(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】圧着装置および圧着方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240329BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2020024672
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】足立 聡
(72)【発明者】
【氏名】浜田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】辻 慎治郎
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-215953(JP,A)
【文献】特開平11-121532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60-21/607
H01L 21/50-21/52
H01L 21/58
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ部品を基板に圧着するための複数の圧着ヘッドと、
前記複数の圧着ヘッドのそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持するヘッド保持部と、
前記第1方向に沿ってロッドを進退させるシリンダと、
前記第1方向と交差する第2方向における前記ヘッド保持部と前記ロッドとの相対位置を変更可能にするための機構を有し、前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ヘッドのうち、進出する前記ロッドによって前記第1方向に沿って押圧される圧着ヘッドを選択的に切り替える位置変更部と、
複数の圧着ユニットとを備え、
前記複数の圧着ユニットのそれぞれは、前記ヘッド保持部に保持される前記複数の圧着ヘッドと、前記シリンダおよび前記ロッドを含むヘッド駆動機構とを有し、
前記位置変更部は、
前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドと前記ロッドとの相対位置を一括して変更する、
圧着装置。
【請求項2】
前記複数の圧着ヘッドのそれぞれは、前記基板に圧着される部品に接するツールを有し、
前記複数の圧着ヘッドのそれぞれのツールの形態は互いに異なる、
請求項1に記載の圧着装置。
【請求項3】
前記第1方向は鉛直方向であって、
前記シリンダは、
前記ロッドを進出させることによって、前記複数の圧着ヘッドのうちの何れか1つの圧着ヘッドを鉛直方向に押圧する、
請求項1または2に記載の圧着装置。
【請求項4】
前記第2方向は水平方向であって、
前記位置変更部は、
水平方向に沿って前記ヘッド保持部を移動させることによって、前記相対位置を変更する、
請求項1~3の何れか1項に記載の圧着装置。
【請求項5】
前記位置変更部は、
前記ヘッド保持部を前記第2方向に移動させることによって、前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドと前記ロッドとの相対位置を一括して変更する、
請求項
1~4の何れか1項に記載の圧着装置。
【請求項6】
前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドは、前記第2方向に沿って等間隔に配置され、
前記複数の圧着ヘッドが互いに離間して配置される間隔は、前記複数の圧着ユニットのそれぞれで等しい、
請求項
1~5の何れか1項に記載の圧着装置。
【請求項7】
それぞれ部品を基板に圧着するための複数の圧着ヘッドと、
前記複数の圧着ヘッドのそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持するヘッド保持部と、
前記第1方向に沿ってロッドを進退させるシリンダと、
前記第1方向と交差する第2方向における前記ヘッド保持部と前記ロッドとの相対位置を変更可能にするための機構を有し、前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ヘッドのうち、進出する前記ロッドによって前記第1方向に沿って押圧される圧着ヘッドを選択的に切り替える位置変更部と、
前記複数の圧着ヘッドのそれぞれについて、当該圧着ヘッドに固定されるブラケットであって、当該圧着ヘッドを押圧する前記ロッドに係合するための前記ブラケットと、
を備え
る圧着装置。
【請求項8】
前記ブラケットは、当該ブラケットに固定されている前記圧着ヘッドの端部であって、前記ロッドに押圧される前記端部から、前記第1方向に離間して配置される略板状の係合部を有し、
前記係合部には、前記相対位置の変更によって前記ロッドの中間部が前記第2方向に沿って挿入される凹部が形成され、
前記ロッドの先端部は、前記中間部よりも幅広に形成され、
前記凹部に前記中間部が挿入された前記ロッドの進出によって、前記先端部は前記圧着ヘッドの前記端部を押圧し、
前記圧着ヘッドの前記ヘッド保持部による保持が解除された場合には、
前記凹部に前記中間部が挿入された前記ロッドの先端部は、前記係合部における前記凹部の周縁部と前記第1方向に係合する、
請求項
7に記載の圧着装置。
【請求項9】
前記複数の圧着ヘッドは、互いに隣り合う第1圧着ヘッドおよび第2圧着ヘッドを含み、
前記第1圧着ヘッドに固定されている前記ブラケットの前記凹部と、前記第2圧着ヘッドに固定されている前記ブラケットの前記凹部とは、互いに対向している、
請求項
8に記載の圧着装置。
【請求項10】
圧着装置による部品の圧着方法であって、
前記圧着装置は、複数の圧着ユニットとヘッド保持部とを備え、
前記複数の圧着ユニットのそれぞれは、
それぞれ部品を基板に圧着するための複数の圧着ヘッドと、
シリンダおよびロッドを含むヘッド駆動機構とを有し、
前記ヘッド保持部は、前記複数の圧着ユニットの各々に含まれる前記複数の圧着ヘッドのそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持
し、
前記圧着方法は、
前記第1方向と交差する第2方向における前記ヘッド保持部と
前記複数の圧着ユニットの各々の前記ロッドとの相対位置を変更することによって、
前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドと前記ロッドとの相対位置を一括して変更し、前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ユニットのそれぞれで、前記複数の圧着ヘッドのうち、前記ロッドによって押圧される圧着ヘッドを選択的に切り替える位置変更工程と、
前記複数の圧着ユニットのぞれぞれで、前記シリンダが前記第1方向に沿って前記ロッドを進出させることによって、選択的に切り替えられた前記圧着ヘッドを前記第1方向に沿って押圧する押圧工程と、
を含む圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に部品を圧着する圧着装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶パネル基板などの基板に電子部品(以下、単に「部品」と呼称する)を圧着する圧着装置が提供されている。
【0003】
このような圧着装置は圧着ヘッドを備える。圧着ヘッドは、ヘッド本体と、ヘッド本体の先端に取り付けられるツールとを有する。そして、圧着装置は、基板に仮圧着されている部品に、加熱されたツールを基板側へ押し当てることによって、その部品を基板に熱圧着する。
【0004】
また、特許文献1のインナーボンディング装置は、半導体素子の電極とテープキャリアのインナーリードとを熱圧着する2つ以上のボンディングツールを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
部品の圧着には、その部品に適した圧着条件が要求される。その部品に適した圧着条件は、例えばツールの形態または温度である。
【0007】
具体的には、互いに品種の異なる第1部品および第2部品があり、第1部品が基板に圧着される場合には、その第1部品に適した形態を有するツールがヘッド本体に取り付けられてその第1部品の圧着に用いられる。また、第2部品が基板に圧着される場合には、その第2部品に適した形態を有するツールがヘッド本体に取り付けられてその第2部品の圧着に用いられる。このように基板に圧着される部品の品種切替が行われる場合には、圧着ヘッドにおけるツールの交換および調整が、圧着条件の変更として行われる。
【0008】
したがって、互に圧着条件が異なる複数の部品の圧着が行われるときには、1つの圧着ヘッドの圧着条件をその部品に適した圧着条件に変更するための作業時間を要する。
