(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ロボットの縁沿い走行中の清掃区画領域の計画方法、チップ及びロボット
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240329BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240329BHJP
【FI】
A47L9/28 E
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2022539045
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2020131194
(87)【国際公開番号】W WO2021248845
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202010537628.0
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520347351
【氏名又は名称】珠海一微半導体股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AMICRO SEMICONDUCTOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2706,3000 Huandao East Road,Hengqin New District,Zhuhai,Guangdong 519000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】黄 恵保
(72)【発明者】
【氏名】周 和文
(72)【発明者】
【氏名】陳 卓標
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/169920(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109464074(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0174485(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108567379(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが縁に沿って走行する過程において実行される、ロボットの縁沿い走行中の清掃区画領域の計画方法であって、具体的には、
ロボットの縁沿い開始点位置から、ロボットが現在画定された予め定義された清掃領域内で走査したレーザー地図の画素点統計情報に基づいて、レーザー地図の各座標軸方向の輪郭境界線分の位置を特定するステップであって、レーザー地図はロボットが縁沿い走行中に走査して構築したものであるステップ11と、
各座標軸方向に、予め設定された位置に最も近い輪郭境界線分を選択して、矩形の初期部屋清掃区画領域を画成するステップ12と、
初期部屋清掃区画領域が予め設定された部屋清掃区画領域に属しない場合、優先的に拡張される座標軸方向を1つ選択し、初期部屋清掃区画領域における、優先的に拡張される座標軸方向に垂直な非壁体障害物線分を削除してから、初期部屋清掃区画領域を優先的に拡張される座標軸方向に沿って拡張し、ステップ14に進むステップ13と、
ステップ13での優先的に拡張される座標軸方向に位置特定された、ステップ13で削除された非壁体障害物線分に隣接する輪郭境界線分が、現在画定された予め定義された清掃領域内の未掃除領域に位置するか否かを判断するとともに、当該座標軸方向に位置特定された輪郭境界線分が、前記初期部屋清掃区画領域の残りの輪郭境界線分と交差して、予め設定された部屋清掃区画領域が形成されていないかを判断し、両方が満たされていれば、ステップ13に戻って現在選択された座標軸方向への拡張を継続し、
ステップ13での優先的に拡張される座標軸方向に位置特定された、ステップ13で削除された非壁体障害物線分に隣接する輪郭境界線分が、現在画定された予め定義された清掃領域内の前記未掃除領域に位置しない場合、前記ステップ13で現在選択された座標軸方向への拡張を停止してから、前記ステップ13に戻って1つ下の拡張優先度の座標軸方向を選択して拡張することにより、前記予め定義された清掃領域が、対応する輪郭境界線分によって、予め設定された部屋清掃区画領域に区画されるステップ14と、を含み、
非壁体障害物線分は、壁体ではない輪郭境界線分であり、前記予め設定された部屋清掃区画領域を画成する輪郭境界線分と、実際の部屋境界とは、予め設定された誤差許容範囲内で重なっており、
実際の部屋境界は、前記予め設定された部屋清掃区画領域の内部の障害物の境界及び/又は前記実際の縁沿い領域の内部の障害物の境界を含む、ことを特徴とする清掃区画領域の計画方法。
【請求項2】
ロボットがリアルタイムに走査して構築したレーザー地図上に、1つの計画開始点位置を中心として1つの前記予め定義された清掃領域を画定してから、現在画定された前記予め定義された清掃領域内で最も近い物理的境界の縁沿い開始点位置を選択し、ロボットが当該物理的境界に沿って縁沿い走行を行うように構成されるまで、前記縁沿い開始点位置から直線的に計画された経路に沿って当該物理的境界に向かって進むようにロボットを制御するステップをさらに含み、
当該物理的境界は、予め定義された清掃領域内の障害物の境界又は壁体を含み、前記計画開始点位置は、現在画定された前記予め定義された清掃領域内でのロボットの起動位置である、ことを特徴とする請求項1に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項3】
現在画定された予め定義された清掃領域が、前記予め設定された部屋清掃区画領域に区画されたことが検出されると、区画された前記予め設定された部屋清掃区画領域内で縁沿い走行を継続するようにロボットを制御し、ロボットが当該予め設定された部屋清掃区画領域内で縁沿いで一周して前記計画開始点位置に戻ったときに、当該予め設定された部屋清掃区画領域の計画的掃除を開始するようにロボットを制御し、当該予め設定された部屋清掃区画領域には、前記計画開始点位置と、前記計画開始点位置から縁沿い開始までのロボットの走行経路と、ロボットの走行済みの縁沿い経路とが取り囲まれている、ことを特徴とする請求項2に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項4】
