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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】一般化確率的超解像シーケンシング
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240328BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240328BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240328BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
C12N15/09 Z
C12N15/11 Z
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022145883
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2019571589の分割
【原出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2022191231
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】62/640,909
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー マーク スキナー
(72)【発明者】
【氏名】ゲライント ウィン エヴァンズ
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー エス ホン
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】特許第7143341(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0168632(US,A1)
【文献】国際公開第2016/065300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の付着要素を含む試料容器と、ここで第一DNA鋳型分子が第一付着要素に付着し、第二DNA鋳型分子が第二付着要素に付着し、さらに隣接する付着要素間の平均距離がアッベの限界よりも短い、
確率的な光スイッチング化学と、ここで前記確率的な光スイッチング化学が5’二リン酸クエンチャー分子および標識部分を有する3’リン酸ブロックを有するヌクレオチドのセット、ヌクレオチドの前記セットのヌクレオチドを組み込み、5’二リン酸クエンチャー分子を切断するポリメラーゼ、及び標識部分を有する3’リン酸ブロックを切断する酵素を含む、
撮像素子と、ここで前記撮像素子は、確率的な光スイッチング化学現象が適用されるときに、前記第一DNA鋳型分子及び前記第二DNA鋳型分子に対してオン及びオフ事象が起きているのと同時に、複数の色チャネルにおけるオン事象及びオフ事象を捕捉することによって前記第一付着要素及び前記第二付着要素において起きる光スイッチングを撮像するように位置付けられる、
を備えるポリヌクレオチドをシークエンスする撮像システムであり、
各オン事象が、前記ポリメラーゼがヌクレオチドの前記セットのヌクレオチドを組み込み、前記5’二リン酸クエンチャー分子を切断するときに起こり、各オフ事象が、前記酵素が標識部分を有する3’リン酸ブロックを切断するときに起こり、
前記第一DNA鋳型分子の一連のオン事象およびオフ事象と、前記第二DNA鋳型分子の一連のオン事象およびオフ事象が確率的であって、同期しておらず、
さらに前記試料容器内の温度を調節するヒーターを備える
、撮像システム。
【請求項2】
隣接する要素間の前記平均距離が20ナノメートル未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記試料容器は、複数の試料位置に複数の付着要素を含むフローセルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一DNA鋳型分子の第一ヌクレオチド塩基のオン事象が前記第二DNA鋳型分子のヌクレオチド塩基のオン事象と同時に発生する確率を制御するために、オン事象とオフ事象が発生する速度に基づいて、ヌクレオチドの前記セットの第一のヌクレオチド塩基の濃度および酵素の濃度が決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
色チャネルにおいて検出されるオン事象の照明強度が、所定の閾値よりも強いことを判定するように構成されたコントローラーを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
色チャネルにおいて検出されるオン事象のスポットサイズが、所定の閾値よりも大きいことを判定するように構成されたコントローラーを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第一付着要素と前記第二付着要素との間の距離が2ナノメートルから20ナノメートルまでの範囲内である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の付着要素がゼロモード導波路を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
DNAシーケンシングに使用される技術を含む、生物学の分野における多くの技術は、改
善された画像化システム及び技術から恩恵を受けてきた。DNAシーケンシングの初期のア
プローチには、ジデオキシ連鎖終止反応法(すなわち、サンガーシーケンシング)および化
学分解法(すなわち、マクサム-ギルバートシーケンシング)が含まれる。これらの技術に
対するより低コストでより迅速な代替法に対する要望は、合成によるシーケンシング(Seq
uencing by Synthesis、SBS)として知られるアンサンブルシーケンシングアプローチの開
発につながった。このプロセスにおいて、単一の鋳型分子は、最初に化学的に増幅されて
、同じ配列を有する分子の表面結合「クラスター」を生成する。クラスターが生成される
と、シーケンシングが開始し、それにより、鋳型の配列に基づいて、修飾ポリメラーゼに
よって蛍光ヌクレオチドが付加される。次いで、クラスターは、光源によって励起され、
その結果、特徴的な蛍光シグナルのエミッタンスが生じ、ベースコールが決定される。次
いで、染料を3'チェインターミネーターと共に除去し、このサイクルを配列中の次の塩基
について繰り返す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本明細書中に開示される技術の種々の例は、超解像シーケンシングのための方法および
技術を提供する。一例では、複数のポリヌクレオチドをシーケンシングするシステム及び
方法は、単一のDNA鋳型分子を、試料容器上の複数の付着要素のそれぞれに付着させるス
テップと、確率的な光スイッチング化学現象を、分子のすべてに同時に適用して、付着さ
せた分子に、オン事象及びオフ事象で、確率的な光スイッチングによる最大4色の蛍光を
放出させるステップと、付着させた分子に関してオン事象及びオフ事象が起きているとき
に、各色に対する色チャネルでオン事象及びオフ事象をリアルタイムに撮像するステップ
と、を含み、隣接する要素間の平均距離は、アッベの限界よりも短い。隣接する要素間の
平均距離は、約20ナノメートル未満であってもよく、または約2ナノメートル~約20ナノ
メートルの範囲内であってもよい。
【0003】
更なる例では、ポリヌクレオチドをシーケンシングする方法は、固体支持体にアンカー
で固定されるヌクレオチド配列のアレイを提供するステップと、ヌクレオチドをカップリ
ングし得る酵素、デブロッキング剤、固体支持体にアンカーで固定されたヌクレオチド配
列に相補的な配列を有するヌクレオチド鎖に結合した核酸、並びに標識部分および標識部
分に結合した対応するクエンチャー部分を有する塩基を含む2つ以上のヌクレオチドアナ
ログを含む混合物をアレイに提供するステップと、アレイ内の標識部分を同時に撮像しな
がら、複数のヌクレオチドアナログを核酸に連続的に付加して、混合物におけるいくつか
の反応サイクルを介して進行するステップと、を含むことができ、隣接するアンカー間の
平均距離がアッベの限界よりも短く、標識部分は、特定の塩基部分と相関し、各反応サイ
クルは、(i)ポリメラーゼが、クエンチャー部分を切断することによって、ヌクレオチ
ドアナログを核酸に付加し、標識部分を含む過渡的な核酸種を形成するステップと、(i
i)デブロッキング剤が過渡的な核酸種を修飾して、標識部分を除去するステップと、を
含むことができる。ある応用では、隣接するアンカー間の平均距離は、20ナノメートル未
満である。更なる応用では、隣接するアンカー間の平均距離は、2ナノメートル~20ナノ
メートルの範囲内である。ヌクレオチドをカップリングすることができる酵素は、ポリメ
ラーゼ、ミオシンまたはキナーゼを含むことができる。
【0004】
ヌクレオチドアナログは3'炭素を有するペントース部分を含むことができ、標識部分は
3'炭素でヌクレオチドに付着することができる。他の例では、ヌクレオチドアナログが三
リン酸部分を含むことができ、クエンチャー部分は三リン酸部分に付着することができる
【0005】
いくつかの応用では、デブロッキング剤はホスホエステラーゼ酵素(例えば、ホスホジ
エステラーゼ、ホスホトリエステラーゼなど)を含むことができる。ホスホエステラーゼ
を含んで、過渡的な核酸種からホスホジエステル部分またはホスホトリエステル部分を選
択的に除去することができる。ホスホエステラーゼは、エンドヌクレアーゼIVおよびAPエ
ンドヌクレアーゼからなる群から選択され得る。
【0006】
例として、過渡的な核酸種は、デブロッキング剤が過渡的な核酸種を修飾して標識部分
を除去する前に、少なくとも1ミリ秒間存在することができる。更なる例として、過渡的
な核酸種は、デブロッキング剤が過渡的な核酸種を修飾して標識部分を除去する前に、3
0秒以下の間存在することができる、
【0007】
様々な応用では、いくつかの反応サイクルは少なくとも100の反応サイクルを含むこと
ができ、それによって、核酸は、少なくとも100のヌクレオチドアナログの付加によって
伸長される。様々な応用では、ヌクレオチドをカップリングすることができる酵素は、ポ
リメラーゼ、ミオシンまたはキナーゼを含む。
【0008】
更なる例では、複数のポリヌクレオチドをシーケンシングする方法は、単一のDNA鋳型
分子を、試料容器上の複数の付着要素のそれぞれに付着させるステップと、確率的な光ス
イッチング化学現象を、分子のすべてに同時に適用して、付着させた分子に、オン事象及
