(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】火災報知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240328BHJP
G08B 25/01 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/01 A
(21)【出願番号】P 2023004230
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2021132128の分割
【原出願日】2016-04-08
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】越智 誠
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-96473(JP,A)
【文献】特開2002-271522(JP,A)
【文献】特開2015-133058(JP,A)
【文献】特開2012-181814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
G08B 17/00,23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象施設と前記監視対象施設の外部とを繋ぐネットワークを介して端末監視制御装置と受信機とがサーバに接続され、前記端末監視制御装置と前記サーバとの間及び前記受信機と前記サーバとの間で前記ネットワークを介して信号を送受信し、
前記端末監視制御装置は、前記監視対象施設の警戒区域毎に端末機器を接続して配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えず、
前記サーバは、前記監視対象施設の外部に配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えず、
前記受信機は、前記監視対象施設に配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えたことを特徴とする火災報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット上のサーバとの連携により火災を検出して警報する火災報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災を監視する火災報知システムの受信機は建物内の防災センターや管理室などに設置されており、受信機から警戒区域に引き出された感知器回線に接続された例えば火災感知器や発信機からの火災信号を受信することで、火災代表表示を行うと共に主音響を鳴動させ、また受信機から引き出された制御回線に接続された地区音響装置を鳴動させ、更に、制御回線に接続された防火戸や防火シャッター等の連動制御を行う。
【0003】
このような火災報知システムの受信機にあっては、受信機に接続される火災感知器のアドレス、地区名、部署名、種別、回線番号、感度、蓄積時間、防排煙機器との連動関係等の所謂物件データを準備し、受信機に設けたEEPROM等の不揮発メモリに記憶して火災受信制御に利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-189055号公報
【文献】特開2009-087111号公報
【文献】実用新案登録第3136363号公報
【文献】特開2013-089076号公報
【文献】特開2009-098757号公報
【文献】特開2010-282316号公報
【文献】特開2015-133026号公報
【文献】特開2002-183864号公報
【文献】特開2013-089091号公報
【文献】特開2006-195845号公報
【文献】特開平11-096473号公報
【文献】特開2015-133058号公報
【文献】特表2012-519315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の火災報知システムにあっては、受信機から引き出された回線に火災感知器や制御機器を接続しており、また、受信機に、警報部、操作部、表示部、プリンタ等の火災監視に必要な全ての操作表示機能を設けており、受信機の構成が複雑となり、また、監視対象となる施設の規模が大きくなると、受信機から引き出される回線ケーブルの本数が増加し、受信機の製造及び設置が煩雑になる問題がある。
【0006】
また、火災報知システムの運用中に、施設の改修やテナントの入れ替わり等に伴い物件データを変更する必要があるが、従来は受信機の設置場所に出向いて物件データを更新する必要があり、手間と時間がかかる問題もある。
