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特許7462113情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240328BHJP
   G06T 7/277 20170101ALI20240328BHJP
   G06V 10/62 20220101ALI20240328BHJP
【FI】
H04N7/18 K
G06T7/277
G06V10/62
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023522011
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2021018624
(87)【国際公開番号】W WO2022244062
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 正史
(72)【発明者】
【氏名】青木 玲央
(72)【発明者】
【氏名】金田 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】中前 貴司
(72)【発明者】
【氏名】岡野 毅
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-091705(JP,A)
【文献】特開2010-118851(JP,A)
【文献】特開2019-067159(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112200101(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/20
G06V 10/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得部と、確率取得部と、判定部とを備え、
前記画像取得部は、画像を取得可能に構成され、
前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、
前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、
前記確率取得部は、前記画像に基づいて、存在確率と種類データを取得可能に構成され、
前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、
前記種類データは、前記物体の種類を特定するデータであり、
前記判定部は、前記第1及び第2フレームにおける前記物体の前記種類が同じであると判定した場合に、前記存在確率を比較して前記物体の状況を判定するように構成されており、
前記種類データは、前記物体の前記種類の候補ごとに種類特定確率が特定されており、
前記判定部は、前記種類の前記候補のうち最も前記種類特定確率が高い前記候補を、前記物体の前記種類として特定するように構成されている、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記確率取得部は、前記画像に基づいて、前記物体の座標を更に取得可能に構成され、 前記判定部は、前記第1及び第2フレームにおける前記物体の前記座標間の距離が予め定められた距離以下であると判定した場合に、前記存在確率を比較して前記物体の前記状況を判定する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1の情報処理装置であって、
前記状況は、前記物体の移動に対応しており、
前記判定部は、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率との差分が予め定められた第1閾値よりも大きいと判定した場合に、前記物体が接近してきていると判定するように構成される、情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記物体には、船が含まれ、
前記情報処理装置は、前記船の相対的な移動の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
修正確率取得部を更に備え、
前記修正確率取得部は、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率とに基づいて、修正確率を取得可能に構成され、
前記修正確率は、前記第1フレームの前記タイミングと前記第2フレームの前記タイミングとの間において、前記フレーム内に前記物体が存在する確率であり、
前記判定部は、前記修正確率に基づいて、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記第2フレームの前記存在確率が前記第1フレームの前記存在確率よりも高い場合において、前記修正確率取得部が取得する前記修正確率は、前記第2フレームの前記存在確率よりも高い、情報処理装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記第1フレームの前記存在確率が前記第2フレームの前記存在確率よりも高い場合において、前記修正確率取得部が取得する前記修正確率は、前記第2フレームの前記存在確率よりも低い、情報処理装置。
【請求項8】
請求項5~請求項7の何れか1つに記載の情報処理装置であって、
前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率の両方が予め定められた第2閾値より低い場合において、前記修正確率に基づいて、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記修正確率は、前記第2閾値よりも高い、情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の情報処理装置であって、
前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率のうちの少なくとも一方が前記第2閾値より高い場合において、前記修正確率を用いずに、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置。
【請求項11】
画像取得ステップと、確率取得ステップと、判定ステップとを備えた情報処理方法であって、
前記画像取得ステップでは、画像を取得し、
前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、
前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、
前記確率取得ステップでは、前記画像に基づいて、存在確率と種類データを取得し、
