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特許7462138読影システム及び読影システム用の携帯型記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】読影システム及び読影システム用の携帯型記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/00 20180101AFI20240329BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G16H30/00
A61B5/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020052527
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152714
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520101340
【氏名又は名称】株式会社クライムメディカルシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 登
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-015494(JP,A)
【文献】特開2009-176125(JP,A)
【文献】特開2006-075416(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0078601(KR,A)
【文献】特開2014-029703(JP,A)
【文献】特開2008-077610(JP,A)
【文献】特開2008-229244(JP,A)
【文献】特開2016-093546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の患者を撮影した医用画像の画像情報及び前記医用画像に関連付けられる患者情報を蓄積するサーバ記憶部、並びに、前記医用画像の画像情報及び前記患者情報を複製する複製手段を少なくとも備える管理サーバ装置と、
前記管理サーバ装置に接続可能で、前記複製手段によって複製された前記医用画像の画像情報を記憶する画像記憶部、及び、前記複製手段によって複製された前記患者情報を記憶する患者情報記憶部を有する携帯型記憶媒体とを備え、
前記携帯型記憶媒体は、
前記医用画像の読影を行う読影用の端末装置に接続可能に構成されており、
前記患者情報記憶部に記憶されている前記患者情報を、前記読影用の端末装置が有する読影用モニターにリスト表示するマネージャプログラムと、
前記読影用モニターに、前記画像記憶部が記憶する前記医用画像を表示するためのビューワプログラムと、
前記読影用モニターに表示された前記医用画像に基づいて読影の所見を入力するための所見入力プログラムと、
前記所見入力プログラムを介して入力された所見情報が格納される所見情報格納部とを備えており、
前記管理サーバ装置は、前記医用画像の読影を行う読影用の端末装置が有する前記読影用モニターに関するモニター環境情報を記憶するモニター環境記憶部を更に備えており、前記複製手段によって、前記携帯型記憶媒体が有する画像記憶部に前記医用画像の画像情報を複製する際に、前記モニター環境記憶部に記憶されているモニター環境情報に基づいて、前記携帯型記憶媒体に格納されている前記ビューワプログラムにおけるモニター環境設定内容を、前記医用画像の読影が行われる読影用モニター用に変更可能に構成されていることを特徴とする読影システム。
【請求項2】
前記携帯型記憶媒体は、前記医用画像の読影を行う読影用の端末装置を操作し読影を行う特定の読影医に関連付けられる読影医パスワードを記憶する読影医パスワード記憶部を更に備えており、
前記携帯型記憶媒体が前記読影用の端末装置に接続され、前記読影用の端末装置からパスワードが入力された際に、前記マネージャプログラムは、前記読影医パスワード記憶部に記憶されている読影医パスワードと比較し、一致する場合にのみ前記患者情報を前記読影用モニターにリスト表示することを特徴とする請求項1に記載の読影システム。
【請求項3】
前記携帯型記憶媒体は、その外表面に設けられる記憶媒体パスワード入力部と、前記記憶媒体パスワード入力部を介して入力される情報を認証する認証プログラムとを更に備えており、
前記認証プログラムは、前記記憶媒体パスワード入力部に入力された情報と、予め設定されているパスワードとを比較し、一致する場合にのみ外部からのアクセスを許可することを特徴とする請求項1又は2に記載の読影システム。
【請求項4】
前記マネージャプログラムは、前記携帯型記憶媒体に対して個別に付与されているハードウェアIDを認証する機能を更に備えており、該マネージャプログラムが認証するハードウェアIDが、予め設定されているハードウェアIDと一致する場合にのみ外部からのアクセスを許可することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の読影システム。
