(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】制御放出および持続的放出のためのELP融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
A61K 47/42 20170101AFI20240328BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240328BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240328BHJP
A61K 38/27 20060101ALI20240328BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20240328BHJP
A61P 5/06 20060101ALI20240328BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240328BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240328BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240328BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20240328BHJP
C07K 14/78 20060101ALN20240328BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240328BHJP
C07K 14/575 20060101ALN20240328BHJP
【FI】
A61K47/42 ZNA
A61K9/08
A61K45/00
A61K38/27
A61K38/22
A61P5/06
A61P3/10
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/62
C07K14/78
C07K19/00
C07K14/575
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022132284
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2020170512の分割
【原出願日】2015-11-20
【審査請求日】2022-09-20
(32)【優先日】2014-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509066019
【氏名又は名称】フェーズバイオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョエット,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】バランス,デイヴット ジェームス
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/081849(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/113434(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/082116(WO,A1)
【文献】特表2014-524480(JP,A)
【文献】特表2011-526303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/90285(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-45/08
CA(STN)、Biosis(STN)、
Medline(STN)、Embase(STN)、
JSTplus(JDream III)、
JMEDplus(JDream III)、
JST7580(JDream III)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全身投与のための治療剤であって、ヒト成長ホルモンと、i)少なくとも90個の[VPGXG]の構造単位を含むエラスチン様ペプチド(ELP)であって、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は
a)7:2:0;
b)7:0:2;
c)6:0:3;および
d)5:2:2、からなる群から選択される、ELP、または
ii)少なくとも90個の[XPGVG]の構造単位を含むELPであって、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は5:0:4である、ELP
とを含む組換え融合タンパク質である、治療剤、
ならびに
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤
を含む持続的放出医薬製剤。
【請求項2】
投与すると注射部位からの遅い吸収を提供する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
PKプロファイルが浅いCmaxおよび/または低いピーク対トラフ比および/または長いTmaxを有する、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
体温での可逆的マトリックスの形成がタンパク質濃度の低下に従って反転する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記ELPが[VPGXG]
144を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記ELPが[VPGXG]
120を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記ELPが[VPGXG]
90を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記治療剤が、ELPがN末端にあり、ヒト成長ホルモンがC末端にある組換え融合タンパク質である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記治療剤が、ELPがN末端にあり、ヒト成長ホルモンに融合され、第2のELPがC末端にある組換え融合タンパク質である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記治療剤が、前記N末端のELPが[VPGXG]
120を含み、前記C末端のELPが[VPGXG]
30を含む組換え融合タンパク質、または
前記N末端のELPが[VPGXG]
144を含み、前記C末端のELPが[VPGXG]
30を含む組換え融合タンパク質である、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
対象がヒトである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
対象が非ヒト哺乳動物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記治療剤が0.5mg/mL~200mg/mLの範囲内で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記治療剤が30mg/mL~150mg/mLの範囲内で存在する、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記治療剤が50mg/mL~125mg/mL、または75mg/mL~110mg/mLの範囲内で存在する、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記治療剤が100mg/mLの量で存在する、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記治療剤が貯蔵条件で相転移マトリックスを形成しない、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記貯蔵条件が30℃未満、27℃未満、または25℃未満である、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記貯蔵条件で1カ月を超えて安定している、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
25℃で1カ月を超えて安定している、請求項19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記医薬製剤が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、一塩基リン酸カリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート20、リン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウムおよび二塩基リン酸ナトリウムのうちの2つ以上を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項22】
リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびポリソルベート20を含む、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記医薬製剤が、10mMリン酸ナトリウム、110mM塩化ナトリウムおよび0.1%ポリソルベート20を含む、請求項22に記載の医薬製剤。
【請求項24】
1週につき1回、1週につき2回または1カ月につき1~8回の投与のために前充填された(pre-dosed)ペンまたはシリンジの形で詰め込まれる、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
治療剤であって、ヒト成長ホルモンとELPアミノ酸配列とを含む組換え融合タンパク質であり、前記ELPアミノ酸配列が、i)[VPGXG]
144であって、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は
a)7:2:0;
b)7:0:2;
c)6:0:3;および
d)5:2:2、からなる群から選択される、[VPGXG]
144、または
ii)[XPGVG]
144であって、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は5:0:4である、[XPGVG]
144、
を含む、治療剤、
ならびに
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤
を含む持続的放出医薬製剤。
【請求項26】
投与すると注射部位からの遅い吸収を提供する、請求項25に記載の医薬製剤。
【請求項27】
可逆的マトリックスを形成するアミノ酸配列の非存在下でのヒト成長ホルモンのPKプロファイルと比較して、投与すると平らなPKプロファイルを提供する、請求項26に記載の医薬製剤。
【請求項28】
PKプロファイルが浅いCmaxおよび/または低いピーク対トラフ比および/または長いTmaxを有する、請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項29】
体温での可逆的マトリックスの形成がタンパク質濃度の低下に従って反転する、請求項26~28のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項30】
前記ヒト成長ホルモンが30秒~10時間、または30秒~1時間の範囲内の循環半減期を有する、請求項25に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記治療剤が0.5mg/mL~200mg/mLの範囲内で存在する、請求項25~30のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記治療剤が30mg/mL~150mg/mLの範囲内で存在する、請求項31に記載の医薬製剤。
【請求項33】
前記治療剤が50mg/mL~125mg/mLの範囲、または75mg/mL~110mg/mLの範囲内で存在する、請求項32に記載の医薬製剤。
【請求項34】
前記治療剤が100mg/mLの範囲内で存在する、請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項35】
前記治療剤が貯蔵条件でマトリックスを形成しない、請求項25~34のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項36】
前記貯蔵条件が30℃未満、27℃未満、または25℃未満である、請求項35に記載の医薬製剤。
【請求項37】
前記医薬製剤が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、一塩基リン酸カリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート20、リン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウムおよび二塩基リン酸ナトリウムのうちの2つ以上を含む、請求項25~36のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項38】
リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびポリソルベート20を含む、請求項37に記載の医薬製剤。
【請求項39】
前記医薬製剤が、10mMリン酸ナトリウム、110mM塩化ナトリウムおよび0.1%ポリソルベート20を含む、請求項38に記載の医薬製剤。
【請求項40】
1週につき1回、1週につき2回または1カ月につき1~8回の投与のために前充填された(pre-dosed)ペンまたはシリンジの形で詰め込まれる、請求項25~39のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年11月21日に出願の米国特許仮出願第62/082945号および2014年12月31日に出願の米国特許仮出願第62/098624号の権益を主張し、それぞれの内容はあらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、持続的放出のための医薬製剤および持続的放出製剤による治療レジメンを送達するための方法に関する。
【0003】
電子的に提出されるテキストファイルの記載
これに添えて電子的に提出されるテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ可読フォーマットコピー(ファイル名:PHAS#031#02WO#SEQLIST#ST25.TXT、記録日:2015年11月20日、ファイルサイズ69キロバイト)。
【背景技術】
【0004】
ペプチドおよび小分子薬物の有効性は、循環中のそのような薬物の半減期によって、また、実質的に一定の血漿レベルを得ることの困難性によってしばしば制限される。例えば、インクレチンGLP-1は循環中のその短い半減期に対抗するために比較的高い用量で投与されなければならず、これらの高い用量は、とりわけ吐き気と関連する。MurphyおよびBloom、Nonpeptidic glucagon-like peptide 1 receptor agonists:A magic bullet for diabetes? PNAS 104(3):689~690(2007)。さらに、ペプチド剤血管作用性小腸ペプチド(VIP)は、一部の推定では、1分未満の半減期を示し、この薬剤を医薬使用のために非実用的にしている。Domschkeら、Vasoactive intestinal peptide in man:pharmacokinetics、metabolic and circulatory effects、Gut 19:1049~1053(1978);HenningおよびSawmiller、Vasoactive intestinal peptide:cardiovascular effects、Cardiovascular Research 49:27~37(2001)。ペプチド薬の短い血漿中半減期は、しばしば、速い腎クリアランスおよび全身循環中の酵素分解による。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペプチドおよび小分子薬物の薬物動態を改善するための戦略が、非常に需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、持続的放出のための医薬製剤および持続的放出製剤による治療レジメンを送達するための方法を提供する。それにより本開示は、ペプチドおよび小分子薬物に改善された薬物動態を提供する。
【0007】
一部の態様では、本開示は持続的放出医薬製剤を提供する。製剤は全身投与のための治療剤を含み、ここで、治療剤は活性薬剤および対象の体温で可逆的マトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列を含む。可逆的マトリックスは、水素結合(例えば、分子内および/または分子間水素結合)および疎水性寄与から形成される。製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤および/または希釈剤をさらに含む。マトリックスは、注射部位から循環への遅い吸収を提供する。持続的放出または注射部位からの遅い吸収は、濃度が注射部位で放散するときのマトリックスの遅い反転による。製品が循環に移動すると、製剤は長い半減期および改善された安定性を付与する。したがって、遅い吸収および長い半減期の特異な組合せが達成され、狭いピーク対トラフ比および/または長いTmaxによる望ましいPKプロファイルをもたらす。
【0008】
ある特定の実施形態では、対象の体温で可逆的マトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列は、エラスチン様タンパク質(ELP)配列である。ELP配列は、エラスチンタンパク質に関係するかまたは模倣物である構造ペプチド単位または配列を含むかまたはそれからなる。ELPアミノ酸配列は、選択される製剤で可視的および可逆的逆相転移を示すことができる。すなわち、アミノ酸配列は転移温度(Tt)未満で製剤中で構造的に無秩序および高度に可溶性であることができるが、製剤の温度がTtより高いときは急激な(2~3℃の範囲)無秩序から秩序への相転移を示すことができる。一部の実施形態では、本開示は、約26℃~約37℃の間の転移温度を有する治療剤を提供する。温度に加えて、ELPポリマーの長さ、ELPのアミノ酸組成、イオン強度、pH、圧、選択される溶媒、有機溶質の存在およびタンパク質濃度も転移特性に影響することができ、これらは所望の吸収プロファイルのために調整することができる。一部の実施形態では、タンパク質濃度および塩濃度が転移特性(例えば転移温度)に影響する。マトリックスを形成するELPアミノ酸配列の例示的な配列または構造が、本明細書に開示される。
【0009】
ある特定の実施形態では、全身投与のための活性薬剤は、短い循環半減期、例えば約30秒から約1時間、約2時間または約5時間までを有することができるタンパク質またはペプチドである。一部の実施形態では、タンパク質またはペプチドは、30秒から約10時間までの循環半減期を有する。治療剤は、タンパク質活性薬剤と、マトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列との間の組換え融合タンパク質であってもよい。例示的なペプチド活性薬剤には、GLP-1受容体アゴニスト(例えば、GLP-1またはその誘導体)、エキセンディン-4もしくはその誘導体、グルカゴン受容体アゴニスト(例えば、グルカゴン、オキシントモジュリンまたはその誘導体)、VPAC2選択的アゴニスト(例えば、血管作用性小腸ペプチド(VIP)またはその誘導体)、GIP受容体アゴニスト(例えば、グルコース依存性インスリン分泌性ペプチド(GIP)またはその誘導体)、インスリンもしくはその誘導体、凝固因子、例えば第VII因子、第VIII因子もしくは第IX因子、または成長ホルモン受容体アゴニスト(例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)またはその機能的誘導体)が含まれる。ペプチド活性薬剤には、1を超える受容体を活性化する配列、例えばGLP-1およびグルカゴン受容体の二重アゴニスト、GLP-1およびGIP受容体の二重アゴニスト、またはGLP-1、GIPおよびグルカゴン受容体を活性化することができる三重アゴニストが含まれる。本開示による送達のための他のタンパク質および小分子薬物が、本明細書に開示される。注射部位からの遅い吸収を提供することによって、腎クリアランスおよび分解を制御し、それによって所望のPKプロファイルを達成することができる。
【0010】
