(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】バッテリパックのための補強キャリアデバイスおよび補強バッテリパックの組立てのためのプロセス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20240328BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240328BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240328BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240328BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240328BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240328BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240328BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240328BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/249
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/271 B
H01M50/289 101
H01M10/6554
(21)【出願番号】P 2022538942
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 IB2019061326
(87)【国際公開番号】W WO2021130522
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ニコラ
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019203(JP,A)
【文献】特開2011-124101(JP,A)
【文献】特開2019-096385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0070651(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109565011(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109501570(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 10/60-667
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気またはハイブリッド車両のバッテリパックのための補強キャリアデバイス(1、1’)であって、少なくとも:
- バッテリパックの複数のバッテリモジュールを受容するように提供された、少なくとも1つの側壁(3、4、5、6、6’)と基壁(7)とを備える、キャリアデバイス(60)、
- 少なくとも側壁の一部に沿って延び、少なくとも部分的に互いに面し、前記側壁(3、4、5、6、6’)の反対側の面にそれぞれ固定され、次いで補強構成(9、10、11、12、13a、13b)を形成する、少なくとも内部補強片(14、15、16、17、18a、18b)と外部補強片(19、20、21、22、23a、23b)とを備える、前記側壁(3、4、5、6、6’)の補強構造(8)、
を備え、補強構成(9、10、11、12、13a、13b)は、
・ キャリアデバイス(2、2’)の側壁(3、4、5、6、6’)によってその両方が横断され、各々が内部補強片(14、15、16、17、18a、18b)の内部補強中空セクション(26、27)および外部補強片(19、20、21、22、23a、23b)の外部補強中空セクション(28、29)で作られ、両方の補強中空セクションは少なくとも部分的に互いに面している、少なくとも2つの隣接する補強中空部分(24、25)と、
・ 隣接する補強中空部分(24、25)の間に位置し、側壁(3-6、6’)に固定され、内部補強片(14-17、18a、18b)の内部補強締結セクション(31)および外部補強片(19-22、23a、23b)の外部補強締結セクション(32)で作られ、両方の補強締結セクション(31、32)が少なくとも部分的に互いに面している、縦方向補強締結部分(30)と
を備える、補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項2】
補強構造(8)の各補強片(14-23b)が、少なくとも側壁(3-6、6’)に固定される2つの反対側の縦方向末端(33、34)を備える、請求項1に記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項3】
キャリアデバイス(2)が、縦方向軸Xに関して延びる一般的な長方形形状を有するタブであって、フレームを形成する、2つの縦方向側壁(3、4)と、2つの横方向側壁(5、6、6’)とを備える、請求項1または請求項2に記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項4】