ロボットが縁に沿って走行する過程において、ロボットが1つの前記予め設定された部屋清掃区画領域を区画したときに、ロボットが縁沿い走行して、縁沿い開始点位置で区画された前記予め設定された部屋清掃区画領域を出たと判断された場合、新たな前記予め設定された部屋清掃区画領域を区画し続けるようにロボットを制御し、その後、これら2つの前記予め設定された部屋清掃区画領域を併せ、2つの併せた予め設定された部屋清掃区画領域内で縁沿い走行を継続するようにロボットを制御し、ロボットが縁沿い走行で一周して前記計画開始点位置に戻ったときに、2つの併せた予め設定された部屋清掃区画領域の計画的掃除を開始するようにロボットを制御し、2つの併せた予め設定された部屋清掃区画領域には、前記計画開始点位置と、前記計画開始点位置から縁沿い開始までのロボットの走行経路と、ロボットの走行済みの縁沿い経路とが取り囲まれている、ことを特徴とする請求項2に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項5】
計画的掃除を実行する過程において、前記予め設定された部屋清掃区画領域がすべて計画的掃除経路によってカバーされるまで、前記予め設定された部屋清掃区画領域を越えないようにロボットを制御し、その後、ロボットが掃除した領域を掃除済み領域としてマーキングするとともに、ロボットが掃除した領域以外の走査済み領域を前記未掃除領域としてマーキングする、ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項6】
前記予め定義された清掃領域は、前記計画開始点位置を対角線の交点とした正方形の枠状領域として、ロボットの縁沿い走行範囲を制限し、さらに、今回決定された前記予め定義された部屋清掃区画領域、又は、同一の前記予め定義された清掃領域内で併せられた前記予め定義された部屋清掃区画領域を取り囲み、
前記予め定義された清掃領域のカバー領域は、正方形の実際の物理的領域に相当し、当該正方形の実際の物理的領域は、辺の長さが室内の掃除すべき領域のサイズに関するものである、ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項7】
前記予め設定された部屋清掃区画領域の具体的な判断方法は、
前記初期部屋清掃区画領域を画成する輪郭境界線分はいずれも非壁体障害物線分ではなく、かつ前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さが、壁体適合度の値の分、画素点の数に対応する線分の長さ、及び、前記初期部屋清掃区画領域のいずれかの辺の長さの予め設定された比率の値のうち小さいほうの数値よりも小さい場合、前記初期部屋清掃区画領域が前記予め設定された部屋清掃区画領域であると決定するステップと、
前記初期部屋清掃区画領域を画成する前記輪郭境界線分のうちの1つが非壁体障害物線分である場合、あるいは、前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さが、壁体適合度の値の分、画素点の数に対応する線分の長さ以上である場合、あるいは、前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さが、前記初期部屋清掃区画領域の1辺の長さの予め設定された比率の値以上である場合、前記初期部屋清掃区画領域が前記予め設定された部屋清掃区画領域に属しないと決定するステップと、を含み、
前記輪郭境界線分は、白の画素点の数に応じて非壁体障害物線分と壁体障害物線分とに分けられ、非壁体障害物線分における白の画素点の数は、予め設定された閾値以上であり、壁体障害物線分の場合は、予め設定された閾値未満であり、
レーザー地図には、さらに、走査された孤立障害物線分が存在し、前記孤立障害物線分の長さが、前記初期部屋清掃区画領域における1辺の長さの予め設定された
比率の値、及び壁体適合度の値の分、画素点の数に対応する線分の長さの2種類の線分の長さの一方以上であれば、前記孤立障害物線分を、前記壁体障害物線分としてマーキングする、ことを特徴とする請求項6に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項8】
前記ステップ11の具体的な方法は、
前記予め定義された清掃領域内において、現在構築されたレーザー地図における画像の画素点を前記計画開始点位置から統計するステップと、
X軸方向に沿って、縦座標が同じである黒の画素点の数が予め設定された境界閾値を超えると統計されるたびに、前記縦座標が同じである黒の画素点を結ぶことによって形成される前記輪郭境界線分をマーキングすることで、前記予め定義された清掃領域内のX軸方向に延びる領域が、対応する輪郭境界線分によって区画されるステップと、
Y軸方向に沿って、横座標が同じである黒の画素点の数が予め設定された境界閾値を超えると統計されるたびに、前記横座標が同じである黒の画素点を結ぶことによって形成される前記輪郭境界線分をマーキングすることで、前記予め定義された清掃領域内のY軸方向に延びる領域が、対応する輪郭境界線分によって区画されるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の清掃区画領域の計画方法。
【請求項9】
制御プログラムが内蔵されているチップであって、前記制御プログラムは、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の清掃区画領域の計画方法を実行するように、ロボットの移動を制御する、ことを特徴とするチップ。
【請求項10】