他の態様では、本開示は、活性薬剤の持続的放出レジメンを送達するための方法を提供する。本方法は、必要とする対象に本明細書に記載される製剤を投与することを含み、ここで、製剤は1カ月につき約1回~約8回投与される。一部の実施形態では、製剤は約1週ごとに投与され、皮下または筋肉内(例えば)に投与することができる。一部の実施形態では、投与部位は病的部位ではなく、すなわち、治療剤は意図された作用部位に直接的に投与されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】37℃以上への温度の変化によって誘導されたELP1タンパク質の相転移(濁度の増加で示される)を示す図である。この特性は、注射部位からの遅い吸収を提供する。
【
図2】25℃以上への温度の変化によって誘導されたELP4タンパク質の相転移(濁度の増加で示される)を示す図である。この特性は、デポー様送達を提供する。
【
図3】理論によって縛られることを望まないが、ある特定の条件下で水シェルが排除されて水素結合の形成を可能にする、観察された転移のための潜在機構を例示する図である。
【
図4】ELP9量体のアミノ酸配列(アルファ、ベータV1、ベータV2およびデルタ)を示す図である。この例では、各ELP単位は、異なる比の3つのゲスト残基アミノ酸を有するVPGXG ELP五量体モチーフまたはXPGVG ELP五量体モチーフの9コピーからなる。
【
図5】ELPポリマーを作製するために使用された再帰的なライゲーション戦略を示す図である。ELP五量体ポリマー挿入断片は、反復ライゲーションを使用してサイズを連続的に二倍にすることができる。PflMIおよびBglI部位は同種のオーバーハングを有するが、ライゲーションされるとき、PflMI部位は破壊される。これは、同じ消化戦略を使用して、新たに構築されたELPを再び二倍にすることを可能にする。
【
図6】pPE0248プラスミドマップを示す図である。
【
図7】pPE0248リンカーを示す図である。このリンカーは、特異なBgl I制限酵素部位を使用して、発現および終止のためのイニシエータメチオニンおよび2つの終止コドンのフレーム内のVPGXG反復配列ポリマーの挿入を可能にする。特異なXba IおよびAcc65i部位を使用して、その後N末端融合を追加することができる。
【
図8】ELPアルファ144量体バイオポリマーのアミノ酸配列を示す図である。
【
図9】pPE0249プラスミドマップを示す図である。
【
図10】ELPベータv1 144量体バイオポリマーのアミノ酸配列を示す図である。
【
図11】pPE0250プラスミドマップを示す図である。
【
図12】ELPベータv2 144量体バイオポリマーのアミノ酸配列を示す図である。
【
図13】pPE0362プラスミドマップを示す図である。
【
図14】ELPガンマ144量体バイオポリマーのアミノ酸配列を示す図である。
【
図15】pPE0251プラスミドマップを示す図である。
【
図16】ELPデルタ144量体バイオポリマーのアミノ酸配列を示す図である。
【
図17】pPE0252プラスミドマップを示す図である。
【
図18】10mg/mLでの投与の後の異なるELPバイオポリマーの生のCary濁度データを示す図である。
【
図19】PE0253(アルファ)、PE0254(ベータv1)、PE0255(ガンマ)またはPE0256(デルタ)のいずれかの20mg/kgの単回の皮下注射を各々投与した、1群につき1匹の雄および1匹の雌の非ナイーブサルからのPK結果を示す図である。
【
図20A】雄2匹および雌2匹の4匹のタンパク質ナイーブサルへの10mg/kgのPE0256(デルタ)の単回皮下投与のPK結果を示す図である。
図Aは個々の動物からのデータを示す。
【
図20B】雄2匹および雌2匹の4匹のタンパク質ナイーブサルへの10mg/kgのPE0256(デルタ)の単回皮下投与のPK結果を示す図である。
図Bは平均を示す。
【
図21A】全て雄の3匹のタンパク質ナイーブサルへの10mg/kgのPE0311(ベータv2)の単回皮下投与のPK結果を示す図である。
図Aは個々の動物からのデータを示す。
【
図21B】全て雄の3匹のタンパク質ナイーブサルへの10mg/kgのPE0311(ベータv2)の単回皮下投与のPK結果を示す図である。
図Bは平均を示す。
【
図22】2mg/kgのPE0256(デルタ)の単回IV注射を投与した非ナイーブサルのPK結果を示す図である。
【
図23】プラスミドpPE0362に挿入されたhGH配列を含有するベクターpPE0429のプラスミドマップを示す図である。合成したhGH配列を制限酵素PflMI/Bgl Iで消化し、プラスミドpPE0362のBgl I部位にサブクローニングした。
【
図24】ELPベータV2-144-hGH融合タンパク質(配列番号14)のアミノ酸配列を示す図である。hGH(下線付き)は、ELPベータv2-144配列(太字)に融合している。単一のELP五量体(イタリック)はC末端に残存し、Bgl I制限部位を保存する。この部位は、さらなるクローニング工程のために使用することができる。
【
図25】ELP1シリーズ120量体をhGH配列のN末端に置くプラスミドpPE0429に挿入されたELP1シリーズ30量体配列を含有する、ベクターpPE0431のプラスミドマップを示す図である。
【
図26】ELP1-120量体hGH融合タンパク質(配列番号15)のアミノ酸配列を示す図である。hGH配列(下線付き)は、ELP1シリーズ120量体配列(太字)に融合している。
【
図27】ELP1シリーズ30量体をELPベータV2-144-hGH配列のC末端に置くプラスミドpPE0429に挿入されたELP1シリーズ30量体配列を含有する、ベクターpPE0430のプラスミドマップを示す図である。ELP1シリーズ30量体を付加することは、受容体媒介クリアランスを破壊し、したがって、ELPベータV2-144 hGH融合タンパク質の循環半減期をさらに増加させる。
【
図28】ELP1シリーズ30量体とのELPベータV2-144-hGH融合タンパク質のアミノ酸配列を示す図である(配列番号16)。hGH(下線付き)は、ELPベータv2-144配列(太字)に融合している。ELP1シリーズ30量体(イタリック)は、ELPベータV2-144-hGH配列のC末端にある。
【
図29】ELP1シリーズ30量体をELP1-120-hGH配列のC末端に置くプラスミドpPE0431に挿入されたELP1シリーズ30量体配列を含有する、ベクターpPE0432のプラスミドマップを示す図である。ELP1シリーズ30量体を付加することは、受容体媒介クリアランスを破壊し、したがって、ELP1シリーズhGH融合タンパク質の循環半減期をさらに増加させる。
【
図30】C末端のELP1-30量体とのELP1-120hGH融合タンパク質のアミノ酸配列を示す図である(配列番号17)。hGH配列(下線付き)は、ELP1シリーズ120量体配列(太字)およびELP1-30配列(イタリック)に融合している。
【
図31】ベータv2シリーズ144量体配列を含有するベクターpPE0364のプラスミドマップを示す図である。合成したエキセンディン-4配列を制限酵素XbaI/BsrGIで消化し、XbaI/Acc65i消化プラスミドpPE0362にサブクローニングした。
【
図32】C末端のELPベータV2-144量体とのエキセンディン-4ELPベータV2融合タンパク質のアミノ酸配列を示す図である(配列番号18)。エキセンディン-4配列(下線付き)は、ELPベータV2-144量体配列に融合している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、持続的放出のための医薬製剤および持続的放出製剤による治療レジメンを送達するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、増強された効能、生物学的利用能、治療半減期、持続性、分解補助などを有する。それにより本開示は、ペプチドおよび小分子薬物などの活性薬剤に、ピーク対トラフの低い比による比較的平らなPKプロファイルおよび/または長いTmaxを含む、改善された薬物動態を提供する。PKプロファイルは、一部の実施形態では比較的まれな投与スケジュール、例えば1カ月につき1~8回の注射で維持することができる。
【0013】
一部の態様では、本開示は持続的放出医薬製剤を提供する。製剤は全身投与のための治療剤を含み、ここで、治療剤は活性薬剤および対象の体温でマトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列を含む。可逆的マトリックスは、水素結合(例えば、分子内および/または分子間水素結合)ならびに疎水性寄与から形成される。製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤および/または希釈剤をさらに含む。マトリックスは、注射部位から循環への遅い吸収を提供する。理論によって縛られないが、この遅い吸収はタンパク質濃度が注射部位で低下するときのマトリックスの遅い反転による。遅い吸収プロファイルは、平らなPKプロファイルならびに便利で快適な投与レジメンを可能にする。例えば、様々な実施形態では、経過日数(例えば、2~約60日、または約4~約30日)の間の活性薬剤の血漿中濃度は、10倍を超えて、または約5倍を超えて、または約3倍を超えて変化しない。一般的に、この平らなPKプロファイルは、複数回の(実質的に等間隔の)投与、例えば製剤の少なくとも約2回、少なくとも約5回または少なくとも約10回の投与にわたって見られる。一部の実施形態では、遅い吸収は、約5時間を超える、約10時間を超える、約20時間を超える、約30時間を超えるまたは約50時間を超えるTmax(最大血漿中濃度までの時間)によって示される。
【0014】
可逆的マトリックスを形成するアミノ酸配列
注射部位からの持続的放出または遅い吸収は、対象の体温で水素結合マトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列ならびに製剤の成分によって制御される。
【0015】
一部の実施形態では、アミノ酸配列は、タンパク質骨格基および/または側鎖基を通して水素結合を形成する、ならびにマトリックス形成に疎水性相互作用を供与することができる構造単位を含有する。一部の実施形態では、アミノ酸側鎖は水素結合供与基を含有せず、水素結合は実質的にタンパク質骨格を通して形成される。例示的なアミノ酸には、プロリン、アラニン、バリン、グリシンおよびイソロイシン、および類似のアミノ酸が含まれる。一部の実施形態では、構造単位は、実質的に反復する構造モチーフおよび実質的に反復する水素結合能力を生成するように、実質的に反復する構造単位である。これらおよび他の実施形態では、アミノ酸配列は少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約40%または少なくとも約50%のプロリンを含有し、それは実質的に反復するパターンで配置することができる。この文脈において、実質的に反復するパターンは、アミノ酸配列のプロリン残基の少なくとも約50%または少なくとも約75%が、定義可能な構造単位の一部であることを意味する。さらに他の実施形態では、アミノ酸配列は、セリン、トレオニンおよび/またはチロシンなどの水素結合供与側鎖を有するアミノ酸を含有する。一部の実施形態では、反復する配列は、1~約4つのプロリン残基を含有することができ、残りの残基は無極性残基、例えばグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから独立して選択される。無極性または疎水性の残基は、マトリックスの形成に疎水性相互作用を供与することができる。
【0016】
他の実施形態では、体温でマトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列は、ランダムコイルまたは非球状伸長構造を含むことができる。例えば、体温でマトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列は、各々はここに参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0286808号、WIPO特許出願公開第2008/155134号および米国特許出願公開第2011/0123487号に開示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0017】
一部の実施形態では、アミノ酸配列は少なくとも40アミノ酸の非構造化組換えポリマーを含む。非構造化ポリマーは、約100を超える、約150、約200またはそれを超える連続したアミノ酸を含むことができる。一部の実施形態では、アミノ酸配列はランダムコイルドメインを形成する。特に、「ランダムコイル立体配座」を有するか形成するポリペプチドまたはアミノ酸ポリマーは、規定の二次および三次構造を実質的に欠く。一部の実施形態では、非構造化ポリマーは、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)残基の総数がポリマーの全アミノ酸の約80%超を構成する、少なくとも40アミノ酸を有するポリマーと規定される。一部の実施形態では、Chou-Fasmanアルゴリズムによって判定したとき、アミノ酸の少なくとも50%は二次構造が欠けている。
【0018】
アミノ酸配列は、保存温度より高い温度での注射の結果、「ゲル様」状態を形成することができる。例示的な配列は反復するペプチド単位を有し、および/またはより低い温度で比較的非構造化されてもよく、より高い温度では水素結合した構造化状態を達成することができる。
【0019】
エラスチン様ペプチド(ELP)
一部の実施形態では、体温でマトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列は、4~10のアミノ酸の反復単位を有するペプチドである。反復単位は、マトリックスの形成で1つ、2つまたは3つの水素結合を形成することができる。ある特定の実施形態では、体温でマトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列は、絹糸、エラスチン、コラーゲン、ケラチンもしくはその模倣物のアミノ酸配列、またはここに参照により組み込まれる米国特許第6,355,776号に開示されるアミノ酸配列である。
【0020】
ある特定の実施形態では、アミノ酸配列はエラスチン様タンパク質(ELP)配列である。ELP配列は、エラスチンタンパク質に関係するかまたは模倣物である構造ペプチド単位または配列を含むかまたはそれからなる。ELP配列は、3~約20アミノ酸、または一部の実施形態では約4~約10アミノ酸、例えば約4、約5または約6アミノ酸の構造単位から構築される。個々の構造単位の長さは異なることができるか、または均一であってもよい。例示的な構造単位は配列番号1~13(下記)によって規定され、それはタンデム反復単位を含む反復構造単位として用いることができるか、または何らかの組合せで用いることができる。したがって、ELPは、下で規定される配列番号1~13から選択される構造単位(複数可)を含むことができるか、または事実上それからなることができる。
【0021】
構造単位がELP単位である実施形態を含む一部の実施形態では、アミノ酸配列は、約1~約500の構造単位、またはある特定の実施形態では約9~約200の構造単位、またはある特定の実施形態では約10~200の構造単位、またはある特定の実施形態では約50~約200の構造単位、またはある特定の実施形態では約80~約200の構造単位、または約80~約150の構造単位を含むかまたは事実上それからなる。一部の実施形態では、構造単位は、配列番号1~13の1つまたは複数によって規定されるELP単位である。一部の実施形態では、ELPは、配列番号1~13によって規定される単位の組合せを含む。したがって、構造単位は、約50~約2000のアミノ酸残基、または約100~約800のアミノ酸残基、または約200~約700のアミノ酸残基、または約400~約600のアミノ酸残基の長さを総合的に有することができる。例示的な実施形態では、ELP構造単位のアミノ酸配列は、約3構造単位、約7構造単位、約9構造単位、約10構造単位、約15構造単位、約20構造単位、約40構造単位、約80構造単位、約90構造単位、約100構造単位、約120構造単位、約140構造単位、約144構造単位、約160構造単位、約180構造単位、約200構造単位または約500構造単位を含むかまたは事実上それからなる。例示的な実施形態では、構造単位は、約45アミノ酸残基、約90アミノ酸残基、約100アミノ酸残基、約200アミノ酸残基、約300アミノ酸残基、約400アミノ酸残基、約500アミノ酸残基、約600アミノ酸残基、約700アミノ酸残基、約800アミノ酸残基または約1000アミノ酸残基の長さを総合的に有する。
【0022】
アミノ酸配列は、選択される製剤で可視的および可逆的逆相転移を示すことができる。すなわち、アミノ酸配列は転移温度(Tt)未満において製剤中で構造的に無秩序および高度に可溶性であることができるが、製剤の温度がTtより高いときは急激な(2~3℃の範囲)無秩序から秩序への相転移またはコアセルベーションを示すことができる。アミノ酸ポリマーの温度、長さに加えて、アミノ酸組成、イオン強度、pH、圧、選択される溶媒、有機溶質の存在およびタンパク質濃度も転移特性に影響することができ、これらは所望の吸収プロファイルのために製剤で調整することができる。活性薬剤の血漿中濃度または活性を経時的に判定することによって、吸収プロファイルを容易に試験することができる。
【0023】
ある特定の実施形態では、ELP成分(複数可)は、以下を非限定的に含む構造単位で形成することができる:
(a)テトラペプチドVal-Pro-Gly-GlyまたはVPGG(配列番号1);
(b)テトラペプチドIle-Pro-Gly-GlyまたはIPGG(配列番号2);
(c)ペンタペプチドVal-Pro-Gly-X-Gly(配列番号3)またはVPGXG、ここでXは任意の天然または非天然のアミノ酸残基であり、Xはポリマーまたはオリゴマー反復配列の間で任意選択により異なる;
(d)ペンタペプチドAla-Val-Gly-Val-ProまたはAVGVP(配列番号4);
(e)ペンタペプチドIle-Pro-Gly-X-GlyまたはIPGXG(配列番号5)、ここでXは任意の天然または非天然のアミノ酸残基であり、Xはポリマーまたはオリゴマー反復配列の間で任意選択により異なる;
(e)ペンタペプチドIle-Pro-Gly-Val-GlyまたはIPGVG(配列番号6);
(f)ペンタペプチドLeu-Pro-Gly-X-GlyまたはLPGXG(配列番号7)、ここでXは任意の天然または非天然のアミノ酸残基であり、Xはポリマーまたはオリゴマー反復配列の間で任意選択により異なる;
(g)ペンタペプチドLeu-Pro-Gly-Val-GlyまたはLPGVG(配列番号8);
(h)ヘキサペプチドVal-Ala-Pro-Gly-Val-GlyまたはVAPGVG(配列番号9);
(i)オクタペプチドGly-Val-Gly-Val-Pro-Gly-Val-GlyまたはGVGVPGVG(配列番号10);
(j)ノナペプチドVal-Pro-Gly-Phe-Gly-Val-Gly-Ala-GlyまたはVPGFGVGAG(配列番号11);
(k)ノナペプチドVal-Pro-Gly-Val-Gly-Val-Pro-Gly-GlyまたはVPGVGVPGG(配列番号12);および
(l)ペンタペプチドXaa-Pro-Gly-Val-GlyまたはXPGVG(配列番号13)、ここでXは任意の天然または非天然のアミノ酸残基であり、Xはポリマーまたはオリゴマー反復配列の間で任意選択により異なる。
【0024】
配列番号1~13によって規定されるそのような構造単位は構造反復単位を形成することができるか、またはELPを形成するために組合せで使用することができる。一部の実施形態では、ELP成分は、配列番号1~13から選択される構造単位の1つまたは組合せ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個)から完全に(またはほとんど完全に)形成される。他の実施形態では、ELP成分の少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%は、配列番号1~13から選択される構造単位の1つまたは組合せから形成され、それは反復単位として存在することができる。
【0025】
ある特定の実施形態では、ELPはVal-Pro-Gly-X-Gly(配列番号3)のタンデム反復単位を含む反復配列単位を含有し、ここでXは上で規定される通りであり、ELP成分全体(VPGXG(配列番号3)以外の構造単位を含むことができる)に関してとられるVal-Pro-Gly-X-Gly(配列番号3)単位の百分率は、ELPの約50%超、または約75%超、または約85%超、または約95%超である。ELPは配列番号3の5~15構造単位(例えば、約9または約10構造単位)のモチーフを含有することができ、ゲスト残基Xはモチーフ中の単位の少なくとも2つまたは少なくとも3つの間で異なる。ゲスト残基は、例えば、無極性または疎水性の残基、例えばアミノ酸V、I、L、A、GおよびWから独立して選択することができる(および、所望の逆相転移特性を保持するように選択することができる)。ある特定の実施形態では、ゲスト残基は、V、GおよびAから選択される。
【0026】
