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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ハンドホール
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20240329BHJP
   H02G 9/10 20060101ALI20240329BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240329BHJP
   E02D 29/14 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E02D29/12 C
H02G9/10
H02G1/06
E02D29/14 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022124264
(22)【出願日】2022-08-03
(65)【公開番号】P2024021440
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000116172
【氏名又は名称】ワールド工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】522310889
【氏名又は名称】株式会社ケイ・エヌ・システムプランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】福島 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】藏元 翔二
(72)【発明者】
【氏名】グエン フック グエン
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 享
(72)【発明者】
【氏名】青柳 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】杉本 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏之
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3238595(JP,U)
【文献】登録実用新案第3087944(JP,U)
【文献】特開2008-187893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/12
H02G 9/10
H02G 1/06
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される金属製のハンドホールであって、
第1開口を有する上壁、および当該上壁から下方へ延びており、下方へ向かうにつれて外向きへ拡がる傾斜壁を有する箱状の本体と、
上記本体の内部空間において上記傾斜壁に連結された支持部材と、
上記第1開口に挿入されて上記支持部材に支持されており、上記本体の内部空間に通ずる第2開口、および当該第2開口を封止する蓋を有する上部材と、を備え、
上記支持部材は、
雄ネジが形成されて上向きへ延びる棒材を有する高さ調整部を有しており、
上記上部材は、上記棒材に螺合された雌ネジ部材により上下方向に位置決めされているハンドホール。
【請求項2】
上記本体は、平面視における外形が角型であり、
上記傾斜壁は、隣り合う上記傾斜壁により形成される隅部近傍に位置して、上記本体の内部空間に突出する突片を有し、
上記支持部材は、上記突片に連結される請求項1に記載のハンドホール。
【請求項3】
上記支持部材は、隣り合う上記傾斜壁の上記突片にそれぞれ連結される板状の一対の腕部を備え、
一対の上記腕部は、上記高さ調整部材を支持する請求項2に記載のハンドホール。
【請求項4】
一対の上記腕部は、それぞれの主面が対向しており、当該主面が上下方向に沿って拡がっている請求項3に記載のハンドホール。
【請求項5】
一対の上記腕部の一端部は、相互に離間する向きに屈曲しており、
上記高さ調整部材は、上記棒材を支持しており、一対の上記腕部において上記離間する向きへ屈曲した部分に跨って固定された支持板を有する請求項3に記載のハンドホール。
【請求項6】
上記支持板は、一対の上記腕部の上記屈曲した部分に固定された固定部と、上記固定部から屈曲して延びており、一対の上記腕部に載置された支持部とを有しており、
上記棒材は、上記支持部から上向きへ延びている請求項5に記載のハンドホール。
【請求項7】
上記本体と上記上部材との間に配置される第1シール材を更に備える請求項1に記載のハンドホール。
