(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】空間制御装置、空間制御システム、および、空間制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20240329BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240329BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240329BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20240329BHJP
【FI】
H05B47/115
F24F11/64
H05B47/155
F24F120:12
(21)【出願番号】P 2020031951
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】豊澄 幸太郎
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-206698(JP,A)
【文献】中国実用新案第206057863(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F24F 11/64
F24F 120/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からユーザ情報を受信する通信装置制御部と、
前記ユーザ端末の位置を特定するユーザ位置特定部と、
前記ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報から、前記ユーザ端末のユーザが利用する什器において、前記什器の位置調整可能範囲における前記ユーザの希望する什器調整希望値を抽出し、前記ユーザ端末が前記什器に接近することを検知すると前記什器調整希望値を出力する什器制御部と、
前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する照明装置において、前記照明装置の照明調整可能範囲における前記ユーザの希望する照明調整希望値を抽出し、前記什器調整希望値が、前記什器が位置する高さを含む場合には、前記什器が位置する高さにおいて、前記ユーザの希望する前記照明調整希望値が実現されるように、照明調整値を出力する照明装置制御部と、を含む空間制御装置。
【請求項2】
前記什器には高さを調整可能な机が含まれ、前記什器調整希望値には前記机の高さを示す情報が含まれ、
前記照明装置制御部は、前記ユーザが希望する前記机の高さを示す前記什器調整希望値において、前記照明装置によって照明される机上の照度が、前記ユーザの希望する前記照明調整希望値になるように、前記照明調整値を
出力する請求項1に記載の空間制御装置。
【請求項3】
前記照明装置には、前記什器が配置された空間に前記什器と離間して備えられ、前記什器を照明する空間照明装置、および、前記什器に備えられ、前記什器を照明する什器照明装置を含む請求項1または2に記載の空間制御装置。
【請求項4】
前記照明調整希望値は、前記空間照明装置および前記什器照明装置に対して、それぞれ設定される請求項3に記載の空間制御装置。
【請求項5】
前記照明装置制御部は、前記照明調整値を演算し、
前記空間照明装置に対して演算される前記照明調整値は、高さを調整可能な前記什器の高さが複数の高さ範囲に区分され、それぞれの高さ範囲に対して1つの照明調整値が代表値として演算される請求項3に記載の空間制御装置。
【請求項6】
前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する什器に対して設置された環境装置おいて、前記環境装置の調整可能範囲における前記ユーザの希望する環境装置調整希望値を抽出し、前記ユーザ端末が前記什器に接近することを検知すると前記環境装置調整希望値を出力する環境装置制御部と、を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の空間制御装置。
【請求項7】
前記環境装置には、空調装置が含まれ、前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する前記空調装置において、前記空調装置の調整可能範囲における前記ユーザの希望する空調装置調整希望値を抽出し、前記ユーザ端末が前記什器に接近することを検知すると前記空調装置調整希望値を出力する空調装置制御部と、を含む請求項6に記載の空間制御装置。
【請求項8】
前記環境装置には、音響装置が含まれ、前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する前記音響装置において、前記音響装置の調整可能範囲における前記ユーザの希望する音響装置調整希望値を抽出し、前記ユーザ端末が前記什器に接近することを検知すると前記音響装置調整希望値を出力する音響装置制御部と、を含む請求項6に記載の空間制御装置。
【請求項9】
前記環境装置には、芳香放出装置が含まれ、前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する前記芳香放出装置において、前記芳香放出装置から放出可能な芳香種類および放出強度の調整可能範囲における前記ユーザの希望する芳香放出装置調整希望値を抽出し、前記ユーザ端末が前記什器に接近することを検知すると前記芳香放出装置調整希望値を出力する芳香放出装置制御部と、を含む請求項6に記載の空間制御装置。
【請求項10】
前記什器または前記什器と組み合わせて使用される物体に取り付けられるセンサであって、前記什器に前記ユーザが接近することを示すユーザ接近検知情報を出力する前記センサからの前記ユーザ接近検知情報を受信するユーザ近接判定部と、を備え、
前記ユーザ近接判定部が、前記ユーザが前記什器に接近することを判定する請求項1から9のいずれか一項に記載の空間制御装置。
【請求項11】
前記ユーザ嗜好情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザが前記什器を利用中に設定した、前記什器の設定値を前記什器調整希望値、前記照明装置の設定値を前記照明調整希望値、または、
前記環境装置の設定値を前記環境装置調整希望値とする制御情報設定更新部と、をさらに備え、
前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、または、前記環境装置調整希望値を前記ユーザ情報に対応した前記ユーザ嗜好情報に含ませる請求項6から9のいずれか一項に記載の空間制御装置。
【請求項12】
前記什器調整希望値は什器識別情報に対応付けられ、前記照明調整希望値は照明装置識別情報に対応付けられ、および、前記環境装置調整希望値は環境装置識別情報に対応付けられて前記記憶部に記憶される請求項11に記載の空間制御装置。
【請求項13】
前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、および、前記環境装置調整希望値は、時刻情報に対応付けられて前記記憶部に記憶される請求項11または12に記載の空間制御装置。
【請求項14】
前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、または、前記環境装置調整希望値が使用される場合には、前記ユーザ情報に含まれる時刻情報に対応する時刻における、前記記憶部に記憶された前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、または、前記環境装置調整希望値が使用される請求項13に記載の空間制御装置。
【請求項15】
前記時刻における、前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、または、前記環境装置調整希望値が前記記憶部に記憶されていない場合には、前記時刻における、前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、または、前記環境装置調整希望値を推定する制御情報推定部と、をさらに備える請求項14に記載の空間制御装置。
【請求項16】
前記ユーザ情報に含まれる時刻情報に対応する時刻において、空間制御装置が制御するエリアに外乱がある場合には、前記記憶部に記憶された前記什器調整希望値、前記照明調整希望値、または、前記環境装置調整希望値が、前記外乱を低減するように変更される制御情報変更部と、をさらに備える請求項11に記載の空間制御装置。
【請求項17】
前記ユーザ情報から前記ユーザ情報に対応する前記ユーザの働き方を分類し、前記ユーザの働き方が、前記空間制御装置が制御する空間である集中ブースに対応付けられている場合に、前記集中ブースに関するガイド情報を生成するガイド情報生成部を、さらに含み、
前記通信装置制御部は、前記ガイド情報を、前記ユーザの前記ユーザ端末に伝送するように出力する請求項1から16のいずれか一項に記載の空間制御装置。
【請求項18】
前記ガイド情報には、前記集中ブースに関する混雑状況が含まれ、前記集中ブース、
または、
前記集中ブースと、前記空間制御装置が制御しない空間
