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特許7462104真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法
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  • 特許-真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/30 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
E01C7/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023174579
(22)【出願日】2023-10-06
【審査請求日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2022163238
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501383093
【氏名又は名称】株式会社オーエヌグループ
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】大山 博志
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-127337(JP,A)
【文献】特開2016-135964(JP,A)
【文献】特開2001-317010(JP,A)
【文献】特開2004-360351(JP,A)
【文献】特開平11-181707(JP,A)
【文献】特開2005-083140(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170920(JP,U)
【文献】特開平08-027707(JP,A)
【文献】特開平03-093908(JP,A)
【文献】特開2000-080603(JP,A)
【文献】特開平07-292238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
E01H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤又は下地層の上にモルタル、コンクリート又はアスファルトからなるモルタル等層を形成するモルタル等層形成ステップと、
砂全体の80重量%以上が0.4~0.8mmの粒径の砂であるように構成された砂と、真空パック用袋内に封入されているときは水に溶解されており且つ真空パック用袋から取り出された後は乾燥して硬化又は固化する水溶性又は水系樹脂とが、10:1から10:5までの体積比で互いに混ざり合わされて成る内容物が真空パック用袋内に封入されて成る真空パック製品の複数個中の一個の真空パック製品から、前記内容物を取り出し、その内容物を、他の液剤を混入することなく且つ互いに混練することなく前記取り出した状態のまま、前記モルタル等層又はその上のバインダー層が形成された領域全体の中の一部領域であって前記一個の真空パック製品から取り出した内容物だけで樹脂層を形成できる1~3平方メートルの面積に対応する一部領域の上に、敷き詰め又は塗布して樹脂層を形成する、樹脂層形成ステップと、
前記真空パック製品の複数個中の他の一個の真空パック製品から取り出した他の内容物を前記領域全体の中の前記内容物に対応する他の一部領域上に敷き詰め又は塗布して樹脂層を形成する動作を、前記各内容物毎に且つ前記各一部領域毎にそれぞれ順次、前記領域全体に樹脂層が形成されるまで、繰り返す、繰り返しステップと、
を含むことを特徴とする真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法。
【請求項2】
地盤又は下地層の上にモルタル、コンクリート又はアスファルトからなるモルタル等層を形成するモルタル等層形成ステップと、
前記モルタル、コンクリート又はアスファルトからなる層の上にバインダー層を形成するバインダー層形成ステップと、
砂全体の80重量%以上が0.4~0.8mmの粒径の砂であるように構成された砂と、真空パック用袋内に封入されているときは水に溶解されており且つ真空パック用袋から取り出された後は乾燥して硬化又は固化する水溶性又は水系樹脂とが、10:1から10:5までの体積比で互いに混ざり合わされて成る内容物が真空パック用袋内に封入されて成る真空パック製品の複数個中の一個の真空パック製品から、前記内容物を取り出し、その内容物を、他の液剤を混入することなく且つ互いに混練することなく前記取り出した状態のまま、前記バインダー層が形成された領域全体の中の一部領域であって前記一個の真空パック製品から取り出した内容物だけで樹脂層を形成できる1~3平方メートルの面積に対応する一部領域の上に、敷き詰め又は塗布して樹脂層を形成する、樹脂層形成ステップと、
前記真空パック製品の複数個中の他の一個の真空パック製品から取り出した他の内容物を前記領域全体の中の前記内容物に対応する他の一部領域上に敷き詰め又は塗布して樹脂層を形成する動作を、前記各内容物毎に且つ前記各一部領域毎にそれぞれ順次、前記領域全体に樹脂層が形成されるまで、繰り返す、繰り返しステップと、
