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特許7462196有機物汚れのコントロール剤及び有機物汚れのコントロール方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】有機物汚れのコントロール剤及び有機物汚れのコントロール方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/66 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
C11D1/66
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023020233
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-08-04
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】田上 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】正田 直樹
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-505413(JP,A)
【文献】米国特許第06039965(US,A)
【文献】特開2009-078986(JP,A)
【文献】特開2008-120783(JP,A)
【文献】特開2006-212472(JP,A)
【文献】国際公開第2021/005897(WO,A1)
【文献】特開2010-006720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 9/00
A01N 1/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
C02F 1/58- 1/64
B08B 3/00- 3/14
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
B08B 1/00- 1/14
B08B 5/00- 13/00
A47L15/00- 21/06
C23G 1/00- 5/06
C09K 3/00
D06L 1/00- 4/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLB値が11.5以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)とHLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする水処理プロセスの水系に用いられる有機物汚れのコントロール剤。
【請求項2】
ノニオン性界面活性剤(A)及びノニオン性界面活性剤(B)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルである請求項1記載の有機物汚れのコントロール剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の有機物汚れのコントロール剤を用いて水系の有機物汚れを処理することを特徴とする水処理プロセスの水系に用いられる有機物汚れのコントロール方法。
【請求項4】
水系にノニオン性界面活性剤(A)の濃度が0.01mg/L以上500mg/L以下、ノニオン性界面活性剤(B)の濃度が0.01mg/L以上500mg/L以下となるように添加する請求項3記載の有機物汚れのコントロール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物汚れのコントロール剤及び有機物汚れのコントロール方法に関する。詳しくは、本発明は、水処理プロセスでのバイオフィルム、生物由来の汚れ、油汚れ等の有機物汚れを起因として含む障害を防止できる有機物汚れのコントロール剤、及び、該有機物汚れのコントロール剤を用いた有機物汚れのコントロール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却水系等の工業用水システム等の熱源機器は冷却水が循環されているが、冷却水プロセスでバイオフィルム、生物由来の汚れ、油汚れ等の有機物汚れが発生すると、伝熱効率の低下や配管の目詰まり、製紙プロセスでは欠点の発生といった障害を引き起こす原因となる恐れがあった。なお、バイオフィルムとは生物膜やスライムとも呼ばれ、細菌が物質固相表面に付着・増殖し、さらに多糖類などの高分子有機物を生産することにより形成された膜状の構造体を指す。
【0003】
冷却水系等の工業用水システム等でのバイオフィルム付着、生物由来の汚れ、油汚れ等の有機物汚れを制御する方法として、例えば、界面活性剤を利用した分散処理や剥離処理が知られており、例えば、特許文献1にはスルファメートで安定化された、臭素をベースとする殺生物剤とバイオ分散剤とを含有する、バイオフィルムを根絶または抑制するための組成物が開示されており、バイオ分散剤として、アニオン性、ノニオン性、カチオン性および両性界面活性剤を包含する種々のタイプの界面活性剤から選ぶことができると記載されている。
また、特許文献2には、20~80重量%のエチレンオキシドと反応させたポリプロピレンオキシドのブロックポリマーで、HLB値(親水性親油性バランス値)が7以上で、平均分子量が2000~20000のポリマーによるバイオフィルムの防止方法が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-505408号公報
【文献】米国特許第6039965号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、界面活性剤からなるバイオフィルム用分散剤を、上述の工業プロセスで使用する場合、発泡が大きな課題となる。
