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特許7462166サラウンディングが省略されたスピーカドライバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】サラウンディングが省略されたスピーカドライバ
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/06 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H04R9/06 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021574773
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 KR2021001606
(87)【国際公開番号】W WO2022139065
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0180232
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523247072
【氏名又は名称】グッド ネットワークス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】ハ ジョンス
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1991630(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1690221(KR,B1)
【文献】特表2018-530977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された形状で配置される磁石部と、
前記磁石部に隣接して配置され、振動により音響を発生する振動部と、
巻線された形状で、前記磁石部と前記振動部との間に配置され、電源印加により、第1方向または第1方向とは反対方向の第2方向に磁力を発生させ、前記磁石部の磁力と連携して発生する力を前記振動部に印加して前記振動部を振動させる巻線部と、を有するスピーカドライバであって、
該スピーカドライバは、巻き線部の電源の大きさを制御する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記振動部が非可聴周波数帯域で振動するように、非可聴周波数信号に対応する零点制御信号を生成し、該零点制御信号に対応する電源を巻き線部に印加し、前記振動部を定位置に位置させることを特徴とするサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項2】
前記振動部は、設定された位置に設置部が形成され、前記設置部には、チルト連結部が配置され、
前記巻線部に電源が供給されると、前記振動部は、前記チルト連結部を基準としてチルトされることを特徴とする請求項1に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項3】
前記振動部は、一面または他面の形状が対称形態であるメイン部と、前記メイン部と連結され、一方向に延長された形状の延長部と、を含み、
前記設置部は、前記延長部に形成されることを特徴とする請求項2に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項4】
前記設置部は、前記振動部を貫通する孔を含み、前記チルト連結部は、前記孔を貫通して配置されることを特徴とする請求項2に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項5】
前記振動部は、前記磁石部と対向する位置に配置部が形成され、前記配置部には、前記巻線部が位置されることを特徴とする請求項1に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項6】
前記磁石部は、ラウンド状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項7】
前記磁石部または前記巻線部のうちいずれか一つは、他の一つの内側に位置され、
前記振動部は、離隔した位置において平行に延長された延長部を含み、
前記延長部は、前記巻線部の力を受けるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項8】
前記振動部は、前記延長部の間に連結される長手部を含み、
前記巻線部は、前記長手部を取り囲む形態で配置され、
前記磁石部は、前記巻線部を取り囲む形態で配置されることを特徴とする請求項7に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項9】
前記振動部は、前記長手部を基準としてチルト可能に構成されたことを特徴とする請求項8に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【請求項10】
前記磁石部は、第1磁石部、第2磁石部で構成され、
前記第2磁石部には、前記第1磁石部を収容可能な中空部が形成されており、また 前記中空部は前記第1磁石部の大きさよりも大きな直径を有し、