ある特定の実施形態では、ELPはXaa-Pro-Gly-Val-Gly(配列番号13)のタンデム反復単位を含む反復配列単位を含有し、ここでXは上で規定される通りであり、ELP成分全体(XPGVG(配列番号13)以外の構造単位を含むことができる)に関してとられるXaa-Pro-Gly-Val-Gly(配列番号13)単位の百分率は、ELPの約50%超、または約75%超、または約85%超、または約95%超である。ELPは配列番号13の5~15構造単位(例えば、約9または約10構造単位)のモチーフを含有することができ、ゲスト残基Xはモチーフ中の単位の少なくとも2つまたは少なくとも3つの間で異なる。ゲスト残基は、例えば、無極性または疎水性の残基、例えばアミノ酸V、I、L、A、GおよびWから独立して選択することができる(および、所望の逆相転移特性を保持するように選択することができる)。ある特定の実施形態では、ゲスト残基は、VおよびAから選択される。
【0027】
ある特定の実施形態では、ELPは、配列番号1~13のいずれかのタンデム反復単位を含む反復単位を、単独でまたは組合せで含有する。一部の実施形態では、ELPは配列番号1~13のいずれかの2つ以上の反復配列を組合せで含有する。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号3および配列番号13の反復配列を含有する。一部の実施形態では、ELPは配列番号3および配列番号13の反復配列を含有し、ここで、ゲスト残基は、例えば、無極性または疎水性の残基、例えばアミノ酸V、I、L、A、GおよびWから独立して選択される(および、所望の逆相転移特性を保持するように選択することができる)。ある特定の実施形態では、ゲスト残基は、V、GおよびAから選択される。
【0028】
一部の実施形態では、ELPは、本明細書に開示される1つまたは複数のELP構造単位の9コピーを含む9量体を含む。一部の実施形態では、ELPは、本明細書に開示されるペンタペプチドの9コピーを含む9量体を含む。一部の実施形態では、ELPは、配列番号3および13を任意の組合せで含む9量体を含む。一部の実施形態では、ELPは、配列番号3および13が交互に並ぶ配列を含む。例えば、18、27、36、45、54、63、72、81、90、99、108、117、126、135、144、153、162、171または180コピーの9量体を有するELPを生成するために、様々な数の9量体のELPを組み合わせることができる。
【0029】
ある特定の実施形態では、ELPは配列番号3を含む9量体を含み、ここで、ゲスト残基はV、GおよびAから選択される。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号3を含む9量体を含み、ここで、V、GおよびAは7:2:0(アルファ)の比である。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号3を含む9量体を含み、ここで、V、GおよびAは7:0:2(ベータv1)の比である。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号3を含む9量体を含み、ここで、V、GおよびAは6:0:3(ベータv2)の比である。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号3を含む9量体を含み、ここで、V、GおよびAは5:2:2(ガンマ)の比である。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号13を含む9量体を含み、ここで、ゲスト残基はV、GおよびAから選択される。ある特定の実施形態では、ELPは配列番号13を含む9量体を含み、ここで、V、GおよびAは5:0:4(デルタ)の比である。例示的な9量体が、表1に開示される。表2は、いくつかの例示的な9量体の転移温度を示す。
【0030】
【0031】
【0032】
一部の実施形態では、ELPは、表1に掲載される9量体の組合せを含む。一部の実施形態では、ELPは、アルファ、ベータv1、ベータv2および/またはデルタ9量体の組合せを含む。例えば、ガンマELPは、144量体が構築されるまで16コピーのアルファ9量体およびベータv1 9量体を交互に並べることによって構築される。ある特定の実施形態では、ELPはアルファおよびベータv1 9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPはアルファおよびベータv2 9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPはアルファおよびデルタ9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPはベータv1およびベータv2 9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPはベータv1およびデルタ9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPはベータv2およびデルタ9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPは、アルファ、ベータv1およびベータv2 9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPは、アルファ、ベータv1およびデルタ9量体の組合せを含む。ある特定の実施形態では、ELPは、アルファ、ベータv2およびデルタ 9量体の組合せを含む。例えば、特定の配置では、ELPベータv2は、以下の配列で繰り返される構造単位の以下のゲスト残基を含むことができる:A-V-A-V-V-A-V-A-V。繰り返される配列は、ELP中で約10回、約15回、約16回、約20回、約25回、約30回または約35回以上連続して繰り返すことができる。一部の態様では、ELPは、約10~約20個の繰り返された配列を含有する。他の態様では、ELPは、約15~20個の繰り返された配列を含有する。一部の態様では、ELPは、約16個の繰り返された配列を含有する。
【0033】
一部の実施形態では、ELPは、本明細書に開示される1つまたは複数のELP構造単位の10コピーを含む10量体を含む。一部の実施形態では、ELPは、本明細書に開示されるペンタペプチドの10コピーを含む10量体を含む。一部の実施形態では、ELPは、配列番号3および13を任意の組合せで含む10量体を含む。一部の実施形態では、ELPは、配列番号3および13が交互に並ぶ配列を含む。様々な数の10量体のELPを組み合わせて、例えば、20、30、40、60、90、100、120、150、160または200コピーの10量体を備えるELPを生成することができる。例示的な10量体が、表3に開示される。
【0034】
【0035】
一部の実施形態では、ELPはβターン構造を形成することができる。βターン構造を形成するのに適する例示的なペプチド配列は、国際特許出願PCT/US96/05186に記載され、それはここに参照により完全に組み込まれる。例えば、配列VPGXG(配列番号3)の第4の残基(X)は、βターンの形成を排除することなく変更することができる。
【0036】
例示的なELPの構造は、表記ELPk[XiYj-n]を使用して記載することができ、ここで、kは特定のELP反復配列単位を指定し、括弧中の大文字は一文字アミノ酸コードであり、それらの対応する下付き文字は構造単位中の各ゲスト残基Xの相対比を指定し(該当する場合)、nはELPの全長を構造反復配列の数で記載する。例えば、ELP1[V5A2G3-10]は、ペンタペプチドVPGXG(配列番号3)の10反復単位を含有するELP成分を指定し、ここでXは約5:2:3の相対比のバリン、アラニンおよびグリシンであり;ELP1[K1V2F1-4]は、ペンタペプチドVPGXG(配列番号3)の4反復単位を含有するELP成分を指定し、ここでXは約1:2:1の相対比のリジン、バリンおよびフェニルアラニンであり;ELP1[K1V7F1-9]は、ペンタペプチドVPGXG(配列番号3)の9反復単位を含有するポリペプチドを指定し、ここでXは約1:7:1の相対比のリジン、バリンおよびフェニルアラニンであり;ELP1[V-5]は、ペンタペプチドVPGXG(配列番号3)の5反復単位を含有するポリペプチドを指定し、ここでXはバリンであり;ELP1[V-20]は、ペンタペプチドVPGXG(配列番号3)の20反復単位を含有するポリペプチドを指定し、ここでXはバリンであり;ELP2[5]は、ペンタペプチドAVGVP(配列番号4)の5反復単位を含有するポリペプチドを指定し;ELP3[V-5]は、ペンタペプチドIPGXG(配列番号5)の5反復単位を含有するポリペプチドを指定し、ここでXはバリンであり;ELP4[V-5]は、ペンタペプチドLPGXG(配列番号7)の5反復単位を含有するポリペプチドを指定し、ここでXはバリンである。
【0037】
ELPに関して、Ttはゲスト残基の疎水性の関数である。したがって、ゲスト残基(複数可)の同一性およびそれらのモル分率(複数可)を変えることによって、広い範囲にわたって逆転移を示すELPを合成することができる。したがって、ELP配列により大きな分率の疎水性ゲスト残基を組み込むことによって、所与のELP長のTtを低下させることができる。適する疎水性ゲスト残基の例には、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれる。中程度疎水性であるチロシンを、使用することもできる。反対に、グルタミン酸、システイン、リジン、アスパラギン酸、アラニン、アスパラギン、セリン、トレオニン、グリシン、アルギニンおよびグルタミンから選択されるものなどの残基を組み込むことによって、Ttを増加させることができる。
【0038】
分子量が100,000を超えるポリペプチドについては、PCT/US96/05186(ここに参照により完全に組み込まれる)に開示される疎水性スケールは、特定のELP配列のおよそのTtを予測するための1つの手段を提供する。分子量が100,000未満のポリペプチドについては、Ttは以下の二次関数:Tt=M0+M1X+M2X2によって予測または判定することができ、ここでXは融合タンパク質のMWであり、M0=116.21;M1=-1.7499;M2=0.010349である。
【0039】
一部の実施形態では、ELPは、製剤条件で約10~約37℃、例えば約20~約37℃、または約25℃~約37℃の範囲のTtを提供するように選択または設計される。一部の実施形態では、わずかに低い末梢体温を考慮すると、生理的条件(例えば、0.9%食塩水)での転移温度は約34℃~36℃である。
【0040】
ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択される。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:3:2であってよい。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]90を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:3:2であってよい。例えば、体温で水素結合マトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列は[VPGXG]120を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:3:2であってよい。本明細書に示されるように、このELPの120の構造単位は、約5~15mg/ml(例えば、約10mg/ml)のタンパク質で約37℃の転移温度を提供することができる。約50~約100mg/mLの濃度で、相転移温度は摂氏約35.5度(体温のすぐ下)であり、それは末梢体温が37℃のすぐ下であることを可能にする。一部の実施形態では、ELPは[VPGXG]144を含むことができ、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:3:2であってよい。一部の実施形態では、ELPは[VPGXG]180を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:3:2であってよい。
【0041】
ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:2:0である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]90を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:2:0である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]120を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:2:0である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]144を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:2:0である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]180を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:2:0である。
【0042】
ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:0:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]90を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:0:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]120を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:0:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]144を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:0:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]180を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約7:0:2である。
【0043】
ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約6:0:3である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]90を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約6:0:3である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]120を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約6:0:3である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]144を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約6:0:3である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]180を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約6:0:3である。
【0044】
ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:2:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]90を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:2:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]120を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:2:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]144を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:2:2である。ある特定の実施形態では、ELPは[VPGXG]180を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:2:2である。
【0045】
ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数である。ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択される。ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数であり、各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:0:4である。ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]90を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:0:4である。ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]120を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:0:4である。ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]144を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:0:4である。ある特定の実施形態では、ELPは[XPGVG]180を含み、ここで各XはV、GおよびAから選択され、V:G:Aの比は約5:0:4である。
【0046】
ある特定の実施形態では、ELPは[VPGVG]mを含み、ここでmは1~200の任意の数である。一部の実施形態では、ELPは[VPGVG]90または[VPGVG]120を含む。本明細書に示されるように、このELPの120構造単位は、約0.005~約0.05mg/ml(例えば、約0.01mg/ml)のタンパク質で約37℃の転移温度を提供することができる。あるいは、ELPは[VPGXG]144または[XPGVG]144を含む。本明細書に示される(表2)ように、これらのELPのいずれかの144構造単位は、両端を含む28℃~35℃の転移温度を提供することができる。
【0047】
様々な実施形態では、意図される対象はヒトであり、体温は約37℃であり、したがって、治療剤はこの温度(例えば約28℃から約37℃まで)でまたはその近くで持続的放出を提供するように設計される。水素結合および/または疎水性相互作用の反転による循環への徐放性は、体温が一定であっても、製品が注射部位で拡散するときの濃度の低下によって推進される。他の実施形態では、対象は非ヒト哺乳動物であり、治療剤は、一部の実施形態では、例えばある特定の飼いならされたペット(例えば、イヌまたはネコ)または畜産動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジまたはブタ)については約30~約40℃であってよい哺乳動物の体温で持続的放出を示すように設計される。一般的に、治療剤が注射のために溶液のままであるように、Ttは製剤の保存条件(10~約25℃、または15~22℃であってよい)より高い。
【0048】
一部の実施形態では、ELPは、両端を含む27℃~36℃の範囲で、転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、両端を含む28℃~35℃の範囲で、転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、両端を含む29℃~34℃の範囲で、転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、両端を含む27℃~33℃の範囲で、転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、両端を含む30℃~33℃の範囲で、転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、両端を含む31℃~31℃の範囲で、転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃または36℃の転移温度を提供することができる。一部の実施形態では、ELPは、110mMのNaCl中に10mg/mLのタンパク質濃度で、両端を含む28℃~35℃の範囲で転移温度を提供することができる。