【0009】
そこで、例えば、圧着装置が、特許文献1のインナーボンディング装置のように2つ以上のボンディングツールのそれぞれを圧着ヘッドとして備えていれば、その圧着条件の変更にかかる作業時間を削減することができる。つまり、圧着装置は、第1圧着条件を要する部品の圧着に用いられる圧着ヘッドと、第2圧着条件を要する部品の圧着に用いられる圧着ヘッドとを予め備えておくことにより、それらの圧着条件の変更にかかる作業時間を削減することができる。
【0010】
しかしながら、複数の圧着ヘッドを圧着装置に単純に備えれば、それらの圧着ヘッドの数だけ、その圧着ヘッドを駆動するための機構が必要になり、圧着装置が大型化してしまう可能性がある。
【0011】
そこで、本開示では、大型化を抑えながら、部品の圧着条件の変更にかかる作業時間を削減することができる圧着装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様に係る圧着装置は、それぞれ部品を基板に圧着するための複数の圧着ヘッドと、前記複数の圧着ヘッドのそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持するヘッド保持部と、前記第1方向に沿ってロッドを進退させるシリンダと、前記第1方向と交差する第2方向における前記ヘッド保持部と前記ロッドとの相対位置を変更可能にするための機構を有し、前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ヘッドのうち、進出する前記ロッドによって前記第1方向に沿って押圧される圧着ヘッドを選択的に切り替える位置変更部と、を備える。
【0013】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示の圧着装置は、大型化を抑えながら、部品の圧着条件の変更にかかる作業時間を削減することができる。
【0015】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における部品実装ラインの平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における部品実装ラインに備えらえている、コンピュータと、そのコンピュータによって制御される各構成要素とを示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における圧着装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における圧着装置に含まれる本圧着部の一例を示す外観斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態における圧着装置の動作の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における圧着装置に含まれる各構成要素と部品との位置関係の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態における圧着方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例に係る圧着装置に備えられる4つのブラケットの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例に係る圧着装置に含まれる各構成要素と部品との位置関係の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例に係る圧着装置の部分断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の一態様に係る圧着装置は、それぞれ部品を基板に圧着するための複数の圧着ヘッドと、前記複数の圧着ヘッドのそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持するヘッド保持部と、前記第1方向に沿ってロッドを進退させるシリンダと、前記第1方向と交差する第2方向における前記ヘッド保持部と前記ロッドとの相対位置を変更可能にするための機構を有し、前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ヘッドのうち、進出する前記ロッドによって前記第1方向に沿って押圧される圧着ヘッドを選択的に切り替える位置変更部と、を備える。例えば、前記第1方向は鉛直方向であって、前記シリンダは、前記ロッドを進出させることによって、前記複数の圧着ヘッドのうちの何れか1つの圧着ヘッドを鉛直方向に押圧してもよい。また、前記第2方向は水平方向であって、前記位置変更部は、水平方向に沿って前記ヘッド保持部を移動させることによって、前記相対位置を変更してもよい。
【0018】
これにより、複数の圧着ヘッドが圧着装置に備えられているため、それらの複数の圧着ヘッドを圧着条件に応じて使い分けることができる。したがって、圧着される複数の部品のそれぞれの圧着条件が異なるために、それらの圧着条件の切り替えが必要な場合であっても、その圧着条件を満たす圧着ヘッドを用いれば、その圧着条件を要する部品を短時間で基板に圧着することができる。つまり、1つの圧着ヘッドで実現可能な圧着条件をその部品に適した圧着条件に変更する作業時間を省くことができる。
【0019】
さらに、第2方向におけるヘッド保持部とロッドとの相対位置の変更によって、部品の圧着のためにロッドによって押圧される圧着ヘッドが選択的に切り替えられるため、圧着装置の大型化を抑えることができる。すなわち、複数の圧着ヘッドのそれぞれに対してシリンダおよびロッドを設ける必要性をなくすことができる。
【0020】
したがって、圧着装置の大型化を抑えながら、部品の圧着条件の変更にかかる作業時間を削減することができる。
【0021】
また、前記複数の圧着ヘッドのそれぞれは、前記基板に圧着される部品に接するツールを有し、前記複数の圧着ヘッドのそれぞれのツールの形態は互いに異なってもよい。
【0022】
これにより、基板に圧着される部品の品種切替が行われる場合であっても、その部品に適した形態のツールを有する圧着ヘッドを用いれば、わざわざ圧着ヘッドのツールの交換および調整を行うことなく、その部品を基板に圧着することができる。その結果、部品の品種切替にかかる作業時間を削減することができる。
【0023】
また、前記圧着装置は、複数の圧着ユニットを備え、前記複数の圧着ユニットのそれぞれは、前記ヘッド保持部に保持される前記複数の圧着ヘッドと、前記シリンダおよび前記ロッドを含むヘッド駆動機構とを有し、前記位置変更部は、前記相対位置の変更によって、前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドと前記ロッドとの相対位置を一括して変更してもよい。例えば、前記位置変更部は、前記ヘッド保持部を前記第2方向に移動させることによって、前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドと前記ロッドとの相対位置を一括して変更してもよい。
【0024】
これにより、複数の圧着ユニットのそれぞれにおいて、例えば部品の品種切替にかかる作業時間を効率的に削減することができる。
【0025】
また、前記複数の圧着ユニットのそれぞれに含まれる前記複数の圧着ヘッドは、前記第2方向に沿って等間隔に配置され、前記複数の圧着ヘッドが互いに離間して配置される間隔は、前記複数の圧着ユニットのそれぞれで等しくてもよい。
【0026】
これにより、複数の圧着ヘッドが互いに離間して配置される間隔が、複数の圧着ユニットのそれぞれで等しいため、複数の圧着ユニットのそれぞれで行われる、第1方向に沿って押圧される圧着ヘッドの切り替えを同時に、かつ適切に行うことができる。
【0027】
また、前記圧着装置は、さらに、前記複数の圧着ヘッドのそれぞれについて、当該圧着ヘッドに固定されるブラケットであって、当該圧着ヘッドを押圧する前記ロッドに係合するための前記ブラケットを備えてもよい。例えば、前記ブラケットは、当該ブラケットに固定されている前記圧着ヘッドの端部であって、前記ロッドに押圧される前記端部から、前記第1方向に離間して配置される略板状の係合部を有し、前記係合部には、前記相対位置の変更によって前記ロッドの中間部が前記第2方向に沿って挿入される凹部が形成され、前記ロッドの先端部は、前記中間部よりも幅広に形成され、前記凹部に前記中間部が挿入された前記ロッドの進出によって、前記先端部は前記圧着ヘッドの前記端部を押圧し、前記圧着ヘッドの前記ヘッド保持部による保持が解除された場合には、前記凹部に前記中間部が挿入された前記ロッドの先端部は、前記係合部における前記凹部の周縁部と前記第1方向に係合してもよい。
【0028】
これにより、このブラケットがロッドに係合することによって、そのブラケットに固定されている圧着ヘッドの落下を抑制することができる。
