(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電解コンデンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 9/00 20060101AFI20240329BHJP
H01G 9/028 20060101ALI20240329BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01G9/00 290H
H01G9/028 F
H01G9/028 G
H01G9/15
(21)【出願番号】P 2019561627
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2018047166
(87)【国際公開番号】W WO2019131477
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2017254993
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 斉
(72)【発明者】
【氏名】牧野 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 寛
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086473(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163728(WO,A1)
【文献】特開2010-129789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00
H01G 9/028
H01G 9/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を有する陽極体を準備する工程と、
前記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程と、を含み、
前記固体電解質層を形成する工程が、
前記誘電体層上に第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層を形成する工程と、
前記第1導電性高分子層に第1処理液を付与して、前記第1導電性高分子層に前記第1処理液を浸み込ませる工程と、
前記第1処理液が付与された前記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、
前記第2導電性高分子層に第2処理液を付与して、前記第2導電性高分子層および前記第1導電性高分子層に前記第2処理液を浸み込ませる工程と、
前記第2処理液が付与された前記第2導電性高分子層上に第3導電性高分子層を形成する工程と、を有し、
前記第1処理液および前記第2処理液はいずれも、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する少なくとも1つのSO
3含有基と、を有する第1化合物と、溶媒とを含み、
前記SO
3含有基は、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種である、電解コンデンサの製造方法。
【請求項2】
誘電体層を有する陽極体を準備する工程と、
前記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程と、を含み、
前記固体電解質層を形成する工程が、
前記誘電体層上に第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層を形成する工程と、
前記第1導電性高分子層に第1処理液を付与して、前記第1導電性高分子層に前記第1処理液を浸み込ませる工程と、
前記第1処理液が付与された前記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、
前記第2導電性高分子層に第2処理液を付与して、前記第2導電性高分子層および前記第1導電性高分子層に前記第2処理液を浸み込ませる工程と、
前記第2処理液が付与された前記第2導電性高分子層上に第3導電性高分子層を形成する工程と、を有し、
前記第1処理液および前記第2処理液はいずれも、ベンゼン、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する2つ以上のSO
3含有
基と、を有する第1化合物と、溶媒とを含み、
前記SO
3含有基は、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種である、電解コンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記溶媒が水を含む、請求項1または2に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項4】
前記スルホン酸塩基は、アミン塩基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
前記第2導電性高分子層を形成する工程は、前記第1処理液が付与された前記第1導電性高分子層に、第2導電性高分子を含む液を付与し、乾燥させることを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、を備え、
前記固体電解質層は、導電性高分子と、第1化合物と、前記第1化合物とは異なる第2化合物と、を含み、
前記第1化合物は、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する少なくとも1つのSO
3含有基と、を含み、
前記SO
3含有基は、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2化合物は、ポリアニオン酸を含み、