補強構造(8)が、タブ(2、2’)の2つの縦方向側壁(3、4)にそれぞれ固定された、少なくとも2つの縦方向補強構成(9、10)を備える、請求項3に記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項5】
補強構造(8)が、タブ(2、2’)の2つの横方向側壁(5、6、6’)にそれぞれ固定された、少なくとも2つの横方向補強構成(11、12、13a、13b)を備える、請求項4に記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項6】
横方向側壁(5)の1つにおいて、および関係する補強構成(11)の補強締結部分(30)においての両方で扱われる貫通穴(35)を備える、請求項5に記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項7】
キャリアデバイス(2、2’)の側壁(3、4、5、6、6’)が、基壁(7)に対してドラフト角(α)に従って傾斜され
、前記基壁(7)に垂直に延びる2つの平行面(P1、P2)によって画定されたロケーションスペースに含まれ、関係する補強構成(9-12、13a、13b)の補強中空部分(24、25)も前記ロケーションスペース(36)に含まれる、請求項1から6のいずれかに記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項8】
内部および外部補強片(14-23b)が、1500MPa
超の引張り強度を有する鋼で作られる、請求項1から7のいずれかに記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項9】
キャリアデバイス(2、2’)に挿入されたメッシュ(37)を備え、複数のハウジングメンバ(40)を形成する複数のハウジングクロスメンバ(38、39)を備え、内部補強片(14、15、16、17、18b)が少なくとも1つのハウジングクロスメンバ(38、39)の自由端に固定される、請求項1から8のいずれかに記載の補強キャリアデバイス(1、1’)。
【請求項10】
請求項9に記載の、2つの横方向側壁(5、6)、2つの縦方向側壁(3、4)、および前記側壁(3-6)を保護する少なくとも4つの補強構成(9-12)を備える補強キャリアデバイス(1、1’)の組立てのためのプロセスであって、少なくとも以下のステップ:
- (i)補強構成(9-12)の内部補強片(14-17)をメッシュ(37)のハウジングクロスメンバ(38、39)の自由端に固定することによって、第1の組立て品を提供することと、
- (ii)補強構成(9-12)の外部補強片(19-22)をキャリアデバイス(2)の側壁(3-6)の外面に固定することによって、第2の組立て品を提供することと、
- (iii)第2の組立て品のキャリアデバイス(2)に第1の組立て品を挿入し、内部補強片(14-17)を前記キャリアデバイス(2)の側壁(3-6)の内面に固定することと
を含む、プロセス。
【請求項11】
(iv)冷却デバイス(41)が第2の組立て品のキャリアデバイス(2)の基壁(7)の外面に固定される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
複数のバッテリモジュールを備える、電気またはハイブリッド車両(60)のための補強バッテリパック(42)であって、少なくとも:
- バッテリパック中への侵入を回避するように提供された、シールド要素と名付けられた下部保護要素(43)と、
- シールド要素(23)の上にあり、バッテリモジュールを収容する、請求項1から9のいずれかに記載の補強キャリアデバイス(1、1’)と、
- 補強キャリアデバイス(1、1’)に固定されたトップカバー(44)と
をさらに備える、補強バッテリパック。
【請求項13】
少なくとも:
- シールド要素(43)の上にあり、バッテリモジュールを冷却するために提供された冷却手段(41)であって、補強キャリアデバイス(1、1’)が冷却手段(41)の上にある、冷却手段と、
- 補強キャリアデバイス(1、1’)に挿入され、前記補強キャリアデバイス(1、1’)に固定され、複数のハウジングメンバ(40)を形成する複数のハウジングクロスメンバ(38、39)を備える、メッシュ(37)であって、各バッテリモジュールが関係するハウジングメンバ(40)に収容される、メッシュ(37)と
をさらに備える、請求項12に記載の補強バッテリパック(42)。
【請求項14】
トップカバー(44)が、キャリアデバイス(2、2’)のフランジ(45)に固定される、請求項12または請求項13に記載の補強バッテリパック(42)。
【請求項15】
シールド要素(43)と冷却手段(41)の間に位置する、規則的に離隔された耐侵入クロスメンバ(46)を備える、請求項12から14のいずれかに記載の補強バッテリパック(42)。
【請求項16】
シールド要素(43)が、1800MPa超の引張り強度を有する鋼で作られる、請求項12から15のいずれかに記載の補強バッテリパック(42)。
【請求項17】
少なくとも以下のステップ:
- (i)耐侵入クロスメンバ(46)をシールド要素(43)に固定することにより第1の組立て品を提供すること、
- (ii)第2の組立て品を提供することであって、
・ 請求項9の補強キャリアデバイス(1、1’)を冷却デバイス(41)の上に配置して、次いで前記補強キャリアデバイス(1、1’)を前記冷却デバイス(41)に固定し、
