IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スマートドライブの特許一覧

特許7462179情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び学習済みモデル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び学習済みモデル
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240329BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240329BHJP
   G06Q 30/02 20230101ALN20240329BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/09 F
G06Q30/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022184785
(22)【出願日】2022-11-18
(62)【分割の表示】P 2022144741の分割
【原出願日】2022-09-12
(65)【公開番号】P2024040100
(43)【公開日】2024-03-25
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】514235341
【氏名又は名称】株式会社スマートドライブ
(72)【発明者】
【氏名】元垣内 広毅
(72)【発明者】
【氏名】小畑 良樹
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-052564(JP,A)
【文献】特許第6994706(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/09
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって前記第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成するデータ生成部と、
前記推定データに基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を算出するためのモデルを生成するモデル生成部と、
を備え、
前記データ生成部は、以下の式に基づいて前記第2計測データの推定データの少なくとも一部を生成する、
D2(1)=D1(1)
D2(k)=D1g(D2(k-1))
ここで、
kは2以上の自然数であり、
D1及びD2は、前記第1計測データ及び前記第2計測データの推定データをそれぞれ時系列に基づいて並べた場合における、基準データからの順番値である引数におけるデータを示し、
関数D1gは、前記第1計測データにおいて、引数に対応するデータと所定の距離関係又は所定の時間関係を満たすデータを出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置であって、
移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、当該第1計測データに含まれる走行情報を近似した関数を生成する関数生成部と、
所定時間条件が満たされる時間情報を逐次的に算出する算出部と、
前記生成された関数と前記算出された時間情報に基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって前記第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成するデータ生成部と、
前記推定データに基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を算出するためのモデルを生成するモデル生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項3】
情報処理方法であって、
移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって前記第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することと、
前記推定データに基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を算出するためのモデルを生成することと、
を含み、
前記推定データの少なくとも一部は、以下の式に基づいて生成され、
D2(1)=D1(1)
D2(k)=D1g(D2(k-1))
ここで、
kは2以上の自然数であり、
D1及びD2は、前記第1計測データ及び前記第2計測データの推定データをそれぞれ時系列に基づいて並べた場合における、基準データからの順番値である引数におけるデータの位置情報を示し、
関数D1gは、前記第1計測データにおいて、引数に対応するデータと所定の距離関係又は所定の時間関係を満たすデータを出力する、
情報処理方法。
【請求項4】
情報処理方法であって、
移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、当該第1計測データに含まれる走行情報を近似した関数を生成することと、
所定時間条件が満たされる時間情報を逐次的に算出することと、
前記生成された関数と前記算出された時間情報に基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって前記第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することと、
前記推定データに基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を算出するためのモデルを生成することと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって前記第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することと、
前記推定データに基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を算出するためのモデルを生成することと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記推定データの少なくとも一部は、以下の式に基づいて生成され、
D2(1)=D1(1)
D2(k)=D1g(D2(k-1))
ここで、
kは2以上の自然数であり、
D1及びD2は、前記第1計測データ及び前記第2計測データの推定データをそれぞれ時系列に基づいて並べた場合における、基準データからの順番値である引数におけるデータの位置情報を示し、
関数D1gは、前記第1計測データにおいて、引数に対応するデータと所定の距離関係又は所定の時間関係を満たすデータを出力する、
プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、当該第1計測データに含まれる走行情報を近似した関数を生成することと、
所定時間条件が満たされる時間情報を逐次的に算出することと、
前記生成された関数と前記算出された時間情報に基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって前記第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することと、
前記推定データに基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を算出するためのモデルを生成することと、
を実行させるための、プログラム。
【請求項7】
第2装置により取得された移動体に関する情報に基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を出力するようコンピュータを機能させるための学習済みモデルであって、
前記第2装置とは異なる第1装置によって計測された第1計測データに基づいて生成される、前記第2装置によって計測される第2計測データの推定データに基づいて学習され、
前記第2計測データの推定データの少なくとも一部は以下の式に基づいて生成される、
D2(1)=D1(1)
D2(k)=D1g(D2(k-1))
ここで、
kは2以上の自然数であり、
D1及びD2は、前記第1計測データ及び前記第2計測データの推定データをそれぞれ時系列に基づいて並べた場合における、基準データからの順番値である引数におけるデータの位置情報を示し、
関数D1gは、前記第1計測データにおいて、引数に対応するデータと所定の距離関係、又は所定の進行方位関係を満たすデータを出力する、
学習済みモデル
【請求項8】
第2装置により取得された移動体に関する情報に基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を出力するようコンピュータを機能させるための学習済みモデルであって、
前記第2装置とは異なる第1装置によって計測された第1計測データに基づいて生成される、前記第2装置によって計測される第2計測データの推定データに基づいて学習され、
前記第2計測データの推定データの少なくとも一部は以下の式に基づいて生成される、
D2(1)=D1(1)
D2(k)=D1g(D2(k-1))
ここで、
kは2以上の自然数であり、
D1及びD2は、前記第1計測データ及び前記第2計測データの推定データをそれぞれ時系列に基づいて並べた場合における、基準データからの順番値である引数におけるデータの位置情報を示し、
関数D1gは、前記第1計測データにおいて、引数に対応するデータと所定の時間関係を満たすデータを出力する、
学習済みモデル
【請求項9】
第2装置により取得された移動体に関する情報に基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を出力するようコンピュータを機能させるための学習済みモデルであって、
前記第2装置とは異なる第1装置によって計測された第1計測データに基づいて生成される、当該第1計測データに含まれる走行情報を近似した関数と、前記第1計測データ並びに所定距離条件又は所定進行方位条件に基づいて逐次的に算出される時間情報と、に基づいて生成される、前記第2装置によって計測される第2計測データの推定データに基づいて学習される、
学習済みモデル
【請求項10】
第2装置により取得された移動体に関する情報に基づいて、前記第2装置を用いた運転評価又はテレマティクス保険における前記移動体に関する諸量を出力するようコンピュータを機能させるための学習済みモデルであって、
前記第2装置とは異なる第1装置によって計測された第1計測データに基づいて生成される、当該第1計測データに含まれる走行情報を近似した関数と、所定時間条件に基づいて逐次的に算出される時間情報とに基づいて生成される、前記第2装置によって計測される第2計測データの推定データに基づいて学習される、
学習済みモデル
【請求項11】
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の学習済みモデルであって、
前記第1装置は、取得した前記第1計測データを直接的にサーバへ送信し、
前記第2装置は、取得した前記第2計測データを路側機を介して前記サーバへ送信する、
学習済みモデル
【請求項12】
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の学習済みモデルであって、
前記第1装置は、取得した前記第1計測データを内部へ実質的に蓄積せずにサーバへ送信し、
前記第2装置は、取得した前記第2計測データを内部へ蓄積した後に、前記蓄積した第2計測データを前記サーバへ送信する、
学習済みモデル
【請求項13】
請求項12に記載の学習済みモデルであって、
前記第2装置においては、前記第2計測データの内部での蓄積量が所定量に達すると、新しく前記第2計測データとしてのデータが取得されることに対応して、前記蓄積された第2計測データのうち最も古いデータが破棄される、
学習済みモデル
【請求項14】
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の学習済みモデルであって、
前記第1計測データにおいて、走行開始時点から第1所定範囲内のデータ、又は、走行終了時点から第2所定範囲内のデータは学習対象から除外される、
学習済みモデル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ある計測対象を計測する装置(システム)として、例えば、車両の位置情報や加速度情報などの走行情報を計測可能なものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-58421号公報
【発明の概要】
【0004】
あくまで一例であるが、上記のように所定の計測対象を計測する装置によって計測された計測データを用いて新しいサービス(ビジネス)を開発するようなことを考える場合、その装置を実際に用いて計測データとして膨大な数の計測データを取得して評価を行うのが通常であり、時間的なコストや金銭的なコストが生じてしまう。
また、現状、計測する装置が設置されている箇所は限定されており、より多くの計測する装置の設置が望まれている。しかしながら、コストの問題から、効率よくデータを計測できる場所に設置することが必要となっている。
【0005】
本発明の第1の態様によると、情報処理装置は、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成するデータ生成部、を備える。
本発明の第2の態様によると、情報処理方法は、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成すること、を含む。
本発明の第3の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成すること、をコンピュータに実行させる。
本発明の第4の態様によると、情報処理装置は、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データに基づく運転の評価に必要な第1計測データの計測期間を判定する第1判定部、を備える。
本発明の第5の態様によると、情報処理方法は、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データに基づく運転の評価に必要な第1計測データの計測期間を判定すること、を含む。
本発明の第6の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データに基づく運転の評価に必要な第1計測データの計測期間を判定すること、をコンピュータに実行させる。
本発明の第7の態様によると、情報処理装置は、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データを擬似的に所定期間について生成する生成部と、生成された擬似的第2計測データにおけるデータ損失割合情報を取得する取得部と、データ損失割合情報に基づいて、所定期間における擬似的第2計測データの有効性を判定する判定部と、を備える。
本発明の第8の態様によると、情報処理方法は、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データを擬似的に所定期間について生成することと、生成された擬似的第2計測データにおけるデータ損失割合情報を取得することと、データ損失割合情報に基づいて、所定期間における擬似的第2計測データの有効性を判定することと、を含む。
本発明の第9の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データを擬似的に所定期間について生成することと、生成された擬似的第2計測データにおけるデータ損失割合情報を取得することと、データ損失割合情報に基づいて、所定期間における擬似的第2計測データの有効性を判定することと、をコンピュータに実行させる。
本発明の第10の態様によると、情報処理装置は、ETC2.0に対応する方式に基づいて移動体の走行に関する情報を収集する路側機であって、既に設置されている既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得する既存路側機位置情報取得部と、前記路側機を新規に設置可能な少なくとも1つの施設の位置情報である第1設置候補施設位置情報を取得する第1設置候補施設位置情報取得部と、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式に基づいて収集された走行情報であって、少なくとも移動体の位置に関する情報を含む走行情報を取得する走行情報取得部と、ETC2.0に対応する方式に基づいて、前記既存路側機位置情報及び前記第1設置候補施設位置情報に対応する路側機によって前記走行情報を収集したと想定した場合の収集度合いに関する第1収集度合い情報を算出する算出部と、を備える。
