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特許7462151部品実装装置および部品実装システムならびに部品実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装システムならびに部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240329BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/08 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020050509
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021150550
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 智
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕樹
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-237696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側部品の上面に、下面に端子を有する上側部品を実装する部品実装装置において、
前記下側部品の上面に液材を塗布する塗布手段と、
前記塗布手段による前記下側部品の上面への塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段と、
前記検査手段によって前記下側部品の上面への塗布の状態が良好と判定された場合には、前記液材が塗布された前記下側部品の上面に前記上側部品を実装する実装手段と、を備え
前記塗布手段は、試打ち領域に前記液材を塗布し、
前記検査手段は、前記試打ち領域に塗布された前記液材に基づいて、前記塗布手段による前記試打ち領域への塗布の状態が良好か否かを判定し、
前記塗布手段は、前記検査手段によって前記試打ち領域への塗布の状態が良好と判定された場合に、前記下側部品の上面に前記液材を塗布する、部品実装装置。
【請求項2】
下側部品の上面に、下面に端子を有する上側部品を実装する部品実装システムにおいて、
前記下側部品の上面に液材を塗布する塗布手段と、
前記塗布手段による前記下側部品の上面への塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段と、
前記検査手段による判定結果を送信する送信手段と、を有する液材塗布装置と、
前記判定結果を受信する受信手段と、
前記判定結果が前記塗布の状態が良好である場合には、前記液材が塗布された前記下側部品の上面に前記上側部品を実装する実装手段と、を有する部品実装装置と、を備え
前記塗布手段は、試打ち領域に前記液材を塗布し、
前記検査手段は、前記試打ち領域に塗布された前記液材に基づいて、前記塗布手段による前記試打ち領域への塗布の状態が良好か否かを判定し、
前記塗布手段は、前記検査手段によって前記試打ち領域への塗布の状態が良好と判定された場合に、前記下側部品の上面に前記液材を塗布する、部品実装システム。
【請求項3】
試打ち領域に液材を塗布し、
前記試打ち領域に塗布された前記液材に基づいて、前記試打ち領域への塗布の状態が良好か否かを判定し、
前記試打ち領域への塗布の状態が良好と判定された場合に、
下側部品の上面に前記液材を塗布し、
前記下側部品の上面に塗布された前記液材の状態が良好か否かを判定し、
前記下側部品の上面への塗布の状態が良好な場合に、前記液材が塗布された前記下側部品の上面に下面に端子を有する上側部品を実装する、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下側部品の上面に上側部品を実装する部品実装装置および部品実装システムならびに部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に部品を高密度実装する方法として、基板の上にパッケージングされた下側部品を装着し、その下側部品の上面にパッケージングされた上側部品を装着するPOP(Package on Package)実装が使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品実装装置では、上側部品を吸着ノズルで吸着し、転写槽に溜めたフラックスなどの液材に上側部品の下面に形成された複数の端子を浸して液材を転写している。