【0029】
また、前記複数の圧着ヘッドは、互いに隣り合う第1圧着ヘッドおよび第2圧着ヘッドを含み、前記第1圧着ヘッドに固定されている前記ブラケットの前記凹部と、前記第2圧着ヘッドに固定されている前記ブラケットの前記凹部とは、互いに対向していてもよい。
【0030】
これにより、ヘッド保持部が第2方向の何れの向きに移動しても、第1圧着ヘッドおよび第2圧着ヘッドのうちの何れか1つの圧着ヘッドのブラケットの凹部に、ロッドの中間部を挿入することができる。その結果、そのブラケットをロッドに係合可能な状態にさせることができ、そのブラケットに固定されている圧着ヘッドの落下を抑制することができる。
【0031】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0032】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略矩形などの表現を用いている。例えば、略矩形は、完全に矩形であることを意味するだけでなく、実質的に矩形である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0033】
(実施の形態)
[部品実装ラインの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
【0034】
本実施の形態における部品実装ライン1は、液晶パネル基板や有機EL(Electro-Luminescence)パネル基板などのディスプレイパネル基板である基板3に部品5を実装することによってディスプレイパネルを生産するシステムである。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的には、部品実装ライン1は、
図1に示すように、基板搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、基板搬出部50とを有する。基板搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および基板搬出部50は、この順で連結されている。
【0035】
基板搬入部10は、作業者または上流側の他の装置から搬入される矩形の基板3を受け取る。そして、その基板3は下流側の貼着部20に搬出される。
【0036】
貼着部20は、基板搬入部10から搬出された基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれに接着部材を貼着する。そして、その接着部材が貼着された基板3は仮圧着部30に搬出される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。また、接着部材は、例えば、異方性導電部材、すなわちACF(Anisotropic Conductive Film)テープである。
【0037】
仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3の接着部材が貼着されている部位に部品5を搭載して仮圧着する。そして、その部品5が仮圧着された基板3は本圧着部40に搬出される。
【0038】
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着、すなわち熱圧着を行う。そして、その本圧着が行われた基板3は基板搬出部50に搬出される。
【0039】
基板搬出部50は、本圧着部40から搬出された基板3を受け取る。基板搬出部50に受け取られた基板3は下流側に搬出される。
【0040】
このように、部品実装ライン1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3を基板搬出部50から搬出する。
【0041】
[部品実装ラインの詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品実装ライン1の平面図である。具体的には、
図2は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板の搬送方向をX軸方向と称し、鉛直方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
【0042】
基板搬入部10は、搬入される基板3を載置するための基台1aを備える。基板搬入部10の基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
【0043】
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACFを貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22とを備える。
【0044】
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
【0045】
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
【0046】
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
【0047】
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、ACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の複数の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
【0048】
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、部品移動部35とを備える。
【0049】
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージである下受け部36の上方に位置させる。
【0050】
部品供給部33は、部品搭載機構32の奥側方(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33は、部品5を部品移動部35に供給する。部品5は、例えばTCP(Tape carrier package)部品またはIC(Integrated Circuit)部品である。
【0051】
部品5がTCP部品である場合、部品供給部33は、TCPが巻き付けられた供給リールを備え、その供給リールから引き出されるTCPの先頭側から順に、そのTCPに配設されているTCP部品を打ち抜く。そして、部品供給部33は、その打ち抜かれたTCP部品を部品移動部35に供給する。
【0052】
部品5がIC部品である場合、部品供給部33は、段積みされている複数のトレイを備える。これらの複数のトレイのそれぞれには、複数のIC部品がマトリクス状に載置されている。そして、部品供給部33は、複数のトレイから何れかのトレイを選択して、その選択されたトレイごと、そのトレイに載置されている複数のIC部品を部品移動部35に供給する。
【0053】
部品移動部35は、部品供給部33から供給される部品5を、部品搭載機構32に含まれる仮圧着ヘッド34側に移動させる。
【0054】
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、仮圧着ヘッド34と下受け部36とを備える。
【0055】
下受け部36は、ステージ37に保持されている基板3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、基板3においてACFが貼着されている部位である。
【0056】
仮圧着ヘッド34は、部品5を保持し、下受け部36によって支持されている圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、仮圧着ヘッド34は、Z軸方向に昇降し、部品移動部35によって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、仮圧着ヘッド34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごと下受け部36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。なお、仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持されている基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
【0057】
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着、すなわち熱圧着する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
