(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】プラズマ発生装置、およびプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/26 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
H05H1/26
(21)【出願番号】P 2021548108
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038099
(87)【国際公開番号】W WO2021059469
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】池戸 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岩田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】白木 聡一
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】秋田 将行
【審判官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-174994(JP,A)
【文献】国際公開第2019/180839(WO,A1)
【文献】実開昭56-126981(JP,U)
【文献】実開昭57-165370(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスをプラズマ化させるための反応室が形成された装置本体と、
前記反応室内にその先端部を突出させた状態で固定される一対の電極と、
前記一対の電極間で放電を生じさせることによってプラズマ化されたプラズマガスを噴出するための第1噴出口が形成され、前記装置本体
の下面に設けられたノズルと、
前記ノズルを覆うように前記装置本体に設けられ、前記第1噴出口から噴出されたプラズマガスを外部に噴出するための第2噴出口が形成されたノズルカバーと
を備え、
前記ノズルカバーが、
前記装置本体
の下面に設けられるセラミック製のカバー本体と、
前記第2噴出口が形成され、前記カバー本体に設けられる金属製のカバー部と
により構成され
、
前記ノズルと前記カバー本体とはボルトで前記装置本体の下面に固定されるプラズマ発生装置。
【請求項2】
前記カバー部が、
前記カバー本体から離れる方向に延び出す形状とされた
請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記ノズルが、
前記装置本体に固定されるノズル本体と、
前記第1噴出口が形成され、前記ノズル本体に固定されるノズル先端と
により構成されており、
前記ノズル先端が、
前記ノズル本体から離れる方向に延び出す形状とされており、前記カバー部の内部に挿入された
請求項1または
請求項2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記ノズルのノズル先端の下端と、前記ノズルカバーのカバー先端の下端とは、同じ高さに位置する請求項1乃至
請求項3のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
装置本体の内部に形成された反応室内にその先端部を突出させた状態で固定される一対の電極間で放電を生じさせることによって
、前記装置本体の下面に設けられたノズルの第1噴出口からプラズマガスを被処理体に向って噴出するプラズマガス噴出工程と、
前記装置本体の下面に設けられるセラミック製のカバー本体と、前記第2噴出口が形成されて前記カバー本体に設けられる金属製のカバー部とにより構成されるノズルカバーの前記第2噴出口からシールドガスを、前記第1噴出口から噴出されたプラズマガスに向っ
て噴出することで、プラズマガスをシールドするシールドガス噴出工程と
を含むプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマガスを噴出するプラズマ発生装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ発生装置には、反応室において処理ガスをプラズマ化させ、プラズマ化されたプラズマガスを、ノズルなどに形成された噴出口から噴出する構造のものがある。