びオフ事象で、確率的な光スイッチングによる最大4色の蛍光を放出させるステップと、
付着させた分子に関してオン事象及びオフ事象が起きているときに、各色に対する色チャ
ネルでオン事象及びオフ事象をリアルタイムに撮像するステップと、を含み、隣接する要
素間の平均距離は、アッベの限界よりも短い。光スイッチングの確率的な性質のため、様
々な例では、所与の分子に関する所与の塩基に対するオン事象が、所与の分子に隣接する
分子における同じ塩基に対するオン事象と同時に起きる確率は、0.5%未満である。確
率的な光スイッチングに対する試薬の濃度は、所与の分子に関する所与の塩基に対するオ
ン事象が、所与の分子に隣接する分子における同じ塩基に対するオン事象と同時に起きる
確率が、0.5%未満であるように選択できる。他の例では、他の濃度を使用できる。隣
接する要素間の平均距離は、約20ナノメートル未満であってもよく、または約2ナノメー
トル~約20ナノメートルの範囲内であってもよい。ある応用では、試料容器上の複数の付
着要素のそれぞれが、オン事象及びオフ事象を撮像するために使用される撮像素子の視野
内に存在することができ、オン事象及びオフ事象の撮像は、複数の付着要素における付着
させた分子に対して同時に起きる。確率的な光スイッチング化学現象を、付着させた分子
のすべてに同時に適用するステップは、確率的光学再構築顕微鏡、ナノスケール構造の画
像観察のためのDNA点集積法又は直接確率的光学再構築顕微鏡の確率的光スイッチング化
学現象を、付着させた分子のすべてに同時に適用することを含むことができる。
【0009】
プロセスは、オン事象及びオフ事象が起きる速度を制御して、所与の分子に関する所与
の塩基に対するオン事象が、所与の分子に隣接する分子における同じ塩基に対するオン事
象と同時に起きる確率を制御するステップを更に含むことができる。ある応用では、オン
事象及びオフ事象が起きる速度を制御するステップは、確率的な光スイッチング化学事象
におけるヌクレオチド及び酵素の濃度を調節することを含むことができる。他の応用では
、オン事象及びオフ事象が起きる速度を制御するステップは、所与の分子に関する所与の
塩基に対するオン事象が、所与の分子に隣接する分子における同じ塩基に対するオン事象
と同時に起きる確率が、方法が適用されるシーケンシングの適用における所定のエラー率
よりも小さくなるように、オン及びオフ時間を調節することを含む。
【0010】
ある応用では、プロセスは、色チャネルにおいて検出されるオン事象の照明強度が、所
定の閾値よりも強いかどうかを判定するステップを更に含むことができる。プロセスは、
色チャネルにおいて検出されるオン事象のスポットサイズが、所定の閾値よりも大きいか
どうかを判定するステップも含むことができる。
【0011】
撮像システムは、複数の付着要素を含む試料容器と、最大4つの異なる色のオン事象及
びオフ事象において付着させた分子に蛍光を放出させると同時に確率的な光スイッチング
化学現象が付着させた分子のすべてに適用されるときに、付着させた分子に対してオン及
びオフ事象が起きているのと同時に、複数の色チャネルにおけるオン事象及びオフ事象を
捕捉することによって複数の付着要素において起きる光スイッチングを撮像するように位
置付けられる撮像素子と、を備えることができ、単一のDNA鋳型分子が付着要素のそれぞ
れに付着し、隣接する付着要素間の平均距離がアッベの限界よりも短い。試料容器は、救
数の試料位置に複数の付着要素を含むフローセルを備えることができる。様々な例では、
隣接する要素間の平均距離は、約20ナノメートル未満であってもよく、または約2ナノメ
ートル~約20ナノメートルの範囲内であってもよい。様々な例では、試料容器上の複数の
付着要素のそれぞれが、光スイッチングを撮像するために使用される撮像素子の視野内に
存在し、オン事象及びオフ事象の捕捉は、複数の付着要素における付着させた分子に対し
て同時に起きる。確率的な光スイッチング化学現象の、付着させた分子のすべてへの同時
適用が、確率的光学再構築顕微鏡、ナノスケール構造の画像観察のためのDNA点集積法又
は直接確率的光学再構築顕微鏡の確率的光スイッチング化学現象を含むことができる。
【0012】
撮像システムは、確率的光学再構築顕微鏡、ナノスケール構造の画像観察のためのDNA
点集積法又は光化学反応によって駆動される直接スイッチングを、確率的光スイッチング
化学現象として用いて、付着させた分子に蛍光を放出させることができる。確率的な光ス
イッチングに対する試薬の濃度は、所与の分子に関する所与の塩基に対するオン事象が、
所与の分子に隣接する分子における同じ塩基に対するオン事象と同時に起きる確率が、約
0.5%未満であるようにする。
【0013】
撮像システムは、オン事象及びオフ事象が起きる速度により、所与の分子に関する所与
の塩基に対するオン事象が、所与の分子に隣接する分子における同じ塩基に対するオン事
象と同時に起きる確率が、方法が適用されるシーケンシングの適用における所定のエラー
率よりも小さくなるように実装できる。撮像システムは、色チャネルにおいて検出される
オン事象の照明強度又はスポットサイズが、所定の閾値よりも大きいと更に判定すること
ができる。
【0014】
開示された技術の他の構成及び態様は、例として、開示された技術の実施形態による構
成を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この概要は
、特許請求の範囲及び均等物によって定められる、本明細書に記載される任意の発明の範
囲を限定することを意図しない。
【0015】
前述の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しない限り)は、本明細
書で開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。
【0016】
1つ以上の例に従って、本明細書で開示される技術を、以下の図面を参照して詳細に説
明する。これらの図は、開示された技術の読者の理解を容易にするために提供され、網羅
的であること、又は開示を開示された厳密な形態に限定することを意図していない。実際
に、図面中の図画は、説明のみを目的として提供され、開示された技術の典型的又は例示
的な例を単に示す。さらに、図を明確にし、説明を容易にするために、図中の要素は必ず
しも一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書で開示されるシステム及び方法を実施することができる画像走査システムの一例の簡略化されたブロック図である。
図2】複数の付着点またはアンカーを含む試料容器の例を示す図である。
図3】特定の確率的光スイッチング化学現象の文脈における、図2に示される容器の列の側面図の例を示す図である。
図4】超解像シーケンシングのための例示的なプロセスを示す図である。
図5】本明細書中に記載される超解像シーケンシング例において使用され得るラチェット生化学要素の例を示す図である。
図6】ヌクレオチドの取り込み時の化学的プロセスの例を示す図である。
図7】上述した化学プロセスを用いた超解像撮像のプロセスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
開示された技術は修正および変更を伴って実施することができ、開示された技術は、特
許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを理解されたい。
【0019】
本明細書に開示される様々な例は、フルオロフォアの確率的切替えがシーケンシング反
応自体に結合され、組み込み時にリアルタイムで複数の隣接分子について撮像が行われる
、均質なワンポット反応を使用する超解像シーケンシングを提供する。特に、いくつかの
適用において、試料容器は、アッベの限界下で個々のエレメントを分解することを可能に
するために許容される間隔よりも小さい間隔で配置される、複数のウェルまたは付着エレ
メントを提供する。単一のDNA鋳型分子を、シーケンシングのために試料容器中の各付着
要素に付着させる。撮像される分子のグループ中の全ての分子の確率的光スイッチングを
提供するシーケンシング化学が適用される。反応の撮像はフルオロフォアがグループ中で
スイッチオンおよびスイッチオフするのと同時に、すべての分子についてリアルタイムで
行われる。反応は確率論的であり、分子間で同期していないので、隣接する分子が同時に
同じ塩基を組み込まない統計的確率がある。
【0020】
いくつかの適用において、シーケンシングは正しいヌクレオチドを組み込むポリメラー
ゼによって起こり、そして組み込みイベントの間、フルオロフォアは短時間スイッチオン
し、そして再びスイッチオフする。撮像は、取り込み事象の時点でリアルタイムに行われ
る。同時に、取り込みイベントは、試料容器内の複数の付着要素で起こっている。これら
の様々な分子でのスイッチングは確率的であり、分子間で同期していないので、分子全て
を反応が起きているのと同時に撮像することができ、その結果、連続的でより時間のかか
るプロセスは必要とされない。
【0021】
様々な超解像処理を詳細に説明する前に、そのような処理を実施することができる例示
的な環境を説明することが有用である。そのような1つの例示的な環境は、図1に示され
るような画像走査システムの環境である。例示的な撮像走査システムは、ある領域の画像
を取得又は生成するためのデバイスを含むことができる。図1に概略を示す例は、バック
ライト設計の撮像構成の例を示す。
【0022】
図1の例から分かるように、対象試料は、対物レンズ142の下の試料ステージ170上に位
置付けられる試料容器110上に配置される。光源160及び関連する光学素子は、レーザ光な
どの光線を、試料容器110上の選択された試料位置に向ける。試料は蛍光を発し、得られ
た光は、対物レンズ142によって収集され、蛍光を検出するために光検出カメラシステム1
40に向けられる。試料ステージ170を、対物レンズ142に対して移動して、試料容器110上
の次の試料位置を対物レンズ142の焦点に位置決めする。対物レンズ142に対する試料容器
110の移動は、試料ステージ自体、対物レンズ、光学ステージ全体、またはこれらの任意
の組み合わせを移動させることによって達成され得る。さらなる例はまた、静止した試料
上で撮像システム全体を移動させることを含むことができる。
【0023】
流体送達モジュール又は装置100は、試薬(例えば、蛍光ヌクレオチド、緩衝剤、酵素、
切断試薬など)の流れを、試料容器110及び廃棄バルブ120に(及びそれらを通して)導く。
いくつかの応用において、試料容器110を、試料容器110上の複数の試料位置に核酸配列の
クラスターを含むフローセルとして実装し得る。シーケンシングされる試料は他の任意の
成分と共に、フローセルの基板に付着され得る。
