IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

<>
  • 特許-ディスクを固定する装置 図1
  • 特許-ディスクを固定する装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ディスクを固定する装置
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/20 20060101AFI20240328BHJP
   G04B 19/24 20060101ALI20240328BHJP
   G04B 19/14 20060101ALI20240328BHJP
   G04B 19/247 20060101ALI20240328BHJP
   G04G 9/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G04B19/20 M
G04B19/24 A
G04B19/14 F
G04B19/14 Q
G04B19/247 Z
G04G9/00 301Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022521102
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020081189
(87)【国際公開番号】W WO2021094197
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】19208899.5
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ムーシュ,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ラゴルゲット,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】バルメ,ラファエル
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-139759(JP,A)
【文献】特開2005-164262(JP,A)
【文献】実公昭36-3790(JP,Y1)
【文献】実開昭51-128579(JP,U)
【文献】米国特許第4150538(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G04G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計の少なくとも1つのムーブメント(220)上に、少なくとも1つの情報項目を表示するように構成された、腕時計の少なくとも1個の表示要素(210)を固定するためのスプリットリング(100)であって、該スプリットリング(100)は、前記少なくとも1個の表示要素(210)を前記少なくとも1つのムーブメント(220)に固定するために、変形するように構成されると共に、前記少なくとも1個の表示要素(210)に適合するように構成され、
肩部(101)又は溝(101)を含み、前記肩部(101)又は前記溝(101)は、前記表示要素(210)を表示方向において挟むように受容するように構成されたハウジング(102)を形成し、
少なくとも1つの剛性部分と少なくとも1つの変形部分(120)を含み、前記少なくとも1つの変形部分(120)を、前記少なくとも1つの剛性部分より容易に変形可能になるように構成し、
円弧及び/又はクリップ形を有し、
前記円弧及び/又は前記クリップ形を含む前記スプリットリング(100)には、前記少なくとも1個のスプリットリング(100)と同一平面上にある平面において、前記少なくとも1個のスプリットリング(100)の両端を互いに近づけられるように構成された切れ目(130)又は開口部(130)を有し、
前記変形部分(120)と、前記切れ目(130)又は前記開口部(130)とは、前記平面において対向して設けられる、
スプリットリング(100)。
【請求項2】
腕時計の少なくとも1個の表示要素(210)のための固定装置(200)であって、少なくとも1個の表示要素(210)、少なくとも1つのムーブメント(220)及び請求項に記載の少なくとも1個のスプリットリング(100)を含む固定装置(200)。
【請求項3】
請求項に記載の前記固定装置(200)を用いた腕時計の少なくとも1個の表示要素(210)のための固定方法(500)であって、該固定方法(500)は、
-前記少なくとも1個の表示要素(210)、前記少なくとも1つのムーブメント(220)及び前記少なくとも1個のスプリットリング(100)を提供するステップ(510)、
-前記少なくとも1個の表示要素(210)に適合させるように前記少なくとも1個のスプリットリング(100)を変形するステップ(520)、及び
-前記少なくとも1個のスプリットリング(100)を前記少なくとも1つのムーブメント(220)に固定するステップ(530)