前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、
前記種類データは、前記物体の種類を特定するデータであり、
前記判定ステップでは、前記第1及び第2フレームにおける前記物体の前記種類が同じ
であると判定した場合に、前記存在確率を比較して前記物体の状況を判定し、
前記種類データには、前記物体の前記種類の候補ごとに種類特定確率が特定されており、
前記判定ステップは、前記種類の前記候補のうち最も前記種類特定確率が高い前記候補を、前記物体の前記種類として特定する、情報処理方法。
【請求項12】
画像取得部と、確率取得部と、判定部とを備え、
前記画像取得部は、画像を取得可能に構成され、
前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、
前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、
前記確率取得部は、前記画像に基づいて、存在確率を取得可能に構成され、
前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、
前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定するように構成されており、
前記物体の前記状況は、前記物体の移動に対応しており、
前記判定部は、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率との差分が予め定められた第1閾値よりも大きいと判定した場合に、前記物体が接近してきていると判定するように構成される、情報処理装置。
【請求項13】
画像取得ステップと、確率取得ステップと、判定ステップとを備えた情報処理方法であって、
前記画像取得ステップは、画像を取得し、
前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、
前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、
前記確率取得ステップでは、前記画像に基づいて、存在確率を取得し、
前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、
前記判定ステップでは、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定し、
前記物体の前記状況は、前記物体の移動に対応しており、
前記判定ステップは、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率との差分が予め定められた第1閾値よりも大きいと判定した場合に、前記物体が接近してきていると判定する、情報処理方法。
【請求項14】
画像取得部と、確率取得部と、判定部と、修正確率取得部とを備え、
前記画像取得部は、画像を取得可能に構成され、
前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、
前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、
前記確率取得部は、前記画像に基づいて、存在確率を取得可能に構成され、
前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、
前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定するように構成されており、
前記修正確率取得部は、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率とに基づいて、修正確率を取得可能に構成されており、
前記修正確率は、前記第1フレームの前記タイミングと前記第2フレームの前記タイミングとの間において、前記フレーム内に前記物体が存在する確率であり、
前記判定部は、前記修正確率に基づいて、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置。
【請求項15】
画像取得ステップと、確率取得ステップと、判定ステップと、修正確率取得ステップとを備えた情報処理方法であって、
前記画像取得ステップは、画像を取得し、
前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、
前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、
前記確率取得ステップは、前記画像に基づいて、存在確率を取得し、
前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、
前記判定ステップは、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定し、
前記修正確率取得ステップは、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率とに基づいて、修正確率を取得し、
前記修正確率は、前記第1フレームの前記タイミングと前記第2フレームの前記タイミングとの間において、前記フレーム内に前記物体が存在する確率であり、
前記判定ステップは、前記修正確率に基づいて、前記物体の前記状況を判定する、情報処理方法。
【請求項16】
確率取得部と、修正確率取得部とを備え、
前記確率取得部は、第1状況確率と、タイミングが前記第1状況確率よりも後である第2状況確率とを取得可能に構成され、
前記第1及び第2状況確率は、対象の状況を表す確率であり、
前記修正確率取得部は、前記第1及び第2状況確率に基づいて、修正確率を取得可能に構成され、
前記修正確率は、前記第1状況確率を取得する前記タイミングと前記第2状況確率を取得する前記タイミングとの間において、前記対象の前記状況を表す確率である、情報処理装置。
【請求項17】
確率取得ステップと、修正確率取得ステップとを備えた情報処理方法であって、
前記確率取得ステップは、第1状況確率と、タイミングが前記第1状況確率よりも後である第2状況確率とを取得し、
前記第1及び第2状況確率は、対象の状況を表す確率であり、
前記修正確率取得ステップは、前記第1及び第2状況確率に基づいて、修正確率を取得し、
前記修正確率は、前記第1状況確率を取得する前記タイミングと前記第2状況確率を取得する前記タイミングとの間において、前記対象の前記状況を表す確率である、情報処理方法。
【請求項18】