と、を含む領域に前記ユーザが進入する前に、前記ガイド情報が前記通信装置制御部から出力される請求項17に記載の空間制御装置。
【請求項19】
前記空間制御装置が制御する空間である集中ブースの規模に対応して、前記空間制御装置の機能の少なくとも一部がクラウドコンピューティングによって処理される請求項1から18のいずれか一項に記載の空間制御装置。
【請求項20】
前記通信装置制御部および前記ユーザ位置特定部の機能は、前記クラウドコンピューティングによっては処理されない請求項19に記載の空間制御装置。
【請求項21】
前記通信装置制御部は、前記ユーザ端末と通信する通信装置を制御し、前記ユーザ端末から前記通信装置を介して前記ユーザ情報を受信可能であり、
前記ユーザ位置特定部は、前記通信装置の位置および前記通信装置での電波受信状況から前記ユーザ端末の位置を特定する請求項1から20のいずれか一項に記載の空間制御装置。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の空間制御装置と、
前記通信装置制御部と接続される通信装置と、
前記通信装置と通信するユーザ端末と、を含む空間制御システム。
【請求項23】
前記ユーザ端末と前記通信装置は無線によって通信し、前記ユーザ端末は専用端末、または、公衆無線回線を利用する携帯端末に専用のアプリケーションを実装することによって実現される請求項22に記載の空間制御システム。
【請求項24】
前記什器制御部を介して制御される什器としての高さ調整が可能な机と、
前記照明装置制御部を介して制御される照明装置と、を含む請求項22または請求項23に記載の空間制御システム。
【請求項25】
空間制御装置を制御する制御方法であって、
ユーザ端末からユーザ情報を受信するステップと、
前記ユーザ端末の位置を特定するステップと、
前記ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報から、前記ユーザ端末のユーザが利用する什器において、前記什器の位置調整可能範囲における前記ユーザの希望する什器調整希望値を抽出し、前記ユーザが前記什器に接近することを検知すると前記什器調整希望値を出力するステップと、
前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する照明装置において、前記照明装置の照明調整可能範囲における前記ユーザの希望する照明調整希望値を抽出し、前記什器調整希望値が、前記什器が位置する高さを含む場合には、前記什器が位置する高さにおいて、前記ユーザの希望する前記照明調整希望値が実現されるように、照明調整値を出力するステップと、を含む制御方法。
【請求項26】
前記ユーザ端末の位置を特定するステップは、前記
ユーザ端末と通信する通信装置の位置および前記通信装置での電波受信状況から前記ユーザ端末の位置を特定する請求項25に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間制御装置、空間制御システム、および、空間制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業毎及び個人毎に最適な環境を付与できるようにしたワークスペースシステムを提供するための技術が開発されてきた。一例として、複数の照明装置により同一の空間を照らす際、空間内の人がいる地点を、その人の好みに応じた照度により照らすことができる照明制御装置、及び照明制御方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ユーザが個人座席に着席した場合に、ユーザが座席位置に該当する格子点、または、格子点の格子点識別情報を指定し、所望する設定照度を入力することによって照度を制御している。また、特許文献2では、机の脚体に油圧シリンダ等を設けることにより、ユーザが机天板の高さを調整できる構成が開示されている。さらに、特許文献2では、自分の好みの環境設定を行う場合には、初期画面等で、「全て自分の好みで使用する人」のボタンをクリックする。これにより、次の画面に移る。この画面では持ち込みの音楽用CDを、CDドライブにセットし、閉じる。次の画面に移ると、好みの作業環境条件設定のメニューが表示されるから、個人の好みで、音源選択の部分をクリックし、さらに、スライドバーの操作で、音量調整、照度調整を行う。設定が完了すれば、「閉じる」ボタンをクリックする。次の画面で、作業予定時間を入力し、環境条件が自分の好みで選択した設定に従うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-214461号公報
【文献】特開2003-310761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の照明装置は、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明をユーザ毎に自動的に調整することができないものであった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明等を含む空間で作業に集中できる状態をユーザ毎に自動的に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の第一の態様に係る空間制御装置は、ユーザ端末と通信する通信装置を制御し、前記ユーザ端末から前記通信装置を介してユーザ情報を受信する通信装置制御部と、前記ユーザ端末の位置を特定するユーザ位置特定部と、前記ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報から、前記ユーザ端末のユーザが利用する什器において、前記什器の位置調整可能範囲における前記ユーザの希望する什器調整希望値を抽出し、前記ユーザ端末が前記什器に接近することを検知すると前記什器調整希望値を出力する什器制御部と、前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する照明装置において、前記照明装置の照明調整可能範囲における前記ユーザの希望する照明調整希望値を抽出し、前記什器調整希望値が、前記什器が位置する高さを含む場合には、前記什器が位置する高さにおいて、前記ユーザの希望する前記照明調整希望値が実現されるように照明調整値を演算し、前記照明調整値を出力する照明装置制御部と、を含む。
【0008】
本開示の第二の態様に係る空間制御システムは、第一の態様に係る空間制御装置と、通信装置制御部と接続される通信装置と、前記通信装置と通信するユーザ端末と、を含む。
【0009】
本開示の第三の態様に係る空間制御装置を制御する制御方法は、ユーザ端末と通信する通信装置を制御し、前記ユーザ端末から前記通信装置を介してユーザ情報を受信するステップと、前記ユーザ端末の位置を特定するステップと、前記ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報から、前記ユーザ端末のユーザが利用する什器において、前記什器の位置調整可能範囲における前記ユーザの希望する什器調整希望値を抽出し、前記ユーザが前記什器に接近することを検知すると前記什器調整希望値を出力するステップと、前記ユーザ情報に対応する前記ユーザ嗜好情報から、前記ユーザが利用する照明装置において、前記照明装置の照明調整可能範囲における前記ユーザの希望する照明調整希望値を抽出し、前記什器調整希望値が、前記什器が位置する高さを含む場合には、前記什器が位置する高さにおいて、前記ユーザの希望する前記照明調整希望値が実現されるように照明調整値を演算し、前記照明調整値を出力するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明等を含む空間で作業に集中できる状態をユーザ毎に自動的に提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係わる空間制御システムの概要を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係わる空間制御システムの一例を示すブロック図である。
【
図3A】本実施形態に係わる照明制御装置の制御情報処理部の詳細の一例を示すブロック図である。
【
図3B】本実施形態に係わる照明制御装置の記憶部の詳細の一例を示すブロック図である。
【
図3C】本実施形態に係わる照明制御装置の通信情報解析部の詳細の一例を示すブロック図である。
【
図3D】本実施形態に係わる照明制御装置の制御対象物制御部の詳細の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係わる空間制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係わる空間制御システムの他の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態に係わる空間制御装置、空間制御システム、および、空間制御方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0013】