前記第1磁石部と第2磁石部との間には、前記巻線部が位置されることを特徴とする請求項に記載のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカドライバに係り、特に、既存のムービングコイルドライバ構造とは異なり、ダイヤフレームを支持するサラウンディング(サスペンション)が省略された構造を構成して、ダイヤフレームの運動をサラウンディングが制限する要素を最小化したスピーカドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
可聴周波数(20hz~20khz)内の振動は、同じパワーの供給時、20hzに近いほど、速度は遅く、振動幅は広くなり、20khzに近いほど、速度は早く、振動幅は狭くなるような特性がある。したがって、既存のムービングコイルスピーカドライバは、サラウンディングがダイヤフレームの振動運動を制限して、スピーカの低音部分を再生するのに制限が存在した。
【0003】
図1は、従来のスピーカの断面図である。
【0004】
スピーカは、ハウジング40内の永久磁石20、コイル30、サスペンション50が配置され、ハウジング40の一側から外部に突出したコーン状の振動板10を含む。
【0005】
図1から明らかなように、永久磁石20の中心にコイル30が配置され、コイル30と振動板10との間には、サスペンション50が配置される。電気信号がコイル30に印加されると、コイル30は、電磁石になり、その結果、周知の物理法則により、振動板10に力を印加し、振動板10を振動させて、音を発生させる。
【0006】
当然のことながら、振動板10が短距離を早く往復する振動を行うと、高音が発生し、長距離を遅く往復する振動を行うと、低音が発生することになる。この過程で、コイル30は、設定された位置から外れるので、コイル30の位置整列、コイル30の振動による離脱を防止するために、サスペンション50が作動して、コイル30の位置整列、位置離脱防止を行う。
【0007】
しかしながら、コイル30に必ず必要なサスペンション50の存在により、低音部分の再生品質が低下するという問題が発生した。コイル30が振動板10を振動させるとき、印加された音源の低音の振動幅が、サスペンションの運動範囲を超える場合、サスペンション50は、妨害物として作用していまう。
【0008】
上記した問題点を解決するために、クロスオーバーネットワークが含まれた2ウェイスピーカが開発されるようになった。2ウェイスピーカは、通常、ツイーターとウーファーを備えたスピーカであり、振動数に応じて、振動するスピーカを変えたスピーカである。すなわち、高音の場合、ツイーターで振動させ、低音の場合、ウーファーを振動させるものである。
【0009】
しかしながら、2ウェイスピーカも、音質の低下を防ぐことはできないが、これは、クロスオーバーネットワークで発生する周波数の重畳のためである。すなわち、高音と低音を分ける部分において重畳する部分が発生して、フェーズシフト(位相変移)が発生し、しかも、クロスオーバーネットワークのフィルタで発生するハーモニックディストーションにより、2ウェイスピーカも品質低下の問題が発生する。
【0010】
スピーカのまた他の問題は、振動板の振動の一部だけを活用するということである。
【0011】
従来のスピーカの場合、通常、振動板の後面で発生する音は、吸音材をエンクロージャー内に配置して音を吸収するか、エンクロージャーの一部に孔を開けて外に排出する構造を有する。
【0012】
この場合、前方または後方へ振動する振動板の音のうちいずれか一つのみを活用するようになるという問題点があり、これも、音質の低下を生じる要因となったりした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであって、従来のムービングコイルドライバではなく、新たな構造を有するスピーカドライバを提供して、サウンド品質が向上したスピーカを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるサラウンディングが省略されたスピーカドライバは、設定された形状で配置される磁石部と、前記磁石部に隣接して配置され、振動により音響を発生する振動部と、巻線された形状で、前記磁石部と前記振動部との間に配置され、電源印加により、第1方向または第1方向とは反対方向の第2方向に磁力を発生させ、前記磁石部の磁力と連携して発生する力を前記振動部に印加して前記振動部を振動させる巻線部と、を含む。
【0015】
前記振動部は、設定された位置に設置部が形成され、前記設置部には、チルト連結部が配置され、前記巻線部に電源が供給されると、前記振動部は、前記固定部を基準としてチルトされることを特徴とする。
【0016】
前記振動部は、一面または他面の形状が対称形態であるメイン部と、前記メイン部と連結され、一方向に延長された形状の延長部と、を含み、前記設置部は、前記延長部に形成されることを特徴とする。
【0017】
前記設置部は、前記振動部を貫通する孔を含み、前記固定部は、前記孔を貫通して配置されることを特徴とする。
【0018】
前記振動部は、前記磁石部と対向する位置に配置部が形成され、前記配置部には、前記巻線部が位置されることを特徴とする。
【0019】
前記磁石部は、ラウンド状に形成されることを特徴とする。
【0020】
前記磁石部または前記巻線部のうちいずれか一つは、他の一つの内側に位置され、前記振動部は、離隔した位置において平行に延長された延長部を含み、前記延長部は、前記巻線部の力を受けるように形成されることを特徴とする。
