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特許7462275鉛フリー圧電材料の取得方法、対応する鉛フリー圧電材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】鉛フリー圧電材料の取得方法、対応する鉛フリー圧電材料
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/495 20060101AFI20240329BHJP
   C04B 35/622 20060101ALI20240329BHJP
   H10N 30/093 20230101ALI20240329BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240329BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240329BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240329BHJP
【FI】
C04B35/495
C04B35/622
H10N30/093
H10N30/853
H10N30/30
H10N30/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020558490
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2019083695
(87)【国際公開番号】W WO2019201353
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】201810364324.1
(32)【優先日】2018-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511176469
【氏名又は名称】西安交通大学
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】任 暁兵
(72)【発明者】
【氏名】任 帥
(72)【発明者】
【氏名】▲ハウ▼ 彦双
(72)【発明者】
【氏名】方 敏侠
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103613379(CN,A)
【文献】特開2003-342069(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105732032(CN,A)
【文献】Li-Feng Zhu et al.,Phase transition and high piezoelectricity in (Ba,Ca)(Ti1-xSnx)O3 lead-free ceramics,APPLIED PHYSICS LETTERS ,Vol.103, 072905,p.1-4
【文献】YAO Yonggang et al.,Relationship between Phase Coexistence and Properties in Piezoelectric Materials,Materials China,2014年,Vol.33, No.1,p.32-38
【文献】Chunlin Zhao et al.,Composition-driven phase boundary and electrical properties in (Ba0.94Ca0.06)(Ti1-xMx)O3(M=Sn,Hf,Zr) lead-free ceramics,Dalton Transactions,2016年,Vol.45,p.6466-6480
【文献】Shasha Feng et al.,Lead-free(K,Na)NbO3-Bi0.5K0.5ZrO3-BaZrO3 ternary system: Microstructure and electrical properties,Journal of Alloy and Compounds,2015年,Vol.619,p.560-563
【文献】Jingji Zhang et al.,Raman and dielectric response of BaTi1-x(Mg1/3Nb2/3)xO3 solid solution,JOURNAL OF ADVANCED DIELECTRICS,2013年,Vol.3, No.4,p.1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84
H10N 30/00-39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分の一般式が、(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[Bi 0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrOで示され、式中、0<m≦0.02、0<n≦0.1、0<x≦0.07、0≦y≦0.1、z=0、1、AはCa、Mg、Baから選ばれる二価金属イオンのうちの1種又はこれらの組み合わせである鉛フリー圧電材料、又は、
成分の一般式が、(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oで示され、式中、0<x≦0.2、0<y≦0.1である鉛フリー圧電材料
を固相セラミック焼結プロセスを用いて製造する鉛フリー圧電材料の取得方法であって、
第1鉛フリー圧電材料のT/O相境界を調整し、具体的には、第1鉛フリー圧電材料に対して、その正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をドーピングにより室温付近、または、ドーピングにより材料の使用温度付近に調整し、前記使用温度付近は、-20℃~40℃程度、-20℃以下、又は40℃以上を含むステップS100と、
C/T相境界とO/R相境界をさらに調整し、具体的には、さらにドーピングにより、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界を調整して、C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させるステップS200と、
第2鉛フリー圧電材料を取得し、具体的には、C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界に接近する過程において、圧電定数d33、キュリー温度Tcの異なる複数種の第2鉛フリー圧電材料を取得するステップS300と、
を含む鉛フリー圧電材料の取得方法。
【請求項2】
前記ステップS200では、前記C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近することは、さらに、
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が一点に集まる傾向を示す場合、又は
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が互いに接近であれば、明らかに一点に集まることも、暗黙的に一点に集まることもない場合を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[Bi 0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrOで示され、式中、0<m≦0.02、0<n≦0.1、0<x≦0.07、0≦y≦0.1、z=0、1、AはCa、Mg、Baから選ばれる二価金属イオンのうちの1種又はこれらの組み合わせである、ことを特徴とする鉛フリー圧電材料。
【請求項4】
圧電定数d33の範囲が、190pC/N~670pC/Nである、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項5】
キュリー温度Tcの範囲が、130℃~410℃である、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項6】
キュリー温度Tcの範囲が290℃~410℃であり、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が270℃~350℃であり、そのd33の範囲が、190pC/N~330pC/Nである、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項7】
Tcの範囲が200℃~290℃であり、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が180℃~270℃であり、そのd33の範囲が310pC/N~460pC/Nである、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項8】
前記鉛フリー圧電材料の成分は、
0.97(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.02CaZrO、及び
0.96(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.03CaZrOのうちの1種である、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項9】
Tcの範囲が130℃~200℃であり、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が110℃~180℃であり、そのd33の範囲が460pC/N~670pC/Nである、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項10】
前記鉛フリー圧電材料の成分は、
0.95(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.04CaZrO
0.94(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.05CaZrO、及び
0.935(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.055CaZrOのうちの1種である、ことを特徴とする請求項3に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項11】
鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oで示され、式中、0<x≦0.2、0<y≦0.1である、ことを特徴とする鉛フリー圧電材料。
【請求項12】
圧電定数d33の範囲が300pC/N~1120pC/Nである、ことを特徴とする請求項11に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項13】
キュリー温度Tcの範囲が0℃~100℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の鉛フリー圧電材料。
【請求項14】
請求項3~13のいずれか1項に記載の鉛フリー圧電材料を製造するための鉛フリー圧電材料の製造プロセスであって、
対応する化学一般式に従って、原料を選択して配合するステップT001と、
固相セラミック焼結プロセスを用いて前記鉛フリー圧電材料を製造するステップT002と、を含む鉛フリー圧電材料の製造プロセス。
【請求項15】
前記原料は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、五酸化ニオブ、三酸化アンチモン、酸化ビスマス、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化スズ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、及び炭酸バリウムから選ばれる、ことを特徴とする請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項16】
請求項3~13のいずれか1項に記載の鉛フリー圧電材料を用いたハード圧電セラミック又はソフト圧電セラミック。
【請求項17】
請求項16に記載のハード圧電セラミックを用いる、ことを特徴とする高エネルギー変換器、電子素子、又は電子機器。
【請求項18】
請求項16に記載のソフト圧電セラミックを用いる、ことを特徴とするセンサ、電子素子、又は電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2018年4月21日に中華人民共和国国家知識産権局(CNIPA)に提出された出願番号201810364324.1、名称「鉛フリー圧電材料の取得方法、対応する鉛フリー圧電材料」の先行出願の利益を主張し、引用により上記出願の全内容を本願に組み込んでいる。
【0002】
本開示は圧電材料の分野に関し、特に鉛フリー圧電材料の取得方法、対応する鉛フリー圧電材料に関する。