【0049】
エラスチン様ペプチド(ELP)タンパク質ポリマーおよび組換え融合タンパク質は、ここに参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0022455号に記載されている通りに調製することができる。一部の実施形態では、ELPタンパク質ポリマーは、任意の配列および広範囲の分子量にわたる特定の長さの高度に反復性のポリペプチドをコードするDNAを急速にクローニングするために、反復ライゲーションを通して構築される。単一のサイクルでは、各々オリゴマーのコピーを含有する親プラスミドの2つの半分を一緒にライゲーションし、それによってオリゴマーを二量体化して機能的プラスミドを再構成する。所望の数の反復配列を有するオリゴマー遺伝子を組み立てるために、この過程を反復して実行する。例えば、1つのELP構造サブユニット(例えば、ペンタペプチドまたはペンタペプチドの9量体)がベクターに挿入される。ベクターを消化し、別のELP構造単位(例えば、ペンタペプチドまたはペンタペプチドの9量体)を挿入する。ELPポリマーが所望の長さになるまで、以降の各回の消化およびライゲーションは、結果として生じるベクターに含有されるELP構造単位の数を倍増する。最初の構造単位中のペンタペプチドの数を変えることによって、様々な長さのELPを容易に構築することができる。ELPの代替の長さを生成するために、構築の代替手段(すなわち、反復ライゲーション以外の)を使用することができる。
【0050】
一部の実施形態では、ベクターは1つまたは複数の追加のアミノ酸またはELP構造単位反復配列を含有する。例えば、pPE0248(
図6)は、ゲスト位置にバリンを有する144量体のN末端に追加の五量体反復配列を、およびゲスト残基にトリプトファンを有するC末端に追加の五量体を追加する。分子の吸光係数を増加させ、例えば280nmで吸光度のより優れた測定を可能にする手段としてトリプトファンを使用することができ、そのことはタンパク濃度の判定または精製中のタンパク含有量のモニタリングのために有益である可能性がある。いずれかの末端に追加される五量体は、コードするDNAがELPコード配列のいずれかの末端への融合パートナーのクローニングのための制限酵素認識部位を含有するように、設計することもできる。
【0051】
一部の実施形態では、治療剤は活性薬剤および1つまたは複数のELPを含む。一部の実施形態では、治療剤は、N末端またはC末端のいずれかに1つまたは複数のELPを有する活性薬剤を含む。一部の実施形態では、治療剤は、N末端またはC末端の両方に1つまたは複数のELPを有する活性薬剤を含む。一部の実施形態では、ELPは概ね同じサイズである。一部の実施形態では、ELPはサイズが異なる。一部の実施形態では、一方の末端のELPは、他方の末端のELPより大きい。一部の実施形態では、N末端のELPはC末端のELPより大きい。一部の実施形態では、C末端のELPはN末端のELPより大きい。
【0052】
活性薬剤
ペプチド活性薬剤
様々な実施形態では、活性薬剤は、それ自体で短い循環半減期、例えば約30秒~約1時間を有することができるタンパク質またはペプチドである。治療剤は、タンパク質活性薬剤と、対象の体温で水素結合マトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列(例えば、ELP)との間の組換え融合タンパク質であってもよい。任意の適当なペプチド活性薬剤を、本開示の治療剤で使用することができる。例示的なペプチド活性薬剤には、GIP受容体アゴニスト、例えばグルコース依存性インスリン分泌性ペプチド(GIP)またはその誘導体が含まれる。さらなる例示的なペプチド活性薬剤には、GLP1受容体アゴニスト、例えばGLP-1またはその誘導体(GLP1 7-36またはGLP1 7-37を含む)またはエキセンディン-4またはその誘導体が含まれる。他の実施形態では、タンパク質またはペプチド薬剤は、グルカゴン受容体アゴニストである(グルカゴン、オキシントモジュリンまたはその誘導体を含む)。他の実施形態では、本開示は、GLP1受容体アゴニスト、グルカゴン受容体アゴニスト、GIP受容体アゴニスト、VPAC2選択的アゴニスト、例えば血管作用性小腸ペプチド(VIP)もしくはその誘導体、凝固因子、例えば第VII因子、第VIII因子もしくは第IX因子、インスリン(例えば、ここに参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0150291号に記載される、単鎖インスリンまたはA鎖もしくはB鎖融合タンパク質)、またはモノクローナル抗体もしくは単鎖抗体のうちの任意の2つの共製剤を提供する。あるいは、活性薬剤は、ここに参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0123487号に記載されている通りである。
【0053】
タンパク質治療薬の半減期は、タンパク質治療薬のサイズ、したがって流体力学的な量を増加させること、改変されたか非天然のアミノ酸を追加すること、部分のコンジュゲーション(例えばペグ化)、合成配列(例えば、XTEN(登録商標)配列、PASylation(登録商標))の付加、hCGからのカルボキシ末端伸長(CTP)、アルブミン結合性配列(例えばAlbudAb(登録商標))の付加、アルブミン結合性脂肪酸のコンジュゲーション、翻訳後修飾、例えばN-グリコシル化および他のペプチドへの融合、または哺乳動物の異種タンパク質、例えばアルブミン、トランスフェリンもしくは抗体Fc配列との融合を含む、様々な手段によって延長することができる。そのような配列は、米国特許第7,238,667号(特にアルブミン抱合体に関する)、米国特許第7,176,278号(特にトランスフェリンコンジュゲートに関する)および米国特許第5,766,883号に記載される。
【0054】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される1つまたは複数の活性ペプチド薬剤の誘導体、変異体または突然変異体を提供する。一部の実施形態では、誘導体、変異体または突然変異体は、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1~20アミノ酸が置換される。一部の実施形態では、誘導体、変異体または突然変異体は、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較して、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つ、約6つ、約7つ、約8つ、約9つまたは約10個のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、誘導体、変異体または突然変異体は、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸欠失を含有する。一部の実施形態では、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較して1~20アミノ酸が欠失している。一部の実施形態では、誘導体、変異体または突然変異体は、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較して、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つ、約6つ、約7つ、約8つ、約9つまたは約10個のアミノ酸欠失を有する。一部の実施形態では、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較していずれかの末端で1~10アミノ酸が欠失している。一部の実施形態では、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と比較して両方の末端から1~10アミノ酸が欠失している。一部の実施形態では、誘導体、変異体または突然変異体のアミノ酸配列は、天然のペプチド治療剤のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である。一部の実施形態では、誘導体、変異体または突然変異体のアミノ酸配列は、天然の治療的ペプチド薬剤のアミノ酸配列と約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一である。
【0055】
同一性の判定方法は、当技術分野で周知である。同一性を判定する好ましい方法は、試験する配列の間で最良の一致を与えるように設計される。同一性および類似性を判定する方法は、公に入手できるコンピュータープログラムに体系化されている。配列アラインメントおよび同一性パーセントの計算は、「アラインメントのClustal W方法」(HigginsおよびSharp、CABIOS. 5:151-153(1989);Higgins, D. G.ら、Comput. Appl. Biosci. 8:189-191(1992)によって記載される)を使用して実行することができ、LASERGENE bioinformatics computing suite(DNASTAR Inc.)のMegAlign(商標)v6.1プログラムに見出される。複数のアラインメントのためのデフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、Delay Divergen Seqs(%)=30、DNA Transition Weight=0.5、Protein Weight Matrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUB)。Clustal Wプログラムを使用した配列のアラインメントの後、同じプログラムの「配列距離」表を見ることによって「同一性パーセント」を得ることが可能である。
【0056】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される任意の2つ以上の活性薬剤の共製剤を提供する。一部の実施形態では、共製剤は2つ以上のペプチド活性薬剤および小分子活性薬剤を含む。一部の実施形態では、共製剤は2つ以上の小分子活性薬剤を含む。一部の実施形態では、共製剤は2つ以上のペプチド活性薬剤を含む。一部の実施形態では、ペプチド活性薬剤は、インスリンまたはその誘導体、およびGLP-1受容体アゴニストまたはその誘導体である。一部の実施形態では、ペプチド活性薬剤は、インスリンまたはその誘導体、およびエキセンディン-4またはその誘導体である。一部の実施形態では、共製剤中の活性薬剤の1つまたは複数は、ELPにコンジュゲートしていない。一部の実施形態では、共製剤中の活性薬剤の全ては、ELPにコンジュゲートしている。
【0057】
グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体アゴニスト
本開示のある特定の実施形態では、治療剤は、GLP-1受容体アゴニスト、例えばGLP-1、エキセンディン-4またはその機能的類似体に融合またはコンジュゲートしているELP成分を含む。
【0058】
ヒトGLP-1は、遠位回腸、膵臓および脳のL細胞で合成されるプレプログルカゴンを起源とする37アミノ酸残基ペプチドである。GLP-1(7-36)アミド、GLP-1(7-37)およびGLP-2を与えるプレプログルカゴンのプロセシングは、L細胞で主に起こる。このペプチドの断片および類似体を記載するために、単純な系が使用される。例えば、Gly8-GLP-1(7-37)は、アミノ酸残基番号1~6を欠失させ、8位の天然に存在するアミノ酸残基(Ala)をGlyによって置換することによってGLP-1から形式的に導かれるGLP-1の断片を指定する。同様に、Lys34(Nε-テトラデカノイル)-GLP-1(7-37)は、34位のLys残基のεアミノ基がテトラデカノイル化されているGLP-1(7-37)を指定する。本文でC末端伸長GLP-1類似体に言及する場合、38位のアミノ酸残基は、別段の指示がない限りArgであり、39位の任意選択のアミノ酸残基は、別段の指示がない限り同様にArgであり、40位の任意選択のアミノ酸残基は、別段の指示がない限りAspである。さらに、C末端伸長類似体が41、42、43、44または45位まで伸長する場合は、この伸長のアミノ酸配列は、別段の指示がない限りヒトプレプログルカゴン中の対応配列の通りである。
【0059】
GLP-1の親ペプチド、プログルカゴン(PG)は、膵臓ではグルカゴン(PG[32-62])およびGLP-1[7-36]NH2(PG[72-107])ならびに腸のL細胞ではGLP-1[7-37](PG[78-108])およびGLP-1[7-36]NH2(PG[78-107])を含む、起源組織によって様々なペプチド生成物を生成するいくつかの開裂部位を有し、ここで、GLP-1[7-36]NH2(78-107PG)が主要生成物である。本開示によるGLP-1成分はプログルカゴンまたはその機能的類似体の任意の生物学的に活性な生成物または誘導体であってもよく、例えば以下のものが含まれる:GLP-1(1-35)、GLP-1(1-36)、GLP-1(1-36)アミド、GLP-1(1-37)、GLP-1(1-38)、GLP-1(1-39)、GLP-1(1-40)、GLP-1(1-41)、GLP-1(7-35)、GLP-1(7-36)、GLP-1(7-36)アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-38)、GLP-1(7-39)、GLP-1(7-40)およびGLP-1(7-41)または上述の類似体。一般的に、一部の実施形態ではGLP-1成分はGLP-1(A-B)と表すことができ、ここで、Aは1~7の整数であり、Bは38~45の整数であり、任意選択的に、以下に規定される1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。
【0060】
腸L細胞でのプロセシングの後、最も注目すべきことに食事に応答して、GLP-1が循環に放出される。GLP-1の血漿中濃度は、概ね15pmol/Lの空腹時レベルから40pmol/Lの食後のピークレベルまで上昇する。血漿中グルコース濃度の所与の上昇に関して、血漿中インスリンの増加は、静脈内と比較して経口的にグルコースが投与されるときに概ね3倍大きい(Kreymannら、1987、Lancet 2 (8571): 1300-4)。インクレチン効果として知られるインスリン放出のこの食物性増強は主に体液性であり、現在、GLP-1はヒトで最も強力な生理的インクレチンであると考えられている。GLP-1は、膵臓のβ細胞で発現されることが知られているGLP-1受容体に結合することを通してインスリン生成を媒介する。インスリン分泌促進効果に加えて、GLP-1はグルカゴン分泌を抑制し、胃内容排出を遅らせ(Wettergenら、1993、Dig Dis Sci 38: 665-73)、末梢グルコース廃棄を増強することができる(D'Alessioら、1994、J. Clin Invest 93: 2293-6)。
【0061】
作用の組合せは、インスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)を治療するために現在使用されている他の薬剤に比べて、GLP-1に特異な治療的利点を与える。第1に、GLP-1の単一の皮下投与は、NIDDM患者で食後グルコースレベルを完全に正常化することができる(Gutniakら、1994、Diabetes Care 17: 1039-44)。この効果は、インスリン放出の増加およびグルカゴン分泌の低減の両方が媒介することができる。第2に、GLP-1の静脈内注入は、NIDDM患者で食後の胃内容排出を遅らせることができる(Williamsら、1996、J. Clin Endo Metab 81: 327-32)。第3に、スルホニル尿素と異なって、GLP-1のインスリン分泌作用は、血漿中グルコース濃度に依存する(Holzら、1993、Nature 361:362-5)。したがって、低い血漿中グルコース濃度でのGLP-1媒介インスリン放出の減少は、重度の低血糖から保護する。
【0062】
健康な対象に与えられると、GLP-1は、血糖レベルならびにインスリンおよびグルカゴン濃度に強力に影響し(Orskov、1992、Diabetologia 35:701-11)、これはグルコース依存性の影響である(Weirら、1989、Diabetes 38: 338-342)。さらに、それは糖尿病患者でも有効であり(Gutniak, M.、1992、N. Engl J Med 226: 1316-22)、2型糖尿病の対象で血糖レベルを正常化し、1型患者で血糖管理を改善する(Nauckら、1993、Diabetologia 36: 741-4、Creutzfeldtら、1996、Diabetes Care 19:580-6)。
【0063】
しかし、GLP-1は代謝的に不安定であり、in vivoでわずか1~2分の血漿中半減期(t1/2)を有する。さらに、外因的に投与されたGLP-1も急速に分解される(Deaconら、1995、Diabetes 44: 1126-31)。この代謝不安定性は、天然のGLP-1の治療的潜在能力を制限してきた。
【0064】
GLP-1[7-36]NH2は、以下のアミノ酸配列:HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号38)を有し、それは、本開示によりGLP-1成分として用いることができる。あるいは、GLP-1成分は2位にグリシン(G)を含有することができ、例えば、配列HGEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号39)を与える。GLP-1成分は、例えばここに参照により完全に組み込まれる、US2007/0041951に開示されるように、GLP-1の生物学的に活性な断片であってもよい。GLP-1の他の断片および改変配列が、当技術分野で公知である(米国特許第5,614,492号;米国特許第5,545,618号;欧州特許出願公開番号EP0658568 A1;国際公開第93/25579号、これらはここに参照により完全に組み込まれる)。そのような断片および改変配列は、下に記載されるものに加えて本開示に関連して使用することができる。
【0065】
GLP-1のある特定の構造的および機能的類似体がアメリカドクトカゲ(Heloderma suspectumおよびHeloderma horridum)の毒から単離され、臨床有用性を示した。そのような分子は、本開示により利用できる。特に、エキセンディン-4はHeloderma suspectumの毒から単離された39アミノ酸残基ペプチドであり、ヒトGLP-1と概ね52%の相同性を共有する。エキセンディン-4はインスリン放出を刺激し、それによって血糖レベルを低下させる強力なGLP-1受容体アゴニストである。エキセンディン-4は、以下のアミノ酸配列を有する:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(配列番号23)。エキセナチド(Byetta(登録商標)として市販される)として知られるエキセンディン-4の合成版は、2型糖尿病の治療のために承認されている。エキセナチドは天然のGLP-1に構造的に類似しているが、それは注射後のより長い半減期を有する。
【0066】
エキセナチドは単独で血糖レベルを低下させる能力を有するが、グルコース管理を改善するために、それは他の医薬品、例えばメトホルミン、チオゾリジンジオン、スルホニル尿素、および/またはインスリンと組み合わせることもできる。エキセナチドは、前充填されたペン器具(pre-filled pen device)を用いて、1日に2回、皮下注射によって投与される。エキセナチドへの一般的なヒト応答には、内因性インスリンの初期の急速な放出の改善、β細胞成長および増殖の増加、膵臓のグルカゴン放出の抑制、胃内容排出の遅延、および食欲の低減が含まれる-これらの全ては血糖を下げる働きをする。スルホニル尿素およびメグリチニドと異なって、エキセナチドはグルコースの存在下だけでインスリンの合成および分泌を増加させ、したがって、低血糖のリスクを少なくする。エキセナチドの治療的有用性にもかかわらず、それはある特定の望ましくない形質、例えば、1日2回の注射の必要性、胃腸副作用、および天然のGLP-1と同様の比較的短い半減期(すなわち、概ね2時間)を有する。
【0067】
GLP-1およびエキセンディン-4の様々な機能的類似体が公知であり、本開示により利用できる。これらには、リラグルチド(Novo Nordisk、国際公開第98/008871号)、R1583/タスポグルチド(Roche、国際公開第00/034331号)、CJC-1131(ConjuChem、国際公開第00/069911号)、ZP-10/AVE0010(Zealand Pharma、Sanofi-Aventis、国際公開第01/004156号)およびLY548806(Eli Lilly、国際公開第03/018516号)が含まれる。
【0068】