前記固体電解質層は、第1導電性高分子層と、前記第1化合物を介して前記第1導電性高分子層を覆い、かつ前記第1化合物を含む第2導電性高分子層を有し、
前記固体電解質層の厚さ方向における前記誘電体層に近い第1領域での前記固体電解質層に含まれる前記第1化合物の濃度は、前記第1領域以外の領域での前記第1化合物の濃
度より高くなっている、電解コンデンサ。
【請求項7】
陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、を備え、
前記固体電解質層は、導電性高分子と、第1化合物と、前記第1化合物とは異なる第2化合物と、を含み、
前記第1化合物は、ベンゼン、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する2つ以上のSO
3含有基と、を含み、
前記SO
3含有基は、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2化合物は、ポリアニオン酸を含み、
前記固体電解質層は、第1導電性高分子層と、前記第1化合物を介して前記第1導電性高分子層を覆い、かつ前記第1化合物を含む第2導電性高分子層を有し、
前記固体電解質層の厚さ方向における前記誘電体層に近い第1領域での前記固体電解質層に含まれる前記第1化合物の濃度は、前記第1領域以外の領域での前記第1化合物の濃度より高くなっている、電解コンデンサ。
【請求項8】
前記第1化合物は、アミン塩である、請求項6または7に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型かつ大容量で等価直列抵抗(ESR)の小さいコンデンサとして、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層上に形成されるとともに導電性高分子を含む固体電解質層と、を備えた電解コンデンサが有望視されている。
【0003】
特許文献1は、耐湿性に優れた電解コンデンサを得る観点から、導電性高分子の微粒子が分散した第1の導電性高分子溶液を塗布、乾燥して第1の導電性高分子層を形成する工程と、カルボキシル基とヒドロキシル基または2つのカルボキシル基を有する芳香族スルホン酸又はその塩を第1の導電性高分子層に付与し、その後、導電性高分子の微粒子が分散した第2の導電性高分子溶液を塗布、乾燥して第2の導電性高分子層を形成する工程により固体電解質層を形成することを提案している。
【0004】
特許文献2は、ESRが低く、高温耐湿性が優れた電解コンデンサを得る観点から、コンデンサ素子にベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸とC5~C12のアルキルアミンを有するスルホン酸アルキルアミン塩を付与した後、導電性高分子の分散液を用いて固体電解質を形成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014-87617号パンフレット
【文献】特開2014-86473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電解コンデンサの耐熱特性および耐湿特性を向上させる観点から、更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、誘電体層を有する陽極体を準備する工程と、前記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程と、を含み、前記固体電解質層を形成する工程が、前記誘電体層上に第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層を形成する工程と、前記第1導電性高分子層に第1処理液を付与する工程と、前記第1処理液が付与された前記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、を有し、前記第1処理液は、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する少なくとも1つのSO3含有基と、を有する第1化合物と、溶媒とを含み、前記SO3含有基が、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種である、電解コンデンサの製造方法に関する。
【0008】
本発明の別の側面は、誘電体層を有する陽極体を準備する工程と、前記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程と、を含み、前記固体電解質層を形成する工程が、前記誘電体層上に第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層を形成する工程と、前記第1導電性高分子層に第1処理液を付与する工程と、前記第1処理液が付与された前記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、を有し、前記第1処理液は、ベンゼン、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する2つ以上のSO3含有基と、を有する第1化合物と、溶媒とを含み、前記SO3含有基が、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種である、電解コンデンサの製造方法に関する。
【0009】
本発明の更に別の側面は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、導電性高分子と、第1化合物と、前記第1化合物とは異なる第2化合物と、を含み、前記第1化合物は、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する少なくとも1つのSO3含有基と、を含み、前記SO3含有基が、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種であり、前記第2化合物は、ポリアニオン酸を含む、電解コンデンサに関する。
