(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】リール保持装置および部品供給システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2020077980
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 輝男
(72)【発明者】
【氏名】米山 茂和
(72)【発明者】
【氏名】豊丸 浩司
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012859(JP,A)
【文献】特開2013-149778(JP,A)
【文献】特開2019-121751(JP,A)
【文献】特開2018-010997(JP,A)
【文献】特開2010-232393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に部品を供給するテープフィーダに取り付けて用いられるリール保持装置であって、
部品を収納したキャリアテープが巻回されたリールを収容する収容部と、
前記収容部を前記テープフィーダに連結するアタッチメントと、を備え、
前記収容部は前記アタッチメントに対し、前記収容部に収容された前記リールの幅方向に移動可能であ
り、
前記アタッチメントは前記収容部を前記テープフィーダに対して昇降させる昇降機構を備え、
前記収容部は、一対の側板と、前記一対の側板を連結する連結シャフトを含み、
前記収容部は、前記連結シャフトを介して前記昇降機構に対して前記幅方向に移動可能となるように前記昇降機構に取り付けられている、リール保持装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、前記テープフィーダを基準にした上方位置と前記上方位置よりも下方の下方位置のうちの一方に前記収容部を位置させる、請求項
1に記載のリール保持装置。
【請求項3】
前記収容部を前記上方位置に固定する固定機構を備えた、請求項
2に記載のリール保持装置。
【請求項4】
前記収容
部の幅は前記テープフィーダの幅よりも大きい、請求項1~
3のいずれかに記載のリール保持装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記リールの外周縁を下方から支持する揺動体と、前記揺動体の一端部の上方に設けられ、前記揺動体の前記一端部との間に前記リールの移動路と前記リールから引き出された前記キャリアテープの通路を兼ねた開口を形成するテープガイドとを備え、前記揺動体は、支持した前記リールが前記開口を通過不能な第1の位置と、支持した前記リールが前記開口を通過可能な第2の位置との間で揺動自在である、請求項1~
4のいずれかに記載のリール保持装置。
【請求項6】
部品を収納したキャリアテープを第1のリールから引き出して部品実装装置に部品を供給する第1のテープフィーダと、
前記第1のテープフィーダに隣接して設けられ、部品を収納したキャリアテープを第2のリールから引き出して前記部品実装装置に部品を供給する第2のテープフィーダと、
第1のアタッチメントを介して前記第1のテープフィーダに取り付けられて前記第1のリールを保持する第1のリール保持装置と、
第2のアタッチメントを介して前記第2のテープフィーダに取り付けられて前記第2のリールを保持する第2のリール保持装置とを備え、
前記第1のリール保持装置は前記第1のアタッチメントに取り付けられて前記第1のリールを収容する第1の収容部を有し、
前記第2のリール保持装置は前記第2のアタッチメントに取り付けられて前記第2のリールを収容する第2の収容部を有し、
前記第1の収容部は前記第2の収容部の下方に位置し、
前記第1の収容部は前記第1のアタッチメントに対して前記第1のリールの幅方向に移動可能であり、
前記第2の収容部は前記第2のアタッチメントに対して前記第2のリールの幅方向に移動可能であ
り、
前記第1のアタッチメントは前記第1の収容部を前記第1のテープフィーダに対して昇降させる第1の昇降機構を備え、
前記第2のアタッチメントは前記第2の収容部を前記第2のテープフィーダに対して昇降させる第2の昇降機構を備え、
前記第1の収容部と前記第2の収容部の夫々は、一対の側板と、前記一対の側板を連結する連結シャフトを備え、
前記第1の収容部は、前記第1の収容部が備える連結シャフトを介して前記第1の昇降機構に対して前記幅方向に移動可能となるように前記第1の前記昇降機構に取り付けられており、
前記第2の収容部は、前記第2の収容部が備える連結シャフトを介して前記第2の昇降機構に対して前記幅方向に移動可能となるように前記第2の前記昇降機構に取り付けられている、部品供給システム。
【請求項7】
前記第1のアタッチメントは前記第1の収容部を上方位置または下方位置のうちの一方に選択的に位置させることができ、前記第2のアタッチメントは前記第2の収容部を上方位置または下方位置のうちの一方に選択的に位置させることができ、前記第1の収容部が上方位置に位置されるときには前記第2の収容部は下方位置に位置され、前記第1の収容部が下方位置に位置されるときには前記第2の収容部は上方位置に位置される、請求項