を含むことを特徴とする真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂舗装の材料及び樹脂舗装の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の庭、駐車場、施設の庭園、歩道、道路の中央分離帯などにおける防草及び景観保持等の目的から、それらの場所の全部又は一部に樹脂舗装が行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-256329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樹脂舗装においては、樹脂層を形成する材料を得るため、施工現場に設置した容器内に複数種類の液剤等を投入して撹拌、混合させる必要があったが、このような現場での撹拌、混合作業は一定の知識と経験や技能を有する熟練作業員に行わせる必要があり、樹脂舗装に関する熟練技能を有しないアルバイトなどの作業者に行なわせることは困難であった。また、樹脂舗装に関する素人である一般人が自宅の庭の一部などに樹脂舗装を施工することもできなかった。さらに、従来より、歩道又は車道を形成するアスファルト層又はコンクリート層の表面側のひび割れにより生じた隙間、又は歩道又は車道を形成するアスファルト層又はコンクリート層と縁石との間の隙間などを、熟練した技能のない作業者が塞ぐことができる方法として、樹脂を前記隙間にコーキングする方法が行われているが、このような方法では、コーキングした樹脂が紫外線等により短期間で劣化してしまい耐久性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、樹脂舗装に関する熟練技能のないアルバイトなどの作業者だけでも又は樹脂舗装に関する素人である一般人でも、モルタル層などの下地層などの上に、簡単に且つ効率的に樹脂舗装を行うことができ、また、樹脂舗装に関して熟練技能のない作業者だけでも又は樹脂舗装に関する素人である一般人でも長期間劣化しない耐久性のある樹脂舗装を行うことができる、樹脂舗装に用いる真空パック製品及びこれを使用した樹脂舗装の施工方法を提供することを目的とする。また、本発明は、樹脂舗装に関して熟練技能のない作業者だけでも又は樹脂舗装に関する素人である一般人でも、車道もしく歩道と縁石の間の隙間、又は車道もしく歩道のひび割れなどで生じた隙間を、長期間劣化しない耐久性のある樹脂舗装(広義)の方法により塞ぐことができる、樹脂舗装に用いる真空パック製品及びこれを使用した樹脂舗装の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための本発明による樹脂舗装に使用する真空パック製品は、舗装工事において樹脂舗装の材料として使用される内容物であって、舗装工事により形成される砂及び樹脂から成る樹脂層が、良好な滑り抵抗とアスファルト層又はコンクリート層に対する良好な接着性とを併せ有するように粒径が0.4~0.8mmの砂が砂全体の中で少なくとも80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)含まれるように構成された砂と、真空パック用袋内に封入されているときは水に溶解しており且つ舗装工事において真空パック用袋から取り出され樹脂舗装の材料の一部として使用された後は乾燥して硬化又は固化する水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)とが、10:1から10:5までの体積比で(すなわち、前記砂の体積比10に対して前記樹脂の体積比が1~5となるように)互いに混ざり合わされた状態にされて成る内容物が、真空パック用袋内に封入されることにより構成されており、前記内容物が真空パック用袋から取り出されたときは、前記内容物が、互いに混練されることなくまた他の液剤を混入されることなく前記取り出された状態のまま、舗装工事において樹脂舗装の材料として使用されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係る真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法は、地盤又は下地層の上にモルタル、コンクリート又はアスファルトからなる層を形成するモルタル等層形成ステップと、前記モルタル等層の上に、前記真空パック製品から、その内容物である砂とその中に染み込み前記砂と混ざり合っている水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)とを取り出し、前記取り出した砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を、互いに混練することなくまた他の液剤を混入することなく前記取り出した状態のまま、前記モルタル等層が形成された領域中の一部の領域の上に1.0~2.0mm厚となるように敷き詰め又は塗布して樹脂層を形成する、樹脂層形成ステップと、前記樹脂層形成ステップを、前記モルタル等層が形成された領域全体に渡って前記樹脂層が形成されるまで順次繰り返す、繰り返しステップとを含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係る真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法は、地盤又は下地層の上にモルタル、コンクリート又はアスファルトからなる層を形成するモルタル等層形成ステップと、前記モルタル、コンクリート又はアスファルトからなる層の上にバインダー層を形成するバインダー層形成ステップと、前記バインダー層の上に、前記真空パック製品から、その内容物である砂とその中に染み込み前記砂と混ざり合っている水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)とを取り出し、前記取り出した砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