特許 7462153 トレイストッカおよび部品装着装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-03-28

(45)【発行日】2024-04-05

(54)【発明の名称】トレイストッカおよび部品装着装置

(51)【国際特許分類】

   H05K 13/02 20060101AFI20240329BHJP

【ＦＩ】

H05K13/02 E

【請求項の数】 9

(21)【出願番号】P 2020145169

(22)【出願日】2020-08-31

(65)【公開番号】P2022040443

(43)【公開日】2022-03-11

【審査請求日】2023-06-01

(73)【特許権者】

【識別番号】314012076

【氏名又は名称】パナソニックＩＰマネジメント株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002000

【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所

(72)【発明者】

【氏名】中西 智昭

【審査官】加藤 三慶

(56)【参考文献】

【文献】実開平０６－０６０１９９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００３－１０１２８５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－０１９１４５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１１－１６３５９２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０５Ｋ １３／０２

Ｈ０５Ｋ １３／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

部品供給用のトレイを保持したパレットを収納したマガジンをストックしておくトレイストッカであって、
前記マガジンが載置されるマガジン載置部を有するラックと、
前記マガジン載置部に載置された前記マガジンをほぼ水平方向に付勢して前記マガジンを前記マガジン載置部に対してロックするマガジン付勢手段と、を備え、
前記マガジンは下面側に車輪を備えており、前記マガジン付勢手段により付勢された前記マガジンは、前記車輪が前記マガジン載置部に設けられた車輪止めに当接されることで前記マガジン載置部に対してロックされる、トレイストッカ。

【請求項2】

前記マガジン載置部は、前記ラックの内部と前記ラックの外部との間で移動可能な構成を有して前記マガジンが載置された状態で前記ラック内に収容されるようになっており、前記マガジン付勢手段は前記マガジンが載置された前記マガジン載置部が前記ラック内に収容される動作によって前記マガジンにより押し縮められることで前記マガジンをほぼ水平方向に付勢する、請求項１に記載のトレイストッカ。

【請求項3】

前記ラック内に収容された前記マガジン載置部を前記ラックにロックする載置部ロック機構を備えた、請求項２に記載のトレイストッカ。

【請求項4】

前記載置部ロック機構は、前記マガジン載置部が前記ラック内に収容されるときに前記マガジンン載置部と当接するロック位置と前記ロック位置から移動したロック解除位置との間で移動自在なロック部材と、前記ロック位置から移動した前記ロック部材を前記ロック位置に復帰させる復帰ばねと、を備えた請求項３に記載のトレイストッカ。

【請求項5】

前記ロック部材は前記ラック内に収容される前記マガジン載置部によって押し退けられた後、前記復帰ばねによって前記ロック位置に復帰し、その後、前記マガジンを介して前記マガジン付勢手段によって付勢される前記マガジン載置部と当接することで前記マガジン載置部を前記ラックにロックする、請求項４に記載のトレイストッカ。

【請求項6】

前記ロック部材は、前記ラックに対して揺動または昇降自在に設けられている請求項５に記載のトレイストッカ。

【請求項7】

前記ロック部材を前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動させて前記ロック部材による前記マガジン載置部のロックを解除するロック解除装置を備えた、請求項４～６のいずれかに記載のトレイストッカ。

【請求項8】

前記ロック解除装置の動作と連動して動作することにより、前記ロックが解除されて前記マガジン付勢手段に付勢されて押し出された前記マガジンおよび前記マガジン載置部が前記ラックから飛び出るのを防止する飛び出し防止部を備えた、請求項７に記載のトレイストッカ。

【請求項9】

請求項１～８に記載のトレイストッカと、前記トレイストッカにストックされた前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出部と、前記パレット引出部により引き出された前記パレットから部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドとを備えた、部品装着装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、部品供給用のトレイを保持したパレットを収納したマガジンをストックしておくトレイストッカおよびこのトレイストッカを備えた部品装着装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に装着する部品装着装置が知られている。このような部品装着装置における部品供給部の一種として用いられるトレイストッカは、部品供給用のトレイを保持したパレットを収納したマガジンをストックする構成になっている。トレイストッカはマガジンが載置されるマガジン載置部を有するラックを備えており、マガジン載置部は、ラックの内部からラックの外部へ横方向に移動可能な構成を有している。そして、マガジンを載置したマガジン載置部をラック内に押し込むことで、マガジンをラック内に収容できるようになっている。

【0003】

このようなトレイストッカのラックにおいて、マガジン載置部に載置されたマガジンに対するパレットの挿抜動作の安定性を向上させるためには、マガジン載置部上でのマガジンの横方向の移動を抑える必要がある。このようにマガジンの横方向の移動を抑えるためには、例えば、ラック側に移動規制部としての凹部を設け、その凹部の壁面にマガジンの一部が当接するようにする方法がある（例えば、下記の特許文献１参照）。この場合、凹部の壁面とマガジンの間の隙間（遊び）が小さいほどマガジンのぐらつきを小さくすることができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開平１１－３１４７０５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、上記遊びを小さくし過ぎると、作業者がマガジンをラックに設置する作業を効率よく行うことができず、作業に時間がかかるという問題点がある。

【0006】

そこで本発明は、パレットの挿抜動作の安定性の向上とラックにマガジンを設置する際の作業性の向上との両立を図ることができるトレイストッカおよび部品装着装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明のトレイストッカは、部品供給用のトレイを保持したパレットを収納したマガジンをストックしておくトレイストッカであって、前記マガジンが載置されるマガジン載置部を有するラックと、前記マガジン載置部に載置された前記マガジンをほぼ水平方向に付勢して前記マガジンを前記マガジン載置部に対してロックするマガジン付勢手段と、を備え、前記マガジンは下面側に車輪を備えており、前記マガジン付勢手段により付勢された前記マガジンは、前記車輪が前記マガジン載置部に設けられた車輪止めに当接されることで前記マガジン載置部に対してロックされる。

【0008】

本発明の部品装着装置は、上記本発明のトレイストッカと、前記トレイストッカにストックされた前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出部と、前記パレット引出部により引き出された前記パレットから部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドとを備えた、部品装着装置。