そして、転写後に部品認識カメラで下方から上側部品を撮像し、端子に転写された液材の転写状態を画像処理により検査し、転写状態が良好な上側部品を下側部品に装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/207339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、立体的な形状を有する端子に転写した液材をカメラで撮像して転写状態を検査しているが、端子に転写された液材の検査は端子のサイズ、形状の違いや各端子の位置の違いによる照明状態のばらつきなどに起因して検査が不安定となることがあり、下側部品と上側部品の間に配される液材の状態を安定して検査するにはさらなる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、POP実装において下側部品と上側部品の間に配される液材の状態を安定に検査することができる部品実装装置および部品実装システムならびに部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、下側部品の上面に、下面に端子を有する上側部品を実装する部品実装装置において、前記下側部品の上面に液材を塗布する塗布手段と、前記塗布手段による前記下側部品の上面への塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段と、前記検査手段によって前記下側部品の上面への塗布の状態が良好と判定された場合には、前記液材が塗布された前記下側部品の上面に前記上側部品を実装する実装手段と、を備え、前記塗布手段は、試打ち領域に前記液材を塗布し、前記検査手段は、前記試打ち領域に塗布された前記液材に基づいて、前記塗布手段による前記試打ち領域への塗布の状態が良好か否かを判定し、前記塗布手段は、前記検査手段によって前記試打ち領域への塗布の状態が良好と判定された場合に、前記下側部品の上面に前記液材を塗布する
【0007】
本発明の部品実装システムは、下側部品の上面に、下面に端子を有する上側部品を実装する部品実装システムにおいて、前記下側部品の上面に液材を塗布する塗布手段と、前記塗布手段による前記下側部品の上面への塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段と、前記検査手段による判定結果を送信する送信手段と、を有する液材塗布装置と、前記判定結果を受信する受信手段と、前記判定結果が前記塗布の状態が良好である場合には、前記液材が塗布された前記下側部品の上面に前記上側部品を実装する実装手段と、を有する部品実装装置と、を備え、前記塗布手段は、試打ち領域に前記液材を塗布し、前記検査手段は、前記試打ち領域に塗布された前記液材に基づいて、前記塗布手段による前記試打ち領域への塗布の状態が良好か否かを判定し、前記塗布手段は、前記検査手段によって前記試打ち領域への塗布の状態が良好と判定された場合に、前記下側部品の上面に前記液材を塗布する
【0008】
本発明の部品実装方法は、試打ち領域に液材を塗布し、前記試打ち領域に塗布された前記液材に基づいて、前記試打ち領域への塗布の状態が良好か否かを判定し、前記試打ち領域への塗布の状態が良好と判定された場合に、下側部品の上面に前記液材を塗布し、前記下側部品の上面に塗布された前記液材の状態が良好か否かを判定し、前記下側部品の上面への塗布の状態が良好な場合に、前記液材が塗布された前記下側部品の上面に下面に端子を有する上側部品を実装する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、POP実装において下側部品と上側部品の間に配される液材の状態を安定に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装方法のフロー図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて部品がPOP実装される基板の一例の(a)平面図(b)正面図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて下側部品が実装された基板の一例の(a)平面図(b)正面図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける下側部品の上面への液材の塗布を説明する(a)平面図(b)正面図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける下側部品の上面に塗布された液材の塗布状態検査を説明する(a)平面図(b)正面図
図8】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて下側部品の上面に上側部品が実装された基板の一例の(a)平面図(b)正面図