【0024】
システムはまた、温度ステーションアクチュエータ130と、試料容器110内の流体の状態
の温度を任意に調節することができるヒーター/クーラー135とを備える。カメラシステム
140を含んで、試料容器110のシーケンシングを監視し、追跡することができる。カメラシ
ステム140は例えば、フィルタ切替アセンブリ145、対物レンズ142、及び集束レーザ150内
の様々なフィルタと相互作用することができるCCDカメラとして実装することができる。
カメラシステム140は、CCDカメラに限定されず、他のカメラ及びイメージセンサ技術を使
用することができる。
【0025】
光源160(例えば、任意に複数のレーザを備えるアセンブリ内の励起レーザ)又は他の光
源を含めて、光ファイバインタフェース161(任意選択で1つ以上の再結像レンズ、光ファ
イバマウンティングなどを備えることができる)を通じた照射を介して試料内の蛍光シー
ケンシング反応を照射することができる。低ワットランプ165、集束レーザ150、集束検出
器141、および逆ダイクロイック185も、実施例に提示される。集束レーザ150は集束検出
器141と一緒に使用して、すなわち、対物レンズ142と試料110との間の距離を調整するこ
とによって、または当技術分野で公知のような他の集束技術を使用することによって、シ
ステムをオートフォーカスすることができる。ある用途では、撮像中に集光レーザ150を
オフにしてもよい。他の用途では、代替のフォーカス構成が、データ収集と同時に表面か
ら反射された散乱ビームの位置を測定するために、象限検出器、位置検知素子(PSD)、又
は類似する検出器とすることができる第2の焦点合わせカメラ(図示せず)を含み得る。
【0026】
バックライト装置として図示されているが、他の例としては対物レンズ142を通して試
料容器110上の試料上に向けられるレーザまたは他の光源(図示せず)からの光を挙げるこ
とができる。試料容器110は対物レンズ142に対する試料容器110の移動及び位置合わせを
提供するために、最終的に試料ステージ170上に取り付けられ得る。試料ステージは、そ
れが3つの方向のいずれかに移動することを可能にするために、1つ以上のアクチュエータ
を有することができる。例えば、デカルト座標系に関して、アクチュエータを、ステージ
が対物レンズに対してX、Y、及びZ方向に移動することを可能にするように提供し得る。
このことは、試料容器110上の1つ以上の試料位置が対物レンズ142と光学的に位置合わせ
されて配置されることを可能にし得る。
【0027】
フォーカス(z軸)要素175は、この例ではフォーカス方向(通常、z軸、又はz方向と呼ば
れる)における試料容器110に対する光学要素の位置決めを制御するために含まれるものと
して示される。フォーカス要素175は光学ステージ若しくは試料ステージ又はそれらの両
方に物理的に結合される1つ以上のアクチュエータを含むことができ、試料ステージ170上
の試料容器110を光学要素(例えば、対物レンズ142)に対して移動させて、撮像動作のため
の適切な焦点合わせを提供することができる。例示すると、アクチュエータは例えば、ス
テージに又はステージと、機械的、磁気的、流体的若しくは他の取り付けによって、又は
直接的若しくは間接的に接触することによって、それぞれのステージに物理的に連結され
てもよい。1つ以上のアクチュエータは、試料ステージを同じ平面内に維持しながら(例え
ば、光軸に垂直なレベル又は水平姿勢を維持しながら)ステージをz方向に移動させるよう
に構成され得る。1つ以上のアクチュエータは、ステージを傾斜させるように構成される
こともできる。このことは、例えば、試料容器110がその表面における任意の傾きを考慮
して動的に水平にされ得るように、行われ得る。
【0028】
システムの焦点合わせは、一般に、対物レンズの焦点面を、選択された試料位置で撮像
される試料と位置合わせすることを指すことができる。しかしながら、焦点合わせはまた
、例えば、試験試料の画像についての鮮鋭度又はコントラストの所望のレベルなど、試料
の表現についての所望の特性を得るためのシステムへの調整を指すことができる。対物レ
ンズの焦点面の使用可能な被写界深度は非常に小さい(時には1μm以下のオーダー)ので、
フォーカス要素175は撮像される表面に密接に追従する。試料容器は、器具に固定される
ときに完全に平坦ではないので、フォーカス要素175は走査方向(本明細書では典型的には
y軸と呼ばれる)に沿って移動しながら、このプロファイルに追従するように設定されても
よい。
【0029】
撮像されている試料位置で試験試料から発する光は、例えばカメラシステム140を含む1
つ以上の検出器に向けることができる。検出器は例えば、CCDカメラを含むことができる
。焦点区域から発せられる光のみを検出器に通すことができるように、開口部を含め、配
置することができる。開口部は、焦点区域の外側にある区域から放射される光の成分をフ
ィルタで除去することによって画像品質を改善するために含まれ得る。発光フィルタを、
決定された発光波長を記録し、迷光レーザ光をカットするように選択することができるフ
ィルタ・スイッチング・アセンブリ145に含めることができる。
【0030】
様々な例では、試料容器110が、その上に試料が提供される1つ以上の基板を含むことが
できる。例えば、その上に多数の異なる核酸配列を分析するためのシステムの場合、試料
容器110は、シーケンシングされる核酸が結合し、付着し、又は関連付けられる1つ以上の
基板を含み得る。様々な例では、基板が、核酸を付着させることができる任意の不活性基
板又はマトリックス、例えば、ガラス表面、プラスチック表面、ラテックス、デキストラ
ン、ポリスチレン表面、ポリプロピレン表面、ポリアクリルアミドゲル、金表面及びシリ
コンウェーハを含むことができる。いくつかの用途では、基板が、試料容器110にわたる
マトリックス又はアレイに形成される複数個所のチャネル又は他の区域内にある。
【0031】
1つ以上のコントローラ(図示せず)が、図1を参照して上述した例示的な走査システムの
ような走査システムの動作を制御するために設けられてもよい。コントローラを例えば、
焦点合わせ、ステージ移動、及び撮像動作のようなシステム動作の態様を制御するために
実装することができる。様々な用途において、コントローラを、ハードウェア、ソフトウ
ェア、又は上記の組合せを使用して実装できる。たとえば、いくつかの実装では、コント
ローラが関連するメモリを備える1つ以上のCPU又はプロセッサを含むことができる。別の
例として、コントローラは、動作を制御するためのハードウェア又は他の回路を備えるこ
とができる。例えば、この回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定
用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、複合プログラマブル
ロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、プログラマブルアレイ
ロジック(PAL)、又は他の類似する処理デバイス若しくは回路のうちの1つ以上を含むこと
ができる。さらに別の例として、コントローラは、この回路と1つ以上のプロセッサとの
組合せを備えることができる。
【0032】
図1を参照して説明したようなシステムと共に使用することができるシーケンシング技
術は、次世代シークエンシング(NGS)技術を含む。合成によるシーケンシング(SBS)は、さ
らなる重合をブロックする停止剤を含有する修飾dNTPを使用する、広く採用されているNG
S技術である。シーケンシング反応は、多数の鋳型分子に対して同時に行うことができる
。SBSによって、各dNTPが添加されると、蛍光標識された可逆的ターミネーターが撮像さ
れ、次いで切断されて次の塩基の取り込みを可能にする。全ての4つの可逆的ターミネー
ター結合dNTPが各シーケンシングサイクルの間に存在するので、天然の競合は、取り込み
バイアスを最小限にする。このことは、広範囲の用途のための正確なデータを可能にする
塩基ごとのシーケンシングをもたらす。
【0033】
NGSによって、DNAポリメラーゼがDNA合成の連続サイクル中にDNA鋳型鎖への蛍光標識デ
オキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)の取り込みを触媒する。各サイクルの間、取り込
みの時点で、ヌクレオチドは、フルオロフォア励起によって同定される。1つの違いは、
単一のDNAフラグメントをシーケンシングする代わりに、NGSがこのプロセスを数百万のフ
ラグメントにわたって大規模に並列の様式で拡張することである。
【0034】
NGSへの1つのアプローチは、4つの基本的なステップ:ライブラリー調製、クラスター生
成、シーケンシング、およびデータ分析を含む。ライブラリー調製では、シーケンシング
ライブラリーが、DNAまたはcDNAサンプルのランダム断片化、続いて5'および3'アダプタ
ー連結によって調製される。あるいは、断片化反応およびライゲーション反応がライブラ
リー調製プロセスの効率を大幅に増加させる単一の工程に組み合わされる。次いで、アダ
プター連結フラグメントをPCR増幅し、そしてゲル精製する。
【0035】
クラスター生成のために、ライブラリーをフローセルにロードし、ここでフラグメント
をライブラリーアダプターに相補的な表面結合オリゴのローン上に捕捉する。次に、各断
片をブリッジ増幅により別個のクローンクラスターに増幅する。クラスター生成が完了す
ると、テンプレートはシーケンシングの準備が整う。SBSへの1つのアプローチは、塩基が
DNA鋳型鎖に組み込まれる際に単一塩基を検出する可逆的ターミネーターベースの方法を
使用する。4つの可逆的ターミネーター結合dNTPはすべて、各シーケンシングサイクルの
間に存在するので、天然競争は、取り込みバイアスを最小化し、他の技術と比較して生の
エラー率を減少させる。データ分析およびアラインメントの間、新たに同定された配列読
み取りは、参照ゲノムにアラインメントされる。アラインメントに続いて、一塩基多型(S
NP)または挿入削除(indel)同定、RNA法のためのリードカウント、および系統発生的また
はメタゲノム解析など、多くの分析のバリエーションが可能である。
【0036】
撮像システムにおいて重要なことは、走査動作を行うことができる速度である。例えば
、シーケンシングシステムを考える。このようなシステムでは、サンプル分子を読み取る
ことができる速度を増加させることがしばしば望ましい。撮像システムのスループットを
増加させる1つの方法は、撮像される構造のサイズおよび間隔を低下させることである。
シーケンシングシステムでは、これはテンプレート分子をより密接にパッキングして、所
与の単位面積について達成することができる読み取りの数を増加させることによって達成
