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特許7461952患者における脳卒中を検出する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】患者における脳卒中を検出する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240328BHJP
   A61B 10/00 20060101ALN20240328BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B10/00 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021536392
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 SE2019051319
(87)【国際公開番号】W WO2020130923
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】1820892.6
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1930370-0
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521270513
【氏名又は名称】ウマン センス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ワシェリウス、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、ペーター
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0249967(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007167(US,A1)
【文献】特表2009-504298(JP,A)
【文献】特表2009-538636(JP,A)
【文献】国際公開第2018/050763(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0171596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00-10/06
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と、ユーザの身体の少なくとも一部分の動作データを生成するように構成される少なくとも2つの着用可能センサとを含むデータ処理デバイスを含み、
データ処理デバイスが、少なくとも2つの着用可能センサから受信された第1の動きに関する第1の動作データ及び第2の動きに関する第2の動作データを処理するように構成され、
データ処理デバイスが、第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定し、そして決定された非対称性に依存して脳卒中検出シグナルを生成するように構成され
データ処理デバイスが、第1の予め定められた身体ジェスチャを実行するようにユーザを促すように構成されるコントロールデバイスと通信状態にあり、
データ処理デバイスが、第1の予め定められた身体ジェスチャをユーザが実行することに基づく第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定するように構成され、
データ処理デバイスが第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定する時に、コントロールデバイスが認知症テストを実行するようにユーザを促すように構成される、
脳卒中検出装置。
【請求項2】
予め定められた閾値を超えるユーザの動きの非対称性をデータ処理デバイスが決定する時に、データ処理デバイスが脳卒中検出シグナルを生成する、請求項1に記載の脳卒中検出装置。
【請求項3】
データ処理デバイスが、ユーザの身体に関するユーザの履歴的な動作データに基づいて予め定められた閾値を決定するように構成される、請求項2に記載の脳卒中検出装置。
【請求項4】
予め定められた閾値が、ユーザの特徴に基づく請求項2又は3に記載の脳卒中検出装置。
【請求項5】
自動化された緊急サービスリクエストが、脳卒中エスカレーションシグナルに依存して生成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項6】
少なくとも2つの着用可能センサが、両腕及び/又は両足に着用可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項7】
第1の着用可能センサがユーザの手首の一方に着用され、そして第2の着用可能センサがユーザの手首の他方に着用される、請求項6に記載の脳卒中検出装置。
【請求項8】
少なくとも2つの着用可能センサが、ユーザの身体の対称面の第1のサイド上の動きを測定するように構成される第1のセンサと、ユーザの身体の対称面の第2のサイド上の動きを測定するように構成される第2の着用可能センサとを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項9】
ユーザの身体の対称面が、矢状面、前頭面及び/又は横断面の1つ以上である、請求項8に記載の脳卒中検出装置。
【請求項10】
少なくとも2つの着用可能センサが第1の動作データを測定するように構成され、そして、第2の動作データが同時に測定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項11】
少なくとも2つの着用可能センサが、第1の動作データ及び第2の動作データを異なる時に測定するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項12】
少なくとも2つの着用可能センサが、データ処理デバイスに対して生成した動作データを送信するように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項13】
データ処理デバイスが第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定する時に、第1の予め定められた身体ジェスチャよりも複雑なように異なる第2の予め定められた身体ジェスチャを実行するようにユーザを促すようにデータ処理デバイスが構成される、請求項1~12のいずれか1項に記載の脳卒中検出装置。
【請求項14】
データ処理デバイスが、第1の予め定められた身体ジェスチャを実行するようにユーザを促すこと、
データ処理デバイスが、少なくとも2つの着用可能センサを用いてユーザの身体の少なくとも一部分の動作データを生成すること、
データ処理デバイスが、少なくとも2つの着用可能センサから受信された第1の動きに関する第1の動作データ及び第2の動きに関する第2の動作データを処理すること、
データ処理デバイスが、第1の予め定められた身体ジェスチャをユーザが実行することに基づく第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定すること
決定された非対称性に依存して脳卒中検出シグナルを生成すること、及び
データ処理デバイスが第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定する時に、コントロールデバイスが認知症テストを実行するようにユーザを促すこと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者における脳卒中を検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中(ストローク・発作)は、脳への貧しい血流の結果として細胞死になる医学的状態である。脳卒中に関しては、2つの主たる原因がある。虚血性の脳卒中は、典型的には、脳へ血液を供給する動脈におけるブロックから結果として生じる脳の部分(複数)への血流を欠くことによって生じる。血液は、通常は脳へ酸素及び栄養素を運搬する。ブロックによって一度酸素及び栄養素がカットオフされると、脳細胞は十分なエネルギーを作ることができず、最終的には働きを停止するだろう。ブロックが除かれない場合(not cleared)には、脳細胞は最終的には死ぬだろう。出血性の脳卒中は、脳内での出血によって生じる。出血は、典型的にはダメージを受けた血管が血液を漏出することによって生じる。出血性の脳卒中は、脳動脈瘤破裂によっても生じ得る。両方のケースで、血液が周囲の脳組織へ広がり(spreads)、増加した圧力を生じること、脳細胞の働きを限定すること、及び最終的に脳組織へダメージを与えること、が生じる。
【0003】