【請求項5】
医用画像の読影を行う読影用の端末装置に接続可能に構成される携帯型記憶媒体であって、
複数の患者を撮影した医用画像の画像情報を記憶する画像記憶部と、
前記医用画像に関連付けられる患者情報を蓄積する患者情報記憶部と、
前記患者情報記憶部に記憶されている前記患者情報を、前記読影用の端末装置が有する読影用モニターにリスト表示するマネージャプログラムと、
前記読影用モニターに、前記画像記憶部が記憶する前記医用画像を表示するためのビューワプログラムと、
前記読影用モニターに表示された前記医用画像に基づいて読影の所見を入力するための所見入力プログラムと、
前記所見入力プログラムを介して入力された所見情報が格納される所見情報格納部とを備えており、
前記読影用の端末装置が有する読影用モニターに関するモニター環境情報に基づいて、前記ビューワプログラムにおけるモニター環境設定内容を、前記医用画像の読影が行われる読影用モニター用に変更可能に構成されることを特徴とする携帯型記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読影システム及び読影システム用の携帯型記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各医療機関や乳房撮影装置(マンモグラフィ)等の健診装置を搭載した健診車(検診車)によって患者の撮影を行い、撮影により得られた医用画像については、読影医と呼ばれる専門医によって観察され、画像診断(読影)が行われる。読影医は、各医療機関等の診療医(依頼元)の求めに応じて読影を行い、その結果を記した所見レポート(読影レポート)を作成し、これを依頼元へ返送する。
【0003】
また、通常、医用画像の読影に際しては、読影結果の精度を高めるため、同一の医用画像について異なる読影医による読影が行われるのが一般的である。具体的には、例えば、医用画像を格納したDVD等の記録媒体を第1読影医に送付し、当該第1読影医が読影及び所見レポートを作成した後、第1読影医とは異なる第2読影医に同じ医用画像が格納された記録媒体と第1読影医作成の所見レポートを送付し、医用画像の読影及び第1読影医の所見レポート内容の確認、第2読影医による所見レポートが作成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の医用画像の読影方法の場合、所見レポートの電子化が難しく、各読影医が紙媒体にて作成した所見レポートが依頼元に返送されるため、読影を依頼した依頼元である各医療機関において、膨大な量の紙媒体である所見レポートについての保管場所が必要になるという問題や、所望の患者の所見レポートの抽出をスムーズに行うことが難しいといった問題が生じる。具体的に説明すると、読影医は、精密な読影診断を行うために一般的なコンピュータが備えるモニターよりも高精細のモニターを備える端末装置(コンピュータ)を用いて読影を行うが、各読影医が使用する端末装置は、必ずしも同一のものではなく、その種類によって医用画像をモニターに表示するためのビューワプログラムや、所見情報を入力して所見レポートを作成する所見入力プログラムが異なる場合がある。このような場合、各読影医がそれぞれの端末装置を用いて所見情報を入力してしまうと、互換性の問題によって他の端末装置では、所見情報(所見レポート)の確認を行うことが困難となる。
【0005】
このような事情により、医用画像に関しては電子化が進んでいるものの、複数の読影医により読影がなされ作成される所見レポートについては電子化されず、その結果、上記のように、各医療機関において、所見レポートの管理を容易に行うことが困難になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題を解消するためになされたものであり、読影医により作成される所見レポートの電子化を図り、所見レポートの管理を容易に行うことができる読影システム及び読影システム用の携帯型記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、複数の患者を撮影した医用画像の画像情報及び前記医用画像に関連付けられる患者情報を蓄積するサーバ記憶部、並びに、前記医用画像の画像情報及び前記患者情報を複製する複製手段を少なくとも備える管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置に接続可能で、前記複製手段によって複製された前記医用画像の画像情報を記憶する画像記憶部、及び、前記複製手段によって複製された前記患者情報を記憶する患者情報記憶部を有する携帯型記憶媒体とを備え、前記携帯型記憶媒体は、前記医用画像の読影を行う読影用の端末装置に接続可能に構成されており、前記患者情報