(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】貨物用輸送台を輸送するための輸送装置、貨物用輸送台、および受け取り装置を含むシステム
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/14 20060101AFI20240328BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B23Q7/14
B23Q7/00 E
(21)【出願番号】P 2021564742
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2019085067
(87)【国際公開番号】W WO2020221470
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】102019111401.2
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506381599
【氏名又は名称】ディッケル マホ プロンテン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル トレンクル
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン リーデル
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-287354(JP,A)
【文献】特開平03-196937(JP,A)
【文献】特開2001-138168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00,7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部領域上を自由に移動可能な輸送車両、および前記輸送車両上に設けられた荷役装置を含む輸送装置と、
前記荷役装置によって受け取り可能であり、少なくとも1つの第1位置合わせ部を含む貨物用輸送台と、
前記基部領域上に設
置された、または前記基部領域上に設置された機械上に配置
された前記貨物用輸送台を受け取るための受け取り装置と、
を含み、
前記荷役装置は、前記貨物用輸送台が、前記荷役装置によって前記受け取り装置上に挿
入された場合に、前記貨物用輸送台が前記荷役装置に対して移動可能に保たれるように、前記貨物用輸送台を保持するように構成され、
前記受け取り装置は、前記貨物用輸送台が挿
入された場合に、前記受け取り装置に対して前記貨物用輸送台を位置合わせするための前記貨物用輸送台の前記少なくとも1つの第1位置合わせ部と相互作用するように構成された第2位置合わせ部を含むことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記貨物用輸送台の前記第1位置合わせ部は、前記輸送車両とは反対側を向いている前記貨物用輸送台の面上に、または、前記輸送車両側を向いている前記貨物用輸送台の面上に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記貨物用輸送台の前記少なくとも1つの第1位置合わせ部と、対応する前記受け取り装置の前記少なくとも1つの第2位置合わせ部とは、1つ以上のボルトと、1つ以上のプリズムと、の組合せとして構成され、前記貨物用輸送台は、前記ボルトまたは前記プリズムを含み、前記受け取り装置は、対応して、前記プリズムまたは前記ボルトを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記荷役装置は、前記貨物用輸送台が保持される支持部を含む特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記荷役装置は、軸受け機構を含み、前記軸受け機構は、前記貨物用輸送台を保持し、前記荷役装置に対して移動可能に保つように構成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記軸受け機構は、摺動軸受け部および/またはローラーおよび/またはボールローラーを含むことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記荷役装置は、前記輸送装置による輸送中に、前記貨物用輸送台が前記荷役装置から落下することを防ぐように構成された、前記貨物用輸送台のための少なくとも1つの固定部を有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記荷役装置の前記貨物用輸送台のための前記固定部は、前記輸送車両とは反対側を向いている第1固定部と、前記輸送車両側を向いている第2固定部と、を含むことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記貨物用輸送台のための前記固定部の前記第1固定部および/または前記第2固定部は、前記貨物用輸送台の輸送中に、前記荷役装置に対する前記貨物用輸送台の相対的な移動がないように、停止部として構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2固定部は、前記貨物用輸送台の輸送中に、前記貨物用輸送台が転倒したり、前記荷役装置から外れたりすることを防ぐように、後方把持部を含むことを特徴とする、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記貨物用輸送台の前記固定部の前記第1固定部および/または前記第2固定部は、ボルトとプリズムとの組み合わせとして構成されていることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記荷役装置は、第1部分と、前記第1部分に対して移動可能な第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記第1部分に対して延在または格納可能であり、前記第2部分の延在または格納可能によって、前記第2部分と前記輸送車両との間の相対距離は、増加または減少することを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記荷役装置は、第1部分と、前記第1部分に対して移動可能な第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記第1部分に対して延在または格納可能であり、前記第2部分の延在または格納可能によって、前記第2部分と前記輸送車両との間の相対距離は、増加または減少し、
前記貨物用輸送台の前記固定部の前記第2固定部は、前記第1部分上に設けられ、
前記貨物用輸送台の前記固定部の前記第1固定部は、前記第1部分に対して移動可能な前記第2部分上に設けられていることを特徴とする、請求項8ないし11のいずれか1
項に記載のシステム。
