(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】プラスチックライナーを備えたハイブリッド加圧容器
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20240328BHJP
F17C 5/06 20060101ALI20240328BHJP
F17C 13/12 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
F17C5/06
F17C13/12 301Z
(21)【出願番号】P 2021522455
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 US2019057655
(87)【国際公開番号】W WO2020086712
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507293446
【氏名又は名称】アムトロール ライセンシング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァ・ヴィエイラ ペドロ・アレクサンドル・ケイロス・オリヴェイラ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェイラ カルロス・アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】レゴ・デ・オリヴェイラ ティアゴ・テイシェイラ
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513247(JP,A)
【文献】特開2010-071444(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102825875(CN,A)
【文献】米国特許第06386384(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第104033601(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
F17C 5/06
F17C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、
前記タンクを取り囲み、
前記タンクと係合するように構成された保護ジャケットと
、
を備える圧力容器であって、
前記タンクは、
(
i)熱可塑性材料からなるタンクライナーと、
(
ii)バルブ取付アセンブリと、
(
iii)前記タンクライナーに配置されて、前記タンクの外面の少なくとも一部を画定する外側補強層と、
を有し、
前記保護ジャケットは、
(
i)頂部開口を画定する上部支持リムと、
(
ii)下部支持リム
であって、当該下部支持リムを貫通する第2の気流開口部を有する下部支持リムと、
(
iii)前記上部支持リムと前記下部支持リムとを連結する略円筒状壁と、
を有し、
前記バルブ取付アセンブリは、前記頂部開口を通って延在し、
前記頂部開口は、前記上部支持リムと前記バルブ取付アセンブリとの間
でかつ前記バルブ取付アセンブリの周囲に亘って第1の気流開口部を画定し
、
前記
略円筒状壁は、前記タンクの
前記外面から半径方向外側に配置された内面を画定し、前記
略円筒状壁の
前記内面および前記タンクの
前記外面は、協働して、前記第1の気流開口部と前記第2の気流開口部とを流体連通する流路を画定し、
前記第1の気流開口部および前記第2の気流開口部と前記流路とは、前記タンクと前記圧力容器が配置された環境との間の熱交換を
促進させるために、対流が通過するように構成されている、圧力容器。
【請求項2】
前記タンクライナーは、第1のエンドキャップと第2のエンドキャップ、及び不浸透性を高めるためのバリアフィルムを有し、
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップは、円周方向に溶接された、射出成形されたポリマードームである、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
前記タンクライナーは、前記第1のエンドキャップまたは第2のエンドキャップの一方に共射出されたボスをさらに有する、請求項2に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記バリアフィルムは、複数の層を含む、請求項2に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記バリアフィルムが、ポリエチレンを含む少なくとも1つの層と、ポリアミドを含む少なくとも1つの層と、エチレンビニルアルコール(EVOH)を含む層と
、を含む、請求項
4に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記EVOHを含む層は、8マイクロメートル以上の厚さを有する、請求項
5に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記保護ジャケットは、少なくとも2つのセクションに分離可能である、請求項1~
6のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項8】
前記保護ジャケットは、少なくとも1つのハンドルを含み、
前記下部支持リムは、複数の圧力容器を積み重ねたときに、別の圧力容器の前記少なくとも1つのハンドルとの非永久的な嵌合を形成するように構成されるベースを有する、請求項1~
7のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項9】
前記外側補強層は、ガラス繊維補強材を有する熱可塑性マトリクスを含む、請求項1~
8のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項10】
前記熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含む、請求項9に記載の圧力容器。
【請求項11】
前記タンクライナーは、
第1のリムおよび第2のリムを画定する略円筒状の筒と、
前記筒の前記第1のリムおよび前記第2のリムに固定される、対