【0007】
更に、火災報知システムによっては、受信機に副表示盤等を接続して別の場所で受信機による火災警報表示を見たい場合があるが、受信機から離れた場所の副表示盤にケーブルを引いて接続する必要があり、設置工事に手間と時間がかかるといった問題もある。
【0008】
本発明は、受信機構成を感知器や制御機器を監視制御する部分と、表示操作を行う部分に分け、両者をインターネット上のサーバの制御処理により結びつけることで、システム構成を簡単にして、製造、設置、及び運用管理を容易にすることを可能とする火災報知システを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(火災報知システム)
本発明は、火災報知システムであって、
監視対象施設と監視対象施設の外部とを繋ぐネットワークを介して端末監視制御装置と受信機とがサーバに接続され、端末監視制御装置とサーバとの間及び受信機とサーバとの間でネットワークを介して信号を送受信し、
端末監視制御装置は、監視対象施設の警戒区域毎に端末機器を接続して配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えず、
サーバは、監視対象施設の外部に配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えず、
受信機は、監視対象施設に配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(基本的な効果)
本発明は、火災報知システムであって、監視対象施設と監視対象施設の外部とを繋ぐネットワークを介して端末監視制御装置と受信機と端末監視制御装置とがサーバに接続され、端末監視制御装置とサーバとの間及び受信機とサーバとの間でネットワークを介して信号を送受信し、端末監視制御装置は、監視対象施設の警戒区域毎に端末機器を接続して配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えず、サーバは、監視対象施設の外部に配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えず、受信機は、監視対象施設に配置され、火災警報に対応した操作を行う操作部及び火災警報を出力する警報部を備えたため、オフィスビル等の監視対象施設には、端末監視制御装置と受信機が設置され、火災受信の制御処理機能は外部のサーバに設けられており、サーバに火災受信の制御処理機能を分散させたことで、監視対象施設に設置する設備を簡略化することができる。
【0011】
また、監視対象施設に設置する設備機器として、端末監視制御装置と受信機に分けて設置しており、端末監視制御装置に火災感知器や制御機器を配線接続して設備機器を集約させ、受信機には警報、表示、操作といった利用者に対する入出力機能を集約させることで、端末監視制御装置と受信機を一体化していた従来の火災受信機に比べ、端末監視制御装置及び受信機の構成が簡単となり、監視対象施設の設置作業は、端末監視制御装置の設置及び配線作業が主なものとなり、受信機については、端末監視制御装置との間の配線接続は不要で、ネットワークを介してサーバに通信接続するだけで良く、トータル的に設備の設置作業を簡単且つ容易とすることが可能となる。
【0012】
また、サーバに火災受信の制御処理機能を集約させたことで、火災感知器のアドレス、地区名、部署名、種別、回線番号、感度、蓄積時間、防排煙機器との連動関係等の物件データはサーバに記憶されて管理されており、施設の改修やテナントの入れ替わり等に伴い物件データを変更する場合、従来のように受信機の設置場所に出向いて物件データを更新する必要はなく、サーバにおいて物件データの更新が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】R型の火災報知システムの概要を示した説明図
【
図2】
図1の端末監視制御装置、受信機およびサーバの機能構成を示したブロック図
【
図3】火災報知システムの動作を示したタイムチャート
【
図4】ビルに対する火災報知システムの設置例を示した説明図
【
図5】予備サーバを設けた火災報知システムの概要を示した説明図
【
図6】有線LANを用いた火災報知システムの概要を示した説明図
【
図7】
図6の端末監視制御装置、受信機およびサーバの機能構成を示したブロック図
【
図8】P型の火災報知システムの概要を示した説明図
【
図9】
図8の端末監視制御装置、受信機およびサーバの機能構成を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[火災報知システム]
(火災報知システムの概要)