【請求項14】
前記荷役装置は、付勢部、特にばね部を含み、前記付勢部は、前記貨物用輸送台を、前記貨物用輸送台のための前記固定部の前記第1固定部に対して付勢することを特徴とする、請求項8ないし
11、または13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記荷役装置は、輸送フォークとして構成されていることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記輸送車両は、無人輸送車両として構成されていることを特徴とする、請求項1ない
し15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載のシステムにおける使用のための輸送装置であって、
基部領域上に設置可能、または前記基部領域上に設置された機械上に配置可能な受け取り装置に対して、前記貨物用輸送台を位置決めするために、前記基部領域上を自由に移動可能な輸送車両と、
前記輸送装置上に設けられ、前記受け取り装置上で前記貨物用輸送台を挿
入し、輸送中に前記貨物用輸送台を保持するように構成された荷役装置と、
を含み、
前記荷役装置は、前記荷役装置によって挿
入作業が行われた場合に、前記貨物用輸送台が前記荷役装置に対して移動可能に保たれるように、前記貨物用輸送台を保持するように構成されている、輸送装置。
【請求項18】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載のシステムにおける使用のための貨物用輸送台であって、
挿
入の作業中に輸送装置の荷役装置によって移動可能に保持されるように構成され、受け取り装置上で受け取るための部分と、
前記受け取り装置上で前記貨物用輸送台の挿
入作業中に、前記受け取り装置に対して前記貨物用輸送台を位置合わせするための前記受け取り装置上に設けられた少なくとも1つの第2位置合わせ部と相互作用するように構成された少なくとも1つの第1位置合わせ部と、
を含む、貨物用輸送台。
【請求項19】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載のシステムにおける使用のための受け取り装置であって、
前記受け取り装置は、貨物用輸送台を受け取るように構成され、少なくとも1つの第2位置合わせ部を含み、
前記少なくとも1つの第2位置合わせ部は、前記受け取り装置上で前記貨物用輸送台の挿
入作業中に、前記受け取り装置に対して前記貨物用輸送台を位置合わせする前記貨物用輸送台の少なくとも1つの第1位置合わせ部と相互作用するように構成されている、受け取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物用輸送台を輸送するための輸送装置、貨物用輸送台、および受け取り装置を含むシステムに関する。本発明は、また、輸送装置、貨物用輸送台、および受け取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な工作機械、マシニングセンター、および倉庫の使用に加えて、製作作業または製造を自動化するために、輸送装置は、必要な部品、工具、および/または工作物をそれぞれの使用場所に運ぶためにも使用される。
【0003】
これに関連して、機械荷台/工作物荷台(パレット)またはゼロ点締め付け板(zero-point clamping plate)のような貨物用輸送台の位置的に正確な自動化された受け取りのために、それらがそれぞれ受け取り装置によって受け取られ得る前に、受け取り装置に対して位置合わせされることが特に重要である。
【0004】
ここで、自由に移動可能な輸送装置は、受け取り装置に必要とされる荷台またはゼロ点締め付け板の位置合わせをもたらすのに必要な位置決め精度を通常有していない。場合によっては、輸送装置による実現可能な位置決めと、受け取り装置の必要な位置決めと、の間に数センチメートルのずれがあることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を回避するための貨物用輸送台を輸送するための輸送装置、貨物用輸送台、および受け取り装置を含むシステムを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、上記の問題が回避される、輸送装置、貨物用輸送台、および受け取り装置を提供することである。
【0007】
これらの目的を達成するために、請求項1に係るシステム、請求項17に係る輸送装置、請求項18に係る貨物用輸送台、および請求項19に係る受け取り装置が提案される。従属項は、本発明に係るシステムの有利な例示的な実施形態に関する。
【0008】
本発明に係るシステムは、基部領域上を自由に移動可能な輸送車両、および前記輸送車両上に設けられた荷役装置を含む輸送装置と、前記荷役装置によって受け取り可能であり、少なくとも1つの第1位置合わせ部を含む貨物用輸送台と、前記基部領域上に設置可能、または前記基部領域上に設置された機械上に配置可能な前記貨物用輸送台を受け取るための受け取り装置と、を含み、前記荷役装置は、前記貨物用輸送台が、前記荷役装置によって前記受け取り装置上に挿入および/または交換される場合に、前記貨物用輸送台が前記荷役装置に対して移動可能に保たれるように、前記貨物用輸送台を保持するように構成され、前記受け取り装置は、前記貨物用輸送台が挿入および/または交換された場合に、前記受け取り装置に対して前記貨物用輸送台を位置合わせするための前記貨物用輸送台の前記少なくとも1つの第1位置合わせ部と相互作用するように構成された第2位置合わせ部を含む。
【0009】
輸送装置を、例えば浮遊支持体の形態で、貨物用輸送台を移動可能に保つ荷役装置に接
続することによって、貨物用輸送台を有する輸送装置は、受け取り装置に対して貨物用輸送台を正確に位置合わせする必要なしに、受け取り装置に近づけることができる。
【0010】
次に、貨物用輸送台が受け取り装置によって実際に受け取られる前に、貨物用輸送台の第1位置合わせ部と受け取り装置の第2位置合わせ部との間で直接接触することによって、貨物用輸送台が受け取り装置の上方で位置決めされる場合に、貨物用輸送台の位置合わせは、実行される。貨物用輸送台は、輸送装置自体の移動動作によって、または、例えば、荷役装置の部分に接触するか、荷役装置の部分を延在する(伸縮する)荷役装置の動作によって、位置決めされてもよい。
【0011】
貨物用輸送台を移動可能に保持する荷役装置との接続における位置決め動作によって、受け取り装置に対する貨物用輸送台の位置は、補正されることができ、輸送装置または荷役装置が貨物用輸送台を受け取り装置上に配置する前に、位置合わせは、行われ得る。
【0012】
この解決策の明らかな利点は、受け取り装置に対する貨物用輸送台の相対位置を補正するために、荷役装置の補償動作を実行する必要がないこと、および追加の位置合わせ駆動を用いる必要がないことである。これは、次に、輸送車両によって受け取られる装置(ここでは荷役装置)の重量をより小さくすることができるという利点をもたらし、その結果、今度は、輸送装置は、より大きな有料荷重を受け取ることができる。
