(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】分配器、及び集合施設用通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 3/36 20060101AFI20240329BHJP
H03H 7/48 20060101ALI20240329BHJP
H04N 5/00 20110101ALI20240329BHJP
【FI】
H04B3/36
H03H7/48 C
H04N5/00 101
(21)【出願番号】P 2020077834
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野上 貴洋
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-232763(JP,A)
【文献】特開2014-158178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/36
H04B 3/50
H03H 7/48
H04N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分配器を含む分配器セットから選択される分配器であって、
前記分配器は、集合施設に含まれる複数の施設に設けられる複数の通信端末の間の通信用の通信路に設けら
れ、前記通信路は、前記通信路を介した前記複数の通信端末間の通信を制御する制御装置と前記複数の通信端末との間を接続し、
前記分配器は、
一対の第1接続端と、
一対の第2接続端と、
一対の第3接続端と、
を備え、
前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端は、所定の周波数範囲の信号の伝達が可能に接続されており、
前記分配器は、前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端のうちの、任意の一対の接続端に入力された前記信号を、残りの二対の接続端に分配するよう構成され
、
前記複数の分配器の各々は、前記一対の第1接続端と前記一対の第2接続端との間をつなぐ第1回路のインピーダンスが、前記複数の分配器のうちの他の分配器における前記第1回路のインピーダンスと異なる、
分配器。
【請求項2】
前記第1回路、前記一対の第1接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第2回路、及び前記一対の第2接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第3回路を保護するための一以上の保護素子を、更に備える、
請求項1に記載の分配器。
【請求項3】
集合施設に含まれる複数の施設に設けられる複数の通信端末の間の通信用の通信路に設けられる分配器であって、前記通信路は、前記通信路を介した前記複数の通信端末間の通信を制御する制御装置と前記複数の通信端末との間を接続し、
前記分配器は、
一対の第1接続端と、
一対の第2接続端と、
一対の第3接続端と、
前記一対の第1接続端と前記一対の第2接続端との間をつなぐ第1回路、前記一対の第1接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第2回路、及び前記一対の第2接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第3回路を保護するための一以上の保護素子と、
を備え、
前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端は、所定の周波数範囲の信号の伝達が可能に接続されており、
前記分配器は、前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端のうちの、任意の一対の接続端に入力された前記信号を、残りの二対の接続端に分配するよう構成される、
分配器。
【請求項4】
前記一以上の保護素子の一部は、前記第1回路~前記第3回路のうちの少なくとも2つの回路で兼用される、
請求項2又は3に記載の分配器。
【請求項5】
前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端のうちの、任意の一対の接続端と、残りの二対の接続端のうちの任意の一対の接続端との間で、前記信号を双方向に伝達可能である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の分配器。
【請求項6】
前記通信路は、平衡線路である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の分配器。
【請求項7】
前記一対の第1接続端と前記一対の第2接続端との間をつなぐ第1回路、前記一対の第1接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第2回路、及び前記一対の第2接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第3回路の各々に、前記信号の直流成分を低減させる直流成分低減部を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の分配器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の分配器と、
第1通信線を介して前記一対の第1接続端と接続された第1端末と、
第2通信線を介して前記一対の第2接続端と接続された第2端末と、
第3通信線を介して前記一対の第3接続端と接続された第3端末と、
を備える、
集合施設用通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に分配器、及び集合施設用通信システムに関し、より詳細には、通信路用の分配器、及び分配器を備えた集合施設用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力部に入力された信号を複数の出力部に分配出力する分配器が開示されている。この分配器は、入力インピーダンスがRで出力インピーダンスがR/2のインピーダンス変換用トランス、平衡型の3dBハイブリッド及び抵抗値Rの2つの抵抗を備える。入力部に入力された入力信号は、トランスを介して平衡出力される。トランスの各平衡出力信号は、3dBハイブリッドに出力され、出力インピーダンスがRの2つの出力部から分配出力される。2つの出力部からは、各々、入力部に入力された信号を3dB減衰した信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の分配器は、入力部と出力部とが区別されており、入力用のケーブルを出力部に接続する或いは出力用のケーブルを入力部に接続するという、いわゆるつなぎ間違いが起こる可能性があった。そのため、取り扱い性に向上の余地があった。
【0005】
本開示は、分配器の取り扱い性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る分配器は、複数の分配器を含む分配器セットから選択される。前記分配器は、複数の通信端末の間の通信用の通信路に設けられる。前記複数の通信端末は、集合施設に含まれる複数の施設に設けられる。前記通信路は、前記通信路を介した前記複数の通信端末間の通信を制御する制御装置と前記複数の通信端末との間を接続する。前記分配器は、一対の第1接続端と、一対の第2接続端と、一対の第3接続端と、を備える。前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端は、所定の周波数範囲の信号の伝達が可能に接続されている。前記分配器は、前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端のうちの、任意の一対の接続端に入力された前記信号を、残りの二対の接続端に分配するよう構成される。前記複数の分配器の各々は、前記一対の第1接続端と前記一対の第2接続端との間をつなぐ第1回路のインピーダンスが、前記複数の分配器のうちの他の分配器における前記第1回路のインピーダンスと異なる。
