているため、非シール部よりも厚みが小さく、非シール部に対して凹んでいる。換言すれば、非シール部は、シール部66、68に対して厚さ方向に突出している。
【0030】
カセット本体40のうち血液ライン42を形成する壁部は、血液ライン42内に陽圧が作用していないときでも、カセット本体40の両面側において、カセット28の厚さ方向に凸状に膨らんでいる。従って、血液ライン42は、自然状態で開いている流路である。外力によって押圧された際には、押圧された箇所の血液ライン42を閉じる方向に弾性変形可能である。
【0031】
カセット本体40は、採血ライン60aを形成する採血ライン形成部材70(第1ライン形成部材)と、返血ライン60bを形成する返血ライン形成部材72(第2ライン形成部材)と、分離側ライン58を形成する分離側ライン形成部材74とを備える。
【0032】
採血ライン形成部材70は、軟質素材で構成された壁部を有する第1被荷重測定部76(ドナー側被荷重測定部)を含む。第1被荷重測定部76は、カセット28が分離装置14に装着されたカセット装着状態(デバイス装着状態)で分離装置14に搭載された後述する第1荷重測定部98(
図3参照)によって押圧される被押圧部である。第1被荷重測定部76は、採血ライン60aの壁部の一部を構成している。従って、第1被荷重測定部76は、カセット本体40のシート面41(ベース面)からカセット本体40の厚さ方向に膨出している。
【0033】
返血ライン形成部材72は、軟質素材で構成されたフィルタ収容部78を有する。フィルタ収容部78内には、血液成分に含まれる所定成分(血液凝集塊)を分離(除去)するためのフィルタ部材80が配置されている。
【0034】
分離側ライン形成部材74は、2本のライン本体部82a、82bと、ライン本体部82a、82bよりも幅広に形成された第2被荷重測定部84とを有する。ライン本体部82aは、第3ポート部材50と第2被荷重測定部84とを互いに連結する。ライン本体部82bは、第2被荷重測定部84と第4ポート部材52とを互いに連結する。
【0035】
第2被荷重測定部84は、軟質素材で構成された壁部を有する。第2被荷重測定部84は、分離側ライン58の壁部の一部を構成している。従って、第2被荷重測定部84は、カセット本体40のシート面41からカセット本体40の厚さ方向に膨出している。
【0036】
第2被荷重測定部84は、血液ライン42のうち陽圧のみが作用する部位に設けられている。つまり、第2被荷重測定部84が設けられる分離側ライン58は、ポンプ126と分離処理部18との間の流路の一部を構成するため、陽圧のみが作用し陰圧が作用しない。第2被荷重測定部84は、平面視で円形状に形成されている。
【0037】
第2被荷重測定部84は、ライン本体部82a、82bよりも変形し易い。本実施形態では、第2被荷重測定部84は、ライン本体部82a、82bよりも幅広に形成されることによりライン本体部82a、82bよりも変形し易い。第2被荷重測定部84の直径Dは、ライン本体部82a、82bの幅Wの150%以上に設定されるのが好ましい。この場合、加圧によって第2被荷重測定部84を平面視で円形状に均一に膨らませることができる。
【0038】
なお、第2被荷重測定部84を構成する壁部の厚さがライン本体部82a、82bを構成する壁部の厚さよりも薄く設定されることにより、第2被荷重測定部84がライン本体部82a、82bよりも変形し易くなっていてもよい。あるいは、第2被荷重測定部84がライン本体部82a、82bよりも柔軟な材料で構成されることにより、第2被荷重測定部84がライン本体部82a、82bよりも変形し易くなっていてもよい。
【0039】
第2被荷重測定部84の直径Dは、大きいほど回路内圧の測定精度が向上する。第2被荷重測定部84の壁部が塩化ビニルで構成されるとともに第2被荷重測定部84の壁部の厚さが0.6mmに設定された場合、第2被荷重測定部84の直径Dは、12mm以上に設定されるのが好ましい。ただし、第2被荷重測定部84の直径Dは、任意に設定可能である。第2被荷重測定部84の最適な直径Dは、第2被荷重測定部84の壁部の材質及び厚さによって変化し、第2被荷重測定部84の壁部が柔らかいほど小さくなり、硬いほど大きくする必要がある。
【0040】
カセット28には、分離装置14に備えられた流路開閉機構である複数のクランプ102(102a~102c)(
図3参照)が作用する複数のクランプ作用部86(86a~86c)が設けられている。カセット28を分離装置14に装着すると、クランプ作用部86は、対応するクランプ102に当接又は対向する。具体的に、クランプ作用部86aは、カセット28における採血ライン60aの第1ポート部材46側を形成する箇所に設けられている。クランプ作用部86b、86cは、返血ライン60bのうちフィルタ収容部78の両側を形成する箇所にそれぞれ設けられている。