【0058】
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の圧着支持部の上方に位置させる。
【0059】
圧着機構42は、圧着支持部と本圧着ヘッドとを備え、その本圧着ヘッドの加熱されたツールで、基板3に仮圧着されている部品5を圧着支持部側に押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
【0060】
基板搬出部50は、本圧着部40から搬送された基板3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
【0061】
ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、ステージ51は、本圧着部40から移送された基板3をその上面で真空吸着して保持する。
【0062】
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入部10に搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、基板搬出部50へこの順に受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置されている。
【0063】
搬送部60は、基台1a、基台1b、および、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、および、基板搬送機構62Dを備えている。
【0064】
基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。
【0065】
基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。
【0066】
基板搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51から基板3の受け取りまたは受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入部10のステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30のステージ37から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出部50のステージ51に受け渡す。
【0067】
図3は、部品実装ライン1に備えらえている、コンピュータと、そのコンピュータによって制御される各構成要素とを示す図である。
【0068】
部品実装ライン1は、
図3に示すようにコンピュータ2を備える。このコンピュータ2は、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および搬送部60などと例えば制御線によって通信可能に接続され、これらの各部を制御する。コンピュータ2は、制御部2aと、記憶部2bとを備える。
【0069】
記憶部2bは、基板3のサイズ、基板3に実装される部品5の種類、実装位置、実装方向、および、基板3を移送するタイミング等の部品実装作業に必要な各種データと、制御部2aが実行する制御プログラム等とを記憶する。記憶部2bは、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。
【0070】
制御部2aは、貼着部20の基板移動機構21、仮圧着部30の基板移動機構31、本圧着部40の基板移動機構41、および搬送部60を制御して、基板3を各部間で次の工程へ移送する基板移送作業を実行する。基板移送作業における上流側から下流側への基板3の移送は、各部間で同期して行われる。
【0071】
例えば、制御部2aは、貼着部20を制御することで、基板移動機構21によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、ヘッド移動モータによって複数の貼着ヘッドの間隔を変更し、貼着機構22によって基板3にACFを貼着する貼着作業を貼着部20に実行させる。
【0072】
また、例えば、制御部2aは、仮圧着部30を制御することで、基板移動機構31によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、部品5の基板3への仮圧着を部品搭載機構32に実行させる。また、制御部2aは、部品移動部35を制御することによって、基板3に仮圧着される部品5を部品搭載機構32側に移動させる。
【0073】
また、例えば、制御部2aは、本圧着部40を制御することで、基板移動機構41によって保持する基板3の向きおよび位置を変更し、基板3に仮圧着された部品5を圧着機構42に本圧着させる。
【0074】
このような制御部2aは、例えば、部品実装ライン1が有する各部および各機構を制御するための、記憶部2bに記憶されている制御プログラムと、その制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサとにより実現される。
【0075】
[圧着装置の構成]
図4は、本実施の形態における圧着装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0076】
圧着装置100は、部品実装ライン1における本圧着部40と、コンピュータ2の制御部2aとからなる。
【0077】
具体的には、圧着装置100は、制御部2aと、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。また、圧着機構42は、複数の本圧着ヘッド120と、ヘッド保持部110と、ヘッド駆動機構150と、圧着支持部141と、位置変更部130とを備える。
【0078】
複数の本圧着ヘッド120のそれぞれは、部品5を基板3に圧着するためのヘッドである。なお、後述のように、本実施の形態では、その複数の本圧着ヘッド120には、2種類の本圧着ヘッド120aおよび120b(
図5参照)が含まれる。また、圧着装置100で行われる圧着は、本圧着、すなわち熱圧着である。
【0079】
ヘッド保持部110は、その複数の本圧着ヘッド120をスライド自在に保持する。
【0080】
ヘッド駆動機構150は、シリンダ151およびロッド152を有し、複数の本圧着ヘッド120のうちの何れか1つの本圧着ヘッド120をスライドさせて押し下げる機能、すなわち本圧着ヘッド120を押圧する機能を有する。この押し下げられた本圧着ヘッド120によって、部品5が基板3に圧着される。
【0081】
位置変更部130は、ヘッド保持部110を移動させることによって、ヘッド保持部110とロッド152との相対位置を変更する。
【0082】
圧着支持部141は、基板移動機構41のステージ49に吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を下側から支持する。
【0083】
図5は、本実施の形態における圧着装置100に含まれる本圧着部40の一例を示す外観斜視図である。
【0084】
基板移動機構41は、ステージ49に吸着保持されている基板3を、上述のようにX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動させたり、Z軸回りに回転させたりすることによって、基板3の部品5が仮圧着された領域を圧着支持部141に下側から支持させる。本圧着部40は、このように基板3の部品5が仮圧着された領域が圧着支持部141に支持されている状態で、その部品5を基板3に熱圧着する。なお、
図5に示す例では、2枚の基板3がステージ49に保持吸着され、それぞれの基板3における部品5が仮圧着された領域が、圧着支持部141に支持されている。そして、このような状態で、本圧着部40は、それぞれの基板3の部品5を熱圧着する。
【0085】
ここで、本実施の形態における圧着装置100の本圧着部40は、例えば
図5に示すように、2つの本圧着ヘッド120aと2つの本圧着ヘッド120bとをそれぞれ上述の本圧着ヘッド120として備える。
【0086】
本圧着ヘッド120aは、ヘッド本体121と、そのヘッド本体121の下端に取り付けられる例えばIC部品用のツール122aとを備える。また、本圧着ヘッド120bは、ヘッド本体121と、そのヘッド本体121の下端に取り付けられる例えばTCP部品用のツール122bとを備える。IC部品用のツール122aは、IC部品として構成されている部品5を適切に押圧可能な形態に構成され、TCP部品用のツール122bは、TCP部品として構成されている部品5を適切に押圧可能な形態に構成されている。したがって、TCP部品用のツール122bは、IC部品用のツール122aよりも大きい。
【0087】