請求項11、13、15又は17に記載の前記情報処理方法を実行する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置には様々な機能のものが存在するが、例えば、対象(有体物だけでなく無体物も含む)の状況の把握をするのに活用される情報処理装置がある。このような情報処理装置としては、例えば、物体(対象の一例)間の距離を取得することで物体同士が衝突しそうな状況か否かを把握することができるものや、人間の感情(対象の一例)がどのような状況にあるかを推定可能なものもある。例えば、特許文献1には、生体情報をセンサから取得して、人間の感情を推定することが可能な情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-144052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報処理装置が活用されるシーンによらず、対象の状況を適切に把握することができることが望まれる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、対象の状況を適切に把握することができる、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、画像取得部と、確率取得部と、判定部とを備え、前記画像取得部は、画像を取得可能に構成され、前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、前記確率取得部は、前記画像に基づいて、存在確率を取得可能に構成され、前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定するように構成されている、情報処理装置が提供される。
【0007】
本発明では、判定部が、第1及び第2フレームの存在確率に基づいて、物体の状況を判定するように構成されており、対象(物体)の状況を適切に把握することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記確率取得部は、前記画像に基づいて、前記物体の座標を更に取得可能に構成され、前記判定部は、前記第1及び第2フレームにおける前記物体の前記座標間の距離が予め定められた距離以下であると判定した場合に、前記存在確率を比較して前記物体の前記状況を判定する、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記確率取得部は、前記画像に基づいて、種類データを更に取得可能に構成され、前記種類データは、前記物体の種類を特定するデータであり、前記判定部は、前記第1及び第2フレームにおける前記物体の前記種類が同じであると判定した場合に、前記存在確率を比較して前記物体の前記状況を判定する、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記種類データには、前記物体の前記種類の候補ごとに種類特定確率が特定されており、前記判定部は、前記種類の前記候補のうち最も前記種類特定確率が高い前記候補を、前記物体の前記種類として特定するように構成されている、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記判定部は、前記第1及び第2フレームにおける前記物体が同じであると判定した場合に、前記存在確率を比較して前記物体の前記状況を判定する、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記状況は、前記物体の移動に対応しており、前記判定部は、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率との差分が予め定められた第1閾値よりも大きいと判定した場合に、前記物体が接近してきていると判定するように構成される、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記物体には、船が含まれ、前記情報処理装置は、前記船の相対的な移動の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置が提供される。
好ましくは、修正確率取得部を更に備え、前記修正確率取得部は、前記第2フレームの前記存在確率と前記第1フレームの前記存在確率とに基づいて、修正確率を取得可能に構成され、前記修正確率は、前記第1フレームの前記タイミングと前記第2フレームの前記タイミングとの間において、前記フレーム内に前記物体が存在する確率であり、前記判定部は、前記修正確率に基づいて、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記第2フレームの前記存在確率が前記第1フレームの前記存在確率よりも高い場合において、前記修正確率取得部が取得する前記修正確率は、前記第2フレームの前記存在確率よりも高い、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記第1フレームの前記存在確率が前記第2フレームの前記存在確率よりも高い場合において、前記修正確率取得部が取得する前記修正確率は、前記第2フレームの前記存在確率よりも低い、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率の両方が予め定められた第2閾値より低い場合において、前記修正確率に基づいて、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記修正確率は、前記第2閾値よりも高い、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記判定部は、前記第1及び第2フレームの前記存在確率のうちの少なくとも一方が前記第2閾値より高い場合において、前記修正確率を用いずに、前記物体の前記状況を判定するように構成されている、情報処理装置が提供される。
【0009】
本発明の実施形態の別の観点によれば、画像取得ステップと、確率取得ステップと、判定ステップとを備えた情報処理方法であって、前記画像取得ステップでは、画像を取得し、前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、前記確率取得ステップでは、前記画像に基づいて、存在確率を取得し、前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、前記判定ステップでは、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定する、方法が提供される。
【0010】
本発明の実施形態の別の観点によれば、画像取得ステップと、確率取得ステップと、判定ステップとを備えた情報処理方法を実行するコンピュータプログラムであって、前記画像取得ステップでは、画像を取得し、前記画像は、タイミングが異なる複数のフレームを含み、前記複数のフレームは、第1フレームと、前記タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームとを有し、前記確率取得ステップでは、前記画像に基づいて、存在確率を取得し、前記存在確率は、前記フレーム内において物体が存在する確率であり、前記判定ステップでは、前記第1及び第2フレームの前記存在確率に基づいて、前記物体の状況を判定する、コンピュータプログラムが提供される。