図1はR型の火災報知システムの概要を示した説明図である。
図1に示すように、本実施形態の火災報知システムは、インターネット40に対し端末監視制御装置10がゲートウェイ装置34を介して接続され、また、受信機12がゲートウェイ装置36を介して接続され、これにより端末監視制御装置10と受信機12がインターネット40を介してサーバ42と通信可能に接続されている。更に、本実施形態では、副表示盤14がゲートウェイ装置38を介してサーバ42と通信可能に接続されている。
【0015】
ゲートウェイ装置34,36,38は、端末監視制御装置10、受信機12及び副表示盤14側のTCP信号(トランスミッション・コントロール・プロトコル信号)とインターネット40側のIP信号(インターネット・プロトコル信号)とのプロトコル変換を行っている。
【0016】
端末監視制御装置10、受信機12及び副表示盤14はオフィスビル等の監視対象施設に設置され、サーバ42は製造メーカや保守管理会社等の別の場所に設置される。なお、副表示盤14は必要に応じて設けられており、必ずしも設ける必要はない。
【0017】
端末監視制御装置10からは警戒区域に伝送路16が引き出され、本実施形態にあっては、伝送路16にセンサ系として、アナログ感知器18が接続され、また、伝送機能を備えた中継器20を介して感知器回線22にオンオフ感知器24が接続され、更に、中継器20を介して発信機26が接続される。また、端末監視制御装置10から引き出された伝送路16には、制御対象なる端末機器として、中継器20を介して地区音響装置28、防火戸30及び防火ダンパ等の防排煙機器32がそれぞれ接続されている。
【0018】
伝送路16に接続されたアナログ感知器18及び中継器20には固有のアドレスが予め設定されており、伝送路16当りの最大アドレスは例えば512アドレスであり、端末監視制御装置10を含めて512台の機器の接続を可能としている。
【0019】
端末監視制御装置10は例えばアナログ感知器18の火災発報(火災検出)より送信されたアドレスが設定された火災信号を受信した場合、サーバ42を宛先とするアナログ感知器18のアドレスが設定された火災信号をゲートウェイ装置34からインターネット40を経由してサーバ42へ送信する。
【0020】
サーバ42は端末監視制御装置10からの火災信号を受信すると、火災信号に設定されているアドレスから予め記憶している物件データを参照して火災発生場所を示す火災地区情報を取得し、この火災地区情報が設定された火災警報信号をインターネット40及びゲートウェイ装置36,38を経由して受信機12及び副表示盤14へ送信する。
【0021】
サーバ42からの火災警報信号を受信した受信機12は、火災発生場所を示す地区表示を伴う火災警報を出力する。副表示盤14も受信機12と同じ火災発生場所を示す地区表示を伴う火災警報を出力する。
【0022】
また、サーバ42は、端末監視制御装置10からの火災信号を受信すると、火災発生場所を示す火災地区情報に対応した地区音響装置28のアドレスが設定された地区音響制御信号をインターネット40及びゲートウェイ装置34を経由して端末監視制御装置10に送り、端末監視制御装置10から伝送路16に、受信したアドレスが設定された地区音響制御信号が送信され、アドレスが一致した中継器20に接続している地区音響装置28を鳴動させる。
【0023】
[火災報知システムの機能構成]
(端末監視制御装置)
図2は
図1の端末監視制御装置、受信機およびサーバの機能構成を示したブロック図である。
【0024】
図2に示すように、端末監視制御装置10は、端末制御部44、伝送部45、通信部46、移報部48、電源部50及び予備電源部52を備える。
【0025】
端末制御部44は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成されており、プログラムの実行により伝送部45と連携して感知器や制御機器との間で所謂火報伝送プロトコルに従った伝送制御を行う。
【0026】
伝送部45からアナログ感知器18及び中継器20に対する下り信号は電圧モードの伝送であり、伝送路16の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。これに対しアナログ感知器18や中継器20からの上り信号は電流モードの伝送であり、伝送路16に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が伝送部45に伝送される。
【0027】