・ メッシュ(37)の隣接するハウジングクロスメンバ間のハウジング(40)の内側にバッテリモジュールを提供することによって、第2の組立て品を提供すること、
- (iii)第2
の組立て品を第1の組立て品に固定することによって最終組立て品を提供すること、
- (iv)トップカバー(44)を提供し、それを補強キャリアデバイス(1、1’)に固定すること
を含む、請求項13から16のいずれかに記載の補強バッテリパック(42)の組立てのためのプロセス。
【請求項18】
ステップ(iv)が、トップカバー(44)を提供し、それを請求項13に記載のキャリアデバイス(2、2’)のフランジ(45)に固定することによって実施される、請求項17に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車産業における保護および補強要素に関し、より具体的には電気またはハイブリッド車両のバッテリパックの保護に関する。
【背景技術】
【0002】
電気またはハイブリッド車両は、少なくとも1つの重くてかさばるバッテリパックを組み込まなくてはならない。このバッテリパックは、複数のバッテリモジュールで作られ、各モジュールはバッテリセルを収納している。前記バッテリモジュールは、自動車事故の間に起こり得る物理的侵入に対して、および組立て中にバッテリパックを関係する車両に移動させる間の機械的衝撃に対しての両方に大変うまく保護されなくてはならない。
【0003】
米国特許出願第13/940735号から、板底と、底の周縁から上方に曲げられる壁とを備える、トレイまたはタブに挿入された複数のモジュールを備えるバッテリパックを設計することが知られている。壁は、より良いモジュール保護のために内部フレームと外部フレームとによって補強される。
【0004】
しかしながら、トレイのドラフト角は、トレイにバッテリモジュールを挿入するときのスペースの最適化において問題であるロストゾーンを形成する。加えて、タブに固定された内部および外部フレームの構造は、モジュールにとって問題となり得る機械的振動を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の狙いは、バッテリパックのバッテリモジュール構成を最適化しながら、前記パックのバッテリモジュールを、効率的に保護する道を提供することによって、従来技術の欠点を是正することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の第1の目的は、電気またはハイブリッド車両のバッテリパックのための補強キャリアデバイスであって、少なくとも:
- バッテリパックの複数のバッテリモジュールを受容するように提供された少なくとも1つの側壁と基壁とを備える、キャリアデバイス、
- 少なくとも側壁の一部に沿って延び、少なくとも部分的に互いに面し、前記側壁の反対面にそれぞれ固定されて、補強構成を形成する、少なくとも内部補強片と外部補強片とを備える、前記側壁の補強構造、
を備え、補強構成は:
・キャリアデバイスの側壁によって両方が横断され、それぞれが内部補強片の内部補強中空セクションおよび外部補強片の外部補強中空セクションで作られ、両方の補強中空セクションは少なくとも部分的に互いに面している、少なくとも2つの隣接する補強中空部分と、
・隣接する補強中空部分の間に位置し、側壁に固定され、内部補強片の内部補強締結セクションおよび外部補強片の外部補強締結セクションで作られ、両方の補強締結セクションが少なくとも部分的に互いに面している、縦方向補強締結部分と
を備える、補強キャリアデバイスからなる。
【0008】
本発明による補強キャリアデバイスは、個別にまたは組合せて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- 補強構造の各補強片が、少なくとも側壁に固定される、2つの反対側の縦方向の末端を備える。
- キャリアデバイスが、縦方向軸Xに関して延びる、全体的な長方形形状を有するタブであって、フレームを形成する、2つの縦方向側壁と、2つの横方向側壁とを備える。
- 補強構造が、タブの2つの縦方向側壁にそれぞれ固定された、少なくとも2つの縦方向補強構成を備える。
- 補強構造が、タブの2つの横方向側壁にそれぞれ固定された、少なくとも2つの横方向補強構成を備える。
- 補強キャリアデバイスが、横方向側壁の1つおよび関係する補強構成の補強締結部分の両方において扱われる貫通穴を備える。
- キャリアデバイスの側壁が、基壁に対してドラフト角(α)に従って傾斜され、両方とも前記基壁に垂直に延びる2つの平行面によって画定されたロケーションスペース(location space)に含まれ、関係する補強構成の補強中空部分も前記ロケーションスペースに含まれる。
- 内部および外部補強片が、1500MPa超、好ましくは1700MPa超の引張り強度を有する鋼で作られる。
- 補強キャリアデバイスが、キャリアデバイスに挿入され、複数のハウジングメンバを形成する複数のハウジングクロスメンバを備えるメッシュを備え、内部補強片が少なくとも1つのハウジングクロスメンバの自由端に固定される。
を有してもよい。
【0009】
本発明の第2の目的は、上述した補強キャリアデバイスの組立てのためのプロセスからなり、2つの横方向側壁、2つの縦方向側壁、および前記側壁を保護する少なくとも4つの補強構成を備え、プロセスは、少なくとも以下のステップ:
- (i)補強構成の内部補強片をメッシュのハウジングクロスメンバの自由端に固定することによって、第1の組立て品を提供することと、