本発明の第11の態様によると、情報処理方法は、ETC2.0に対応する方式に基づいて移動体の走行データを取得する路側機であって、既に設置されている既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得することと、前記路側機を新規に設置可能な少なくとも1つの施設の位置情報である第1設置候補施設位置情報を取得することと、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式に基づいて計測された走行情報であって、少なくとも移動体の位置に関する情報を含む走行情報を取得することと、前記既存路側機位置情報及び前記第1設置候補施設位置情報に基づいて、仮想的にETC2.0に対応する方式に基づいて計測を行った場合の前記走行情報の収集度合いに関する第1収集度合い情報を算出することと、を含む。
本発明の第12の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、ETC2.0に対応する方式に基づいて移動体の走行データを取得する路側機であって、既に設置されている既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得することと、前記路側機を新規に設置可能な少なくとも1つの施設の位置情報である第1設置候補施設位置情報を取得することと、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式に基づいて計測された走行情報であって、少なくとも移動体の位置に関する情報を含む走行情報を取得することと、前記既存路側機位置情報及び前記第1設置候補施設位置情報に基づいて、仮想的にETC2.0に対応する方式に基づく計測を行った場合の前記走行情報の収集度合いに関する第1収集度合い情報を算出することと、をコンピュータに実行させる。
本発明の第10の態様によると、情報処理装置は、移動体に備えられた第1の装置から、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式に基づいて移動体位置情報を取得する移動体位置情報取得部と、前記取得した移動体位置情報に基づいて、前記移動体位置情報の密度情報を取得する密度情報取得部と、前記取得した密度情報に基づいて、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する新規の路側機を設置するための位置を特定する特定部と、を備える。
本発明の第11の態様によると、情報処理装置は、少なくとも1つの既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得する路側機位置情報取得部と、前記路側機位置情報を出力する出力部と、前記出力に対応して行われるユーザ入力に基づいて、新規路側機を設置する設置するための位置を特定する特定部と、を備える。
本発明の第12の態様によると、情報処理装置は、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する少なくとも1つの既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得する既存路側機位置情報取得部と、前記既存路側機位置情報に基づいて、新規路側機を設置するための位置を特定する特定部と、を備える。
本発明の第13の態様によると、情報処理装置は、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する路側機を新規に設置可能である施設の位置情報である施設位置情報を取得する施設位置情報取得部と、前記施設位置情報に基づいて、前記新規路側機を設置するための位置を特定する特定部と、を備える。
本発明の第14の態様によると、情報処理方法は、移動体に備えられた第1の装置から、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式に基づいて移動体位置情報を取得することと、前記取得した移動体位置情報に基づいて、前記移動体位置情報の密度情報を取得することと、前記取得した密度情報に基づいて、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する新規の路側機を設置するための位置を特定することと、を含む。
本発明の第15の態様によると、情報処理方法は、少なくとも1つの既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得することと、前記路側機位置情報を出力することと、前記出力に対応して行われユーザ入力に基づいて、新規路側機を設置するための位置を特定することと、を含む。
本発明の第16の態様によると、情報処理方法は、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する少なくとも1つの既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得することと、前記既存路側機位置情報に基づいて、新規路側機を設置するための位置を特定することと、を含む。
本発明の第17の態様によると、情報処理方法は、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する路側機を新規に設置可能である施設の位置情報である施設位置情報を取得することと、前記施設位置情報に基づいて、前記新規路側機を設置するための位置を特定することと、を含む。
本発明の第18の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、移動体に備えられた第1の装置から、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式に基づいて移動体位置情報を取得することと、前記取得した移動体位置情報に基づいて、前記移動体位置情報の密度情報を取得することと、前記取得した密度情報に基づいて、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する新規の路側機を設置するための位置を特定することと、をコンピュータに実行させる。
本発明の第19の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、少なくとも1つの既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得することと、前記路側機位置情報を出力することと、前記出力に対応して行われユーザ入力に基づいて、新規路側機を設置するための位置を特定することと、をコンピュータに実行させる。
本発明の第20の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する少なくとも1つの既存路側機の位置情報である既存路側機位置情報を取得することと、前記既存路側機位置情報に基づいて、新規路側機を設置するための位置を特定することと、をコンピュータに実行させる。
本発明の第21の態様によると、コンピュータに実行させるためのプログラムは、ETC2.0に対応する方式に基づいて走行情報を取得する路側機を新規に設置可能である施設の位置情報である施設位置情報を取得することと、前記施設位置情報に基づいて、前記新規路側機を設置するための位置を特定することと、をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る原理の説明図。
図2】実施形態に係る原理の説明図。
図3】実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャート。
図4】第1実施例に係るサーバの機能構成の一例を示す図。
図5】第1実施例に係る原理の説明図。
図6】第1実施例に係る原理の説明図。
図7】第1実施例に係る原理の説明図。
図8】第1実施例に係る処理の流れの一例を示すフローチャート。
図9】第2実施例に係るサーバの記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
図10】第2実施例に係る処理の流れの一例を示すフローチャート。
図11】第2実施例に係るヒストグラムの一例を示す図。
図12】第2実施例に係るヒストグラムの一例を示す図。
図13】第3実施例に係るサーバの記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
図14】第3実施例に係る原理の説明図。
図15】第3実施例に係る原理の説明図。
図16】第3実施例に係る原理の説明図。
図17】第3実施例に係る処理の流れの一例を示すフローチャート
図18】第4実施例に係るサーバの記憶部に記憶される情報の一例を示す図
図19】第4実施例に係る原理の説明図。
図20】第4実施例に係る処理の流れの一例を示すフローチャート
図21】第4実施例に係る原理の説明図。
図22】第4実施例に係る原理の説明図。
図23】第4実施例に係る原理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態の一例について図面を参照して説明する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0008】
<実施形態>
以下、本発明を実現するための実施形態の一例について説明する。
【0009】
<原理>
1.1.データ推定の原理
図1は、本実施形態の一態様に係る情報処理装置が行う処理の流れを示す図である。
情報処理装置は、例えば、計測対象が第1装置によって計測されたデータ(以下、「第1装置計測データ」と称する。)に基づいて、その計測対象が第1装置とは異なる第2装置で計測される場合のデータを生成(推定)する第2装置計測データ推定部11を機能部として有する。なお、計測は、検出や測定としてもよい。以下同様とすることができる。また、第2装置計測データ推定部11によって生成されるデータのことを「推定第2装置計測データ」と称する。
【0010】
第1装置は、例えば、所定の時間間隔(以下、「所定時間間隔」と称する。)で計測対象を計測する装置としてもよい。この場合、第1装置計測データは、所定時間間隔ごとに第1装置によって計測対象が計測されたデータとなる。
【0011】
第2装置は、例えば、計測対象を計測するときのサンプリング単位(計測の単位と言ってもよい。)が第1装置とは異なる装置とすることができる。例えば、上記のように第1装置がサンプリング単位を時間として、例えば、所定時間間隔ごとに計測対象を計測する装置であれば、第2装置は、時間以外をサンプリング単位として計測対象を計測する装置とすることができる。
なお、以下説明する学習等の処理を行うにあたっては、教師データは第2装置による計測データを使うことが好ましいことはもちろんであるが、第1装置による計測データから生成したデータを用いることができることが本願発明の特徴である。なお、他データを対象データの処理に用いるアプローチ手法として、例えば転移学習が挙げられるが、転移学習は、あるタスク向けに学習したモデルを、類似したタスクを実行するモデルの開始点として使用する手法に過ぎず、他データから生成したデータをゼロベースで用いる本願発明とは根本的に異なる。
【0012】
例えば、計測対象を装置の位置(位置情報)とするのであれば、第1装置は、所定時間間隔で位置を計測する装置とすることができる。
また、この場合、第2装置を、例えばサンプリング単位を「距離」として位置を計測する装置とし、所定の距離間隔(以下、「所定距離間隔」と称する。)で位置を計測する装置とすることができる。
【0013】
この例において、所定時間間隔を「1秒間隔」とし、所定距離間隔を「100m」とするのであれば、第2装置計測データ推定部11は、例えば、第1装置計測データに含まれる1秒ごとの位置の計測データを、それらの位置情報に基づいて「100m」ごとに間引く(リサンプリングする)ことで、推定第2装置計測データを生成することができる。
【0014】
複数の第1装置計測データのセットを「第1装置計測データセット」とする場合、第2装置計測データ推定部11は、上記の処理を、第1装置計測データセットに含まれる各々の第1装置計測データに対して行うことで、各々の第1装置計測データに対応する推定第2装置計測データを生成することができる。このようにして生成される推定第2装置計測データのセットを「推定第2装置計測データセット」と称する場合がある。
【0015】
なお、第1装置と第2装置との少なくともいずれか一方を、複数のサンプリング単位に基づいて計測対象を計測する装置(例えば、距離と加速度:加速度の値が閾値以上(または閾値超)となったら距離を取得するなどする装置)としてもよい。
これ以外の装置としてもよい。
【0016】
1.2.推定計測データを用いた機械学習
図2は、本実施形態における推定計測データを用いた学習および推論の原理を説明するための図である。
【0017】
(1)学習時
図2(1)に示すように、情報処理装置は、例えば、前述した第2装置計測データ推定部11と、第1モデル処理部13と、第2モデル生成部15とを機能部として有する。
【0018】
第1モデル処理部13は、例えば、所定のモデル(既存のモデル)を第1モデルとし、ある計測データを第1モデルへの入力として、所定の諸量を算出(演算)する機能部とすることができる。なお、諸量は、算出対象と捉えてもよい。以下同様とすることができる。
本実施形態において、第1モデル処理部13は、前述した第1装置計測データを第1モデルへの入力として所定の諸量を算出する。
【0019】
第2モデル生成部15は、例えば、上記の第1モデルと同じ諸量を算出可能な第2モデルを生成する機能部とすることができる。
本実施形態において、第2モデル生成部15は、例えば、前述した第2装置計測データ推定部11によって生成された推定第2装置計測データと、第1モデル処理部13によって算出された諸量とを学習用データセットとする機械学習によって第2モデルを生成する。このようにして生成される第2モデルを「学習済み第2モデル」と称する。
なお、第2モデルは、機械学習モデルに限定されない。例えば、第2モデル生成部15を線形及び非線形回帰モデル等の数理統計モデルや、DNN(Deep Neural Network)等のコネクショニストモデルとしてもよい。
第1モデル処理部13によって算出された諸量は、既存の第1モデルを用いて算出される、いわば望ましいデータ(いわば正しいデータ)とも言えるため、ここでは「教師用諸量」(教師用データ)と称する。
【0020】
(2)推論時
図2(2)に示すように、情報処理装置は、例えば、学習済み第2モデル処理部17を機能部として有する。
【0021】
学習済み第2モデル処理部17は、例えば、第2装置によって計測対象が計測されたデータ(以下、「第2装置計測データ」と称する。)を学習済み第2モデルへの入力として、所定の諸量を算出する機能部とすることができる。
つまり、学習済み第2モデル処理部17は、第2装置によって実際に計測対象が計測されたデータを入力として、学習済み第2モデルを用いて所定の諸量を推論し、その推論結果(以下、「諸量推論結果」と称する。)を出力する。
【0022】
なお、上記の他にも、例えば、推定第2装置計測データを第1モデルへの入力データとし、過去より蓄積される第1装置計測データに対応する、過去に保有しているなんらかのデータ(例えば、諸量に影響を与え得る要素のデータ、諸量と関連性を有する要素のデータ)を教師用データとして用いて、機械学習等によって第2モデルを生成するようにしてもよい。
【0023】
<処理>
図3は、図2に示した処理の流れの一例を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置は、学習用データセット生成処理を行う。
学習用データセット生成処理では、情報処理装置は、各処理対象の第1装置計測データ(図2の例では、第1装置計測データセットに含まれる各々の第1装置計測データ)を対象として、ループAの処理を行う(A1~A7)。
処理対象の第1装置計測データは、例えば計測期間が同じであるデータ等としてもよい。
【0024】
ループAの処理では、第2装置計測データ推定部11が、当該第1装置計測データに基づいて、推定第2装置計測データを生成する(A3)。
また、第1モデル処理部13が、当該第1装置計測データと、第1モデルとに基づいて、教師用諸量を算出する(A5)。
そして、情報処理装置は、次の第1装置計測データに処理を移す。
【0025】
例えば、全ての処理対象の第1装置計測データについてA3,A5の処理を行ったならば、情報処理装置は、ループAの処理を終了する(A7)。
【0026】
その後、情報処理装置は、学習処理を行う(A9)。具体的には、第2モデル生成部15が、ループAの処理で生成された推定第2装置計測データと、ループAの処理で生成された教師用諸量とに基づいて、例えば、教師あり学習によって学習済み第2モデルを生成する。
【0027】
次いで、情報処理装置は、推論処理を行う(A11)。具体的には、学習済み第2モデル処理部17が、A9で生成された学習済み第2モデルと、各処理対象の第2装置計測データ(図2の例では、第2装置計測データセットに含まれる各々の第2装置計測データ)とに基づいて諸量を算出する。そして、その算出結果を諸量推論結果とする。
そして、情報処理装置は、処理を終了する。
【0028】
なお、A11のステップを省略し、モデルを生成するまでの処理としてもよい。
また、A3のステップのみとし、第1装置計測データに基づいて推定第2装置計測データを生成するまでの処理としてもよい。
【0029】
以上、原理について説明したが、計測対象は、例えば移動体に関する情報とすることができる。
【0030】
移動体には、例えば、以下のうちの少なくともいずれか1つを含めてよいものとする。
・四輪車
・二輪車
・パーソナルモビリティ
