(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】筋肥大用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20240329BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240329BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240329BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20240329BHJP
A61K 31/4172 20060101ALI20240329BHJP
A61K 31/4015 20060101ALI20240329BHJP
A61K 33/14 20060101ALI20240329BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240329BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61K31/198
A61P21/00
A61P3/02
A61K31/405
A61K31/4172
A61K31/4015
A61K33/14
A61K8/44
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2023132737
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2023-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520128222
【氏名又は名称】株式会社Healthy Body
(74)【代理人】
【識別番号】100175787
【氏名又は名称】山田 龍也
(72)【発明者】
【氏名】山浦 昭弥
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014007(JP,A)
【文献】特開2014-201572(JP,A)
【文献】特開2016-130229(JP,A)
【文献】特開2015-120715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉量を増大させる筋肥大
用組成物であって、
アミノ酸を含有し、前記アミノ酸としてバリン、ロイシンおよびイソロイシンを必須成分として含み、
全アミノ酸の合計質量に対し、前記バリン、ロイシンおよびイソロイシンの合計質量が50%以上を占め、
前記アミノ酸に加えて、塩を添加したものであり、
前記塩として、塩化ナトリウムおよびピロリドンカルボン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つの塩を用い、
トレーニング者が筋肉に負荷をかけ、前記負荷に抵抗するように前記筋肉を使う筋力トレーニングを行った後、前記トレーニング者
に経皮吸収させることにより筋肉量を増大させる
ことを特徴とする筋肥大用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の筋肥大
用組成物であって、
前記バリン、前記ロイシンおよび前記イソロイシンの質量比が1:2:1である組成物。
【請求項3】
請求項
1に記載の筋肥大
用組成物であって、
浴槽に投入する入浴剤として用いる組成物。
【請求項4】
請求項
1に記載の筋肥大
用組成物であって
、
前記トレーニング者の皮膚
に塗布する
塗布剤として用いる組成物。
【請求項5】
請求項
1に記載の筋肥大
用組成物であって、
脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させる
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉量を増大させる筋肥大方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筋肉量を増大させる筋肥大方法としては筋力トレーニングが知られている。筋力トレーニングとしては、例えば、自重、重量物(ダンベル、バーベルなど)、弾性体(バネ、ゴムなど)、流体シリンダー(ガスシリンダー、油圧シリンダーなど)などを用いて筋肉に対して負荷をかけ、前記負荷に抵抗するように筋肉を使う方法が提案されている(例えば、特許文献1-2)。
【0003】
また、筋肉量を増大させる方法としては、身体運動後に筋タンパク質合成を高めるための方法も提案されている(特許文献3)。この方法は運動直後にタンパク質を含む組成物を個体に投与することを特徴としている。そして、特許文献3には、前記組成物中に前記タンパク質の他、フェニルアラニン等の必須アミノ酸を含めてもよい旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録3226971
【文献】特許5993882
【文献】特表2016-516419