上記のタイプの脳卒中の両方において結果として生じる影響は、脳細胞が正確に機能することを停止することによる、脳の機能における変化である。この変化は、動けないこと、又は、身体の片側にしか感覚がないこと、会話上の問題、及び視力喪失などの身体的な兆候を通して観察することができる。これらの身体的な兆候は、しばしば、多かれ少なかれ、脳卒中が開始し始めた後にすぐに現れる。
【0004】
歴史的には、脳卒中は処置することが非常に困難であった。患者の兆候が脳卒中と認識及び診断されたとしても、限定された処置が利用可能であった。脳卒中が虚血性の脳卒中として同定された場合に、薬剤が血塊へ到達してそれを十分に分解し、影響を受けた動脈を通って血流が再稼働するであろうことを期待して、組織プラスミノーゲン活性化因子などの血塊分解剤が静脈内的に患者に投与された。脳組織へのダメージを限定するためには、そのような処置が脳卒中の開始のわずか数時間以内に成功裏に適用される必要があろう。いくつかの研究は、血塊分解剤からの最良の結果を得るための時間窓が脳卒中の最初の(第1の)サイン(複数)から3時間であることを示唆する。
【0005】
脳卒中が成功裏に処置されなかった場合には、脳組織へのダメージは免れなくなり、頼り(recourse)は患者に対してケア及びリハビリテーショントレーニングを提供することのみである。
【0006】
より最近には、虚血性脳卒中は、脳内のブロックされた血管の箇所へ血塊引抜デバイスを送達させることによって血塊が除去される、「機械的血栓除去」と称される血管内手法を介して成功裏に処置されている。このデバイスは血塊に取り付き(secures)、デバイスが取り出される際に血塊を血管から引き出す。同様に、出血性の脳卒中は、ダメージを受けた血管又は破裂した動脈瘤へ金属クリップを送達することによる血管内手法を介しても処置され得る。クリップは、血液のあふれ出しを制限して、更なる血液が周囲の血液組織へ漏れることを阻止するように固定される。血塊分解剤と併用した際に、脳卒中の最初の(第1の)サイン(複数)の数時間以内に処置が行われれば、顕著なダメージの緩和が達成され得る。
【0007】
つまり、虚血性脳卒中に関して改善された処置オプションがあるので、脳卒中の兆候を認識及び特徴付けする(characterising)ことの重要性が増してきている。脳卒中を患う高いリスクを有する患者にとっては、コンスタントなモニタリングに対して、脳卒中の即時診断及びヘルスケアプロバイダへのエスカレーション(段階的拡張)を付与する方法が必要とされている。
【0008】
患者における脳卒中の初期検出に関する、患者の身体上に着用したセンサの使用を採用する既知の技術がある。Villar. J R.の「A hybrid intelligent recognition system for the early detection of strokes」は、脳卒中が検出された時に警告アラームを生成し、かつ、e-ヘルスサービスに対して自動的に接続する着用可能(ウエアラブル)デバイスの使用を開示する。記載されるアプローチは、動作データをモニタする2つの着用可能デバイスを採用し、そして、脳卒中を決定するために遺伝学的ファジー有限状態マシーン(genetic fuzzy finite-state machines)及びタイムシリーズ(TS)解析を採用する。
【0009】
米国特許出願US2018153477は、「生理学的なシグナル」を決定するために、いくつかのセンサを介して脳卒中に関して患者をモニタリングするデバイスを開示する。生理学的なシグナルは、心拍数シグナル、心房レートシグナル、心拍変動シグナル、血圧シグナル、血圧変動シグナル、心音シグナルなどを含み得る。
【0010】
米国特許US7,981,058は、低コストの二軸運動センサを使用して患者をモニタリングするデバイスを開示する。第1のセンサは客観的な加速度データを捕え、第2の二軸センサは少なくとも第1の加速度計に対して相対的な主観的な加速データを捕える。加速度データは、次に、非線形パラメータを決定すること、及び少なくとも2つのレベルのモーター機能情報を生成することに使用される。
【0011】
US2017281054は、患者の身体上の1か所以上の解剖学上の位置に配されて、患者の身体のある箇所の運動(モーション)に対応する複数の運動パラメータを検出するように構成される複数の運動センサを介して、脳卒中に関して患者をモニタリングするデバイスを開示する米国出願である。患者の身体のある箇所の動きは、その際、複数の所定の運動センテンス特徴(motion sentence features)に基づく。
【0012】
US2015157252は、いくつかのセンサを介して患者をモニタリングするデバイスを開示する米国出願である。センサ間をスイッチングして患者の生理学的なシグナルステータスの最良の指標をどのセンサが提供するかを決定する技術が開示されている。
【0013】
US20160213318は、個々の睡眠中の脳卒中を検出するシステム及び方法を開示する米国出願である。システムは、手における電気的な又は筋肉の活動の不在を検出するために手に着用されるセンサを含む。
【0014】
WO2018110925は、深い睡眠の間の脳卒中を検出するために左側及び右側の動きを測定する、左手及び右手上のセンサを有する装置を開示する国際出願である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許公報2018/153477号明細書
【文献】米国特許第7,981,058号明細書
【文献】米国特許公報2017/281054号明細書
【文献】米国特許公報2015/157252号明細書
【文献】米国特許公報2016/0213318号明細書
【文献】国際公開第2018/110925号
【非特許文献】
【0016】
【文献】Villar. J R., “A hybrid intelligent recognition system for the early detection of strokes”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記のシステム(複数)に関連する問題点は、あまりに多くの虚偽ポジティブをトリガーせずに、患者の脳卒中を指し示す信頼できるシグナルを生成することに関する問題点を含む。必要とされるのは、最小限の虚偽ポジティブで脳卒中検出シグナルを生成することが可能なシステムであり、虚偽ポジティブがまさに生じた場合にシステムがユーザにとって過大な不便さ無しにそれらを優雅に取り扱うことができることである。更に、脳卒中状態は、患者の睡眠中ではなく、患者が起きている時に生じ得る。
【0018】
本発明の例(複数)は上述の課題へアドレスすることを狙う。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一視点によれば、処理装置と、ユーザの身体の少なくとも一部分の動作データを生成するように構成される少なくとも1つの着用可能センサとを含むデータ処理デバイスを含み、データ処理デバイスが、少なくとも1つの着用可能センサから受信された第1の動きに関する第1の動作データ及び第2の動きに関する第2の動作データを処理するように構成され、データ処理デバイスが、第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定し、そして決定された非対称性に依存して脳卒中検出シグナルを生成するように構成される脳卒中検出装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
基本形態の上述の一視点のとおり。
任意的に、データ処理デバイスが、少なくとも1つの予め定められた身体ジェスチャをユーザが実行することに基づく第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定するように構成される。
【0021】
任意的に、データ処理デバイスが、少なくとも1つの予め定められた身体ジェスチャを実行するようにユーザを促すように構成される。
【0022】
任意的に、予め定められた閾値を超えるユーザの動きの非対称性をデータ処理デバイスが決定する時に、データ処理デバイスが脳卒中検出シグナルを生成する。
【0023】
任意的に、データ処理デバイスが、ユーザの身体に関するユーザの履歴的な動作データに基づいて予め定められた閾値を決定するように構成される。
【0024】
任意的に、予め定められた閾値が、ユーザの特徴に関連する1以上の事前設定に基づく。
【0025】
任意的に、自動化された緊急サービスリクエストが、脳卒中エスカレーションシグナルに依存して生成される。
【0026】
任意的に 少なくとも1つの着用可能センサが、両腕及び/又は両足に着用可能である。
【0027】
任意的に、第1の着用可能センサがユーザの手首の一方に着用され、そして第2の着用可能センサがユーザの手首の他方に着用される。
【0028】