を、互いに混練することなくまた他の液剤を混入することなく前記取り出した状態のまま、前記バインダー層が形成された領域の一部の領域の上に1.0~2.0mm厚となるように敷き詰め又は塗布して樹脂層を形成する樹脂層形成ステップと、前記樹脂層形成ステップを、前記バインダー層が形成された領域全体に渡って前記樹脂層が形成されるまで順次繰り返す繰り返しステップとを含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明による前記真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法は、前記真空パック製品から、その内容物である砂とその中に染み込み前記砂と混ざり合っている水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)とを取り出し、前記取り出した砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を、互いに混練することなくまた他の液剤を混入することなく前記取り出した状態のまま、歩道又は車道を形成するアスファルト層又はコンクリート層の表面側のひび割れにより生じた隙間、又は歩道又は車道を形成するアスファルト層又はコンクリート層と縁石との間の隙間を塞ぐように塗布し、これにより前記隙間に砂及び樹脂から成る層を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明による樹脂舗装の施工方法に用いられ得る真空パック製品において、前記砂は各真空パック製品毎に複数の色のいずれかに予め着色されていてもよい。
【0011】
なお、本発明の一実施形態において、前記真空パック製品の内容物に含まれる前記「粒径が0.4~0.8mmの砂」は、例えば、従来より周知のJIS Z 2510、及びJIS Z 8801などで規定された「ふるい分け法」により(すなわち、従来より周知の「ふるい」(例えばJIS規格の標準ふるい)の網面を、手動で又は振動ふるい機により振動させて一定範囲の粒径(粒子径)の粒子だけを分別する方法により)取得することができる。すなわち、例えば、上側に配置した約0.8mmの目開き(ふるい網の目の開口幅)のふるいと、下側に配置した約0.4mmの目開き(ふるい網の目の開口幅)のふるいとを組み合わせたものを、手動で又は自動ふるい振動機で振動させて「ふるい分け」することにより、すなわち上側の「0.8mmの目開きのふるい」を通過し且つ下側の「0.4mmの目開きのふるい」上に残留した砂を取り出すことにより、上記「粒径が0.4~0.8mmの砂」を取得することができる(例えば、JIS Z 2510:2004に記載の「乾式ふるい分けによる粒度試験方法」による方法を参照)。
【0012】
本発明の一実施形態における真空パック製品においては、前述のように、前記真空パック製品の真空パック用袋内に封入された内容物の一部を構成する砂の粒度分布として、粒径が0.4mm~0.8mmである砂が砂全体の80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)となるように構成されている。例えば、本発明の一実施形態(本発明者の試作品に係る、品名 ソイルパっくん)に含まれている砂の粒度分布の一部は、粒径が約840μm前後(MESH20)の砂が砂全体の約24%、粒径が約590μm前後(MESH28)の砂が砂全体の約48.6%、粒径が約420μm前後(MESH35)の砂が砂全体の約24%であった(図1Aなど参照)。なお図1Aは、本発明の一実施形態(品名 M2(ソイルパっくん))に係る真空パック製品の内容物に含まれる砂の粒度分布を測定した粒度分布試験結果を示すグラフ等(有限会社名稚子産業(福岡県福津市宮司5丁目26-1)の作成に係る2023年4月26日付け粒度分布試験表より引用したもの)を示す図である。
【0013】
本発明の一実施形態においては、前述のように、前記真空パック製品の内容物中の砂は、前記真空パック製品の内容物が樹脂舗装の材料として使用されたときに生成される樹脂層(砂及び樹脂から成る層)が良好な滑り抵抗を有するように、粒径が0.4mm以上(で且つ0.8mm以下)の砂が、砂全体の中で少なくとも80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)含まれるように構成されている(例えば図1A参照)。そして従来より、樹脂舗装において樹脂層(砂及び樹脂から成る層)は少なくともC.S.R=0.4以上の滑り抵抗を有することが必要とされているところ、本発明の一実施形態は、前記真空パック製品の内容物に含まれる砂全体の少なくとも80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)が0.4mm以上の粒径となるように構成され、その結果、少なくともC.S.R=0.6以上の良好な滑り抵抗(例えば、乾燥状態ではC.S.R=0.8以上、例えばC.S.R=0.92。湿潤状態ではC.S.R=0.7以上、例えばC.S.R=0.86。図1B及び図1Cを参照。)を有するように構成されている。なお、図1B及び図1Cは、一般社団法人床の滑り測定協会(東京都中野区本町4-2-2)において行われた、本発明の一実施形態に係る内容物(品名 ソイルパっくん)に対する滑り性試験(C.S.R値)〔試験方法:JIS A 1454 高分子系張り床材試験方法(17)滑り性試験。試料寸法:t=1.5mm-2.0mm。試験機器:ONO・PPSM。滑り片の種類:硬さA72-A80、厚さ3-6mmのゴムシート(硬さはJIS K 6253-3に規定するデュロメータ硬さ試験(タイプAデュロメータ)による)〕の結果を示す、ONO・PPSMによる滑り性試験報告書(報告日 2023年6月28日。No.試験報告書第K23-S0121-1号)に示された結果を示す図である。