【0013】
さらに、提案された解決策は、(受け取り装置に対して)貨物用輸送台の位置測定を必要としない。加えて、提案された解決策は、ほとんどメンテナンスを必要とせず、安価で、レトロフィットが容易である。
【0014】
本発明に係るシステムの有利な発展形態は、前記貨物用輸送台の前記第1位置合わせ部は、前記輸送車両から離れる方向に向かう前記貨物用輸送台の面上に、または、前記輸送車両に向かう前記貨物用輸送台の面上に設けられていることである。
【0015】
結果として、貨物用輸送台および/または受け取り装置の性質に応じて、位置合わせ部は、第1および第2位置合わせ部間の接触、その結果として、貨物用輸送台の位置合わせが確実に行われるように配置されていてもよい。上述の可能性に加えて、位置合わせ部は、貨物用輸送台上または受け取り装置上の任意の他の位置、例えば(受け取り装置の上方の貨物用輸送台の位置決め動作に対して)横方向に、設けられてもよい。
【0016】
本発明に係るシステムのさらなる有利な発展形態は、前記貨物用輸送台の前記少なくとも1つの第1位置合わせ部と、対応する前記受け取り装置の前記少なくとも1つの第2位置合わせ部とは、1つ以上のボルトと、1つ以上のプリズム(prisms)と、の組合せとして構成され、前記貨物用輸送台は、前記ボルトまたは前記プリズムを含み、前記受け取り装置は、対応して、前記プリズムまたは前記ボルトを含むことである。
【0017】
受け取り装置に対して貨物用輸送台を位置合わせするためのボルトとプリズムとの組み合わせは、1つの可能性にすぎない。この目的のために、ボルト/シリンダーと組み合わされた種々の他の形状(例えば、屋根縁輪郭(roof-edge profile)または円錐形部分などのもの)を用いてもよい。ボルト/プリズム(または任意の他の形状)の数は、また、貨物用輸送台または受け取り装置の位置合わせおよび/または性質(例えば、利用可能な設置スペース)の要件に応じて自由に選択されてもよい。
【0018】
さらに、本発明に係るシステムの有利な発展形態は、前記荷役装置は、前記貨物用輸送台が保持される支持部を含むことである。
【0019】
ここで、貨物用輸送台は、単に、(輸送フォーク(transport fork)に類似した)荷役装置の支持部上に配置され、次に、所望の受け取り装置に応じて輸送されてもよい。さらに、貨物用輸送台は、支持部に対して移動性を有するが、それは支持部上にのみ載置されるため、貨物用輸送台が受け取り装置の上方に配置されるとすぐに、受け取り装置に対して貨物用輸送台を位置合わせすることができる。
【0020】
また、本発明によるシステムの有利な発展形態は、前記荷役装置は、軸受け機構を含み、前記軸受け機構は、前記貨物用輸送台を保持し、前記荷役装置に対して移動可能に保つように構成されていることである。
【0021】
荷役装置に対する貨物用輸送台の移動性を改善するために、貨物用輸送台が荷役装置に対して移動可能に支持される軸受け機構が提供されることが有利であってもよい。この軸受け機構は、貨物用輸送台を位置合わせする場合に、接着力または摩擦力を著しく減少させてもよく、それゆえ、対応する部品の摩滅/摩耗を著しく減少させてもよい。
【0022】
したがって、この背景における本発明に係るシステムのさらなる発展形態は、前記軸受け機構は、摺動軸受け部および/またはローラーおよび/またはボールローラーを含むことである。
【0023】
言及された選択肢は、決定的なものとして理解すべきではなく、むしろ、摩擦/摩耗を減らすための他の全ての選択肢、例えば空気静圧軸受けなどが用いられてもよい。
【0024】
本発明に係るシステムの有利な発展形態は、前記荷役装置は、前記輸送装置による輸送中に、前記貨物用輸送台が前記荷役装置から落下することを防ぐように構成された、前記貨物用輸送台のための少なくとも1つの固定部を有することである。
【0025】
本発明に係るシステムのさらなる有利な発展形態は、前記荷役装置の前記貨物用輸送台のための前記固定部は、前記輸送車両とは反対側を向いている第1固定部と、前記輸送車両側を向いている第2固定部と、を含むことである。
【0026】
その結果、必要に応じて、貨物用輸送台の安全な輸送のために、複数の固定部が用いられてもよい。さらに、複数の固定部または固定部の選択肢は、貨物用輸送台の構成に応じて、全ての固定部が同時に用いられ得るわけではないにしても、異なる固定部が互いに組み合わされてもよい、という利点を提供する。
【0027】
本発明に係るシステムの有利な発展形態は、前記貨物用輸送台のための前記固定部の前記第1固定部および/または前記第2固定部は、前記貨物用輸送台の輸送中に、前記荷役装置に対する前記貨物用輸送台の相対的な移動がないように、停止部として構成されていることである。
【0028】
これは、貨物用輸送台が荷役装置上で滑ること、または、最悪の場合には、荷役装置から落下することさえも有利に防止してもよい。
【0029】
さらに、本発明に係るシステムは、 前記第2固定部は、前記貨物用輸送台の輸送中に、前記貨物用輸送台が転倒したり、前記荷役装置から外れたりすることを防ぐように、後方把持部を含むことにおいて発展されてもよい。
【0030】
貨物用輸送台の滑りおよび落下に加えて、不均一に分配された積載貨物もまた、輸送中に問題を引き起こす可能性がある。これらは、荷役装置上の貨物用輸送台の傾きにつながる可能性があり、それに応じて転倒および荷役装置からの脱落につながる可能性がある。
【0031】
これを防ぐために、貨物用輸送台が荷役装置上で転倒するのを防止するように、固定部または固定部の少なくともいくつかを構成することが意味をなす。これは、例えば、後方把持部(例えば、ボルトとプリズムとの間のぴったり合った固定部)によって達成され、その結果、例えば、ボルトがプリズムから「引き抜かれる(pulled out)」ことは、あり得ない。
【0032】
本発明に係るシステムのさらなる有利な発展形態は、前記貨物用輸送台の前記固定部の前記第1固定部および/または前記第2固定部は、ボルトとプリズムとの組み合わせとして構成されていることである。
【0033】
位置合わせ部に加えて、固定部は、また、有利にはボルトとプリズムとの組み合わせとして構成されていてもよく、ここでも再び、言及された形状は、他の形状、例えば、屋根縁輪郭、円錐形部分などによって置き換えられてもよく、または補われてもよいことが指摘される。
【0034】
本発明に係るシステムの別の有利な発展形態は、前記荷役装置は、第1部分と、前記第1部分に対して移動可能な第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第1部分に対して延在または格納可能であり、前記第2部分の延在または格納可能によって、前記第2部分と前記輸送車両との間の相対距離は、増加または減少することである。
【0035】
