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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】USBコンセント
(51)【国際特許分類】
   H01R 25/00 20060101AFI20240329BHJP
   H01R 24/60 20110101ALI20240329BHJP
   H01R 31/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01R25/00 K
H01R24/60
H01R31/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019233424
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021103614
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 修次
(72)【発明者】
【氏名】新倉 栄一郎
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-505539(JP,A)
【文献】特開2015-204294(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199822(JP,U)
【文献】特開2000-156260(JP,A)
【文献】実開平04-072489(JP,U)
【文献】実開昭53-077371(JP,U)
【文献】特開平09-320710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R31/02
H01R31/06
H01R25/00
H01R12/00-12/91
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
H01H9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれUSBコネクタが接続可能な複数の接続部と、
前記複数の接続部を収容する筐体と、
を備え、
前記筐体は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有し、
前記複数の形態は、前記複数の接続部のうちの利用可能な接続部の数が異なり、
前記筐体は、
取付対象物に設置される第1筐体と、
前記複数の接続部を収容する第2筐体と、
を含み、
前記第1筐体は、前記第2筐体を複数の位置の間で移動可能に保持する保持部を有し、
前記複数の位置は、利用可能な接続部の数が異なる位置であり、
前記第2筐体は、前面及び側面を有し、
前記複数の接続部は、前記第2筐体の前面に露出する1以上の主接続部と、前記第2筐体の側面に露出する1以上の副接続部とを含み、
前記複数の位置は、前記1以上の主接続部が露出し前記1以上の副接続部が隠れる第1位置と、前記1以上の主接続部と前記1以上の副接続部とが露出する第2位置とを含み、
前記第2位置は、前記第2筐体が、前記第1位置から、前記第1筐体の前面に交差する方向に移動した位置であり、
前記第2筐体は、所定の操作に応じて前記第1位置から前記第2位置へ移動し、
前記所定の操作は、前記第1位置にある前記第2筐体の前面を押圧する操作であり、
前記保持部は、前記第2筐体を前記第1位置から前記第2位置に移動させる弾性力を発生する弾性部材と、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記第2筐体を前記第1位置に保持する保持機構とを備え、
前記保持機構は、
先端が前記第2筐体の保持孔に入ることで、前記第2筐体を前記第1位置に保持する一対の第1保持片と、
先端が前記第2筐体の後面に当たることで、前記第2筐体を前記第2位置に保持する一対の第2保持片と、
を有する、
USBコンセント。
【請求項2】
前記複数の形態の各々は、前記第2筐体が前記複数の位置のうちの対応する位置にある形態である、
請求項1のUSBコンセント。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1筐体の前面に前記第2筐体を収容可能な収容空間を有し、
前記第1位置は、前記第2筐体の前面が前記収容空間から露出し、前記第2筐体の側面が前記収容空間内にある位置であり、
前記第2位置は、前記第2筐体の前面及び側面が前記収容空間から露出する位置である、
請求項2のUSBコンセント。
【請求項4】
前記第1位置では、前記第2筐体の前面が前記第1筐体の前面と面一になる、
請求項2又は3のUSBコンセント。
【請求項5】
記保持機構は、前記所定の操作に応じて前記第2筐体の前記第1位置での保持を解除する、
請求項2~4のいずれか一つのUSBコンセント。
【請求項6】
前記保持機構は、前記第2筐体が前記第2位置から前記第1位置まで移動すると前記第2筐体を前記第1位置に保持する、
請求項5のUSBコンセント。
【請求項7】
前記第2筐体を前記複数の位置の間で移動させる駆動部を更に備える、
請求項1~6のいずれか一つのUSBコンセント。
【請求項8】
前記複数の接続部の各々は、USBレセプタクルである、
請求項1~7のいずれか一つのUSBコンセント。
【請求項9】
前記複数の接続部は、互いに異なる2以上のUSBコネクタ規格にそれぞれ準拠した2以上の接続部を含む、
請求項1~8のいずれか一つのUSBコンセント。
【請求項10】
前記2以上のUSBコネクタ規格は、タイプAのUSBコネクタの規格と、タイプCのUSBコネクタの規格とを含む、
請求項9のUSBコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にUSBコンセントに関し、より詳細には、機器のUSBコネクタを接続可能なUSBコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、USBプラグが挿入接続されるUSBソケットを有するUSBコンセントが記載されている。このUSBコンセントは、USBソケットが実装されたプリント配線板と、USBプラグが挿通されるプラグ挿通穴を有してプリント配線板を収納するハウジングと、を備えている。ハウジングは、壁面等の施工面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-154802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
課題は、利便性の向上を図りやすいUSBコンセントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るUSBコンセントは、それぞれUSBコネクタが接続可能な複数の接続部と、前記複数の接続部を収容する筐体とを備える。前記筐体は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有する。前記複数の形態は、前記複数の接続部のうちの利用可能な接続部の数が異なる。前記筐体は、第1筐体と、第2筐体と、を含む。前記第1筐体は、取付対象物に設置される。前記第2筐体は、前記複数の接続部を収容する。前記第1筐体は、前記第2筐体を複数の位置の間で移動可能に保持する保持部を有する。前記複数の位置は、利用可能な接続部の数が異なる位置である。前記第2筐体は、前面及び側面を有する。前記複数の接続部は、1以上の主接続部と、1以上の副接続部とを含む。前記1以上の主接続部は、前記第2筐体の前面に露出する。前記1以上の副接続部は、前記第2筐体の側面に露出する。前記複数の位置は、第1位置と、第2位置とを含む。前記第1位置は、前記前記1以上の主接続部が露出し前記1以上の副接続部が隠れる位置である。前記第2位置は、前記1以上の主接続部と前記1以上の副接続部とが露出する位置である。前記第2位置は、前記第2筐体が、前記第1位置から、前記第1筐体の前面に交差する方向に移動した位置である。前記第2筐体は、所定の操作に応じて前記第1位置から前記第2位置へ移動する。前記所定の操作は、前記第1位置にある前記第2筐体の前面を押圧する操作である。前記保持部は、弾性部材と、保持機構とを備える。前記弾性部材は、前記第2筐体を前記第1位置から前記第2位置に移動させる弾性力を発生する。前記保持機構は、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記第2筐体を前記第1位置に保持する。前記保持機構は、一対の第1保持片と、一対の第2保持片と、を有する。前記一対の第1保持片は、先端が前記第2筐体の保持孔に入ることで、前記第2筐体を前記第1位置に保持する。前記一対の第2保持片は、先端が前記第2筐体の後面に当たることで、前記第2筐体を前記第2位置に保持する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセントを提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1に係るUSBコンセントの使用例を示す概略図である。
図2図2は、同上のUSBコンセントを概念的に示すブロック図である。
図3図3は、同上のUSBコンセントの正面図であり、ここで筐体は第1形態である。
図4図4は、同上のUSBコンセントの取付対象物への取付構造を示す斜視図であり、ここで筐体は第1形態である。
図5図5は、同上のUSBコンセントの取付対象物への取付状態を示す斜視図であり、ここで筐体は第1形態である。
図6図6は、同上のUSBコンセントの取付対象物への取付状態を示す斜視図であり、ここで筐体は第2形態である。
図7図7は、同上のUSBコンセントの動作を示す概略図であり、ここで筐体は第1形態である。
図8図8は、同上のUSBコンセントの動作を示す概略図であり、ここで筐体は第2形態である。
図9図9は、実施形態2のUSBコンセントを概念的に示すブロック図である。
図10図10は、同上のUSBコンセントの取付対象物への取付状態を示す斜視図であり、ここで筐体は第2形態である。
図11図11は、実施形態3のUSBコンセントの取付対象物への取付状態を示す斜視図であり、ここで筐体は第2形態である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態1