【0021】
前記振動部は、前記延長部の間に連結される長手部を含み、前記巻線部は、前記長手部を取り囲む形態で配置され、前記磁石部は、前記巻線部を取り囲む形態で配置されることを特徴とする。
【0022】
前記振動部は、前記長手部を基準としてチルト可能に構成されたことを特徴とする。
【0023】
前記振動部の一側に配置部が形成され、前記配置部には、前記磁石部と前記巻線部が配置され、電源印加により、前記配置部に力を印加して、前記振動部が振動されるようにすることを特徴とする。
【0024】
前記磁石部は、第1磁石部、第2磁石部で構成され、前記第2磁石部の大きさは、前記第1磁石部の大きいよりも大きく形成され、前記第1磁石部が配置される空間が形成され、前記第1磁石部と第2磁石部との間には、前記巻線部が位置されることを特徴とする。
【0025】
前記巻線部に電源の大きさを制御する制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
前記制御部は、前記巻線部に零点制御信号を印加し、前記巻線部に前記零点制御信号に対応する電源を供給して、前記振動部の位置をガイドすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、サスペンションを備えていないので、振動部の移動を妨げなく、特に低音領域において高品質を有するスピーカを提供することができる。
【0028】
また、本発明は、小型であるが、振動部が振動可能な距離を十分に確保して、高品質の音響を発するスピーカを提供することができる。
【0029】
また、本発明は、振動部の振動により、全方向に発生する音を全て活用して、高品質の音響を発生するスピーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来のスピーカの断面図である。
図2】第1実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図3】第1実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの側断面図である。
図4】第2実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図5】第3実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図6】第3実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの側断面図である。
図7】第4実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図8】第5実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図9】第5実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの側断面図である。
図10】第6実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図11】第7実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
図12】一実施形態による制御部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、例示的な図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定しようとする意図ではない。
【0032】
それぞれの図面の構成要素に参照符号を付加するにあたって、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同一の符号を付していることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知構成または機能についての具体的に説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0033】
また、図面に示された構成要素の大きさや形状等は、説明の明瞭性と便宜のため、誇張して示されてもよい。また、本発明の構成及び作用を考慮して特に正義された用語は、本発明の実施形態を説明するためのものであるだけで、本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
本発明によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、サスペンションが省略されたことが特徴である。
【0035】
図2は、第1実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
【0036】
図3は、第1実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの側断面図である。
【0037】
第1実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、次の通りである。
【0038】
本発明によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、磁石部300、振動部100、巻線部400を含む。
【0039】