【発明の効果】

【0009】

本発明によれば、パレットの挿抜動作の安定性の向上とラックにガジンを設置する際の作業性の向上との両立を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明の実施の形態１における部品装着装置の側面図

【図2】本発明の実施の形態１における部品装着装置が備えるトレイストッカの透視斜視図

【図3】本発明の実施の形態１におけるトレイストッカの透視側面図

【図4】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカが備えるマガジンの斜視図

【図5】本発明の実施の形態１におけるトレイストッカの一部の斜視図

【図6】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカの動作説明図

【図7】本発明の実施の形態１における部品装着装置の制御系統を示すブロック図

【図8】本発明の実施の形態１における部品装着装置のトレイストッカが備えるラックの透視側面図

【図9】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラックにマガジンを装着する手順を示すトレイストッカの一部の側面図

【図10】本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラックの一部の側面図

【図11】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラックが備えるマガジン載置部にマガジンを載置する様子を示すトレイストッカの一部の側面図

【図12】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラックが備えるロック部材とロック解除装置それぞれの動作を説明する図

【図13】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラックが備えるロック解除装置の操作片の動作を説明する図

【図14】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラック内にマガジンが載置されたマガジン載置部を挿入する様子を示すトレイストッカの透視側面図

【図15】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラック内にマガジンが載置されたマガジン載置部を挿入する様子を示すトレイストッカの透視平面図

【図16】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラック内にマガジンが載置されたマガジン載置部を挿入する場合の載置部ロック機構の動作説明図

【図17】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラック内にマガジンが載置されたマガジン載置部を挿入する場合の載置部ロック機構の動作説明図

【図18】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラック内にマガジンが載置されたマガジン載置部を挿入する場合の載置部ロック機構の動作説明図

【図19】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態１におけるトレイストッカのラックからマガジンを取り外す場合の載置部ロック機構の動作説明図

【図20】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態２におけるトレイストッカのラックが備えるロック解除装置の構成と動作を説明する図

【図21】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態３におけるトレイストッカのラックが備えるロック解除装置の構成と動作を説明する図

【図22】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態４におけるトレイストッカのラックが備える載置部ロック機構とロック解除装置の構成と動作を説明する図

【図23】（ａ）（ｂ）本発明の実施の形態４におけるトレイストッカのラックが備える載置部ロック機構とロック解除装置の構成と動作を説明する図

【発明を実施するための形態】

【0011】

（実施の形態１）
図１は本発明の実施の形態１における部品装着装置１を示している。部品装着装置１は所定の部品供給位置に供給されたトレイＴＲから部品ＢＨをピックアップして基板ＫＢに装着することによって実装基板を生産する装置である。部品装着装置１は、基台１１のほか、搬送コンベア１２、トレイストッカ１３、装着ヘッド１４、ヘッド移動機構１５等の各装置を備えている。実施の形態１における説明では、図１における作業者ＯＰから見た左右方向をＸ軸方向とし、作業者ＯＰから見た前後方向をＹ軸方向とする。また、上下方向をＺ軸方向とする。更に、Ｙ軸方向のうち、作業者ＯＰから見た奥側を前方、手前側を後方とする。

【0012】

搬送コンベア１２は基台１１の上面に設けられており、基板ＫＢをＸ軸方向に搬送して所定の作業位置に位置決めする。トレイストッカ１３は部品装着装置１における部品供給装置であり、部品供給用のトレイＴＲを保持した複数のパレットＰＬを収納したマガジン２３を上下方向に収納するとともに、必要なパレットＰＬを引き出して所定の部品供給高さに位置させることで部品ＢＨを供給する構成となっている（詳細は後述）。

【0013】

図１において、装着ヘッド１４は下端に部品ＢＨを吸着する吸着ノズル１４Ｎを備えている。装着ヘッド１４は、各吸着ノズル１４Ｎの下端にトレイＴＲ内の部品ＢＨを吸着させる力を発生させることができる。ヘッド移動機構１５は、トレイストッカ１３によって部品供給高さに位置されたパレットＰＬと搬送コンベア１２によって位置決めされた基板ＫＢのとの間で装着ヘッド１４を移動させる。

【0014】

図２および図３において、トレイストッカ１３は、台車２１、ラック２２、マガジン２３、パレット引出部２４および昇降機構２５を備えている。台車２１は複数のキャスタ２１ａによって床面上を移動自在であり、作業者ＯＰによって移動される。部品装着装置１の稼働時には、トレイストッカ１３は図１に示すように、基台１１の後方位置に設置される。

【0015】

図２および図３に示すように、ラック２２は台車２１の後部に取り付けられている。ラック２２の内部には、上下に配置された複数のマガジン設置棚２２Ｔが設けられている。各マガジン設置棚２２Ｔにはマガジン２３がひとつずつ設置されている。

【0016】

図２において、ラック２２の一方の側面にはマガジン出入口２２Ｋが形成されている。マガジン出入口２２Ｋは、マガジン２３をマガジン設置棚２２Ｔに設置する際の出入口となる。パレット引出部２４はラック２２の前方に位置している。パレット引出部２４は昇降機構２５によって昇降自在となっている。

【0017】

マガジン２３は図４（ａ），（ｂ）に示すように、Ｘ軸方向に対向して配置された左右の側板３１、天板３２および底板３３を備えており、全体として前後それぞれに開口した箱形状を有している。マガジン２３は内部に上下方向に並んだ複数のスロット２３Ｓを備えており（図４（ａ））、各スロット２３ＳにパレットＰＬが１枚ずつ水平姿勢に挿入されて収納されている。このため各パレットＰＬは、マガジン２３に対して水平方向に挿抜することができる。マガジン２３の下面側（底板３３の下面）の四隅それぞれには、マガジン２３を容易に移動させることができるようにするための車輪２３Ｃが設けられている。

【0018】

図４（ｂ）および図５において、パレットＰＬは皿形状を有しており、トレイＴＲはパレットＰＬの上面に載置されている。トレイＴＲにはマトリクス状に複数のポケットＰＫが設けられており（図５）、各ポケットＰＫに部品ＢＨがひとつずつ収納されている。トレイＴＲはパレットＰＬの上面に磁石等の固定具ＫＧによって固定されている。パレットＰＬの前縁には、左右方向（Ｘ軸方向）に対向して配置された一対の被係合ブロックＢＬが設けられている。