(1-1)概要
まず、本実施形態に係るUSB(Universal Serial Bus)コンセント(Outlet)10の概要について、図1図3及び図6を参照して説明する。
【0009】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、機器9のUSBコネクタ91を接続可能な装置である。USBコンセント10は、USBコネクタ91が接続された状態で、USBコネクタ91を通して機器9(一例として、スマートフォン等)に電力を供給する装置である。機器9は、USBコンセント10から供給される電力にて、例えば、機器9に含まれている蓄電池92(図2参照)の充電を行う。
【0010】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、例えば、建物の壁等の取付対象物81に設置される配線器具である(図1参照)。このようなUSBコンセント10は、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置(Outlet)と同様に、電源(系統電源等)に対して常時、電気的に接続されており、基本的には、常時、通電状態にある。したがって、ユーザにおいては、USBコンセント10に機器9を接続するだけで、USBコンセント10からUSBコネクタ91経由で機器9に電力を供給することが可能となる。
【0011】
ここで、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置であれば、例えば、スマートフォン等の機器9を充電する場合、機器9に電力を供給するために交流電圧を直流電圧に変換する電源アダプタを用いる必要がある。これに対して、本実施形態に係るUSBコンセント10であれば、電源アダプタを用いることなく、USBコンセント10に対して機器9のUSBコネクタ91を直接的に接続することで、機器9に電力を供給することが可能である。よって、USBコンセント10によれば、電源アダプタの持ち合わせがなくても、例えば、スマートフォン等の機器9の充電が可能となり、しかも、電源アダプタが不要であるために、USBコンセント10の周辺がすっきりする。
【0012】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、図3に示すように、それぞれUSBコネクタ91が接続可能な複数の接続部2(第1~第3接続部21~23)と、複数の接続部2(第1~第3接続部21~23)を収容する筐体3とを備える。筐体3は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有する(図3及び図6参照)。複数の形態は、複数の接続部2(21~23)のうちの利用可能な接続部2の数が異なる。
【0013】
この構成によれば、1つのUSBコンセント10で、筐体3の形態を変えることで、利用可能な接続部2の数を変えることができる。例えば、多数の接続部2が必要でない場合には、利用可能な接続部2の数を減らして接続部2の保護を図ることができる。一方で、多数の接続部2が必要である場合には、利用可能な接続部2の数を増やすことができ、別途配線機器の接続等が不要になる。このように、ユーザのニーズに応じてUSBコンセント10で利用可能な接続部2の数を変えることができる。結果的に、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント10を提供することができる。
【0014】
(1-2)詳細
以下、本実施形態に係るUSBコンセント10の詳細な構成について、図1図8を参照して説明する。
【0015】
(1-2-1)前提
本開示でいう「USB」は、シリアルバス規格の1つであるUSB(Universal Serial Bus)の規格を意味する。本開示において、「USB」は、例えば、USB 1.0、USB 1.1、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1、USB 3.2、及びUSB4といった様々な世代(転送速度の規格)のUSBを含む。また、本開示において、USBの端子形状(接続部2の形状、及びUSBコネクタ91の形状)は、様々な形状を含む。USBの端子形状は、例えば、A端子(Type-A)、B端子(Type-B)及びC端子(Type-C)、並びに、ミニUSB(mini USB)及びマイクロUSB(micro USB)等、更にはこれらの組み合わせを含む。つまり、USBの端子形状は、一例として、ミニUSBのA端子(mini USB Type-A)、及びマイクロUSBのB端子(micro USB Type-B)等を含む。本実施形態では特に断りが無い限り、USBの端子形状がA端子(USB Type-A)である場合を例に説明する。本開示では、USBの端子形状の仕様を「USBコネクタ規格」ということもある。また、USBの転送速度の規格を「USB転送規格」ということもある。
【0016】
本開示でいう「機器のUSBコネクタ」は、機器9に一体に設けられているコネクタであってもよいし、機器9に接続可能なUSBケーブルの先端に設けられているコネクタであってもよい。つまり、機器9のUSBコネクタ91は、機器9とは別体であって、機器9に対してケーブルを介して接続されるコネクタのように、機器9に付帯するコネクタ等を含む。また、本開示でいう「コネクタ」は、レセプタクルに挿入される「プラグ」であってもよいし、プラグが挿入される「レセプタクル」であってもよい。本実施形態では特に断りが無い限り、機器9のUSBコネクタ91が、機器9に接続可能なUSBケーブルの先端に設けられているUSBプラグである場合を例に説明する。
【0017】
同様に、本開示でいう「接続部」は、機器9のUSBコネクタ91を電気的に接続可能な構造であればよく、プラグが挿入される「レセプタクル」であってもよいし、レセプタクルに挿入される「プラグ」であってもよい。本実施形態では特に断りが無い限り、USBコンセント10の接続部2が、レセプタクルである場合を例に説明する。つまり、本実施形態では、機器9のUSBコネクタ91がUSBプラグであるので、USBコンセント10の接続部2は、USBプラグを接続可能なレセプタクルである。
【0018】
本開示でいう「機器」は、USBコンセント10に電気的に接続可能であって、USBコンセント10から電力供給を受ける電気機器(装置、設備及びシステム)である。機器9は、例えば、スマートフォン、タブレット端末若しくはウェアラブル端末等の情報端末、モバイルバッテリ、携帯電話機、カメラ、扇風機、懐中電灯又はテレビジョン受像機等を含む。USBコンセント10は機器9に対して直流の電圧を印加することで直流電力を供給するので、機器9は直流入力に対応した機器である。この種の機器9のうち、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はウェアラブル端末等の機器9は、蓄電池92を備え、USBコンセント10から供給される電力を用いて蓄電池92を充電する機能を有する。以下では、蓄電池92を充電する機能を有する機器9を「充電式の機器」と呼ぶこともある。本実施形態では特に断りが無い限り、USBコンセント10に接続される機器9が、充電式の機器9である場合を例に説明する。
【0019】
本実施形態では、USBコンセント10は、取付対象物81に固定される。本開示でいう「取付対象物」は、USBコンセント10が固定される部材であって、例えば、建物の壁、天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等を含む。USBコンセント10は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設に設置される。本実施形態では一例として、USBコンセント10は、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具であると仮定する。特に、USBコンセント10は、建物の内部で使用される屋内用の配線器具であると仮定する。
【0020】
以下、取付対象物81である住宅施設の壁にUSBコンセント10が固定された状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向をUSBコンセント10の「上下方向」として説明する場合がある。また、USBコンセント10を正面から見て下方をUSBコンセント10の「下方」として説明する場合がある。上下方向と直交し、かつ取付対象物81の表面(壁面)に平行な方向をUSBコンセント10の「左右方向」とし、USBコンセント10を正面から見て右方をUSBコンセント10の「右方」、左方をUSBコンセント10の「左方」として説明する場合がある。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり取付対象物81の表面(壁面)に直交する方向をUSBコンセント10の「前後方向」とし、取付対象物81の裏面側(壁裏側)をUSBコンセント10の「後方」として説明する場合がある。ただし、これらの方向はUSBコンセント10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0021】
また、USBコンセント10における筐体3の前面301は、取付対象物81である住宅施設の壁にUSBコンセント10が固定された状態において、基本的には、前方を向くことになる。ただし、筐体3の前面301が前方に向けられることを限定する趣旨ではない。例えば、USBコンセント10が天井に設置される場合には、筐体3の前面301は下方に向けられることになる。
【0022】
また、本開示において、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
【0023】
(1-2-2)構成
次に、本実施形態に係るUSBコンセント10の構成について説明する。
【0024】
