IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レーザーテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ビームスプリッタ及び光学装置 図1
  • 特許-ビームスプリッタ及び光学装置 図2
  • 特許-ビームスプリッタ及び光学装置 図3
  • 特許-ビームスプリッタ及び光学装置 図4
  • 特許-ビームスプリッタ及び光学装置 図5
  • 特許-ビームスプリッタ及び光学装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ビームスプリッタ及び光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20240328BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20240328BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20240328BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G02B5/08 D
G01N21/956 A
G02B5/08 A
G03F1/84
G03F7/20 503
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022161623
(22)【出願日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】権平 皓
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-123942(JP,A)
【文献】特表2019-515322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - 21/958
G02B 5/00 - 5/136
G03F 1/84
G03F 7/20 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有するミラーと、
前記第2面上に配置された支持部材と、
を備え、
前記ミラーは、前記第1面から入射したEUV光の一部を反射するとともに、前記第1面から入射した前記EUV光の他の一部を前記第2面に透過させ、
前記支持部材は、前記ミラーを支持し、前記第2面に透過した前記EUV光の前記他の一部を透過させ、
前記ミラーは、多層膜を含み、
前記支持部材は、ペリクルを含み、
前記ミラーに含まれる前記多層膜は、前記ペリクル上に積層された、
ビームスプリッタ。
【請求項2】
前記ミラーは、第1材質と第2材質とが交互に積層された前記多層膜を含み、
前記ペリクル上に前記第1材質と前記第2材質とが交互に積層され、
前記第1材質と前記第2材質との組み合わせを、前記第1材質/前記第2材質とすると、前記組み合わせは、Mo/Si、Co/C、CoCr/C、Cr/C、及び、SiC/Mgのいずれかを含む、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項3】
前記第1面は、φ20mm~φ100mmの前記EUV光を受光する、
請求項1または2に記載のビームスプリッタ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のビームスプリッタを備え、
前記EUV光を用いた露光用のマスクを検査する光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビームスプリッタ及び光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、EUV(Extreem Ultra Violet)光のハーフミラーが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「EUV Half mirror」、NTT Advanced Technology Corporation、[online]、[令和4年9月20日検索]、インターネット<https://www.ntt-at.com/product/beamsplitter/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1のハーフミラーは、10mm×10mmの受光面を有している。非特許文献1のハーフミラーは、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層膜の周縁を枠状のホルダで支持している。よって、多層膜の受光面を大きくしようとすると、撓みの発生が予想される。大型の露光装置で用いられるような大面積の受光面を有するEUV光のビームスプリッタが所望されている。
【0005】