図1は、本実施形態に係わる空間制御システムの概要の一例を示す模式図である。
【0014】
(空間制御システムの概要の一例)
ユーザは無線通信可能なユーザ端末100を所持し、机等の什器が備えられているオフィスに進入する前に、無線通信可能なスキャナBS1a、スキャナBS1b、スキャナBS1cとユーザ情報等を含む無線データを通信する。ユーザ情報には、後述するユーザ識別情報および時刻情報等の情報が含まれる。スキャナBS1a、スキャナBS1b、スキャナBS1cはPoEハブ200aと電源を供給可能な通信線で接続され、ユーザ端末から受信したユーザ情報はPoEハブ200aを介して空間制御装置300に出力される。空間制御装置300はサーバ等の情報処理装置、または、サーバ等とクラウドコンピューティングの組み合わせであってもよい。スキャナの物理的な空間位置はあらかじめ定められているので、各スキャナからの無線データの受信状況から、空間制御装置300はユーザの位置を特定することが可能になる。なお、一例としてオフィス空間は空間制御装置300によってエリアに区分され、エリアIDとユーザの位置を対応付けて空間制御装置300が記憶することも可能である。
【0015】
一例として、スキャナとユーザ端末100とがブルートゥース(登録商標)で無線通信を実行している場合に、ブルートゥースによる位置検出手法によって、エリアIDとユーザの位置を対応付けてユーザの位置を効率的に特定することが可能になる。ブルートゥースの位置検出精度にはさまざまな精度が準備されており、数mから数cmの精度で位置検出する方法が提供されている。
【0016】
空間制御装置300は、ユーザ情報からユーザの働き方を分類し、ユーザの働き方が、空間制御装置300が制御する空間である集中ブースに対応付けられている場合に、集中ブースに関するガイド情報を生成することが可能である。例えば、集中ブースへの経路情報および集中ブースの各机等の什器の使用状態マップ等の情報がガイド情報に含まれてもよい。使用状態マップは集中ブースに関する混雑状況を示す情報であってもよい。
【0017】
また、ガイド情報は、空間制御装置300が制御する集中ブース、および、空間制御装置300が制御しない空間を含む領域にユーザが進入する前に、ユーザ端末100に出力されるように構成されることも可能である。例えば、集中ブースを含む階にユーザが到着した場合に、または、集中ブースを含む建造物にユーザが近づいた場合に、ガイド情報がユーザ端末100に送信されるようにすることも可能である。
【0018】
さらに、ガイド情報には、ユーザの同業者、友人が集中ブースを含む領域に来訪しているか否かを示す情報を含ませることも可能である。さらに、ユーザ情報から、ユーザが所属する企業、部署、またはユーザの業務内容が抽出され、関連する人物が来訪しているか否かを示す情報をガイド情報に含ませることも可能である。
【0019】
さらに、ユーザが集中ブースに近づく、集中ブースの机の前に位置する、または、集中ブースの机に対応する椅子に着座すると、ユーザ嗜好情報に対応して、ユーザが所望する机の高さに机が自動的に調整される。机の高さは昇降装置520bによって制御される。また、ユーザが集中ブースに近づいたか否かは、椅子に取り付けられた着座センサ540aまたは机520aの下面に取り付けられた赤外線センサ540b等のセンサによって検知することが可能である。さらに、机の高さに応じて、ユーザが所望する明るさに空間照明装置510aおよび什器照明装置510bが調整される。これらのユーザの嗜好状況に合致した環境がセッティングされることによって、ユーザは効率よく仕事を開始することが可能になる。なお、ユーザの位置はユーザ端末100とスキャナとの通信によってもエリア毎に判定可能であるので、ユーザが集中ブースに近づいたか否かをユーザ端末100とスキャナとの通信によっても判定可能である。
【0020】
また、机の周囲に、当該机で作業を実行するユーザ専用の空調装置、音響装置、または、芳香放出装置等の環境装置530が設けられている場合がある。このような場合には、空間制御装置300からあらかじめ定められたユーザ嗜好情報が環境装置530に出力されることも可能である。これらのユーザの嗜好状況に合致した環境がセッティングされることによって、ユーザは効率よく仕事を開始することが可能になる。
【0021】
さらに、ユーザが作業中に、机520aの高さ等の什器の状態を変更した場合には、変更された情報が、空間制御装置300の記憶部にユーザ嗜好情報として記憶され、次回の初期値として記憶されることも可能である。
【0022】
さらに、ユーザが作業中に、空間照明装置510aおよび什器照明装置510bの照度を切り替えた場合には、切り替えた情報が、空間制御装置300の記憶部にユーザ嗜好情報として記憶され、次回の初期値として記憶されることも可能である。また、切り替えた情報が、時刻情報と関連付けられている場合には、次回の使用時の対応する時刻に切り替えた情報に基づいて、空間照明装置510aおよび什器照明装置510bの照度を切り替えることも可能である。
【0023】
さらに、ユーザが作業中に、環境装置530の設定を切り替えた場合には、切り替えた情報が、空間制御装置300の記憶部にユーザ嗜好情報として記憶され、次回の初期値として記憶されることも可能である。また、切り替えた情報が、時刻情報と関連付けられている場合には、次回の使用時の対応する時刻に、切り替えた情報に基づいて、環境装置530の設定を切り替えることも可能である。
【0024】
照明情報送受信装置410は、空間制御装置300と空間照明装置510aおよび什器照明装置510bとのインターフェース機能を有する。また、環境情報送受信装置430は、空間制御装置300と環境装置530とのインターフェース機能を有する。さらに、什器情報送受信装置420は、空間制御装置300と机520a等とのインターフェース機能を有する。さらに、什器接近情報送信装置440は、センサからの情報を空間制御装置300に送信する機能を有する。
【0025】
(空間制御システムのブロック図の一例)
次に、空間制御装置300を含む空間制御システム1000の一例を
図2に示す。
【0026】
空間制御システム1000は、ユーザが保持するユーザ端末100、ユーザ端末100と無線通信する通信装置BSi(i=1~n:自然数)、通信装置BSiの中継装置200、空間制御装置300を含む。また、空間制御システム1000は、照明情報送受信装置410および照明装置510、什器情報送受信装置420および什器520、環境情報送受信装置430および環境装置530、什器接近情報送信装置440およびセンサ540を含む。
【0027】
ユーザ端末100は専用端末、または、公衆無線回線を利用する携帯端末に専用のアプリケーションを実装することによって実現されてもよい。例えば、ユーザ端末100はブルートゥースを使用して、ユーザ情報を通信装置BSiに送信することができる。ユーザ端末100が公衆無線回線を利用する携帯端末の場合には、専用のアプリケーションをダウンロードしておき、携帯端末をブルートゥースモードに切り替えて、ユーザ情報を通信装置BSiに送信することができる。
【0028】
通信装置BSiは、アドバタイジングパケットを連続的、あるいは、規則的または不規則にブロードキャストし、ユーザ端末100はアドバタイジングパケットに応じて、ユーザ情報を通信装置BSiに送信する。通信装置BSiは、ユーザ情報および受信状況情報を、中継装置200を介して空間制御装置300の通信装置制御部310に送信する。
【0029】
また、通信装置BSiは、空間制御装置300によって制御される空間である集中ブースにユーザが進入する前の空間に設置されてもよい。例えば、集中ブースと集中ブースを含まない空間が1つの領域として設定されている場合に、当該領域の外または当該領域の進入経路上に設置されてもよい。さらに、集中ブースを含む建造物の進入時または当該建造物の外側でガイド情報をユーザが得られるように、建造物の外部と接する壁や、当該建造物への進入経路上に設置されてもよい。
【0030】
中継装置200の一例には、POE(Power over Ethernet)ハブが挙げられる。中継装置200にPOEハブを使用すれば、通信装置BSiは1本のケーブルで電源供給とデータの送受信が可能になるので、通信装置BSiの設置自由度を向上させることが可能になる。
【0031】
通信装置制御部310は、中継装置200を制御、または、中継装置200を介して通信装置BSiを制御するように構成されてもよい。
【0032】
通信情報解析部320は、ユーザ端末100から送信されたユーザ識別情報および時刻情報等の情報が含まれるユーザ情報、並びに、通信装置BSiがユーザ端末100から受信した電波の強度等の情報を分析する機能を有する。
【0033】
通信情報解析部320の詳細なブロック図を
図3Cに示す。通信情報解析部320は、ユーザ位置特定部321、ユーザ識別部322、および、時刻識別部323を含んでいる。
【0034】
ユーザ位置特定部321は、ユーザ端末100から送信される電波は位置が特定されている複数の通信装置BSiで受信されることが可能になるので、複数の通信装置BSiの受信強度からユーザの位置を上述したエリアIDに対応付け可能になる。このように、エリアIDからユーザの位置を判定することが可能になる。なお、ブルートゥース技術によれば、数cmの誤差範囲で、ユーザの位置情報を判定することが可能になる構成が発表されている。