・船舶
・鉄道
・飛行体(ドローンおよび航空機の少なくとも1つ)
【0031】
また、移動体に関する情報には、例えば、以下のうちの少なくともいずれか1つを含めてよいものとする。
・移動体の位置情報
・移動体の速度情報
・移動体の加速度情報
・移動体の方位情報(向きの情報)
・移動体の角速度情報
・移動体の時間情報(時刻情報等)
なお、これらの情報のうちの少なくともいずれか1つを含む情報を、移動体の走行情報としてもよい。
【0032】
また、計測対象は、移動体に関する情報(走行情報等)に限定されず、これ以外の情報としてもよい。
例えば、計測対象を「音」とし、第1装置のサンプリング単位を「時間」とし、第2装置のサンプリング単位を「周波数」とするなどして、上記と同様の処理を行ってもよい。
また、例えば、生体に関する情報(血圧、脈拍、心拍数、呼吸数、体温、脳波等)を計測対象として、上記と同様の処理を行ってもよい。この場合も、例えば、第1装置のサンプリング単位を「時間」とし、第2装置のサンプリング単位を「周波数」とするなどして、上記と同様の処理を行ってもよい。
【0033】
<実施例>
次に、上記の情報処理装置の一例であるサーバの実施例について説明する。
以下では、移動体として四輪自動車等の車両を適用する場合の実施例について説明する。
なお、情報処理装置は、サーバに限らず、例えば、パソコン、スマートフォンを含む携帯電話機、PDA、各種のタブレット端末等の電子機器(端末と言ってもよい。)としてもよい。また、サーバを含むこれらの装置は、コンピュータ装置と言ってもよい。
ただし、本発明を適用可能な実施例が、以下説明する実施例に限定されるわけでない。
【0034】
<第1実施例>
昨今、ETC2.0が普及しつつある。例えば、このETC2.0をベースとしたサービス(ビジネス)としてテレマティクス保険の保険商品等を開発することが考えられる。
しかし、これには、ETC2.0に対応した装置(例えば、ETC2.0対応車載器やDSRC(Dedicated Short Range Communications)対応車載器)を搭載した車両を実際にドライバーに運転させ取得される計測データや、それに対応する事故データ等のデータが必要となり、時間的なコストや金銭的なコストが生ずる。
【0035】
この場合、例えば、ETC2.0に対応した装置とは異なる装置で計測済みのデータ(取得済みのデータ)から、ETC2.0に対応した装置で計測されるデータを推定(再現)することで、ETC2.0に対応した装置でのデータ収集を省略して、保険商品等の開発を行うことができると考えられる。
【0036】
テレマティクス保険の保険商品の開発にあたり、例えばドライバーの運転(運転品質)に関するスコア(以下、「運転スコア」(運転品質スコア)と称する。)のモデル(以下、「運転スコアモデル」(運転品質スコアモデル)と称する。)を生成することが考えられる。
一般的に考えるのであれば、運転スコアモデルは、例えば、少なくとも以下のいずれかの要素(単位時間ないしは単位距離あたり等に基準化した要素含む。)がスコア値に影響を与えるモデルとして構築することができる。
・急ハンドル回数(または急ハンドル頻度ないしは急ハンドル含むハンドル操作度合の分布)
・急減速回数(または急減速頻度ないしは急減速含む減速度合の分布)
・急加速回数(または急加速頻度ないしは急加速含む加速度合の分布)
・速度超過回数(または速度超過頻度ないしは速度超過含む速度の分布)
【0037】
例えば、これらの要素の回数が多いほど(または頻度ないしは急操作・速度超過度合が高いほど)、事故リスクが高く、運転スコアが大きくなる(または、逆に小さくなる)ような運転スコアモデルを構築することができる。
そして、この運転スコアの用途(活用方法)の1つとして、例えば、運転スコアをテレマティクス保険の保険料に反映させる(運転スコアに基づいて保険料を決める)などすることができる。
【0038】
本実施例では、上記の要素が必ずしも厳密に反映されているとは限らないが、少なくともドライバーの大まかな運転の傾向が反映された推定ETC2.0計測データを生成した上で、この生成した推定ETC2.0計測データに基づいて運転スコアモデルを生成する手法について説明する。
【0039】
なお、第1実施例に記載の内容は、他の各実施例や他の各変形例のいずれにも適用可能である。
【0040】
<機能構成>
図4は、本実施例におけるサーバ100の機能構成の一例を示す図である。
サーバ100は、例えば、処理部(制御部)110と、操作部120と、表示部130と、音出力部140と、通信部150と、時計部160と、記憶部190とを備え、これらがバスBによって接続されるコンピュータシステムとすることができる。
【0041】
処理部110は、例えば、記憶部190に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってサーバ100の各部を統括的に制御したり、各種の処理を行う処理装置や制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーやASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を有して構成される。
【0042】
操作部120は、操作ボタンや操作スイッチといった、ユーザがサーバ100に対する各種の操作入力を行うための入力装置を有して構成される。また、操作部120は、表示部130と一体的に構成されたタッチパネルを有してもよく、このタッチパネルは、ユーザとサーバ100との間の入力インターフェースとして機能してもよい。操作部120からは、ユーザ操作に従った操作信号が処理部に出力される。
【0043】
表示部130は、LCD等を有して構成される表示装置であり、処理部110から出力される表示信号に基づいた各種の表示を行う。表示部130は、タッチパネルと一体的に構成されてタッチスクリーンを形成してもよい。
【0044】
音出力部140は、スピーカ等を有して構成される音出力装置であり、処理部110から出力される音出力信号に基づいた各種の音出力を行う。
【0045】
通信部150は、装置内部で利用される情報を外部装置との間で送受するための通信装置である。通信部150の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
【0046】
時計部160は、サーバ100の内蔵時計であり、時刻情報(計時情報)を出力する。時計部160は、例えば、水晶発振器を利用したクロック等を有して構成される。
なお、時計部160は、、NITZ(Network Identity and Time Zone)規格等を適用したクロックを有して構成されてもよい。
【0047】
記憶部190は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。
【0048】
本実施例では、記憶部190には、例えば、運転スコアモデル処理プログラム191と、シガーソケット型デバイス計測データベース192と、ETC2.0計測データベース193と、推定ETC2.0計測データベース194と、第1運転スコアモデルデータ195と、学習済み第2運転スコアモデルデータ196とが記憶される。
【0049】
運転スコアモデル処理プログラム191は、処理部110によって読み出され、後述する運転スコアモデル処理として実行されるプログラムである。
【0050】
シガーソケット型デバイス計測データベース192は、例えば、車両に搭載されるシガーソケット型デバイスによって計測された走行情報を含むシガーソケット型デバイス計測データが蓄積記憶されたデータベースである。
シガーソケット型デバイスは第1装置の一種であり、シガーソケット型デバイス計測データは第1計測データ(第1装置計測データ)の一種とすることができる。
【0051】
なお、処理部110が、第1装置計測データとして、車両(移動体)に関する情報の他、例えば以下の少なくともいずれかの情報(属性情報)を加えて処理を行うようにしてもよい。
・車両の情報(車種、年式、型式等)
・ドライバーの情報(性別、年齢、住所、用途等)
【0052】
シガーソケット型デバイスは、車両のアクセサリーソケットに挿して利用することが可能なデバイスであり、例えば、内蔵された各種のセンサ・慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))等に基づいて、車両の走行情報(移動体に関する情報)を計測するようにすることができる。
【0053】
なお、第1装置はシガーソケット型デバイスに限定されない。移動体に関する情報を取得可能な、移動体に直接的又は間接的に備えられる任意の装置であればよく、例えば、第1装置を以下のうちの少なくともいずれか1つの装置としてもよい。
・ドライブレコーダー
・デジタルタコグラフ(デジタコ)
・車両に搭載または内蔵されるなんらかの車載器(コネクテッドカーを含めてよい。)
・スマートフォン等の端末と連携してデータを収集する通信機能(例えば、ブルートゥース(登録商標)通信機能)付きの車載器およびその端末
・スマートフォン等の端末を含むデバイス単体
・これらを含む車両内蔵型および後付け型車載器ないしはスマートフォン等の端末を含むデバイス
【0054】
走行情報には、例えば、位置、速度、加速度、角速度等の情報を含めることができ、これらの情報を計測可能なセンサ等であれば、シガーソケット型デバイスに設けることができる。これらの情報のうちの少なくともいずれか1つの情報を計測可能に構成されていてもよい。
【0055】
シガーソケット型デバイスによって計測された走行情報は、例えば、随時または定期的なタイミングで、サーバ100やクラウドサーバに送信されるようにすることができる。
【0056】
また、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムによって位置や速度を検出するユニット(センサ)である衛星測位ユニット(衛星測位センサ)や、UWB(Ultra Wide Band)を利用して位置を算出するためのユニット(センサ)であるUWB測位ユニット(UWB測位センサ)等を、シガーソケット型デバイスに設けることとしてもよい。
【0057】
衛星測位ユニットは、例えば、不図示のアンテナで受信される測位用衛星から発信されている測位用衛星信号を含むRF(Radio Frequency)信号をデジタル信号に変換するRF受信回路や、RF受信回路から出力されるデジタル信号に対して相関演算処理等を行って測位用衛星信号を捕捉し、測位用衛星信号から取り出した衛星軌道データや時刻データ等の情報を測位用情報として出力するベースバンド処理回路等を有するようにすることができる。なお、ドップラー測位等によって、位置に限らず速度等の情報も検出するようにしてもよい。
【0058】
慣性計測ユニット(IMU)は、例えば、慣性航法演算によって走行情報を算出するために必要な情報を検出する慣性センサを有するようにすることができる。慣性センサには、例えば、3軸の加速度センサや3軸のジャイロセンサが含まれてよく、加速度センサによって検出された加速度やジャイロセンサによって検出された角速度を出力するようにすることができる。
【0059】
UWB測位ユニットは、例えば、不図示のアンテナで受信される測位用ビーコンから発信されている測位用超広帯域パルス信号を含む超広帯域RF信号をデジタル信号に変換する超広帯域RF受信回路や、超広帯域RF受信回路から出力されるデジタル信号に基づいて自装置と測位用ビーコンとの相対位置を算出する相対位置算出処理回路等を有するようにすることができる。
なお、UWB測位ユニットが、不図示のアンテナから測位用超広帯域パルス信号を含む超広帯域RF信号を送信するようにすることで、自装置を測位用ビーコンとして機能させてもよいし、そうしなくてもよい。
【0060】
シガーソケット型デバイス計測データベース192には、例えば、計測期間ごとに、複数のドライバーの計測データを記憶させるようにすることができる。つまり、計測期間と関連付けて、複数のドライバーの計測データを記憶させるようにすることができる。
計測期間は、例えば、月単位の期間(1か月、2か月、・・・、6か月等)としてもよいし、それ以外の単位の期間としてもよい。また、例えば、道路種別ごとや地域ごとなどに分類して計測データを記憶させるようにしてもよい。
【0061】
ETC2.0計測データベース193は、例えば、車両に搭載されるETC2.0車載器(ETC2.0対応車載器、DSRC対応車載器)やこれと連動可能なETC2.0対応カーナビゲーション装置によって計測された走行情報を含むETC2.0計測データが蓄積記憶されたデータベースである。
ETC2.0車載器は第1装置の一種であり、ETC2.0計測データは第2計測データ(第2装置計測データ)の一種とすることができる。
【0062】
ETC2.0計測データは、ETC2.0車載器に記録されたプローブ情報が、道路に設置(配備)されるITSスポットや経路情報収集装置等の装置(以下、包括的に「路側機」と称する。)によって収集されることに基づいて、サーバ100で取得されるようにすることができる。
【0063】
路側機は、全国の高速道路や直轄国道に、例えば数千箇所ほど設置されている。
路側機とETC2.0車載器とは、例えば双方向通信可能に構成され、路側機でETC車載器からプローブ情報が収集される他、道路状況に応じたルートガイダンスの情報や前方の障害箇所等の情報、事故多発地点の情報等、安全運転を支援する情報が、路側機からETC2.0車載器に提供されるようにすることができる。
【0064】
ETC2.0車載器も、例えば前述した各種のセンサやユニット等を有し、各種の走行情報を計測して記録するようにすることができる。
そして、ETC2.0車載器が搭載された車両が路側機の近傍を通過する際に、プローブ情報が路側機を介してサーバ100やプローブサーバに送信されるようにすることができる。
なお、ETC2.0対応カーナビゲーション装置等に各種のセンサやユニット等を設け、ETC2.0対応カーナビゲーション装置から出力(送信)される情報に基づいて、ETC2.0車載器に各種の走行情報が記録されるようにしてもよい。
【0065】
ここで、プローブ情報には、例えば以下の情報を含めることができる。
・基本情報
・走行履歴情報
・挙動履歴情報
【0066】
基本情報には、例えば、ETC2.0車載器に関する情報、ETC2.0対応カーナビゲーション装置に関する情報、車両に関する情報等の情報を含めることができる。
【0067】
走行履歴情報には、例えば、時刻情報、位置情報、速度情報等を含めることができる。
この走行履歴情報は、例えば、車両が「200m」走行したことが検知されるごとに記録(蓄積)されるようにすることができる。この他にも、例えば、車両の進行方位が「45度」以上変化した場合に記録されるようにしてもよい。
なお、「200m」という値はETC2.0の仕様に基づく値であるが、これに限定されるわけではなく、例えば「100m」等としてもよい。「45度」についても同様に、例えば「22.5度」等としてもよい。このETC2.0の仕様に基づく「200m」等の距離を、便宜的に「単位距離」と称する。
なお、後述するが、道路種別や速度帯によって単位距離を変えるなどすることも考えられる。
【0068】
挙動履歴情報には、例えば、時刻情報、位置情報、方位情報、加速度情報(前後加速度、左右加速度等の情報)、角速度情報(例えば、ヨー角速度情報)等の情報を含めることができる。
この挙動履歴情報は、例えば、前後加速度、左右加速度、ヨー角速度のいずれかが閾値(例えば、前後加速度の閾値「-0.25G」、左右加速度の閾値「±0.25G」、ヨー角速度の閾値「±8.5deg/sec」など。これらの閾値は一例である。)を超えたときのピーク値が記録(蓄積)されるようにすることができる。例えば、「0.25G」以上の前後加速度は急激な挙動を示し、危機回避等の行動が行われたことを示している可能性がある。
【0069】
なお、走行履歴情報や挙動履歴情報に、道路種別情報(高速道路、都市高速道路、一般道、その他等の情報、速度帯の情報等)を含めてもよい。
【0070】
また、上記の情報のうち、例えば、走行履歴情報と挙動履歴情報とのうちの少なくともいずれか一方の情報を走行情報としてもよい。
【0071】
また、ETC2.0では、個人情報保護の観点から、例えば、走行開始地点(例えば、走行開始始点から500mの範囲内)と、走行終了地点(例えば、走行終了地点から500mの範囲内)の走行情報(例えば、少なくとも走行履歴情報)は取得されないようにすることができる。
なお、取得されないとは、ETC2.0車載器に記録されないこととしてもよいし、路側機に送信されないこととしてもよい。
【0072】
推定ETC2.0計測データベース194は、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて生成される推定ETC2.0計測データが蓄積的に記憶されるデータベースである。
推定ETC2.0計測データは、推定データ(推定第2装置計測データ)の一種とすることができる。
【0073】
第1運転スコアモデルデータ195は、車両の保険料等を決定するために用いられる運転スコアのベースとなる第1運転スコアモデルのデータである。
【0074】
学習済み第2運転スコアモデルデータ196は、推定ETC2.0計測データ等を用いた学習によって生成される運転スコアのモデルのデータである。
【0075】
ここで、運転スコアモデルは、例えばテレマティクス保険の運転スコアを算出するための数学的なモデルとすることができる。