6に記載の部品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収納したキャリアテープが巻回されたリールを保持するリール保持装置およびこのリール保持装置を備えて構成される部品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、部品実装装置は面積生産性の向上が求められており、部品実装装置へ部品を供給するテープフィーダの搭載数を増やすため、テープフィーダの薄型化が望まれている。一方、テープフィーダにキャリアテープを供給するリールを保持するリール保持装置については、リールの幅に規格があることから薄幅化には限界がある。このため、リール保持装置をテープフィーダに対して設定された上下二位置の一方に選択的に位置させ、隣接するテープフィーダのリール保持装置を上下が互い違いになるようにして、リール保持装置同士の干渉を避けることができるようにしいる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、隣接する2つのリールを上下に配置してもそれだけでは、リール保持装置が、隣接して設置される他のリール保持装置と干渉するおそれがあるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、テープフィーダの幅方向寸法が小さい場合であっても相互の間隔を詰めて配置することができ、部品実装装置の面積生産性を向上させることができるリール保持装置および部品供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリール保持装置は、部品実装装置に部品を供給するテープフィーダに取り付けて用いられるリール保持装置であって、部品を収納したキャリアテープが巻回されたリールを収容する収容部と、前記収容部を前記テープフィーダに連結するアタッチメントと、を備え、前記収容部は前記アタッチメントに対し、前記収容部に収容された前記リールの幅方向に移動可能であり、前記アタッチメントは前記収容部を前記テープフィーダに対して昇降させる昇降機構を備え、前記収容部は、一対の側板と、前記一対の側板を連結する連結シャフトを含み、前記収容部は、前記連結シャフトを介して前記昇降機構に対して前記幅方向に移動可能となるように前記昇降機構に取り付けられている。
【0007】
本発明の部品供給システムは、部品を収納したキャリアテープを第1のリールから引き出して部品実装装置に部品を供給する第1のテープフィーダと、前記第1のテープフィーダに隣接して設けられ、部品を収納したキャリアテープを第2のリールから引き出して前記部品実装装置に部品を供給する第2のテープフィーダと、第1のアタッチメントを介して前記第1のテープフィーダに取り付けられて前記第1のリールを保持する第1のリール保持装置と、第2のアタッチメントを介して前記第2のテープフィーダに取り付けられて前記第2のリールを保持する第2のリール保持装置とを備え、前記第1のリール保持装置は前記第1のアタッチメントに取り付けられて前記第1のリールを収容する第1の収容部を有し、前記第2のリール保持装置は前記第2のアタッチメントに取り付けられて前記第2のリールを収容する第2の収容部を有し、前記第1の収容部は前記第2の収容部の下方に位置し、前記第1の収容部は前記第1のアタッチメントに対して前記第1のリールの幅方向に移動可能であり、前記第2の収容部は前記第2のアタッチメントに対して前記第2のリールの幅方向に移動可能であり、前記第1のアタッチメントは前記第1の収容部を前記第1のテープフィーダに対して昇降させる第1の昇降機構を備え、前記第2のアタッチメントは前記第2の収容部を前記第2のテープフィーダに対して昇降させる第2の昇降機構を備え、前記第1の収容部と前記第2の収容部の夫々は、一対の側板と、前記一対の側板を連結する連結シャフトを備え、前記第1の収容部は、前記第1の収容部が備える連結シャフトを介して前記第1の昇降機構に対して前記幅方向に移動可能となるように前記第1の前記昇降機構に取り付けられており、前記第2の収容部は、前記第2の収容部が備える連結シャフトを介して前記第2の昇降機構に対して前記幅方向に移動可能となるように前記第2の前記昇降機構に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、テープフィーダの幅方向寸法が小さい場合であっても相互の間隔を詰めて配置することができ、部品実装装置の面積生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の要部斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるテープフィーダをリール保持装置とともに示す側面図
【
図3】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の一部分解斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置が保持するリールの斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の収容部の(a)平面図(b)側面図
【
図7】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置が備える揺動部材が(a)第1の位置に位置した状態を示す側面図(b)第2の位置に位置した状態を示す側面図
【
図8】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置が備える揺動部材が(a)第1の位置に位置した状態での開口径を説明する図(b)第2の位置に位置した状態での開口径を説明する図
【
図9】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の収容部(a)上方位置に位置した状態の側面図(b)下方位置に位置した状態の側面図
【
図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の収容部のアタッチメントに対する横方向の移動を説明する図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるリール保持装置が備える固定機構の動作を説明する図
【
図12】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるリール保持装置が備える固定機構の動作を説明する図
【
図13】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の収容部の上下方向の位置の変更手順を説明する図
【