【0019】

図５において、パレット引出部２４は、テーブル部２４Ｔ、係止具２４Ｒおよび一対のパレットガイド２４Ｇを有している。係止具２４ＲはＹ軸方向に延びたロッド状の部材であり、テーブル部２４Ｔ上をＹ軸方向に移動自在に設けられている（図中に示す矢印Ａ）。一対のパレットガイド２４Ｇは、テーブル部２４Ｔの上面の係止具２４ＲをＸ軸方向に挟む位置に設けられており、それぞれＹ軸方向に延びた形状を有している。

【0020】

パレット引出部２４は、マガジン２３内に収納されているパレットＰＬを引き出す場合には、テーブル部２４Ｔで係止具２４Ｒを後方に移動させ（図５→図６（ａ））、係止具２４Ｒの両端部をパレットＰＬの一対の被係合ブロックＢＬに係合させた後（図６（ａ）、係止具２４Ｒを前方に移動させる（図６（ａ）→図６（ｂ））。これによりパレットＰＬはマガジン２３から引き出されてテーブル部２４Ｔ上に移動する。このときパレットＰＬは、左右のパレットガイド２４Ｇによって両側面がガイドされるので、テーブル部２４Ｔに対して傾くことなく正しい姿勢でテーブル部２４Ｔ上に載置される。

【0021】

図２および図３において、昇降機構２５は、台車２１から上方に延びて設けられた前後のガイド柱２５Ｔと、Ｚ軸方向に延びたボール螺子２５Ｂと、ボール螺子２５ＢをＺ軸回りに回転駆動する昇降モータ２５Ｍを備えている。ボール螺子２５Ｂはパレット引出部２４のテーブル部２４Ｔの後部に設けられたナット部２４Ｎに螺合している。昇降モータ２５Ｍはボール螺子２５ＢをＺ軸回りに回転させることで、ナット部２４Ｎを介してテーブル部２４Ｔを（すなわちパレット引出部２４を）昇降させる（図３中に示す矢印Ｂ）。このときガイド柱２５Ｔは、テーブル部２４ＴのＺ軸方向の移動のガイドとして機能する。

【0022】

図１において、部品装着装置１が備える制御装置４０は、図７に示すように、部品装着装置１の各部の作動制御を行う。具体的には、制御装置４０は、搬送コンベア１２による基板ＫＢの搬送および作業位置への位置決め動作の制御を行う。また制御装置４０は、トレイストッカ１３による部品ＢＨの供給動作の制御を行う。詳細には、昇降機構２５によるパレット引出部２４の昇降動作の制御と、パレット引出部２４によるマガジン２３からのパレットＰＬの挿抜動作の制御を行う。また制御装置４０は、装着ヘッド１４による部品ＢＨの吸着動作の制御と、ヘッド移動機構１５による装着ヘッド１４の移動制御を行う。

【0023】

部品装着装置１が基板ＫＢに対する部品ＢＨの装着作業を行う場合には、制御装置４０は先ず、搬送コンベア１２を作動させて、上流工程側から供給された基板ＫＢを受け取って所定の位置に位置決めする。基板ＫＢを位置決めしたら、昇降モータ２５Ｍを作動させて、引き出そうとするパレットＰＬが収納されているスロット２３Ｓの高さにパレット引出部２４を移動させる。そして、テーブル部２４Ｔの上面がスロット２３Ｓの高さに位置したら、係止具２４Ｒを後方（マガジン２３の側）に移動させて、その左右の両端部を、パレットＰＬが備える一対の被係合ブロックＢＬに係合させる（図５→図６（ａ））。

【0024】

係止具２４Ｒの左右の端部がパレットＰＬの被係合ブロックＢＬに係合したら、制御装置４０は係止具２４Ｒを前方に移動させて、パレットＰＬをテーブル部２４Ｔの上面に載せる（図６（ａ）→図６（ｂ））。パレットＰＬがテーブル部２４Ｔの上面に載ったら昇降モータ２５Ｍを作動させて、テーブル部２４Ｔを部品供給高さに位置させる（図１および図２）。テーブル部２４Ｔが部品供給高さに位置したら、パレットＰＬに収納された部品ＢＨを装着ヘッド１４によりピックアップすることが可能となる。

【0025】

パレットＰＬに収納された部品ＢＨを装着ヘッド１４によりピックアップすることが可能となったら、制御装置４０は装着ヘッド１４を移動させて、ピックアップ動作と部品装着動作から成る装着ターンを繰り返し実行する。ここで、ピックアップ動作は、トレイストッカ１３が供給する部品ＢＨを吸着ノズル１４Ｎに吸着させる動作であり、部品装着動作は、ピックアップ動作で吸着ノズル１４Ｎに吸着させた部品ＢＨを基板ＫＢに装着する動作である。制御装置４０は、装着ターンを繰り返し実行することによって基板ＫＢに装着するべき部品ＢＨを全て基板ＫＢに装着したら、搬送コンベア１２を作動させて、基板ＫＢを下流工程側に搬出する。これにより基板ＫＢの１枚あたりの部品装着作業が終了する。

【0026】

部品装着装置１が備えるトレイストッカ１３は、前述したように、ラック２２内にマガジン２３が設置された構成となっているが、マガジン２３がラック２２内で移動すると、パレット引出部２４の係止具２４ＲがパレットＰＬの被係合ブロックＢＬと合致しなくなるなどしてマガジン２３に対するパレットＰＬの挿抜動作が不安定になるおそれがある。実施の形態１におけるトレイストッカ１３には、このようなパレットＰＬの挿抜動作の安定性の向上を図る機構を備えており、次にその説明を行う。

【0027】

図８および図９（ａ），（ｂ）において、トレイストッカ１３のラック２２内には、各マガジン設置棚２２Ｔに対応して、レール部４１、マガジン載置部４２、載置部ストッパ４３、マガジン付勢ばね４４、載置部ロック機構４５、飛び出し防止部４６およびロック解除装置４７が設けられている。