レーザーセンサを搭載したロボットであって、前記ロボットが縁沿い走行中に前記予め設定された部屋清掃区画領域を分割するように設定するための請求項9に記載のチップが内蔵されている、ことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットのレーザーデータに基づく経路計画の技術分野に関し、特に、ロボットの縁沿い走行中の清掃区画領域の計画方法、チップ及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているレーザーSLAM掃除機のカバー式掃除作業モードでは、掃除機は、M×Nグリッドサイズの矩形の枠状領域(通常は4x4グリッドサイズ)で掃除作業を行い、現在画定されたM×Nグリッド領域を掃除し終わってから、別のM×Nグリッド領域を拡張し画定し、作業領域の全てがカバーされるまで、新たに拡張された領域内で掃除を継続する。このような作業モードの利点は、地図を事前に確認することを必要としないことであり、欠点は、画定された領域の輪郭と実際の地形とは差が大きいため、ナビゲーション経路が多く、小さい領域が多すぎ、掃除機の掃除が遅すぎるなどの問題が生じてしまうことである。
【発明の概要】
【0003】
上記課題を解決するために、本発明は、ロボットの縁沿い走行中の清掃区画領域の計画方法を提案する。この清掃区画領域の計画方法は、ロボットが縁に沿って走行する過程において実行され、具体的に、ロボットの縁沿い開始点位置から、ロボットが現在画定された予め定義された清掃領域内で走査したレーザー地図の画素点統計情報に基づいて、現在画定された予め定義された清掃領域内においてレーザー地図の座標軸方向の輪郭境界線分の位置を特定するステップであって、レーザー地図はロボットが縁沿い走行中に走査して構築したものであるステップ11と、各座標軸方向に、予め設定された位置に最も近い輪郭境界線分を選択して、矩形の初期部屋清掃区画領域を画成するステップ12と、初期部屋清掃区画領域が予め設定された部屋清掃区画領域に属しない場合、優先的に拡張される座標軸方向を1つ選択し、初期部屋清掃区画領域における、優先的に拡張される座標軸方向に垂直な非壁体障害物線分を削除してから、初期部屋清掃区画領域を優先的に拡張される座標軸方向に沿って拡張し、ステップ14に進むステップ13と、ステップ13での優先的に拡張される座標軸方向に位置特定された、ステップ13で削除された非壁体障害物線分に隣接する輪郭境界線分が、現在画定された予め定義された清掃領域内の未掃除領域に位置するか否かを判断するとともに、当該座標軸方向に位置特定された輪郭境界線分が、前記初期部屋清掃区画領域の残りの輪郭境界線分と交差して、予め設定された部屋清掃区画領域が形成されていないかを判断し、両方が満たされていれば、ステップ13に戻って現在選択された座標軸方向への拡張を継続し、そうでなければ、前記ステップ13で現在選択された座標軸方向への拡張を停止してから、前記ステップ13に戻って1つ下の拡張優先度の座標軸方向を選択して拡張することにより、前記予め定義された清掃領域が、対応する輪郭境界線分によって予め設定された部屋清掃区画領域に区画されるステップ14と、を含み、非壁体障害物線分は、壁体ではない輪郭境界線分であり、前記予め設定された部屋清掃区画領域を画成する輪郭境界線分と、実際の部屋境界とは、予め設定された誤差許容範囲内で重なっており、実際の部屋境界は、前記予め設定された部屋清掃区画領域の内部の障害物の境界及び/又は前記実際の縁沿い領域の内部の障害物の境界を含む。
【0004】
本発明は、制御プログラムが内蔵されているチップであって、前記制御プログラムは、前記清掃区画領域の計画方法を実行するようにロボットの移動を制御するチップをさらに提案する。
【0005】
本発明は、レーザーセンサを搭載したロボットであって、前記ロボットが縁沿い走行中に前記予め設定された部屋清掃区画領域を分割するように設定するためのチップが内蔵されているロボットをさらに提案する。
【0006】
従来技術と比較して、上記方案では、完全たるグローバル地図を予め記憶する必要はなく、縁沿い中にレーザー走査により取得された地図画像の画素情報に基づいて、前記予め定義された清掃領域にてロボットの初期部屋清掃区画領域をリアルタイムに区画し、同一の前記予め定義された清掃領域において、未清掃領域の壁体境界を繰り返し処理することで、ロボットの初期部屋清掃区画領域を拡張する。これにより、同一の前記予め定義された清掃領域で最終的に形成される前記予め設定された部屋清掃区画領域の輪郭境界が、室内の居室の壁体境界に類似するように確保し、前記予め設定された部屋清掃区画領域の境界に沿ったロボットのナビゲーションの効率を向上させるとともに、ロボットが前記予め設定された部屋清掃区画領域内で繰り返し掃除することを効果的に防止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ロボットが計画開始点位置0に移動したときに、走査して構築されたグレースケール化されたレーザー地図上に予め定義された清掃領域P1を画定した様子の効果図である。
【
図2】ロボットが縁沿い中に予め定義された清掃領域P1から予め設定された部屋清掃区画領域#1を区画した様子の効果図である。
【
図3】ロボットが計画開始点位置01に移動したときに、走査して構築されたグレースケール化されたレーザー地図上に予め定義された清掃領域P2を画定した様子の効果図である。
【
図4】ロボットが縁沿い中に予め定義された清掃領域P2から、レーザー地図上では予め設定された部屋清掃区画領域#1と隣接する予め設定された部屋清掃区画領域#2を区画した様子の効果図である。
【
図5】本発明の実施例によるロボットの縁沿い走行中の清掃区画領域の計画方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例の構成について、本発明の実施例の図面を参照しながら詳細に説明する。各実施例をさらに説明するために、本発明には図面が提供されている。これらの図面は、本発明の開示の一部であり、主に実施例を説明するために使用され、明細書の関連する説明と併せて実施例の動作原理を説明することができる。これらの内容を参照することにより、当業者は、他の可能な実施形態および本発明の利点を理解することができるであろう。図中のレーザー地図の画像サイズは、縮尺に併せて描画されていない。本発明の実施例の方法プログラムの実行主体は、レーザーナビゲーションロボットであり、このレーザーナビゲーションロボットには、障害物を検出可能なレーザーセンサが設けられてもよい。一般的なシーンでは、レーザーナビゲーションロボットは、室内で移動する過程において、このレーザーナビゲーションロボットに設けられたレーザーセンサにより周囲に障害物が存在するか否かを検出して、即時にレーザー地図上にマーキングすることができる。