図14】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるリール保持装置の側面図
【
図15】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムの斜視図
【
図16】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムの斜視図
【
図17】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムを後方から見た図
【
図18】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムを後方から見た図
【
図19】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムを後方から見た図
【
図20】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムを後方から見た図
【
図21】本発明の一実施の形態におけるリール保持装置から成る部品供給システムを後方から見た図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品実装装置1を示している。部品実装装置1は、上流工程側から搬入した基板KBに部品BHを装着して下流工程側に搬出する一連の部品実装動作を繰り返し実行する。本実施の形態では、作業者OPから見た部品実装装置1の左右方向をX軸方向とし、作業者OPから見た部品実装装置1の前後方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0011】
図1において、部品実装装置1は基台11、基板搬送部12、フィーダ台車13、複数の部品供給装置14、装着ヘッド15およびヘッド移動機構16を備えている。基板搬送部12はX軸方向に延びたコンベア機構によって基板KBをX軸方向に搬送し、所定の作業位置に位置決めする。フィーダ台車13は作業者OPによって床面上を走行されて基台11に連結される。フィーダ台車13は上部にフィーダベース13Bを有している。フィーダベース13Bには複数のスロット13Sが設けられている。
【0012】
図2において、部品供給装置14は、テープフィーダ21、テープフィーダ21の後部に設けられたリール保持装置22を備えて構成される。
図3および
図4に示すように、リール保持装置22は、部品BHが収納されたキャリアテープ23が巻き付けられたリール24を縦姿勢に収容して回転自在に保持する収容部31と、収容部31をテープフィーダ21に連結するアタッチメント32を備えて構成されている。
【0013】
図5において、キャリアテープ23は、ベーステープ41とカバーテープ42を有している。ベーステープ41には、上方に開口した形状の多数のポケット(部品収容部)33がベーステープ41の長手方向に一列かつ等間隔に設けられている。複数のポケット43のそれぞれには部品BHが収納されており、カバーテープ42は各ポケット43を覆うようにベーステープ41に貼り付けられている。ベーステープ41には、ポケット43の列と平行に並ぶように、複数の係合孔44が一列かつ等間隔に設けられている。
【0014】
図5において、リール24は対向して配置された一対の円盤部24aの間に円盤部よりも小径の円筒状の巻芯部24bを有している。巻芯部24bにはキャリアテープ23の終端部を挿入するためのスリット24Sが形成されており、スリット24Sにはキャリアテープ23の終端部が挿入されている。リール24から全てのキャリアテープ23が繰り出されると、キャリアテープ23の終端部がリール24のスリット24Sから抜け出てリール24から分離する。
【0015】
テープフィーダ21は、リール24からキャリアテープ23を引き出して部品BHの供給を行う装置である。
図2において、テープフィーダ21は下面に設けられたスロットナット部21Nをスロット13Sに挿入させてフィーダベース13Bに着脱自在に取り付けられている。テープフィーダ21は、前後方向に延びたテープ搬送路51Lを有したフレーム51の内部にスプロケット52を備えている。スプロケット52は外周歯(図示せず)をキャリアテープ23の係合孔44に係合させて回転することで、キャリアテープ23をテープ搬送路51L内で走行させる。
【0016】
フレーム51の後端部にはテープ挿入口53が設けられている。テープ挿入口53はテープ搬送路51Lに繋がっている。リール保持装置22に保持されたリール24から引き出されたキャリアテープ23は、アタッチメント32に設けられたガイド部32Gを経てテープ挿入口53からテープ搬送路51Lに挿入される(
図2)。テープ挿入口53からテープ搬送路51Lに挿入されたキャリアテープ23は、スプロケット52によって、フレーム51の前上方に設定された部品供給位置21Kに向けてピッチ搬送される。
【0017】
図2において、スプロケット52によってピッチ搬送されるキャリアテープ23は、部品供給位置21Kに到達する前に、ベーステープ41からカバーテープ42が剥離される。ベーステープ41からカバーテープ42が剥離されるとポケット43は上方に開放された状態となり、部品供給位置21Kにおいてポケット43から部品BHを取り出すことが可能となる。ベーステープ41から剥離されたカバーテープ42は、フレーム51の後部へ送られて回収される。
【0018】
リール保持装置22に保持されたリール24は、テープフィーダ21がキャリアテープ23を引っ張るのに応じて回転してキャリアテープ23を繰り出す。そして、リール24が繰り出すキャリアテープ23の終端部がリール24のスリット24Sから抜け出て部品切れが近くなった場合には、作業者OPはリール24をリール保持装置22から取り出したうえで、新たなリール24をリール保持装置22に取り付ける。そして、リール保持装置22に取り付けた新たなリール24から引き出したキャリアテープ23の先頭部を、先行するキャリアテープ23の終端部に接続(スプライシング)する。