任意的に、少なくとも1つの着用可能センサが、ユーザの身体の対称面の第1のサイド上の動きを測定するように構成される第1のセンサと、ユーザの身体の対称面の第2のサイド上の動きを測定するように構成される第2の着用可能センサとを含む。
【0029】
任意的に、ユーザの身体の対称面が、矢状面、前頭面及び/又は横断面の1つ以上である。
【0030】
任意的に、少なくとも1つの着用可能センサが第1の動作データを測定するように構成され、そして、第2の動作データが同時に測定される
【0031】
任意的に、少なくとも1つの着用可能センサが、第1の動作データ及び第2の動作データを異なる時に測定するように構成される。
【0032】
任意的に、少なくとも1つの着用可能センサが、データ処理デバイスに対して生成した動作データを送信するように構成される。
【0033】
任意的に、データ処理デバイスが第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定する時に、追加の予め定められた身体ジェスチャを実行するようにユーザを促すようにデータ処理デバイスが構成される。
【0034】
本発明の一視点よれば、少なくとも1つの着用可能センサを用いてユーザの身体の少なくとも一部分の動作データを生成すること、
少なくとも1つの着用可能センサから受信された第1の動きに関する第1の動作データ及び第2の動きに関する第2の動作データを処理すること、
第1及び第2の動作データに基づいてユーザの動きの非対称性を決定すること、及び
決定された非対称性に依存して脳卒中検出シグナルを生成すること、
を含む、脳卒中検出シグナルを生成する方法が提供される。
【0035】
種々の他の視点及び更なる例も、添付図面を参照しつつ、以下の詳細な記載(実施例)及び特許請求の範囲において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、一マルチセンサ脳卒中検出装置を着用する患者を示す。
図2図2は、本出願の一例による脳卒中検出装置の斜視図を示す。
図3図3は、本出願の一例による脳卒中検出装置の模式図である。
図4図4a及び図4bは、それぞれ着用可能センサ及びコントロールデバイスの実行フローを示す処理フロー図である。
図5図5a及び図5bは、第1及び第2の着用可能センサデバイスとコントロールデバイスとの間のデータ送信順序を示すシーケンス図である。
図6図6は、コントロールデバイス300の実行フローを示す処理フロー図である。
図7図7は、コントロールデバイス300の実行フローを示す代わりの処理フロー図である。
図8図8は、患者の身体の模式図を示す。
図9図9a~9hは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
図10図10a~10eは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
図11図11a~11eは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
図12図12a~12iは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
図13図13a~13cは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
図14図14a~14fは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
図15図15a~15bは、本出願の一例による、患者によって実行される一連のジェスチャを示す。
【実施例
【0037】
図1は、複数の着用可能センサ200a、200bを含む脳卒中検出装置102を着用したユーザ100を示す模式図である。いくつかの例において、ユーザ100は患者100である。いくつかの例において、患者100は一過性脳虚血発作(TIA)、又は虚血性脳卒中、出血性脳卒中、動脈瘤、脳動静脈奇形(AVM)、潜在性脳卒中、及び/又は脳幹卒中などの他のタイプの脳卒中に関する格別なリスクを有し得る。以降において、用語「脳卒中」が使用されるだろう。他の例(複数)において、ユーザは患者ではないが、用心として脳卒中検出装置102を使用する。用語「ユーザ」及び「患者」は互換可能なように使用され得るが、しかしながら明確化の目的のために用語「患者」が以降において使用されるだろう。
【0038】
図1において、着用可能センサ200a、200bは、患者100の右手首104a及び左手首104bのそれぞれに取り付けられる。符号200は、一般的には着用可能センサを意味するが、明確化を目的として符号200a、200bは、患者100の右手首104a及び左手首104b上の着用可能センサ200a、200bを意味する。
【0039】
他の例(複数)において、着用可能センサは、手首の代わりか又は手首との組み合わせの何れかとして右及び左足首106a、106bに着用され得る。着用可能センサが着用され得る他の位置は履物、かぶり物を含み、並びにズボン及び上着などの衣服に取り付けられ得る。他の例(複数)において、1つ以上のセンサ200a、200bが患者の身体110のいずれかの適切な部分にマウントされ得る。
【0040】
図2は、図1に示される着用可能センサ200の一例の斜視図を示す。一例において、着用可能センサ200は、患者100に対して着用可能センサ200を固定するように構成されるストラップ202、処理ボード206を収容するセンサ本体204を含む。処理ボード206は、電源208、データ処理デバイス210、及びセンサパッケージ212を含み得る。
【0041】
センサパッケージ212は、着用可能センサ200が取り付けられた患者100の身体110の部分の傾き、位置、向き及び/又は加速を測定するように構成される、いずれかの適切な単数又は複数のセンサ構成要素を含み得る。センサパッケージ212は、力学的(メカニカル)な運動(モーション)を電気的なシグナルへ変換する、ピエゾ電気性の、ピエゾ抵抗性の及び/又は蓄電性の構成要素を含み得る。他の例(複数)において、患者の身体の1つ以上の部分を運動を検出するように構成されるいずれかの適切なセンサが使用される。ピエゾセラミックス(例えば、ジルコニウム酸チタン酸鉛)又は単一結晶(例えばクォーツ、トルマリン)が使用され得る。いくつかの例では、低い周波数領域における優れたパフォーマンスに起因して、蓄電性の加速度計が採用される。
【0042】
データ処理デバイス210は、ハードウェア処理装置(単数又は複数)などの汎用目的の又は専用目的のコンピューティングデバイスの1つ以上の上で稼働する専用目的のソフトウェア(又はファームウェア)によって実現され得る。そのようなコンピューティングデバイスの各「要素」又は「手段」は、方法ステップのコンセプト的な均等物を意味し、要素/手段とハードウェア又はソフトウェアルーチンの特定のピース(部分)との間に1対1の対応関係が常にあるわけではない。ハードウェアの1つのピースは、異なる手段/要素をしばしば含む。例えば、処理ユニットは、1つの指示を実行する際には1つの要素/手段としての役割を果たすが、他の指示を実行する際には他の要素/手段としての役割を果たす。更に、1つの要素/手段は、いくつかのケースにおいては1つの指示によって実行され得るが、いくつかの他のケースにおいては複数の指示によって実行され得る。そのようなソフトウェア-コントロールされたコンピューティングデバイスは、1つ以上の処理ユニット、例えば、CPU(「Central Processing Unit」)、DSP(「Digital Signal Processor」)、ASIC(「Application-Specific Integrated Circuit」)、別個のアナログ及び/又はデジタルな構成要素、又はFPGA(「Field Programmable Gate Array」)などのいくつかの他のプログラム可能な論理デバイス、を含み得る。データ処理デバイス210は、システムメモリ、及び処理ユニットに対するシステムメモリのカップル化を含む種々のシステム構成要素をカップル化するシステムバスを更に含み得る。システムバスは、種々のバス構造のいずれかを使用するメモリバス又はメモリコントローラ、ペリフェラルバス及びローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のいずれかであり得る。システムメモリは、リードオンリーメモリ(ROM)ランダムアクセスメモリ(RAM)及びフラッシュメモリなどの、揮発性及び/又は非揮発性のメモリの形態のコンピュータ記憶メディアを含み得る。専用目的ソフトウェアは、システムメモリ内、磁性メディア、光学メディア、フラッシュメモリカード、デジタルテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROM等などのコンピューティングデバイスに含まれるか又はアクセスし得る又は他のリムーバブルメディア/非リムーバブルな、揮発性/非揮発性のコンピュータ記憶メディア内に、記憶され得る。専用目的ソフトウェアは、レコードメディア及びリードオンリーメモリを含むいずれかの適切なコンピュータ読み出し可能なメディア上で、データ処理デバイス210に提供され得る。