特に特許文献2に記載のような、HLBが7以上と高いHLBの界面活性剤は、発泡しやすく、工業プロセスでの発泡は、液体の漏洩や外部への飛散、あるいは計器類への接触によるプロセスの誤動作など、様々な障害の原因となる。例えば、冷却水系に投入した場合、冷却塔上部から泡が飛散したり、冷却塔のピットから泡を伴って冷却水が漏洩したりするなどの問題を引き起こす。発泡を抑えるために、消泡剤の添加や気水界面への水の散布などが行われる場合があるが、薬品や消泡設備の設置にコストや手間を要する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、有機物汚れコントロール能を有し、水処理プロセスの水系に有機物汚れコントロール剤を投入した際、発泡性が低く、発泡による障害を軽減することができる有機物汚れのコントロール剤、及び、該有機物汚れのコントロール剤を用いた有機物汚れのコントロール方法を提供することを課題とする。
なお、本明細書において「有機物汚れコントロール能」とは、水処理プロセスでのバイオフィルム、生物由来の汚れ、油汚れ等の有機物汚れの発生や付着を抑制すること、及びすでに系内に付着している有機物汚れの分散や剥離などにより、有機物汚れが改善することを指す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機物汚れをコントロールするための界面活性剤に着目し、特定のHLB値を有する2種の界面活性剤を併用することで、有機物汚れコントロール能を有し、またコントロール剤としての発泡を極力抑えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
なお、本願発明者らが見出した有機物汚れのコントロール剤は、含まれる界面活性剤の一方を単独で水処理プロセスの水系に使用すると泡立ちが大きく上述した発泡に起因する問題を引き起こす恐れがある。しかしながら、驚くべきことに本願発明は、特定のHLB値を有する2種の界面活性剤を併用することで、該界面活性剤の単独使用では生じていた発泡の問題を解決できたものである。
【0008】
なお、例えば、特開2020-176084号公報には少なくとも2種のオキシアルキレン単位を有し、HLB値が3.0以上7.0以下であり、数平均分子量が3000以上である非イオン性界面活性剤を含む、バイオフィルム用分散剤が開示されており、当該バイオフィルム用分散剤は発泡の問題を解決し得ることが開示されている。
しかしながら、上記バイオフィルム用分散剤は、本願発明者らが見出した有機物汚れのコントロール剤に含まれる界面活性剤と比較して低いHLB値の界面活性剤を使用しており、このような低いHLB値の界面活性剤は発泡し難い性質を有することはよく知られている。すなわち、低HLB値の界面活性剤を使用した従来のバイオフィルム用分散剤を使用する場合、本願発明に係る水処理プロセスの水系への投入により発泡が生じるという課題自体が生じない。
【0009】
(1)本発明は、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)とHLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする有機物汚れのコントロール剤である。
(2)また、本発明は、上記ノニオン性界面活性剤(A)のHLB値が11.5以上13.5以下である(1)記載の有機物汚れのコントロール剤である。
(3)本発明は、上記(1)又は(2)記載の有機物汚れのコントロール剤を用いて水系の有機物汚れを処理することを特徴とする有機物汚れのコントロール方法でもある。
(4)また、本発明は、当該水系に上記ノニオン性界面活性剤(A)の濃度が0.01mg/L以上500mg/L以下、上記ノニオン性界面活性剤(B)の濃度が0.01mg/L以上500mg/L以下となるように添加する上記(3)記載の有機物汚れのコントロール方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、一又は複数の実施形態において、発泡を極力抑え、かつ有機物汚れコントロール能を有するコントロール剤が得られるため、水処理プロセス等の水系にコントロール剤を投入した際の発泡による障害を軽減することができ、優れた有機物汚れコントロール能を発揮する。
また、本発明の有機物汚れのコントロール方法は、上述した本発明に係る有機物汚れコントロール剤を水系に使用するため、水系の発泡を極力抑え、かつ有機物汚れをコントロールすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【0012】
本発明は、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)とHLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)とを含有する有機物汚れのコントロール剤(以下、単にコントロール剤ともいう)である。
【0013】
(ノニオン性界面活性剤(A))
本発明のコントロール剤は、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)を含有する。
上記ノニオン性界面活性剤(A)の疎水基の構造については特に制限はなく、例えば、直鎖アルキル、分岐アルキル、アルキルアミン、アルキルフェノール等が挙げられる。
【0014】
本発明におけるノニオン性界面活性剤(A)は、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、ポリオキシブチレン単位から選択される少なくとも1種類のランダム重合ポリマーであってもよく、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックポリマー、ポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレンブロックポリマーであってもよい。
また。ノニオン性界面活性剤(A)がブロックポリマーである場合の構造は、本発明の効果を損なわない限りにおいてポリ(オキシアルキレン)単位の順番に制限はなく、例えば、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシブチレン単位及びポリオキシプロピレン単位のいずれの単位も、ポリマー末端に位置することができる。