【0019】
図1において、装着ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを備えている(
図2も参照)。各ノズル15Nは装着ヘッド15に対して昇降およびZ軸まわりの回転動作が可能である。装着ヘッド15は、図示しない真空配管を通じて供給される真空圧を各ノズル15Nに供給することによって、各ノズル15Nの下端に部品BHを吸着する真空吸引力を発生させることができる。ヘッド移動機構16は装着ヘッド15を水平面内方向に移動させる。これにより装着ヘッド15は、各部品供給装置14のテープフィーダ21が部品供給位置21Kに供給する部品BHをノズル15Nによってピックアップし、基板搬送部12によって作業位置に位置決めされた基板KBに装着する装着ターン動作を繰り返し実行する。
【0020】
このような構成の部品実装装置1において、本実施の形態では各部品供給装置14が備えるリール保持装置22の構成に特徴があり、以下、その説明を行う。
【0021】
リール保持装置22は述したように、収容部31とアタッチメント32を備えて構成されている。
図3、
図4および
図6(a),(b)において、収容部31は、一対の側板61、2つの連結シャフト62、揺動支軸63、テープガイド64および揺動体65を備えて構成されている。
【0022】
一対の側板61はテープフィーダ21の幅方向(X軸方向)に対向して配置されている。側板61は基部61aと、基部61aから後下方に延びた後下方延出部61bと、基部61aから後上方に延びた後上方延出部61cを有している。
【0023】
図3および
図4において、2つの連結シャフト62は一対の側板61の間に上下に並んで配置されており、一対の側板61の基部61a同士を連結している。揺動支軸63は一対の側板61の間に配置されており、一対の側板61の後下方延出部61b同士を連結している。テープガイド64は一対の側板61の間に配置されており、一対の側板61の後上方延出部61c同士を連結している。
【0024】
図3、
図4、
図6(b)において、揺動体65は全体として前後方向に延びた形状を有している。揺動体65の中間部よりもやや後方(作業者OPに向く側)寄りの部分と前端部のそれぞれには、揺動体65の幅方向(X軸方向)に延びた円筒形状のリール当接部65Tが設けられている。これら2つのリール当接部65Tはそれぞれ、揺動体65の上面側に突出した状態となっている(
図6(b))。
【0025】
図3、
図4、
図6(a),(b)および
図7(a),(b)において、揺動体65の中間部に設けられたリール当接部65Tは揺動支軸63によって枢支されている。このため揺動体65は、揺動支軸63を中心にして、上下面内(YZ面内)で揺動自在になっている。
【0026】
図4および
図6(b)において、揺動体65のうち揺動支軸63よりも前方(作業者OPに向く側とは反対の側)の部分は、一対の側板61の間に収容されたリール24の外周縁を下方から支持するリール支持部65aとなっている。揺動体65のうち揺動支軸63よりも後方の部分は後方(すなわちリール支持部65aとは反対側)に向かって延びる延出部65bとなっている。延出部65bの先端部は揺動体65の後端部65Sであり、一対の側板61の後下方延出部61bよりも後方に位置している。揺動体65によって支持されたリール24は、その側方に一対の側板61があるために、面外方向に移動する(倒れる)のが防止される。
【0027】
揺動体65の幅方向(X軸方向)の寸法は、支持する対象のリール24の幅方向寸法よりも若干大きい寸法となっている。また、2つの側板61の間隔は、揺動体65の幅方向寸法よりも若干大きい間隔となっている。
【0028】
図4および
図6(b)において、リール支持部65aは下方に凸となる円弧形状を有している。リール支持部65aの円弧形状の曲率半径は、リール支持部65aによって支持されるリール24の外周縁の曲率半径よりもやや大きい値となっている。リール24は、リール支持部65aに形成された2つのリール当接部65Tに外周縁を上方から当接させることによって、リール支持部65aに支持される。揺動体65の前後方向の中間部には、揺動体65の側方に突出した揺動ストッパ66が設けられている。
【0029】
揺動体65の揺動支軸63を支点とした上下面内での揺動範囲のうち、揺動体65の前端側が下がる方向の揺動は、揺動体65の前端部側に位置するリール当接部65Tがアタッチメント32の一部(詳細には、後述する昇降ベース75の後面)の揺動体当接部32T(
図6(b))に後上方から当接する位置(以下、「第1の位置」と称する。
図3、
図6(b)および
図7(a)に示す位置)に制限される。一方、揺動体65の後端側が下がる方向の揺動は、揺動体65に設けられた揺動ストッパ66が、一対の側板61それぞれの下縁側に設けられた揺動ストッパ当接部61Tに当接する位置(以下、「第2の位置」と称する。
図7(b)に示す位置)に制限される。
【0030】
図4および
図6(b)において、揺動支軸63にはコイルばね67が組み込まれている。コイルばね67は、揺動体65を第1の位置の側に付勢する付勢手段として機能する。このため揺動体65に外力(後述するように揺動体65の後端部65Sを下方に押圧する力)が作用していない状態では、揺動体65はコイルばね67の付勢力によって第1の位置に位置する。
【0031】
揺動体65の一端部である後端部65S(延出部65bの先端部)を下方に押圧すると(
図7(a)中に示す矢印P)、揺動体65はコイルばね67の付勢力に抗し、揺動支軸63を中心にして、後端部65Sが下方に移動する方向に揺動する(
図7(a)→
図7(b))。そして、揺動ストッパ66が揺動ストッパ当接部61Tに当接したところで揺動体65は第2の位置に位置する(
図7(b))。揺動体65が第2の位置に位置した状態で延出部65bから手を放すと、揺動体65はコイルばね67の付勢力によって第1の位置の側へ揺動し(
図7(b)→