【請求項8】
上記本体は、上記傾斜壁の下方に積層される複数の枠状の下部材と、隣り合う上記下部材の間に配置される第2シール材と、を備える請求項1に記載のハンドホール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設される金属製のハンドホールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中に電線を配線する際において、電線を中継する位置にハンドホールを埋設することが行われている。ハンドホールは、例えば、地上に露出する蓋体が開けられると、内部に配置されて中継されている電線を露出する。特許文献1には、高さ調整具を用いて開閉蓋の傾斜角度を調整することにより、開閉蓋の傾斜を路面の傾斜に合わせて凹部または段差をなくす構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-120700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたハンドホールでは、高さ調整具を構成するボルトが路面に露出する。雨などにより路面を流れる水が、ボルトのネジ溝に浸入すると、ボルトが腐食するおそれがある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、内容積を確保しながら地上への露出面を減少させ、且つ耐蝕性を向上することが可能なハンドホールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1に係るハンドホールは、地中に埋設される金属製のハンドホールであって、第1開口を有する上壁、および当該上壁から下方へ延びており、下方へ向かうにつれて外向きへ拡がる傾斜壁を有する箱状の本体と、上記本体の内部空間において上記傾斜壁に連結された支持部材と、上記第1開口に挿入されて上記支持部材に支持されており、上記本体の内部空間に通ずる第2開口、および当該第2開口を封止する蓋を有する上部材と、を備え、上記支持部材は、雄ネジが形成されて上向きへ延びる棒材を有する高さ調整部を有しており、上記上部材は、上記棒材に螺合された雌ネジ部材により上下方向に位置決めされている。
【0007】
上記構成によれば、本体が上壁から下方へ向かうにつれて外向きへ拡がる傾斜壁を有するので、内容積を確保しながら地上への露出面を減少させることができる。また、支持部材が本体の内部に配置され、外部に露出しないので、支持部材の腐食を抑制してハンドホールの耐蝕性を向上することができる。
【0008】
(2)請求項2に係るハンドホールは、上記本体は、平面視における外形が角型であり、上記傾斜壁は、隣り合う上記傾斜壁により形成される隅部近傍に位置して、上記本体の内部空間に突出する突片を有し、上記支持部材は、上記突片に連結される請求項1に記載のハンドホールである。
【0009】
上記構成によれば、支持部材への荷重に対する本体の耐荷重を向上することができ、荷重による箱体の座屈を抑制することができる。
【0010】
(3)請求項3に係るハンドホールは、上記支持部材は、隣り合う上記傾斜壁の上記突片にそれぞれ連結される板状の一対の腕部を備え、一対の上記腕部は、上記高さ調整部材を支持する請求項2に記載のハンドホールである。
【0011】
上記構成によれば、複数の板材を用いることにより、腕部の軽量化を維持しつつ、耐荷重を向上することができる。
【0012】
(4)請求項4に係るハンドホールは、一対の上記腕部は、それぞれの主面が対向しており、当該主面が上下方向に沿って拡がっている請求項3に記載のハンドホールである。
【0013】
上記構成によれば、水平方向に対して、上下方向に腕部を厚くすることができるので、より耐荷重を向上することができる。
【0014】
(5)請求項5に係るハンドホールは、一対の上記腕部の一端部は、相互に離間する向きに屈曲しており、上記高さ調整部材は、上記棒材を支持しており、一対の上記腕部において上記離間する向きへ屈曲した部分に跨って固定された支持板を有する請求項3または4に記載のハンドホールである。
【0015】
上記構成によれば、支持板が腕部の屈曲した部分に固定されるので、支持部材の耐荷重を向上することができる。
【0016】
(6)請求項6に係るハンドホールは、上記支持板は、一対の上記腕部の上記屈曲した部分に固定された固定部と、上記固定部から屈曲して延びており、一対の上記腕部に載置された支持部とを有しており、上記棒材は、上記支持部から上向きへ延びている請求項5に記載のハンドホールである。
【0017】