記憶部に記憶されている前記患者情報を、前記読影用の端末装置が有する読影用モニターにリスト表示するマネージャプログラムと、前記読影用モニターに、前記画像記憶部が記憶する前記医用画像を表示するためのビューワプログラムと、前記読影用モニターに表示された前記医用画像に基づいて読影の所見を入力するための所見入力プログラムと、前記所見入力プログラムを介して入力された所見情報が格納される所見情報格納部とを備えており、前記管理サーバ装置は、前記医用画像の読影を行う読影用の端末装置が有する前記読影用モニターに関するモニター環境情報を記憶するモニター環境記憶部を更に備えており、前記複製手段によって、前記携帯型記憶媒体が有する画像記憶部に前記医用画像の画像情報を複製する際に、前記モニター環境記憶部に記憶されているモニター環境情報に基づいて、前記携帯型記憶媒体に格納されている前記ビューワプログラムにおけるモニター環境設定内容を、前記医用画像の読影が行われる読影用モニター用に変更可能に構成されていることを特徴とする読影システムにより達成される。
【0008】
また、上記読影システムに関し、前記携帯型記憶媒体は、前記医用画像の読影を行う読影用の端末装置を操作し読影を行う特定の読影医に関連付けられる読影医パスワードを記憶する読影医パスワード記憶部を更に備えており、前記携帯型記憶媒体が前記読影用の端末装置に接続され、前記読影用の端末装置からパスワードが入力された際に、前記マネージャプログラムは、前記読影医パスワード記憶部に記憶されている読影医パスワードと比較し、一致する場合にのみ前記患者情報を前記読影用モニターにリスト表示することが好ましい。
【0009】
また、前記携帯型記憶媒体は、その外表面に設けられる記憶媒体パスワード入力部と、前記記憶媒体パスワード入力部を介して入力される情報を認証する認証プログラムとを更に備えており、前記前記認証プログラムは、前記記憶媒体パスワード入力部に入力された情報と、予め設定されているパスワードとを比較し、一致する場合にのみ外部からのアクセスを許可するように構成してもよい。
【0010】
また、前記マネージャプログラムは、前記携帯型記憶媒体に対して個別に付与されているハードウェアIDを認証する機能を更に備えており、該マネージャプログラムが認証するハードウェアIDが、予め設定されているハードウェアIDと一致する場合にのみ外部からのアクセスを許可するように構成してもよい。
【0012】
また、本発明の前記目的は、医用画像の読影を行う読影用の端末装置に接続可能に構成される携帯型記憶媒体であって、複数の患者を撮影した医用画像の画像情報を記憶する画像記憶部と、前記医用画像に関連付けられる患者情報を蓄積する患者情報記憶部と、前記患者情報記憶部に記憶されている前記患者情報を、前記読影用の端末装置が有する読影用モニターにリスト表示するマネージャプログラムと、前記読影用モニターに、前記画像記憶部が記憶する前記医用画像を表示するためのビューワプログラムと、前記読影用モニターに表示された前記医用画像に基づいて読影の所見を入力するための所見入力プログラムと、前記所見入力プログラムを介して入力された所見情報が格納される所見情報格納部とを備えており、前記読影用の端末装置が有する読影用モニターに関するモニター環境情報に基づいて、前記ビューワプログラムにおけるモニター環境設定内容を、前記医用画像の読影が行われる読影用モニター用に変更可能に構成されることを特徴とする携帯型記憶媒体により達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、読影医により作成される所見レポートの電子化を図り、所見レポートの管理を容易に行うことができる読影システム及び読影システム用の携帯型記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る読影システムの概略構成模式図
図2】本発明に係る読影システムが備える管理サーバ装置を説明するためのブロック図である。
図3】本発明に係る読影システムが備える携帯型記憶媒体を説明するためのブロック図である。
図4】本発明に係る読影システムが備える携帯型記憶媒体の変形例を説明するためのブロック図である。
図5】本発明に係る読影システムが備える携帯型記憶媒体の変形例を説明するための平面図である。
図6】本発明に係る読影システムが備える管理サーバ装置の変形例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る読影システムについて添付図面を参照して説明する。本発明に係る読影システム1は、各医療機関において撮影された患者の医用画像の画像情報や、乳房撮影装置(マンモグラフィ)等の健診装置を搭載した健診車(検診車)によって撮影された患者の医用画像の画像情報を、患者の患者情報や検査情報等と共に管理サーバ装置により一元的に管理しつつ、医用画像の読影を行う読影医に、読影対象となる医用画像を振り分けて読影の所見レポートを作成することができるシステムであり、図1の概略構成模式図に示すように、管理サーバ装置2と、携帯型記憶媒体5とを備えて構成される。