【0043】
データ処理デバイス210は、シリアルインターフェイス、USBインターフェイス、ワイヤレスネットワーキングインターフェイス等などの1つ以上のコミュニケーションインターフェイス、並びにアナログからデジタルへの(A/D)コンバータなどの1つ以上のデータ取得デバイスを含む。1つの例において、データ処理デバイス210は、センサパッケージ212から受信してデータ処理デバイス210によって処理されたセンサデータを送信するように構成される送信構成要素及び/又は1つ以上のコミュニケーションインターフェイスにわたるA/Dコンバータ(図示されず)を含み得る。1つの例において、コミュニケーションインターフェイスはブルートゥース(登録商標)又はWi-Fiトランシーバを介して提供され、処理されたセンサデータはコントロールデバイス300(図3を参照して後述される)に対して送信される。処理されたセンサデータは、その代わりに、GSM、LTE又はライセンス化された又はライセンス化されていない任意の類似のモバイルコミュニケーションインターフェイスを介して1以上のリモートデバイスに対して送信され得る。
【0044】
電源208は、バッテリー、運動エネルギー源、又は他の着用可能デバイスに適した電源を含み得る。電源208は、処理ボード206のデータ処理デバイス210及びセンサパッケージ212にパワーを供するためのエネルギー源を提供するように配される。
【0045】
着用可能センサ200は、カウンターパート構成要素216と固定されるように構成される留め構成要素(fastening component)214を更に含むことができ、着用可能センサ200が患者100の手足(limb)に対して固定されるようにする。
【0046】
1つの例において、留め構成要素214は、着用可能センサ200のストラップ202が「オープンな」構成の状態にあるか、又は「固定された」構成の状態にあるかを決定するように構成されるセンサ(図示されず)を含む。ストラップの「オープンな」構成の例は図2に示され、着用可能センサ200がいずれにも固定されていない。「クローズドな」構成の例は図1に示され、着用可能センサ200が患者に対して固定されている。同様に、「クローズドな」構成の例は図3に示され、留め構成要素214がカウンターパート構成要素216に対して留め付けられ、着用可能センサ200のストラップを固定されたループ状態にする。1つの例において、留め構成要素214のセンサはデータ処理デバイス27が着用可能センサ200のストラップ202の構成を決定できるように、処理ボード206に対して電気的に接続される。従って、データ処理デバイス210は、着用可能センサ200が患者100に着用されており、データ処理デバイス210が着用可能センサ200に関する「着用中」又は「非着用中」ステータス情報を生成することができるか否かを、決定することができる。データ処理デバイス210は、患者100に関連する情報を決定する時に、着用可能センサ200に関する「着用中」又は「非着用中」ステータス情報を使用することができる。例えば、「非着用中」ステータス情報から患者100が着用可能センサ200を着用していないことをデータ処理デバイス210が決定する場合には、データ処理デバイス210は、患者100に関連付けられたいずれかのアラートが誤ったアラームであり得ると決定することができる。
【0047】
図3は、一例に従ったワイヤレスネットワーク302を示す。図3において、200a及び200b(図1及び2を参照して上記議論した)として示される2つの着用可能センサが患者100(図示されない)に着用され、各着用可能センサのそれぞれのストラップ202が「クローズドな」 構成の状態にある。各着用可能センサ200a、200bは、患者100からセンサデータを収集して、前記データを処理し、そして、ワイヤレスネットワーキングインターフェイス304を介してコントロールデバイス300に対してデータを送信する。
【0048】
いくつかの例において、着用可能センサ200a、200bは、患者100からセンサデータを収集し、そしてワイヤレスネットワーキングインターフェイス304を介してセンサデータを処理すること無しにコントロールデバイス300に対してデータを送信する。このことは、図5bを参照して更に詳細に議論される。他の例(複数)において、着用可能センサ200aの1つは、他の着用可能センサ200bとワイヤレスコミュニケーション状態にある。例えば、着用可能センサ200a、200bは、ブルートゥース(登録商標)又は低エネルギーブルートゥース(登録商標)上でコミュニケーションすることができる。着用可能センサ200aの1つは、ワイヤレスネットワーキングインターフェイス304を介してコントロールデバイス300とワイヤレスコミュニケーション状態にある。他の着用可能センサ200bは、コントロールデバイス300とワイヤレスコミュニケーション状態ではない。
【0049】
いくつかの例において、着用可能センサ200aの1つは、いくつかの又は全ての着用可能センサ200a、200bから収集したセンサデータを処理する。この仕方では、着用可能センサ200aの1つがマスター着用可能センサ200aであり、他の着用可能センサ200bがスレーブ着用可能センサ200bである。このことは、図5aを参照して更に詳細に議論される。
【0050】
図に示すように、例(複数)は、2つの着用可能センサ200a、200bのみを示すが、代わりの一例において、追加の着用可能センサが患者100によって着用され得る。例えば、患者100は、手足の各々に着用可能センサ200a、200bを着用することができる。このことは、格別なリスクを有し、そして増加したセンサデータ収集が必要とされる患者100にとって望ましいであろう。
【0051】
いくつかの例において、複数の着用可能センサ200a、200bは、着用可能センサ200a、200bに関するパーソナルエリアネットワーク(PAN)又はボディエリアネットワーク(BAN)を確立して、互いにコミュニケーションすることができる。いくつかの例において、複数の着用可能センサ200a、200bは、互いの間でメッシュネットワークを確立することができる。このことは図5aを参照して更に詳細に記載される。
【0052】
より少ない程度に好まれる例では、着用可能センサ200a、200bは、ワイヤ接続を介してコントロールデバイス300に対して接続され得る。しかしながら、着用可能センサ200a、200bとコントロールデバイス300との間のワイヤ接続は、患者100の身体の動きを邪魔し得る。
【0053】
上述のように、着用可能センサ200a、200bとコントロールデバイス300との間のコミュニケーションインターフェイスが、ブルートゥース(登録商標)トランシーバ、Wi-Fiトランシーバ、GSMトランシーバ、LTEトランシーバ、又はいずれかの他の類似のライセンス化された又はライセンス化されていないモバイルコミュニケーションインターフェイスを介して提供される。
【0054】
このプロセスは、後に、より詳細にかつ図4aを参照して記載される。コントロールデバイス300は、任意のモバイル式の又はリモート処理式の、あるいはいずれかの他の適切なコントロールデバイス300であり得る。いくつかの例において、コントロールデバイス300は、Apple(登録商標)、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、Apple Watch(登録商標)、Android(登録商標)デバイス、Wear OS(登録商標)デバイス、ラップトップデバイス、又は類似の携帯電話デバイスであり得る。コントロールデバイス300は、着用可能センサ200a、200bからデータを受信して、受信したデータを処理し、患者の罹患状態を決定し、そして適切なエスカレーションプロセスを実行する。このプロセスは、後により詳細にかつ図4bを参照して記載される。
【0055】
いくつかの代わりの例において、コントロールデバイス300は、着用可能センサ200aを含む。この仕方において、コントロールデバイス300は、1以上の加速度計(例えば6軸加速度計)を含むスマートフォンであり得る。スマートフォンは、その際にストラップにマウントされてユーザの腕に着用される。片腕にマウントされたスマートフォンは、本出願によれば着用可能センサ200及びコントロールデバイス300の両方として機能するだろう。更に、他の着用可能センサ200b、例えばスマートウォッチが他の腕に着用され得る。
【0056】
図4aは、データ処理デバイス210に関する処理フローの一例を示す。図4aに示される処理フローは、連続的なループで又は周期的に実行され得る。処理が周期的に実行される場合には、バッテリー使用を最小化するために実行(複数)の間においてエネルギーセービングモードが採用され得る。