なお、ツール122aを有する本圧着ヘッド120は、以下、IC部品用の本圧着ヘッド120aとも称され、ツール122bを有する本圧着ヘッド120は、以下、TCP部品用の本圧着ヘッド120bとも称される。
【0088】
このように本実施の形態における4つの本圧着ヘッド120のそれぞれは、基板3に圧着される部品5に接するツール122aまたは122bを有し、ツール122aとツール122bとのそれぞれの形態は互いに異なる。
【0089】
また、4つの本圧着ヘッド120のそれぞれのヘッド本体121の上端には、ロッド152に当接する凸部123が形成されている。
【0090】
ヘッド保持部110は、4つの本圧着ヘッド120、すなわち2つの本圧着ヘッド120aと2つの本圧着ヘッド120bとを保持する。具体的には、ヘッド保持部110は、4つの本圧着ヘッド120がX軸方向に沿って配列された状態で、これらの本圧着ヘッド120を保持する。より具体的には、ヘッド保持部110は、本圧着ヘッド120aと本圧着ヘッド120bとが交互に配列された状態で、これらの本圧着ヘッド120を保持する。なお、これらの4つの本圧着ヘッド120のそれぞれは、X軸方向に沿って、その本圧着ヘッド120のツール122aまたは122bが下側に向けられた状態で保持される。
【0091】
また、ヘッド保持部110は、その4つの本圧着ヘッド120のそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持する。本実施の形態では、第1方向は、Z軸方向すなわち鉛直方向である。例えば、ヘッド保持部110は、それらの本圧着ヘッド120のそれぞれをバネ112で吊り下げることによって、その本圧着ヘッド120をZ軸方向に沿ってスライド自在に保持する。具体的には、ヘッド保持部110は、例えば
図5に示すように略矩形板状の部材からなる。そして、ヘッド保持部110のY軸方向に垂直な2つの面のうちの負側の面には、それぞれZ軸方向に沿う4つの溝111が形成されている。これらの4つの溝111のそれぞれには上述のバネ112が嵌め込まれている。バネ112の上端は、溝111内の上端部に接続され、バネ112の下端は、ヘッド本体121の背面上端側に接続されている。これにより、4つの本圧着ヘッド120のそれぞれは、バネ112によってZ軸方向に沿ってスライド自在に保持される。
【0092】
また、本実施の形態における圧着装置100の本圧着部40は、例えば
図5に示すように、2つのヘッド駆動機構150を有する。つまり、本圧着部40は、それぞれシリンダ151およびロッド152を含む2つのヘッド駆動機構150を備える。これらの2つのヘッド駆動機構150は、例えばX軸方向に沿って配置されている。
【0093】
シリンダ151は、ロッド152をZ軸方向に沿わせた状態でそのロッド152の上端を保持し、第1方向であるZ軸方向に沿ってそのロッド152を進退させる。
【0094】
シリンダ151は、そのロッド152を下側に進出させることによって、4つの本圧着ヘッド120のうちの何れか1つの本圧着ヘッド120を鉛直方向下側に押圧する。ここで、ロッド152の下端にある先端部153は、幅広に形成されている。上述のようにシリンダ151によってロッド152が下側に進出すると、そのロッド152の先端部153は、何れか1つの本圧着ヘッド120のヘッド本体121の上端に形成されている凸部123に点接触し、その凸部123を下側に押圧する。これにより、その本圧着ヘッド120は鉛直方向下側に押圧されてスライドする。
【0095】
位置変更部130は、上述の第1方向と交差する第2方向におけるヘッド保持部110とロッド152との相対位置を変更可能にするための機構を有する。そして、位置変更部130は、その相対位置の変更によって、4つの本圧着ヘッド120のうち、進出するロッド152によって第1方向に沿って押圧される本圧着ヘッド120を選択的に切り替える。本実施の形態では、第2方向は水平方向であって、位置変更部130は、水平方向に沿ってヘッド保持部110を移動させることによって、その相対位置を変更する。具体的には、位置変更部130は、例えばモータなどのアクチェータを備え、そのアクチェータによってヘッド保持部110をX軸方向に移動させる。その結果、2つのヘッド駆動機構150は固定されているため、それらの2つのヘッド駆動機構150のそれぞれに含まれるロッド152とヘッド保持部110との相対位置が変更される。
【0096】
したがって、位置変更部130は、その相対位置の変更によって、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのロッド152の下側への進出によって押圧される本圧着ヘッド120を選択的に切り替えることができる。つまり、位置変更部130は、その押圧される本圧着ヘッド120を、IC部品用の本圧着ヘッド120aと、TCP部品用の本圧着ヘッド120bとに切り替えることができる。
【0097】
[圧着装置の動作]
図6は、本実施の形態における圧着装置100の動作の一例を示す図である。
【0098】
例えば、圧着装置100の制御部2aは、基板3に圧着される部品5がIC部品である場合には、
図6の(a)に示すように、位置変更部130を制御することによって、ヘッド保持部110をX軸方向正側に移動させる。つまり、X軸方向におけるヘッド保持部110とロッド152との相対位置が変更される。これにより、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのロッド152の先端部153は、ヘッド保持部110に保持されているIC部品用の本圧着ヘッド120aの凸部123に対してZ軸方向に対向する。そして、制御部2aは、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのシリンダ151を制御することによって、そのシリンダ151に対応するロッド152をZ軸方向負側(すなわち下側)に進出させる。
【0099】
その結果、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのロッド152の先端部153は、その先端部153に対向する本圧着ヘッド120aの凸部123に点接触しながら、その本圧着ヘッド120aをZ軸方向負側に押圧する。これにより、2つのIC部品用の本圧着ヘッド120aは、例えば
図5に示すバネ112を引き延ばしてバネ112の張力に逆らいながら、Z軸方向負側にスライドする。そして、スライドする本圧着ヘッド120aのツール122aは、基板3に仮圧着されている部品5、すなわちIC部品を押圧する。また、このときには、ツール122aは、例えば内蔵されているヒータによって加熱されている。したがって、加熱されたツール122aは、そのIC部品を押圧することによって、そのIC部品を基板3に熱圧着する。
【0100】
一方、圧着装置100の制御部2aは、基板3に圧着される部品5がTCP部品である場合には、
図6の(b)に示すように、位置変更部130を制御することによって、ヘッド保持部110を(a)に示す例とは逆方向に、すなわちX軸方向負側に移動させる。つまり、X軸方向におけるヘッド保持部110とロッド152との相対位置が変更される。これにより、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのロッド152の先端部153は、ヘッド保持部110に保持されているTCP部品用の本圧着ヘッド120bの凸部123に対してZ軸方向に対向する。そして、制御部2aは、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのシリンダ151を制御することによって、そのシリンダ151に対応するロッド152をZ軸方向負側(すなわち下側)に進出させる。
【0101】
その結果、2つのヘッド駆動機構150のそれぞれのロッド152の先端部153は、その先端部153に対向する本圧着ヘッド120bの凸部123に点接触しながら、その本圧着ヘッド120bをZ軸方向負側に押圧する。これにより、2つのTCP部品用の本圧着ヘッド120bは、例えば
図5に示すバネ112を引き延ばしてバネ112の張力に逆らいながら、Z軸方向負側にスライドする。そして、スライドする本圧着ヘッド120bのTCP部品用のツール122bは、基板3に仮圧着されている部品5、すなわちTCP部品を押圧する。また、このときには、ツール122bは、例えば内蔵されているヒータによって加熱されている。したがって、加熱されたツール122bは、そのTCP部品を押圧することによって、そのTCP部品を基板3に熱圧着する。
【0102】
ここで、本実施の形態では、2種類の本圧着ヘッド120aおよび120bと、ヘッド駆動機構150との組み合わせによって、圧着ユニットが構成されている。つまり、本実施の形態における圧着装置100は、2つの圧着ユニットu1およびu2を備える。2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれは、ヘッド保持部110に保持される2種類の本圧着ヘッド120aおよび120bと、シリンダ151およびロッド152を含むヘッド駆動機構150とを有する。