【0035】
ユーザ識別部322は、ユーザ端末100から送信されるユーザ情報からユーザ識別情報を抽出する機能を有する。また、抽出されたユーザ識別情報に対応するユーザ嗜好情報を記憶部370から抽出する。空間制御装置300はユーザ嗜好情報377に基づいて、照明装置510、什器520、および、環境装置530があれば環境装置530を制御する。
【0036】
時刻識別部323は、ユーザ端末100から送信されるユーザ情報から時刻情報を抽出する機能を有する。記憶部370に記憶されたユーザ嗜好情報に時刻情報が含まれる場合には、抽出した時刻情報に対応するユーザ嗜好情報が選択される。ユーザの嗜好が一日の時刻によって変化する場合もあるため、より適切なユーザ嗜好情報を空間制御装置300が選択することも可能になる場合がある。
【0037】
ガイド情報生成部330は、ユーザ情報からユーザ識別情報に対応するユーザの働き方を分類し、ユーザの働き方が、空間制御装置300が制御する空間である集中ブースに対応付けられている場合に、集中ブースに関するガイド情報を生成する。例えば、現在のユーザ位置から集中ブースに至る経路をユーザ端末100に表示するように制御したり、集中ブースに関する混雑状況が含まれたりするように空間制御装置300はガイド情報を生成する。また、集中ブースにおいて、どのエリアに対応する机が使用中であるかを表示するようにガイド情報を生成してもよい。
【0038】
また、ガイド情報生成部330は、ユーザ情報からユーザ識別情報に対応するユーザの同業者、友人、または、知人が、集中ブースを含む領域に在席しているか否かをユーザ端末100からユーザに識別させてもよい。また、ガイド情報生成部330は、ユーザ識別情報から企業、部署、業務内容をクラスタリングし、さまざまなレコメンデーションを作成することも可能である。
【0039】
ユーザ近接判定部340は、一例として、机520aに赤外線センサ等の接近検知センサを取り付けておき、ユーザの接近を検知することが可能である。また、机とペアで使用される椅子に着座センサを設けておき、ユーザの接近を検知することが可能である。この場合に、着座センサが取り付けられた椅子が配置されたエリアIDと机が配置されたエリアIDが同じであるか否かを空間制御装置300が判別するための情報が送信される無線装置が椅子および机に取り付けられる場合があってもよい。なお、ユーザ端末100と集中ブースまたは集中ブース近傍に設けられた通信装置BSiとの通信によって、ユーザがどのエリアIDに位置しているかを判定することが可能になる。また、ユーザが所持するユーザ端末100からの電波によって、ユーザが机等の什器520に接近、または、使用を開始しようとしていることを検知し、検知信号を空間制御装置300に送信することも可能である。上述したように、最新のブルートゥース技術によれば、数cmの誤差で、ユーザ端末100の位置を検出することも可能であるので、通信装置BSiとユーザ端末100との通信によって、ユーザの什器520への接近を検知することも可能である。また、数mの誤差を持つブルートゥース技術であっても、ユーザがどのエリアIDに滞在しているかを判定することも可能になる。
【0040】
制御対象物制御部350は、ユーザ識別情報によって識別されたユーザ毎のユーザ嗜好情報に合致するように、照明装置510、什器520、環境装置530を制御する機能を有する。ただし、後述するように、制御対象物制御部350が、目標値を決定し、照明装置510および環境装置530が当該目標値を維持するように制御する構成とすることも可能である。
【0041】
制御対象物制御部350の詳細を
図3Dに示す。制御対象物制御部350は、照明装置制御部351、什器制御部352および環境装置制御部353を含む。
【0042】
照明装置制御部351は、空間照明装置510a、什器照明装置510bおよびユーザ識別情報によって識別されたユーザが使用する机等の什器520に直接的または間接的に照明をするその他の照明装置があればその他の照明装置の照明も制御する。例えば、空間照明装置510aに対するユーザが希望する照明調整希望値375が記憶部370に記憶されている場合には、照明装置制御部351は、照明情報送受信装置410を介して、照明調整希望値375を空間照明装置510aに出力する。また、例えば、什器照明装置510bに対するユーザが希望する照明調整希望値375が記憶部370に記憶されている場合には、照明装置制御部351は、照明情報送受信装置410を介して、照明調整希望値375を什器照明装置510bに出力する。
【0043】
また、ユーザが空間照明装置510aおよび什器照明装置510b等の照明装置510の照明の設定値を変更した場合には、変更された値を照明調整希望値375として記憶部370に記憶する。この場合に、変更された値を時刻情報に対応付けて、照明調整希望値375として記憶部370に記憶してもよい。
【0044】
什器制御部352は、ユーザが使用する机等の什器520の状態を制御する。例えば、机520aの高さに対するユーザが希望する什器調整希望値374が記憶部370に記憶されている場合には、什器制御部352は、什器情報送受信装置420を介して、什器調整希望値374を什器520に出力する。什器520が机520aである場合には、昇降装置520bが机520aに取り付けられ、ユーザが希望する高さに机520aを調整する。また、什器調整希望値374によって示されるユーザが希望する机520aの高さから、ユーザが机520aの高さを変更した場合には、昇降装置520bに取り付けられた無線装置が変更された机520aの高さを、制御情報設定更新部361に出力する。制御情報設定更新部361は、変更された机520aの高さを照明装置制御部351に出力する。照明装置制御部351は、変更された机520aの高さに対して、ユーザが希望する照度、すなわち、ユーザが希望する照明調整希望値375になるように、空間照明装置510aの輝度を調整する。さらに、什器照明装置510bと机520aの高さとの間の距離が変化する場合にも、照明装置制御部351は、変更された机520aの高さに対して、ユーザが希望する照明調整希望値375になるように、什器照明装置510bの輝度を調整する。なお、机520aの高さが変化した場合であっても、ユーザが照明装置510の照明設定値を変更しない場合に、照明装置510の照明を変更しない構成とすることも可能である。
【0045】
例えば、机520aの高さをいくつかの領域に分割し、分割された領域内で机520aの高さが変化した場合には、照明装置510の照明を変更しない構成とすることも可能である。
【0046】
環境装置制御部353は、空調装置制御部353a、音響装置制御部353b、芳香放出装置制御部353cを含む。なお、空調装置制御部353a、音響装置制御部353b、芳香放出装置制御部353cは必須の構成ではない場合がある。
【0047】
空調装置制御部353aは、机520aを使用するユーザに対して個別に空調を制御する空調装置がある場合に、空調装置に対するユーザの希望値である空調装置調整希望値376aを記憶部370から抽出する。空調装置制御部353aは、抽出した空調装置調整希望値376aを、環境情報送受信装置430を介して、空調装置に出力する。空調装置は、空調装置調整希望値376aを目標値として、自動制御を実行する。空調装置調整希望値376aの一例には、温度、湿度、風量等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。空調装置は、ユーザが机520aに接近、または、椅子に着座すると空調の制御を実行する。
【0048】
また、ユーザが空調装置の設定値を変更した場合には、変更された値を空調装置調整希望値376aとして記憶部370に記憶する。この場合に、変更された値を時刻情報に対応付けて、空調装置調整希望値376aとして記憶部370に記憶してもよい。
【0049】
音響装置制御部353bは、机520aを使用するユーザに対して個別に音響を制御する音響装置がある場合に、音響装置に対するユーザの希望値である音響装置調整希望値376bを記憶部370から抽出する。音響装置制御部353bは、抽出した音響装置調整希望値376bを、環境情報送受信装置430を介して、音響装置に出力する。音響装置は、音響装置調整希望値376bを目標値として、自動制御を実行する。音響装置調整希望値376bの一例には、海の波音、風の音、鳥の鳴き声、楽曲の音等の音の種類、および、これらの音量等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。音響装置は、ユーザが机520aに接近、または、椅子に着座すると音響の放音を実行する。
【0050】
また、ユーザが音響装置の設定値を変更した場合には、変更された値を音響装置調整希望値376bとして記憶部370に記憶する。この場合に、変更された値を時刻情報に対応付けて、音響装置調整希望値376bとして記憶部370に記憶してもよい。
【0051】