本開示の一態様に係る分配器は、複数の通信端末の間の通信用の通信路に設けられる。前記複数の通信端末は、集合施設に含まれる複数の施設に設けられる。前記通信路は、前記通信路を介した前記複数の通信端末間の通信を制御する制御装置と前記複数の通信端末との間を接続する。前記分配器は、一対の第1接続端と、一対の第2接続端と、一対の第3接続端と、前記一対の第1接続端と前記一対の第2接続端との間をつなぐ第1回路、前記一対の第1接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第2回路、及び前記一対の第2接続端と前記一対の第3接続端との間をつなぐ第3回路を保護するための一以上の保護素子と、を備える。前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端は、所定の周波数範囲の信号の伝達が可能に接続されている。前記分配器は、前記一対の第1接続端、前記一対の第2接続端、及び前記一対の第3接続端のうちの、任意の一対の接続端に入力された前記信号を、残りの二対の接続端に分配するよう構成される。
【0007】
本開示の一態様に集合施設用通信システムは、前記分配器と、前記一対の第1接続端と第1通信線を介して接続された第1端末と、前記一対の第2接続端と第2通信線を介して接続された第2端末と、前記一対の第3接続端と第3通信線を介して接続された第3端末と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、分配器の取り扱い性を向上させることが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る分配器を備えた集合住宅用通信システムのブロック図である。
【
図10】
図10は、同上の分配器を通過する信号の一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、同上の分配器を通過する信号の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、同上の分配器を通過する信号の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、同上の分配器を備えた集合住宅用通信システムに用いられる分岐器のブロック図である。
【
図14】
図14は、変形例1の分配器を含む分配器セットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る分配器1及びそれを備えた集合施設用通信システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
本実施形態に係る分配器1は、集合施設に設けられる集合施設用通信システムに備えられる。集合施設は、複数の施設を含んでいる。ここでは、集合施設はマンション等の集合住宅を想定する。複数の施設は、例えば、共用部と、複数の専有部と、を含んでいる。ここでは、共用部はロビー(共用玄関)を想定し、複数の専用部は複数の住戸を想定する。集合施設用通信システムは、例えばインターホンシステム100(
図1参照)である。
【0012】
インターホンシステム100は、共用端末81及び複数の住戸端末82(複数の通信端末)と、制御装置83と、通信路84と、を備える。
【0013】
共用端末81は、例えば、集合住宅の共用玄関(施設としての共用部)に設けられている。住戸端末82は、例えば、集合住宅の各住戸(施設としての専有部)の内玄関に設けられている。制御装置83は、例えば、集合住宅の管理室に設けられている。制御装置83は、通信路(84)を介した複数の通信端末間の通信を制御する。通信路84は、共用端末81と制御装置83との間、及び制御装置83と複数の住戸端末82との間を接続する。共用端末81と複数の住戸端末82とは、通信路84及び制御装置83を介して信号の送受信が可能に接続されている。
【0014】
通信路84は、複数の通信線840を含む。複数の通信線840は、接続線841と幹線842と複数の分岐線843とを含む。通信線840は、一対の電線(信号線)を含むペア線であり、ここではツイストペア線である。
【0015】
接続線841は、共用端末81と制御装置83との間を接続する。幹線842は、制御装置83に接続される。複数の分岐線843は、複数の分岐器2によって幹線842から分岐され、複数の住戸端末82にそれぞれ接続される。
【0016】
通信路84は、平衡線路である。すなわち、通信路84の通信線840を構成する一対の電線は、基準点(グランド)に関して、電気的に等しく対称な状態である。例えば、伝搬される信号に関して、一対の電線における等価点では、信号が基準点(グランド)に対して極性が反対かつ振幅が等しい。
【0017】
分配器1は、通信路84に設けられる。分配器1は、幹線842又は分岐線843に(
図1の例では幹線842に)設けられる。
【0018】
図2に示すように、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2と、一対の第2接続端E3,E4と、一対の第3接続端E5,E6と、を備える。分配器1内において、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6は、所定の周波数範囲の信号S1(
図10~
図12参照)の伝達が可能に接続されている。所定の周波数範囲は、例えば0.5MHz~15MHzである。
【0019】
分配器1では、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6の各々に、通信線840(ペア線)が接続される。すなわち、一対の第1接続端E1,E2には第1通信線8401(第1ペア線)が接続され、一対の第2接続端E3,E4には第2通信線8402(第2ペア線)が接続され、一対の第3接続端E5,E6には第3通信線8403(第3ペア線)が接続される。
図2の例では、一対の第1接続端E1,E2は、一対の第1リード線L1,L2を介して、第1通信線8401の一対の電線に接続されている。また、一対の第2接続端E3,E4は、一対の第2リード線L3,L4を介して、第2通信線8402の一対の電線に接続されている。一対の第3接続端E5,E6は、一対の第3リード線L5,L6を介して、第3通信線8403の一対の電線に接続されている。
【0020】
分配器1には、第1通信線8401~第3通信線8403のうちの任意の通信線から、信号が入力される。分配器1は、第1通信線8401~第3通信線8403のいずれか1つ(例えば第1通信線8401)から入力された信号S1を、残りの2つ(例えば第2通信線8402及び第3通信線8403)に分配するよう構成される。言い換えれば、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの任意の一対の接続端に入力された信号S1を、残りの二対の接続端に分配するよう構成される。より詳細には、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2に入力された信号S1を、一対の第2接続端E3,E4及び一対の第3接続端E5,E6に分配する(