【0057】
ステップ400において、センサ出力は、センサパッケージ212からデータ処理デバイス210によって受信される。センサデータが例えばピエゾ電気性の構成要素によって生成される場合には、ピエゾ電気性の構成要素からの出力は所望のアナログシグナルが生成されようにするために、任意的な前処理ステップ410を必要とし得る。前処理ステップの一例は、アナログシグナルからピエゾ電気性の構成要素によって生成された高い周波数のノイズを減少させることであり得る。前処理ステップ410は、センサパッケージ212において又はデータ処理デバイス210上で生じ得る。
【0058】
前処理ステップ410の後に、ステップ420においてアナログシグナルからデジタルシグナルへのシグナルの変換が実行され得る。このアナログからデジタルへの変換は、センサパッケージ212において又はデータ処理デバイス210上で生じ得る。
【0059】
次に、ステップ430において、ノイズを減少させ、そしてセンサ読み取り値に対してタイムスタンプを付与するようにデジタルシグナルが処理される。
【0060】
ステップ430は、加速度計によって生成された加速ベクターを、加速ベクターの規格(norm)へ変換することを任意に含み得る。すなわち、加速ベクターは、単一の方向の厳密に(strictly)ポジティブな(正の)長さへ変換される。このことは、ベクターデータを記憶するための記憶スペースの減少及び加速度計の配向(向き)に対する不変性を含む、いくつかの利点をもたらす。フィルタを通過した加速ベクターシグナルが重力又はセンサパッケージ212の向きに対して不変であるようにステップを確実にするために、上記のものと組み合わせて又は独立して他のフィルタが想定される。好ましい一例において、先行するフィルタリングステップのいずれかが、着用可能センサ200a、200bに対して、例えばデータ処理デバイス210によって局所的に実行される。
【0061】
ステップ430は、上述のものと組み合わせて又は独立して、加速度計に対する重力から結果的に生じる加速ベクターを除去するハイパスフィルタを適用することを更に任意的に含み得る。このことは、加速ベクターの微分(differential)からスローな又は不変の加速ベクターを除去することによって達成され得る。このことは、重力から結果として生じるノイズの除去を有利に可能にする。
【0062】
ステップ430は、脳からのシグナルの直接的な結果ではない、ヒトの身体の動きから生じるシグナルをフィルタに通すことを更に任意的に含み得る。言い換えると、着用可能センサ200a、200bは、筋肉へ到達する電気的なシグナルの間接的な結果物を検出しない。フィルタに通され得る動きの例は以下のものを含む。
・神経系からのシグナルの間接的な結果物に過ぎない動きは、例えば、歩行の際に電気的なシグナルは、バランスを保つために腕(複数)を前方及び後方へ振るように刺激し得る。しかしながら、歩行の間の腕の下方への振りは、いずれかの筋肉の刺激というよりも重力及び身体のメカニクスの結果物であり得る。結論的には、可能な場合には、これらの動きは同定されて加速度計(単数又は複数)によって生成された加速ベクターから除去されるべきである。
【0063】
つまり、いくつかの実施例において、データ処理デバイス210は、シグナル処理ステップ430において、シグナルをフィルタに通して中枢神経系に起因する筋肉の動きに関連しない1以上の動きを除外する。いくつかの例において、データ処理デバイス210は、シグナルをフィルタに通して、受動的な手足のメカニクス、心臓機能などの他の生物学的なシグナル、震え、又は他の無意識の筋肉の動き、環境のノイズ(例えばバス又は乗り物エンジン)、の1つ以上を除外する。この仕方において、データ処理デバイス210は、シグナルをフィルタに通して、患者100が目を覚ましてベッドから出た時に患者100の移動が解析され得る。
【0064】
次に、センサデータは、ステップ440において、コントロールデバイス300に対して送信するために、定義されたデータ構造に従って任意的にフォーマット化される。最終的には、ステップ450において、着用可能センサ200a、200bは、フォーマット化されたセンサデータをワイヤレスネットワーキングインターフェイス304を使用してコントロールデバイス300に対して送信する。
【0065】
いくつかの実施例において、図4aに示すようなステップがデータ処理デバイス210によって実行される。いくつかの他の例において、図4aに示すようなステップは、リモート処理デバイス、例えばコントロールデバイス300によって部分的に又は完全に実行される。
【0066】
図4bは、コントロールデバイス300に関する処理フローの一例を示す。いくつかの例において、コントロールデバイス300は携帯電話300であるが、いずれかの適切なモバイルデバイスであり得る。図4bに示す処理フローは、連続的なループで又は周期的に実行され得る。処理が周期的に実行される場合には、バッテリー使用を最小化するために、実行(複数)の間にエネルギーセービングモードが採用され得る。
【0067】
ステップ460において、コントロールデバイス300は、フォーマット化されたセンサデータを着用可能センサ200a、200bから受信する。受信されたセンサデータは、次に、ステップ470において、着用可能センサ200a、200b並びにコントロールデバイス300に対してセンサデータを送信するいずれかの他の着用可能センサから事前に受信した既存データと任意的に統合整理(consolidated)される。1つの例において、データは、コントロールデバイス300上に記憶されたローカルデータベースに記憶される。1つの例において、システムはフォーマット化されたセンサデータの「チャンキング(chunking)」を実行し、データをチャンク(複数)へと破壊することを含み、各チャンクはいくつかのパラメータ(例えば記録したシグナルデータのタイムスタンプ、サイズなど)を示すヘッダを含む。このことは、各データチャンクがコントロールデバイス300を着用可能センサのクロックに対して再同期することを可能にする。
【0068】
ステップ475において、データ解析が、コントロールデバイス300によってセンサデータについて実行される。進行中の脳卒中状態、例えば一過性脳虚血発作、などの患者の罹患状態の決定は、次に、データ解析475に依存して行われる。このことは、ステップ480に示すように患者の身体の第1の動き及び患者の第2の移動が対称であることの決定を含む。患者の罹患状態は、予め決定された非対称性に関する閾値を超えるセンサデータに基づいて提示されるように決定され得る。
【0069】
データ解析475、患者イベント480の決定及びエスカレーションプロセス490のステップのプロセスが、後により詳細に、かつ後述の図6、7及び図9a~9h、10a~10e、11a~11e、12a~12i、13a~13c、14a~14f及び15a~15bを参照して記載される。
【0070】
一度エスカレーションプロセス490が完了して、患者が患者の罹患状態のエスカレーションをキャンセルできていない場合に、コントロールデバイス30は、ステップ495に示すようにリモートネットワークに対する送信を行う。例えば、コントロールデバイス30は、ステップ495においてネットワークインターフェイス306を介してネットワークポイント308に対してコンタクトし、患者の罹患状態を取り扱う緊急サービスをリクエストする。1つの例において、携帯端末デバイスは、患者の罹患状態、携帯端末デバイスのGPS位置、患者ID、患者の医療歴、最近のセンサデータレポートなどの少なくとも1つをコミュニケーションすることができる。
【0071】
ステップ475及びその後のステップが、ステップ460の直後のステップとして実行され得ることに注視すべきである。あるいは、ステップ475及びその後のステップは、例えば、周期的なタイミングの中断によって独立してトリガされる独立ループで実行され得る。
【0072】
いくつかの例において、図4bに示すステップは、コントロールデバイス300によって実行される。いくつかの他の例において、図4bに示すステップは、データ処理デバイス210によって部分的に又は完全に実行される。この仕方において、データ処理デバイス210は、図4a及び4bの全てのステップを実行することができ、そしてステップ495に示すように患者の罹患状態を取り扱うための緊急サービスをリクエストすることができる。
【0073】
本明細書において、複数の着用可能センサがデータを収集することに使用される。図5aは、コントロールデバイス300において1つを上回る着用可能センサ200a、200bからデータを収集するためのフローを示す。ステップ510及び520において、身体の左側に位置する第1の着用可能センサ200a及び身体の右側に位置する第2の着用可能センサ200bから、センサデータが収集される。
【0074】