上述したように、本実施形態では一例として、USBコンセント10は、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具である。つまり、USBコンセント10は、取付対象物81に固定され、取付対象物81の裏側を通した配線L1(図2参照)を接続可能に構成された配線器具である。特に、このUSBコンセント10は、取付対象物81に形成されている施工孔82(図4参照)に、筐体3の少なくとも一部が埋め込まれた状態で、筐体3が取付対象物81に固定される、埋込型の配線器具である。
【0025】
図2に示すように、USBコンセント10は、複数(ここでは3つ)の接続部2と、電源回路11と、端子部12とを備える。更に、USBコンセント10は、図3図6に示すように、筐体3を備える。筐体3は、複数(ここでは3つ)の接続部2と、電源回路11と、端子部12とを収容する。
【0026】
複数の接続部2は、各々、機器9のUSBコネクタ91を電気的かつ機械的に接続するために用いられる。複数の接続部2は、各々、金属製のシェル及びコンタクト等を含む。複数の接続部2は、第1接続部21と、第2接続部22と、第3接続部23とを含む。第1接続部21と、第2接続部22と、第3接続部23とは、USBレセプタクルである。また、第1接続部21と、第2接続部22と、第3接続部23とは、同じUSBコネクタ規格に準拠している。ここで、USBコネクタ規格は、A端子のUSBコネクタの規格である。
【0027】
端子部12は、配線L1を接続するために用いられる。例えば、壁(取付対象物81)内に引き回された配線L1が端子部12に接続されることで、USBコンセント10が配線L1を介して系統電源等の電源に電気的に接続される。配線L1は、電源(系統電源等)に対して、直接的に接続されてもよいし、分電盤等を介して間接的に接続されてもよい。
【0028】
端子部12は、筐体3内に収容されている。ここで、筐体3の背面には、配線L1を接続するための端子孔が形成されている。端子部12は、筐体3内において端子孔に対応する位置に配置されている。端子部12は、端子板等を含み、端子孔に配線L1の先端部(心線)が差し込まれると、配線L1の先端部(心線)を機械的に保持し、かつ配線L1と電気的に接続される。本実施形態では一例として、端子部12は、端子孔から配線L1を差し込むだけで配線L1が接続される、差込式のいわゆる速結端子である。
【0029】
本実施形態では一例として、USBコンセント10は、端子部12に配線L1が接続されることにより、配線L1を介して、単相100V、60Hzの商用の交流電源(系統電源)に電気的に接続される。ここで、USBコンセント10は、分電盤を介して交流電源(系統電源)に接続されており、分電盤のブレーカ(主幹ブレーカ及び分岐ブレーカ)が導通状態にあれば、常時、通電状態にある。そのため、USBコンセント10は、基本的には、常時、機器9に対して電力を供給可能な状態にある。
【0030】
電源回路11は、回路基板(プリント配線板)と、回路基板に実装された種々の電子部品と、を有している。電源回路11は、交流電源(系統電源)から端子部12に印加される交流電圧を、直流電圧に変換し、直流電圧を接続部2に出力する。これにより、電源回路11は、接続部2から機器9に電力を供給する。電源回路11は、回路基板を1枚だけ含んでいてもよいし、複数枚の回路基板を含んでいてもよい。
【0031】
筐体3は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有している。複数の形態は、複数の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なる。特に、本実施形態では、複数の接続部2は、第1接続部21と第2接続部22と第3接続部23とを含んでいる。そして、複数の形態は、第1形態と第2形態とを含む。第1形態は、図3図5及び図7に示すように、利用可能な接続部2の数が1つである。より詳細には、第1形態は、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23のうち、第1接続部21のみが利用可能な形態である。一方、第2形態は、図6及び図8に示すように、利用可能な接続部2の数が3つである。より詳細には、第2形態は、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23の全てが利用可能な形態である。
【0032】
USBコンセント10では、筐体3は、第1筐体31と第2筐体32とを含んでいる。第1筐体31と第2筐体32とは別体である。第1形態と第2形態とは、第1筐体31と第2筐体32との配置が異なっており、これによって、利用可能な接続部2の数が変わることになる。
【0033】
第2筐体32は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。第2筐体32は、複数の接続部2(第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23)を収容する。また、第2筐体32は、電源回路11を収容する。
【0034】
第2筐体32は、本実施形態では、直方体状である。第2筐体32は、図6図8に示すように、前面320と、側面(第1~第4側面)321~324と、後面325とを有する。第1側面321と第2側面322とは、第2筐体32の長さ方向(本実施形態でいう上下方向)の両側面である。また、第3側面323と第4側面324とは、第2筐体32の幅方向(本実施形態でいう左右方向)の両側面である。そして、第2筐体32には、複数の接続部2にそれぞれ対応する複数の接続口4が設けられる。
【0035】
複数の接続口4は、第1接続口41と第2接続口42と第3接続口43とを含む。第1接続口41は前面320に、第2接続口42は第1側面321に、第3接続口43は第2側面322に、それぞれ、配置される。第1接続口41と第2接続口42と第3接続口43との各々は、図6に示すように、横向き(横長)の長孔である。第1、第2及び第3接続口41,42,43は、第1、第2及び第3接続部21、22,23にそれぞれ対応する。より詳細には、第1、第2及び第3接続口41、42,43は、第1、第2及び第3接続部21,22,23をそれぞれ露出させる。本実施形態では、第1、第2及び第3接続部21、22,23は、A端子のUSBコネクタの規格に準拠している。したがって、第1、第2及び第3接続口41,42,43は、第1、第2及び第3接続部21、22,23にA端子のUSBコネクタを接続可能な大きさの孔である。
【0036】
本実施形態では、接続口4にUSBコネクタ91が正面からまっすぐ差し込まれることにより、接続部2にUSBコネクタ91が接続される。つまり、差込式のUSBコネクタ91が差込方向に沿って接続口4に差し込まれることにより、接続部2に対してUSBコネクタ91が電気的に接続され、かつ機械的に結合されることになる。接続部2とUSBコネクタ91とが接続された状態において、USBコネクタ91が接続部2からまっすぐ引き抜かれることにより、接続部2とUSBコネクタ91との接続が解除される。つまり、USBコネクタ91が差込方向に沿って接続口4から抜去されることにより、接続部2に対するUSBコネクタ91の電気的な接続が解除され、かつ機械的な結合が解除される。要するに、ユーザは、筐体3(第2筐体32)に形成された接続口4に対して、USBコネクタ91を挿抜することによって、機器9(USBコネクタ91)の接続部2に対する接続/非接続を切り替えることができる。
【0037】
第1筐体31は、取付対象物81に設置される。第1筐体31は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。第1筐体31は、直方体状であって、3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。第1筐体31は、端子部12を収容する。端子部12は、第2筐体32に収容された電源回路11に可撓性を有する電線等によって電気的に接続される。第1筐体31は、第1筐体31が取付対象物81に取り付けられた状態で前方に露出する前面310を有する。第1筐体31の前面310が、筐体3の前面301となる。ここでは、第1筐体31の前面310は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい長方形状である。
【0038】
第1筐体31は、図5図8に示すように、保持部311を有する。保持部311は、第2筐体32を複数の位置の間で移動可能に保持するために形成されている。本実施形態では、保持部311は、第2筐体32を第1筐体31に対して、第1筐体31の前面310に交差する方向に移動可能に保持する。ここで、第1筐体31の前面310に交差する方向は、USBコンセント10の前後方向である。
【0039】
本実施形態では、保持部311は、第1筐体31の前面310に第2筐体32を収容可能な収容空間311aを有する。具体的には、収容空間311aは、第2筐体32が嵌る凹部である。本実施形態では、図7及び図8に示すように、収容空間311aは、第2筐体32の全体を収容する大きさの凹部である。
【0040】
ここで、複数の位置は、利用可能な接続部2の数が異なる位置である。特に、本実施形態では、複数の位置は、第1位置と第2位置とを含む。第1位置は、1以上の主接続部が露出し1以上の副接続部が隠れる位置である。第2位置は、1以上の主接続部と1以上の副接続部とが露出する位置である。つまり、主接続部は第1位置と第2位置との両方で利用可能な接続部であり、副接続部は第1位置と第2位置とのうち第2位置のみで利用可能な接続部であるといえる。ここで、1以上の主接続部は、第2筐体32の第1面に露出する1以上の接続部であり、1以上の副接続部は、第2筐体32の第2面に露出する1以上の接続部である。第1面及び第2面は、第2筐体32の互いに異なる面である。本実施形態では、第1面は、第2筐体32の前面320であり、第2面は、第2筐体32の側面321~324を含む。よって、本実施形態では、1以上の主接続部は、第1接続部21を含み、1以上の副接続部は、第2接続部22及び第3接続部23を含む。
【0041】
