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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021508854
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020008121
(87)【国際公開番号】W WO2020195521
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2019061678
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖利
(72)【発明者】
【氏名】坂爪 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】牧野 弘康
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036888(JP,A)
【文献】特表2015-504616(JP,A)
【文献】特開2009-065310(JP,A)
【文献】特開平7-250291(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/366399(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0239151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが少なくとも前方を視認可能にユーザの顔面に密着するアタッチメント、および前記アタッチメントに取り付けられ、ユーザの顔面への密着状態を維持した状態で前記アタッチメントをユーザの頭部に固定するための固定具とを含むヘッドギアと、
映像を表示する映像表示部を備え、前記アタッチメントに対して着脱可能なディスプレイユニットと、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットの少なくとも一方に設けられ、前記ディスプレイユニットを前記アタッチメントに対して解除可能に固定するロック機構と、を有し、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットが、ユーザの前後方向に互いに係合するように構成され
前記アタッチメントが、ユーザの上下方向視で、その前側にユーザの前方に向かって凸に湾曲する凸形状部を備え、
前記ディスプレイユニットが、前記上下方向視で、その後側に前記アタッチメントの凸形状部と係合する凹形状部を備えている、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
ユーザが少なくとも前方を視認可能にユーザの顔面に密着するアタッチメント、および前記アタッチメントに取り付けられ、ユーザの顔面への密着状態を維持した状態で前記アタッチメントをユーザの頭部に固定するための固定具とを含むヘッドギアと、
映像を表示する映像表示部を備え、前記アタッチメントに対して着脱可能なディスプレイユニットと、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットの少なくとも一方に設けられ、前記ディスプレイユニットを前記アタッチメントに対して解除可能に固定するロック機構と、を有し、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットが、ユーザの前後方向に互いに係合するように構成され、
前記ロック機構が、前記アタッチメントをユーザの上下方向に挟持する一対のクランプアームを備えている、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
ユーザが少なくとも前方を視認可能にユーザの顔面に密着するアタッチメント、および前記アタッチメントに取り付けられ、ユーザの顔面への密着状態を維持した状態で前記アタッチメントをユーザの頭部に固定するための固定具とを含むヘッドギアと、
映像を表示する映像表示部を備え、前記アタッチメントに対して着脱可能なディスプレイユニットと、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットの少なくとも一方に設けられ、前記ディスプレイユニットを前記アタッチメントに対して解除可能に固定するロック機構と、を有し、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットが、ユーザの前後方向に互いに係合するように構成され、
前記ロック機構が、
前記アタッチメントに設けられた金属部と、