【0103】
したがって、位置変更部130は、ヘッド保持部110の相対位置の変更によって、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに含まれる2種類の本圧着ヘッド120aおよび120bとロッド152との相対位置を一括して変更する。具体的には、位置変更部130は、ヘッド保持部110を第2方向(具体的にはX軸方向)に移動させることによって、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに含まれる2種類の本圧着ヘッド120aおよび120bとロッド152との相対位置を一括して変更する。
【0104】
また、本実施の形態では、2種類の本圧着ヘッド120aおよび120bが互いに離間して配置される間隔、すなわち、本圧着ヘッド120aと本圧着ヘッド120bとの間のX軸方向の間隔は、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれで等しい。これにより、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれで行われる切り替え、すなわち、第1方向(具体的にはZ軸方向)に沿って押圧される本圧着ヘッド120の切り替えを同時に、かつ適切に行うことができる。具体的には、IC部品用の本圧着ヘッド120aと、TCP部品用の本圧着ヘッド120bとの切り替えを同時に、かつ適切に行うことができる。
【0105】
また、本実施の形態では、圧着ユニットu1およびu2のそれぞれは、2種類の本圧着ヘッド120aおよび120bを有するが、その本圧着ヘッド120の種類または数は、3つ以上であってもよい。この場合には、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに含まれる3つ以上の本圧着ヘッド120は、第2方向(すなわちX軸方向)に沿って等間隔に配置される。これにより、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに含まれる本圧着ヘッド120の種類または数が3つ以上であっても、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれで行われる本圧着ヘッド120の切り替えを同時に、かつ適切に行うことができる。
【0106】
図7は、本実施の形態における圧着装置100に含まれる各構成要素と部品5との位置関係の一例を示す図である。具体的には、
図7の(a)は、IC部品の圧着が行われるときの位置関係の一例を示し、
図7の(b)は、TCP部品の圧着が行われるときの位置関係の一例を示す。
【0107】
なお、
図7は、ヘッド保持部110およびシリンダ151などをY軸方向負側から見た状態を示すが、ステージ49、基板3および部品5については、それらをZ軸方向正側から見た状態を示す。また、
図7に示す例では、圧着装置100は2つのステージ49を備え、それらの2つのステージ49のそれぞれに基板3が吸着保持されている。
【0108】
例えば、圧着装置100の制御部2aは、基板3に圧着される部品5がIC部品である場合には、
図6の(a)に示す例と同様、
図7の(a)に示すように、位置変更部130を制御することによって、ヘッド保持部110をX軸方向正側に移動させる。これにより、それぞれIC部品用のツール122aを有する2つの本圧着ヘッド120aが、シリンダ151およびロッド152によって押圧されることが可能な状態になる。
【0109】
そして、制御部2aは、基板移動機構41の2つのステージ49のそれぞれを移動させる。これによって、ステージ49上の基板3に仮圧着されている部品5、すなわちIC部品が、IC部品用のツール122aのZ軸方向負側に対向するように配置される。なお、このときには、基板3において部品5が仮圧着されている部分は、圧着支持部141によって下側から支持されている。
【0110】
このように、IC部品である部品5の位置合わせが行われた後に、制御部2aは、2つのシリンダ151を制御することによって、2つの本圧着ヘッド120aのそれぞれに部品5の熱圧着を実行させる。
【0111】
一方、圧着装置100の制御部2aは、基板3に圧着される部品5がTCP部品である場合には、
図6の(b)に示す例と同様、
図7の(b)に示すように、位置変更部130を制御することによって、ヘッド保持部110をX軸方向負側に移動させる。これにより、それぞれTCP部品用のツール122bを有する2つの本圧着ヘッド120bが、シリンダ151およびロッド152によって押圧されることが可能な状態になる。
【0112】
そして、制御部2aは、基板移動機構41の2つのステージ49のそれぞれを移動させる。これによって、ステージ49上の基板3に仮圧着されている部品5、すなわちTCP部品が、TCP部品用のツール122bのZ軸方向負側に対向するように配置される。なお、このときには、基板3において部品5が仮圧着されている部分は、圧着支持部141によって下側から支持されている。
【0113】
このように、TCP部品である部品5の位置合わせが行われた後に、制御部2aは、2つのシリンダ151を制御することによって、2つの本圧着ヘッド120bのそれぞれに部品5の熱圧着を実行させる。
【0114】
図8は、本実施の形態における圧着方法のフローチャートである。
【0115】
本実施の形態における圧着装置100は、それぞれは部品5を基板3に圧着するための4つの本圧着ヘッド120と、その4つの本圧着ヘッド120のそれぞれを第1方向に沿ってスライド自在に保持するヘッド保持部110とを用い、以下のステップS1およびS2の工程を実行する。
【0116】
まず、位置変更工程において、圧着装置100は、第1方向と交差する第2方向におけるヘッド保持部110とロッド152との相対位置を変更する。これにより、圧着装置100は、4つの本圧着ヘッド120のうち、ロッド152によって押圧される本圧着ヘッド120を選択的に切り替える(ステップS1)。
【0117】
次に、押圧工程において、圧着装置100のシリンダ151は、第1方向に沿ってロッド152を進出させることによって、位置変更工程において選択的に切り替えられた本圧着ヘッド120を第1方向に沿って押圧する(ステップS2)。この押圧された本圧着ヘッド120によって部品5が基板3に熱圧着される。
【0118】
以上、本実施の形態では、複数の本圧着ヘッド120が圧着装置100に備えられているため、それらの複数の本圧着ヘッド120を圧着条件に応じて使い分けることができる。したがって、圧着される複数の部品5のそれぞれの圧着条件が異なるために、それらの圧着条件の切り替えが必要な場合であっても、その圧着条件を満たす本圧着ヘッド120を用いれば、その圧着条件を要する部品を短時間で基板3に圧着することができる。つまり、1つの本圧着ヘッド120で実現可能な圧着条件をその部品5に適した圧着条件に変更する作業時間を省くことができる。
【0119】
さらに、X軸方向におけるヘッド保持部110とロッド152との相対位置の変更によって、部品5の圧着のためにロッド152によって押圧される本圧着ヘッド120が選択的に切り替えられるため、圧着装置100の大型化を抑えることができる。すなわち、複数の本圧着ヘッド120のそれぞれに対してシリンダ151およびロッド152を設ける必要性をなくすことができる。
【0120】
したがって、圧着装置100の大型化を抑えながら、部品5の圧着条件の変更にかかる作業時間を削減することができる。
【0121】
また、本実施の形態では、本圧着ヘッド120aはツール122aを有し、本圧着ヘッド120bはツール122bを有する。そして、そのツール122aおよび122bのそれぞれの形態は互いに異なる。つまり、上述の圧着条件は、ツールの形態である。
【0122】
したがって、基板3に圧着される部品5の品種切替が行われる場合であっても、その部品5に適した形態のツールを有する本圧着ヘッド120aまたは120bを用いれば、わざわざ本圧着ヘッド120aまたは120bのツールの交換および調整を行うことなく、その部品5を基板3に圧着することができる。その結果、部品5の品種切替にかかる作業時間を削減することができる。
【0123】
また、本実施の形態では、上述の圧着条件は、ツールの形態であるが、その圧着条件は、ツールの温度であってもよい。このような場合には、複数の本圧着ヘッド120のそれぞれを、圧着される部品に要するツールの温度に応じて使い分けることができる。したがって、圧着される複数の部品5のそれぞれに要するツールの温度が異なるために、その温度の切り替えが必要な場合であっても、部品5の圧着に要する温度に予め設定されているツールを有する本圧着ヘッド120を用いれば、その部品5を短時間で基板3に圧着することができる。つまり、1つの本圧着ヘッド120のツールの温度を、その部品5の圧着に要する温度に変更する作業時間を省くことができる。