【0014】
また、本発明の一実施形態においては、前述のように、前記真空パック製品の内容物中の砂は、前記真空パック製品の内容物が樹脂舗装の材料として使用されたときに生成される樹脂層(砂及び樹脂から成る層)がアスファルト層又はコンクリート層に対し良好な接着性を有するように、粒径が(0.4mm以上で且つ)0.8mm以下の砂が、砂全体の中で少なくとも80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)含まれているように構成されている(例えば図1A参照)。そして従来より、樹脂舗装において樹脂層(砂及び樹脂から成る層=塗膜)は少なくともアスファルト層又はコンクリート層に対し1平方ミリメートル当たり1.0N以上の接着性(接着強度)を有することが必要とされているところ、本発明の一実施形態は、前記真空パック製品の内容物に含まれる砂全体の中の少なくとも80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)が0.8mm以下の粒径の砂で占められるように構成され、その結果、少なくともアスファルト層又はコンクリート層に対する接着性(接着強度)が1平方ミリメートル当たり少なくとも1.6N以上(又は同1.7N以上。例えば、1平方ミリメートル当たり1.87N。図1D及び図1Eを参照。)の良好な接着性を有するように構成されている。なお、図1D及び図1Eは、一般社団法人日本品質保証機構 中部試験センター 名古屋マテリアルテクノ試験所(愛知県名古屋市沖村沖浦39番地)試験室において行われた、本発明の一実施形態(品名 ソイルパっくん。作成日:2023年8月10日 材齢:14日)に係る内容物に対する接着強度試験〔試験方法:JSCE-E 545-2018「連続繊維シートとコンクリートとの接着試験方法(案)」。接着面積1600平方mm。最大荷重 2970-3130N。なお「ソイルパっくん」の破壊形態は、JSCE-E 545-2018「連続繊維シートとコンクリートとの接着試験方法(案)」7.3破壊形態による分類を参照した。〕の結果を示す試験成績書(受付日 2023年8月23日 No.5010-23000258)に示された結果を示す図である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明に係る真空パック製品においては、前記砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を真空パック用袋の内部において互いに混ざり合った状態で封入されるようにしたので、作業者は、前記砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)から成る内容物を真空パック用袋から取り出すだけで、それらを互いに混練する必要がなくまた他の液剤を混入させる必要もなく、前記取り出した状態のまま直ちに、モルタル等層又はバインダー層の上に敷き詰め又は塗布して施工することができるので、前記樹脂層を、熟練作業者でなくてもまた一般の素人でも極めて簡便に且つ効率的に形成できるようになる。
【0016】
また本発明に係る樹脂舗装の施工方法においては、前記モルタル等層又は前記バインダー層の上に、「粒径(例えばJISなどにおいて従来より一般的に用いられている、周知の『ふるい分け法』による試験・測定方法などにより測定した粒径)が約0.4~0.8mmの砂を砂全体中に少なくとも80重量%以上(又は90重量%以上)含む砂」と「乾燥することにより硬化(又は固化)する水溶性樹脂(又は水系樹脂。水に分散又は溶解され得る樹脂で、乾燥すると硬化剤の機能を発揮し得るもの。)」とが約10:1から約10:5までの体積比で(すなわち、前記砂の体積比10に対して前記樹脂の体積比が1~5となるように)封入された真空パック製品から、砂とその中に染み込んでいる水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を取り出し、前記砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を前記モルタル等層又はバインダー層が形成された領域中の一部領域(所定面積の領域)の上に約1.0~2.0mm厚となるように塗布し又は敷き詰める作業を一部領域毎に繰り返すだけで、前記モルタル等層又はバインダー層の全ての領域に渡って樹脂舗装を行なうことができる。よって、本発明によれば、樹脂舗装の知識や技能に乏しいアルバイトなどの作業者だけでも又は樹脂舗装に関する素人である一般人でも、下地層等(モルタル等層又はバインダー層)の上に簡単に樹脂舗装を行なうことができるようになる(なお、一般人が自宅の庭や駐車場の樹脂舗装をするときは、予めモルタル層、コンクリート層又はアスファルト層が施工されている場所を対象とするか、そのようなモルタル層などの施工を専門業者に予め依頼することが実際上は望ましい)。
【0017】
また、本発明の一実施形態における真空パック製品においては、前記真空パック製品の真空パック用袋内に封入された内容物の一部を構成する砂の粒度分布として、0.4mm~0.8mmの粒径の砂が砂全体の80重量%以上(より望ましくは90重量%以上)となるように構成されている(図1参照)ので、そのような砂を含む内容物を樹脂舗装のために使用して樹脂層(砂及び樹脂から成る層)を形成したときは、当該樹脂層(砂及び樹脂から成る層)を、例えばC.S.R=0.6以上の良好な滑り抵抗を有するものとすることができる。
