IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

特許7462012全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル
<>
  • 特許-全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル 図1
  • 特許-全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル 図2A
  • 特許-全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル 図2B
  • 特許-全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル 図3
  • 特許-全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル 図4
  • 特許-全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する腕時計ベゼル
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/08 20100101AFI20240328BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20240328BHJP
   G04R 60/08 20130101ALI20240328BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G04G21/08 J
G04G21/00 304P
G04R60/08
H01Q1/22 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179446
(22)【出願日】2022-11-09
(65)【公開番号】P2023090640
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】21215635.0
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ステーラン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0059730(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0219279(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0225786(US,A1)
【文献】特開2021-190036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 21/00,21/08
G04G 17/08
G04R 60/08,60/06
H01Q 1/22
H04B 1/3827
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子腕時計(1)であって、全面的または部分的に前記腕時計(1)の触覚インタフェースを形成しているベゼル(2)を備えたケースを備え、前記ベゼル(2)は通信モジュール(6)のアンテナ回路(10)を備え、前記ベゼル(2)は内面および外面(16、17)を備えたボディー(5)を備え、前記内面(16)は前記腕時計(1)の触覚制御部材(8)の触覚制御回路(13)を備え、前記外面(17)は少なくとも1つの触覚領域(18a、18b)を備え、前記触覚制御回路(13)は、前記少なくとも1つの触覚領域(18a、18b)の下方に配置された電極(22)を形成している導電材料でできた少なくとも1つの層を備え、
前記アンテナ回路(10)および前記触覚制御回路(13)は、前記ベゼル(2)内の、前記ベゼル(2)の中心を通る対称軸(B)の両側に配置される、電子腕時計(1)。
【請求項2】
電子腕時計(1)であって、全面的または部分的に前記腕時計(1)の触覚インタフェースを形成しているベゼル(2)を備えたケースを備え、前記ベゼル(2)は通信モジュール(6)のアンテナ回路(10)を備え、前記ベゼル(2)は内面および外面(16、17)を備えたボディー(5)を備え、前記内面(16)は前記腕時計(1)の触覚制御部材(8)の触覚制御回路(13)を備え、前記外面(17)は少なくとも1つの触覚領域(18a、18b)を備え、前記触覚制御回路(13)は、前記少なくとも1つの触覚領域(18a、18b)の下方に配置された電極(22)を形成している導電材料でできた少なくとも1つの層を備え、