その結果、(例えば、貨物用輸送台が移動可能に支持/保持される荷役装置の第2部分を伸縮することによる)荷役装置による受け取り装置を介した貨物用輸送台の位置決め(または位置決め動作)は、例えば、輸送車両が受け取り装置に対してその位置をとった場合に実行されてもよい。
【0036】
しかしながら、さらに、輸送車両に対する荷役装置の位置は、延在または格納動作によっても変化されてもよく、それゆえに、貨物用輸送台は、受け取り装置の上方に位置決めされてもよい。
【0037】
本発明に係るシステムの別の有利な発展形態は、前記貨物用輸送台の前記固定部の前記第2固定部は、前記第1部分上に設けられ、前記貨物用輸送台の前記固定部の前記第1固定部は、前記第1部分に対して移動可能な前記第2部分上に設けられていることである。
【0038】
その結果、荷役装置の第2部分(例えば、その上に貨物用輸送台が移動可能に支持/保持される)を延在することによって、貨物用輸送台は、第2固定部(または概して固定部の一部)から解放されることができ、その結果、荷役装置の延在可能または格納可能な第2部分上の固定部のみが、貨物用輸送台と接触する。
【0039】
さらに、本発明に係るシステムは、有利には、前記荷役装置は、付勢部、特にばね部を含み、前記付勢部は、前記貨物用輸送台を、前記貨物用輸送台のための前記固定部の前記第1固定部に対して付勢する点で、さらに発展されてもよい。
【0040】
ここで、付勢部は、貨物用輸送台の輸送中と、受け取り装置に対する貨物用輸送台の位置決め動作中と、の両方で、貨物用輸送台と接触してもよく、貨物用輸送台の固定部の第1固定部に対して、それを付勢してもよい。
【0041】
したがって、2つのうちの後者については、第1部分に対して(伸縮自在に)延在または格納可能な荷役装置の第2部分にも、付勢部が設けられていることが有利である。
【0042】
本発明に係るシステムの別の有利な発展形態は、前記荷役装置は、輸送フォークとして構成されていることである。
【0043】
しかしながら、輸送装置の他の実施形態、例えば、輸送車両に設けられ、貨物用輸送台を取り扱うために構成された容器(receptacles)または把持部が用いられてもよい。
【0044】
本発明に係るシステムの特に有利な発展形態は、前記輸送車両は、無人輸送車両として構成されていることである。
【0045】
例えば、無線、WLANなどを介して、中央コンピューターおよび/または制御ユニットと接触する無人輸送車両を用いることにより、生産過程は、より効果的に制御され自動化され得る。これには、輸送車両の経路の最適化、工作機械/製造施設との連携なども含まれる。
【0046】
上述したような本発明に係るシステムにおける使用のための本発明に係る輸送装置は、基部領域上に設置可能、または前記基部領域上に設置された機械上に配置可能な受け取り装置に対して、前記貨物用輸送台を位置決めするために、前記基部領域上を自由に移動可能な輸送車両と、前記輸送装置上に設けられ、前記受け取り装置上で前記貨物用輸送台を挿入および/または交換し、輸送中に前記貨物用輸送台を保持するように構成された荷役装置と、を含み、前記荷役装置は、前記荷役装置によって挿入および/または交換作業が行われた場合に、前記貨物用輸送台が前記荷役装置に対して移動可能に保たれるように、前記貨物用輸送台を保持するように構成されている。
【0047】
貨物用輸送台を移動可能に保持/支持する輸送装置を含む本発明に係る輸送装置は、貨物用輸送台が(例えば、輸送車両自体によって、または荷役装置によって)受け取り装置の上方に位置決めされる場合に、受け取り装置に対して貨物用輸送台を有利に位置合わせしてもよい。
【0048】
上述したような本発明に係るシステムにおける使用のための本発明に係るよる貨物用輸送台は、挿入および/または交換の作業中に輸送装置の荷役装置によって移動可能に保持されるように構成され、受け取り装置上で受け取るための部分と、前記受け取り装置上で前記貨物用輸送台の挿入および/または交換作業中に、前記受け取り装置に対して前記貨物用輸送台を位置合わせするための前記受け取り装置上に設けられた少なくとも1つの第2位置合わせ部と相互作用するように構成された少なくとも1つの第1位置合わせ部と、を含む。
【0049】
本発明に係る貨物用輸送台と、貨物用輸送台が受け取り装置の上方に配置されるときに、受け取り装置の第2位置合わせ部と動作可能に接触する第1位置合わせ部とは、貨物用輸送台が実際に受け取り装置によって受け取られる前に(例えば、貨物用輸送台が荷役装置によって降下させられているときにクランプコーン(clamping cones)上で)、受け取り装置に対して貨物用輸送台が位置合わせされることを可能にする。
【0050】
上述したような本発明に係るシステムにおける使用のための本発明に係るよる受け取り装置であって、前記受け取り装置は、貨物用輸送台を受け取るように構成され、少なくとも1つの第2位置合わせ部を含み、前記少なくとも1つの第2位置合わせ部は、前記受け取り装置上で前記貨物用輸送台の挿入および/または交換作業中に、前記受け取り装置に対して前記貨物用輸送台を位置合わせする前記貨物用輸送台の少なくとも1つの第1位置合わせ部と相互作用するように構成されている。
【0051】
本発明に係る受け取り装置と、貨物用輸送台が受け取り装置の上方に配置された場合に
、貨物用輸送台の第1位置合わせ部と動作可能に接触する第2位置合わせ部とは、貨物用輸送台が実際に受け取り装置によって受け取られる前に、受け取り装置に対して貨物用輸送台が位置合わせられることを可能にする。
【0052】
本発明に係るシステム、本発明に係る輸送装置、本発明に係る貨物用輸送台、および本発明に係る受け取り装置は、有利には、荷役装置の補償動作、および、受け取り装置に対する貨物用輸送台の相対位置を補正するための追加の位置合わせ動作を、省略可能にする。その結果、輸送車両によって受け取られる装置(ここでは荷役装置)の重量をより小さくすることができ、一方、今度は、輸送装置は、より大きな有料荷重を受け取ることができる。さらに、提案された解決策は、(受け取り装置に対して)貨物用輸送台の位置測定を必要とせず、提案された解決策は、ほとんどメンテナンスを必要とせず、安価であり、容易にレトロフィットすることができる。
【0053】
上述のさらなる態様およびそれらの利点と同様に長所、ならびに態様および特徴のためのより具体的な実施選択肢は、添付の図面に関連する以下の記述および説明で説明されるが、これらは、いかなる形でも限定的であると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、輸送装置、貨物用輸送台、および受け取り装置を含むシステムの例示的な実施形態を模式的に示す。
【
図2a】
図2aは、荷役装置が格納されたままの状態である輸送装置を有するシステムの例示的な実施形態の三次元図を模式的に示す。
【
図2b】
図2bは、