磁石部300は、永久的に磁力を形成する。磁石部300は、複数個で備えられることが好ましい。複数個で備えられた磁石部300は、相互離隔して配置されている。
【0040】
振動部100は、離隔して配置された磁石部300間に少なくとも一部分が位置されることが好ましい。振動部100は、メイン部110と延長部120で構成されてもよい。
【0041】
メイン部110は、前面と後面が対称または非対称の形状で形成されてもよい。一例として、メイン部110は、円筒状に形成されてもよい。しかしながら、メイン部110の形状は、円形に限定されるものではなく、前面と後面が同じまたは同じではない形態の形状であれば問題ない。一例として、メイン部110は、円形または円の一部分の形態、または三角、四角等の多角形または様々な形態の面になった形態、球体または多面体または様々な形態の立体的な形態に形成されてもよい。
【0042】
延長部120は、メイン部110の下側から延長して形成される。ここで、延長部120は、六面体の形状を有してもよい。延長部120は、設定された長さを有し、離隔して配置された磁石部300間に位置されてもよい。
【0043】
メイン部110と延長部120との間には、設置部が形成されてもよい。ここで、設置部は、延長部120に形成されることが好ましい。すなわち、メイン部110の形状を毀損しない位置に形成されてもよい。設置部は、一例として、孔であってもよい。設置部は、延長部120を貫通する形態で形成される。設置部は、延長部120の長さ方向ではなく、長さ方向と交差する方向に、延長部120を貫通する形態で形成されてもよい。設置部は、振動部100が定位置に整列して配置された場合、磁石部300の位置と対向しない位置にあることが好ましい。
【0044】
設置部には、チルト連結部200が配置されてもよい。
【0045】
チルト連結部200は、設置部に配置され、振動部100が振動されるとき、基準となる役割を行う。すなわち、振動部100は、シーソーのようにチルト連結部200を基準としてチルトされるように構成される。チルト連結部200は、振動部100の固定及びチルトの基準の役割を行えばよいので、その種類を問わない。一例として、チルト連結部200は、設置部を貫通して配置される棒であってもよい。それとも、チルト連結部200は、設置部の一側と他側において、設置部を回転可能に支持する連結部材であってもよい。
【0046】
すなわち、チルト連結部200は、設置部を基準として振動部100がチルトされれば、その種類の如何を問わない。
【0047】
また、チルト連結部200には、配置部が形成されてもよい。配置部は、設定された大きさで形成された孔であってもよい。
【0048】
巻線部400は、巻線された形態で磁石部300間に配置されてもよい。巻線部400は、電流が流れる銅のような部材で製造されてもよい。巻線部400は、配置部に配置されてもよい。巻線部400は、電源を印加され、電流を巻線された方向に沿って移動させて、電磁石となり得る。ここで、電源の方向により、巻線部400の磁力の方向は変えられてもよい。
【0049】
この場合、巻線部400が形成した磁力の方向と、磁石部300が形成する磁力の方向及び電流の方向により、磁力の方向及び電流の方向と交差する方向に力が発生してもよい。この力は、振動部100に伝えられてもよい。このため、振動部100は、この力を受け、チルト連結部200を基準として、第1方向または第2方向に移動されてもよい、
【0050】
ここで、注意すべきことは、第1実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの説明において、第1方向と第2方向は、その方向性のみを意味することに留意しなければならない。すなわち、第1方向と第2方向は、特定の固定した方向を指称するものではないことに留意しなければならない。
【0051】
すなわち、第1方向は、特定の方向である前方と後方を全て意味してもよい。また、第2方向は、第1方向との関係で解析されなければならない。その理由は、第1方向または第2方向を固定して解釈すれば、メイン部110と延長部120の動きを解析するとき、問題が発生し得るからである。
【0052】
一例として、第1方向を、図2を基準として、右側と解釈すると、振動部100が第1方向に移動するという表現は、延長部120が右側に移動することを意味してもよい。しかしながら、振動部100の上側に位置して構成されたメイン部110は、左側である第2方向に移動されてもよい。これは、第1実施形態による振動部100は、チルト連結部200を基準としてチルトされるので、延長部120とメイン部110のチルトされる位置が異なる。このため、第1実施形態による本発明の説明において、振動部100が第1方向に移動するということは、メイン部110は左側に、延長部120は右側に移動することを意味し、第2方向である場合は、その反対を意味してもよい。
【0053】
一方、本発明における振動部100は、このように振動されるので、長い距離を動かして振動するので、特に低音でサウンド品質の向上が可能である。すなわち、振動部100は、直線の距離を移動するものではなく、チルト連結部200を基準として振子運動を行うので、長い距離を移動して振動される。
【0054】
電源が印加された場合、延長部120は、第1方向または第2方向に移動されるが、この場合、サスペンションにより動きを妨げられることがないので、電源による設定された距離を移動する。メイン部110も、それにより、第1方向または第2方向に移動される。