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3の方法の他にも、筋力トレーニングをする前後にタンパク質やアミノ酸を摂取することにより効率的に筋肉量を増大させる試みはなされている。しかし、筋肉量の増大効果が不安定であったり、筋肉量は増大するもののそれに伴って脂肪量も増加してしまうことがあった。
【0006】
本発明は、従来技術が抱えていた前記技術的課題、すなわち、筋肉量の増大効果が不安定である;筋肉量は増大するもののそれに伴って脂肪量も増加してしまうことがある;などの技術的課題を解決するためになされたものである。
【0007】
則ち、本発明は筋肉量の増大効果が安定的で、かつ、脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させることができる筋肥大用組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記技術的課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、トレーニング者にアミノ酸を「経口摂取」させるのではなく、「経皮吸収」させることにより、前記技術的課題を解決しうることを見出し、本発明にかかる筋肥大用組成物を完成するに至った。即ち、前記技術的課題は以下に示す本発明によって解決される。
【0009】
[1]筋肥大用組成物:
本発明は、筋肉量を増大させる筋肥大用組成物であって、
アミノ酸を含有し、前記アミノ酸としてバリン、ロイシンおよびイソロイシンを必須成分として含み、
全アミノ酸の合計質量に対し、前記バリン、ロイシンおよびイソロイシンの合計質量が50%以上を占め、
前記アミノ酸に加えて、塩を添加したものであり、
前記塩として、塩化ナトリウムおよびピロリドンカルボン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つの塩を用い、
トレーニング者が筋肉に負荷をかけ、前記負荷に抵抗するように前記筋肉を使う筋力トレーニングを行った後、前記トレーニング者に経皮吸収させることにより筋肉量を増大させることを特徴とする筋肥大用組成物;である。
【0010】
そして、本発明の筋肥大用組成物は、
前記バリン、前記ロイシンおよび前記イソロイシンの質量比が1:2:1である組成物;
浴槽に投入する入浴剤として用いる組成物;
前記トレーニング者の皮膚に塗布する塗布剤として用いる組成物;
脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させる組成物;が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の筋肥大用組成物は、筋肉量の増大効果が安定的で、かつ、脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、さらに具体的に説明する。
【0013】
[1]本発明の組成物を用いる方法:
本発明の組成物を用いる方法は、トレーニング者が筋力トレーニングを行った後に、前記トレーニング者にアミノ酸を摂取させるものであり、前記アミノ酸を「経口摂取」ではなく「経皮吸収」により、前記トレーニング者に摂取させる点に特徴がある。
【0014】
本発明の組成物を用いる方法によれば、筋肉量の増大効果が安定的で、脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させることができる。このような効果が発生するメカニズムについては鋭意検討中であるが、本発明の組成物を用いる方法はアミノ酸を経口投与する方法と比較してアミノ酸の消化分解による損失が少なく、アミノ酸が効果的に筋肥大に作用しているものと推定している。
【0015】
[1-1]筋力トレーニング:
本発明の組成物を用いる方法の第1の工程は、トレーニング者が筋力トレーニングを行う工程、である。
【0016】
本発明に言う「筋力トレーニング」とは、筋肉量を増大させるためのトレーニングを指し、筋肉に負荷をかけ、前記負荷に抵抗するように筋肉を使う訓練法の全てを含むものとする。
【0017】
例えば、筋肉に重量物(ダンベル、バーベルなど)により負荷をかけるトレーニング;弾性体(バネ、ゴムなど)により負荷をかけるトレーニング;流体シリンダー(ガスシリンダー、油圧シリンダーなど)により負荷をかけるトレーニング;等を挙げることができる。
【0018】
但し、「筋力トレーニング」は、器具・機械を用いて筋肉に対して負荷をかけるウエイトトレーニング、マシントレーニングだけには限定されない。例えば、自重により負荷をかける訓練法、具体的には、腕立て伏せ、スクワット;なども含まれる。
【0019】
「筋肉」とは、動物のもつ、筋繊維からなる組織であり、動物の運動を司る器官である。筋繊維が収縮することで筋肉、ひいては骨格を動かすことができる。筋肉には心筋、内臓筋、骨格筋などがあるが、本発明における「筋肉」は、主に骨格筋を指す。
【0020】