図7(a))、揺動体65の他端側の端部である前端部がアタッチメント32の揺動体当接部32Tに当接したところで第1の位置に位置する(
図7(a))。
【0032】
テープガイド64は揺動体65の幅方向(X軸方向)に延びたシャフト状の部材であり、
図3、
図4および
図6(a),(b)に示すように、揺動体65の後端部65S(延出部65bの先端部)の上方に位置している。揺動体65の後端部65Sとテープガイド64との間の領域は、収容部31に対するリール24の移動路であり、かつ、リール支持部65aに支持されたリール24から引き出されたキャリアテープ23の通路である開口68となっている(
図3、
図6(b)および
図7(a),(b))。従って、リール24が収容部31内へ収容されるときと、収容部31から取り出されるときは、リール24は開口68を通じて移動し、リール支持部65aに支持されたキャリアテープ23から引き出されたキャリアテープ23は、開口68を通ってテープフィーダ21に送られる(
図7(a))。
【0033】
ここで、揺動体65の後端部65Sとテープガイド64との間の距離(以下、「開口径TK」と称する。
図8(a),(b))は、揺動体65の揺動位置によって変化するものである。具体的には、揺動体65が第1の位置に位置した状態では(
図8(a))、開口径TKはリールの直径DRよりも小さく、揺動体65が第2の位置に位置した状態では(
図8(b))、開口径TKはリール24の直径DRよりも大きくなる。
【0034】
このため、揺動体65を第1の位置に位置させた状態では、開口68を通じたリール24の移動を行うことはできないが、揺動体65を第2の位置に位置させた状態では、開口68を通じたリール24の移動を行うことができる。従って、揺動体65を第1の位置に位置させた状態では収容部31内にリール24を収容し、或いは収容部31に収容されたリール24を収容部31から取り出すことはできないが、揺動体65を第2の位置に位置させることによって(
図7(a)→
図7(b))、収容部31内にリール24を収容し、或いは収容部31に収容されたリール24を収容部31から取り出すことができるようになる(
図7(b)中に示す矢印A)。
【0035】
このように本実施の形態において、揺動体65が第1の位置に位置した状態では、揺動体65の後端部65Sとテープガイド64との間の距離である開口径TKはリール24の直径DRよりも小さいためにリール24は開口68を通過不能であり、揺動体65が第2の位置に位置している状態では、開口径TKはリール24の直径DRよりも大きいために、リール24は開口68を通過可能となる。
【0036】
図3、
図4および
図9(a),(b)において、アタッチメント32は、連結部71、固定アーム72、固定ベース73、昇降アーム74、昇降ベース75および固定機構76を備えている。連結部71は、複数の連結螺子71Sによって、テープフィーダ21の後部に連結される。固定アーム72は連結部71から下方に延びて設けられている。固定ベース73は固定アーム72の下端に設けられており、上下方向に延びた形状を有している。
【0037】
図3および
図4において、昇降アーム74は上下方向に延びた板状の部材であり、昇降ベース75は上下方向に延びた部材である。昇降アーム74は固定ベース73に対して上下方向にスライド自在であり、昇降ベース75は昇降アーム74に対して上下方向にスライド自在である。
【0038】
図4および
図6(a),(b)に示すように、収容部31は、一対の側板61を連結する上下の連結シャフト62を介して昇降ベース75に取り付けられている(
図4も参照)。昇降ベース75の後面には、揺動体65の前端部側に位置するリール当接部65Tが当接する前述の揺動体当接部32Tが形成されている(
図6(b)および
図7(a),(b))。
【0039】
図6(b)および
図9(a),(b)において、昇降アーム74の上端部と下端部のそれぞれには、面外方向(X軸方向)に屈曲して延びた係止部(上方係止部74aと下方係止部74b)が設けられている。上方係止部74aは昇降ベース75の上端よりも上方の領域に突出しており、これにより昇降ベース75の上端が昇降アーム74の上端の上方に位置することが規制される。下方係止部74bは固定ベース73の下端よりも下方の領域に突出しており、これにより昇降アーム74の下端が固定ベース73の下端よりも上方に位置することが規制される。
【0040】
図9(a),(b)において、固定ベース73内の下部には、昇降アーム74の上方係止部74aが上方から当接する固定ベース内ストッパ73Sが設けられている。固定ベース内ストッパ73Sは、昇降アーム74の上方係止部74aが上方から当接した位置よりも下方に昇降アーム74が移動するのを規制する。
【0041】
また、昇降ベース75内の上部には、昇降アーム74の下方係止部74bに上方から当接する昇降ベース内ストッパ75Sが設けられている。昇降ベース内ストッパ75Sは、昇降アーム74の下方係止部74bに上方から当接した位置よりも下方に昇降ベース75が移動するのを規制する。
【0042】
図3、
図4および
図6(b)において、収容部31は昇降ベース75の後方に位置しており、前述の上下の連結シャフト62を介して昇降ベース75に取り付けられている。具体的には、収容部31が有する上下の連結シャフト62が昇降ベース75を横方向に挿通しており(
図6(a)および
図10(a))、これにより収容部31は昇降ベース75と一体となって上下方向に移動するようになっている。なお、
図10(a)(および後述する
図10(b),(c))は、
図6(a)における領域ARの拡大図である。
【0043】
ここで、
図10(a)に示すように、一対の側板61の間隔X1は、昇降ベース75の幅方向寸法X2よりも大きくなっている。このため収容部31は、両者の差分ΔX(=X1-X2)だけ、昇降ベース75に対して(すなわちテープフィーダ21に対して)、リール24の幅方向(X軸方向)に移動可能である。
図10(b)は、収容部31を昇降ベース75に対して右側に移動させた状態を示しており、