図10参照)。また、分配器1は、一対の第2接続端E3,E4に入力された信号S1を、一対の第1接続端E1,E2及び一対の第3接続端E5,E6に分配する(
図11参照)。また、分配器1は、一対の第3接続端E5,E6に入力された信号S1を一対の第1接続端E1,E2及び一対の第2接続端E3,E4に分配する(
図12参照)。
【0021】
このように、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうち、いずれを信号S1の入力側としたとしても、他の2つの接続端(出力端)に信号S1を分配可能である。そのため、いわゆるつなぎ間違いが起こり難くなり、分配器1の取り扱い性を向上させることが可能となる。
【0022】
また、本実施形態の集合施設用通信システムは、分配器1と、第1端末(例えば、制御装置83)と、第2端末(例えば、住戸端末82)と、第3端末(例えば、第2端末とは別の住戸端末82)と、を備えている。そして、分配器1が、通信路84に設けられている。そのため、通信路84の施工を行うにあたって分配器1のつなぎ間違いが起こり難くなり、施工性が向上する。
【0023】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る分配器1及び分配器1を備えた集合施設用通信システムについて、
図1~
図13を参照しながらより詳細に説明する。
【0024】
(2.1)分配器の構造
図3に示すように、分配器1は、筐体3と、一対の第1リード線L1、L2と、一対の第2リード線L3、L4と、一対の第3リード線L5、L6と、を備えている。以下では便宜上、第1リード線L1、L2、第2リード線L3、L4、及び第3リード線L5、L6をまとめて、リード線L1~L6ということがある。
【0025】
筐体3は、箱状の本体部30と、取付部4と、を有している。本体部30は、ボディ3aと、ボディ3aに結合されるカバー3bと、を含む。ボディ3aは、一の面306(
図5参照)に開口部30aが形成された箱状(直方体状)に形成されている。カバー3bは、開口部30aを塞ぐように、ボディ3aに結合される。
【0026】
ボディ3aは、カバー3bに対向する板状の対向部35aと、第1側壁31a、第2側壁32a、第3側壁33a及び第4側壁34aと、を含む。第1側壁31a、第2側壁32a、第3側壁33a及び第4側壁34aは、対向部35aの厚み方向に沿って対向部35aの周縁から突出している。第1側壁31aと第2側壁32aとが互いに対向し、第3側壁33aと第4側壁34aとが互いに対向している。第1側壁31a、第2側壁32a、第3側壁33a及び第4側壁34aは、つながっている。
【0027】
以下、特に断りのない限り、カバー3bと対向部35aとが互いに対向する方向を前後方向とし、カバー3b側を後、対向部35a側を前とする。第1側壁31aと第2側壁32aとが互いに対向する方向を上下方向とし、第1側壁31a側を上、第2側壁32a側を下とする。第3側壁33aと第4側壁34aとが互いに対向する方向を左右方向とし、第3側壁33a側を左、第4側壁34a側を右とする。
図3~
図6には方向を示す矢印を示しているが、これは説明の便宜上のものであって実体を伴わない。
【0028】
開口部30aが形成された直方体状のボディ3aにおいて、開口部30a側とは反対側(前側)の4つの頂点に相当する領域にはそれぞれ、凹部300が形成されている。これら4つの凹部300の底面には、それぞれ貫通孔301が形成されている。
【0029】
取付部4は、本体部30につながっている。より詳細には、取付部4は、本体部30と一体に形成されている。
【0030】
取付部4は、第1側壁31aの後端から上向きに突出している。取付部4は、取付部4を貫通する取付孔40が形成された板状に形成されている。より詳細には、取付部4は、前後方向から見て半円状の構造に取付孔40が形成されることにより、前後方向から見てU字状に形成されている。前後方向から見てU字状の取付部4の2つの端は、第1側壁31aにつながっている。
【0031】
筐体3は、例えば、取付部4の取付孔40に通されたねじ(木ねじ等)を、取付対象(建物の壁等)にねじ込むことにより、取付対象に取り付けられる。
【0032】
図5に示すように、本体部30の後面305は、ボディ3aの開口部30aが形成された一の面306と、開口部30aに挿入されたカバー3bの後面307と、を含む。後面305は、平状に形成されている。取付部4は、後面305に沿って本体部30から突出している。より詳細には、取付部4の後面405は、本体部30の後面305と面一である。後面305は、筐体3の取付対象(建物の壁等)との対向面である。
【0033】
図4に示すように、取付孔40は、だるま孔である。取付孔40は、第1孔41と、第1孔41につながった第2孔42と、を有している。第2孔42は、第1孔41と一方向(上下方向)に並んでいる。第2孔42は、第1孔41と第1側壁31aとの間に形成されている。第1孔41及び第2孔42は、上に凸の鐘形状に形成されている。第1孔41と第2孔42とが並んでいる一方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)において、第2孔42の幅D2は、第1孔41の幅D1よりも大きい。
【0034】
取付部4は、分離部43を有している。取付部4は、分離部43において、本体部30(ボディ3a)から分離可能である。分離部43は、2つの薄肉部44を含む。2つの薄肉部44は、取付部4における本体部30(ボディ3a)との境界部分に形成されている。2つの薄肉部44は、取付部4のうち、第1側壁31aにつながっている2つの端に1つずつ形成されている。2つの薄肉部44は、取付部4における2つの薄肉部44以外の部位よりも厚みが小さい。より詳細には、取付部4は、2つの薄肉部44において、側面視三角形状の溝状に窪んでいる。
【0035】
取付孔40は、取付部4における本体部30(ボディ3a)との境界部分の一部まで延びている。すなわち、取付部4における本体部30(ボディ3a)との境界部分には、分離部43と、取付孔40の一部とが形成されている。
【0036】
2つの薄肉部44を軸に取付部4が本体部30(ボディ3a)に対して折り曲げられることにより、2つの薄肉部44が破断する。これにより、取付部4を、分離部43(2つの薄肉部44)において本体部30(ボディ3a)から分離させることができる。
【0037】
ボディ3aは、ボス部3cを更に含む。ボス部3cは、略有底円筒状に形成されている。ボス部3cは、カバー3bをボディ3aに結合するためのねじ3dが後方からねじ込まれるねじ穴30cを有している。ボス部3cは、第3側壁33aの外面(面330a)から突出している。ボス部3cの軸方向は、前後方向に沿っており、第3側壁33aの外面と略平行である。
【0038】
ボディ3aの第4側壁34aには、複数(
図4、
図5では2つ)の挿入孔341が形成されている。カバー3bには、複数(
図4、
図5では2つ)の爪部321が形成されている。複数の挿入孔341に、複数の爪部321が挿入される。また、ボディ3aは、第4側壁34aから本体部30の内部に向かって突出している保持爪342と、第3側壁33aから本体部30の内部に向かって突出している保持爪と、を更に含む。分配器1は、回路実装基板5を更に備えている。回路実装基板5の後述の回路基板51が、第4側壁34aの保持爪342及び第3側壁33aの保持爪に引っ掛けられることにより、回路基板51が本体部30の内部において保持される。