前記ディスプレイユニットに設けられ、前記金属部に磁力的に接続する電磁石とを含む、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記ディスプレイユニットが、前記アタッチメントに対して着脱するときに前記アタッチメントの左右方向の両端それぞれに対向し、前記ディスプレイユニットをユーザの前後方向にガイドする一対のサイドガイド部を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記ロック機構が、前記アタッチメントをユーザの上下方向に挟持する一対のクランプアームを備える、請求項1または4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記ロック機構が、
前記アタッチメントに設けられた金属部と、
前記ディスプレイユニットに設けられ、前記金属部に磁力的に接続する電磁石とを含む、請求項1または4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記アタッチメントが、ゴーグル状である、請求項1からのいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記ロック機構による前記アタッチメントに対する前記ディスプレイユニットの固定が完了したことを報知する報知部を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載するように、ユーザに対して仮想現実(VR)または拡張現実(AR)に関連する映像を提供するヘッドマウントディスプレイが知られている。ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの眼を覆うようにユーザの頭部に装着され、ユーザの眼の前方に配置された映像表示部を介して仮想現実または拡張現実に関連する映像をユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-39988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、テーマパークなどのアミューズメント施設で、ヘッドマウントディスプレイを用いたアトラクションをユーザ(客)に提供することが望まれている。しかしながら、1つのヘッドマウントディスプレイを不特定多数のユーザが使用するために、アミューズメント施設の運営者は、ヘッドマウントディスプレイ、特にユーザの頭部に接触する部分を洗浄する必要がある。また、ユーザによってはヘッドマウントディスプレイの装着に時間がかかる場合がある。その結果、ヘッドマウントディスプレイの稼動率が低下する。
【0005】
そこで、本開示は、不特定多数のユーザによって使用されるヘッドマウントディスプレイの稼動率を上げることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
ユーザが少なくとも前方を視認可能にユーザの顔面に密着するアタッチメント、および前記アタッチメントに取り付けられ、ユーザの顔面への密着状態を維持した状態で前記アタッチメントをユーザの頭部に固定するための固定具とを含むヘッドギアと、
映像を表示する映像表示部を備え、前記アタッチメントに対して着脱可能なディスプレイユニットと、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットの少なくとも一方に設けられ、前記ディスプレイユニットを前記アタッチメントに対して解除可能に固定するロック機構と、を有し、
前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットが、ユーザの前後方向に互いに係合するように構成されている、ヘッドマウントディスプレイが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、不特定多数のユーザによって使用されるヘッドマウントディスプレイの稼動率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの斜視図
図2】ヘッドマウントディスプレイの側面図
図3】ディスプレイユニットを分離した状態のヘッドマウントディスプレイの分解斜視図
図4】ディスプレイユニットとアタッチメントの斜視図
図5】ディスプレイユニットとアタッチメントの側面図
図6】ディスプレイユニットとアタッチメントの上面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下に、本開示の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイについて図1図6を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。また、図2は、ヘッドマウントディスプレイの側面図である。また、図3は、ヘッドマウントディスプレイの分解斜視図である。なお、図に示すX-Y-Z座標系は、実施の形態の理解を容易にするためのものであって、実施の形態を限定するものではない。X-Y-Z座標系において、X軸方向はヘッドマウントディスプレイを装着して使用するユーザの前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は上下方向である。