下記特許文献には、そのようなプラズマ発生装置の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、プラズマガスを噴出口から噴出する構造のプラズマ発生装置の実用性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書は、処理ガスをプラズマ化させるための反応室が形成された装置本体と、前記反応室内にその先端部を突出させた状態で固定される一対の電極と、前記一対の電極間で放電を生じさせることによってプラズマ化されたプラズマガスを噴出するための第1噴出口が形成され、前記装置本体の下面に設けられたノズルと、前記ノズルを覆うように前記装置本体に設けられ、前記第1噴出口から噴出されたプラズマガスを外部に噴出するための第2噴出口が形成されたノズルカバーとを備え、前記ノズルカバーが、前記装置本体の下面に設けられるセラミック製のカバー本体と、前記第2噴出口が形成され、前記カバー本体に設けられる金属製のカバー部とにより構成され、前記ノズルと前記カバー本体とはボルトで前記装置本体の下面に固定されるプラズマ発生装置を開示する。
【0007】
また、本明細書は、装置本体の内部に形成された反応室内にその先端部を突出させた状態で固定される一対の電極間で放電を生じさせることによって、前記装置本体の下面に設けられたノズルの第1噴出口からプラズマガスを被処理体に向って噴出するプラズマガス噴出工程と、前記装置本体の下面に設けられるセラミック製のカバー本体と、前記第2噴出口が形成されて前記カバー本体に設けられる金属製のカバー部とにより構成されるノズルカバーの前記第2噴出口からシールドガスを、前記第1噴出口から噴出されたプラズマガスに向って噴出することで、プラズマガスをシールドするシールドガス噴出工程とを含むプラズマ処理方法を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、プラズマガスを噴出口から噴出する構造のプラズマ発生装置の実用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】電極及び本体側プラズマ通路の位置においてX方向及びZ方向にプラズマヘッドを切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0011】
図1に示すように、プラズマ装置10は、プラズマヘッド11、ロボット13、制御ボックス15を備えている。プラズマヘッド11は、ロボット13に取り付けられている。ロボット13は、例えば、シリアルリンク型ロボット(多関節型ロボットと呼ぶこともできる)である。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に保持された状態でプラズマガスを照射可能となっている。プラズマヘッド11は、ロボット13の駆動に応じて3次元的に移動可能となっている。
【0012】
制御ボックス15は、コンピュータを主体として構成され、プラズマ装置10を統括的に制御する。制御ボックス15は、プラズマヘッド11に電力を供給する電源部15A及びプラズマヘッド11へガスを供給するガス供給部15Bを有している。電源部15Aは、電源ケーブル(図示略)を介してプラズマヘッド11と接続されている。電源部15Aは、制御ボックス15の制御に基づいて、プラズマヘッド11の電極33(
図3及び
図4参照)に印加する電圧を変更する。
【0013】
また、ガス供給部15Bは、複数(本実施形態では4本)のガスチューブ19を介してプラズマヘッド11と接続されている。ガス供給部15Bは、制御ボックス15の制御に基づいて、後述する反応ガス、キャリアガス、ヒートガスをプラズマヘッド11へ供給する。制御ボックス15は、ガス供給部15Bを制御し、ガス供給部15Bからプラズマヘッド11へ供給するガスの量などを制御する。これにより、ロボット13は、制御ボックス15の制御に基づいて動作し、テーブル17の上に載置された被処理物Wに対してプラズマヘッド11からプラズマガスを照射する。
【0014】
また、制御ボックス15は、タッチパネルや各種スイッチを有する操作部15Cを備えている。制御ボックス15は、各種の設定画面や動作状態(例えば、ガス供給状態など)等を操作部15Cのタッチパネルに表示する。また、制御ボックス15は、操作部15Cに対する操作入力により各種の情報を受け付ける。
【0015】
図2に示すように、プラズマヘッド11は、プラズマ生成部21、ヒートガス供給部23等を備えている。プラズマ生成部21は、制御ボックス15のガス供給部15B(
図1参照)から供給された処理ガスをプラズマ化して、プラズマガスを生成する。ヒートガス供給部23は、ガス供給部15Bから供給されたガスを加熱してヒートガスを生成する。本実施形態のプラズマヘッド11は、プラズマ生成部21において生成したプラズマガスを、ヒートガス供給部23によって生成したヒートガスとともに、
図1に示す被処理物Wへ噴出する。プラズマヘッド11には、