【0039】
図4に示すように、カバー3bは、厚み方向が前後方向に沿った平板状のカバー本体31bと、周壁部32bと、第1突出壁33bと、第2突出壁34bと、段部35bと、を含む。分配器1は、カバー3bと一体に形成された出張り部3eを更に備えている。
【0040】
カバー本体31bは、ボディ3aの開口部30aを塞ぐ長方形状に形成されている。周壁部32bは、カバー本体31bの周縁のうち、上辺付近の領域と、下辺付近の領域と、右辺と、左辺の一部とに形成されている。周壁部32bは、カバー本体31bの厚み方向に沿ってカバー本体31bから前方へ突出している。第1突出壁33bは、カバー3bにおける上辺付近の領域に形成されている。第1突出壁33bは、カバー本体31bの厚み方向に沿って周壁部32bから前方へ突出している。第2突出壁34bは、カバー3bにおける下辺付近の領域に形成されている。第2突出壁34bは、カバー本体31bの厚み方向に沿って周壁部32bから前方へ突出している。第1突出壁33b及び第2突出壁34bは、開口部30aを通ってボディ3aの内部に挿入される。
【0041】
カバー3bは、周壁部32bから外側へ突出した複数(
図4、
図5では2つ)の爪部321を更に含む。複数の爪部321は、上述のように、ボディ3aの複数の挿入孔341に挿入される。
【0042】
図4に示すように、出張り部3eは、カバー本体31bの周縁からカバー本体31bの面方向に沿って左方へ突出している。カバー3bがボディ3aに結合されている状態で、出張り部3eは、本体部30の外部に位置する(
図3参照)。出張り部3eは、ボディ3aのボス部3cのねじ穴30cに対向するねじ挿通孔30eを有している。複数の爪部321がボディ3aの複数の挿入孔341に挿入された状態で、ねじ挿通孔30eに通されたねじ3dが、ボス部3cのねじ穴30cにねじ込まれることにより、カバー3bがボディ3aに結合される。
【0043】
出張り部3eは、第1壁部31e、第2壁部32e、第3壁部33e及び第4壁部34eを含む。第1壁部31eは、厚み方向が前後方向に沿った長方形の板状に形成されている。第2壁部32eは、第1壁部31eの上辺から前方に突出している。第3壁部33eは、第1壁部31eの左辺から前方に突出している。第4壁部34eは、第1壁部31eの下辺から前方に突出している。また、第3壁部33eは、前端から後方に窪んだ窪み部330eを有している。第3壁部33eにおける窪み部330eの右側前縁の部分は、面取りされている。
【0044】
段部35bは、カバー3bにおける左側の領域に形成されている。段部35bは、カバー本体31bの厚み方向に沿ってカバー本体31bから前方に突出している。段部35bは、周壁部32bと比べて、前後方向の寸法が小さい(高さが低い)。そのため、カバー3bがボディ3aに結合された状態で、段部35bとボディ3aの第3側壁33aとの間には、隙間(貫通孔)が形成される。
【0045】
回路実装基板5は、回路基板51と、複数の電子部品(
図2の第1抵抗R1~第6抵抗R6、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6、及び第1アレスタAS1~第4アレスタAS4等)と、を含む。回路基板51は、本体部30の内部において保持されている。回路基板51には、複数の電子部品を電気的に接続して電気回路(信号分配回路6)を構成するためのパターン導体(配線)が形成されている。また、回路基板51には、リード線L1~L6が接続されている。リード線L1~L6は、ボードインコネクタ52(
図6参照)を介して回路基板51に接続されている。回路基板51に接続されたリード線L1~L6は、段部35bとボディ3aの第3側壁33aとの間の上述の隙間を通って、本体部30の外部に引き出される。
図3に示すように、リード線L1~L6は、上述の隙間において上下方向に並んで配置される。
【0046】
リード線L1~L6は、互いに同じ構成を有している。なお、
図4では、リード線L1~L6を代表して第1リード線L1のみを図示している。
【0047】
リード線L1~L6の各々の一端(第1端101)では、被覆103が剥かれて、被覆103の内側の芯線104が露出している。リード線L1~L6の一端(第1端101)は、回路基板51に接続されている。リード線L1~L6の各々の他端(第2端102)では、被覆103が剥かれて芯線104が露出しており、その露出した芯線104にテープ106が巻かれている。テープ106は、電気絶縁性を有する。テープ106は、芯線104を構成する多数の細い線を束ねている。リード線L1~L6では、各々の他端(第2端102)が通信線840の電線に接続される際に、テープ106が剥がされて芯線104が露出される。なお、テープ106の色によって、リード線L1~L6が区別できるようになっていてもよい。例えば、第1リード線L1,L2のテープ106の色が第1色(例えば白色)、第2リード線L3,L4のテープ106の色が、第1色とは異なる第2色(例えば青色)、第3リード線L5,L6のテープ106の色が、第1色及び第2色とは異なる第3色(例えば黒色)等であってもよい。
【0048】
(2.2)分配器の回路構成
図2に示すように、回路実装基板5は、一対の第1接続端E1,E2と、一対の第2接続端E3,E4と、一対の第3接続端E5,E6と、を備えている。以下では便宜上、第1接続端E1,E2、第2接続端E3,E4、及び第3接続端E5,E6をまとめて、接続端E1~E6ということがある。接続端E1~E6は、回路基板51(
図4参照)に設けられている。
【0049】
一対の第1接続端E1,E2には、一対の第1リード線L1,L2が接続されている。一対の第2接続端E3,E4には、一対の第2リード線L3,L4が接続されている。一対の第3接続端E5,E6には、一対の第3リード線L5,L6が接続されている。接続端E1~E6は、例えば、ボードインコネクタ52(
図6参照)の端子により構成されている。
【0050】
回路実装基板5は、信号分配回路6を更に含む。信号分配回路6は、回路基板51に実装された複数の電子部品と、回路基板51に形成されたパターン導体と、を含む。複数の電子部品は、第1抵抗R1~第6抵抗R6と、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6と、第1アレスタAS1~第4アレスタAS4と、を含む。
【0051】
図2に示すように、第1抵抗R1の第1端は、第1コンデンサC1を介して第1接続端E1と接続されている。第2抵抗R2の第1端は、第2コンデンサC2を介して第1接続端E2と接続されている。第3抵抗R3の第1端は、第3コンデンサC3を介して第2接続端E3と接続されている。第4抵抗R4の第1端は、第4コンデンサC4を介して第2接続端E4と接続されている。第5抵抗R5の第1端は、第5コンデンサC5を介して第3接続端E5と接続されている。第6抵抗R6の第1端は、第6コンデンサC6を介して第3接続端E6と接続されている。
【0052】
第1抵抗R1の第2端は、第3抵抗R3の第2端と接続されている。第5抵抗R5の第2端は、第1抵抗R1と第3抵抗R3との接続点N1と接続されている。第2抵抗R2の第2端は、第4抵抗R4の第2端と接続されている。第6抵抗R6の第2端は、第2抵抗R2と第4抵抗R4との接続点N2と接続されている。
【0053】
つまり、
図7に示すように、第1接続端E1と第2接続端E3とは、第1コンデンサC1、第1抵抗R1、第3抵抗R3、及び第3コンデンサC3の直列回路611を介して接続されている。第1接続端E2と第2接続端E4とは、第2コンデンサC2、第2抵抗R2、第4抵抗R4、及び第4コンデンサC4の直列回路612を介して接続されている。