【0010】
本発明の更に別の側面は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、導電性高分子と、第1化合物と、前記第1化合物とは異なる第2化合物と、を含み、前記第1化合物は、ベンゼン、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格と、前記骨格に結合する2つ以上のSO3含有基と、を含み、前記SO3含有基が、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種であり、前記第2化合物は、ポリアニオン酸を含む、電解コンデンサに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐湿特性と耐熱特性との双方に優れた電解コンデンサが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の電解コンデンサの製造方法について詳細に説明する。
(誘電体層を有する陽極体を準備する工程)
陽極体は、例えば、導電性材料で形成された箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより形成される。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(電解エッチング等)することにより行えばよく、蒸着などの気相法を利用して、基材表面に導電性材料の粒子を堆積させることにより行ってもよい。
【0014】
導電性材料の粉末の中に、棒状体の陽極リードの長手方向の一端側を埋め込んだ状態で、粉末を所望形状(ブロック状等)に成形し、成形体を焼結してもよい。これにより、陽極リードの一端が埋め込まれた多孔質構造の陽極体が得られる。
【0015】
陽極体に用いられる導電性材料としては、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などが例示できる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムが好ましく使用される。
【0016】
次に、陽極体の表面に誘電体層を形成する。誘電体層は、陽極体を化成処理もしくは陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、例えば、陽極体を電解液中に浸漬し、陽極体の細孔やピットに電解液を含浸させ、陽極体をアノードとして、電解液中のカソードとの間に電圧を印加すれば進行する。電解液としては、例えば、リン酸水溶液などを用いることが好ましい。
【0017】
誘電体層は、導電性材料(特に弁作用金属)の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合、誘電体層はTa2O5を含む。弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合、誘電体層はAl2O3を含む。なお、誘電体層はこれらに限られない。
【0018】
(第1導電性高分子層を形成する工程)
次に、誘電体層の表面に、第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層を形成する。第1導電性高分子層は、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成すればよい。第1導電性高分子層は、第1ドーパントを含んでいてもよい。第1ドーパントは導電性高分子にドープされた状態でもよく、導電性高分子と結合した状態でもよい。第1導電性高分子層は、1層で形成されていてもよく、複数層で形成されていてもよい。第1導電性高分子層の平均厚さは概ね0.01μm以上10μm以下であればよい。
【0019】
第1導電性高分子としては、例えば、π共役系導電性高分子を使用できる。π共役系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、および/またはポリチオフェンビニレンなどを基本骨格とする高分子が挙げられる。
【0020】
第1導電性高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体、およびこれらの誘導体(置換基を有する置換体など)も含まれる。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。第1導電性高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。導電性高分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1000以上1000000以下である。
【0021】
第1導電性高分子の前駆体を重合させて、誘電体層の表面に第1導電性高分子層を形成してもよい。導電性高分子の前駆体としては、導電性高分子を形成し得るモノマーおよび/またはオリゴマーが例示できる。重合方法としては、化学酸化重合および電解酸化重合のどちらも採用することができる。化学重合の場合、酸化剤(触媒)の存在下で重合を行えばよい。酸化剤としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などのスルホン酸金属塩、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩を用い得る。導電性高分子は、誘電体層を有する陽極体に付着させる前に予め合成してもよい。
【0022】
重合に用いる重合液は、導電性高分子の前駆体に必要に応じて溶媒を混合して調製される。重合液の溶媒には、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が用いられる。重合液に第1ドーパントを含ませてもよい。