図9】本発明の一実施の形態の部品実装システムによる部品実装方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置、ディスペンサの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における前後方向)が示される。また、図1において紙面左側を上流側、紙面右側を下流側と称する。
【0012】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成について説明する。部品実装システム1は、X方向に配置された第1部品実装装置M1、第2部品実装装置M2を通信ネットワーク2によって接続し、全体を管理コンピュータ3が制御する構成となっている。部品実装システム1は、上流側から搬入される基板4を下流側に順に搬送しながら、基板4に部品Pを実装する機能を有している。
【0013】
第1部品実装装置M1と第2部品実装装置M2は同様の構成であり、以下、第1部品実装装置M1について説明する。第1部品実装装置M1は、上流側から搬入された基板4の上、または基板4に実装された部品Pの上に部品Pを実装する機能を有する。基台5の中央部には、X方向に伸びた一対の搬送コンベア6が設置されている。搬送コンベア6は、上流側から搬入された基板4を所定の実装作業位置まで搬送して位置決めし、部品Pが実装された基板4を下流側に搬出する機能を有する。
【0014】
搬送コンベア6の両側には部品供給部7がそれぞれ設置されている。部品供給部7には、X方向に並んで配置された複数のテープフィーダ8がセットされている。テープフィーダ8は、キャリアテープに保持された部品Pをピッチ送りして、実装ヘッド9によるピックアップ位置まで供給する。なお、部品供給部7に、複数の部品Pを収容したトレイをピックアップ位置まで供給するトレイフィーダ(図示省略)をセットしてもよい。
【0015】
図1において、実装ヘッド9は、図示省略する実装ヘッド移動機構によって水平方向(XY方向)に移動して、部品供給部7から供給された部品Pをピックアップして実装作業位置に位置決めされた基板4に実装する。実装ヘッド9および実装ヘッド移動機構は、基板4または基板4に実装された部品Pの上に部品Pを実装する実装手段10(図2参照)を構成する。
【0016】
第1部品実装装置M1は、ヘッド移動機構によって実装ヘッド9とともに一体的に移動する基板認識カメラ11を備えている。基板認識カメラ11は、実装作業位置に位置決めされた基板4の上方に移動して、基板4に形成された基板4の位置を認識するための基板マーク(図示省略)や、後述する下側部品PLの上面に塗布された液材Fを撮像する(図7も参照)。基板認識カメラ11および実装ヘッド移動機構は、基板4上の基板マークまたは下側部品PLの上面に塗布された液材Fを撮像する認識手段12(図2参照)を構成する。
【0017】
図1において、第1部品実装装置M1は、図示省略する塗布ヘッド移動機構によって水平方向(XY方向)に移動する塗布ヘッド13を備えている。塗布ヘッド13は、基板4の上面や下側部品PLの上面にフラックス、クリーム半田、接着剤などの液材Fを塗布するディスペンサ14(ここでは2つ)を備えている(図6も参照)。ディスペンサ14および塗布ヘッド移動機構は、下側部品PLの上方に移動して下側部品PLの上面に液材Fを塗布する塗布手段15を構成する(図2参照)。基台5上には、ディスペンサ14が液材Fを試打ちするための試打ち台16が設置されている。
【0018】
なお、第1部品実装装置M1は、塗布ヘッド13に塗布ヘッド13と一体的に移動する基板認識カメラ11を備える構成であってもよい。その場合、塗布ヘッド13の基板認識カメラ11および塗布ヘッド移動機構は、基板4上の基板マークまたは下側部品PLの上面に塗布された液材Fを撮像する認識手段12を構成する。また、下側部品PLの上面に塗布された液材Fを撮像する認識手段12として、実装ヘッド9または塗布ヘッド13と一体的に移動する基板認識カメラ11とは別に、水平方向に移動するカメラを備える構成であってもよい。
【0019】
次に図2を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。管理コンピュータ3、第1部品実装装置M1、第2部品実装装置M2は、通信ネットワーク2を介して相互に接続されている。管理コンピュータ3は、記憶装置である管理記憶部21、管理通信部23を備えている。管理通信部23は、通信ネットワーク2を介して第1部品実装装置M1、第2部品実装装置M2との間でデータの送受信を行う。
【0020】
管理記憶部21には、生産データ22などが記憶されている。生産データ22には、基板4の種類(実装基板種)毎に、基板4に実装される部品Pの種類、実装位置(XY座標)、実装方向(θ方向)、液材Fの塗布位置(XY座標)、塗布条件など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。管理コンピュータ3は、部品実装システム1で生産する実装基板に対応するデータを、管理通信部23を介して第1部品実装装置M1、第2部品実装装置M2に送信する。