【0054】
また、
図8に示すように、第1接続端E1と第3接続端E5とは、第1コンデンサC1、第1抵抗R1、第5抵抗R5、及び第5コンデンサC5の直列回路621を介して接続されている。第1接続端E2と第3接続端E6とは、第2コンデンサC2、第2抵抗R2、第6抵抗R6、及び第6コンデンサC6の直列回路622を介して接続されている。
【0055】
また、
図9に示すように、第2接続端E3と第3接続端E5とは、第3コンデンサC3、第3抵抗R3、第5抵抗R5、及び第5コンデンサC5の直列回路631を介して接続されている。第2接続端E4と第3接続端E6とは、第4コンデンサC4、第4抵抗R4、第6抵抗R6、及び第6コンデンサC6の直列回路632を介して接続されている。
【0056】
一対の第1接続端E1,E2と一対の第2接続端E3,E4との間をつなぐ第1回路61は、直列回路611及び直列回路612を含んでいる。一対の第1接続端E1,E2と一対の第3接続端E5,E6との間をつなぐ第2回路62は、直列回路621及び直列回路622を含んでいる。一対の第2接続端E3,E4と一対の第3接続端E5,E6との間をつなぐ第3回路63は、直列回路631及び直列回路632を含んでいる。
【0057】
図10に示すように、一対の第1接続端E1,E2に入力された信号S1は、信号分配回路6を通って、一対の第2接続端E3,E4及び一対の第3接続端E5,E6から出力される。
図11に示すように、一対の第2接続端E3,E4に入力された信号S1は、信号分配回路6を通って、一対の第1接続端E1,E2及び一対の第3接続端E5,E6から出力される。
図12に示すように、一対の第3接続端E5,E6に入力された信号S1は、信号分配回路6を通って、一対の第1接続端E1,E2及び一対の第2接続端E3,E4から出力される。なお、
図10~
図12では、便宜上、第1アレスタAS1~第4アレスタAS4の図示を省略している。
【0058】
要するに、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの任意の一対の接続端に入力された所定の周波数範囲の信号S1を、残りの二対の接続端に分配するよう構成されている。特に、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの任意の一対の接続端に入力された信号S1を、残りの二対の接続端に均等に分配するよう構成されている。なお、ここでの「信号を均等に分配する」とは、所定の周波数範囲内の任意の周波数において、分配先の信号の強度が互いに等しいことを意味する。ただし、「信号の強度が等しい」とは厳密な意味で強度が等しいことに限られず、許容範囲内の誤差を含み得る。
【0059】
また、分配器1は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、任意の一対の接続端と、残りの二対の接続端のうちの任意の一対の接続端との間で、信号S1を双方向に伝達可能である。
【0060】
第1抵抗R1~第6抵抗R6それぞれの抵抗値は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの任意の一対の接続端に入力された信号S1が、残りの二対の接続端に均等に分配されるよう設定されている。ここでは、第1抵抗R1~第6抵抗R6の抵抗値は、互いに等しい値に設定されている。なお、ここでの「抵抗値が等しい」とは、厳密な意味で値が等しいことに限られず、許容範囲内の誤差を含み得る。
【0061】
第1コンデンサC1~第6コンデンサC6は、いずれかの対の接続端に入力された信号S1の、直流成分を低減させる。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、主に、一対の第1接続端E1,E2に入力された信号S1の直流成分を低減させる。第3コンデンサC3及び第4コンデンサC4は、主に、一対の第2接続端E3,E4に入力された信号S1の直流成分を低減させる。第5コンデンサC5及び第6コンデンサC6、は主に、一対の第3接続端E5,E6に入力された信号S1の直流成分を低減させる。要するに、分配器1は、第1回路61、第2回路62、及び第3回路63の各々に、信号S1の直流成分を低減させる直流成分低減部8(第1コンデンサC1~第6コンデンサC6)を有している。
【0062】
第1コンデンサC1~第6コンデンサC6それぞれの容量は、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの任意の一対の接続端に入力された信号S1が、残りの二対の接続端に均等に分配されるよう設定されている。ここでは、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6の容量は、互いに等しい値に設定されている。なお、ここでの「容量が等しい」とは、厳密な意味で値が等しいことに限られず、許容範囲内の誤差を含み得る。
【0063】
また、分配器1は、入力インピーダンスと出力インピーダンスとの差が、所定範囲に収まるように、第1抵抗R1~第6抵抗R6それぞれの抵抗値及び第1コンデンサC1~第6コンデンサC6それぞれの容量が設定されている。すなわち、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、二対の接続端の出力インピーダンスがそれぞれ「XΩ(Xは、任意の正の数)」の場合、残りの一対の接続端の入力インピーダンスが「XΩ」となるように、第1抵抗R1~第6抵抗R6それぞれの抵抗値及び第1コンデンサC1~第6コンデンサC6それぞれの容量が設定されている。出力インピーダンスと入力インピーダンスとの間の誤差は、10%以下であり、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。
【0064】
ここでは、分配器1は、75Ω系の通信路84に適合するように、第1抵抗R1~第6抵抗R6それぞれの抵抗値及び第1コンデンサC1~第6コンデンサC6それぞれの容量が設定されている。すなわち、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、二対の接続端の出力インピーダンスがそれぞれ略75Ωの場合、残りの一対の接続端の入力インピーダンスが略75Ωとなるように、第1抵抗R1~第6抵抗R6それぞれの抵抗値及び第1コンデンサC1~第6コンデンサC6それぞれの容量が設定されている。
【0065】
さらに、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6の容量は、所定の周波数範囲(ここでは、0.5~15MHz)内において、分配器1を通過する信号S1の減衰量が所定値以下となるように設定されている。より詳細には、分配器1における任意の一対の接続端に入力された信号S1について、残りの二対のうちの一方から出力される信号S1の減衰量が6dB程度、かつ残りの二対のうちの他方から出力される信号S1の減衰量が6dB程度となるように、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6の容量が設定されている。
【0066】
また、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6の容量は、所定の周波数範囲(ここでは、0.5~15MHz)内の任意の2つの周波数の信号S1が分配器1を通過する際の減衰量の差が、許容値(例えば1%)以内に収まるように設定されている。
【0067】