【0023】
第1導電性高分子層は、誘電体層に第1導電性高分子を含む液を付与し、乾燥させて形成してもよい。第1導電性高分子を含む液は、例えば、第1導電性高分子と第1ドーパントとを含む溶液または分散液(以下、第1分散体)であればよい。第1分散体を誘電体層に塗布した後、乾燥すれば、第1導電性高分子層が形成され得る。第1分散体に用いられる溶媒(分散媒)には、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が用いられる。第1導電性高分子層に含まれる第1ドーパント量は、第1導電性高分子100質量部に対して10質量部以上1000質量部以下であればよい。
【0024】
第1ドーパントとしては、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基および/またはホスホン酸基などのアニオン基を有するものが使用される。第1ドーパントは、アニオン基を一種有してもよく、二種以上有してもよい。アニオン基としては、スルホン酸基が好ましく、スルホン酸基とスルホン酸基以外のアニオン基との組み合わせでもよい。第1ドーパントは、低分子ドーパントでもよく、高分子ドーパントでもよい。第1導電性高分子層は、第1ドーパントを1種だけ含んでもよく、二種以上の第1ドーパントを含んでもよい。
【0025】
低分子ドーパントとしては、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などが挙げられる。
【0026】
高分子ドーパントとしては、スルホン酸基を有するモノマーの単独重合体、スルホン酸基を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体、スルホン化フェノール樹脂などが例示できる。スルホン酸基を有するモノマーとしては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸などが例示できる。他のモノマーとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが好ましい。高分子ドーパントの重量平均分子量は、例えば1000以上1000000以下である。このような高分子ドーパントを用いるとESRを低減し易い。
【0027】
(第1導電性高分子層に第1処理液を付与する工程)
次に、第1導電性高分子層を第1処理液に接触させる。第1処理液は、第1化合物と第1化合物を溶解させる溶媒とを含む。第1化合物は、ベンゼン、ナフタレンまたはアントラキノンの骨格(以下、BNA骨格とも称する。)と、BNA骨格に結合する少なくとも1つ、または2つ以上のSO3含有基とを有する。SO3含有基は、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種である。
【0028】
第1導電性高分子層に第1処理液を付与することで、その後に形成される第2導電性高分子層と第1導電性高分子層との密着性が向上する。第1化合物は、第1導電性高分子層との親和性に優れ、第1導電性高分子層の表面に均一に分布すると考えられる。第1化合物を介して第2導電性高分子層が形成されることで、第2導電性高分子層の均質性が向上し、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との界面抵抗も小さくなる。以上により、耐湿特性と耐熱特性に優れた電解コンデンサが得られるものと考えられる。
【0029】
耐湿特性とは、高湿度の雰囲気中で電解コンデンサを長期間使用する場合の指標である。例えば、85℃/85%RHで125時間、定格電圧を印加した状態で保管した後の容量とESRにより評価される。耐湿特性が優れているほど、陽極体(特にAl)の腐食に対する耐性が高いといえる。
【0030】
耐熱特性とは、高温の雰囲気中で電解コンデンサを長期間保管する場合の指標である。例えば、145℃で125時間、無負荷状態で保管した後の容量とESRにより評価される。
【0031】
第1処理液における第1化合物の濃度は、例えば0.011mol/L以上2mol/L以下であればよく、0.03mol/L以上1.5mol/L以下が好ましいい。第1処理液の25℃で測定されるpHは、例えば2以上9以下であればよく、2以上6以下が好ましい。
【0032】
第1処理液の溶媒には、水、有機溶媒、またはこれらの混合物を用い得る。有機溶媒としては、例えば1価~3価のアルコール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等を用い得る。溶媒の主成分は、製造工程での取り扱いやすさや環境負荷の点で水が好ましく、60質量%以上が水であることがより好ましい。
【0033】
第1処理液を第1導電性高分子層に付与した後、溶媒の少なくとも一部を揮発させてもよい。その際、第1導電性高分子層を50℃以上250℃以下に加熱してもよい。
【0034】
第1化合物が有し得るベンゼン骨格とは、ベンゼンおよびベンゼン誘導体を含む概念であり、ベンゼン誘導体とは、水素原子が他の基に置換されたベンゼンを包括的に意味する。
【0035】
第1化合物が有し得るナフタレン骨格とは、ナフタレンおよびナフタレン誘導体を含む概念であり、ナフタレン誘導体とは、水素原子が他の基に置換されたナフタレンを包括的に意味する。
【0036】
第1化合物が有し得るアントラキノン骨格とは、アントラキノンおよびアントラキノン誘導体を含む概念であり、アントラキノン誘導体とは、水素原子が他の基に置換されたアントラキノンを包括的に意味する。
【0037】
BNA骨格には少なくとも1つまたは2つ以上のSO3含有基が直接結合している。SO3含有基とは、スルホン酸基およびスルホン酸塩基よりなる群から選択される少なくとも1種である。
【0038】