【0013】
図1図3に示すように、ヘッドマウントディスプレイ10は、大略、ユーザの顔面に密着するアタッチメント12およびアタッチメント12をユーザの頭部に固定するための固定具14を含むヘッドギア16と、そのヘッドギア16のアタッチメント12に対して着脱可能なディスプレイユニット18とを備える。
【0014】
ヘッドギア16のアタッチメント12は、ユーザの頭部にディスプレイユニット18を取り付けるためのブラケットとして機能する。
【0015】
図4は、ディスプレイユニットとアタッチメントの斜視図である。また、図5は、ディスプレイユニットとアタッチメントの側面図である。そして、図6は、ディスプレイユニットとアタッチメントの上面図である。
【0016】
図4図6に示すように、ヘッドギア16のアタッチメント12は、ユーザが少なくとも前方を視認可能にユーザの顔面、特に眼の周囲に密着するデバイスである。本実施の形態の場合、アタッチメント12は、ユーザの両眼それぞれの前方に貫通穴12aが形成されたゴーグル状である。また、アタッチメント12は、理由は後述するが、洗浄可能な材料から作製されている。さらに、本実施の形態の場合、ユーザの顔面に対して位置決めするために、アタッチメント12は、ユーザの鼻に載置されるノーズパッド12bを備える。このノーズパッド12bにより、アタッチメント12は、左右方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)について、ユーザの顔面に対して位置決めされる。
【0017】
また、図6に示すように、本実施の形態の場合、アタッチメント12は、ユーザの上下方向(Z軸方向)視で、その前側に、ユーザの前方に向かって凸に湾曲する凸形状部12cを備える。本実施の形態の場合、そのアタッチメント12の凸形状部12cは円弧状である。このような凸形状部を備える理由については後述する。
【0018】
図3に示すように、ヘッドギア16の固定具14は、アタッチメント12に取り付けられ、ユーザの顔面への密着状態を維持した状態でアタッチメント12をユーザの頭部に固定するためのデバイスである。本実施の形態の場合、固定具14は、アタッチメント12の左右方向(Y軸方向)の一端から他端に向かって延在する伸縮可能な第1のベルト14aと、アタッチメント12の上端から第1のベルト14aの中央部分に向かって延在する伸縮可能な第2のベルト14bとから構成されている。固定具14も、理由は後述するが、アタッチメント12と同様に洗浄可能な材料から作製されている。このような固定具14により、アタッチメント12は、ユーザの顔面に密着した状態でユーザの頭部に固定される。
【0019】
なお、ヘッドマウントディスプレイ10がユーザの頭部が上下に繰り返し動くアトラクションに使用される場合、例えば、ジェットコースターなどの移動する筐体に搭乗するユーザに対して装着される場合、ヘッドマウントディスプレイ10のヘッドギア16は、本実施の形態のように、ヘッドパッドユニット20を備えるのが好ましい。
【0020】
ヘッドパッドユニット20は、ユーザの額に当接するフロントパッド20aと、ユーザの後頭部に当接するリアパッド20bとを備え、リアパッド20bがフロントパッド20aに対して接近および離間可能に構成されている。また、フロントパッド20aは、アタッチメント12に回動可能に取り付けられている。具体的には、図4に示すように、アタッチメント12に設けられ、左右方向(Y軸方向)に延在する支持シャフト12dに対して回動可能に、ヘッドパッドユニット20は取り付けられている。フロントパッド20aとリアパッド20bとがユーザの頭部を前後方向に挟持することにより、アトラクション中に、ディスプレイユニット18が取り付けられた状態のアタッチメント12がずれることが抑制される。ヘッドパッドユニット20も、アタッチメント12や固定具14と同様に、洗浄可能な材料から作製されている。
【0021】
ディスプレイユニット18は、実質的にヘッドマウントディスプレイ10の本体部であって、ヘッドギア16のアタッチメント12に対して着脱可能な筐体18aを備える。また、図2に示すように、ディスプレイユニット18は、その筐体18a内に、映像を表示する、例えば液晶ディスプレイなどの映像表示部18bを有する。また、ディスプレイユニット18は、映像表示部18bとアタッチメント12との間に配置されるレンズ(図示せず)を備える。ディスプレイユニット18がアタッチメント12に対して取り付けられているとき、そのアタッチメント12を装着しているユーザの眼の前方に、レンズと映像表示部18bとが配置される。これにより、映像表示部18bに表示される映像がレンズを介してユーザに提供される。
【0022】
また、図6に示すように、本実施の形態の場合、ディスプレイユニット18の筐体18aは、ユーザの上下方向(Z軸方向)視で、その後側に、すなわちアタッチメント12側に、アタッチメント12の凸形状部12cと係合する凹形状部18cを備える。
【0023】