端末制御部44による火災伝送プロトコルによる伝送制御は次のようになる。端末制御部44は、通常監視中には、端末アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ感知器18及び中継器20は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると正常監視応答を行う。このため端末制御部44にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかったアナログ感知器18や中継器20を障害として故障を検出することができる。
【0028】
また端末制御部44は、全ての端末アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに、一括AD変換コマンドを送信している。例えば、アナログ感知器18は端末制御部44からの一括AD変換コマンドを受信すると、検出している煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較している。
【0029】
アナログ感知器18でサンプリングしたアナログ検出データが火災レベルを超えた場合には、端末制御部44に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。この割込信号は、応答ビット列をオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
【0030】
端末制御部44は、アナログ感知器18からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行し、火災を検出したアナログ感知器18を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別する。続いて、アドレス内検索コマンドとして、判別したグループに含まれる個々のアナログ感知器18に対し、順次アドレスを指定したポーリングを発行し、アナログデータ等の火災応答を受けることで、火災を検出したアナログ感知器18の感知器アドレスを認識し、この感知器アドレスが設定された火災信号を通信部46に指示し、ゲートウェイ装置34及びインターネット40を経由してサーバ42へ送信させる。
【0031】
また、オンオフ感知器24や発信機26を接続した中継器20は、端末制御部44からの一括AD変換コマンドを受信すると、火災発報又は火災発信の有無を示すオンオフデータをサンプリングし、火災発報又は火災発信の場合は、端末制御部44に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。これに対し端末制御部44はグループ検索コマンド及びグループ内検索コマンドを発行して火災発報又は火災発信した中継器20のアドレスを認識し、この感知器アドレスが設定された火災信号をサーバ42へ送信させる。
【0032】
また、端末制御部44は、地区音響装置28、防火戸30及び防排煙機器32に対しては、サーバ42から受信した制御信号に設定されたアドレスを指定した制御信号を伝送路16に送信し、自身のアドレスと一致した中継器20に接続されている端末機器を動作させる。
【0033】
また、端末監視制御装置10には、商用交流電源から直流電源を生成して各部に供給している電源部50に加え、予備電源部52が設けられる。予備電源部52はバッテリーを備え、通常時は、電源部50からの電源供給を受けてバッテリーを充電しており、商用交流電源が停電した場合に予備電源部52はバッテリーからの電源供給に切替え、規格上定められた所定時間以上の予備電源供給を維持可能としている。
【0034】
(受信機)
図2に示すように、受信機12は、受信機制御部54、通信部56、警報部58、表示部60、操作部62、電源部64及び予備電源部66を備える。
【0035】
受信機制御部54は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により火災監視に必要な警報、表示、操作に伴う制御を、通信部56と連携して行う。
【0036】
警報部58にはスピーカが設けられ、火災警報としての音響警報や音声メッセージを出力させる。
【0037】
表示部60には、火災代表灯、障害代表灯等が設けられ、また、タッチパネル付きのディスプレイが設けられ、更に、プリンタが設けられている。
【0038】
操作部62には、火災警報音が出力された場合に操作する音響停止スイッチ、火災断定スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、復旧スイッチ等の各種の操作スイッチが設けられている。
【0039】
通信部56はゲートウェイ装置36及びインターネット40を経由してサーバ42に通信接続され、各種の信号の送受信を行う。
【0040】