【0018】
また、本発明の一実施形態における真空パック製品の真空パック用袋内に封入された内容物においては、前述のように、粒径が(0.4mm以上で且つ)0.8mm以下の砂が、砂全体の中で少なくとも80重量%以上含まれているように構成されている(例えば図1参照)ので、そのような砂を含む内容物を樹脂舗装のために使用して樹脂層(砂及び樹脂から成る層)を形成したときは、当該樹脂層(砂及び樹脂から成る層)を、下方のアスファルト層又はコンクリート層に対し少なくとも1平方ミリメートル当たり1.6N以上(又は同1.5N以上)の良好な接着性を有するものとすることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る真空パック製品に封入される砂を各真空パック製品毎に複数の色のいずれかの色に予め着色しておくようにしたときは、当該真空パック製品を用いて施工した樹脂舗装の意匠を、様々な顧客ニーズに合致したより優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の一実施形態に係る真空パック製品の内容物の一部を構成する砂の粒度分布の測定試験結果を説明するためのグラフ及び表である。
図1B】本発明の一実施形態に係る内容物に対する滑り性試験(C.S.R値)の結果を説明するための図である。
図1C】本発明の一実施形態に係る内容物に対する滑り性試験(C.S.R値)の結果を説明するためのである。
図1D】本発明の一実施形態に係る内容物に対する接着強度(接着性)試験の結果を説明するための図である。
図1E】本発明の一実施形態に係る内容物に対する接着強度(接着性)試験の結果を説明するための図である。
図2】本発明の実施例1による樹脂舗装の施工方法を説明するための概略図である。
図3】本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法を示す概略図である。
図4】本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法の一工程を示す斜視図である。
図5】本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法の一工程を示す斜視図である。
図6】本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法に使用する真空パック製品の外観を示す斜視図である。
図7】本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法の一工程を示す斜視図である。
図8】本発明の実施例2に係る他の施工方法に真空パック製品を使用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施例1〕
以下、本発明の実施例に係る真空パック製品及びこれを使用した樹脂舗装の施工方法を、図2~7を参照しながら説明する。図2は本発明の実施例1に係る樹脂舗装の施工方法を説明するための概略図、図3は本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法を示す概略図、図4図5及び図7は本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法の一工程を示す斜視図、図6は本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法に使用する真空パック製品の外観を示す斜視図である。
【0022】
まず図2図3などを参照して本実施例1に係る樹脂舗装の施工方法を説明する。本実施例1では、まず、地盤層1を掘削した凹部2(図3(a)参照)内に砕石などを所定厚さ(例えば数cm又はそれ以上)に敷き詰めて転圧等することにより下地層1aを形成する。なお、地盤層1の状態によってはこの下地層1aは無くてもよい。
【0023】
次に、前記凹部2内の下地層1a(又は下地層1aがない場合は前記凹部2内の地盤層1)の上に従来より周知の方法によりモルタル層、コンクリート層又はアスファルト層(以下これらを纏めて「モルタル等層」などという。)を形成する(図2の符号3、図3(b)の符号3など参照)。このモルタル等層3の厚さ等は、個々の地盤面1又は下地層1aの各状態により異なり得るが、多くの現場では大体、約30~50mmの厚さに形成することが望ましい。
【0024】
なお、本実施例1において前記凹部2内の下地層1a(又は下地層1aがない場合は前記凹部2内の地盤層1)の上にモルタル等層3を形成するようにしたのは、もし透水率が高い地盤層1又は下地層1aの上に後述する「真空パック製品6から取り出した内容物(中身)である砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)」を直接に敷き詰めるようにすると、内容物中の水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)が短時間内に透水率が高い地盤層1又は下地層1a内に染み込んでしまいその結果、当該地盤層1又は下地層1aの上に、前記内容物中の砂を前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)で固化(硬化)させることができなくなってしまうためである。
【0025】