アタッチメント12の前端における凸形状部12cと係合する凹形状部18cをディスプレイユニット18の後端が備えることにより、ディスプレイユニット18のアタッチメント12に対する着脱方向が、すなわち係合方向がユーザの前後方向に制限される。すなわち、ユーザの左右方向に、アタッチメント12に対してディスプレイを着脱することができない。このように、ディスプレイユニット18のアタッチメント12に対する着脱方向をユーザの前後方向に制限する理由やそれによる効果については後述する。
【0024】
さらに、本実施の形態の場合、図6に示すように、ディスプレイユニット18は、アタッチメント12に対して着脱するときに、ディスプレイユニット18自体をユーザの前後方向(X軸方向)にガイドする一対のサイドガイド部18dを備える。具体的には、一対のサイドガイド部18dは、ディスプレイユニット18の凹形状部18cの両端に配置されている。アタッチメント12の左右方向(Y軸方向)の端部12eそれぞれに対向することにより、一対のサイドガイド部18dは、ディスプレイユニット18を左右方向についてアタッチメント12に対して位置決めしつつ、そのディスプレイユニット18を前後方向にガイドする。ディスプレイユニット18がアタッチメント12に取り付けられた状態であるとき、一対のサイドガイド部18dの間にアタッチメント12が存在する。このような一対のサイドガイド部18dによっても、ディスプレイユニット18のアタッチメント12に対する着脱方向がユーザの前後方向に制限されている。
【0025】
図5に示すように、ディスプレイユニット18をアタッチメント12に対して解除可能に固定するロック機構22を、ヘッドマウントディスプレイ10は有する。本実施の形態の場合、ロック機構22は、ディスプレイユニット18の左右方向(Y軸方向)の中央部分に設けられている。
【0026】
また、本実施の形態の場合、ロック機構22は、ユーザの上下方向(Z軸方向)にアタッチメント12を挟持する一対のクランプアーム22a、22bを備える。具体的には、一方のクランプアーム22aはディスプレイユニット18の上部に設けられ、他方のクランプアーム22bはディスプレイユニット18の下部に設けられている。また、クランプアーム22a、22bのそれぞれは、その先端にディスプレイユニット18と接触し、例えばゴムなどの弾性材料から作製された滑り止めパッド22cを備える。
【0027】
ロック機構22のクランプアーム22a、22bは、アタッチメント12を上下方向(Z軸方向)に挟持するために、すなわち互いの先端(すなわち滑り止めパッド22c)が接近するように、ばね(図示せず)などの付勢部材によって付勢されている。また、その付勢に逆らってクランプアーム22a、22bの先端が互いに離れるように(二点鎖線)、クランプアーム22a、22bを旋回させるためのロック解除ボタン22d、22eが、ディスプレイユニット18に設けられている。ロック解除ボタン22dを押すことによって一方のクランプアーム22aが前方に向かって倒れるように旋回し、ロック解除ボタン22eを押すことによって他方のクランプアーム22bが前方に向かって倒れるように旋回し、それによりそれぞれの先端が互いに離れる方向に移動する。
【0028】
アタッチメント12には、クランプアーム22a、22bの先端(すなわち滑り止めパッド22c)と面接触する上側接触面12fと下側接触面12gが設けられている。上側接触面12fと下側接触面12gは、互いに対して上下方向(Z軸方向)に反対側に設けられている。また、上側接触面12fと下側接触面12gは、互いに平行ではなく、上側接触面12fを含む平面と下側接触面12gを含む平面とがアタッチメント12の前方で交差するように、一方に対して他方が傾いている。
【0029】
このようなロック機構22を用いたディスプレイユニット18のアタッチメント12に対する固定方法について説明する。まず、ディスプレイユニット18をアタッチメント12に向かってユーザの前後方向(X軸方向)に移動させる。それにより、アタッチメント12がロック機構22の一対のクランプアーム22a、22bの先端間に押し入る。そこからさらにディスプレイユニット18をアタッチメント12に接近させると、ディスプレイユニット18がアタッチメント12に接触するとともに、一対のクランプアーム22a、22bによってアタッチメント12が上方方向(Z軸方向)に挟持される。その結果、ディスプレイユニット18がアタッチメント12に固定される。
【0030】
ディスプレイユニット18がアタッチメント12に固定されている状態でロック解除ボタン22d、22eが押されると、一対のクランプアーム22a、22bがアタッチメント12をリリースし、それにより、ディスプレイユニット18をアタッチメント12から取り外すことができる。
【0031】
このようにロック機構22のクランプアーム22a、22bがユーザの上下方向(Z軸方向)にアタッチメント12を挟持することにより、アトラクション中に上下動を繰り返すユーザの頭部に固定されたアタッチメント12に対してディスプレイユニット18を堅固に固定することができる。すなわち、アタッチメント12に対してディスプレイユニット18が上下動することが抑制される。