【0009】
具体的な実施例として、本発明は、ロボットが縁に沿って走行する過程において実行される、ロボットの縁沿い走行中の清掃区画領域の計画方法を開示する。
図5に示すように、具体的には、以下のステップS11~S17を含む。
【0010】
ステップS11では、ロボットの縁沿い開始点位置から、ロボットが現在画定された予め定義された清掃領域内で走査したレーザー地図の画素点統計情報に基づいて、レーザー地図の各座標軸方向の輪郭境界線分の位置を特定し、次にステップS12に進む。レーザー地図はロボットが縁沿い走行中に走査して構築したものである。前記ステップS11の具体的な方法は、前記予め定義された清掃領域内において、現在構築されたレーザー地図における画像の画素点を前記計画開始点位置から統計し、前記予め定義された清掃領域内の座標軸方向に輪郭境界線分の位置を特定するステップを含み、前記各座標軸方向は図示されたX軸方向とY軸方向を含む。本実施例では、障害物のヒストグラムを用いて、前記計画開始点位置からの距離が異なる前記検出区間内の各階調レベルごとに画素点の出現個数を統計することにより、対応する階調レベルの画素点からなる障害物線分のレーザー地図上での位置特定も実現する。X軸方向に沿って、縦座標が同じである黒の画素点の数が予め設定された境界閾値を超えると統計されるたびに、これらの縦座標が同じである黒の画素点を結ぶことによって形成される前記輪郭境界線分をマーキングすることで、前記予め定義された清掃領域内のX軸方向に延びる領域が、対応する輪郭境界線分によって区画される。実際には、後続のステップでは、前記輪郭境界線分が壁体ではないと判断されて削除される可能性があり、その場合、領域の過度分割を回避するために、対応する区画領域を併せるが、このようにしても、X軸方向における局所領域の輪郭特徴を記述することができる。X軸方向に沿って、縦座標が同じである黒の画素点の数が予め設定された境界閾値を超えないと統計されるたびに、前記輪郭境界線分を現在の方向に沿ってマーキングしたりしない。Y軸方向に沿って、横座標が同じである黒の画素点の数が予め設定された境界閾値を超えると統計されるたびに、これらの横座標が同じである黒の画素点を結ぶことによって形成される前記輪郭境界線分をマーキングし、前記予め定義された清掃領域内のY軸方向に延びる領域が、対応する輪郭境界線分によって区画される。そうでなければ、前記輪郭境界線分を現在の方向に沿ってマーキングしたりしない。これにより、Y軸方向における局所領域の輪郭特徴を記述することを可能にし、後続のステップでは、この方向に決定された輪郭境界線分が壁体ではなく、領域を分割する機能を果たすことができないと判断される可能性があり、次の輪郭境界線分をサーチし続けて、前記予め定義された清掃領域内において清掃区画領域を壁体の縁に接近する程度の寸法の大きさで画定する必要がある。なお、輪郭境界線分は、ロボットの機体の寸法の大きさ及び予め定義された清掃領域の辺の長さの大きさに関連するものとして、実際のニーズに応じて調整されてもよい。本実施形態では、同一の座標軸方向に分布する黒の画素点の数に応じて、前記予め定義された清掃領域内において、ある程度の通行可能性を持つ領域を選択して輪郭境界線分をマーキングし、清掃区画領域を画成する輪郭境界線分は、部屋領域の区画がより規則的で合理的なものとなるように互いに位置合わせることができ、ロボットが縁沿い走行を連続して行うための矩形の作業領域を、マーキングされた輪郭境界線分で画定することができることも確保される。
【0011】
ステップS12では、各座標軸方向に、予め設定された位置に最も近い輪郭境界線分を選択して、矩形の初期部屋清掃区画領域を画成し、次にステップS13に進む。本実施例では、前記初期部屋清掃区画領域は、
図2に示す部屋清掃区画領域#1の矩形領域の一部に属する。
【0012】
ステップS13では、初期部屋清掃区画領域が予め設定された部屋清掃区画領域に属しない場合、優先的に拡張される座標軸方向(例えば、Y軸の負方向)を1つ選択し、初期部屋清掃区画領域における、優先的に拡張される座標軸方向に垂直な非壁体障害物線分を削除してから、初期部屋清掃区画領域を同一の座標軸方向に沿って拡張し、次にステップS14に進む。
【0013】
ステップS14では、ステップS13での優先的に拡張される座標軸方向に位置特定された、ステップS13で削除された非壁体障害物線分に隣接する輪郭境界線分が、現在画定された予め定義された清掃領域内の未掃除領域に位置するか否かを判断し、YESであれば、ステップS15に進み、NOであれば、ステップS17に進む。このステップは、輪郭境界線分で画定された清掃区画領域が、掃除済み領域又は未知の領域と重なる領域が多くならないように、この優先的に拡張される座標軸方向における輪郭境界線分の拡張範囲を限定するためのものである。
【0014】
ステップS15では、ステップS13での優先的に拡張される座標軸方向に位置特定された輪郭境界線分が、前記初期部屋清掃区画領域の残りの輪郭境界線分と交差して、予め設定された部屋清掃区画領域が形成されていないかを判断し、YESであれば、ステップS13に戻り、すなわち、ステップS14及びステップS15の判断条件がいずれも満たされたことを意味し、ステップS13に戻って現在選択された座標軸方向への拡張を継続する。NOであれば、ステップS16に進む。
【0015】
ステップS16では、前記予め定義された清掃領域から、対応する輪郭境界線分によって、予め設定された部屋清掃区画領域が区画されており、元の前記予め定義された清掃領域内で拡張し続ける必要がないと決定する。
【0016】
ステップS17では、前記ステップS13で現在選択された座標軸方向への拡張を停止し、前記ステップS13に戻って1つ下の拡張優先度の座標軸方向(例えば、X軸の負方向)を選択して拡張し、上述したステップを繰り返すことにより、前記予め定義された清掃領域からは、対応する輪郭境界線によって予め設定された部屋清掃区画領域が区画されるようになる。上記ステップにおいて、非壁体障害物線分は、壁体ではない輪郭境界線分であり、前記予め設定された部屋清掃区画領域を画成する輪郭境界線分と、実際の部屋境界とは、予め設定された誤差許容範囲内で重なっている。実際の部屋境界は、前記予め設定された部屋清掃区画領域の内部の障害物の境界及び/又は前記実際の縁沿い領域の内部の障害物の境界を含む。