本実施形態では、第1位置は、図5及び図7に示すように、第2筐体32の前面320が収容空間311aから露出し、第2筐体32の側面321~324が収容空間311a内にある位置である。よって、第1位置では、第2筐体32の前面320にある第1接続部21が収容空間311aから露出する。一方で、第2筐体32の第1側面321にある第2接続部22及び第2筐体32の第2側面322にある第3接続部23は収容空間311a内にある。よって、第1位置では、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23のうち、第1接続部21のみが利用可能であり、利用可能な接続部2の数は1である。また、第1位置では、第2筐体32の前面320が第1筐体31の前面310と面一になる。これによって、第2筐体32が第1位置にある場合の筐体3の外観がすっきりする。
【0042】
第2位置は、図6及び図8に示すように、第2筐体32の前面320及び側面321~324が収容空間311aから露出する位置である。第2位置は、第2筐体32が、第1位置から、第1筐体31の前面310に交差する方向に移動した位置である。より詳細には、第2位置は、第2筐体32が第1位置から第1筐体31の前方に移動した位置である。第2位置では、第2筐体32の前面320にある第1接続部21が収容空間311aから露出する。また、第2筐体32の第1側面321にある第2接続部22及び第2筐体32の第2側面322にある第3接続部23も収容空間311aから露出する。よって、第2位置では、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23の全てが利用可能であり、利用可能な接続部2の数は3である。
【0043】
更に、保持部311は、図7及び図8に示すように、弾性部材312と、保持機構313とを備える。
【0044】
弾性部材312は、第2筐体32を第1位置から第2位置に移動させる弾性力を発生する。本実施形態では、保持部311は、複数(ここでは2つ)の弾性部材312を含む。弾性部材312は、収容空間311aにおいて第2筐体32の後面325に対向する底面3113に配置される。よって、弾性部材312は、第2筐体32の後面325と収容空間311aの底面3113との間に介在される。複数の弾性部材312は、コイルばねであるが、弾性力を発生することが可能であれば特に限定されない。なお、弾性部材312の数は特に限定されず、1つであってもよいし、3以上であってもよい。
【0045】
保持機構313は、弾性部材312の弾性力に逆らって第2筐体32を第1位置に保持するように構成される。本実施形態では、保持機構313は、一対の第1保持片313aを有する。一対の第1保持片313aは、収容空間311aにおいて第2筐体32の第1側面321及び第2側面322それぞれに対向する第1内側面3111及び第2内側面3112の孔3111a,3112aを通して収容空間311a内に突出可能である。一対の第1保持片313aの先端が第2筐体32の第1側面321及び第2側面322の保持孔321a,322aに入ることで、第2筐体32が第1位置に保持される。保持機構313は、所定の操作に応じて第2筐体32の第1位置での保持を解除する。ここでは、所定の操作は、第1位置にある第2筐体32の前面320を押圧する操作である。一例として、第2筐体32の前面320が押されることによって、一対の第1保持片313aの先端が保持孔321a,322aから押し出される。これによって、第2筐体32の第1位置での保持が解除される。そうすると、弾性部材312の弾性力によって、第2筐体32が第1位置から第2位置へ移動する。したがって、第2筐体32を第1位置から第2位置に簡単に移動させることが可能となる。
【0046】
更に、保持機構313は、第2筐体32が第1位置から第2位置へ移動した際に、第2筐体32の後方への押圧に逆らって第2筐体32を第2位置に保持するように構成される。これによって、USBコネクタ91を第1接続部21に接続する際に、第2筐体32が第2位置から第1位置へ戻ってしまう可能性を低減している。具体的には、本実施形態では、保持機構313は、一対の第2保持片313bを有する。一対の第2保持片313bは、収容空間311aの第1内側面3111及び第2内側面3112の孔3111b,3112bを通して収容空間311a内に突出可能である。一対の第2保持片313bの先端が第2筐体32の後面325に当たることで、第2筐体32が第2位置に保持される。保持機構313は、所定の操作に応じて第2筐体32の第2位置での保持を解除する。ここでは、所定の操作は、第1筐体31の前面310に露出する操作片7の押し操作である。一例として、操作片7が押されることによって、一対の第2保持片313bの先端が収容空間311aから退出する。これによって、第2筐体32の第2位置での保持が解除される。よって、第2筐体32を後方に押すことで、第2筐体32を第2位置から第1位置へ移動させることが可能である。そして、保持機構313は、第2筐体32が第2位置から第1位置まで移動すると第2筐体を第1位置に保持する。
【0047】
上述したように、筐体3は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有している。複数の形態の各々は、複数の接続部2のうちの対応する接続部2が利用可能な形態である。本実施形態では、複数の接続部2を収容する第2筐体32が複数の位置で移動可能である。複数の位置は、複数の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なる位置である。複数の形態の各々は、第2筐体32が複数の位置のうちの対応する位置にある形態である。複数の接続部2は、第1接続部21と第2接続部22と第3接続部23とを含んでいる。そして、複数の位置は、第1位置と第2位置とを含む。第1位置は、図5及び図7に示すように第1接続部21が露出する位置である。第2位置は、図6及び図8に示すように第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23が露出する位置である。
【0048】
第1形態は、第2筐体32が第1位置にある形態である。したがって、第1形態では、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23のうち第1接続部21のみが利用可能である。よって、USBコンセント10を利用しない場合や、USBコンセント10に接続しようとするUSBコネクタ91が一つである場合には、第2筐体32を第1位置にしておけばよい。第1形態では、第2接続部22及び第3接続部23を隠すことができるから、第2接続部22及び第3接続部23の保護が図れる。また、USBコンセント10の外観もすっきりする。一方、第2形態は、第2筐体32が第2位置にある形態である。したがって、第2形態では、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23の全てが利用可能である。よって、USBコンセント10に接続しようとするUSBコネクタ91が2以上である場合には、第2筐体32を第1位置から第2位置にすればよい。これによって、別途配線機器の接続等が不要になる。
【0049】
USBコンセント10において、筐体3を第1形態から第2形態にするには、第2筐体32を後方に押せばよい。これによって、保持機構313が第2筐体32の第1位置での保持を解除し、第2筐体32が弾性部材312の弾性力によって、第1位置から第2位置に移動し、筐体3が第2形態になる。第2形態では、第2接続部22及び第3接続部23が利用可能であるから、最大で3つまでUSBコネクタ91をUSBコンセント10に接続することができる。一方、筐体3を第2形態から第1形態にするには、操作片7を押して保持機構313による第2筐体32の第2位置での保持を解除した状態で、第2筐体32を収容空間311a内に押し込めばよい。これによって、第2筐体32が第2位置から第1位置に移動し、筐体3が第1形態になる。第1形態では、第2接続部22及び第3接続部23が利用できないが、第1接続部21が利用可能である。
【0050】
このように、ユーザのニーズに応じてUSBコンセント10で利用可能な接続部2の数を変えることができる。結果的に、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント10を提供することができる。
【0051】
電源回路11は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換回路を含んでいる。電源回路11は、端子部12と接続部2との間に挿入されており、端子部12から入力される交流電圧を直流電圧に変換して接続部2に出力する。ここでは一例として、電源回路11は、交流電源(系統電源)から端子部12に印加される100Vの交流電圧を5Vの直流電圧に変換する。これにより、端子部12に入力される100Vの交流電圧は電源回路11にて5Vの直流電圧に変換されて、接続部2に5Vの直流電圧が供給される。
【0052】
本実施形態では、1つの電源回路11に対して、複数(ここでは3つ)の接続部2(第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23)が接続されている。つまり、電源回路11から出力される直流電圧は、第1接続部21、第2接続部22及び第3接続部23の全てに印加される。これにより、電源回路11の出力を、複数(ここでは3つ)の接続部2から、機器9のUSBコネクタ91に対して出力することが可能である。そのため、USBコンセント10は、複数の機器9のUSBコネクタ91が接続された状態で、これら複数の機器9に対して同時に電力供給することが可能である。
【0053】
このような構成においては、複数の接続部2から機器9に出力される電流(及び電力)の合計が、1つの電源回路11の出力電流となる。そのため、例えば、複数の接続部2の定格出力(電流又は電力)は、複数の接続部2の出力電流(又は出力電力)の合計値で規定される。本開示でいう「定格出力」は、電流及び/又は電力の定格値であって、定格電流及び定格電力の少なくとも一方である。すなわち、電源回路11の定格出力(電流又は電力)によって、複数の接続部2の合計出力(電流又は電力)の定格値が決定されることになる。一例として、電源回路11の定格出力が4Aであるとすれば、複数(ここでは3つ)の接続部2の出力電流の合計が4Aで定格となる。
【0054】