【背景技術】
【0003】
圧電材料は、機械的エネルギーと電気エネルギーを互いに変換する機能を有するので、センサ、コントローラ、アクチュエータやトランスデューサなど、各種の電子部品の中核材料として有用である。したがって、このような材料は、情報技術、光電子技術、精密制御技術、リモートセンシングイメージング技術などの分野において極めて重要な位置と役割を持っている。
【0004】
1960年代以降、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミック材料は、優れた圧電特性をもつため、圧電材料の市場を支配し、重要なスマート材料として多くの重要なスマート技術の基礎となっている。しかしながら、このような材料の有毒な鉛を大量に含有するため、広く使用されている反面、深刻な環境汚染やエコロジー問題をもたらし、人間の健康を脅かす。世界中に環境意識の向上に伴い、世界の主要国では、現在、電子産業における鉛含有材料の使用を禁止又は制限する法律が広く制定されている。
【0005】
したがって、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、世界範囲で規制されつつである。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を完全に代替できる鉛フリー圧電材料系はまだ開発されていない。この問題を解決しなければ、圧電技術分野に危機的な状況にさらされる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題の一部に対して、本開示は、
第1鉛フリー圧電材料のT/O相境界を調整し、具体的には、第1鉛フリー圧電材料に対して、その正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をドーピングにより室温付近に調整するステップS100と、
C/T相境界とO/R相境界をさらに調整し、具体的には、さらにドーピングにより、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界を調整して、C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させるステップS200と、
第2鉛フリー圧電材料を取得し、具体的には、C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近する過程において、圧電定数d33、キュリー温度Tcの異なる複数種の第2鉛フリー圧電材料を取得するステップS300と、を含む鉛フリー圧電材料の取得方法を提供する。
【0007】
さらに、本開示はまた、
正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界が室温付近であり、
且つ、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界は、いずれもT/O相境界へ接近する状態にあり、
相境界の接近度合が、鉛フリー圧電材料の圧電定数d33、キュリー温度Tに関連している、ことを特徴とする鉛フリー圧電材料を提供する。
【0008】
さらに、本開示はまた、前記鉛フリー圧電材料を製造するための鉛フリー圧電材料の製造プロセスであって、
対応する化学一般式に従って、原料を選択して配合するステップT001と、
従来の固相セラミック焼結プロセスを用いて、前記鉛フリー圧電材料を製造するステップT002と、を含む鉛フリー圧電材料の製造プロセスを提供する。
【0009】
さらに、本開示はまた、
第1鉛フリー圧電材料のT/O相境界を調整し、具体的には、
第1鉛フリー圧電材料に対して、その正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をドーピングにより材料使用温度付近に調整するステップS101と、
C/T相境界とO/R相境界をさらに調整し、具体的には、
さらにドーピングにより、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界を調整して、C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させ、前記相境界の接近は、
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が一点に集まる傾向があるが、この点に集まられない場合、又は
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が明らかに一点に集まることも、暗黙的(延長線上)に一点に集まることもない場合を含む、ステップS201と、
第2鉛フリー圧電材料を取得し、具体的には、
C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近する過程において、第2鉛フリー圧電材料を取得するステップS301と、を含む、鉛フリー圧電材料の取得方法を提供する。
【0010】
さらに、本開示はまた、前記鉛フリー圧電材料の取得方法で取得される、ことを特徴とするハード圧電セラミックを提供する。
【0011】
さらに、本開示はまた、前記鉛フリー圧電材料で取得されることを特徴とするハード圧電セラミックを提供する。
【0012】
さらに、本開示はまた、前記ハード圧電セラミックを用いることを特徴とする高エネルギー変換器を提供する。
【0013】
さらに、本開示はまた、前記鉛フリー圧電材料の取得方法で取得されることを特徴とするソフト圧電セラミックを提供する。
【0014】
さらに、本開示はまた、前記鉛フリー圧電材料で取得されることを特徴とするソフト圧電セラミックを提供する。
【0015】
さらに、本開示はまた、前記ソフト圧電セラミックを用いることを特徴とするセンサを提供する。
【0016】
さらに、本開示はまた、前記ソフト圧電セラミックを用いることを特徴とするアクチュエータを提供する。
【0017】
さらに、本開示はまた、前記ハード圧電セラミック、及び/又は前記ソフト圧電セラミックを用いることを特徴とする電子素子を提供する。
【0018】
さらに、本開示はまた、前記ハード圧電セラミック、及び/又は前記ソフト圧電セラミックを用いることを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本開示は以下の特徴を有する。
まず、本開示の前記鉛フリー圧電材料の取得方法によれば、さまざまな特性を有する高圧電定数の鉛フリー圧電材料を大量で取得することができ、このような鉛フリー圧電材料は、さまざまな用途でチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を完全に代替することが期待できる。
次に、本開示は、従来の圧電材料の製造プロセスを利用することができるため、従来の生産ラインをそのまま使用して本開示の前記鉛フリー圧電材料を製造することができ、さらに焼結温度がより低いため、省エネや環境保全効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本開示の一実施例と、従来技術におけるPZTシリーズ及びほかの鉛フリー圧電セラミックシリーズとの圧電特性(室温圧電定数d33)及びキュリー温度(T)の比較図である。
図1B】本開示の一実施例と、従来技術におけるPZTシリーズ及びほかの鉛フリー圧電セラミックシリーズとの誘電率(ε)及びキュリー温度(T)の比較図である。
図1C】本開示の一実施例における圧電定数がT-O相境界付近であるときの熱サイクル安定性の図である。
図1D】本開示の一実施例における圧電定数の温度安定性である。
図1E】本開示の一実施例と商用圧電セラミックPZT-5Hとの電気歪曲線の比較である。
図1F】本開示の一実施例における圧電定数、誘電率、誘電損失及び位相角などの各指標の高湿度環境(浸水実験)での安定性である。
図2A】本開示の一実施例におけるNP-xSb/yCZ系の相図である。
図2B】本開示の一実施例において、異なる温度での(200)XRDピークのその場観察によって立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相を同定する例である。
図2C】本開示の一実施例において、CZ成分の含有量の増加に伴い、誘電率の温度依存性である。
図2D】本開示の一実施例における室温でのNP-6Sb/0CZ、NP-6Sb/5CZ及びNP-6Sb/6.5CZのドメイン構造である。
図3A】本開示の一実施例における圧電係数の成分と温度・空間における三次元等高線マップである。
図3B】本開示の一実施例におけるCZ成分の変化に伴う室温での圧電係数、誘電率、最大分極強度、残留分極強度及び抗電界の変化傾向の模式図である。
図3C】本開示の一実施例におけるCZ成分の変化に伴う相転移ヒステリシスの変化傾向の模式図である。
図4A】本開示の一実施例におけるBT-xBCS系の相図である。
図4B】本開示の一実施例におけるBT-xBCS系の圧電特性の成分と温度・空間における等高線マップである。
図4C】本開示の一実施例におけるBT-xBMN系の相図である。
図4D】本開示の一実施例におけるBT-xBMN系の圧電特性の成分と温度・空間における等高線マップである。
図4E】本開示の一実施例における明らかなMCPを有する系の三次元自由エネルギーの模式図である。
図5】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化の曲線である。
図6】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化の曲線である。
図7】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化の曲線である。
図8】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化の曲線である。
図9】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化の曲線である。
図10】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化の曲線である。
図11】本開示の一実施例における鉛フリー圧電セラミックの熱安定性の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、各附図を参照しながら、各実施例をさらに詳細に説明する。
【0022】
一実施例では、鉛フリー圧電材料の取得方法を開示し、前記方法は、
第1鉛フリー圧電材料のT/O相境界を調整し、具体的には、
第1鉛フリー圧電材料に対して、その正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をドーピングにより室温付近に調整するステップS100と、
C/T相境界とO/R相境界をさらに調整し、具体的には、
さらにドーピングにより、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界を調整して、C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させるステップS200と、
第2鉛フリー圧電材料を取得し、具体的には、C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近する過程において、圧電定数d33、キュリー温度Tcの異なる複数種の第2鉛フリー圧電材料を取得するステップS300と、を含む。
【0023】
本実施例では、本開示の原理が示されている。発明者は、多くの鉛フリー圧電材料系には、常誘電性立方相(C)、正方晶強誘電相(T)、斜方晶強誘電相(O)及び菱面体晶強誘電相(R)という4つの異なる相の存在することに注目した。本開示は、ドーピングにより各相の構造の安定性を調整し、系中の4種類の異なる相が状態図上に接近していくときに、高圧電定数、高キュリー温度を有する鉛フリー圧電材料を容易に取得できるを示す。圧電定数とキュリー温度との2つの指標が相反する特性をもつため、取得される鉛フリー圧電材料のうち、高圧電定数のもの、高キュリー温度のものがある。したがって、本実施例では、C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近する過程において、圧電定数d33、キュリー温度Tcの異なる複数の第2鉛フリー圧電材料を取得し、それによって、さまざまな用途のニーズを満たすことができる。本実施例の第2鉛フリー圧電材料は、第1鉛フリー圧電材料に基づいて更にドーピングによって作成されたものと容易に理解できる。
【0024】
別の実施例では、より好ましくは、前記ステップS200では、前記C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界に更に接近することであり、下記の二つ場合を含む:
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が一点に集まる傾向を示す場合、又は