向するドーム状の第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと
、
を含む、請求項1~
10のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項12】
前記タンクライナーは、互いに直接固定された対向するドーム状の第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップを含む、請求項1~
10のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項13】
前記タンクライナーは、その中に前記バルブ取付アセンブリを受け入れるための共射出成形ボスを含む、請求項1~1
2のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項14】
前記流路は、実質的に環状である、請求項1~13のいずれかに記載の圧力容器。
【請求項15】
前記第1の気流開口部は、前記バルブ取付アセンブリを
完全に取り囲む、請求項1~1
4のいずれかに記載の圧力容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/749,909号「プラスチックライナーを備えたハイブリッド加圧容器」に関連し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に圧力容器に関し、より詳細には、タンクライナーおよび保護ジャケットが配置された外側複合層から形成されたタイプIVタンクを有する圧力容器に関する。
【背景技術】
【0003】
圧力容器は、あらゆるサイズ・形状のものがあり、さまざまな材料で作られている。軽量圧力容器のニーズは以前から存在しており、依然として存在している。これまで、流体を高圧下で長期間にわたって貯蔵し、構造的健全性を維持し、加圧および減圧の繰り返しに耐え、かつ、実質的に不浸透性で、腐食に対して耐性があり、製造が容易な軽量の圧力容器を作る試みは、多くの失敗があった。
【0004】
圧縮天然ガスや水素のような代替燃料の車両への使用が増加すると共に、より大きな燃料範囲へのニーズにより、より大きな容量を持つ、頑丈でより軽くて安全なタンクの必要性が高まっている。圧力容器の容量および強度の増加は、構造の支持に使用される材料の量を増加させることによって達成することができる。しかしながら、これは、圧力容器のサイズおよび/または重量の大幅な増加をもたらすため、増加した材料の費用やより重い圧力容器の輸送に係る費用によってタンクの費用を増加させてしまう。
【0005】
環境への関心も非常に重要な点である。製品の製造、使用、廃棄にともなう負荷が少ないことを保証するためには、製品の持続可能なソリューションが重要である。
【0006】
非浸透性、耐腐食性、リサイクル可能であり、増大した容量および圧力要求に対応できると同時に、競争力のある製造価格を持つ軽量圧力容器が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、プラスチックライナーおよびリサイクル可能な他の構成要素を含む圧力容器を提供する。特に、本発明は、熱可塑性ライナーと、タンクライナー上に配置された外側補強層とを含む圧力容器を提供し、外側補強層は、タンクの外側表面の少なくとも一部を規定する。タンクと係合するように構成および寸法決めされた保護ジャケットが、その上に配置される。保護ジャケットは、貫通する第1の開口部を有する上部支持リムと、貫通する第2の開口部を有する下部支持リムと、上部支持リムと下部支持リムとを連結する略円筒状壁(「壁」とも呼ばれる)とを含む。この円筒状壁は、タンクの表面から半径方向外側に配置された内面を画定し、壁の内面およびタンクの外面は、協働して、第1の開口部と第2の開口部とを流体連通する流路を画定する。開口部および流路は、そこを対流が通過するように構成され、タンクと圧力容器が置かれた環境との間の熱伝達を容易にする。保護ジャケットは、少なくとも2つのセクションに分離可能であることが好ましい。当然のことながら、保護ジャケットは、本発明の範囲から逸脱することなく、1つ以上のセクションに構成することができる。
【0008】
本発明のさらなる実施形態において、タンクライナーは、外側補強層よりも弾性係数が低く、かつ弾性ひずみ限界が低い材料を含む。必要に応じて、外側補強層は、熱可塑性材料、好ましくは、事前に製造または前処理されたテープを使用する技術、あるいは混合ロービング技術により得られるガラス繊維を含むポリプロピレンから製造することができる。
【0009】
本発明の別の実施形態において、上部支持リムは、少なくとも1つのハンドルを含み、下部支持リムは、複数の圧力容器を積み重ねたときに、別の圧力容器の少なくとも1つのハンドルとの非永久的な嵌合を形成するように構成されたベースを含む。
【0010】
本発明は、また、熱可塑性射出成形技術を介して製造されるプラスチックライナーを備えた圧力容器の製造方法を提供する。この方法は、タンクライナーを射出成形するステップと、タンクライナーの周囲に追加の層を形成するステップとを含む。一実施形態では、タンクライナーは、熱可塑性材料を用いてガラステープで巻くことができる。別の実施形態では、タンクライナーは、外側表面(例えば、追加層とも呼ばれる)を有するタンクを形成するために、熱を加えてフィラメントを熱可塑性材料と共にタンクライナー上に合体させることによって巻くことができる。タンクライナーは、タンクライナー上の追加層の完成後に「タンク」と呼ばれ、追加層は、フィラメント、テープ、ラップ、繊維材料、複合材料等のラッピング、混合、または塗布により成り得る。さらに、ラッピングは、材料が、樹脂、繊維またはラップのための材料の種類、材料の組成であり得るように、1つまたは他の材料を含むことができる。
【0011】
本発明によれば、本方法は、さらに、タンク用の保護ジャケットを製造するステップまたはタンク上に保護ジャケットを組み立てるステップのうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、保護ジャケットは、貫通する第1の開口部を有する上部支持リムと、貫通する第2の開口部を有する下部支持リムと、保護ジャケットとタンクの表面との間の空気のための流路を維持しつつ、タンクを嵌合させ、かつ取り囲むように構成された上部支持リムを下部支持リムに接続する略円筒状壁とを含むことができる。この円筒状壁は、タンクの表面から半径方向外側に配置された内面を画定し、壁の内面およびタンクの外面は、協働して、第1の開口部と第2の開口部とを流体連通する流路を画定する。開口部および流路は、タンクと圧力容器が置かれた環境との間の熱伝達を容易にするように、対流が通過するように構成されている。