テレマティクス保険は、例えば、車両(自動車等)に設置した装置で計測した走行情報や運転速度・ブレーキのかけ方などの運転情報を保険会社が取得し、その情報から運転者の事故リスクを分析して保険料を算定するものとすることができる。
【0076】
運転スコアモデルは、例えばドライバーの事故の危険性(事故リスク)を推定可能なモデルとし、例えば「0~1」、「0~10」、「0~100」といった数値範囲の値として運転スコアが算出されるモデルとすることができる。例えば、運転スコアが大きいほど事故リスクが高いと推定される(運転スコアが小さいほど事故リスクが低いと推定される)モデルとすることができる。この場合、保険会社は、運転スコアが大きいほど保険料を高くし、運転スコアが小さいほど保険料を低くするようにすることができる。
なお、逆に、運転スコアが大きいほど、事故リスクが低いと推定されるモデルとしてもよい。
【0077】
また、運転スコアモデルへの入力は走行情報の計測データとすることができ、走行情報の計測データに基づいて、運転スコアが算出されるようにすることができる。
本実施例では、例えば、既存の第1運転スコアモデルをベースとし、以下説明する手法によって学習済み第2運転スコアモデルを生成する。
そして、ドライバーの実際のETC2.0計測データを学習済み第2運転スコアモデルに入力することによって、そのドライバーの運転スコアを算出可能とする。
【0078】
なお、クラウドサーバをサーバ100としてもよい。
また、サーバ100をクラウドサーバと別体とする場合、サーバ100がクラウドサーバからシガーソケット型デバイス計測データを取得するようにしてもよい。
以下説明する処理を行うサーバは、サーバ100の記憶部190に記憶されているデータと同様のデータを取得するなどして記憶するようにすればよい。
【0079】
同様に、プローブサーバをサーバ100としてもよい。
また、サーバ100をプローブサーバとは別体とする場合、サーバ100がプローブサーバからETC2.0計測データを取得するようにしてもよい。
以下説明する処理を行うサーバは、サーバ100の記憶部190に記憶されているデータと同様のデータを取得するなどして記憶するようにすればよい。
【0080】
<原理>
図5は、本実施例における推定ETC2.0計測データを用いた学習および推論の原理を説明するための図であり、図2に対応するものである。
【0081】
(1)学習時
図5(1)に示すように、サーバ100の処理部110は、例えば、ETC2.0計測データ推定部111と、第1運転スコアモデル処理部113と、第2運転スコアモデル生成部115とを機能部として有する。
ETC2.0計測データ推定部111は、図2(1)の第2装置計測データ推定部11の一種とすることができる。
第1運転スコアモデル処理部113は、図2(1)の第1モデル処理部13の一種とすることができる。
第2運転スコアモデル生成部115は、図2(1)の第2モデル生成部15の一種とすることができる。
【0082】
図6図7は、推定ETC2.0計測データを生成する手法の一例を示す図である。
図6では、図面向かって左側に、1秒ごとにシガーソケット型デバイスによって計測された車両の計測位置(以下、「シガーソケット型デバイス計測位置」と称する。)の時間変化を示している。なお、ある1つのシガーソケット型デバイス計測データに含まれる計測位置の時間変化を示すものである。
また、図面向かって右側に、シガーソケット型デバイス計測位置から選択されて推定ETC2.0計測データのデータ要素となる推定ETC2.0計測位置の時間変化を示している。ハッチングを施した矩形の1つ1つが推定ETC2.0計測位置である。
ここでは一例として、走行情報に含まれる位置情報に基づいて、推定ETC2.0計測データを生成する手法を例示する。
【0083】
また、このシガーソケット型デバイス計測データを「D1」とし、シガーソケット型デバイス計測データ「D1」に含まれるシガーソケット型デバイス計測位置を「D1(p(t))」(t:時刻)と表す。
また、推定ETC2.0計測データを「D2」とし、この推定ETC2.0計測データに含まれる推定ETC2.0計測位置を「D2(p(t))」(t:時刻)と表す。
【0084】
ここでは一例として、高度方向(高さ方向)を除いた二次元の位置情報として計測位置を表したもの(計測位置を俯瞰したもの)を示している。なお、三次元の位置情報とする場合も同様とすることができる。
また、図示している計測位置はあくまで説明の便宜上のものに過ぎず、必ずしも正確なものではない。
【0085】
処理部110は、前述したETC2.0の個人情報保護の観点から、例えば、シガーソケット型デバイス計測位置のうち、走行開始地点から「500m」の範囲内の走行情報と、走行終了地点から「500m」の範囲内の走行情報とを処理対象から除外する。または、これらの範囲内の走行情報が計測データに含まれる場合は削除する。
【0086】
次いで、処理部110は、例えば、走行開始地点から500mの範囲外の1番目のシガーソケット型デバイス計測位置D1(p(1))を選択し、これを1番目の推定ETC2.0計測位置D2(p(1))とする。また、例えば、その時刻に対応する、シガーソケット型デバイス計測データの速度、加速度、角速度等の情報を取得する。
【0087】
次に、処理部110は、シガーソケット型デバイス計測位置P11を中心とする、単位距離に基づく半径200mの円(以下、便宜的に「単位円」と称する。)から時間軸上で最初に外れたシガーソケット型デバイス計測位置D1(p(q))を選択し、これを2番目の推定ETC2.0計測位置D2(p(2))とする。また、例えば、その時刻に対応する、シガーソケット型デバイス計測データの速度、加速度、角速度等の情報を取得する。
【0088】
以下、処理部110はこれを繰り返し、シガーソケット型デバイス計測位置[D1(p(1)),D1(p(q)),D1(p(r)),D1(p(s)),・・・]が選択されることによって、推定ETC2.0計測位置[D2(p(1)),D2(p(2)),D2(p(3)),D2(p(4)),・・・]が得られる。速度、加速度、角速度等の情報も同様に取得することができる。
そして、これらの走行情報を時刻と関連付けたデータを、推定ETC2.0計測データとすることができる。
【0089】
このように、基本的には、ETC2.0の仕様に基づき、単位距離に基づいてシガーソケット型デバイス計測データから推定ETC2.0計測データとする走行情報を取得するようにすることができる。
【0090】
なお、ここでは、処理部110が、単位距離を「200m」として処理を行う例を示したが、ETC2.0の仕様に応じて、単位距離を前述した「100m」等として処理を行うようにしてもよい。
【0091】
また、処理部110が、道路種別や速度帯によって単位距離を変えて処理を行うようにしてもよい。例えば、道路種別が「高速道路」であれば、高速走行ではあるものの比較的安定した運転が行われる可能性があるため、道路種別「一般道」よりも単位距離を長くしてもよい。逆に、高速走行のリスクを考慮し、道路種別「一般道」よりも単位距離を短くしてもよい。
速度帯についても同様に、高速度帯であるほど単位距離をより長くする(または短くする)ようにしてもよい。
道路種別や速度帯は、例えば道路種別情報から特定可能とすることができる。
【0092】
また、ここでは、距離(単位距離)に基づいてシガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報を選択することによって推定ETC2.0計測データを生成することとしたが、これに限定されない。
これに代えて、またはこれに加えて、時間に基づいてシガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報を選択することによって推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。具体的には、例えば、シガーソケット型デバイス計測データに含まれる速度情報に基づいて単位距離を走行するのに要する時間を算出し、算出した時間に基づいて、対応する時刻の走行情報を選択していくことによって、推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。
また、車両が一定の速度(例えば、60km/h)で走行すると仮定し、単位距離を走行するのに要する時間を算出することによって、同様に推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。
【0093】
ここで、ETC2.0では、前述したように、例えば車両の進行方位が「45度」以上変化した場合に、走行情報が記録されるなどの仕様がある。そこで、以下例示する少なくともいずれか1つの条件を追加適用して、走行情報を取得するようにしてもよい。
ただし、これらの条件を適用することは必ずしも必須ではない。
【0094】
図7(1)には、条件Aとして、車両の進行方向(進行方位)の変化に関する条件を示している。
この例では、シガーソケット型デバイス計測位置D1(p(u))が、過去直近のシガーソケット型デバイス計測位置や過去直近の複数のシガーソケット型デバイス計測位置を平均した位置に対して閾値角度以上(または閾値角度超)変化している場合、シガーソケット型デバイス計測位置D1(p(u))を推定ETC2.0計測位置として選択することを示している。これは、車両の進行方位が大きく変化した場合等に相当する。閾値角度は、「45度」等の値を設定することができる。
すなわち、進行方向に関して閾値角度以上または閾値角度超の変化があった位置の近傍にある計測位置を適宜選択することとしてもよい。
【0095】
なお、ここでは、処理部110が、閾値角度を「45度」として処理を行う例を示したが、ETC2.0の仕様に応じて、閾値角度を前述した「22.5度」等として処理を行うようにしてもよい。
【0096】
図7(2)には、条件Bとして、車両の進行距離に基づく条件を示している。
この例では、単位円から最初に外れたシガーソケット型デバイス計測位置D1(p(n))が、1つ前に推定ETC2.0計測位置として選択されたシガーソケット型デバイス計測位置D1(p(m))から閾値距離以上(または閾値距離超)離れている場合、シガーソケット型デバイス計測位置D1(p(n))は選択しないことを示している。閾値距離は、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて算出される車両の速度や、あらかじめ定められた車両の速度(例えば、60km/h)に基づいて、1つ前に選択したポイントから車両が進む距離として想定しづらい値を設定するようにすることができる。
【0097】
つまり、距離的なマージンを設け、距離的なマージンに収まっていれば走行情報を選択するが、距離的なマージンに収まっていなければ走行情報を選択しないようにすることができる。
【0098】
なお、この場合、例えば、計測位置D1(p(n))の1つ前の計測位置D1(p(n-1))を推定ETC2.0計測位置として選択するようにしてもよい。
また、例えば、計測位置D1(p(n))の次の計測位置D1(p(n+1))を推定ETC2.0計測位置として選択するようにしてもよい。
すなわち、単位円の端部の近傍にある計測位置を適宜選択することとしてもよい。また、選択の基準となる範囲は単位円に限られず、基準データの位置に基づく任意の範囲(例えば、楕円、矩形等)としてよい。
【0099】
また、例えば、計測位置D1(p(n))と計測位置D1(p(m))とを平均(算術平均としてもよいし加重平均としてもよい。)を算出し、算出した位置を推定ETC2.0計測位置とするなどしてもよい。また、平均を算出することに限られず、例えば、任意の割合(例えば2:1等)で計測位置D1(p(n))と計測位置D1(p(m))との間を分割した位置を推定ETC2.0計測位置としてもよいし、計測位置D1(p(n))と計測位置D1(p(m))を用いてその間の値を取得するものであれば、その内容は特に限定されない。
【0100】
また、図7(2)の条件に関して、距離的なマージンではなく、時間的なマージンを設けて、同様の処理を行うようにしてもよい。
【0101】
また、ETC2.0の仕様では、前述したように、前後加速度、左右加速度、ヨー角速度のいずれかが閾値を超えたときにピーク値を記録される。これを再現する条件を設定し、シガーソケット型デバイス計測データに含まれる加速度情報や角速度情報に基づいて、走行情報を選択するようにしてもよい。
【0102】
また、上記では、位置情報に基づいて推定ETC2.0計測データを生成する手法を例示したが、これに代えて、またはこれに加えて、例えば速度情報と時刻情報とに基づいて推定ETC2.0計測データを同様に生成するようにしてもよい。
【0103】
数学的に、上記のようにして生成される推定ETC2.0計測データは、シガーソケット型デバイス計測データに包含される関係にあると言える。
このようにして生成される推定ETC2.0計測データを用いて運転スコアモデルを生成することで、妥当性の高い運転スコアモデルを生成することができる。
【0104】
図5に戻り、第1運転スコアモデル処理部113は、例えば、シガーソケット型デバイス計測データを第1運転スコアモデルへの入力として運転スコアを算出する。
【0105】
第2運転スコアモデル生成部115は、例えば、ETC2.0計測データ推定部111によって推定された推定ETC2.0計測データと、第1運転スコアモデル処理部113によって算出された運転スコア(教師用運転スコア)とを学習用データセットとして、例えば第1運転スコアモデルに対する学習(例えば、教師あり学習)を行うことによって、第2運転スコアモデルを生成する。学習が完了したものが学習済み第2運転スコアモデルとなる。
【0106】
(2)推論時
図5(2)に示すように、サーバ100の処理部110は、例えば、学習済み第2運転スコアモデル処理部117を機能部として有する。
学習済み第2運転スコアモデル処理部117は、図2(2)の学習済み第2モデル処理部17の一種とすることができる。
【0107】
学習済み第2運転スコアモデル処理部117は、例えば、ECT2.0計測データベース194に記憶されたETC2.0計測データを学習済み第2運転スコアモデルへの入力として、運転スコアを算出する。
つまり、学習済み第2運転スコアモデル処理部117は、車両に実際に搭載されたETC2.0車載器によって計測されたETC2.0計測データを入力として、学習済み第2運転スコアモデルを用いて運転スコアを推論し、その推論結果である運転スコア推論結果を出力する。
【0108】
第1運転スコアモデルは、例えば、既存の運転スコアモデルとすることができる。
ここで、第1運転スコアモデル処理部113に入力されるシガーソケット型デバイス計測データは、例えば、車両の位置、加速度(時間積分すると速度)、角速度(時間積分すると向き)といった走行情報が計測された情報が含まれる。このため、シガーソケット型デバイス計測データにはドライバーの運転の状況が反映されており、第1運転スコアモデル処理部113によって算出される運転スコアは、ドライバーの運転の状況を反映した値となる可能性がある。これを教師用データとして学習に用いることができる。
【0109】
なお、実施形態の原理で説明したように、この他にも、例えば、推定ETC2.0計測データを第1運転スコアモデルへの入力データとし、過去より蓄積される、シガーソケット型デバイスを含む各種の第1装置によって計測された第1装置計測データに対応する、過去に保有しているなんらかのデータを教師用データとして用いて、機械学習等によって第2運転スコアモデルを生成するようにしてもよい。
この場合における教師用データは、あくまで一例であるが、車両の事故に関するデータ(事故の有無、事故の回数(頻度、割合)等のデータ)としてもよい。
【0110】
<処理>
図8は、本実施例においてサーバ100の処理部110が実行する運転スコアモデル処理の流れの一例を示すフローチャートである。
最初に、サーバ100の処理部110は、学習用データセット生成処理を行う。
学習用データセット生成処理では、処理部110は、各処理対象のシガーソケット型デバイス計測データを対象として、ループBの処理を行う(S1~S7)。
処理対象のシガーソケット型デバイス計測データは、例えば、シガーソケット型デバイス計測データベース192に記憶されているシガーソケット型デバイス計測データのうち、同様の条件下(例えば、同じ計測期間、同じ道路種別、同じ地域で計測されたものなど)とすることができる。ただし、これに限定されるものではない。
【0111】
ループBの処理では、処理部110は、当該シガーソケット型デバイス計測データに基づいて、推定ETC2.0計測データを生成する(S3)。そして、処理部110は、生成した推定ETC2.0計測データを、当該シガーソケット型デバイス計測データと関連付けて(例えば、当該シガーソケット型デバイス計測データの識別情報(データ番号等)と関連付けて)、推定ETC2.0計測データベース194に記憶させる。
また、処理部110は、当該シガーソケット型デバイス計測データと、第1運転スコアモデルとに基づいて、教師用運転スコアを算出する(S5)。そして、処理部110は、算出した教師用運転スコアを、当該シガーソケット型デバイス計測データと関連付けて、記憶部190に記憶させる。
そして、処理部110は、次のシガーソケット型デバイス計測データに処理を移す。
【0112】
全ての処理対象のシガーソケット型デバイス計測データについてS3,S5の処理を行ったならば、処理部110は、ループBの処理を終了する(S7)。
【0113】