- (ii)補強構成の外部補強片をキャリアデバイスの側壁の外面に固定することによって、第2の組立て品を提供することと、
- (iii)第1の組立て品を第2の組立て品のキャリアデバイスに挿入し、内部補強片を前記キャリアデバイスの側壁の内面に固定することと
を含む。
【0010】
本発明による補強キャリアデバイスの組立てのためのプロセスは、個別にまたは組み合わせて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- 冷却デバイスが、第2の組立て品のキャリアデバイスの基壁の外面に固定される
を有してもよい。
【0011】
本発明の第3の目的は、複数のバッテリモジュールを備え、少なくとも以下:
- バッテリパックの中への侵入を回避するように提供された、シールド要素と名付けられた下部保護要素と、
- シールド要素の上にあり、バッテリモジュールを収容する、上述した補強キャリアデバイスと、
- 補強キャリアデバイスに固定されたトップカバーと
をさらに備える、電気またはハイブリッド車両のための補強バッテリパックからなる。
【0012】
本発明による補強バッテリパックは、個別にまたは組合せて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- 補強バッテリパックが:
・シール要素の上にあり、バッテリモジュールを冷却するために提供された冷却手段であって、補強キャリアデバイスが冷却手段の上にある、冷却手段と、
・補強キャリアデバイスに挿入され、前記補強キャリアデバイスに固定され、複数のハウジングメンバを形成する複数のハウジングクロスメンバを備えるメッシュであって、各バッテリモジュールが関係するハウジングメンバに収容されている、メッシュとをさらに備える。
- カバーが、キャリアデバイスのフランジに固定される。
- 補強バッテリパックが、シールド要素と冷却手段の間に位置する、規則的に離隔された耐侵入クロスメンバを備える。
- シールド要素が、1800MPa超の引張り強度を有する鋼で作られる。
を有してもよい。
【0013】
本発明の第4の目的は、少なくとも以下のステップ:
- (i)耐侵入クロスメンバ(46)をシールド要素に固定することにより第1の組立て品を提供すること、
- (ii)第2の組立て品を提供することであって、
・上記した補強キャリアデバイスを冷却デバイスの上に配置し、次いで前記補強キャリアデバイスを前記冷却デバイスに固定すること、
・メッシュの隣接するハウジングクロスメンバ間のハウジングの内側にバッテリモジュールを提供すること
によって第2の組立て品を提供すること、
- (iii)第2の組立て品を第1の組立て品に固定することによって最終組立て品を提供すること、
- (iv)トップカバーを提供し、それを補強キャリアデバイスに固定すること
を含む、上記した補強バッテリパックの組立てのためのプロセスからなる。
【0014】
本発明による補強バッテリパックの組立てのためのプロセスは、個別にまたは組合せて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- ステップ(iv)は、トップカバーを提供し、それをキャリアデバイスのフランジに固定することよって実施される。
を有してもよい。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の説明においてより詳細に記載される。
【0016】
本発明は、以下の図を参照して、純粋に説明の目的で提供され、けっして限定的であることを意図していない以下の記載を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による補強バッテリパックを備える車両のボディの斜視図を表す。
【
図2】本発明の第1の実施形態による、補強キャリアデバイスの矢印Iに従う部分の横断面図を表す。
【
図3】
図2の補強キャリアデバイスの矢印IIに従う縦断面図を表す。
【
図4】
図2の補強キャリアデバイスの分解図である。
【
図5】本発明の補強キャリアデバイスの第2の実施形態の平面図である。
【
図6】ハイブリッドまたは電気車両のフロアに固定された、本発明の補強キャリアデバイスの一部の横断面図である。
【
図7】車両のフロアへの補強バッテリパックの固定手段を示す、
図6の詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
なお、本出願で使用される用語「低」、「高」、「上」、「下」、「最低」、「最高」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」という用語は、地面に垂直に配置されるときの補強キャリアデバイスのバッテリパックのおよび車両の異なる部分の位置および向きを指す。さらに、「前」、「前方」、「後」、「背後」、「後方」という用語は、車両の通常の運転方向に従って定義される。「実質的に垂直」という用語は、90°±15°の角度を規定し、「実質的に平行」という用語は、0°±15°の角度を規定する。
【0019】
図1から4によれば、本発明の補強キャリアデバイスが、第1の実施形態においてここに記載される。
【0020】
本発明の補強キャリアデバイス1,1’は、機械的衝撃および物理的侵入から、ハイブリッドまたは電気車両60のバッテリパックのバッテリモジュールを収容し保護するように設計される。補強キャリアデバイス1、1’は、よって、以下で議論されるように、