上記構成によれば、支持板が腕部に載置されるので、支持板から腕部にかかる荷重を直接伝えることができる。したがって、支持部材の耐荷重を向上することができる。
【0018】
(7)請求項7に係るハンドホールは、上記本体と上記上部材との間に配置される第1シール材を更に備える請求項1から6のいずれかに記載のハンドホールである。
【0019】
上記構成によれば、水分が本体と上部材との間から浸入することを抑制することができる。したがって、ハンドホールの水密性を向上することができる。
【0020】
(8)請求項8に係るハンドホールは、 上記本体は、上記傾斜壁の下方に積層される複数の枠状の下部材と、隣り合う上記下部材の間に配置される第2シール材と、を備える請求項1から7のいずれかに記載のハンドホールである。
【0021】
上記構成によれば、水分が上下方向に重ねられている枠体の間から浸入することを抑制することができる。したがって、ハンドホールの水密性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るハンドホールは、内容積を確保しながら地上への露出面を減少させ、且つ耐蝕性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ハンドホールの斜視図である。
図2図2は、ハンドホールの平面図である。
図3図3は、蓋部を外したハンドホールの平面図である。
図4図4は、図2のA-A線断面図である。
図5図5は、図4の領域Bの部分拡大図である。
図6図6は、図4の領域Cの部分拡大図である。
図7図7は、図4の領域Dの部分拡大図である。
図8図8は、図4の支持部材の位置の斜視図である。
図9図9は、支持部材を連結した傾斜壁の底面図である。
図10図10は、図9の領域Eの部分拡大図である。
図11図11は、水平方向に対して上部材を傾斜させた一部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る地面に埋設される金属製のハンドホールが説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更できることは言うまでもない。
【0025】
以下では、図1に示されるように、ハンドホール100の高さ方向(鉛直方向)を上下方向1とする。上下方向1に直交する方向(水平方向)であって、ハンドホール100の本体の外側面の一面に沿う方向を前後方向2とする。上下方向1および前後方向2に直交する方向であって、ハンドホール100の本体の外周面の他の一面に沿う方向を左右方向3とする。
【0026】
ハンドホール100は、地中に埋設されて、地中配線の中継点として用いられる。ハンドホール100は、電線または通信線の通線の支障となりやすい位置に設置される。ハンドホール100は、例えば、引込柱の直近、建物への導入部、配線の曲がり部分、および直線配線の所定距離ごと等に設置される。ハンドホール100は、配線の接続点を内部に収容する。ハンドホール100は、上部の蓋を開放することにより、収容されている接続点を露出する。
【0027】
ハンドホール100は、金属製であり、例えば鋼板を用いて構成される。ハンドホール100は、例えば1.6mm厚の鋼板を用いて構成される。ハンドホール100は、各部品がモジュール化されている。これにより、現地に部品単位で持ち込むことにより、現地においてハンドホール100を組み上げることができる。一体成型されて現地に持ち込まれるコンクリート製のハンドホール100に比べ、取り回しを良くして設置効率を向上することができる。本実施形態において説明されるハンドホール100は、さらに、地上へ露出する面積を減少させ、且つ耐蝕性の向上を図っている。
【0028】
図1から図4に示されるように、ハンドホール100は、本体10と、支持部材11と、上部材12と、第1シール材13と、を備える。
【0029】
本体10は、平面視における外形が矩形の箱状である。本体10は、平面視における外形が角型である。本体10の外形は、前後方向2の寸法および左右方向3の寸法に比べて、上下方向1の寸法が長い。本体10は、内部空間48に配線の接続部分を収容する。本体10は、側壁に、配線を挿通可能な挿通孔(図示せず)を有する。本体10は、上壁14と、傾斜壁15と、下部材16と、第2シール材17と、底板18と、を備える。
【0030】
上壁14は、本体10の天板を構成する。上壁14は、前後方向2および左右方向3において、中央となる位置に、上下方向1に貫通する第1開口19を有する。すなわち、上壁14は、第1開口19を中央に有する枠体である。第1開口19は、平面視における外形が矩形である。
【0031】
