(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240328BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240328BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240328BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20240328BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240328BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G01C21/34
G16Y10/40
G16Y20/40
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2022208975
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519182659
【氏名又は名称】MONET Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山科 瞬
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-191256(JP,A)
【文献】国際公開第2020/196086(WO,A1)
【文献】特開2021-135217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
G16Y 10/40
20/40
40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車の第1の乗客の生体情報を取得する取得部と、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、前記第1の乗客が前記自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する特定部と、
第2の乗客から前記自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける受付部と、
前記危険場所に関する情報に基づいて、前記予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する決定部と、
を備え
、
前記取得部は、
既に決定された第4の走行経路を走行中の第1の自動運転車の乗客である前記第1の乗客の生体情報を取得し、
前記特定部は、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の危険場所に関する情報を特定し、
前記決定部は、
前記第1の危険場所に関する情報に基づいて、既に決定された第5の走行経路を走行中の第2の自動運転車の走行経路を変更する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記経路情報として、前記走行経路を検索し、前記検索の検索結果に対応する第1の走行経路が前記危険場所を含む場合は、前記第1の走行経路と同一の走行時間で走行可能な他の走行経路であって、前記危険場所を含まない他の走行経路を再検索し、前記再検索の検索結果に対応する第2の走行経路が存在する場合は、前記第2の走行経路を走行することを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記経路情報として、前記再検索の検索結果に対応する第2の走行経路が存在しない場合は、前記第1の走行経路よりも長い走行時間で走行可能な他の走行経路であって、前記危険場所を含まない他の走行経路を再々検索し、前記再々検索の検索結果に対応する第3の走行経路が存在する場合は、前記第3の走行経路を走行することを決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記経路情報として、前記再々検索の検索結果に対応する第3の走行経路が存在しない場合は、前記危険場所での走行速度を落とした状態で前記第1の走行経路を走行することを決定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、
前記第2の乗客から前記第2の乗客によって選択された乗客タイプを示す情報を受け付け、
前記決定部は、
前記乗客タイプを示す情報に応じて、前記走行経路を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、前記第1の乗客が体調不良であるか否かを特定し、
前記決定部は、
前記特定部によって前記第1の乗客が体調不良であると特定された場合は、医療機関を目的地とする新たな走行経路を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が実行するプログラムにより実現される情報処理方法であって、
自動運転車の第1の乗客の生体情報を取得する取得工程と、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、前記第1の乗客が前記自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する特定工程と、
第2の乗客から前記自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける受付工程と、
前記危険場所に関する情報に基づいて、前記予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する決定工程と、
を含
み、
前記取得工程は、
既に決定された第4の走行経路を走行中の第1の自動運転車の乗客である前記第1の乗客の生体情報を取得し、
前記特定工程は、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の危険場所に関する情報を特定し、
前記決定工程は、
前記第1の危険場所に関する情報に基づいて、既に決定された第5の走行経路を走行中の第2の自動運転車の走行経路を変更する、
情報処理方法。
【請求項8】
自動運転車の第1の乗客の生体情報を取得する取得手順と、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、前記第1の乗客が前記自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する特定手順と、
第2の乗客から前記自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける受付手順と、
前記危険場所に関する情報に基づいて、前記予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する決定手順と、
をコンピュータに実行させ
、
前記取得手順は、
既に決定された第4の走行経路を走行中の第1の自動運転車の乗客である前記第1の乗客の生体情報を取得し、
前記特定手順は、
前記第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の危険場所に関する情報を特定し、
前記決定手順は、