スルホン酸基はSO3H基である。ただし、SO3H基がイオン解離し、SO3アニオン基として存在してもよく、SO3アニオン基が固体電解質層中の導電性高分子もしくはカチオン(水素イオン等)と電気的相互作用により結合もしくは疑似的な結合を有してもよい。ここでは疑似的な結合とは、電気的相互作用による影響を及ぼし合う距離に存在し、全体として電気的中性を有すること意味する。
【0039】
スルホン酸塩基は、スルホン酸基とアルカリとの反応により形成される塩型のSO3含有基であり、SO3M基と表記できる。SO3M基は、アンモニウム塩、金属塩等の形態でBNA骨格に直接結合している。ただし、SO3M基がイオン解離し、SO3アニオン基として存在してもよく、SO3アニオン基が固体電解質層中の導電性高分子もしくはカチオン(Mイオン等)と電気的相互作用により結合もしくは疑似的な結合状態を有してもよい。BNA骨格に複数のSO3含有基が結合している場合、それら複数のSO3含有基は互いに同じでも異なってもよい。なお、BNA骨格がベンゼン骨格である場合には、ベンゼン骨格に2つ以上のSO3含有基が結合することで、電解コンデンサの耐湿特性と耐熱特性に顕著な向上が見られる。
【0040】
SO3含有基の数が多いほど、第1化合物と第1導電性高分子層との親和性が高くなると考えられる。ただし、第1化合物の酸性を適度にする観点から、BNA骨格に結合するSO3M基の数は、3個以下が好ましく、2個以下がより好ましく、2個が最も好ましい。SO3含有基の数が2~3個の場合、より均質な固体電解質層を形成しやすくなる。2~3個のSO3含有基を有する第1化合物により、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性がより向上し、界面抵抗がより顕著に低減されるものと考えられる。
【0041】
SO3含有基は、BNA骨格のどの位置に結合していてもよい。第1化合物は、SO3含有基の結合位置の異なる複数の異性体の混合物でもよい。第1化合物は、SO3含有基の数の異なる複数の化合物の混合物でもよい。ただし、特定の数のSO3含有基を有する第1化合物が第1化合物全体の30モル%以上、更には50モル%以上を占めることが、入手容易性や合成のしやすさの点で好ましい。
【0042】
Mは、N(R)4(オニウム基)または金属原子である。N(R)4の4つのRは、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基であればよいが、Rの少なくとも1つは、例えばSO3H基に由来する水素原子であってもよい。
【0043】
金属原子Mとしては、1価金属であるアルカリ金属、アルカリ土類金属などの2価以上の金属が挙げられる。アルカリ金属としては、Na、Liなどが好ましい。2価以上の金属としては、Ca、Mgなどが好ましい。Mが2価以上の金属であるときは、SO3アニ
オン基が複数あり、2つ以上のSO3アニオン基と1つの金属とが塩を形成する。
【0044】
MがN(R)4である場合、スルホン酸塩基(SO3M基)はアミン塩基である。このとき、N(R)4は、-NH2基、-NH基、-N基などのアミノ基を有するアミン化合物に水素原子が配位したオニウム基であればよい。中でも-NH2基を有するアミン化合物由来のオニウム基が好ましい。アミノ基の窒素原子Nと結合する炭化水素基は、直鎖状または分岐状アルキル基、芳香族基(ベンゼン環、ナフタレン環などを含む基)である。炭化水素基中に更にアミノ基が存在してもよい。つまりオニウム基のアミノ基は1つに限定されず、2つ以上でもよい。炭化水素基の具体例としては、特に限定されないが、アルキル基が好ましく、中でも炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましい。
【0045】
アミン化合物由来のオニウム基により、第1化合物を介して形成される第2導電性高分子層と下層の第1導電性高分子層との密着性が更に向上する。第1導電性高分子層または第2導電性高分子層を複数回形成して積層する場合にも、下層に第1処理液を付与することで、上層として形成される導電性高分子層と下層との密着性が向上する。
【0046】
-NH2基を有するアミン化合物の具体例としては、例えば、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、ペプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、アニリン、フェニレンジアミン、ジアミノナフタレンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0047】
-NH基を有するアミン化合物の具体例としては、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルヘキシルアミン、ジイソプチルアミン、エチルヘキシルアミン、ジフェニルアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0048】
-N基を有するアミン化合物の具体例としては、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルペンチルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘブチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチルノニルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチルウンデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0049】
(第2導電性高分子層を形成する工程)
第1処理液が付与された第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する。第2導電性高分子層の平均厚さは概ね1μm以上100μm以下であればよい。第2導電性高分子層は、第2ドーパントを含んでもよい。第2導電性高分子層において、第2ドーパントは導電性高分子にドープされた状態で含まれていてもよく、導電性高分子と結合した状態で含まれていてもよい。第2導電性高分子層に含まれる第2ドーパントの量は、第2導電性高分子100質量部に対して、10質量部以上1000質量部以下であることが好ましい。