図6および6において一部が図示される、補強バッテリパック42の一部である。
【0021】
バッテリパックは、電気またはハイブリッド車両の良く知られたコンポーネントであり、タブとも名付けられたキャリアデバイス2、2’の上にある複数のモジュールを本質的に備え、前記キャリアデバイスは、シールド要素43(
図6および7に図示されている)とさらに名付けられた保護要素の上にある。加えて、冷却デバイス41が、キャリアデバイス2、2’とシールド要素43の間に挿入され、キャリアデバイス2、2’の基壁7の外面に固定される。
【0022】
特定の実施形態において、このシールド要素43は、重量で0.15%から0.5%の間の炭素を含む、完全マルテンサイト系鋼で作られる。このマルテンサイト系鋼は、1800MPa超の引張り強度を有し、シールド要素に、バッテリパックを通る物理的侵入に対して特に耐久性を与えている。
【0023】
補強キャリアデバイス1、1’は、通常タブと名付けられ、バッテリパックの複数のバッテリモジュールを受容するように提供されたキャリアデバイス2、2’を備える。キャリアデバイス2、2’は、その上にバッテリモジュールがあり得る基壁7と、少なくともバッテリモジュールを包囲するフレームを形成するいくつかの側壁3-6、6’とを備える。キャリアデバイス2、2’は、好ましくは一般的な長方形形状を有し、縦方向軸Xに関して延び、2つの縦方向側壁3、4と2つの横方向側壁5、6、6’とを備える。しかしながら、下で説明されるように、この一般的な形状は、
図5に図示されているように、異なってもよい。
【0024】
キャリアデバイス2、2’は、鋼で作られ、スタンピング工程を容易にするために、鋼ブランク、好ましくは1000MPa未満の引張り強度を有する鋼ブランクをスタンピングすることによって製造される。キャリアデバイス2、2’の形状の故に、およびスタンピング工程後のキャリアデバイス2、2’のデモールディングを可能にするために、キャリアデバイス2、2’の各側壁3-6、6’は、ドラフト角αに従って、基壁7に対して傾斜される。キャリアデバイス2、2’の各側壁3-6、6’はよって、前記ドラフト角αに従って基壁7に対して傾斜され、両方とも前記基壁7に垂直に延びる2つの平行面P1、P2によって画定されるスペース36に含まれる。以下では、このスペース36は、ロケーションスペースと名付けられる。
【0025】
図2は、
図5における矢印Iに従う縦方向側壁3を図示しており、
図3は、
図5における矢印IIに従う横方向側壁5を図示している。
図2および3に図示されるように、キャリアデバイス2の各側壁3、5は、直線中央部分58、基壁7に固定された湾曲端部分47、および自由端部分45を備える。明細書においてさらに説明されるように、側壁3-6の自由端部分45は、基壁7に平行なフランジ45を形成する。
【0026】
図2-4によると、補強キャリアデバイス1は、また、キャリアデバイス2の側壁3-6の少なくとも1つの補強構造8を備える。この補強構造8は、側壁3-6の少なくとも一部に沿って延びる、少なくとも内部補強片14-17と、外部補強片19-22とを備える。内部および外部補強片14-17;19-22は、少なくとも関係する側壁3-6の反対面にそれぞれ固定され、少なくとも部分的に互いに面しており、好ましくは、
図2および3に図示されるように互いに面している。
【0027】
以下において、関係する側壁3-6の反対面にそれぞれ固定され、少なくとも部分的に互いに面する、一組の内部および外部補強片14-17;19-22は、補強構成9-12と名付けられ、前記補強構造8はいくつかの補強構成9-12を備えるので、よって補強構造8の一部である。
【0028】
図2は、
図5における矢印Iに従って縦方向補強構成9を図示しており、
図3は、
図5における矢印IIに従って横方向補強構成11を図示している。各補強構成9、11は、2つの隣接する補強中空部分24、25を備え、両方が関係する側壁3、5によって横断される。加えて、各補強中空部分24、25は、関係する内部補強片14、16の内部補強中空セクション26、27と、関係する外部補強片19、21の外部補強中空セクション28、29とで作られ、両方の補強中空セクション26、28;25、29は少なくとも部分的に互いに面しており、好ましくは、
図2および3に図示されるように、全体的に互いに面している。この特有の構成により、2つの中空部分24、25は、1つまたはいくつかの側壁3、5に対するいかなる衝撃も吸収するように提供され、キャリアデバイス2の変形を回避する。
【0029】
各補強構成9、11はまた、補強中空部分24、25間に位置し、関係する側壁3、5に固定される、補強締結部分30も備える。この補強締結部分30は、内部補強片14、16の内部補強締結セクション31と、外部補強片14、16の外部補強締結セクション32とで作られ、両方の補強締結セクション31、32は、関係する側壁3、5に溶接される。加えて、両方の補強締結セクション31、32は、
図2および3に図示されるように、少なくとも部分的に互いに面しており、好ましくは全体的に互いに面している。この特有の構成により、2つの中空部分24、25の体積が減少されて、バッテリパックのモジュールを通した機械的伝播を制限する。言い換えると、補強締結部分30は、バッテリモジュールによって経験される機械的振動を減少させる。
【0030】