NN2211としても知られるリラグルチドは、1日1回の注射のために設計されたGLP-1受容体アゴニスト類似体である(Harderら、2004、Diabetes Care 27: 1915-21)。リラグルチドはいくつかの研究において2型糖尿病患者で試験され、様々な期間にわたって有効であることが示されている。1つの研究では、リラグルチドによる治療は、1週間の治療の後に、2型糖尿病患者で血糖管理を改善し、β細胞機能を改善し、内因性グルコース放出を低減した(Degn et al., 2004, Diabetes 53: 1187-94)。類似の研究で、8週間の0.6mgリラグルチド療法は、プラセボの者と比較して2型糖尿病の対象で体重を増加させることなく血糖管理を有意に改善した(Harderら、2004、Diabetes Care 27: 1915-21)。
【0069】
したがって、ある特定の実施形態では、本開示によるGLP-1受容体アゴニストは、ここに参照により完全に組み込まれる国際公開第98/008871号に記載されている通りである。GLP-1受容体アゴニストは、天然のGLP-1に関して1つ、2つまたはそれを超えるアミノ酸置換に加えて、少なくとも1つの親油性置換基を有することができる。例えば、親油性置換基は、CH3(CH2)nCO-から選択されるアシル基であってよく、式中、nは4~38の整数、例えば4~24の整数である。親油性置換基は、直鎖または分枝状のアルキルまたは脂肪酸のアシル基であってよい(例えば、その記載はここに参照により組み込まれる、国際公開第98/008871号に記載されているように)。
【0070】
ある特定の実施形態では、GLP-1成分は、Arg26-GLP-1(7-37)、Arg34-GLP-1(7-37)、Lys36-GLP-1(7-37)、Arg26,34Lys36-GLP-1(7-37)、Arg26,34Lys38-GLP-1(7-38)、Arg28,34Lys39-GLP-1(7-39)、Arg26,34Lys40-GLP-1(7-40)、Arg26Lys36-GLP-1(7-37)、Arg34Lys36-GLP-1(7-37)、Arg26Lys39-GLP-1(7-39)、Arg34Lys40-GLP-1(7-40)、Arg26,34Lys36,39-GLP-1(7-39)、Arg26,34Lys36,40-GLP-1(7-40)、Gly8Arg26-GLP-1(7-37);Gly8Arg34-GLP-1(7-37);Gly8Lys38-GLP-1(7-37);Gly8Arg26,34Lys36-GLP-1(7-37)、Gly8Arg26,34Lys39-GLP-1(7-39)、Gly8Arg26,34Lys40-GLP-1(7-40)、Gly8Arg26Lys36-GLP-1(7-37)、Gly8Arg34Lys36-GLP-1(7-37)、Gly8Arg26Lys39-GLP-1(7-39);Gly8Arg34Lys40-GLP-1(7-40)、Gly8Arg28,34Lys36,39-GLP-1(7-39)およびGly8Arg26,34Lys35,40-GLP-1(7-40)であり、各々は親油性置換基を任意選択的に有する。例えば、GLP-1受容体アゴニストは、配列/構造Arg34Lys26-(N-ε-(γ-Glu(N-α-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)を有することができる。
【0071】
R1583またはBIM51077としても知られるタスポグルチドは、メトホルミンで治療した2型真性糖尿病の対象で血糖管理を改善し、体重を減量することが示されたGLP-1受容体アゴニストである(アブストラクト番号A-1604、2008年6月7日、68th American Diabetes Association Meeting、San Francisco、CA)。
【0072】
したがって、ある特定の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、ここに参照により完全に組み込まれる国際公開第00/034331号に記載されている通りである。ある特定の例示的な実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、配列[Aib8,35]hGLP-1(7-36)NH2(例えばタスポグルチド)を有し、ここでAibはアルファアミノイソ酪酸である。
【0073】
CJC-1131は、皮下注射の後にGLP-1が血清アルブミンと共有結合性および不可逆的結合を形成することを可能にする反応性化学的リンカー基に連結される、GLP-1のDPP-IV耐性形からなるGLP-1類似体である(Kimら、2003、Diabetes 52: 751-9)。12週無作為化二重盲検プラセボ対照多施設研究では、CJC-1131およびメトホルミン治療は、2型糖尿病患者で空腹時血糖レベルを低減することで有効だった(Ratnerら、アブストラクト番号10-OR、2005年6月10~14日、65th American Diabetes Association Meeting、San Francisco、CA)。
【0074】
したがって、ある特定の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、ここに参照により完全に組み込まれる国際公開第00/069911号に記載されている通りである。一部の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、血液成分の上でアミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基と反応して安定した共有結合を形成する反応性基で改変される。ある特定の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、スクシンイミジルおよびマレイミド基からなる群から選択される反応性基で改変される。ある特定の例示的な実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、配列/構造:D-Ala8Lys37-(2-(2-(2-マレイミドプロピオンアミド(エトキシ)エトキシ)アセトアミド))-GLP-1(7-37)(例えばCJC-1131)を有する。
【0075】
ZP-10としても知られるAVE0010は、本開示に関連して用いることができるGLP-1受容体アゴニストである。近年の二重盲検試験では、AVE0010の1日1回の投薬で治療された患者は、HbA1cレベルの有意な低減を実証した(Ratnerら、アブストラクト番号433-P、68th American Diabetes Association Meeting、San Francisco、CA.)。研究の終わりに、HbA1c<7%の患者の百分率は、1日1回の投薬ではプラセボの32%と比較して47~69%の範囲内だった。さらに、AVE0010治療患者は、体重および食後血漿中グルコースの用量依存的低減を示した。
【0076】
したがって、ある特定の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、ここに参照により完全に組み込まれる国際公開第01/004156号に記載されている通りである。例えば、GLP-1受容体アゴニストは、配列:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK-NH2(配列番号41)(例えばAVE0010)を有することができる。
【0077】
LY548806は、ジペプチダーゼ-ペプチジルIV(DPP-IV)によるタンパク質分解に耐性であるように設計されたGLP-1誘導体である(Jacksonら、アブストラクト番号562、2005年6月10~14日、65th American Diabetes Association Meeting、San Francisco、CA)。高血糖の動物モデルでは、LY548806は高血糖段階の間に血糖レベルの有意な低下をもたらすことが示された(Sahaら、2006、J. Pharm. Exp. Ther. 316: 1159-64)。さらに、LY548806は、その公知の作用機構、すなわち高血糖の存在下でのインスリン放出の刺激と一貫して、インスリンレベルの有意な増加をもたらすことが示された。
【0078】
したがって、ある特定の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、ここに参照により完全に組み込まれる国際公開第03/018516号に記載されている通りである。一部の実施形態では、本開示の治療剤はGLP-1類似体を含み、そこで、そのような類似体または断片の骨格は8位にアラニン以外のアミノ酸を含有する(8位類似体)。骨格は、7位にL-ヒスチジン、D-ヒスチジンまたはヒスチジンの改変形、例えば、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチルヒスチジンまたはα-メチルヒスチジンを含むこともできる。一部の実施形態では、これらの8位類似体は、天然GLP-1の対応するアミノ酸と比較して、12、16、18、19、20、22、25、27、30、33および37位に1つまたは複数の追加の変更を含有することができる。他の実施形態では、これらの8位類似体は、天然GLP-1の対応するアミノ酸と比較して、16、18、22、25および33位に1つまたは複数の追加の変更を含有することができる。ある特定の例示的な実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、配列:HVEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLIKGRG-OH(配列番号42)(例えばLY548806)を有する。一部の実施形態では、プロセシングされると、そのような融合タンパク質の成熟形はGLPのHis7から始まる。
【0079】
したがって、本開示は、エラスチン様ペプチド(ELP)およびGLP-1受容体アゴニストを含む治療剤を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、GLP-1(配列番号37、38または39)またはその機能的類似体である。他の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、エキセンディン-4(配列番号23)またはその機能的類似体である。GLP-1またはエキセンディン-4のそのような機能的類似体は、1~10アミノ酸、例えば1、2、3または約5までのアミノ酸(配列番号23、37、38または39に関して)がC末端でトランケーションされた機能的断片を含む。そのような機能的類似体は、天然の配列(例えば、配列番号23、37、38または39)に関して1~10アミノ酸の挿入、欠失および/または置換(総合的に)を含有することができ、いずれの場合も、ペプチドの活性は保持される。例えば、GLP-1またはエキセンディン-4の機能的類似体は、配列番号23、37、38または39に関して、1から約3つ、4つまたは5つまでの挿入、欠失および/または置換(総合的に)を有することができる。一部の実施形態では、エキセンディン-4変異体は、エキセンディン-4(9-39)(配列番号33)、エキセンディン-4(9-31)(配列番号34)またはエキセンディン-4(9-30)(配列番号56)である。そのような活性は、任意の利用可能なアッセイを使用して確認または検査することができる。これらまたは他の実施形態では、GLP-1受容体アゴニスト成分は、天然の配列(配列番号23、37、38または39)と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有する。そのような機能的類似体は、追加の化学的修飾、例えばこのセクションに記載のものおよび/または当技術分野で公知の他のものをさらに含むことができる。
【0080】
一部の実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、ここに参照により完全に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0257092号に記載されるアミノ酸配列を有する二重アゴニストである。他の二重または多重受容体アゴニストは、特にその中に記載されるGLP-1受容体共アゴニストの構造および配列に関して、米国特許出願公開第2011/016602号および米国特許出願公開第2010/00190701号に記載され、その各々はここに参照により組み込まれる。GLP-1受容体共アゴニストの追加の記載は、Pocai Aら、Glucagon-Like Peptide 1/Glucagon Receptor Dual Agonism Reverses Obesity in Mice、Diabetes 58:2258-2266(2009)およびPatterson JTら、Functional association of the N-terminal residues with the central region in glucagon-related peptides、J.Pept.Sci.17:659-666(2011)、Finanら、A rationally designed monomeric peptide triagonist corrects obesity and diabetes in rodents、Nature Medicine 21:27-36に見出すことができ、その各々はここに参照により完全に組み込まれる。
【0081】
別の態様では、本開示は、2型糖尿病、障害のあるグルコース耐性、1型糖尿病、高血糖、肥満、過食症、食欲亢進、高血圧、エックス症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム硬化症、非脂肪肝疾患、心筋梗塞、虚血性心疾患および他の心血管障害またはインスリン過剰、例えば先天性インスリン過剰もしくは胃手術、例えば肥満を治療する胃手術の後の後天性インスリン過剰を治療または予防する方法を提供する。
【0082】
本方法は、エラスチン様ペプチド(ELP)およびGLP-1受容体アゴニスト(上記)を含む治療剤をそのような治療を必要とする患者に投与することを含む。これらまたは他の実施形態では、本開示は、食物摂取を減少させる方法、β細胞アポトーシスを減少させる方法、β細胞機能およびβ細胞質量を増加させる方法、および/またはβ細胞にグルコース感受性を回復する方法を提供する。一般的に、患者はヒトまたはヒト以外の動物患者(例えば、イヌ、ネコ、ウシまたはウマ)であってよい。好ましくは、患者はヒトである。
【0083】
一部の実施形態では、本開示によるELP/GLP-1受容体アゴニスト化合物による治療は、例えば抗糖尿病薬、肥満防止薬、食欲調節剤、血圧降下薬、糖尿病から生じるかまたはそれに伴う合併症の治療および/または予防のための薬剤、ならびに肥満から生じるかまたはそれに伴う合併症および障害の治療および/または予防のための薬剤から選択される、1つまたは複数の薬理活性物質と組み合わせることもできる。本文脈では、表現「抗糖尿病薬」は、インスリン抵抗性およびインスリン抵抗性が病態生理学的機構である疾患の治療および/または予防のための化合物を含む。
【0084】
GLP-1またはエキセンディン-4類似体、またはGLP-1受容体アゴニスト/ELP化合物のGLP-1受容体に結合する能力は、標準の方法、例えばそれらの表面でGLP-1受容体を発現する適当な細胞、例えばRINmSF細胞またはINS-1細胞などのインスリノーマ細胞系を提供することを含む、受容体結合活性スクリーニング法によって判定することができる。ラジオイムノアッセイ方法を使用して膜へのトレーサの特異的結合を測定することに加えて、cAMP活性またはグルコース依存性インスリン生成を測定することもできる。1つの方法では、GLP-1受容体アゴニスト活性を測定するために、GLP-1受容体を組換えで発現する細胞を使用することもできる。したがって、これらの方法は、疑わしいGLP-1受容体アゴニストが活性であるかどうか試験または確認するために用いることができる。
【0085】
さらに、GLP-1受容体アゴニストまたはGLP-1受容体アゴニスト/ELPの生物学的活性のレベルをin vivoで測定または予測するために、公知の方法を使用することができる(例えば、Siegelら、1999、Regul Pept 79(2-3): 93-102を参照)。特に、GLP-1受容体アゴニストまたはGLP-1受容体アゴニスト/ELP化合物は、GLP-1活性を測定するための様々な公知のアッセイを使用して、インスリンの生成をin vivoで誘導するそれらの能力について調査することができる。例えば、ELP/GLP-1受容体アゴニスト化合物を不死化β細胞などの細胞に導入することができ、生じる細胞をグルコースと接触させることができる。グルコースに応答して細胞がインスリンを生成するならば、改変されたGLP-1はin vivoで生物学的に活性であると一般的に考えられる(Fehmannら、1992、Endocrinology 130: 159-166)。例示的なアッセイが、本明細書でより詳細に記載される。
【0086】
公知のアッセイを使用して、β細胞増殖を増強し、β細胞アポトーシスを阻害し、島成長を調節するGLP-1受容体アゴニスト/ELP化合物の能力を測定することもできる。膵臓のβ細胞増殖は、3HチミジンまたはBrdU組込みアッセイによって調査することができ(例えば、Buteauら、2003、Diabetes 52: 124-32を参照)、そこでは、INS(832/13)細胞などの膵臓のβ細胞がELP/GLP-1受容体アゴニスト化合物と接触させられ、3HチミジンまたはBrdU組込みの増加について分析される。ELP/GLP-1受容体アゴニスト化合物の抗アポトーシス活性は、培養されたインスリン分泌細胞および/またはベータ細胞アポトーシスの過剰な速度の結果として糖尿病が起こる動物モデルで測定することができる(例えば、Bulottaら、2004、Cell Biochem Biophys 40(3 suppl): 65-78を参照)。
【0087】
治療的能力を増強するために、GLP-1に加えて、このファミリーの他のペプチド、例えば、GLP-2、GIPおよびオキシントモジュリンなどのプログルカゴン遺伝子のプロセシングに由来するものを、ELP成分(本明細書に記載される)にコンジュゲートまたは融合することができる。
【0088】
様々な実施形態では、本開示は、用量および/またはレジメン、例えば、患者で実質的な食欲抑制を誘導しないものおよび/または患者で実質的な吐き気を誘導しないもの、例えば、ここに参照により組み込まれる国際出願PCT/US12/44383に記載されるものを包含する。
【0089】
ヒト成長ホルモン
一部の態様では、タンパク質活性薬剤は、成長ホルモンである。例示的な成長ホルモン配列には、
図24、26、28および30の下線付きの配列が含まれる(例えば配列番号22)。追加の適する配列には、Seeburgら、「The human growth hormone gene family:nucleotide sequences show recent divergence and predict a new polypeptide hormone:DNA1(3)239-249(1982)に記載されるものが含まれ、それは受託番号AAA98618に関連する配列を含む。AAA98616の正確な配列に加えて、他の誘導体を使用することができる。例えば、成長ホルモンは、最高3アミノ酸、最高5アミノ酸、最高10アミノ酸、最高15アミノ酸、最高20アミノ酸、最高25アミノ酸、最高30アミノ酸、最高35アミノ酸または最高40アミノ酸がN末端でトランケーションされてもよい。特定の態様では、約15~約30アミノ酸をN末端から欠失させることができる。他の態様では、成長ホルモンは、最高3アミノ酸、最高5アミノ酸、最高10アミノ酸、最高15アミノ酸、最高20アミノ酸、最高25アミノ酸、最高30アミノ酸、最高35アミノ酸または最高40アミノ酸がC末端でトランケーションされてもよい。特定の態様では、約20~約30アミノ酸をC末端から欠失させることができる。
【0090】
他の成長ホルモン誘導体には、配列番号22とある特定の配列同一性を有するものが含まれる。例えば、成長ホルモンには、配列番号22と少なくとも約75%の同一性、約80%の同一性、約90%の同一性、約95%の同一性、約96%の同一性、約97%の同一性、約98%の同一性または約99%の同一性を共有するアミノ酸配列が含まれる。
【0091】
ある特定の態様では、欠失させた部分は、メチオニンまたはグリシンなどの1つまたは複数のアミノ酸で置き換えることができ、それらは、発現の開始または空間的分離の提供などの機能を果たすことができる。ある特定の態様では、N末端およびC末端のトランケーションは、特定の成長ホルモンに到達するために組み合わせることができる。
【0092】