前記第1の危険場所に関する情報に基づいて、既に決定された第5の走行経路を走行中の第2の自動運転車の走行経路を変更する、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転に関する技術開発が盛んに行われている。自動運転技術は、運転者が運転操作を行う代わりに、車両に搭載された制御システム(以下、「自動運転システム」)を用いて、車両の運転操作を自動化する技術である。以下では、運転者によって行われる運転操作のことを「手動運転」と記載し、自動運転システムによって行われる運転操作のことを「自動運転」と記載する場合がある。
【0003】
自動運転技術のレベル(以下、「自動運転レベル」)は、運転操作を行う主体等によって、例えば、レベル1からレベル5までの5段階に分類される(なお、無人での自動運転可能なレベルまで含めた場合には、6段階に分類される)。自動運転レベル4または自動運転レベル5では、運転者がいない状態で自動運転が行われる。今後、自動運転技術の向上が進むことで、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転レベル4や自動運転レベル5の自動運転による移動サービスの提供が実現可能となることが予想される。
【0004】
また、従来、車両を運転する運転者が安全に運転できるよう支援する技術が知られている。例えば、過去の車両運転時に計測された運転者の生体情報に基づいて作成された運転者の生体情報が変化する場所が記録されたハザードマップ情報を記憶する。また、車両の位置およびリアルタイムに計測された車両を運転する運転者の生体情報を取得する。続いて、取得された車両の位置がハザードマップ情報に記録された場所であるときに、取得された車両を運転する運転者の生体情報に基づいて、車両を運転する運転者の状態が危険な状態であるか否かを判定する。そして、車両を運転する運転者の状態が危険な状態であると判定された場合に、車両を運転する運転者に対して注意喚起の警告を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、車両を運転する運転者の生体情報に基づいて、車両を運転する運転者の状態が危険な状態であるか否かを判定するに過ぎないため、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができるとは限らない。
【0007】
そこで、本開示では、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係る情報処理装置は、自動運転車の第1の乗客の生体情報を取得する取得部と、前記第1の乗客の生体情報に基づいて、前記第1の乗客が前記自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する特定部と、第2の乗客から前記自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける受付部と、前記危険場所に関する情報に基づいて、前記予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る生体情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る危険場所情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0012】
(実施形態)
〔1.はじめに〕
今後、自動運転技術の向上が進むことで、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転レベル4や自動運転レベル5の自動運転による移動サービスの提供が実現可能となることが予想される。このような運転者がいない状態で運行が行われる自動運転による移動サービスの提供を実現するために、自動運転システムに対して多くの運行シチュエーションでの機械学習処理や交通ルールを覚え込ませることにより、安全に走行できる自動運転車が作られていくことが想定されている。
【0013】
しかしながら、人を乗客として乗せて運行を行う場合には、安全に運行するだけではなく、人が不安を感じない快適な運転を実現する必要がある。例えば、現状の自動運転実証時の技術向上は、プロドライバーのカンや経験を元にした指摘に頼った状態で行われているため、向上精度に限界がある。また、より多くの地域で人が不安を感じない快適な自動運転実現していくためには、スケーラビリティを意識した形での課題の検知が必要となる。
【0014】
これに対し、実施形態に係る情報処理装置は、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転による移動サービスを提供するにあたって、自動運転車にテスターとなる乗客を乗車させた状態で自動運転を行い、自動運転が行われている最中の乗客の生体情報を取得する。このように、情報処理装置は、乗客の生体情報を取得することにより、車両のデータからは取得できないような、急ハンドルや急ブレーキ等のいわゆるヒヤリハット事例(つまり、運転の危険性を感じる状況)に対して人が感じるヒヤリという事象に関する情報を取得することができる。これにより、情報処理装置は、人が感じるヒヤリという事象などの人が感じる機微な情報を取得することができるので、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況を回避するように自動運転システムを改善することができる。具体的には、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況は、自動運転車が特定の場所を走行する際に発生すると考えられる。そこで、情報処理装置は、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転による移動サービスを提供するにあたって、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況が発生した場所(以下、「危険場所」ともいう)を回避するような走行経路を決定する。これにより、情報処理装置は、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況を回避することができるため、自動運転車の乗客が不安を感じることなく、安心して自動運転車に乗ることを可能とすることができる。また、情報処理装置は、例えば、危険場所を回避するような走行経路が存在しない場合には、危険場所を走行する際の走行速度を落とすことにより、乗客が感じる危険性の程度を軽減することができる。したがって、情報処理装置は、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【0015】
以下では、本実施形態に係る車両(以下、車両)は、公知の自動運転システムを備える。具体的には、車両は、自車の周辺の状況に関する情報を認識する機能を備える。例えば、車両は、カメラ、LiDAR(ライダー)、ミリ波レーダーまたは超音波センサなどの各種センサを備え、車両の周囲や前方を常時監視し、センサが取得した画像データなどから他の車両や歩行者、道路上の白線、標識などを認識する。
【0016】
また、車両は、GPSなどの衛星測位システム(GNSS)を備え、自車位置を特定する。また、車両は、タイヤの回転数から距離を計測する走行距離計(DMI)や、角速度や加速度を計測する慣性計測装置(IMU)を備え、自車位置を特定してもよい。また、車両は、SLAM技術を用いて、自車位置を特定してもよい。
【0017】