【0017】
図2のような部屋清掃区画領域#1の四角い枠状境界は、実環境の壁体境界に近いものであり、すなわち、前記予め定義された清掃領域P1内で分割された予め定義された部屋清掃区画領域#1及び前記予め定義された清掃領域P2内で分割された予め定義された部屋清掃区画領域#2は、いずれも実際の部屋の地形に近接している。非壁体障害物線分は、壁ではない輪郭境界線分であり、前記予め設定された部屋清掃区画領域を画成する輪郭境界線分と、実際の部屋境界とは、予め設定された誤差許容範囲内で重なっている。実際の部屋境界は、前記予め設定された部屋清掃区画領域の内部の障害物の境界及び/又は前記実際縁沿い領域の内部の障害物の境界を含み、実際の部屋は、予め定義された清掃領域の位置する実際の物理的領域である。従来技術と比較して、本実施例では、レーザー走査により取得された地図画像の画素情報を用いて、前記予め定義された清掃領域にてロボットの初期部屋清掃区画領域をリアルタイムに区画し、同一の前記予め定義された清掃領域において、未清掃領域の壁体境界を繰り返し処理することで、ロボットの初期部屋清掃区画領域を拡張し、これにより、同一の前記予め定義された清掃領域で最終的に形成される前記部屋清掃区画領域の輪郭境界が実際の室内境界に近いことを確保する。本実施例では、前記初期作業領域を、より大面積でかつカバー範囲がより広くて閉じた四角い枠状領域#1及び#2となるように拡張することを実現しているため、ロボットを絶えずに修正され拡張された輪郭境界線分に沿って実環境の壁体上の目標位置までナビゲーションすることを可能にし、前記予め設定された部屋清掃区画領域の境界に沿ったロボットのナビゲーションの効率を向上させるとともに、ロボットが前記予め設定された部屋清掃区画領域内で繰り返し掃除することを効果的に防止する。
【0018】
具体的な実施例として、前記清掃区画領域の計画方法は、ロボットを起動して領域の計画を開始した後、ロボットがリアルタイムに走査して構築したレーザー地図上に、ロボットの計画開始点位置を中心として予め定義された清掃領域を画定するステップをさらに含み、計画開始点位置は、現在画定された予め定義された清掃領域内でのロボットの起動位置である。
図1に示すように、現在画定された予め定義された清掃領域は、ロボットが起動位置0(現在の計画開始点位置)において起動位置0を対角線の交点として定義した正方形の枠状領域であり、ロボットの縁沿い走行及び構築された輪郭境界線分の範囲を制限するためのものである。この正方形の枠状領域は、実際の辺の長さが12メートルの正方形の枠状である。なお、予め定義された清掃領域は閉じた領域ではあるが、そのすべてがロボットのレーザーセンサによって検出され走査されるわけではない。ロボットは、現在画定された予め定義された清掃領域内で縁沿い走行を行う過程において、現在画定された予め定義された清掃領域を越えないように維持し、言い換えれば、辺の長さが12メートルの正方形の実際の物理的領域を越えない。
【0019】
次に、現在の計画開始点位置で画定された予め定義された清掃領域内で、最も近い物理的境界の縁沿い開始点位置を選択し、ロボットがこの物理的境界に沿って縁沿い走行を行うように構成されるまで、前記計画開始点位置から直線的に計画された経路に沿ってこの物理的境界に向かって進むようにロボットを制御し、次にステップS3に進む。このステップでは、前記ロボットがこの物理的境界に沿って縁沿い走行を行うように構成された運動状態は、現在画定された予め定義された清掃領域内において、前記計画開始点位置に最も近い縁沿い開始点位置から、この縁沿い開始点位置がある物理的境界に沿って、縁沿い走行を開始するようにロボットを制御することであるが、縁沿い方向は限定されず、この物理的境界は、現在画定された予め定義された清掃領域内の障害物の境界又は壁体を含むので、ロボットが直線的に計画された経路に沿って進む過程において、障害物の境界又は壁体が検出されていれば、縁沿い走行モードをオンにすることができる。ロボットが縁沿い走行を開始する速度を速め、ナビゲーション経路を減らす。
【0020】
一実施例として、現在画定された予め定義された清掃領域が、前記予め設定された部屋清掃区画領域が区画されたと検出されると、区画された前記予め設定された部屋清掃区画領域内で縁沿い走行を継続するようにロボットを制御し、ロボットがこの予め設定された部屋清掃区画領域内で縁沿いしながら一周して前記計画開始点位置に戻ったときに、この予め設定された部屋清掃区画領域の計画的掃除を開始するようにロボットを制御する。この予め設定された部屋清掃区画領域には、前記計画開始点位置と、前記計画開始点位置から縁沿い開始までのロボットの走行経路と、ロボットの走行済みの縁沿い経路とが取り囲まれている。ロボットが現在画定された予め定義された清掃領域内で縁沿い走行を実行する過程において、障害物又は壁体が検出されると、ロボットは、地図の生成又は部屋領域の区画を待つために停止することなく、現在検出された障害物の境界又は壁体に沿って走行し続けながら、ロボットがすでに縁沿いを行った障害物又は壁体の位置及び形状をマーキングする。なお、ロボットが縁沿い走行を実行するか否かにかかわらず、走行中に障害物又は壁体が検出されると、現在検出された障害物の境界又は壁体に沿って走行し続けながら、ロボットがすでに縁沿いを行った障害物又は壁体の位置をマーキングする。このように、縁沿いを行うことで部屋の実際の境界を決定するため、現在縁沿いを行った境界が、その後で区画された部屋清掃区画領域の境界と一致するようになり、これは、その後で同一の領域内での掃除中にマーキングされた障害物を避けることに寄与する。従来技術と比較して、本実施例では、縁沿い中に前記予め設定された部屋清掃区画領域をリアルタイムに区分することで、実際の部屋環境の境界に合致した清掃領域を選択して、縁沿いを行ってから掃除する作業を行い、掃除せずに長時間縁沿い走行を行うことを回避することができる。
【0021】
なお、
図1の計画開始点位置0が