【0021】
図2において、第1部品実装装置M1は、搬送コンベア6、テープフィーダ8、実装手段10、認識手段12、塗布手段15の他、実装制御部24、塗布制御部25、判定処理部26、実装記憶部27、実装通信部30を備えている。実装通信部30は、通信ネットワーク2を介して第2部品実装装置M2、管理コンピュータ3との間でデータの送受信を行う。実装記憶部27は記憶装置であり、実装データ28、判定結果29などを記憶している。実装データ28には、基板4の種類(実装基板種)毎に、基板4のサイズ、基板4に実装される部品Pの種類、実装位置(XY座標)、実装方向(θ方向)、液材Fの塗布位置(XY座標)、塗布条件など、第1部品実装装置M1における部品実装作業に必要な情報が記憶されている。
【0022】
図2において、実装制御部24は、実装データ28に基づいて第1部品実装装置M1の各部を制御して、上流側から搬入された基板4、または基板4に実装された部品Pの上面に部品Pを実装する部品実装作業を実行させる。塗布制御部25は、実装データ28に含まれる液材Fの塗布位置(XY座標)、塗布条件に基づいて塗布手段15を制御して、下側部品PLの上面に液材Fを塗布させる。
【0023】
判定処理部26は、実装データ28に含まれる液材Fの塗布位置(XY座標)に基づいて認識手段12を制御して、基板4上または下側部品PLの上面に塗布された液材Fを撮像させて液材Fの形状などから塗布の状態が良好か否かを判定する。例えば、判定処理部26は、撮像された液材Fの面積が所定の範囲内にある場合に良好と判定する。
【0024】
このように、認識手段12(基板認識カメラ11、実装ヘッド移動機構)および判定処理部26は、塗布手段15による液材Fの塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段である。判定結果は、判定結果29として実装記憶部27に記憶される。また、上側部品を第2部品実装装置M2で実装する場合、判定結果29は実装通信部30を介して第2部品実装装置M2に転送される。
【0025】
図2において、塗布制御部25は塗布手段15を制御して、所定の試打ち領域に所定数(例えば5点)の液材Fを塗布する試打ちを実行させる。試打ち領域は、実装作業位置に保持された基板4の隅など部品Pが実装されない領域や基台5に設けられた試打ち台16など、平坦で塗布した液材Fを認識手段12で認識しやすく、かつ、実装基板の生産や品質に影響がない領域が予め設定されている。
【0026】
検査手段(認識手段12、判定処理部26)は、試打ち領域に試打ちされた液材Fを撮像して、液材Fの塗布状態が良好か否かを判定する。塗布制御部25は、試打ちによる液材Fの塗布の状態が良好な場合にのみ、基板4上または下側部品PLの上面に液材Fを塗布させる。このように、塗布手段15は、試打ち領域(基板4の上面、試打ち台16)に液材Fを塗布し、検査手段(認識手段12、判定処理部26)は、試打ち領域に塗布された液材Fに基づいて、塗布手段15による塗布の状態が良好か否かを判定し、塗布手段15は、検査手段によって塗布の状態が良好と判定された場合に、下側部品PLの上面に液材Fを塗布する。これにより、POP実装基板の品質が確保できる。
【0027】
次に図3のフローに沿って、図4図8を参照してPOP実装基板を生産する部品実装方法について説明する。ここでは、第1部品実装装置M1によりPOP実装基板を生産する例で説明する。図4(a)、図4(b)において、第1部品実装装置M1の実装作業位置には、図示省略する印刷装置によりクリーム半田が基板電極4eにスクリーン印刷された基板4が搬入されて保持されているとする。図4(a)、図4(b)は、基板4のうち下側部品PLと上側部品がPOP実装される基板電極4e付近を示しており、基板電極4eに印刷された半田の表示は省略されている。
【0028】
図3において、まず、実装制御部24は、実装データ28に基づいて実装手段10を制御して、基板4に下側部品PLを実装させる(ST1:下側部品実装工程)。図5(a)、図5(b)において、下側部品PLの下面には、基板4の基板電極4eと接合する複数のバンプPLbが形成されている。また、下側部品PLの上面には、上側部品PUの下面に形成されたバンプPUb(図8(b)参照)と接合される平板状の上面電極PLeが形成されている。
【0029】
図3において、次いで塗布制御部25は塗布手段15を制御して、試打ち領域(試打ち台16)に液材Fを塗布させる(ST2:液材試打ち工程)。次いで検査手段(認識手段12、判定処理部26)は、試打ち領域に塗布された液材Fに基づいて、塗布手段15による液材Fの試打ちの状態が良好か否かを判定する(ST3:試打ち状態検査工程)。
【0030】