次に、このように形成したモルタル等層3が十分に乾燥、硬化した後、モルタル等層3の上にバインダー層4を形成する。このバインダー層4は、例えば「モルダイン」(登録商標。関西パテ化工株式会社製)などの従来より周知のバインダーを使用して前記モルタル等層3上に塗布、形成する(図3(c)参照)。なお、図4はこのような従来周知のバインダーをハケ等を使用して前記モルタル等層3上に塗布してバインダー層4を形成する途中の動作を示す斜視図、図5はこのようにして必要な面積の領域の全体(例えば駐車場とする領域の全体)の上にバインダー層4を形成した後の状態を示す斜視図である。
【0026】
次に、前記バインダー層5が乾燥、硬化した後、砂を含む水溶性樹脂(又は水系樹脂。この場合、水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)は砂の中に自然に浸透、混合している)を順次敷設することにより「砂を含む樹脂層」5a,5b・・・(図3(d)、図3(e)参照)を形成するが、この作業は次のように行なう。すなわち、このような樹脂層5a,5b・・・を形成するための作業・工程においては、まず、砂を含む水溶性樹脂(又は水系樹脂。この場合、水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)は砂の中に自然に浸透、混合している)を一定量だけ封入した真空パック製品6(本実施例1のために開発された真空パック製品。図6参照)を、予め、必要な複数の個数だけ購入、確保して、施工現場に運搬しておく。
【0027】
前記真空パック製品6は、粒径が約0.4~約0.8mmであるような砂が砂全体中に少なくとも約80重量%以上又は約90重量%以上含まれている砂と、乾燥することにより硬化(又は固化)する水溶性樹脂(又は水系樹脂。硬化剤の機能を発揮し得るもの)とが例えば10:1から10:5までの体積比で(すなわち、前記砂の体積比10に対して前記樹脂の体積比が1~5となるように)封入されて成るものである。
【0028】
このような真空パック製品6には、前記砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)が真空パック用袋の内部において互いに混ざり合った状態で封入されている。また、それら(砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂))は前記真空パック用袋の中で既に互いに混ざり合った状態となっているので、それらを真空パック用袋から取り出したとき、それらを互いに混練する必要がなくまたそれらに他の液剤を混入させる必要もなく、そのまま樹脂舗装のために(すなわち前記「砂及び水溶性樹脂から成る、樹脂層」を形成するために)使用することができる。なお、上記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)としては、従来より販売されている、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂などの様々な種類の周知・公知の水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を使用できる。
【0029】
なお前記の水溶性アクリル系樹脂としては、例えば大成ファインケミカル株式会社(千葉県旭市鎌数9163-19)製の#1000(登録商標)などを使用することができる。また前記の水溶性ウレタン系樹脂としては、例えば大成ファインケミカル株式会社(千葉県旭市鎌数9163-19)製のWBRウレタンエマルジョン(登録商標)などを使用することができる。また前記の水溶性エポキシ系樹脂としては、例えばDIC株式会社(東京都中央区日本橋3-7-20)製のウォーターゾールEFD(登録商標)などを使用することができる。さらに前記の水溶性ポリエステル系樹脂としては、例えば東亜合成株式会社(東京都港区西新橋1-14-1)製のアロンメルトPES(登録商標)などを使用することができる。なお、前記の既に販売されている各樹脂製品はいずれも、水に溶解された状態の樹脂(水溶性樹脂)として販売されているので、前記各樹脂製品はそれぞれ、その購入時における状態のまま、本実施例に係る真空パック製品の材料として使用できる。
【0030】
また、前記各真空パック製品6にそれぞれ封入されている砂は、顧客が複数の色の中から所望の色を(各真空パック製品6毎に)選べるように、各真空パック製品6毎に複数の色のいずれかの色に着色されている(このように、各真空パック製品6中の砂にはカラー・バリエーションがある)。
【0031】
作業者は、前述のようにして形成されたバインダー層4が乾燥すると(乾燥時間は夏場は約20~30分、冬場は約1~2時間)、その後、前述のように予め用意しておいた複数の真空パック製品6の中の1つから、現場でその内容物を取り出してそれを、前記バインダー層4上の一部領域に対し、すなわち1つの真空パック製品6(図6参照)の内容物だけで塗布又は敷き詰めることができる面積に係る一部領域に対し、コテ、ハケ等で例えば約1.5~2.0mm厚に塗布又は敷き詰めて表面仕上げして、樹脂層(砂を含む樹脂層)5aを形成する(図3(d)参照)。なお、この場合の樹脂層5の厚さは、前記真空パック製品6の内容物(中身)中の砂の粒径、砂と水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)との体積比などにより個々に異なり得るが、大体、前述のように約1.5~2.0mmの厚さ(場合により約1.0~2.5mmの厚さ)に形成することが望ましい。
【0032】
また、本実施例では、前述のように、前記バインダー層4を形成することなく、前記モルタル等層3の一部領域に対して前記内容物を塗布又は敷き詰めて樹脂層(砂を含む樹脂層)5a(図3(d)参照)を形成するようにしてもよい。