前記アンテナ回路(10)は、前記内面(16)の第1の部分の上に形成された第1のより線および第2のより線(19a、19b)を備え、前記第1のより線および第2のより線(19a、19b)の各々は、近位端および遠位端を有し、各自の近位端と遠位端の間に平行に延在し、前記第1のより線および第2のより線(19a、19b)は、それらの遠位端によって、ならびにそれらの近位端で接続される、電子腕時計(1)。
【請求項3】
前記電極(22)を形成している導電材料でできた前記少なくとも1つの層は、前記導電材料の物理気相堆積の技術、または前記導電材料を選択的に印刷するマイクロメートル・スケールの技術に従って、前記外面(17)の前記少なくとも1つの触覚領域の下方に画定された前記内面(16)の一部を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【請求項4】
前記内面(16)の部分を覆っている導電材料でできた前記層は、前記外面(17)の前記触覚領域の表面積より狭い表面積を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【請求項5】
前記内面(16)は触覚領域毎にいくつかの電極(22)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【請求項6】
前記アンテナ回路(10)および前記触覚制御回路(13)は、前記ベゼル(2)内の、前記ベゼル(2)の中心を通る対称軸(B)の両側に配置されることを特徴とする請求項に記載の電子腕時計(1)。
【請求項7】
前記アンテナ回路(10)は、前記内面(16)の第1の部分の上に形成された第1のより線および第2のより線(19a、19b)を備え、前記第1のより線および第2のより線(19a、19b)の各々は、近位端および遠位端を有し、各自の近位端と遠位端の間に平行に延在し、前記第1のより線および第2のより線(19a、19b)は、それらの遠位端によって、ならびにそれらの近位端で接続されることを特徴とする請求項1に記載の電子腕時計(1)。
【請求項8】
前記電極(22)を形成している導電材料でできた前記少なくとも1つの層は、前記ベゼル(2)の前記内面(16)の第2の部分の上に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【請求項9】
前記アンテナ回路(10)は、電気接続要素(21)を介して前記第1のより線および第2のより線(19a、19b)に接続された超小型回路(11)を備えることを特徴とする請求項2または7に記載の電子腕時計(1)。
【請求項10】
前記触覚制御回路(13)は、少なくとも1つの電気接続要素(20)を介して前記少なくとも1つの電極(22)に接続されたマイクロコントローラ(12)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【請求項11】
前記ベゼル(2)は、少なくとも1つの誘電性および/または非導電性材料で製造されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【請求項12】
前記ベゼル(2)を備えた腕時計であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子腕時計(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全面的または部分的に触覚インタフェースを形成する、電子腕時計のベゼルに関し、前記ベゼルは、通信モジュールのアンテナ回路と、腕時計の触覚制御部材の触覚制御回路とを含む。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークへの接続が可能な多くの携帯型電子物体が、電子腕時計などの従来技術で知られており、これらの電子腕時計は、従来、これらの電子腕時計のクリスタル中に配置されている触覚インタフェースを備えている。一般にこのような触覚インタフェースは、腕時計の相互作用性を改善するため、および、とりわけこれらの腕時計が多数のメニューおよび機能を提供する場合に、それらの取扱いを単純にするために使用されている。
【0003】
Bluetoothタイプのネットワークまたは地理位置に関連するネットワークなどの通信ネットワークに接続することができるようにするために、このような電子物体は、従来はアンテナを統合している通信手段を備えている。このようなアンテナの最適サイズは、放出され/受信される信号の波長に直接依存することが知られている。実際、最適な長さを有するアンテナは、信号を、完全にかつ全出力で送信/受信することを可能にする。
【0004】
利用可能な空間が限られているこれらの腕時計では、アンテナは腕時計のケースの中に統合するために適切な設計を有していなければならない。また、腕時計が無線周波数(2.4GHzまたは1.5GHzなどの)を介して動作する無線通信手段を統合する場合、製品のサイズは波長(120mmおよび200mm)に関して決定的になる。