傾斜壁15は、上壁14から連続して下方へ延びる。傾斜壁15は、下方に向かうにつれて外向きに拡がる。傾斜壁15は、例えば水平方向に対して67°の角度に傾斜される。傾斜壁15は、平面視が矩形の上壁14の四辺のそれぞれに位置する。傾斜壁15は、側面視において台形状である。図5に示されるように、傾斜壁15の下端部は内側に屈曲されてなるリブ部46である。図9および図10に示されるように、傾斜壁15の前後方向2または左右方向3の両端部には、本体10の内部空間48へ向かって突出する突片21が形成される。各突片21は、隣り合う傾斜壁15により形成される本体10の角部49近傍に位置して本体10の内部空間48に突出する。突片21は、側面視における外形が、傾斜壁15に接続される辺を斜辺とする三角形状である。突片21は、上下方向1における長さが、傾斜壁15の上下方向1の長さと同じまたは略同じ長さである。
【0032】
傾斜壁15は、水平方向において、板材で構成される中間部68と、略三角錐状に構成される角部69とが組み合わされている。具体的には、傾斜壁15は、平面視における4つの角の位置に配置され傾斜方向と同方向に延びる2つの辺を有する角部69に対して、当該2つの辺の位置に中間部68の水平方向端縁が組み合わされている。図10に示すように、中間部68および角部69は、それぞれの組み合わせ位置(端面の位置)で内部空間48に突出するフランジ部70,71の貫通孔(不図示)にボルト27が挿通されて、ナット28と螺合されることにより、連結される。フランジ部70,71は、突片21を構成する。フランジ部70,71により傾斜壁15の角部69の厚さを厚くすることができるので、座屈に対する角部69の強度を向上することができる。図10に示されるように、角部69の上端には、後述する天板64を支持するためのフランジ部72が設けられる。フランジ部72は、角部69の上端側の隅部50の上下方向1沿って入れられた切り込み部分を境にして、上端部を水平方向に沿って折り曲げられてなる。
【0033】
下部材16は、傾斜壁15の下方に位置する。下部材16は、図1に示されるように、上下方向1に複数が積層される。本実施形態において、3つの下部材16が積層されるが、下部材16の個数はこの限りでない。下部材16は、平面視における外形が枠状である。図6に示されるように、下部材16の上端部は、内側に屈曲された上方リブ22である。図7に示されるように、下部材16の下端部は、内側に屈曲された下方リブ23である。上下方向1に積層される2つの下部材16は、上方リブ22と下方リブ23とが重ねられた状態となる。重ねられた状態の上方リブ22および下方リブ23の貫通孔(不図示)にボルト24が挿通されてナット25と螺合されることにより、積層された下部材16が一体化される。傾斜壁15に隣接する下部材16は、傾斜壁15の下方リブ26と上方リブ22とが重ねられた状態で、上方リブ22および下方リブ26の貫通孔(不図示)にボルト66が挿通されてナット67と螺合されることにより、傾斜壁15と一体化される。
【0034】
第2シール材17は、上下方向1に隣り合う上方リブ22と下方リブ23との間に位置する。第2シール材17は、下部材16と後述する底板18との間、および下部材16と傾斜壁15との間に位置する。第2シール材17の素材としては、圧縮変形可能な弾性を有するものが好ましく、例えばエチレンプロピレンゴムが挙げられる。第2シール材17は、下部材16の周方向に沿って複数が環状に配置されてもよいし、環状に形成されたものであってもよい。第2シール材17は、ボルト24およびナット25の締結力により弾性的に圧縮変形して、上方リブ22および下方リブ23に密着する。これにより、第2シール材17は、積層された下部材16の間や、傾斜壁15と下部材16との間、下部材16と底板18との間において、外部から本体10の内部空間48への水の浸入を抑制する。
【0035】
底板18は、平面視における外形が矩形である。底板18は、本体10の底部を構成する。底板18は、例えばペグ(不図示)等の固定部材等を用いて、板面の一主面を上方に向けて地面に固定される。底板18は、上方を向く主面に、下部材16と同型の枠体29を有する。枠体29の端部は内側に折り曲げられてなる上方リブ(不図示)である。枠体29は、直上に配置される下部材16の下方リブ23および上方リブの貫通孔(不図示)に挿通されたボルト(不図示)にナット(不図示)が螺合されることにより、下部材16と一体化される。
【0036】
支持部材11は、図7から図10に示されるように、本体10の内部空間48において傾斜壁15の突片21に連結される。支持部材11は、本体10の4つの隅部のそれぞれに位置する。支持部材11は、腕部30と、高さ調整部31と、を備える。
【0037】