一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドは、1つを超えるELP配列との融合タンパク質中にある。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドは、N末端およびC末端の両方に1つまたは複数のELPを有する。一部の実施形態では、N末端およびC末端の2つ以上のELPは、概ね同じサイズである。一部の実施形態では、N末端およびC末端の2つ以上のELPは、サイズが異なる。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドのN末端のELPは、成長ホルモンペプチドのC末端のELPより大きい。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドのN末端のELPは、約90~約120の反復構造単位を含む。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドのC末端のELPは、約5~約20の反復構造単位を含む。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドのC末端のELPは、成長ホルモンペプチドのN末端のELPより大きい。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドのC末端のELPは、約90~約120の反復構造単位を含む。一部の実施形態では、成長ホルモンペプチドのN末端のELPは、約5~約20の反復構造単位を含む。
【0093】
インスリン
ヒトプロインスリンは、31アミノ酸Cペプチド(配列番号44または46)に連結されるAおよびB鎖からなる。プレプロインスリンが小胞体に到達すると、プロテアーゼがシグナルペプチドを切断してプロインスリンを形成する。具体的には、AとB鎖の間でジスルフィド結合が形成されると、プロインスリンは、トリプシン/カルボキシペプチダーゼB様系によるCペプチドの除去によってin vivoで成熟インスリンに変換される。ヒトインスリンは、2つのジスルフィド架橋によって連結される鎖A(21アミノ酸-GIVEQCCTSICSLYQLENYCN)(配列番号47)および鎖B(30アミノ酸FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT)(配列番号48)という名称のアミノ酸の2つの鎖で構成される。A鎖の6番目および11番目の残基を連結する第3のジスルフィド架橋がA鎖の中にある。ほとんどの種では、鎖AおよびBの長さならびにアミノ酸組成は類似し、3つのジスルフィド結合の位置は高度に保存されている。この理由から、ブタインスリンは、糖尿病患者で欠損したヒトインスリンレベルを元に戻すことができる。今日、ブタのインスリンは、細菌によるヒトプロインスリンの大量生産(組換えインスリン)によってほとんど置き換えられている。
【0094】
インスリン分子は溶液中でダイマーを形成する傾向があり、亜鉛イオンの存在下で、インスリンダイマーはヘキサマーへと結合する。インスリンのモノマーは血液を通して容易に拡散して急速な効果を及ぼすのに対して、ヘキサマーは徐々に拡散して遅延型の作用開始を有する。組換えインスリンの設計では、インスリンの構造は、ダイマーおよびヘキサマーを形成するインスリン分子の傾向を低減するが、インスリン受容体への結合を妨害しない方法で改変することができる。この方法で、短時間作用型から長時間作用型まで様々な調製物が作製される。
【0095】
小胞体の中で、プロインスリンは、C-ペプチドを除去してインスリンの成熟したおよび活性の形態を生成するいくつかの特異的ペプチダーゼに曝露させられる。ゴルジ装置では、インスリンおよび遊離C-ペプチドは分泌顆粒に詰め込まれ、それはβ細胞の細胞質に蓄積する。顆粒のエキソサイトーシスは、ベータ細胞へのグルコースの侵入によって誘発される。インスリンの分泌は、代謝に広い影響を有する。
【0096】
グルコースの上昇に応答して、2段階のインスリン放出がある。最初は、インスリンの即時放出である。これは、分泌顆粒に貯蔵される、予め形成されたインスリンの放出に起因する。短時間の遅れの後、新たに合成されたインスリンの第2のより長期の放出がある。
【0097】
放出されると、インスリンは、それが酵素によって分解されるまで短時間だけ活性である。肝臓および腎臓で見出されるインスリナーゼは、血漿中を循環するインスリンを分解し、その結果としてインスリンはわずか約6分の半減期を有する。この短い作用持続時間は、インスリンの循環レベルの急変をもたらす。
【0098】
改善された治療特性を有するインスリン類似体が開発され(Owensら、2001、Lancet 358: 739-46;Vajoら、2001、Endocr Rev 22: 706-17)、そのような類似体は本開示と関連して用いることができる。より長い持続性のインスリン類似体を生成するために、インスリンB鎖のCOOH末端の伸長およびアルブミンへのかなりの親和性を有する脂肪酸アシル化インスリンの工学的操作を含む、様々な戦略が使用される。しかし、利用可能なより長い持続性のインスリン化合物によるin vivo治療は、高頻度の低血糖および高血糖暴走ならびにHbA1cの軽度の低減をなおもたらす。したがって、真に持続性のおよび安定したヒトインスリン類似体の開発は、なお重要な作業のままである。
【0099】
本開示により用いることができるインスリンの機能的類似体には、インスリンリスプロ、インスリンアスパルトおよびインスリングルリシンなどの迅速作用性類似体が含まれ、それらは皮下注射の後に急速に(<30分)吸収され、1時間でピークに達し、比較的短い作用持続時間(3~4時間)を有する。さらに、3つの長時間作用性インスリン類似体:インスリングラルジン、インスリンデテミールおよびインスリンデグルデクが開発され、それらは本開示と関連して用いることができる。長時間作用性インスリン類似体は概ね2時間の作用開始を有し、4~6時間で生物学的作用の安定期に到達し、最高24時間持続することができる。
【0100】
したがって、一部の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、インスリンリスプロ(別名、HUMALOG、Eli Lilly)のAおよび/またはB鎖を含有することができる。インスリンリスプロは、インスリンB鎖の28位でのリジンによるプロリンの置換および29位でのプロリンによるリジンの置換によってヒトインスリンと異なる。これらの改変は受容体結合を変更しないが、それらはインスリンダイマーおよびヘキサマーの形成をブロックするのを助け、活性モノマーインスリンのより多くの量が食後の注射で利用可能であることを可能にする。
【0101】
他の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、アスパルト(別名、NOVOLOG(登録商標)、Novo Nordisk)のAおよび/またはB鎖を含有することができる。インスリンアスパルトは、ヒトインスリンB鎖の28位でのアスパラギン酸によるアミノ酸プロリンの単一の置き換えで設計される。この改変は、インスリンヘキサマーの形成をブロックするのを助け、より速い作用のインスリンを形成する。
【0102】
さらに他の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、グルリシン(別名、APIDRA(登録商標)、Sanofi-Aventis)のAおよび/またはB鎖を含有することができる。インスリングルリシンは、ヒトインスリンB鎖の、リジンによる3位のアスパラギンの置換およびグルタミンによる29位のリジンの置換によって形成される短時間作用型類似体である。インスリングルリシンは、通常のヒトインスリンと比較してより迅速な作用開始およびより短い作用持続時間を有する。
【0103】
他の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、インスリングラルジン(別名、LANTUS(登録商標)、Sanofi-Aventis)のAおよび/またはB鎖を含有することができる。インスリングラルジンは、中性生理的pHの存在下でインスリン結晶の微小沈殿形成を引き起こすその酸性pHのために、遅延型の吸収を有する。インスリングラルジンは、A鎖の21位のアミノ酸アスパラギンがグリシンによって置き換えられ、2つのアルギニンがB鎖のC末端に追加されるという点で、ヒトインスリンと異なる。就寝時中性プロタミンHagedorn(NPH)インスリン(中間作用性のインスリン)と比較して、インスリングラルジンは、2型糖尿病患者で夜間低血糖の低減と関連する。
【0104】
さらに他の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、インスリンデテミール(別名、LEVEMIR(登録商標)、Novo Nordisk)のAおよび/またはB鎖を含有することができる。インスリンデテミールは可溶性(中性pHで)の持続性インスリン類似体であり、そこでは、B30のアミノ酸トレオニンが除去され、14-炭素のミリストイル脂肪酸がLysB29のイプシロン-アミノ基にアセチル化されている。皮下注射の後、デテミールは解離し、それによって、アルブミン分子への可逆的結合を可能にする遊離脂肪酸を曝露させる。したがって定常状態では、遊離の未結合のインスリンの濃度は大いに低減され、安定した血漿中グルコースレベルをもたらす。
【0105】
さらに他の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、インスリンデグルデク(別名、TRESIBA(登録商標)、Novo Nordisk)のAおよび/またはB鎖を含有することができる。インスリンデグルデクは、可溶性(中性pHで)の持続性インスリン類似体であり、そこでは、B30のアミノ酸トレオニンが除去され、グルタミン酸およびC16脂肪酸からなる側鎖が結合している。皮下注射の後、インスリンデグルデクは解離し、それによって、アルブミン分子への可逆的結合を可能にする脂肪酸を曝露させる。したがって定常状態では、遊離の未結合インスリンの濃度は大いに低減され、安定した血漿中グルコースレベルをもたらす。
【0106】
一部の実施形態では、インスリンアミノ酸配列は、単鎖インスリン類似体(SIA)であってもよい(例えば、ここに参照により完全に組み込まれる、米国特許第6,630,438号および国際公開第2008/019368号に記載される通り)。単鎖インスリン類似体は、AおよびB鎖がポリペプチドリンカーによって共有結合している一群の構造的に関係するタンパク質を包含する。ポリペプチドリンカーは、B鎖のC末端をA鎖のN末端に接続する。SIAがグルコース取り込みおよびインスリン受容体結合作用を有するのに必要な構造的立体配座をリンカーが提供する限り、リンカーは任意の長さであってよい。一部の実施形態では、リンカーは、長さが約5~18アミノ酸である。他の実施形態では、リンカーは、長さが約9~15アミノ酸である。ある特定の実施形態では、リンカーは約12アミノ酸の長さである。ある特定の例示的な実施形態では、リンカーは、配列KDDNPNLPRLVR(配列番号51)またはGAGSSSRRAPQT(配列番号52)を有する。しかし、グルコース取り込みおよびインスリン受容体結合活性における生成SIAの有効性を実質的に損なうことなく、例えばアミノ酸の長さ(付加および欠失)および置換においてこの配列の多くの変動が可能であることを理解するべきである。例えば、生成SIAの活性を実質的に減少させることなく、いくつかの異なるアミノ酸残基を追加するかまたはいずれかの末端から除去することができる。
【0107】
現在臨床開発中の例示的な単鎖インスリン類似体は、アルブリン(albulin)である(Duttaroyら、2005、Diabetes 54: 251-8)。アルブリンは、酵母または哺乳動物細胞が生成することができる。それは、ドデカペプチドリンカーによって連結され、天然のヒト血清アルブミンのNH2末端に融合されるヒトインスリン(天然のヒトインスリンと100%同一性)のBおよびA鎖からなる。アルブリンの発現および精製のために、Duttaroyらは、4つの重複するプライマーおよびPCR増幅を使用して、ドデカペプチドリンカーによって連結された成熟ヒトインスリンのB-およびA-鎖を含有する単鎖インスリンをコードする合成遺伝子構築物を構築した。生じたPCR生成物は、酵母での発現のためのpSAC35ベクターの中に含有された、ヒト血清アルブミン(HSA)のシグナルペプチドと成熟HSAのNH2末端の間にインフレームでライゲーションした。本開示により、アルブリンのHSA成分は、本明細書に記載される持続的放出を提供するアミノ酸配列で置き換えることができる。
【0108】
したがって、一部の態様では、本開示は、例えばエラスチン様ペプチド(ELP)を含む持続的放出を提供するアミノ酸配列およびインスリンアミノ酸配列を含む治療剤を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、インスリンは哺乳動物のインスリン、例えばヒトインスリンまたはブタインスリンである。本開示により、持続的放出成分を提供するアミノ酸配列は、インスリンA鎖またはB鎖、または両方に結合することができる(例えば、組換え融合または化学的コンジュゲーションを通して)。一部の実施形態では、注射部位からの遅い吸収を提供するアミノ酸配列は、インスリンA鎖に共有結合している。インスリンは、鎖A、BおよびC(例えば、配列番号44または46)の各々を含むことができるか、鎖AおよびBだけを含有する加工された形を含有することができる。一部の実施形態では、単鎖インスリンを形成するために、鎖AおよびBは短い連結ペプチドによって接続される。インスリンは、(鎖AおよびBの一方または両方の)N末端および/またはC末端で1、2、3または約5アミノ酸を含む1~10アミノ酸がトランケーションされた機能的断片を含む、ヒトインスリンの機能的類似体であってもよい。機能的類似体は、天然の配列(例えば、配列番号44、46、47または48)に関して1~10アミノ酸の挿入、欠失および/または置換(総合的に)を含有することができ、いずれの場合も、ペプチドの活性は保持される。例えば、機能的類似体は、天然の配列(鎖AおよびBまたは鎖A、BおよびCを含有することができる)に関して、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換(総合的に)を有することができる。そのような活性は、本明細書に記載されるものを含む、任意の利用可能なアッセイを使用して確認または検査することができる。これらまたは他の実施形態では、インスリン成分は、鎖AおよびB(配列番号47または48)の天然配列の各々と、少なくとも約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約98%の同一性を有する。2つの配列の間(例えば、天然配列と機能的類似体の間)の配列同一性の判定は、Tatusovaら、Blast 2 sequences-a new tool for comparing protein and nucleotide sequences、FEMS Microbiol Lett.174:247-250(1999)を含む、任意のアラインメントツールを使用して達成することができる。インスリン成分は、当技術分野で公知の追加の化学的修飾を含有することができる。
【0109】
インスリン類似体または持続的放出提供アミノ酸配列含有インスリン類似体のin vitro結合特性を特徴付けるために、インスリン受容体を発現する様々な細胞系で競合結合アッセイを実行することができる(Jehleら、1996、Diabetologia 39: 421-432)。例えば、ヒトインスリン受容体を過剰発現するCHO細胞を使用する競合結合アッセイを、用いることができる。インスリンは、インスリン受容体より低い親和性でIGF-1受容体に結合することもできる。持続的放出提供アミノ酸配列含有インスリン類似体の結合親和性を判定するために、L6細胞で125I標識IGF-1を使用して競合結合アッセイを実行することができる。
【0110】
インスリンの活性には、末梢グルコース廃棄の刺激および肝臓のグルコース生成の阻害が含まれる。これらの生物学的活性を媒介する持続的放出提供アミノ酸配列含有インスリン類似体の能力は、公知の方法を使用してin vitroで検査することができる。例えば、3T3-L1脂肪細胞でのグルコース取り込みに及ぼす持続的放出提供アミノ酸配列含有類似体の影響を測定し、インスリンのそれと比較することができる。生物学的に活性な類似体による細胞の前処置は、2-デオキシグルコース取り込みの用量依存的増加を一般的にもたらす。グルコース生成を調節する持続的放出提供アミノ酸配列含有インスリン類似体の能力は、任意の数の細胞型、例えばH4IIe肝癌細胞で測定することができる。このアッセイでは、生物学的に活性な類似体による前処置は、放出されるグルコースの量の用量依存的阻害を一般的にもたらす。
【0111】
血管作用性小腸ペプチド
血管作用性小腸ペプチド(VIP)は、気道、小腸、精巣および膵臓を含む様々な組織で見出される、2つの受容体VPAC1およびVPAC2に結合する28アミノ酸ニューロペプチドである。VIPおよびその機能的および構造的に関係する類似体は、気道平滑筋を弛緩させ、それによって気管支拡張剤として作用すること、気道粘膜下腺で液分泌を刺激すること、ならびに腸および膵臓で水および電解質分泌を調節することを含む、多くの生理機能を有することが公知である(Wine(2007);Wu(2011);Derand(2004))。
【0112】
VIP生産神経線維は、外分泌腺を囲むアセチルコリン分泌ニューロンと共局在化している(Lundberg(1980);Heinz-Erian(1986))。機能的CFTRタンパク質を有する対象からの腺では、VIPは液分泌を誘導するが、この誘導は嚢胞性線維症患者では不全または不在である(Joo(2002);Joo(2012))。さらに、ヒトおよびブタ気道腺では、VIPおよびアセチルコリンの低濃度の投与は分泌粘液を刺激するが、この相乗作用は嚢胞性線維症患者では失われる(Choi(2007))。
【0113】
VIPは、ヒト気道上皮細胞でCFTRの膜挿入、安定性および機能を増加させる(Alshafie(2014))。マウスのVIPノックアウトモデルでは、CFTRは頂端細胞膜に局在化しないが、代わりに細胞内に主に残存する(ChappeおよびSaid(2012))。頂端膜からのCFTRの不在は、炎症性細胞浸潤、肺胞壁および細気管支粘膜の肥厚ならびに杯細胞過形成を有する嚢胞性線維症患者で見られるものと類似の肺病状に関連する。3週間のVIPの腹腔内投与はCFTRの頂端膜局在化を回復し、長期のVIP刺激は細胞膜でCFTRチャネルの数を増加させる(Chappe(2008))。膜でのCFTRの安定化を通して起こる頂端CFTR密度のこの増加は、ヨウ化物流出アッセイによって測定したときのCFTR依存性機能の増加と関連している(Chappe(2008))。
【0114】
一部の態様では、本開示は、1つまたは複数の様々なVIPペプチドを含むことができる治療組成物を提供する。例えば、VIPペプチドは、配列番号53、配列番号54または配列番号55を有するポリペプチドを含むかまたはそれからなることができる。一部の実施形態では、本開示は、N末端メチオニンなしのVIPを提供する(例えば配列番号55)。一部の実施形態では、本開示は、N末端メチオニンのあるVIPを提供する(例えば配列番号53)。
【0115】
成熟したヒトVIPは、以下の配列を有する28アミノ酸残基を有する:HSDAVFTDNYTRLRKQMAVKKYLNSILN(配列番号55)。VIPは、170アミノ酸の前駆体分子プレプロ-VIPのプロセシングからもたらされる。VIPおよび例示的な類似体の構造は、米国特許第4,835,252号、第4,939,224号、第5,141,924号、第4,734,400号、第4,605,641号、第6,080,837号、第6,316,593号、第5,677,419号、第5,972,883号、第6,489,297号、第7,094,755号および第6,608,174号に記載されている。
【0116】
プロテアーゼなどに対するペプチドの安定性を改善するいくつかの突然変異が、文献に詳述されている(Onuneら、Physicochemical and pharmacological characterization of novel vasoactive intestinal peptide derivatives with improved stability、Eur. J. Pharm. Biopharm. 2009を参照)。例えば、改変されたVIPペプチドは、配列番号53、54または55の配列を含む。一部の態様では、本開示は、これらの改変の1つまたは複数を含む改変されたVIPペプチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、これらの改変の1つまたは複数を含み、本明細書に記載される追加のVIP改変をさらに含む、改変されたVIPペプチドを提供する。
【0117】