【0028】

図８および図９（ａ），（ｂ）において、レール部４１はラック２２内をＸ軸方向に延びて設けられている。レール部４１はＹ軸方向に並んで配置された一対の入れ子式のレール（伸縮レール）から成り、図９（ｂ）に示すように、ラック２２に固定されたベースレール４１Ｂと、ベースレール４１Ｂに対してスライドするスライドレール４１Ｓを有している。

【0029】

ベースレール４１Ｂはその全部がラック２２内に収納されており、スライドレール４１Ｓはその全部がラック２２内にラック２２内に収納される位置（図９（ａ）に示す位置）と、マガジン出入口２２Ｋを通じてラック２２の外側へ突出する位置（図９(ｂ）との間で移動（スライド）させることができる。

【0030】

図８および図９（ａ），（ｂ）において、マガジン載置部４２は一対のスライドレール４１Ｓ上を横方向（Ｘ軸方向。ほぼ水平方向）にスライド自在であり、ラック２２の内部に収容された位置（図９（ａ））と、ラック２２の外部（図８における左側）に引き出された位置（図９（ｂ））との間で移動できるようになっている。マガジン載置部４２の下面には下方に突出した被係止突起４２Ｔが設けられており、被係止突起４２Ｔの先端部（下端部）には、ローラ４２Ｒが取り付けられている（図９（ａ），（ｂ）および図１０）。

【0031】

図９（ａ），（ｂ）および図１０において、マガジン載置部４２の上面にはＹ軸方向に延びた車輪止め４２ＳがＸ軸方向に２つ並んで配置されている。これら２つの車輪止め４２Ｓは、マガジン２３の下面にＸ軸方向に並んで配置された車輪２３Ｃの間（マガジン２３の前側にＸ軸方向に並んで配置された２つの車輪２３Ｃの間およびマガジン２３の後側にＸ軸方向に並んで配置された２つの車輪２３Ｃの間）に収まる間隔で設けられている。マガジン２３は、Ｘ軸方向に並んで位置する２つの車輪２３Ｃが車輪止め４２Ｓを跨ぐようにしてマガジン載置部４２に載置される（図１１（ａ）→図１１（ｂ））。

【0032】

マガジン載置部４２に載置されたマガジン２３が車輪２３Ｃを転動させて横方向（ほぼ水平方向）に移動すると、Ｘ軸方向に並んだ２つの車輪２３Ｃの一方が車輪止め４２Ｓに当接する。このためマガジン載置部４２に載置されたマガジン２３は、横方向（Ｘ軸方向）にわずかに移動できるのみであり、車輪止め４２Ｓはマガジン載置部４２上でのマガジン２３の移動を規制する移動規制部となっている。なお、ここでは２つの車輪止め４２Ｓはマガジン載置部４２の移動方向（Ｘ軸方向）に２つ並んで設けられた構成となっているが、これらが一体となった１つのブロック状のものとして構成されていてもよい。

【0033】

ここで、図１１（ａ）に示すように、２つの車輪止め４２Ｓの全体のＸ軸方向の寸法（図１１（ａ）の左側の車輪止め４２Ｓの左縁と右側の車輪止め４２Ｓの右縁との間の距離）Ｌは、マガジン２３のＸ軸方向に並ぶ車輪２３Ｃの間隔Ｗよりも小さくなるように設定されている。このため作業者ＯＰは、マガジン２３をマガジン載置部４２上に載置する作業を容易に行うことができる。

【0034】

図９（ａ），（ｂ）および図１０において、載置部ストッパ４３は、ラック２２の一部である壁部２２Ｗ（図８も参照）に基端部が取り付けられており、先端部を左方（ラック２２の外方）に向けている。載置部ストッパ４３はＸ軸方向に移動自在であり、戻しばね４３Ｓによって左方に付勢されている。このため載置部ストッパ４３は、右方への押圧力を受けた場合には、戻しばね４３Ｓを押し縮めながら、設定された移動限界に至るまで右方に（壁部２２Ｗの側へ）移動する。

【0035】

図９（ａ），（ｂ）および図１０において、マガジン付勢ばね４４は基端側がラック２２の壁部２２Ｗに取り付けられており、先端（自由端）側を左方に向けている。マガジン付勢ばね４４は圧縮ばねから成っている。

【0036】

載置部ロック機構４５は、ラック２２内に収容されたマガジン載置部４２をラック２２にロックする機構である。載置部ロック機構４５は、図９（ａ），（ｂ）および図１０に示すように、ロック部材５１および復帰ばね５２を備えている。図１０に示すように、レール部４１の下方には、ブラケット２２Ｂがラック２２の壁部２２Ｗに固定して設けられている。ブラケット２２Ｂには、Ｙ軸方向に延びた揺動支軸５１Ｊが取り付けられている。

【0037】

図１０において、ロック部材５１は全体としてＸ軸方向に延びた形状を有している。ロック部材５１はその中間部が揺動支軸５１Ｊによって支持されている。このためロック部材５１はＸＺ平面内で揺動自在であり、ほぼ水平な姿勢となるロック位置（図１０および図１２（ａ）に示す位置）と、ロック位置から図１０の左側の端部を下げる方向（図１０における反時計回り方向）に揺動したロック解除位置（図１２（ｂ））との間で移動（揺動）することができる。

【0038】

図１０において、ロック部材５１のマガジン出入口２２Ｋの側（図１０では左側）の端部には、係止部５１Ｓが上方に突出して設けられている。係止部５１Ｓの上部には、図１０の右上方から左下方に向かって傾斜した形状（左上方に凸の円弧形状であってもよい）の当接面５１Ｍが形成されている。ロック部材５１は、ロック位置に位置した状態において、係止部５１Ｓの上端の高さが、マガジン載置部４２の被係止突起４２Ｔに設けられたローラ４２Ｒの高さとほぼ同じ高さとなるようになっている（図１０）。このためロック部材５１がロック位置に位置しているときにマガジン載置部４２がラック２２内に収容されると、ロック部材５１の係止部５１Ｓは当接面５１Ｍにおいて、マガジン載置部４２（詳細には被係止突起４２Ｔのローラ４２Ｒ）と当接することになる（後述）。