その後、処理部110は、学習処理を行う(S9)。具体的には、推定ETC2.0計測データベース194に記憶されている各々の推定ETC2.0計測データと、その各々に対応する教師用運転スコア(シガーソケット型デバイス計測データの識別情報が同じもの)とに基づいてモデルを学習させ、学習済み第2運転スコアモデルを生成する。
【0114】
次いで、処理部110は、推論処理を行う(S11)。具体的には、S9で生成された学習済み第2運転スコアモデルと、各処理対象のETC2.0計測データ(例えば、ETC2.0計測データに記憶されている各々のETC2.0計測データ)とに基づいて第2運転スコアを算出する。そして、その算出結果を諸量推論結果とする。
そして、処理部110は、処理を終了する。
【0115】
なお、S11のステップを省略し、第2運転スコアモデルを生成するまでの処理としてもよい。
また、S3のステップのみとし、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて、推定ETC2.0計測データを生成するまでの処理としてもよい。
【0116】
また、処理部110が、算出した第2運転スコアの値(推論結果)を表示部130に表示させるようにしてもよい。
また、処理部110が、算出した第2運転スコアの値そのものを表示部130に表示させるのに代えて、またはこれに加えて、算出した第2運転スコアの値に基づいて分類した、ドライバーのランク等の情報(順序関係のある情報)を表示部130に表示させるようにしてもよい。具体的には、例えば、以下のようなランクの情報を表示部130に表示させるようにしてもよい。
・ランクが高い順に「星5つ、星4つ、星3つ、星2つ、星1つ」
・ランクが高い順に「◎、〇、△、×」
・ランクが高い順に「A(A評価)、B(B評価)、C(C評価)」
・ランクが高い順に「ゴールド、シルバー、ブロンズ」
【0117】
また、例えば、サーバ100からこれらの情報を取得した保険会社が、算定した保険料を顧客に提示する際に、その顧客の第2運転スコアの値やランクの情報を併せて提示するようにしてもよい。
【0118】
また、処理部110が、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて、ドライバーの加速減速、左右のハンドリング操作等によって、どの向きにどれぐらいのGが掛かっているかなどを推定したり、それをグラフィック化して表示部130に表示させるなどしてもよい。
【0119】
<第1実施例の効果>
本実施例では、上記のように、例えば単位距離や単位時間に基づいてシガーソケット型デバイス計測データから走行情報を選択することによって、推定ETC2.0計測データを生成した。
この場合、前述した急減速や急加速等の情報が推定ETC2.0計測データに正確に反映される(いわゆるヒヤリハット等が反映される)とは限らないとも考えられる。
しかし、本願発明者は、上記のようにして生成した推定ETC2.0計測データを用いれば、ドライバーの大まかな運転の傾向(安全運転の傾向がある、危険運転の傾向があるなど)が反映された推定ETC2.0計測データを得ることができ、その結果、妥当性の高い運転スコアモデルを生成可能である知見を得た。
【0120】
本実施例は、サーバ100(情報処理装置の一例)は、シガーソケット型デバイス等の装置(第1装置の一例)によって計測された走行情報を含むシガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)に基づいて、ETC2.0車載器等の装置(第1装置とは異なる第2装置の一例)によって計測されるETC2.0計測データ(第2計測データの一例)の推定データである推定ETC2.0計測データを生成する処理部110を備える。
これにより、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することができる。
【0121】
また、この場合、シガーソケット型デバイス等の装置(第1装置の一例)と、ETC2.0車載器(第2装置の一例)とで、データを計測するときのサンプリング単位が異なるようにしてもよい。
これにより、サンプリング単位が異なる2つの装置のうちの第1装置によって移動体に関する情報が計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することが可能となる。
【0122】
また、この場合、シガーソケット型デバイス等の装置(第1装置の一例)のサンプリング単位は時間であり、ETC2.0車載器(第2装置の一例)のサンプリング単位は距離であるようにしてもよい。
これにより、サンプリング単位が時間である第1装置によって移動体に関する情報が計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測するサンプリング単位が距離である第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することが可能となる。
【0123】
また、この場合、シガーソケット型デバイス等の装置(第1装置の一例)は所定時間間隔で計測し、ETC2.0車載器(第2装置の一例)は所定距離間隔で計測するようにしてもよい。
これにより、移動体に関する情報を所定時間間隔で計測をする第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を所定距離間隔で計測する第2装置によって計測される第2計測データの推定データを生成することができる。
【0124】
また、シガーソケット型デバイス等の装置(第1装置の一例)は所定時間間隔で計測し、ETC2.0車載器(第2装置の一例)は所定距離間隔で計測し、サーバ100の処理部110は、シガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)と、ETC2.0車載器が計測する所定距離間隔と、所定条件とに基づいて、推定ETC2.0計測データ(推定データの一例)を生成するようにしてもよい。
これにより、第1計測データと、所定距離間隔と、所定条件とに基づいて、推定データを適切に生成することが可能となる。
【0125】
また、この場合、所定条件は、少なくとも、シガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)に含まれる位置に基づく移動体の方向の変化に関する条件を含むようにしてもよい。
これにより、第1計測データに含まれる位置に基づく移動体の方向の変化が考慮(反映)された推定データを生成することが可能となる。
【0126】
また、サーバ100の処理部110、推定ETC2.0計測データ(推定データの一例)に基づいて、諸量を算出するためのモデルを生成するようにしてもよい。
これにより、推定データに基づいて、諸量を算出するためのモデルを適切に生成することができる。
【0127】
また、この場合、サーバ100の処理部110は、少なくとも推定ETC2.0計測データ(推定データの一例)を学習用データとする機械学習によって、運転スコアモデル等のモデルを生成するようにしてもよい。
これにより、推定データに基づいて、諸量を適切に算出可能なモデルを生成することができる。
【0128】
また、この場合、サーバ100の処理部110は、ETC2.0計測データと、生成された運転スコアモデル等のモデルとに基づいて、運転スコア等の諸量を算出するようにしてもよい。
これにより、第2計測データと、生成されたモデルとに基づいて、諸量を適切に算出することができる。
【0129】
また、この場合、シガーソケット型デバイス(第1装置の一例)とETC2.0車載器(第2装置の一例)とは走行情報を計測し、諸量は、走行情報が計測される移動体の保険に関する運転スコアであり、モデルは、ETC2.0計測データに基づいて運転スコアを算出するための第2運転スコアモデルであるようにしてもよい。
これにより、第2計測データに基づいて運転スコアを算出するためのモデルを生成することができる。
【0130】
また、この場合、サーバ100の処理部110は、推定ETC2.0計測データ(推定データの一例)と、シガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)に基づく運転スコア(第1計測データに基づく情報の一例)とを学習用データとする機械学習によって、第2運転スコアモデルを生成するようにしてもよい。
これにより、第2計測データに基づいて運転スコアを算出するための妥当性の高いモデルを生成することが可能となる。
【0131】
<変形例(1)>
上記の実施例において、第1装置と第2装置とを逆にして同様の処理を行うようにしてもよい。
【0132】
具体的には、例えば、
・第1装置:ETC2.0車載器
・第2装置:シガーソケット型デバイス
とし、ETC2.0計測データに基づいて、シガーソケット型デバイス計測データを推定するようにしてもよい。
【0133】
つまり、上記の実施例を含め、第1装置と第2装置との一方のサンプリング単位は時間であり、他方のサンプリング単位は距離としてもよい。また、第1装置と第2装置との一方は所定時間間隔で計測し、他方は所定距離間隔で計測してよい。
【0134】
<変形例(2)>
上記の実施例では、時系列の離散的なシガーソケット型デバイス計測データの走行情報に基づいて推定ETC2.0計測データを生成することとしたが、これに限定されない。
シガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報を近似した連続的な関数を算出し、算出した関数に基づいて、推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。
【0135】
例えば、シガーソケット型デバイス計測データに含まれる時系列の二次元の位置情報に基づいて、時間「t」をパラメータとする二次元の位置(X,Y)の関数「(X,Y)=f(t)」を求める。
そして、例えば、シガーソケット型デバイス計測データに含まれる速度情報から単位距離を走行するのに要する時間を算出し、算出した時間に基づいて、対応する時刻「t」の位置情報を関数「(X,Y)=f(t)」から算出することによって、推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。
なお、三次元の位置情報とする場合も同様とすることができる。
【0136】
なお、車両が一定の速度(例えば、60km/h)で走行すると仮定し、単位距離を走行するのに要する時間を算出することによって、同様に関数「(X,Y)=f(t)」を用いて推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。
【0137】
<変形例(3)>
上記の実施例において、第2運転スコアモデル生成部115が、少なくとも、推定ETC2.0計測データと、ETC2.0計測データとを学習用データとする学習によって、運転スコアモデルを生成するようにしてもよい。
【0138】
具体的には、例えば、教師用運転スコアと、ETC2.0計測データとを教師用データとし、これらに加えて推定ETC2.0計測データを学習用データセットする教師あり学習を行うことによって、運転スコアモデルを生成するようにしてもよい。
【0139】
本変形例では、サーバ100の処理部110は、少なくとも、推定ETC2.0計測データ(例えば、推定データの一例)と、ETC2.0計測データ(例えば、第2計測データの一例)とを学習用データとする機械学習によって、モデルを生成する。
これにより、より高精度なモデルを生成することが可能となる。
【0140】
<変形例(4)>
上記の実施例で説明したETC2.0計測データの推定の妥当性の検証を行うようにしてもよい。
具体的には、例えば、同様の条件下で、ETC2.0車載器を搭載した車両をドライバーに運転させ取得したETC2.0計測データと、上記の実施例のようにして生成した推定ETC2.0計測データとを取得する。そして、サーバ100の処理部110は、これらの計測データの相関を示す値(相関値)を算出し、例えば相関値が所定の閾値以上(または閾値超)であると判定した場合(両者に相関があると判定した場合)、ETC2.0計測データの推定が妥当と判定するようにしてもよい。
この場合、ある程度の数のデータについて上記の処理を行うことで、妥当性の検証をより適切に行うことができる。
【0141】
また、上記の実施例のようにして生成された運転スコアモデルの妥当性の検証を行うようにしてもよい。
具体的には、上記と同様に、例えば、同様の条件下で、ETC2.0車載器を搭載した車両をドライバーに運転させ取得したETC2.0計測データと、上記の実施例のようにして生成した推定ETC2.0計測データとを取得する。そして、サーバ100の処理部110は、ETC2.0計測データを運転スコアモデルに入力することで得られた運転スコアと、推定ETC2.0計測データを運転スコアモデルに入力することで得られた運転スコアとを比較し、これらの運転スコアの差が所定の閾値未満(または閾値以下)であれば、運転スコアモデルは妥当と判定するようにしてもよい。
この場合、ある程度の数のデータについて上記の処理を行うことで、妥当性の検証をより適切に行うことができる。
【0142】
<変形例(5)>
ユーザが保険会社との間で自動車保険の契約を行ったものの、契約期間の途中などで、自動車に搭載される装置を、第1装置(例えば、シガーソケット型デバイス)から第2装置(例えば、ETC2.0車載器)に変更する(切り替える)ような場合があり得る。
【0143】
そこで、サーバ100の処理部110が、例えば、自動車保険の契約期間(保険開始日から終了日(満期日)までの期間)において、自動車に搭載される(計測データの計測に使用する)装置が第1装置から第2装置に変更された場合、少なくとも契約期間の開始から装置変更までの第1期間における第1装置の計測データ(例えば、保険開始日から装置変更日までに計測された第1装置計測データ)に基づく推定データと、装置変更から契約期間の終了までの第2期間における第2装置の計測データ(例えば、装置変更日から運転スコアの算出日(継続手続日)までに計測された第2装置計測データ)とに基づいて、自動車保険を継続する場合の運転スコアを算出するようにしてもよい。
【0144】
この場合、例えば以下のうちのいずれの手法によって運転スコアを算出するようにしてもよい。
・推定データ(例えば、推定ETC2.0計測データ)を学習済み第2運転スコアモデルに入力して算出される第1スコア値と、第2装置計測データ(例えば、ETC2.0計測データ)を学習済み第2運転スコアモデルに入力して算出される第2スコア値とを平均するなどして算出する。
・推定データ(例えば、推定ETC2.0計測データ)と第2装置計測データ(例えば、ETC2.0計測データ)とを統合したデータを学習済み第2運転スコアモデルに入力して算出する。
【0145】
なお、契約期間の開始から装置変更までの第1期間における第1装置計測データに基づく推定データに代えて、契約期間の開始から装置変更までの第1期間における第1装置計測データを用いるようにしてもよい。この場合、例えば以下の手法によって運転スコアを算出するようにしてもよい。
・第1装置計測データ(例えば、シガーソケット型デバイス計測データ)を第1運転スコアモデルに入力して算出された第1スコア値と、第2装置計測データ(例えば、ETC2.0計測データ)を学習済み第2運転スコアモデルに入力して算出された第2スコア値とを平均するなどして算出する。
【0146】
<第2実施例>
第1実施例では、例えばテレマティクス保険の保険商品に関する実施例について説明した。しかし、このようなテレマティクス保険の保険商品のサービスを含む、ETC2.0をベースとするサービスを開発する場合、どれだけの人が使えるサービスであるか、マーケットの大きさ、全国で公平に提供可能なサービスであるか、などを評価することが必要となる。第2実施例は、この評価に関連する実施例である。
なお、第2実施例に記載の内容は、他の各実施例や他の各変形例のいずれにも適用可能である。
【0147】
<データ構成>
図9は、本実施例においてサーバ100の記憶部190に記憶される情報の一例を示す図である。
記憶部190には、例えば、処理部110によって読み出され、ETC2.0サービス評価支援処理として実行される第1ETC2.0サービス評価用支援処理プログラム197と、前述したシガーソケット型デバイス計測データベース192と、路側機情報データベース198と、作成ヒストグラムデータベース199とが記憶される。
【0148】
シガーソケット型デバイス計測データベース192には、前述したように、例えば、計測期間ごとに、複数のドライバーの計測データを記憶させるようにすることができる。計測期間は、例えば、月単位の期間(1か月、2か月、・・・、6か月等)としてもよいし、それ以外の単位の期間としてもよい。また、例えば、道路種別ごとや地域ごとなどに分類して記憶させるようにしてもよい。
【0149】
路側機情報データベース198は、例えば、全国の路側機の位置情報等を含む情報が記憶されたデータベースである。
【0150】
作成ヒストグラムデータベース199は、後述するETC2.0をベースとするサービスに関する評価等を行うために処理部110によって作成されるヒストグラムのデータが記憶されるデータベースである。
【0151】
なお、前述した推定ETC2.0計測データベース194等を記憶部190に記憶させるようにしてもよい。
【0152】
<ETC2.0車載器の仕様>
ETC2.0では、前述したように、例えば路側機で走行情報を含むプローブ情報がETC2.0車載器から収集される。