様々な実施形態では、本開示は、本明細書に記載される改変されたVIP(例えば、配列番号55を含む)または機能的類似体を提供する。一般に、VIPの機能的類似体は、1~10アミノ酸、例えば1、2、3または約5までのアミノ酸(配列番号55に関して)がNまたはC末端でトランケーションされた機能的断片を含む。そのような機能的類似体は、天然の配列(例えば、配列番号55)に関して1~5アミノ酸の挿入、欠失および/または置換(総合的に)を含有することができ、いずれの場合も、(例えば、VPAC2および/またはVPAC1結合を通して)天然ペプチドの活性を保持する。そのような活性は、本明細書に記載されるアッセイを含む、およびDelgadoら、The Significance of Vasoactive Intestinal Peptide in Immunomodulation、Pharmacol.Reviews 56(2):249-290(2004)に記載される、活性を判定または数量化するための任意の適するアッセイを含む、任意の利用可能なアッセイを使用して確認または検査することができる。これらまたは他の実施形態では、改変されたVIPのVIP成分は、天然の成熟配列(配列番号55)と少なくとも約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%の同一性、約98%の同一性または約99%の同一性を有する。2つの配列の間(例えば、天然配列と機能的類似体の間)の配列同一性の判定は、例えば、Tatusovaら、Blast 2 sequences-a new tool for comparing protein and nucleotide sequences、FEMS Microbiol Lett.174:247-250(1999)に開示されるものを含む、任意のアラインメントツールを使用して達成することができる。
【0118】
様々な態様では、本開示は、未改変のVIP(例えば、配列番号55のアミノ酸配列からなるペプチド)と比較して、VPAC2またはVPAC1への受容体優先度(receptor preference)を有する改変されたVIP分子を提供する。例えば、改変されたVIPは、VPAC1に対して、少なくとも約2:1、約5:1、約10:1、約25:1、約50:1、約100:1、約500:1またはそれを超える、VPAC2への相対的結合優先度を有することができる。他の実施形態では、改変されたVIPは、VPAC2に対して、少なくとも約2:1、約5:1、約10:1、約25:1、約50:1、約100:1、約500:1またはそれを超える、VPAC1への相対的結合優先度を有することができる。例えば、ある特定の実施形態では、改変されたVIPは、成熟した未改変のヒトVIP(配列番号55)の約2倍の範囲内のEC50でVPAC2受容体を活性化する。しかし、この同じ改変されたVIPは、VPAC1受容体の活性化において、成熟した未改変のヒトVIPより50倍または100倍またはそれを超えてより強力でない。一部の実施形態では、改変されたVIPは、VPAC1およびVPAC2への相対的に等力の結合優先度を有することができる。
【0119】
そのような改変されたVIP分子は、改変されたN末端領域、例えばVIPのN末端ヒスチジンへの1~約500アミノ酸の付加を含有することができ、それは異種哺乳動物アミノ酸配列を含むことができる。例えば、改変されたVIPは、成熟VIPの天然のN末端ヒスチジンのN末端側に、単一のメチオニンを含有することができる。隣接したアミノ酸がヒスチジンである場合はメチオニンが大腸菌によって除去されないので、これは大腸菌または他の細菌発現系で調製することができる。あるいは、N末端アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびプロリンのいずれかであってよい。
【0120】
VIPのN末端に追加される追加の配列は、1~約100、1~約50、1~約20、1~約10および1~約5アミノ酸の生物学的に活性および生物学的に不活性の配列を含む、任意の配列のものであってよい。
【0121】
改変されたVIPのN末端は構造M-Nを有することができ、そこで、Mはメチオニンであり、NはVIP分子(例えば、配列番号53)のN末端である。このメチオニンは、細菌または真核生物の宿主細胞でタンパク質の翻訳を補助する。したがって、改変されたVIPは、細菌および酵母発現系(例えば、大腸菌)を含む生物系で作製することができる。メチオニンは細菌発現系でメチオニンアミノペプチダーゼ(MA)によって時には除去することができるが、ヒスチジン(H)はMAにとって2位で最も好ましくない残基の1つである。
【0122】
一部の実施形態では、VIPはN末端で改変される。一部の実施形態では、VIPはC末端で改変される。
【0123】
他の実施形態では、VIPは内因性ペプチダーゼまたはプロテアーゼなどのペプチダーゼまたはプロテアーゼによって活性化が可能である。そのような活性化可能な配列は、国際出願番号PCT/US2009/068656に記載される。本明細書で用いるように、用語「ペプチダーゼ」および「プロテアーゼ」は互換性である。例えば、VIPは、ジペプチジルペプチダーゼによって活性化できるように設計することができる。例示的なジペプチジルペプチダーゼには、ジペプチジルペプチダーゼ-1(DPP-I)、ジペプチジルペプチダーゼ-3(DPP-III)、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-IV)、ジペプチジルペプチダーゼ-6(DPP-VI)、ジペプチジルペプチダーゼ-7(DPP-VII)、ジペプチジルペプチダーゼ-8(DPP-VIII)、ジペプチジルペプチダーゼ-9(DPP-IX)、ジペプチジルペプチダーゼ-10(DPP-X)が含まれる。そのようなジペプチダーゼの基質配列は、公知である。
【0124】
一部の実施形態では、活性化可能なVIPのN末端は、構造Z-Nを有することができ、そこで、Zはジペプチダーゼの基質であり(例えば、Zはジペプチダーゼ曝露によって除去される)、NはVIPのN末端である。活性化可能なVIPは、式M-X-NのN末端配列を有することができ、そこで、Mはメチオニンであり、XはPro、AlaまたはSerであり、NはVIPまたはVIP類似体のN末端である。この方法では、MおよびXは、その後、宿主細胞(例えば、大腸菌)および/またはジペプチダーゼ(例えば、DPP-IV)に感受性であり、それによって除去される。あるいは、活性化可能なVIPのN末端配列はX1-X2-Nであってもよく、そこで、X1はGly、Ala、Ser、Cys、Thr、ValまたはProであり;X2はPro、AlaまたはSerであり;NはVIPのN末端である。X1-X2はジペプチダーゼ(例えば、DPP-IV)の基質であり、ジペプチダーゼ消化は、N、VIPまたはVIP類似体の所望のN末端を曝露させる。そのような実施形態では、タンパク質は、宿主細胞(例えば、大腸菌)で、M-X1-X2-N(Mはメチオニンである)をコードする構築物の発現によって生成することができるが、その理由は、2位のGly、Ala、Ser、Cys、Thr、ValまたはProがMetの除去をシグナル伝達し、それによってN末端にX1-X2を残し、それはジペプチダーゼ(例えば、DPP-IV)がin vivoで活性化することができるからである。一部の実施形態では、ペプチダーゼは体内に存在することができ、注射の後に活性化可能なVIPに作用することができる。
【0125】
他の実施形態では、改変された活性化可能なVIPのN末端は構造M-Z-Nを有し、そこで、Mはメチオニンであり、Zはジペプチダーゼの基質であり(例えば、Zはジペプチダーゼ曝露によって除去される)、Nは活性VIP(改変されたVIP)の非HisのN末端である。例えば、改変された活性化可能なVIPは、式M-X-NのN末端配列を有することができ、そこで、Mはメチオニンであり、XはPro、AlaまたはSerであり、Nは活性VIPの非HisのN末端である。この方法では、MおよびXは、その後、宿主細胞(例えば、大腸菌)および/またはジペプチダーゼ(例えば、DPP-IV)に感受性であり、それによって除去される。あるいは、活性化可能なVIPのN末端配列はX1-X2-Nであってもよく、そこで、X1はGly、Ala、Ser、Cys、Thr、ValまたはProであり;X2はPro、AlaまたはSerであり;Nは活性VIPの非HisのN末端である。X1-X2はジペプチダーゼ(例えば、DPP-IV)の基質であり、ジペプチダーゼ消化は、N、VIPの所望の非HisのN末端を曝露させる。
【0126】
さらに他の実施形態では、改変された活性化可能なVIPのN末端は、構造M-Z-S-Nを有し、そこで、Mはメチオニンであり、Zはジペプチダーゼの基質であり(例えば、Zはジペプチダーゼ曝露によって除去される)、Nは成熟VIPのN末端(His)であり;Sは、ジペプチダーゼ消化の後に曝露させられ、前述の通り改変されたVIPを提供する1つまたは複数のアミノ酸である。例えば、改変された活性化可能なVIPは、式M-X-S-NのN末端配列を有することができ、そこで、Mはメチオニンであり、XはPro、AlaまたはSerであり、Nは成熟VIPのN末端であり;Sは、ジペプチダーゼ消化の後に曝露させられ、受容体優先度を提供する1つまたは複数のアミノ酸である。あるいは、活性化可能なVIPのN末端配列はX1-X2-S-Nであってもよく、そこで、X1はGly、Ala、Ser、Cys、Thr、ValまたはProであり;X2はPro、AlaまたはSerであり;NはVIPの非HisのN末端であり;Sは、ジペプチダーゼ消化の後に曝露させられる1つまたは複数のアミノ酸である。X1-X2はジペプチダーゼ(例えば、DPP-IV)の基質であり、ジペプチダーゼ消化はSを曝露させる。
【0127】
一部の実施形態では、VIPのN末端へのN末端化学的修飾は、受容体優先度を提供する。タンパク質の化学的修飾およびその方法は、当技術分野で周知である。非限定的な例示的化学的修飾は、ペグ化、メチルグリオキサル化、還元アルキル化、過ギ酸酸化、スクシニル化、アミノエチル化およびリピド化である(Clifton、New Protein Techniques、New Jersey: Humana Press、1985。ISBX. 0-89603-126-8. Volume. 3 of. Methods in Molecular Biology)。システイン、メチオニン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、トリプトファン、チロシン、カルボキシル基の改変によって結合することができる、ペグ化などの化学基が以前に記載されている(Lundblad、Techniques in Protein Modification、CRC Press、1995を参照)。
【0128】
VIP活性薬剤は、中でも、制御不可もしくは抵抗性の高血圧、または肺動脈高血圧(PAH)、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または筋ジストロフィーに続発する心筋症から選択される状態を治療する方法で利用可能である。
【0129】
小分子
他の実施形態では、治療剤は、活性薬剤と、対象の体温でマトリックスを形成することが可能なアミノ酸配列(例えば、ELP)との間の化学コンジュゲートである。例えば、活性薬剤は、化学療法剤、例えばメトトレキサート、ダウノマイシン、マイトマイシン、シスプラチン、ビンクリスチン、エピルビシン、フルオロウラシル、ベラパミル、シクロホスファミド、シトシンアラビノシド、アミノプテリン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、デモコルシン、エトポシド、ミトラマイシン、クロラムブシル、メルファラン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、タモキシフェン、パクリタキセル、ビンブラスチン、カンプトセシン、アクチノマイシンD、シタラビンおよびコンブレタスタチンから選択される化学療法剤であってよい。あるいは、薬剤は、免疫原性分子、または免疫調節物質、または抗炎症剤、例えば、ここに参照により完全に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0004104号に記載される薬剤であってもよい。さらに、薬剤は、オピオイド分子、例えばオキシコドン、モルヒネまたはコデイン、例えば、ここに参照により組み込まれる米国特許仮出願第61/597,898号に記載されるようなものであってもよい。化学コンジュゲートは開裂可能なリンカーを通すものであってよく、その多数のタイプが当技術分野で公知である。ここに参照により完全に組み込まれる、米国特許第6,328,996号を参照。
【0130】
製剤
本開示は、本明細書に開示される治療剤ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤および/または希釈剤を含む持続的放出製剤を提供する。例えば、そのような賦形剤には、塩および水素結合を安定させる作用をすることができる他の賦形剤が含まれる。当技術分野で公知である任意の適当な賦形剤を使用することができる。例示的な賦形剤には、限定されずに、ヒスチジン、グリシンまたはアルギニンなどのアミノ酸;グリセロール;スクロースなどの糖;ポリソルベート20およびポリソルベート80などの界面活性剤;クエン酸;クエン酸ナトリウム;抗酸化剤;ナトリウム、カリウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属塩を含む塩;塩化物およびリン酸塩などの対イオン;糖アルコール(例えばマンニトール);保存剤;糖アルコール(例えばマンニトール、ソルビトール);ならびに緩衝剤が含まれる。例示的な塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、二塩基リン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが含まれる。
【0131】
治療剤は、体温(例えば37℃、または一部の実施形態では34~36℃)でマトリックスの形成を可能にするのに十分であるpH、イオン強度、および一般的に賦形剤で製剤化される。治療剤は、それが貯蔵条件でマトリックスを形成しないように一般的に調製される。製剤は、冷凍、冷蔵または室温で保存することができる。貯蔵条件は、一般的に製剤の転移温度未満、例えば約32℃未満、または約30℃未満、約27℃未満、約25℃未満、または約20℃未満、または約15℃未満である。例えば、製剤は血液と等張性であるか、または生理的条件を模倣するイオン強度を有することができる。例えば、製剤は、少なくとも25mM塩化ナトリウムのそれ、または少なくとも30mM塩化ナトリウムのそれ、または少なくとも40mM塩化ナトリウムのそれ、または少なくとも50mM塩化ナトリウムのそれ、または少なくとも75mM塩化ナトリウムのそれ、または少なくとも100mM塩化ナトリウムのそれ、または少なくとも150mM塩化ナトリウムのそれのイオン強度を有することができる。ある特定の実施形態では、製剤は、0.9%食塩水(154mM塩化ナトリウム)のそれに等しいイオン強度を有する。
【0132】
一部の実施形態では、製剤は貯蔵条件で安定している。安定性は、当技術分野の任意の適当な手段を使用して測定することができる。一般的に、安定した製剤とは、分解生成物または不純物の5%未満の増加を示すものである。一部の実施形態では、製剤は、貯蔵条件で少なくとも約1カ月間、少なくとも約2カ月間、少なくとも約3カ月間、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、または少なくとも約1年以上安定している。一部の実施形態では、製剤は、25℃において少なくとも約1カ月間、少なくとも約2カ月間、少なくとも約3カ月間、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、または少なくとも約1年以上安定している。
【0133】
一部の実施形態では、製剤は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、一塩基リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、グリセロール、抗微生物性保存剤(例えばメタクレゾール)、張性調整剤(例えばマンニトール)、氷酢酸、酢酸ナトリウム三水和物;スクロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム一水和物、二塩基リン酸ナトリウム七水和物、亜鉛、m-クレゾール、フェノール、ソルビトール、ポリソルベート80およびポリソルベート20のうちの2つ以上を含む。一部の実施形態では、製剤は、カルボキシメチルセルロースを含まない。
【0134】
一部の実施形態では、製剤は、約10mM~約100mMヒスチジンの範囲で、ヒスチジンまたは別のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、製剤は、約10mM~約30mMヒスチジンの範囲で、ヒスチジンまたは別のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、製剤は、約15mM~約25mMヒスチジンの範囲で、ヒスチジンまたは別のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、製剤は、約10mM~約165mMのNaClの範囲でNaClを含む。一部の実施形態では、製剤は、約50mM~約165mMの間のNaClを含む。一部の実施形態では、製剤は、約54mM~約162mMの間のNaClを含む。一部の実施形態では、製剤は、約110mM~約162mMの間のNaClを含む。一部の実施形態では、製剤は、約1mM~約20mMの範囲でリン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約5mM~約15mMの範囲でリン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約2mM~約10mMの範囲で一塩基リン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約4mM~約8mMの範囲で一塩基リン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約1mM~約10mMの範囲で二塩基リン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約2mM~約7mMの範囲で二塩基リン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約2mM~約5mMの範囲で二塩基リン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤は、約0.01%~約0.2%の範囲でポリソルベート20を含む。一部の実施形態では、製剤は、約0.01%~約0.2%の範囲でポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウムおよびポリソルベート20を含む。一部の実施形態では、製剤は、約10mMリン酸ナトリウム(約7mM一塩基リン酸ナトリウムおよび約3mM二塩基リン酸ナトリウム)、約110mM塩化ナトリウムおよび約0.1%ポリソルベート20を含む。
【0135】
一部の実施形態では、製剤は生理的pHで製剤化される。一部の実施形態では、製剤は、約5.5~約7.5の範囲内のpHで製剤化される。一部の実施形態では、製剤は、約6.0~約7.0の範囲内のpHで製剤化される。一部の実施形態では、製剤は、約6.5~約7.0の範囲内のpHで製剤化される。一部の実施形態では、より低いpHの製剤は、より高いpHの製剤と比較して改善された製剤安定性を実証する。一部の実施形態では、約6.5のpHの製剤は、約7.0のpHの製剤と比較して改善された安定性を実証する。一部の実施形態では、約6.0のpHの製剤は、約6.5のpHの製剤と比較して改善された安定性を実証する。一部の実施形態では、より低いpHの製剤は、より高いpHの製剤と比較してより高い百分率のモノマーを維持する。一部の実施形態では、約6.5のpHの製剤は、約7.0のpHの製剤と比較してより高い百分率のモノマーを維持する。一部の実施形態では、約6.0のpHの製剤は、約6.5のpHの製剤と比較してより高い百分率のモノマーを維持する。
【0136】
製剤中の治療剤のタンパク質濃度は、投与の温度でマトリックスの形成を推進するように調整される。例えば、より高いタンパク質濃度はマトリックス形成の推進を助け、この目的のために必要なタンパク質濃度は使用されるELPシリーズによって異なる。例えば、ELP1-120または同等の転移温度を有するアミノ酸配列を使用する実施形態では、タンパク質は約1mg/mL~約200mg/mLの範囲内で存在するか、または約30mg/mL~約150mg/mLの範囲内で存在する。ELP4-120または同等の転移温度を有するアミノ酸配列を使用する実施形態では、タンパク質は約0.005mg/mL~約10mg/mLの範囲内で存在するか、または約0.01mg/mL~約5mg/mLの範囲内で存在する。
【0137】
一部の実施形態では、治療剤は約0.5mg/mL~約200mg/mLの範囲内で存在することができるか、または約30mg/mL~約150mg/mLの範囲内で存在する。一部の実施形態では、治療剤は約50mg/mL~約125mg/mLの範囲内、または約75mg/mL~約110mg/mLの範囲内で存在する。一部の実施形態では、治療剤は約100mg/mLの濃度で存在する。
【0138】