また、車両は、道路標識や車線情報などを含めた高精度な3次元地図情報を用いて、自車の位置情報とセンサデータを突合させることで、自車位置の特定精度を向上させてもよい。
【0018】
〔2.情報処理システムの構成〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1には、センサ装置10と、利用者装置20と、車載装置30と、情報処理装置100とが含まれる。センサ装置10と、利用者装置20と、車載装置30と、情報処理装置100とは所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、
図1に示した情報処理システム1には、複数台のセンサ装置10や、複数台の利用者装置20や、複数台の車載装置30や、複数台の情報処理装置100が含まれてもよい。
【0019】
センサ装置10は、自動運転車の乗客(以下、単に「乗客」と記載する場合がある)の生体情報を検知する機能を有する。センサ装置10は、常時、乗客の生体情報を検知してよい。具体的には、センサ装置10は、生体センサである。例えば、センサ装置10は、心拍、脈拍、血圧、発汗量、呼吸、脳波、または筋電等を検知する各種センサであってよい。ここで、生体情報は、生体センサにより検知された情報であって、乗客の心拍、脈拍、血圧、発汗量、呼吸、脳波、または筋電等を示す情報である。例えば、センサ装置10は、人体に装着するタイプ(接触型ともいう)の生体センサであってよい。例えば、センサ装置10は、頭部に装着するメガネ型、手首に装着する時計型、または、腕に装着するリストバンド型のウェアラブルデバイスであってよい。乗客は乗車中に常時センサ装置10を装着する。また、接触型のセンサ装置10は、加速度センサやジャイロセンサを搭載し、生体情報の一例として、乗客の様々な行動情報を取得してよい。例えば、センサ装置10は、乗客の頭部動作をメガネ型のウェアラブルデバイスによって取得し、頭部動作の加速度から乗客の頭部ジェスチャを認識してよい。
【0020】
なお、センサ装置10は、非接触型のセンサであってもよい。例えば、センサ装置10は、カメラまたはマイクロフォン等であってよい。非接触型のセンサ装置10は、自動運転車の車両に搭載されてよい。例えば、センサ装置10は、生体情報の一例として、カメラにより撮像された乗客の顔画像から脈拍間隔(脈拍と脈拍の時間間隔)を示す情報を検出してよい。また、センサ装置10は、生体情報の一例として、マイクロフォンにより収音された乗客の音声情報を検出してよい。また、センサ装置10は、以上説明した複数種類のセンサが複数個設けられていてもよい。また、センサ装置10は、所定時間ごとに乗客の生体情報を情報処理装置100に対して送信する。
【0021】
利用者装置20は、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転による移動サービス(以下、単に「移動サービス」ともいう)を利用する利用者によって使用される情報処理装置である。例えば、利用者装置20は、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイス、フィーチャーフォン、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたゲーム機やAV機器、カーナビゲーションシステム、スマートウォッチやヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイス(Wearable Device)、スマートグラス等である。
【0022】
利用者装置20は、移動サービスの利用者の操作に従って、自動運転車の利用予約に関する予約情報の入力を受け付ける。例えば、利用者装置20は、予約情報の一例として、乗客タイプ、出発地、目的地、出発時刻、到着時刻、乗車人数、相乗りの可否などの情報の入力を受け付ける。利用者装置20は、予約情報の入力を受け付けた場合、入力された予約情報を情報処理装置100に対して送信する。
【0023】
ここで、乗客タイプとは、乗客が危険場所で感じる危険性を許容する度合いのことを指す。例えば、乗客が危険場所で感じる危険性を許容し、危険性よりも目的地まで早く到着することを希望するタイプの場合は、乗客タイプのうち「速度優先タイプ」を選択することができる。一方、乗客が危険場所で感じる危険性を許容せず、危険性を感じない快適な運転を希望するタイプの場合は、乗客タイプのうち「快適優先タイプ」を選択することができる。
【0024】
車載装置30は、車両に搭載された情報処理装置である。車載装置30は、公知の自動運転システムを備える。具体的には、車載装置30は、車両が認識した自車の周辺の状況に関する情報に基づいて、車両の振る舞いを判断する機能を備える。また、車載装置30は、出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を情報処理装置100から受信する。また、車載装置30は、受信した経路情報に関する走行経路を走行しながら、渋滞情報等に基づいて、経路の変更やレーンチェンジといった判断を行う機能を備える。また、車載装置30は、車両の振る舞いに関する判断に基づいて、車両を制御する機能を備える。例えば、車載装置30は、ステアリングやアクセルペダルなどを制御する機能を備える。
【0025】
情報処理装置100は、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転による移動サービスを提供する情報処理装置である。情報処理装置100は、センサ装置10から所定時間ごとに自動運転車の乗客の生体情報を取得する。また、情報処理装置100は、過去に取得した乗客の生体情報に基づいて、乗客が自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する。また、情報処理装置100は、移動サービスの利用者(後の乗客)の利用者装置20から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける。また、情報処理装置100は、危険場所に関する情報に基づいて、予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する。情報処理装置100は、走行経路に関する経路情報を決定した場合、車載装置30に対して経路情報を送信する。
【0026】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理の概要について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
図2で説明する情報処理は、
図1で説明した情報処理システム1によって実行される。
【0027】
図2では、情報処理装置100は、自動運転車の乗客U1の生体情報をセンサ装置10から取得する(ステップS1)。具体的には、情報処理装置100は、乗客U1の生体情報の一例として、乗客U1の心拍数を示す情報を取得してよい。例えば、センサ装置10は、乗客U1の身体に装着された接触型の心拍センサであってよい。また、乗客U1は、テスターであってよい。
【0028】
また、情報処理装置100は、乗客U1の生体情報を取得した場合、取得した乗客U1の生体情報に基づいて、乗客U1が自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する(ステップS2)。例えば、情報処理装置100は、走行前後における乗客U1の心拍数の変化量が所定の閾値を超える場所を危険場所として特定してよい。なお、情報処理装置100は、乗客U1以外の他の乗客の生体情報に基づいて、乗客U1が自動運転車による運転の危険性を感じた場所以外の他の危険場所を特定してよい。