【0012】
一実施形態において、圧力容器は、熱可塑性材料から製造されたタンクライナーと、バルブ取付アセンブリと、タンクライナー上に配置された外側補強層とを含むタンクを含み、外側補強層は、タンクの外側表面の少なくとも一部を画定する。圧力容器は、タンクを取り囲み、係合するように構成された保護ジャケットをさらに含む。当該保護ジャケットは、頂部開口を画定する上部支持リムと、貫通する第2の気流開口部を有する下部支持リムと、上部支持リムを下部支持リムに接続する略円筒状壁とを含む。バルブ取付アセンブリは、頂部開口を通って延在し、上部支持リムとバルブ取付アセンブリとの間の空間は、第1の気流開口部を画定する。前記壁は、タンクの外面から半径方向外側に配置された内面を画定し、壁の内面およびタンクの外面は、協働して、第1の気流開口部と第2の気流開口部とを流体連通する流路を画定する。第1、第2の気流開口部および流路は、タンクと圧力容器が配置された環境との間の熱交換を容易にするために、対流が通過するように構成されている。
【0013】
一実施形態において、タンクライナーは、第1のエンドキャップと第2のエンドキャップとを含み、第1および第2のエンドキャップは、円周方向に溶接された、射出成形されたポリマードームである。タンクライナーは、不浸透性を高めるためにバリアフィルムを有することができる。
【0014】
一実施形態において、タンクライナーは、第1のエンドキャップまたは第2のエンドキャップの一方に共射出されたボスをさらに含む。
【0015】
一実施形態において、バリアフィルムは、複数の層を含む。
【0016】
一実施形態において、バリアフィルムは、ポリエチレンを含む少なくとも1つの層、ポリアミドを含む少なくとも1つの層、およびエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む層を含む。
【0017】
一実施形態において、EVOHを含む層は、8マイクロメートル以上の厚さを有する。
【0018】
一実施形態において、保護ジャケットは、少なくとも2つのセクションに分離可能である。
【0019】
一実施形態において、保護ジャケットは、少なくとも1つのハンドルを含み、下部支持リムは、複数の圧力容器を積み重ねたときに、別の圧力容器の少なくとも1つのハンドルとの非永久的な嵌合を形成するように構成されたベースを含む。
【0020】
一実施形態において、外側補強層は、ガラス繊維補強材を有する熱可塑性マトリクスを含む。
【0021】
一実施形態において、熱可塑性材料は、ポリプロピレンを含む。
【0022】
一実施形態において、タンクライナーは、第1および第2のリムを画定する略円筒状の筒と、当該筒の第1および第2のリムに固定される対向するドーム状の第1および第2のエンドキャップと、を含む。
【0023】
一実施形態において、タンクライナーは、互いに直接固定された対向するドーム状の第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップを含む。
【0024】
一実施形態において、タンクライナーは、その中にバルブ取付アセンブリを受け入れるための共射出成形されたボスを含む。
【0025】
一実施形態において、流路は実質的に環状である。
【0026】
一実施形態において、第1の気流開口部は、バルブ取付アセンブリを取り囲む。
一実施形態において、圧力容器の製造方法は、共射出成形されたボスを少なくとも1つ有するタンクライナーを製造するステップと、タンクライナーを製造しつつ、射出成形処理においてインモールドバリアフィルムを使用するステップと、外面を有するタンクを形成するために、熱および圧力のうちの少なくとも1つが加えられた中で、タンクライナー上に熱可塑性またはガラスの少なくとも1つからなる複合材料で構成された補強層をタンクライナー上に生成するステップと、補強層を有するタンクライナーを、下部支持リムと取り外し可能に結合された上部支持リムを有する保護ジャケットで包囲するステップと、補強層および保護ジャケットによって保護されたタンクライナーの体積内にガス物質を格納するステップと、を含む。ここで、タンクライナーは第1のエンドキャップと第2のエンドキャップとを含み、ボスは第1のエンドキャップまたは第2のエンドキャップの上にある。
【0027】
本方法の一実施形態において、保護ジャケットは、頂部開口を画定する上部支持リムと、貫通する第2の気流開口部を有する下部支持リムと、上部支持リムを下部支持リムに接続する略円筒状壁とを含む。ここで、バルブ取付アセンブリは、頂部開口を通って延在し、上部支持リムとバルブ取付アセンブリとの間の空間は、第1の気流開口部を画定する。前記壁は、タンクの表面から半径方向外側に配置された内面を画定し、壁の内面およびタンクの外面は、共同して、第1の気流開口部と第2の気流開口部とを流体連通する略環状の流路を画定する。第1、第2の開口部および流路は、そこを対流が通過するように構成され、タンクと圧力容器が置かれた環境との間の熱伝達を容易にする。
【0028】
本方法の一実施形態において、バリアフィルムは、ポリエチレンを含む少なくとも1つの層、ポリアミドを含む少なくとも1つの層、およびエチレンビニルアルコール(EVOH)を含む層を含む。
【0029】
本方法の一実施形態において、EVOHを含む層は、8マイクロメートル以上の厚さを有する。
【0030】
一実施形態において、圧力容器は、共射出成形されたボスを有する熱可塑性材料から構築されたタンクライナーと、ボスと結合されたバルブ取付アセンブリと、タンクライナー上に配置された補強層と、頂部領域と、頂部領域の反対に配置された底部領域と、頂部領域と底部領域との間に配置された中部領域とを含むタンクを含む。圧力容器は、タンクを囲む保護ジャケットをさらに含む。保護ジャケットは、頂部開口を画定する上部支持リムを含み、バルブ取付アセンブリは、頂部開口を通って延在し、よって上部支持リムとバルブ取付アセンブリとの間の空間が第1の気流開口部を画定する。また、保護ジャケットは、第1の気流開口部と流体連通する第2の気流開口部を含み、中間領域から半径方向に離間されている。また、保護ジャケットは、タンクの中部領域と保護ジャケットとの間に下向きの対流を導くための手段をさらに含む。流れを導くための当該手段は、少なくとも1つの上部通気孔および少なくとも1つの下部通気孔を介して、圧力容器の外部の周囲環境と流体連通している。