の中少なくとも1つのステップを含む、固定方法(500)。
【請求項4】
前記少なくとも1個のスプリットリング(100)を変形するステップ(520)中、前記少なくとも1個の表示要素(210)を、前記肩部(101)の又は前記溝(101)の前記ハウジング(102)に収容する、請求項に記載の固定方法(500)。
【請求項5】
前記変形するステップ(520)中、前記少なくとも1個のスプリットリング(100)を、前記切れ目(130)の又は前記開口部(130)の両側で前記少なくとも1個のスプリットリング(100)の両端を互いに近づける際に、少なくとも1つの変形部分で変形する(520)、請求項に記載の固定方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、ディスク固定装置、特に日付ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
表示要素の中には、製造プロセスにおける固有の公差を有する貴重な材料で作製されるものがあり、それらはムーブメントに固定されるが、ムーブメントは、他のプロセスではプロセス独自の公差を有する他の材料で作製されている。
【0003】
そのため、2つの部品を組付け可能にするように調整が必要であり、この調整には、高い精度が求められ、時には、適当でない部品を廃棄することがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
よって、本発明は、腕時計の少なくとも1つのムーブメント上に、少なくとも1つの情報項目を表示するように構成された、腕時計の少なくとも1個の表示要素を固定するためのスプリットリングであって、上記少なくとも1個の表示要素を上記少なくとも1つのムーブメントに固定するために、変形するように構成されると共に、上記少なくとも1個の表示要素に適合するように構成される、スプリットリングによって、上述した欠点を完全に又は部分的に解消することを提案する。
【0005】
この構成により、部品、特に表示要素及びムーブメントを製造する方法中に生じ得る公差を、前記スプリットリングによって吸収できる。
【0006】
一実施形態によると、上記スプリットリングは、少なくとも1つの剛性部分と少なくとも1つの変形部分を含み、上記少なくとも1つの変形部分を、上記少なくとも1つの剛性部分より容易に変形可能になるように構成する。
【0007】
この構成により、上記スプリットリングは、上記少なくとも1個の表示要素の輪郭に適合できる。
【0008】
一実施形態によると、前記スプリットリングは、肩部又は溝を含み、上記肩部又は上記溝は、上記少なくとも1個の表示要素を受容するように構成されたハウジングを形成する。
【0009】
この構成により、上記少なくとも1個の表示要素を、上記スプリットリングによって収容及び/又は保持できる。
【0010】
一実施形態によると、上記スプリットリングは、円弧及び/又はクリップである。
【0011】
一実施形態によると、上記円弧及び/又は上記クリップには、上記少なくとも1個のスプリットリングと同一平面上にある平面において、上記少なくとも1個のスプリットリングの両端を互いに近づけられるように構成された切れ目又は開口部を有する。
【0012】
これら先の構成のどちらか一方により、前記スプリットリングを平面において変形できる。
【0013】
本発明は、腕時計の少なくとも1個の表示要素のための固定装置であって、少なくとも1個の表示要素、少なくとも1つのムーブメント及び請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の少なくとも1個のスプリットリングを含む固定装置に関する。
【0014】
この構成により、部品、特に表示要素及びムーブメントを製造する方法中に生じ得る公差を、上記スプリットリングによって吸収できる。
【0015】
本発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の上記固定装置を用いた腕時計の少なくとも1個の表示要素のための固定方法であって、該固定方法は、
-上記少なくとも1個の表示要素、上記少なくとも1つのムーブメント及び上記少なくとも1個のスプリットリングを提供するステップ、
-上記少なくとも1個の表示要素に適合させるように上記少なくとも1個のスプリットリングを変形するステップ、及び
-上記少なくとも1個のスプリットリングを上記少なくとも1つのムーブメントに固定するステップ
の中少なくとも1つのステップを含む、固定方法に関する。
【0016】
この構成により、部品、特に表示要素及びムーブメントを製造する方法中に生じ得る公差を、前記スプリットリングによって吸収できる。
【0017】
一実施形態によると、上記少なくとも1個のスプリットリングを変形するステップ中、上記少なくとも1個の表示要素を、上記肩部の又は上記溝の上記ハウジングに収容する。
【0018】
このステップにより、上記少なくとも1個の表示要素を、上記スプリットリングによって収容及び/又は保持できる。
【0019】