一具体例において、第1抵抗R1~第6抵抗R6の各々の抵抗値は、12Ω程度であり、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6の各々の容量は、1μF程度である。なお、発明者らは、0.5MHz~15MHzの周波数範囲内で、任意の周波数において入力インピーダンスと出力インピーダンスとの間の差が1%以内、かつ、任意の2つの周波数での入力インピーダンスの差が2%以内、かつ、任意の2つの周波数での出力インピーダンスの差が2%以内という特性を持った分配器1が実現可能であることを、確認している。
【0068】
上述のように、信号分配回路6は、第1アレスタAS1~第4アレスタAS4を備えている。第1アレスタAS1~第4アレスタAS4は、第1回路61~第3回路63を保護するための一以上の保護素子7である。すなわち、分配器1は、第1回路61、第2回路62、及び第3回路63を保護するための一以上の保護素子7を備えている。
【0069】
第1アレスタAS1~第4アレスタAS4の各々は、例えば、一対の電極を備えるガス入りの放電管である。アレスタ(放電管)において、一対の電極間に印可される電圧が放電開始電圧を超えると、電極間に放電が発生して電極間が短絡する。そのため、アレスタの両端と並列に接続された回路間に、放電開始電圧以上の電圧が印加されると、アレスタが短絡して、この並列接続された回路を保護する。
【0070】
図7に示すように、第1アレスタAS1は、直列回路611の両端間に接続されている。そのため、第1アレスタAS1は、直列回路611を含む第1回路61を保護する。また、第3アレスタAS3は、直列回路612の両端間に接続されている。そのため、第3アレスタAS3は、直列回路612を含む第1回路61を保護する。
【0071】
図9に示すように、第2アレスタAS2は、直列回路631の両端間に接続されている。そのため、第2アレスタAS2は、直列回路631を含む第3回路63を保護する。また、第4アレスタAS4は、直列回路632の両端間に接続されている。そのため、第4アレスタAS4は、直列回路632を含む第3回路63を保護する。
【0072】
さらに、
図8に示すように、第1アレスタAS1と第2アレスタAS2との直列回路が、直列回路621の両端間に接続されている。そのため、第1アレスタAS1と第2アレスタAS2とは、直列回路621を含む第2回路62を保護する。また、第3アレスタAS3と第4アレスタAS4との直列回路が、直列回路622の両端間に接続されている。そのため、第3アレスタAS3と第4アレスタAS4とは、直列回路622を含む第2回路62を保護する。
【0073】
要するに、一以上の保護素子(第1アレスタAS1~第4アレスタAS4)の一部は、第1回路61~第3回路63のうちの少なくとも2つの回路で兼用されている。
【0074】
(2.4)集合施設用通信システム
上述のように、分配器1は、集合施設用通信システムの通信路84に設けられる。集合施設用通信システムは、ここではインターホンシステム100である。インターホンシステム100は、集合施設としてのマンションに設けられる。なお、集合施設用通信システムが設けられる集合施設は、マンション等の集合住宅に限られない。集合施設用通信システムは、例えば、事務所、店舗、学校若しくは介護施設等の、集合住宅以外の集合施設に適用されてもよい。
【0075】
上述のように、インターホンシステム100は、共用端末81と、複数の住戸端末82と、制御装置83と、通信路84と、を備える。
【0076】
通信路84は、接続線841と、幹線842と、分配器1と、複数の分岐線843と、複数の分岐器2と、を備える。
【0077】
接続線841は、共用端末81と制御装置83との間を接続する。幹線842、分配器1、複数の分岐線843、及び複数の分岐器2は、複数の住戸端末82と制御装置83との間を接続する。接続線841、幹線842、及び分岐線843としては、共通の仕様の通信線840が用いられ得る。もちろん、接続線841、幹線842、及び分岐線843として、異なる仕様の通信線840が用いられてもよい。
【0078】
図1に示すように、幹線842は、第1線8421、第2線8422、及び第3線8423を含んでいる。
【0079】
第1線8421は、制御装置83と分配器1との間を接続する。第2線8422の第1端は、分配器1に接続されている。第2線8422の第2端には、終端器(終端抵抗)9が接続されている。第3線8423の第1端は、分配器1に接続されている。第3線8423の第2端には、終端器(終端抵抗)9が接続されている。
【0080】
すなわち、幹線842における制御装置83とは反対側の端部(第2線8422の第2端及び第3線8423の第2端の各々)には、インピーダンス整合用の終端器(終端抵抗)9が接続されている。終端器(終端抵抗)9の抵抗値は、通信路84の所望の特性インピーダンスの値に応じて適宜選択される。
【0081】
第1線8421は、分配器1における一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、一対の接続端(例えば、一対の第1接続端E1,E2)と接続されている。また、第2線8422は、分配器1における一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、別の一対の接続端(例えば、一対の第2接続端E3,E4)と接続されている。また、第3線8423は、分配器1における一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、更に別の一対の接続端(例えば、一対の第3接続端E5,E6)と接続されている。
【0082】
分配器1の視点から見ると、一対の第1接続端E1,E2に、第1線8421~第3線8423のうちのいずれか(例えば第1線8421)を構成する通信線840(第1通信線8401)の一対の電線が接続されている。また、一対の第2接続端E3,E4に、第1線8421~第3線8423のうちの別のいずれか(例えば第2線8422)を構成する通信線840(第2通信線8402)の一対の電線が接続されている。また、一対の第3接続端E5,E6に、第1線8421~第3線8423のうちの更に別のいずれか(例えば第3線8423)を構成する通信線840(第3通信線8403)の一対の電線が接続されている。
【0083】
すなわち、分配器1は、第1線8421を、第2線8422と第3線8423とに分岐させる。
【0084】
図1に示すように、幹線842には、複数の分岐器2が設けられている。ここでは、第2線8422及び第3線8423の各々に、一以上(複数)の分岐器2が設けられている。
【0085】
図13に、分岐器2の回路図の一例を示す。
図13に示すように、分岐器2は、一対の第1幹線接続端E21,E22と、一対の第2幹線接続端E23,E24と、一対の分岐線接続端E25,E26と、4個のコンデンサC21~C24と、2個の抵抗R21,R22と、トランスT20と、を備える。
【0086】
一対の第1幹線接続端E21,E22は、一対の第2幹線接続端E23,E24と接続されている。すなわち、第1幹線接続端E21と第2幹線接続端E23とは、配線W1により接続され、第1幹線接続端E22と第2幹線接続端E24とは、配線W2により接続されている。
【0087】
トランスT20は、一次巻線と二次巻線とを含む。トランスT20の一次巻線の第1端は、抵抗R21とコンデンサC21との直列回路を介して配線W1に接続され、トランスT20の一次巻線の第2端は、抵抗R22とコンデンサC22との直列回路を介して配線W2に接続されている。トランスT20の二次巻線の第1端は、コンデンサC23を介して分岐線接続端E25に接続され、トランスT20の二次巻線の第2端は、コンデンサC24を介して分岐線接続端E26に接続されている。