【0041】
なお、カセット28に形成される流路構成や、設けられるバッグ24の個数及び配置は、上述及び図示した構成に限られず、採取する血液成分の種類や使用方法等に応じて改変がなされてもよい。
【0042】
図1において、分離装置14は、血液成分採取において繰り返し使用される機器であり、例えば、医療施設や採血用車両等に備えられる。分離装置14は、ロータ18aを有する分離処理部18と、採血回路セット12のカセット28が装着可能に構成されたカセット取付部90とを備える。
【0043】
図3に示すように、カセット取付部90は、カセット装着溝92が形成された取付ベース94、開閉可能な蓋体96、第1荷重測定部98(ドナー側荷重測定部)、第2荷重測定部100(分離側荷重測定部)及び複数のクランプ102(102a~102c)を備える。
【0044】
取付ベース94の外周部には、カセット28の第1ポート部材46を配置可能な第1ポート配置溝104と、カセット28の第2ポート部材48を配置可能な第2ポート配置溝106と、カセット28の第3ポート部材50を配設可能な第3ポート配置溝108と、カセット28の第4ポート部材52を配置可能な第4ポート配置溝110とが設けられている。第1ポート配置溝104、第2ポート配置溝106、第3ポート配置溝108及び第4ポート配置溝110は、カセット装着溝92に連通している。
【0045】
蓋体96は、閉じたときに取付ベース94を覆うように構成され、取付ベース94にヒンジ部112を介して回動可能に連結されている。カセット28が取付ベース94のカセット装着溝92に保持された状態で蓋体96を閉じると、カセット28は、取付ベース94と蓋体96との間に挟まれる。取付ベース94及び蓋体96には、それぞれカセット28のフィルタ収容部78を受容可能な凹部114a、114bが設けられている。
【0046】
また、取付ベース94及び蓋体96には、それぞれカセット28の第2被荷重測定部84を受容可能な凹部116a、116bが設けられている。これにより、取付ベース94と蓋体96との間でカセット28を適切に保持しつつ、フィルタ収容部78及び第2被荷重測定部84が潰れることが防止される。また、凹部114a、114b、116a、116bにより、フィルタ収容部78及び第2被荷重測定部84が過剰に膨らむことが防止される。
【0047】
第1荷重測定部98は、カセット装着状態で、第1被荷重測定部76(
図2参照)の壁部にかかる荷重を測定するものである。第1荷重測定部98は、カセット28の第1被荷重測定部76の壁部を押圧可能に構成されている。第1荷重測定部98は、取付ベース94に設けられた第1貫通孔118aに挿入されるとともに、カセット装着溝92に露出している。第1荷重測定部98の上面は、カセット装着溝92の底面92aから突出している。
【0048】
第2荷重測定部100は、カセット装着状態で、第2被荷重測定部84(
図2参照)の壁部にかかる荷重を測定するものである。第2荷重測定部100は、カセット28の第2被荷重測定部84の壁部を押圧可能に構成されている。第2荷重測定部100は、取付ベース94に設けられた第2貫通孔118bに挿入されるとともに、カセット装着溝92に露出している。第2荷重測定部100の上面は、カセット装着溝92の底面92aから突出している。第1荷重測定部98及び第2荷重測定部100は、例えば、ロードセルにより構成される。
【0049】
複数のクランプ102は、カセット28のクランプ作用部86(
図2参照)を押圧可能に構成されている。複数のクランプ102(102a~102c)は、カセット装着溝92に保持された状態のカセット28の厚さ方向に進退動作可能であり、カセット28に設けられた複数のクランプ作用部86(86a~86c)の配置に対応するように配置されている。複数のクランプ102は、カセット装着溝92の底面92aに開口する複数の孔部120を介して、複数のクランプ作用部86をそれぞれ押圧可能である。蓋体96において、閉じたときに複数の孔部120(クランプ102)に対応する位置には、複数の突起122が設けられている。
【0050】
カセット取付部90にカセット28が装着された状態でクランプ作用部86がクランプ102によって押圧されていないときは、クランプ作用部86内の流路は開通している。クランプ102が孔部120から突出してクランプ作用部86を押圧すると、クランプ作用部86内の流路が閉塞される。そして、クランプ102が後退すると、カセット本体40(クランプ作用部86)の弾性復元力により、クランプ作用部86は元の形状に戻り、クランプ作用部86内の流路が開通する。
【0051】