【0039】

図１０において、復帰ばね５２は、ロック部材５１の揺動支軸５１Ｊよりもラック２２の奥側（図１０では右側）をＸ軸方向に延びる操作部５１Ｅとブラケット２２Ｂとの間に設けられている。復帰ばね５２は圧縮ばねから成り、ロック部材５１がロック位置からロック解除位置の側に揺動すると、この揺動によって上方に移動する操作部５１Ｅによって圧縮される。

【0040】

図１０および図１２（ａ），（ｂ）において、ロック部材５１の左方には、ブラケット２２Ｂに対して相対的に固定されてＹ軸方向に延びる支軸４６Ｊが設けられており、飛び出し防止部４６はその下端（基端部）が支軸４６Ｊに枢支されている。このため飛び出し防止部４６は基端部（支軸４６Ｊ）を中心に揺動自在である。飛び出し防止部４６の基端部からは、ロック部材５１の下面に向かって連結部４６ａが延びている。

【0041】

図１０および図１２（ａ），（ｂ）において、において、連結部４６ａはロック部材５１の下面に連結されており、ロック部材５１の下面に沿ってスライドするようになっている。このため飛び出し防止部４６は、ロック部材５１の揺動姿勢に応じて姿勢が変化する。具体的には、ロック部材５１がロック位置に位置しているときには飛び出し防止部４６は上端をやや左方側に傾動させた「待機位置」に位置しているが（図１２（ａ）、ロック部材５１がロック位置からロック解除位置に揺動すると、これと連動して支軸４６Ｊまわりに揺動することによって、ほぼ垂直姿勢となる「飛び出し防止位置」に位置する（図１２（ｂ））。

【0042】

ロック解除装置４７は、載置部ロック機構４５によるマガジン載置部４２のラック２２に対するロックを解除する機能を有する機構であり、図９（ａ），（ｂ）および図１０に示すように、操作棒６１、ハンドル６２および操作片６３を備えている。操作棒６１はＸ軸方向に延びており、マガジン設置棚２２Ｔから下方に延びた複数の操作棒支持部２２Ｓ（図９（ａ），（ｂ））によって、その中心軸線（Ｘ軸）まわりに回転自在に支持されている。

【0043】

図９（ａ），（ｂ）において、ハンドル６２は操作棒６１の左端に取り付けられており、マガジン設置棚２２Ｔの下方に位置している（図２および図３も参照）。操作片６３は一端側が操作棒６１の右端に取り付けられており、作業者ＯＰがハンドル６２を捻じり操作すると操作棒６１を介してＸ軸まわりに揺動し、その先端部６３Ｔを昇降させる（図１２（ａ），（ｂ）および図１３（ａ），（ｂ））。なお、図１３（ａ）は図１２（ａ）における矢視Ｖ１から見た図であり、図１３（ｂ）は図１２（ｂ）における矢視Ｖ２から見た図である。

【0044】

作業者ＯＰは、ハンドル６２をノーマル位置とロック解除操作位置との間で捻じり操作することができる。ハンドル６２がノーマル位置に位置している状態では、操作片６３の先端部６３Ｔはロック位置に位置したロック部材５１の操作部５１Ｅよりも下方に位置しているが（図１２（ａ）および図１３（ａ））、ハンドル６２をロック解除操作位置へ捻じり操作すると、操作片６３は先端部６３Ｔを上昇させるように回動して（図１２（ａ）→図１２（ｂ）および図１３（ａ）→図１３（ｂ））、ロック部材５１の操作部５１Ｅを押し上げる（図１３（ｂ）中に示す矢印Ｐ）。これによりロック部材５１は復帰ばね５２を押し縮めながらロック位置からロック解除位置へ揺動し、これに伴って飛び出し防止部４６は待機位置から飛び出し防止位置に揺動する（図１２（ａ）→図１２（ｂ））。

【0045】

一方、作業者ＯＰがハンドル６２をロック解除操作置からノーマル位置に捻じり操作すると、操作片６３は先端部６３Ｔを下降させるように回動する（図１２（ｂ）→図１２（ａ）および図１３（ｂ）→図１３（ａ））。これによりロック部材５１は復帰ばね５２の付勢力によってロック解除位置からロック位置に揺動し、これに伴って、飛び出し防止部４６は飛び出し防止位置から待機位置に揺動する（図１２（ｂ）→図１２（ａ））。このように復帰ばね５２は、ロック位置から移動したロック部材５１をロック位置に復帰させるように動作するようになっている。

【0046】

このような構成のラック２２にマガジン２３を設置する場合には、作業者ＯＰは先ず、マガジン出入口２２Ｋを通じてラック２２の左方にマガジン載置部４２を引き出す（図１１（ａ））。そして、マガジン載置部４２にマガジン２３を載置したうえで（図１１（ａ）→図１１（ｂ））、マガジン２３をラック２２内に押し込む（図１４（ａ）→図１４（ｂ）および図１５（ａ）→図１５（ｂ））。これによりマガジン載置部４２はマガジン２３の車輪２３Ｃおよび車輪止め４２Ｓを介してマガジン２３に追従して移動し、マガジン２３と一体になってラック２２内に収容される（図１６（ａ）→図１６（ｂ）→図１７（ａ）→図１７（ｂ））。

【0047】

このようにマガジン載置部４２は、ラック２２の壁部２２Ｗに向かって移動し、マガジン２３が載置された状態でラック２２内に収容されるようになっている。なお、作業者ＯＰは、マガジン２３をラック２２内に押し込む代わりに、マガジン載置部４２をラック２２内に押し込んでもよい。この場合はマガジン２３が、車輪止め４２Ｓおよびマガジン２３の車輪２３Ｃを介してマガジン載置部４２に追従して移動し、マガジン載置部４２と一体になってラック２２内に収容される。

【0048】

マガジン２３は、上記のようにしてラック２２内に押し込まれる途中で、マガジン付勢ばね４４の先端（自由端）に当接し、マガジン付勢ばね４４を押し縮める。これによりマガジン付勢ばね４４には、マガジン２３をマガジン出入口２２Ｋに向かう方向、すなわち横方向（ほぼ水平方向）へ押圧する（押し戻す）付勢力が生じる。このようにマガジン付勢ばね４４は、マガジン２３が載置されたマガジン載置部４２がラック２２内に収容される動作によってマガジン２３により押し縮められることでマガジン２３を横方向（ほぼ水平方向）に付勢するようになっている。