【0124】
また、本実施の形態では、圧着装置100は、2つの圧着ユニットu1およびu2を備える。そして、位置変更部130は、ヘッド保持部110をX軸方向に移動させることによって、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに含まれる2つの本圧着ヘッド120aおよび120bとロッド152との相対位置を一括して変更する。
【0125】
これにより、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれにおいて、例えば部品5の品種切替にかかる作業時間を効率的に削減することができる。
【0126】
また、本実施の形態では、2つの本圧着ヘッド120aおよび120bが互いに離間して配置される間隔は、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれで等しい。したがって、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれで行われる、Z軸方向に沿って押圧される本圧着ヘッド120の切り替えを同時に、かつ適切に行うことができる。ここで、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに3つ以上の本圧着ヘッド120が含まれる場合には、2つの本圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに含まれる3つ以上の本圧着ヘッド120は、X軸方向に沿って等間隔に配置されてもよい。これにより、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれに3つ以上の本圧着ヘッド120が含まれる場合であっても、2つの圧着ユニットu1およびu2のそれぞれで行われる、Z軸方向に沿って押圧される本圧着ヘッド120の切り替えを同時に、かつ適切に行うことができる。
【0127】
(変形例)
本変形例に係る圧着装置100は、さらに、ブラケットを備える。
【0128】
図9は、本変形例に係る圧着装置100に備えられる4つのブラケットの一例を示す図である。具体的には、
図9の(a)は、Z軸方向正側から見たブラケットと、ロッド152の先端部153との外観を示す。
図9の(b)は、Y軸方向負側から見たそのブラケットおよびヘッド保持部110などの外観を示す。
【0129】
本変形例に係る圧着装置100は、
図9に示すように、4つの本圧着ヘッド120のそれぞれについて、その本圧着ヘッド120に固定されるブラケットであって、その本圧着ヘッド120を押圧するロッド152に係合するためのブラケット160を備える。これにより、本変形例では、このブラケット160がロッド152に係合することによって、そのブラケット160に固定されている本圧着ヘッド120の落下を抑制することができる。
【0130】
ブラケット160は、例えば、金属板を略L字状に折り曲げることによって形成され、略板状の固定部161と、略板状の係合部162とを有する。固定部161は、本圧着ヘッド120のヘッド本体121に固定される。係合部162は、固定部161に固定されている本圧着ヘッド120の端部であって、ロッド152に押圧されるその端部から、第1方向(すなわちZ軸方向)に離間して配置される。その本圧着ヘッド120の端部は、ヘッド本体121に形成されている凸部123である。
【0131】
また、係合部162には、上述の相対位置の変更によってロッド152の中間部が第2方向(すなわちX軸方向)に沿って挿入される凹部163が形成されている。また、ロッド152の先端部153は、その中間部よりも幅広に形成されている。なお、ロッド152の中間部は、ロッド152の両端以外の部分である。そして、凹部163に中間部が挿入されたロッド152のZ軸方向負側への進出によって、ロッド152の先端部153は本圧着ヘッド120の端部である凸部123を押圧する。
【0132】
また、本実施の形態では、4つの本圧着ヘッド120は、互いに隣り合うIC部品用の本圧着ヘッド120aおよびTCP部品用の本圧着ヘッド120bを含む。そして、IC部品用の本圧着ヘッド120aに固定されているブラケット160の凹部163と、TCP部品用の本圧着ヘッド120bに固定されているブラケット160の凹部163とは、互いに対向している。つまり、IC部品用の本圧着ヘッド120aのブラケット160に形成されている凹部163と、TCP部品用の本圧着ヘッド120bのブラケット160に形成されている凹部163とは、第2方向、すなわちX軸方向に対向している。
【0133】
したがって、ヘッド保持部110がX軸方向の何れの向きに移動しても、本圧着ヘッド120のブラケット160の凹部163に、そのロッド152の中間部を挿入することができる。その結果、そのブラケット160をロッド152に係合可能な状態にさせることができ、そのブラケット160に固定されている本圧着ヘッド120の落下を抑制することができる。
【0134】
図10は、本変形例に係る圧着装置100に含まれる各構成要素と部品5との位置関係の一例を示す図である。具体的には、
図10の(a)は、IC部品の圧着が行われるときの位置関係の一例を示し、
図10の(b)は、TCP部品の圧着が行われるときの位置関係の一例を示す。また、
図11は、本変形例に係る圧着装置100の部分断面の一例を示す図である。具体的には、
図11の(a)は、
図10の(a)のA-A線における断面を示し、
図11の(b)は、
図10の(b)のB-B線における断面を示す。
【0135】
なお、
図10は、ヘッド保持部110およびシリンダ151などをY軸方向負側から見た状態を示すが、ステージ49、基板3および部品5については、それらをZ軸方向正側から見た状態を示す。また、
図10に示す例では、圧着装置100は2つのステージ49を備え、それらの2つのステージ49のそれぞれに基板3が吸着保持されている。
【0136】
例えば、圧着装置100の制御部2aは、基板3に圧着される部品5がIC部品である場合には、
図7の(a)に示す例と同様、
図10の(a)に示すように、位置変更部130を制御することによって、ヘッド保持部110をX軸方向正側に移動させる。これにより、それぞれIC部品用のツール122aを有する2つの本圧着ヘッド120aが、シリンダ151およびロッド152によって押圧されることが可能な状態になる。
【0137】
このとき、2つのロッド152のそれぞれが、IC部品用の本圧着ヘッド120aのブラケット160と係合可能な状態に配置される。つまり、
図10の(a)および
図11の(a)に示すように、ロッド152の中間部は、IC部品用の本圧着ヘッド120aのブラケット160に形成されている凹部163に挿入される。その結果、ロッド152の先端部153と、ブラケット160の係合部162とがZ軸方向に対向する。具体的には、ロッド152の先端部153と、係合部162における凹部163の周縁部とが、Z軸方向に対向する。これにより、ロッド152の先端部153とブラケット160とが係合可能な状態になる。
【0138】
したがって、IC部品用の本圧着ヘッド120aのヘッド保持部110による保持が解除された場合には、ロッド152の先端部153と、その本圧着ヘッド120aのブラケット160とが係合する。つまり、ブラケット160の凹部163に中間部が挿入されたロッド152の先端部153は、ブラケット160の係合部162における凹部163の周縁部と第1方向、すなわちZ軸方向に係合する。例えば、IC部品用の本圧着ヘッド120aの保持に用いられているバネ112が、ロッド152による本圧着ヘッド120aの押圧によって引っ張られて切断されてまったときには、その本圧着ヘッド120aのヘッド保持部110による保持は解除される。このような場合であっても、ロッド152の先端部153と、その本圧着ヘッド120aのブラケット160とが係合するため、本圧着ヘッド120aの落下を抑制することができる。
【0139】
また、IC部品用の本圧着ヘッド120aとロッド152とが上述の状態に配置されると、上記実施の形態と同様、制御部2aは、基板移動機構41の2つのステージ49のそれぞれを移動させる。これによって、ステージ49上の基板3に仮圧着されている部品5、すなわちIC部品が、IC部品用のツール122aのZ軸方向負側に対向するように配置される。なお、このときには、基板3において部品5が仮圧着されている部分は、圧着支持部141によって下側から支持されている。
【0140】