【0029】
また、情報処理装置100は、移動サービスの利用者(後の乗客U2)の利用者装置20から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける(ステップS3)。例えば、情報処理装置100は、予約情報の一例として、乗客タイプ、出発地および目的地に関する情報を受け付ける。
【0030】
また、情報処理装置100は、予約情報を受け付けた場合、特定された危険場所に関する情報に基づいて、受け付けた予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する(ステップS4)。具体的には、情報処理装置100は、予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路を検索する。情報処理装置100は、出発地から目的地までの走行経路に対応する検索結果として、走行時間が最短である走行経路に関する経路情報を取得する。
【0031】
続いて、情報処理装置100は、乗客タイプに応じた走行経路を走行することを決定する。例えば、情報処理装置100は、乗客タイプが「快適優先タイプ」である場合には、走行時間が最短である走行経路上に危険場所が存在する場合、危険場所を回避する走行経路を再検索するか、または、危険場所での走行速度を落とした状態で走行時間が最短である走行経路を走行することを決定する。一方、情報処理装置100は、乗客タイプが「速度優先タイプ」である場合には、走行時間が最短である走行経路上に危険場所が存在する場合であっても、走行時間が最短である走行経路を最短の走行時間で走行することを決定する。
【0032】
また、情報処理装置100は、経路情報を決定した場合、乗客U2が乗車する自動運転車の車両V2に搭載された車載装置30に対して経路情報を提供する(ステップS5)。車載装置30は、情報処理装置100から受信した経路情報に基づいて、情報処理装置100によって決定された走行経路を走行するように車両V2の自動運転を制御する。
【0033】
〔3.情報処理装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130を有する。
【0034】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、ネットワークNを介してセンサ装置10や利用者装置20や車載装置30と有線または無線で接続され、センサ装置10や利用者装置20や車載装置30との間で情報の通信を司る通信インターフェイスである。
【0035】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、制御部130が実行するプログラム(情報処理プログラムの一例)、または、制御部130が処理するデータを記憶する。
【0036】
また、
図3に示すように、記憶部120は、生体情報記憶部121と、危険場所情報記憶部122を有する。以下、これらに記憶される情報について順を追って説明する。
【0037】
(生体情報記憶部121)
生体情報記憶部121は、乗客の生体情報に関する各種の情報を記憶する。生体情報記憶部121は、乗客の生体情報の履歴を記憶する。ここで、
図4を用いて、生体情報記憶部121が記憶する情報の一例を説明する。
図4は、実施形態に係る生体情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0038】
図4に示す例において、生体情報記憶部121は、「道路ID」、「乗客タイプ」、「取得日時」、「曜日」、「休日」、「時間帯(時)」、「後心拍数(HR)」、「前心拍数(HR)」、「自律神経(CVRR)」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0039】
「道路ID」は、自動運転車の車両が走行した道路を識別する識別情報を示す。具体的には、「道路ID」は、全国の交通網における各リンクを識別する識別情報であってよい。
【0040】
「乗客タイプ」は、予約の受付時に乗客によって選択された乗客タイプを示す。例えば、乗客タイプのうち「速度優先タイプ」は、乗客が危険場所で感じる危険性を許容し、危険性よりも目的地まで早く到着することを希望する乗客タイプであることを示す。また、乗客タイプのうち「快適優先タイプ」は、乗客が危険場所で感じる危険性を許容せず、危険性を感じない快適な運転を希望する乗客タイプであることを示す。
【0041】
「取得日時」は、センサ装置10から乗客の生体情報を取得した日時を示す。「曜日」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した曜日を示す。「休日」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した日が休日であるか否かを示す。「時間帯(時)」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した時間帯を示す。
【0042】
「後心拍数(HR)」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した直後における乗客の心拍数を示す。具体的には、「後心拍数(HR)」は、道路IDによって識別される道路の終了地点を自動運転車の車両が走行した時点における乗客の心拍数であってよい。「前心拍数(HR)」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行する直前における乗客の心拍数を示す。具体的には、「前心拍数(HR)」は、道路IDによって識別される道路の開始地点を自動運転車の車両が走行した時点における乗客の心拍数であってよい。例えば、道路IDによって識別される道路の走行前後における乗客の心拍数の変化量が大きいことは、道路IDによって識別される道路の走行中に乗客が感じた危険性の度合いが大きいことを示す。一方、道路IDによって識別される道路の走行前後における乗客の心拍数の変化量が小さいことは、道路IDによって識別される道路の走行中に乗客が感じた危険性の度合いが小さいことを示す。
【0043】
「自律神経(CVRR)」は、道路IDによって識別される道路の走行前後における乗客の心拍変動係数の変化量を示す。一般的に、心臓が拍動してから次に拍動するまでの時間間隔のことを心拍間隔と呼ぶ。心拍変動とは、心拍間隔の周期的な変動のことを指す。心拍変動は、自律神経の調整機能を示す指標であり、心拍変動が小さいことは、交感神経が優位であり、ストレスが大きいことを示す。一方、心拍変動が大きいことは、副交感神経が優位であり、ストレスが小さいことを示す。なお、心拍変動係数(CVRR)は、自律神経機能を検査するために用いられる生体情報である。例えば、道路IDによって識別される道路の走行前後における乗客の心拍変動係数の変化量が大きいことは、道路IDによって識別される道路の走行中に乗客が感じた危険性の度合いが大きいことを示す。一方、道路IDによって識別される道路の走行前後における乗客の心拍変動係数の変化量が小さいことは、道路IDによって識別される道路の走行中に乗客が感じた危険性の度合いが小さいことを示す。
【0044】