することができる。しかしながら、撮像システムの分解能は、光の波長、光学系の開口、
およびその他の要素によって制限される。
【0037】
1873年、Ernest Abbeという名前のドイツの物理学者が、顕微鏡の解像限界を定義する
公式を発表した。アッベの限界は次のように定義される。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、λは、試験片を照射する光波の波長、または蛍光における励起波長帯域である
。NAは対物レンズの開口数であり、これは伝送媒体の屈折率nに開口角の正弦(sin(α))を
乗じたものによって定義され、ここで、αはレンズに入るかまたはレンズから出ることが
できる光の最大コーンの半角である。したがって、NAはNA = n・sin(α)と表すことがで
き、アッベ限界は次のように書き換えることができる。
【0040】
【数2】
【0041】
この解像限界は、しばしば回折障壁と呼ばれ、試験片を撮像するために使用される光の
波長のほぼ半分以下の横方向距離だけ離れた2つの物体を区別する光学機器の能力を規定
する。この科学的限界を回避するために、2014年ノーベル化学賞が授与された。実際、ア
ッベの限界は、現在、多くの技術によって克服されている。これらには、STochastic Opt
ical Reconstruction Microscopy(STORM)、誘導放出抑制顕微鏡法(STED)、光活性化局在
性顕微鏡(PALM)および構造化照明顕微鏡(SIM)が含まれる。これらの方法はすべて、STORM
、STEDおよびPALMについては200nmよりもはるかに低く、約20nmまで、SIMについては約10
0nmの解像度を達成することを可能にする。
【0042】
STORMは例えば、単一分子蛍光の確率的切替えに依存し、その結果、任意の所与の時点
で、ごく一部のフルオロフォアのみが確率的に活性化される。活性化されたフルオロフォ
アは、アッベの限界内で分解され得るように十分に分離される。これにより、それらの位
置を十分な精度で決定することができる。しかしながら、多くの場合、それは、プロセス
が繰り返され、試料の複数の画像(スナップショット)が取得され、各々がフルオロフォア
のランダムなサブセットを捕捉し、その結果、最終的な画像が再構成され得ることを伴う
。最終画像は、複数の画像を累積することによって生成される。従って、活性化は物理的
に分離され、その結果、それらは光学的に分解され得る。
【0043】
システムおよび方法は図1のこの例示的なシステムの文脈において、本明細書で時々説
明されてもよいが、これはこれらのシステムおよび方法が実装され得る1つの例にすぎな
い。本明細書に記載のシステムおよび方法は、このスキャナおよび他のスキャナ、顕微鏡
、ならびに他の撮像システムを用いて実施することができる。
【0044】
撮像システムのための試料容器は、単一分子付着要素のアレイとして構築され得る。単
一分子確率シーケンシングのための例示的な容器を図2に示す。このような容器は付着要
素212の複数の列を有し、いくつかのDNA分子が並行して個々にシーケンシングされること
を可能にし得る。しかしながら、様々な用途における付着要素212の最小間隔dは、システ
ムの光学分解能によって制限することができる。いくつかの用途では、付着要素212が観
察体積を閉じ込める働きをする光学ナノ構造であるゼロモード導波路を含むことができ、
それによって、単一分子顕微鏡検査のための濃度を拡張する。
【0045】
図3図2に示される容器の列の側面図の例を示す。図4は、シーケンシングのための例
示的なプロセスを示す。操作410では、試料容器が製造され、付着要素またはアンカー(例
えば、付着要素212)が提供される。付着要素は、ピッチdを有するように設けられる。い
くつかの用途ではピッチdは両方向で同じであることができ、他の用途ではピッチdは変え
ることができる。例えば、いくつかの用途では、ピッチdが約20nm未満とすることができ
る。別の例として、いくつかの用途では、ピッチが約2nm~約20nmの寸法の範囲とするこ
とができる。いくつかの用途では、ピッチがこの寸法範囲よりも大きくても小さくてもよ
い。さらなる例では、ピッチが個々の分子がそれらの間の物理的相互作用、例えば、分子
間の電荷-電荷相互作用によって影響されることなく、可能な最小寸法に低減され得る。
【0046】
この例では、シングルポットリアルタイム化学がシーケンシングのために使用される。
個々のDNA鋳型分子310が提供される。これらは、図3に302で示すように、取付要素212に
固定されてもよい(例えば、取付要素212当たり1つ)。したがって、操作412では、単一のD
NA鋳型分子310が各付着要素に付着される。一例ではパターン化された付着点212当たり1
つの分子のみが存在することを確実にするために、付着点は分子スケール(約20nm超)に近
づく非常に小さいスケールで製造されてもよい。このようにして、立体障害を介して、こ
れは、1つのDNA分子のみが各箇所に付着することを確実にするのに役立つことができる。
単一分子のシーケンシングは、クラスターが可能な最小サイズであり得るので、高密度の
クラスターを可能にし得る。これにより、最小ピッチを決定する要因として、クラスタサ
イズの影響を除去することができる。また、単一分子のシーケンシングでは、「パッドホ
ッピング」のリスクはほとんどまたは全くなく、それによってクラスターは間隙空間を横
切って成長し、隣接する複製を生成する。このホッピングは増幅プロセスの結果であり、
一般に、増幅がない場合には起こらないであろう。また、増幅がないので、時間だけでな
く、必要な試薬のコストも節約することができる。単一分子シークエンシングを行うこと
により、その後シークエンシング中の各分子における位相誤差を考慮することが可能であ
る。
【0047】
操作414および416において、シーケンシングプライマーが付着され、シングルポット試
薬が添加される。このことは図3の304に示されている。これらの試薬314は標識部分(例え
ば、色素分子)を有する、5'二リン酸クエンチャー分子および3'リン酸ブロックを有する4
つのヌクレオチドのセットを含み得る。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」は、互いに連結された少なくとも2つのヌ
クレオチドアナログモノマーを指すために使用され得る。核酸はホスホジエステル結合を
含むことができるが、いくつかの用途では核酸が、例えばホスホラミド、ホスホロチオエ
ート、ホスホロジチオエート、ペプチド核酸骨格および結合、正骨格、または非イオン性
骨格を含む、他のタイプの骨格を有するアナログであり得る。核酸はペントース部分(例
えば、リボース(天然に存在するRNA中に存在する)、デオキシリボース(天然に存在するDN
A中に存在する)、またはジデオキシリボースを含み得る。いくつかの適用において、核酸
は、リボースまたはデオキシリボース部分の代わりに、非ペントース部分または炭素環式
糖を有し得る。核酸はアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)、シトシン(C
)、イノシン、キサンタンニン、ヒポキサンタンニン、イソシトシン、イソグアニン、ニ
トロピロール(3-ニトロピロールを含む)および/またはニトロインドール(5-ニトロイン
ドールを含む)を含むがこれらに限定されない、1つ以上の異なる塩基部分を有し得る。核
酸は特定されるように、一本鎖または二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖配
列の両方の部分を含み得る。核酸は、DNA(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)、RNAまたはハ
イブリッドであり得る。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「ヌクレオチドアナログ」は、天然ヌクレオチド、
非天然ヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌ
クレオチドおよびヌクレオチドとして既知の他の分子を含むことが意図される。この用語
は重合体中に存在する単量体単位を指すために、例えば、DNAまたはRNA鎖中に存在するサ
ブユニットを同定するために使用され得る。この用語はまた、重合体中に必ずしも存在し
ないモノマー分子、例えば、ポリメラーゼによってテンプレート依存的にポリヌクレオチ
ドに組み込まれ得る分子を指すために使用され得る。この用語は例えば、5'炭素上に0、1
、2、3、4、5またはそれ以上のリン酸塩を有するヌクレオシド単位を指すことができる。
ヌクレオチドアナログは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)、シトシ
ン(C)、イノシン、キサンタンニン、ヒポキサンタンニン、イソシトシン、イソグアニン
、ニトロピロール(3-ニトロピロールを含む)および/またはニトロインドール(5-ニトロ
インドールを含む)を含むがこれらに限定されない塩基部分を有することができる。天然
ヌクレオチドの例としてはATP、UTP、CTP、GTP、ADP、UDP、CDP、GDP、AMP、UMP、CMP、G
MP、dATP、dTTP、dCTP、dGTP、dADP、dTDP、dCDP、dGDP、dAMP、dTMP、dCMP、およびdGMP
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
非天然ヌクレオチドには、天然の生物学的系に存在しないものが含まれる。非天然ヌク
レオチドは、ポリヌクレオチドに組み込まれた後、さらに伸長することができない。例と
しては、可逆的または非可逆的ブロッキング部分を有するヌクレオチドアナログが挙げら
れる。天然または非天然ヌクレオチドは、ポリヌクレオチドに組み込まれた後、さらに伸
長することができる。例としては、3'水酸基を有するヌクレオチドアナログが挙げられる
。いくつかの適用において、ヌクレオチドアナログは可逆的ブロッキング部分を含まず、
またはヌクレオチドアナログは非可逆的ブロッキング部分を含まず、またはヌクレオチド
アナログはいずれのブロッキング部分も全く含まない。
【0051】
本明細書で使用される「ブロッキング部分」という語は、ヌクレオチドアナログに関し
て使用される場合、ヌクレオチド類似体が第2のヌクレオチドアナログへの共有結合を形
成することを阻害または防止するヌクレオチドアナログの一部を意味する。例えば、ペン
トース部分を有するヌクレオチドアナログの場合、ブロッキング部分は、ヌクレオチドの
3'酸素と第2のヌクレオチドの5'リン酸との間のホスホジエステル結合の形成を防止する