トレーニングの対象となる骨格筋としては、例えば、腕の筋肉(上腕二頭筋、上腕三頭筋など);胸の筋肉(大胸筋など);背の筋肉(広背筋など);肩の筋肉(三角筋など);腹の筋肉(腹直筋、腹横筋など);尻の筋肉(大臀筋、中臀筋など);脚の筋肉(内転筋、大腿四頭筋など);が挙げられる。
【0021】
[1-2]アミノ酸の経皮吸収:
本発明の組成物を用いる方法の第2の工程は、筋力トレーニングを行った後のトレーニング者にアミノ酸を経皮吸収させる工程である。
【0022】
本発明の組成物を用いる方法においては、トレーニング者にアミノ酸を「経口摂取」させるのではなく、アミノ酸を「経皮吸収」させる。
【0023】
従来、錠剤や飲料によりアミノ酸を口から摂取させ、筋肉量の増大を図る試みはなされていた。しかし、本発明者がこの方法を試みたところ、筋肉量の増大効果が不安定であったり、筋肉量は増大するもののそれに伴って脂肪量も増加したりして、期待する筋肥大を得られないことが判明した。
【0024】
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、トレーニング者に対しアミノ酸を経口摂取させるのではなく、アミノ酸を経皮吸収させることで、期待する筋肥大を得られることを見出した。
【0025】
「経口摂取」が有効成分を口から取り込み、消化器官での消化を経て体内に取り込むのに対し、「経皮吸収」は、有効成分(本発明の場合はアミノ酸)を肌から浸透させて体内に取り込む方法である。
【0026】
本発明における「経皮吸収」には、表皮(皮膚表面)からアミノ酸を吸収させるものの他、毛嚢や汗腺、皮脂腺など皮膚の開口部からアミノ酸を吸収させるものも含まれる。
【0027】
トレーニング者の皮膚にアミノ酸を経皮吸収させる方法は特に限定されない。例えば、
(1)アミノ酸の溶解液を張った浴槽に入浴する方法;
(2)アミノ酸を含有する塗布剤を塗布する方法;
(3)アミノ酸含有液をスプレー噴霧する方法;
(4)アミノ酸含有液を湿潤させたシートを貼付する方法;
など様々な方法を採用することができる。
【0028】
これらの方法の中では、アミノ酸の浸透効果が高い点で、(1)アミノ酸を含有する塗布剤を塗布する方法;(2)アミノ酸の溶解液を張った浴槽に入浴する方法;が好ましい。
【0029】
(1)アミノ酸を含有する塗布剤を塗布する方法:
アミノ酸を含有させた塗布剤をトレーニング者の皮膚表面に塗布する。塗布剤の形態は特に限定されない。例えば、クリーム、軟膏、ローションなど皮膚に対して薬剤を塗布する方法として従来公知の方法を適宜採用することができる。例えば、塗布剤(クリームなど)をトレーニング者の全身に塗布するのであれば、30g前後の量を必要とする。その30gの塗布剤中に、アミノ酸が少なくとも3g含まれていることが好ましく、5g以上含まれていることが更に好ましい。
【0030】
(2)アミノ酸の溶解液を張った浴槽に入浴する方法:
トレーニング者をアミノ酸の溶解液を張った浴槽に入浴させる。トレーニング部位の筋肉が溶解液に浸かるように入浴させることで、筋肥大の効果を得やすくなる。溶解液の媒体は特に限定されない。例えば、水を用いることができる。
【0031】
また、溶解液の温度も特に限定されない。例えば、アミノ酸を溶解させた湯(概ね40℃超)、ぬるま湯(概ね30-40℃程度)、水(概ね30℃未満)などを溶解液として用いることができる。アミノ酸の媒体への溶解、アミノ酸の経皮吸収を促進するため、溶解液としてはアミノ酸を溶解させた湯(概ね40℃超)を用いることが好ましい。
【0032】
溶解液のアミノ酸の濃度は特に限定されない。ただし、あまりに濃度が低いとアミノ酸を十分に経皮吸収させることができないおそれがある。そのような観点から、アミノ酸は媒体(水、湯など)200Lに対し、少なくとも50gを溶解させることが好ましく、70g以上を溶解させることがさらに好ましく、90g以上を溶解させることが特に好ましい。
【0033】
入浴時間も特に限定されない。ただし、あまりに入浴時間が短いとアミノ酸を十分に経皮吸収させることができないおそれがある。そのような観点から、入浴時間は少なくとも5分とすることが好ましく、10分以上とすることが更に好ましい。
【0034】
本発明における「アミノ酸」はアミノ基を有するカルボン酸であれば足りる。ただし、人間の身体を構成するタンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせで構成されており、それらのアミノ酸を用いることが好ましい。
【0035】
前記アミノ酸には体内で合成することができないアミノ酸(必須アミノ酸)と、体内でも合成することができるアミノ酸(非必須アミノ酸)と、がある。
【0036】
必須アミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジンの9種類のアミノ酸であり、非必須アミノ酸は、チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニンの11種類のアミノ酸である。
【0037】