なお、生体情報記憶部121に記憶される情報は、「道路ID」、「乗客タイプ」、「取得日時」、「曜日」、「休日」、「時間帯(時)」、「後心拍数(HR)」、「前心拍数(HR)」、「自律神経(CVRR)」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の乗客の生体情報に関する情報が記憶されてよい。
【0045】
(危険場所情報記憶部122)
危険場所情報記憶部122は、危険場所に関する各種の情報を記憶する。ここで、
図5を用いて、危険場所情報記憶部122が記憶する情報の一例を説明する。
図5は、実施形態に係る危険場所情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0046】
図5に示す例において、危険場所情報記憶部122は、「危険場所ID」、「道路ID」、「乗客タイプ」、「曜日」、「休日」、「時間帯(時)」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0047】
「危険場所ID」は、危険場所を識別する識別情報を示す。「道路ID」は、危険場所が所在する道路を識別する識別情報を示す。具体的には、「道路ID」は、全国の交通網における各リンクを識別する識別情報であってよい。「乗客タイプ」は、予約の受付時に乗客によって選択された乗客タイプを示す。「曜日」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した曜日を示す。「休日」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した日が休日であるか否かを示す。「時間帯(時)」は、道路IDによって識別される道路を自動運転車の車両が走行した時間帯を示す。
【0048】
なお、危険場所情報記憶部122に記憶される情報は、「危険場所ID」、「道路ID」、「乗客タイプ」、「曜日」、「休日」、「時間帯(時)」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の危険場所に関する情報が記憶されてよい。
【0049】
(制御部130)
制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報処理装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
図3に示す例では、制御部130は、取得部131と、特定部132と、受付部133と、決定部134と、提供部135とを有する。
【0050】
(取得部131)
取得部131は、自動運転車の乗客の生体情報を取得する。例えば、取得部131は、センサ装置10から所定時間ごとに乗客の生体情報を取得してよい。
【0051】
また、取得部131は、乗客の乗客タイプを示す情報を取得する。例えば、取得部131は、乗客がテスターである場合には、テスターの自己申告による乗客タイプを示す情報をテスターから取得してよい。また、取得部131は、受付部133が乗客から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付けた場合には、受付部133が受け付けた予約情報に含まれる乗客タイプを示す情報を取得する。
【0052】
また、取得部131は、乗客を乗せている自動運転車の車両に搭載された車載装置30から自動運転車の車両の走行情報を取得する。例えば、取得部131は、車両の走行情報として、車両の位置情報を取得する。車両の位置情報には、車両の走行日時に関する情報が含まれてよい。取得部131は、車両の位置情報を取得した場合、車両の位置情報に基づいて、自動運転車の車両が走行している道路リンクを特定してよい。例えば、取得部131は、あらかじめ最新の地図情報を取得する。続いて、取得部131は、車両の位置情報と地図情報とに基づいて、自動運転車の車両が走行している道路リンクを特定してよい。なお、取得部131は、車両の走行情報として、自動運転車の車両が走行している道路リンクを識別可能な情報を車載装置30から取得してもよい。
【0053】
取得部131は、乗客の生体情報、乗客タイプおよび車両の走行情報を取得した場合、乗客の生体情報、乗客タイプおよび車両の走行情報を対応付けて生体情報記憶部121に格納する。
【0054】
(特定部132)
特定部132は、取得部131によって取得された乗客の生体情報に基づいて、乗客が自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する。具体的には、特定部132は、生体情報の一例として、各道路リンクを走行している自動運転車の車両に乗っている乗客の心拍数の変化量の値に基づいて、各道路リンクが危険場所に該当するか否かを判定する。例えば、特定部132は、取得部131が乗客の生体情報を取得した場合、生体情報記憶部121を参照して、乗客の生体情報に含まれる後心拍数と前心拍数との差分の値を算出する。続いて、特定部132は、後心拍数と前心拍数との差分の値が第1閾値を上回るか否かを判定する。特定部132は、後心拍数と前心拍数との差分の値が第1閾値を上回ると判定した場合、乗客が運転の危険性を感じたと判定する。特定部132は、乗客が運転の危険性を感じたと判定した場合、生体情報記憶部121を参照して、生体情報に紐づく道路IDによって識別される道路リンクを危険場所として特定する。特定部132は、生体情報に紐づく道路IDによって識別される道路リンクを危険場所として特定した場合、特定した危険場所に関する情報を危険場所情報記憶部122に格納する。例えば、特定部132は、危険場所に関する情報として、道路ID、乗客タイプ、走行日時に関する情報を対応付けて危険場所情報記憶部122に格納する。
【0055】
なお、上述した例では、特定部132が、生体情報の一例として、乗客の心拍数の変化量の値に基づいて、危険場所を特定する場合について説明したが、特定部132は、乗客の心拍変動係数の変化量の値に基づいて、危険場所を特定してもよい。具体的には、特定部132は、生体情報記憶部121を参照して、乗客の生体情報に含まれる自律神経(心拍変動係数の変化量)の値を取得する。続いて、特定部132は、心拍変動係数の変化量値が第2閾値を上回るか否かを判定する。特定部132は、心拍変動係数の変化量の値が第2閾値を上回ると判定した場合、乗客が運転の危険性を感じたと判定する。特定部132は、乗客が運転の危険性を感じたと判定した場合、生体情報記憶部121を参照して、生体情報に紐づく道路IDによって識別される道路リンクを危険場所として特定する。
【0056】
また、特定部132は、乗客の心拍数の変化量の値と心拍変動係数の変化量値とを組み合わせたスコアを算出してよい。特定部132は、算出したスコアの値に基づいて、乗客が運転の危険性を感じたか否かを判定してもよい。
【0057】
(受付部133)
受付部133は、乗客から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける。具体的には、受付部133は、乗客が利用する利用者装置20から予約情報を受け付ける。例えば、受付部133は、予約情報の一例として、乗客タイプ、出発地、目的地、出発時刻、到着時刻、乗車人数、相乗りの可否などの情報を受け付ける。
【0058】
(決定部134)
決定部134は、危険場所に関する情報に基づいて、予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する。具体的には、決定部134は、予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路を検索する。決定部134は、出発地から目的地までの走行経路に対応する検索結果として、走行時間が最短である走行経路(以下、第1の走行経路)に関する経路情報を取得する。