芳香放出装置制御部353cは、机520aを使用するユーザに対して個別に芳香を制御して放出する芳香放出装置がある場合に、芳香放出装置に対するユーザの希望値である芳香放出装置調整希望値376cを記憶部370から抽出する。芳香放出装置制御部353cは、抽出した芳香放出装置調整希望値376cを、環境情報送受信装置430を介して、芳香放出装置に出力する。芳香放出装置は、芳香放出装置調整希望値376cを目標値として、自動制御を実行する。芳香放出装置調整希望値376cの一例には、香りの種類、および、香りの放出強度等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。芳香放出装置は、ユーザが机520aに接近、または、椅子に着座すると芳香の放出を実行する。
【0052】
また、ユーザが芳香放出装置の設定値を変更した場合には、変更された値を芳香放出装置調整希望値376cとして記憶部370に記憶する。この場合に、変更された値を時刻情報に対応付けて、芳香放出装置調整希望値376cとして記憶部370に記憶してもよい。
【0053】
制御情報処理部360は、制御対象物の制御情報の処理を実行する機能を有する。
図3Aに制御情報処理部360の詳細を示す。制御情報処理部360は、制御情報設定更新部361、制御情報推定部362、および、制御情報変更部363を含む。
【0054】
制御情報設定更新部361は、什器調整希望値374、照明調整希望値375および環境装置調整希望値376のユーザが設定する初期値およびユーザが設定を更新した場合の更新値を記憶部370に記憶する機能を有する。例えば、エリアIDが「1」である位置に配置された什器としての机520aをユーザが初めて使用した場合の机の高さを示す設定値を制御情報設定更新部361は什器調整希望値374として設定する。また、エリアIDが「1」である位置に配置された什器としての机520aの高さがユーザによって変更された場合には、変更された値をあらたな什器調整希望値374として、制御情報設定更新部361は記憶部370に記憶する機能を有する。このように什器調整希望値374が更新されることによって、常にユーザにとって好ましい机520aの高さが初期値として設定されることが可能になる。なお、什器調整希望値374の初期値は、机520aから送信されなくとも他の電子機器によってあらかじめ設定され、記憶部370に記憶されることも可能である。
【0055】
また、例えば、エリアIDが「1」である位置に配置された照明装置510の照明の設定をユーザが初めてした場合の設定値を制御情報設定更新部361は照明調整希望値375として設定する。また、エリアIDが「1」である位置に配置された照明装置510の設定値がユーザによって変更された場合には、変更された値をあらたな照明調整希望値375として、制御情報設定更新部361は記憶部370に記憶する機能を有する。このように照明調整希望値375が更新されることによって、常にユーザにとって好ましい照明装置510の明るさが初期値として設定されることが可能になる。なお、照明調整希望値375の初期値は、照明装置510から送信されなくとも他の電子機器によってあらかじめ設定され、記憶部370に記憶されることも可能である。また、照明調整希望値375は図示しない時刻計時部の時刻情報と対応付けられて記憶部370に記憶されることも可能である。
【0056】
さらに、空調装置調整希望値376a、音響装置調整希望値376b、芳香放出装置調整希望値376cも図示しない時刻計時部の時刻情報と対応付けられて記憶部370に記憶されることも可能である。さらに、音響装置調整希望値376b、芳香放出装置調整希望値376cの初期値は他の電子機器によってあらかじめ設定され、記憶部370に記憶されることも可能である。
【0057】
制御情報推定部362は、照明調整希望値375、環境装置調整希望値376が時刻情報と対応付けられている場合に、ユーザが来所した時刻に対応する調整希望値が存在しない場合に、ユーザの来所時刻に対応する調整希望値を推定する機能を有する。推定方法は、既知の技術であるので、ここでは詳細には説明しない。環境装置調整希望値376には、前述したように、空調装置調整希望値376a、音響装置調整希望値376b、芳香放出装置調整希望値376cが含まれる。
【0058】
制御情報変更部363は、空間制御装置300が制御するエリアに外乱がある場合に、外乱を低減するように、照明調整希望値375、環境装置調整希望値376を変更するように機能する。例えば、当該エリアが窓を介して外光が進入しやすい場所にある場合には、外光の影響を低減するように制御情報変更部363は機能する。また、例えば、当該エリアが窓を介して温度、雑音等の外乱の影響を受けやすい場合には、当該外乱の影響を低減するように制御情報変更部363は機能する。
【0059】
記憶部370は、エリア情報371、制御対象物情報372、関連付け情報373、および、ユーザ嗜好情報377を含む。ユーザ嗜好情報377には、すでに説明した什器調整希望値374、照明調整希望値375、および、環境装置調整希望値376が含まれる。
【0060】
エリア情報371は、空間制御装置300が制御する空間を含む領域を区分した情報が記憶される。例えば、エリア情報371はエリアIDによって識別され、エリアIDが「1」の場所には空間制御装置300が制御する机等の什器の識別番号が対応付けられる。また、ユーザの位置もユーザ端末100を介して、エリアIDと対応付けられる。エリアIDによって識別される領域の範囲は空間制御システム1000によって任意の大きさに設定されることができる。なお、通信装置BSiは、エリアIDを識別できるように配置されることが好ましい。
【0061】
制御対象物情報372には、空間制御装置300が制御する照明装置510、什器520、環境装置530との通信に必要な通信プロトコル等の各種情報が記憶されている。また、空間制御装置300が照明装置510、環境装置530を直接制御する場合には、制御可能パラメータに関する情報が制御対象物情報372として記憶されていてもよい。
【0062】
関連付け情報373には、エリアID、ユーザ識別情報、照明装置識別情報、什器識別情報、環境装置識別情報が対応付けられて記憶される。例えば、ユーザ識別情報によって特定されるユーザが滞在するエリアが、空間制御装置300が当該ユーザのユーザ嗜好情報に基づいて制御するエリアとなる。このように、空間制御装置300が制御する対象物がどのエリアIDに対応するかを判別することが可能になる。
【0063】
ユーザ嗜好情報377には、すでに説明した什器調整希望値374、照明調整希望値375、および、環境装置調整希望値376が含まれる。また、環境装置調整希望値376には、空調装置調整希望値376a、音響装置調整希望値376b、芳香放出装置調整希望値376cが含まれてもよい。
【0064】
なお、什器、照明装置、空調装置、音響装置、芳香放出装置には識別情報が付与されているので、各調整希望値は、識別情報と対応付けられて記憶部370に記憶されていてもよい。さらに、上述したように、各調整希望値は時刻情報と対応付けられて記憶されていてもよい。
【0065】
また、空間制御装置300はローカルなスタンドアローンの電子機器である必要はなく、空間制御装置300の少なくとも一部の機能がクラウドコンピューティングによって実現されてもよい。例えば、空間制御装置300が制御する空間が1フロアの限定された領域である場合には空間制御装置300はスタンドアローンの電子機器で実現されてもよい。また、例えば、空間制御装置300が制御する空間が複数の領域にわたる場合、または、複数の建造物にわたる場合には、空間制御装置300の少なくとも一部の機能がクラウドコンピューティングによって実現されてもよい。
【0066】
照明情報送受信装置410は空間制御装置300と照明装置510とのインターフェース機能を実現する。空間制御装置300から照明装置510へ照明調整希望値375を送信する機能を有する。また、照明装置510と無線通信することによって、照明装置510の配置の自由度を向上させることが可能になる。
【0067】
什器情報送受信装置420は空間制御装置300と什器520とのインターフェース機能を実現する。什器520が机520aである場合には、机520aの高さを示す什器調整希望値374を空間制御装置300から机520aへ送信する機能を有する。また、机520aの高さがユーザによって変更された場合には、変更された値を机520aから空間制御装置300へ送信する機能を有する。
【0068】
環境情報送受信装置430は空間制御装置300と環境装置530とのインターフェース機能を実現する。空間制御装置300から環境装置530へ環境装置調整希望値376を送信する機能を有する。また、環境装置530の設定がユーザによって変更された場合には、変更された値を環境装置530から空間制御装置300へ送信する機能を有する。また、環境装置530と無線通信することによって、環境装置530の配置の自由度を向上させることが可能になる。
【0069】
什器接近情報送信装置440は、空間制御装置300とセンサ540とのインターフェース機能を実現する。什器接近情報送信装置440は、什器520または什器520と組み合わせて使用される物体に取り付けられたセンサ540によって検知された信号を空間制御装置300に送信する機能を有する。また、センサ540と無線通信することによって、センサ540の配置の自由度を向上させることが可能になる。