ことができる。ブロッキング部分は、核酸ポリマー中に存在する単量体単位であるヌクレ
オチドの一部であり得るか、またはブロッキング部分は遊離ヌクレオチド類似体(例えば
、ヌクレオチド三リン酸)の一部であり得る。ヌクレオチドアナログの一部であるブロッ
キング部分は、ブロッキング部分が修飾されて、ヌクレオチドアナログが第2のヌクレオ
チドアナログへの共有結合を形成することができるようにすることができるように、可逆
的であり得る。特に有用な可逆的ブロック部分は、ホスフェート、ホスホジエステル、ホ
スホトリエステル、ホスホロチオエートエステル、および炭素エステルである。使用する
ことができる可逆的ブロッキング部分のさらなる例は、以下に記載され、そして以下に記
載されるように本明細書中に参考として援用される参考文献に記載される。特定の適用に
おいて、可逆的ブロッキング部分のようなブロッキング部分は、ヌクレオチドアナログの
ペントース部分の3'位置または2'位置に結合され得る。
【0052】
本明細書で使用されるように、「標識部分」という語は、ヌクレオチドアナログに関し
て使用される場合、ヌクレオチドアナログにおいて他の点では現れない区別可能な特性を
提供するヌクレオチドアナログの一部を意味する。識別可能な特性は例えば、放射線の吸
光度、蛍光発光、ルミネセンス発光、蛍光寿命、若しくは蛍光偏光などの光信号;リガン
ドまたはレセプターに対する結合親和性;磁気特性;電気特性;電荷;質量;または放射活性
などであり得る。標識部分の例としてはフルオロフォア、ルミノフォア、発色団、放射性
同位体、質量標識、電荷標識、スピン標識、受容体、またはリガンドなどが挙げられるが
、これらに限定されない。標識部分は、核酸ポリマー中に存在する単量体単位であるヌク
レオチドの一部であり得るか、または標識部分は遊離ヌクレオチドアナログ(例えば、ヌ
クレオチド三リン酸)の一部であり得る。
【0053】
本明細書で使用される「標識修飾部分」という用語は、標識部分を有するヌクレオチド
アナログに関して使用される場合、標識部分の識別可能な特徴を変化させるヌクレオチド
アナログの一部を意味する。典型的には識別可能な特徴の変化が標識修飾部分の存在下で
は明らかであるが、標識修飾部分の不在下では明らかではない。例えば、標識修飾部分は
、標識からの蛍光またはルミネセンス発光を減少させるクエンチャーであり得る。別の例
では、標識修飾部分が標識から検出される蛍光またはルミネセンス発光の強度または波長
を変化させるフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)ドナーまたはアクセプターであり得
る。標識修飾部分は、核酸ポリマー中に存在する単量体単位であるヌクレオチドの一部で
あってもよく、または標識修飾部分はモノマーヌクレオチドアナログ(例えば、ヌクレオ
チド三リン酸)の一部であってもよい。
【0054】
本明細書で使用される「デブロッキング剤」という用語は、ブロッキング部分を修飾ま
たは除去することができる触媒、酵素、試薬または他の物質を意味する。特定の用途にお
いて、デブロッキング剤は、核酸ポリマー中に存在する単量体単位であるヌクレオチドの
一部であるブロッキング部分に対して特異性を有することができる。そのようなものとし
て、デブロッキング剤はモノマーヌクレオチドアナログ(例えば、ヌクレオチド三リン酸)
の一部であるブロッキング部分と比較して、核酸中に存在するヌクレオチドアナログから
ブロッキング部分を選択的に除去し得る。あるいは又はさらに、デブロッキング剤はモノ
マーヌクレオチドアナログ(例えば、ヌクレオチド三リン酸)の一部であるブロッキング部
分、または一本鎖核酸中の単量体であるヌクレオチド類似体の一部と比較して、二本鎖核
酸中に存在するヌクレオチドアナログからブロッキング部分を選択的に除去することがで
きる。従って、いくつかの適用において、デブロッキング剤はモノマーヌクレオチドアナ
ログ(例えば、ヌクレオチド三リン酸)から、または一本鎖核酸中の単量体であるヌクレオ
チド類似体から、ブロッキング部分を除去する能力をほとんどまたは全く有し得ない。デ
ブロッキング剤の例としては酵素(例えば、ホスホエステラーゼ、ホスホジエステラーゼ
、ホスホトリエステラーゼ、エステラーゼ、アルキルトランスフェラーゼまたはメチルト
ランスフェラーゼ)または化学試薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用されるように、第2の物と比較して第1のものを「選択的に」操作する(
例えば、「選択的に」除去する)という言及は、操作が、第2のものに対する効果と比較し
て第1のものに対してより大きな効果を有することを意味することを意図している。この
操作は、第2のものに影響を及ぼす必要はない。操作は、第2のものに対する効果よりも少
なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、または99%大きい第1のものに対する効
果を有することができる。この操作は、2番目のものに対する効果よりも、少なくとも2倍
、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍、1×103倍、1×104倍、または1×106倍高い第1のものに
対する効果を持つことができる。操作は例えば、修飾、接触、処理、変化、切断(例えば
、化学結合の)、光化学的切断(例えば、化学結合の)、形成(例えば、化学結合の)、光化
学的形成(例えば、化学結合の)、共有結合的修飾、非共有結合的修飾、破壊、光アブレー
ション、除去、合成、重合、光重合、増幅(例えば、核酸の)、コピー(例えば、核酸の)、
伸長(例えば、核酸の)、ライゲーション(例えば、核酸の)、または本明細書に記載される
かまたは当該技術分野で既知の他の操作を含むことができる。本明細書で使用されるよう
に、「過渡的」という用語は、反応または反応サイクルにおける種に関して使用されると
きに、種が反応または反応サイクルの過程の間に一時的にのみ存在することを意味する。
過渡種は例えば、約10分、1分、30秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100
ナノ秒、10ナノ秒、または1ナノ秒以下の期間存在し得る。特定の用途では、過渡種が過
渡種の検出を可能にするのに十分な一時的な期間存在する。例えば、上記の例示的な最大
時間期間に加えて、またはその代わりに、過渡種は、少なくとも1分間、30秒間、10秒間
、1秒間、100ミリ秒間、10ミリ秒間、1ミリ秒間、100ナノ秒間、10ナノ秒間、1ナノ秒間
、または1ピコ秒間存在し得る。
【0056】
本明細書で使用される「反応サイクル」という用語は、反応物および生成物に関して使
用される場合、反応物を少なくとも1つの過渡種に変換し、次いで少なくとも1つの過渡種
を生成物に変換する一連の2つ以上の反応を意味する。反応サイクルは例えば、生成物が
同じ一連の反応において反応物として働くように繰り返すことができる。例えば、核酸プ
ライマーは、第1の反応サイクルにおいて単一のヌクレオチドによって伸長されて、プラ
イマー伸長産物(元のプライマーに付加された単一のヌクレオチドを有する)を生成し、次
いで、プライマー伸長生成物は、第2の反応サイクルにおいて再び伸長されて、プライマ
ー伸長生成物(元のプライマーに付加された2つのヌクレオチドを有する)を生成し得る。
サイクルの繰り返しは、わずかに異なる反応物を使用することができ、例えば、異なるヌ
クレオチドアナログを、プライマー伸長の連続サイクルにおいて添加することができる。
しかしながら、反応サイクルを繰り返す必要はない。核酸反応サイクルは例えば、プライ
マーへの単一ヌクレオチドの付加(例えば、ポリメラーゼ触媒反応で)、またはプライマー
への単一オリゴヌクレオチドの付加(例えば、リガーゼ触媒反応で)をもたらし得る。
【0057】
光学的に検出可能な標識が特に有用である。例としては、発色団、発光団およびフルオ
ロフォアが挙げられる。フルオロフォアは特に有用であり、例えば、蛍光ナノ結晶;量子
ドット、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシ
ン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラサイトグリーン、Cy3、Cy5、スチルベン、
ルシファーイエロー、カスケードブルー、テキサスレッド、Alexa色素、SETA色素、アト
ゥ色素、フィコエリチン、ボジピ、およびそれらのアナログを含む。有用な光プローブは
、Haugland, Molecular Probes Handbook(Eugene, Oreg) 6th Edition; The Synthegen c
atalog(Houston, Tex.), Lakowicz, Principles of Fluosce Spectroscopy, 2nd Ed., Pl
enum Press New York (1999), または国際公開第98/59066号パンフレット; 国際公開第91
/06678号パンフレット若しくは米国特許出願公開第2010/0092957号明細書(これらの各々
は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。光学標識は迅速で比較的非侵襲
的な検出の利点を提供し、それによって、循環反応のリアルタイムモニタリングを可能に
する。
【0058】
他の標識(そのいくつかは非光学標識)は、本明細書中に記載される方法および組成物の
様々な用途において使用され得る。例としては天然に豊富には存在しない放射性同位体ま
たは重同位体などの同位体標識;磁性物質;金属などの電子リッチ材料;Ru(bpy)32+などの
電気化学発光標識;または核磁気特性、常磁性特性、電気特性、電荷対質量特性、若しく
は熱特性に基づいて検出され得る部分が挙げられるが、これらに限定されない。標識はま
た、磁性粒子または光学的にコードされたナノ粒子を含み得る。このような標識は、当業
者が既知の適切な方法を使用して検出され得る。例えば、荷電標識は、Ion Torrent(Guil
ford, Conn., a Life Technologiesの子会社)から市販されているシーケンシングシステ
ムで使用されているものなどの電気検出器、または米国特許出願公開第2009/0026082号明
細書、米国特許出願公開第2009/0127589号明細書、米国特許出願公開第2010/0137143号明
細書および米国特許出願公開第2010/0282617号明細書に記載されている検出システムを使
用して検出することができ、これら文献のそれぞれを参照により本明細書に援用する。い
くつかの適用について、ヌクレオチドアナログは、標識を有する必要がないことが理解さ
れる。
【0059】
有用であり得る別のタイプの標識は例えば、一次標識との相互作用、受容体への結合、