【0005】
さらに、これらの腕時計は多くの金属部分を含んでいるため、また、アンテナをそれらの金属部分から隔離しなければならないため、他の制約も同じく考慮しなければならない。
【0006】
この文脈においては、解決法、とりわけ従来技術の欠点を有していない解決法を見出す必要があることが理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、触覚インタフェースを備え、また、信号を、完全にかつ全出力で送信/受信するために最適な長さを有するアンテナ回路を統合した電子腕時計を提供することであり、アンテナ回路は、受け入れ容積が限られているこの腕時計のケース内に装着されることが意図されている。
【0008】
本発明の別の目的は、触覚インタフェースをこの腕時計のベゼルの中に統合することによってその美観、エネルギー消費および製造コストが影響されないかまたはほとんど影響されない電子腕時計を得ることである。
【0009】
本発明の別の目的は、触覚インタフェースおよびアンテナ回路をこの腕時計のベゼルの中に統合することによってその美観、エネルギー消費および製造コストが影響されないかまたはほとんど影響されない電子腕時計を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、電子腕時計であって、全面的または部分的に前記腕時計の触覚インタフェースを形成しているベゼルを備えたケースを備える電子腕時計に関しており、前記ベゼルは通信モジュールのアンテナ回路を備え、前記ベゼルは内面および外面を備えたボディーを備え、内面はこの腕時計の触覚制御部材の触覚制御回路を備え、また、外面は少なくとも1つの触覚領域を備え、前記触覚制御回路は、前記少なくとも1つの触覚領域の下方に配置された電極を形成している導電材料でできた少なくとも1つの層を備えている。
【0011】
他の実施形態では、
- 電極を形成している導電材料でできた前記少なくとも1つの層は、導電材料の物理気相堆積の技術、または導電材料を選択的に印刷するマイクロメートル・スケールの技術に従って、外面の前記少なくとも1つの触覚領域の下方に画定された内面の一部を覆っている。
- 内面の前記部分を覆っている導電材料でできた層は、外面の前記触覚領域の表面積より狭い表面積を有している。
- 内面は触覚領域毎にいくつかの電極を備えている。
- アンテナ回路および触覚制御回路は、ベゼル内の、ベゼルの中心を通る対称軸の両側に配置されている。
- アンテナ回路は、内面の第1の部分の上方に形成された第1のより線および第2のより線を備えており、前記第1のより線および第2のより線の各々は、近位端および遠位端を有し、各自の近位端と遠位端の間に平行に延在し、第1のより線および第2のより線は、それらの遠位端によって、ならびにそれらの近位端で接続されている。
- 電極を形成している導電材料でできた前記少なくとも1つの層は、ベゼルの内面の第2の部分の上方に形成されている。
- アンテナ回路は、電気接続要素を介して第1のより線および第2のより線に接続された超小型回路を備えている。
- 制御回路は、少なくとも1つの電気接続要素を介して前記少なくとも1つの電極に接続されたマイクロコントローラを備えている。
- ベゼルは、少なくとも1つの誘電性および/または非導電性材料で製造されている。
- 腕時計はこのようなベゼルを備えたスマートウォッチである。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、以下で列挙されている添付の図を参照してなされる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による、電子腕時計であって、全面的または部分的に前記腕時計の触覚インタフェースを形成しているベゼルを備えた電子腕時計を示す略図である。
図2A】本発明の実施形態による、とりわけ電極によって形成された触覚制御回路を含んだ内面を備えた壁を備えたベゼルを示す図である。
図2B】本発明の実施形態による、図2Aに示されている部分Eのより大きいスケールにおける図である。
図3】本発明の実施形態による、触覚制御回路の電極の配置、およびベゼルの内面の上方の前記腕時計のアンテナ回路の配置を示す略図である。
図4】本発明の実施形態による、通信モジュールおよび触覚制御部材を備えた腕時計を示す略図であり、アンテナ回路および触覚制御回路はそれぞれベゼルの壁の内面の上方に配置されている。
図5】本発明の実施形態による、アンテナ回路および触覚制御回路を透かして示す電子腕時計のベゼルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本発明は、スマートウォッチなどの電子腕時計1を包含している。