本開示の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、EUV光のビームスプリッタの受光面を拡大させることができるビームスプリッタ及び光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るビームスプリッタは、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有するミラーと、前記第2面上に配置された支持部材と、を備え、前記ミラーは、前記第1面から入射した前記EUV光の一部を反射するとともに、前記第1面から入射した前記EUV光の他の一部を前記第2面に透過させ、前記支持部材は、前記ミラーを支持し、前記第2面に透過した前記EUV光の前記他の一部を透過させる。
【0007】
上記ビームスプリッタでは、前記ミラーは、多層膜を含み、前記支持部材は、ペリクルを含み、前記多層膜は、前記ペリクル上に積層されてもよい。
【0008】
上記ビームスプリッタでは、前記ミラーは、多層膜を含み、前記支持部材は、メッシュ状部材を含み、前記多層膜は、前記メッシュ状部材に接着されてもよい。
【0009】
上記ビームスプリッタでは、前記第1面は、φ20mm~φ100mmの前記EUV光を受光してもよい。
【0010】
本開示に係る光学装置は、上記記載のビームスプリッタを備え、前記EUV光を用いた露光用のマスクを検査する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受光面を拡大させることができるビームスプリッタ及び光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】比較例1に係る光学装置を例示した断面図である。
図2】比較例2に係る光学装置を例示した断面図である。
図3】ミラーの反射率を例示したグラフであり、横軸は、波長を示し、縦軸は、反射率を示す。
図4】実施形態1に係る光学装置を例示した断面図である。
図5】実施形態2に係る光学装置を例示した断面図である。
図6】実施形態2に係る支持部材を例示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施の形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0014】
実施形態を説明する前に、比較例1及び2の光学装置を説明し、それらの課題を説明する。その後、比較例1及び2と対比させて、実施形態の光学装置を説明する。これにより、実施形態の光学装置の特徴をより明確にする。なお、比較例1及び2の光学装置、並びに、それらの課題も、実施形態の技術思想の範囲である。
【0015】
(比較例1)
まず、比較例1の光学装置を説明する。比較例1の光学装置は、例えば、EUV光を用いてEUV用マスクを検査する検査装置またはEUV光を用いて露光する露光装置等に配置されている。図1は、比較例1に係る光学装置を例示した断面図である。図1に示すように、光学装置101は、光学部材110及び駆動部140を備えている。光学装置101は、これら以外の部材を含んでもよい。駆動部140は、光学部材110の位置を移動させる部材であり、モータ、アクチュエータ等である。なお、駆動部140は、光学部材110の位置を移動させることができれば、モータ、アクチュエータに限らず、機械的な機構でもよい。
【0016】
光学部材110は、駆動部140によってEUV光の光路L1上に挿入される。光学部材110は、例えば、板状である。光学部材110は、第1面111及び第2面112を有している。第2面112は、第1面111の反対側の面である。EUV光の光路L1に挿入された光学部材110は、EUV光を受光する。EUV光は、光学部材110の第1面111に入射する。
【0017】
本比較例において、光学部材110は、ミラー120を含んでいる。ミラー120は、光学部材110の第1面111側に配置されている。ミラー120は、例えば、多層膜を含む。例えば、ミラー120は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)とが交互に積層された多層膜を含む。多層膜は、ガラス基板等の基板130上に積層されている。モリブデンとシリコンとは、基板130上に、例えば、40対交互に積層されている。なお、ミラー120は、2材質の2層の多層膜に限らず、3材質以上の3層以上の多層膜を含んでもよいし、1材質の多層膜を含んでもよい。多層膜は、上述のMo/Siの組み合わせの他、EUV光を反射するミラーであれば、Co/C、CoCr/C、Cr/C、SiC/Mg等を含んでもよい。1材質の多層膜は、EUV光を反射するミラーであれば、Ru、SiC等を含んでもよい。基板130は、光学部材110の第2面112側に配置されている。
【0018】