図1に示すように、分離装置14は、ACD液移送チューブ23に作用するACD液移送ポンプ124と、カセット28に接続されたに連結チューブ54に作用する採取用又は返還用のポンプ126とを有する。ACD液移送ポンプ124は、ACD液用バッグ24aからACD液移送チューブ23を介してカセット28及び血液処理部16へとACD液を移送するポンプ126である。ポンプ126は、血液又は血液成分を移送する。換言すれば、ポンプ126は、ドナー側から血液処理部16へと血液を移送するとともに、血液処理部16からドナー側へと血液成分を移送する。ACD液移送ポンプ124及びポンプ126は、例えば、ローラポンプ、フィンガーポンプにより構成される。
【0052】
分離装置14は、さらに、制御部128を有する。制御部128は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM、RAM、等を有しており、CPUがROMに記憶されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)として機能する。なお、各種機能実現部は、ハードウエアとしての機能実現器により構成することもできる。
【0053】
制御部128は、上述した複数のクランプ102の動作を制御する。制御部128は、反力取得部130及び内圧算出部132を備える。
【0054】
反力取得部130は、カセット装着状態で、血液ライン42に血液又は血液成分を流通させる血液成分採取が行われる前に、第1被荷重測定部76及び第2被荷重測定部84の反力を取得する。
【0055】
内圧算出部132は、血液成分採取中に、反力取得部130で算出された第1被荷重測定部76の反力と第1荷重測定部98によって検出された荷重とに基づいて第1被荷重測定部76の内圧(回路内圧)を算出する。内圧算出部132は、血液成分採取中に、反力取得部130で算出された第2被荷重測定部84の反力と第2荷重測定部100によって検出された荷重とに基づいて第2被荷重測定部84の内圧(回路内圧)を算出する。
【0056】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る血液成分採取システム10の作用を説明する。
【0057】
図1に示す血液成分採取システム10を用いてドナーから血液成分採取を行うための準備(セットアップ)として、採血回路セット12が分離装置14に装着される。具体的には、カセット28がカセット取付部90に取り付けられるとともに、血液処理部16がロータ18aに装着される。一方、採血針20は、ドナーに穿刺される。
【0058】
カセット28がカセット取付部90に取り付けられる際、
図4に示すように、カセット28は、まず、カセット装着溝92に装着される。そして、蓋体96が閉じられることで、取付ベース94と蓋体96との間にカセット28が保持された状態となる。この結果、カセット28の第1被荷重測定部76及び第2被荷重測定部84が、第1荷重測定部98及び第2荷重測定部100に押圧されて若干だけ弾性変形した状態となる。また、カセット28の複数のクランプ作用部86が、複数のクランプ102に対向配置された状態となる。
【0059】
図1に示した分離装置14に対して、ユーザの操作により動作開始が指示されると、分離装置14では、ACD液移送ポンプ124の作用下に、ACD液によるプライミングが実行される。具体的に、プライミングでは、カセット28外に配置された図示しないラインセンサで第1ポート部材46の直近までACD液が来るのを検知した段階で、ACD液によるプライミングを終了する。
【0060】
次に、分離装置14は、ロータ18aを回転させることによりロータ18aに装着された血液処理部16に遠心力を付与するとともに、ポンプ126を作動させることによりドナーから血液(全血)を取り出して血液処理部16内に血液を導入する(採取動作)。血液処理部16内に導入された血液は、ロータ18aの回転に伴う遠心力によって、赤血球(濃厚赤血球)、バフィーコート及び血漿(乏血小板血漿)に分離される。
【0061】
血液処理部16内で分離された血漿は、PPP移送チューブ36を介してPPP用バッグ24bへと導入される。残りの血液成分(赤血球及びバフィーコート)は、遠心分離処理後にドナーへと戻される(返還動作)。このとき、残りの血液成分に含まれる血液凝集塊等の異物は、カセット28の返血ライン60bに設けられたフィルタ部材80によりトラップされるため、異物がドナーに戻ることで生じるリスクを低減することができる。上述した採取動作と返還動作のサイクルは、複数回行われる。
【0062】
血液成分採取システム10の稼働時において、分離装置14のクランプ102(
図3)は以下のように動作する。
【0063】
図5に示すように、ACD液によるプライミングを行う際には、クランプ102a、102b、102cが開けられる。そして、この状態で、ドナー側ライン56の一端直近のカセット28外の図示しないラインセンサでドナー側ライン56の一端直近までACD液が来るのを検知した段階で、ACD液によるプライミングを終了する。