図3の位置01に変わるなど、その後の計画開始点位置が変わると、
図3の位置01を対角線の交点とした正方形の枠状領域で示すように、前記予め定義された清掃領域のカバー領域の位置も変わる。本実施例では、ロボットの最大の縁沿い走行範囲を事前に画定し、各座標軸方向の輪郭境界線分を配置するために、各計画開始点位置に、縁沿い範囲を制限する矩形領域を設定する。
【0022】
一実施例として、ロボットが縁に沿って走行する過程において、ロボットが元の位置で前記予め設定された部屋清掃区画領域を1つ区画したときに、ロボットの縁沿い走行速度が速いため、縁沿い走行中に、予め設定された部屋清掃区画領域の区画及び地図の生成を待つために停止することはないので、ロボットが縁沿い走行しながら、元の位置で区画された合致する前記部屋清掃区画領域を出たと判断し、この場合、新しい位置で新しい前記予め設定された部屋清掃区画領域を区画し続けるようにロボットを制御し、そして、これら2つの前記予め設定された部屋清掃区画領域を併せて、縁沿い走行しながら前記計画開始点位置に戻るようにロボットを支援し、特に、ロボットは、現在区画された前記予め設定された部屋清掃区画領域の隙間から縁沿い走行して出ているが、まだ現在区画された部屋清掃区画領域で縁沿い走行を継続して未掃除領域には入っていない。本実施例における元の位置は、上記ステップS11の縁沿い開始点位置であってもよく、ロボットが縁沿い走行しながら、新しい合致する前記予め設定された部屋清掃区画領域に行った場合、引き続き、縁沿い走行することで前記計画開始点位置に戻るようにしてもよい。それから、2つの併せた予め設定された部屋清掃区画領域内で縁沿い走行を継続するようにロボットを制御し、ロボットが縁沿い走行しながら一周して前記計画開始点位置に戻ったときに、2つの併せた予め設定された部屋清掃区画領域の計画的掃除を開始するようにロボットを制御する。2つの併せた予め設定された部屋清掃区画領域には、前記計画開始点位置と、前記計画開始点位置から縁沿い開始までのロボットの走行経路と、ロボットの走行済みの縁沿い経路とが取り囲まれている。なお、ロボットは、縁沿い走行を実行しながら、部屋清掃区画領域の区画計算を行うので、ロボットが現在画定された予め定義された清掃領域内で縁沿い走行及び掃除を比較的スムーズに行うことができ、機械が停止する現象が発生しにくくなり、ロボットがすでに縁沿いを行った境界と、現在画定された予め定義された清掃領域に対応する実際の環境境界とを一致させ、ロボットが区画した部屋清掃区画領域の環境適合性を向上させることができる。
【0023】
好ましくは、計画的掃除を実行する過程において、前記予め設定された部屋清掃区画領域がすべて計画的掃除経路によってカバーされるまで、前記予め設定された部屋清掃区画領域を越えないようにロボットを制御し、その後、ロボットが掃除した領域を掃除済み領域としてマーキングするとともに、ロボットが掃除した領域以外の走査済み領域を前記未掃除領域としてマーキングする。具体的には、ロボットが、今回決定された前記予め設定された部屋清掃区画領域の計画的掃除を完了すると、ロボットがマーキングした位置情報に基づいて前記掃除済み領域と前記未掃除領域とを判別し、すなわち、ロボットが計画的掃除経路を用いてカバーした前記予め設定された部屋清掃区画領域は、すべて前記掃除済み領域として検出され、他の既知の領域(既に走査されてマーキングされた未掃除領域を含む)は、すべて前記未掃除領域として検出される。ロボットは、部屋清掃区画領域の掃除を「弓」字型に計画する過程においても、前記予め設定された部屋清掃区画領域の走査及び地図作成を行い、掃除済み領域としてマーキングする。これにより、ロボットに対して、掃除済み領域の掃除作業を繰り返さないように促す。そのため、前記予め定義された清掃領域内で掃除済み領域と未掃除領域とを正確に判別することができ、掃除すべき領域の全面カバーを図る上で有利となる。
【0024】
上述した実施例では、前記予め定義された清掃領域は、前記計画開始点位置を対角線の交点とした正方形の枠状領域であり、ロボットの縁沿い走行範囲を制限し、さらに、今回決定された前記予め定義された部屋清掃区画領域、又は、同一の前記予め定義された清掃領域内に併せられた前記予め定義された部屋清掃区画領域を取り囲む。前記予め定義された清掃領域のカバー領域は、正方形の実際の物理的領域に相当し、この正方形の実際の物理的領域の辺の長さが室内の掃除すべき領域のサイズに関するものである。この技術案では、ロボットが計画した予め設定された部屋清掃区画領域の領域範囲を事前に画定するとともに、ロボットが際限なく縁に沿って走行することを防止するために、各計画開始点位置に、縁沿い範囲を制限する矩形領域を設定する。
【0025】
なお、上記の予め定義された清掃領域のカバー領域は、辺の長さ12メートルの正方形の実際の物理的領域に相当し、前記予め定義された清掃領域のカバー領域は、ロボットの計画開始点位置の変化に伴って位置が変化する。上記実施例では、ロボットの最大の縁沿い範囲を事前に画定するとともに、ロボットが際限なく縁に沿って走行することを防止するために、各計画開始点位置に、縁沿い範囲を制限する矩形領域を設定する。
図1及び
図2を参照すると、ロボットは、
図1に示す予め定義された清掃領域P1内の前記計画開始点位置0で、
図2に示す予め設定された部屋清掃区画領域#1を走査し区画し、前記計画開始点位置0は、予め設定された部屋清掃区画領域#1の内部に位置しており、前記予め定義された清掃領域P1は、前記計画開始点位置0を対角線の交点とした正方形の枠状領域であり、予め設定された部屋清掃区画領域#1を取り囲んで、ロボットの縁沿い走行範囲を制限する。本実施例では、現在画定された予め定義された清掃領域から、合致する予め設定された部屋清掃区画領域を区画した後、マッチングする領域内で縁に沿って走行するようにロボットを制御し、ロボットがこのマッチングする領域内で縁沿いしながら一周して前記計画開始点位置に戻ったときに、このマッチングする領域内で計画的掃除を実行するようにロボットを制御する。
【0026】