【0016】
管理サーバ装置2は、図2のブロック図に示すように、制御手段21、サーバ記憶部22、入力手段23、表示手段24等を備えるコンピュータである。制御手段21は、サーバ記憶部22に蓄積されている医用画像に係る患者情報データベース29に基づいて表示手段24に医用画像に係る患者情報をリスト表示するマネージャプログラム25、サーバ記憶部22に蓄積されている医用画像を表示手段24に表示するためのビューワプログラム26、表示手段24に表示された医用画像に基づいて読影の所見を入力し、所見レポートを作成するための所見入力プログラム27、医用画像に係る画像情報に関連付けられた患者の患者情報を編集するための編集プログラム28等を備えて構成されている。
【0017】
この管理サーバ装置2が有するサーバ記憶部22は、上記のように、医療機関等において撮影された患者の医用画像の画像情報を複数蓄積する記憶手段である。なお、このサーバ記憶部22には、患者に関する過去に撮影された医用画像の画像情報も蓄積するように構成してもよい。また、このサーバ記憶部22には、患者情報データベース29が格納されており、かかる患者情報データベース29には、医用画像に係る画像情報に関連付けられた患者の患者情報が蓄積されている。また、サーバ記憶部22は、所見入力プログラム27を介して入力される所見情報が蓄積される所見情報データベース30を備えている。
【0018】
患者を撮影した医用画像の画像情報としては、特に限定されず、例えば、乳房撮影装置(マンモグラフィ)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomografhy)、X線撮影装置、超音波診断装置、内視鏡装置等によって患者を撮影してデジタル化された画像情報を挙げることができる。また、患者情報データベース29に蓄積される患者情報とは、患者を特定可能な情報であり、例えば患者氏名、患者ID、年齢、性別、患者の病歴に関する情報等、患者に関する各種情報が含まれる。なお、患者情報には、患者に実施される検査、撮影の内容(例えば検査種別、検査日付、撮影日付、撮影部位等)に関する検査情報を含めてもよい。
【0019】
入力手段23は、例えばカーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成されており、管理サーバ装置2の操作者による文字等の入力操作や、医用画像上への描画操作を可能とする機能を有している。
【0020】
表示手段24は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニターであり、マネージャプログラム25の作動によって生成される医用画像に係る患者情報のリストや、ビューワプログラム26の作動によって生成される所定の患者の医用画像、所見入力プログラム27の作動によって生成される所見入力部等が表示される。なお、表示手段24は、精密な読影診断を可能とするために、一般的なコンピュータが備えるモニターよりも高精細のものを用いることが好ましい。
【0021】
また、管理サーバ装置2の制御手段21は、サーバ記憶部22に記憶される医用画像の画像情報や患者情報を複製する複製手段31や、携帯型記憶媒体5が着脱可能に接続される接続ポートを備えており、接続ポートに接続された携帯型記憶媒体5に医用画像の画像情報を複製できるように構成されている。
【0022】
上記構成の管理サーバ装置2においては、当該管理サーバ装置2を操作する読影医が、マネージャプログラム25を起動させてサーバ記憶部22に蓄積されている医用画像に係る患者情報のリストを表示手段24に表示しつつ、リスト表示される患者情報に基づいて任意の患者を選択する(例えば、マウスによるクリック操作)ことにより所見入力プログラム27が起動し、表示手段24に選択した患者に関する所見入力部が表示されるように構成される。また、所見入力プログラム27の起動に連動して、ビューワプログラム26が起動し、表示手段24に、選択した患者に関する医用画像(サーバ記憶部22に記憶される医用画像)が表示される。管理サーバ装置2を操作する読影医は、表示手段24に表示された医用画像に基づいて読影を行い、読影の所見を表す情報を、管理サーバ装置2が備える入力手段23(キーボードやマウス等)を介して所見入力部に入力することができる。読影医によって入力された読影の所見情報は、所見情報データベース30に格納される。なお、読影の結果である所見情報は、読影対象の医用画像の画像情報と関連付けられて所見情報データベース30に格納される。
【0023】
ここで、読影に関する所見情報としては、シェーマ図等の画像情報、コメント等の文字情報(文字所見)、定型的な図形情報やコメント情報などがある。なお、シェーマ図は、一般的には、身体部位のテンプレート画像(下絵画像)上に病変部や治療部位を示す領域を書き込んだり、病名やコメント等を記載したりして作成される画像情報である。