受信機制御部54は、サーバ42から火災地区情報が設定された火災警報信号を受信した場合、警報部58のスピーカの鳴動により音響警報を出力させると共に、表示部60の代表火災灯を点滅させ、更に、ディスプレイに火災警報情報と共に火災発生場所を示す火災地区情報を表示させる制御を行う。
【0041】
また、受信機制御部54は、火災警報の出力中に、操作部62に設けられた音響停止スイッチの操作を検出した場合に、警報部58からの音響警報を停止させる制御を行う。
【0042】
また、受信機制御部54は、火災警報の出力中に、操作部62に設けられた火災断定スイッチの火災断定操作を検出した場合は、通信部56に指示して、火災断定信号をサーバ42へ送信させる制御を行い、サーバ42からの端末監視制御装置10に対する指示で、連動制御や移報制御を行わせる。
【0043】
また、受信機制御部54は、火災警報の出力中に、操作部62に設けられた地区音響一時停止スイッチの操作を検出した場合は、通信部56に指示して、地区音響一時停止信号をサーバ42へ送信させる制御を行い、サーバ42からの端末監視制御装置10に対する指示で、地区音響を一時停止させる。
【0044】
また、受信機制御部54は、火災警報の出力中に、操作部62に設けられた復旧スイッチの操作を検出した場合は、通信部56に指示して、復旧信号をサーバ42へ送信させる制御を行い、サーバ42を復旧させると共にサーバ42からの端末監視制御装置10に対する指示で、動作中の感知器や端末機器を復旧させる。
【0045】
また、受信機12には、商用交流電源から直流電源を生成して各部に供給している電源部64に加え、予備電源部66が設けられる。予備電源部66はバッテリーを備え、通常時は、電源部64からの電源供給を受けてバッテリーを充電しており、商用交流電源が停電した場合に予備電源部66はバッテリーからの電源供給に切替え、規格上定められた所定時間以上の予備電源供給を維持可能としている。
【0046】
なお、
図1に示した副表示盤14は、
図2に示した受信機12から操作部62を除いたものと同等な機能構成であり、受信機12と同じ火災警報表示を行う。
【0047】
(サーバ)
図2に示すように、サーバ42は、サーバ制御部70、通信部72、表示部74、操作部76及びデータベース78を備える。
【0048】
サーバ制御部70は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により火災監視に必要な各種の処理制御を行う。通信部72はインターネット40を経由して端末監視制御装置10及び受信機12との間で各種の信号の送受信を行う。
【0049】
表示部74はコンピュータのディスプレイであり、操作部76はコンピュータのキーボード、マウス等の入力機器である。
【0050】
データベース78に、端末監視制御装置10及び受信機12を設置した火災報知システムの物件データが予め記憶されている。データベース78に保存された物件データは、端末監視制御装置10に接続されるアナログ感知器18や中継器20のアドレス、地区名、部署名、種別、回線番号、感度、蓄積時間、防排煙機器との連動関係等のデータが含まれている。
【0051】
サーバ制御部70は、火災報知システムにおける火災監視制御の中枢として機能し、次の制御を行う。
【0052】
サーバ制御部70は、インターネット40を介して端末監視制御装置10から送信されたアドレスが設定された火災信号を受信した場合、データベース78の物件データを参照してアドレスに対応した地区名等の火災発生場所を示す火災地区情報を取得し、この火災地区情報を設定した火災警報信号を、インターネット40を経由して受信機12に送信する制御を行い、受信機12に火災地区情報が特定された火災警報を出力させる。なお、サーバ42からの火災警報信号は副表示盤14にも送信されるが、以下の説明では省略する。
【0053】
また、サーバ制御部70は、火災警報信号を送信した後に、インターネット40を介して受信機12から地区音響一時停止信号を受信した場合、地区音響停止信号を、インターネット40を経由して端末監視制御装置10に送信して鳴動中の地区音響装置28を停止させ、所定時間後に、地区音響制御信号をインターネット40を経由して端末監視制御装置10に送信して地区音響装置28を再鳴動させる制御を行う。
【0054】
また、サーバ制御部70は、火災警報信号を送信した後に、インターネット40を介して受信機12から火災断定信号を受信した場合、連動制御及び移報制御の制御信号を、インターネット40を経由して端末監視制御装置10に送信し、端末機器の連動制御や外部機器名に対する移報制御を行う。
【0055】