【0031】
本発明のこれらおよび他の目的は、図面、詳細な説明および特許請求の範囲に照らして見ると明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、特定の部品および部品の配置において物理的形態をとることができ、その好ましい実施形態は、明細書に詳細に記載され、本明細書の一部を構成する添付図面に図示され、以下に記載される。
【0033】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に従って構成された圧力容器の上側斜視図であり、保護ジャケットの上部支持リムの開口部、ならびにバルブ取付アセンブリ、および上部支持リム上のハンドルを示す。
【
図2】
図1に示す圧力容器の下側斜視図であり、保護ジャケットの下部支持リムと、貫通する開口部を示す。
【
図3】
図1に示す圧力容器の上面図であり、保護ジャケットを通る空気の流れを容易にする上部支持リムの開口部を示すと共に、バルブ取付アセンブリへのアクセスを可能にするように構成された上部支持リム上のハンドルを示す。
【
図4】
図1に示す圧力容器の底面図であり、保護ジャケットへの流入および流出のための下部支持リムの開口部を示す。
【
図6】
図5に示す圧力容器のタンクの部分断面図であり、タンクの材料層を示す。
【
図8】
図7の領域Aに示す圧力容器の保護ジャケットの上部支持リムの部分断面図であり、ここでプラスチックジャケットはボスの近くにある。
【
図9】
図1に示す組立式圧力容器の保護ジャケットとタンクの部分断面図であり、タンクと保護ジャケットとの間の空気の流れのための流路を示す。
【
図10】
図1に示す圧力容器の部分切断斜視図であり、空気の流れが保護ジャケットの下部支持リムとタンクの隙間をどのように通過できるかを示す。
【
図11】
図1に示す圧力容器2つをネスト構成(nested configuration)で示す側面図である。
【
図12】本発明に係る圧力容器の製造方法論を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、圧力容器として使用するための射出成形ポリマーライナーに関する方法およびシステムに関する。本発明は、充填または分注するための1つ以上のバルブを受け入れる1つ以上の開口部を有し、容量を保持するように製造された射出ポリマーライナーを含む。例えば、ポリマーライナーは円周方向に溶接することができ、これは、共射出成形されたボス、インモールドバリア構造、および熱可塑性複合材料で巻かれたフィラメントを含む。従来の製品には再生可能なプラスチックでないライナーが含まれることがあったが、本発明にあっては、製品にはリサイクル可能な材料が含まれている。
【0035】
本明細書で使用される「構成要素」という用語は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはその組み合わせとして定義することができる。ハードウェアの一部は、プロセッサおよびメモリの一部を少なくとも含むことができ、メモリには実行されるべき指示が含まれる。本明細書で使用される「容器」または「タンク」という用語は、プロパン、圧縮天然ガス、ガソリン、水素、液体窒素、代替燃料、再生可能燃料源、再生不能燃料源、液体燃料源、またはガス燃料源などの液体、ガス、固体の少なくとも1つを収容することができる、あらゆる適当な材料からなるシリンダ、ハウジング、キャニスターなどとして定義することができる。本明細書で使用される「リサイクル可能」という用語は、再加熱または融解されるアイテムまたは材料を破壊することなく再利用または再加熱されるように融解または再加熱されることとして定義することができる。特に、「リサイクル可能」とは、硬化プロセス中に化学結合が起こらないような完全に可逆的であり、材料の物理的特性に悪影響を及ぼすことなく材料を再成形およびリサイクルすることができるプラスチックを指す。反対に、熱硬化性材料のようなリサイクル不可能な材料は、硬化プロセス中に互いに架橋するポリマーを含み、架橋プロセスが熱を加えると材料が変化するリスクを排除する不可逆的な化学結合を形成する。
【0036】
本明細書で説明する実施形態は、上述したシステムおよび方法に関連するが、これらの実施形態は例示的なものであって、本明細書に記載した説明のみにこれらの実施形態の適用可能性を限定するものではない。本明細書の実施形態および説明は、当業者であれば、これらのシステムおよび方法論のいずれにも容易に組み込むことができる。
【0037】
図面において、同一の参照符号は同一または対応する部分を示している。しかしながら、異なる図において類似の要素を含めることは、所与の実施形態が必ずしもそのような要素を含むこと、または発明の全ての実施形態がそのような要素を含むことを意味するわけではない。実施例および図面は単に例示的なものであり、特許請求の範囲および精神によって規定される発明を限定することを意味するわけではない。
【0038】
【0039】
本明細書に係る圧力容器、および本明細書に係る方法の製品は、加圧された流体または材料を貯蔵するために使用されてもよい。本発明は、圧力容器の積み重ねおよび持ち運びを容易にしつつ、加圧された流体を貯留および分配するのに特に適している。本発明に従って構築された圧力容器は、材料の貯蔵、プロパン、冷媒ガス、および低圧または高圧の液体またはガスの貯蔵を含むが、これらに限定されない用途に適している。
【0040】
本発明によれば、内側プラスチックライナーおよび外側補強層を有するタンクと、当該タンクを取り囲むように構成された保護ジャケットとを含む圧力容器が提供される。タンク、内側プラスチックライナー、外側補強層、および保護ジャケットは、リサイクル不可能な熱硬化性材料ではなく、リサイクル可能な熱可塑性材料である。保護ジャケットは、貫通する開口部を有する上部支持リムと、貫通する第2の開口部を有する下部支持リムとを含む。また、保護ジャケットは、タンクから離間して配置された略円筒状壁を含み、この壁は、圧力容器と圧力容器の外側および周囲の環境との間の対流熱伝達のために、保護ジャケットとタンクとの間の空気の対流フローを可能にする流路を形成し、これによりタンク内の加圧内容物の消費中の圧力損失を減少させる。