【0015】
この文脈においては、このような電子腕時計1は、全面的または部分的に前記電子腕時計1の触覚インタフェースを形成しているベゼル2を含んだケース3を備えており、前記時計1の着用者は、例えばこの腕時計1の時計機能を制御するために、この触覚インタフェースを介して前記腕時計1と対話することができる。このケース3は、金属製(例えば鋼製、好ましくはステンレス鋼製)、合成材料製(例えば繊維、典型的には炭素繊維で補強された重合体マトリックスを含んだ複合材料製)、または少なくとも1つの誘電性および/または非導電性材料のセラミック等からなってもよいミドルを同じく含む。ケース3は、ミドルと共にこのケース3のハッチの形成に寄与するバックおよびクリスタルを同じく備えている。詳細には、前記電子腕時計1の表示デバイス7および電子デバイス4はこのようなハッチ内に配置されている。
【0016】
表示デバイス7は、針などのアナログ、および/またはLCDスクリーン、LEDスクリーンまたはOLEDスクリーンなどのデジタルであってもよい表示要素を含む。このような表示デバイス7は、クリスタルと電子デバイス4の間に配置されており、スペーサまたはフランジをクリスタルとこの表示デバイス7の間に配置することができる。
【0017】
電子デバイス4に関しては、電子デバイス4は電子時計ムーブメントを備えている。電子時計ムーブメントは、この表示デバイス7上に表示される少なくとも1つの情報を提供するように構成されている。非排他的かつ非制限的に、この電子デバイス4は、通信モジュール6、携帯型腕時計の制御モジュール、詳細には電池である電気エネルギー蓄積器、ならびにロケーションの地理位置、高度または温度を決定するために、あるいは電子腕時計1の着用者の生理学的パラメータ、生物学的パラメータ、生命パラメータおよび/または行動パラメータを決定するために必要なセンサなどの様々なセンサを含む。
【0018】
この構成においては、制御モジュールにより、このような電子腕時計1の着用者は電子腕時計1と対話することができ、それにより詳細には様々な機能、例えばこの電子腕時計1によって実現することができる時計機能を活動状態にし、/非活動状態にし、/選択することができることに留意されたい。この制御モジュールは触覚制御部材8を備えており、また、いくつかの代替では、ミドルの上に配置されたプッシュ-ピースまたはボタンなどの他の制御部材を備えている。
【0019】
電子デバイス4では、通信モジュール6は超小型回路11に接続されたアンテナ回路10を備えており、また、触覚制御部材8は触覚制御回路13に接続されたマイクロコントローラ12を備えている。後で分かるように、アンテナ回路10および制御回路13はベゼル2の内面16上に配置されており、ベゼル2は、全面的または部分的に前記電子腕時計1の触覚インタフェースを形成している。
【0020】
このようなベゼル2は、ケース3のミドルの上に締め付けられることが好ましい。このベゼル2は、ミドルの上に取外し可能に締め付けられた部品であっても、またはこのミドルと一体で構築された部品であってもよい。ベゼル2は単一の部品からなっていても、あるいはそれとは逆に、可逆方式および/または緊密方式で一体に接続された2つの部分に構築された部品であってもよい。ベゼル2は、上記内面16および外面17を備えたボディー5を備えている。外面17はこのベゼル2の面であり、この面は着用者が見ることができ、この面の上に画定された第1の触覚領域および第2の触覚領域18a、18bで操作することができる。ベゼル2はその外面17の上に目盛を備えることができる。示されている例では、目盛は数値(好ましくはアラビア数字)の形態である表象的な指標24を備えている。
【0021】
アンテナ回路10および制御回路13を効果的に、および/または最適に動作させるために、このベゼル2は少なくとも1つの誘電性および/または非導電性材料でできている。前記少なくとも1つの材料により、触覚制御部材8の容量効果の達成に寄与することができる。また、この材料は、その物理的サイズに関して、アンテナ回路10の放射、その電気長さの延長、およびその効率の改善の劣化には無関係である。例えばこのような材料は、重合体、チタンまたはセラミック、あるいは任意の他の合成材料であってもよい。このベゼル2のボディー5全体をこの材料タイプで構築するのではなく、このボディー5の一部のみをこの材料タイプで構築し、
- このボディー5内に、この材料でできたアンテナ回路10および制御回路13が配置され、および/または
- このボディー5が、ベゼル2の外部の面の第1の触覚領域および第2の触覚領域18a、18bを備え、それらはこの材料でできている
ことも可能であることに留意されたい。
【0022】