【0011】
本発明の実施形態の別の観点によれば、確率取得部と、修正確率取得部とを備え、前記確率取得部は、第1状況確率と、タイミングが前記第1状況確率よりも後である第2状況確率とを取得可能に構成され、前記第1及び第2状況確率は、対象の状況を表す確率であり、前記修正確率取得部は、前記第1及び第2状況確率に基づいて、修正確率を取得可能に構成され、前記修正確率は、前記第1状況確率を取得する前記タイミングと前記第2状況確率を取得する前記タイミングとの間において、前記対象の前記状況を表す確率である、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記第2状況確率が前記第1状況確率よりも高い場合において、前記修正確率取得部が取得する前記修正確率は、前記第2状況確率よりも高い、情報処理装置が提供される。
好ましくは、前記第1状況確率が前記第2状況確率よりも高い場合において、前記修正確率取得部が取得する前記修正確率は、前記第2状況確率よりも低い、情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る情報処理装置100の機能ブロック図である。
図2図2Aは、確率取得部2へ入力する画像D1及び確率取得部2から出力される出力D2の説明図である。図2Bは、種類データd3を説明するための模式図である。
図3図3は、画像D1の模式図である。
図4図4は、図3に示す画像D1中の各物体を上から見た状態を示している、各物体の位置説明図である。
図5図5Aは、画像D1の第1フレームの模式図である。図5Bは、画像D1の第2フレームの模式図である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理装置100の制御フローチャートである。
図7図7は、変形例1に係る情報処理装置100の機能ブロック図である。
図8図8は、変形例1に係る情報処理装置100の制御フローチャートである。
図9図9は、変形例2に係る画像のフレームの模式図である。
図10図10Aは、変形例3に係る画像D1の第1フレームの模式図である。図10Bは、変形例3に係る画像D1の第2フレームの模式図である。
図11図11Aは、変形例3に係る確率取得部2へ入力する画像D1及び確率取得部2から出力される出力D2の説明図である。図11Bは、変形例3に係る存在確率d1を説明するための模式図である。
図12図12は、変形例3に係る情報処理装置100の制御フローチャートである。
図13図13は、変形例4に係る情報処理装置100の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0014】
1 全体構成説明
実施形態に係る情報処理装置100の全体構成について説明する。実施形態において、情報処理装置100は、船(図4に示す情報処理装置100の搭載船obt)に搭載されているものとして説明する。情報処理装置100は、海上の予め定められた対象が搭載船obtに接近中であるか否かを早期に判定する機能を有する。ここで、実施形態において、対象は、物体(有体物)である。また、物体は、自身の動力で動作するものであるか否かは限定されない。また、物体は、海上に浮遊しているものに限定されるものではなく、浮遊・飛行しているものであってもよい。物体は、例えば、船、ブイ、ヨット、ブイ等である。船には、急激な方向転換や急激な速度アップが困難なものがあるため、物体が船に接近中であるかどうかを早期に予め把握しておくことは、船と物体との衝突を回避する観点で有益である。
【0015】
搭載船obtには、情報処理装置100の他に、図1に示す撮像装置20及び外部装置21が搭載されている。撮像装置20は、搭載船obtの周囲(実施形態では前方)を撮像して得られるデータ(画像D1)を情報処理装置100へ出力するように構成されている。撮像装置20は、搭載船obtに取り付けられている。外部装置21は、例えば、スピーカーやディスプレイ等で構成され、音声や文字等の手段によって搭載船obtの搭乗者へ、物体が接近中であるか否かを知らせる機能を有する。情報処理装置100は、画像D1の複数のフレームに基づいて物体が接近中であるか否かを判定し、判定結果を外部装置21へ出力することが可能である。これにより、情報処理装置100は、早期に搭載船obtの搭乗者に回避動作を促すことができる。
【0016】
情報処理装置100は、画像取得部1と、確率取得部2と、判定部3と、出力部4とを備えている。情報処理装置100の各構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、CPUがコンピュータプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。プログラムは、内蔵の記憶部に格納してもよく、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶部に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。ハードウェアによって実現する場合、ASIC、FPGA、又はDRPなどの種々の回路によって実現することができる。本実施形態においては、様々な情報やこれを包含する概念を取り扱うが、これらは、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、上記のソフトウェア又はハードウェアの態様によって通信や演算が実行され得るものである。
【0017】
2 情報処理装置100の詳細構成説明
2-1 画像取得部1
図1に示すように、画像取得部1は、撮像装置20から画像D1を取得可能に構成されている。なお、画像取得部1で行われる処理が、画像取得ステップの一例である。ここで、実施形態では、画像D1は、複数のフレームを有する。複数のフレームは、時系列情報が特定されているデータである。具体的には、複数のフレームは、図5A及び図5Bに示すように、第1フレームD11と、タイミングが第1フレームよりも後である第2フレームD12とを有する。なお、第1フレームにおけるタイミング(時刻)を第1タイミングと定義し、第2フレームにおけるタイミング(時刻)を第2タイミングと定義する。図5A及び図5Bに示すフレームの例では、船ob1が搭載船obtに接近してきている。このため、図5Bに示すフレームは、図5Aに示すフレームよりも、船ob1が徐々に大きく且つ明瞭に表示される。
【0018】