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が接近しても、明らかに一点に集まることも、暗黙的に一点に集まることもない場合を含む。
【0025】
本実施例では、発明者は、非鉛材料系中の4つの異なる相が状態図上で一点(多相共存点と呼ばれ、MCPと記する)に集まり、このとき、高圧電特性、高キュリー温度が得られることを見出した。本実施例において前記多相共存点とは、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界という3本の相境界を延長することによって得られた収束点を意味する。なお、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界という3本の相境界が直接一点に集まり、この場合、明らかに一点に集まると呼ばれ、この点を明らかなMCPと記し、一方、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界という3本の相境界は一点に収束しないが、延長線が一点に集まる場合、暗黙的に一点に集まると呼ばれ、この点を隠しMCPと記す。
【0026】
さらに、上記一番目の実施例の方法に従って、最終的に前記C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させることを満たせば、異なる相が一点に集まらない場合にも(即ち、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界という3本の相境界が、明らかに一点に集まることも、暗黙的に一点に集まることもない)、高圧電特性、高キュリー温度を有する鉛フリー圧電材料を取得することができる。ただし、異なる相が一点に接近すると、高圧電特性、高キュリー温度を有する鉛フリー圧電材料を取得するという目的の実現により有利である。この詳細については、後述するエネルギーバリア及び関連する図面や記載を通じてさらに説明する。
【0027】
別の実施例では、前記第1鉛フリー圧電材料は、結晶形がペロフスカイト構造の鉛フリー圧電セラミックを含む。もちろん、本実施例は、第1鉛フリー圧電材料として選択し得る材料を提供する。
【0028】
図1に示すように、前記の複数の実施例では、従来技術との違いは明らかである。鉛フリー圧電材料について幅広く研究され、これまでいくつか喜ばしい進歩を遂げたが、圧電特性とキュリー温度の両方がチタン酸ジルコン酸鉛PZTに相当する鉛フリー圧電材料シリーズはまだ開発されていない。さらに、「王冠の真珠」として知られているソフトPZT(d33は600pC/Nと高く、またTは130~190℃である)に匹敵する鉛フリー材料がない。鉛フリー圧電セラミックを代替できるものがないため、鉛規制の影響で圧電材料産業全体に不安感が深まりつつである。
【0029】
具体的には、図1は、上記実施例で取得された新規鉛フリー圧電系NP-xSb/yCZの優れた総合的な特性を示している。
【0030】
ここで、図1の1A~1Fについては、
(A)では、NP-xSb/yCZシリーズ、商用PZTシリーズ及びほかの鉛フリー圧電セラミックシリーズの圧電特性(室温圧電係数d33)とキュリー温度(T)を比較する。ここで、BTはチタン酸バリウム、BNTはチタン酸ナトリウムカリウム、KNNはニオブ酸ナトリウムカリウムを示す。(A)に示すように、商用PZTシリーズは、高d33と高Tの両方を備え、その総合的な特性が従来の鉛フリー圧電セラミックよりも高く、一方、新規鉛フリー圧電材料シリーズNP-xSb/yCZは、総合的な特性がPZTシリーズに匹敵する系である。
【0031】
(B)では、NP-xSb/yCZシリーズ、PZTシリーズ及びほかの鉛フリー圧電系の室温誘電率とキュリー温度TCとの関係を比較する。(A)と同様に、(B)では、NP-xSb/yCZシリーズはまだPZTシリーズに匹敵する特性を示す。
【0032】
(C)NP-6Sb/5.5CZを例とすると、NP-xSb/yCZシリーズの圧電定数のT-O相境界付近での熱サイクル安定性が示されている。この材料のT-O相転移温度が10℃である。材料は、-50℃~80℃の間で1000回サイクルした後にも、550pC/Nと極めて高い圧電定数を維持し、したがって、極めて良好な熱サイクル安定性を示す。
【0033】
(D)では、NP-xSb/yCZシリーズの圧電定数の温度安定性が示されている。NP-6Sb/0CZは20℃~290℃に亘って約270pC/Nの圧電定数を維持し、NP-6Sb/3CZの圧電定数は20℃~200℃で安定的に維持し(~400pC/N)、NP-6Sb/5CZの圧電定数は同様に、20℃~140℃という広い温度範囲で、極めて高い圧電定数(400~600pC/N)を維持できる。
【0034】
(E)では、本開示における重要組成と商用圧電セラミックPZT-5Hの電気歪曲線の比較結果が示されている。PZT-5Hは、圧電係数d33*が830pm/Vに達するが、圧電損失が27%と高く、NP-Sb/CZシリーズは、より高い圧電係数及びより低い圧電損失を有する。そのうち、NP-6Sb/5CZは、圧電係数d33*が860pm/Vと高く、圧電損失がわずか16%であり、一方、NP-6Sb/5.5CZは、圧電係数d33*が980pm/Vと高く、圧電損失がわずか14%である。
【0035】
(F)では、NP-6Sb/5CZ及びNP-6Sb/5.5CZを例として、圧電定数、誘電率、誘電損失や位相角などを含む、NP-xSb/yCZシリーズの各特性、及び高湿度環境での優れた安定性が示されている。一ヵ月に亘った浸水実験において、各特性は安定的に維持される。
【0036】
別の実施例では、本開示は、鉛フリー圧電セラミック系をさらに開示し、該系は、圧電特性とキュリー温度との両方では、PZTファミリー全体に匹敵する特性を有し、そして、圧電特性もソフトPZTのレベルに達する。該セラミックシリーズは、ペロフスカイト構造のものであり、従来の固相焼結法により取得することができ、化学式は、
(99-y)[(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb1-x/100Sbx/100]-1[(Bi0.50.5)ZrO]-yCaZrOである。
説明の便宜上、以下、NP-xSb/yCZと略し、ここで、NPは鉛フリー、x%とy%はそれぞれ元素Sbと化学組成であるジルコン酸カルシウム(CaZrO)の含有量を示す。
【0037】
表1 NP-xSb/yCZシリーズと商用PZTとの圧電係数(d33)、誘電率(ε)、電気機械的結合係数(k)、誘電損失(tanδ)及びキュリー温度(T)の値の比較。ここで、一部のデータの参照文献:T. R. Shrout, S. J. Zhang, Lead-free piezoelectric ceramics: Alternatives for PZT?.J. Electroceram.19, 111-124 (2007)
*が付いたデータはhttp://www.sparklerceramics.com/piezoelectricproperties.htmlから、**が付いたデータはhttp://www.ultrasonic-resonators.org/misc/references/articles/Berlincourt__'Properties_of_Morgan_Electro_Ceramic_Ceramics'_(Morgan_Technical_Publication_TP-226).pdfから入手する。
【0038】
該系は、d33-T特性図においてPZTファミリーの特性範囲の全体をほぼカバーできることが分かった。そして、成分点NP-6Sb/5CZは、高い圧電定数d33(630pC/Nに達する)及び高いキュリー温度T(155℃に達する)を兼ね備え、ソフトPZTの特性範囲に達する。
【0039】
図1Bには、NP-xSb/yCZの室温誘電率とキュリー温度との依存関係もPZTに匹敵でき、且つほかの鉛フリー圧電系、たとえばチタン酸バリウムやチタン酸ビスマスナトリウムなどよりも遥かに高い。したがって、新しいNP-xSb/yCZ系は、圧電特性、強誘電特性の2つの点でPZTに非常に似ており、PZTの代替品として期待できる。
【0040】
また、該系は、良好な熱サイクル安定性(図1C)、温度安定性(図1D)及び湿気抵抗性(図1F参照)を示す。表1から分かるように、該NP-xSb/yCZ鉛フリー圧電セラミック系は、各特性がさまざまな商用PZT(ソフトPZTからハードPZT)に匹敵できるので、PZTファミリーの有効な代替材料となれる。さらに、該シリーズセラミックの製造プロセスの条件はPZTと類似している(表2参照)。
【0041】
そのため、PZTセラミックシリーズの生産ラインを用いて大規模で生産することができ、このため、低コストでPZT圧電セラミックの代替を実現することに寄与する。
【0042】
前記のとおり、すべての上記の優れた性質のため、本開示の前記NP-xSb/yCZがPZTファミリー全体の代替品としての材料系として極めて期待できる。
【0043】
前記のように、該系は、上記「多相共存点」(「略多相(共存)点」とも呼ばれる)の実施例を好ましく選択して取得するものである。
【0044】
図2A~2Dには、NP-xSb/yCZ系の相図、結晶構造、誘電特性及び微細構造が示されており、そのうち、
(A)は、NP-xSb/yCZ系の相図であり、立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相が集まっていくことを明らかな特徴とする。
【0045】
(B)は、異なる温度のその場XRD(200)結晶面ピークにより立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相を同定する。
【0046】
(C)はCZの成分の含有量の増加に伴い、誘電率が温度に伴い変化する曲線を示す。
【0047】
(D)は、室温でのNP-6Sb/0CZ、NP-6Sb/5CZ及びNP-6Sb/6.5CZのマイクロドメイン構造であり、すべての明視野TEM像は、電子ビームが001方向に沿うことにより得られるものである。CZの成分の含有量の増加に伴い、強誘電ドメインは大きな強誘電ドメイン(0CZ)から徐々に階層的な強誘電ドメイン構造(5CZ)に変わり、最終的に典型的なリラクサ強誘電体のナノドメイン構造(6.5CZ)になる。
【0048】
具体的には、図2Aに示すように、該系の相図の典型的な特徴としては、常誘電性立方相(C)、正方相(T)、斜方晶相(O)及び菱面体晶相(R)はxとyの増加に伴い接近し、且つ3本の相境界が最初では同時に多相共存点に近づくが、この系では、多相共存点(多相点とも略し)に到達する前にリラクサ強誘電体の発生(y>6)により中断し、したがって、実際には、この系では、多相共存点が実現されず(「隠し多相共存点」と呼ばれ、または「隠し多相点」又は「隠しMCP」と略し、それに反対する概念(つまりMCPに到達できる)は「明らかなMCP」と呼ばれる)、それにより、以下のいくつかの点が分かった。
まず、前記述べた「3つ相境界の接近」は、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が一点に集まる場合を含むが、前記隠し多相点又は隠しMCPの場合も含む。前記のように暗黙的に一点に集まることを参照できる。
【0049】
次に、異なる相が明らか又は暗黙的に一点に集まるか、明らかにも暗黙的にも一点に集まらないにかかわらず、本開示の方法に従って、最終的に前記C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させる限り、高圧電特性、高キュリー温度を有する鉛フリー圧電材料を取得することができ、ただし、異なる相の構造が明らか又は暗黙的に一点に集まると、高圧電特性、高キュリー温度を有する鉛フリー圧電材料を取得することにより有利である。つまり、本開示の前記相境界の接近は、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が明らかに一点に集まることも、暗黙的に一点に集まることもないことをさらに含む。具体的には、その詳細については、後述するエネルギーバリアを通じて詳細に説明する。
【0050】
なお、3本の相境界を延長することにより、「隠し多相共存点」がy=9付近にあることを確認できる。図2Bに示すその場XRD結果から、4種類の異なる相が存在することを証明する。図2C及び表2に示すように、3本の相境界は、温度に伴う誘電率の変化曲線上の変曲点から取得されるものである。
【0051】
図2Dに示すように、ジルコン酸カルシウムの含有量yの増加に伴い、3本の相境界が互いに接近しておき、室温付近のドメインの微細構造も興味深い変化を示し、つまり、y=0(d33=305pC/N)での大きな強誘電ドメインがy=5で(d33=630pC/N)の階層的な強誘電ドメイン構造に変わり、最終的にy=6.5(d33=55pC/N)での典型的なリラクサ強誘電体のナノドメイン構造になる。以上から分かるように、ドメインの形態と圧電性には明らかな対応関係がある。鉛含有・鉛フリー圧電系を含むすべての圧電系には、階層的な強誘電ドメイン形態はすべて高特性圧電材料の典型的な特徴と考えられる。本開示では、該シリーズのうち、階層的な強誘電ドメイン構造を有するNP-6Sb/5.5CZは670pC/Nに達する最高のd33を有する。