【0024】
携帯型記憶媒体5は、管理サーバ装置2から複製された医用画像を、例えば外部機関に所属する読影医が操作する読影用の端末装置7が有する読影用モニター71に表示させる機能を有するものであり、図3のブロック図に示すように、その内部に、画像記憶部51、患者情報記憶部52、マネージャプログラム53、ビューワプログラム54、所見入力プログラム55を備えるように構成されている。このような携帯型記憶媒体5としては、USBメモリやメモリカード、HDD(ハードディスクドライブ)等を好適に使用することができる。
【0025】
画像記憶部51は、管理サーバ装置2が有する複製手段31によって複製された医用画像の画像情報を記憶する記憶部である。また、患者情報記憶部52は、上記複製手段31によって複製された医用画像に係る患者情報を記憶する記憶部であり、該患者情報記憶部52に記憶されている患者情報は、画像記憶部51に格納されている医用画像に係る画像情報と関連付けられて構成されており、撮影対象の患者と医用画像との対応関係が確保されている。また、画像記憶部51に格納される医用画像の画像情報としては、撮影対象の患者に関する過去に撮影された医用画像の画像情報を含めることもできる。過去に撮影された医用画像を画像記憶部51に格納する場合には、患者情報記憶部52に記憶されている患者情報は、当該過去医用画像とも関連付けられて構成されている。
【0026】
携帯型記憶媒体5が備えるマネージャプログラム53は、患者情報記憶部52に記憶されている患者情報(画像記憶部51に記憶されている医用画像に係る患者情報)を、モニターにリスト表示するためのプログラムである。
【0027】
携帯型記憶媒体5が備えるビューワプログラム54は、画像記憶部51が記憶する医用画像をモニターに表示するためプログラムである。このビューワプログラム54は、画像記憶部51において撮影対象の患者に関する過去に撮影された医用画像が格納されている場合には、現在の医用画像に加えて過去の医用画像もモニターに表示できるように構成されている。
【0028】
また、所見入力プログラム55は、読影医が読影の所見情報を入力して所見レポートを作成するためのプログラムである。この所見入力プログラム55に関しても、患者に関する過去の所見情報が作成されている場合には、当該過去の所見情報をモニターに表示できるように構成されている。なお、読影に関する所見情報としては、上述のシェーマ図等の画像情報、コメント等の文字情報(文字所見)、定型的な図形情報やコメント情報などである。
【0029】
また、携帯型記憶媒体5は、上記所見入力プログラム55を介して入力された所見情報が格納される所見情報格納部56を更に備えている。
【0030】
上記構成の携帯型記憶媒体5は、医用画像の読影を行う読影医が使用する読影用の端末装置7に接続可能に構成されており、当該端末装置7に接続された際に(携帯型記憶媒体5をUSBメモリとして構成する場合には、端末装置7が有するUSBポートに接続された際に)、携帯型記憶媒体5内に格納されるマネージャプログラム53を起動させることにより、読影用の端末装置7が有する読影用モニター71に、患者情報記憶部52に記憶されている患者情報(画像記憶部51に記憶されている医用画像に係る患者情報)がリスト表示される。リスト表示される患者情報に関し、所定の患者情報を選択する例えば、マウスによるクリック操作)ことにより携帯型記憶媒体5内に格納される所見入力プログラム55が起動し、読影用の端末装置7が有する読影用モニター71に選択した患者に関する所見入力部が表示される。また、所見入力プログラム55の起動に連動して、携帯型記憶媒体5内に格納されるビューワプログラム54が起動し、読影用の端末装置7が有する読影用モニター71に、選択した患者に関する医用画像(画像記憶部51が記憶する医用画像)が表示される。読影用の端末装置7を操作する読影医は、読影用モニター71に表示された医用画像に基づいて読影を行い、読影に関する所見情報を、端末装置7が有する入力手段72(キーボードやマウス等)を介して所見入力部に入力することができる。読影医によって入力された読影の所見情報は、携帯型記憶媒体5が有する所見情報格納部56に格納される。なお、所見情報格納部56に格納される所見情報は、読影対象の医用画像の画像情報と関連付けられている。
【0031】
このような読影システム1によれば、管理サーバ装置2に蓄積される患者の医用画像の画像情報を、複数の読影医に振り分けた場合であっても、共通の読影の所見レポート(所見情報)を容易に得ることが可能となり、読影医を変更した2次読影もスムーズに行うことが可能となる。具体的に説明すると、例えば、管理サーバ装置2のサーバ記憶部22に20名分の患者を撮影した医用画像の画像情報が蓄積されており、読影医であるA病院の甲医師、B病院の乙医師に、それぞれ10名分の医用画像の1次読影を依頼し、甲医師が読影した医用画像の2次読影をC病院の丙医師に、乙医師が読影した医用画像の2次読影をD病院の丁医師に依頼するような場合、携帯型記憶媒体5を2つ準備し、それぞれに所定の患者に関する医用画像を格納して各医師(甲医師及び乙医師)に送付等することにより読影対象である医用画像の振り分けを行う。