特定の実施形態において、縦方向側壁を補強する補強片14、15;19;20は、高強度鋼をロール成形することによって有利に製造される。ロール成形は、高強度鋼を成形する、非常に生産性が高く、経済的な方法である。この技術の適用は、補強片14、15;19;20が連続的なセクションを有することにより可能にされる。内部補強片14、15のセクションは同一にすることができるので、同じロール成形ツールを、これらの補強片の両方に対して使用することができ、生産ツールをさらに合理化し、製造コストを下げる。同様に、外部補強片19、20を、同じ生産ツールを使用して作ることができる。
【0031】
後ほど詳細に述べる特定の実施形態において、横方向側壁を補強する補強片16、18;21、23は、電気ソケットの存在のために、バッテリパックの少なくとも前部、または後部において、不連続セクションを有する。この場合、前記補強片をロール成形することは可能でない。冷間スタンピングまたは熱間スタンピングを、前記補強片に対して使用することができる。高強度鋼の必要性および比較的複雑な補強片の形状のために、高強度高成形性鋼が、有利に適用され、その例が下に与えられる。
【0032】
例として、内部および外部補強片14、15;19、20は、1500MPa超の引張り強度を有する完全マルテンサイト系鋼を使用してロール成形される。この鋼の組成は、例えば、重量パーセントで次のとおりである:
【0033】
【0034】
別の実施形態において、内部および外部補強片14、15;19、20は、1700MPa超の引張り強度を有する、より硬いマルテンサイト系鋼を使用してロール成形される。この鋼の組成は、重量パーセントで次のとおりである:
【0035】
【0036】
例として、補強片16、18;21、23は、重量%で、0.13%<C<0.25%、2.0%<Mn<3.0%、1.2%<Si<2.5%、0.02%<AI<1.0%を含み、1.22%<Si+AI<1.22%、Nb<0.05%、Cr<0.5%、Mo<0.5%、Ti<0.05%を有し、残部はFeおよび不可避的不純物である化学組成を有し、8%から15%までの残留オーステナイトを含み、残部はフェライト、マルテンサイトおよびベイナイトであって、マルテンサイトとベイナイトの割合の合計が70%から92%の間である微細構造を有する材料を冷間スタンピングすることによって作られる。
【0037】
例として、補強片16、18;21、23は、重量%で、0.15%<C<0.25%、1.4%<Mn<2.6%、0.6%<Si<1.5%、0.02%<AI<1.0%を含み、1.0%<Si+AI<2.4%、Nb<0.05%、Cr<0.5%、Mo<0.5%を有し、残部がFeおよび不可避的不純物である化学組成を有し、10%から20%の間の残留オーステナイトを含み、残部がフェライト、マルテンサイトおよびベイナイトである微細構造を有する材料を冷間スタンピングすることによって作られる。
【0038】
上の例で引用された鋼等級は、補強片14-23が、キャリアデバイス2、2’の相対的な延性にもかかわらず、キャリアデバイス2、2’のいかなる変形に対しても、またはバッテリモジュールを通したいかなる物理的侵入に対しても保護を提供するように、高強度を有する。
【0039】
第1の変形形態における補強キャリアデバイス2は、それぞれが長方形キャリアデバイス2の2つの縦方向側壁3、4に固定された縦方向補強構成9、10を備える。
図3は、1つの縦方向側壁3に固定された1つの縦方向構成9を図示している。
【0040】
各縦方向構成9の外部補強片19は、キャリアデバイス2の対応する側壁3の外面に、より正確には、前記側壁3のフランジ45の直ぐ下に溶接された第1の端部分54を備える。外部片19はまた、キャリアデバイス2の基壁7の外面に溶接された反対側の端部分55と、一般的な台形形状を有する2つの隣接する中空セクション28、29とを備える。
【0041】
各構成9の内部補強片14は、外部補強片19の第1の端部分54に面する、キャリアデバイス2の対応する側壁3の内面に溶接された第1の端部分33を備える。内部片14はまた、キャリアデバイス2の基壁7の内面に溶接された反対側の端部分34と、外部補強片19の2つの中空部分28、29にそれぞれ面する一般的な台形形状を有する2つの隣接する中空セクション26、27とを備える。外部補強片19はまた、キャリアデバイス2の基壁7の外面に溶接された反対側の端部分55を備える。
【0042】
有利な方法において、縦方向補強構成9の補強中空部分24、25は、ロケーションスペース36に含まれる。補強中空部分24、25のこの特有の配置により、バッテリモジュールの収容のために許容される合計スペースは、完全に最適化される。
【0043】
補強キャリアデバイス1の補強構造8はまた、長方形キャリアデバイス2の2つの横方向側壁5、6にそれぞれ固定された2つの横方向補強構成11、12を備えてもよい。
図3は、1つの横方向側壁5に固定された1つの横方向構成11を図示している。
【0044】
これらの追加の補強構成11の内部および外部補強片16、21の構造および構成は、以下の特徴を除いて、
図2と関係して上記したものにまったく類似している。
【0045】
ハイブリッド車両60の電気モータを、バッテリパックのバッテリモジュールに接続するために、少なくとも電気配線(図示せず)は、キャリアデバイス2および関係する補強構成11の両方を通過できなくてはならない。
【0046】