図2aに示すように、荷役装置が格納されたままの状態である輸送装置を有する空間図の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図3a】
図3aは、輸送装置を有するシステムの例示的な実施形態の空間図を模式的に示し、輸送装置は、貨物用輸送台を位置決めするための荷役装置が受け取り装置の上方に延在されている。
【
図3b】
図3bは、輸送装置を有する空間図の例示的な詳細図を模式的に示し、輸送装置は、
図3aに示すように、貨物用輸送台を位置決めするための荷役装置が受け取り装置の上方に延在されている。
【
図4a】
図4aは、荷役装置上に第1固定部および軸受け機構を有するシステムの実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【
図4b】
図4bは、
図4aに示された実施形態の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図5a】
図5aは、貨物用輸送台の傾斜に対する第2固定部を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【
図5b】
図5bは、
図5aに示された実施形態の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図6a】
図6aは、貨物用輸送台と、第1および第2固定部の各々と、を有する荷役装置の実施形態の例示的な平面図を模式的に示す。
【
図6b】
図6bは、
図6aに示すような第1および第2固定部の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図7a】
図7aは、受け取り装置の上方に延在された荷役装置および貨物用輸送台を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【
図7b】
図7bは、
図7aに示すような、互いに接触している第1および第2位置合わせ部と、機能している第1固定部と、の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図8a】
図8aは、延在された荷役装置と、機能したままの第1固定部と、付勢部と、を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な平面図を模式的に示す。
【
図8b】
図8bは、
図8aに示すような、機能したままの第1固定部と、付勢部と、の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図9a】
図9aは、延在された荷役装置と、今や機能していない第1固定部と、付勢部と、を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【
図9b】
図9bは、
図9aに示すような、今や機能していない第1固定部と、接触している位置合わせ部と、の例示的な詳細図を模式的に示す。
【
図10】
図10は、本発明の例示的な実施形態に係る輸送装置によって貨物用輸送台を工作機械に装填するための方法の例示的なフローチャートを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施例および例示的な実施形態を詳細に説明する。図中の同一または類似の要素は、同一の参照符号によって示されてもよい。
【0056】
本発明は、以下に記載される例示的な実施形態およびその実施特徴に決して限定または制限されるものではなく、むしろ、例示的な実施形態の修正、特に、記載される実施例の特徴の修正を介して、または記載される実施例の特徴の1つ以上の組み合わせを介して、独立請求項の保護範囲内にあるものをさらに含むことに留意されたい。
【0057】
図1は、輸送装置100、貨物用輸送台200、および受け取り装置300を含むシステムの例示的な実施形態を模式的に示す。
【0058】
ここで、受け取り装置300は、例えば、工作機械1000において機械台(ここでは、例えば、回転/旋回台または固定された機械台であってもよい)上に設けられ、工作機械1000は、例えば、原部品または既に機械加工された部品であってもよい貨物400をさらに機械加工してもよい。しかしながら、他の貨物もまた工作機械1000、例えば、工具保管庫または加工対象物を加工するために必要とされる工具/装置等に輸送されてもよい。
【0059】
しかしながら、受け取り装置300は、別の場所、例えば、セットアップステーション(setup station)、任意の種類の中間保管場所、保管場所、高棚、または棚場所に一般的に設けられてもよいことを、ここで既に指摘しておくべきである。言及された例は、決定的なものとして理解されるべきではなく、受け取り装置300を用いるさらなる可能性によって拡張/補足されてもよい。
【0060】
さらに、示されている輸送装置100は、例えば、基体領域(例えば、ホールフロア)上で自由に移動可能(すなわち、例えば、特にレール製(rail-bound)等ではない)な無人輸送車両として構成された輸送車両110を含む。しかしながら、無人輸送車両は、必ずしも輸送車両110として用いられる必要はなく、荷役装置150を受け取り/取り付けるように構成された任意の他の車両も輸送車両110として用いられてもよい。
【0061】
ここに示されている輸送装置100の荷役装置150は、例えば、受け取り装置300上の貨物用輸送台200を配置するために用いられ得る高さ調整を有している。しかしながら、貨物用輸送台200は、また、異なる方法で降ろされてもよい。例えば、輸送車両110は、(例えばシャシー上に)別個の高さ調整を有していてもよく、その結果、輸送車両110全体が下降した場合に、貨物用輸送台200も受け取り装置300上に配置される。
【0062】
さらに、輸送装置100は、例えば、輸送された貨物400に関する情報または信号を互いに直接的に交換することができるように、工作機械1000(または貨物用輸送台200のための別の送り先)と(無線、WLANなどによって)接触することが有利に可能であってもよい。これは、また、輸送装置100および工作機械1000と接触しているコンピューターまたは制御ユニットを介して実行されてもよい。
【0063】
図2aは、荷役装置150が格納されたままの状態である輸送装置100を有するシス
テムの例示的な実施形態の詳細図を模式的に示す。
【0064】
ここでは、貨物用輸送台200を有する輸送装置100が、貨物400を持った貨物用輸送台200を受け取り装置300上に配置するために、荷役装置150上ですでに位置を占めていることがわかる。
【0065】
受け取り装置300の上方での貨物用輸送台200の直接的な位置決めは、例えば、輸送車両110に接続された第1部分154と、第1部分154に対して移動可能であり、貨物用輸送台200が保持/支持される第2部分152と、を有する荷役装置150によって達成され得る。
【0066】