これらのノニオン性界面活性剤(A)は、公知の方法で作製できるが、市販されているものを用いてもよい。
【0015】
上記ノニオン性界面活性剤(A)は、数平均分子量や、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位及びオキシブチレン単位の質量比等を調整することにより多様な構造をとる。水中での発泡性あるいはバイオフィルムの抑制能を、机上試験あるいは実際の工場プロセスで評価することにより、上記数平均分子量や質量比などを適宜調整することで、最適な構造のポリマーを選定することができる。
【0016】
<構成単位比率>
本発明において、上記ノニオン性界面活性剤(A)は、オキシエチレン単位と、オキシブチレン単位及びオキシプロピレン単位の一方又は両方とを有することが好ましい。
【0017】
<HLB値>
上記ノニオン性界面活性剤(A)のHLB値(親水性-疎水性バランス値)は、グリフィン法により測定された値であり、8以上14以下である。界面活性剤の構造やHLB値は、LC/MS分析等の公知の分析方法により特定できる。上記ノニオン性界面活性剤(A)のHLB値は8以上であることで、例えば、「工業用用水と洗浄技術」(辻鳶著(1975))に「水系では8~18が効果を示す」と記載されているように界面活性剤としての効果を奏する。一方で、上述した特開2020-176084号公報の段落0018に「上記HLB値が7.0を超えると、水処理プロセスにバイオフィルム分散剤を投入した際、十分に発泡を抑制することができず、発泡による障害を引き起こすおそれがある。」と記載されいるように、HLB値が8以上の界面活性剤は発泡の問題が生じていたが、本発明に係る構成とすることで発泡のような問題を引き起こすことなく使用できる。
また、ノニオン性界面活性剤(A)の上記HLB値が14を超えると、水処理プロセスの水系に本発明に係る有機物汚れのコントロール剤を投入した際、十分に発泡を抑制することができず、発泡による障害を引き起こしてしまう。上記ノニオン性界面活性剤(A)の分散性、抑泡能及び有機物汚れコントロール能の観点から、上記HLB値は11. 5 以上13.5以下であることが好ましい。
【0018】
(ノニオン性界面活性剤(B))
本発明のコントロール剤は、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)を含有する。
上記ノニオン性界面活性剤(B)は、HLB値が17.5以上となるよう調整した以外は、上述したノニオン性界面活性剤(A)と同様のものが挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤(B)のHLB値が17.5以上であることで、上述したノニオン性界面活性剤(A)との併用により優れた抑泡能及び有機物汚れコントロール能を得ることができる。
【0019】
(任意成分)
本発明のコントロール剤は、上述のノニオン性界面活性剤(A)、ノニオン性界面活性剤(B)のみで本発明の効果を発揮することができるが、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、該ノニオン性界面活性剤(A)及びノニオン性界面活性剤(B)以外の任意成分を含むことができる。
上記任意成分としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒や分散剤などが挙げられる。
【0020】
本発明に係る有機物汚れのコントロール剤を用いて水系の処理することで、発泡を抑制しつつ有機物汚れを抑制できる。このような本発明に係る有機物汚れのコントロール剤を用いて水系の有機物汚れを処理する有機物汚れのコントロール方法もまた、本発明の一つである。
【0021】
本発明の有機物汚れのコントロール方法は、上述した本発明に係る有機物汚れのコントロール剤を水系に添加し、該水系の有機物汚れを処理する。
【0022】
本発明において、「水系」とは、配管等の人工的に構築された系中を流れる水の系統を意味し、本発明の有機物汚れのコントロール方法は、具体的には、上述の本発明に係るコントロール剤を、有機物汚れが発生するおそれのある装置に用いられる水系、例えば、各種工場のプラント冷却水系、スクラバー水系、紙パルプ水系、廃水処理水系、排水処理水系、鉄鋼水系、切削油水系、及びRO膜等の分離膜を用いた膜処理プロセス水系等に添加する方法である。
本発明に係る有機物汚れのコントロール剤を水系に添加することで、有機物汚れコントロール能が発現され、また本発明に係る有機物汚れのコントロール剤は発泡性が低いため、発泡による障害を軽減することができる。
【0023】
上記水系中の本発明に係る有機物汚れのコントロール剤の濃度は、有機物汚れコントロール能及び抑泡能の観点から、好ましくはノニオン性界面活性剤(A)の濃度が0.01mg/L以上500mg/L以下、ノニオン性界面活性剤(B)の濃度が0.01mg/L以上500mg/L以下となるように添加する。
添加する水系の水温は、各装置の運転時の水温の範囲で用いることができるが、好ましくは20~50℃である。
【0024】
本発明に係る有機物汚れコントロール剤の上記水系への添加の方法としては特に限定されず、例えば、上記コントロール剤をそのまま添加する、あるいは添加する水系の一部と混合したものを添加する等、連続添加でも、バッチ添加でも可能である。
また、スライム等の有機物汚れの付着を予防する観点から、有機物汚れが付着する前に予め本発明に係る有機物汚れコントロール剤を水系へ添加してもよい。
なお、本発明に係る有機物汚れコントロール剤は、単独で用いてもよく、構成の異なる2種以上を併用してもよい。
【0025】
また、本発明の有機物汚れコントロール方法は、上述のコントロール剤と共に、本発明の効果が損なわれない範囲で添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、上述の本発明に係る有機物汚れコントロール剤以外のスライム抑制剤、殺菌剤、防食剤、スケール抑制剤、分散剤、及び消泡剤等が挙げられる。該添加剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明の有機物汚れコントロール方法は、更に濾過機等の各種水処理機器との併用も可能である。