試打ちの判定結果が不良の場合(ST4においてNo)、検査手段は第1部品実装装置M1が備える信号灯やディスプレイ(図示省略)、管理コンピュータ3が備えるディスプレイ(図示省略)に試打ちが不良である旨を報知させる(ST5:報知工程)。なお、試打ちの判定結果が不良の場合(ST4においてNo)、液材試打ち工程(ST2)と試打ち状態検査工程(ST3)を所定回数(例えば、3回)繰り返し、それでも判定結果が不良の場合(ST4においてNo)に報知工程(ST5)を実行するようにしてもよい。
【0031】
試打ちの判定結果が良好の場合(ST4においてYes)、塗布制御部25は実装データ28に基づいて塗布手段15を制御して、下側部品PLの上面に液材Fを塗布させる(ST6:液材塗布工程)。図6(a)、図6(b)において、液材Fを収容するディスペンサ14は、下側部品PLの上方を移動しながら(矢印a)、下側部品PLの各上面電極PLeに液材Fを所定の量だけ塗布する。なお、ディスペンサ14が液材Fとして接着剤を塗布する場合、接着剤は下側部品PLの上面電極PLe以外の上面に塗布される。
【0032】
図3において、次いで検査手段(認識手段12、判定処理部26)は、塗布手段15により下側部品PLの各上面電極PLeに塗布された液材Fの状態が良好か否かを判定する(ST7:塗布状態判定工程)。図7(a)、図7(b)において、基板認識カメラ11は下側部品PLの上方を移動しながら(矢印b)、下側部品PLの各上面電極PLeに塗布された液材Fの状態を判定する。
【0033】
具体的には、検査手段は、上面電極PLeに塗布された液材Fの面積が所定の範囲にあるか否かを判定する。液材Fは平坦な上面電極PLeの上に塗布されているため、検査手段は液材Fの状態を安定に検査することができる。なお、検査手段は認識手段12として3次元センサを備え、3次元センサによって取得した上面電極PLeの上の液材Fの立体的形状に基づいて塗布状態を判定するようにしてもよい。
【0034】
図3において、液材Fの塗布の状態が良好な場合に(ST8においてYes)、実装制御部24は実装データ28に基づいて実装手段10を制御して、液材Fが塗布された下側部品PLの上面に下面に端子(バンプPUb)を有する上側部品PUを実装する(ST9:上側部品実装工程)。すなわち、実装手段10は、検査手段によって液材Fの塗布の状態が良好と判定された場合には、液材Fが塗布された下側部品PLの上面に上側部品PUを実装する。
【0035】
これにより、基板4に実装した下側部品PLの上面に、下面に端子を有する上側部品PUがPOP実装される。液材Fの塗布状態が不良な場合(ST8においてNo)、上側部品PUを実装せずに部品実装を終了する。なお、液材試打ち工程(ST2)、試打ち状態検査工程(ST3)は、液材塗布工程(ST4)の前に毎回実施する必要はなく、所定のタイミングで実装するようにしてもよい。例えば、液材塗布工程(ST4)を5回実施すると試打ちを1回実施したり、塗布状態判定工程(ST7)において液材Fの塗布の状態が不良と判定された後に実施したりするようにしてもよい。
【0036】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置(第1部品実装装置M1)は、下側部品PLの上面に液材Fを塗布する塗布手段15と、塗布手段15による塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段(認識手段12、判定処理部26)と、検査手段によって液材Fの塗布の状態が良好と判定された場合には、液材Fが塗布された下側部品PLの上面に上側部品PUを実装する実装手段10と、を備えている。これによって、下側部品PLの上面に上側部品PUを実装するPOP実装において、下側部品PLと上側部品PUの間に配される液材Fの状態を安定に検査することができる。
【0037】
次に図9を参照して、部品実装システム1において基板4A~4Dを第1部品実装装置M1から第2部品実装装置M2に順に搬送しながら、基板4A~4Dに下側部品PLと上側部品PUをPOP実装する部品実装方法について説明する。以下、上述した第1部品実装装置M1による部品実装方法と同様の工程には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0038】
まず、基板4Aが第1部品実装装置M1に搬入され、実装手段10により基板4に下側部品PLが実装される(ST1)。次いで塗布手段15により下側部品PLの上面に液材Fが塗布され(ST6)、検査手段(認識手段12、判定処理部26)により塗布された液材Fの状態が良好か否かが判定される(ST7)。ここで、基板4Aの判定結果29は、「良好」である。なお、下側部品PLの上面に液材Fを塗布する前に、液材試打ち工程(ST2)と試打ち状態検査工程(ST3)を実行してもよい。
【0039】