光学部材110の第1面111に入射したEUV光は、ミラー120で反射する。ミラー120は、EUV光をセンサ70に対して反射する。センサ70は、EUV光をモニタする。EUV光は、例えば、IR光等のレーザ光をターゲット材に照射することにより励起させ、発生したプラズマから生成される。ターゲット材は、一例として、スズである。センサ70は、EUV光のパワー及びプラズマ分布を検出することにより、EUV光をモニタする。センサ70は、例えば、フォトダイオード(Photo Diode、PDと呼ぶ。)、位置検出素子(Position Sensitive Detector、PSDと呼ぶ。)及び二次元センサ等を含んでもよい。
【0019】
駆動部140は、光学部材110に取り付けられている。駆動部140は、EUV光をモニタする際に、光学部材110をEUV光の光路L1へ挿入する。これにより、光路L1を通るEUV光を、センサ70へ続く光路L2に導く。また、駆動部140は、EUV光のモニタを終了し、EUV光を検査光または露光光として運用する際に、光学部材110をEUV光の光路L1から外す。これにより、光路L1を通したEUV光を、検査装置または露光装置へ続く光路L3に導く。
【0020】
このように、比較例1の光学装置101は、EUV光の光路L1に光学部材110を挿入することにより、EUV光の光路L1をセンサ70に向かうように変える。そして、センサ70によって、EUV光をモニタする。光学装置101は、センサ70によりEUV光のパワー及びプラズマ分布を検出することができる。
【0021】
しかしながら、比較例1の光学装置101において、光学部材110は、EUV光を反射しかできないので、EUV光を検査装置または露光装置で運用するためには、駆動部140によって光学部材110を光路L1から外す必要がある。
【0022】
(比較例2)
次に、比較例2の光学装置を説明する。図2は、比較例2に係る光学装置を例示した断面図である。図2に示すように、本比較例の光学装置201は、光学部材210を備えている。光学装置201は、これら以外の部材を含んでもよい。
【0023】
光学部材210は、例えば、板状であり、第1面211及び第2面212を有する。EUV光の光路L1上に挿入された光学部材210は、EUV光を受光する。EUV光は、光学部材210の第1面211に入射する。
【0024】
本比較例において、光学部材210は、ミラー220及び支持部材230を含んでいる。支持部材230は、矩形の枠状である。支持部材230は、ミラー220の周縁を支持する。ミラー220は、第1面211及び第2面212を有している。すなわち、光学部材210の第1面211は、ミラー220の第1面211でもあり、光学部材210の第2面212は、ミラー220の第2面212でもある。ミラー220は、前述のミラー220と同様に、多層膜を含んでもよい。
【0025】
本比較例の光学部材210のミラー220は、EUV光の一部を反射するとともに、EUV光の他の一部を透過するように形成されている。具体的には、ミラー220は、前述の比較例1のミラー120よりも多層膜を薄く積層されている。比較例2のミラー220のモリブデン及びシリコンは、例えば、5対、好ましくは、5対以下に積層されている。図3は、ミラー220の反射率を例示したグラフであり、横軸は、波長を示し、縦軸は、反射率を示す。図3では、Si/Moの1周期の厚さが9.9nmであり、モリブデン及びシリコンの対が5対成膜された場合の入射角45°の反射率を示している。
【0026】
図3に示すように、第1面211に入射するEUV光の入射角が45°の場合には、光学部材210は、モリブデン及びシリコンの対が5対の場合に反射率30%以上を得ることができる。この場合には、光学部材210は、ミラー220に対するEUV光の透過率として、40%を得ることができる。
【0027】
光学部材210に入射したEUV光の一部は、ミラー220で反射する。具体的には、光学部材210は、光路L1を通って第1面211から入射したEUV光の一部をミラー220で反射させることにより、センサ70へ続く光路L2に導く。つまり、ミラー220は、EUV光の一部がセンサ70に向かうように反射する。センサ70は、EUV光のパワー及びプラズマ分布を検出することにより、EUV光をモニタする。
【0028】
一方、光学部材210は、第1面211から入射したEUV光の他の一部を透過させる。具体的には、光学部材210は、光路L1を通ったEUV光の他の一部をミラー220に対して透過させることにより、検査装置または露光装置へ続く光路L3に導く。
【0029】
このように、比較例2の光学装置201は、EUV光の一部を反射しつつ、他の一部を透過させるビームスプリッタとして機能する。よって、EUV光をモニタするとともに、検査装置または露光装置においてEUV光を運用することができる。
【0030】
しかしながら、比較例2のミラー220の受光面は、10mm×10mm程度である。ミラー220は、モリブデンとシリコンとが交互に数対だけ積層された薄膜状である。よって、ミラー220の周縁を枠状の支持部材230で支持する必要がある。この場合には、ミラー220の受光面を大きくしようとすると、ミラー220に撓みが発生する。大型の露光装置で用いられるような大面積の受光面にすることが困難である。