ステップ530において、第1の着用可能センサ200aからのセンサデータがワイヤレスネットワーキングインターフェイス304を介して第2の着用可能センサ200bに対して送信される。一度第1の着用可能センサ200aからのセンサデータが第2の着用可能センサ200bにおいて受信されると、第1の着用可能センサ200aからのセンサデータが第2の着用可能センサ200a[sic, 200b]からのセンサデータ(ステップ520において事前に収集した)と組み合わせられて、ステップ540においてコントロールデバイス300に対して送信される。
【0075】
図5aに示すものについての代わりの例において、図5bは、コントロールデバイス300において1つを上回る着用可能センサからデータを収集するための代わりのフローを示す。ステップ510及び520において、身体の左側に位置する第1の着用可能センサ200a及び身体の右側に位置する第2の着用可能センサ200bからのセンサデータが収集される。
【0076】
ステップ550において、コントロールデバイス300は、第1の着用可能センサ200aにワイヤレスネットワークインターフェイス304を介して指示を行い、コントロールデバイス300に対して第1の着用可能センサ200aによって収集されたセンサデータを送信させる。ステップ560において、第1の着用可能センサ200aは、ワイヤレスネットワークインターフェイス304を介してコントロールデバイス300に対して収集したデータを送信する。ステップ570において、コントロールデバイス300は第2の着用可能センサ200bにワイヤレスネットワークインターフェイス304を介して指示を行い、コントロールデバイス300に対して第2の着用可能センサ200bによって収集されたセンサデータを送信させる。ステップ580において、第2の着用可能センサ200bはワイヤレスネットワークインターフェイス304を介してコントロールデバイス300に対して収集したデータを送信する。
【0077】
図6に戻ると、データ解析475、患者イベントの決定480、及びエスカレーションプロセス490のステップのプロセスがより詳細に記載される。図6は、図4bに示すデータ解析475の患者イベントの決定480及びエスカレーションプロセス490のステップの例を示す。
【0078】
脳卒中を有する患者の兆候の1つは、顔、腕又は足の、特に身体の片側での突然の麻痺ないし無感覚(sudden numbness)又は反応・動きの弱さないし鈍さ(weakness)である。このことは、患者の脳卒中イベントの間に、患者が非対称な身体の動きになりやすい(susceptible)ことを意味する。
【0079】
図8を参照して、身体の対称性の軸についての基準(reference)がここで議論される。図8は、第1の軸800を含む患者の身体110の斜視図を示す。第1の軸は、身体110の垂直軸又は縦軸としても知られる。身体は、第2の軸802及び第3の軸804も有する。第2の軸802は、身体110の横断軸としても知られる。第3の軸804は、身体110の矢状断面軸(前後軸:sagittal axis)としても知られる。
【0080】
図8は、第1の平面810を有する身体110も示し、第1の軸800及び第3の軸804が延在する(lie)矢状面(前後平面:sagittal plan)810としても知られる。身体110は、第2の平面808を含み、横断面808としても知られ、第2の軸802及び第3の軸804が延在する。身体110は、第3の平面806も含み、前頭面としても知られ、第1の軸800及び第2の軸802が延在する。
【0081】
この仕方において、身体の動きの対称性は、身体110の1以上の平面806、808、810の何れかのサイドにおける第1の動き及び第2の動きの類似性に関連する。つまり、身体の動きの非対称性は、身体110の1以上の平面806、808、810の何れかのサイドにおける第1の動き及び第2の動きの非類似性に関連する。この仕方において、身体110の平面806、808、810は、身体110の動きに関する対称性の平面(対称面)でもある。
【0082】
明瞭化を目的として、第1の平面810の対称性についてのみ参照(reference)がなされる。有利には、脳卒中検出という目的に関して第1の平面810の対称性を使用することは、ユーザの脳の半球(複数)において発現(expressed)される基本面(fundamental plane)の対称性を反映する。しかしながら、身体110の動きの対称性の参照は、第1の、第2及び/又は第3の平面806、808、810のいずれかの対称性についてであり得る。第1の平面810の対称性は、身体110を左手側812と右手側814とに分割する。脳卒中の1つの兆候は、矢状面810の対称性についての特に身体の片側上の、顔、腕又は足の突然の麻痺又は動きの弱さであり得る。
【0083】
一例では、図6のステップ600に示すように、患者100は、1以上の予め定められたジェスチャを実行するように促される。コントロールデバイス300は、一度あるシステム状態が該当すると(once a system condition has been met)、予め定められたジェスチャを実行するように患者100を促し得る。一例において、システム状態は、現状の患者の罹患状態に関する閾値が超過しているというものである。現状の患者の罹患状態の蓋然性の決定は、GB1820892.6において議論され、その全体が引用によって本願に組み込まれる。
【0084】
他の例において、システム状態は、コントロールデバイス300が、タイマー、外部のリクエスト又は患者100からのリクエストに基づいて患者100を促すというものであり得る。例えば、リモート医師が、コントロールデバイス300に対してリクエストして、予め定められたジェスチャを実行するよう患者100を促すことができる。あるいは、患者100は、健常(well)と感じることができないことがあり、そして脳卒中を患っているか否かをチェックしたいと望む場合があり得る。
【0085】
その場合に、コントロールデバイス300は、患者100に対して1以上のジェスチャを実行するように指示する。患者100は、ステップ602に示すように第1のジェスチャを実行する。次に、患者100は、ステップ604に示すように第2のジェスチャを実行する。いくつかの例において、第1及び第2のジェスチャは同時に実行される。この仕方において、第1のジェスチャは患者の身体110の第1の部分によって行うことができ、そして、第2のジェスチャは患者の身体110の第2の部分によって行うことができる。例えば、患者の右手首104aが第1のジェスチャを行うことができ、そして、患者の左手首104bが第2のジェスチャを行うことができる。
【0086】
異なる時に第1及び第2の動きが実行される例の1つは、患者が一方の足(ないし脚:leg)を動かす図14a~14e示される。図14a~14fは、本出願の一例に従って患者100によって実行される一連の足ジェスチャを示す。図14a~14eにおいて第1の足1400が動かされ、そして次に同一の動きが他の足1402で繰り返される。足1400の動きは、図14a、14b、14cに示すように、股関節において後方及び前方へ行われ得る。追加的に又はその代わりに、足の動きは、図14eに示すように膝関節で、又は図14fに示すように足首の関節で行われ得る。
【0087】
いくつかの例において、コントロールデバイス300は、ステップ602、604において、患者100のために、実行すべき第1及び第2のジェスチャをスクリーン上に表示する。コントロールデバイス300は、患者100が後に続いて同じ動きを繰り返すことができるように、予め定められたジェスチャのアニメーションを表示する。あるいは、コントロールデバイス300は、両手又は両足を用いて対称的な動きを実行するように患者100を促し、そしてどの対称的な動きを実行すべきかの決定を患者100に任せることができる。
【0088】
任意的に他の一例において、コントロールデバイス300は、第1及び第2のジェスチャを実行するよう患者100を促すことはしない。このケースでは、患者100は、コントロールデバイス300からの促し無しに第1及び第2のジェスチャを実行する。例えば、患者100は、医師によって周期的に第1及び第2のジェスチャを実行するように指示されていることがあり得、そして、コントロールデバイス300はその際に以前に議論したようにステップ475において動作データを解析する。
【0089】
一例において、第1の着用可能センサ200aは患者の右手首104aにマウントされ、そして第2の着用可能センサ200bは患者の左手首104bにマウントされる。このことは、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャが患者の身体110の対称面(例えば矢状面)810の対向する両サイド(opposite sides)で行われることを意味する。
【0090】