または酵素触媒もしくは他の物質による検出可能な産物への変換を介して間接的に検出さ
れる二次標識である。二次標識の例は、アビジン、ストレプトアビジンまたはそのアナロ
グなどの受容体への結合を介して検出することができる、ビオチンまたはそのアナログな
どのリガンドである。他の有用なリガンドは、抗体またはその活性フラグメントのような
レセプターに結合し得るエピトープ、およびレクチンのようなレセプターに結合し得る炭
水化物である。レセプターは例えば、光学標識で標識することができ、レセプターが検出
されることを可能にする。特定の用途において、リガンドは、受容体への親和性を減らし
または阻止するような方法で、ヌクレオチドアナログに取り付けることができる。次いで
、リガンドの放出は、ヌクレオチドアナログから分離された場合、そのそれぞれの受容体
に対するリガンドの親和性に基づいて検出され得る。リガンドは、さらにブロッキング部
分に付着され得るか、またはそれ自体がより一般的に標識部分について上記に記載される
ように、ブロッキング部分として機能し得る。したがって、ヌクレオチドアナログからの
リガンドの除去はヌクレオチドアナログを脱ブロックし、検出可能な事象を提供するよう
に機能することができる。
【0060】
別の例示的二次標識は、ピロリン酸またはそのアナログである。ピロリン酸は、固相キ
レート化剤および/または電子バイオセンサによって検出することができる。いくつかの
適用において、ピロリン酸はピロリン酸をATPに、次いで化学発光に変換する酵素のカス
ケードによって検出され得る。酵素カスケードの例には、パイロシークエンシングにおい
て典型的に使用されるもの、および/または参照により本明細書に組み込まれる米国特許
出願公開第2005/0244870号明細書に記載されているものが含まれる。いくつかの適用にお
いて、ATPを産生する酵素カスケード検出系の使用は、ポリメラーゼによってプライマー
に組み込まれるが、ピロリン酸シグナルと競合するバックグラウンドシグナルを引き起こ
さない、ATPγSのようなアデニンヌクレオチドアナログの使用を必要とし得る。特定の適
用において、ピロリン酸またはそのアナログは、三リン酸が存在する5'位置以外の位置で
ヌクレオチドアナログに付着され得る。このヌクレオチドアナログは適切な検出系におい
て2つのピロリン酸誘導シグナルを生成することができ、ひとつは5'位置からのピロリン
酸の放出(ポリメラーゼ活性による)によるものであり、別のもの他の位置からの放出(例
えば、デブロッキング剤による)によるものである。2つのピロリン酸誘起信号の生成は、
検出ステップにおけるノイズに対する信号の増加、またはシーケンシングデータの評価に
おける精度の増加の利点を提供することができる。ピロリン酸の特に有用なアナログは、
ヌクレオチドアナログ上に存在するときに、典型的にはピロリン酸中で負に荷電される酸
素部分の1つ以上において電荷中性である。一例では、ピロリン酸アナログが荷電酸素原
子を有さないことができる。電荷中性は、いくつかのポリメラーゼ種との相互作用に有利
であり得る。ピロリン酸アナログは、いったん放出されると、適切であるかまたはそうで
なければ所望される場合、検出カスケードにおいて酵素との相互作用のための形態に変換
され得る。
【0061】
本明細書中に記載される方法または組成物において使用される標識部分は天然に存在し
検出される分子中に存在する固有標識(すなわち、内因性標識)、例えば、伸長プライマー
への組み込みの際にヌクレオチドアナログから放出されるプロトンまたはピロリン酸)で
あり得る。ピロリン酸の放出はピロセンシングまたは同様の技術を用いて検出することが
でき、その例は、454 Life Sciences(コネチカット州ブランフォード、ロシュ社)から市
販されているか、または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/024
4870号明細書に記載されている。プロトン放出に基づいてプライマー伸長を検出するため
のシステムの例としては、Ion Torrent(Guilford, Conn., a Life Technologies の子会
社)から市販されているか、またはそれぞれが参照により本明細書に援用される米国特許
出願公開第2009/0026082号明細書、米国特許出願公開第2009/0127589号明細書、特許出願
公開第2010/0137143号明細書および特許出願公開第2010/0282617号明細書に記載されてい
るものが挙げられる。固有標識の検出の代わりに、またはそれに加えて、天然ヌクレオチ
ド類似体に対して外生的である標識を検出することができる。したがって、いくつかの用
途では内因的プローブが検出されないように外因的プローブのみが検出され、他の用途で
は内因的プローブのみが検出されて外因的プローブが検出されず、いくつかの用途では外
因的プローブと内因的プローブとの組み合わせが検出される。
【0062】
いくつかの適用において、使用される条件下で検出可能な標識部分は、必要ではないか
、または望ましくない。したがって、反応混合物中に存在し、または本明細書中に記載さ
れる反応において使用されるヌクレオチドアナログは、モノマー形態であるとき、および
伸長プライマーに組み込まれるときに、特定の検出可能な標識部分を欠いてもよい。それ
にもかかわらず、ヌクレオチドアナログは、ブロッキング部分を含み得る。そのような用
途では、検出は全く実行されなくてもよい。
【0063】
標識部分に加えて、ヌクレオチドアナログは、標識修飾部分をさらに含むことができる
。標識修飾部分は、標識部分によって産生される信号を変更するように機能することがで
きる。いくつかの適用において、標識修飾部分の存在下で標識部分によって産生されるシ
グナルは、標識修飾部分の非存在下で標識部分によって産生されるシグナルと区別され得
る。例えば、標識部分および標識修飾部分は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)ド
ナー-アクセプター対であり得る。したがって、ヌクレオチドアナログからの外見上の蛍
光発光の波長の変化を検出することができ、これは、標識修飾部分の有無を示すであろう
。FRET対のメンバーとして使用され得る例示的なフルオロフォアには、蛍光ナノ結晶;量
子ドット;ジクロロ[R110]、ジクロロ[R6G]、ジクロロ[TAMRA]、またはジクロロ[ROX]など
を含むd-ローダミンアクセプター色素;フルオレセイン、または6-FAMなどを含むフルオ
レセインドナー色素; Cy3Bなどのシアニン色素; Alexa色素、SETA色素、およびCy3BとFRE
T対を形成するAtto 647NなどのAtto色素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
別の例では、標識修飾部分の存在下で生じる標識部分からの信号の強度が標識修飾部分
の非存在下で生成される信号の強度と区別することができる。例えば、標識はフルオロフ
ォアとすることができ、標識修飾部分は消光剤とすることができ、その結果、標識修飾部
分の不在は、ヌクレオチドアナログからの蛍光発光の外見上の増加として検出され得る。
クエンチャーの例としてはDACYL(4-(4'-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)、Blac
k Hole Quenchers(Biosearch Technologies, Novato, Calif.)、Qxl quenchers(Anaspec,
Freemont, Calif.)、Iowa black quenchers、DABCYL、BHQ1、BHQ2、QSY7、QSY9、QSY21
、QSY35、BHQO、BHQ1、BHQ2、QXL680、ATTO540Q、ATTO580Q、ATTO612Q、DYQ660、DYQ661
およびIR Dye QC-1クエンチャーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
ラチェット生化学要素の例を図5に示す。この例は3'リン酸色素と5'三リン酸クエンチ
ャーとを含む。この例示的なキットはまた、ヌクレオチドを組み込むことができるポリメ
ラーゼ、および3'リン酸ブロックを切断するが、組み込まれたヌクレオチドからのみ切断
するdsDNA特異的酵素を含む。
【0066】
例えば、生体系から単離されたタンパク質ベースの酵素およびその機能的変異体を含む
、様々なポリメラーゼのいずれかを、本明細書に記載の方法または組成物において使用す
ることができる。特定のポリメラーゼ(例えば、以下に例示されるもの)への言及は、他に
示されない限り、その機能的変異体を含むと理解されるであろう。ポリメラーゼの特に有
用な機能は、鋳型として既存の核酸を使用して核酸鎖の重合を触媒することである。有用
な他の機能は、本明細書の他の箇所に記載されている。有用なポリメラーゼの例には、DN
AポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼが含まれる。特に有用なポリメラーゼには、以下の
実施例の節に記載されているPol217およびPol427、および参照により本明細書に援用する
米国特許出願公開第2006/0240439号明細書に記載されている他のポリメラーゼが含まれる
【0067】
固有の3'から5'プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは
、いくつかの適用に有用であり得る。3'から5'プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ
活性を実質的に欠くポリメラーゼはまた、いくつかの適用(例えば、ほとんどのシーケン
シング適用)において有用である。エキソヌクレアーゼ活性の欠如は、野生型の特性、ま
たは変異体もしくは操作されたポリメラーゼ構造によって与えられる特性であり得る。例
えば、exo minusクレノウ断片は、3'から5'プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活
性を欠くクレノウ断片の変異バージョンである。
【0068】
ポリメラーゼは、核酸からのポリメラーゼ解離速度に従って特徴付けることができる。
特定の用途では、比較的高い解離速度を有するポリメラーゼを使用することが望ましい。
このことは、例えば、ポリメラーゼの解離が脱ブロッキング工程を進行させる応用におい
て有用であり得る。例えば、酵素は、デブロッキング剤として使用されるときに、酵素が
伸長プライマーからブロッキング部分を除去することを妨げられるように、ポリメラーゼ
によって立体的にブロックされ得る。このような場合、ブロッキング部分を有する伸長プ
ライマーの寿命は、ポリメラーゼの解離速度によって影響され得る。解離速度は、本明細