【0031】
(実施形態1)
次に、実施形態1に係る光学装置を説明する。図4は、実施形態1に係る光学装置を例示した断面図である。図4に示すように、本実施形態の光学装置1は、光学部材10を備えている。光学装置1は、これら以外の部材を含んでもよい。
【0032】
光学部材10は、例えば、板状であり、第1面11及び第2面12を有する。EUV光の光路L1上に挿入された光学部材10は、EUV光を受光する。EUV光は、光学部材10の第1面11に入射する。本実施形態において、光学部材10は、ミラー20及び支持部材30を備えている。
【0033】
ミラー20は、光学部材10の第1面11側に配置されている。ミラー20は、例えば、薄膜状である。ミラー20は、第1面21及び第2面22を有している。第2面22は、第1面21の反対側の面である。光学部材10の第1面11は、ミラー20の第1面21でもある。ミラー20は、前述のミラー220と同様に、多層膜を含む。ミラー20は、第1面21から入射したEUV光の一部を反射するとともに、EUV光の他の一部を第2面22に透過するように形成されている。具体的には、ミラー20は、5対、好ましくは、5対以下のモリブデン及びシリコンを積層されている。
【0034】
支持部材30は、光学部材10の第2面12側に配置されている。支持部材30は、ミラー20の第2面22上に配置されている。支持部材30は、例えば、ペリクルを含む。ペリクルは、例えば、多結晶シリコン(polycrystalline silicon, p-Si)、ジルコニウム(Zr)、カーボンナノチューブ(CNT)等の材料を含む。支持部材30は、第1面31及び第2面32を有している。第2面32は、第1面31の反対側の面である。支持部材30の第2面32は、光学部材10の第2面12でもある。
【0035】
ミラー20の多層膜は、支持部材30上に積層されている。具体的には、支持部材30の第1面31上にミラー20の多層膜が積層されている。例えば、スパッタリングにより、ペリクル上にモリブデン及びシリコンが交互に積層されている。これにより、ミラー20と支持部材30とは、一体化されている。ミラー20の第2面22と支持部材30の第1面31とは接触している。
【0036】
本実施形態の光学部材10では、支持部材30は、ミラー20の第2面22側に配置されている。よって、ミラー20の第2面22を支持部材30が支持することができる。これにより、光学部材10の受光面を拡大させることができる。
【0037】
光学部材10に入射したEUV光の一部は、ミラー20で反射する。具体的には、光学部材10は、光路L1を通って第1面11から入射したEUV光の一部をミラー20で反射させることにより、センサ70へ続く光路L2に導く。つまり、ミラー20は、EUV光の一部がセンサ70に向かうように反射する。センサ70は、EUV光のパワー及びプラズマ分布を検出することにより、EUV光をモニタする。
【0038】
一方、光学部材10は、第1面11から入射したEUV光の他の一部をミラー20の第2面22に透過させる。支持部材30は、ミラー20を支持し、ミラー20の第2面22に透過したEUV光の他の一部を透過させる。つまり、光学部材10は、光路L1を通ったEUV光の他の一部をミラー20及び支持部材30に対して透過させることにより、検査装置または露光装置へ続く光路L3に導く。
【0039】
このように、本実施形態の光学装置1は、EUV光の一部を反射しつつ、他の一部を透過させるビームスプリッタとして機能する。よって、EUV光をモニタするとともに、検査装置または露光装置においてEUV光を運用することができる。
【0040】
また、本実施形態の光学装置1は、ミラー20の第2面22にミラー20を支持する支持部材30を配置させている。よって、ミラー20の撓みを抑制することができる。これにより、ミラー20の受光面を、比較例2に比べて、大面積にすることができる。ミラー20の第1面21は、φ20mm以上、好ましくは、大型の露光装置等で用いられるように、φ20mm~φ100のEUV光を受光する。よって、光学部材10は、ビーム径がφ20mm以上のEUV光を受光し、ビーム径がφ20mm以上の反射光として、EUV光の一部を反射する。また、光学部材10は、ビーム径がφ20mm以上の透過光として、EUV光の他の一部を透過させる。このように、光学部材10は、大面積の受光面を有するビームスプリッタとして機能させることができる。
【0041】
(実施形態2)
次に、実施形態2を説明する。本実施形態において、支持部材は、メッシュ状部材を含む。図5は、実施形態2に係る光学装置を例示した断面図である。図5に示すように、本実施形態の光学装置2は、光学部材40を備えている。光学装置2は、これら以外の部材を含んでもよい。
【0042】