図2に示す矢印の方向に上流側から下流側へと処理ガスが供給される。なお、プラズマヘッド11は、ヒートガス供給部23を備えない構成でも良い。即ち、本開示のプラズマ装置は、ヒートガスを用いない構成でも良い。
【0016】
図3及び
図4に示すように、プラズマ生成部21は、ヘッド本体部31、一対の電極33、プラズマ照射部35等を含む。なお、
図3は、一対の電極33及び後述する複数の本体側プラズマ通路71の位置に合わせて切断した断面図であり、
図4は、
図3のAA線における断面図である。ヘッド本体部31は、耐熱性の高いセラミックにより成形されており、そのヘッド本体部31の内部には、プラズマガスを発生させる反応室37が形成されている。一対の電極33の各々は、例えば、円柱形状をなしており、その先端部を反応室37に突出させた状態で固定されている。以下の説明では、一対の電極33を、単に電極33と称する場合がある。また、一対の電極33が並ぶ方向をX方向、プラズマ生成部21とヒートガス供給部23とが並ぶ方向をY方向、円柱形状の電極33の軸方向をZ方向と称して説明する。また、本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する方向である。
【0017】
ヒートガス供給部23は、ガス管41、ヒータ43、連結部45等を備えている。ガス管41及びヒータ43は、ヘッド本体部31の外周面に取り付けられ、
図4に示すカバー47によって覆われている。ガス管41は、ガスチューブ19(
図1参照)を介して、制御ボックス15のガス供給部15Bに接続されている。ガス管41には、ガス供給部15Bからガス(例えば、空気)が供給される。ヒータ43は、ガス管41の途中に取り付けられている。ヒータ43は、ガス管41を流れるガスを温めてヒートガスを生成する。
【0018】
図4に示すように、連結部45は、ガス管41をプラズマ照射部35に連結するものである。プラズマ照射部35がヘッド本体部31に取り付けられた状態では、連結部45は、一端部をガス管41に接続され、他端部をプラズマ照射部35に形成されたヒートガス通路51に接続される。ヒートガス通路51には、ガス管41を介してヒートガスが供給される。
【0019】
図4に示すように電極33の一部の外周部は、セラミックス等の絶縁体で製造された電極カバー53によって覆われている。電極カバー53は、略中空筒状をなし、長手方向の両端部に開口が形成されている。電極カバー53の内周面と電極33の外周面との間の隙間は、ガス通路55として機能する。電極カバー53の下流側の開口は、反応室37に接続されている。電極33の下端は、電極カバー53の下流側の開口から突出している。
【0020】
また、ヘッド本体部31の内部には、反応ガス流路61と、一対のキャリアガス流路63とが形成されている。反応ガス流路61は、ヘッド本体部31の略中央部に設けられ、ガスチューブ19(
図1参照)を介してガス供給部15Bと接続され、ガス供給部15Bから供給される反応ガスを反応室37へ流入させる。また、一対のキャリアガス流路63は、X方向において反応ガス流路61を間に挟んだ位置に配置されている。一対のキャリアガス流路63の各々は、ガスチューブ19(
図1参照)を介してガス供給部15Bと接続され、ガス供給部15Bからキャリアガスが供給される。キャリアガス流路63は、ガス通路55を介してキャリアガスを反応室37へ流入させる。
【0021】
反応ガス(種ガス)としては、酸素(O2)を採用できる。ガス供給部15Bは、例えば、反応ガス流路61を介して、酸素と窒素(N2)との混合気体(例えば、乾燥空気(Air))を、反応室37の電極33の間に流入させる。以下、この混合気体を、便宜的に反応ガスと呼び、酸素を種ガスと呼ぶ場合がある。キャリアガスとしては、窒素を採用できる。ガス供給部15Bは、ガス通路55の各々から、一対の電極33の各々を取り巻くようにキャリアガスを流入させる。
【0022】
一対の電極33には、制御ボックス15の電源部15Aから交流の電圧が印加される。電圧を印加することによって、例えば、
図4に示すように、反応室37内において、一対の電極33の下端の間に、擬似アークAが発生する。この擬似アークAを反応ガスが通過する際に、反応ガスは、プラズマ化される。従って、一対の電極33は、擬似アークAの放電を発生させ、反応ガスをプラズマ化し、プラズマガスを発生させる。
【0023】
また、ヘッド本体部31における反応室37の下流側の部分には、X方向に間隔を隔てて並び、Z方向に伸びて形成された複数(本実施例においては、6本)の本体側プラズマ通路71が形成されている。複数の本体側プラズマ通路71の上流側の端部は、反応室37に接続されている。
【0024】