【0064】
次に、初回の採血を行う際には、
図6に示すように、クランプ102a、102b、102cが開けられた状態が維持される。そして、この状態で、ドナーからの血液がカセット28の血液ライン42に導入され、血液によってカセット28の回路内の空気がすべて血液処理部16へと押し出される。
【0065】
初回の採血の途中で、
図7に示すように、クランプ102b、102cが閉じられることで、返血ライン60bが閉鎖される。これにより、フィルタ収容部78に陰圧が作用してフィルタ収容部78が閉塞することが防止される。
【0066】
次に、ドナーへの血液成分の返血を行う際には、
図8に示すように、クランプ102aが閉じられ、クランプ102b、102cが開けられることで、採血ライン60aが閉鎖される一方、返血ライン60bが開放される。従って、血液成分がフィルタ部材80を通過する際に、血液成分に含まれる血液凝集塊がフィルタ部材80にトラップされる。採血ライン60aは閉鎖されているため、異物が採血ライン60aを介してドナーに戻されることはない。
【0067】
次に、2回目以降の採血を行う際には、
図9のように、クランプ102b、102cが閉じられ、クランプ102aが開けられることで、返血ライン60bが閉鎖される一方、採血ライン60aが開放される。従って、血液は、採血ライン60a及び返血ライン60bのうち採血ライン60aのみを介して血液処理部16側(分離処理部18側)へと移送される。その後、返血(
図8)が再び行われる。このような採血と返血のサイクルが複数回行われる。
【0068】
そして、最終の返血を行う際には、
図8に示すように、クランプ102aが閉じられ、クランプ102b、102cが開けられる。
【0069】
次に、カセット28の回路内圧の取得について説明する。
【0070】
まず、カセット装着状態で血液を採取する前に、反力取得部130は、第1荷重測定部98の検出値に基づいて第1被荷重測定部76の反力を取得するとともに第2荷重測定部100の検出値に基づいて第2被荷重測定部84の反力を取得する。
【0071】
続いて、ポンプ126を駆動して血液を採取する際に、内圧算出部132は、第1被荷重測定部76の内圧を算出する。具体的に、第1荷重測定部98により、血液が流れる採血ライン60aの内圧(回路内圧)と、第1被荷重測定部76の反力(第1荷重測定部98の変形に伴う復元力)とを合計した荷重が検出される。すなわち、採血ライン60a内が陽圧である場合、
図10Aに示すように、第1荷重測定部98により検出される荷重(第1被荷重測定部76からの押圧力)は、回路内圧と反力を単純加算することにより得られる。一方、採血ライン60a内が陰圧である場合、
図10Bに示すように、第1荷重測定部98により検出される荷重は、反力から回路内圧の絶対値を引くことにより得られる。
【0072】
また、ポンプ126を駆動して血液を採取する際に、内圧算出部132は、第2被荷重測定部84の内圧を算出する。具体的には、第2荷重測定部100により、血液が流れる分離側ライン58の内圧(回路内圧)と、第2被荷重測定部84の反力(第2被荷重測定部84の変形に伴う復元力)とを合計した荷重が検出される。すなわち、分離側ライン58内が陽圧であるため、
図10Aに示すように、第2荷重測定部100により検出される荷重(第2被荷重測定部84からの押圧力)は、回路内圧と反力を単純加算することにより得られる。
【0073】
この場合、本実施形態に係る血液成分採取システム10は、以下の効果を奏する。
【0074】
生体成分移送用デバイス(カセット28)は、生体液ライン(血液ライン42)が形成されたシート状のデバイス本体(カセット本体40)を有しする。生体液ライン(血液ライン42)は、軟質素材で構成された壁部を有する被荷重測定部(第2被荷重測定部84)と、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)に連結されたライン本体部82a、82bとを備える。装置(分離装置14)は、生体成分移送用デバイス(カセット28)が装置(分離装置14)に装着されたデバイス装着状態で、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)の壁部にかかる荷重を測定する荷重測定部(第2荷重測定部100)を有する。被荷重測定部(第2被荷重測定部84)は、ライン本体部82a、82bよりも変形し易く且つ生体液ライン(血液ライン42)のうち陽圧のみが作用する部位に設けられている。
【0075】