【0033】
前記1つの真空パック製品6を使用して敷き詰められ又は塗布される前記樹脂層5a(図3(d)参照)の面積は、前記1つの真空パック製品6に封入されている1袋当たりの中身の砂と水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)の量やそれらの互いの体積比などにより個々に異なり得るが、大体、約1.0~3.0平方メートル、より望ましくは約2.0平方メートルの広さ面積に形成することが作業効率上望ましい。すなわち、上記のように、前記バインター層4の上に、約1.0~3.0平方メートル(又は約2.0平方メートル)の面積で且つ約1.5~2.0mm(又は約1.0~2.5mm)の厚さから成る前記樹脂層(砂を含む樹脂層)5aを形成できるのに十分な容量の内容物を、前記真空パック用袋に封入して、前記真空パック製品6(図6参照)を製造することが望ましい。なお、図3(d)では、モルタル等層3の厚さが約30~50mmであるのに対し、樹脂層5aの平面積が約1.0~3.0平方メートル、より望ましくは約2.0平方メートルであるから、図3(d)における縮尺が図の縦方向と横方向とで一致せずやや不自然になっているが、図示の便宜上、とりあえずこのようにしている。図3(e)も同様である。
【0034】
前記バインダー層4(又はバインダー層4がない場合はモルタル等層3)の一部領域に対する樹脂層5a(図3(e)参照)の形成が終わったら、次に、この一部領域に隣接する他の一部領域(前記と略同じ面積の一部領域)に対し、同様に、予め用意した複数の真空パック製品6の中の他の1つから内容物を取り出し、その内容物を、前記と同様に塗布又は敷き詰めて、前記樹脂層5aに隣接する他の樹脂層5bを形成する(図3(e)、図7を参照)。
【0035】
その後は、前記モルタル等層3又は前記バインダー層4上の全ての領域が前記樹脂層5a,5b・・・で全てカバーされるまで、前記と同様の作業を、順次、繰り返す。このような作業を繰り返すことにより、すなわち前記バインダー層4(又は前記モルタル等層3)上の各一部領域に対して前記各内容物を順次それぞれ塗布し又は敷き詰めることにより、最終的に、前記バインダー層4(又は前記モルタル等層3)上の全ての領域に前記樹脂層5a,5b・・・が形成される。これにより本実施例1に係る樹脂舗装の施工が終了する。
【0036】
なお、本実施例1では、前記バインダー層4(又は前記モルタル等層3)上の全ての領域に対して一度に樹脂層5(図2参照)を敷き詰める(例えば、複数個の各真空パック製品6の内容物を各袋から一度に開封して前記バインダー層4(又は前記モルタル等層3)上の全ての領域に対し一度に樹脂層5を塗布し又は敷き詰める)のではなく、複数個の真空パック製品6の中の1つだけからその内容物を取り出し、まずはその内容物でカバーできる面積(例えば2平方メートルの面積)の一部領域に対してだけ、前記内容物を塗布し又は敷き詰めて樹脂層5a(図3(d)参照)を形成し、以後は順次、同じ作業を繰り返すようにしたが、そのようにした理由は、水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)は真空パック製品6から取り出すと短時間内に乾燥して硬化してしまうため、複数個の真空パック製品6内の内容物を一度に全部取り出して一度に広範囲の領域に敷き詰めようとすると、その作業の途中で内容物中の水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)が乾燥し硬化してしまい、舗装作業が途中から継続できなくなってしまうためである。
【0037】
以上に説明したように、本実施例1においては、バインダー層4(又はモルタル等層3)の上に、粒径が約0.4~0.8mmの砂と乾燥することにより硬化する水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)とが約10:1から10:5までの体積比で(すなわち、前記砂の体積比10に対して前記樹脂の体積比が1~5となるように)封入された真空パック製品の1個から、その内容物(中身)である「砂とその中に染み込み互いに混合している水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)」を取り出し、そのように取り出した「砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)」を前記バインダー層が形成された領域の一部である所定の面積に係る一部領域部分の上に1.0~2.0mm厚(又は1.5~2.0mm厚)に敷き詰める(図3(d)参照)という作業を、一定面積の領域毎(例えば2平方メートルの領域毎)に順次繰り返す(図3(e)参照。図7も参照)だけで、最終的に必要な面積の全ての領域に渡り樹脂舗装を行なうことができる。よって、本実施例1によれば、樹脂舗装の知識と経験技能を有しないアルバイトなどの作業者だけでも、又は樹脂舗装に関する素人である一般人でも、下地層等(バインダー層4又はモルタル等層3)の上に簡単に樹脂舗装を行なうことができるようになる(なお、一般人が自宅の庭や駐車場の樹脂舗装をするときは、予めモルタル層、コンクリート層又はアスファルト層が施工されている場所を対象とするか、そのようなモルタル層などの施工を専門業者に予め依頼することが実際上は望ましい)。
【0038】