【実施例
【0026】
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1~8、比較例1~3)
[抑泡能確認試験]
下記表1記載の薬剤1(HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC))、薬剤2(HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA))を、表2記載の濃度で大阪市水に添加した試験水を調製し、容量100mLの比色管に50mL入れた。なお、HLB値が15.5のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルAは、薬剤1又は薬剤2として比較例1又は比較例2で使用した。
次いで、比色管に蓋をして「逆さまにした後戻す操作」を10回繰り返した直後の泡体積(以下、「併用値」ともいう)を記録した。
【0028】
薬剤1、2を併用した場合の泡体積の低減効果を以下の方法で評価した。
各実施例及び比較例で使用した薬剤1又は薬剤2を単独で使用した以外は各実施例及び比較例と同じ条件で試験水を調製し、泡体積(以下。「単独値」ともいう)を記録した。なお、薬剤1又は薬剤2の濃度は、各実施例又は比較例で併用した薬剤1、2の合計濃度と同じ濃度となるように調整した。
併用値と単剤値とを比較し、以下の基準で評価した。
併用値が単剤値のいずれよりも低い:〇
併用値と単剤値のいずれか一方と同値:=
併用値が単剤値のいずれか一方より高い:×
【0029】
また、薬剤1、2を併用した場合の泡体積の泡低減率(%)を以下の方法で算出した。
泡低減率(%)={(単剤値の低い方の値-併用値)/単剤値の低い方の値}×100
【0030】
また、薬剤1、2を併用した場合の泡体積の低減泡体積を以下の式で求めた。
低減泡体積=単剤値の低い方の値-併用値
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表2に示したように、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)と、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)とを併用した実施例に係る試験水は、全ての試験区で優れた泡低減効果が見られた。一方、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)と、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)とを併用しなかった比較例に係る試験区では泡低減効果が見られず、むしろ増加傾向にあった。
【0034】
(実施例9~14、比較例4~6)
下記表3記載の濃度となるように薬剤1、2を大阪市水に添加し、泡体積の確認を10秒後にした以外は実施例1と同様にし、薬剤1、2を併用した場合の泡体積の低減効果を評価した。
【0035】
【表3】
【0036】
表3に示したように、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)と、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)とを併用した実施例に係る試験水は、配合比率がノニオン性界面活性剤(A):ノニオン性界面活性剤(B)=1:10~100:1の試験区で泡低減効果が見られた。一方、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)と、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)とを併用しなかった比較例に係る試験区では泡低減効果が見られず、むしろ増加傾向にあった。
【0037】
(実施例15~18、比較例7)
大阪市水に代えて国内某工場Aより採取した循環補給水を7倍に濃縮した濃縮水を使用し、下記表4記載の濃度となるように薬剤1、2を濃縮水に添加した以外は実施例1と同様にし、薬剤1、2を併用した場合の泡体積の低減効果を評価した。
なお、泡体積の確認は直後と10秒後とでそれぞれ行った。
【0038】
【表4】
【0039】
表4に示したように、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)と、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)とを併用した実施例に係る試験水は、工場で採取した補給水の濃縮水であっても全ての試験区で泡低減効果が見られた。一方、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)と、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)とを併用しなかった比較例に係る試験区では泡低減効果が見られず、むしろ増加傾向にあった。
【0040】
なお、HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルA、B又はC)、及び、HLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルD又はポリオキシエチレンラウリルアミンA)がバイオフィルム、皮脂汚れや油汚れ等の有機物汚れの分散効果を有するものである(例えば、米国特許第6039965号明細書、Table4のHLB値、及び、Table7及び8等参照)。

【要約】
【課題】有機物汚れコントロール能を有し、水処理プロセスの水系に有機物汚れコントロール剤を投入した際、発泡性が低く、発泡による障害を軽減することができる有機物汚れのコントロール剤を提供する。
【解決手段】HLB値が8以上14以下のノニオン性界面活性剤(A)とHLB値が17.5以上のノニオン性界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする有機物汚れのコントロール剤。
【選択図】なし