腕部30は、一対の板材である。腕部30は、例えば4.5mm厚の鋼板を用いて構成される。一対の腕部30は、隣り合う傾斜壁15の突片21にそれぞれ連結される。一対の腕部30は、それぞれの主面51,52が対向しており、主面51,52が上下方向1に沿って拡がっている。一対の腕部30の一端部53は、相互に離間する向き(図10における左斜め後向きおよび右斜め前向き)に屈曲する。一対の腕部30の他端部54も、相互に離間する向き(図10における後向きおよび前向き)に屈曲する。一対の腕部30のそれぞれの他端部54は、側面視における外形が三角形状である。一対の腕部30のそれぞれの他端部54の主面51,52は、傾斜壁15の上下方向1の高さに合わせて拡がっている。一対の腕部30のそれぞれの他端部54の端面(不図示)は、水平方向に対して、傾斜壁15と同様または略同様の角度で傾斜する。一対の腕部30の他端部54は、図9および図10に示されるように、突片21に重ねられた上で、他端部54および突片21の貫通孔(不図示)に挿通されたボルト27にナット28が螺合されることにより、突片21に連結される。
【0038】
高さ調整部31は、平面視において、第1開口19の内側に位置する。高さ調整部31は、一対の腕部30の一端部53に支持される。高さ調整部31は、棒材32と、支持板33と、を備える。
【0039】
棒材32は、上下方向1に延びる棒材である。棒材32の周面には、雄ネジが形成されている。棒材32には、2つのナット(雌ネジ部材34の一例)が螺合されている。
【0040】
支持板33は、平板が主面の一辺に沿う方向に屈曲されたLアングル材である。支持板33は、例えば4.5mm厚の鋼板を用いて構成される。支持板33は、一対の腕部30において離間する方向(図10における左斜め後方向および右斜め前方向)へ屈曲した部分55(例えば4.5mm厚の鋼板を用いて構成される)に跨って固定される。支持板33は、一対の腕部30において上方を向く面56に主面57を当接した状態で載置される。支持板33は、固定部35と、支持部36と、を備える。
【0041】
固定部35は、屈曲した支持板33の一方部分である。固定部35は、一対の腕部30の屈曲した部分(一端部53)に固定される。固定部35は、一対の腕部30の屈曲した部分(一端部53)に主面58を当接した状態で、厚み方向に貫通するビス47により固定される。この状態において、固定部35の主面58は上下方向1に沿って拡がっている。
【0042】
支持部36は、屈曲した支持板33の他方部分である。支持部36は、一対の腕部30の一端部53の上方を向く面56に下面(主面57)を当接した状態で配置される。換言すると、支持部36は、一対の腕部30の一端部53の上方を向く面56に載置される。支持部36は、厚さ方向(図7の上下方向1)に貫通する貫通孔(不図示)を有している。支持部36には、貫通孔(不図示)の軸方向に、軸方向を合わせたナット(不図示)が溶接される。支持部36は、貫通孔(不図示)に挿通されるとともにナット(不図示)に螺合され、さらにナット(不図示)に溶接された棒材32を支持する。これにより、支持部36は、棒材32の下端部を支持する。
【0043】
上部材12は、図1から図4に示されるように、第1開口19に挿入される。上部材12は、本体10の蓋として機能する。上部材12の一部は、ハンドホール100を地面に埋設した際に、地面から露出する。上部材12は、中間部37と、天板64と、第2開口38と、蓋39と、を備える。
【0044】
中間部37は、平面視における外形が第1開口19の外形と合致する矩形である。中間部37は、平面視における外形が矩形である貫通孔40を有する。中間部37は、矩形の四隅の下端付近それぞれに、板状のリブ部41を有する。リブ部41は、中間部37の下端付近から内向きへ(本体10の内部空間48へ向かって)延びている。リブ部41は、棒材32が挿通可能な貫通孔(図示せず)を有する。中間部37の上端は、外側に屈曲されてなるフランジ部60である。フランジ部60は、平面視における外形が矩形である。
【0045】
天板64は、平面視における外形がフランジ部60の外形と合致する矩形である。天板64は、中間部37の上面に載置される。天板64は、四隅61において、中間部37および天板64を厚さ方向に貫通する貫通孔(不図示)に挿通されたボルト62にナット63を螺合することにより固定される。
【0046】
第2開口38は、天板64の中心に配置される。第2開口38は、平面視における外形が円形である。第2開口38は、中間部37の貫通孔40に通じる。すなわち、第2開口38は、貫通孔40を介して、本体10の内部空間48に通じる。第2開口38は、例えば、天板64の上面に形成され、平面視における外形が円形状の凸部65によって囲まれる領域内に配置される。第2開口38は、凸部65に囲まれる領域の径よりも小さな径で構成される。