【0041】
説明および図示を目的とし、これに限定されるものではないが、本発明に係る圧力容器の例示的な実施形態の図は、
図1に描かれており、一般に符号10で示す。
図1に描かれた圧力容器の他の態様は
図2~
図11に描かれており、以下、これを説明する。
【0042】
限定目的ではなく、例示目的で本明細書に具体化され、かつ
図1~11に示されるように、圧力容器10にはタンク14が設けられている。タンク14は、略円筒状の筒20から形成されるタンクライナー38と、ドーム状で半球形の第1および第2のエンドキャップ22,24とを有し、当該タンクはプラスチックから製造される。円筒状の筒20は、楕円形、円形、多角形、またはエンドキャップ22,24に接続する形状であり得ることが理解されるべきである。特に、タンク14は射出成形技術によって製造することができる。エンドキャップ22,24は、フラストロコニカルまたは平坦なものなど、任意の寸法または形状であってよく、形状、寸法、比率または寸法が同一または異なるものであってよい。第1および第2のエンドキャップ22,24は、それぞれ、筒20の第1および第2のエンドリム26,28に固定される。タンクライナー38は、筒部分および2つのエンドキャップ22,24を有する1つの部品として射出成形され、一緒に結合されるか、またはそれらの組み合わせであることが理解されるべきである。筒20および第1および第2のエンドキャップ22,24は、
図8から
図10に特に示すように、協働して、容器収納キャビティ30を画定する。
【0043】
図示されるように、第1のエンドキャップ22は、共射出成形によりタンクライナー38に固定されるバルブボス34を含む。バルブボス34は、その中にバルブ取付アセンブリ36を受け入れるように構成され、その組み合わせによって、容器収納キャビティ30への流体の注入または排出が可能になる。さらに、第1のエンドキャップ22は、データプレート40を含むことができる。データプレート40は、バルブボス34およびバルブ取付アセンブリ36を囲む開口部を含む。データプレート40は、圧力容器10またはその内容物に関する情報を記すための表面を提供する。
【0044】
必要に応じて、タンクライナー38は、円筒状の筒20なしで構成することもできる。この代替の実施形態によれば、エンドキャップ22,24は、円筒状の筒20にではなく、互いに直接接合される。このように、エンドキャップ22,24は、様々な形状をとることができ、一般的に半球状である必要はなく、必要に応じて、より「カップ」形状とすることができる。
【0045】
好ましくは、円筒状の筒20と、第1および第2のエンドキャップ22,24と、バルブボス34とを含むタンクライナー38は、浸透率を減少させるために、バリアフィルム39を含む不活性で透過性および非腐食性の材料で構成される。したがって、タンクライナー38はポリエチレンから作製されてもよいが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリマーや、本発明に係る適当な構造的支持を提供し得るその他の材料から作製されてもよい。
【0046】
本発明によると、さらに、タンク14は、プラスチックから製造され、1つ以上の要素の組成を有する巻き付け可能な外側補強層(追加層とも呼ばれる)を含んで設けられる。
【0047】
限定目的ではなく、例示目的で本明細書に具体化され、かつ
図6に示されるように、タンク14の壁部分の断面を示す。
図6に示すように、外側補強層42がタンクライナー38の周囲に配置される。補強層42は、後述するように、タンクライナー38に使用される材料よりも高い弾性ひずみ限界を有する材料の1つ以上の層から製造される。
【0048】
補強層42は、高張力などの望ましい機械的特性を複合材料に付与する骨格を有する複合材料と、特に、硬くて剛性を有する複合材料を結合することができる高延性を有する材料のマトリクスとを含んでもよい。補強層42は、タンク14を補強し、耐衝撃性を提供する。
【0049】
好ましくは、補強層42のための複合材料は、熱可塑性樹脂でテープとしてタンク14の上に、またはその中に混在したり、含浸する繊維またはフィラメントを含むことができる。混在または含浸された繊維またはフィラメントは、特に、ガラス(例えば、1つ以上のガラス種またはガラスを有する材料)、金属、アラミド、カーボン、グラファイト、ホウ素、合成物、樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリオエルフィン、シリコーン、およびポリウレタンの組合せであってもよいが、これに限定されない。特定の実施形態では、繊維またはフィラメントは熱可塑性樹脂の複合体であり、かかる熱可塑性樹脂の複合体には、ビニルエポキシ、ポリプロピレン、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つなどがある。繊維またはフィラメントは、混合した熱可塑性およびガラス繊維織物または含浸熱可塑性/ガラステープから形成することができる。特定の実施形態において、補強層42に使用される複合材料は、熱可塑性材料のようなリサイクル可能な材料である。
【0050】
本発明によると、さらに、圧力容器は、保護ジャケットを含む。限定目的ではなく、例示目的で本明細書に具体化され、かつ
図1~5に示されるように、保護ジャケット12はタンク14を取り囲んでいる。保護ジャケット12は、上部支持リム46と、下部支持リム50と、上部支持リム46と下部支持リム50との間の略円筒状壁54とを有する。上部支持リム46は、タンク14の上部48周辺のほぼ周囲に配置され、下部支持リム50は、タンク14の下部52周辺のほぼ周囲に配置されている。上部支持リム46は、保護ジャケット12に頂部開口47を画定する。頂部開口47は、バルブ取付アセンブリ36のための開口部として機能し、また、上部支持リム46とバルブ取付アセンブリ36との間に上部気流開口部16を形成する。
図1および
図3は、上部支持リム46内の上部気流開口部16を示す。
図2および