書に記載の方法において反応速度を調節するために適合することができるポリメラーゼの
活性である。
【0069】
使用される例に応じて、ポリメラーゼは好熱性または熱失活のいずれかであり得る。好
熱性ポリメラーゼは、典型的にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術に使用されるような高
温状態またはサーモサイクリング条件において有用である。好熱性ポリメラーゼの例とし
ては、9°N DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Phusion(登録商標)DNAポリメラー
ゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、RB69 DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、およびVentR(
登録商標)DNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。非好熱性有機体から
単離されたほとんどのポリメラーゼは、熱不活性化される。例はファージ由来のDNAポリ
メラーゼである。種々の供給源のいずれかからのポリメラーゼは、高温状態に対するそれ
らの耐性を増加または減少させるために修飾され得ることが理解される。
【0070】
図6は、ヌクレオチドの取り込み時の化学的方法の例を示す。ここで図6を参照すると、
614において、ヌクレオチドが組み込まれるときに、5'三リン酸が切断される。クエンチ
ャー分子が付着しているので、このクエンチャー分子も切断される。その結果、蛍光色素
は、もはや消光されず、616に示すように蛍光を発することができる。618で、ヌクレオチ
ドがdsDNAに組み込まれると、第2の酵素は、付着した色素と共に3'リン酸を切断すること
ができる。このことは図3の306に示されている。このことは、620で示されるように、分
子を再び暗くし、新たな3' OHを生成し、次の取り込みの準備が整う(622で示される)。取
り込み事象の発生及びフルオロフォアのスイッチオンと、フルオロフォアを(励起体積か
ら)拡散させるリン酸ブロックの除去及びスイッチオフとの間に、ある時間が経過する。
【0071】
別のさらなる例として、いくつかの適用において、シーケンシングプロセスは、ヌクレ
オチドをカップリングし得る酵素、デブロッキング剤、固体支持体にアンカーによって固
定されたヌクレオチド配列に相補的な配列を有するヌクレオチド鎖に結合した核酸、およ
び標識部分およびそれに結合した対応するクエンチャー部分を有する塩基を含む2つ以上
のヌクレオチドアナログを含む混合物を提供することを含み得る。標識部分は、特定の塩
基部分と相関し得る。このプロセスはさらに、アレイ内の標識部分を同時に撮像しながら
(例えば、以下の操作418)、核酸への複数のヌクレオチドアナログの連続的な付加が、混
合物中のいくつかの反応サイクルを介して進行することを可能にし得る。いくつかの適用
において、各反応サイクルは、(i)クエンチャー部分を切断するとともに標識部分を含む
過渡的な核酸種を形成することによって、核酸にヌクレオチドアナログを付加するポリメ
ラーゼ、および(ii)標識部分を除去するために、過渡的な核酸種を修飾するデブロッキン
グ剤を含み得る。様々な用途において、いくつかの反応サイクルは少なくとも100の反応
サイクルを含むことができ、それによって、核酸は、少なくとも100のヌクレオチドアナ
ログの添加によって伸長される。ヌクレオチドをカップリングすることができる酵素は、
ポリメラーゼ、ミオシンまたはキナーゼを含み得る。ヌクレオチドアナログは3'炭素を有
するペントース部分を含むことができ、標識部分は、3'炭素でヌクレオチドに付着するこ
とができる。別の例ではヌクレオチドアナログが三リン酸部分を含むことができ、クエン
チャー部分は三リン酸部分に付着することができる。
【0072】
いくつかの適用において、デブロッキング剤はホスホエステラーゼ酵素(例えば、ホス
ホジエステラーゼ、ホスホトリエステラーゼ)を含むことができ、これは、過渡的な核酸
種からホスホジエステル部分またはホスホトリエステル部分を選択的に除去するために含
まれ得る。ホスホエステラーゼは、エンドヌクレアーゼIVおよびAPエンドヌクレアーゼか
らなる群から選択することができる。過渡的な核酸種は、デブロッキング剤が過渡的な核
酸種を修飾して標識部分を除去する前に、少なくとも1ミリ秒間存在してもよい。さらな
る例として、過渡的な核酸種は、デブロッキング剤が過渡的な核酸種を修飾して標識部分
を除去する前に、30秒以下の間存在し得る。
【0073】
ここで図4に戻ると、操作418において、シーケンサーの撮像システムは4つのチャネル(
ACGT)の各々におけるシグナルの強度を検出し、そして色素の蛍光は、組み込まれた塩基
に対応するシグナルの増加として示される。従って、蛍光は撮像システム内の撮像センサ
(例えば、図1の撮像システム例におけるカメラシステム140)によって検出され、画像を記
録することができる。画像および記録システムは複数のチャネルを同時に画像し、記録す
ることができ(例えば、各塩基に対して1つのチャネル)、各チャネルはその視野内のすべ
ての箇所において、そのチャネルに対するオンおよびオフシーケンスを撮像し、記録する
ことができる。このプロセスの確率論的性質のために、撮像システムの視野内の全ての分
子を同時に活性化することができ、視野内の全ての分子について、各チャネルで同時に起
こる反応を記録することができる。
【0074】
言い換えれば、様々な用途において、シーケンシングは所与の分子についてポリメラー
ゼによって正確なヌクレオチドを組み込むことによって起こり、一方、他の組み込みイベ
ントはその周りをランダムに進行し、そして撮像は、分子の各々における反応が起こって
いるときにそれらの反応を検出するためにリアルタイムで実行され得る。上述したように
、撮像は4つの異なる色チャネル(各塩基に対して1つ)を観察するように構成することがで
き、各チャネルはその蛍光のオン/オフを検出し、記録することができる。
【0075】
図7は、上述した化学プロセスを用いた超解像撮像のプロセスの一例を示す。これは、
ヌクレオチド取り込みおよびデブロッキング事象が単一の分子722について経時的に起こ
るときの「オン」および「オフ」事象742の例を示す。各分子のオン/オフ状態の時間トレ
ースは、その分子の配列を決定するためのものである。図示の例では、「オン」状態744
がACTGCTのシーケンスにおける分子722について図示されている。
【0076】
様々な用途において、取り込みおよびデブロッキングイベントは確率的であり、そして
分子間で同期されない。したがって、統計的に、所与の位置における所与の分子について
の所与の塩基についての「オン」事象は、隣接または周囲の位置における他の分子につい
てのその塩基についての「オン」事象とは異なる時間に生じ得る。したがって、各チャン
ネルについて、そのチャネルについてのオン事象が十分に時空間的に分離され、分子がア
ッベの限界によって許容されるピッチよりも小さいピッチで離間されているという事実に
もかかわらず、それらが撮像システムによって別々のイベントとして解像可能であるとい
う統計的確率がある。所与の塩基に対する「オン」事象間のこのランダムに生成された空
間-時間分離は実際のウェル間隔よりも大きな、事象間の有効ピッチを提供し、「オン」
事象を撮像システムの光学系によって解像可能にする。この例は図3の304に示されている
。この例では、この中央の列の各分子が現在、その隣接する分子とは異なる、塩基に対す
る事象を示している。この例では左から右への分子が塩基A、C、G、T、G、A、C、Tおよび
Cについてオン事象を示している。同じ塩基についてのオンイベントの最も近い出現は、
道の右側の2つのCイベント、および列の中心に向かう2つのGイベントである。それぞれの
場合、これらは、2d、すなわち付着要素212の平均ピッチの2倍の間隔で配置される。
【0077】
光スイッチングは確率的であるので、アッベの限界によって許容されるよりも互いに近
い2つ以上の分子(例えば、2つの隣接する分子)が、同時に同じ塩基についてスイッチオン
される場合があり得る。この場合、これらの分子は分解されないかもしれない。この可能
性は、これらの一致する隣接イベントを稀にするようにスイッチング速度を制御すること
によって軽減することができる。例えば、ヌクレオチドおよび酵素の濃度は、色素が塩基
を同定するのに十分な時間「オン」のままであることを可能にするように調節することが
できる。また、これらの濃度は、「オン」時間が十分であるだけでなく、「オフ」時間が
互いに近接して生じる類似の「オン」事象がほとんどまたは全くないよう十分に長くなる
ように選択することができる。例えば、1つの用途では、オンおよびオフ時間が、色素が
すぐ隣接する所与の位置で同時にオンになる確率が0.5%以下であるように選択される。別
の用途では、オンおよびオフ時間が、色素がすぐ隣接する所与の位置で同時にオンである
確率が0.5%以上であるように選択される。他の用途では、期間およびオフ期間が、色素が
すぐ隣接する所与の位置で同時にオンになる確率が0.1%~0.5%の範囲にあるように選択さ
れる。他の用途では、オンおよびオフ時間が、色素がすぐ隣接する所与の位置で同時にオ
ンになる確率が0.1%~0.8%の範囲にあるように選択される。別の応用例では、オンおよび
オフ時間が、この隣接確率が、それが適用される所与のシーケンシング応用例における許
容可能な誤り率よりも低くなるように選択される。
【0078】
また、所与のチャネルに対する「オン」事象が、撮像システムによって解像されるには
互いに近すぎるように発生する状況に対処する他の方法もあり得る。一例では、システム
が、アッベ限界よりも互いに近い2つ以上の分子について所与の塩基について照明イベン
トが生じたことを示す、平均若しくはベースライン照明強度、または他の閾値よりも大き
い照明強度を検出することができる。同様に、スポットサイズまたはスポット形状はまた
、アッベの限界よりも互いに近い2つ以上の分子が所与の塩基について同時に、およびイ
ベント上で示す状況を決定するために使用され得る。したがって、照明イベントを、照明
強度閾値、スポットサイズ閾値、またはそれらの両方と比較することは、システムが2つ
の隣接する分子が同じ塩基について同時にオンイベントを示したかどうかを決定すること
を可能にするために使用される技術であり得る。これにより、これらの隣接性に対するシ
ステムの許容度を増大させることができ、これにより、これらの閾値決定のいずれかまた
は両方がない場合に許容されるよりも高い隣接可能性を可能にするように、オン時間およ
びオフ時間を選択することができる。また更なる例を実装でき、一旦参照ゲノムに位置合