【0055】
また、本発明は、メイン部110が一面と他面の形状が対称して形成され、延長部120の動きにより発生する振動が、メイン部110に、そのまま伝えられ、メイン部110で発生するサウンドは、いかなる妨害も受けず、全方向に放出されるので、これも、サウンドの品質の向上を可能にする。
【0056】
ここで、本発明における磁石部300は、ラウンド状に形成されることが好ましい。さらに正確には、磁石部300は、半円形または円形の一部分の形態で形成されることが好ましい。このため、振動部100は、チルト連結部200を基準として第1方向または第2方向に大きく移動され得る。
【0057】
図4は、第2実施形態による本発明のサウンドの品質が向上したスピーカの正断面図である。
【0058】
第2実施形態による本発明のサウンドの品質が向上したスピーカは、第1実施形態とは異なり、磁石部300がさらに加えられる。磁石部300は、第1磁石部310、第2磁石部320、第3磁石部330で構成される。第1磁石部310、第2磁石部320、第3磁石部330は、順次に配置されてもよい。第1磁石部310と第3磁石部330は、同一の磁力を有し、第2磁石部320は、同じまたは異なる磁力を有してもよい。
【0059】
第2磁石部320は、配置部に配置されてもよい。ここで、配置部は、孔に限定されず、延長部120に孔が形成され、この孔に第2磁石部320が引き込まれて挟まれる形態でも構わない。また、巻線部400は、第2磁石部320が、第1磁石部310、第3磁石部330のそれぞれと対向する位置に配置されてもよい。すなわち、少なくとも第2磁石部320を基準として一側と他側には、巻線部400が配置されてもよい。
【0060】
さらに正確には、延長部120には、四角形状の孔が形成されてもよい。半円形の第2磁石部320は、側面からみて、「U」字状または円形の一部分の形態であるが、断面のみを確認すれば、四角形または円形または多角形の形態で形成される。したがって、延長部120に第2磁石部320が引き込まれるようになる。また、延長部120の孔を基準として巻線部400が配置されてもよい。すなわち、巻線部400は、延長部120の孔を閉鎖しないように、延長部の前面と後面に孔の周りを取り囲む形態で配置されてもよい。
【0061】
したがって、本発明は、巻線部400に電源が供給されることにより、延長部120が第2磁石部320に沿って往復摺動可能に形成される。すなわち、延長部120は、「U」字状の第2磁石部320に沿って「U」字状で摺動されてもよい。このような延長部120の「U」字状の摺動により、メイン部110も振動する。
【0062】
ここで、第1磁石部310と第3磁石部330の形状は、第1実施形態による磁石部300のように半円形状であってもよい。第2磁石部320は、半円形であってもよいが、必ずしも半円形状で形成されるものではない。
【0063】
第2実施形態によるサウンドの品質が向上したスピーカの動作は、第1実施形態と同じである。すなわち、電源が巻線部400に供給されると、その力が振動部100に伝えられ、振動部100が振動されて、サウンドを発生させる。
【0064】
図5は、第3実施形態による本発明のサウンドの品質が向上したスピーカの正断面図である。
【0065】
図6は、第3実施形態による本発明のサウンドの品質が向上したスピーカの側断面図である。
【0066】
第3実施形態による本発明の動作原理及び構成は、第1実施形態、第2実施形態と類似するが、それぞれの構成の配置関係が異なる。
【0067】
第3実施形態による本発明の振動部100の構成は、メイン部110と延長部120が第1実施形態、第2実施形態と同様である。しかしながら、第3実施形態による振動部100は、2つの延長部120がメイン部110から離隔して形成されてもよい。
【0068】
これを図5からみれば、延長部120は、第1延長部121、第2延長部122を含んでもよく、メイン部110から離隔した位置において下側に向かって延長されてもよい。
【0069】
また、第1延長部121と第2延長部122は、長手部130が連結して配置されてもよい。長手部130は、設定された長さを有する。したがって、第1延長部121、第2延長部122、長手部130は、メイン部110と一緒に閉回路の形状を形成してもよい。
【0070】
長手部130には、巻線部400、磁石部300が積層される構造で配置されてもよい。すなわち、磁石部300または巻線部400のうちいずれか一つは、長手部130と隣接して配置され、残りの一つが配置された構成に隣接して配置されてもよい。しかしながら、以下では、説明の便宜上、巻線部400が磁石部300よりも長手部130にさらに隣接してに配置されたと仮定して説明する。当然のことながら、本発明は、このような構成の連結関係に限定されるものではない。
【0071】
巻線部400は、長手部130を取り囲む形態で配置される。巻線部400は、長手部130の全体の長さ方向に沿って巻線され、長手部130の周囲に配置されてもよい。磁石部300は、巻線部400を取り囲む形態で配置されてもよい。すなわち、中心から外側に向けて、本発明の構成をみれば、長手部130、巻線部400、磁石部300の順で観察される。
【0072】
長手部130は、第1実施形態におけるチルト連結部200と同じ役割を行う。すなわち、長手部130は、振動部100のチルトの基準となる。電源が供給されると、振動部100は、第1方向、第2方向にチルトされて振動されてもよい。すなわち、巻線部400に電源が印加されると、電源の印加方向により、巻線部400は、振動部100に第1方向または第2方向に移動される力を印加する。