【0070】
照明装置510には、
図1で示される空間照明装置510aおよび什器照明装置510bが含まれるが、これらに限定されるわけではない。什器520またはユーザを照明する装置であれば、照明装置510に含まれることが可能である。各照明装置510は、照明調整希望値375によって照明される。また、例えば、什器520が机520aである場合に、机520aの高さがユーザによって変化させられた場合には、机上の照度が一定になるように、空間制御装置300によって、各照明装置510の輝度が制御される。また、照明装置510の照明がユーザによって変更された場合に、新たな設定値を照明調整希望値375とすることもできる。また、照明調整希望値375は時刻情報と対応付けられ、時刻の変化に伴い、照明装置510の照明がユーザの嗜好に合致するように変化してもよい。
【0071】
什器520の一例には、
図1に示す机520aが挙げられる。机520aには無線装置が備わった昇降装置520bが取り付けられ、空間制御装置300から送信される什器調整希望値374に対応する高さに調整される。また、机520aの高さはユーザによって自由に調整可能であり、ユーザによって変更された新たな変更値が什器調整希望値374として記憶部370に記憶されることも可能である。
【0072】
環境装置530の一例として、空調装置、音響装置、および、芳香放出装置が挙げられる。空調装置は、空間制御装置300から出力された空調装置調整希望値376aを目標値として、自動制御を実行する。また、音響装置は、空間制御装置300から出力された音響装置調整希望値376bによって設定された音の種類および強度等を目標値として、自動制御を実行する。さらに、芳香放出装置も、空間制御装置300から出力された芳香放出装置調整希望値376cによって設定された芳香の種類および強度等を目標値として、自動制御を実行する。
【0073】
センサ540の一例には、
図1に示す椅子に取り付けられた着座センサ、机520aの下面に取り付けられた赤外線センサ540bなどが挙げられる。着座センサによれば、ユーザが椅子に着座し、机520aで仕事を開始するタイミングで、照明装置510の照明および机520aの高さをユーザの嗜好に合わせた状態に空間制御装置300が設定することが可能になる。また、机520aの下面に取り付けられた赤外線センサ540bによれば、ユーザが椅子に着座し、机520aに向かう姿勢になったタイミングを検知できる。そして、当該タイミングで、照明装置510の照明および机520aの高さをユーザの嗜好に合わせた状態に空間制御装置300が設定することが可能になる。
【0074】
(空間制御システム1000の動作フローの一例)
次に、空間制御システム1000の動作の一例のフローチャートについて
図4に基づいて説明する。
【0075】
ステップS401において、通信装置BSiがブロードキャスト通信を開始する。次に空間制御装置300はステップS402に進む。
【0076】
ステップS402において、ユーザ端末100からの応答通信があったか否かを通信装置制御部310が判定する。ユーザ端末100からの応答通信があった場合(ステップS402:YES)には、空間制御装置300はステップS403に進む。ユーザ端末100からの応答通信がない場合(ステップS402:NO)には、空間制御装置300はステップS402を繰り返す。次に空間制御装置300はステップS403に進む。
【0077】
ステップS403において、空間制御装置300はユーザ端末100からユーザ情報を受信し、ユーザ情報からユーザ識別情報および時刻情報を抽出し、ユーザ識別情報からガイド情報を生成する。次に、空間制御装置300はステップS404に進む。
【0078】
ステップS404において、空間制御装置300は、ステップS403において生成したガイド情報をユーザ端末100に提供する。次に、空間制御装置300はステップS405に進む。
【0079】
ステップS405において、空間制御装置300は、ユーザが使用する机520a等の什器520にユーザが接近したか否かを判定する。ユーザが什器520に接近した場合(ステップS405:YES)には、空間制御装置300は、ステップS407に進む。ユーザが什器520に接近していない場合(ステップS405:NO)には、空間制御装置300は、ステップS406に進む。
【0080】
ステップS406において、ユーザ端末100を所持するユーザが、通信装置BSiが配置されている領域から退出してしまったか否かを通信装置制御部310が判定する。ユーザ端末100からの応答通信があった場合(ステップS406:YES)には、空間制御装置300はステップS405に戻る。ユーザ端末100からの応答通信がない場合(ステップS406:NO)には、空間制御装置300はステップS402に戻り、ユーザが再びエリアへ進入することを待機する。
【0081】
ステップS407において、什器制御部352は、ユーザが使用する机等の什器520の状態を制御する。例えば、机520aの高さに対するユーザが希望する什器調整希望値374が記憶部370に記憶されている場合には、什器制御部352は、什器情報送受信装置420を介して、什器調整希望値374を什器520に出力する。次に、空間制御装置300はステップS408に進む。
【0082】
ステップS408において、照明装置制御部351は、空間照明装置510a、什器照明装置510bおよびユーザが使用する机等の什器520に直接的または間接的に照明をするその他の照明装置があればその他の照明装置の照明も制御する。例えば、空間照明装置510aに対する照明調整希望値375が記憶部370に記憶されている場合には、ステップS407において制御した机520aの高さにおいて、照明調整希望値375が実現される照明調整値が演算される。照明装置制御部351は、照明情報送受信装置410を介して、照明調整値を空間照明装置510aに出力する。また、例えば、什器照明装置510bに対するユーザが希望する照明調整希望値375が記憶部370に記憶されている場合には、ステップS407において制御した机520aの高さにおいて、照明調整希望値375が実現される照明調整値が演算される。照明装置制御部351は、照明情報送受信装置410を介して、照明調整値を什器照明装置510bに出力する。次に、空間制御装置300はステップS409に進む。
【0083】
ステップS409において、環境装置制御部353は、ユーザ嗜好情報に含まれる環境装置調整希望値376を、環境装置調整希望値376に対応する環境装置530が配置されている場合に当該環境装置530に出力する。次に、空間制御装置300はステップS410に進む。
【0084】
ステップS410において、空間制御装置300はユーザの机520a等の什器520の使用状況を反映したガイド情報を更新する。次に、空間制御装置300はステップS411に進む。
【0085】
ステップS411において、ユーザが照明装置510、什器520、または、環境装置530の設定を変更したか否かを判定する。ユーザが照明装置510、什器520、または、環境装置530の設定を変更した場合(ステップS411:YES)には、空間制御装置300はステップS412に進む。ユーザが照明装置510、什器520、または、環境装置530の設定を変更しない場合(ステップS411:NO)には、空間制御装置300はステップS413に進む。
【0086】
ステップS412において、例えば、ユーザが机520aの高さを変更した場合には、空間制御装置300は変更された値を、什器調整希望値374として、記憶部370に記憶する。この場合に、照明装置制御部351は、変更された机520aの高さにおいて、照明調整希望値375が満たされるように照明装置510の照明を制御する。しかし、ユーザが照明装置510の照明を制御した場合には、空間制御装置300は変更された値を、照明調整希望値375として、記憶部370に記憶する。また、ユーザが環境装置530の設定を変更した場合には、空間制御装置300は変更された値を、環境装置調整希望値376として、記憶部370に記憶する。なお、上述したように、照明調整希望値375および環境装置調整希望値376は時刻情報に対応付けられて記憶部370に記憶されてもよい。次に、空間制御装置300はステップS413に進む。
【0087】
ステップS413において、ユーザが仕事を終了または中止して、机520a等の什器520から離れたか否かが判定される。ユーザが仕事を終了または中止して、机520a等の什器520から離れた場合(ステップS413:YES)には、空間制御装置300はステップS414に進む。ユーザが机520a等の什器520から離れていない場合(ステップS413:NO)には、空間制御装置300はステップS411に戻る。
【0088】
ステップS414において、ユーザが仕事を終了または中止して、机520a等の什器520から離れたと判断されるので、空間制御装置300は照明装置510および環境装置530の電源をオフまたはスタンバイモードにする。また、空間制御装置300は、机520a等の什器520の位置を所定の配置に戻す。
【0089】
図5は、空間制御装置300の機能の一部がクラウドコンピューティングによって処理される一例を示す図である。