判定結果29は、実装通信部30を介して第2部品実装装置M2に送信される。第2部品実装装置M2では、実装通信部30が判定結果29を受信して、実装記憶部27に記憶する。すなわち、第1部品実装装置M1の実装通信部30は、検査手段による判定結果29を送信する送信手段である。また、第2部品実装装置M2の実装通信部30は、判定結果29を受信する受信手段である。
【0040】
次いで基板4Aが、第1部品実装装置M1から第2部品実装装置M2に搬送される。第2部品実装装置M2では、受信した判定結果29が良好であるため、実装手段10により下側部品PLの上面に上側部品PUが実装される(ST9)。すなわち、実装手段10は、判定結果29が液材Fの塗布の状態が良好である場合には、液材Fが塗布された下側部品PLの上面に上側部品PUを実装する。上側部品PUが実装された基板4Aは、第2部品実装装置M2から搬出される。
【0041】
図9において、基板4Bは、基板4Aを第1部品実装装置M1から第2部品実装装置M2に搬送している間に第1部品実装装置M1に搬入される。基板4Bに対する第1部品実装装置M1と第2部品実装装置M2における部品実装処理は基板4Aと同様であり、説明は省略する。
【0042】
基板4Cは、基板4Bを第1部品実装装置M1から第2部品実装装置M2に搬送している間に第1部品実装装置M1に搬入される。第1部品実装装置M1において、下側部品PLの上面に塗布された液材Fの状態は「不良」と判定される。そのため、第2部品実装装置M2に搬送された基板4Cの下側部品PLの上面への上側部品PUの実装は実施されずに、基板4Cは下流側に搬出される。
【0043】
図9において、基板4Dは、基板4Cを第1部品実装装置M1から第2部品実装装置M2に搬送している間に第1部品実装装置M1に搬入される。以下、第1部品実装装置M1と第2部品実装装置M2において、同様の部品実装処理が実行される。なお、第1部品実装装置M1では、直前の基板4Cに実装した下側部品PLに塗布した液材Fの塗布状態が不良であったため、基板4Dに実装した下側部品PLの上面に液材Fを塗布する前に、液材試打ち工程(ST2)と試打ち状態検査工程(ST3)が実行される。
【0044】
このように、第1部品実装装置M1は、下側部品PLの上面に液材Fを塗布する塗布手段15と、塗布手段15による塗布の状態が良好か否かを判定する検査手段(認識手段12、判定処理部26)と、検査手段による判定結果29を送信する送信手段(実装通信部30)と、を有する液材塗布装置である。また、第2部品実装装置M2は、判定結果29を受信する受信手段(実装通信部30)と、判定結果29が液材Fの塗布の状態が良好である場合には、液材Fが塗布された下側部品PLの上面に上側部品PUを実装する実装手段10と、を有する部品実装装置である。
【0045】
液材塗布装置と部品実装装置を備える部品実装システム1は、液材塗布装置が下側部品PLの上面に液材Fを塗布し、部品実装装置が下面に端子(バンプPUb)を有する上側部品PUを実装する。液材塗布装置は平坦な上面電極PLeに塗布された液材Fに基づいて塗布状態を判定するため、POP実装において下側部品PLと上側部品PUの間に配される液材Fの状態を安定に検査することができる。
【0046】
また、下側部品PLの実装(ST1)から塗布された液材Fの状態判定(ST7)までを第1部品実装装置M1で行い、上側部品PUの実装(ST9)を第2部品実装装置M2で分担することで、第1部品実装装置M1と第2部品実装装置M2のタクトタイムをそれぞれ短縮でき、部品実装システム1による実装基板の生産のスループットを向上させることができる。
【0047】
なお、上記の説明では、基板4,4A~4Dには下側部品PLと上側部品PUのみをPOP実装する例で説明したが、基板4,4A~4Dに下側部品PLと上側部品PU以外の他の部品Pを実装してもよい。その場合、第1部品実装装置M1と第2部品実装装置M2のタクトタイムが同程度となるように他の部品Pの実装を両装置に割り振ることで、効率的に実装基板を生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の部品実装装置および部品実装システムならびに部品実装方法は、POP実装において下側部品と上側部品の間に配される液材の状態を安定に検査することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 部品実装システム
4、4A~4D 基板
9 実装ヘッド(実装手段)
11 基板認識カメラ(検査手段)
14 ディスペンサ(塗布手段)
16 試打ち台(試打ち領域)
F 液材
M1 第1部品実装装置(部品実装装置、液材塗布装置)
M2 第2部品実装装置(部品実装装置)
PL 下側部品
PU 上側部品
PUb バンプ(端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9