【0073】
振動部100は、力を受けると、第1方向または第2方向に長手部130を軸としてチルトされる。ここで、振動部100は、低音である場合、さらに大きな角度でチルトされて振動される。
【0074】
第3実施形態による本発明の振動部100は、長手部130を基準としてチルトされて振動し、電源に対応する大きさだけチルトされるので、高品質のサウンドを発生することができる。
【0075】
図7は、第4実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
【0076】
第4実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、第3実施形態が応用されたものである。
【0077】
第4実施形態による場合、磁力部300は、第1磁力部310と第2磁力部320を含んでもよい。ここで、第1磁力部310と第2磁力部320は、説明の便宜上、区分されたものであって、第1, 第2により限定されない。
【0078】
第1磁力部310は、第3実施形態の磁力部300と同様に、巻線部400を取り囲む形態で配置されてもよい。第2磁力部310は、第3実施形態とは異なり、長手部130の内部に配置され、永久的な磁力を発してもよい。第2磁力部310は、巻線部400の動作を補助して、メイン部110の振動をさらに容易にする。第2磁力部310は、設定された長さを有して形成されることが好ましい。ここで、実施形態により、第2磁力部310の長さは、第1磁力部の長さよりも小さくてもよく、または同じであってもよく、またはさらに長くてもよい。これは、実施形態により様々に変形され得る。
【0079】
図8は、第5実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
【0080】
図9は、第5実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの側断面図である。
【0081】
第5実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、第1乃至第3実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバと、動作原理及び構成は類似するが、それぞれの構成の配置関係が異なる。
【0082】
第5実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの磁石部300は、第1磁石部310、第2磁石部320で構成される。
【0083】
第1磁石部310または第2磁石部320のうちいずれか一つの大きさは、他の一つを収容する程度の大きさを有して形成される。以下では、説明の便宜上、第2磁石部320の大きさが第1磁石部310の大きさよりも大きい場合を実施形態として説明する。
【0084】
第2磁石部320は、第1磁石部310よりも大きい直径を有して形成されてもよい。第2磁石部320と第1磁石部310は、対称する形状で形成されることが好ましく、一例として、その形状は、円筒形であってもよい。第2磁石部320は、中空部が形成されてもよい。第2磁石部320の中空部の大きさは、少なくとも第1磁石部310の大きさよりも大きく形成される。第2磁石部320の中空部には、第1磁石部310が配置されてもよい。
【0085】
第1磁石部310は、位置が固定されて構成される。第2磁石部320と第1磁石部310との間には、巻線部400が配置される。ここで、巻線部400は、第2磁石部320と連結して形成される。第2磁石部320は、第1磁石部310を基準として摺動可能に形成される。巻線部400に電源が印加されると、第2磁石部320は、その力を受け、第1方向または第2方向に移動される。振動部100は、第2磁石部320と連結して配置されてもよい。したがって、電源が印加されると、第2磁石部320の移動により、振動部100は、第1方向または第2方向に直線移動して振動し、振動により、サウンドを発生することができる。
【0086】
図10は、第6実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
【0087】
第6実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、第5実施形態を応用して改良したものであってもよい。
【0088】
第6実施形態によると、磁石部300は、メイン部110に位置されてもよい。すなわち、振動部100の延長部120は、存在しなくてもよい。
【0089】
メイン部110には、第5実施形態において延長部120に配置された第1磁石部310、第2磁石部320、巻線部400が配置されてもよい。したがって、第6実施形態によると、本発明のメイン部110は、延長部120の移動により移動されるものではなく、メイン部110が第2磁石部320の摺動により移動される形態であってもよい。
【0090】
図11は、第7実施形態による本発明のサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバの正断面図である。
【0091】
第7実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、第5実施形態を応用して改良したものであってもよい。