一実施形態によると、前記変形ステップ中、上記少なくとも1個のスプリットリングを、上記少なくとも1つの変形部分で変形する。
【0020】
この構成により、上記スプリットリングは、上記少なくとも1個の表示要素の輪郭に適合できる。
【0021】
上述した実施形態及び変形例は、個別に、又は如何なる技術的に可能な組み合わせに従い行うことができる。
【0022】
本発明は、非限定的な実施例としてのみ提示され、添付図を参照して行われる以下の説明に照らして、よく理解され、本発明の利点も明らかになるであろう。添付図において、同じ参照番号は、構造上及び/又は機能上同じ又は同様の要素に該当する。
【0023】
本発明について、以下では、非限定的な実施例として提示される添付図を使用して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態による固定装置200の断面図を表す。
図2】上記固定装置200を形成するようにスプリットリング100を固定する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
特定の計時器を製造中に、特定の公差が生じる可能性があり、これは、特に表示要素、例えば月又は他のカレンダ、及びムーブメントの場合である。
【0026】
このために、後述する固定方法500により、少なくとも1つのムーブメント220上に少なくとも1個の表示要素210を組付け可能にする少なくとも1個のスプリットリング100を提供する。
【0027】
これを行うために、上記少なくとも1個の表示要素210、上記少なくとも1つのムーブメント220、及び上記少なくとも1個のスプリットリング100を有する必要があり、これらを、事前に提供しておく(510)。
【0028】
日付ディスク210、即ち上記表示要素210を、上記少なくとも1個のスプリットリング100に、上記少なくとも1個の表示要素210に適合させるように上記少なくとも1個のスプリットリング100を変形させること(520)によって、挿入する。
【0029】
実際に、上記スプリットリング100は、少なくとも1つの剛性部分110と少なくとも1つの変形部分120を含み、それにより、上記少なくとも1個の表示要素210の輪郭に適合するために上記少なくとも1つの変形部分120が、上記少なくとも1つの剛性部分110より容易に変形可能になる。
【0030】
加えて、上記少なくとも1個のスプリットリング100は、円弧及び/又はクリップの形をしている、又は有する。この円弧及び/又はクリップ形には、切れ目130又は開口部130があり、それにより、上記少なくとも1個のスプリットリング100の両端を互いに近づけることによって、平面において変形可能になるが、この平面は、この変形520が、上記少なくとも1個のスプリットリング100の上記少なくとも1つの変形部分120に位置するため、上記少なくとも1個のスプリットリング100と同一平面上にあるのが好ましい。従って、開口部の両側で両端部を近づけることによって、上記少なくとも1つの変形部分120を変形させ、上記少なくとも1個のスプリットリング100を、一方で、フレームの挿入を容易にするために、他方で、腕時計ケース内でのフレームの設置を容易するために、同一平面上で変形させる。
【0031】
これは極めて有利である、というのも上記スプリットリング100が、上記少なくとも1個の表示要素210を受容するようにハウジング102を形成する肩部101又は溝101を含んでおり、そのために平面上でのこの変形により、上記少なくとも1個の表示要素210を上記スプリットリング100に挿入又は収容可能になるからである。
【0032】
次に、部品、特に表示要素210やムーブメント220を製造する方法中に生じ得る公差をなくすように、上記少なくとも1個の表示要素210、上記少なくとも1つのムーブメント220及び上記少なくとも1個のスプリットリング100を含む固定装置200を形成するために、上記少なくとも1個の表示要素210を付けた上記少なくとも1個のスプリットリング100を、上記少なくとも1つのムーブメント220に、ネジ106、及び該当する場合はネジ足(screw feet)107によって、固定する(530)。
【0033】
上記少なくとも1個のスプリットリング100は不正確である可能性がある、より厳密には、上記肩部101又は上記溝101を含む上記少なくとも1個のスプリットリング100の輪郭は、上記少なくとも1個の表示要素210の直径に対してより大きな公差を有する可能性がある点も加えておくべきである。この公差は、上記少なくとも1個のスプリットリング100の上記切れ目130又は上記開口部130によるもの、及び上記少なくとも1個のスプリットリング100を構成するプラスチック材料の公差によるものであり、必然的に、上記少なくとも1個のスプリットリング100を上記少なくとも1つのムーブメント220に固定することによって、上記固定装置200が形成され、上記少なくとも1個のスプリットリング100と上記少なくとも1個の表示要素210を含む組立体は、より正確なものになる。
図1
図2