【0050】
第2導電性高分子および第2ドーパントは、それぞれ第1導電性高分子および第1ドーパントについて例示したものから適宜選択でき、第2導電性高分子層の形成方法も第1導電性高分子層に準じる。
【0051】
第2導電性高分子層は、第1処理液が付与された第1導電性高分子層に第2導電性高分子を含む液を付与し、乾燥させて形成してもよい。これにより、簡易に緻密な膜質の固体電解質層を形成し得る。第2導電性高分子を含む液は、例えば、第2導電性高分子の微粒子と第2ドーパントとを含む溶液または分散液(以下、第2分散体)であればよい。第2分散体としては、第1分散体について例示されたものを適宜使用できる。
【0052】
(高分子分散体)
第1分散体もしくは第2分散体(以下、単に分散体)は、導電性高分子を含む微粒子と溶媒(分散媒)との混合物である。分散体は、例えば、導電性高分子の前駆体モノマーとアニオン基を有するドーパント(ポリアニオン酸)と溶媒とを含む液中に酸化剤を添加し、前駆体モノマーの化学酸化重合を行えば得られる。溶媒には、水、有機溶媒、水と有機溶媒等の混合物を用いればよく、水を主成分とすることが好ましい。微粒子中では、導電性高分子にポリアニオン酸がドープされて結びつき、凝集体を形成している。
【0053】
微粒子は、平均粒径5nm以上500nm以下が好ましい。中でも、第1分散体に含まれる微粒子は、誘電体層の空隙に侵入しやすいように平均粒径100nm以下が好ましい。第2分散体に含まれる微粒子は、固体電解質層を厚く形成する観点から、平均粒径100nm以上500nm以下が好ましい。微粒子の平均粒径は、動的光散乱法によって計測される粒径分布から算出できる。
【0054】
ポリアニオン酸としては、官能基としてスルホ基を有する高分子が好ましく、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、ポリアクリルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸が挙げられる。ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量は、50000以上500000以下が好ましく、ポリエステルスルホン酸、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量は、5000以上80000以下が好ましい。ドープされるポリアニオン酸量は、導電性高分子1モルに対して0.1モル以上10モル以下が好ましい。
【0055】
(陰極層を形成する工程)
次に、固体電解質層の表面に、カーボン層と銀ペースト層とを順次積層し、陰極層を形成する。
【0056】
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
図1に示すように、電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂封止材3と、陽極端子4と、陰極端子5とを備える。樹脂封止材3の外部には、陽極端子4および陰極端子5の一部がそれぞれ露出している。陽極端子4および陰極端子5は、例えば銅または銅合金などの金属で形成すればよい。樹脂封止材3には、例えばエポキシ樹脂を用いればよい。
【0057】
コンデンサ素子2は、陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う陰極部8とを備える。陰極部8は、誘電体層7を覆う固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備える。陰極引出層10は、カーボン層11および銀ペースト層12を有する。
【0058】
陽極体6は、陰極部8と対向する領域と対向しない領域とを含む。陰極部8と対向しない領域は、陽極端子4と溶接により電気的に接続されている。陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離層13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陰極端子5は、導電性接着剤からなる接着層14を介して陰極部8と電気的に接続している。陽極端子4および陰極端子5の主面4Sおよび5Sは、樹脂封止材3の同じ面から露出している。露出面は、電解コンデンサ1を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続などに用いられる。
【0059】
上記製造方法で製造された電解コンデンサの固体電解質層は、導電性高分子(第1導電性高分子と第2導電性高分子)と、第1化合物と、第1化合物とは異なる第2化合物とを含み得る。第1化合物の骨格がナフタレンまたはアントラキノンの骨格である場合、その骨格に結合するSO3含有基の数は1つ以上であればよく、2つ以上が好ましく、2つがより好ましい。第1化合物の骨格がベンゼン骨格である場合、ベンゼン骨格に結合するSO3含有基の数は2つ以上であり、2つが好ましい。第1化合物は例えばアミン塩である。第2化合物は、例えば第1導電性高分子層に含まれる第1ドーパントおよび/または第2導電性高分子層に含まれる第2ドーパントであり、例えばポリアニオン酸であり得る。
【0060】
固体電解質層に含まれる第1化合物の濃度は、固体電解質層の厚さ方向において変化してもよい。例えば、第1化合物の濃度は、固体電解質層の陰極引出層側よりも誘電体層側において高くなっている。これは、第1化合物が、第1導電性高分子層に浸み込むことにより、誘電体層側に偏って分布しやすいからである。第1化合物が誘電体層側に偏在するほど、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との界面抵抗が小さくなりやすい。