また、サーバ制御部70は、火災警報信号を送信した後に、インターネット40を介して受信機12から復旧信号を受信した場合、サーバ42自身の火災制御処理を復旧させると共に、復旧信号を、インターネット40を経由して端末監視制御装置10に送信し、動作中の感知器や端末機器を復旧させる制御を行う。
【0056】
また、サーバ制御部70は、通常監視状態で、インターネット40を介して端末監視制御装置10から送信された障害信号を受信した場合、データベース78に格納されている障害の原因や対処を示す障害情報を取得し、この障害情報が設定された障害信号を、インターネット40を介して受信機12に送信し、警報部58から障害警報音を出力させると共に、表示部60の障害代表灯を点滅させ、障害情報をディスプレイに表示させる制御を行う。
【0057】
(火災報知システムの制御動作)
図3は火災報知システムの動作を示したタイムチャートである。
図3に示すように、端末監視制御装置10はステップS1で伝送路16に接続された例えばアナログ感知器18の火災検出に基づく火災発報の有無を監視しており、アナログ感知器18の火災発報を判別するとステップS2に進み、火災発報したアナログ感知器18のアドレスが設定された火災信号をサーバ42に送信する。
【0058】
サーバ42は端末監視制御装置10からの火災信号を受信すると、ステップS3で火災信号に設定されているアドレスによりデータベース78の物件データを検索して火災発生場所を示す火災地区情報を取得し、この火災地区情報が設定された火災警報信号を受信機12に送信する。サーバ42からの火災警報信号を受信した受信機12は、ステップS4で警報音と表示により火災警報を出力させる。
【0059】
また、サーバ42はステップS5で端末監視制御装置10から受信した火災信号に基づき、データベース78の物件情報から取得した発報感知器のアドレスに対応した地区音響装置のアドレスを取得し、このアドレスが設定された地区音響制御信号を端末監視制御装置10に送信する。
【0060】
サーバ42からの地区音響制御信号を受信した端末監視制御装置10は、ステップS6で地区音響制御信号を伝送路16に送信し、アドレスが一致した地区音響装置28を鳴動させる。
【0061】
ステップS4で受信機12から出力された火災警報に対応し、防災管理者等は受信機12の操作部62に設けられている音響停止スイッチを操作することから、受信機12はステップS7で音響停止操作を判別し、ステップS8で音響警報を停止させる。
【0062】
続いて、防災管理者等は火災現場に出向いて火災の有無を確認し、火災を確認した場合は、受信機12の操作部62に設けられている火災断定スイッチを操作する。このため受信機12は、ステップ9で火災断定操作を判別するとステップS10に進み、火災断定信号をサーバ42に送信する。
【0063】
受信機12からの火災断定信号を受信したサーバ42は、ステップS11で火災断定に基づき、火災発報に対応した端末機器のアドレスが設定された連動制御及び移報制御の制御信号を端末監視制御装置10に送信する。端末監視制御装置10はサーバ42から連動制御及び移報制御の制御信号を受信するとステップS12に進み、受信したアドレスが設定された連動制御信号を伝送路16に送信し、アドレスが一致した中継器20に接続している防火戸30や防排煙機器32を動作させると共に、移報部48に指示して外部に対し移報信号を出力させる。
【0064】
その後、消防活動により火災が鎮火した場合、防災管理者等は、受信機12の操作部62に設けられている復旧スイッチを操作し。受信機12はステップ13で復旧操作を判別し、ステップS14で復旧信号をサーバ42に送信する。
【0065】
受信機12からの復旧信号を受信したサーバ42は、ステップS15で自身の火災制御処理を復旧させると共に、復旧信号を端末監視制御装置10に送信し、これを受信した端末監視制御装置10は動作中の感知器や端末機器を復旧させ、火災発生前と同じ通常監視状態とする。
【0066】
[火災報知システムのメリット]
このようなR型の火災報知システムによれば、オフィスビル等の監視対象施設には、端末監視制御装置10と受信機12が設置され、火災受信の制御処理機能は外部のサーバ42に設けられており、サーバ42に火災受信の制御処理機能を分散させたことで、監視対象施設に設置する設備機器を簡略化することができる。
【0067】
また、監視対象施設に設置する設備機器を、端末監視制御装置10と受信機12に分けて設置しており、端末監視制御装置10に伝送路16を介して感知器や制御機器を配線接続するハードウェアを集約させ、受信機12には警報、表示、操作といった利用者に対する入出力機能を集約させることで、端末監視制御装置と受信機を一体化していた従来の受信機に比べ、端末監視制御装置10及び受信機12の構成が簡単となり、監視対象施設に対するシステム機器の設置作業は、端末監視制御装置10の設置と配線作業が主なものとなり、受信機12については、端末監視制御装置10との間の配線接続は不要で、インターネット40を介してサーバ42に接続できるようにすればよく、トータル的に設備の設置作業を容易とすることが可能となる。