第1及び第2の着用可能センサ200a、200bは、ジェスチャが実行される間に、患者の身体110の第1の部分によって行われる動き及び患者の身体110の第2の部分によって行われる動きを測定する。第1及び第2の着用可能センサ200a、200bは、平面810上の対称性に関して、右手首104a及び左手首104bの動きの加速度、速度、タイミング、距離、範囲の1つ以上を測定する。第1及び第2の着用可能センサ200a、200bは、第1及び第2の動きがぎくしゃくしている(jerky)か又は自然にスムーズであるかを測定することもできる。
【0091】
この仕方において、コントロールデバイス300は、ステップ475において第1及び第2の着用可能センサ200a、200bからの動作データを解析して、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャの動きの間に顕著(ないし有意)な違いがあるかを決定する。
【0092】
例えば、コントロールデバイス300は、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャの速度(velocity, speed)又は加速度が異なり得ることを決定することができる。例えば、コントロールデバイス300は、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャの動きの範囲が異なり得ることを決定することができる。例えば、コントロールデバイス300は、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャの動きの方向が異なり得ることを決定することができる。例えば、コントロールデバイス300は、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャの回転の範囲が異なり得ることを決定することができる。例えば、コントロールデバイス300は、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャのタイミングが異なり得ることを決定することができる。
【0093】
コントロールデバイス300は、ステップ606に示すように、その際に第1及び第2のジェスチャが対称であるか否かを決定する。
【0094】
いくつかの例において、第1及び第2のジェスチャは、患者100が右手首104a及び左手首104bを一緒に動かして、シンプルな拍手を実行することを求める。種々の他のジェスチャは、追加的に又はその代わりに実行され得る。図9a~9h、10a~10e、11a~11e、12a~12i、13a~13c、14a~14f及び15a~15bは、ステップ602、604及び/又は612の間に実行する患者100にとって他の可能なジェスチャを示し、後に更に詳細に議論される。
【0095】
コントロールデバイス300は、第1及び第2のジェスチャの動作データに関する違いを決定する。いくつかの例において、コントロールデバイス300は、違いが予め定められた閾値を上回る時に、第1及び第2のジェスチャが非対称であることを決定する。いくつかの例において、コントロールデバイス300は、第1及び第2のジェスチャの間の動作データの違いが5%、10%、20%、30%、40%又は50%の違いを上回る時に、非対称的な動きが存在することを決定する。例えば、コントロールデバイス300は、患者の右手首104aが患者の左手首104bよりも10%よりすばやく、そして10%より大きな範囲にわたって動くことを決定する。いくつかの他の例において、コントロールデバイス300は、第1及び第2のジェスチャの動作データと関連した活動測定値及び/又はエネルギー消費を決定する。つまり、コントロールデバイス300は、活動測定値及び/又はエネルギー消費の違いが予め定められた閾値を上回る時に、第1及び第2のジェスチャが非対称であると決定する。いくつかの例において、コントロールデバイス300は、第1及び第2のジェスチャの間の動作データと関連した活動測定値及び/又はエネルギー消費の違いが5%、10%、20%、30%、40%又は50%の違いを上回る時に、非対称的な動きが存在することを決定する。
【0096】
いくつかの例において、患者の身体110の非対称な動きを決定するための違いの閾値は、ダイナミック(動的)であり得る。いくつかの例において、違いの閾値は、患者の特徴(例えば、健康状態、年齢、性別、又は患者の身体110動きに対して影響し得るいずれかの他の適切なパラメータ)に基づいて変更され得る。
【0097】
いくつかの例において、コントロールデバイス300は、患者の患者の身体110に関する履歴的な(historical)動作データに基づいて予め定められた閾値を決定するように構成される。このことは、第1及び第2のジェスチャが患者の履歴的な動作データに関して顕著(有意)に非対称であるか否かをコントロールデバイス300が決定し得ることを意味する。例えば、患者100は、患者100の非対称な動きに結果として表れ得る過去の傷に起因して、患者の身体の一部分において限定された動きを有し得る。この仕方において、コントロールデバイス300は、非対称な挙動を脳卒中状態に起因するものでないとして無視することができる。
【0098】
いくつかの例において、コントロールデバイス300は、患者100の特徴に関連する1つ以上の事前設定(pre-sets)に基づいて予め定められた閾値を決定するように構成される。例えば、プレゼント[present, sic, preset:事前設定]は、若い患者又は年配の患者に関連する動きを記載し得る。追加的に、事前設定は、非活動的、活発等など、患者100の他の特徴に関連する。
【0099】
ステップ606に示すように第1及び第2のジェスチャが非対称であることをコントロールデバイス300が決定する時に、コントロールデバイス300はエスカレーションプロセスステップ490を実行することができる。いくつかの例において、コントロールデバイス300は、ステップ608に示すようにエスカレートして医療サービス(機関)に対してコンタクトすることができる。
【0100】
第1及び第2のジェスチャが対称であるとコントロールデバイス300が決定する場合には、その際にコントロールデバイス300はステップ610に示すようにアラートをキャンセルすることができる。アラートがキャンセルされた後に、コントロールデバイス300は、図4a、4bを参照して議論したように着用可能センサ200a、200bから受信するデータの受信及び解析を継続する。
【0101】
患者100が第1及び第2のジェスチャを実行するステップ602、604は、任意的に同時に実行される。例えば、患者100が一緒に手をたたくように促された場合には、互いに向かって動く右手首104a及び左手首104bの第1及び第2のジェスチャが着用可能センサ200a、200bによって同時に測定されるだろう。
【0102】
追加的に又はその代わりに、ステップ602、604が異なる時に実行され得る。例えば、第1のジェスチャ及び第2のジェスチャは、患者100によって異なる時に実行され得る。例えば、患者100は、右手首104aにマウントされた着用可能センサ200aを用いて第1のジェスチャを実行し、その後に左手首104bにマウントされた着用可能センサ200bを用いて第2のジェスチャを実行することができる。任意的にステップ480における患者イベントの決定は、第1のジェスチャを実行した後で第2のジェスチャを実行する前に患者が着用可能センサ200aを右手首104aから左手首104bへ移し替えることによって、単一の着用可能センサ200aを用いて実行することができる。
【0103】
任意的に、第1及び第2のジェスチャの間に非対称な動きが存在することの決定606の際に、コントロールデバイス300は、ステップ612に示すように患者100に対して追加の動きを実行するように促すことができる。コントロールデバイス300は、類似の又はより複雑な予め定められたジェスチャを実行するように患者100を促すことができる。追加のジェスチャは、コントロールデバイス300によって、ボーダーラインケースに関する非対称な身体の動きの存在を決定することに使用され得る。あるいは、患者100又はリモート医師は、ダブルチェックとして患者100によって実行される追加の動きをリクエストすることができる。
【0104】
ステップ614において次にコントロールデバイス300は、ステップ612において実行された追加のジェスチャが非対称であるか否かを決定する。614の決定ステップは、ステップ606に類似する。追加のジェスチャが非対称であるとコントロールデバイス300が決定する場合には、次にコントロールデバイス300は上述のようにステップ608において医療サービスへエスカレートする。同様に、追加のジェスチャが実際に対称であるとコントロールデバイス300が決定する場合には、次にコントロールデバイスは上記議論したようにステップ610においてアラートをキャンセルする。
【0105】