【0047】
蓋39は、平面視における外形が凸部65の外形と合致する円形である。蓋39は、凸部65の内周円と同じまたは略同じ外形である。したがって、蓋39は、第2開口38の径よりも大きな外形である。蓋39は、凸部65の突出量と同じまたは略同じ厚さである。蓋39は、凸部65によって囲まれる領域に配置されることにより、第2開口38を閉塞する。蓋39は、第2開口38を閉塞している状態で、天板64によって支持される。蓋39は、天板64の上面に、着脱自在に配置される。また、蓋39の上面は、ハンドホール100が地中に埋設された状態で、地面から露出する露出面となる。
【0048】
図4に示されるように、第1シール材13は、本体10の第1開口19を区画する縁と、上部材12との間に位置する。第1シール材13は、第1開口19の全周に沿っている。第1シール材13は、傾斜壁15と上部材12との間から本体10の内部空間48への水の浸入を抑制する。
【0049】
以上の傾斜壁15、支持部材11、および上部材12によれば、上部材12にかかる荷重は、支持部材11の棒材32によって支持される。棒材32は、腕部30により、傾斜壁15から内部空間48に向けて離れて配置される。棒材32にかかる荷重は、腕部30を介して突片21に支持される。突片21には、傾斜壁15から棒材32までの距離と荷重との積で示される曲げモーメントが加わる。突片21が傾斜壁15の上下方向1に亘る斜辺で傾斜壁15に接続されているので、棒材32および腕部30を介して突片21にかかる荷重は、突片21の斜辺部分(基端)の全体に沿って分散される。すなわち、荷重は、傾斜壁15の傾斜方向に沿って延びる、傾斜壁15から折り曲がって突出する突片21の折り曲げ位置に沿う全体に亘って分散される。これに伴い、突片21にかかる応力は、傾斜壁15から折り曲がって突出する突片21の折り曲げ位置に沿う全体に亘って分散される。したがって、突片21の耐久性を向上することができる。また、角部69のフランジ部72は、突片21にかかる荷重により、切り込みを狭める方向に移動しようとする。すなわち、角部69のフランジ部72は、上下方向1において互いに重なる方向に移動しようとする。これにより、フランジ部72同士の間からの水分の浸入を防ぎ、ハンドホール100の防水性能を向上することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係るハンドホール100の設置方法について説明する。
まず、ハンドホール100を埋設する位置の土が除去される。次いで、底板18がペグを用いて埋設位置の地面に固定される。
【0051】
次いで、底板18の上方リブの位置に第2シール材17が配置される。次いで、積層される下部材16の下方リブ23が第2シール材17の位置に重ね合わされる。次いで、底板18の上方リブと、下部材16の下方リブ23とがボルトおよびナットを用いて一体化される。これにより、底板18と積層される下部材16とが固定される。次いで、積層される下部材16同士が同様に第2シール材17を挟んで固定されることにより、底板18に複数の下部材16が固定される。
【0052】
全ての下部材16が固定された後、最も上方に位置する下部材16の上方リブ22に対して、第2シール材17が配置される。次いで、傾斜壁15の下方リブ43が第2シール材17および上方リブ22に重ね合わされる。次いで、下部材16の上方リブ22と傾斜壁15の下方リブ43とがボルト44およびナット45を用いて固定される。支持部材11は、傾斜壁15の内部に突出する突片21にボルト27およびナット28を用いて固定される。支持部材11のそれぞれは、隣接する傾斜壁15によって形成される4つの隅部50の近傍に固定される。
【0053】
次いで、中間部37が第1開口19に挿入される。このとき、中間部37のリブ部41のそれぞれは、支持部材11の棒材32を挿通する。そして、棒材32に予め螺合されている雌ネジ部材34に当接することにより、中間部37は、支持部材11に支持される。次いで、4つの棒材32に更なる雌ネジ部材34が螺合される。リブ部41が雌ネジ部材34により挟み込まれることにより、中間部37が支持部材11に固定される。
【0054】
次いで、本体10と中間部37との間に第1シール材13が配置される。次いで、内部空間48に地中配線が配置された後、天板64に蓋39が載置される。これにより、蓋39は、第2開口38を閉塞する。次いで、ハンドホール100の周囲に土砂が戻されることにより、ハンドホール100が設置される。
【0055】
次に、蓋39の傾斜の調整方法について説明する。