本実施形態では、筐体3は、図4に示すように、筐体3を取付対象物81に固定するための取付枠84に対して、取外し可能に取り付けられている。さらに、取付枠84には、図4に示すように、コンセントプレート8が取り付けられる。ここで、本実施形態では、取付枠84及びコンセントプレート8を、USBコンセント10の構成要素に含まないこととする。ただし、取付枠84及びコンセントプレート8が、USBコンセント10の構成要素に含まれないことは必須でなく、取付枠84及びコンセントプレート8の少なくとも一方は、USBコンセント10の構成要素に含まれてもよい。
【0055】
本実施形態では、USBコンセント10は、上述したように埋込型の配線器具であるので、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材83を用いて取付対象物81(ここでは壁)に取り付けられる。すなわち、取付対象物81には施工孔82が形成されており、取付対象物81の裏側(壁裏)に配置されたスイッチボックス等の取付部材83に対して、USBコンセント10が施工孔82を通して取り付けられる。
【0056】
取付枠84は、例えば、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。具体的には、取付枠84は、正面視において矩形枠状に形成されている。この取付枠84の内側に筐体3が位置するように、筐体3が取付枠84に装着されている。
【0057】
取付枠84は、一例として、合成樹脂製である。取付枠84には、一対の取付孔841と、一対のプレート固定孔842と、が形成されている。一対の取付孔841を通して、一対の取付ねじ843がスイッチボックス等の取付部材83に締め付けられることで、取付枠84は、取付対象物81に取り付けられる。
【0058】
コンセントプレート8は、化粧プレート85と、固定プレート86と、を有している。つまり、本実施形態では、コンセントプレート8は、化粧プレート85及び固定プレート86の2部材で構成されている。コンセントプレート8(化粧プレート85及び固定プレート86)は、一例として、合成樹脂製である。
【0059】
固定プレート86は、取付枠84に固定される。化粧プレート85は、固定プレート86の前面を覆うように、固定プレート86に取り付けられる。このように、化粧プレート85は、筐体3が取り付けられている取付枠84に対し、固定プレート86を介して間接的に固定される。化粧プレート85には窓孔801が形成されており、コンセントプレート8が取付枠84に取り付けられた状態では、窓孔801から筐体3の前面301が露出することになる。
【0060】
つまり、コンセントプレート8は、窓孔801を有する枠状の部材であって、その窓孔801から筐体3の前面301を露出させるように、取付枠84と組み合わされる。言い換えれば、取付枠84とコンセントプレート8とが組み合われた状態では、正面視において、コンセントプレート8(化粧プレート85)の内側(窓孔801内)に筐体3の前面301が位置する。これにより、図5に示すように、コンセントプレート8が筐体3と共に取付対象物81に取り付けられた状態で、筐体3の周囲をコンセントプレート8が覆うことになり、取付枠84及び施工孔82等が露出せずに見映えがよくなる。
【0061】
より詳細には、化粧プレート85は、正面視において矩形枠状に形成されている。化粧プレート85の中央部には、化粧プレート85を前後方向に貫通する窓孔801が形成されている。化粧プレート85は、スナップフィット構造により、取外し可能な状態で、固定プレート86と機械的に結合される。すなわち、化粧プレート85及び固定プレート86は、化粧プレート85と固定プレート86との少なくとも一方の弾性を利用して、化粧プレート85及び固定プレート86一方の爪を、他方の孔に引っ掛けることにより、機械的に結合される。
【0062】
また、固定プレート86は、正面視において矩形枠状に形成されている。さらに、固定プレート86には、一対の透孔861が形成されている。一対の透孔861を通して、一対の固定ねじ844が取付枠84の一対のプレート固定孔842に締め付けられることで、固定プレート86は、取付枠84に取り付けられる。
【0063】
(2)実施形態2
本実施形態に係るUSBコンセント10Aについて、図9及び図10を参照して説明する。USBコンセント10Aは、USBコンセント10と同様に、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具である。以下、冗長な説明を避けるため、USBコンセント10AとUSBコンセント10とで実質的に同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
USBコンセント10Aは、図9及び図10に示すように、筐体3Aを備える。また、USBコンセント10Aは、図9に示すように、複数の接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)と、電源回路11と、端子部12と、駆動部13と、操作部14とを備える。複数の接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)と、電源回路11と、端子部12と、駆動部13と、操作部14とは、筐体3Aに収容される。
【0065】
筐体3Aは、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有している。複数の形態は、複数の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なる。特に、本実施形態では、複数の接続部2は、第1接続部21と第2接続部22とを含んでいる。そして、複数の形態は、第1形態と第2形態とを含む。第1形態は、利用可能な接続部2の数が1つである。より詳細には、第1形態は、第1接続部21及び第2接続部22のうち、第1接続部21のみが利用可能な形態である。なお、筐体3Aの第1形態は、筐体3の第1形態と外観が同じであるので、筐体3Aの第1形態の外観として必要に応じて図5を参照する。一方、第2形態は、図10に示すように、利用可能な接続部2の数が2つである。より詳細には、第2形態は、第1接続部21及び第2接続部22の全てが利用可能な形態である。
【0066】
筐体3Aは、第1筐体31Aと第2筐体32Aとを含んでいる。第1筐体31Aと第2筐体32Aとは別体である。第1形態と第2形態とは、第1筐体31Aと第2筐体32Aとの配置が異なっており、これによって、利用可能な接続部2の数が変わることになる。
【0067】
第2筐体32Aは、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。第2筐体32Aは、複数の接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)を収容する。また、第2筐体32Aは、電源回路11を収容する。
【0068】
第2筐体32Aは、本実施形態では、直方体状である。第2筐体32Aは、第2筐体32と同様に、前面320と、側面(第1~第4側面)321~324と、後面325とを有する。第2筐体32Aには、複数の接続部2にそれぞれ対応する複数の接続口4が設けられる。複数の接続口4は、第1接続口41と第2接続口42とを含む。第1接続口41は前面320に、第2接続口42は第1側面321にそれぞれ配置される。第1接続口41及び第2接続口42は、実施形態1と同様である。
【0069】
第1筐体31Aは、取付対象物81に設置される。第1筐体31Aは、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。第1筐体31Aは、直方体状であって、3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。第1筐体31Aは、端子部12を収容する。端子部12は、第2筐体32Aに収容された電源回路11に可撓性を有する電線等によって電気的に接続される。第1筐体31Aは、第1筐体31Aが取付対象物81に取り付けられた状態で前方に露出する前面310を有する。第1筐体31Aの前面310が、筐体3の前面301となる。ここでは、第1筐体31Aの前面310は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい長方形状である。
【0070】
第1筐体31Aは、保持部311Aを有する。保持部311Aは、第2筐体32を複数の位置の間で移動可能に保持するために形成されている。本実施形態では、保持部311Aは、第2筐体32を第1筐体31に対して、第1筐体31Aの前面310に沿った回転軸の周りに回転可能に保持する。ここで、回転軸の方向は、USBコンセント10Aの左右方向である。
【0071】
保持部311Aは、第1筐体31Aの前面310に第2筐体32Aを収容可能な収容空間311aを有する。具体的には、収容空間311aは、第2筐体32Aが嵌る凹部である。収容空間311aは、第2筐体32Aの全体を収容する大きさの凹部である。
【0072】
ここで、複数の位置は、利用可能な接続部2の数が異なる位置である。特に、本実施形態では、複数の位置は、第1位置と第2位置とを含む。第1位置は、1以上の主接続部が露出し1以上の副接続部が隠れる位置である。第2位置は、1以上の主接続部と1以上の副接続部とが露出する位置である。つまり、主接続部は第1位置と第2位置との両方で利用可能な接続部であり、副接続部は第1位置と第2位置とのうち第2位置のみで利用可能な接続部であるといえる。ここで、1以上の主接続部は、第2筐体32の第1面に露出する1以上の接続部であり、1以上の副接続部は、第2筐体32の第2面に露出する1以上の接続部である。第1面及び第2面は、第2筐体32の互いに異なる面である。本実施形態では、第1面は、第2筐体32の前面320であり、第2面は、第2筐体32の側面321を含む。よって、本実施形態では、1以上の主接続部は、第1接続部21を含み、1以上の副接続部は、第2接続部22を含む。
【0073】