【0059】
続いて、決定部134は、乗客タイプを示す情報に応じて、走行経路を決定する。具体的には、決定部134は、検索結果として取得した第1の走行経路上に危険場所が存在するか否かを判定する。例えば、決定部134は、危険場所情報記憶部122を参照して、検索結果として取得した第1の走行経路に含まれる各道路リンクの中に危険場所に相当する道路リンクが含まれるか否かを判定する。このとき、決定部134は、乗客タイプが「快適優先タイプ」である場合には、危険場所情報記憶部122のうち、乗客タイプが「快適優先タイプ」であるデータを参照して、第1の走行経路に含まれる各道路リンクの中に危険場所に相当する道路リンクが含まれるか否かを判定する。また、決定部134は、乗客タイプが「速度優先タイプ」である場合には、危険場所情報記憶部122のうち、乗客タイプが「速度優先タイプ」であるデータを参照して、第1の走行経路に含まれる各道路リンクの中に危険場所に相当する道路リンクが含まれるか否かを判定する。
【0060】
決定部134は、第1の走行経路に含まれる各道路リンクの中に危険場所に相当する道路リンクが含まれないと判定した場合、第1の走行経路上に危険場所が存在しないと判定する。決定部134は、第1の走行経路上に危険場所が存在しないと判定した場合、第1の走行経路を走行することを決定し、予約を確定する。
【0061】
また、決定部134は、第1の走行経路に含まれる各道路リンクの中に危険場所に相当する道路リンクが含まれると判定した場合、第1の走行経路上に危険場所が存在すると判定する。決定部134は、第1の走行経路上に危険場所が存在する(つまり、第1の走行経路が危険場所を含む)と判定した場合、第1の走行経路と同一の走行時間で走行可能な他の走行経路であって、危険場所を含まない他の走行経路(以下、第2の走行経路)を再検索する。決定部134は、第2の走行経路が存在する場合、第1の走行経路から第2の走行経路へと走行経路を変更することを決定する。決定部134は、第1の走行経路から第2の走行経路へと走行経路を変更することを決定した場合、予約を確定する。
【0062】
また、決定部134は、第2の走行経路が存在しない場合、第1の走行経路よりも長い走行時間で走行可能な他の走行経路であって、危険場所を含まない他の走行経路(以下、第3の走行経路)を再々検索する。決定部134は、第3の走行経路が存在する場合、第1の走行経路から第3の走行経路へと走行経路を変更することを決定する。決定部134は、第1の走行経路から第3の走行経路へと走行経路を変更することを決定した場合、予約を確定する。なお、決定部134は、乗客タイプが「速度優先タイプ」である場合には、第1の走行経路から第3の走行経路へと走行経路を変更する代わりに、第1の走行経路を走行することを決定し、予約を確定してもよい。
【0063】
また、決定部134は、第3の走行経路が存在しない場合は、危険場所での走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定する。具体的には、決定部134は、第1の走行経路に含まれる各道路リンクのうち、危険場所に相当する道路リンクでの走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定する。また、決定部134は、第1の走行経路に含まれる各道路リンクのうち、危険場所に相当する道路リンクを走行する走行速度を落として走行する場合の走行時間を算出する。決定部134は、危険場所での走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定した場合、予約を確定する。なお、決定部134は、乗客タイプが「速度優先タイプ」である場合には、危険場所での走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定する代わりに、最短の走行時間で第1の走行経路を走行することを決定し、予約を確定してもよい。
【0064】
(提供部135)
提供部135は、決定部134によって決定された経路情報を車載装置30に対して提供する。具体的には、提供部135は、決定部134によって予約が確定された場合、決定部134によって決定された経路情報を予約対象となる車両に搭載された車載装置30に対して送信する。
【0065】
〔4.情報処理手順〕
図6は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理手順を示すフローチャートである。
図6では、取得部131は、自動運転車の乗客の生体情報を取得する(ステップS101)。特定部132は、取得部131によって取得された乗客の生体情報に基づいて、乗客が自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する(ステップS102)。
【0066】
図7は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理手順を示すフローチャートである。
図7では、受付部133は、乗客から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける(ステップS201)。
図7では、受付部133は、予約情報の一例として、乗客タイプが「快適優先タイプ」であることを示す情報、出発地および目的地に関する情報を受け付ける。
【0067】
決定部134は、受付部133によって受け付けられた予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路を検索する(ステップS202)。例えば、決定部134は、検索結果として、最短の走行時間で走行可能な走行経路(以下、第1の走行経路)を取得する。続いて、決定部134は、第1の走行経路上に危険場所が存在するか否かを判定する(ステップS203)。決定部134は、第1の走行経路上に危険場所が存在しないと判定した場合(ステップS203;No)、第1の走行経路を走行することを決定し、予約を確定する(ステップS206)。
【0068】
一方、決定部134は、第1の走行経路上に危険場所が存在すると判定した場合(ステップS203;Yes)、第1の走行経路と同一の走行時間で走行可能な他の走行経路であって、危険場所を含まない他の走行経路(以下、第2の走行経路)を再検索する(ステップS204)。決定部134は、第2の走行経路が存在する場合(ステップS204;Yes)、第1の走行経路から第2の走行経路へと走行経路を変更することを決定する(ステップS205)。決定部134は、第1の走行経路から第2の走行経路へと走行経路を変更することを決定した場合、予約を確定する(ステップS206)。
【0069】
一方、決定部134は、第2の走行経路が存在しない場合(ステップS204;No)、第1の走行経路よりも長い走行時間で走行可能な他の走行経路であって、危険場所を含まない他の走行経路(以下、第3の走行経路)を再々検索する(ステップS209)。決定部134は、第3の走行経路が存在する場合(ステップS209;Yes)、第1の走行経路から第3の走行経路へと走行経路を変更することを決定する(ステップS210)。決定部134は、第1の走行経路から第3の走行経路へと走行経路を変更することを決定した場合、予約を確定する(ステップS206)。