このように、IC部品である部品5の位置合わせが行われた後に、制御部2aは、2つのシリンダ151を制御することによって、2つの本圧着ヘッド120aのそれぞれに部品5の熱圧着を実行させる。
【0141】
一方、圧着装置100の制御部2aは、基板3に圧着される部品5がTCP部品である場合には、
図7の(b)に示す例と同様、
図10の(b)に示すように、位置変更部130を制御することによって、ヘッド保持部110をX軸方向負側に移動させる。これにより、それぞれTCP部品用のツール122bを有する2つの本圧着ヘッド120bが、シリンダ151およびロッド152によって押圧されることが可能な状態になる。
【0142】
このとき、2つのロッド152のそれぞれが、TCP部品用の本圧着ヘッド120bのブラケット160と係合可能な状態に配置される。つまり、
図10の(b)および
図11の(b)に示すように、ロッド152の中間部は、TCP部品用の本圧着ヘッド120bのブラケット160に形成されている凹部163に挿入される。その結果、ロッド152の先端部153と、ブラケット160の係合部162とがZ軸方向に対向する。具体的には、ロッド152の先端部153と、係合部162における凹部163の周縁部とが、Z軸方向に対向する。これにより、ロッド152の先端部153とブラケット160とが係合可能な状態になる。
【0143】
したがって、TCP部品用の本圧着ヘッド120bのヘッド保持部110による保持が解除された場合には、IC部品用の場合と同様、ロッド152の先端部153と、その本圧着ヘッド120bのブラケット160とが係合する。例えば、TCP部品用の本圧着ヘッド120aの保持に用いられているバネ112が、ロッド152による本圧着ヘッド120bの押圧によって引っ張られて切断されてまったときには、その本圧着ヘッド120bのヘッド保持部110による保持は解除される。このような場合であっても、ロッド152の先端部153と、その本圧着ヘッド120bのブラケット160とが係合するため、本圧着ヘッド120bの落下を抑制することができる。
【0144】
また、TCP部品用の本圧着ヘッド120bとロッド152とが上述の状態に配置されると、上記実施の形態と同様、制御部2aは、基板移動機構41の2つのステージ49のそれぞれを移動させる。これによって、ステージ49上の基板3に仮圧着されている部品5、すなわちTCP部品が、TCP部品用のツール122bのZ軸方向負側に対向するように配置される。なお、このときには、基板3において部品5が仮圧着されている部分は、圧着支持部141によって下側から支持されている。
【0145】
このように、TCP部品である部品5の位置合わせが行われた後に、制御部2aは、2つのシリンダ151を制御することによって、2つの本圧着ヘッド120bのそれぞれに部品5の熱圧着を実行させる。
【0146】
以上のように本変形例では、4つの本圧着ヘッド120のそれぞれにブラケット160が固定され、ロッド152の先端部153に対向する本圧着ヘッド120に固定されているブラケット160は、その先端部153に係合可能な状態に配置される。これにより、その本圧着ヘッド120のヘッド保持部110による保持が解除されてしまっても、その本圧着ヘッド120に固定されているブラケット160がロッド152の先端部153に係合する。その結果、その本圧着ヘッド120の落下を抑制することができる。
【0147】
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係る圧着装置について、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態およびその変形例に施したものや、上記実施の形態およびその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0148】
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、圧着装置100は、部品5の本圧着を行うが、その代わりに、部品5の仮圧着を行ってもよい。つまり、圧着装置100は、本圧着部40の代わりに仮圧着部30を備えてもよい。この場合、仮圧着部30は、複数の仮圧着ヘッド34を備え、その複数の仮圧着ヘッド34を、上記実施の形態およびその変形例における複数の本圧着ヘッド120のように用いる。
【0149】
また、上記実施の形態およびその変形例では、位置変更部130は、アクチェータなどを用いて自動でヘッド保持部110を移動させるが、アクチェータなどを用いずに手動でヘッド保持部110を移動させてもよい。この場合には、位置変更部130は、第2方向(すなわちX軸方向)におけるヘッド保持部110とロッド152との相対位置を変更可能にするための機構を有するが、アクチュエータなどを備えていない。したがって、圧着装置100の構成を簡単にすることができるとともに、消費電力の削減を図ることができる。
【0150】
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品の品種切替にかかる作業時間を削減するために、圧着装置100は、それぞれ互に形態の異なるツールを有する2つの本圧着ヘッド120aおよび120bを備えているが、それぞれ同じ形態のツールを有する複数の本圧着ヘッド120を備えていてもよい。この場合には、複数の本圧着ヘッド120のそれぞれのツールの温度を異ならせることができる。その結果、圧着される複数の部品5のそれぞれに要するツールの温度が異なるために、その温度の切り替えが必要な場合であっても、部品5の圧着に要する温度に予め設定されているツールを有する本圧着ヘッド120を用いれば、その部品5を短時間で基板3に圧着することができる。つまり、1つの本圧着ヘッド120のツールの温度を、その部品5の圧着に要する温度に変更する作業時間を省くことができる。
【0151】
また、上記実施の形態およびその変形例では、水平方向に沿ってヘッド保持部110を移動させることによって、ヘッド保持部110とロッド152との相対位置を変更するが、逆に、ロッド152を水平方向に沿って移動させてもよい。つまり、ロッド152を含むヘッド駆動機構150を水平方向に沿って移動させてもよい。
【0152】
また、上記実施の形態およびその変形例における品種切替は、IC部品とTCP部品との間における切り替えであるが、それらの品種間に限らず、どのような品種間の切り替えであってもよい。例えば、品種切替は、IC部品とFPC(Flexible Printed Circuits)部品との間における切り替えであってもよい。
【0153】
また、上記実施の形態およびその変形例では、2つのヘッド駆動機構150は、それぞれのロッド152を同時に進退させるが、互に異なるタイミングでロッド152を進退させてもよい。
【0154】
また、上記実施の形態およびその変形例では、圧着装置100は2つシリンダ151を備えるが、圧着装置100に備えられるシリンダ151の数は1つであってもよい。この場合、1つのシリンダ151が2つのロッド152を進退させてもよい。つまり、圧着装置100に備えられるシリンダ151の数は、圧着装置100に備えられる本圧着ヘッド120の数よりも少なければ、どのような数であってもよい。
【0155】
また、上記実施の形態およびその変形例では、コンピュータ2の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。例えば、プログラム実行部は、
図8に示すフローチャートに含まれる各ステップを本圧着部40に実行させる。
【0156】
また、コンピュータ2の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本開示は、例えばディスプレイパネルを生産する部品実装ライン等が有する圧着装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0158】
1 部品実装ライン
1a、1b、1c 基台
2 コンピュータ
2a 制御部
2b 記憶部
3 基板
4 電極部
5 部品
10 基板搬入部
11、23、49、51 ステージ
20 貼着部
21、31、41 基板移動機構
22 貼着機構
30 仮圧着部
32 部品搭載機構
33 部品供給部
34 仮圧着ヘッド
35 部品移動部
40 本圧着部
41 基板移動機構
42 圧着機構
49 ステージ
50 基板搬出部
100 圧着装置
110 ヘッド保持部
111 溝
112 バネ
120 本圧着ヘッド
120a 本圧着ヘッド(IC用)
120b 本圧着ヘッド(TCP用)
121 ヘッド本体
122a ツール(IC用)
122b ツール(TCP用)
123 凸部
130 位置変更部
141 圧着支持部
150 ヘッド駆動機構
151 シリンダ
152 ロッド
153 先端部
160 ブラケット
161 固定部
162 係合部
163 凹部
u1 圧着ユニット
u2 圧着ユニット