画像D1の構成例について図3を参照して説明する。実施形態において、画像D1のフレームには、船ob1と、空ob2と、海ob3とが映し出されている。実施形態において、物体とは、船ob1の他、ブイやヨットといったような、船が進行する上で障害となり得るような対象を指している。
【0019】
船ob1は、搭載船obt(撮像装置20)の正面に位置している。図4に示すように、搭載船obtを中心に直交座標を定義すると、y軸上に船ob1は位置している。なお、図4において、y軸は、搭載船obtの進行方向に平行であり、x軸は、y軸に直交している。船ob1は、搭載船obtに接近中の物体である。具体的には、船ob1は、-y軸方向に移動している。
【0020】
実施形態では、後述する判定部3が、2つのフレーム中の物体の状況確率の差分に基づいて、物体が接近中であるか否かといった状況判定を行う。状況確率は、対象(実施形態では物体)の状況を表す確率であり、実施形態における状況確率は、対象(実施形態では物体)の存在確率である。存在確率は、画像のフレーム中に予め定められた物体が存在する確率である。
第1フレームと第2フレームとの間のタイミングの差は、特に限定されるものではないが、情報処理装置100が搭載されるものに応じて設定することが好ましい。例えば、実施形態のように、情報処理装置100が船に搭載される場合には、車両や飛行機等と比較して、障害物となり得る対象の移動速度は低い。このため、第1タイミングと第2タイミングとの差は、例えば、10秒,20秒,30秒,40秒,50秒,1分,2分,3分,4分,5分,6分,7分,8分,9分,10分である。また、第1タイミングと第2タイミングとの差は、ここで列挙した値のうちの2つの値の範囲で表されていてもよい。
【0021】
2-2 確率取得部2
確率取得部2は、図2Aに示すように、画像D1に基づいて存在確率d1を含む出力D2を取得する。そして、確率取得部2は、出力D2を判定部3へ出力する。なお、確率取得部2で行われる処理が、確率取得ステップの一例である。出力D2は、存在確率d1(存在確率データ)と、座標d2(座標データ)と、種類データd3とを有する。なお、存在確率d1は、状況確率(実施形態では存在確率)が特定されたデータ(状況確率データ)である。ここで、これらのデータの構成例について説明する。
【0022】
存在確率d1は、画像D1のフレーム中の物体の存在確率の値が特定されているデータである。存在確率d1の存在確率は、画像D1のフレーム中に予め定められた物体が存在する確率である。
【0023】
座標d2は、画像D1のフレーム中の物体の座標が特定されているデータである。実施形態では、座標d2の座標は、x-z座標系である。また、座標d2には、画像D1のフレーム中の物体の横幅W及び縦幅Hが特定されているデータも含む。
【0024】
種類データd3は、画像D1のフレーム中の物体の種類を特定するためのデータである。種類データd3は、画像D1のフレーム中の各物体について、予め定められた種類ごとに確率が特定されているデータである。例えば、図2Bに示すように、実施形態における予め定められた種類には、船、ブイ、ヨットといったものが含まれている。実施形態では、画像D1のフレーム中の物体としては、船、ブイ及びヨット等がある。例えば、種類データd3は、船ob1に対応する物体に対して、船である確率、ブイである確率、及びヨットである確率等といったように予め定められている全ての候補の物体の確率が特定されている。
【0025】
上述した出力D2(存在確率d1、座標d2、及び種類データd3)は、画像D1を入力して出力D2を出力する学習モデルに基づいて算出することができる。学習モデルとは、多数の教師データ(既知の入力データと正解データの組)を用いてモデルを訓練し、将来の出力を予測可能にするモデルである。本実施形態では、教師データの入力データは、海上の船等の物体を移した画像データ(フレーム)であり、正解データは、この画像データに映し出されている物体の存在確率、物体の座標、物体の横幅及び縦幅及び物体の種類を含む。本実施形態では、学習モデル(機械学習モデル)は、例えば、YOLO(You Only Look Once)やSSD(Single Shot Detector)といった各種の物体検出アルゴリズムを採用することができる。
【0026】
2-3 判定部3
判定部3は、座標d2の有無を判定する機能(以下、第1機能とも称する)と、異なるフレーム中の物体間の座標間距離が予め定められた距離以下であるかを判定する機能(以下、第2機能とも称する)と、異なるフレーム中の物体の種類が同一であるか否かを判定する機能(以下、第3機能とも称する)と、異なるフレーム中の物体の存在確率を比較する機能(以下、第4機能とも称する)とを有する。そして、判定部3は、物体の状況を示す判定結果を出力可能に構成されている。
【0027】
まず、第1機能について説明する。判定部3は、第2フレーム(時系列的に後のフレーム)の座標d2の有無を判定する。第2フレーム(時系列的に後のフレーム)の存在確率が0%である場合には、出力D2には座標d2が含まれず、存在確率が0%より高い場合には、出力D2には座標d2が含まる。つまり、実施形態において、出力D2中に座標d2が存在している場合は、存在確率が0%よりも高い場合と等価である。なお、第1機能は、閾値判定で代替してもよい。つまり、判定部3は、存在確率が予め定められた閾値(例えば、5%)より高いか否かを判定する機能に置き換えてもよい。つまり、存在確率がかなり低い条件であれば、情報処理装置100が、物体がフレーム中に存在しないものとして処理してもよい。
【0028】
次に、第2機能について説明する。画像取得部1は、第1フレーム(時系列的に前のフレーム)の物体の座標と、第2フレーム(時系列的に後のフレーム)の物体の座標とをそれぞれ取得しており、これらの座標を出力D2として判定部3に出力している。判定部3は、第1フレームの物体の座標と、第2フレームの物体の座標との間の座標間距離が、予め定められた距離以下であるかを判定する。情報処理装置100は各フレームの物体が同一であるか否かを把握する基準として、この座標間距離を用いている。座標間距離が予め定められた距離以下であるのであれば、第1フレームの物体と第2フレームの物体とが同じものである可能性を高めることになるからである。
【0029】
次に、第3機能について説明する。画像取得部1は、第1フレーム(時系列的に前のフレーム)の物体の種類データd3と、第2フレーム(時系列的に後のフレーム)の物体の種類データd3とをそれぞれ取得しており、これらのデータを出力D2として判定部3に出力している。
ここで、判定部3は、各フレームの種類データd3を用いて物体の種類を特定する。具体的には、判定部3は、第1フレームにおける物体の種類の候補の確率(種類特定確率)のうち、最も確率が高い候補を、物体の種類として特定する。例えば、図3に示す画像D1の場合には、船が鮮明に映し出されているため、船の確率が高く算出され、ブイやヨットの確率は低く算出されることになる。判定部3は、これらの確率の大小を比較し、最も高い候補である船を物体の種類として特定する。判定部3は、第2フレームについても同様に、物体の種類を特定する。つまり、判定部3は、第2フレームにおける物体の種類の候補の確率のうち、最も確率が高い候補を、物体の種類として特定する。