わせされると、隣接する読み取りでどの塩基が同時に起こったかを観察することによって
、明らかな「欠失」誤差を解消するようにしてもよい。例えば、「C」であったはずの欠
失が、隣接部位で「C」と正しく呼ばれるものと一致する。
【0079】
本明細書中に記載されるプロセスは、暗状態と明状態との間のフルオロフォアの酵素的
サイクリングによって、光スイッチングを達成する方法を提供する。このサイクルは多く
の酵素、例えば、本明細書中に記載されるようなポリメラーゼのうちの1つを介するもの
であり得る。それはまた、ヌクレオチドを転換する他の酵素(例えば、ミオシンによるア
デノシン三リン酸(ATP)、またはキネシン)、または酵素プロセスが部分を分離する任意の
多部分基材(例えば、蛍光色素からのクエンチャー)によるものであり得る。これらは、上
記のプロセスと同様に、5'末端で(3'-色素標識を用いて)消光することができ、従って、
それらが加水分解されるときに、それらは蛍光を発し、次いで、ADP算出物が放出される
ときに、暗所に戻る。別の例は、機能性フルオロフォアを生じる反応において非蛍光分子
を一緒に結合する酵素プロセスであり得る。次いで、このフルオロフォアは、直交化学の
適用によって再び分解され得る。
【0080】
さらなる応用において、本明細書に記載されるシステムおよび方法は同時隣接反応にお
ける分子の確率的光スイッチングを達成するために、上記のラチェット化学プロセスの代
替技術を使用し得る。例えば、フルオロフォアの光スイッチングのためのSTORM(STochast
ic Optical Reconstruction Microscopy)またはナノスケールトポグラフィ(DNA-PAINT)
技術における画像化のためのDNA点蓄積の光スイッチング技術は、上記のように使用する
ことができ、上記の化学現象によって達成されるのと同様の効果を有する。したがって、
オンおよびオフスイッチングは例えば、光化学反応(dSTORM)によって駆動される直接スイ
ッチング、またはDNA標識の過渡的なDNAハイブリダイゼーション(DNA-PAINT)などの、多
数の異なる方法で達成され得る。種々の試薬が例えば、光スイッチングを駆動するための
そのような酵素部分に結合された、特異的標的に対する抗体を用いて作製され得る。
【0081】
例えば、STORMは元々、空間的に離れた箇所でオンおよびオフに切り替わるフルオロフ
ォアを有することによって、アッベの限界を克服し、これらのイベントの連続フレームは
、箇所が変化するときに記録される。任意の所与のフレームにおいて、ごく一部のフルオ
ロフォアのみがスイッチオンされ、これらはアッベの限界を超えて十分に分離される。し
かしながら、これは、フルオロフォアにエネルギーを与え、記録され、消去され、次いで
、全ての分子が捕捉されるまで、全ての位置についてこのプロセスが繰り返されなければ
ならない連続プロセスである。これは、全ての分子が記録され、物体の完全な画像が得ら
れるように、多くの連続するフレームの取得を必要とする。しかしながら、本明細書に記
載されるプロセスの適用は、視野内の全ての分子についての反応が(十分に分離された分
子についてエネルギーを与え、消去し、繰り返す代わりに)同時に起こること、およびプ
ロセスが起こるときにリアルタイムでプロセスを撮像することを可能にする。これは反応
の確率的性質を利用し、その結果、それらは統計的に、互いに隣接して頻繁に発生せず、
リアルタイムで撮像システムの複数のチャネル(例えば、各塩基に対して1つ)によって捕
捉され得る。
【0082】
開示された技術の様々な例が上述されたが、それらは限定ではなく、単に例として提示
されたことが理解されるべきである。同様に、様々な図は開示された技術のための例示的
なアーキテクチャ又は他の構造を示すことができ、これは、開示された技術に含まれるこ
とができる構成及び機能の理解を助けるために行われる。開示された技術は、例示された
アーキテクチャ又は構造に限定されるものではなく、所望の構成は様々な代替アーキテク
チャ及び構造を使用して実装することができる。実際、本明細書で開示される技術の所望
の構成を実施するために、代替の機能的、論理的、又は物理的な区分及び構造をどのよう
に実装できるかは、当業者には明らかであろう。また、本明細書に示されたもの以外の多
数の異なる構成モジュール名を、様々なパーティションに適用することができる。さらに
、フロー図、動作説明、及び方法クレームに関して、本明細書でステップが提示される順
序は、文脈が別段の指示をしない限り、様々な例が、記載された機能を同じ順序で実行す
るように実装されることを強制するものではない。
【0083】
開示された技術は様々な例および実装に関して上記で説明されているが、個々の例のう
ちの1つ以上において説明されたさまざまな特徴、態様、および機能はそれらの利用可能
性において、それらが説明されている特定の例に限定されず、その代わりに、そのような
例が説明されているかどうか、およびそのような特徴が説明された例の一部として提示さ
れているかどうかにかかわらず、開示された技術の他の例のうちの1つ以上に、単独で、
またはさまざまな組合せで適用され得ることを理解されたい。したがって、本明細書で開
示される技術の幅及び範囲は、上述の例のいずれによっても限定されるべきではない。前
述の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しない限り)は、本明細書で
開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の
末尾にある特許請求の範囲の主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本発明
の主題の一部であると考えられる。
【0084】
本書で使用されている用語及び語句、ならびにそれらのバリエーションは、別途明示的
に記載されていない限り、限定ではなく、オープンエンド型の意味にとる必要がある。前
述の例として、「含む」という用語は「限定なしに含む」などを意味するものとして解釈
されるべきであり、「例」という用語は論議中のアイテムの例を提供するために使用され
、そのリストを網羅または限定するものではなく、「1つの("a“または”an“)という
用語は「少なくとも1つの」または「1つ以上の」などを意味するものとして解釈されるべ
きであり、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「既知の」などの形容
詞、および同様の意味の用語は、記載されたアイテムを、所与の期間に、または所与の時
間に利用可能なアイテムに限定するものと解釈されるべきではなく、代わりに、現在また
は将来において利用可能であるか、または既知である可能性がある従来の、伝統的な、通
常の、または標準の技術を包含するものと解釈されるべきである。用語「備える」は、本
明細書では列挙された要素だけでなく、任意の付加要素も含む、オープンエンドであるこ
とが意図される。同様に、本明細書が当業者に明らかであるか又は知られている技術に言
及する場合、そのような技術は、現在又は将来の任意の時点で当業者に明らかであるか又
は知られている技術を包含する。適用可能な範囲で、本明細書における用語「第1」、「
第2」、「第3」などは、単に、これらの用語によって説明されるそれぞれの対象を別個の
エンティティとして示すために使用され、本明細書において明示的に別段の記載がない限
り、時系列順の意味を暗示することを意味しない。
【0085】
「結合された」という用語は直接的または間接的な結合、接続、締結、接触または連結
を指し、物理的、光学的、電気的、流体的、機械的、化学的、磁気的、電磁気的、通信的
若しくは他の結合、または前述のもの組合せなどの様々な形態の結合を指すことができる
。結合の1つの形態が特定される場合、これは、他の形態の結合が除外されることを意味
しない。例えば、別の構成要素に物理的に結合される、ある構成要素は(直接的又は間接
的な)2つの構成要素の物理的な取り付け又は2つの構成要素間の接触を言及することがで
きるが、例えば、やはり2つの構成要素を通信可能に結合する通信リンク(例えば、RFリン
ク又は光リンク)などの構成要素間の他の形態の結合を排除するものではない。同様に、
様々な用語自体は、相互に排他的であることを意図していない。例えば、とりわけ、流体
カップリング、磁気カップリング、又は機械的カップリングは、物理的カップリングの形
態であってもよい。
【0086】
特許請求の範囲を含む、本開示全体にわたって使用される「実質的に」および「約」と
いう用語は、処理の変化などによる小さな変動を記述し、説明するために使用される。例
えば、これらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下
、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、または例えば±0.05%以下を指すことができる
【0087】
場合によっては「1つ以上」、「少なくとも」、「ただし、これらに限定されない」、
または他の同様の語句などの拡張語句の存在は、そのような拡張語句が存在しない場合に
、より狭い場合が意図され、または必要とされることを意味すると解釈されるべきではな
い。「構成要素」という用語の使用は構成要素の一部として説明または請求される要素ま
たは機能がすべて共通のパッケージ内に構成されることを意味するものではない。実際、
構造要素を含む構成要素の様々な要素のいずれか又はすべては、単一のパッケージに組み
合わされるか、又は別々に維持されることができ、さらに、複数のグループ又はパッケー
ジに分散されることができる。
【0088】
加えて、本明細書に記載される様々な例は、例示的な図及び他の例示に関して説明され
る。本明細書を読んだ後、当業者には明らかになるように、例示された実施例及びそれら
の様々な代替形態は、例示された実施例に限定されることなく実施することができる。例
えば、ブロック図及びそれらの付随する説明は、特定のアーキテクチャ又は構造を指定す
るものとして解釈されるべきではない。
【0089】
前述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加の概念とのすべての組合せが、(その
ような概念が相互に矛盾しないという条件で)本明細書で開示される本発明の主題の一部
であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の末尾にある特許請求の範囲の主
題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられ
る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7