【0068】
また、サーバ42に火災受信の制御処理機能を集約させたことで、感知器のアドレス、地区名、部署名、種別、回線番号、感度、蓄積時間、防排煙機器との連動関係等の物件データはサーバ42に保存されて管理されており、施設の改修やテナントの入れ替わり等に伴い物件データを変更する場合、従来のように受信機の設置場所に出向いて物件データを更新する必要はなく、サーバ42において物件データの更新が簡単にできる。
【0069】
[ビルに設置された火災報知システム]
図4はビルに対する火災報知システムの設置例を示した説明図である。
図4に示すように、監視対象施設となるビル等の建物11はn階建てであり、各階には、端末監視制御装置10が設置され、端末監視制御装置10から引き出された伝送路16に例えばアナログ感知器18を接続すると共に、中継器20を介して発信機26や地区音響装置28が接続されている。
【0070】
各階に設置された端末監視制御装置10はそれぞれ専用のゲートウェイ装置34に接続され、ゲートウェイ装置34を介して
図1に示したインターネット40上のサーバ42に通信接続可能としている。
【0071】
また、建物11の1Fの防災センターや管理人室等には受信機12が設置され、ゲートウェイ装置36を介して
図1に示したインターネット40上のサーバ42に通信接続可能としている。
【0072】
本実施形態における建物11の各階毎に端末監視制御装置10を配置する構成は、各階毎に設置される端末機器の台数が、伝送路16に接続可能な端末機器の最大アドレスに近い規模が大きい場合に好適である。
【0073】
これに対し建物全体に設置される端末機器の台数が、伝送路16に接続可能な端末機器の最大アドレス以内の台数の場合は、例えば受信機12と同じ階1Fに1台の端末監視制御装置10を配置し、そこから各階に伝送路16を引き出して端末機器を配置すれば良い。
【0074】
また、同じ階に設置される端末機器の台数が、伝送路16に接続可能な端末機器の最大アドレス数に対応した台数を超える場合には、
図2に示した端末監視制御装置10の伝送部45を複数設け、複数の伝送路16を引き出して端末機器を接続すれば良い。
【0075】
このように監視対象施設に設置される端末監視制御装置10は、監視対象施設の規模や建物の形態に対応して適宜の台数による配置を行うことになる。
【0076】
[サーバの多重化]
図5は予備サーバを設けた火災報知システムの概要を示した説明図であり、
図1の実施形態に加え、インターネット40に対し更に2台の予備サーバ80,82を接続してサーバを多重化している。
【0077】
予備サーバ80,82は、
図2に示したメインのサーバ42と基本的に同じ構成と機能を備え、メインのサーバ42が例えば製造元の東京本社に設置されているのに対し、予備サーバ80,82は地域的に離れた例えば大阪支社や仙台支社に設置されている。
【0078】
火災報知システムの運用中に、メインのサーバ42のデータベースに保存している物件情報や履歴情報が変更された場合、この変更された情報は、略リアルタイムで予備サーバ80,82に送信され、データベースを更新させることで、互いの情報を同期させている。
【0079】
サーバを多重化した
図5の火災報知システムにあっては、例えば、メインのサーバ42が設置された地域が地震等の災害に見舞われ、サーバ42がダウンして機能しなくなった場合、端末監視制御装置10及び受信機12の接続先を正常に機能している予備サーバ80,82の何れかに切り替えることで、火災監視を継続することができ、災害に強いシステムを構築可能とする。
【0080】
[LANを使用した火災報知システム]
図6は有線LANを用いた火災報知システムの概要を示した説明図、
図7は
図6の端末監視制御装置、受信機およびサーバの機能構成を示したブロック図である。
【0081】
図6に示すように、本実施形態は、端末監視制御装置10、受信機12及び副表示盤14が配置される監視対象施設には、イーサネット(登録商標)等のLAN(ローカルエリアネットワーク)が設置されている場合があり、LAN回線86はLAN通信装置84から引き出され、LAN通信装置84はゲートウェイ装置36を介してインターネット40に接続されている。
【0082】
実施形態にあっては、
図7に示すように、端末監視制御装置10及び受信機12にLAN通信部88,90が設けられ、端末監視制御装置10、受信機12及び副表示盤14をLAN回線86に接続することで、インターネット40を経由したサーバ42との通信接続を可能としている。なお、それ以外の構成及び機能は、