図4は、下部支持リム50の中央に位置する下部気流開口部18を示す。上部気流開口部16および下部気流開口部18は、以下に詳述するように、周囲の環境とタンク14の加圧内容物との間の熱伝達を容易にするために、外部からおよび外部への空気の流れを可能にする。特定の実施形態では、下部支持リム50は、下部支持リム50の周囲に1つ以上の水孔19をさらに含むことができる。水孔19は、上部気流開口部16に入った水が水孔19を通って排出できるように、頂部開口47と流体連通することができる。上下の支持リム46および50は、好ましくは、保護ジャケット12の範囲内でタンク14の動きを制限するようにタンク14と係合するように構成されている。移動は、保護ジャケット12とタンク14との間に配置された上部支持リム46内の衝撃吸収パッド56によってさらに制限される。パッド56は、特に、膨張ポリプロピレン、ポリプロピレンまたはポリウレタンを含む種々の材料から製造することができる。一実施形態では、パッド56は、例えば、ARPRO(登録商標)EPPとすることができる。また、パッド56は、空気がパッド56を通って
図9に示す空気流路58に流れることを可能にするための空気流チャネルを含むことができる。
【0051】
保護ジャケット12は、硬質プラスチックのような硬質で軽量の材料で構成されることが好ましいが、他の材料で構成することもできる。この構成では、保護ジャケット12は、特に、衝撃、摩耗、腐食性材料への曝露からタンク14を保護することができる。
【0052】
加圧容器からのガスの消費は、加圧容器の冷却を引き起こす可能性がある。この冷却は、液化ガスがもはや適切な速度で蒸発できない程度に達することがある。この場合、加圧容器からの排気を妨げる圧力損失が生じる可能性がある。したがって、圧力容器が置かれている周囲環境から圧力容器の内容物への熱の伝達は、ガス消費の間、圧力容器の内容物の圧力を維持するために促進されるべきである。しかしながら、圧力容器に保護ジャケットを追加することは、一般に、加圧された内容物と環境との間に材料を追加することになる。その結果、保護ジャケットは、加圧された内容物を断熱し、熱交換を妨げ、最終的にはガス消費中の望ましくない圧力損失を促進する傾向がある。したがって、保護ジャケットの断熱効果を最小限に抑えることが望ましい。
【0053】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,386,384号のように、ジャケットは、ジャケットの壁に形成された波のようなうねりにより対流空気流のためのチャネルを提供する圧力タンクに設けることができる。これらの波のようなチャネルは、タンクの場合に熱伝達を提供する上で十分に機能する。しかし、補強層42は従来のタンク組成物(例えば、オールメタル、ハイブリッドタンクなど)よりも大きな断熱性を有するため、タンク14の繊維複合材料またはプラスチック組成物は、対流を強化するためのさらなる発展の必要性を生み出す。
【0054】
保護ジャケット12の構成は、タンク14の周囲を実質的に覆うより強いフローを可能にする。これにより、波のようなチャネルのような従来の技術で可能となるよりも大きな表面積に沿って熱交換を行うことが可能になる。このフローの強化および対流熱交換の表面積の増加は、従来の技術とは対照的に、タンク14の増加した断熱性を補填するのに役立つ。
【0055】
この目的のために、本発明は、保護ジャケット12とタンク14との間の下向きの自然対流フローを容易にし、不適切な熱交換による圧力の損失を最小限に抑えながら、保護ジャケットの利点を得る。保護ジャケット12の略円筒状壁54は、タンク14の中央部分51の周囲に配置される。
図9に示すように、略円筒状壁54の内面は、タンク14の外面から離間されており、タンク14と保護ジャケット12との間にほぼ下向きの垂直方向の空気流が発生することを可能にしている。したがって、タンク14と保護ジャケット12との間に画定される略環状の流路58が存在し、当該流路は圧力容器10が配置される環境と流体連通する。
【0056】
図8~
図10は、空気がどのようにして、圧力容器10の外側からバルブ取付アセンブリ36の周囲の上部開口部16を通って環状の流路58を下り、下部開口部18を介して出て行くことができるかを示している。特に、
図8、
図9、および
図10は、空気が、圧力容器10内部の略環状の流路58から、下部開口部18を通って、周囲の環境にどのように連通できるかを示している。空気が、バルブ取付アセンブリ36の周りの頂部開口47によって作られた上部気流開口部16から、環状の流路58を通り、下部支持リム50の中央の下部開口部18を流れ出ていくことにより、環状の流路58の全周に沿って自然対流が発達することが可能になる。これにより、圧力容器は、タンク14と環境との間で熱交換する能力が増強され、同時に、保護ジャケット12によって付加された耐久性を有する。
【0057】
本発明の好ましい実施形態の別の態様では、
図1~
図3に示すように、保護ジャケット12は、バルブ取付アセンブリ36へのアクセスを可能にするように構成された少なくとも1つのハンドル60を含む。好ましくは、ハンドル60は、圧力容器10の輸送を補助するように人間工学的に設計される。
【0058】
さらなる例として、例示目的のためだけに
図11に示すように、ハンドル60および下部支持リム50は、複数の圧力容器10を輸送および積み重ねることを容易にするために、互いに係合するように構成されることが好ましい。この実施形態では、ハンドル60は湾曲しており、複数の圧力容器10を積み重ねるときに、ハンドル60を受け入れるように構成されている下部支持リム50との非永久的な嵌合を形成するように構成されている。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、圧力容器は各タンクを独自に識別する手段をさらに含むように設けることができる。限定目的ではなく単に例示を目的として、各圧力容器を独自に識別するために、無線周波数識別タグ、マイクロチップまたは近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)タグ、および/またはバーコード200(
図1)のような識別手段を設けることができる。製造中、シリンダが製造設備を離れた後に、各シリンダを独自に識別および追跡するためのデータベースを維持することができる。容器重量、再試験日、製造日、バッチまたはロット番号など、製造業者によってシリンダごとにさまざまな変数を追跡することができる。