図10(c)は、収容部31を昇降ベース75に対して左側に移動させた状態を示している。
【0044】
このように本実施の形態におけるリール保持装置22では、収容部31を、テープフィーダ21に連結するアタッチメント32に対し、リール保持装置22が保持するリール24の幅方向に移動自在になっている。
【0045】
固定機構76は昇降ベース75を固定ベース73に固定する装置であり、昇降ベース75に設けられている。
図3、
図4および
図6(b)に示すように、固定機構76は、係止部材81と付勢ばね82を有している。係止部材81は、昇降ベース75内に、Y軸方向にスライド自在に設けられている。付勢ばね82は昇降ベース75内に設けられており、係止部材81を固定ベース73の側に付勢している。係止部材81は固定ベース73の側に突出した楔部81Kを有している。
【0046】
図6(b)に示すように、昇降ベース75には側方に開口した窓部75Wが設けられている。係止部材81の側面には昇降ベース75の側方に突出して形成された操作部81Bが設けられている。操作部81Bは窓部75Wから昇降ベース75の側方に突出しており、作業者OPは操作部81Bを操作することで係止部材81をY軸方向にスライド操作することができる。
【0047】
作業者OPが指によって付勢ばね82の付勢力に抗して係止部材81を後方に(すなわち固定ベース73から離れる側に)操作すると(
図11(a)中に示す矢印B1)、楔部81Kは昇降ベース75内に引っ込む。これにより楔部81Kは固定ベース73の切欠き部73Kから離脱し、固定ベース73に対する昇降ベース75の固定が解除される(
図11(a))。
【0048】
一方、上記のように楔部81Kが切欠き部73Kから離脱した状態から、作業者OPが係止部材81から指を放すと、係止部材81は付勢ばね82の付勢力によって前方へ(すなわち固定ベース73に近づく側に)移動し(
図11(b)中に示す矢印B2)、楔部81Kは固定ベース73の切欠き部73Kに嵌入する。これにより昇降ベース75が固定ベース73に対して固定された状態となる(
図11(b))。
【0049】
なお、昇降ベース75が固定ベース73の下方に位置した状態から昇降ベース75を上昇させて固定ベース73の側方に位置させる場合には、その過程で係止部材81の楔部81Kに形成されたテーパ部81Tが固定ベース73に下方から当接する(
図12(a))。このため係止部材81は自動的に付勢ばね82の付勢力に抗して昇降ベース75内に引っ込められていき(
図12(a)→
図12(b))、テーパ部81Tの下端が切欠き部73Kの下縁73F(
図12(b))に達したところで、ばね部材82の付勢力によって、切欠き部73K内に嵌入する(
図12(b)→
図12(c))。
【0050】
係止部材81の楔部81Kが固定ベース73の切欠き部73Kに嵌入した状態では、昇降ベース75は固定ベース73の側方に位置し(
図6(b)、
図9(a)および
図13(a))、昇降アーム74は固定ベース73と昇降ベース75との間に収容された状態となる。このように固定ベース73の側方に位置したときの収容部31の位置を、以下「上方位置」と称する。
【0051】
収容部31が上方位置に位置した状態から、作業者OPが固定機構76の係止部材81の操作部81Bを操作し、係止部材81の楔部81Kを固定ベース73の切欠き部73Kから離脱させると(
図11(a)中に示す矢印B1)、昇降ベース75の固定ベース73に対する固定が解除される(
図11(a))。これにより収容部31は、昇降ベース75とともに、自重によって、固定ベース73に対して下降し得るようになる。
【0052】
作業者OPは、収容部31を手で保持した状態で昇降ベース75の固定ベース73に対する固定を解除し、収容部31をゆっくり下ろしていくと、昇降アーム74は上方係止部74aを昇降ベース75の上端に当接させた状態で、昇降ベース75とともに下降していく。そして、昇降アーム74の上方係止部74aが固定ベース内ストッパ73Sに上方から当接したところで(
図13(b))、昇降アーム74はそれ以上下降できなくなり、以後は昇降ベース75が収容部31とともに下降していく。
【0053】
昇降ベース75が収容部31とともに下降していき、昇降ベース内ストッパ75Sが昇降アーム74の下方係止部74bに下方から当接すると、昇降ベース75はそれ以上下降できなくなる。これにより収容部31は上方位置よりも下方の位置である「下方位置」に位置する(
図9(b)および
図13(c))。
【0054】
このように、本実施の形態において、アタッチメント32の固定ベース73、昇降アーム74および昇降ベース75は、収容部31をテープフィーダ21に対して昇降させる昇降機構77(
図13(a))となっている。すなわち本実施の形態において、アタッチメント32は、収容部31を昇降させる昇降機構77を備えた構成となっている。そして、昇降機構77は、テープフィーダ21を基準にした上方位置と、上方位置よりも下方の下方位置のうちの一方に収容部31を位置させるようになっている。
【0055】
図14(a)に示すように、第1の位置に位置した揺動体65によって円盤部24aの外周縁が支持されたリール24は、その中心位置(すなわち重心GVの位置)がリール24の外周縁を支持する2つのリール当接部65Tの間に位置した状態となっている。この状態ではリール24は揺動体65によって安定的に支持されており、リール24から後方に引き出したキャリアテープ23を引っ張った場合であってもリール24はキャリアテープ23を繰り出しながらその場で回転する。このためリール24の使用時には、揺動体65は第1の位置に位置され、リール24は第1の位置に位置された揺動体65によって支持される。以下、第1の位置に位置した揺動体65によって支持されているリール24の位置を、「使用位置」と称する。
【0056】
使用位置に位置したリール24から後方に引き出されたキャリアテープ23は、揺動体65の後端部65Sとテープガイド64との間、すなわちキャリアテープ23の開口68を通った後に前上方に引っ張られ、テープフィーダ21のテープ挿入口53に挿入される(