【0061】
本発明の電解コンデンサは、上記構造の電解コンデンサに限定されず、様々な構造の電解コンデンサに適用することができる。例えば、巻回型の電解コンデンサ、金属粉末の焼結体を陽極体として用いる電解コンデンサなどにも本発明を適用できる。
【0062】
《実施例1》
下記の要領で、
図1に示す電解コンデンサを作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体を準備する工程
基材としてアルミニウム箔(厚み100μm)を準備し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、陽極体6を得た。
【0063】
(2)誘電体層を形成する工程
陽極体を濃度0.3質量%のリン酸溶液(液温70℃)に浸して70Vの直流電圧を20分間印加することにより、陽極体の表面に酸化アルミニウム(Al2O3)を含む誘電体層を形成した。
【0064】
(3)固体電解質層を形成する工程
(i)第1導電性高分子層を形成する工程
誘電体層に、ポリスチレンスルホン酸(第1ドーパント:PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(第1導電性高分子:PEDOT)の微粒子(微粒子の平均粒径200nm)を含む第1分散体(以下、PEDOT/PSS)を塗布後、100℃で40分間乾燥させた。第1分散体への浸漬と乾燥とを繰り返すことで、誘電体層の表面を覆うように第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層を形成した。第1導電性高分子層の平均厚さを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約1μmであった。第1分散体中のPEDOT/PSS量は4質量%であった。
【0065】
(ii)第1導電性高分子層に第1処理液を付与する工程
第1化合物としてナフタレンスルホン酸のアミン塩を用いて第1処理液を調製した。溶媒には水90質量%とエタノール10質量%の混合溶媒を用いた。アミン塩を形成するアミン化合物にはN,N-ジメチルオクチルアミンを用いた。第1処理液における第1化合物の濃度は0.5mol/Lとした。第1導電性高分子層を第1処理液に10分間浸漬した後、100℃で30分間乾燥させた。
【0066】
(iii)第2導電性高分子層を形成する工程
第1処理液が付与された第1導電性高分子層に、別のPEDOT/PSSを含む第2分散体(微粒子の平均粒径500nm)を浸漬後、100℃で60分間乾燥させた。第2分散体中のPEDOT/PSS量は4質量%であった。
【0067】
第1処理液への浸漬および乾燥と、第2分散体への浸漬および乾燥とを、交互に複数回繰り返すことにより、第1導電性高分子層の表面を覆うように第2導電性高分子層を形成した。第2導電性高分子層の平均厚さを、第1導電性高分子層の場合と同様にして測定したところ、約10μmであった。
【0068】
(4)陰極引出層を形成する工程
固体電解質層の表面に、黒鉛粒子を水に分散した分散液を塗布した後、大気中で乾燥してカーボン層を形成した。次に、カーボン層の表面に、銀粒子とエポキシ樹脂とを含む銀ペーストを塗布した後、加熱して、銀ペースト層を形成した。
【0069】
(5)電解コンデンサの組み立て
コンデンサ素子に陽極端子、陰極端子および接着層を配置し、樹脂封止材で封止して、定格20V、1μFの電解コンデンサA1を完成させた。
【0070】
《実施例2》
第1化合物としてナフタレンジスルホン酸のアミン塩を用いたこと以外、コンデンサA1と同様に電解コンデンサA2を作製した。
【0071】
《実施例3》
第1化合物としてアントラキノンジスルホン酸のアミン塩を用いたこと以外、コンデンサA1と同様に電解コンデンサA3を作製した。
【0072】
《実施例4》
第1化合物としてベンゼンジスルホン酸のアミン塩を用いたこと以外、コンデンサA1と同様に電解コンデンサA4を作製した。
【0073】
《比較例1》
第1化合物の代わりにベンゼンスルホン酸のアミン塩を用いたこと以外、コンデンサA1と同様に電解コンデンサB1を作製した。
【0074】
上記で作製した実施例および比較例の電解コンデンサについて、以下の評価を行った。
[評価]
(a)耐熱特性
145℃の温度で、電解コンデンサを125時間保存した後、20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)と容量(μF)を測定し、ESRの変化率(R1)と容量の初期値に対する変化率(C1(%))とを求めた。
(b)耐湿特性
85℃/85%Rhの環境で、電解コンデンサに定格電圧を125時間印加した後、20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)と容量(μF)を測定し、ESRの変化率(R2)と容量の初期値に対する変化率(C2(%))とを求めた。
【0075】
【0076】
実施例1~4は、耐湿特性に優れることが理解できる。中でも、ナフタレン骨格を有し、SO3含有基を2つ有する第1化合物を用いることで、耐湿特性と耐熱特性が良好なバランスで向上することが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る電解コンデンサは、優れた耐湿特性と耐熱特性とが求められる様々な用途に利用できる。
【符号の説明】
【0078】
1:電解コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:樹脂封止材、4:陽極端子、4S:陽極端子の主面、5:陰極端子、5S:陰端子の主面、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、9:固体電解質層、10:陰極引出層、11:カーボン層、12:銀ペースト層
、13:分離層、14:接着層