光学部材40は、例えば、板状であり、第1面41及び第2面42を有する。EUV光の光路L1上に挿入された光学部材40は、EUV光を受光する。EUV光は、光学部材40の第1面41に入射する。本実施形態において、光学部材40は、ミラー50及び支持部材60を含んでいる。
【0043】
ミラー50は、光学部材40の第1面41側に配置されている。ミラー50は、前述のミラー20と同様に、第1面51及び第2面52を有している。第2面52は、第1面51の反対側の面である。光学部材40の第1面41は、ミラー50の第1面51でもある。ミラー50は、多層膜を含む。ミラー50は、EUV光の一部を反射するとともに、EUV光の他の一部を透過するように形成されている。具体的には、ミラー50は、5対、好ましくは、5対以下のモリブデン及びシリコンを積層されている。
【0044】
支持部材60は、第1面61及び第2面62を有している。第2面62は、第1面61の反対側の面である。支持部材60の第2面62は、光学部材40の第2面42でもある。支持部材60は、光学部材40の第2面42側に配置されている。支持部材60は、ミラー50の第2面52上に配置されている。ミラー50の多層膜は、支持部材60の第1面61側に配置されている。本実施形態では、ミラー50の多層膜を成膜してから、支持部材60上に配置させてもよい。例えば、成膜した多層膜は、支持部材60に接着剤等により接着させてもよい。
【0045】
本実施形態では、支持部材60は、メッシュ等のメッシュ部材を含む。図6は、実施形態2に係る支持部材60を例示した平面図である。図6に示すように、支持部材60は、ハニカムメッシュを含んでもよい。なお、支持部材60は、ハニカムメッシュに限らず、クロスメッシュ等、他の形状のメッシュ部材を含んでもよい。
【0046】
メッシュ部材の透過率は、メッシュ部材の幾何学的な形状による幾何透過率で算出することができる。例えば、図6に示すように、ハニカムメッシュは、6本のワイヤ63で構成される六角形の単位メッシュ64が複数組み合わされている。単位メッシュ64の対向する角の対角線の長さを2aとし、ワイヤ63の幅をwとする。そうすると、単位メッシュ64の面積は、(1)式となり、ワイヤ63の面積は、(2)式となる。よって、幾何透過率は、(3)式となる。
【0047】
【数1】
【数2】
【数3】
【0048】
本実施形態の光学部材40の透過率は、(支持部材60の幾何透過率)×(ミラー50の透過率)によって決定される。
【0049】
本実施形態の光学装置2は、EUV光の一部を反射しつつ、他の一部を透過させるビームスプリッタとして機能する。本実施形態の光学部材40は、メッシュ部材によってミラー50を保持することができる。よって、単位メッシュ64を撓みの発生しない面積に保持したまま、単位メッシュ64を増やすことにより、光学部材40の受光面をさらに大面積に拡大させることができる。
【0050】
本実施形態の光学部材40は、幾何透過率によって透過率を制御することができる。例えば、メッシュ部材の形状を、ハニカムメッシュ、クロスメッシュとすることにより、幾何透過率を制御することができる。また、ワイヤの幅を変えることにより、幾何透過率を制御することができる。これにより、光学部材40の用途の自由度を向上させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0051】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態1~2及び比較例1~2の各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1、2 光学装置
10 光学部材
11 第1面
12 第2面
20 ミラー
21 第1面
22 第2面
30 支持部材
31 第1面
32 第2面
40 光学部材
41 第1面
42 第2面
50 ミラー
51 第1面
52 第2面
60 支持部材
61 第1面
62 第2面
63 ワイヤ
64 単位メッシュ
70 センサ
101 光学装置
110 光学部材
111 第1面
112 第2面
120 ミラー
130 基板
140 駆動部
201 光学装置
210 光学部材
211 第1面
212 第2面
220 ミラー
230 支持部材
L1、L2、L3 光路
【要約】
【課題】受光面を拡大させることができるビームスプリッタ及び光学装置を提供する。
【解決手段】本開示に係るビームスプリッタは、第1面21及び第1面21の反対側の第2面22を有するミラー20と、第2面22上に配置された支持部材30と、を備え、ミラー20は、第1面21から入射したEUV光の一部を反射するとともに、第1面21から入射したEUV光の他の一部を第2面22に透過させ、支持部材30は、ミラー20を支持し、第2面22に透過したEUV光の他の一部を透過させる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6