【0090】
図5においては、空間制御装置300の通信装置制御部310およびユーザ位置特定部321の機能をサーバ300aに実行させる構成としている。このような構成にすることで、フロントエンド処理をサーバ300aに実行させることができる。したがって、サーバ300aとクラウドコンピューティング300bとの間の通信量の削減を図り、クラウドコンピューティング300bの負荷の軽減を図り、高速な応答を可能にすることも可能になる。
【0091】
図5においては、ユーザ識別部322、時刻識別部323、ガイド情報生成部330、ユーザ近接判定部340、制御対象物制御部350、制御情報変更部363、および、記憶部370の機能をクラウドコンピューティング300bが処理している。しかし、本実施形態はこの構成に限定されるわけではなく、どの構成部分が、サーバ300aに含まれてもよい。また、通信装置制御部310およびユーザ位置特定部321の機能がクラウドコンピューティング300bで処理される構成であってもよい。
【0092】
以上説明したように、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明等を含む空間で作業に集中できる状態をユーザ毎に自動的に提供することが可能になる。
【0093】
以下に、本実施形態の空間制御装置、空間制御システム、および、空間制御方法の特徴について記載する。
【0094】
(1) 空間制御装置300は以下の構成を含むことが好ましい。
(i) ユーザ端末100と通信する通信装置BSi(i:1以上の自然数)を制御し、ユーザ端末100から通信装置BSiを介してユーザ情報を受信する通信装置制御部310を含むことが好ましい。
(ii) ユーザ端末100の位置を特定するユーザ位置特定部321を含むことが好ましい。
(iii) ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、ユーザ端末100のユーザが利用する什器520において、什器520の位置調整可能範囲におけるユーザの希望する什器調整希望値374を抽出する什器制御部352を含むことが好ましい。什器制御部352はユーザ端末100が什器520に接近することを検知すると什器調整希望値374を出力することが好ましい。
(iv) ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、ユーザが利用する照明装置510において、照明装置510の照明調整可能範囲におけるユーザの希望する照明調整希望値375を抽出する照明装置制御部351を含むことが好ましい。什器調整希望値374が、什器520が位置する高さを含む場合には、什器520が位置する高さにおいて、ユーザの希望する照明調整希望値375が実現されるように照明調整値を演算し、照明調整値を出力することが好ましい。
【0095】
本開示によれば、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明等を含む空間で作業に集中できる状態をユーザ毎に自動的に提供することが可能になる。
【0096】
(2) 什器520には高さを調整可能な机520aが含まれ、什器調整希望値374には机520aの高さを示す情報が含まれることが好ましい。また、照明装置制御部351は、ユーザが希望する机520aの高さを示す什器調整希望値374において、照明装置510によって照明される机上の照度が、ユーザの希望する照明調整希望値375になるように、照明調整値を演算することが好ましい。
【0097】
本開示によれば、ユーザが机を利用する時に、机の高さと、机上の照度がユーザの希望する調整値に設定されるので、デスクワークをスムーズに開始することが可能になる。
【0098】
(3) 照明装置510には、什器520が配置された空間に什器520と離間して備えられ、什器520を照明する空間照明装置510a、および、什器520に備えられ、什器520を照明する什器照明装置510bを含むことが好ましい。
【0099】
本開示によれば、空間照明装置やデスクスタンド等の照明装置の照明も自動的にユーザの希望する調整値に設定されることが可能になる。
【0100】
(4) 照明調整希望値375は、空間照明装置510aおよび什器照明装置510bに対して、それぞれ設定されることが好ましい。
【0101】
本開示によれば、空間照明装置やデスクスタンド等の照明装置の照明もそれぞれ別個に自動的にユーザの希望する調整値に設定されることが可能になる。
【0102】
(5) 空間照明装置510aに対して演算される照明調整値は、高さを調整可能な什器520の高さが複数の高さ範囲に区分され、それぞれの高さ範囲に対して1つの照明調整値が代表値として演算されることが好ましい。
【0103】
本開示によれば、机520a等の什器520の高さの変化に対して、ユーザは照度の変化を敏感に感じることが少ない場合もあるので、頻繁に照明装置510の照明を変化させる煩雑な演算を低減することが可能になる場合もある。
【0104】
(6) ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、什器520に設置された環境装置530おいて、環境装置530の調整可能範囲におけるユーザの希望する環境装置調整希望値376を抽出する環境装置制御部353を含むことが好ましい。環境装置制御部353は、ユーザ端末100が什器520に接近することを検知すると環境装置調整希望値376を出力することが好ましい。
【0105】
本開示によれば、机520a等の什器520が設置されている空間において、環境装置530を設置することによって、ユーザはデスクワークを快適に開始し、集中して仕事に取り組むことが可能になる。
【0106】
(7) 環境装置530には、空調装置が含まれ、ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、空調装置の調整可能範囲におけるユーザの希望する空調装置調整希望値376aを抽出する空調装置制御部353aを含むことが好ましい。空調装置制御部353aは、ユーザ端末100が什器520に接近することを検知すると空調装置調整希望値376aを出力することが好ましい。
【0107】
本開示によれば、机520a等の什器520が設置されている空間において、空調装置を設置することによって、ユーザはデスクワークを快適に開始し、集中して仕事に取り組むことが可能になる。
【0108】
(8) 環境装置530には、音響装置が含まれ、ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報から、音響装置の調整可能範囲におけるユーザの希望する音響装置調整希望値376bを抽出する音響装置制御部353bを含むことが好ましい。音響装置制御部353bは、ユーザ端末100が什器520に接近することを検知すると音響装置調整希望値376bを出力することが好ましい。
【0109】
本開示によれば、机520a等の什器520が設置されている空間において、音響装置を設置することによって、ユーザはデスクワークを快適に開始し、集中して仕事に取り組むことが可能になる。
【0110】
(9) 環境装置530には、芳香放出装置が含まれることが好ましい。ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、芳香放出装置から放出可能な芳香種類および放出強度の調整可能範囲におけるユーザの希望する芳香放出装置調整希望値376cを抽出する芳香放出装置制御部353cを含むことが好ましい。芳香放出装置制御部353cは、ユーザ端末100が什器520に接近することを検知すると芳香放出装置調整希望値376cを出力することが好ましい。
【0111】
本開示によれば、机520a等の什器520が設置されている空間において、芳香放出装置を設置することによって、ユーザはデスクワークを快適に開始し、集中して仕事に取り組むことが可能になる。
【0112】
(10) 什器520または什器520と組み合わせて使用される物体に取り付けられるセンサ540であって、什器520にユーザが接近することを示すユーザ接近検知情報を出力するセンサ540を含むことが好ましい。また、センサ540からのユーザ接近検知情報を受信するユーザ近接判定部340を含むことが好ましい。ユーザ近接判定部340は、ユーザが什器520に接近することを判定することが好ましい。
【0113】
本開示によれば、ユーザが什器520に接近して、机520a等の什器520の使用を開始するタイミングを精度よく検出することが可能になるので、照明装置510、什器520、環境装置530の制御を適切なタイミングで開始することが可能になる。
【0114】
(11) 空間制御装置300は、ユーザ嗜好情報377を記憶する記憶部370を含むことが好ましい。ユーザが什器520を利用中に設定した、什器520の設定値を什器調整希望値374、照明装置510の設定値を照明調整希望値375、または、環境装置530の設定値を環境装置調整希望値376とする制御情報設定更新部361を含むことが好ましい。什器調整希望値374、照明調整希望値375、または、環境装置調整希望値376をユーザ情報に対応したユーザ嗜好情報に含ませることが好ましい。
【0115】