図2)。テープ挿入口53からキャリアテープ23が挿入されたテープフィーダ21は、そのキャリアテープ23をスプロケット52によってフレーム51の内部に引き込んで搬送する。このとき開口68を通ってリール24から引き出されたキャリアテープ23は下面側をテープガイド64に当接させ、テープガイド64によってガイドされつつ、テープフィーダ21に引き込まれていく。
【0057】
使用位置に位置したリール24から引き出されたキャリアテープ23がテープフィーダ21によって引き込まれると、リール24はキャリアテープ23の張力によって後方に引っ張られ、揺動体65のリール支持部65a上で回転しながら、キャリアテープ23を後方に繰り出す。そして、部品切れに近くなったキャリアテープ23の終端部がリール24の巻芯部24bのスリット24Sから抜け出るときには、キャリアテープ23の終端部がスリット24Sに引っ掛かるので、リール24はキャリアテープ23によって強く後方へ引っ張られる。
【0058】
このときリール24はリール支持部65aから延出部65bの側へ移動する場合があるが(
図14(a)→
図14(b))、揺動体65が第1の位置に位置した状態では開口径TKはリール24の直径DRよりも小さいので(
図8(a))、リール24はその上部がテープガイド64に当接してそれ以上後方に移動することが阻止される。このためリール24は開口68を通過できず(
図14(b))、リール24の収容部31からの脱落が防止される。
【0059】
一方、使用位置に位置しているリール24を取り出す場合には、作業者OPは、揺動体65の後端部65S(延出部65bの先端部)を下方へ押圧し(
図7(a)中に示す矢印P)、揺動体65を揺動支軸63まわりに揺動させて、第2の位置に位置させる(
図7(b))。この過程において、リール24は揺動体65のリール支持部65aによって持ち上げられて後方に(すなわち開口68の側に)移動され、リール24は開口68の側に移動する。また、これとともに、揺動体65の後端部65Sはテープガイド64に対して相対的に下降して、開口径TKがリール24の直径DRよりも大きくなる。このため作業者OPは、開口68を通じて収容部31内からリール24を取り出すことができる。また、作業者OPは、リール24を開口68から挿入して収容部31内(一対の側板61の間の領域内)に収容することもできる。
【0060】
このように、本実施の形態におけるリール保持装置22では、部品BHを収納したキャリアテープ23が巻回されたリール24を縦姿勢で収容する収容部31が、リール24の外周縁を下方から支持する揺動体65と、揺動体65の一端部である後端部65Sの上方に設けられたテープガイド64を備えている。揺動体65の後端部65Sとテープガイド64との間には、リール24の移動路とリール24から引き出されたキャリアテープ23の通路とを兼ねた開口68が形成され、揺動体65は、その後端部65Sとテープガイド64との間の距離である開口径TKがリール24の直径DRよりも小さいために支持したリール24が開口68を通過不能となる第1の位置と、開口径TKがリール24の直径DRよりも大きくなるために支持したリール24が開口68を通過可能となる第2の位置との間で揺動自在になっている。
【0061】
このため、揺動体65が第1の位置に位置しているリール24の使用時においては、キャリアテープ23によりリール24が引っ張られてもリール24が収容部31から脱落することはないが、揺動体65を第2の位置に揺動させれば、リール24を収容部31に対して出し入れできるようになるので、使用時におけるリール24の脱落を確実に防止しつつ、リール24の交換作業を容易に行うことが可能である。よって本実施の形態におけるリール保持装置22によれば、リール24の使用時におけるリール24の脱落防止とリール24の交換作業の容易化との両立を図ることができる。
【0062】
図15および
図16は、隣接して配置される2つのテープフィーダ21およびこれら2つのテープフィーダ21に取り付けられた2つのリール保持装置22を部品供給システム90としたものである。
図15は、右側に位置するテープフィーダ21に取り付けられたリール保持装置22の収容部31を上方位置に位置させ、左側に位置するテープフィーダ21に取り付けられたリール保持装置22の収容部31を下方位置に位置させた場合の例を示している。
図16は、右側に位置するテープフィーダ21に取り付けられたリール保持装置22の収容部31を下方位置に位置させ、左側に位置するテープフィーダ21に取り付けられたリール保持装置22の収容部31を上方位置に位置させた場合の例を示している。
【0063】
図15または
図16に示す部品供給システム90は、キャリアテープ23を第1のリール(右側または左側のリール24)から引き出して部品実装装置1に部品BHを供給する第1のテープフィーダ(右側または左側に配置されたテープフィーダ21)と、第1のテープフィーダに隣接して設けられ、キャリアテープ23を第2のリール(左側または右側のリール24)から引き出して部品実装装置1に部品BHを供給する第2のテープフィーダ(左側または右側に配置されたテープフィーダ21)と、第1のアタッチメント(右側または左側のアタッチメント32)を介して第1のテープフィーダに取り付けられて第1のリールを保持する第1のリール保持装置(右側または左側のリール保持装置22)と、第2のアタッチメント(左側または右側のアタッチメント32)を介して第2のテープフィーダに取り付けられて第2のリールを保持する第2のリール保持装置(左側または右側のリール保持装置22)とを備えた構成となっている。そして、第1のリール保持装置は第1のアタッチメントに取り付けられて第1のリールを収容する第1の収容部(右側または左側の収容部31)を有し、第2のリール保持装置は第2のアタッチメントに取り付けられて第2のリールを収容する第2の収容部(左側または右側の収容部31)を有し、第1の収容部は第2の収容部の下方に位置し、第1の収容部は第1のアタッチメントに対して第1のリールの幅方向に移動可能であり、第2の収容部は第2のアタッチメントに対して第2のリールの幅方向に移動可能な構成となっている。