任意的に、一例において、ステップ612又はステップ606は、医療サービスがアラートされるべきか否かを決定するために、患者100に関する更なるテストを追加的に含むことができる。いくつかの例において、更なるテストは、ステップ606又は612において患者がジェスチャを実行する前に実行される必要があり得る。あるいは、更なるテストは、ステップ606又は612において患者がジェスチャを実行した後に実行される必要があり得る。
【0106】
例えば、コントロールデバイス300は、コントロールデバイス300のディスプレイ上で患者100に対して提示されるカウントダウンアラート(緊急アラート)700を表示し得る。カウントダウンアラート700は、コントロールデバイス300がステップ608に移行して医療サービスに対してアラートを発する前の数秒(ないし十数秒)間のカウントダウンを示すシンプルなカウントダウンアラートを含み得る。患者100は、いつでもカウントダウンをキャンセルするオプションを有する。患者100がカウントダウンアラートに対する応答に失敗する場合には、コントロールデバイス300はステップ608へ直接的に移行して医療サービスに対してアラートを発するだろう。患者100が必要とされるキャンセルタスク(例えば、キャンセルボタンを押す)を実行することによってカウントダウンをキャンセルする場合には、患者100はエスカレーションプロセスをリセットするオプションの提示を受ける。あるいは、患者100が何かが悪いままであると感じる場合には、患者100は、ステップ608へ直接的に移行して医療サービスに対してアラートを発するオプションの提示を受けることもできる。
【0107】
1つの任意的な例において、患者100は、ユーザテストの全てが成功裏に完了するまで、カウントダウンアラートをキャンセルすることができない。一例において、2パート式(ないし2ウェイ式)のカウントダウン(two-part countdown)が使用される。カウントダウン1は短期間のカウントダウン(例えば60秒未満)であり、患者100によってキャンセルされ得る。カウントダウン2はより長期間のカウントダウン(例えば60秒を上回る)であり、患者100テストの全てを成功裏に完了することによってのみキャンセルされ得る。
【0108】
他の任意的な一例において、患者100は、710に示すように単純なメンタル上の計算を実行するなどの単純な認知症テストを実行することを追加的に求められる。患者100が更なるテスト700、710に失敗したとコントロールデバイス300が決定する場合に、次にコントロールデバイス300はステップ608においてエスカレートして医療サービスに対してアラートを発することができる。
【0109】
患者の動きの非対称を決定するための他のジェスチャは、図9a~9h、10a~10e、11a~11e、12a~12i、13a~13c、14a~14f及び15a~15bを参照してここで記載される。
【0110】
図9a~9h、10a~10e、11a~11e、12a~12i、13a~13c、14a~14f及び15a~15bは、本出願の例に従って患者100によって実行される一連のジェスチャを示す。
【0111】
図9a~9dは、下向きに指し示す方向から頭上で上向きに指し示す方向へ患者100が右腕を動かすことを示す。図9e~9hは、下向きに指し示す方向から頭上で上向きに指し示す方向へ患者が左腕902を動かすことを示す。図9a~9dにおけるジェスチャは、図9e~9hにおけるジェスチャを鏡写する。ジェスチャは、矢状面810の対称性に関して鏡写される。この仕方において、脳卒中検出装置102は、上記図4a、4bを参照して上述されるように、動きの間に非対称が存在するか否かを決定することができる。図9a~9hに示されるジェスチャは、同時に又は異なる時に実行され得る。患者100は、前頭面806に対して平行な平面上で腕900、902を動かしている。
【0112】
図10a~10eは、図10aにおける腕を尻上に休めた第1の位置から、図10eにおける腕900、902が頭上で上向きを指し示す位置まで患者100が腕900、902を動かす、一連の腕ジェスチャを示す。図10a~10eにおけるジェスチャは、両腕900、902が同時に動かされることを除いて、図9a~9hに示すジェスチャと類似する。10a~10eに示すジェスチャは、矢状面810の対称性に関して、患者の動きの非対称性を決定することに使用することができる。患者100は、両腕900、902を、前頭面806に対して平行な平面上で動かしている。
【0113】
図11a~11eは、図10a~10eに類似の一連の腕ジェスチャを再度示す。しかしながら、図11a~11eにおいて、(最初に)患者の右腕900は尻上で休んでおり、そして患者の左腕902は頭上に上げられている。患者は、次に、右腕及び左腕900、902それぞれを、図11e示す位置まで上げる及び下げるように進む。患者100は、次に、このプロセスを繰り返して、図11aにおける最初の位置まで戻ることができる。図11a~11eにおけるジェスチャは、両腕900、902を協動(coordinate)する認知能力の要素を必要とするので、患者100にとって実行することが有用であり得る。両腕900、902を協動することについての患者の不能は、脳卒中状態の他の指標であり得る。
【0114】
図12a~12iは、図10a~10eに類似の一連の腕ジェスチャを再度示す。しかしながら、患者100は、図12cに示す左腕902が肩の上に来るまで反時計周りの方向で両腕900、902を振る。次に、患者100は、図12iに示すように右腕900が肩の上に来るまで時計周りの方向で両腕900、902を下方及び上方へ振る。再度、図12a~12iのジェスチャは、両腕900、902を協動する認知能力の要素を必要とするので、患者100にとって実行することが有用であり得る。
【0115】
図13a~13cは、患者100の一連の腕ジェスチャを示す。患者100は、矢状面810に対して平行な平面上で両腕900、902を動かす。患者100は、横断面808を通過して両腕を動かして、図13aに示される頭上の第1の位置から図13cに示すような横側の第2の位置まで下げるように回転させる。
【0116】
図14a~14fは、一連の足(脚)ジェスチャであり、上記で議論されている。
【0117】
図15a及び15bは、腕ジェスチャの他のシリーズを示す。図15aに示すように肩の高さで患者の横側から外側を指し示す両腕900、902を患者100が有している第1の位置から、一緒になって前方を指し示す両腕900、902を患者100が有している第2の位置まで、患者100は両腕900、902を動かす。患者100は、横断面808に対して平行な平面上で両腕900、902を動かす。
【0118】
他の例(複数)において、患者100は、他の動きを行うようにコントロールデバイス300によって促され得る。例えば、患者100は、円状に、自身の前で、前頭面806に対して平行な平面上で、各手を同一の又は反対の方向に、手を動かすよう求められる。追加的に又はその代わりに、患者100は、直線状の動きで上下に、自身の前で、矢状面810と平行な平面上で、各手を同一の又は反対の方向に、手を動かすよう求められる。
【0119】
他の例(複数)において、患者100は、ディアドコキネティックな動きを行うように促され得る。すなわち、指を鼻まで動かすのと交互に手拍子又は足つま先でのタッピングの動きを行うなどの急速で小さい動きである。
【0120】
このように、てんかん発作において見られ得る震え及びひきつけ(twitches)及び痙攣(jerks)などの無意識の動きからコントロールデバイス300が区別し得るように、ジェスチャは十分に複雑である。ジェスチャは、いずれの場所でも、そして、1日の内のいつでも実行され得る。このことは、コントロールデバイス300によって促された時に、旅行中又は家から離れた時であっても、患者100がジェスチャを実行し得ることを意味する。
【0121】
有利には、コントロールデバイス300は、着用可能センサ200a、200bのみを用いてジェスチャの動きを決定することができる。このことは、患者100の動きを決定するために更なる設備を必要としないことを意味する。この仕方において、ジェスチャは、1つ以上の特定の筋肉群又は複数の筋肉群の対称的な動きを、クリアかつシンプルな仕方で実証することに使用され得る。このことは、ジェスチャが、脳卒中状態を示す非対称な動きを決定するように十分に複雑であるが、患者100にとって実行が容易であり得ることを意味する。
【0122】
他の例において、2つ以上の実施例が組み合わされる。1つの実施例の特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされ得る。
【0123】
本発明の実施例は、特に図示された実施例を参照して議論されている。しかしながら、本発明の範疇内で記載された実施例に対して変形及び変化(variations and modifications)がなされ得ると評価されるだろう。
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