補強キャリアデバイス1はよって、1つの横方向側壁5において、および関係する補強構成11の補強締結部分30においての両方で扱われる貫通穴35を備える。電気ソケット48はよって、このように穴35を通して挿入され、前記ソケット48は、バッテリモジュールに永久的に接続され、少なくとも電気配線を介して電気モータに接続されるように構成される。貫通穴35の水密性を確保するために、前記ソケット48の外側部は、有利には、例えば、当業者にはよく知られている、ゴムまたは適合ポリマーなどの水密性を確保する材料で作られる。
【0047】
有利には、また
図4に図示されるように、本発明の補強キャリアデバイス1は、キャリアデバイス2に挿入されたメッシュ37を備えてもよい。このメッシュ37は、キャリアデバイス2の基壁7の上にあり、縦方向メンバ38と、前記縦方向メンバに固定された複数のハウジングクロスメンバ39とを備える。ハウジングクロスメンバ39は、少なくともバッテリモジュールを収容するように各々が提供された複数の規則的にディスパッチされたハウジングメンバ40を形成する。
【0048】
キャリアデバイス2の横方向側壁5、6に溶接された2つの内部補強片16、17はまた、メッシュ37の縦方向メンバ38の2つの反対側の端部にそれぞれ固定される。加えて、キャリアデバイス2の縦方向側壁3、4に溶接された2つの他の内部補強片14、15は、メッシュ37のハウジングクロスメンバ39の自由端に溶接される。有利には、メッシュ37の縦方向メンバ38は、キャリアデバイス2の縦方向補強メンバである。
【0049】
補強キャリアデバイス1の組立てのためのプロセスが、ここで
図4に関して記載されることになる。
【0050】
第1のステップにおいて、補強構造の内部補強片16、17を、ハウジングクロスメンバ39およびメッシュ37の縦方向メンバ38の両方の自由端に溶接することによって、第1の組立て品が提供される。
【0051】
第2のステップにおいて、補強構造の外部補強片14、15をキャリアデバイス2の関係する側壁3、4の外面に溶接することによって、第2の組立て品が提供される。この第2のステップの間に、任意選択で、冷却デバイス41が、キャリアデバイス2の基壁7の外面に固定されてもよい。
【0052】
第3および最後のステップにおいて、基壁7の上に載せるために、第1の組立て品がキャリアデバイス2に挿入され、次いで内部補強片16、17が、キャリアデバイス2の関係する側壁5、6の内面に溶接される。
【0053】
図5に図示されるように、補強キャリアデバイス1’の第2の実施形態が、ここで記載される。
【0054】
図2から4に図示される補強キャリアデバイス1の第2の実施形態と第1の実施形態の間の違いは、キャリアデバイス1’の形状である:2つの隣接する隅部56、57は、横方向側壁6’の1つがもはや直線でなく、弯曲されるように、面取りされる。弯曲した側壁6’を補強するために、少なくとも1つ、好ましくは2つの弯曲補強構成13a、13bが提供される。関係する弯曲側壁6’の形状に追従するために、関係する構成13a、13bの各補強片18a、18b、23a、23bがまた、弯曲される。
【0055】
2つの隣接する弯曲補強構成13a、13bは、それぞれ、2つの第1の端によって互いに溶接される2つの内部補強片18a、18bを備える。加えて、内部補強片18bの1つの第1の端は、メッシュ37の縦方向メンバ38に固定される。前記内部片18a、18bの2つの反対端は、それぞれ、2つの補強構成9、10の内部補強片14、15の第1の端に固定され、キャリアデバイス2’の縦方向側壁3、4を補強している。
【0056】
2つの隣接する弯曲補強構成13a、13bは、それぞれ、2つの第1の端によって互いに溶接される2つの外部補強片23a、23bを備える。前記外部片23a、23bの2つの反対端は、それぞれ、2つの補強構成9、10の外部補強片19、20の第1の端に固定され、キャリアデバイス2’の縦方向側壁3、4を強化している。
【0057】
最終的に、補強構成9、10の内部片および外部片14、15;19、20の反対端は、それぞれ、補強構成11の内部片16および外部片21の両方の反対端に溶接される。
【0058】
本発明により、
図6に図示されているように、本発明の補強キャリアデバイス1は、知られているバッテリパックの一部とし、次いで補強バッテリパック42を形成してもよい。補強バッテリパック42は、補強キャリアデバイス1のそれよりも、同じ縦方向軸Xに関して延びている。
【0059】
補強バッテリパックは:
・上記したシールド要素43;
・シールド要素43の上にあり、バッテリモジュールを冷却するように提供された、上記した冷却手段41。例として、冷却手段41は、互いに固定されたクラッディング要素と名付けられた2つの熱伝導要素と、2つのクラッディング要素の間に挿入された冷却システム(図示せず)とを備える;
・シールド要素43に固定され、前記シールド要素43と冷却手段41の間に位置する、規則的に離隔された耐侵入クロスメンバ46;
・冷却手段41の上にあり、それに固定された、本発明の補強キャリアデバイス1;
・上記し、補強キャリアデバイス1に挿入されたメッシュ37。好ましくは、メッシュ37の横方向ハウジングクロスメンバ39が、車両60の底から来る侵入の場合に、前記耐侵入クロスメンバ46と、横方向ハウジングクロスメンバ39とが協働して最適な抵抗を提供するように、耐侵入クロスメンバ46と整列される。
・複数のバッテリモジュール。各バッテリモジュールは、関係するハウジングメンバ40に収容され、冷却手段41に面している。
を備える。
【0060】