【0088】
分岐器2では、一対の第1幹線接続端E21,E22に、幹線842の一部を構成する通信線840の一対の電線が接続される。また、分岐器2では、一対の第2幹線接続端E23,E24に、幹線842の別の一部を構成する通信線840の一対の電線が接続される。分岐器2では、一対の分岐線接続端E25,E26に、分岐線843の一部を構成する通信線840の一対の電線が接続される。なお、分岐器2の一対の分岐線接続端E25,E26は、分岐線843を介して、住戸端末82と接続される。
【0089】
分岐器2は、一対の第1幹線接続端E21,E22と一対の第2幹線接続端E23,E24とのうちの一方から入力された信号の大部分を、他方から出力させる。また、分岐器2は、一対の第1幹線接続端E21,E22と一対の第2幹線接続端E23,E24とのうちの一方から入力された信号のうちの一部を、一対の分岐線接続端E25,E26から出力させる。要するに、分岐器2は、一対の第1幹線接続端E21,E22又は一対の第2幹線接続端E23,E24に入力された信号の一部を、一対の分岐線接続端E25,E26に分岐させる。
【0090】
分岐器2においては、一対の第1幹線接続端E21,E22と一対の第2幹線接続端E23,E24とのうちの一方から入力される信号が他方から出力されるときの減衰量(例えば、0.1dB)は、一対の第1幹線接続端E21,E22と一対の第2幹線接続端E23,E24とのうちの一方から入力される信号が一対の分岐線接続端E25,E26から出力されるときの減衰量(例えば、20dB)よりも小さくなっている。
【0091】
また、分岐器2は、一対の分岐線接続端E25,E26から入力された信号を、一対の第1幹線接続端E21,E22及び一対の第2幹線接続端E23,E24から出力させる。
【0092】
上述のように、共用端末81は、集合住宅の共用玄関に設けられている。
【0093】
共用端末81は、来訪者を撮像する撮像装置、マイクロホン及びスピーカ、来訪者が訪問先の住戸の住戸番号を入力するためのテンキースイッチ又はタッチパネル、音声及び映像を通信路84を通じて送信する伝送部等を備えている。
【0094】
共用端末81では、テンキースイッチ又はタッチパネルが操作されて何れかの住戸の住戸番号の操作入力を受け付けると、受け付けた住戸番号を含む信号(呼出信号)、及び撮像装置で撮像した来訪者の映像(映像情報)を含む信号(映像信号)を、伝送部から接続線841を介して制御装置83に送信する。また、共用端末81では、住戸端末82との間でのインターホン通話中においては、マイクロホンで集音される音声を電気信号(音声信号)に変換して制御装置83を介して住戸端末82に送信し、住戸端末82からの電気信号(音声信号)がスピーカに入力されてスピーカから音声が出力される。また共用端末81では、住戸端末82との間でのインターホン通話中において、撮像装置で撮像した来訪者の映像(映像情報)を含む信号(映像信号)を、制御装置83を介して住戸端末82に送信する。
【0095】
制御装置83は、通信路84を介した共用端末81と住戸端末82との間の通信を制御する。例えば、制御装置83は、各住戸の住戸番号と住戸端末82に割り当てられているアドレスとの対応関係を記憶しており、呼出信号に含まれている住戸番号を住戸端末82のアドレスに変換し、得られたアドレスを呼出信号に含めて幹線842に送出する。また、制御装置83は、共用端末81と住戸端末82との間でのインターホン通話中において、共用端末81及び住戸端末82の一方から送信される信号(音声信号及び映像信号等)を、他方へ中継する。
【0096】
住戸端末82は、例えば、制御部、伝送処理部、マイクロホン、スピーカ、表示部、操作入力受付部、通話処理部、映像処理部等を備えている。
【0097】
制御部は、住戸端末82の全体の動作を制御する。制御部は、CPU及びメモリ等のハードウェアと、CPUで実行される種々のプログラム(ソフトウェア)とを備える。
【0098】
伝送処理部は、制御装置83及び他の住戸端末82との間で通信路84を介した通信を行う。伝送処理部は、例えば、制御部で作成される制御信号、通話処理部から送信される音声信号等を符号化し、符号化されたビット列を電気信号に変換(変調)して分岐線843に出力する。また、伝送処理部は、分岐線843に流れる電気信号をビット列に変換(復調)し、復調したビット列から音声信号、制御信号、映像信号等を復号化する。伝送処理部は、復号化した信号のアドレスが自己のアドレス(住戸端末82のアドレス)に一致しない場合は当該信号を破棄し、アドレスが一致する場合は当該信号が映像信号であれば映像処理部に、音声信号であれば通話処理部に、それぞれ出力する。伝送処理部は、信号を分割してパケットを作成し、作成したパケット単位で信号を送受信してもよい。
【0099】
住戸端末82では、呼出信号を受信すると、スピーカから呼出音を出力させる。また、映像処理部は、受信した映像信号を処理して、表示部に来訪者の映像を表示させる。住戸の住人が、表示部に映る来訪者の映像を確認して操作入力受付部に含まれる応答釦を操作すると、制御部が通話処理部の動作を開始させ、インターホン通話を開始させる。
【0100】
インターホン通話中において、住戸端末82では、マイクロホンで集音される音声が電気信号(音声信号)に変換されて通話処理部に入力される。また、通話処理部から出力される電気信号(音声信号)がスピーカに入力され、スピーカから音声が出力される。また、映像処理部は、共用端末81からの映像信号から、元の映像を再構成し、再構成した映像を表示部に表示させる。
【0101】
要するに、通信路84(分配器1を含む)を介して送受信される信号は、映像のデータを含む映像信号、音声のデータを含む音声信号、呼出信号のような制御のデータを含む制御信号を含み得る。なお、制御信号は、呼出信号に限られず、例えば、共用玄関の扉を施開錠するための施開錠信号を含み得る。また、通信路84に警報装置が接続されている場合、制御信号は、警報装置からの警報信号を含み得る。このように、分配器1は種々の種類の信号を分配し得る。
【0102】
また、通信路84は、上述のように平衡線路である。
図2に示すように、分配器1の信号分配回路6も、接地されておらず平衡線路である。同様に、分岐器2内の回路も平衡線路である。要するに、通信路84の全体が平衡線路である。通信路84が平衡線路であることで、不平衡線路の場合に比べてインターホンシステム100の通信(音声信号、映像信号、制御信号の伝送)の信頼性が向上する。
【0103】
(2.5)利点
本実施形態の分配器1は、上述のように、一対の第1接続端E1,E2、一対の第2接続端E3,E4、及び一対の第3接続端E5,E6のうちの、任意の一対の接続端に入力された信号S1を、残りの二対の接続端に分配するよう構成されている。そのため、分配器1を含む通信路84の施工を行う際に、いわゆるつなぎ間違いが起こり難くなり、取り扱い性が向上する。
【0104】
また、分配器1は、先行文献1に記載の分配器のようなトランスを備えていない。そのため、特許文献1に記載の分配器に比べて、信号損失の周波数依存性を低減させることが可能となる(信号の減衰量が周波数に依存しなくなる)。また、任意の一対の接続端に入力された所定の周波数範囲(0.5MHz~15MHz)の信号S1を、周波数依存性なく均等に、残りの二対の接続端に出力させることが可能となる。
【0105】
また、分配器1は、動作に電力を必要としない電源レスの構成であるため、筐体3内に電源を設けたり電源を他に用意したりする必要がない。
【0106】