そして、判定部3は、第1フレームの物体の種類と、第2フレームの物体の種類とが同一であるか否かを判定する。このように、情報処理装置100は各フレームの物体が同一であるか否かを把握する基準として、物体の種類を用いている。種類が同一であれば、第1フレームの物体と第2フレームの物体とが同じものである可能性を高めることになるからである。
【0030】
次に、第4機能について説明する。画像取得部1は、第1フレーム(時系列的に前のフレーム)の物体の存在確率と、第2フレーム(時系列的に後のフレーム)の物体の存在確率とをそれぞれ取得しており、これらの存在確率を出力D2として判定部3に出力している。判定部3は、第1フレームの物体の存在確率と、第2フレームの物体の存在確率とを比較する機能を有する。具体的には、判定部3は、第2フレームの存在確率から、第1フレームの存在確率を引いて得られる値(差分)が予め定められた閾値Th1(第1閾値の一例)よりも大きいと判定した場合に、物体が接近してきていると判定するように構成されている。換言すると、判定部3は、第1フレームから第2フレームにかけて、存在確率が予め定められた閾値Th1よりも上昇した場合に、物体が接近してきていると判定する。このように、情報処理装置100は、存在確率単体で状況判定をするのではなく、存在確率の差分を用いて状況判定をしている。なお、判定部3の判定結果が、判定結果D3に対応している。
【0031】
ここで、閾値Th1の値は、特に限定されるものではないが、閾値Th1の値は、例えば、10~50のうちのいずれかの数値に設定することができる。閾値Th1の値は、情報処理装置100が搭載されるものに応じて適宜設定することができる。
【0032】
2-4 出力部4
出力部4は、判定結果D3を外部装置21へ出力するように構成されている。外部装置21は、搭載船obtに搭載されるディスプレイ等の機器に限定されるものではない。搭載船obtの運行状況を統括するコントロールセンターに出力されてもよい。
【0033】
3 動作説明
図6に基づいて情報処理装置100の動作について説明する。図6の制御フローチャートは、異なるタイミングのフレームを取得した段階で実施可能である。
【0034】
ステップS1:座標d2の有無判定(第1機能)
判定部3は、第2フレーム中(時系列的に後のフレーム中)に座標d2が存在するか否かを判定する。存在する場合には、ステップS2へ移行する。存在しない場合には、ステップS5-2へ移行する。
【0035】
ステップS2:座標間距離の閾値判定(第2機能)
判定部3は、第1及び第2フレームにおける物体の座標間の距離が予め定められた距離以下であるか否かを判定する。距離が予め定められた距離以下である場合には、第1及び第2フレームにおける両物体が同一である可能性があるため、ステップS3へ移行する。距離が予め定められた距離以下ではない場合には、ステップS5-2へ移行する。
【0036】
ステップS3:種類の同一判定(第3機能)
判定部3は、第1及び第2フレームにおける物体の種類が同じであるか否かを判定する。この判定をするにあたって、判定部3は、予め、第1及び第2フレームの物体の種類を特定している。つまり、判定部3は、第1及び第2フレームのそれぞれに関して、物体の種類の候補のうち最も確率(種類特定確率)が高い候補を、物体の種類として特定する。物体の種類が同じである場合には、両物体が同一である可能性が更に高まるため、ステップS4へ移行する。物体の種類が同じでない場合には、ステップS5-2へ移行する。
【0037】
ステップS4:存在確率の比較(第4機能)
実施形態に係る情報処理装置100は、ステップS1-ステップS3を経てきた場合には、第1及び第2フレーム中の物体が同一であるものとみなしている。つまり、ステップS1-ステップS3は、第1及び第2フレームにおける物体が同じであるか否かを判定するためのステップということができる。判定部3は、この同一であるとみなされた物体の存在確率の差分(第2フレームにおける物体の存在確率から、第1フレームにおける物体の存在確率を引いて得られる値)を取得する。そして、判定部3は、この差分が予め定められた閾値Th1より大きいか否かを判定する。閾値Th1より大きい場合には、ステップS5-1に移行する。閾値より大きくない場合には、ステップS5-2に移行する。ステップS4が、判定ステップの一例である。
【0038】
ステップS5-1:接近中
判定部3は、物体が接近中である、という状況を表す判定結果D3を生成する。
【0039】
ステップS5-2:接近中でない
判定部3は、物体が接近中ではない、という状況を表す判定結果D3を生成する。
【0040】
4 実施形態の効果
従来、特定の物体である確率が予め定められた閾値以上であると判定されたことを契機として、特定の制御(物体を回避する動作に係る制御)を実行するように構成されている情報処理装置が知られている。このような装置では、例えば、当該確率の値が急速に変動する場合には、特定の制御を適切に実行できなくなる可能性が高まる。また、大型船のように速度をすみやかに上昇させたり、進行方向をすみやかに変更したりすることが難しい乗り物の場合においても、特定の制御を適切に実行できなくなる可能性が高まる。つまり、従来の情報処理装置は、活用されるシーンによっては、対象(物体)の状況を適切に把握することができず、その結果、特定の制御を適切に実行することができなくなる可能性が高まる。
本実施形態に係る情報処理装置100は、判定部3が、第1及び第2フレームの存在確率に基づいて、物体の状況を判定するように構成されている。つまり、情報処理装置100は、従来の情報処理装置のように確率単体を用いて回避動作をするべき状況であるか否かを判定するのではなく、存在確率の差分を用いて回避動作をするべき状況であるか否かを判定する。このため、情報処理装置100は、従来の情報処理装置よりも、より事前に特定の制御をするべき状況にあるかどうかを判定することができ、各種装置の機能(例えば、物体を回避する動作に係る制御機能)を適切に発揮させることができる。
【0041】
5 変形例
5-1 変形例1:修正確率取得部5
実施形態では、第1及び第2フレームの存在確率の差分に基づいて、状況判定をしていたが、これに限定されるものではない。情報処理装置100は、図7に示すように、修正確率取得部5を更に備えていてもよい。
【0042】