【0052】
図3には、立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相が相転換して徐々に近づいて集まる過程における、圧電、誘電、強誘電性質及び相転移ヒステリシスの変化の傾向が示されており、ここで、
(A)は、圧電係数の成分と温度・空間における三次元等高線マップである。圧電係数は、立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相が相転換して徐々に近づいて集まるに伴い、T/O相境界に沿って上昇していき、最終的に約670pC/Nの最大値に達する。次に、系はリラクサ強誘電体の領域に入り、それにより強誘電性を失い、この結果、圧電係数が急速に低下する。また、圧電定数の最大値付近の成分-温度領域に亘って、極めて高い圧電定数が見られることが分かった。このことから、該系には比較的良好な成分及び温度安定性を有することが示唆される。
【0053】
(B)は、CZ成分の変化に伴う室温での圧電係数、誘電率、最大分極強度、残留分極強度及び抗電界の変化の傾向を示す。立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相が相転移して徐々に近づいて集まるに伴い、系の圧電係数、誘電率は増加していき、リラクサ強誘電体領域に入る前に最高値に達し、最大分極強度、残留分極強度はほぼ一定に維持され、リラクサ強誘電体領域に入ると急速に低下し、抗電界は減小していき、系がリラクサ強誘電体領域に入ると僅かに上昇することが分かった。要するに、5.5CZ付近では、系は最高の誘電率、最大分極強度と残留分極強度、及び最小の抗電界を示し、このような性質は最高の圧電定数と一致する。
【0054】
(C)は、CZ成分の変化に伴う相転移ヒステリシスの変化の傾向である。相転移ヒステリシスは、立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相が相転移して徐々に近づいて集まるに伴い減小していくことがわかり、このことから、系中の強誘電相転移のエネルギーバリアが徐々に弱まることを示し、したがって、各相の間の転換がより容易になる。
【0055】
上記強誘電相転移のエネルギーバリアが徐々に弱まることは、本開示で記載された鉛フリー圧電材料の取得方法の物理的メカニズムである。つまり、本開示で開示された方法では、エネルギーバリアが徐々に弱まることにより、強誘電相の間の転換が容易になりつつ、高圧電特性の取得に有利である。もちろん、本開示で説明する鉛フリー圧電材料の取得方法は汎用性を有し、材料の具体的な系及びタイプとは関係がなく、実際には、T/O相境界に対応する温度とも無関係であり、それについては、後でさらに説明する。
【0056】
つまり、本開示では、一例として、前記第1鉛フリー圧電材料は結晶形がペロフスカイト構造の鉛フリー圧電セラミックを含む場合、前記第2鉛フリー圧電材料はニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミック又はチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを含む場合が挙げられるが、本開示は、実際には、材料の具体的な系及びタイプに制限されない。それについても、後で詳細に説明する。
【0057】
具体的には、図3Aに示すように、NP-6Sb/yCZ系の圧電係数d33とC/T/O/R相境界の集まり傾向との間には強い関連性がある。CZ含有量yの増加に伴い、この3本の相境界は集まっていく。また、圧電係数d33の値が305pC/N(y=0)から670pC/N(y=5.5)に持続的に増加すると、該系はリラクサ強誘電体領域(y>6)に入り、その圧電係数d33も0に急速に低下する。なお、3本の相境界が徐々に集まるに伴い、圧電係数d33は、広い成分範囲(2<y<6)、及び温度範囲内で400pC/N以上の高d33値(たとえば、NP-6Sb/5CZでは、Tc=155℃であれば、d33は-40℃~150℃の範囲内で400pC/N以上に維持される)を維持する。該系のこのような重要な特徴は、その圧電係数d33が極めて広い温度及び成分範囲内で高値に維持されることを可能とし、このことから、系全体に亘って多相共存点MCPに近い領域でかなり「ソフト」になる。ただし、リラクサ強誘電体は系の強誘電性を破壊し、それは、系がリラクサ強誘電体領域に入るに伴い、その圧電係数が急速に低下して、さらになくなるためである。したがって、最もMCPに近いが、リラクサ強誘電体にならない境界、たとえばNP-6Sb/5CZでしか、ソフトPZTと類似した特性(d33>600pC/N)が現れない。
【0058】
図3Bには、圧電係数d33に加えて、該系の誘電及び強誘電特性もC/T/O/R相境界が徐々に集まるに伴い急速に高まる。CZ含有量yが0から5.5に増加するに伴い、該系の室温d33は1倍増加し、305pC/Nから670pC/Nに増加し、この値はよく知られているPZT-5H(d33~590pC/N)よりもはるかに高いが、y>6の場合、該系はリラクサ強誘電体領域に入り、そのd33も急速に低下する。成分に伴うd33の変化が類似しており、該系の室温誘電系数の最高値ε(~4600)、自発分極最大値Pm(~24μC/cm2)、残留分極最大値Pr(~17μC/cm2)、及び抗電界の最小値Ec(~5kV/cm)はすべてy(~5.5)付近で現れる。
【0059】
図3Cに示すように、C/T/O/Rという3つの相境界がyの増加に伴い多相共存点(MCP)に集まっていく過程において、C-T、T-O及びO-R相転移の熱ヒステリシス小さくなり、隠し多相共存点(MCP)付近でゼロに近くなる。しかし、y=6付近でリラクサ強誘電体が形成されることにより、相転移熱ヒステリシスの縮小傾向がブロックされ、本格的に消えていない。相転移熱ヒステリシスが徐々に消えることは、この3つの一次相転移が多相共存点MCPに近くなると、連続相転移(8)に転換する傾向があることを示す。このことから、4つの相の間のエネルギーバリアが多相共存点MCPに近くなると徐々に消えることが明らかになる。前記した本開示の物理的メカニズムによれば、リラクサ強誘電体によるブロックがなくなると、多相共存点MCP付近で670pC/Nよりも遥かに高い特性が得られる。
【0060】
多相共存点MCPが極高d33を形成できること、及びこれに対するMCPの促進効果については、MCPに近い箇所で500~600pC/Nの高d33領域を形成できるという仮説をさらに検証するために、本開示の別の実施例では、別の鉛フリー圧電系:BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO(略語BT-BCS)が設計されている。
【0061】
図4A~4Eは、明らかなMCPを有する圧電系と隠しMCPを有する圧電系との圧電特性の強化効果の比較であり、そのうち、
(A)は、明らかなMCPを有するBaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO(BT-xBCS)系の相図である。図には、立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相が相転移して徐々に近づいて1つの多相共存点に集まる。
【0062】
(B)は、BT-xBCS系の圧電特性の成分と温度・空間における等高線マップである。4つの相が近づくに伴い、圧電定数はT/O相境界に沿って増加していき、多相共存点付近で今までないほどの極高d33が得られ、1120pC/Nに達することが分かった。現在報告されたすべての圧電セラミックのうち、これは最高値である。
【0063】
(C)は、隠しMCPを有するBaTiO-xBa(Mg1/3Nb2/3)O(BT-xBMN)系の相図である。図には、立方相、四方相、斜方晶相及び菱面体晶相がまた相転移して徐々に近づいて集まるが、1つの多相共存点に集まる前に、系はすでにリラクサ強誘電体領域に入っている。したがって、該相図に代表される系は、実際には、明らかなMCPを持っておらず、相境界が線形的に延びてなる1つの隠しMCPだけを持っている。
【0064】
(D)は、BT-xBMN系の圧電特性の成分と温度・空間における等高線マップである。明らかなMCPを有する相図と同様に、4つの相が近づくに伴い、該系の圧電定数もT/O相境界に沿って増加していく。ただし、明らかなMCPを有する系と異なり、その圧電定数は、系がリラクサ強誘電体領域に入るに伴い急速に低下し、このため、そのd33最大値は、隠しMCPではなく、強誘電/リラクサ強誘電体の境界付近で現れる。
【0065】
(E)は、明らかなMCPを有する系の三次元自由エネルギーの模式図を示す。(i)は、MCPでの等方性のランダウ自由エネルギーを示す。(ii)はMCP付近での自由エネルギーが弱い異方性を示すことを示す。(iii)はMCPから離れた箇所での自由エネルギーが強い異方性を示すことを示す。FT、FO、FRはそれぞれ正方晶T、斜方晶T、及び菱面体晶R相の自由エネルギーを表す。R1及びR2はそれぞれ2個の異なる菱面体晶ドメインを表す。
【0066】
具体的には、図4Aに示すように、該系は1つのMCPを有し、そして該MCPはリラクサ強誘電体によりブロックされていない(図4A)。MCPを有するBT-BCS系は興味深い結果を示し、つまり、系がMCPに接近していくに伴い、そのd33は持続的に上昇し、MCP付近では今までないほどの1120pC/Nと高いd33値が現れ、この結果は、鉛含有系を含める今までのすべての多結晶圧電セラミックについて報告された最高値である。なお、500pC/N以上の高d33値を有する領域は、非常に広い成分範囲(6<x<11)に広がることができ、これは、MCPの促進効果によるためであり、この効果については、後でさらに解釈する。したがって、MCPでの極高d33値及びMCP付近での圧電特性の大幅な上昇のいずれも、MCPが特性を明らかに向上させるのに有利な要因であることをさらに証明した。
【0067】
しかしながら、本開示では、エネルギーバリアを通じて解釈したとおり、発明者は、ドーピングにより多相共存点MCPに接近させることなく、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界を調整して、C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させるだけでも、C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近する過程において、圧電定数d33、キュリー温度Tcの異なる複数種の第2鉛フリー圧電材料を取得できることを指摘する必要がある。
【0068】
NP-xSb/yCZ系のようにMCPがリラクサ強誘電体によりブロックされることにより「隠される」場合をさらにシミュレーションするために、本開示では、別の鉛フリー圧電系:BaTiO-xBa(Mg1/3Nb2/3)O(略語BT-BMN)(図4C)が設計されている。該系のMCPはリラクサ強誘電体によりブロックされる。興味深いことに、該系には、NP-xSb/yCZと類似した結果が得られ、つまり、その圧電性が、MCPに接近する過程において持続的に増加し、しかもリラクサ強誘電体領域に入ると急速に低下する。d33の最大値(~500pC/N)は、強誘電体/リラクサ強誘電体の境界成分BT-6MNで現れる。これは、図3AにおけるNP-xSb/yCZの状況と完全に一致する。明らかなように、MCPがリラクサ強誘電体によりブロックされているかにかかわらず、「MCPに接近させる」方法は圧電性の向上に極めて有効である。このことから分かるように、MCPがリラクサ強誘電体によりブロックされている場合、NP-xSb/yCZの場合に対しても、この方法は有効であり、このため、それは、新規高特性圧電材料を効果的に設計して取得する重要な方法である。以下、図4Eにより該材料の設計方法の物理的メカニズムを詳細に説明し、該物理的メカニズムは汎用性を有し、特定の材料系とは無関係であることが分かる。
【0069】