図1乃至
図3に示した実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0083】
このようにゲートウェイ装置34及びLAN通信装置84を備えた有線LANを利用することで、火災報知システム専用のゲートウェイ装置を準備する必要がなく、火災報知システムの導入が容易で、運用コストも低減可能となる。
【0084】
[P型の火災報知システム]
(火災報知システムの概要)
図8は回線単位に火災を監視するP型の火災報知システムの概要を示した説明図、
図9は
図8のP型端末監視制御装置、受信機およびサーバの機能構成を示したブロック図である。
【0085】
図8に示すように、本実施形態の火災報知システムは、インターネット40に対しP型端末監視制御装置100がゲートウェイ装置34を介して接続され、また、受信機12がゲートウェイ装置36を介して接続され、これによりP型端末監視制御装置100と受信機12がインターネット40を介してサーバ42と通信可能に接続されている。
【0086】
P型端末監視制御装置100からは複数の感知器回線102が引き出され、オンオフ感知器24や発信機26が接続されている。また、P型端末監視制御装置100からは複数の制御回線104が引き出され、制御回線104単位に端末機器として例えば地区音響装置28が接続されている。
【0087】
図9に示すように、P型端末監視制御装置100は、端末制御部44、通信部46、移報部48、電源部50及び予備電源部52を備える点は、
図2のR型の実施形態と基本的に同じであるが、複数の感知器回線102に対応して複数の回線受信部106が設けられ、また、複数の制御回線104に対応して複数の回線制御部108が設けられている。
【0088】
回線受信部106は感知器回線102に接続されているオンオフ感知器24の何れかが火災を検出して発報し、感知器回線102に発報電流を流すことから、この発報電流を検出して火災信号が端末制御部44に出力させる。
【0089】
端末制御部44は、回線受信部106から火災信号を受信すると回線アドレス(回線番号)が設定された火災信号をサーバ42に送信し、所定の火災制御処理を行わせる。
【0090】
また、回線制御部108は、端末制御部44でサーバ42から回線アドレスが設定された地区音響停止、連動制御、復旧等の信号を受信した場合、回線アドレスに対応した回線制御部108に指示して音響停止、連動、又は復旧等の制御を行う。
【0091】
それ以外の構成及び機能は
図1及び
図2に示したR型の火災報知システムと基本的に同じになることから、同一符号を付して説明を省略する。
【0092】
P型の火災報知システムにあっても、R型の火災報知システムについて示したと同様なメリットが得られる。
【0093】
また、P型の火災報知システムについても、サーバの多重化や有線LANを利用した端末監視制御装置10と受信機12のインターネット接続が、R型の火災報知システムと同様に適用できる。
【0094】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、端末監視制御装置に火災感知器や発信機等のセンサ系の機器と、地区音響装置や防火戸等の制御系の機器を接続しているが、端末監視制御装置をセンサ系と制御系に分けて設置しても良い。
【0095】
また、上記の実施形態におけるインターネット、サーバ、データベースを含む構成は、クラウドコンピューティングとしても良い、クラウドコンピューティングは、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなどの構成可能なコンピューティングリソースの共用プールに対して、便利かつオンデマンドにアクセスできる。
【0096】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0097】
10:端末監視制御装置
12:受信機
14:副表示盤
16:伝送路
18:アナログ感知器
20:中継器
22:感知器回線
24:オンオフ感知器
26:発信機
28:地区音響装置
30:防火戸
32:防排煙機器
34,36,38:ゲートウェイ装置
40:インターネット
42:サーバ
44:端末制御部46,56,72:通信部
48:移報部
50,64:電源部
52,66:予備電源部
54:受信機制御部
58:警報部
60,74:表示部
62,76:操作部
70:サーバ制御部
78:データベース
80,82:予備サーバ
84:LAN通信装置
86:LAN回線
88,90:LAN通信部
100:P型端末監視制御装置
102:感知器回線
104:制御回線
106:回線受信部
108:回線制御部