最後に、補強バッテリパック42は、補強キャリアデバイス1のフランジ45に固定される、トップカバー44とも名付けられたトッププレートを備える。別の好ましい実施形態においては、トップカバー44は、メッシュ37の少なくとも1つのハウジングクロスメンバ39にボルト留めすることによって、補強キャリアデバイス1に固定されてもよい。この最後の実施形態において、バッテリモジュールまたはその他の要素の保守が必要な場合には、トップカバー44を取り外すことが可能である。
【0061】
本発明に従って、補強バッテリパック42を組み立てるためのプロセスがここで記載される。
【0062】
第1のステップにおいて、耐侵入クロスメンバ46をシールド要素43に固定することによって、第1の組立て品が提供される。
【0063】
第2のステップにおいて、第2の組立て品が、以下のサブステップに従って提供される:
- 補強キャリアデバイス1を冷却デバイス41の上に提供し、次いで前記補強キャリアデバイス1を前記冷却デバイス41に固定すること、および
- キャリアデバイス2に固定されたメッシュ37のハウジング40内側にバッテリモジュールを提供すること。
【0064】
第3のステップにおいて、最終組立て品を提供するために、第1の組立て品は、第2の組立て品に固定される。より正確には、耐侵入クロスメンバ46が冷却デバイス41に溶接される。
【0065】
第4および最後のステップにおいて、トッププレート44が、例えば、前記トッププレート44をキャリアデバイス2のフランジ45にボルト留めすることによって、補強キャリアデバイス1に固定される。有利には、トッププレート44は、好ましくは、メッシュ37の少なくとも1つのハウジングクロスメンバ39にボルト留めされる。
【0066】
補強バッテリパック42は次いで、、いかなる物理的衝撃に対しても、およびいかなる物理的侵入に対しても保護され、補強バッテリパック42の任意のさらなる組立工程中に確実に移動させることができる。
【0067】
勿論のこと、補強バッテリパック42は、上記した実施形態に限定はされず、本発明の文脈内で修正を行うことができる。例として、トッププレート44は、任意選択としてもよく、冷却デバイス41は、異なるように製造されてもよい。
【0068】
本発明の別のプロセスによれば、補強バッテリパック42は、車両60のボディ61に組み付けてもよい。
【0069】
「ホワイトのボディ(body in white)」としても知られる、車両60のボディ61は、異なる技術:溶接、リベッティング、クリンチング、接着、レーザブレージングの1つまたは組合せを用いて互いに接合された自動車ボディのコンポーネントを指す。
【0070】
車両60のボディ61は、縦方向軸に関して延び、フロア50と、少なくとも一対の後方縦方向レイルと、一対の前方縦方向レイルとを備える。前方レイルは、車両60の前方にあり、後方レイルは車両60の後部に向かって位置している。二対のレイルは、このように、互いに反対向きであり、前方から、および後方から来る衝撃を吸収するように提供される。加えて、車両60のボディ61は、一般にサイドシルと呼ばれ、フロア50に固定されて、互いに反対側に位置づけられる、2つの縦方向縁部レイルを備える。これらの縁部レイルは、横方向衝撃を吸収するように提供される。
【0071】
第1のステップにおいて、補強バッテリパック42は、補強キャリアデバイス1の縦方向軸Xが車両60の縦方向軸に平行になるように、車両60のボディ61内に位置づけられる。一旦、位置づけられると、補強キャリアデバイス1の隅部は、それぞれ、後方縦方向レイルの末端と、前方縦方向レイルの末端と接触している。
【0072】
第2および最後のステップにおいて、補強バッテリパック42のシールド要素43は、車両60のボディ61の縦方向縁部レイルに固定され、
図6および7に図示されるように、トップカバー44、メッシュ37の関係するハウジングクロスメンバ39、および車両60のフロア50が、固定手段49で互いにボルト留めされる。前記固定手段39は、ハウジングクロスメンバ39の頂部に固定され、補強バッテリパック42のトップカバー44において扱われるオリフィスを通過する、取付けスピンドル51を備える。トップカバー44と車両60のフロア50の間にスペースを与えるために、環状スペーサ52がよって、スピンドル51のまわりに付加される。最後に、補強バッテリパック42を車両60のフロア50に固定するために、トップカバー44のオリフィスと面する第2のオリフィスが、フロア50で扱われ、この第2のオリフィスを通過するねじ53が、取付けスピンドル51にボルト留めされる。バッテリパックの内部の水密性は、その良好な機能を保証し、バッテリパックに長い機能的な寿命を確保するために重要である。上記した組立て品が水密性であることを確実にするために、スペーサ52と取付けスピンドル51の間にシール59が提供され、トップカバー44内のオリフィスの水密性を確実にする。
【0073】
本発明の補強キャリアデバイス1、1’は、電気またはハイブリッド車両60のバッテリパックを補強することに非常に関心がある。
【0074】
補強バッテリパック42を形成するために、バッテリパックだけに一体化される場合には、前記バッテリは、いかなる変位の間も固定される。加えて、補強バッテリパック42が車両60に組み付けられる場合には、前方衝撃、後方衝撃または横方向衝撃のいずれかを含む、自動車事故の際に、補強キャリアデバイス1、1’は、キャリアデバイス2、2’の変形に対して、および補強バッテリパック42内部への侵入に対して、より大きな保護を提供する。