修正確率取得部5は、第2フレームの存在確率と第1フレームの存在確率との差分に基づいて、修正確率D21を取得可能に構成されている。修正確率D21は、修正確率の値が特定されているデータである。修正確率は、第1フレームのタイミングと第2フレームのタイミングとの間において、フレーム内に物体が存在する確率である。実施形態では、存在確率の差分そのものと閾値とを比較する形態であったが、変形例では、差分を確率(修正確率Pc)に再び置き換える点で異なっている。
【0043】
修正確率Pcは、例えば、予め定められた関係式に基づいて取得可能である。つまり、第1及び第2フレームの存在確率が定まれば、修正確率Pcが一義的に定められる。
この関係式は、例えば、第2フレームの存在確率が第1フレームの存在確率よりも高い場合においては、修正確率が第2フレームの存在確率よりも高い値となるように設定される。つまり、存在確率が上昇している場合には、物体が接近している可能性が高いということができるので、修正確率Pcは、第2フレームの存在確率よりも高くする。
なお、存在確率が低下している場合には、物体が接近していない状況にあるということができる。このため、この関係式は、第1フレームの存在確率が第2フレームの存在確率よりも高い場合においては、修正確率Pcは、第2フレームの存在確率よりも低い値となるように設定される。
【0044】
また、変形例におけるフローチャートは、図8に示すように、ステップS4及びステップS5を備える点で実施形態のフローチャートとは異なっている。ステップS4は、修正確率取得部5が、第2フレームの存在確率と第1フレームの存在確率との差分に基づいて、修正確率D21を取得するステップである。ステップS5は、判定部3が、修正確率D21の修正確率Pcが閾値Th2より大きいか否かを判定する。修正確率Pcが閾値Th2より大きい場合には、物体が接近中であると判定することになる(ステップS6-1)。
【0045】
なお、例えば、第1フレームにおける物体の存在確率が1%であり第2フレームにおける物体の存在確率が6%である場合と、第1フレームにおける物体の存在確率が20%であり第2フレームにおける物体の存在確率が25%である場合とは、差分自体は同じである。しかし、前者の場合と後者の場合とでは、存在確率の大きさが異なる。このため、前者の場合と後者の場合とでは、差分自体が同じであっても、判定内容に差をつけることが好ましい場合がある。例えば、前者の場合には、存在確率自体が非常に低いため、誤差で存在確率が増大した可能性がある。それに対し、後者の場合は、比較的、存在確率が高いため、存在確率の上昇は誤差ではなく、有意なものである可能性が高い。そこで、本変形例1に係る修正確率取得部5の予め定められた関係式は、存在確率の差分が同じであっても、存在確率自体の大きさが異なる場合には、判定内容に差がつくように定められていることが好ましい。
【0046】
また、状況判定に差分を用いるか、それとも修正確率を用いるかを選択できるようにしておくことが好ましい。
例えば、判定部3は、第1及び第2フレームの存在確率の両方が予め定められた閾値(第2閾値の一例)より低い場合においては、修正確率Pcに基づいて、物体の状況を判定するように構成されていてもよい。この場合において、修正確率Pcは、予め定められた閾値(第2閾値の一例)よりも高い。
また、判定部3は、第1及び第2フレームの存在確率のうちの少なくとも一方が当該閾値(第2閾値の一例)より高い場合においては、修正確率Pcを用いずに、物体の状況を判定するように構成されていてもよい。このように、第1及び第2フレームの存在確率の大きさに応じて、修正確率を用いるか否かを決めることで、シーンに応じた適切な状況判定を実現することが期待できる。
【0047】
5-2 変形例2:複数物体が存在する場合について
実施形態では、判定対象となる1つの物体(船ob1)のみがフレーム中に収まっている形態について説明したがこれに限定されるものではない。複数の物体がフレーム中に収まっていてもよい。例えば、図9に示すように、画像のフレーム中にブイob4及び船ob5が映っていてもよい。
【0048】
ここで、ブイob4は、搭載船の近くに存在している分、ブイob4の存在確率は、かなり高く値になる。存在確率が高い物体に対しては、実施形態で説明してきたような一連の制御(図6のステップS1~ステップS5-2)によらず、その他の公知の手法で接近判定をすることが好ましい。つまり、存在確率が予め定められた閾値よりも高い場合には、本来的に搭載船の近くにいる物体であるものとみなすことが可能であるため、実施形態で説明してきたような一連の制御(図6のステップS1~ステップS5-2)を実行しないことが好ましい。この場合、例えば、図6に示すフローチャートのステップS1の前段のステップとして、存在確率が閾値以上であるか否かを判定するステップを追加で設けるとよい。そして、存在確率が閾値未満であれば、ステップS1へ移行し、存在確率が閾値以上であれば、公知の手法の接近判定を実施するようにするとよい。公知の手法では、例えば、物体の大きさの変化や物体の座標の変化に基づいて接近判定を行うことができる。
【0049】
また、フレーム中には、船ob1及び船ob5が収まっているが、これらの物体の違いは、ステップS2の座標間距離が閾値以下か否かによって判断されることになる。つまり、船ob1について図6に示すフローチャートが実施されている場合において、船ob1の座標d2以外に、2つの物体(ブイob4及び船ob5)の座標d2も存在している。しかし、第1フレームの船ob1の座標d2と第2フレームの船ob1の座標d2との差分(座標間距離)は短いのに対し、第1フレームの船ob1の座標d2と第2フレームのブイob4の座標d2との差分や、第1フレームの船ob1の座標d2と第2フレームの船ob5の座標d2との差分は長い。このため、ステップS2が実施されることで、第2フレームの船ob1が、ブイob4や船ob5であると誤判定されることを回避することができる。ブイob4や船ob5についても、同様である。つまり、ステップS2が実施されることで、ブイob4が、船ob1や船ob5と誤判定されることや、船ob5が、船ob1やブイob4と誤判定されることを回避することができる。
【0050】
5-3 変形例3:色の状態変化
実施形態では、情報処理装置100が船に搭載されており、船の障害物に接近しているかどうかという状況判定をするものとして説明したが、これに限定されるものではない。この状況判定は、物体の色の変化の判定であってもよい。例えば、信号機の色の変化や、木の葉の色の変化に適用してもよい。
【0051】
変形例3では、信号機を例に説明する。また、変形例3において、情報処理装置100は、車両に搭載されているものとして説明する。更に、車両が停車中において、信号機の色が赤(停止の色)から青(発進可能の色)へ変わる状況を一例として説明する。
【0052】