【0092】
第7実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバは、第1磁石部310、第2磁石部320、巻線部400が複数個で構成されて、一つの振動部100を支持してもよい。したがって、振動部100は、安定的に支持されて振動され、安定的に高品質のサウンドを発することができる。
【0093】
一方、第1実施形態乃至第7実施形態によるサラウンディング(サスペンション)が省略されたスピーカドライバはいずれも、ハウジング500を含んでもよい。ここで、ハウジング500は、振動部100のメイン部110を外部に露出する形態であり、巻線部400、磁石部300を内部に位置させる形態であることが好ましい。
【0094】
一例として、第1, 2実施形態による本発明の場合、ハウジング500は、チルト連結部200が形成された部分までハウジング500の内側に位置されることが好ましい。したがって、チルト連結部200は、ハウジング500に固定され、メイン部110は、チルト連結部200を基準として、ハウジング500の外部において、第1方向または第2方向に移動されて振動して、サウンドを外部に発することができる。
【0095】
一例として、第3, 4実施形態による場合、複数個のハウジング500を含んでもよい。すなわち、ハウジング500は、第1ハウジングと第2ハウジングを含んでもよい。第1ハウジングは、長手部130側に配置される。すなわち、第1延長部121と第2延長部122との間に配置され、磁石部300を取り囲む形態で配置されることが好ましい。第2ハウジングは、第1延長部121、第2延長部122を内側に配置するが、メイン部110がハウジング500の内部に位置されないようにしてもよい。
【0096】
残りの実施形態による場合は、第1磁石部310、第2磁石部320、巻線部400等が内部に配置されるハウジング500を含んでもよい。ここで、ハウジング500は、第1磁石部310の両端部よりも、少なくとも大きく形成されることが好ましく、第2磁石部320が第1磁石部310を摺動可能に延長部120の側面をガイドするガイドを含んでもよい。
【0097】
また、本発明は、ダンパが、ハウジング500の内部に配置されてもよい。ここで、ダンパは、ハウジング500と振動部100が当接することを防止するために、ハウジング500に付着して形成されることが好ましい。しかしながら、重要なことは、ダンパは、振動部100の動きを妨げない位置に設置されなければならないことである。一例として、第4実施形態による場合は、ハウジング500が第1磁石部310の両端部と当接する位置にダンパが配置されなければならない。この場合、ダンパは、振動部100がハウジング500とぶつかることを防止する役割を行うだけで、サスペンションのように振動部100の動きを妨げない。
【0098】
図12は、一実施形態による制御部の動作を示す図である。
【0099】
また、第1実施形態乃至第5実施形態によるサウンドの品質が向上したスピーカは、制御部600を含む。
【0100】
本発明は、サスペンションが存在しないことが特徴である。したがって、振動部100の定位置の整列が必要である。そうでなければ、サウンドの品質の低下が発生するからである。一例として、振動部100は、位置-1から+1まで動きを繰り返して振動しなければ、高品質のサウンドを発することができない。しかしながら、振動部100が最初から位置+0.5に位置されている状態で、電源が印加されると、振動部100の動く距離と位置が異なるので、低品質のサウンドが発生してしまう。
【0101】
本発明は、このような問題を制御部600と非可聴周波数信号により解決した。
【0102】
非可聴周波数信号は、高振動数または低振動数帯域の周波数であり、人間の耳には聞こえない音である。非可聴周波数信号は、振動部100が小さな距離を微細に繰り返して移動するので、人の目には、振動部100が停止したように見え、サウンドも聞こえなくて、停止したものと見える。本発明は、これを活用して、振動部100が定位置に整列される必要があるとき、制御部600が非可聴周波数信号に相当する電源である零点制御信号を生成し、当該電源を巻線部400に印加する。巻線部400は、この信号を印加され、振動部100が零点に位置されるように力を印加する。したがって、振動部100は、定位置に整列して配置される。
【0103】
また、制御部600は、位置整列信号を生成してもよい。位置整列信号は、意図的に、振動部100の位置を変更する必要があるときに活用される。この場合、制御部600は、意図的に、振動部100の位置が、既設定された零点ではない位置に存在するように操作してもよい。制御部600は、この場合、位置整列信号を生成し、それにより、電源を生成する。電源を受信した振動部100は、電源に対応する位置に配置される。これにより、本発明は、意図的にサウンドの品質に変形をもたらすことができる。
【0104】
本発明は、特定の実施形態に関連して図示して説明したが、以下の特許請求の範囲により提供される本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、本発明が、様々に改良及び変化され得ることは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
図1
図2
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図12