ここで、輸送車両110に接続された第1部分154は、例えば、荷役装置150の移動可能な第2部分152を下降させるために、または、例えば、貨物用輸送台200を受け取り装置300上に配置させるために、少なくとも垂直方向に移動され得ることに留意されたい。したがって、荷役装置150の第1部分154と比較して、移動可能な第2部分152は、輸送車両110に対して少なくとも1つの追加の移動選択肢を有する。
【0067】
ここで、移動可能な第2部分152は、ガイドおよび駆動によって、輸送車両110に接続された第1部分154に対して延在または格納(伸縮)されてもよい。この目的のために、一般的な既知の全てのガイド/軸受け(対応するガイドにおける摺動軸受け、ボールまたはローラー軸受けなど)および駆動(直線駆動など)が用いられてもよい。
【0068】
貨物用輸送台200は、実質的に、受け取り装置300上で受け取られるように構成されてもよい部分210を含み、また、貨物用輸送台200の部分210上の貨物400を固定する選択肢を有する。
【0069】
さらに、貨物用輸送台200は、少なくとも1つの第1位置合わせ部220を含み、少なくとも1つの第1位置合わせ部220は、受け取り装置300の少なくとも1つの第2位置合わせ部320と協働して、受け取り装置300に対して貨物用輸送台200を合わせする(
図3aおよび3bも参照)。この目的のために、例えば、ボルトが第1位置合わせ部220のために用いられてもよく、プリズムが第2位置合わせ部320のために用いられてもよい。しかしながら、例えば、屋根縁形状および円錐形状のような、他の形状および形状の対も考えられることに留意されたい。
【0070】
既に上述したように、貨物用輸送台200は、輸送車両110自体の移動によって、または荷役装置150の第1部分154に対して荷役装置150の第2部分152を延在または格納させることによって、受け取り装置300の上方に位置決めされてもよい。
【0071】
特に、受け取り装置300に対する貨物用輸送台200の位置決め動作中の位置決めによって、貨物用輸送台200は、第1位置合わせ部220と第2位置合わせ部320との間で接触が行われた後、第1および第2位置合わせ部220,320の相互作用を介して方向を合わせられ、それゆえ、受け取り装置300に対して位置合わせされ得る。
【0072】
貨物用輸送台200が位置決めされる前に、受け取り装置300に対する貨物用輸送台200の位置は、第1および第2位置合わせ部220,320が互いに接触して貨物用輸送台200の位置合わせを行え得る程度に、実質的に提供されるべきであることを理解されたい。
【0073】
図2bは、
図2aに示すように、荷役装置150が格納されたままの状態である輸送装置100を有する空間図の例示的な詳細図を模式的に示す。
【0074】
さらに、
図2bは、荷役装置150、特に移動可能(伸縮自在)な第2部分152が例えば、輸送フォークであることを示している。しかしながら、ここでは、荷役装置150が任意の他の形状および構成、例えば、貨物用輸送台200を取り扱うように構成された容器または把持部の形状および構成を有していてもよいことが指摘されるべきである。
【0075】
図3aは、輸送装置100を有するシステムの例示的な実施形態の空間図を模式的に示しており、貨物用輸送台200を位置決めするための荷役装置150は、受け取り装置300の上方に延在している。
【0076】
特に、荷役装置150の移動可能(伸縮自在)な第2部分152は、受け取り装置300の上方で貨物用輸送台200を位置決めするために、第1部分154に対して受け取り装置300に向かって延在されていることがわかる。
【0077】
さらに、ここで、貨物用輸送台200の第1位置合わせ部220は、受け取り装置300の第2位置合わせ部320と接触し、それゆえ、貨物用輸送台200の位置合わせをもたらすことがわかる。
【0078】
ここでは対になって存在する位置合わせ部220,320によって、貨物用輸送台200は、有利には(位置合わせ部220/320による位置決め動作を制限することによって)受け取り装置300に対する位置合わせ移動の方向だけでなく、受け取り装置300に対して斜めに位置決めされることもでき、その場合、貨物用輸送台200は、対になった第1位置合わせ部220が対になった第2位置合わせ部320と平行になるまで、または両方の第1位置合わせ部220が両方の第2位置合わせ部320と接触するまで回転される。
【0079】
図3bは、輸送装置100を有する空間図の例示的な詳細図を模式的に示しており、
図3aに示すように、貨物用輸送台200を位置決めするための荷役装置150は、受け取り装置300の上方に延在されている。
【0080】
図4aは、荷役装置150上に第1固定部230および軸受け機構185を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【0081】
ここで、貨物用輸送台のための固定部の第1固定部230は、例えば、輸送車両110とは反対側を向いている貨物用輸送台200(またはその部分210)の面上に設けられ、貨物用輸送台200が荷役装置150(図示の例では輸送フォーク)から滑り落ちることを防止し、それゆえ、安全な輸送を保証するために有利に用いられる。
【0082】
この目的のために、第1固定部230は、例えば、ボルト231とプリズム131とによって(
図4b参照)、機械的な止めの形態で構成されている場合が好適であり、プリズム131は、第1固定部230のボルト231を押圧することができるか、または通常第1固定部230のボルト231の変位を防止する。
【0083】
しかしながら、第1固定部230の構成は、例えば、屋根縁形状または円錐形状のような他の形状および形状の対を用いてもよい。
【0084】
さらに、貨物用輸送台200が移動可能に取り付けられる軸受け機構185は、荷役装置150上に設けられてもよく、その結果、貨物用輸送台200が受け取り装置300に対して位置合わせされる場合に、荷役装置150と貨物用輸送台200との間に生じる摩擦力および摩耗を著しく小さくすることができる。
【0085】
さらに、より小さい摩擦力は、貨物用輸送台200の位置合わせを改善することができ、それは、荷役装置150上で貨物用輸送台200を移動/位置決めするために、かなり小さい力を加えればよいためである。
【0086】
貯蔵機構185は、例えば、ボールローラーおよび/またはローラーによって構成されていてもよい。しかしながら、摺動軸受け部は、貨物用輸送台200と荷役装置150との間でより小さい摩擦係数を提供してもよく、その結果、この構成も可能である。さらなる可能性としては、もちろん、空気静圧軸受けなどの媒体(圧縮空気など)で実施される軸受けもある。
【0087】
さらに、荷役装置150は、また、荷役装置150上に直接(例えば、輸送フォーク上に直接)載置された貨物用輸送台200上の、または、貨物用輸送台200が保持される支持部180を有していてもよい。
【0088】
図4bは、支持部180、軸受け機構185、および第1固定部230を有する、