【0060】
本発明の別の態様によれば、圧力容器の製造方法が提供される。限定目的ではなく例示目的のみで、本方法は、本明細書に記載されるように、好ましくは、タンクライナー(タンクライナー38など)を射出成形するステップと、タンク14を形成するために熱を加えた状態で熱可塑性複合材料をタンクライナー38に巻き付けるステップと、保護ジャケット12をタンク14に取り付けて、略環状の流路58を作るステップとを含む。
【0061】
特に、タンクライナー38を製造する方法は、金型内に熱可塑性材料を射出する金型射出技術を使用することを含むことができる。さらに、1つ以上のバルブボス34(栓としても知られる)が、共射出成形技術を用いてタンクライナー38上に含まれる。当該1つ以上のバルブボス34は、タンクライナー38が射出成形されるのと同時に射出成形される。例えば、バルブボス34をタンクライナー38のための金型内に配置し、バルブが指定された位置で組み立てられるタンクライナー38と直接共射出成形することができる。別の実施形態では、1つ以上のバルブボス34をタンクライナー38に接着、結合、または溶接することができる。さらに、本製造方法では、不透過性をもたらすポリマー内にバリアフィルム39を使用し、LPGタイプIVタンクの低い透過率を可能にする上記ポリマーを射出することができる。例えば、バリアフィルム39は、エチレンビニルアルコール(EVOH)であってもよいが、これに限定されない。一実施形態では、バリアフィルム39は、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、およびエチレンビニルアルコール(EVOH)の1つ以上の層の組み合わせを含む複数の層を有する。例えば、バリアフィルム39は、ポリエチレンの第1の層、ポリアミドの第2の層、EVOHの第3の層、ポリアミドの第4の層、およびポリエチレンの第5の層を含むことができる。一実施形態では、EVOH層は、8マイクロメートル以上の厚さを有することができる。別の実施形態では、EVOHは、10マイクロメートルの厚さを有することができる。さらに別の実施形態では、EVOHの厚さは、2マイクロメートル~16マイクロメートルの範囲内にある。
【0062】
上記巻き付けステップは、当該技術分野で公知のように、フィラメントまたはテープをタンクライナーに巻き付けつつ、マンドレル上にタンクライナーを回転させることを含むことができる。当該巻き付けは、タンク14の外側補強層42を含む単一フィラメントで連続的に行ってもよい。
【0063】
本発明の方法によれば、保護ジャケットを、当技術分野で公知のクリッピングシステムを用いて互いに取り付け可能な少なくとも2つのセクションに分離可能にすることにより、保護ジャケット12をタンク14に取り付けることができる。
図5に示すように、セクションは、保護ジャケット12の略円筒状壁54の円周に沿って分離可能である。または、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、セクションを縦方向または斜め方向に分離可能にしてもよい。ジャケットのセクションは、必要に応じて、永久的または非永久的係合によって取り付けられてもよい。例えば、ジャケット12のセクションは、溶接、接着剤または留め具によって互いに永久的に取り付けられてもよい。必要に応じて、ジャケット12のセクション間の接続は、スナップ嵌めまたはクリップ接続などによって、非永久的であってもよい。
【0064】
本発明の方法およびシステムは、上述および図面に示すように、製造の容易さ、軽量性、人間工学、積み重ね性、腐食および衝撃に対する耐性、ならびに熱伝達の強化を含む優れた特性を有する圧力容器を提供する。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の装置および方法において種々の修正および変形を行うことができることは、当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲内における修正および変形並びにそれらの均等物を含むことが意図されている。
【0065】
前述のシステムおよび構成要素(特に、タンクライナー14、保護ジャケット、圧力容器)などは、いくつかの構成要素および/または要素間の相互作用に関連して説明してきた。当然のことながら、そのような装置および要素は、それらの要素またはその中のサブエレメント、特定の要素またはサブエレメントのいくつか、および/または追加の要素を含むことができる。さらに、1つ以上の要素および/またはサブエレメントを単一の構成要素に組み合わせて、集合的な機能を提供してもよい。また、要素は、本明細書に具体的に記載されていない1つ以上の他の要素と相互作用してもよい。
【0066】
上述の例示的な装置および要素を考慮すると、開示された主題に従って実施され得る方法は、
図12のフローチャートを参照すると、より良く理解されるであろう。説明を簡単にするために、方法は一連のブロックとして示され、説明される。しかしながら、特許請求される主題にあっては、いくつかのブロックは、本明細書で示し説明するものとは異なる順序で、および/または、他のブロックと同時に実行してもよく、ここで示すブロックの順序によって限定されるものではないことが理解されるべきである。さらに、後述する方法を実施するために、図示される全てのブロックが必要とされるわけではない。
【0067】
図12は、上述の特徴を有する圧力容器の製造方法を示す。
【0068】
逐次的に、熱可塑性ライナーを備えた圧力容器を製造するためのフロー
図1200である、
図12のディシジョンツリーフロー
図1200に示されるように、以下のステップが生じる。参照ブロック1202では、体積を保持する第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップを射出成形することによって、タンクライナーが製造される。少なくとも1つのバルブボス34は、第1のエンドキャップまたは第2のエンドキャップの少なくとも1つに共射出成形される。タンクライナーは、体積を保持するように構成される。参照ブロック1204では、射出工程においてインモールドバリアフィルムを使用してタンクライナーを製造する。参照ブロック1206では、熱または圧力の少なくとも一方を加えた状態で、熱可塑性および/またはガラス複合材料を用いたタンクライナー上に補強層を作成する。参照ブロック1208では、補強層を有するタンクライナーを、下部支持リムと取り外し可能に結合された上部支持リムを有する保護ジャケットで包囲する。参照符号1210では、補強層および保護ジャケットによって保護されるタンクライナーの体積内にガス物質が格納される。