【0032】
また、図5に示すようにアタッチメント12の上側接触面12fと下側接触面12gとが互いに対して傾斜することにより、アタッチメント12にロック機構22を介して固定されたディスプレイユニット18がアタッチメント12の前方に抜け落ちることが抑制されている。
【0033】
さらに、本実施の形態の場合、ヘッドマウントディスプレイ10は、ロック機構22によるアタッチメント12に対するディスプレイユニット18の固定が完了したことを報知する報知部24を有する。
【0034】
具体的には、本実施の形態の場合、ヘッドマウントディスプレイ10は、報知部24として、ディスプレイユニット18の上面に設けられたLEDなどの発光部24を有する。
【0035】
発光部24は、ロック機構22によるアタッチメント12に対するディスプレイユニット18の固定が完了すると、例えば緑色の光を放射する。これにより、ヘッドマウントディスプレイ10を装着したユーザ以外の第三者、例えばヘッドマウントディスプレイ10を使用するアトラクションのオペレータに、ディスプレイユニット18の固定完了が報知される。その結果、オペレータは、ヘッドマウントディスプレイ10を装着したユーザに対するアトラクションを開始することができる。
【0036】
なお、アタッチメント12に対するディスプレイユニット18の固定完了は、例えば、アタッチメント12に設けられて前方に突出した突起部がディスプレイユニット18の検出スイッチを押すことによって検出してもよい。また例えば、アタッチメント12にIC(Integrated circuit)とそのICに接続する複数の接触電極とを設け、その複数の接触電極に接触する複数の端子をディスプレイユニット18に設ける。ディスプレイユニット18が端子を介して信号を送信し、その信号に対応する信号をICから受信することにより、アタッチメント12に対するディスプレイユニット18の固定完了を検出してもよい。この固定完了は、ヘッドマウントディスプレイ10の使用形態に応じて種々に変更される。
【0037】
また、発光部24の発光は、そのヘッドマウントディスプレイ10を装着しているユーザ以外の第三者にアタッチメント12に対するディスプレイユニット18の固定完了を報知するためものであるため、ユーザには見えない。ユーザに対するディスプレイユニット18の固定完了の通知は、ディスプレイユニット18の映像表示部18bを介して行ってもよい。
【0038】
以上のような本実施の形態によれば、不特定多数のユーザによって使用されるヘッドマウントディスプレイの稼動率を上げることができる。
【0039】
このことについて具体的に説明する。
【0040】
まず、上述したように、また図3に示すように、ヘッドマウントディスプレイ10の実質的に本体であるディスプレイユニット18と、ヘッドマウントディスプレイ10においてユーザに接触する部分であるヘッドギア16(アタッチメント12、固定具14、ヘッドパッドユニット20)とは、分離可能である。
【0041】
したがって、1つのディスプレイユニット18に対して複数のヘッドギア16を用意すれば、一部のヘッドギア16の洗浄中に、残りのヘッドギア16を使用することにより、ディスプレイユニット18、すなわちヘッドマウントディスプレイ10を使用し続けることができる。
【0042】
また、ヘッドマウントディスプレイ10を用いるアトラクションに対して待機する多くのユーザに対して、先にヘッドギア16を装着させることができる。そして、これからアトラクションを体験するユーザが装着しているヘッドギア16のアタッチメント12に対してディスプレイユニット18を取り付けることができる。例えば、アトラクションの乗物にヘッドギア16を装着したユーザが搭乗し、その乗物に信号線を介して接続されたディスプレイユニット18を搭乗したユーザのアタッチメント12に取り付けることができる。
【0043】
この場合、ヘッドマウントディスプレイ10をユーザが装着するために要する時間が短縮される。
【0044】
本実施の形態と異なり、ディスプレイユニットが着脱不可能であるヘッドマウントディスプレイの場合、ヘッドマウントディスプレイがユーザの眼を覆うために、ユーザはヘッドマウントディスプレイを正常に装着できているか否かを確認しにくい。そのため、場合によっては、オペレータがその確認を行う必要がある。また、ユーザによっては、オペレータがヘッドマウントディスプレイの装着を手助けする必要がある。一方、本実施の形態の場合、ユーザは、自分の眼で確認しながら、また場合によってはミラーを用いて、ヘッドギア16を正常に且つ容易に装着することができる。
【0045】