本実施形態では、第1位置は、USBコンセント10と同様に、第2筐体32Aの前面320が収容空間311aから露出し、第2筐体32Aの側面321~324が収容空間311a内にある位置である(図5参照)。よって、第1位置では、第2筐体32Aの前面320にある第1接続部21が収容空間311aから露出する。一方で、第2筐体32Aの第1側面321にある第2接続部22は収容空間311a内にある。よって、第1位置では、第1接続部21及び第2接続部22のうち、第1接続部21のみが利用可能であり、利用可能な接続部2の数は1である。また、第1位置では、第2筐体32Aの前面320が第1筐体31Aの前面310と面一になる。これによって、第2筐体32Aが第1位置にある場合の筐体3Aの外観がすっきりする。
【0074】
第2位置は、図10に示すように、第2筐体32Aの前面320及び第1側面321が収容空間311aから露出する位置である。第2位置は、第2筐体32Aが、第1位置から、第1筐体31Aの前面310に沿った回転軸の周りに回転した位置である。第2位置では、第2筐体32Aの前面320にある第1接続部21が収容空間311aから露出する。また、第2筐体32Aの第1側面321にある第2接続部22も収容空間311aから露出する。よって、第2位置では、第1接続部21及び第2接続部22の全てが利用可能であり、利用可能な接続部2の数は2である。
【0075】
第1筐体31Aは、駆動部13及び操作部14を収容する。駆動部13は、第2筐体32Aを複数の位置(第1位置及び第2位置)の間で移動させるように構成される。本実施形態では、駆動部13は、第2筐体32Aを第1筐体31Aの前面310に沿った回転軸の周りに回転させる。これによって、駆動部13は、第2筐体32Aを第1位置と第2位置との間で移動させる。操作部14は、駆動部13により第2筐体32Aを回転軸の周りに回転させるための装置である。操作部14は、第1筐体31Aの前面310に露出する操作片7の操作に応じて、駆動部13により第2筐体32Aを回転軸の周りに回転させる。一例として、駆動部13及び操作部14は、第2筐体32Aが第1位置にある際に操作片7が押し操作されると、第2筐体32Aを第1位置から第2位置へ移動させる。一方、駆動部13及び操作部14は、第2筐体32Aが第2位置にある際に操作片7が押し操作されると、第2筐体32Aを第2位置から第1位置へ移動させる。なお、駆動部13は、モータを利用して第2筐体32Aを回転軸の周りに回転させてもよいし、ばね等を利用して第2筐体32Aを回転軸の周りに回転させてもよい。第2筐体32Aを回転させるための電力は、端子部12を経由して系統電源から得ることが可能である。なお、駆動部13は、操作部14が操作されていない間は、第2筐体32Aを現在の位置に保持することが望ましい。これによって、USBコネクタ91を接続部2に接続する際に第2筐体32Aが回転する可能性を低減でき、USBコネクタ91の接続の作業性を向上できる。
【0076】
上述したように、筐体3Aは、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有している。複数の形態の各々は、複数の接続部2のうちの対応する接続部2が利用可能な形態である。本実施形態では、複数の接続部2を収容する第2筐体32Aが複数の位置で移動可能である。複数の位置は、複数の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なる位置である。複数の形態の各々は、第2筐体32Aが複数の位置のうちの対応する位置にある形態である。複数の接続部2は、第1接続部21と第2接続部22とを含んでいる。そして、複数の位置は、第1位置と第2位置とを含む。第1位置は、第1接続部21が露出する位置である。第2位置は、図10に示すように第1接続部21及び第2接続部22が露出する位置である。
【0077】
第1形態は、第2筐体32Aが第1位置にある形態である。したがって、第1形態では、第1接続部21及び第2接続部22のうち第1接続部21のみが利用可能である。よって、USBコンセント10Aを利用しない場合や、USBコンセント10Aに接続しようとするUSBコネクタ91が一つである場合には、第2筐体32を第1位置にしておけばよい。第1形態では、第2接続部22を隠すことができるから、第2接続部22の保護が図れる。また、USBコンセント10Aの外観もすっきりする。一方、第2形態は、第2筐体32Aが第2位置にある形態である。したがって、第2形態では、第1接続部21及び第2接続部22の全てが利用可能である。よって、USBコンセント10Aに接続しようとするUSBコネクタ91が2つである場合には、第2筐体32Aを第1位置から第2位置にすればよい。これによって、別途配線機器の接続等が不要になる。
【0078】
USBコンセント10Aにおいて、筐体3Aを第1形態から第2形態にするには、操作片7を押し操作すればよい。これによって、駆動部13が第2筐体32Aを第1位置から第2位置へ移動させ、筐体3Aが第2形態になる。第2形態では、第2接続部22が利用可能であるから、最大で2つまでUSBコネクタ91をUSBコンセント10Aに接続することができる。一方、筐体3Aを第2形態から第1形態にするには、操作片7を押し操作すればよい。これによって、第2筐体32Aが第2位置から第1位置に移動し、筐体3Aが第1形態になる。第1形態では、第2接続部22が利用できないが、第1接続部21が利用可能である。
【0079】
このように、ユーザのニーズに応じてUSBコンセント10Aで利用可能な接続部2の数を変えることができる。結果的に、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント10Aを提供することができる。
【0080】
(3)実施形態3
本実施形態に係るUSBコンセント10Bについて、図11を参照して説明する。USBコンセント10Bは、USBコンセント10,10Aと同様に、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具である。以下、冗長な説明を避けるため、USBコンセント10BとUSBコンセント10又はUSBコンセント10Aとで実質的に同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0081】
USBコンセント10Bは、図11に示すように、筐体3Bを備える。また、USBコンセント10Bは、複数の接続部2を備える。また、USBコンセント10Bは、USBコンセント10と同様に、電源回路11と、端子部12とを備える。
【0082】
複数の接続部2は、各々、機器9のUSBコネクタ91を電気的かつ機械的に接続するために用いられる。複数の接続部2は、各々、金属製のシェル及びコンタクト等を含む。複数の接続部2は、4つの接続部24~27を含む。ここで、接続部24,25と接続部26,27とは、互いに異なる複数のUSBコネクタ規格にそれぞれ準拠している。互いに異なる複数のUSBコネクタ規格は、A端子のUSBコネクタの規格と、C端子のUSBコネクタの規格とを含む。接続部24~27の各々は、USBレセプタクルである。接続部24,25は、A端子のUSBコネクタの規格に準拠している。第2接続部26,27は、C端子のUSBコネクタの規格に準拠している。
【0083】
筐体3Bは、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有している。複数の形態は、複数の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なる。特に、本実施形態では、複数の接続部2は、4つの接続部24~27を含んでいる。そして、複数の形態は、第1形態と第2形態とを含む。第1形態は、利用可能な接続部2の数が2つである。より詳細には、第1形態は、4つの接続部24~27のうち、2つの接続部24,25のみが利用可能な形態である。なお、筐体3Bの第1形態は、筐体3の第1形態と外観が同じであるので、筐体3Bの第1形態の外観として必要に応じて図5を参照する。一方、第2形態は、図11に示すように、利用可能な接続部2の数が4つである。より詳細には、第2形態は、4つの接続部24~27の全てが利用可能な形態である。
【0084】
筐体3Bは、第1筐体31と第2筐体32Bとを含んでいる。第1筐体31と第2筐体32Bとは別体である。第1形態と第2形態とは、第1筐体31と第2筐体32Bとの配置が異なっており、これによって、利用可能な接続部2の数が変わることになる。
【0085】
第2筐体32Bは、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。第2筐体32Bは、複数の接続部2を収容する。また、第2筐体32Bは、電源回路11を収容する。
【0086】
第2筐体32Bは、本実施形態では、直方体状である。第2筐体32Bは、第2筐体32と同様に、前面320と、側面(第1~第4側面)321~324と、後面325とを有する。第2筐体32Bには、複数の接続部2にそれぞれ対応する複数の接続口4が設けられる。
【0087】
複数の接続口4は、4つの接続口44~47を含む。接続口44,45は前面320に、接続口46は第3側面323に、接続口47は第4側面324に、それぞれ配置される。接続口44,45は、上下方向において、一定の間隔を空けて並べて配置されている。接続口44,45の各々は、横向き(横長)の長孔である。接続口44,45は、接続部24,25にそれぞれ対応する。より詳細には、接続口44,45は、接続部24、25をそれぞれ露出させる。本実施形態では、接続部24,25は、A端子のUSBコネクタの規格に準拠している。したがって、接続口44,45は、接続部24,25にA端子のUSBコネクタを接続可能な大きさの孔である。接続口46,47の各々は、縦向き(縦長)の長孔である。接続口46,47は、接続部26,27にそれぞれ対応する。より詳細には、接続口46,47は、接続部26,27をそれぞれ露出させる。本実施形態では、接続部26,27は、C端子のUSBコネクタの規格に準拠している。したがって、接続口46,47は、接続部26,27にC端子のUSBコネクタを接続可能な大きさの孔である。
【0088】