本開示によれば、ユーザは、什器520の設定値、照明装置510の設定値、環境装置530の設定値を好みの値に変更した場合にも、次回使用するタイミングで、前回の好みの値に初期設定されることが可能になる。
【0116】
(12) 什器調整希望値374は什器識別情報に対応付けられ、照明調整希望値375は照明装置識別情報に対応付けられ、および、環境装置調整希望値376は環境装置識別情報に対応付けられて記憶部370に記憶されることが好ましい。
【0117】
本開示によれば、照明装置510、什器520、環境装置530が複数存在する場合にも、それぞれの制御対象を個別的にユーザの嗜好に適合するように自動制御することが可能になる。
【0118】
(13) 什器調整希望値374、照明調整希望値375、および、環境装置調整希望値376は、時刻情報に対応付けられて記憶部370に記憶されることが好ましい。
【0119】
本開示によれば、特に、照明装置510および環境装置530は、時刻の変化に伴って、ユーザの好みが変化する場合もあるので、時刻情報と調整希望値とを対応付けることによって、時刻に応じて照明装置510および環境装置530等を制御可能になる。
【0120】
(14) 照明調整希望値375または環境装置調整希望値376が使用される場合には、ユーザ情報に含まれる時刻情報に対応する時刻における、記憶部370に記憶された照明調整希望値375または環境装置調整希望値376が使用されることが好ましい。また、什器調整希望値374が使用される場合には、ユーザ情報に含まれる時刻情報に対応する時刻における、記憶部370に記憶された什器調整希望値374が使用されることが好ましい場合もある。
【0121】
本開示によれば、特に、ユーザの嗜好情報が時刻の経過に伴って変化する場合にも、照明装置510および環境装置530をユーザの嗜好情報に適合するように制御することが可能になる。
【0122】
(15) 特定の時刻における、什器調整希望値374、照明調整希望値375、または、環境装置調整希望値376が記憶部370に記憶されていない場合には、以下の機能を実行する制御情報推定部362を含むことが好ましい。制御情報推定部362は、当該時刻における、什器調整希望値374、照明調整希望値375、または、環境装置調整希望値376を推定する機能を有する。
【0123】
本開示によれば、特定の時刻に対応する照明装置510、什器520、環境装置530の制御値が存在しない場合であっても、既存の推定方法を活用することによって、照明装置510、什器520、環境装置530を制御することが可能になる。この場合の推定方法には特別な制限が設けられることはない。
【0124】
(16) 空間制御装置300が制御するエリアに外乱がある場合には、記憶部370に記憶された什器調整希望値374、照明調整希望値375、または、環境装置調整希望値376が、外乱を低減するように変更される制御情報変更部363を含む。なお、外乱の発生時刻はユーザ情報に含まれる時刻情報に対応する時刻において認識されてもよい。
【0125】
本開示によれば、空間制御装置300が制御する空間に隣接して大きな窓があるような場合には、太陽光、外気温等の外乱が発生し、また、時刻によって変化することもあるので、制御情報変更部363によって、外乱の影響を低減することも可能になる。
【0126】
(17) ユーザ情報からユーザ情報に対応するユーザの働き方を分類し、ユーザの働き方が空間制御装置300の制御空間である集中ブースに対応付けられている場合に、集中ブースに関するガイド情報を生成するガイド情報生成部330を含むことが好ましい。通信装置制御部310は、ガイド情報を、通信装置BSiからユーザのユーザ端末100に伝送するように、通信装置BSiに出力することが好ましい。
【0127】
本開示によれば、集中ブースで働くことに適したユーザに、ユーザ端末100によって、集中ブースを適切に案内することが可能になる。
【0128】
(18) ガイド情報には、集中ブースに関する混雑状況が含まれ、集中ブース、および、空間制御装置300が制御しない空間を含む領域にユーザが進入する前に、ガイド情報が通信装置制御部310から出力されることが好ましい。
【0129】
本開示によれば、集中ブースに関する混雑状況が含まれるので、ユーザにとって集中ブースへ行くか否かを事前に適切に判断することが可能になる。また、ユーザにとって、好みの場所が使用できるか否かを事前に知ることが可能になる。
【0130】
(19) 空間制御装置300が制御する空間である集中ブースの規模に対応して、空間制御装置300の機能の少なくとも一部がクラウドコンピューティングによって処理されることが好ましい。
【0131】
本開示によれば、集中ブースの規模が大きくなれば、コンピュータ資源の不足、応答速度の遅延等の課題が懸念されるが、クラウドコンピューティングを使用することで、これらの課題を解決することが可能になる。
【0132】
(20) 通信装置制御部310およびユーザ位置特定部321の機能は、クラウドコンピューティングによっては処理されないことが好ましい。
【0133】
本開示によれば、フロントエンド処理はユーザの近傍で処理することによって、システムのスループットを高めることも可能になる。
(21)ユーザ位置特定部321は、通信装置BSiの位置および通信装置BSiでの電波受信状況からユーザ端末100の位置を特定することが好ましい。
【0134】
(22) 空間制御システム1000は上記(1)から(20)のいずれか一項に記載の空間制御装置300と、通信装置制御部310と接続される通信装置BSiと、通信装置BSiと通信するユーザ端末100と、を含むことが好ましい。
【0135】
本開示によれば、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明等を含む空間で作業に集中できる状態をユーザ毎に自動的に提供することが可能になる。
【0136】
(23) ユーザ端末100と通信装置BSiは無線によって通信し、ユーザ端末100は専用端末、または、公衆無線回線を利用する携帯端末に専用のアプリケーションを実装することによって実現されることが好ましい。
【0137】
本開示によれば、ユーザ端末100を専用端末だけではなく、携帯端末でも使用できる構成にすることで、より安価かつ容易にシステムを構築することも可能になる。また、携帯端末の画面を使用することによって、さまざまなガイド情報を提供することも可能になる。
【0138】
(24) 空間制御システム1000は、什器制御部352を介して制御される什器520としての高さ調整が可能な机520aと、照明装置制御部351を介して制御される照明装置510と、を含むことが好ましい。
【0139】
本開示によれば、什器520として机520aが含まれる場合には、机520aの高さと、照明装置510の照明を、集中ブースで作業することに適したユーザに対してユーザ嗜好情報に合致するように、自動的に調整することが可能になる。
【0140】
(25) 空間制御装置300を制御する制御方法は以下のステップを含むことが好ましい。
(i) 第1のステップは、ユーザ端末100と通信する通信装置BSiを制御し、ユーザ端末100から通信装置BSiを介してユーザ情報を受信するステップである。
(ii) 第2のステップは、ユーザ端末100の位置を特定するステップである。
(iii) 第3のステップは、ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、ユーザ端末100のユーザが利用する什器520において、什器520の位置調整可能範囲におけるユーザの希望する什器調整希望値374を抽出するステップである。当該ステップでは、ユーザが什器520に接近することを検知すると什器調整希望値374を出力することが好ましい。
(iv) 第4のステップは、ユーザ情報に対応するユーザ嗜好情報377から、ユーザが利用する照明装置510において、照明装置510の照明調整可能範囲におけるユーザの希望する照明調整希望値375を抽出するステップである。当該ステップでは、什器が位置する高さにおいて、ユーザの希望する照明調整希望値375が実現されるように照明調整値を演算し、照明調整値を出力することが好ましい。
【0141】
本開示によれば、ユーザの位置を自動検知して、ユーザが机等の什器を利用する時に、ユーザの嗜好性に合った机の高さと照明等を含む空間で作業に集中できる状態をユーザ毎に自動的に提供することが可能になる。
(26)第2のステップは、通信装置BSiの位置および通信装置BSiでの電波受信状況からユーザ端末100の位置を特定するステップである。
【0142】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。また、さまざまな実施形態の一部または全部を組み合わせて新たな実施形態とすることも可能である。
【符号の説明】
【0143】
100 ユーザ端末
200 中継装置
300 空間制御装置
310 通信装置制御部
320 通信情報解析部
330 ガイド情報生成部
340 ユーザ近接判定部
350 制御対象物制御部
360 制御情報処理部
370 記憶部
510 照明装置
520 什器
530 環境装置
540 センサ
1000 空間制御システム