さらに、上述したように、また図6に示すように、アタッチメント12およびディスプレイユニット18は、ユーザの前後方向(X軸方向)に互いに係合するように構成されている。これにより、ヘッドギア16を装着したユーザは、前方にディスプレイユニット18を配置し、そのディスプレイユニット18を自分の顔面に向かって接近させることにより、ディスプレイユニット18をアタッチメント12に容易に取り付けることができる。これと異なり、ユーザの左右方向(Y軸方向)または上下方向(Z軸方向)にアタッチメント12に対してディスプレイユニット18が係合する場合、ユーザは、視野の外にあるディスプレイユニット18をアタッチメント12に向かって動かす必要がある。
【0046】
以上の理由から、本実施の形態によれば、不特定多数のユーザによって使用されるヘッドマウントディスプレイの稼動率を上げることができる。
【0047】
さらにまた、本実施の形態の場合においては、ヘッドギア16のアタッチメント12がゴーグル状であるため、ユーザは、装着の仕方に悩むことなく、そのアタッチメント12を直感的に短時間で顔面に位置合わせすることができる。その結果、ヘッドマウントディスプレイ10の装着時間が短縮され、それによりその稼動率が上がる。
【0048】
加えて、本実施の形態の場合においては、アタッチメント12へのディスプレイユニット18の固定完了が発光部24によって報知される。したがって、オペレータは、複数のユーザそれぞれに対するディスプレイユニット18の固定完了の確認を短時間で行うことができる。それにより、オペレータはアトラクションをすぐに開始することができ、ヘッドマウントディスプレイの稼動率を上げることができる。
【0049】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。
【0050】
例えば、上述の実施の形態の場合、図2に示すように、アタッチメント12へのディスプレイユニット18の固定は、ロック機構22の一対のクランプアーム22a、22bがアタッチメント12を挟持することによって行われる。しかしながら、アタッチメントへのディスプレイユニットの固定は、これに限らない。ロック機構として、例えば、アタッチメントが金属部を備え、その金属部に磁力的に接続する電磁石がディスプレイユニットに設けられてもよい。この場合、アトラクションのオペレータが電磁石に通電することにより、またはアトラクションの開始直前に自動的に電磁石に通電することにより、ディスプレイユニットをアタッチメントに固定することができる。
【0051】
また、上述の実施の形態の場合、図3に示すように、ロック機構22は、ディスプレイユニット18に設けられている。これに代わって、ヘッドギアのアタッチメントに、ロック機構を設けてもよい。
【0052】
さらに、上述の実施の形態の場合、アタッチメント12へのディスプレイユニット18の固定完了は、発光部24の発光によって報知される。しかしながら、固定完了の報知はこれに限らない。例えば、オペレータがアトラクションの開始を実行するためのアトラクションの操作装置に対して、ディスプレイユニット18が固定完了信号を送信してもよい。
【0053】
最後に、アタッチメント12とディスプレイユニット18のユーザの前後方向(X軸方向)の係合は、ヘッドマウントディスプレイ10が使用可能な最終形態になるために、その前後方向にディスプレイユニット18をアタッチメント12に向かって相対的に移動させることが必要な係合を言う。したがって、アタッチメント12とディスプレイユニット18とが前後方向に接触しない場合も含まれる。例えば、アタッチメントおよびディスプレイの一方に設けられてユーザの前後方向に延在する係合ピンと、他方に設けられて前後方向に貫通する係合穴とが係合する場合も含まれる。
【0054】
すなわち、本開示の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイは、広義には、ユーザが少なくとも前方を視認可能にユーザの顔面に密着するアタッチメント、および前記アタッチメントに取り付けられ、ユーザの顔面への密着状態を維持した状態で前記アタッチメントをユーザの頭部に固定するための固定具とを含むヘッドギアと、映像を表示する映像表示部を備え、前記アタッチメントに対して着脱可能なディスプレイユニットと、前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットの少なくとも一方に設けられ、前記ディスプレイユニットを前記アタッチメントに対して解除可能に固定するロック機構と、を有し、前記アタッチメントおよび前記ディスプレイユニットが、ユーザの前後方向に互いに係合するように構成されている。
【0055】
以上のように、本開示における技術の例示として、複数の実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0056】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0057】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、ヘッドマウントディスプレイに適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6