このような構成によれば、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)を生体液ライン(血液ライン42)のうち陽圧のみが作用する部位に設けているため、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)が陰圧によって閉塞することがない。また、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)がライン本体部82a、82bよりも変形し易いため、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)のクリープ変形(被荷重測定部(第2被荷重測定部84)の反力の経時的な減少)を抑えることができる。従って、回路内圧を精度良く測定することができる。
【0076】
被荷重測定部(第2被荷重測定部84)は、ライン本体部82a、82bよりも幅広に形成されている。
【0077】
このような構成によれば、簡易な構成により、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)をライン本体部82a、82bよりも変形し易くすることができる。
【0078】
装置(分離装置14)は、所定の生体成分を分離する分離装置14であり、生体液から生体成分を分離するための分離処理部18と、採取用又は返還用のポンプ126と、を有する。生体液ライン(血液ライン42)は、ポンプ126と分離処理部18との間の流路の一部を形成する分離側ライン58を含み、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)は、分離側ライン58に設けられている。
【0079】
このような構成によれば、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)に陽圧のみを作用させることができる。
【0080】
生体液ライン(血液ライン42)は、ポンプ126とドナーとの間の流路の一部を形成するドナー側ライン56を含む。ポンプ126は、ドナー側ライン56と分離側ライン58とを互いに連通させるとともに軟質素材で構成された連結チューブ54に設けられている。
【0081】
このような構成によれば、生体成分移送システム(血液成分採取システム10)の構成を簡素化することができる。
【0082】
ドナー側ライン56は、少なくとも一部が互いに並列に設けられた第1ライン(採血ライン60a)及び第2ライン(返血ライン60b)を含み、第1ライン(採血ライン60a)は、軟質素材で構成された壁部を有するドナー側被荷重測定部(第1被荷重測定部76)を含む。分離装置14は、デバイス装着状態で、ドナー側被荷重測定部(第1被荷重測定部76)の壁部にかかる荷重を測定するドナー側荷重測定部(第1荷重測定部98)を有する。第2ライン(返血ライン60b)は、内部にフィルタ部材80が収容されたフィルタ収容部78を有する。
【0083】
このような構成によれば、ドナー側荷重測定部(第1荷重測定部98)によってドナー側ライン56の内圧を測定することができる。また、生体成分(血液成分)の凝集塊をフィルタ部材80によって除去することができる。
【0084】
被荷重測定部(第2被荷重測定部84)は、平面視で円形状に形成され、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)の直径Dは、ライン本体部82a、82bの幅Wの150%以上である。
【0085】
このような構成によれば、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)の加圧による膨らみを均一化することができるため、被荷重測定部(第2被荷重測定部84)を平面視で円形状にすることができる。
【0086】
本発明は、上述した構成に限定されない。カセット本体40は、ドナー側ライン56が形成される部分と分離側ライン58が形成される部分とに分離されて(切り離されて)いてもよい。
【0087】
第1荷重測定部98及び第2荷重測定部100は、第1被荷重測定部76及び第2被荷重測定部84を押圧することなく(非接触で)荷重を測定するように構成されていてもよい。
【0088】
本発明の適用範囲は、血液成分採取システム10に限らず、流路を介して液体を流動させる種々のシステム、例えば、全血献血システムや患者やドナーから採取され、あるいは、培養された各種細胞の培養装置、あるいは、薬液投与システム等に適用することができる。従って、生体成分移送用デバイス(生体成分移送システム)に流す液体は、血液に限らない。生体成分移送システムは、生体成分が流通する(回路内を生体成分が循環する)形態も含む。
【0089】
本発明に係る生体成分移送システムは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。