MCPでは、C、T、O及びRという4つの相の間の相平衡関係により自由エネルギーの曲面が等方性であり、つまり、図4E(i)に示すように、C/T/O/R4つの相の間及びドメインにはエネルギーバリアがない。このことは、系の自由度がなくなると考えられる。それによって、図4Bに示すように、MCP付近での極高d33値(>1100pC/N)が解釈できるようになる。成分がMCPからわずかにずれると、NP-6Sb/4~5.5CZ、BT-9BCS及びBT-6BMNの場合、図4E(ii)に示すように、相転移エネルギーバリア及びドメイン変換エネルギーバリアが増大していくが、低いレベルに維持されており、その自由エネルギー曲面には微小な起伏が生じる。MCPの促進効果のため、つまり、大きな圧電性がMCPだけでなく、MCP付近の極めて広い成分範囲及び温度範囲でも現れ、上記成分に対応するd33値はまだ500~600pC/Nという高いレベルに維持される。このとき、自由エネルギーの異方性が極めて小さいため、そのドメイン境界エネルギーも極めて小さく、これにより、観察されたドメインが図2D(5CZ)に示す階層構造(26)である。成分がMCPから離れる場合、たとえば、NP-6Sb/0~2CZ、BT-3BCS及びBT-2BMNでは、図4E(iii)に示すように、相境界エネルギーバリア及びドメイン変換エネルギーバリアが非常に大きくなり、その自由エネルギー曲面には大きな異方性が生じ、対応するd33は300~400pC/Nに低下する。自由エネルギーの高異方性のため、それに対応するドメイン境界エネルギーも極めて高くなり、その結果、図2D(0CZ)に示すような大きなドメインが生じる。図3A及び図4Dには、リラクサ強誘電体によりMCP(及びそれに伴う極高d33)の出現がブロックされており、d33の最高値(500~600pC/N)は強誘電相とリラクサ強誘電体との境界で現れる。上記理論分析から分かるように、前記の各実施例に記載の新方法は、高特性圧電材料を取得するのに有効な方法であり、圧電性が大きいほど、MCP付近に現れる。
【0070】
前記のとおり、本開示は、NP-xSb/yCZという新規鉛フリー圧電系の取得に成功した。該系は、ソフトPZTを含めるPZTファミリー全体のd33-T特性範囲をカバーする。
【0071】
別の実施例では、前記第2鉛フリー圧電材料は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを含む。本実施例は、具体的な取得すべき鉛フリー圧電材料を制限することを意図することを容易に理解できる。
【0072】
別の実施例では、前記室温付近は、20℃~30℃程度とされる。或いは、より広くは、別の実施例では、前記室温付近は10℃~40℃程度とされる。もちろん、20℃~30℃程度も10℃~40℃程度も、対応する温度範囲で作動する鉛フリー圧電材料を取得することに有利であり、材料の作動温度又は使用温度に係る。後で詳述する。最後に、なお、上記NP-xSb/yCZという新規鉛フリー圧電系及びBT-BCS、BT-BMN鉛フリー圧電系は、本開示で記載されている材料の設計方法を用いて得られる3つの例に過ぎず、上記方法の物理的メカニズムについての説明から理解できるように、本開示の方法は、たとえば、KNNベース、BTベースなどの鉛フリー圧電系において汎用性を有し、特定の鉛フリー圧電材料系に依存しない。したがって、本開示の材料の設計方法は、具体的な鉛フリー圧電材料系とは無関係であり、上記具体的な圧電材料系に制限されない。さらに、ステップS100では、第1鉛フリー圧電材料に対して、ドーピングによりその正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をある温度付近に調整し、前記したある温度も室温に制限されない。図4Cに示すように、そのT/O相境界は材料使用温度付近(使用温度、作動温度ともいう)、たとえば、図4Cにおける-20℃~20℃程度に調整する。このため、本開示の別の実施例、室温付近を10℃~40℃程度とする場合、及び前記本開示の実施例の物理的メカニズムと組み合わせると、理解できるように、
第一には、ステップS100では、第1鉛フリー圧電材料に対して、ドーピングによりその正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をある温度付近に調整し、前記したある温度は-20℃~40℃という広範な範囲をカバーすることができ、新概念をできるだけ少なくするために、本開示では、-20℃~40℃を室温付近とし、即ち、室温の範囲を広げることもある。
第二には、さらに、ステップS100では、第1鉛フリー圧電材料に対して、ドーピングによりその正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をある温度付近に調整し、前記したある温度は40℃以上、又は-20℃以下をカバーすることができ、第1鉛フリー圧電材料は、40℃以上又は-20℃以下の使用温度(作動温度ともいう)を満足できればよい。
第三には、本開示で開示された実施例は汎用性を有し、特定の鉛フリー圧電材料系に依存しないだけでなく、前記したある温度により制限されない。したがって、前記したある温度は、室温、又は-20℃~40℃、又は40℃以上のいずれとしてもよく、この原因としては、一方、第1鉛フリー圧電材料のT/O相境界ごとに、対応する異なる温度範囲があり、他方、本開示の実施例で最終的に取得される鉛フリー圧電材料がユーズによる使用温度のニーズを満たすようにするためである。
【0073】
よって、本開示は、鉛フリー圧電材料の取得方法をさらに開示し、前記方法は、
第1鉛フリー圧電材料のT/O相境界を調整し、具体的には、第1鉛フリー圧電材料に対して、その正方相Tと斜方晶相Oとの間のT/O相境界をドーピングにより材料使用温度付近に調整するステップS101と、
C/T相境界とO/R相境界をさらに調整し、具体的には、さらにドーピングにより、常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界を調整して、C/T相境界とO/R相境界をT/O相境界へ接近させ、前記相境界の接近は、
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が一点に集まる傾向があるが、この点に集まられない場合、又は
C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が明らかに一点に集まることも、暗黙的に一点に集まることもない場合を含む、ステップS201と、
第2鉛フリー圧電材料を取得し、具体的には、C/T相境界とO/R相境界がT/O相境界へ接近する過程において、第2鉛フリー圧電材料を取得するステップS301と、を含む。
【0074】
別の実施例では、
前記使用温度付近は、-20℃~40℃、40℃以上、-20℃以下のうちの1種を含む。
【0075】
別の実施例では、
前記第2鉛フリー圧電材料は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミック、又はチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを含む。
【0076】
別の実施例では、前記第2鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrO(式中、0≦m≦0.02、0≦n≦0.1、0≦x≦0.07、0≦y≦0.1、z=0、1、AはCa、Mg、Baから選ばれる二価金属イオンのうちの1種又はこれらの組み合わせである。)、又は
(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)O(式中、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1)で示される。
【0077】
別の実施例では、本開示の前記鉛フリー圧電セラミックの取得方法及び該方法で取得されるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミック、及びチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックについてさらに説明するが、なお、前記例は、本開示をさらに説明するものに過ぎず、本開示の特許範囲を何ら制限するものとして理解できず、当業者であれば、本開示の原理に基づいて、上記本開示の内容を基礎に本質的ではなく改良や調整を行うことができる。
【0078】
以下の実施例では、成分の異なるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミック、及びチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの具体的な製造プロセスの条件でのd33、Tc、ε、tanδやkpなどの特性パラメータが示されている。
【0079】
A群の実施例
一般式:
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y)0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z)0.5ZrO]-nAZrOで示されるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの含有量で材料を配合し、
x=0、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0の場合、
処方1は、0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04NbO-0.01Bi0.50.5ZrOであり、
x=0.02、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0の場合、
処方2は、
0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04Nb0.98Sb0.02-0.01Bi0.50.5ZrOであり、
x=0.03、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0の場合、
処方3は、
0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04Nb0.97Sb0.03-0.01Bi0.50.5ZrOであり、
x=0.04、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0の場合、
処方4は、
0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04Nb0.96Sb0.04-0.01Bi0.50.5ZrOであり、
x=0.05、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0の場合、
処方5は、
0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04Nb0.95Sb0.05-0.01Bi0.50.5ZrOであり、
x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0の場合、
処方6は、
0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrOである。
【0080】
本群の実施例における処方1~6の製造:
分析的に純粋な炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、五酸化ニオブ、三酸化アンチモン、酸化ビスマス及びジルコニアを原料とし、各原料を重量百分率で正確に秤量し、
無水エタノールをボールミリング媒体として、遊星ボールミルを用いて、調製した原料を8~12時間ボールミリングして混合し、次に、乾燥させて混合乾燥粉末を得て、得た混合乾燥粉末を850~1000℃で3~6時間保温して合成し、
得た粉体を破砕後、無水エタノールをボールミリング媒体として、さらに遊星ボールミルを用いて6~10時間ボールミリングし、次に、乾燥させて乾燥粉末を得て、
得た乾燥粉末に5~10wt%のポリビニルアルコール水溶液を加えて造粒し、
造粒した粉体を金型でプレスして直径8mm、厚さ1~3mmのピースにして排出し、
排出したピースを1060~1160℃で3-10時間保温して焼結し、セラミックシートを得て、
焼結して得たセラミックシートに銀電極を被覆し、
銀を被覆したセラミックシートを室温、シリコーンオイルにおいて、電界3-4kV/mmの電圧で30~60分間分極し、
分極が終了すると、高圧電定数と高キュリー温度を有するニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを得て、空気に24時間静置した後、IEEE基準に従って電気的特性を測定した。
【0081】
本群の実施例で製造された、x=0、0.02、0.03、0.04、0.05が可変値、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0が固定値である、
0.99(K0.48Na0.52)0.96Li0.04Nb1-xSb-0.01Bi0.50.5ZrO鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率ε
の温度に伴う変化曲線は図5に示される。同図から分かるように、Sbをドーピングすると、系のキュリー温度Tcは徐々に低下し、T/O相転移温度はわずかに低下し、したがって、C/T相境界とT/O相境界は互いに近づく。
【0082】
本群の実施例の処方1~6について、さまざまな温度で焼結し、さまざまな時間で保温し、さまざまな温度のシリコーンオイルにて分極し、IEEE基準に従ってテストした鉛フリー圧電セラミックの電気的特性などを、表3に示す。
【0083】
B群の実施例
一般式:
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrOで示されるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの含有量で材料を配合し、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.02の場合、
処方1は、
0.97(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.02CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.03の場合、
処方2は、
0.96(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.03CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.04の場合、
処方3は、
0.95(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.04CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.045の場合、
処方4は、
0.945(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.045CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.05の場合、
処方5は、
0.94(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.05CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.055の場合、
処方6は、
0.935(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.055CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.06の場合、
処方7は、
0.93(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.06CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.065の場合、
処方8は、
0.925(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.065CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.07の場合、
処方9は、
0.92(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.07CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.08の場合、
処方10は、
0.91(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.08CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.1の場合、
処方11は、
0.89(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.1CaZrOであり、
A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.15の場合、
処方12は、
0.84(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.15CaZrOである。
【0084】
本群の実施例における処方1~12の製造:
分析的に純粋な炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、五酸化ニオブ、三酸化アンチモン、酸化ビスマス、ジルコニア、及び炭酸カルシウムを原料とし、各原料を重量百分率で正確に秤量し、これ以外、後続の実験の手順はA群の実施例と同様であった。
【0085】
本群の実施例で製造された、n=0、0.02、0.04、0.055、0.06、0.065、0.08が可変値、A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01が固定値である、(0.99-n)(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-nCaZrO鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化曲線は図6に示される。同図から分かるように、CaZrOをドーピングすると、Tcでの誘電率は徐々に上昇する。ただし、CaZrOの含有量nが0.06よりも大きくなると、Tcでの誘電率は急速に低下し、このことから、系がリラクサ強誘電体領域に入ったので、強誘電性を急速に失ったことを示す。
【0086】
本群の実施例で製造された、n=0.05、0.055が可変値、A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01が固定値である、(0.99-n)(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-nCaZrO鉛フリー圧電セラミックの温度サイクル安定性の模式図は、図1Cに示される。同図から分かるように、該セラミックは、-55℃~80℃の間で1000回サイクル後には、わずか10%の特性を損失し、商用セラミックPZT-5Hに匹敵できる。
【0087】
本群の実施例で製造された、n=0.055、A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01である、(0.99-n)(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-nCaZrO鉛フリー圧電セラミックの熱安定性の模式図は、図11に示される。同図から分かるように、該セラミックは、室温~120℃の範囲で90%の特性を維持し、優れた熱安定性を示す。
【0088】
本群の実施例の処方1~12について、さまざまな温度で焼結し、さまざまな時間保温し、さまざまな温度のシリコーンオイルにて分極し、IEEE基準に準じて得た鉛フリー圧電セラミックの電気的特性などを、表4に示す。
【0089】
C群の実施例
一般式:
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrOで示されるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの含有量で材料を配合し、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.00の場合、
処方1は、0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.02の場合、
処方2は、
0.97(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.02SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.03の場合、
処方3は、
0.96(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.03SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.04の場合、
処方4は、
0.95(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.04SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.045の場合、
処方5は、
0.945(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.045SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.05の場合、
処方6は、
0.94(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.05SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.055の場合、
処方7は、
0.935(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.055SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.06の場合、
処方8は、
0.93(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.06SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.065の場合、
処方9は、
0.925(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.065SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.07の場合、
処方10は、
0.92(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.07SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.08の場合、
処方11は、
0.91(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.08SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.1の場合、
処方12は、
0.89(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.1SrZrOであり、
A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.15の場合、
処方13は、
0.84(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.15SrZrOである。
【0090】
処方1~13の製造:
分析的に純粋な炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、五酸化ニオブ、三酸化アンチモン、酸化ビスマス、ジルコニア、及び炭酸ストロンチウムを原料とし、各原料を重量百分率で正確に秤量し、これ以外、後続の実験の手順は、A群の実施例と同様であった。
【0091】
本群の実施例で製造された、n=0、0.02、0.03、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.08、0.1、0.15が可変値、A=Sr、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01が固定値である、(0.99-n)(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-nSrZrO鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化曲線は図7に示される。同図から分かるように、変数Aが元素Srであり且つz=1である場合、SrZrO含有量の増加に伴い、その誘電率は、前記実施例における変数Aが元素Caであり且つz=0である場合の結果と類似した。
【0092】
本群の実施例の処方1~13について、さまざまな温度で焼結し、さまざまな時間保温し、さまざまな温度のシリコーンオイルにて分極し、IEEE基準に準じて得た鉛フリー圧電セラミックの電気的特性などを、表5に示す。
【0093】
D群の実施例
一般式:
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrOで示されるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの含有量で材料を配合し、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.02の場合、
処方1は、
0.97(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.02BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.03の場合、
処方2は、
0.96(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.03BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.04の場合、
処方3は、