【0069】
本明細書で説明した実施形態は、上述したシステムおよび方法に関連するが、これらの実施形態は、例示的なものであることを意図しており、これらの実施形態の適用可能性を、本明細書に記載した説明のみに限定することを意図していない。本明細書の実施形態および説明は、当業者であれば、これらのシステムおよび方法のいずれにも容易に組み込むことができる。
【0070】
上記の例は、本発明の種々の態様により可能となるいくつかの実施形態を単に例示するものであり、当業者であれば、本明細書および添付の図面を読み、理解することによって、他の同等の変更および/または修正が行われ得る。特に、上述の構成要素(アセンブリ、装置、システム、回路等)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を記述するために使用される用語(「手段」を含む)は、別途示されない限り、たとえ、本発明の図示された実例においてその機能を実行するものと構造的に均等物ではないとしても、記載された構成要素の特定の機能を実行する(例えば、機能的に均等物である)ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせのような任意の構成要素に対応することが意図されている。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実例のうちの1つのみに関して開示されるかもしれないが、そのような特徴は、必要に応じて他の実例に係る1つ以上の他の特徴と組み合わせることができ、任意の所与のまたは特定の用途においては有利なものであり得る。また、「含んでいる」、「含む」、「有している」、「有する」、「付き」、あるいはこれらの類似の用語が、詳細な説明および/または特許請求の範囲において使用される限度において、このような用語は、「備える」と同様に包含することが意図されている。
【0071】
この書面による説明は、最良のモードを含む本発明を開示するため、また、装置やシステムの製造および使用、並びにそこに組み込まれた方法を実行することを含む、本発明の実施が当業者に可能となるように例を用いている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に生じる他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の用語と異なる構造要素を有する場合であっても、またはそれらが特許請求の範囲の用語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合であっても、特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【0072】
明細書および特許請求の範囲において、以下の意味を有する多数の用語を引用する。単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が他の点を明確に指示しない限り、複数の場合を含んでいる。明細書および特許請求の範囲を通して使用されるように、おおよその数量を表す用語は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく、許容範囲内で変化し得る定量的表現を修正することができる。したがって、「約(about)」のような用語によって修正された値は、特定の正確な値に制限されない。ある場合では、おおよその数量を表す用語は、その値を測定するための器具の精度に対応することがある。さらに、特に明記されない限り、「第1」、「第2」等の用語の使用は、順序または重要性を示すものではなく、むしろ、「第1」、「第2」等の用語は、各要素を区別するために使用するものに過ぎない。
【0073】
本明細書中で使用される場合、「可能であり得る(may)」および「可能性がある(may be)」という用語は、一連の状況内での発生の可能性、特定の特性、特徴、または機能を保有する可能性を示し、および/または、修飾された動詞に関連する技能、能力、または可能性の1つ以上を表現することにより、別の動詞を修飾するものである。したがって、「可能であり得る」および「可能がある」という用語の使用は、修正された用語が、示された能力、機能または用途において明白に適切であり、可能であり、または、それに適していることを示す。ただし、状況によっては、修正された用語は、ときには、適切でなく、可能でなく、または、適切でないことがあることを考慮する。例えば、ある状況ではあるイベントやキャパシティが期待される一方、別の状況では、そのようなイベントやキャパシティは生じ得ない。このような区別が「可能であり得る」および「可能性がある」という用語で表現されている。
【0074】
本発明を実施するための最良のモードを、出願人が出願時に知る最良のモードを示すと共に、装置やシステムの製造および使用、並びにそこに組み込まれた方法を実行することを含む、本発明の実施が当業者に可能となるようにすることを目的として説明してきた。例は単に例示的であり、特許請求の範囲よって定まるように、本発明を限定することを意味するものではない。本発明は、好ましい実施形態および代替の実施形態を参照して説明した。当然のことながら本明細書を読んだり、理解することで、修正や変更が加わることもある。そのような修正や変更はすべて、それらが特許請求の範囲の権利範囲や均等物に含まれる限り、本発明に含まれることを意図している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者により生じる他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の用語と異なる構造要素を有する場合であっても、またはそれらが特許請求の範囲の用語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合であっても、特許請求の範囲に含まれることを意図している。