好ましくは、ロボットがリアルタイムに走査して構築したレーザー地図上に、次の計画開始点を中心として新しい予め定義された清掃領域を画定し、そして、この新しい予め定義された清掃領域内で、最も近い物理的境界の縁沿い開始点位置を選択し、ロボットがこの物理的境界に沿って縁沿い走行を行うように構成されるまで、この縁沿い開始点位置から直線的に計画された経路に沿ってこの物理的境界に向かって進むようにロボットを制御する。この物理的境界は、この新しい予め定義された清掃領域内の障害物の境界又は壁体を含み、次の計画開始点位置は、この新しい予め定義された清掃領域内でのロボットの起動位置である。ロボットがこの新しい予め定義された清掃領域内で縁に沿って走行するとき、上記の実施例のステップを実行して、新しい予め定義された清掃領域内で新しい予め定義された部屋清掃区画領域を計画する。計画的掃除及び縁沿い走行を実行する過程において、前回の縁沿い走行中にマーキングされた掃除済み領域を含めて、判別された前記掃除済み領域を避けるようにロボットを制御する。前記次の計画開始点位置は、前記未掃除領域のうち、ロボットが現在計画的掃除を完了した位置に最も近い位置であり、前記次の計画開始点位置へは、ロボットが、現在計画的掃除を完了した位置から直線的に計画してナビゲーションすることによって行く必要があり、ロボットが走行する過程において、障害物又は壁体を検出すると、現在検出された障害物の境界又は壁体に沿って、前記次の計画開始点位置にナビゲーションするまで走行し続ける。本実施例では、次の計画開始点位置を用いて新しい予め定義された清掃領域を画定し、後続の縁沿い過程において十分に多くの未知の地図領域を走査しやすく、より多くの部屋清掃区画領域又は実際の縁沿い領域を画定し、掃除済み領域を避けて縁沿い走行を行い、不必要なナビゲーション経路を減らす。
【0027】
具体的には、
図2と
図3とを比較して分かるように、ロボットが、
図1の予め定義された清掃領域P1内で走査して区画した前記予め定義された部屋清掃区画領域#1の「弓」字型の計画的清掃を完了した後、
図2の予め設定された部屋清掃区画領域#1は掃除済み領域としてマーキングされる一方、
図2及び
図3の予め設定された部屋清掃区画領域#1の四角い枠の外側の地図領域は未掃除領域としてマーキングされ、
図2の予め設定された部屋清掃区画領域#1には、
図1の同一の領域よりも多くの情報がマーキングされている。次に、
図3に示す未掃除領域に属する計画開始点位置01(上記実施例の次の計画開始点位置に相当)に移動し、そして
図3の正方形の枠P2に示すように、計画開始点位置01を対角線の交点として新しい予め定義された清掃領域を画定するようにロボットを制御する。
【0028】
図1、
図2、
図3で走査したレーザー地図を比較して分かるように、
図3の計画開始点位置01は、
図1の計画開始点位置0の左上に位置し、
図3の計画開始点位置01はやはり走査した既知のレーザー地図領域内に位置し、かつ
図3に示す実施例では前記未掃除領域に属しており、計画開始点位置01は、
図3の予め設定された部屋清掃区画領域#1の掃除終了位置に最も近い。
図3の予め定義された清掃領域P2は、
図1の予め定義された清掃領域P1では走査されなかった環境領域が走査されるように、同じ大きさの
図1の予め定義された清掃領域P1に対して左上にオフセットし、その後、ロボットは、予め定義された清掃領域P2で区画された予め設定された部屋清掃区画領域内で掃除して地図作成を行い、
図4の予め設定された部屋清掃区画領域#4を取得し、リアルタイムに構築されたレーザー地図には、実際の壁体に適合するより多くの領域が計画されるようになる。なお、異なる領域カバー範囲に分布する予め定義された清掃領域である、予め定義された清掃領域P2及び予め定義された清掃領域P1は、いずれも、ロボットが縁に沿って走行する範囲を制限するためのものである。同時に、
図3の予め定義された清掃領域P2は、
図1の予め定義された清掃領域P1と重なる領域が存在するように、
図3では掃除済み領域としてマーキングされた予め定義された清掃領域#1を取り囲み、この重なる領域は、予め定義された清掃領域#1を含めている。一方、続く予め定義された清掃領域P2内では、優先的に拡張される方向の前記境界輪郭線分に基づいて拡張された予め設定された部屋清掃区画領域は、掃除済み領域としてマーキングされた予め設定された部屋清掃区画領域#1と重なる領域がない。
【0029】
図3と
図4とを比較して分かるように、ロボットは、
図3に示す前記計画開始点位置01において、
図4に示す予め設定された部屋清掃区画領域#2を走査して区画し、
図4の予め設定された部屋清掃区画領域#2には、
図3の同一の領域よりも多くの地図情報が表示されている。前記計画開始点位置01も、予め設定された部屋清掃区画領域#2を取り囲む予め設定された部屋清掃区画領域#2の内部に位置する。
図4の予め設定された部屋清掃区画領域#2は、ちょうど
図4の予め設定された部屋清掃区画領域#1に隣接しており、これら2つの予め設定された部屋清掃区画領域は、重なる領域が存在しないと見なすことができるので、ロボットが予め設定された部屋清掃区画領域#2内で縁沿い走行及び「弓」字型の計画的清掃を実行する際に、予め設定された部屋清掃区画領域#1を避けることができ、掃除済み領域を繰り返し掃除することが回避され、掃除時間が短縮され、ロボットの掃除作業効率が向上される。同時に、前後に区画された予め設定された部屋清掃区画領域#1及び#2は隣接関係にあり、すなわち、前後に区画された予め設定された部屋清掃区画領域は隣接関係にあるので、掃除領域のカバー率を向上させるのに有利である。
【0030】