実施形態では、出力D2について、存在確率と、物体の種類とを別々のデータとして切り分けていた。本変形例3における状況判定は、信号の色の変化であるため、図11Aに示すように、確率取得部2は、出力D2として、存在確率d1及び座標d2を取得する。そして、図11Bに示すように、存在確率d1の構成は、各色が存在する確率を示している。
【0053】
画像D1の構成例について図10A及び図10Bを参照して説明する。変形例3において、物体とは、信号機であり、物体は、点灯する色ごとに区別される。図10Aに示すように、画像D1の第1フレームD11には、赤色に点灯している信号機ob61と、道路ob7と、歩道ob8とが映し出されている。図10Bに示すように、画像D1の第2フレームD12には、青色に点灯している信号機ob62と、道路ob7と、歩道ob8とが映し出されている。
【0054】
次に、図12を参照して、変形例3に係る情報処理装置100の動作について説明する。ステップS1及びステップS2については、図6と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
ステップS3:色の種類の判定
ステップS3において、判定部3は、存在確率d1に基づいて、第1及び第2フレームにおける信号機の色が変化したか否かを判定する。この判定をするにあたって、判定部3は、存在確率d1に基づいて、予め第1及び第2フレームにおける信号機の色を特定している。つまり、判定部3は、第1及び第2フレームのそれぞれに関して、信号機の色の候補のうち最も確率が高い候補を、色の種類として特定する。
判定部3が信号機の色が変化したと判定した場合には、ステップS4-1に移行する。換言すると、判定部3が、信号機の色が赤から青へ変化したと判定した場合には、ステップS4-1に移行する。
判定部3が信号機の色が変化していないと判定した場合には、ステップS4-2に移行する。換言すると、判定部3が、信号機の色が変化していない場合、及び、信号機の色が変化しているが赤から青への変化ではない場合には、ステップS4-2に移行する。
【0056】
ステップS4-1:赤から青への変化
判定部3は、赤から青へ信号機の色が変化した状況を表す、判定結果D3を生成する。これにより、情報処理装置100は、車両が発進してもよい、という状況を搭乗者に伝えることができる。また、自動運転をする場合には、情報処理装置100は、車両が進行可能な状況であるという情報を車両の制御装置に出力することが可能となる。
【0057】
ステップS4-2:赤から青への変化ではない
判定部3は、赤から青へ信号機の色が変化していない状況を表す、判定結果D3を生成する。これにより、情報処理装置100は、車両が停止した状態を維持する必要がある、という状況を搭乗者に伝えることができる。また、自動運転をする場合には、情報処理装置100は、車両が停止した状態を維持する必要がある、という情報を車両の制御装置に出力することが可能となる。
【0058】
5-4 変形例4:音声を入力とする感情分析
実施形態や変形例1-変形例3の状況判定は、有体物の移動状況や有体物の色の変化状況であったがこれに限定されるものではない。情報処理装置100は、例えば、音声を入力とする感情分析にも適用することができる。具体的には、本変形例4における状況判定は、感情の度合いの判定に対応している。変形例4において、感情の度合いとは、例えば、最小で0%最大で100%であり、良い印象であるほど高い数値とする。
【0059】
なお、感情は、対象の一例である。また、感情の度合いは、状況確率の一例である。
【0060】
変形例4では、存在確率ではなく、上述した状況確率が用いられる。状況確率の概念は、実施形態やその変形例1-3における存在確率の概念を包含している。換言すると、存在確率は、状況確率の一態様である。状況確率は、有体物に限らない任意の対象の状況を表す確率である。
【0061】
図13に示すように、変形例4に係る情報処理装置100は、実施形態に係る画像取得部1の代わりに、音声取得部1tを備えている。この音声取得部1tは、例えばマイク等の音声入力装置20tから音声D1t(例えば、単語)を取得可能に構成されている。
【0062】
確率取得部2は、音声取得部1tから音声D1tが入力されると、出力D2として状況確率(感情の度合い)を出力するように構成されている。状況確率は、あるタイミングにおける対象の状況確率の値が特定されているデータである。例えば、第1タイミングにおける音声データを確率取得部2に入力したときに、確率取得部2から10%という状況確率が特定されたデータ(第1状況確率の一例)が出力されたものとする。また、第1タイミングより後である第2タイミングにおける音声を確率取得部2に入力したときに、確率取得部2から20%という状況確率が特定されたデータ(第2状況確率の一例)が出力されたものとする。
【0063】
判定部3は、状況確率の差分を算出する機能を有する。具体的には、判定部3は、第2タイミングにおける状況確率の状況確率(20%)から、第1タイミングにおける状況確率の状況確率(10%)を引いて得られる値(差分)が予め定められた閾値(例えば、5%)よりも大きいと判定した場合に、感情が好転したと判定するように構成されている。この変形例4の例では、差分が10%であり、差分が閾値よりも大きいため、判定部3は感情が好転したと判定する。
【0064】
なお、本変形例4は、変形例1と組み合わせることもできる。つまり、修正確率取得部5は、第1及び第2タイミングの状況確率の差分に基づいて、修正確率を取得可能に構成されていてもよい。
なお、修正確率は、対象の修正確率の値が特定されたデータである。また、修正確率は、第1タイミングと第2タイミングとの間において、対象(本変形例4では感情)の状況を表す確率である。
例えば、第2タイミングの状況確率が第1タイミングにおける状況確率よりも高い場合において、修正確率取得部5が取得する修正状況確率は、第2タイミングの状況確率よりも高い値となるように設定される。
また、例えば、第1タイミングの状況確率が第2タイミングにおける状況確率よりも高い場合において、修正確率取得部5が取得する修正状況確率は、第2タイミングの状況確率よりも低い値となるように設定される。
【符号の説明】
【0065】
1:画像取得部、1t:音声取得部、2:確率取得部、3:判定部、4:出力部、5:修正確率取得部、20:撮像装置、20t:音声入力装置、21:外部装置、100:情報処理装置、D1:画像、D11:第1フレーム、D12:第2フレーム、D1t:音声、D2:出力、D21:修正確率、D3:判定結果、H:縦幅、Pc:修正確率、Th1:閾値、Th2:閾値、W:横幅、d1:存在確率、d2:座標、d3:種類データ、ob1:船、ob2:空、ob3:海、ob4:ブイ、ob5:船、ob61:赤色に点灯している信号機、ob62:青色に点灯している信号機、ob7:道路、ob8:歩道、obt:搭載船
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13