したがって既に言及したようにこのようなベゼル2はミドルに配置され、クリスタルを留め金で留めている。ベゼル2は回転ベゼルまたは固定ベゼルからなっていてもよい。また、ベゼル2は、ミドルと1つのピース、すなわちミドル-ベゼルを形成するためにケース3の中に配置することも可能である。この変形態様では、ミドルおよびベゼルは、この場合、この腕時計1の着用者が見ることができる面である外面17を有している。
【0023】
このベゼル2のボディー5は、制御部材8のマイクロコントローラ12および通信モジュール6の超小型回路11を含んだ電子デバイス4の印刷回路14へのアクセスを提供することが意図された構造を備えることができる。したがってこのような構造は、制御回路13、詳細にはそれぞれ電極22およびアンテナ回路10を制御部材8のマイクロコントローラ12および通信モジュール6の超小型回路11に接続するために、ベゼル2のこのボディー5の中に通路を形成する可能性を提供する。
【0024】
図2A乃至図4を参照すると、制御部材8は、触覚制御回路13に接続されているマイクロコントローラ12を備えている。このような触覚制御回路13は、ベゼル2のボディー5の外面17の第1の触覚領域および第2の触覚領域18a、18bのうちの一方の下方に配置された電極22を形成している導電材料でできた少なくとも1つの層を備えている。言い換えると、個々の電極22は、導電材料でできた層によって形成されているか、またはこのような層の形態をしている。このような電極22は、円形または平行六面体あるいは三角形の形を有している。したがって電極22を形成している導電材料でできたこの層は、外面17の触覚領域のうちのいずれか一方の下方に画定された内面16の一部を覆っている。内面16の前記部分を覆っている導電材料でできた層は、外面17の個々の触覚領域の表面積より狭い表面積を有していることに留意されたい。
【0025】
この電極22は、電極22を制御部材8のマイクロコントローラ12につなぐ/接続することが意図された接続端子23aを備えることができる。この構成では、制御回路13は、個々の電極22とマイクロコントローラ12の間の接続を達成することができる電気接続要素20を備えている。この接続要素20は、マイクロコントローラ12を備えた電子デバイス4の印刷回路14の少なくとも1つの電気トラック15bと協働することができる。したがって個々の電極22は、このようにして、この接続要素20および前記少なくとも1つの電気トラック15bからマイクロコントローラ12に接続されている。最後に、触覚制御回路13は、ベゼル2の内面16が備えている電極22と同じ数の接続要素20を備えていることが好ましいことに留意されたい。
【0026】
図2A乃至図5を参照すると、触覚制御部材8は、ベゼル2のボディー5の内面16上に分散した6つの電極22を備えている。より詳細には、これらの電極22は、2つの全く異なる触覚領域18a、18bをこのベゼル2の外面17上に画定/形成するために、この内面16上に加えられ/堆積されており、したがってこれらの2つの触覚領域18a、18bは電子腕時計1の触覚インタフェースを形成している。この構成では、内面16は触覚領域18a、18b毎にいくつかの電極22を備えている。第1の触覚領域18aは、ベゼル2の外面17上に画定されたそれぞれ2、3および4の指標24の下方に配置された3つの電極22を備えている。第2の触覚領域18bは、ベゼル2のこの外面17上に画定されたそれぞれ5、6および7の指標24の下方に配置された3つの電極22を同じく備えている。この構成では、第1の触覚領域18aにより、腕時計1の着用者は、動き、詳細にはこの第1の領域18a上での、スタイラスなどのアクセサリ、または指などの着用者の突出部分のうちの1本の先端の「垂直方向の動き」(図5にDvで参照されている)を実施することによって腕時計1と対話することができる。第2の触覚領域18bに関しては、この第2の触覚領域18bにより、腕時計1の着用者は、動き、詳細にはこの領域18b上での、アクセサリなどの、または着用者の突出部分のうちの1本の先端などの「水平方向の動き」(図5にDhで参照されている)を実施することによって腕時計1と対話することができる。垂直方向の動きは、このベゼル2の中心Oを通るベゼル2の対称軸Aに対して実質的に平行または平行である軌道を記述しており、この軌道は、このベゼル2の回転軸Rに対して実質的に直角または直角である。水平方向の動きに関しては、この水平方向の動きは、翻って、この軸Aに対して(すなわち垂直方向の動きによって記述される軌道に対して)実質的に直角または直角であり、また、このベゼル2の回転軸Rに対して同じく直角である軌道を記述している。このような軸Aはベゼル2を2つの同じ部品/部分に分離し、その一方で、このベゼル2の外面17上に存在している12と6の指標24同士を接続している。
【0027】