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示される活性薬剤の持続的放出レジメンを送達するための方法を提供する。本方法は、必要とする対象に本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含み、ここで、医薬組成物は1カ月につき約1~約8回投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、1カ月につき約1回、約2回、約3回および/または約4回投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は週単位で投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は日単位で投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は1週につき1~3回投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は2週おきに1回投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は1カ月につき1~2回投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、1カ月につき約1回投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、2カ月おきに約1回、3カ月おきに約1回、4カ月おきに約1回、5カ月おきに約1回および/または6カ月おきに約1回投与される。医薬組成物は、1週につき1回、1週につき2回または1カ月につき1~8回の投与のために前充填されたペンまたはシリンジの形で詰め込むことができるか、あるいは従来のバイアルなどに充填することができる。
【0139】
一部の実施形態では、製剤は約1月ごとに投与され、皮下または筋肉内に投与することができる。一部の実施形態では、製剤は約1週ごとに投与され、皮下または筋肉内に投与することができる。一部の実施形態では、投与部位は病的部位ではなく、例えば、意図された作用部位でない。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は長期投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約10年以上の間投与される。医薬組成物は、本明細書に開示される任意の必要な用量および/または頻度で投与することができる。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、疾患または障害の症状が改善するまで投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、疾患または障害の症候が寛解、遅延および/または治癒するまで投与される。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、患者が1つまたは複数の疾患または障害の症状を示し始める前に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、疾患または障害の症状の開始時に投与される。
【0143】
治療剤は一般的に「全身性送達」のために製剤化され、これは、薬剤が病的部位または作用部位に局所的に送達されないことを意味する。代わりに、薬剤は注射部位から血流中に吸収され、その場合、薬剤は全身的に作用するか、または循環を通して作用部位に輸送される。治療剤は任意の公知の経路によって、例えば、経口的、静脈内、筋肉内、経鼻的、皮下、膣内におよび直腸内に投与することができる。一部の実施形態では、製剤は、一般的に皮下投与のためのものである。一部の実施形態では、薬剤が皮下に投与されるとき、薬物動態学的(PK)パラメータは延長される。一部の実施形態では、融合タンパク質の半減期は延長される。一部の実施形態では、他の手段(例えば静脈内)によって投与される薬剤と比較して、薬剤が皮下に投与されるときのPKパラメータは延長される。一部の実施形態では、他の手段(例えば静脈内)によって投与される薬剤と比較して、薬剤が皮下に投与されるときに薬剤の貯蔵は延長される。注射部位からの遅い吸収を提供することによって、腎クリアランスおよび分解を制御し、それによって所望のPKプロファイルを達成することができる。
【0144】
有利には、活性薬剤の持続的放出のために、組成物は長期の薬物動態学的曝露を提供する。特定の態様では、最大曝露レベルは、投与の約10時間後、約24時間後、約48時間後または約72時間後に達成することができる。一般的に、最大曝露レベルは、投与の約10時間後~約48時間後の間に達成される。最大曝露レベルが達成された後、組成物は持続的放出速度を達成することができ、それによって最大レベルのかなりの百分率がしばらくの間得られる。例えば、持続的速度は、最大曝露レベルの約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約100%達成することができる。持続的速度を維持するための例示的な期間は、最大曝露レベルが達成されてから約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約4週間、約6週間または約8週間である。その後、持続的速度は、低減された曝露速度に下がってよい。そのような低減された曝露速度は、最大曝露レベルの約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%または約60%であってよい。
図20Bは、1000ng/mLの最大曝露レベルが約1~2日以内に得られる実施形態(PE0256)を例示する。この期間の後、約10~12日目まで最大曝露レベルの約70~100%の持続的速度が維持され、その後、試験の残りの間に約60%~約10%まで低下する低減された曝露速度が得られる。
【0145】
様々な実施形態では、活性薬剤の血漿中濃度は、製剤の複数回の投与、例えば少なくとも2回、少なくとも約5回または少なくとも約10回の投与の過程で、約20倍、または約10倍、または約5倍、または約3倍を超えて変化することはない。一部の実施形態では、活性薬剤の血漿中濃度は、各投与の間で、約20倍、または約10倍、または約5倍、または約3倍を超えて変化することはない。一部の実施形態では、定常状態に到達するまで(例えば、約3~約4回の投与の後)、多少の蓄積がある。投与は、実質的に等間隔、例えば、約日ごと、または約1週に1回、または1カ月につき1~約5回、または約2カ月おきに1回または約3カ月おきに1回である。他の実施形態では、用量は、5回以上の投与の後に定常状態に到達するように、数回の投与にわたって着実に増加させることができる。
【0146】
本明細書に開示される医薬組成物は、未融合であるか非コンジュゲート型の対応物より小さい用量および/または低い頻度で投与することができる。当業者は各場合に望ましい用量を決定することができるが、治療的恩恵の達成のための治療剤の適する用量は、例えば、1用量につきレシピエントの1キログラム体重につき約1マイクログラム(μg)~約100ミリグラム(mg)の範囲内、好ましくは1用量につき1キログラム体重につき約10μg~約50mgの範囲内、最も好ましくは1用量につき1キログラム体重につき約10μg~約50mgの範囲内であってよい。一部の実施形態では、医薬組成物は低用量で投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、1用量につき体重1キログラムにつき1mgから1用量につき体重1キログラムにつき約9mgまでの間の用量で投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、1用量につき体重1キログラムにつき約1mg、1用量につき体重1キログラムにつき約3mgおよび/または1用量につき体重1キログラムにつき約9mgで投与される。所望の用量は、1用量または1日に適当な間隔で投与される2つ以上の下位用量として提示することができる。これらの下位用量は、例えば1単位剤形につき約10μg~約1000mg、好ましくは約50μg~約500mg、最も好ましくは約50μg~約250mgの有効成分を含有する単位剤形で投与することができる。あるいは、レシピエントの状態がそれを必要とするならば、用量は連続注入として投与することができる。
【0147】
ある特定の実施形態では対象はヒトであるが、他の実施形態では非ヒト哺乳動物、例えば家畜化されたペット(例えば、イヌまたはネコ)または家畜もしくは畜産動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジまたはブタ)であってもよい。
【0148】
本出願全体において「a」、「an」および「the」などの単数形は便宜上使用されるが、文脈または明示的記述が別途示す場合以外は、単数形は複数形を含むこととすることを理解するべきである。全ての数値範囲は、数値範囲の中のいずれの数値地点をも含むと理解するべきで、いずれの数値地点をも個々に列挙するものと解釈するべきである。同じ成分または特性を対象とする全ての範囲の端点は包含的であり、個々に組合せ可能であることとする。
【0149】
参照される数値表示に関連して使用されるとき、用語「約」は、参照数値表示プラスまたはマイナス参照数値表示の最高10%を意味する。例えば、語「約50」は、45~55の範囲を含む。
【0150】
本明細書で用いるように、単語「含む」およびその変異体は非限定的であることとし、そのため、リスト中のアイテムの列挙は、この技術の材料、組成物、器具および方法で同じく有益であろう他の同様のアイテムを除外するものではない。同様に、用語「することができる」および「してもよい」およびそれらの変異形は非限定的であることとし、そのため、実施形態がある特定の要素または特徴を含むことができるかまたは含んでもよいとの叙述は、それらの要素または特徴を含有しない本技術の他の実施形態を排除しない。含む、含有するまたは有するなどの用語の同義語としてのオープンエンドの用語「含む」は、本開示を記載および請求するために本明細書で使用されるが、本技術またはその実施形態は、列挙された成分「からなる」または「から事実上なる」などのより限定的な用語を使用して代わりに記載することができる。
【0151】
本明細書で用いるように、「半減期」(一般的に、in vivo半減期または循環半減期を指す)は、活性薬剤の生物活性の50%の減少が起こるために必要とされる期間である。一部の実施形態では、この用語は、延期された曝露および長い半減期の両方を含む(例えば、非コンジュゲート型のペプチドと比較した注射部位からの遅い取り込みおよびクリアランスの遅滞の両方)。
【0152】
特に明記されない限り、本明細書の全ての専門用語および科学用語は、この開示が属する分野の当業技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるそれらに類似するかまたは同等であるいかなる方法および材料も本開示の実施または試験で用いることができるが、好ましい方法および材料が本明細書に記載される。
【0153】
この開示は、以下の非限定的実施例でさらに例示される。
【実施例】
【0154】
実施例1:ELP融合の相転移特性
ある特定のアミノ酸配列が示す相転移特性を、
図1(ELP1)および
図2(ELP4)に例示する。相転移は、濁度の増加として観察することができる。
図3は、理論によって縛られることを望まないが、所与の濃度の相転移温度より高い温度での水シェルの排除および水素結合の形成によって推進される、相転移の潜在的機構を例示する。
【0155】
実施例2:月ごとのELP融合ポリペプチド
ELPモチーフのVPGXG配列でゲスト残基位置Xのアミノ酸を変更することは、転移状態のELPバイオポリマーのコアセルベートの安定性または強度を変更し、皮下に投薬したときに薬物のより遅い放出および延長された貯蔵をもたらすことができる。9つのVPGXG五量体(9量体)ブロック(アルファ、ベータおよびベータv2)で使用されるゲストアミノ酸の比を変えることによって、異なるコアセルベーション強度を有するELPバイオポリマーのコレクションを構築した。VPGXGのゲスト残基を置換することに加えて、モチーフXPGVGを有する五量体も構築した(デルタ)。ELP五量体は任意の長さに組み合わせることができるが、DNAの合成および操作の例示および容易さのために、9つのELP五量体(9量体)のサブユニットを構築した。これらの9量体は任意の長さのポリマーを作製するために組み合わせることができるが、ゲスト残基位置のバリンと他のアミノ酸との全体的な比は同じままである。
図4は、これらの9量体(アルファ、ベータ、ベータv2およびデルタ)のアラインメントを示す。9量体は、疎水性を有する、したがって、以前に検査したELP1シリーズ(VPGXG:V5A2G3)およびELP4シリーズ(VPGXG:V-5)のバイオポリマーの間の転移温度を有するELPバイオポリマーを形成するように設計した。
図10に表されない別のELPポリマーが開発された。このポリマー(ELPガンマ)は、V5:A2:G2の比でVPGXG五量体モチーフを含む。表1は、新しいELPシリーズと1および4シリーズの9量体の間の、ゲスト残基占有率の比を比較する。
【0156】
異なる長さのバイオポリマーを構築するために、反復ライゲーションを使用して9量体を繰り返した。
図5は、このライゲーション技術を例示する。合成ベクターを作製するために、バックグラウンドベクター(pIDT)で9量体を合成した(Integrated DNA Technologies、Coralville、IA)。これらの合成ベクターをBglI/PflMI制限酵素で切断し、BglIで切断して脱リン酸化した同じ合成ベクターにサブクローニングで戻した。これは、9量体の2つのコピーを含有するベクターを与える。9量体(144量体)の16コピーを含有するベクターが構築されるまで、この倍加技術を継続した。例えば、18、27、36、45、54、63、72、81、90、99、108、117、126、135、144、153、162、171、180コピーの9量体を有するELPを生成するために、様々な数の9量体のELPを組み合わせることができる。中間の特性を有する追加のELPバイオポリマーを生成するために、表1に記載される単位を様々な比で組み合わせることもできる。例えば、ガンマELPポリマーは、144量体が構築されるまでアルファ9量体およびベータ9量体を交互に並べることによって構築された。これらのELP 144量体は、発現のためにELP 144量体が正しい読み枠にクローニングされることを可能にするリンカー領域(
図7)を含有する、pETベースの中間体ベクターpPE0248(
図6)に次にサブクローニングした。pPE0248は、ゲスト位置にバリンを有する144量体のN末端に追加の五量体反復配列を、およびゲスト残基にトリプトファンを有するC末端に追加の五量体を追加する。分子の吸光係数を増加させ、例えば280nmで吸光度のより優れた測定を可能にする手段としてトリプトファンを使用することができ、そのことはタンパク濃度の判定または精製中のタンパク含有量のモニタリングのために有益である可能性がある。いずれかの末端に追加される五量体は、コードするDNAがELPコード配列のいずれかの末端への融合パートナーのクローニングのための制限酵素認識部位を含有するように、設計することもできる。144量体発現プラスミドは、pPE0249(ELPアルファ-144)、pPE0250(ELPベータV1-144)、pPE0362(ELPベータV2-144)、pPE0251(ELPガンマ-144)およびpPE0252(ELPデルタ-144)と命名された。
図8~17は、バイオポリマーのELPアミノ酸配列およびベクターのマップを含有する。
【0157】
GLP-1ペプチドは、異なるELP配列のN末端にクローニングされた。合成されたGLP-1遺伝子をXbaI/BsrGIで消化し、XbaI/Acc65iをpPE0249、pPE0250、pPE0362、pPE0251およびpPE0252にクローニングし、ベクターpPE0253(GLP-1:ELPアルファ-144)、pPE254(GLP-1:ELPベータV1-144)、pPE0311(GLP-1:ELPベータV2-144)、pPE0255(GLP-1:ELPガンマ-144)、pPE0256(GLP-1:ELPデルタ-144)をそれぞれ作製した。これらのベクターは、大腸菌株BLR(DE3)で発現された。発酵および精製の後、20mMヒスチジン、110mM NaCl中で異なるELPポリマーを含むペプチド融合を10mg/mLで製剤化し、Cary300 UV分光計を使用して転移温度を測定した。
図18および表2に示すように、ELPアルファ-144、ELPベータV1-144、ELPベータV2-144、ELPガンマ-144およびELPデルタ-144の転移温度は、シリーズ4のELP(PE0002)およびシリーズ1のELP(PB1023)のための温度を含まずにそれらの間にくる。
【0158】
PE0253(アルファ)、PE0254(ベータv1)、PE0255(ガンマ)、PE0256(デルタ)およびPE0311(ベータv2)のPKは、カニクイザルで評価された。
図19および表4は、PE0253、PE0254、PE0255またはPE0256のいずれの20mg/kgの単回皮下注射を各々投与した、1群につき1匹の雄および1匹の雌の非ナイーブサルのPK結果を示す。
図20および表5は、雄2匹および雌2匹の4匹のタンパク質ナイーブサルへの10mg/kgのPE0256の単回皮下投与のPK結果を示す。
図21および表6は、全て雄の3匹のタンパク質ナイーブサルへの10mg/kgのPE0311の単回皮下投与のPK結果を示す。対照的に、
図22および表7は、2mg/kgのPE0256の単回IV注射を投与した非ナイーブサルのPK結果を示す。
【0159】
実施例3:成長ホルモンELP構築物の調製
ヒト成長ホルモン(hGH)配列を合成し、制限酵素PflM1/BglIで消化し、次にプラスミドpE0362にサブクローニングしてプラスミドpPE0429を提供し、ELPベータV2-144をhGH配列のN末端に置いた。
図23は、pPE0429のプラスミドマップを示す。
図24は、融合タンパク質の配列を示す。この構築物は、ELPベータV2 9量体の16個の反復配列を有するELPを提供する。
【0160】
さらなる融合タンパク質では、ELP1 30量体をpPE0429の融合タンパク質のC末端に付加してプラスミドpPE0430を提供した。ELP1 30量体を付加することは、受容体媒介クリアランスを破壊し、したがって、hGH融合タンパク質の循環半減期をさらに増加させる。
図27は、プラスミドpPE0430のプラスミドマップを示す。
図28は、融合タンパク質の配列を示す。
【0161】
他の実験では、hGHタンパク質をシリーズ1 ELP 120量体に単独で、およびC末端のELP1シリーズ30量体と一緒に融合した。
図25は、hGHをpPB1031に挿入し、C末端のhGH配列を有するELP1シリーズ120量体を提供することによって調製した、プラスミドpPE0431のプラスミドマップを示す。
図26は、融合タンパク質の配列を示す。ELP1 120量体タンパク質をプラスミドpPE0431に挿入して、ELP1-120 hGH融合タンパク質のC末端にELP1 30量体タンパク質を付加した。生じたプラスミドは、pPE0432と命名した。
図29。生じたELP1-120量体-hGH-ELP1 30量体のアミノ酸配列を
図30に示す。
【0162】
実施例4:エキセンディン-4ELP構築物の調製
エキセンディン-4コード配列を合成し、制限酵素Xbal/BsrGlで消化し、次にプラスミドpE0362にサブクローニングしてプラスミドpPE0364を提供し、エキセンディン-4配列をELPベータV2-144配列のN末端に置いた。
図31は、pPE0364のプラスミドマップを示す。
図32は、融合タンパク質の配列を示す。この構築物は、ELPベータV2 9量体の16個の反復配列を有するELPを提供する。
【0163】
参照による組込み
本明細書で参照される全ての特許および刊行物は、以下で開示される刊行物を含め、ここに参照により完全に組み込まれる。
【0164】
本明細書で議論される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためだけに提供される。本明細書のいかなるものも、先行開示のために本開示がそのような刊行物に先行する権利を有しないことを承認するものと解釈するべきではない。
【0165】
本出願は、以下の刊行物を全ての目的のために参照により完全に組み込む:米国特許出願公開2001/0034050 A1;米国特許出願公開第2009/0220455号;米国特許第8,334,257号;米国特許出願公開第2013/0310538号;米国特許出願公開第2013/0172274号;米国特許出願公開第2011/0236384号;米国特許第6,582,926号;米国特許第7,429,458号;米国特許第7,364,859号;米国特許第8,178,495号;米国特許出願公開第2013/0079277号;米国特許出願公開第2013/0085099号;米国特許出願公開第2013/0143802号;米国特許出願公開第2014/0024600号;米国特許出願公開第2011/0178017号;米国特許第7,709,227号;米国特許出願公開第2011/0123487号;米国特許第8,729,018号;米国特許出願公開第2014/0171370号;米国特許出願公開第2013/0150291号;WO/2014/113434;および米国特許出願公開第2014/0213516号。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【配列表】