本発明の組成物を用いる方法においては、アミノ酸として必須アミノ酸、特に分岐鎖脂肪酸(BCAA)であるバリン、ロイシン、イソロイシンを好適に用いることができ、バリン、ロイシン、イソロイシンの質量比が概ね1:2:1のものが好ましく、バリン、ロイシン、イソロイシンが全体質量の50%以上を占めるものも好ましい。ただし、非必須アミノ酸や筋肉を構成しないアミノ酸(例えば、シトルリン、オルニチンなど)を併用することもできる。
【0038】
また、本発明の組成物を用いる方法においてアミノ酸を経皮吸収させる際にはアミノ酸を単体で用いればよい。ただし、アミノ酸と塩との混合物を用いることで、筋肥大の効果を促進できる場合がある。
【0039】
塩の種類は特に限定されない。ただし、塩化ナトリウムおよびピロリドンカルボン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つの塩を用いることが好ましい。溶解液の塩の濃度は特に限定されない。ただし、あまりに濃度が低いと効果を得られない場合がある。そのような観点から、塩は媒体(水、湯など)200Lに対し、少なくとも20gを溶解させることが好ましく、40g以上を溶解させることがさらに好ましく、60g以上を溶解させることが特に好ましい。塗布剤(クリームなど)を用いる場合であれば、塗布剤をトレーニング者の全身に塗布するのであれば、30g前後の量を必要とするので、その30gの塗布剤中に、塩が少なくとも3g含まれていることが好ましく、5g以上含まれていることが更に好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の形態のみに限定されるものではない。
【0041】
[筋力トレーニング]
トレーニング者(被験者)には以下の筋力トレーニングを行ってもらった。これらのトレーニングはバーベルやダンベルなどのウエイト、その他の器具を使わず、自体重のみを負荷として行った。
【0042】
トレーニング者には、スクワット(1セット:15回/2分)を2セット、ブルガリアンスクワット(1セット:15回/2分)を左右2セットずつで計4セット、プッシュアップ(1セット:15回/2分)を2セット、合計8セットの筋力トレーニングを行ってもらった。8セットの各セット後のインターバルは1分とした(合計24分)。
【0043】
筋力トレーニングの各種目は、具体的には以下のように行った。
【0044】
(スクワット)
立った状態で行う。脚を肩幅に開き、つま先を前方に向ける。膝を曲げて屈み、そこから立った状態まで戻す。この動作を1回とした。
【0045】
(ブルガリアンスクワット)
立った状態で行う。一方の足の甲を長椅子の上に載せ、他方の脚を大きく前に踏み出して立つ。この状態から、前方の脚の膝を曲げて腰を落とす。この際、曲げた脚の膝がつま先より前方に出ないようにする。そこから膝を伸ばして、立った状態(元の位置)まで戻す。この動作を1回とした。右足について15回を2セット、左足について15回を2セット、合計4セットを行った。
【0046】
(プッシュアップ)
四つん這いの状態で行う。両手は肩幅よりもやや広めに開げる。足を伸ばし、つま先を立てる。頭から足首までを直線的に保つ。その姿勢を維持したまま、肘を曲げ、腹が床に着く寸前まで下ろす。これを1回とした。
【0047】
[比較例1]
前記筋力トレーニングの8セット目が終了した後(1分のインターバルをとった後)、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。
【0048】
その後、トレーニング者にアミノ酸を経口摂取してもらった。アミノ酸としては下記アミノ酸飲料を調製した。前記アミノ酸飲料を全量飲んでもらうことにより、トレーニング者にアミノ酸を経口摂取させた。
【0049】
アミノ酸飲料は500mLの水に、アミノ酸パウダー3gと、海塩(塩化ナトリウムを主たる成分とするもの)2gを溶解させたものとした。
【0050】
アミノ酸パウダーとしては、商品名「ゴールドジム EAA+N.O.ブースター アミノ14パウダー」を用いた。前記アミノ酸パウダーは、9種類の必須アミノ酸(EAA)を含む14種類のアミノ酸を混合したものである。そして、全体量の50%がバリン、ロイシン、イソロイシンの3種で占められている。バリン、ロイシン、イソロイシンの質量比は1:2:1である。
【0051】
前記アミノ酸パウダーの製品12gあたりのアミノ酸含有量は以下の通りである。
(必須アミノ酸)
バリン1,500mg、ロイシン3,000mg、イソロイシン1,500mg、ヒスチジン100mg、リジン850mg、メチオニン25mg、フェニルアラニン300mg、スレオニン850mg、トリプトファン75mg。
(非必須アミノ酸)
グルタミン350mg、アルギニン1,000mg、グリシン400mg。
(タンパク質を構成しないアミノ酸)
シトルリン1,000mg、オルニチン280mg。
【0052】
トレーニング者にアミノ酸を経口摂取させた30分後に再び、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。その結果を表1に示す。
【0053】
【0054】