図4aに示す例示的な実施形態の例示的な詳細図を模式的に示す。
【0089】
図5aは、第2固定部240を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示し、第2固定部240は、貨物用輸送台200が転倒して荷役装置150から脱落することを防止する。
【0090】
ここで、第2固定部240は、例えば、輸送車両110側を向く貨物用輸送台200の面に設けられ、荷役装置150上を滑ることに対して貨物用輸送台200を追加的に確保することに加えて、貨物用輸送台200が転倒して荷役装置150(例えば、輸送フォーク)から脱落することを防止するために有利に用いられる。
【0091】
これは、貨物400が、その構造/形状のために、貨物用輸送台200に傾斜モーメントを発生させる場合、および/またはそのような傾斜モーメントが比較的強い加速力によって引き起こされる場合に、特に重要であってもよい。
【0092】
この目的のために、第2固定部240は、例えば、後方把持部(下端において、プリズム170と係合しているボルト241の突出部、特に
図5bを参照)を含み、後方把持部がプリズム170と係合している限り、ボルト241は、プリズム170(ここでは荷役装置150の第1部分154上に設けられている例)に対してその長さ方向に移動することができない。
【0093】
しかしながら、ここでは、第2固定部240、特に後方把持部も構成するために、他の形状および形状の組み合わせが提供されてもよい。屋根縁形状または円錐形状の上述した例は、任意の他の公知の形状と同様に用いられてもよい。
【0094】
荷役装置150に対する貨物用輸送台200の傾斜に対する固定は、第2固定部240だけによって実施される必要はない。傾斜保護は、また、例えば、別個の要素または機構によって、例えば、別個のロック機構などによって実施されてもよい。
【0095】
いずれにせよ、貨物用輸送台の第2固定部240を設けることは、荷役装置150による貨物用輸送台200の安全な輸送を確実にすることができる。
【0096】
図5bは、
図5aに示す例示的な実施形態の例示的な詳細図を模式的に示しており、第2固定部240は、(後方把持部として突起を有する)ボルト241と、荷役装置150
の第1部分154上に設けられたプリズム170と、を含む。
【0097】
図6aは、貨物用輸送台200と、第1および第2固定部230,240各々と、を有する荷役装置150の例示的な実施形態の例示的な平面図を模式的に示す。
【0098】
第1部分154に対して移動可能な荷役装置150の第2部分52は、格納されたままの状態であることがわかり、その結果、両方の固定部230/240が係合している(機能している)。
【0099】
さらに、ここで、例示的な付勢部190が示されており、付勢部190は、荷役装置150の移動可能な第2部分152上に設けられ、輸送中に第1固定部230に対して貨物用輸送台200を付勢/押圧し続けることができる。このようにして、第1固定部230のボルト231とプリズム131との接触を常に保証することができる。
【0100】
荷役装置150の第2部分152が格納された状態であるため、後方把持部を有する第2固定部240も機能し、その結果、荷役装置150に対する貨物用輸送台200の位置、すなわち貨物用輸送台200の輸送は、最適に確保される。
【0101】
図6bは、第1および第2固定部230,240、特に、
図6aに示すように、プリズム131,170の各々と接触するボルト231、241の各々の例示的な詳細図を模式的に示す。
【0102】
図7aは、延在された荷役装置150と、受け取り装置300の上方に配置された貨物用輸送台200と、を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【0103】
ここで、第2固定部240のボルト241が第2固定部240のプリズム170から分離されていることがわかり、その結果、貨物用輸送台200の第2固定部240は、荷役装置150に対してもはや機能していない。
【0104】
2つの要素(ボルト241/プリズム170)は、荷役装置150の第1部分154に対する移動可能な第2部分152の延在動作中に分離される。しかしながら、延在動作中(および格納動作中)に予想され得る加速度は、輸送車両110の移動中に予想され得る加速度よりも小さいため、貨物用輸送台固定の第2固定部240は、その瞬間に解放されてもよく、貨物用輸送台200は、受け取り装置300の上方に配置されてもよく、第1および第2位置合わせ部220,320は、接触されてもよい。
【0105】
ここで、貨物用輸送台200または貨物400の転倒の危険性が著しく増加することは、さらに、付勢部190(
図8a/8bも参照)が貨物用輸送台200を第1固定部230に付勢し、発生する傾斜モーメントが付勢部190/貨物用輸送台200/第1固定部230の間で生じる摩擦力によって依然として限定された範囲に吸収され得るという点で、防止される。
【0106】
図7bは、
図7aに示されるように、互いに接触している第1および第2位置合わせ部220,320、および機能している第1固定部230の例示的な詳細図を模式的に示す。
【0107】
図8aは、延在された荷役装置150と、機能したままの第1固定部230と、付勢部190と、を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な平面図を模式的に示す。
【0108】
図7aで既に説明したように、付勢部190は、
図8bに示すように、有利にはばね部192(または、例えば、ガスシリンダーなど)であり、移動可能な第2部分152が荷役装置150の第1部分154に対して延在された場合、貨物用輸送台200と接触したままである。
【0109】
これにより、第1固定部230は、機能したままであり、すなわち、ボルト231は、プリズム131と接触したままであるが、第2固定部240は、ボルト241とプリズム170との間の接触が荷役装置150の第2部分152の延在動作のために解放されているので、機能していない。
【0110】
さらに、
図8aは、位置合わせ部220,320が既に互いに接触しており、したがって、受け取り装置300に対する貨物用輸送台200の位置合わせが、受け取り装置300の上方の貨物用輸送台200の位置決め動作を介して、既に行われていることを示す。
【0111】
図8bは、
図8aに示すように、既に接触している位置合わせ部220,320だけでなく、機能したままの第1固定部230および付勢部190の例示的な詳細図を模式的に示す。
【0112】
図9aは、延在された荷役装置150と、ここでは機能していない第1固定部230と、付勢部190と、を有するシステムの例示的な実施形態の例示的な側面図を模式的に示す。
【0113】
ここで(
図9bも参照)、特に、第1および第2位置合わせ部220、320が互いに接触している一方で、貨物用輸送台のための固定部の第1固定部230のボルト231とプリズム131との間の接触が解除され、その結果、第1固定部230は、もはや機能していないことが分かる。付勢部のみが、貨物用輸送台200と接触したままである(この点に関して