また、本実施例1に係る真空パック製品6は、前記の砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)を真空パック用袋の内部で互いに混ざり合った状態で封入するようにし、且つそれらを真空パック用袋から取り出したとき、それらは互いに混練する必要がなくまた他の液剤を混入させる必要もないものであるから、作業者は、真空パック製品6から取り出した内容物(砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂))をそのまま直ちに下地層等(バインダー層4又はモルタル等層3)の上に敷き詰め又は塗布して施工することができるので、熟練作業者でなくてもまた一般の素人でも、前記砂及び水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)の層を極めて簡便に且つ効率的に形成することができる。
【0039】
さらに、本実施例1に係る真空パック製品6に封入される砂は予め所望の色に着色されているので、本実施例1に係る真空パック製品を用いて施工した樹脂舗装の意匠をより顧客ニーズに合致した優れたものとすることができる。
【0040】
〔実施例2〕
次に、図8(a)及び(b)は本発明に係る真空パック製品を実施例1とは別の他の樹脂舗装(広義)の施工方法のために使用する場合を説明するための図である。図8(a)及び(b)において、11は車道、12は歩道、13は前記車道11と前記歩道12を分離するための例えば平面が10cmの正方形で高さが20cmの立方体から成る縁石(下方部分は地中に埋設されている)、14は前記縁石13を設置するための基礎の一部として形成された例えば10cm厚の砕石層、15は前記砕石層14の上に前記縁石13を設置するための基礎の一部として形成された例えば3cm厚のモルタル層である。
【0041】
一般に、前記車道11と前記縁石13との境目、又は前記歩道12と前記縁石との境目には、一定の隙間が存在しており、その隙間から雑草が繁殖することが多い。
【0042】
このような場合、作業者は、本実施例1で説明した真空パック製品から、前記砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)から成る内容物を取り出し、前記隙間に充填し又は塗布する。この場合、作業者は、前記砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)から成る内容物を真空パック用袋から取り出すだけで、それらを、互いに混練する必要がなくまた他の液剤を混入させる必要もなく前記取り出した状態のまま直ちに、前記隙間に充填し又は塗布することにより「砂及び樹脂から成る層」を形成すること(樹脂舗装(広義)の施工をすること)ができる。
【0043】
図8(b)の符号16は、このようにして前記内容物を前記隙間に充填し又は塗布して形成した「砂及び樹脂から成る層」を示す。前述のように、作業者は、前記砂及び前記水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)から成る内容物を真空パック用袋から取り出すだけで、それらを、互いに混練する必要がなくまた他の液剤を混入させる必要もなく前記取り出した状態のまま直ちに、前記隙間に充填し又は塗布することができるので、熟練作業者でなくてもまた一般の素人でも、前述のような「砂及び樹脂から成る層」を容易に且つ効率的に形成すること(樹脂舗装(広義)の施工をすること)ができる。
【0044】
また、図8(a)及び(b)は前記車道11と前記縁石13との境目、又は前記歩道12と前記縁石との境目に存在する隙間を塞ぐために本実施例に係る真空パック製品を使用して「砂及び樹脂から成る層」を形成すること(樹脂舗装(広義)の施工をすること)を説明したが、同様の作業は、例えば前記車道11や前記歩道12の表面側の一部に生じたひび割れなどによる隙間を塞ぐためにも、行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施例1,2について説明したが、本発明は前記実施例1として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施例1では、モルタル等層形成ステップと樹脂層形成ステップとの間にバインダー層形成ステップを介在させるようにしたが、本発明ではこのバインダー層形成ステップを省略するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 地盤層
1a 下地層
2 凹部
3 モルタル等層(モルタル、コンクリート又はアスファルトからなる層)
4 バインダー層
5 樹脂層(砂と水溶性樹脂(又は水系樹脂もしくは水性樹脂)から成る層)
6 真空パック製品
11 車道
12 歩道
13 縁石
14 砕石層
15 モルタル層
16 砂及び樹脂から成る層
【要約】
【目的】樹脂舗装の知識経験を有しない作業者だけでも又は樹脂舗装に関して素人である一般人でも、下地層等の上に簡単に樹脂舗装を行なうことができる真空パック製品及びこれを使用した樹脂舗装の施工方法を提供する。
【構成】樹脂舗装の材料として使用されたときに生成される樹脂層が良好な滑り抵抗及び良好な接着性を有するような粒径を有する砂が全体の中で少なくとも80重量%以上含まれている砂と、真空パック用袋中に封入されているときは水に溶解しており真空パック用袋から取り出された後は乾燥して硬化する水溶性樹脂とが、10:1から10:5までの体積比で互いに混ざり合わされた状態になっている内容物が真空パックされて成る真空パック製品、並びにこれを用いた樹脂舗装の施工方法である。
【選択図】 図2
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8