0.95(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.04BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.045の場合、
処方4は、
0.945(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.045BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.05の場合、
処方5は、
0.94(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.05BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.055の場合、
処方6は、
0.935(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.055BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.06の場合、
処方7は、
0.93(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.06BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.065の場合、
処方8は、
0.925(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.065BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.07の場合、
処方9は、
0.92(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.07BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.08の場合、
処方10は、
0.91(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.08BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.1の場合、
処方11は、
0.89(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.1BaZrOであり、
A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01、n=0.12の場合、
処方12は、
0.84(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-0.12BaZrOである。
【0094】
処方1~12の製造:
分析的に純粋な炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、五酸化ニオブ、三酸化アンチモン、酸化ビスマス、ジルコニア、及び炭酸バリウムを原料とし、各原料を重量百分率で正確に秤量し、これ以外、後続の実験の手順は、A群の実施例と同様であった。
【0095】
本群の実施例で製造された、n=0.02、0.03、0.04、0.05、0.055、0.06が可変値、A=Ba、x=0.06、y=0.02、z=1、m=0.01が固定値である、(0.99-n)(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.5Na0.5ZrO-nBaZrO鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化曲線は図8に示される。同図から分かるように、変数Aが元素Baであり且つz=0である場合も、その結果は上記図6、7の結果と類似した。したがって、このことから、本開示で開示された方法は、ニオブ酸カリウムナトリウムベースの鉛フリー圧電セラミックにおいて汎用性を有することが分かった。
【0096】
本群の実施例の上記処方について、さまざまな温度で焼結し、さまざまな時間保温し、さまざまな温度のシリコーンオイルにて分極し、IEEE基準に準じて得た鉛フリー圧電セラミックの電気的特性などを、表6に示す。
【0097】
E群の実施例
一般式(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oで示されるチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの含有量で材料を配合し、
x=0、y=0の場合、
処方1は、BaTiOであり、
x=0.03、y=0の場合、
処方2は、0.97BaTiO-0.03(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、
x=0.06、y=0の場合、
処方3は、0.94BaTiO-0.06(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、
x=0.09、y=0の場合、
処方4は、0.91BaTiO-0.09(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、
x=0.11、y=0の場合、
処方5は、0.89BaTiO-0.11(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、
x=0.12、y=0の場合、
処方6は、0.88BaTiO-0.12(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、
x=0.16、y=0の場合、
処方7は、0.84BaTiO-0.16(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、
x=0.20、y=0の場合、
処方8は、0.8BaTiO-0.2(Ba0.5Ca0.5)SnOである。
【0098】
処方1~8の製造:
分析的に純粋な炭酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、及び二酸化スズを原料とし、各原料を重量百分率で正確に秤量し、これ以外、後続の実験の手順は、A群の実施例と同様であった。
【0099】
本群の実施例で製造された、x=0、0.03、0.06、0.09、0.11、0.12、0.14、0.16、0.2が可変値、y=0が固定値である、(1-x)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化曲線は図9に示される。同図から分かるように、BaTiOは、(Ba0.5Ca0.5)SnOをドーピングすると、そのTcでの誘電率が、(Ba0.5Ca=)SnOの含有量xの増大に伴い増大し、そして四相点成分で最大値になり、また、そのTcでの誘電率が、xのさらなる増大に伴い減小していく。この傾向は、図4Bにおける圧電定数の成分に伴う変化傾向とも一致する。
【0100】
本群の実施例処方1~8について、さまざまな温度で焼結し、さまざまな時間保温し、さまざまな温度のシリコーンオイルにて分極し、IEEE基準に準じて得た鉛フリー圧電セラミックの電気的特性などを、表7に示す。
【0101】
F群の実施例
一般式(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oで示されるチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックの含有量で材料を配合し、
x=0、y=0.02の場合、
処方1は、0.98BaTiO-0.02Ba(Mg1/3Nb2/3)Oであり、
x=0、y=0.03の場合、
処方2は、0.97BaTiO-0.03Ba(Mg1/3Nb2/3)Oであり、
x=0、y=0.04の場合、
処方3は、0.96BaTiO-0.04 Ba(Mg1/3Nb2/3)Oであり、
x=0、y=0.05の場合、
処方4は、0.95BaTiO-0.05 Ba(Mg1/3Nb2/3)Oであり、
x=0、y=0.06の場合、
処方5は、0.94BaTiO-0.06 Ba(Mg1/3Nb2/3)Oであり、
x=0、y=0.07の場合、
処方6は、0.93BaTiO-0.07 Ba(Mg1/3Nb2/3)Oであり、
x=0、y=0.08の場合、
処方7は、0.92BaTiO-0.08 Ba(Mg1/3Nb2/3)Oである。
【0102】
処方1~7の製造:
分析的に純粋な炭酸バリウム、酸化マグネシウム、二酸化チタン、及び五酸化ニオブを原料とし、各原料を重量百分率で正確に秤量し、これ以外、後続の実験の手順は、A群の実施例と同様であった。
【0103】
本群の実施例で製造された、y=0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08が可変値、x=0が固定値である、(1-y)BaTiO- yBa(Mg1/3Nb2/3)O鉛フリー圧電セラミックの10kHzでの比誘電率εの温度に伴う変化曲線は図10に示される。同図から分かるように、BaTiOは、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oをドーピングすると、そのTcでの誘電率がBa(Mg1/3Nb2/3)Oの含有量yの増大に伴い増大し、次に、系がリラクサ強誘電体領域に入るに伴い急速に減小する。したがって、Tcでの誘電率の最大値は、強誘電体/リラクサ強誘電体の境界成分付近で現れる。
【0104】
本群の実施例処方1~7について、さまざまな温度で焼結し、さまざまな時間保温し、さまざまな温度のシリコーンオイルにて分極し、IEEE基準に準じて得た鉛フリー圧電セラミックの電気的特性などを、表8に示す。
【0105】
以上の各群の処方及びこれらの実施例によっても、本開示は、高圧電定数と高キュリー温度を有する鉛フリー圧電セラミックの取得方法を提供することが示されている。上記表に記載の結果から分かるように、その圧電定数は、今までの鉛フリー圧電セラミックが持つ最高圧電定数であり、この鉛フリー圧電セラミックは、特性がPZTシリーズに相当する鉛フリー圧電セラミックである。
【0106】
さらに、化学一般式(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrOでは、A=Ca、x=0.06、y=0.02、z=0、m=0.01、n=0.05の場合、得られたニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックは、圧電定数d33が~630pC/Nと高く、平面電気機械的結合係数kが63%に達し、キュリー温度Tcが155℃に達し、商用ソフトPZTセラミックの代わりとして有用であることを示している。一方、該セラミックシリーズは、d33の範囲が190~670pC/Nに達し、Tcの範囲が410℃~130℃に達し、圧電セラミックのさまざまな複雑な条件(たとえば、高温、高周波など)で適用でき、したがって、実用価値が極めて高い。
【0107】
xが0.11、yが0である場合、上記実施例は、別のチタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを取得することができ、且つ、温度可変の条件では、該シリーズセラミックは、今まで最高の圧電定数を有する。
【0108】
0.89BaTiO-0.11(Ba0.5Ca0.5)SnOでは、キュリー温度が36℃である場合、d33=1120pC/Nである。この場合、該セラミックは、圧電特性への要求が極めて高いが、キュリー温度についてはほぼ要求がない場合に適用できる。
【0109】
本明細書の開示内容によれば、前記一般式(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oについては、前記E群の実施例とF群の実施例において詳細に説明し、x、yが0≦x≦0.2、0≦y≦0.1を満足できれば、本開示の目的と合わせた対応する鉛フリー圧電材料が得られ得る。
【0110】
別の実施例では、前記第2鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrO(式中、0≦m≦0.02、0≦n≦0.1、0≦x≦0.07、0≦y≦0.1、z=0、1、AはCa、Mg、Baから選ばれる二価金属イオンのうちの1種又はこれらの組み合わせである。)で示される。
【0111】
さらに、圧電定数d33の範囲が、190pC/N~670pC/Nである。
【0112】
さらに、キュリー温度Tcの範囲が、130℃~410℃である。
【0113】
さらに、キュリー温度Tcの範囲が290℃~410℃である場合、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が270℃~350℃であり、そのd33の範囲が、190pC/N~330 pC/Nである。
【0114】
さらに、別の実施例では、前記第2鉛フリー圧電材料の成分は、0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04NbO-0.01Bi0.50.5ZrO