中間部37が第1開口19に挿通する前に、棒材32に予め螺合されている雌ネジ部材34(下方側に配置される雌ネジ部材34)の螺合位置が調整される。雌ネジ部材34のそれぞれは、支持板33との間の距離を短くする(棒材32への螺合を深くする)調整により、支持部材11に支持される中間部37を低くすることができる。これにより、雌ネジ部材34のそれぞれは、地面に対する天板64および蓋39の位置を低くすることができる。逆に、雌ネジ部材34のそれぞれは、支持板33との間の距離を長くする(棒材32への螺合を浅くする)調整により、支持部材11に支持される中間部37を高くすることができる。これにより、雌ネジ部材34のそれぞれは、地面に対する天板64および蓋39の位置を高くすることができる。
【0056】
雌ネジ部材34のそれぞれは、位置する箇所の地面までの高さに応じて棒材32への螺合の深さを調整される。具体的には、雌ネジ部材34のそれぞれは、軸方向における地面までの高さを中間部37、天板64、および蓋39の厚さと同じまたは略同じになるように調整される。これにより、雌ネジ部材34のそれぞれは、地面の勾配に合わせて、地面までの距離が同じまたは略同じ距離となるように調整される。その後、中間部37、天板64、および蓋39が順に取付られることにより、地面の勾配に沿って面一に調整された蓋39を得ることができる。図11に示すように、例えば、蓋39が左方向から右方向にかけて、+5度傾斜するハンドホール100を得ることができる。
【0057】
[本実施形態の作用効果]
上記構成によれば、本体10が上壁14から下方へ向かうにつれて外向きへ拡がる傾斜壁15を有するので、内容積を確保しながら地上への露出面を減少させることができる。また、支持部材11が本体10の内部に配置され、外部に露出しないので、支持部材11の腐食を抑制してハンドホール100の耐蝕性を向上することができる。
【0058】
また、突片21を傾斜壁15の任意の位置に配置する場合に比べ、突片21のそれぞれにかかる荷重をより均等に分散させることができる。例えば、上部材12が踏まれることによる荷重を突片21のそれぞれにより均等に分散させることができる。したがって、ハンドホール100の安定性を向上することができる。
【0059】
また、腕部30に板材を用いることにより、中実の角形鋼等を用いる場合に比べ軽量化を図ることができる。また、板材を複数とすることにより、一つの板材を用いる場合に比べ、耐荷重を向上することができる。
【0060】
また、上下方向1に腕部30を厚くすることにより、水平方向に腕部30を厚くする場合に比べ、耐荷重を向上することができる。
【0061】
また、支持板33が腕部30の屈曲した部分に跨って固定されるので、腕部30の一方で支持板33を支持する場合に比べ、支持部材11の耐荷重を向上することができる。
【0062】
また、支持部36が腕部30に載置されるので、棒材32から支持部36にかかる荷重を上下方向1において直接腕部30で支持することができる。これにより、腕部30と支持部36の水平方向での連結のみで棒材32にかかる荷重を支持する場合に比べ、支持部材11の耐荷重を向上することができる。
【0063】
また、水分が本体10と上部材12との間から浸入することを抑制することができる。したがって、ハンドホール100の水密性を向上することができる。
【0064】
また、水分が上下方向1に重ねられている枠体の間から浸入することを抑制することができる。したがって、ハンドホール100の水密性を向上することができる。
【0065】
[変形例]
上記の実施形態では、ハンドホール100の外形について、平面視において矩形である場合を説明したが、これに限定されない。ハンドホール100の外形は、平面視において角型であれば、種々の形状が採用されてよい。また、ハンドホール100は、平面視における形状が円形であってもよい。第1開口19および中間部37の平面視における形状も、円形またはさらなる多角形状であってよい。また、支持部材11は、中間部37の支持強度の確保および支持部36の傾斜が可能であれば、全ての隅部50に配置されなくてよい。例えば、支持部材11は、平面視における外形が矩形である中間部37に対して、3つの隅部50に配置される支持部材11で支持するようにしてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、一対の腕部30の主面は、上下方向1に沿って拡がるように配置されたがこれに限定されない。一対の腕部30の主面は、水平方向に沿って拡がるように配置されてよい。この場合、一例として、一対の腕部30は、上下方向1において、互いに重ねて配置される。一対の腕部30のそれぞれは、他端部54において、傾斜壁15の隅部50近傍から突出する突片21に固定される。一対の腕部30のそれぞれは、一端部53において、上下方向1に軸方向を向けた棒材32を貫通した状態で溶接することにより支持してもよい。