【0049】

マガジン２３とともにラック２２内をラック２２の奥側へ移動したマガジン載置部４２は、マガジン２３がマガジン付勢ばね４４の先端に当接した後、マガジン付勢ばね４４を押し縮めながら、載置部ストッパ４３に当接する（図１７（ａ）→図１７（ｂ））。そして、載置部ストッパ４３に当接した後は、マガジン付勢ばね４４に加えて戻しばね４３Ｓを押し縮め、載置部ストッパ４３をラック２２の奥側へ移動させる（図１７（ｂ）→図１８（ａ））。そして、載置部ストッパ４３が設定された移動限界に達したところで、マガジン２３をそれ以上、ラック２２の奥側に押し込むことができなくなる（図１８（ａ））。なお、このような一連の動作において、マガジン付勢ばね４４と載置部ストッパ４３の戻しばね４３Ｓは、ラック２２内に押し込まれたマガジン２３によってラック２２の壁部２２Ｗが大きな力で押圧されることを抑制するショックアブソーバとしても機能する。

【0050】

上記のようにマガジン載置部４２が載置部ストッパ４３に当接する直前、マガジン載置部４２に設けられた被係止突起４２Ｔは、ロック位置に位置しているロック部材５１の当接面５１Ｍにローラ４２Ｒを当接させた後、当接面５１Ｍを（すなわちロック部材５１の係止部５１Ｓを）下方に押し下げながらラック２２の奥側に進む（図１６（ｂ）→図１７（ａ））。これによりロック部材５１は復帰ばね５２を押し縮めながらロック解除位置の側に揺動する（図１７（ａ））。そして、ローラ４２Ｒが係止部５１Ｓの右方に行き過ぎたところで、ロック部材５１は復帰ばね５２の付勢力によってロック位置に復帰する（図１７（ａ）→図１７（ｂ））。

【0051】

作業者ＯＰは、マガジン載置部４２が載置部ストッパ４３に当接することによって、マガジン２３をラック２２の奥へそれ以上押し込むことができなくなったことを感じたら、マガジン２３から手を放す。これによりマガジン２３はマガジン付勢ばね４４の付勢力によって左方へ移動するが、マガジン載置部４２のローラ４２Ｒはロック位置に位置（復帰）したロック部材５１の係止部５１Ｓよりもラック２２の奥側に位置しているので、ローラ４２Ｒはロック部材５１の係止部５１Ｓに当接して係止される（図１８（ａ）→図１８（ｂ））。このためマガジン載置部４２はマガジン出入口２２Ｋへ向かう側の移動が規制され、ラック２２に対してロックされた状態となる（図１８（ｂ））。

【0052】

このように実施の形態１において、ロック部材５１は、ラック２２内に収容されるマガジン載置部４２（詳細にはマガジン載置部４２の下面側に設けられた被係止突起４２Ｔのローラ４２Ｒ）によって押し退けられた後、復帰ばね５２によってロック位置に復帰し、その後、マガジン２３を介してマガジン付勢ばね４４によって付勢されるマガジン載置部４２（詳細には被係止突起４２Ｔのローラ４２Ｒ）と当接することでマガジン載置部４２をラック２２にロックするようになっている。

【0053】

また、マガジン載置部４２がラック２２に対してロックされた状態では、マガジン２３はマガジン付勢ばね４４によってマガジン出入口２２Ｋに向かう側に付勢されている。このためマガジン２３の車輪２３Ｃは車輪止め４２Ｓに押し付けられており、マガジン２３はマガジン載置部４２に対してロックされた状態となっている。このようにマガジン付勢ばね４４により付勢されたマガジン２３は、車輪２３Ｃがマガジン載置部４２に設けられた車輪止め４２Ｓに当接されることでマガジン載置部４２に対してロックされるようになっている。

【0054】

実施の形態１では、上記のように、マガジン２３はマガジン載置部４２に対してロックされ、マガジン載置部４２はラック２２に対してロックされる。すなわちマガジン２３はマガジン載置部４２を介してラック２２に対してロックされるようになっており、ラック２２に収納された状態のマガジン２３は、ラック２２に対して横方向の移動が規制され、安定した状態を維持する。このためマガジン２３はラック２２内でガタつくことがなく、トレイストッカ１３はマガジン２３に対するパレットＰＬの挿抜動作を安定した状態で行うことができる。なお、マガジン２３はマガジン付勢ばね４４によって付勢されることでマガジン載置部４２に対して（ラック２２に対して）ロックされているので、部品装着装置１による部品装着作業中にマガジン２３に作用する振動はマガジン付勢ばね４４によって効果的に吸収（減衰）され、この面でもマガジン載置部４２上におけるラック２２の安定性が維持される。

【0055】

作業者ＯＰは、部品装着装置１による部品作業が終了し、あるいは中断されている状態において、ラック２２からマガジン２３を取り出すことができる。作業者ＯＰは、ラック２２からマガジン２３を取り出すときは、ハンドル６２をノーマル位置からロック解除操作位置へ捻じり操作する（図１９（ａ）中に示す矢印Ｒ１）。これにより操作片６３の先端部６３Ｔは上昇し、ロック部材５１の操作部５１Ｅを復帰ばね５２の付勢力に抗して押し上げる（図１９（ａ）中に示す矢印Ｃ。図１３（ａ）→図１３（ｂ））。

【0056】

操作片６３がロック部材５１の操作部５１Ｅを押し上げると、ロック部材５１はロック位置からロック解除位置に揺動し、ロック部材５１の上端はローラ４２Ｒよりも低い位置に移動する。これによりロック部材５１の係止部５１Ｓと被係止突起４２Ｔ（ローラ４２Ｒ）と間の係止状態は解かれ、マガジン載置部４２のラック２２に対するロックは解除されて、図１９（ａ）に示すように、マガジン載置部４２は、マガジン付勢ばね４４の付勢力によってマガジン出入口２２Ｋの側（図１９（ａ）では左側）へ押し出される（矢印Ｄ）。