【0070】
一方、決定部134は、第3の走行経路が存在しない場合(ステップS209;No)、第1の走行経路に含まれる危険場所での走行速度を落とした場合の走行時間を算出し、危険場所での走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定する(ステップS211)。決定部134は、危険場所での走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定した場合、予約を確定する(ステップS206)。
【0071】
提供部135は、決定部134によって予約が確定された場合、予約の対象となる自動運転車に搭載された車載装置30に対して、決定部134によって決定された走行経路に関する経路情報を提供する(ステップS207)。また、取得部131は、自動運転車の乗客の生体情報を取得して登録する(ステップS208)。
【0072】
〔5.変形例〕
上述した実施形態に係る処理は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0073】
〔5-1.走行中の自動運転車の走行経路の変更〕
上述した実施形態では、特定部132が、予約対象の自動運転車が走行する前に危険場所に関する情報を特定する。そして、決定部134は、予約対象の自動運転車が走行する前に特定された危険場所に関する情報に基づいて、予約対象の自動運転車が走行する前に走行経路を決定する場合について説明した。変形例では、特定部132が、予約対象の自動運転車(以下、第1の自動運転車)が走行している間に危険場所に関する情報を特定する。そして、決定部134は、特定部132が特定した危険場所に関する情報に基づいて、第1の自動運転車の近くを走行中の他の予約対象の自動運転車(以下、第2の自動運転車)の走行経路を変更する場合について説明する。
【0074】
具体的には、取得部131は、既に決定された第4の走行経路を走行中の第1の自動運転車の乗客である第1の乗客の生体情報を取得する。特定部132は、第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の危険場所に関する情報を特定する。決定部134は、特定部132によって第1の危険場所に関する情報が特定された場合、第1の危険場所から所定の範囲内を走行中の第2の自動運転車を特定する。続いて、決定部134は、特定部132が特定した第1の危険場所に関する情報に基づいて、既に決定された第5の走行経路を走行中の第2の自動運転車の走行経路を変更する。例えば、決定部134は、特定部132によって第1の危険場所に関する情報が特定された時点における第2の自動運転車の走行位置(以下、第1の位置)を特定する。
【0075】
続いて、決定部134は、第1の位置から第5の走行経路の目的地までの走行経路(以下、第6の走行経路)上に第1の危険場所が存在するか否かを判定する。決定部134は、第6の走行経路上に第1の危険場所が存在しないと判定した場合、そのまま第6の走行経路を走行することを決定する。また、決定部134は、第6の走行経路上に第1の危険場所が存在すると判定した場合、第6の走行経路と同一の走行時間で走行可能な他の走行経路であって、第1の危険場所を含まない他の走行経路(以下、第7の走行経路)を検索する。決定部134は、第7の走行経路が存在する場合、第6の走行経路から第7の走行経路へと走行経路を変更することを決定する。
【0076】
また、決定部134は、第7の走行経路が存在しない場合、第6の走行経路よりも長い走行時間で走行可能な他の走行経路であって、第1の危険場所を含まない他の走行経路(以下、第8の走行経路)を再検索する。決定部134は、第8の走行経路が存在する場合、第6の走行経路から第8の走行経路へと走行経路を変更することを決定する。なお、決定部134は、乗客タイプが「速度優先タイプ」である場合には、第6の走行経路から第8の走行経路へと走行経路を変更する代わりに、第6の走行経路を走行することを決定してもよい。
【0077】
また、決定部134は、第8の走行経路が存在しない場合、第1の危険場所での走行速度を落とした状態で第6の走行経路を走行することを決定する。具体的には、決定部134は、第6の走行経路に含まれる各道路リンクのうち、第1の危険場所に相当する道路リンクでの走行速度を落とした状態で第6の走行経路を走行することを決定する。また、決定部134は、第6の走行経路に含まれる各道路リンクのうち、第1の危険場所に相当する道路リンクを走行する走行速度を落として走行する場合の走行時間を算出する。なお、決定部134は、乗客タイプが「速度優先タイプ」である場合には、第1の危険場所での走行速度を落とした状態で第6の走行経路を走行することを決定する代わりに、最短の走行時間で第6の走行経路を走行することを決定してもよい。
【0078】
〔5-2.乗客の体調不良を検出した場合〕
上述した実施形態では、特定部132が、乗客の生体情報に基づいて、危険場所に関する情報を特定する。そして、決定部134は、特定部132が特定した危険場所に関する情報に基づいて、走行経路に関する経路情報を決定する場合について説明した。変形例では、特定部132が、乗客の生体情報に基づいて、乗客が体調不良であるか否かを特定する。例えば、特定部132は、取得部131が取得した所定時間における乗客の心拍数の変化量が第3閾値を超えた場合、乗客が体調不良であると特定する。決定部134は、特定部132によって乗客が体調不良であると特定された場合は、医療機関を目的地とする新たな走行経路を決定する。例えば、決定部134は、特定部132によって乗客が体調不良であると特定された時点における自動運転車の走行位置(以下、第2の位置)を特定する。続いて、決定部134は、第2の位置から最寄りの医療機関目的地とする新たな走行経路を検索する。
【0079】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、取得部131と特定部132と受付部133と決定部134を備える。取得部131は、自動運転車の第1の乗客の生体情報を取得する。特定部132は、第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の乗客が自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する。受付部133は、第2の乗客から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける。決定部134は、危険場所に関する情報に基づいて、予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する。
【0080】