[比較例2]
前記筋力トレーニングの8セット目が終了した後(1分のインターバルをとった後)、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。
【0055】
その後、トレーニング者に42℃の温浴に、10分間、浸かってもらった。浴槽には200Lの湯(水道水を42℃に沸かしたもの)を張り、トレーニング者には肩まで浸かってもらった。
【0056】
トレーニング者に温浴から上がってもらった30分後に再び、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。その結果を表2に示す。
【0057】
【0058】
[実施例1]
前記筋力トレーニングの8セット目が終了した後(1分のインターバルをとった後)、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。これらの数値は、電気抵抗線式の高精度型体組成計(商品名「Body Planner DF870」、大和製衡株式会社製)を用いて測定した。
【0059】
その後、トレーニング者に42℃のアミノ酸の溶解液を張った温浴に10分間、浸かってもらった。浴槽には200Lのアミノ酸溶解液(水道水を42℃に沸かし、アミノ酸を溶解させたもの)を張り、トレーニング者には肩まで浸かってもらった。
【0060】
アミノ酸の溶解液としては、200Lの温水に、比較例1と同じアミノ酸パウダー90g、海塩60gを溶解させたものを用いた。
【0061】
トレーニング者に前記アミノ酸溶解液の温浴から上がってもらった30分後に再び、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。その結果を表3に示す。
【0062】
【0063】
(実施例2)
アミノ酸溶解液として、200Lの温水に、比較例1と同じアミノ酸パウダー90g、ピロリドンカルボン酸ナトリウム60gを溶解させたものを用いたことを除いては実施例1と同様にして、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。その結果を表4に示す。
【0064】
【0065】
(実施例3)
前記筋力トレーニングの8セット目が終了した後(1分のインターバルをとった後)、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。
【0066】
その後、トレーニング者にアミノ酸を含有する塗布剤(アミノ酸含有クリーム)を塗布した。塗布剤30gをトレーニング者の身体表面にまんべんなく塗布した。アミノ酸含有クリームとしては、商品名「高級マッスルアミノ」(HealthyBodyパーソナルジム製)を用いた。前記アミノ酸含有クリームは、製品80g中、シアバター35.5g、グリセリン30.4g、アミノ酸5.1g、海塩5.1g、アルガンオイル3.4g、アロマオイル0.5gを含有するクリームである。
【0067】
トレーニング者に前記アミノ酸含有クリームを塗布した30分後に再び、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。その結果を表5に示す。
【0068】
【0069】
(実施例4)
アミノ酸含有クリームとして、実施例3で用いたアミノ酸含有クリームのうち、海塩5.1gに代えてピロリドンカルボン酸ナトリウム5.1gを配合させたものを用いたことを除いては実施例3と同様にして、トレーニング者の体重、骨格筋量、体脂肪量、水分量を測定した。その結果を表5に示す。
【0070】
【0071】
表1に示すように、比較例1(アミノ酸の経口摂取)では骨格筋量は増加したものの体脂肪量も増えてしまい、所望の結果を得ることができなかった。
【0072】
また、表2に示すように、比較例2(アミノ酸非含有の風呂への入浴)では骨格筋量が減少したことに加えて、体脂肪量も増加したかあるいは減少しなかった。
【0073】
これに対し、表3および表4に示すように、実施例1および実施例2(アミノ酸含有風呂への入浴)では骨格筋量が増加し、体脂肪量も減少し、良好な結果が得られた。
【0074】
また、表5および表6に示すように、実施例3および実施例4(アミノ酸含有クリームの塗布)でも骨格筋量が増加し、体脂肪量も減少し、良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の筋肥大用組成物は、脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させることができ、例えばフィットネス産業やダイエット産業、ボディメイク産業の分野で好適に利用することができる。
【要約】
【課題】筋肉量の増大効果が安定的で、かつ、脂肪量を増加させることなく筋肉量を増大させることができる筋肥大方法を提供する。
【解決手段】筋肉量を増大させる筋肥大方法であって、トレーニング者が筋肉に負荷をかけ、負荷に抵抗するように筋肉を使う筋力トレーニング動作を行った後、トレーニング者にアミノ酸を経皮吸収させることにより筋肉量を増大させるもの。
【選択図】なし