図8a/8bも参照)。
【0114】
位置合わせ部220,320が既に完全に接触している状態で、荷役装置150の第1部分154に対して移動可能な第2部分152のさらなる延在は、貨物用輸送台200(位置合わせされた状態で、第1および第2位置合わせ部220,320の接触によっても保持される)を、付勢部190に向かって荷役装置150に対して変位させ、その結果、貨物用輸送台200と荷役装置150との間の第1固定230は、解放される。
【0115】
これは、貨物用輸送台200が受け取り装置300(例えば、クランプコーン)上に設置され、貨物用輸送台200と荷役装置150との「分離(separation)」をもたらすために、推奨されてもよく、場合によっては必要でさえあってもよい。
【0116】
これが行われると、荷役装置150は、(輸送車両110の変位動作または荷役装置150の第1部分154に対して移動可能な第2部分152の格納動作によって)降ろされた貨物用輸送台200の下に戻されてもよく、例えば、別の場所(セットアップステーション、工作機械、保管場所など)で新しい貨物用輸送台200を受け取ってもよい。
【0117】
図9bは、
図9aに示すように、ここでは機能していない第1固定部230と、接触している位置合わせ部220,320と、の例示的な詳細図を模式的に示す。
【0118】
図10は、本発明の例示的な実施形態に係る輸送装置100によって、貨物用輸送台200を工作機械1000に装填するための方法の例示的なフローチャートを模式的に示す。
【0119】
まず(ステップS101)、荷役装置150で受け取られた貨物用輸送台200を有する輸送装置100を、荷役装置150の第2部分152が格納された状態の工作機械1000の前方に移動する。
【0120】
次に、工作機械1000と輸送装置100との間で信号交換(例えば、非接触)を行うことができる(ステップS102)。
【0121】
このようにして、機械アクセス(machine access)を開く信号を工作機械1000に与え、輸送装置100自体を工作機械1000の前に配置させることができ(ステップS103)、貨物用輸送台200を、輸送装置100によって工作機械1000内に導入することができる。
【0122】
次に、貨物用輸送台200を保持する荷役装置150の第2部分152を延在させ(ステップS104)、第2部分152を、第2部分152または貨物用輸送台200が工作機械1000内の受け取り装置300の上方の中間位置に到達させる(ステップS105)。ここで、貨物400または貨物用輸送台200は、付勢部190と第1固定部230との相互作用のために、荷役装置150に対して各々の位置に留まる。
【0123】
次に、荷役装置150の第2部分152を、貨物用輸送台200の第1位置合わせ部220が受け取り装置300の第2位置合わせ部320と接触するまで、さらに延在させることができる(ステップS106)。
【0124】
その結果、貨物400または貨物用輸送台200は、水平面(縦向および横方向)において受け取り装置300と位置合わせされる。この間、貨物用輸送台200は、荷役装置150に対して(特に、荷役装置150の第2部分152に対して)「移動(shifts)」する。摩擦および摩耗をできるだけ小さく抑えるために、例えば、ボールローラー、ローラー、および/または摺動軸受け部を有する軸受け機構185が、荷役装置150の第2部分152上に追加的に設けられていてもよい。
【0125】
この時点で、第1固定部230(またはその少なくとも一部)は、機能したまま、すなわち、ボルト231は、プリズム131と接触したままである。付勢部190は、第1固定部230に対して貨物用輸送台200を押圧する。
【0126】
次に、荷役装置150の第2部分152を、さらに延在させる(ステップS107)。この間、貨物用輸送台200は、付勢部190によって第1固定部230に対して押圧されたままであり、それによって荷役装置150に対して所定の位置に保持される。既に説明したように、貨物用輸送台200の第1位置合わせ部220は、受け取り装置300の第2位置合わせ部と接触したままである。
【0127】
ここで、荷役装置150の第2部分152は、完全に延在されることができ、荷役装置150上の貨物用輸送台200は、第1固定部230がそれによって解放されるように、既に接触している位置合わせ部220,320によって移動される。
【0128】
次に、貨物用輸送台200を、例えば、荷役装置150または輸送車両110の垂直リフトによって、工作機械1000内に配置してもよい(ステップS108)。受け取り装置300の容器、または貨物用輸送台200(例えば、クランプコーン)が用いられる。
【0129】
次に、荷役装置150の第2部分152を、貨物用輸送台200の下に接触しないようにするために、さらに少し降下させる(ステップS109)。
【0130】
次に、荷役装置150の第2部分152を、格納してもよく(ステップS110)、および/または、輸送装置100を工作機械1000から離れる方向に移動させる(ステップS111)。
【0131】
次に、工作機械1000の機械アクセスを、再び閉じてもよく(ステップS112)、貨物用輸送台200によって挿入された貨物400の機械加工を継続してもよい(ステップS113)。
【0132】
ここで、貨物用輸送台200を工作機械1000から取り外すために、上述のステップは、本質的に逆の順序で実行されてもよいことに留意されたい。
【0133】
説明した方法は、単に例として述べた工作機械1000上で実行されたことにも留意されたい。この方法は、また、セットアップステーション、保管場所など、貨物用輸送台200を受け取るための受け取り装置300が配置される場所で実行されてもよい。
【0134】
本発明の実施例および例示的な実施形態、ならびにそれらの利点は、添付の図面を参照して上記で詳細に説明されている。
【0135】
しかしながら、本発明は、決して上記の例示的な実施形態およびその実施特徴に限定または制限されるものではなく、むしろ、例示的な実施形態の修正、特に、記載された実施例の特徴の修正を介して、または記載された実施例の特徴の1つまたは複数の組み合わせを介して独立請求項の保護範囲内にあるものをさらに含むことを再び強調すべきである。
【符号の説明】
【0136】
100…輸送装置
110…輸送車両
131…第1固定部のプリズム
150…荷役装置
152…荷役装置の移動可能な第2部分
154…荷役装置の第1部分
170…第2固定部のプリズム
180…荷役装置の支持部
185…軸受け機構
190…付勢部
192…ばね部
200…貨物用輸送台
210…貨物用輸送台の部分
220…第1位置合わせ部
230…第1固定部
240…第2固定部
300…受け取り装置
320…第2位置合わせ部
400…貨物
1000…工作機械