【0057】

上記のようにしてマガジン付勢ばね４４の付勢力によってマガジン載置部４２がマガジン出入口２２Ｋの側へ押し出されると、マガジン載置部４２の被係止突起４２Ｔ（ローラ４２Ｒ）は、ロック部材５１の係止部５１Ｓの左方へ移動する。ところが、前述したように、ロック部材５１がロック位置からロック解除位置へ移動（揺動）すると、これに伴って飛び出し防止部４６がほぼ垂直姿勢となる飛び出し防止位置に移動するようになっているため（図１２（ａ）→図１２（ｂ）および図１８（ｂ）→図１９（ａ））、マガジン付勢ばね４４によってマガジン出入口２２Ｋの側へ押し出されたマガジン載置部４２は、被係止突起４２Ｔが飛び出し防止部４６に当接する場所で停止する。

【0058】

このように、ラック２２に対するロックが解除されたマガジン載置部４２が飛び出し防止部４６に当接してその移動が停止されることにより、作業者ＯＰがハンドル６２を操作すると同時にマガジン載置部４２が（従ってマガジン２３が）マガジン出入口２２Ｋから必要以上、もしくは不用意に飛び出してくるような事態が防止され、作業者ＯＰの安全が図られる。なお、作業者ＯＰは、ハンドル６２を操作した後、マガジン載置部４２のロックが解除されたことは、マガジン載置部４２が飛び出し防止部４６に当接するときの音や感触をもって認識することができる。

【0059】

作業者ＯＰは、ハンドル６２をロック位置からロック解除位置に捻じり操作した後、マガジン載置部４２のロックが解除されたことを認識したら、ハンドル６２をロック解除位置からロック位置へ戻す操作を行う（図１９（ｂ）中に示す矢印Ｒ２）。これにより操作片６３の先端部６３Ｔは下降し（図１９（ｂ）中に示す矢印Ｅ。図１３（ｂ）→図１３（ａ））、ロック部材５１の操作部５１Ｅは復帰ばね５２の付勢力によって押し下げられるので、ロック部材５１は揺動してロック位置に復帰する。また、これに伴って飛び出し防止部４６は、飛び出し防止位置から待機位置に復帰する（図１９（ｂ））。これによりマガジン載置部４２はラック２２から引き出すことができるようになるので、作業者ＯＰはマガジン２３をマガジン出入口２２Ｋからラック２２の外側に引き出すことで（図１９（ｂ）中に示す矢印Ｆ）、マガジン載置部４２からマガジン２３を取り出すことが可能となる（図１１（ｂ）→図１１（ａ））。

【0060】

このように、実施の形態１における部品装着装置１のトレイストッカ１３は、マガジン２３が載置されるマガジン載置部４２を有するラック２２と、マガジン載置部４２に載置されたマガジン２３を横方向（ほぼ水平方向）に付勢してマガジン２３をマガジン載置部４２に対してロックするマガジン付勢手段としてのマガジン付勢ばね４４とを備えており、ラック２２内でマガジン載置部４２に載置されているマガジン２３は、マガジン付勢ばね４４によって横方向（マガジン出入口２２Ｋの側）に付勢され、マガジン載置部４２に対して（すなわちラック２２に対して）ロックされるようになっている。このため、マガジン２３と移動規制部である車輪止め４２Ｓとの間の遊びが大きい場合であっても、ラック２２内に設置された状態ではマガジン２３と車輪止め４２Ｓとの間の遊びはなくなり、マガジン載置部４２上でマガジン２３がガタつかなくなる（高精度に位置決めされる）ので、トレイストッカ１３におけるマガジン２３からのパレットＰＬの挿抜動作の安定性が向上する。このように、実施の形態１におけるトレイストッカ１３では、マガジン２３をラック２２に設置する際の作業性を妨げることなく、トレイストッカ１３におけるマガジン２３からのパレットＰＬの挿抜動作の安定性を向上させることができる。

【0061】

（実施の形態２）
次に、本発明の実施の形態２における部品装着装置１について説明する。実施の形態２における部品装着装置が実施の形態１における部品装着装置１と異なるところは、ロック解除装置４７の構成のみである。実施の形態２では、図２０（ａ），（ｂ）に示すように、実施の形態１におけるロック解除装置４７に加えて、解除操作規制シリンダ７０が設けられている。解除操作規制シリンダ７０は、ピストンロッド７１の先端を下方に向けて配置されており、部品装着装置１が備える制御装置４０によってその作動が制御されるようになっている。

【0062】

解除操作規制シリンダ７０は、トレイストッカ１３が部品ＢＨの供給を行わない非稼働時には、ロック部材５１と接触しない位置にピストンロッド７１を位置させているが（図２０（ａ））、トレイストッカ１３が部品ＢＨの供給を行う稼働時には、ロック部材５１がロック解除位置に位置するのを妨げる位置（具体的には、ロック部材５１がロック解除位置に揺動する際に操作部５１Ｅと当接する位置）にピストンロッド７１を位置させて、ロック部材５１をロック解除位置に位置させることができないようにする（図２０（ｂ））。

【0063】

このような構成では、作業者ＯＰが、トレイストッカ１３の稼働時に誤ってハンドル６２をロック操作位置からロック解除操作位置に向けて操作した場合であっても、ロック部材５１がロック解除位置に位置することはない。このため、作業者ＯＰがトレイストッカ１３の稼働中に誤ってラック２２からマガジン２３を取り出す操作をしてしまう操作ミスの発生を防止でき、作業の安全性を高めることができる。

【0064】

（実施の形態３）
次に、本発明の実施の形態３における部品装着装置１について説明する。実施の形態２における部品装着装置が実施の形態１における部品装着装置１と異なるところは、ロック解除装置４７の構成のみである。実施の形態３では、図２１（ａ）に示すように、ロック解除装置４７におけるロック部材５１の操作部５１Ｅを上方へ押し上げる構成が、実施の形態１のように操作棒６１、ハンドル６２および操作片６３から成るのではなく、押圧シリンダ８０から成っている。