【0032】
携帯型記憶媒体5を受け取った1次読影者である甲医師と乙医師は、携帯型記憶媒体5に格納されている医用画像の読影作業を進めるが、このとき、各読影医は、自身が使用する端末装置7に既に格納されているビューワプログラムや所見入力プログラムを起動して読影を行うのではなく、携帯型記憶媒体5に格納されているマネージャプログラム53やビューワプログラム54、所見入力プログラム55を起動して医用画像の読影を行うことになる。
【0033】
読影医がそれぞれ使用する端末装置7(甲医師、乙医師、丙医師、丁医師がそれぞれ使用する端末装置7)は、その種類によってビューワプログラムや所見入力プログラムが異なる場合があるため、それぞれの端末装置7を用いて所見情報を入力してしまうと、互換性の問題によって他の端末装置7では、所見情報の確認を行うことが困難になる場合があり、例えば、甲医師(乙医師)が自ら使用する端末装置7に格納されている所見入力プログラムを用いて作製した所見情報については、丙医師(丁医師)が自ら使用する端末装置7を用いて、その内容を確認することができないような場合が生じる。
【0034】
一方、本発明の場合には、携帯型記憶媒体5に格納されているマネージャプログラム53、ビューワプログラム54、所見入力プログラム55を起動して医用画像の読影を行い、読影結果である所見情報を携帯型記憶媒体5内(所見情報格納部56)に入力・保存することになる為、1次読影者である甲医師(乙医師)、2次読影者である丙医師(丁医師)は、共に、共通のビューワプログラム54や所見入力プログラム55を用いることになる。この結果、各読影医(甲医師、乙医師、丙医師、丁医師)が使用する端末装置7の種類に依存することなく、医用画像の読影を行い、かつ、電子化された読影結果の所見情報(所見レポート)を作成することが可能となり、管理サーバ装置2に蓄積される患者の医用画像を複数の読影医に振り分けてもスムーズに医用画像の読影とその所見レポート(所見情報)の作成を行うことが可能となる。なお、各読影医に振り分けられて作成された所見レポートは、最終的に管理サーバ装置2が備える所見情報データベース30に格納され、撮影された患者の医用画像の画像情報と共に管理サーバ装置2側にて一元的に管理される。
【0035】
なお、上記説明においては、医用画像の1次読影を甲医師(乙医師)が行い、2次読影を丙医師(丁医師)が行う場合について説明したが、1次読影及び2次読影の振り分けは、このような例に限定されるものではなく、例えば、全ての医用画像の1次読影を甲医師が行い、2次読影を乙医師及び丙医師に振り分けて実施する、或いは、医用画像の1次読影を甲医師、乙医師、丙医師に振り分けて実施し、全ての医用画像の2次読影を丁医師が実施する等、任意に振り分けて良い。
【0036】
以上、本発明の一実施形態に係る読影システム1について説明したが、読影システム1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、図4のブロック図に示すように、携帯型記憶媒体5が、医用画像の読影を行う読影用の端末装置7を操作し読影を行う特定の読影医に関連付けられる読影医パスワードを記憶する読影医パスワード記憶部57を更に備えるように構成し、携帯型記憶媒体5が読影用の端末装置7に接続され、読影用の端末装置7の入力手段72からパスワードが入力された際に、マネージャプログラム53が、読影医パスワード記憶部57に記憶されている読影医パスワードと比較し、一致する場合にのみ医用画像に係る患者情報を読影用モニター71にリスト表示するように構成してもよい。このような構成を採用する場合、医用画像の読影を依頼する読影医以外の者が、医用画像にアクセスすることを効果的に防止することができ、確実に読影を依頼した読影医による読影の所見を得ることができると共に、医用画像や患者情報が外部に流出することを抑制することができる。なお、異なる読影医による1次読影及び2次読影を依頼するような場合には、1次読影終了後、管理サーバ装置2側で2次読影を行う読影医用の読影医パスワードに設定し直される。
【0037】