プラズマ照射部35は、ノズル73、ノズルカバー75等を備えている。ノズル73は、X方向からの側面視において概してT字形をなし、ノズル本体77とノズル先端79とにより構成されている。なお、ノズル73は、ノズル本体77とノズル先端79とによる一体物であり、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。ノズル本体77は、概してフランジ形状をなし、ボルト80により、ヘッド本体部31の下面に固定されている。また、ノズル先端79は、ノズル本体77の下面から下方に向って延び出す形状とされている。そして、ノズル73には、ノズル本体77とノズル先端79とを上下方向、つまり、Z方向に貫通する複数(本実施例においては、6本)のノズル側プラズマ通路81が形成されており、それら複数のノズル側プラズマ通路81は、X方向に間隔を隔てて並んでいる。なお、複数のノズル側プラズマ通路81は、Z方向において複数の本体側プラズマ通路71と同じ位置に形成されている。このため、本体側プラズマ通路71とノズル側プラズマ通路81とは連通している。
【0025】
ノズルカバー75は、
図4~
図6に示すように、X方向からの側面視において概してT字形をなし、カバー本体85、カバー先端87を備えている。カバー本体85とカバー先端87とは別部材であり、カバー本体85はセラミックにより成形されており、カバー先端87は金属、具体的には、ステンレスにより成形されている。
【0026】
カバー本体85は、板厚の概して板形状とされており、カバー本体85には、上面に開口するとともに、Z方向に凹んだ形状の凹部89が形成されている。そして、その凹部89にノズル73のノズル本体77が収納されるように、カバー本体85が、ボルト90によりヘッド本体部31の下面に固定されている。さらに、カバー本体85には、Y方向に延びるように、ヒートガス通路51が形成されており、そのヒートガス通路51の一端部が、凹部89に開口し、ヒートガス通路51の他端部が、カバー本体85の側面に開口している。そして、カバー本体85の側面に開口するヒートガス通路51の端部が、上記したヒートガス供給部23の連結部45に連結されている。
【0027】
カバー先端87は、カバー本体85の厚さ寸法と同程度の板形状とされており、カバー本体85の下面から下方に向って延び出すように、そのカバー本体85の下面にボルト91により固定されている。カバー先端87には、Z方向に貫通する1つの貫通孔93が形成されており、その貫通孔93の上端部は、カバー本体85の凹部89に連通している。そして、その貫通孔93に、ノズル73のノズル先端79が挿入されている。これにより、ノズル73は、ノズルカバー75により全体的に覆われている。なお、ノズル73のノズル先端79の下端と、ノズルカバー75のカバー先端87の下端とは、同じ高さに位置している。
【0028】
また、ノズル73がノズルカバー75により覆われた状態において、ノズルカバー75の凹部89の内部にノズル73のノズル本体77が位置し、ノズルカバー75の貫通孔93の内部にノズル73のノズル先端79が位置する。このような状態において、凹部89とノズル本体77との間及び、貫通孔93とノズル先端79との間に隙間が存在し、その隙間がヒートガス出力通路95として機能する。ヒートガス出力通路95には、ヒートガス通路51を経てヒートガスが供給される。
【0029】
このような構造により、反応室37で発生したプラズマガスは、キャリアガスとともに、本体側プラズマ通路71及びノズル側プラズマ通路81を流れ、ノズル側プラズマ通路81の下端の開口81Aから噴出される。また、ガス管41からヒートガス通路51へ供給されたヒートガスは、ヒートガス出力通路95を流れる。このヒートガスは、プラズマガスを保護するシールドガスとして機能するものである。ヒートガスは、ヒートガス出力通路95を流れ、ヒートガス出力通路95の下端の開口95Aからプラズマガスの噴出方向に沿って噴出される。この際、ヒートガスは、ノズル側プラズマ通路81の開口81Aから噴出されるプラズマガスの周囲を取り巻くように噴出される。このように、加熱したヒートガスをプラズマガスの周囲に噴出することで、プラズマガスの効能(濡れ性など)を高めることができる。
【0030】
因みに、プラズマ装置10は、プラズマ発生装置の一例である。ヒートガス供給部23は、噴出装置の一例である。ヘッド本体部31は、装置本体の一例である。反応室37は、反応室の一例である。ノズル73は、ノズルの一例である。ノズルカバー75は、ノズルカバーの一例である。ノズル本体77は、ノズル本体の一例である。ノズル先端79は、ノズル先端の一例である。ノズル側プラズマ通路81の開口81Aは、第1噴出口の一例である。カバー本体85は、カバー本体の一例である。カバー先端87は、カバー部の一例である。ヒートガス出力通路95の開口95Aは、第2噴出口の一例である。ヒートガスは、シールガスの一例である。