ここで、複数の位置は、利用可能な接続部2の数が異なる位置である。特に、本実施形態では、複数の位置は、第1位置と第2位置とを含む。第1位置は、1以上の主接続部が露出し1以上の副接続部が隠れる位置である。第2位置は、1以上の主接続部と1以上の副接続部とが露出する位置である。つまり、主接続部は第1位置と第2位置との両方で利用可能な接続部であり、副接続部は第1位置と第2位置とのうち第2位置のみで利用可能な接続部であるといえる。ここで、1以上の主接続部は、第2筐体32の第1面に露出する1以上の接続部であり、1以上の副接続部は、第2筐体32の第2面に露出する1以上の接続部である。第1面及び第2面は、第2筐体32の互いに異なる面である。本実施形態では、第1面は、第2筐体32の前面320であり、第2面は、第2筐体32の側面323,324を含む。よって、本実施形態では、1以上の主接続部は、接続部24,25を含み、1以上の副接続部は、接続部26,27を含む。
【0089】
本実施形態では、第1位置は、USBコンセント10と同様に、第2筐体32Bの前面320が収容空間311aから露出し、第2筐体32Bの側面321~324が収容空間311a内にある位置である(図5参照)。よって、第1位置では、第2筐体32Bの前面320にある接続部24,25が収容空間311aから露出する。一方で、第2筐体32Bの第3側面323にある接続部26及び第4側面324にある接続部27は収容空間311a内にある。よって、第1位置では、接続部24~27のうち、接続部24,25のみが利用可能であり、利用可能な接続部2の数は2である。また、第1位置では、第2筐体32Bの前面320が第1筐体31の前面310と面一になる。これによって、第2筐体32Bが第1位置にある場合の筐体3Bの外観がすっきりする。
【0090】
第2位置は、図11に示すように、第2筐体32Bの前面320及び側面321~324が収容空間311aから露出する位置である。第2位置は、第2筐体32Bが、第1位置から、第1筐体31の前面310に交差する方向に移動した位置である。第2位置では、第2筐体32Bの前面320にある接続部24,25が収容空間311aから露出する。また、第2筐体32Bの第3側面323にある接続部26及び第4側面324にある接続部27も収容空間311aから露出する。よって、第2位置では、接続部24~27の全てが利用可能であり、利用可能な接続部2の数は4である。
【0091】
上述したように、筐体3Bは、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有している。複数の形態の各々は、複数の接続部2のうちの対応する接続部2が利用可能な形態である。本実施形態では、複数の接続部2を収容する第2筐体32Bが複数の位置で移動可能である。複数の位置は、複数の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なる位置である。複数の形態の各々は、第2筐体32Bが複数の位置のうちの対応する位置にある形態である。複数の接続部2は、4つの接続部24~27を含んでいる。そして、複数の位置は、第1位置と第2位置とを含む。第1位置は、接続部24,25が露出する位置である。第2位置は、図11に示すように接続部24~27が露出する位置である。
【0092】
第1形態は、第2筐体32Bが第1位置にある形態である。したがって、第1形態では、接続部24~27のうち接続部24,25のみが利用可能である。よって、USBコンセント10Bを利用しない場合や、USBコンセント10Bに接続しようとするUSBコネクタ91が一つ又はA端子のUSBコネクタである場合には、第2筐体32Aを第1位置にしておけばよい。第1形態では、接続部26,27を隠すことができるから、接続部26,27の保護が図れる。また、USBコンセント10Bの外観もすっきりする。一方、第2形態は、第2筐体32Bが第2位置にある形態である。したがって、第2形態では、接続部24~27の全てが利用可能である。よって、USBコンセント10Bに接続しようとするUSBコネクタ91が3つ以上又はC端子のUSBコネクタである場合には、第2筐体32Bを第1位置から第2位置にすればよい。これによって、別途配線機器の接続等が不要になる。
【0093】
このように、ユーザのニーズに応じてUSBコンセント10Bで利用可能な接続部2の数を変えることができる。結果的に、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント10Bを提供することができる。
【0094】
(4)変形例
実施形態1~3は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1~3は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。実施形態1~3に係るUSBコンセント10,10A,10Bと同等の機能は、方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0095】
以下、実施形態1~3の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0096】
実施形態1,2では、複数の接続部2は、いずれもA端子のUSBコネクタの規格に対応する。一変形例では、複数の接続部2は、いずれもC端子のUSBコネクタの規格に対応してもよいし、実施形態3のように複数のUSBコネクタ規格に対応してもよい。複数のUSBコネクタ規格は、例えば、A端子(Type-A)、B端子(Type-B)及びC端子(Type-C)、並びに、ミニUSB(mini USB)及びマイクロUSB(micro USB)等から適宜選択され得る。
【0097】
実施形態1~3では、複数の接続部2は、いずれもレセプタクルである。しかしながら、複数の接続部2は、いずれも、プラグであってもよい。また、複数の接続部2の各々は、プラグとレセプタクルとから選択され得る。
【0098】
実施形態1~3については、接続部2の数は、2つに限定されない。USBコンセントは、3以上の接続部2を有していてよい。特に、筐体は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる3以上の形態を有してよい。3以上の形態は、3以上の接続部2のうちの利用可能な接続部2の数が異なっていればよい。
【0099】
実施形態1~3では、筐体(第1筐体)が3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であるが、2個モジュール寸法又は1個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であってもよい。また、筐体において、接続口は、正面視において、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい長方形状である。つまり、接続口は、縦向き(縦長)に配置されていてもよい。すなわち、接続口の向きは、特に限定されない。
【0100】
さらに、USBコンセントは、筐体(第1筐体)が2個モジュール寸法又は1個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であれば、付加装置とともに取付枠84にて取付対象物81に取り付けられてもよい。付加装置の例としては、コンセント装置、及び、センサ装置が挙げられる。コンセント装置は、例えば、100Vの交流電圧を出力するコンセント装置であってよい。また、センサ装置の例としては、人感センサ、明るさセンサ、振動センサ、近接センサ若しくは音センサ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。USBコンセントは、センサ装置の出力に基づいて動作してもよい。例えば、センサ装置が人感センサである場合には、USBコンセントは、周辺に人が存在しなければ、接続部2への通電をオフとする。
【0101】
実施形態1~3では、USBコンセントは、屋内用に限らず屋外用であってもよい。屋外用のUSBコンセントにおいては、防雨(防滴)構造等が適宜採用される。
【0102】
実施形態1~3では、機器9が、充電式の機器である場合を例に説明したが、この例に限らず、USBコンセントには、充電式でない機器(充電式の機器以外の機器)を接続することも可能である。
【0103】
実施形態1~3では、USBコンセントは、埋込型の配線器具に限らない。すなわち、USBコンセントは、その全体が壁等の取付対象物81の表面から露出するように配置される「露出型」の配線器具であってもよい。この場合、USBコンセントは、埋込型ではなく露出型のスイッチボックスを用いて取付対象物81に取り付けられる。また、USBコンセントは、例えば、挟み金具等の、スイッチボックス以外の取付部材を用いて取付対象物81に取り付けられてもよい。
【0104】
実施形態1~3では、筐体(第1筐体)が取付枠84に取り付けられることは、USBコンセントに必須の構成ではなく、例えば、筐体3は取付枠84と一体化されていてもよい。さらに、取付枠84に、コンセントプレート8が取り付けられることも、USBコンセントに必須の構成ではなく、コンセントプレート8は適宜省略されてもよい。
【0105】
実施形態1~3では、1つの電源回路11に対して、複数の接続部2が接続されているが、この構成はUSBコンセントに必須の構成ではなく、複数の接続部2の各々に対して個別の電源回路11が設けられていてもよい。つまり、USBコンセントは、複数の接続部2と、複数の接続部2に一対一に対応する複数の電源回路11と、を備えていてもよい。この場合、複数の接続部2には、それぞれ個別の電源回路11から電力が供給されるので、定格出力(電流又は電力)に関しても、各接続部2について個別に規定される。
【0106】
実施形態1~3において、保持部311,311Aは、第2筐体32,32Aを複数の位置の間で移動可能に保持するように構成されていればよい。第2筐体32,32Aの複数の位置での移動は、スライド移動、回転移動等の種々の移動を含み得る。例えば、実施形態2において、第2筐体32Aの回転軸は、必ずしも、筐体3Aの左右方向に限らず、筐体3Aの上下方向であってもよく、第1筐体31Aの前面310に沿っていればよい。また、第2筐体32Aの回転軸は、第1筐体31Aの前面310に交差してもよい。
【0107】