このように、情報処理装置100は、乗客の生体情報を取得することにより、車両のデータからは取得できないような、急ハンドルや急ブレーキ等のいわゆるヒヤリハット事例(つまり、運転の危険性を感じる状況)に対して人が感じるヒヤリという事象に関する情報を取得することができる。これにより、情報処理装置100は、人が感じるヒヤリという事象などの人が感じる機微な情報を取得することができるので、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況を回避するように自動運転システムを改善することができる。具体的には、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況は、自動運転車が特定の場所を走行する際に発生すると考えられる。そこで、情報処理装置100は、運転者がいない状態で運行が行われる自動運転による移動サービスを提供するにあたって、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況が発生した場所(以下、「危険場所」ともいう)を回避するような走行経路を決定する。これにより、情報処理装置100は、自動運転車の乗客が運転の危険性を感じる状況を回避することができるため、自動運転車の乗客が不安を感じることなく、安心して自動運転車に乗ることを可能とすることができる。また、情報処理装置100は、例えば、危険場所を回避するような走行経路が存在しない場合には、危険場所を走行する際の走行速度を落とすことにより、乗客が感じる危険性の程度を軽減することができる。したがって、情報処理装置100は、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【0081】
また、決定部134は、経路情報として、走行経路を検索し、検索の検索結果に対応する第1の走行経路が危険場所を含む場合は、第1の走行経路と同一の走行時間で走行可能な他の走行経路であって、危険場所を含まない他の走行経路を再検索し、再検索の検索結果に対応する第2の走行経路が存在する場合は、第2の走行経路を走行することを決定する。
【0082】
これにより、情報処理装置100は、乗客が運転の危険性を感じる状況が発生した場所を回避して自動運転車が走行することを可能とするため、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。また、情報処理装置100は、最短の走行時間で目的地まで自動運転車が到着することを可能とするため、自動運転車の乗客にとってより快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【0083】
また、決定部134は、経路情報として、再検索の検索結果に対応する第2の走行経路が存在しない場合は、第1の走行経路よりも長い走行時間で走行可能な他の走行経路であって、危険場所を含まない他の走行経路を再々検索し、再々検索の検索結果に対応する第3の走行経路が存在する場合は、第3の走行経路を走行することを決定する。
【0084】
これにより、情報処理装置100は、乗客が運転の危険性を感じる状況が発生した場所を回避して自動運転車が走行することを可能とするため、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【0085】
また、決定部134は、経路情報として、再々検索の検索結果に対応する第3の走行経路が存在しない場合は、危険場所での走行速度を落とした状態で第1の走行経路を走行することを決定する。
【0086】
これにより、情報処理装置100は、乗客が運転の危険性を感じる状況が発生した場所での走行速度を落とした状態で自動運転車が走行することを可能とするため、自動運転車の乗客が感じる危険性を軽減することができる。
【0087】
また、受付部133は、第2の乗客から第2の乗客によって選択された乗客タイプを示す情報を受け付ける。決定部134は、乗客タイプを示す情報に応じて、走行経路を決定する。
【0088】
これにより、情報処理装置100は、自動運転車が乗客タイプに応じた走行経路を走行することを可能とするため、自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【0089】
また、取得部131は、既に決定された第4の走行経路を走行中の第1の自動運転車の乗客である第1の乗客の生体情報を取得する。特定部132は、第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の危険場所に関する情報を特定する。決定部134は、第1の危険場所に関する情報に基づいて、既に決定された第5の走行経路を走行中の第2の自動運転車の走行経路を変更する。
【0090】
これにより、情報処理装置100は、乗客が運転の危険性を感じる状況が発生した場所をリアルタイムに回避して自動運転車が走行することを可能とするため、自動運転車の乗客にとってより快適な自動運転を実現することを可能とすることができる。
【0091】
また、特定部132は、第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の乗客が体調不良であるか否かを特定する。決定部134は、特定部132によって第1の乗客が体調不良であると特定された場合は、医療機関を目的地とする新たな走行経路を決定する。
【0092】
これにより、情報処理装置100は、乗客にとっての安全性を向上させることができる。
【0093】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100等の情報処理装置は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、実施形態に係る情報処理装置100を例に挙げて説明する。
図8は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0094】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0095】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0096】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0097】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0098】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0099】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0100】
〔7.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0101】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0102】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 情報処理システム
10 センサ装置
20 利用者装置
30 車載装置
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 生体情報記憶部
122 危険場所情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 特定部
133 受付部
134 決定部
135 提供部
【要約】
【課題】自動運転車の乗客にとって快適な自動運転を実現することを可能とする。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、自動運転車の第1の乗客の生体情報を取得する取得部と、第1の乗客の生体情報に基づいて、第1の乗客が自動運転車による運転の危険性を感じた場所である危険場所に関する情報を特定する特定部と、第2の乗客から自動運転車の利用予約に関する予約情報を受け付ける受付部と、危険場所に関する情報に基づいて、予約情報に関する出発地から目的地までの走行経路に関する経路情報を決定する決定部と、を備える。
【選択図】
図2