(3)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
【0107】
(3.1)変形例1
分配器1は、複数の分配器1,1A,1Bを含む分配器セット10から選択される任意の一つであり得る。
【0108】
分配器セット10に含まれる複数の分配器1,1A,1Bは、信号分配回路6に含まれる電子部品の定数が互いに異なる。例えば、分配器1は、75Ω系の通信路84に適合する電子部品を備えており、分配器1Aは、50Ω系の通信路84に適合する電子部品を備えており、分配器1Bは、100Ω系の通信路84に適合する電子部品を備えている。すなわち、複数の分配器1,1A,1Bの各々は、一対の第1接続端E1,E2と一対の第2接続端E3,E4との間をつなぐ第1回路のインピーダンスが、複数の分配器のうちの他の分配器における第1回路のインピーダンスと、異なる。この場合、複数の分配器1,1A,1Bの各々における一対の第1接続端E1,E2と一対の第3接続端E5,E6との間をつなぐ第2回路のインピーダンスも、複数の分配器のうちの他の分配器における第2回路のインピーダンスと、異なる。また、複数の分配器1,1A,1Bの各々における一対の第2接続端E2,E4と一対の第3接続端E5,E6との間をつなぐ第3回路のインピーダンスも、複数の分配器のうちの他の分配器における第3回路のインピーダンスと、異なる。
【0109】
それ以外の点では、複数の分配器1,1A,1Bは、互いに同じ構成を有している。例えば、複数の分配器1,1A,1Bは、仕様が共通の回路基板51(共通の導体パターンを含む)、及び仕様が共通の筐体3を備えている。そのため、例えば、分配器セット10を製造するにあたって、各分配器1,1A,1Bの筐体3を製造するための金型等を共通化でき、資源の削減につながり得る。
【0110】
(3.2)その他の変形例
一変形例において、分配器1は、第1コンデンサC1~第6コンデンサC6のうちの一部又は全部を備えていなくてもよい。
【0111】
一変形例において、保護素子7はアレスタに限られず、例えばバリスタであってもよい。一変形例において、分配器1は、保護素子7を備えていなくてもよい。
【0112】
一変形例において、集合施設用通信システム(インターホンシステム100)は、二以上の分配器1を備えていてもよい。
【0113】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0114】
第1の態様の分配器(1)は、複数の通信端末(共用端末81、住戸端末82)の間の通信用の通信路(84)に設けられる。複数の通信端末は、集合施設に含まれる複数の施設に設けられる。通信路(84)は、通信路(84)を介した複数の通信端末間の通信を制御する制御装置(83)と複数の通信端末との間を接続する。分配器(1)は、一対の第1接続端(E1,E2)と、一対の第2接続端(E3,E4)と、一対の第3接続端(E5,E6)と、を備える。一対の第1接続端(E1,E2)、一対の第2接続端(E3,E4)、及び一対の第3接続端(E5,E6)は、所定の周波数範囲の信号(S1)の伝達が可能に接続されている。分配器(1)は、一対の第1接続端(E1,E2)、一対の第2接続端(E3,E4)、及び一対の第3接続端(E5,E6)のうちの、任意の一対の接続端に入力された信号(S1)を、残りの二対の接続端に分配するよう構成される。
【0115】
この態様によれば、いわゆるつなぎ間違いが起こり難くなり、分配器(1)の取り扱い性を向上させることが可能となる。
【0116】
第2の態様の分配器(1)では、第1の態様において、一対の第1接続端(E1,E2)、一対の第2接続端(E3,E4)、及び一対の第3接続端(E5,E6)のうちの、任意の一対の接続端と、残りの二対の接続端のうちの任意の一対の接続端との間で、信号(S1)を双方向に伝達可能である。
【0117】
この態様によれば、つなぎ間違いが更に起こり難くなり、分配器(1)の取り扱い性を向上させることが可能となる。
【0118】
第3の態様の分配器(1)では、第1又は第2の態様において、通信路(84)は、平衡線路である。
【0119】
この態様によれば、平衡線路に適合した分配器(1)の取り扱い性を向上させることが可能となる。
【0120】
第4の態様の分配器(1)では、第1~第3のいずれか1つの態様において、第1回路(61)、第2回路(62)、及び第3回路(63)の各々に、信号(S1)の直流成分を低減させる直流成分低減部(8)を有する。第1回路(61)は、一対の第1接続端(E1,E2)と一対の第2接続端(E3,E4)との間をつなぐ。第2回路(62)は、一対の第1接続端(E1,E2)と一対の第3接続端(E5,E6)との間をつなぐ。第3回路(63)は、一対の第2接続端(E3,E4)と一対の第3接続端(E5,E6)との間をつなぐ。
【0121】
この態様によれば、信号(S1)の直流成分を低減させることが可能となる。
【0122】
第5の態様の分配器(1)は、第1~第4のいずれか1つの態様において、第1回路(61)、第2回路(62)、及び第3回路(63)を保護するための一以上の保護素子(7)を更に備える。第1回路(61)は、一対の第1接続端(E1,E2)と一対の第2接続端(E3,E4)との間をつなぐ。第2回路(62)は、一対の第1接続端(E1,E2)と一対の第3接続端(E5,E6)との間をつなぐ。第3回路(63)は、一対の第2接続端(E3,E4)と一対の第3接続端(E5,E6)との間をつなぐ。
【0123】
この態様によれば、第1回路(61)、第2回路(62)、及び第3回路(63)を保護することが可能となる。
【0124】
第6の態様の分配器(1)では、第5の態様において、一以上の保護素子(7)の一部は、第1回路(61)~第3回路(63)のうちの少なくとも2つの回路で兼用される。
【0125】
この態様によれば、部品点数を低減することが可能となる。
【0126】
第7の態様の分配器(1)は、第1~第6のいずれか1つの態様の分配器(1,1A,1B)を複数含む分配器セット(10)から選択される。複数の分配器(1,1A,1B)の各々は、一対の第1接続端(E1,E2)と一対の第2接続端(E3,E4)との間をつなぐ第1回路のインピーダンスが、複数の分配器(1,1A,1B)のうちの他の分配器における第1回路のインピーダンスと異なる。
【0127】
この態様によれば、いわゆるつなぎ間違いが起こり難くなり、分配器(1)の取り扱い性を向上させることが可能となる。
【0128】
第8の態様の集合施設用通信システム(インターホンシステム100)は、第1~第7のいずれか1つの態様の分配器(1)と、第1端末(例えば制御装置83)と、第2端末(例えば住戸端末82)と、第3端末(例えば住戸端末82)と、を備える。第1端末は、第1通信線(8401)を介して一対の第1接続端(E1,E2)と接続される。第2端末は、第2通信線(8402)を介して一対の第2接続端(E3,E4)と接続される。第3端末は、第3通信線(8403)を介して一対の第3接続端(E5,E6)と接続される。
【0129】
この態様によれば、通信路(84)において分配器(1)の施工を行うにあたって分配器(1)のつなぎ間違いが起こり難くなり、施工性が向上する。
【符号の説明】
【0130】
1 分配器
7 保護素子
8 直流成分低減部
61 第1回路
62 第2回路
63 第3回路
81 共用端末(通信端末)
82 住戸端末(通信端末)
83 制御装置
84 通信路
842 幹線
843 分岐線
10 分配器セット
100 インターホンシステム(集合施設用通信システム)
E1,E2 第1接続端
E3,E4 第2接続端
E5,E6 第3接続端
S1 信号