上記の実施例に基づいて、前記予め設定された部屋清掃区画領域の具体的な判断方法は、前記初期部屋清掃区画領域を画成する輪郭境界線分はいずれも非壁体障害物線分ではなく、かつ前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さが、壁体適合度の値の分、画素点の数に対応する線分の長さと、前記初期部屋清掃区画領域のいずれかの辺の長さとの予め設定された比率のうち相対的に小さい数値よりも小さい場合、画定された閉領域の内部の孤立障害物の寸法は、壁体を構成するのに足りず、前記初期部屋清掃区画領域が前記予め設定された部屋清掃区画領域であると決定するステップと、前記初期部屋清掃区画領域を画成する前記輪郭境界線分のうちの1つが非壁体障害物線分である場合、あるいは、前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さが、壁体適合度の値の分、画素点の数に対応する線分の長さ以上であるか、又は、前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さが、前記初期部屋清掃区画領域の1辺の長さの予め設定された比率以上である場合、前記初期部屋清掃区画領域が、前記予め設定された部屋清掃区画領域に属しないと決定するステップと、を含み、前記輪郭境界線分は、白の画素点の数に応じて非壁体障害物線分と壁体障害物線分とに分けられ、非壁体障害物線分における白の画素点の数は、予め設定された閾値以上であり、壁体障害物線分の場合は、予め設定された閾値未満であり、レーザー地図には、さらに、走査された孤立障害物線分が存在し、前記孤立障害物線分の長さが、前記初期部屋清掃区画領域の1辺の長さの予め設定された誤差比と、壁体適合度の値の分、画素点の数に対応する線分の長さとの2種類の線分の長さのいずれか以上であれば、前記孤立障害物線分を、前記壁体障害物線分としてマーキングする。本実施例では、前記初期部屋清掃区画領域を画定する輪郭境界線分の線分長特性及び前記初期部屋清掃区画領域の内部の孤立障害物線分の長さ特性によって、前記予め設定された部屋清掃区画領域の環境特性を決定し、他の領域の障害物である直線による干渉作用を排除し、無視できない長さの孤立障害物を物理的な壁体に適合させ、輪郭境界線分が壁体と誤認識される影響を低減し、室内で構築された予め設定された部屋清掃区画領域の輪郭境界位置が全て壁体に近接していることを保証することにより、区画された予め設定された部屋清掃区画領域が実際の家庭環境における部屋領域を構成することができ、ロボットが壁体と非壁体の障害物を判別する精度及び知能レベルを向上させる。
【0031】
フローチャートに示され、または本明細書で別の方法で説明されている論理および/またはステップは、例えば、論理機能を実現するために用いられる実行可能な命令の順序付きリストと読み替えてもよく、命令実行システム、装置、またはデバイス(例えば、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、または命令実行システム、装置、またはデバイスから命令をフェッチし、実行することができる他のシステム)の使用のために、またはそれらに併せて使用するために、任意のコンピュータ読み取り可能な媒体で具現化され得る。本明細書の場合、「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、命令実行システム、装置、または装置のために、またはそれらに併せて使用するために、プログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、または伝送することができる任意の装置であってもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)としては、1つ又は複数の配線を有する電気的接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスクカートリッジ(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ装置、およびポータブル光ディスクリードオンリーメモリ(CDROM)が挙げられる。さらに、コンピュータ読み取り可能な媒体は、プログラムを印刷することができる紙または他の適切な媒体であってもよく、これは、前記プログラムが、例えば、紙または他の媒体を光学的に走査し、次いで編集、翻訳、または必要に応じて他の適切な方法で処理することによって、電子的に取得され、コンピュータメモリに記憶されることができるからである。
【0032】
制御プログラムが内蔵されているチップであって、前記制御プログラムは、前記清掃区画領域の計画方法を実行するようにロボットの移動を制御する。本明細書に記載された清掃区画領域の計画方法の実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、またはそれらの任意の組み併せによって実現され得ることが理解されるであろう。ハードウェアによる実現の場合、処理ユニットは、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載の機能を実行するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組み併せ内で実現されてもよい。実施例が、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコード、プログラムコードまたはコードスニペットで実現される場合、それらは、記憶コンポーネントのような機械読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。
【0033】
レーザーセンサを搭載したロボットであって、前記ロボットが縁沿い走行中に前記予め設定された部屋清掃区画領域を分割するように設定するための上述したチップが内蔵されている。本実施例では、完全たるグローバル地図を予め記憶する必要はなく、縁沿い中にレーザー走査により取得された地図画像の画素情報に基づいて、前記予め定義された清掃領域にてロボットの初期部屋清掃区画領域をリアルタイムに区画し、同一の前記予め定義された清掃領域において、未清掃領域の壁体境界を繰り返し処理することで、ロボットの初期部屋清掃区画領域を拡張し、これにより、同一の前記予め定義された清掃領域で最終的に形成される前記予め設定された部屋清掃区画領域の輪郭境界が、室内の居室の壁体境界に近いことを確保し、前記予め設定された部屋清掃区画領域の境界に沿ったロボットのナビゲーションの効率を向上させるとともに、ロボットが前記予め設定された部屋清掃区画領域内で繰り返し掃除することを効果的に防止する。
【0034】
上述した実施例は、本発明の技術発想及び特徴を説明するためのものに過ぎず、その目的は、当業者が本発明の内容を理解し、適宜実施できるようにすることであり、これによって本発明の保護範囲が制限されることはない。本発明の精神や本質に基づいて行われた均等な変形又は変更は、すべて本発明の保護の範囲に含まれるものとする。