【0067】
また、支持部材11は、突片21に連結されるものであれば制限されない。支持部材11は、例えば、水平方向に延びる板状の突片21に対して、上下方向1に軸方向を向けた棒材32を溶接により固定した構成であってもよい。また、支持部材11は、隅部50と当該隅部50を水平方向で挟んだ隅部50近郊の一対の位置との3箇所から突出する突片21によって、上下方向1に軸方向を向けた棒材32を溶接により固定した構造であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、ハンドホール100の設置方法として、埋設現場において組み立てて設置する例を説明したが、これに制限されない。ハンドホール100は、予め工場等で組み立てられた上で、搬送された現場で埋設されてもよい。金属製のハンドホール100は、コンクリート製のハンドホール100に比べて軽量なので、組み立て後であっても容易に搬送することができる。ハンドホール100は、工場等で一部を組み立てられた上で、現地に搬入されて完成されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態におけるハンドホール100の設置方法において、傾斜壁15は、予め中間部68および角部69を組み合わせた状態で設置される例を示したが、これに制限されない。傾斜壁15は、設置現場において、中間部68および角部69を組み合わされてもよい。また、支持部材11は、予め傾斜壁15の突片21に固定された上で、現地に持ち込まれてもよい。
【0070】
[請求項1]
地中に埋設される金属製のハンドホールであって、
第1開口を有する上壁、および当該上壁から下方へ延びており、下方へ向かうにつれて外向きへ拡がる傾斜壁を有する箱状の本体と、
上記本体の内部空間において上記傾斜壁に連結された支持部材と、
上記第1開口に挿入されて上記支持部材に支持されており、上記本体の内部空間に通ずる第2開口、および当該第2開口を封止する蓋を有する上部材と、を備え、
上記支持部材は、
雄ネジが形成されて上向きへ延びる棒材を有する高さ調整部を有しており、
上記上部材は、上記棒材に螺合された雌ネジ部材により上下方向に位置決めされているハンドホール。
【0071】
[請求項2]
上記本体は、平面視における外形が角型であり、
上記傾斜壁は、隣り合う上記傾斜壁により形成される隅部近傍に位置して、上記本体の内部空間に突出する突片を有し、
上記支持部材は、上記突片に連結される請求項1に記載のハンドホール。
【0072】
[請求項3]
上記支持部材は、隣り合う上記傾斜壁の上記突片にそれぞれ連結される板状の一対の腕部を備え、
一対の上記腕部は、上記高さ調整部材を支持する請求項2に記載のハンドホール。
【0073】
[請求項4]
一対の上記腕部は、それぞれの主面が対向しており、当該主面が上下方向に沿って拡がっている請求項3に記載のハンドホール。
【0074】
[請求項5]
一対の上記腕部の一端部は、相互に離間する向きに屈曲しており、
上記高さ調整部材は、上記棒材を支持しており、一対の上記腕部において上記離間する向きへ屈曲した部分に跨って固定された支持板を有する請求項3に記載のハンドホール。
【0075】
[請求項6]
上記支持板は、一対の上記腕部の上記屈曲した部分に固定された固定部と、上記固定部35から屈曲して延びており、一対の上記腕部に載置された支持部とを有しており、
上記棒材は、上記支持部から上向きへ延びている請求項6に記載のハンドホール。
【0076】
[請求項7]
上記本体と上記上部材との間に配置される第1シール材を更に備える請求項1に記載のハンドホール。
【0077】
[請求項8]
上記本体は、上記傾斜壁の下方に積層される複数の枠状の下部材と、隣り合う上記下部材の間に配置される第2シール材17と、を備える請求項1に記載のハンドホール。
【符号の説明】
【0078】
10・・・本体
11・・・支持部材
12・・・上部材
13・・・第1シール材
14・・・上壁
15・・・傾斜壁
16・・・下部材
17・・・第2シール材
18・・・底板
19・・・第1開口
21・・・突片
30・・・腕部
31・・・高さ調整部
32・・・棒材
33・・・支持板
35・・・固定部
36・・・支持部
37・・・中間部
38・・・第2開口
39・・・蓋
100・・・ハンドホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11