また、図5の平面図に示すように、携帯型記憶媒体5が、その外表面に設けられる記憶媒体パスワード入力部58と、記憶媒体パスワード入力部58を介して入力される情報を認証する認証プログラムとを更に備え、認証プログラムが、記憶媒体パスワード入力部58に入力された情報と、予め設定されているパスワードとを比較し、一致する場合にのみ外部からのアクセスを許可するように構成してもよい。携帯型記憶媒体5の外表面に設けられる記憶媒体パスワード入力部58としては、例えば、図5に示すようにテンキー部により構成することができる。このテンキー部に所定桁数の数字によるパスワードが入力され、認証プログラムがこの入力されたパスワードの認証を行う。なお、図5に示す構成においては、携帯型記憶媒体5をUSBメモリとして構成している。このような構成を採用することにより、例えば、医用画像が記憶された携帯型記憶媒体5を紛失したような場合であっても、医用画像や患者情報が外部に流出することを抑制することができる。また、例えば、誤ったパスワードを10回連続して入力したような場合に、携帯型記憶媒体5に格納されている全ての内部情報(医用画像の画像情報や患者情報、各プログラム等)が消去されるように構成してもよい。このような構成を採用することにより、万一盗難にあったとしても、内部に格納される医用画像や患者情報が外部に流出することをより効果的に防止することができる。
【0038】
また、上記実施形態において、マネージャプログラム53が、携帯型記憶媒体5に対して個別に付与されているハードウェアIDを認証する機能を更に備えるように構成し、該マネージャプログラム53が認証するハードウェアIDが、予め設定されているハードウェアIDと一致する場合にのみ外部からのアクセスを許可して、医用画像に係る患者情報を読影用モニター71にリスト表示できるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、例えば、携帯型記憶媒体5に格納されている各情報やプログラムが、他の携帯型記憶媒体5に複製されたような場合に、マネージャプログラム53を起動したとしても、マネージャプログラム53自体が格納されている携帯型記憶媒体5が正規の携帯型記憶媒体5でないと判断して医用画像に係る患者情報をモニターにリスト表示しないように構成することができ、効果的に医用画像や患者情報が外部に流出することを抑制することができる。
【0039】
また、医用画像の読影を行う読影用の端末装置7が有する読影用モニター71は、その種類によって、縦方向及び横方向のピクセル数や、原点位置等が異なるため、携帯型記憶媒体5に格納されるビューワプログラム54の作動によって医用画像を読影用モニター71に表示した場合に、該医用画像の一部や全体がモニターに表示されない場合、或いは、医用画像が小さすぎる/大きすぎる状態で表示される場合がある。このようなモニター上での医用画像の表示不良を解消するために、管理サーバ装置2が、図6のブロック図に示すように、医用画像の読影を行う読影用の端末装置7が有する読影用モニター71に関するモニター環境情報を記憶するモニター環境記憶部32を更に備え、複製手段31によって、携帯型記憶媒体5が有する画像記憶部51に医用画像の画像情報を複製する際に、モニター環境記憶部32に記憶されているモニター環境情報に基づいて、携帯型記憶媒体5に格納されているビューワプログラム54におけるモニター環境設定内容を、医用画像の読影が行われる読影用モニター71用に変更可能に構成してもよい。ここで、モニター環境情報とは、読影用の端末装置7が有する読影用モニター71の縦方向及び横方向のピクセル数に関する情報や原点情報、モニターの表示寸法情報等を意味する。このような構成を採用することにより、読影用モニター71上の正しい位置に正しい大きさで医用画像を表示することができるため、医用画像の読影を行う読影医が、読影用モニター71上に表示される医用画像の表示位置を修正する等の煩雑さを抑制することができ、読影作業をスムーズに進めることが可能となる。なお、異なる読影医による1次読影及び2次読影を依頼するような場合には、1次読影終了後、管理サーバ装置2側で2次読影を行う読影医が使用する端末装置7が有する読影用モニター71に関するモニター環境情報に設定し直される。
【0040】
また、上記実施形態においては、管理サーバ装置2が、表示手段24に表示された医用画像に基づいて読影の所見を入力するための所見入力プログラム27を備えるように構成されているが、管理サーバ装置2を用いて医用画像の読影を行わないような場合には、この所見入力プログラム27を備えないように構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 読影システム
2 管理サーバ装置
21 制御手段
22 サーバ記憶部
23 入力手段
24 表示手段
25 マネージャプログラム
26 ビューワプログラム
27 所見入力プログラム
28 編集プログラム
29 患者情報データベース
30 所見情報データベース
31 複製手段
32 モニター環境記憶部
5 携帯型記憶媒体
51 画像記憶部
52 患者情報記憶部
53 マネージャプログラム
54 ビューワプログラム
55 所見入力プログラム
56 所見情報格納部
57 読影医パスワード記憶部
58 記憶媒体パスワード入力部
7 読影用の端末装置
71 読影用モニター
72 端末装置が有する入力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6