【0064】
このように2つのテープフィーダ21および2つのリール保持装置22から成る部品供給システム90において、一方側の収容部31を「上方位置」に位置させるとともに、他方側の収容部31を「下方位置」に位置させると、収容部31の幅方向の寸法がテープフィーダ21の幅方向の寸法よりも大きく、
図17に示すように、リール保持装置22の収容部31が、そのリール保持装置22が取り付けられているテープフィーダ21の横方向の寸法からはみ出していたとしても、隣接する2つのリール保持装置22において、収容部31同士は干渉しない。このため、収容部31の幅方向の寸法がテープフィーダ21の幅方向の寸法よりも大きいリール保持装置22が取り付けられた2つのテープフィーダ21を、フィーダベース13B上で隣接して(すなわちスロット13Sを詰めて)配置することが可能である。
【0065】
また、
図17に示すように、ひとつの部品供給システム90を構成する2つのテープフィーダ21の幅方向の寸法WDから収容部31がそれぞれ外側にはみ出していたとしても、同じ部品供給システム90をX軸方向に並べている限りは、収容部31同士を干渉させることなく、複数の部品供給システム90をフィーダベース13B上に隣接して(スロット13Sを詰めて)配置することが可能である(
図18)。
【0066】
ここで、
図19の一点鎖線に示すように、上記の部品供給システム90に隣接して、上側位置に位置させた収容部31と下側位置に位置させた収容部31とに跨る大きさの収容部を有するリール保持装置(「大サイズリール保持装置22A」と称する)付きのテープフィーダ(「隣接フィーダ21A」と称する)が設置される場合には、外側にはみ出した収容部31がその隣接フィーダ21Aの大サイズリール保持装置22Aと干渉してしまうおそれがある。このような場合には、上側位置に位置した収容部31と下側位置に位置した収容部31をそれぞれ内側に(互いに近接する側に)移動させ(
図20中に示す矢印C)、上下の2つの収容部31がそれぞれ2つのテープフィーダ21の幅方向の寸法WD内に収まるようにしたうえで(
図20)、隣接フィーダ21Aを設置するようにする。
【0067】
このようにすれば、収容部31は隣接フィーダ21Aの大サイズリール保持装置22Aと干渉しないので(
図21)、大サイズリール保持装置22Aのように、リール保持装置22とはタイプが異なるリール保持装置を備えた隣接フィーダ21Aを部品供給システム90に隣接して配置する場合であっても、その隣接フィーダ21Aを部品供給システム90に詰めて(スロット13Sを空ける必要なく)、設置することが可能である。このため薄型のスロット13Sの間隔に合わせて形成されたスロット13Sを有効に使用することができ、面積生産性を向上させることができる。
【0068】
このように、本実施の形態におけるリール保持装置22では、リール24を縦姿勢で収容する収容部31が、収容部31をテープフィーダ21に連結するアタッチメント32に対し、収容したリール24の幅方向(X軸方向)に移動可能となっているため、リール保持装置22の幅方向寸法がテープフィーダ21の幅方向寸法よりも大きい場合であっても、収容部31をアタッチメント32に対して横方向に移動させることで、収容部31同士の干渉を避けることができる。また、これにより、2つのテープフィーダ21および2つのリール保持装置22から成る部品供給システム90を構成した場合には、2つのリール保持装置22が2つのテープフィーダ21の幅方向の寸法WDから外側にはみ出ないようにすることができるので、複数の部品供給システム90を隣接して(間隔を詰めて)配置できるうえ、異なるタイプのリール保持装置を備えたテープフィーダも隣接して(間隔を詰めて)配置することができるので、面積生産性を向上させることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態におけるリール保持装置22では、リール24を収容する収容部31が、収容部31をテープフィーダ21に連結するアタッチメント32に対し、収容したリール24の幅方向に移動自在となっているため、2つのテープフィーダ21および2つのリール保持装置22から成る部品供給システム90を構成した場合を含め、収容部31をアタッチメント32に対してリール24の幅方向(X軸方向)に移動させることで、隣接する収容部31同士の干渉を避けることができる。このため本実施の形態におけるリール保持装置22(部品供給システム90)によれば、テープフィーダ21の幅方向寸法が小さい場合であっても相互の間隔を詰めて配置することができ、部品実装装置1の面積生産性を向上させることができる。
【0070】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、収容部31は一対の側板61を有する構成となっていたが、揺動体65によって支持したリール24がその面外方向に移動する(倒れる)のが防止されるようになっているのであれば、必ずしも側板61を有していなくてもよい。また、一対の側板61を設ける代わりに、一対の側板61に相当する機能を有するフランジ部を揺動体65に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
テープフィーダの幅方向寸法が小さい場合であっても相互の間隔を詰めて配置することができ、部品実装装置の面積生産性を向上させることができるリール保持装置および部品供給システムを提供する。
【符号の説明】
【0072】
1 部品実装装置
21 テープフィーダ
22 リール保持装置
23 キャリアテープ
24 リール
31 収容部
32 アタッチメント
64 テープガイド
65 揺動体
65S 後端部(揺動体の一端部)
68 開口
76 固定機構
77 昇降機構
90 部品供給システム
BH 部品