【0031】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0032】
プラズマヘッド11では、セラミック製のノズル73が、金属製のカバー先端87を有するノズルカバー75により覆われている。これにより、ノズル73の破損を防止することができる。つまり、ノズル73は、セラミックにより成形されているため、脆く破損しやすい。一方、ノズルカバー75の先端部であるカバー先端87は、金属により成形されており、破損し難い。このため、プラズマヘッド11によるプラズマ照射時などにおいて、プラズマヘッド11の先端が被処理物Wなどに接触しても、ノズル73は、金属製のノズルカバー75により保護されることで、ノズル73の破損が防止される。また、セラミックは比較的高価であるが、金属は安価である。このため、カバー先端87が破損,変形等しても、コストを抑えてカバー先端87を交換することができる。
【0033】
また、ノズルカバー75は、上述したように、カバー本体85とカバー先端87とにより構成されており、カバー本体85はセラミックにより成形され、カバー先端87はステンレスにより成形されている。これにより、適切なプラズマ化を担保するとともに、コストダウンを図ることができる。つまり、ノズルカバー全体を金属により成形すれば、コストダウンを図ることができるが、ヘッド本体部31の反応室37に近いノズルカバーの上端部、つまり、カバー本体85が金属製であると、反応室37での電極33への印加により、カバー本体85の周辺において放電が生じる場合がある。このような場合には、反応室37以外での放電により、適切なプラズマ化を担保することができない。そこで、反応室37に近いカバー本体85がセラミックにより成形され、反応室37から離れているカバー先端87は金属により成形されている。これにより、適切なプラズマ化を担保するとともに、コストダウンを図ることができる。
【0034】
さらに言えば、金属製のカバー先端87は、カバー本体85から離れる方向に延び出す形状とされている。つまり、金属製のカバー先端87は、反応室37から離れる方向に延び出す形状とされている。これにより、反応室37以外での放電を更に好適に防止することが可能となり、適切なプラズマ化を更に担保することができる。
【0035】
また、ノズル73のノズル先端79も、ノズルカバー75のカバー先端87と同様に、ノズル本体77から離れる方向、つまり、下方に延び出す形状とされている。そして、下方に延び出すノズル先端79は、下方に延び出すカバー先端87の内部に挿入されている。これにより、ノズル先端79の開口81Aから噴出されるプラズマガスを適切にノズルカバー75の外部に噴出することができる。
【0036】
また、プラズマヘッド11では、ノズル73とノズルカバー75との間に加熱したヒートガスが流されており、その加熱したヒートガスがプラズマガスの周囲に噴出される。これにより、上述したように、プラズマガスの効能(濡れ性など)を高めることができる。
【0037】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、プラズマヘッド11では、ノズル73とノズルカバー75との間にヒートガスが流されているが、ヒートガスを流さなくてもよい。つまり、ノズルカバー75を、ノズル73を保護するためのカバーとしてのみ配設してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、1台のプラズマヘッド11からプラズマガスとヒートガスとが噴出されているが、2台のヘッドからプラズマガスとヒートガスとが噴出されてもよい。つまり、1台のヘッドからプラズマガスを噴出し、そのヘッドと異なるヘッドからヒートガスを噴出してもよい。また、1台のヘッドに、ノズル側プラズマ通路81とヒートガス出力通路95とを異なる位置に形成し、それぞれの通路から、プラズマガスとヒートガスとを噴出してもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、ノズル73及び、ノズルカバー75がヘッド本体部31に固定されているが、単に設けられていてもよい。つまり、ノズル本体77が、ヘッド本体部31に設けられていればよい。また、ノズル先端79もノズル本体77に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0040】
10:プラズマ装置(プラズマ発生装置)、23:ヒートガス供給部(噴出装置)、31:ヘッド本体部(装置本体)、37:反応室、73:ノズル、75:ノズルカバー、77:ノズル本体、79:ノズル先端、81A:開口(第1噴出口)、85:カバー本体、87:カバー先端(カバー部)、95A:開口(第2噴出口)