その一方で、ETC2.0車載器は、例えば最大で「80km」分などの所定距離分の走行情報しか記録することができない場合があり、所定距離を超えた分の走行情報は記録されずに破棄されてしまう場合がある。このため、ETC2.0車載器を搭載した車両が路側機近傍をいつまでも通過しない場合、せっかく記録された走行情報が路側機で収集されない場合があり得る。
【0153】
なお、ETC2.0の仕様は、今後アップデートされる可能性がある。
例えば、前述した単位距離(例えば200m)が変更される可能性もあり、場合によっては、ETC2.0車載器のメモリを増設する必要なども生ずる可能性もある。
しかし、本発明の手法は、このようなETC2.0の仕様の変更に対しても対応可能であり、各種のパラメータの値を調整すれば済む。
【0154】
<処理>
図10は、本実施例においてサーバ100の処理部110が行う第1ETC2.0サービス評価支援処理の流れの一例を示す図である。
処理部110は、例えば、シガーソケット型デバイス計測データベース192に含まれる各々のシガーソケット型デバイス計測データを対象として、以下の処理を行う。
【0155】
まず、処理部110は、当該シガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報について、例えば時系列で一番古い走行情報から順番に、以下の処理を行う。
処理部110は、当該走行情報に含まれる車両の計測位置が、路側機(新たな路側機)の領域に含まれるか否かを判定する(S21)。
【0156】
ここで、路側機近傍の領域のことを「路側機領域」と称する。路側機領域は、例えば、その路側機の位置から半径5m以内以内の領域や半径10m以内の領域等として設定することができる。
具体的には、処理部110は、路側機情報データベース198に記憶されている路側機の位置情報に基づき、当該走行情報に含まれる車両の計測位置が、その路側機の路側機領域に含まれるか否かを判定する。
【0157】
含まれると判定したならば(S21:YES)、処理部110は、その車両の計測位置が、1つ前の路側機の位置から「80km」を超えているか否かを判定する(S23)。
【0158】
超えていると判定したならば(S23)、処理部110は、当該シガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報のうち、当該路側機の位置から遡って「80km」以内の走行情報のセットに送信フラグ(収集フラグ)「ON」を設定する(S25)。
【0159】
送信フラグは、ETC2.0車載器が搭載された車両が路側機の近傍を通過することで走行情報が路側機に送信されることを模擬したフラグとすることができる。
本実施例では、ETC2.0ベースでのサービスに関する評価を行うため、シガーソケット型デバイスによって計測されたデータ(取得済みのシガーソケット型デバイス計測データ)を用いて、仮想的に、ETC2.0車載器が搭載された車両が路側機の近傍を通過した場合の走行情報の送信(路側機での走行情報の収集)を再現(模擬)する。
【0160】
例えば、当該走行情報に含まれる車両の計測位置が1つ前の路側機の位置から「100km」離れているのであれば、前述したETC2.0の仕様によれば、1つ前の路側機の位置から「80km」を超えた「20km」分の走行情報はETC2.0車載器から破棄されてしまう。これを再現するため、S25のステップでは、「80km」を超えた分を除く、当該路側機の位置から遡って「80km」以内の走行情報のセットに送信フラグ「ON」を設定する。
【0161】
一方、1つ前の路側機の位置から「80km」を超えていないと判定したならば(S23:NO)、処理部110は、当該シガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報のうち、1つ前の路側機の位置からの走行情報のセットに送信フラグ「ON」を設定する(S27)。
【0162】
S25またはS27の後、処理部110は、処理を終了するか否かを判定し(S29)、処理を継続すると判定したならば(S29:NO)、S1に処理を戻す。
一方、処理を終了すると判定したならば(S29:YES)、処理部110は、第1ETC2.0サービス評価支援処理を終了する。
【0163】
<計測期間の設定>
図11は、本実施例において、上記の第1ETC2.0サービス評価支援処理の処理結果に基づいて、サーバ100の処理部110によって生成されるETC2.0サービス評価用のヒストグラムの一例を示す図である。
【0164】
処理部110は、上記の処理結果に基づき、例えば、シガーソケット型デバイス計測データの計測期間ごとに、横軸(階級)を路側機での想定収集時間(h)とし、縦軸(度数)を車両台数(台)とするヒストグラムを作成する。
路側機での想定収集時間は、例えば、送信フラグが「ON」に設定された走行情報(走行情報のセット)から導出することができるため、実質的に、想定される路側機で収集することができたデータ数と同義とも言える。このため、横軸を想定収集データ数としてもよい。
また、縦軸を走行回数(回)としてもよい。
【0165】
この図は、計測期間「1か月」のヒストグラムの一例を示しており、一例として、横軸に路側機での想定収集時間を「1h」ごとに区切った区間を階級として示している。また、縦軸に、各々の区間に含まれる車両台数を度数として示している。全ての区間の車両台数を合算したものが総車両台数となる。なお、横軸や縦軸の値は一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【0166】
図12は、計測期間「2か月」について同様に作成したヒストグラムの一例を示している。図の見方は、図11と同様である。
【0167】
処理部110は、例えば、想定収集時間の閾値を「3h」として設定し、想定収集時間が閾値「3h」超となる総車両台数に対する車両台数の割合(以下、「車両台数割合」と称する。)を算出する。
図11の計測期間「1か月」のヒストグラムに基づいて車両台数割合を算出した結果、例えば「60%」と算出され、図12の計測期間「2か月」のヒストグラムに基づいて車両台数割合を算出した結果、例えば「80%」と算出されたとする。
【0168】
例えば、想定収集時間の閾値を「3h」とする場合の車両台数割合の目標値として「75%」を設定する場合、図11の計測期間「1か月」では車両台数割合は目標値に達していないが、図12の計測期間「2か月」では車両台数割合が目標値に達している。
このため、この例では、計測期間が「2か月」であるシガーソケット型デバイス計測データを用いれば、ETC2.0の計測データを再現しても問題ないと判断することができる。
【0169】
実際の処理としては、サーバ100の処理部110は、例えば、計測期間が短い順に、車両台数割合が目標値に達するまで、計測期間を更新してヒストグラムを作成する。そして、車両台数割合が目標値に達した場合、その計測期間を運用する計測期間として設定する。
この場合、例えば、記憶部190のシガーソケット型デバイス計測データベース192に記憶されている計測期間ごとのシガーソケット型デバイス計測データのセットのうち、設定した計測期間のシガーソケット型デバイス計測データのセットのみを残し、他の計測期間のシガーソケット型デバイス計測データのセットは削除してもよい。
【0170】
そして、処理部110は、例えば、設定した計測期間のシガーソケット型デバイス計測データのセットを用いて、第1実施例で説明した推定ETC2.0計測データを生成し、運転スコアモデルを生成するようにすることができる。
このようにすることで、信頼性が保証されたテレマティクス保険の保険商品を作ることが可能となる。
【0171】
なお、以下のような処理を行うようにしてもよい。
処理部110が、例えばシガーソケット型デバイス計測データの計測期間として「2か月」の期間を設定した場合、この「2か月」の計測期間のシガーソケット型デバイス計測データを用いて運転スコアモデルを生成する。同様に、処理部110が、この「2か月」の計測期間の推定ETC2.0計測データを用いて運転スコアモデルを同様に生成する。
そして、処理部110が、生成したこれらの運転スコアモデルに所定の計測データを入力した場合に同様の結果が得られるか否か(例えば、モデル間の差が所定の閾値以下(または閾値未満)となるか否か)を判定するなどし、同様の結果が得られたならば、運転スコアの算出に用いる(運転の評価に用いる)ETC2.0計測データの計測期間を「2か月」に設定する。
【0172】
一方、同様の結果が得られなかったならば、運転スコアの算出に用いる(運転の評価に用いる)ETC2.0計測データの計測期間が「2か月」では足りない可能性があるため、処理部110は、運転スコアの算出に用いるETC2.0計測データの計測期間を、「2か月」よりも長い計測期間(例えば、「3か月」~「6か月」のいずれかの期間)に設定するようにしてもよい。
【0173】
これは、本発明の手法では、シガーソケット型デバイス計測データの走行情報を間引く(リサンプリングする)ことによって推定ETC2.0計測データを生成しているため、ETC2.0計測データにシガーソケット型デバイス計測データの計測期間をそのまま適用することが妥当であるとは限らない可能性があり得るためである。
そこで、上記のように、2つの運転スコアモデルを比較検証し、その比較検証の結果に基づいて、運転スコアの算出に用いるETC2.0計測データの計測期間を設定(判定)するようにしてもよい。
【0174】
<保険商品のビジネスの評価>
上記のようにしてサーバ100によって作成されるヒストグラムを用いて、ETC2.0をベースとする保険商品のビジネスとしての成否を評価することもできる。
【0175】
ETC2.0の走行情報に基づいて保険商品を作ることを考える場合、実際にETC2.0車載器を搭載した車両をユーザに運転してもらい、その計測データを収集する必要がある。これには、前述したようにコストが掛かるという問題があるし、そもそもETC2.0の仕組みで走行情報を十分に収集することができないという事実が判明すれば、そもそも保険商品のビジネスとして成り立たない場合がある。つまり、前述したが、ETC2.0車載器を搭載した車両が路側機近傍を通過することなく、例えば「80km」以上走行することで、データロスが発生してしまうことが想定される。これは、実際にETC2.0車載器を搭載した車両によって実証実験してみなければ分からない。
【0176】
そこで、例えば、ETC2.0によらない他の手段で収集したデータ(例えば、シガーソケット型デバイス計測データ)と、テレマティクス保険の対象とするエリア(例えば、首都圏エリアなど)に含まれる路側機の位置情報とに基づいて、各々の車両について想定収集時間を算出する。そして、対象とする全車両について、仮想的にどれだけの走行情報が路側機で収集されるか(または、逆にどれだけの走行情報が破棄されるか)を、前述したヒストグラム等を用いて評価するようにすることができる。
【0177】
具体的には、サーバ100の処理部110は、例えば、所定の計測期間におけるシガーソケット型デバイス計測データに基づいて、例えば、ひと月あたりにどれだけの走行情報が収集されるかのヒストグラムを、図11図12と同様に作成する。
そして、サーバ100の処理部110は、路側機での想定収集時間に対する閾値(例えば、7hや10hなど)を設定し、想定収集時間が閾値以上(または閾値超)となる車両台数(または車両台数割合)が設定値以上(または設定値超)であれば、一般的な保険商品のビジネスとして成立すると判定するようにすることができる。
【0178】
なお、この場合、例えば、「1か月」の期間を所定の計測期間として処理を行ってもよいし、「2か月」や「3か月」の期間を所定の計測期間として処理を行ってもよい。この場合、所定の計測期間における想定収集時間をそのまま用いてもよいし、ひと月あたりの想定収集時間を用いてもよい。
また、異なる複数の計測期間のシガーソケット型デバイス計測データからヒストグラムを作成し、各々の計測期間の想定収集時間を平均するなどして算出した時間を用いてもよい。
【0179】
また、想定収集時間に代えて、前述した想定収集データ数を用いてもよい。
また、仮想的にどれだけの走行情報が路側機で収集されずに破棄されたかを示すデータ数(想定破棄データ数)や時間(想定破棄時間)に基づいて同様の処理を行ってよい。これは、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて生成される推定ETC2.0計測データ(シガーソケット型デバイス計測データに基づいて生成される擬似的なETC2.0計測データ)におけるデータ損失の割合(度合)を示す情報(データ損失割合情報(データ損失度合情報))と捉えることもできる。
【0180】
また、上記の保険商品のビジネスとしての成否を判定することは、上記のデータ損失割合情報に基づいて、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて生成される推定ETC2.0計測データ(シガーソケット型デバイス計測データに基づいて生成される擬似的なETC2.0計測データ)の有効性を判定することとも言える。
【0181】
なお、この場合、サーバ100は、推定ETC2.0計測データを実際に生成してもよいし、生成しなくてもよい。つまり、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて推定ETC2.0計測データを生成した上で、生成した推定ETC2.0計測データの有効性を上記の手法によって判定するようにしてもよいし、推定ETC2.0計測データを生成せず、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて推定ETC2.0計測データを生成する場合の、その生成される推定ETC2.0計測データの有効性を上記の手法によって判定するようにしてもよい。
【0182】
なお、一般的な保険商品のビジネスとして成立すると判定した場合、サーバ100の処理部110は、上記の<計測期間の設定>で説明した手法に基づいて計測期間を設定した上で、設定した計測期間のシガーソケット型デバイス計測データのセットを用いて、第1実施例で説明した推定ETC2.0計測データを生成し、運転スコアモデルを生成するようにしてもよい。
【0183】
逆に、サーバ100の処理部110は、一般的な保険商品のビジネスとして成立しないと判定した場合、以下のいずれかを行うようにしてもよい。
・推定ETC2.0計測データを生成しない
・推定ETC2.0計測データを生成するが使用しない
【0184】
また、上記の<計測期間の設定>や<保険商品のビジネスの評価>において、サーバ100の処理部110が、シガーソケット型デバイス計測データに代えて、推定ETC2.0計測データを用いて、同様の評価を行うようにしてもよい。
【0185】
<第2実施例の効果>
本実施例は、サーバ100は、ETC2.0計測データ(第2計測データの一例)は、所定位置に設置された路側機(第3装置の一例)にETC2.0車載器(第2装置の一例)から送信され、シガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)と、路側機の位置情報とに基づいて、推定ETC2.0計測データを生成するか否かを判定する。
これにより、第1計測データと、所定位置に設置された第3装置の位置情報とに基づいて、第2計測データの推定データを生成するか否かを適切に判定することができる。
【0186】
また、本実施例は、サーバ100は、ETC2.0計測データ(第2計測データの一例)は、所定位置に設置された路側機(第3装置の一例)にETC2.0車載器(第2装置の一例)から送信され、シガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)と、路側機の位置情報とに基づいて、生成された推定ETC2.0計測データを使用するか否かを判定する。
これにより、第1計測データと、所定位置に設置された第3装置の位置情報とに基づいて、第2計測データの推定データを使用するか否かを適切に判定することができる。
【0187】
また、本実施例は、サーバ100は、ETC2.0計測データ(第2計測データの一例)は、所定位置に設置された路側機(第3装置の一例)にETC2.0車載器(第2装置の一例)から送信され、シガーソケット型デバイス計測データ(第1計測データの一例)と、路側機の位置情報とに基づいて、ETC2.0計測データの生成に用いるシガーソケット型デバイス計測データの計測期間を判定する。
これにより、第1計測データと、所定位置に設置された第3装置の位置情報とに基づいて、第2計測データの推定データの生成に用いる第1計測データの計測期間を適切に判定することができる。
【0188】
また、本実施例は、サーバ100は、シガーソケット型デバイスによって計測されたシガーソケット型デバイス計測データに基づいて、ETC2.0車載器によって計測されるETC2.0計測データに基づく運転の評価に必要なシガーソケット型デバイス計測データの計測期間を判定する処理部110を備える。
これにより、移動体に関する情報を計測する第1装置によって計測された第1計測データに基づいて、移動体に関する情報を計測する装置であって第1装置とは異なる第2装置によって計測される第2計測データに基づく運転の評価に必要な第1計測データの計測期間を適切に判定することができる。
【0189】
また、この場合、サーバ100は、上記のようにして判定された計測期間のシガーソケット型デバイス計測データに基づいて、ETC2.0計測データに基づく運転の評価に必要なETC2.0計測データの計測期間を判定する。