実施形態2において、駆動部13の構成は特に限定されず、第2筐体32Aを複数の位置で移動させることが可能な構成であればよく、従来周知の構成を採用可能である。また、実施形態2において、駆動部13及び操作部14は必須ではない。一例として、実施形態2では、実施形態1と同様に、筐体3Aは、第2筐体32をユーザが直接回転させることが可能に構成されていてもよい。一方で、駆動部13及び操作部14は、実施形態1に適用してよい。
【0108】
(5)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0109】
第1の態様は、USBコンセント(10;10A;10B)であって、それぞれUSBコネクタ(91)が接続可能な複数の接続部(2,21~27)と、前記複数の接続部(2,21~27)を収容する筐体(3;3A;3B)とを備える。前記筐体(3;3A;3B)は、少なくとも一部の機械的な配置が異なる複数の形態を有する。前記複数の形態は、前記複数の接続部(2,21~27)のうちの利用可能な接続部(2;21~27)の数が異なる。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10A;10B)を提供することができる。
【0110】
第2の態様は、第1の態様に基づくUSBコンセント(10;10A;10B)である。第2の態様では、前記筐体(3;3A;3B)は、取付対象物(81)に設置される第1筐体(31;31A)と、前記複数の接続部(2,21~27)を収容する第2筐体(32;32A;32B)とを含む。前記第1筐体(31;31A)は、前記第2筐体(32;32A;32B)を複数の位置の間で移動可能に保持する保持部(311;311A)を有する。前記複数の位置は、利用可能な接続部(2,21~27)の数が異なる位置である。前記複数の形態の各々は、前記第2筐体(32;32A;32B)が前記複数の位置のうちの対応する位置にある形態である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10A;10B)を簡単な構造で実現できる。
【0111】
第3の態様は、第2の態様に基づくUSBコンセント(10;10A;10B)である。第3の態様では、前記第2筐体(32;32A;32B)は、互いに異なる第1面(320)及び第2面(321~324)を有する。前記複数の接続部(2,21~27)は、1以上の主接続部(2,21,24,25)と、1以上の副接続部(2,22,23,26,27)とを含む。前記1以上の主接続部(2,21,24,25)は、前記第2筐体(32;32A;32B)の第1面(320)に露出する。前記1以上の副接続部(2,22,23,26,27)は、前記第2筐体(32;32A;32B)の第2面(321~324)に露出する。前記複数の位置は、第1位置と、第2位置とを含む。前記第1位置は、前記1以上の主接続部(2,21,24,25)が露出し前記1以上の副接続部(2,22,23,26,27)が隠れる位置である。前記第2位置は、前記1以上の主接続部(2,21,24,25)と前記1以上の副接続部(2,22,23,26,27)とが露出する位置である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10A;10B)を簡単な構造で実現できる。
【0112】
第4の態様は、第3の態様に基づくUSBコンセント(10;10A;10B)である。第4の態様では、前記第1面(320)は、前記第2筐体(32;32A;32B)の前面(320)である。前記第2面(321~324)は、前記第2筐体(32;32A;32B)の側面(321~324)である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10A;10B)を簡単な構造で実現できる。
【0113】
第5の態様は、第4の態様に基づくUSBコンセント(10;10A;10B)である。第5の態様では、前記保持部(311;311A)は、前記第1筐体(31;31A)の前面(310)に前記第2筐体(32;32A;32B)を収容可能な収容空間(311a)を有する。前記第1位置は、前記第2筐体(32;32A;32B)の前面(320)が前記収容空間(311a)から露出し、前記第2筐体(32;32A;32B)の側面(321~324)が前記収容空間(311a)内にある位置である。前記第2位置は、前記第2筐体(32;32A;32B)の前面(320)及び側面(321~324)が前記収容空間(311a)から露出する位置である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10A;10B)を簡単な構造で実現できる。
【0114】
第6の態様は、第4又は第5の態様に基づくUSBコンセント(10;10A;10B)である。第6の態様では、前記第1位置では、前記第2筐体(32;32A;32B)の前面(310)が前記第1筐体(31;31A)の前面(310)と面一になる。この態様によれば、第2筐体(32;32A;32B)が第1位置にある場合の筐体(3;3A;3B)の外観がすっきりする。
【0115】
第7の態様は、第4~第6の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10;10B)である。第7の態様では、前記第2位置は、前記第2筐体(32;32B)が、前記第1位置から、前記第1筐体(31)の前面(310)に交差する方向に移動した位置である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10B)を簡単な構造で実現できる。
【0116】
第8の態様は、第4~第6の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10A)である。第8の態様では、前記第2位置は、前記第2筐体(32A)が、前記第1位置から、前記第1筐体(31A)の前面(310)に沿った回転軸の周りに回転した位置である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10B)を簡単な構造で実現できる。
【0117】
第9の態様は、第4~第8の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10)である。第9の態様では、前記保持部(311)は、弾性部材(312)と、保持機構(313)とを備える。前記弾性部材(312)は、前記第2筐体(32)を前記第1位置から前記第2位置に移動させる弾性力を発生する。前記保持機構(313)は、前記弾性部材(312)の弾性力に逆らって前記第2筐体(32)を前記第1位置に保持する。前記保持機構(313)は、所定の操作に応じて前記第2筐体(32)の前記第1位置での保持を解除する。この態様によれば、USBコンセント(10)の操作性を向上できる。
【0118】
第10の態様は、第9の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第10の態様では、前記所定の操作は、前記第1位置にある前記第2筐体(32)の前面(320)を押圧する操作である。この態様によれば、USBコンセント(10)の操作性を向上できる。
【0119】
第11の態様は、第9又は第10の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第11の態様では、前記保持機構(313)は、前記第2筐体(32)が前記第2位置から前記第1位置まで移動すると前記第2筐体(32)を前記第1位置に保持する。この態様によれば、USBコンセント(10)の操作性を向上できる。
【0120】
第12の態様は、第2~第8の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10A)である。第12の態様では、前記第2筐体(32A)を前記複数の位置の間で移動させる駆動部(13)を更に備える。この態様によれば、USBコンセント(10A)の操作性を向上できる。
【0121】
第13の態様は、第1~第12の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10;10A;10B)である。第13の態様では、前記複数の接続部(2,21~27)の各々は、USBレセプタクルである。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10;10A;10B)を提供することができる。
【0122】
第14の態様は、第1~第13の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10B)である。第14の態様では、前記複数の接続部(2,24~27)は、互いに異なる2以上のUSBコネクタ(91)規格にそれぞれ準拠した2以上の接続部(2,24~27)を含む。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10B)を提供することができる。
【0123】
第15の態様は、第1~第14の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10B)である。第15の態様では、前記2以上のUSBコネクタ(91)規格は、タイプAのUSBコネクタの規格と、タイプCのUSBコネクタの規格とを含む。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10B)を提供することができる。
【0124】
第2~15の態様に係る構成については、USBコンセント(10;10A;10B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0125】
10,10A,10B USBコンセント
2,21,22,23,24,25,26,27 接続部
3,3A,3B 筐体
31,31A 第1筐体
310 前面
311,311A 保持部
311a 収容空間
312 弾性部材
313 保持機構
32,32A,32B 第2筐体
320 前面(第1面)
321~324 側面(第2面)
91 USBコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11