0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.97Sb0.03-0.01Bi0.50.5ZrO、及び
0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrOのうちの1種である。
【0115】
さらに、Tcの範囲が200℃~290℃である場合、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が180℃~270℃であり、そのd33の範囲が310pC/N~460 pC/Nである。
【0116】
さらに、別の実施例では、前記第2鉛フリー圧電材料の成分は、
0.97(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.02CaZrO、及び
0.96(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.03CaZrOのうちの1種である。
【0117】
さらに、Tcの範囲が130℃~200℃である場合、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が110℃~180℃であり、そのd33の範囲が460pC/N~670 pC/Nである。
【0118】
さらに、別の実施例では、前記第2鉛フリー圧電材料の成分は、
0.95(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.04CaZrO
0.94(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.05CaZrO、及び
0.935(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.055CaZrOのうちの1種である。
【0119】
別の実施例では、前記のとおり、前記第2鉛フリー圧電材料は、チタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを含む。
【0120】
さらに、前記第2鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、
(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)O(式中、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1。)である。
【0121】
さらに、圧電定数d33の範囲が300pC/N~1120pC/Nである。
【0122】
さらに、キュリー温度Tcの範囲が0℃~100℃である。
【0123】
さらに、前記第2鉛フリー圧電材料の成分は、0.89BaTiO-0.11(Ba0.5Ca0.5)SnO、前記のとおり、チタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミック0.89BaTiO-0.11(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、それによって、温度可変の条件では、該シリーズセラミックは、今まで最高の圧電定数:d33=1120pC/Nを有する。この場合、該セラミックは、圧電特性への要求が極めて高いが、キュリー温度についてほぼ要求がない場合に適用できる。
【0124】
本明細書で開示された内容に基づき、前記一般式(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oでは、x、yが0≦x≦0.2、0≦y≦0.1を満足できれば、本開示の目的に合わせた対応する鉛フリー圧電材料が得られ得る。
【0125】
これに加えて、前記方法によれば、本開示はまた、鉛フリー圧電材料を開示し、ここで、
前記鉛フリー圧電材料の正方相Tと斜方晶相OとのT/O相境界は室温付近であり、
前記鉛フリー圧電材料の常誘電性立方相Cと正方相Tとの間のC/T相境界、及び斜方晶相Oと菱面体晶相Rとの間のO/R相境界は、いずれもT/O相境界へ接近する状態にあり、
相境界の接近度合が、前記鉛フリー圧電材料の圧電定数d33、キュリー温度Tcに関連している。
【0126】
前記のとおり、相境界が接近することにより、さまざまな特性の鉛フリー圧電材料を取得することができる。
【0127】
より好ましくは、前記接近は、C/T相境界、O/R相境界、及びT/O相境界が一点に集まる傾向を示す場合を含む。
【0128】
より好ましくは、前記鉛フリー圧電材料は、結晶形がペロフスカイト構造の鉛フリー圧電セラミックを含む。
【0129】
より好ましくは、前記鉛フリー圧電材料は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを含む。
【0130】
より好ましくは、前記室温付近は20℃~30℃程度とされる。より好ましくは、より広範な温度範囲では、前記室温付近は10℃~40℃程度とされ得る。これは室温付近で適用できる鉛フリー圧電材料を取得するためであることが理解できる。
【0131】
別の実施例では、前記鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、
(1-m-n)[(K0.5-yNa0.5+y0.96Li0.04Nb1-xSb]-m[(Bi0.5(Na1-z0.5ZrO]-nAZrO(式中、0≦m≦0.02、0≦n≦0.1、0≦x≦0.07、0≦y≦0.1、z=0、1、AはCa、Mg、Baから選ばれる二価金属イオンのうちの1種又はこれらの組み合わせである。)で示される。
【0132】
別の実施例では、圧電定数d33の範囲が、190pC/N~670pC/Nである。
【0133】
別の実施例では、キュリー温度Tcの範囲が、130℃~410℃である。
【0134】
別の実施例では、キュリー温度Tcの範囲が290℃~410℃である場合、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が270℃~350℃であり、そのd33の範囲が、190pC/N~330pC/Nである。
【0135】
別の実施例では、前記鉛フリー圧電材料の成分は、
0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04NbO-0.01Bi0.50.5ZrO
0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.97Sb0.03-0.01Bi0.50.5ZrO、及び
0.99(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrOのうちの1つである。
【0136】
別の実施例では、Tcの範囲が200℃~290℃である場合、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が180℃~270℃であり、そのd33の範囲が310pC/N~460 pC/Nである。
【0137】
別の実施例では、前記鉛フリー圧電材料の成分は、
0.97(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.02CaZrO、及び
0.96(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.03CaZrOのうちの1つである。
【0138】
別の実施例では、Tcの範囲が130℃~200℃である場合、C/T相境界とT/O相境界との間の温度差が110℃~180℃であり、そのd33の範囲が460pC/N~670pC/Nである。
【0139】
別の実施例では、前記鉛フリー圧電材料の成分は、
0.95(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.04CaZrO
0.94(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.05CaZrO、及び
0.935(K0.48Na0.520.96Li0.04Nb0.94Sb0.06-0.01Bi0.50.5ZrO-0.055CaZrOのうちの1つである。
【0140】
別の実施例では、前記鉛フリー圧電材料は、チタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミックを含む。
【0141】
別の実施例では、前記鉛フリー圧電材料の成分の一般式は、
(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)O(式中、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1)である。
【0142】
別の実施例では、圧電定数d33の範囲が300pC/N~1120pC/Nである。
【0143】
別の実施例では、キュリー温度Tcの範囲が0℃~100℃である。
【0144】
別の実施例では、前記一般式(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oでは、xが0.11、yが0である場合、前記鉛フリー圧電材料の成分は、0.89BaTiO-0.11(Ba0.5Ca0.5)SnO、前記のとおり、チタン酸バリウムベースの三元系鉛フリー圧電セラミック0.89BaTiO-0.11(Ba0.5Ca0.5)SnOであり、それにより、温度可変の条件では、該シリーズセラミックは今まで最高の圧電定数d33=1120pC/Nである。この場合、該セラミックは、圧電特性への要求が極きめて高いが、キュリー温度についてはほぼ要求がない場合に適用できる。
【0145】
本明細書で開示された内容に基づき、前記一般式(1-x-y)BaTiO-x(Ba0.5Ca0.5)SnO-yBa(Mg1/3Nb2/3)Oでは、x、yが0≦x≦0.2、0≦y≦0.1を満足できれば、本開示の目的に合わせた対応する鉛フリー圧電材料が得られ得る。
【0146】
さらに、本開示はまた、別の実施例において、前記鉛フリー圧電材料を製造するための鉛フリー圧電材料の製造プロセスを開示し、前記方法は、
対応する化学一般式に従って、原料を選択して配合するステップT001と、
従来の固相セラミック焼結プロセスを用いて、前記鉛フリー圧電材料を製造するステップT002と、を含む。
【0147】
好ましくは、前記原料は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、五酸化ニオブ、三酸化アンチモン、酸化ビスマス、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化スズ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、及び炭酸バリウムから選ばれる。より好ましくは、前記原料は分析的に純粋なものである。
【0148】
さらに、別の実施例では、本開示の前記取得方法で取得されるハード圧電セラミックを開示する。
【0149】
さらに、別の実施例では、本開示の前記鉛フリー圧電材料で取得されるハード圧電セラミックを開示する。
【0150】
さらに、別の実施例では、本開示の前記ハード圧電セラミックを用いる高エネルギー変換器を開示する。
【0151】
さらに、別の実施例では、本開示の前記取得方法で取得されるソフト圧電セラミックを開示する。
【0152】
さらに、別の実施例では、本開示の前記鉛フリー圧電材料で取得されるソフト圧電セラミックを開示する。
【0153】
さらに、別の実施例では、本開示の前記ソフト圧電セラミックを用いるセンサを開示する。
【0154】
別の実施例では、本開示の前記ソフト圧電セラミックを用いるアクチュエータを開示する。
【0155】
別の実施例では、また、前記ハード圧電セラミック、及び/又は前記ソフト圧電セラミックを用いる電子素子を開示する。
【0156】
別の実施例では、また、前記ハード圧電セラミック、及び/又は前記ソフト圧電セラミックを用いる電子機器を開示する。
【0157】
本明細書において、各々の実施例において漸進的に説明し、重点として説明するものはほかの実施例との相違点であり、各実施例の間の同一又は類似の部分については互いに参照することができる。
【0158】
以上は、本開示に係る鉛フリー圧電材料の取得方法、対応する鉛フリー圧電材料、製造プロセス、ハード圧電セラミック、ソフト圧電セラミック、高エネルギー変換器、センサ、アクチュエータ、電子素子、及び電子機器を詳細に説明しており、本開示では、具体例にて本開示の原理及び実施形態を説明しているが、以上の実施例の説明は、本開示の方法及びその主旨を理解しやすくするために過ぎず、また、当業者であれば、本開示の構想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲に変化を加えることができ、前記のとおり、本明細書の内容は本開示を制限するものではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11