これにより、上記のようにして判定された計測期間の第1計測データに基づいて、第2計測データに基づく運転の評価に必要な、この第2計測データの計測期間を適切に判定することができる。
【0190】
また、サーバ100は、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて、ETC2.0計測データを擬似的に所定期間について生成し、この擬似的なETC2.0計測データにおけるデータ損失割合情報を取得する。そして、サーバ100は、取得したデータ損失割合情報に基づいて、この擬似的なETC2.0計測データの有効性を判定する。
これにより、第1計測データに基づいて生成した、所定期間における擬似的第2計測データの有効性を、データ損失割合情報に基づいて適切に判定することができる。
【0191】
<変形例>
上記の実施例において、サーバ100が、レジャー地などを目的地(例えば、所定時間そのレジャー地域範囲内に位置していた場合)として計測されたシガーソケット型デバイスデータや推定ETC2.0計測データに基づいて、上記の実施例で説明した同様の手法によって、レジャー用(レジャーの用途)の保険商品のビジネスが成立するか否かを判定するようにしてもよい。そして、成立すると判定した場合、保険会社が、レジャー用の特別な保険商品を提供するようにしてもよい。
【0192】
また、この場合、上記の実施例で説明したように、サーバ100により、首都圏エリアなどのシガーソケット型デバイス計測データや推定ETC2.0計測データに基づく評価によって一般的な保険商品として成立すると判定された場合は、保険会社は、レジャー用であるか否かに関わらず、成立すると判定された一般的な保険商品を一律に提供するようにする。
【0193】
それに対し、サーバ100により、首都圏エリアなどのシガーソケット型デバイス計測データや推定ETC2.0計測データに基づく評価によって一般的な保険商品としては成立しないと判定された場合、サーバ100は、上記のように、レジャー用の保険商品のビジネスが成立するか否かを判定するようにしてもよい。そして、成立すると判定した場合、保険会社が、レジャー用の特別な保険商品を提供するようにしてもよい。
【0194】
<第3実施例>
ETC2.0に基づく仕組み下において走行情報を収集するにあたり、車両に配置されたETC2.0に対応した装置から走行情報を取得する路側機(ITSスポット)を新規に配置することで、より多くの走行情報を収集することが期待できる。そこで、ETC2.0に基づく仕組み下において、既存の路側機に加えて新規に路側機を配置したと想定した場合において収集される走行情報の収集度合いを測定し、またその測定した収集度合いに基づいてETC2.0に関連するサービスの成立性を判定する例を第3実施例として説明する。
なお、第3実施例に記載の内容は、他の各実施例や他の各変形例のいずれにも適用可能である。
【0195】
<データ構成>
図13は、本実施例においてサーバ100の記憶部190に記憶される情報の一例を示す図である。
記憶部190には、例えば、処理部110によって読み出され、ETC2.0サービス評価支援処理として実行される第2ETC2.0サービス評価用支援処理プログラム201と、地図情報202と、路側機情報データベース198と、シガーソケット型デバイス計測データベース192と、路側機新規設置可能施設情報データベース203とが記憶される。
【0196】
地図情報データベース201は、例えば、全国の道路情報、地形等を含む情報が記憶されたデータベースである。
【0197】
路側機情報データベース198は、前述したように、例えば、全国の路側機の位置情報等を含む情報が記憶されたデータベースである。
【0198】
シガーソケット型デバイス計測データベース192には、前述したように、例えば、車両に搭載されるシガーソケット型デバイスによって計測された走行情報を含むシガーソケット型デバイス計測データが蓄積記憶されたデータベースである。
なお、本実施形態においては、走行情報には少なくとも位置情報が含まれているものとする、
【0199】
路側機新規設置可能施設情報データベース203には、例えば、新規に路側機を設置することが可能な施設の位置情報が記憶されている。なお、好ましくは、各位置情報には施設の性質情報(チェーン店名称などが挙げられ、例えば、ショッピングモール名称、ガソリンスタンド名称、コンビニエンスストア名称等)が紐づけて記憶されており、紐づけられた性質情報を基に、同一の企業により運営されているある業種(ガソリンスタンド等)の集合を抽出することが可能となっている
【0200】
図14は、地図情報データベース201及び路側機データベース198に記憶されている情報を参照して生成された、既に配置されているETC2.0の路側機の地図上における分布の例を示す図である。なお、本実施形態においては、各路側機について、収集される可能性が高い走行情報の取得位置範囲の目安となる領域情報も合わせて表示している。なお、かかる領域情報は予め記憶されているか、または後述する新規路側機設置位置導出処理において各路側機の位置情報と周辺の道路情報等に基づいて算出されることが好ましい。領域情報の詳細については後述する。
図14に示すように、地図情報に重畳する態様で、路側機の位置が菱形によって示されている。上述したように、路側機においては、ETC2.0に対応した装置を搭載した車両が近傍に位置することで、かかる装置に蓄積された走行情報が取得される。また、領域情報を参照して、各路側機について、路側機が配置された位置を中心とした所定の長さrを半径とした円が描写されている。
なお、目安の範囲における半径となる所定の長さrは、ETC2.0車載器における走行情報の最大の記録可能量である80kmとしてもよく、または、80kmの距離をカーブ等を含めて走行することを考慮して、路側機からの直線距離を想定した80kmの円ではなく、路側機からの80km未満の半径(例えば、50km)の円を目安の範囲としてもよい。更には、例えば、半径80kmを半径とする円と80km未満の長さを半径とする円の2つを示す等、複数の目安の範囲を示すこととしてもよい。また、目安の範囲としては、路側機位置を中心とする円ではなく、路側機位置を基準とした任意の範囲としてもよい。例えば、路側機位置から80kmの距離として、道路のカーブ等を鑑みての実際の道路距離を反映した範囲を算出した範囲とし、かかる範囲を示すこととしてもよい。
【0201】
究極的には、あらゆる場所に路側機を設置すれば、漏れなく走行情報を収集することが可能であるが、コスト上困難であることから、設置する路側機の数は限られる。
また、新規に路側機を設置するにあたっては、例えば、民間企業と協力することで、民間のビジネス設備に設置してもらうことが考えられる。例えば、民間企業の費用によって自身のビジネス設備に設置してもらう代償として、設置された路側機からデータを提供してもらう代金を支払う、といった取り決めによる協力が可能である。
【0202】
このような協力に基づいて、かかる民間企業が経営する複数のビジネス施設において新規に路側機を設置する場合を考える。
図15は、図14に示す図において、設置候補施設の情報を重畳させて示したものである。具体的には、図15において、図14における状況に対して、路側機新規設置可能施設情報データベース203を参照して、例えば、ショッピングモールX、ガソリンスタンドY、及びコンビニエンスストアZが設置候補施設として抽出され示されている。無論、設置候補施設の種類はこれらに限定されるものではなく、任意のものを設定可能である。
【0203】
そして、図16に示す例においては、これらの候補施設のうち、ガソリンスタンドYに新規に路側機を設置した場合を想定した状況を示したものである。図16に示すように、各ガソリンスタンドYには新規の路側機の設置位置であることを示す中空の菱形が配置されており、また各ガソリンスタンドYの位置に基づいて走行情報取得の目安の範囲が点線で示されている。
【0204】
図16に示す状況について、ETC2.0に対応する方式とは異なる方式により収集された走行情報に基づいて、ETC2.0に関連するサービスを提供する際に想定される走行情報の収集状況を仮想的に取得することができ、またその評価を行うことで、ETC2.0に関連するサービスの実現性、有効性等について判断を行うことができる。以下、これらの処理について具体的に説明する。
【0205】
<処理>
以下、新規に路側機を設置した場合を想定して、その想定状況下における走行情報の収集度合いを取得する処理、及び、その収集度合いを評価することでETC2.0に関連するサービスの実現性等について判断するための処理について説明する。
図17は、本実施例においてサーバ100の処理部110が行う第2ETC2.0サービス評価支援処理の流れの一例を示す図である。なお、第2ETC2.0サービス評価支援処理は、第1ETC2.0サービス評価支援処理と一部同様の内容であるため、かかる同様の内容については説明を省略する。
処理部110は、第1ETC2.0サービス評価支援処理と同様に、例えば、シガーソケット型デバイス計測データベース192に含まれる各々のシガーソケット型デバイス計測データを対象として、以下の処理を行う。
【0206】
まず、処理部110は、当該シガーソケット型デバイス計測データに含まれる走行情報について、例えば時系列で一番古い走行情報から順番に(無論、新しい走行情報からでもよく、順番は問わない)、以下の処理を行う。
処理部110は、当該走行情報以降における所定距離(例えば、80km)の分の走行情報のいずれかにおいて、既存の路側機または新規に設置したとする路側機における路側機領域に含まれるかどうかを判定する(S31)。すなわち、上述した通り、ETC2.0車載器は、例えば最大で「80km」分などの所定距離分の走行情報しか記録することができない場合があり、所定距離を超えた分の走行情報は記録されずに破棄されてしまうという背景から、かかる走行情報が最終的に路側機によって取得されるか、又は記録されずに破棄されてしまうかを判定するものである。
【0207】
路側機領域に含まれると判定したならば(S31:YES)、処理部110は、路側機領域の領域に含まれると判断された走行情報に、送信フラグ(収集フラグ)「ON」を設定する(S32)。
【0208】
一方、路側機領域を通過しないと判定したならば(S31:NO)、走行情報には何らのフラグは設定しない(送信フラグは「OFF」)。
【0209】
S31またはS32の後、処理部110は、処理を終了するか否かを判定する(S33)。すなわち、また処理を行う対象である走行情報が残っているかどうかを判定し、残っていれば処理を継続し、残っていなければ処理を終了する。(S33:NO)、S31に処理を戻す。
一方、処理を終了すると判定したならば(S33:YES)、処理部110は、第2ETC2.0サービス評価支援処理を終了する。
【0210】
なお、本実施例においては、各走行情報において、以降の所定距離分の走行情報において路側機領域を通過するかどうかを判定基準としているが、判定基準はこれに限られず、路側機の位置に基づいた任意の判定基準を適用可能である。例えば、各走行情報が、上述した走行情報の取得位置範囲の目安となる領域に含まれているかどうかを判定基準としてもよい。また例えば、路側機位置から所定距離(例えば、80km)の範囲として、道路のカーブ等を鑑みての実際の道路距離を反映した範囲に含まれているかどうかを判断基準としてもよい。
【0211】
第3実施例においても、第2実施例と同様に、上記の第2ETC2.0サービス評価支援処理の処理結果に基づいて、収集の度合いがどの程度となりうるかを示す情報(以降、「収集度合い情報」という)を算出する。例えば、第2実施例における図11図12に示すものと同様のヒストグラムを作成する。そして、処理部110は、例えば、想定収集時間の閾値を適宜(例えば「3h」)設定し、想定収集時間がこの閾値以上又は閾値超となる車両台数割合を算出する。
【0212】
なお、収集度合い情報の評価手法は、上記に挙げた想定収集時間の閾値によるものに限られず、任意の手法を適用可能である。例えば、収集度合い情報を地域ごとに求め、収集度合いが所定の閾値以上である地域が所定値以上であるかどうかといった評価を行ってもよい。
更には、収集度合い情報を、例えば走行情報が取得された位置を視覚的に地図情報上に表して、ユーザが視覚的にこれら位置の分布を確認することで評価を行うこととしてもよい。これにより、特定の領域において走行情報が収集されているか、特定の領域(または全領域)において走行情報の収集が一様になされているか、等を評価することができる。
【0213】
<所定ビジネスの成立性の判定>
そして、上記のようにしてサーバ100によって作成されるヒストグラム等、収集度合い情報を用いて、第2実施例と同様に、ETC2.0をベースとする所定ビジネスとしての成立性を判定することもできる。
【0214】
所定ビジネスとしての成立性を判定するにあたり、限定ではなく例として、以下のような判定手法が適用可能である。
処理部110が、例えばシガーソケット型デバイス計測データの計測期間として「2か月」の期間を設定し、かかる計測期間による計測データに基づいて算出した収集度合い情報が、所定ビジネスの実現に関する何らかの条件を満たしている(例えば、想定収集時間の閾値を「3h」として設定し、想定収集時間が「3h」超となる総車両台数に対する車両台数の割合が「75%」であり、所定ビジネスの実施上必要である車両台数の割合の閾値「70%」を超えている)場合は、所定ビジネスが成立しうると判定する。
一方で、条件を満たしていない場合は、所定ビジネスの成立は困難であると判定する。
【0215】
例えば、新規の路側機の設置パターンを複数用意しておき(例えば、パターン1:「ガソリンスタンドY」に設置する、パターン2:「ショッピングモールX」及び「ガソリンスタンドY」に設置する、パターン3:「ショッピングモールX」、「ガソリンスタンドY」及び「コンビニエンスストアZ」に設置する)、そのそれぞれについて所定ビジネスがしうるかどうかを判定することができる。すなわち、例えば、パターン1においては所定ビジネスの成立は困難であると判定されたとしても、パターン2やパターン3においては所定ビジネスが成立しうると判定された場合、パターン2やパターン3に基づいて新規の路側機を設置する、という判断を行うことができる。
【0216】
<変形例>
上記の実施例において、ある路側機の組み合わせである第1パターンで新規に路側機を設置したとする想定状況下において算出された収集度合い情報と、第1パターンとは異なる路側機の組み合わせである第2パターンで新規に路側機を設置したとする想定状況下における収集度合い情報とを比較して、その差分を求めることとしてもよい。例えば、計測期間として「2ヶ月」の期間を設定した状況下で、前者における想定収集時間が「3h」超となる総車両台数に対する車両台数の割合が「75%」であり、後者における想定収集時間が「3h」超となる総車両台数に対する車両台数の割合が「70%」ある場合、その差分は5ポイントであることがわかる。そして、この差分の5ポイントが、第1パターン及び第2パターンにおいて新規に路側機を設置した場合の効果の差ということができる。
【0217】
更に、上記の実施例において、新規に路側機を設置したとする想定状況下において算出された収集度合い情報と、新規に路側機を設置していない状況下における収集度合い情報とを比較して、その差分を求めることとしてもよい。例えば、計測期間として「2ヶ月」の期間を設定した状況下で、前者における想定収集時間が「3h」超となる総車両台数に対する車両台数の割合が「75%」であり、後者における想定収集時間が「3h」超となる総車両台数に対する車両台数の割合が「65%」ある場合、その差分は10ポイントであることがわかる。そして、この差分の10ポイントが、新規に路側機を設置した場合の効果ということができる。
【0218】
更に、例えば、新規の路側機を設置可能な施設の候補の中から、なるべく少ない数の新規の路側機を設置しつつ、なるべく高い収集度合いとなるような新規の路側機を特定する最適化手法を用いて、設置すべき新規の路側機の組み合わせを特定することとしてもよい。すなわち、既存の路側機の位置情報、新規の路側機を設置可能な候補施設の位置情報、及び走行情報に基づいて、最適化手法、限定ではなく例として、最急降下法等を用いて、最適となる新規の路側機を設置可能な施設の候補の組み合わせを特定する。
【0219】
更に、例えば、処理対象となる新規の路側機を選定するにあたり、上述するようにビジネスの種別や、地域等によって設置する新規の路側機の区別をすることとしてもよく、具体的に例えば、「A地域においてはガソリンスタンドYとショッピングモールXに限定し、B地域においてはガソリンスタンドY、ショッピングモールX及びコンビニエンスストアZの全候補を抽出する」などとしてもよい。更には、任意の1つ(または任意の複数個)を新規の路側機の設置対象として特定してもよい。なお、収集度合い情報の算出を複数の候補の組み合わせのパターンについて行い、収集度合い情報が最適となる新規の路側機の候補の組み合わせを求めることとしてもよい。
【0220】