電子デバイス4では、通信モジュール6は、Bluetoothタイプの通信ネットワークへの電子腕時計1の接続を可能にすることができる。言い換えると、通信モジュール6はBluetoothタイプのプロトコルに従って通信するように構成されている。別法としては、この通信モジュール6は、GPS(全地球測位システム)、GlonassまたはGalileoなどのGNSS(地理位置および航法衛星システム)衛星位置ネットワークへの腕時計1の接続を可能にすることができる。この通信モジュール6は、超小型回路11に接続されたアンテナ回路10を備えている。
【0028】
この実施形態では、このようなアンテナ回路10はベゼル2のボディー5の内面16上に設けられている。このアンテナ回路10は第1のより線および第2のより線19a、19bを備えており、これらのより線は、それぞれ近位端および遠位端を有し、それらの近位端と遠位端の間に平行に延在している。このアンテナ回路10では、2本のより線を平行に有するアーキテクチャにより、例えばBluetoothタイプの通信ネットワーク(2.4GHz)を介した通信に必要な周波数帯域(100MHz)を拡大することができる。このアンテナ回路10では、第1のより線および第2のより線19a、19bは、それらの遠位端によって接続されると共に、それらの近位端で接続されている。この構成では、アンテナ回路10は、円弧軌道を追従する内面16上に平行に配置された2本のより線19a、19bを含むこの円弧軌道に基本的に従って延在している。このアンテナ回路10は、これらの近位端または遠位端に接続された内面16上に設けられた接続端子23bに接続された電気接続要素21を同じく備えている。この電気接続要素21は、通信モジュール6の超小型回路11を備えた電子デバイス4の印刷回路14の少なくとも1つの電気トラック15aと協働することができる。このようにして、アンテナ回路10は、この前記少なくとも1つの電気接続要素21と、前記少なくとも1つの電気トラック15aとから、この超小型回路11に接続されている。
【0029】
この構成では、アンテナ回路10および触覚制御回路13は、ベゼル2の中心Oを通り、かつこのベゼル2の回転軸Rに対して実質的に直角または直角である対称軸Bの両側で、ベゼル2内に配置されている。Bで参照されているこの軸はベゼル2を2つの部品/部分に分離し、また、30度と40度の間であり、36度であることが好ましい角度αを軸Aと形成している。したがってアンテナ回路10および触覚制御回路13は、全面的または部分的に、ベゼル2のボディー5の内面16の全く異なる部分の上に構築されている。これらの2つの部分は対称軸Bによって分離されている。より詳細には、ベゼル2の内面16は、実質的に同じ表面積を有するまたは同じ表面積を有する2つの部分を備えている。この第1の部分は、第1のより線および第2のより線19a、19b、ならびにこのアンテナ回路10の接続端子23bを備えている。一方、第2の部分は電極22を備えている。
【0030】
制御回路13およびアンテナ回路10は、導電材料の物理気相堆積の技術、または導電インクを含んだこの導電材料を選択的に印刷するマイクロメートル・スケールの技術に従って、ベゼル2のボディー5のこの内面16上に構築することができることにさらに留意されたい。ポリエステルでできた内面16上の銀、またはポリイミドでできた内面16上の銅を使用したスクリーン印刷の技術を検討することも可能である。
【0031】
本発明は、すぐ上で説明した実施形態に限定されないこと、また、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を逸脱することなく、様々な単純な変更態様および変形態様を考慮することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 電子腕時計
2 ベゼル
3 ケース
4 電子デバイス
5 ボディー
6 通信モジュール
7 表示デバイス
8 触覚制御部材
10 アンテナ回路
11 超小型回路
12 マイクロコントローラ
13 触覚制御回路
14 印刷回路
15b 電気トラック
16 ボディー5の内面
17 ボディー5の外面
18a 第1の触覚領域
18b 第2の触覚領域
19a 第1のより線
19b 第2のより線
20 電気接続要素
21 電気接続要素
22 電極
23a 接続端子
23b 接続端子
24 指標
Dv スタイラスなどのアクセサリ、または指などの着用者の突出部分のうちの1本の先端の垂直方向の動き
Dh アクセサリなどの、または着用者の突出部分のうちの1本の先端などの水平方向の動き
O ベゼル2の中心
A ベゼル2の対称軸
R ベゼル2の回転軸
B ベゼル2の対称軸
α 軸Aと軸Bの角度
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5