【0065】

実施の形態３において、押圧シリンダ８０は、図２１（ａ）に示すように、操作部５１Ｅを押圧する押圧ロッド８１を上方に向けた姿勢で操作部５１Ｅの下方に配置されている。そして、図示しない操作スイッチが作業者ＯＰによって操作されると、押圧ロッド８１を上方へ突出させるようになっている。押圧シリンダ８０が押圧ロッド８１を上方へ突出させると、これにより操作部５１Ｅは押圧ロッド８１によって押し上げられるので（図２１（ｂ）中に示す矢印Ｇ）、ロック部材５１はロック位置からロック解除位置に位置する。このため実施の形態３においても、実施の形態１の場合と同様の効果を得ることができる。

【0066】

（実施の形態４）
次に、本発明の実施の形態４における部品装着装置１について説明する。実施の形態４における部品装着装置が実施の形態１における部品装着装置１と異なるところは、載置部ロック機構４５とロック解除装置４７の構成のみである。実施の形態４では、図２２（ａ）に示すように、載置部ロック機構４５のロック部材９１は実施の形態１のようにラック２２に対して揺動自在ではなく、ラック２２に対して上下方向に移動（昇降）自在であり、復帰ばね９２によって上方に付勢された構成となっている。また、ロック解除装置４７は、実施の形態１のように操作片６３によってロック部材５１の操作部５１Ｅを上方へ押圧するのではなく、ロック部材９１の上方に設置された解除シリンダ９３がロッド９４を下方に突出させることによって、ロック部材９１を下方へ押し下げる構成となっている。

【0067】

実施の形態４においても、ロック部材９１は、実施の形態１におけるロック部材５１と同様の係止部９１Ｓおよび当接面９１Ｍを有している。そして、復帰ばね９２によって上方に押し上げられたロック位置（図２２（ａ））と、復帰ばね９２のばね力に抗して下方に押圧されたロック解除位置（図２２（ｂ））との間で移動自在になっている。

【0068】

実施の形態４では、マガジン２３が載置されたマガジン載置部４２は、ラック２２内をラック２２の奥側へ移動して被係止突起４２Ｔ（ローラ４２Ｒ）をロック部材９１の当接面９１Ｍに当接させた後、係止部５１Ｓを押し下げる（図２２（ａ）→図２２（ｂ））。これによりロック部材９１は復帰ばね９２を押し縮めながらロック解除位置の側に移動（下降）した後（図２２（ｂ）、ローラ４２Ｒが係止部９１Ｓをラック２２の奥側に行き過ぎたところで、復帰ばね９２の付勢力によってロック位置に復帰（上昇）する（図２２（ｂ）→図２３（ａ））。このため実施の形態１の場合と同様に、マガジン載置部４２はロック部材９１によってロックされる。

【0069】

一方、マガジン載置部４２のロックを解除するときは、解除シリンダ９３がロッド９４を下方へ突出させる（図２３（ｂ）中に示す矢印Ｔ）。これによりロック部材９１は復帰ばね９２を押し縮めながら下方に移動するので、被係止突起４２Ｔ（ローラ４２Ｒ）に対する係止部９１Ｓの係止（ラック２２に対するマガジン載置部４２のロック）は解除され、マガジン載置部４２はマガジン付勢ばね４４の付勢力によってマガジン出入口２２Ｋの側へ押し出される（図２３（ｂ）中に示す矢印Ｈ）。このため実施の形態４においても、実施の形態１の場合と同様の効果を得ることができる。

【0070】

以上説明したように、実施の形態１～４における部品装着装置１のトレイストッカ１３は、マガジン２３が載置されるマガジン載置部４２を有するラック２２と、マガジン載置部４２に載置されたマガジン２３を横方向（ほぼ水平方向）に付勢してマガジン２３をマガジン載置部４２に対してロックするマガジン付勢手段としてのマガジン付勢ばね４４とを備えており、ラック２２内でマガジン載置部４２に載置されているマガジン２３は、マガジン付勢ばね４４によって横方向に付勢され、マガジン載置部４２に対して（すなわちラック２２に対して）ロックされるようになっている。このため、マガジン２３と移動規制部（車輪止め４２Ｓ）との間の遊びが大きい場合であっても、ラック２２内に設置された状態ではマガジン２３と移動規制部（車輪止め４２Ｓ）との間の遊びはなくなり、マガジン載置部４２上でマガジン２３がガタつかなくなる（高精度に位置決めされる）ので、トレイストッカ１３におけるマガジン２３からのパレットＰＬの挿抜動作の安定性が向上する。

【0071】

このように、実施の形態１～４の部品装着装置１（トレイストッカ１３）によれば、マガジン２３をラック２２に設置する際の作業性を妨げることなく、トレイストッカ１３におけるマガジン２３からのパレットＰＬの挿抜動作の安定性を向上させることができる。すなわち、パレットＰＬの挿抜動作の安定性の向上とマガジン２３を設置する際の作業性の向上との両立を図ることができる。

【0072】

これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、マガジン載置部４２がラック２２の内部からラック２２の外部へ横方向（ほぼ水平方向）に移動し、マガジン２３が載置された状態でラック２２内に収容される構成となっていたが、マガジン載置部４２がラック２２に固定された構成となっていてもよい。この場合、マガジン２３はマガジン出入口２２Ｋからラック２２内に横方向に挿入（車輪２３Ｃを転動させて挿入）されることになるが、このような場合でもマガジン付勢ばね４４がマガジン２３によって押し縮められる構成とすることができ、マガジン付勢ばね４４に生じる付勢力でマガジン２３を車輪止め４２Ｓに押し付けることができるので、マガジン２３をラック２２にロックして上述の実施の形態１～４と同様の効果を得ることができる。

【産業上の利用可能性】

【0073】

パレットの挿抜動作の安定性の向上とラックにマガジンを設置する際の作業性の向上との両立を図ることができるトレイストッカおよび部品装着装置を提供する。

【符号の説明】

【0074】

１ 部品装着装置
１３ トレイストッカ
１４ 装着ヘッド
２２ ラック
２３ マガジン
２３Ｃ 車輪
２４ パレット引出部
４２ マガジン載置部
４２Ｓ 車輪止め
４４ マガジン付勢ばね（マガジン付勢手段）
４５ 載置部ロック機構
４６ 飛び出し防止部
４７ ロック解除装置
５１，９１ ロック部材
５２，９２ 復帰ばね
ＰＬ パレット
ＴＲ トレイ
ＢＨ 部品
ＫＢ 基板

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】