更に、例えば、新規に路側機が設置可能な位置が、既存の路側機とほぼ同一の場所である等、設置してもあまり追加の効果を期待できない場合がありうる。そのような場合を考慮して、任意の新規の路側機を含まない態様で収集の度合い情報を算出することとしてもよい。すなわち、既存の路側機の位置情報や、ユーザ入力等に基づいて、新規に設置する路側機に含まないものを特定(例えば、「ガソリンスタンドY」の集合のうち、何らかの基準に基づいて特定された一部の「ガソリンスタンドY」を除いた集合とする)し、かかる路側機を含まない態様で収集度合い情報を算出することとしてもよい。また、そのような特定の路側機を含まないパターンも含めた複数のパターンについて収集度合い情報を算出し、収集度合い情報が最適となるパターンを求めることとしてもよい。
【0221】
<第3実施例の効果>
本実施例は、サーバ100は、既存の路側機の位置、及び新規に路側機を設置可能な施設の位置に基づいて、シガーソケット型デバイス計測データを、ETC2.0に対応する方式に基づいて各路側機により収集される態様に模して、前記計測データの収集度合いを算出する。また、その収集度合いに基づいて、ETC2.0に関連する所定サービスの成立性を判断する。また、異なるパターンで新規に路側機を設置した場合の収集度合いに関する差分や、新規に路側機を設置した場合としていない場合との収集度合いに関する差分を求め、その効果を求める。更には、路側機の設置コスト及び収集度合いの高さを考慮して最適化手法により新規路側機を設置する施設候補の組み合わせを求める。
これにより、新規に路側機を設置することなく、新規に路側機を設置した想定下での収集度合いに関する評価等を行うことができる。
【0222】
<第4実施例>
ETC2.0に基づく仕組み下において走行情報を収集するにあたり、車両に配置されたETC2.0に対応した装置から走行情報を取得する路側機(ITSスポット)を新規に配置することで、より多くの走行情報を収集することが期待できる。そこで、ETC2.0に基づく仕組み下において、効果的に走行情報を収集可能な新規の路側機の設置位置を導出する例を第4実施例として説明する。
なお、第4実施例に記載の内容は、他の各実施例や他の各変形例のいずれにも適用可能である。
【0223】
<データ構成>
図18は、本実施例においてサーバ100の記憶部190に記憶される情報の一例を示す図である。
記憶部190には、例えば、処理部110によって読み出され、新規路側機設置位置を導出する処理として実行される新規路側機設置位置導出処理プログラム204と、地図情報データベース202と、路側機情報データベース198と、シガーソケット型デバイス計測データベース192と、路側機新規設置可能施設情報データベース203とが記憶される。
これらのデータ構成は、第3実施例における記憶部190におけるデータ構成において第2ETC2.0サービス評価用支援処理プログラム201が新規路側機設置位置導出処理プログラム204となった以外は同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0224】
図14は、上述したように、地図情報データベース201及び路側機データベース198に記憶されている情報を参照して生成された、既に配置されているETC2.0の路側機の地図上における分布の例を示す図である。
究極的には、あらゆる場所に路側機を設置すれば、漏れなく走行情報を収集することが可能であるが、コスト上困難であり、設置できる路側機の数は限られる。そこで、できるだけ収集効率が良い場所に路側機を設置することが必要となる。
図14に示す例では、4つの路側機が設置されているが、各路側機による走行情報取得の目安の範囲の外となる領域が地図の中央部近辺に存在しており、かかる領域における走行情報の取得に漏れが多く発生する可能性があることを示している。
【0225】
図19は、図14における状況に対して新規に5つ目の路側機を設置した場合の状況を示す図である。図19に示すように、新規に設置する路側機の位置は中空の菱形で示されており、かかる新規の路側機がカバーする走行情報位置の目安である円が点線にて示されている。このように、既存の路側機による走行情報取得ではカバーしきれない領域を埋めるような態様で新規の路側機を設置することにより、より効果的な走行情報の収集が期待できる。
【0226】
<新規路側機設置位置導出処理>
以下、新規に路側機を設置するに際して、その適切な位置を導出するための処理について説明する。
図20は、本実施例においてサーバ100の処理部110が実行する新規の路側機設置位置導出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0227】
最初に、サーバ100の処理部110は、新規に路側機を設置しようとする地域を特定する(S41)。かかる地域の特定にあたっては、例えば、ユーザ入力による地域の指定を操作部120や通信部150を介して受信することによって行われる。また、かかるユーザ入力による地域の特定は、例えば、マウス操作やピンチ操作等により範囲を指定するものであってよいし、「A県B市C町3丁目」のように文字入力により住所を指定するものであってもよい。
なお、ステップS41において行われる新規に路側機を設置しようとする地域の特定は、上述の方法に限定されず、任意の方法を適用してよい。例えば、既存の路側機の位置情報に基づいて、既存の路側機による走行情報の取得ではカバーしきれない領域がまとまって存在している領域を抽出し、その抽出した領域のうちの一つとすることとしてもよい。
【0228】
次に、地図情報データベース202及び路側機情報データベース198を参照して、S31にて特定された地域に対応した図19に示すような情報を表示部130に表示する(S42)。この際、各路側機による走行情報取得の目安の範囲の情報も合わせて表示することが好ましい。
【0229】
次に、新規に設置する路側機の位置を特定する(S43)。新規に設置する路側機の位置の特定に際しては、例えば、表示部130等を介して提示されている内容を見てユーザが位置を指定する(例えば、既存の路側機による目安のカバー範囲となるべく重複しないような位置を手動で指定する)こととしてもよく、また、既存の路側機の位置情報等に基づいて推奨位置を複数特定し、複数の推奨位置のうちの一つをユーザに指定させることとしてもよい。
後者の場合について以下複数の例を挙げて説明する。
【0230】
<既存の路側機の位置情報に基づいて新規路側機の位置を特定>
新規の路側機の設置位置の特定する方法の一例として、周辺に存在する既存の路側機の位置情報に基づいて行う方法が挙げられる。
【0231】
具体的な方法として、限定ではなく例として、図21に示すように、指定された領域内部において、各既存の路側機から最も遠い位置を新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよい。又は、各既存の路側機からの距離が大きくなればなるほど小さくなる(例えば、距離の長さに反比例する)スコアを設定し、そのスコアの集計値に基づいて(例えば、合計値が最も低い)新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよい。更には、かかる方法にて複数の候補位置を導出し、それら複数の候補位置を表示部130等を介してユーザに提示して、そのうちの一つをユーザに選択させることで新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよい。
また、各路側機による走行情報取得の目安の範囲に基づいて、それらの範囲から最も遠い位置を新規の路側機の設置位置を特定することとしてもよい。更には、各路側機による走行情報取得の目安の範囲と、新規の路側機による走行情報取得の目安の範囲(例えば、半径sの円領域;s=rでもよいし、s≠rでもよい)とを比較し、重複する領域の少なさも考慮して新規の路側機の設置位置を特定することとしてもよい。
【0232】
<別途取得した複数の移動体の位置情報の密度に基づいて新規路側機の位置を特定>
また、新規の路側機の設置位置を特定する方法の別の一例として、別途取得した複数の移動体の位置情報の密度に基づいて行う方法が挙げられる。
【0233】
図22は、図14における状況に対して、シガーソケット型デバイス計測データベース192を参照して、シガーソケット型デバイスによって計測された走行情報に含まれる位置情報の密度に基づく表示を更に重畳して示した図である。丸印は位置情報が所定の密度(例えば、20回/日)以上で観測された位置であることを示しており、丸の大きさが大きいほど、密度が大きいことを示している。
図22に示すような位置情報の密度であることに基づいて、例えば、最も密度が大きい位置を新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよく、また、新規の路側機による走行情報取得の目安の範囲における密度が最も高くなる路側機位置を新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよい。
更には、前述の方法と同様に、上記方法にて複数の候補位置を導出し、それら複数の候補位置を表示部130等を介してユーザに提示して、そのうちの一つをユーザに選択させることで新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよい。また、各既存の路側機による走行情報取得の目安の範囲と、新規の路側機による走行情報取得の目安の範囲とを比較し、重複する領域の少なさも考慮して新規の路側機の設置位置を特定することとしてもよい。
【0234】
なお、本実施形態において用いる位置情報としては、シガーソケット型デバイス計測データベース192に記憶された走行情報に含まれるものとしたが、これに限定されない。例えば、別の手段によって収集した位置情報を用いることとしてもよい。この別の手段としては、ETC2.0に対応した装置によるものであってもよい。
【0235】
<路側機を新規に設置可能な施設の位置に基づいて特定>
また、新規の路側機の設置位置を特定する方法の更に別の一例として、路側機を新規に設置可能な施設を設置候補地として事前に抽出しておき、かかる設置候補地から新規の路側機の設置位置を特定することとしてもよい。
【0236】
図23は、図14に示す地図の中心部近辺において、設置候補地を重畳させて示したものである。図23においては、図14における状況に対して、路側機新規設置可能施設情報データベース203を参照して、例えば、ショッピングモール、ガソリンスタンド、及びコンビニエンスストアが設置候補地として抽出され示されている。無論、設置候補地の種類はこれらに限定されるものではなく、任意のものを設定可能である。
そして、図23に示す例においては、これらの候補地のうち、ショッピングモールを新規に設置する路側機の位置として特定したものであり、ショッピングモールには新規の設置位置であることを示す中空の菱形が配置されており、またショッピングモールの位置に基づいて走行情報取得の目安の範囲が点線で示されている。
【0237】
すなわち、図23のように、新規の路側機を設置しようとする地域の地図情報に、既存の路側機及び既存の路側機がカバーする走行情報位置の目安の範囲、更には路側機の設置候補地を重畳して示したものを表示部130等を介してユーザに提示して、設置候補地のうちの一つをユーザに選択させることで新規の路側機の設置位置として特定することとしてもよい。
更には、前述の方法と同様に、各既存の路側機がカバーする走行情報位置の目安の範囲と、新規の路側機がカバーすると想定される走行情報位置の目安の範囲とを比較し、重複する領域の少なさも考慮して新規の路側機の設置位置を特定することとしてもよい。
【0238】
このように、新規の路側機の設置位置を特定する方法を説明したが、方法はこれらに限られず、任意の方法を用いてよい。例えば、上述の3つの方法のうち複数の方法を合わせた方法としてもよい。すなわち、例えば、走行情報が取得される位置の密度情報及び路側機が設置可能な施設を設置候補地情報が事前に把握され、地図情報に重畳して示した状態において、かかる密度情報及び設置候補地情報に基づいて複数の新規の路側機の設置候補位置が導出され表示部130等を介してユーザに示され、そのうちの一つをユーザが選択することによって、新規の路側機の設置位置を特定することとしてもよい。
【0239】
なお、上述の説明においては、既に路側機がある程度設置されている前提であったが、これに限られず、路側機が設置されていない領域において新規に路側機の設定位置を特定することとしてもよい。
また、1つの新規の路側機位置を特定するのみでなく、複数の新規の路側機の位置を特定することとしてもよい。すなわち、新規の路側機の位置の一つを特定した後、それが既に設置されたものとして次の新規の路側機の位置を特定してもよいし、複数の新規の路側機の位置を上述した要素に基づいて同時に特定することとしてもよい。
【0240】
なお、第2実施例と同様に、新規の路側機の設置前と後とで想定される走行情報の取得度合いを比較し、どれだけの走行情報の取得量の増加が想定されるか、更には、設置後の走行情報の取得量を閾値と比較する等行うことで、走行情報の取得状況が十分であるかどうか等について評価することができる。転じて、例えば、新規の路側機の設置によって想定される走行情報の取得量に基づいて、保険商品のビジネス等が成立するかを判定することができる。
【0241】
<第4実施例の効果>
本実施例は、サーバ100は、ユーザ入力、既存の路側機の位置情報、複数の移動体から取得される位置情報の密度、路側機を設置可能な施設の位置情報等に基づいて、新規に路側機を設置する位置を特定する。
これにより、新規に路側機を設置することなく、ETC2.0に対応する方式により走行情報を取得する路側機を設置すべき効果的な位置を事前に把握することができる。
【0242】
<その他>
上記の実施例におけるサーバ100を、物理的に分離された複数のサーバとして構成し、上記の実施例で説明した処理の一部を第1のサーバが行い、他の処理を第2のサーバが行うようにするなどしてもよい。複数のサーバによって、サーバシステムが構成されると考えてもよい。
【0243】
また、移動体は四輪車に限らず、前述したように、二輪車、パーソナルモビリティ、船舶、鉄道、飛行体等としてもよい。この場合は、各種の計測装置を、移動体に搭載または内蔵される第1装置、第2装置として、上記の実施例と同様の処理を行うことができる。
【0244】
また、前述したように、例えば、計測対象を「音」とし、第1装置のサンプリング単位を「時間」とし、第2装置のサンプリング単位を「周波数」とするなどして、上記と同様の処理を行ってもよい。
また、例えば、生体に関する情報(血圧、脈拍、心拍数、呼吸数、体温、脳波等)を計測対象として、上記と同様の処理を行ってもよい。この場合も、例えば、第1装置のサンプリング単位を「時間」とし、第2装置のサンプリング単位を「周波数」とするなどして、上記と同様の処理を行ってもよい。
【0245】
この用途の一例として、保険対象のユーザが車両を運転している際に、このユーザの生体に関する情報を第1装置によって計測するようにする。そして、サーバ100が、この第1装置によって生体に関する情報が計測された第1装置計測データに基づいて、このユーザの生体に関する情報が第2装置で計測される場合の推定第2装置計測データを生成するようにしてもよい。
また、この場合、このユーザが運転している車両の走行情報をシガーソケット型デバイス等によって計測するようにし、サーバ100が、前述した推定ETC2.0計測データを生成するようにしてもよい。つまり、保険対象のユーザと車両とを紐づけ、サーバ100が、推定ETC2.0計測データの生成と併せて、生体に関する情報の推定データの生成を行うようにしてもよい。そして、ユーザの運転(運転品質)の評価と併せて、ユーザの健康状態の評価を行うようにしてもよい。
なお、運転時に限らず、運転時以外にも、ユーザの生体に関する情報の推定データを生成するようにしてもよい。
【0246】
また、シガーソケット型デバイス計測データと、ETC2.0車載器とを搭載した車両から、シガーソケット型デバイス計測データと、ETC2.0計測データとを取得する。そして、シガーソケット型デバイス計測データに基づいて生成される推定ETC2.0計測データにおいて、実際のETC2.0計測データに対してどれだけデータが損失しているか否かの割合を算出するようにしてもよい。
また、推定ETC2.0計測データを第2運転スコアモデルに入力することで算出されるスコアと、実際のETC2.0計測データを第2運転スコアモデルに入力することで算出されるスコアとを比較し、その差が閾値以下(または閾値未満)である場合に、推定ETC2.0計測データは有効であると判定するようにしてもよい。
【0247】
また、上記の実施例では、各種の処理に係る各種のプログラムやデータが、記憶部に記憶されており、処理部がこれらのプログラムを読み出して実行することで、上記の各実施例における処理が実現された。この場合、各装置の記憶部は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、RAMといった内部記憶装置の他に、メモリカード(SDカード)やコンパクトフラッシュ(登録商標)カード、メモリスティック、USBメモリ、CD-RW(光学ディスク)、MO(光磁気ディスク)といった記録媒体(記録メディア、外部記憶装置、記憶媒体)を有していてもよく、これらの記録媒体に上記の各種のプログラムやデータを記憶させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0248】
100 サーバ
110 処理部
120 操作部
130 表示部
140 音出力部
150 通信部
160 時計部
190 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23